(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165296
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20231108BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231108BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20231108BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231108BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231108BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20231108BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231108BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20231108BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231108BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20231108BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20231108BHJP
【FI】
B62D25/20 N
B60K1/04 Z
B60K11/04 G
H01M50/249
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M50/224
H01M50/242
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076164
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝之
(72)【発明者】
【氏名】廣田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】向川 優貴
【テーマコード(参考)】
3D038
3D203
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC04
3D038AC05
3D038AC13
3D038AC22
3D203AA02
3D203AA31
3D203BB03
3D203BB12
3D203BB22
3D203CA25
3D235AA01
3D235BB21
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235HH16
3D235HH42
5H031KK08
5H040AA03
5H040AA14
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040LL01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】製造面と性能面との両面でプロテクトプレートの性能を向上し得る技術を提供する。
【解決手段】車両は、フロアパネルを有する車体と、フロアパネルの車両高さ方向下方に位置するバッテリパックと、バッテリパックの下面に取り付けられたプロテクトプレートと、を備える。プロテクトプレートは、一対の上壁及び下壁の間に複数の内部空間を有する中空構造の部材である。プロテクトプレートの上壁は、複数の内部空間に位置する複数の締結具によって、バッテリパックの下面に固定されている。プロテクトプレートの下壁には、複数の締結具に対向する各位置に、開口部が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルを有する車体と、
前記フロアパネルの車両高さ方向下方に位置するバッテリパックと、
前記バッテリパックの下面に取り付けられたプロテクトプレートと、
を備え、
前記プロテクトプレートは、一対の上壁及び下壁の間に複数の内部空間を有する中空構造の部材であり、
前記プロテクトプレートの前記上壁は、前記複数の内部空間に位置する複数の締結具によって、前記バッテリパックの前記下面に固定されており、
前記プロテクトプレートの前記下壁には、前記複数の締結具に対向する各位置に、開口部が設けられている、
車両。
【請求項2】
前記バッテリパックは、その内部に少なくとも一つの骨格部材を有し、
前記複数の締結具は、前記少なくとも一つの骨格部材に締結されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記プロテクトプレートの前記複数の内部空間の各々は、前記車両幅方向に沿って一定の断面形状で延びている、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記プロテクトプレートは、前記上壁と前記下壁とを連結する複数の縦壁を備え、
