(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165294
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】フラットケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/08 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
H01B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076157
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000207089
【氏名又は名称】大電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】松永 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 浩一
(72)【発明者】
【氏名】木下 仙士
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311CA01
5G311CC04
(57)【要約】
【課題】スムーズな屈曲動作を可能として、自立性の向上、発塵の抑制、配線性の向上を可能とするフラットケーブルを提供する。
【解決手段】フラットケーブルは、複数のケーブル電線を平面状に連設してなるケーブル部を備えるフラットケーブルにおいて、前記連設された複数のケーブル電線に沿って連結して支持する連結支持部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブル電線を平面状に連設してなるケーブル部を備えるフラットケーブルにおいて、
前記連設された複数のケーブル電線に沿って連結して支持する連結支持部を備えることを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のフラットケーブルにおいて、
前記連結支持部の曲げ柔軟度が、前記ケーブル部の曲げ柔軟度よりも大きく形成されることを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフラットケーブルにおいて、
前記連結支持部が、複数の中空チューブを連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各中空チューブが接続されてなることを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項4】
請求項3に記載のフラットケーブルにおいて、
前記連結支持部が、前記ケーブル電線間の前記連接部分が固着されていない前記ケーブル電線間を固着する各中空チューブの全部又は一部を少なくとも固着してなることを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項5】
請求項3に記載のフラットケーブルにおいて、
前記中空チューブ内に気体若しくは液体を充填し、前記中空チューブの曲げ柔軟度を調整することを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項6】
請求項1に記載のフラットケーブルにおいて、
前記連結支持部が、シート状の屈曲性生地からなり、
前記ケーブル部が、前記屈曲性生地の上面及び/又は下面に構成されることを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項7】
請求項6に記載のフラットケーブルにおいて、
前記屈曲性生地がダブルラッセル生地から構成されることを特徴とする
フラットケーブル。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のフラットケーブルにおいて、
前記連結支持部が、複数の他のケーブル電線を連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各他のケーブル電線が接続されてなることを特徴とする
フラットケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル電線が横一列に並列されてなるフラットケーブルに関し、特に、スムーズな屈曲動作を可能として、自立性の向上、発塵の抑制、配線性の向上を可能とする多層化も容易に可能なフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボット産業の進展をはじめとして、フラットケーブルの需要は高まっている。フラットケーブルは、一定間隔で左右方向に横並びとなる複数のケーブルから構成されるケーブルであり、配線作業性の高いケーブルである。フラットケーブルは、その主な用途として、搬送用ロボットなどの摺動部に用いられるように、繰り返しの屈曲動作のもとで使用されることが多く、そのため柔軟な可撓性と共に、長期間にわたる繰り返しの屈曲動作に対する高い耐久性が要求されている。
【0003】
従来のフラットケーブルでは、主に重ねて配線することで、配線スペースの抑制が図られている。
【0004】