前記複数の縦壁の各々は、前記上壁及び前記下壁と一体で成形されている、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項5】
前記複数の締結具の各々の下端部は、前記プロテクトプレートの前記下壁の下面よりも、前記車両高さ方向上側に位置している、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項6】
前記車両高さ方向において、前記プロテクトプレートと前記バッテリパックの前記下面との間には、隙間が設けられている、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項7】
前記バッテリパックは、前記バッテリパックの前記下面を構成するロアプレートを有し、
前記ロアプレートには、冷却液を循環させるための冷却経路が設けられている、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項8】
前記プロテクトプレートは、金属で構成されている、請求項1又は2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、車両が記載されている。この車両は、フロアパネルを有する車体と、フロアパネルの車両高さ方向下方に位置するバッテリパックと、バッテリパックの下面に取り付けられたプロテクトプレートと、を備える。プロテクトプレートは、一対の上壁及び下壁の間に、波板状の中間壁を配置した中空構造を有する。プロテクトプレートの上壁及び中間壁は、バッテリパックの両側に位置する複数の締結具によって、バッテリパックに固定されている。そして、プロテクトプレートの下壁は、バッテリパックに固定されて上壁及び中間壁を覆うようにして、フロアパネルに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号2014/061109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、バッテリパックを保護するプロテクトプレートが、複数の部材で構成されている。そのため、車両を製造するときに、複数の部材をそれぞれ組み付ける必要があり、工数が多くなるという問題がある。これを避けるためには、プロテクトプレートの一部又は全部を、一体の部品で構成することが考えられる。しかしながら、一体で構成されたプロテクトプレートを、複数の締結具によってバッテリパックの下面に取り付けた場合、それらの締結具がプロテクトプレートから下方に突出することが想定される。このような締結具の突出は、路面との意図しない接触をもたらしたり、車両の空力特性に影響を与えたりするおそれがある。
【0005】
以上を鑑み、本明細書は、製造面と性能面との両面でプロテクトプレートの性能を向上し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、車両に具現化される。その第1の態様において、車両は、フロアパネルを有する車体と、前記フロアパネルの車両高さ方向下方に位置するバッテリパックと、前記バッテリパックの下面に取り付けられたプロテクトプレートと、を備える。前記プロテクトプレートは、一対の上壁及び下壁の間に複数の内部空間を有する中空構造の部材である。前記プロテクトプレートの前記上壁は、前記複数の内部空間に位置する複数の締結具によって、前記バッテリパックの前記下面に固定されている。前記プロテクトプレートの前記下壁には、前記複数の締結具に対向する各位置に、開口部が設けられている。
【0007】
上記した車両では、中空構造を有するプロテクトプレートの上壁が、その内部空間に位置する複数の締結具によって、バッテリパックの下面に固定されている。このような構成によると、複数の締結具の各々が、プロテクトプレートの内部空間内へ少なくとも部分的に配置される。これにより、プロテクトプレートがバッテリパックの下面に取り付けられたときに、プロテクトプレートを固定する複数の締結具が、プロテクトプレートから下方に突出することを回避又は抑制することができる。その結果、それらの締結具による路面との意図しない接触や、車両の空力特性へ与える影響を回避又は抑制することができる。また、本技術のプロテクトプレートの下壁には、複数の締結具に対向する各位置に、開口部が設けられている。そのため、プロテクトプレートの内部空間内に位置する各締結具を、当該開口部を通じて容易に締め付けることができる。これにより、中空構造の部材であるプロテクトプレートを、一回の取り付け作業によって、バッテリパックの下面に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】バッテリパック20の内部構造を説明するための図。なお、アッパーカバー46及び複数の二次電池セル42の図示は省略している。
【
図5】プロテクトプレート62の構造を説明するための図。
【
図6】プロテクトプレート62に車両高さ方向下方から荷重が負荷された場合における、プロテクトプレート62の挙動の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第2の態様では、前記した第1の態様において、バッテリパックは、その内部に少なくとも一つの骨格部材を有していてもよい。この場合、複数の締結具は、少なくとも一つの骨格部材に締結されていてもよい。このような構成によると、バッテリパックに固定されるプロテクトプレートによって、バッテリパックの剛性を向上することができる。
【0010】
第3の態様では、前記した第1の又は第2の態様において、プロテクトプレートの複数の内部空間は、車両幅方向に沿って一定の断面形状で延びていてもよい。このような構成によると、隣接する二つの内部空間の間の距離や、各内部空間の断面形状等を変更することにより、プロテクトプレートの軽量化と、車両幅方向から入力される衝撃に対する剛性との両立を図ることができる。但し、他の実施形態では、プロテクトプレートの複数の内部空間は、車両長さ方向に沿って一定の断面形状で延びていてもよい。
【0011】
第4の態様では、前記した第1から第3のいずれかの態様において、プロテクトプレートは、上壁と下壁とを連結する複数の縦壁を備えてもよい。この場合、複数の縦壁の各々は、上壁及び下壁と一体で成形されていてもよい。このような構成によると、プロテクトプレートの複数の縦壁が、上壁及び下壁と溶接等で接合されている場合と比較して、プロテクトプレートの剛性を向上することができる。また、プロテクトプレートの全部を、一体の部品で構成することができるため、プロテクトプレートの組み付け作業の工数を低減することができる。
【0012】
第5の態様では、前記した第1から第4のいずれかの態様において、締結具の下端部は、プロテクトプレートの下壁の下面よりも、車両高さ方向上側に位置していてもよい。このような構成によると、複数の締結具によって、プロテクトプレートがバッテリパックの下面に取り付けられたときに、複数の締結具がプロテクトプレートから下方に突出すること回避することができる。
【0013】
第6の態様では、前記した第1から第5のいずれかの態様において、車両高さ方向において、プロテクトプレートとバッテリパックの下面との間には、隙間が設けられていてもよい。このような構成によると、車両高さ方向下方からプロテクトプレートに負荷された荷重が、バッテリパックの下面に伝達されることを回避又は抑制することができる。なお、特に限定されないが、この隙間には、発泡性の繊維系の断熱材や、発泡性の断熱材等が設けられていてもよい。この場合でも、車両高さ方向下方からプロテクトプレートに負荷された荷重が、バッテリパックの下面に伝達されることを回避又は抑制することができる。
【0014】
第7の態様では、前記した第1から第6のいずれかの態様において、バッテリパックは、バッテリパックの下面を構成するロアプレートを有してもよい。この場合、ロアプレートには、冷却液を循環させるための冷却経路が設けられていてもよい。このような構成によると、バッテリパック内に冷却器を設ける必要がなく、バッテリパックを構成する部品数を低減することができるとともに、バッテリパックを小型化することができる。
【0015】
第8の態様では、前記した第1から第7のいずれかの態様において、プロテクトプレートは、金属で構成されていてもよい。このような構成によると、プロテクトプレートに負荷が加えられた際に、プロテクトプレートが破損することを回避することができる。
【0016】
本明細書において単に前方、後方、長さ方向といった記載は、車両における前方、後方、長さ方向をそれぞれ意味するものとする。同様に、単に左方、右方、車幅方向といった記載は、車両における左方、右方、車幅方向をそれぞれ意味し、単に上方、下方、高さ方向といった記載は、車両における上方、下方、高さ方向を意味する。なお、車両における車幅方向は、車両の左右方向でもあり、本明細書では左右方向と表現することがある。例えば、車両が水平面上に配置されたときに、車両の高さ方向は、鉛直方向と一致する。また、車両の車幅方向は、水平面に平行かつ車両の車軸に平行な方向となり、車両の長さ方向は、水平面に平行かつ車両の車軸に垂直な方向となる。
【実施例0017】
図面を参照して、実施例の車両10について説明する。本実施例の車両10は、車輪14f、14rを駆動するモータ16を有する電動車に属するものであり、典型的には路面を走行する電動車(いわゆる自動車)である。但し、本実施例で説明する技術の一部又は全部は、軌道を走行する電動車にも同様に採用することができる。また、車両10は、ユーザによって運転操作されるものに限られず、外部装置によって遠隔操作されるものや、自律走行するものであってもよい。
【0018】
ここで、図面における方向FRは、車両10の長さ方向(又は、前後方向)における前方を示し、方向RRは車両10の長さ方向における後方を示す。また、方向LHは車両10の車幅方向(又は、左右方向)における左方を示し、方向RHは車両10の車幅方向における右方を示す。また、方向UPは車両10の高さ方向(又は、上下方向)における上方を示し、方向DWは車両10の高さ方向における下方を示す。
【0019】
図1に示すように、車両10は、車体12と、複数の車輪14f、14rとを備える。車体12は、乗員を乗せる空間である車室12cを有する。複数の車輪14f、14rは、車体12に対して回転可能に取り付けられている。複数の車輪14f、14rには、車体12の前部に位置する一対の前輪14fと、車体12の後部に位置する一対の後輪14rとが含まれる。一対の前輪14fは互いに同軸に配置されており、一対の後輪14rも互いに同軸に配置されている。なお、車輪14f、14rの数は、四つに限定されない。特に限定されないが、車体12は、スチール材又はアルミニウム合金といった金属で構成されている。