例えば、このような従来のフラットケーブルは、熱可塑性樹脂の布状体によって形成された絶縁体層の一方の面に導電材料からなるシールド層が設けられると共に、他方の面に粘着剤層が設けられてなり、前記粘着剤層によって配線部材の片面又は両面に貼着して該配線部材を被覆することによって特性インピーダンスを調整すると共に不要輻射をシールドするものがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、従来のフラットケーブルとしては、例えば、ほぼ平行に並んだ複数本の導体と、この複数本の導体を両側から挟んでラミネートした平板状の第1絶縁体と、この各第1絶縁体の外側表面に固着され、この表面に直交する方向に貫通し互いに隣接された多数の中空部を有する中空絶縁体と、から構成され、中空絶縁体により力学強度のバラツキを低減しようとするものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-133832号公報
【特許文献2】特開2009-9783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、フラットケーブルを重ねて配線するとフラットケーブル同士の摩耗により発塵を生じてしまうという課題がある。
【0008】
また、上記特許文献1のように、熱可塑性樹脂の布状体によって形成された絶縁体層やシールド層等の多層構造とする場合には、当該多層構造によって肉厚化されることで、却って屈曲動作の可動域を狭めてしまうという課題がある。
【0009】
また、上記特許文献2のように、ケーブル電線の進行方向に対して垂直に配設される中空絶縁体を用いる場合には、当該中空絶縁体の厚みによりフラットケーブル全体に渡って肉厚化してしまい、却って屈曲動作の可動域を狭めてしまうという課題がある。
【0010】
つまり、従来のフラットケーブルでは、耐屈曲性とフレキシブル性の両立が最適になされているとはいえない。また、フレキシブル性が低いことにより、スムーズな可動ができず、また配線性も低下しやすいという課題もある。
【0011】
本発明は、前記課題を解消するためになされたものであり、スムーズな屈曲動作を可能として、自立性の向上、発塵の抑制、配線性の向上を可能とするフラットケーブルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願に開示するフラットケーブルは、複数のケーブル電線を平面状に連設してなるケーブル部を備えるフラットケーブルにおいて、前記連設された複数のケーブル電線に沿って連結して支持する連結支持部を備えるものである。
【0013】
このように、本願に開示するフラットケーブルは、複数のケーブル電線を平面状に連設してなるケーブル部を備えるフラットケーブルにおいて、前記連設された複数のケーブル電線に沿って連結して支持する連結支持部を備えることから、当該連結支持部が、前記ケーブル電線の屈曲動作に応じて、前記ケーブル電線の屈曲箇所で潰れた形状に変形して前記ケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共に前記ケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0014】
本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記連結支持部の曲げ柔軟度が、前記ケーブル部の曲げ柔軟度よりも大きく形成されるものである。このように、本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記連結支持部の曲げ柔軟度が、前記ケーブル部の曲げ柔軟度よりも大きく形成されることから、前記中空チューブの屈曲性が前記ケーブル部よりも高められ、前記ケーブル部の屈曲動作時に前記中空チューブが連動してより広い可動域で滑らかに屈曲することとなり、屈曲時の柔軟な可動性がさらに向上されることとなり、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0015】
本願に開示するフラットケーブルは、前記連結支持部が、複数の中空チューブを連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各中空チューブが接続されてなるものである。このように、本願に開示するフラットケーブルは、前記連結支持部が、複数の中空チューブを連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各中空チューブが接続されてなることから、柔軟性を有する簡素な構造の中空チューブが、フラットケーブルを、前記ケーブル電線の屈曲動作に応じて、前記ケーブル電線の屈曲箇所で中空チューブがへしゃげるように潰れた形状に変形して前記ケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共に前記ケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0016】
本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記ケーブル電線間の前記連接部分が固着されていない前記ケーブル電線間を固着する各中空チューブの全部又は一部を少なくとも固着してなるものである。このように、前記ケーブル電線間の前記連接部分が固着されていない前記ケーブル電線間を固着する各中空チューブの全部又は一部を少なくとも固着してなることから、前記連接部分に固着されていない前記ケーブル電線間が中空チューブを介して連続的・一体的に接続されることとなり、前記ケーブル電線間の固着箇所を抑制して低コストで製造することができ、当該固着の有無により、前記ケーブル電線を、屈曲動作における内側と外側の2組に分断して、これら2組のケーブル電線を前記中空チューブを介して連結することで、前記中空チューブによりケーブル電線の屈曲時の内外間の大きさが吸収されて、前記ケーブル電線の内外間が屈曲時に変形しやすくなり、前記中空チューブによりケーブル電線の内外屈曲の変形誤差を吸収できることとなり、より円滑な屈曲動作を支援することが可能となり、設計性及び汎用性を高めることができる。