【0020】
図1に示すように、車両10は、モータ16と、電力制御ユニット18と、バッテリパック20とをさらに備える。モータ16は、一対の後輪14rを駆動する走行用モータであって、一対の後輪14rに接続されている。バッテリパック20は、モータ16に電力を供給する電源装置であり、電力制御ユニット18を介してモータ16と電気的に接続されている。バッテリパック20は、複数の二次電池セル42を内蔵しており、外部の電力やモータ16の回生電力によって、繰り返し充電可能に構成されている。バッテリパック20は、フロアパネル22の下方に位置しており、フロアパネル22に沿って配置されている。電力制御ユニット18は、DC-DCコンバータ及び/又はインバータを内蔵しており、例えばユーザによる運転操作に応じて、バッテリパック20からモータ16へ供給される駆動電力や、モータ16からバッテリパック20へ供給される回生電力を制御する。
【0021】
モータ16は、一対の後輪14rに限られず、複数の車輪14f、14rの少なくとも一つを駆動するように構成されていればよい。車両10は、モータ16に代えて、又は加えて、エンジンといった他の原動機をさらに備えてもよい。また、車両10は、バッテリパック20に加えて、燃料電池ユニットや太陽電池パネルといった他の電源装置を備えてもよい。車両10は、ここで説明する電気自動車に限られず、ハイブリッド車両、燃料電池車両、ソーラーカー等であってもよい。
【0022】
図2に示すように、車体12は、フロアパネル22と、一対のロッカ24と、フロアクロスビーム26とを備える。フロアパネル22は、車室12cの底面を構成する板状の部材である。各ロッカ24は、中空構造を有する長手材であって、車体12における骨格の一部を構成する。一対のロッカ24は、フロアパネル22の両側縁22aに位置しており、フロアパネル22の車幅方向外側において、前後方向に延びている。一対のロッカ24は、車幅方向に関して互いに対称に設けられている。そのことから、
図2では、車両10の左側部分に設けられたロッカ24のみを図示し、右側部分に設けられたロッカ24については図示を省略する。
【0023】
特に限定されないが、本実施例におけるロッカ24は、幅方向の内側に位置するロッカインナパネル24aと、幅方向の外側に位置するロッカアウタパネル24bとを有する。ロッカインナパネル24a及びロッカアウタパネル24bは、それぞれの上縁及び下縁において互いに接合されており、ロッカ24の内部には、前後方向に延びる閉空間が形成されている。フロアパネル22は、一対のロッカ24の間を延びており、両側縁22aにおいてロッカインナパネル24aに接合されている。なお、ロッカ24は、ロッカインナパネル24a及びロッカアウタパネル24bだけに限られず、三つ以上のパネルによって構成されてもよい。
【0024】
フロアクロスビーム26は、中空構造を有する長手材であって、車体12における骨格の一部を構成する。フロアクロスビーム26は、フロアパネル22上に位置しており、一対のロッカ24の間を車幅方向に沿って延びている。図示省略するが、一対のロッカ24の間には、複数のフロアクロスビーム26が設けられている。
【0025】
図2に示すように、車両10は、一対のエネルギー吸収材28(以下、EA材28と称することがある)をさらに備える。一対のEA材28は、車幅方向に関して互いに対称に設けられている。
図2に示すように、一方のEA材28は、車両10の左側部分において、バッテリパック20の車幅方向外側に配置されている。他方のEA材28は、図示省略するが、車両10の右側部分において、バッテリパック20の車幅方向外側に配置されている。EA材28は、車両10に側面衝突が生じたときに、圧縮変形することによって衝突エネルギーを吸収する。EA材28は、例えばアルミニウムといった金属で構成されている。但し、EA材28を構成する材料は特に限定されない。
【0026】
図2に示すように、EA材28は、内端部分30と、中間部分32と、外端部分34とを備える。内端部分30は、車両幅方向において、最も内側に位置しており、バッテリパック20と対向する。外端部分34は、車両幅方向において、最も外側に位置している。中間部分32は、車両幅方向において、内端部分30と外端部分34との間に位置している。即ち、車両幅方向内側から外側に向かって、内端部分30、中間部分32、及び外端部分34が順に位置している。特に限定されないが、EA材28の内端部分30は、ボルト36によって、バッテリパック20に固定されている。また、EA材28の中間部分32は、ボルト38によって、ロッカ24に固定されている。
【0027】
図2に示すように、EA材28は、突出部40をさらに備える。突出部40は、内端部分30の内側の側壁及び下壁に接続している。突出部40は、バッテリパック20の下方に位置しており、バッテリパック20の下壁に沿って延びている。特に限定されないが、突出部40は、接着剤等を介して、バッテリパック20の下壁に固定されていている。なお、突出部40の全体が、バッテリパック20の下方に位置している必要はなく、突出部40の少なくとも一部が、バッテリパック20の下方に位置していればよい。