【0017】
また、本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記中空チューブ内に気体若しくは液体を充填し、前記中空チューブの曲げ柔軟度を調整するものである。このように、前記中空チューブ内に気体若しくは液体を充填し、前記中空チューブの曲げ柔軟度を調整することから、チューブ内の内圧が当該気体若しくは液体により簡易に調整されて、経時的な圧力変動に連動してケーブル電線の屈曲動作又は伸長動作が引き起こされることとなり、フラットケーブルの用途に応じた曲げ動作を、動的に調整することが容易に可能となる。また、例えば、左右方向に複数配列された前記中空チューブ内の圧力を異ならせる構成も可能となり、内圧の少ない前記中空チューブ側が優先して屈曲動作できることとなり、フラットケーブルの用途に応じた曲げ動作を、自在に調整することができる。
【0018】
また、本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記連結支持部が、シート状の屈曲性生地からなるものである。このように、前記連結支持部が、シート状の屈曲性生地からなることから、フラットケーブルの平面上に沿って肉厚化することなく、前記ケーブル電線の屈曲動作に応じて、前記ケーブル電線の屈曲箇所で潰れた形状に変形して前記ケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共に前記ケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0019】
また、本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記屈曲性生地がダブルラッセル生地から構成されるものである。このように、前記屈曲性生地が経編生地のダブルラッセル生地から構成されることから、前記ケーブル電線の屈曲方向に沿って経編による長手方向に沿っての高い伸縮性が発揮されると共に横方向に横ずれしにくくなり、前記ケーブル部の平面上に沿って肉厚化することなく、前記ケーブル電線の屈曲動作に応じて、前記ケーブル電線の屈曲箇所でしっかりと伸縮して前記ケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共に前記ケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0020】
また、本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記ケーブル部が、前記屈曲性生地の上面及び下面に構成されるものである。このように、前記ケーブル部が、前記屈曲性生地の上面及び下面に構成されることから、前記ケーブル部の多層化が容易に行えると共に、前記ケーブル部の両平面に沿って肉厚化することなく、前記ケーブル電線の屈曲動作に応じて、前記ケーブル電線の屈曲箇所でしっかりと伸縮して前記ケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共に前記ケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0021】
本願に開示するフラットケーブルは、必要に応じて、前記連結支持部が、複数の他のケーブル電線を連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各他のケーブル電線が接続されてなるものである。
【0022】
このように、本願に開示するフラットケーブルは、前記連結支持部が、複数の他のケーブル電線を連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各他のケーブル電線が接続されてなることから、前記連結支持部の屈曲性を有するケーブル電線が、前記ケーブル部を肉厚化することなく、前記ケーブル部を構成するーブル電線の屈曲動作に応じて、前記ケーブル部の屈曲箇所で前記連結支持部のケーブル電線が伸びるように変形して前記ケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共に前記ケーブル電線を支持し、前記連結支持部のケーブル電線自体もフラットケーブルの1層を構成することとなり、フラットケーブルを多層化しやすくなると共に、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るフラットケーブルの固着箇所についての説明図を示す。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るフラットケーブルのケーブル・電線が2層の場合の構成図を示す。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るフラットケーブルの連結支持部が接着剤の場合の構成図を示す。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係るフラットケーブルの構成図を示す。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係るフラットケーブルの構成図(伸展状態)を示す。
【
図12】本発明の第4の実施形態に係るフラットケーブルの構成図(屈曲状態)を示す。
【
図13】本発明の第4の実施形態に係るフラットケーブルの製造例を説明する説明図を示す。
【
図14】本発明の第4の実施形態に係るフラットケーブルの構成図(伸展状態)を示す。
【
図15】本発明の第4の実施形態に係るフラットケーブルの構成図(屈曲状態)を示す。
【
図16】本発明の第5の実施形態に係るフラットケーブルの構成図(屈曲状態)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るフラットケーブル10は、
図1(a)に示すように、複数のケーブル電線を平面状に連設してなるケーブル部1を備えるフラットケーブル10であって、前記連設された複数のケーブル電線に沿って連結して支持する連結支持部2を備える構成である。
【0025】
この連結支持部2としては、複数のケーブル電線に沿って連結して支持するものであれば特に限定されず、例えば、中空体や編地等の各種の連結用部材から構成することができ、例えば、
図1(a)に示すように、樹脂からなる筒状の中空チューブ21を用いることができる。
【0026】
すなわち、
図1(a)に示すように、複数のケーブル電線11を連接して配列し、この連接部分の全部又は一部を固着してなる平板状のケーブル部1と、このケーブル電線11に沿って配設され、複数の中空チューブ21を連接して配列してこの連接部分を固着してなり、この各ケーブル電線11に各中空チューブ21が接続される連結支持部2と、を備える構成である。
【0027】
このケーブル部1を構成する複数のケーブル電線11は、撚線でも単線でも可能であり、ケーブル電線11を構成する導体としては、例えば、銅線を用いることが可能である。
【0028】
図1(b)に示すように、固着される隣接するケーブル電線11同士は、互いに接触して連接する部分(連接部分)の全部又は一部を電線間固着部11aにより固着される。
【0029】
固着とは、接点で固定されれば特に限定されず、例えば、接着剤を用いた接着でもよいし、加熱処理を用いた溶着でもよいし、加熱処理を用いた融着でもよい。
【0030】
固着される隣接する中空チューブ21同士は、互いに接触して連接する部分(連接部分)の全部又は一部をチューブ間固着部21aにより固着される。
【0031】
隣接するケーブル電線11及び中空チューブ21間では、互いに接触して連接する部分(連接部分)の全部又は一部を電線・チューブ間固着部21bにより固着される。
【0032】
ここでいう「全部又は一部」について、「全部」とは、上記連接部分の全体に渡って固着されること(すなわち各ケーブル電線11及び各中空チューブ21の全面にわたる固着)を意味し、「一部」とは、上記連接部分の一部を固着されること(例えば散点状に点在した固着)を意味する。
【0033】
各ケーブル電線11及び各中空チューブ21の全面にわたって固着する場合には、固着性が高められることとなり、高い配向性が得られる。また、各ケーブル電線11及び各中空チューブ21の一部、例えば、固着箇所を点在させる場合には、ケーブルの可動性が高められることとなり、柔軟な屈曲性が得られ、また実用面での固着性を維持しつつ固着コストを抑制することも可能となる。
【0034】
各ケーブル電線11及び各中空チューブ21の全面にわたって固着する場合には、固着性が高められることとなり、高い配向性が得られる。また、各ケーブル電線11及び各中空チューブ21の一部、例えば、固着箇所を点在させる場合には、ケーブルの可動性が高められることとなり、柔軟な屈曲性が得られ、また実用面での固着性を維持しつつ固着コストを抑制することも可能となる。
【0035】
このように、本実施形態に係るフラットケーブル10は、柔軟性を有する簡素な構造の中空チューブ21が、フラットケーブル10を肉厚化することなく、このケーブル電線11の屈曲動作に応じて、このケーブル電線11の屈曲箇所では、
図1(b)及び(c)に示すように、中空チューブ21の幅Lから幅lに(L>l)、へしゃげるように潰れた形状に変形してこのケーブル電線11の形状に柔軟に追従すると共にこのケーブル電線11を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線11の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0036】
このケーブル部1及び連結支持部2に用いられる固着材料は、特に限定されないが、例えば、熱硬化型樹脂及び/又は光硬化型樹脂を用いることができる。
【0037】
熱硬化型固着剤の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂が挙げられる。
【0038】
光硬化型固着剤の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素含有エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素含有アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂が挙げられる。
【0039】
例えば、上記アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸-エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、又はアクリル酸ドデシルを用いることが可能である。
【0040】