【0028】
次に、バッテリパック20及びそれに関連する構造について説明する。
図2に示すように、バッテリパック20は、複数の二次電池セル42と、バッテリパックケース44とを備える。複数の二次電池セル42の各々は、例えばリチウムイオン二次電池セルといった、繰り返し充放電可能な二次電池セルである。複数の二次電池セル42は、車両幅方向に沿って積層されている。バッテリパックケース44は、複数の二次電池セル42を収容する筐体部材であり、密閉構造を有している。
【0029】
図2、3に示すように、バッテリパックケース44は、アッパーカバー46と、ロアカバー48とをさらに備える。アッパーカバー46は、バッテリパックケース44を構成する板状部材である。アッパーカバー46は、バッテリパックケース44の上部において、複数の二次電池セル42を覆うように設けられている。ロアカバー48は、バッテリパックケース44の下部において、複数の二次電池セル42を支持するように設けられている。アッパーカバー46とロアカバー48とは、車両高さ方向において、互いに対向している。そのため、アッパーカバー46は、バッテリパックケース44の上面を構成しており、ロアカバー48は、バッテリパックケース44の下面を構成している。
【0030】
ロアカバー48は、上側ロアカバー50と、下側ロアカバー52を備える。上側ロアカバー50は、板状部材である。下側ロアカバー52は、波板状部材であり、上側ロアカバー50に対向する表面には、複数の溝52aが設けられている。上側ロアカバー50の上面には、複数の二次電池セル42の各々が配置されている。上側ロアカバー50の下面は、下側ロアカバー52の上面と対向している。これにより、上側ロアカバー50の下面と、下側ロアカバー52の上面との間には、下側ロアカバー52に設けられた複数の溝52aによって、冷却経路が形成される。この冷却経路に、冷却液を循環させることにより、複数の二次電池セル42を冷却することができる。このように、ロアカバー48は、バッテリパックケース44の下面を構成するとともに、複数の二次電池セル42を冷却するための冷却器として機能することができる。なお、本実施例におけるロアカバー48は、本技術におけるロアプレートの一例である。また、特に限定されないが、冷却液は水である。
【0031】
図2、3に示すように、バッテリパックケース44は、フロントウォール54と、リアウォール56と、一対のサイドウォール58とをさらに備える。フロントウォール54、リアウォール56、及び、一対のサイドウォール58の各々は、バッテリパックケース44を構成する板状部材である。フロントウォール54は、バッテリパックケース44の前部において車両幅方向に延びている。リアウォール56は、バッテリパックケース44の後部において車両幅方向に延びている。フロントウォール54とリアウォール56とは、車両長さ方向において、互いに対向している。一対のサイドウォール58は、バッテリパックケース44の各両端部において車両長さ方向に延びており、車両幅方向において互いに対向している。そのため、フロントウォール54は、バッテリパックケース44の前面を構成しており、リアウォール56は、バッテリパックケース44の背面を構成しており、一対のサイドウォール58は、バッテリパックケース44の一対の側面を構成している。これにより、フロントウォール54、リアウォール56、及び、一対のサイドウォール58は、アッパーカバー46及びロアカバー48とともに、バッテリパックケース44の密閉構造を形成している。また、一対のサイドウォール58の各々には、車両幅方向外側に突出するブラケット58aが設けられている。前述したEA材28の内端部分30は、ボルト36によって、バッテリパック20のブラケット58aに固定されている。
【0032】
図3に示すように、バッテリパック20は、複数の内壁60a-60cをさらに備える。複数の内壁60a-60cは、バッテリパックケース44を補強するための骨格部材であり、バッテリパックケース44の内部に設けられている。複数の内壁60a-60cの各々の下端部は、ロアカバー48と接続されている。複数の内壁60a-60cには、第1内壁60aと、第2内壁60bと、第3内壁60cとが含まれる。第1内壁60a及び第2内壁60bは、車両長さ方向に沿って延在しており、所定の間隔を隔てて配置されている。第3内壁60cは、車両幅方向に沿って延在しており、各両端は、一対のサイドウォール58と接続されている。第1内壁60aの前端部は、第3内壁60cと接続されており、第1内壁60aの後端部は、リアウォール56と接続されている。同様に、第2内壁60bの前端部は、第3内壁60cと接続されており、第2内壁60bの後端部はリアウォール56と接続されている。特に限定されないが、第1内壁60aの上端部及び第2内壁60bの上端部は、ゴム部材を介して、アッパーカバー46と接続されている。なお、本明細書における第1内壁60a、第2内壁60b及び第3内壁60cは、本技術におけるバッテリパック20の内部に位置する骨格部材の一例である。但し、バッテリパック20は、必ずしも第1内壁60a、第2内壁60b及び第3内壁60cの全てを有する必要はなく、そのうちの少なくとも一つを有していればよい。