この連結支持部2を構成する中空チューブ21の素材は、絶縁体であれば特に限定されないが、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)およびアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)等の各種の樹脂を用いることができ、より具体的には、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン),PP(ポリプロピレン),PA6(ポリアミド6),PA11(ポリアミド11),PA12(ポリアミド12),PET(ポリエチレンテレフタレート),PBN(ポリブチレンナフタレート),PVDF(ポリフッ化ビニリデン),ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),PPS(ポリフェニレンスルフィド),PEEK(ポリエーテルエーテルケトン),EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体),ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン),EVA(エチレンビニルアルコール)又はPI(ポリイミド)を用いることができる。
【0041】
なお、このケーブル部1の固着箇所については、上記のように、
図2(a)に示すように、この電線間固着部11aにより複数のケーブル電線11の連接部分の一部又は全部を固着する構成をとることも可能であるが、この構成には限定されない。
【0042】
すなわち、この電線間固着部11aにより一部又は全部のケーブル電線11間の連接部分が固着されていない構成とすることも可能である。例えば、
図2(b)に示すように、この連結支持部2が、前記ケーブル電線間の前記連接部分が固着されていない前記ケーブル電線間を固着する各中空チューブの全部又は一部を少なくとも固着してなる構成とすることも可能である。
【0043】
この場合には、この連接部分に固着されていないケーブル電線11間が中空チューブ21を介してフレキシブルフラットケーブル10全体として連続的・一体的に接続されることとなり、このケーブル電線11間の固着箇所を抑制して低コストで製造することができ、また、このケーブル電線11間の固着の有無を用途に応じて自在に設計可能となり、例えば、この固着の有無により、このケーブル電線11を、屈曲動作における内側と外側の2組に分断して、これら2組のケーブル電線11をこの中空チューブ21を介して連結することで、この中空チューブ21によりケーブル電線11の屈曲時の内外間の大きさが吸収されて、このケーブル電線11の内外間が屈曲時に変形しやすくなり、この中空チューブ21によりケーブル電線11の内外屈曲の変形誤差を吸収できることとなり、より円滑な屈曲動作を支援することが可能となり、設計性及び汎用性を高めることができる。
【0044】
なお、上記では、フラットケーブル10を構成する複数のケーブル電線11が、左右方向に連接してなる1層のケーブル構造を記載したが、この形態に限定されるものではなく、多層のケーブル構造とすることも可能である。例えば、
図3に示すように、左右方向に連接する複数のケーブル電線11からなるケーブル構造が、互いに平行する2層のケーブル構造となっており、その層間に連接する中空チューブ21が電線・チューブ間固着部21bにより隣接するケーブル電線11と固着される構成とすることができ、このように、用途に応じて、多様な種類のフラットケーブル10に適用することが可能となる。
【0045】
なお、上記では、この連結支持部2として、中空チューブ21を用いたが、この構成に限定されず、複数のケーブル電線11に沿って連結して支持するものであれば特に限定されないという点から、ケーブル部1のケーブル電線11同士を接着する接着剤自体から構成することも可能である。
【0046】
この連結支持部2が接着剤21c自体から構成される場合の構成図を
図4(a)に示す。この接着剤21cの材質は、上記ケーブル部1及び連結支持部2に用いられる固着材料と同様に、特に限定されないが、例えば、上述の熱硬化型樹脂及び/又は光硬化型樹脂を用いることができる。
【0047】
この接着剤21cは、複数のケーブル電線11に沿って連結して支持する。
図4(b)に示すように、この接着剤21cがケーブル電線11の長手方向に対して横一列となる位置で離隔して散点状に配置されることが好適であり、これにより、ケーブル電線11の長手方向に沿った柔軟な屈曲動作が実現される。また、
図4(c)に示すように、この接着剤21cがケーブル電線11の長手方向に対して疎らとなるランダムな位置で離隔して散点状に配置されることも可能である。この他にも、このケーブル電線11の長手方向に沿って、この接着剤21cを吹付けやローラーを用いてこのケーブル電線11に塗布することも可能である。この場合には、この連結支持部2が接着剤21c自体から構成されることから、この連結支持部2として別途の部材を不要とできることとなり、簡素な構成とコスト抑制を図ることができる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るフラットケーブル10は、前記第1の実施形態と同様に、前記ケーブル部1と、前記連結支持部2とを備え、さらに、前記連結支持部2の曲げ柔軟度が、前記ケーブル部1の曲げ柔軟度よりも大きく形成される構成である。
【0049】
この連結支持部2としては、例えば、前記ケーブル部1と連結された各種の連結用部材を用いることができる。このような連結支持部2としては、例えば、その厚みをこのケーブル電線11よりも薄くすることにより構成することができる。例えば、この連結支持部2が連結用部材としての上述の中空チューブ21から構成される場合には、この中空チューブ21の管路厚みをこのケーブル電線11よりも薄くすることにより構成することができる。ここで、曲げ柔軟度の指標値としては、例えば、柔軟度試験機を用いて、JIS L-1096(2010)8.22.1 A法による測定値を用いることが可能である。
【0050】
このように、本実施形態に係るフラットケーブル10は、この中空チューブ21の屈曲性がこのケーブル部1よりも高められ、このケーブル部1の屈曲動作時にこの中空チューブ21が連動してより広い可動域で滑らかに屈曲することとなり、屈曲時の柔軟な可動性がさらに向上されることとなり、屈曲時のケーブル電線11の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0051】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るフラットケーブル10は、前記第1の実施形態と同様に、前記ケーブル部1と、前記連結支持部2とを備え、さらに、前記中空チューブ21内に気体若しくは液体を充填し、前記中空チューブ21の曲げ柔軟度を調整する構成であり、
図5に示すように、前記充填される気体若しくは液体を貯蔵するタンク3と、前記タンク3から前記中空チューブ21内に気体若しくは液体を充填すると共に前記中空チューブ21内を加圧・減圧するポンプ4と、前記ポンプ4と前記中空チューブ21との接続部分を収容して密閉空間を形成する第一密閉容器5と、前記中空チューブ21の他端に密閉空間を形成する第二密閉容器6と、を備える構成である。
【0052】
この中空チューブ21内に充填される気体としては、特に限定されないが、空気、又は、安定性の高い窒素ガス、ヘリウムガス若しくはアルゴンガス等の希ガスが挙げられ、取り扱いの容易さと低コストの点から、空気を用いることが好適である。
【0053】
例えば、
図6に示すように、この中空チューブ21内に充填された気体に対して、ポンプ4で加圧することで、この中空チューブ21内の気密な空間のガス体積が増大し、この中空チューブ21がまっすぐに伸びて直線形状に変形することとなり、この中空チューブ21の動作に追従してケーブル電線11の伸長動作を引き起こすことができる。
【0054】
また、
図7に示すように、この中空チューブ21内に充填された気体に対して、ポンプ4で負圧に引くことで、この中空チューブ21内の気密な空間のガス体積が減少し、この中空チューブ21の中空部分が押し潰されてへしゃげた形状に変形することとなり、この中空チューブ21の動作に追従してケーブル電線11の屈曲動作を引き起こすことができる。
【0055】
このように、ポンプ4による気体の加圧・減圧の操作のみによって、ケーブル電線11を自在に伸長(直線化)させたり屈曲させたりすることができ、この中空チューブ21の曲げ柔軟度が変化し、容易に動作を制御することができる。従来では、ケーブル電線11の動作を別途の装置で制御されていたが、そのような別途の装置が不要なこととなり、ケーブル電線11の操作性を簡便に高めると共に、装置コストの削減も可能となる。
【0056】
また、この中空チューブ21内に充填される液体としては、流動性のある液体であれば特に限定されないが、例えば、水が挙げられる。
【0057】
この中空チューブ21内に液体が充填される場合も、上記気体の場合と同様に、上記
図6に示したように、この中空チューブ21内に液体をポンプ4で送出することで、この中空チューブ21内の気密な空間の体積が増大し、この中空チューブ21がまっすぐに伸びる直線形状に変形して、この中空チューブ21の曲げ柔軟度が低下する(硬化する)こととなり、この中空チューブ21の動作に追従してケーブル電線11の伸長動作を引き起こすことができる。
【0058】
また、上記
図7に示したように、中空チューブ21内に充填された液体をポンプ4で吸引することで、この中空チューブ21内の気密な空間の容積が減少し、この中空チューブ21の中空部分が押し潰されてへしゃげた形状に変形して、この中空チューブ21の曲げ柔軟度が高まることとなり、この中空チューブ21の動作に追従してケーブル電線11の屈曲動作を引き起こすことができる。
【0059】
すなわち、このポンプ4による液体の送出・吸引の操作のみによって、この中空チューブ21の曲げ柔軟度が変化し、このケーブル電線11を自在に伸長(直線化)させたり屈曲させたりすることができ、容易に動作制御することができる。この点において、従来では、一般にケーブル電線11の動作を別途の装置で制御されていたが、そのような別途の装置が不要なこととなり、ケーブル電線11の操作性を簡便に高めると共に、装置コストの削減も可能となる。
【0060】
このように、この中空チューブ21内に気体若しくは液体を充填し、この中空チューブ21の曲げ柔軟度を調整することから、チューブ内の内圧がこの気体若しくは液体により簡易に調整されて、経時的な圧力変動に連動してケーブル電線11の屈曲動作が引き起こされることとなり、フラットケーブル10の用途に応じた曲げ動作を、動的に調整することが容易に可能となる。
【0061】
なお、上記では、左右方向に複数配列された各中空チューブ21内の圧力が均等となるように一括して制御したが、この他にも、例えば、
図8に示すように、このポンプ4、この第一密閉容器5、及びこの第二密閉容器6が、左右方向に並列した中空チューブ21ごとに配設される構成により、中空チューブ21ごとに圧力制御を実施することも可能である。
【0062】
すなわち、
図8に示すように、この中空チューブ21ごとに個別に接続されるタンクである個別タンク31と、この中空チューブ21ごとに個別に接続されるポンプである個別ポンプ41と、この第一密閉容器5内に、この中空チューブ21を中空チューブ21ごとに個別に密閉して収容する第一個別密閉容器51と、この第二密閉容器6内に、この中空チューブ21を個別に密閉して収容する第二個別密閉容器61と、を備える構成とすることができる。
【0063】
この中空チューブ21内に充填された気体に対して、各個別ポンプ41が各中空チューブ21内を均等に負圧に引くことで、この中空チューブ21内の気密な空間のガス体積が一律に減少し、