【0033】
図2、4に示すように、車両10は、プロテクトプレート62をさらに備える。プロテクトプレート62は、中空構造の部材である。プロテクトプレート62は、バッテリパック20のロアカバー48に取り付けられている。プロテクトプレート62は、一対の上壁64及び下壁66と、それらを連結する複数の縦壁68を備える。一例ではあるが、複数の縦壁68の各々は、上壁64及び下壁66と一体で成形されている。一対の上壁64及び下壁66の間には、複数の内部空間ISが形成されている。この複数の内部空間ISの各々は、車両幅方向に沿って一定の断面形状で延びている。特に限定されないが、プロテクトプレート62は、アルミニウムといった金属で構成されている。
【0034】
図5に示すように、プロテクトプレート62は、車両幅方向に沿って配置されている複数の中空構造のプレート材が、溶接によって予め一体化された構造を有する。但し、他の実施形態として、プロテクトプレート62は、複数の中空構造のプレート材が、ボルト結合等によって予め一体化されることで構成されていてもよい。あるいは、更なる他の実施形態として、プロテクトプレート62は、中空構造を有する一つの部材によって構成されていてもよい。
【0035】
図4に示すように、プロテクトプレート62の上壁64は、複数の貫通孔64aを備える。複数の貫通孔64aの各々には、一つの締結具70が配置されている。各締結具70は、内部空間ISに位置している。詳しくは、各締結具70の下端部は、内部空間IS内に位置している。各締結具の上端部は、バッテリパック20のロアカバー48を通過して、バッテリパックケース44内の第3内壁60cまで到達している。そのため、プロテクトプレート62の上壁64は、第3内壁60cに締結されている複数の締結具70によって、バッテリパック20のロアカバー48に固定されている。但し、複数の締結具70は、必ずしも第3内壁60cに締結されている必要はない。例えば、複数の締結具70は、第3内壁60cに代えて、第1内壁60a又は第2内壁60bに締結されていてもよい。なお、特に限定されないが、締結具はボルトである。
【0036】
図4に示すように、プロテクトプレート62の下壁66は、複数の開口部66aを備える。複数の開口部66aは、複数の締結具70に対向する各位置に設けられている。各開口部66aの直径は、締結具70が開口部66aを通過可能な寸法である。例えば、締結具70がボルトであるときには、各開口部66aの直径は、ボルトの頭部の直径よりも大きい。これにより、プロテクトプレート62をロアカバー48に固定する際に、各締結具70を対応する開口部66aに通過させることができる。
【0037】
上記した車両10では、中空構造を有するプロテクトプレート62の上壁64が、その内部空間ISに位置する複数の締結具70によって、バッテリパック20の下面(即ち、ロアカバー48)に固定されている。このような構成によると、複数の締結具70の各々が、プロテクトプレート62の内部空間IS内へ少なくとも部分的に配置される。これにより、プロテクトプレート62がバッテリパック20の下面に取り付けられたときに、プロテクトプレート62を固定する複数の締結具70が、プロテクトプレート62から下方に突出することを回避又は抑制することができる。その結果、それらの締結具70による路面RSとの意図しない接触や、車両10の空力特性へ与える影響を回避又は抑制することができる(
図6参照)。また、本技術のプロテクトプレート62の下壁66には、複数の締結具70に対向する各位置に、開口部66aが設けられている。そのため、プロテクトプレート62の内部空間IS内に位置する各締結具70を、当該開口部66aを通じて容易に締め付けることができる。これにより、中空構造の部材であるプロテクトプレート62を、一回の取り付け作業によって、バッテリパック20の下面に固定することができる。
【0038】
一例ではあるが、
図4に示すように、複数の締結具70の各々の下端部は、プロテクトプレート62の下壁66の下面よりも、車両高さ方向上側に位置している。このような構成によると、複数の締結具70によって、プロテクトプレート62がバッテリパック20のロアカバー48に取り付けられたときに、複数の締結具70がプロテクトプレート62から下方に突出すること回避することができる。
【0039】
一例ではあるが、
図2、4に示すように、車両高さ方向において、プロテクトプレート62とバッテリパック20のロアカバー48との間には、隙間CLが設けられている。このような構成によると、車両高さ方向下方からプロテクトプレート62に負荷された荷重が、ロアカバー48に伝達されることを回避又は抑制することができる(
図6参照)。なお、特に限定されないが、
図4、6に示すように、プロテクトプレート62とロアカバー48との間には、当該隙間CLを確保するためのスペーサ72が設けられていてもよい。この場合、当該隙間CLには、繊維系の断熱材や、発泡性の断熱材等が設けられていてもよい。
【0040】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは組み合わせによって技術的有用性を発揮するものである。