図8に示すように、各中空チューブ21が一律にその中空部分が押し潰されてへしゃげた形状に変形することとなり、各中空チューブ21の一律の動作に追従して各ケーブル電線11の一律な上下方向の屈曲動作を引き起こすことができる。
【0064】
次に、この中空チューブ21内に充填された気体に対して、各個別ポンプ41で各中空チューブ21を均等に加圧することで、各中空チューブ21内の気密な空間のガス体積が一律に増大し、
図9に示すように、各中空チューブ21が一律にまっすぐに伸びる直線形状に変形することとなり、各中空チューブ21の一律な動作に追従して各ケーブル電線11の一律な伸長動作を引き起こすことができる。
【0065】
各個別ポンプ41で各中空チューブ21ごとに異なる圧力で加圧することも可能であり、この場合には、各中空チューブ21の動作に追従して、このケーブル電線11ごとに異なる動作でまっすぐに伸びる直線形状に変形することとなり、このケーブル電線11の複雑な動作を制御することができる。
【0066】
さらに、
図10に示すように、この中空チューブ21内に充填された気体に対して、各中空チューブ21ごとに配設された個別ポンプ41により、各中空チューブ21内を各中空チューブ21ごとに異なる圧力の負圧に引くことで、この中空チューブ21内の気密な空間のガス体積が各中空チューブ21ごとに減少し、各中空チューブ21ごとにその中空部分が押し潰されて、各中空チューブ21ごとに異なるへしゃげた形状に変形することとなり、各中空チューブ21ごとの動作に追従して各ケーブル電線11が左右方向の屈曲動作を引き起こすことができる。
【0067】
このように、各中空チューブ21ごとに配設された個別ポンプ41により、個々の中空チューブ21ごとに圧力制御することにより、中空チューブ21内の圧力を中空チューブ21ごとに各々異ならせることができ、上下方向の屈曲・伸長動作のみならず、左右方向の屈曲・伸長動作もできることとなり、より複雑な三次元的なケーブル電線11の動作を、各ポンプ41からの媒体制御という簡易な方法で且つ自在に制御することができる。
【0068】
なお、上記では、各中空チューブ21ごとに個別タンク31及び個別ポンプ41を配設したが、この形態に限定されない。例えば、両端の各中空チューブ21にのみ個別タンク31及び個別ポンプ41を配設する構成も可能であり、この場合には、動作制御に必要最低限となる両端の各中空チューブ21のみを個別ポンプ41により制御することから、装置コストをさらに抑えたうえで、このケーブル電線11の柔軟な動作を制御することが可能となる。
【0069】
なお、上記各実施形態では、複数のケーブル電線11として4つのケーブル電線11を、複数の中空チューブ21として3つ又は4つの中空チューブ21を備える構成としたが、この構成に限定されず、5つ以上のケーブル電線11や、5つ以上の中空チューブ21を、用途に応じて適宜選定することが可能である。
【0070】
また、上記各実施形態では、この中空チューブ21の形状として、断面が円形状の筒状体としたが、この形状に限定されず、例えば、楕円状、長方形状、又は正方形状の断面形状を有する中空チューブ21を用いることができ、用途に応じて適宜選定することが可能である。
【0071】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るフラットケーブル10は、前記第1の実施形態と同様に、前記ケーブル部1と、前記連結支持部2とを備え、さらに、前記連結支持部2が、シート状の屈曲性生地22からなる構成である。
【0072】
このような連結支持部2としては、特に限定されないが、この屈曲性生地22がダブルラッセル生地から構成される。ダブルラッセル生地は、縦方向に連続したループを作っていく経編構造を有するラッセル編みを多重にして構成され、適度な厚みと共に極めて軽量であるという特徴を有する。これにより、縦方向には伸縮性を有する一方で、横方向には伸縮性を有さないという特徴を有する。
【0073】
このダブルラッセル生地の素材は、特に限定されないが、ポリエステル素材を用いることが好適であり、軽量さと頑丈さを両立できる。経編生地のダブルラッセル生地から構成されることから、
図11に示すように、短手方向Xでは横編生地により伸縮しないものの、長手方向Yでは経編生地に沿って伸縮し、
図12に示すように、長手方向Yに沿ってのみ、柔軟自在な屈曲状態が形成される。すなわち、経編による長手方向Yに沿っての高い伸縮性が発揮されると共に横方向(短手方向X)に横ずれしにくくなる。
【0074】
また、このケーブル電線11に屈曲性生地22を固着する方法は、特に限定されないが、
図13(a)に示すように、この屈曲性生地22を屈曲した状態にして固着(例えば接着)することが好適である。
図13(a)では、複数のケーブル電線11が180度近く屈曲する状態を例示している。
【0075】
このようにしてダブルラッセル生地から構成される屈曲性生地22が固着されたフラットケーブルは、
図13(a)及び(b)に示すように、複数のケーブル電線11が屈曲方向Cに沿って屈曲した状態において、屈曲性生地22は、屈曲方向Dに屈曲する際に、複数のケーブル電線11の長手方向に沿って表生地と裏生地間に縫製される経編22aがこの表生地と裏生地に生じる長手方向のずれを編みが伸びることで吸収することとなり、この屈曲性生地22が屈曲方向Dに沿って的確に追従し、横ずれしないで屈曲動作することが可能となる。
【0076】
この屈曲性生地22を屈曲した状態とは、特に限定されないが、好適には、
図13(c)に示すように、複数のケーブル電線11の最大屈曲角度2α(例えば約90度の場合)の半分の角度α(約45度)で屈曲させて固着することである。同様に、
図13(d)に示すように、複数のケーブル電線11の最大屈曲角度2β(例えば約120度の場合)の半分の角度β(約60度)で屈曲させて固着することである。これにより、フラットケーブルの最大屈折角度の中間位置で、このケーブル電線11と屈曲性生地22が固定されることから、フラットケーブルの屈折動作による最大屈折角度と最小屈折角度との固定位置からの変形度合いが最小に抑えられることとなり、より円滑で効率的なフラットケーブルの屈折動作が実現され、より耐久性を高めることができる。
【0077】
このように、この連結支持部2が、シート状の屈曲性生地22からなることから、フラットケーブル10の平面上に沿って肉厚化することなく、このケーブル電線の屈曲動作に応じて、このケーブル電線の屈曲箇所で潰れた形状に変形してこのケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共にこのケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0078】
また、この屈曲性生地22が経編生地のダブルラッセル生地から構成されることから、このケーブル電線の屈曲方向に沿って経編による高い伸縮性が発揮されて、このケーブル部1の平面上に沿って肉厚化することなく、このケーブル電線の屈曲動作に応じて、このケーブル電線の屈曲箇所でしっかりと伸縮してこのケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共にこのケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0079】
また、
図14に示すように、このケーブル部1が、この屈曲性生地22の上面及び下面に構成されることもできる。この場合も上記と同様に、短手方向Xでは横編生地により伸縮しないものの、長手方向Yでは経編生地に沿って伸縮することから、
図15に示すように、長手方向Yに沿ってのみ柔軟自在な屈曲状態が形成される。これにより、この屈曲性生地22が、このケーブル部1に追従して自在に屈曲してケーブル部1の柔軟な動作が実現される。
【0080】
このように、このケーブル部1が、この屈曲性生地22の上面及び下面に構成されることから、このケーブル部1の多層化が容易に行えると共に、このケーブル部1の両平面に沿って肉厚化することなく、このケーブル電線の屈曲動作に応じて、このケーブル電線の屈曲箇所でしっかりと伸縮してこのケーブル電線の形状に柔軟に追従すると共にこのケーブル電線を支持することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【0081】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るフラットケーブル10は、前記第1の実施形態と同様に、前記ケーブル部1と、前記連結支持部2とを備え、さらに、
図16に示すように、前記連結支持部が、複数の他のケーブル電線23を連接して配列して当該連接部分を固着してなり、前記各ケーブル電線に各他のケーブル電線23が接続されてなる構成である。
【0082】
この他のケーブル電線23は、ケーブル電線11と同等又はそれ以上の伸縮性を有するものであり、特に限定されないが、伸び率を30%未満とすることが好適であり、例えば、伸び率を25%程度とすることができ、適度な柔軟性によりロボットアーム等の用途に適することとなる。また、この他のケーブル電線23は、特に限定されないが、合計導体断面積が0.37mm2より大きいことが好適であり、例えば、合計導体断面積を0.40mm2とすることができ、この適切な合計導体断面積によって、この他のケーブル電線23による伸縮性が実現される。
【0083】
固着される隣接する他のケーブル電線23同士は、
図16(b)および(c)に示されるように、互いに接触して連接する部分(連接部分)の全部又は一部を他のケーブル電線間固着部23aにより固着される。
【0084】
隣接するケーブル電線11及び他のケーブル電線23間では、互いに接触して連接する部分(連接部分)の全部又は一部を電線・他のケーブル電線間固着部23bにより固着される。
【0085】
本実施形態に係るフラットケーブル10は、この他のケーブル電線23により、2段に重ねて固着した状態でも柔軟に曲げることが可能となり、可動部用途での使用に好適となる。また、フラットケーブル間が固着されているため摩耗による粉塵発生が抑制される。また、剛性が高くなり自立性も向上される。
【0086】
このように、本実施形態に係るフラットケーブル10は、柔軟性を有する他のケーブル電線23が、フラットケーブル10を肉厚化することなく、このケーブル電線11の屈曲動作に応じて、このケーブル電線11の屈曲箇所では、他のケーブル電線23の長さLから長さlに(L<l)、伸びるように変形してこのケーブル電線11の形状に柔軟に追従すると共にこのケーブル電線11を支持し、他のケーブル電線23自体もフラットケーブルの1層を構成することとなり、柔軟な可動性が向上し、屈曲時のケーブル電線11の摩擦による発塵が抑制され、低コストで配線性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ケーブル部
11 ケーブル電線
11a 電線間固着部
2 連結支持部
21 中空チューブ
21a チューブ間固着部
21b 電線・チューブ間固着部
21c 接着剤
22 屈曲性生地
22a 経編
23 他のケーブル電線
23a 他のケーブル電線間固着部
23b 電線・他のケーブル電線間固着部
3 タンク
31 個別タンク
4 ポンプ
41 個別ポンプ
5 第一密閉容器
51 第一個別密閉容器
6 第二密閉容器
61 第二個別密閉容器
10 フラットケーブル