(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165311
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】調整装置、遮蔽装置、調整方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/388 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
E06B9/388
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076200
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡芳
(57)【要約】
【課題】遮蔽材の下限位置をより容易に調整することができる技術を提供する。
【解決手段】ヘッドボックスと、ヘッドボックスから垂下される複数のコード部材のそれぞれの一端が連結されて吊り下げ支持される遮蔽材とを備え、ヘッドボックスに形成された導出口から導出された複数のコード部材の他端側一部が導出口からヘッドボックス内に引き込まれることが規制された遮蔽装置において、遮蔽材の下限位置を調整する調整装置7であって、複数のコード部材を導出口に案内するコード案内部722と、コード案内部722から複数のコード部材の垂下位置までの離間距離を変動可能に前記ヘッドボックスにおいて移動可能に設けられ、コード案内部722を支持する可動支持部720とを有する可動案内部と、可動支持部720を移動方向における所定位置で係止する係止部73とを備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される複数のコード部材のそれぞれの一端が連結されて吊り下げ支持される遮蔽材とを備え、前記ヘッドボックスに形成された導出口から導出された前記複数のコード部材の他端側一部が前記導出口からヘッドボックス内に引き込まれることが規制された遮蔽装置において、前記遮蔽材の下限位置を調整する調整装置であって、
前記複数のコード部材を前記導出口に案内するコード案内部と、該コード案内部から前記複数のコード部材の垂下位置までの離間距離を変動可能に前記ヘッドボックスにおいて移動可能に設けられ、前記コード案内部を支持する可動支持部とを有する可動案内部と、
前記可動支持部を該可動支持部の移動方向における所定位置で係止する係止部と
を備える調整装置。
【請求項2】
前記ヘッドボックスにおいて位置が固定されて設けられ、前記複数のコード部材を前記導出口に案内する固定案内部を更に備え、
前記コード案内部は、前記固定案内部を介して前記複数のコード部材を前記導出口に案内することを特徴とする請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記ヘッドボックスの外部から前記可動支持部の係止位置を調整可能に構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記係止部は、前記可動支持部の移動方向に延在し、外周に雄ネジが形成され、一端部がヘッドボックスの外部に露出した状態で軸周りに回転可能に支持される軸体であり、
前記可動案内部は、前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成された被係止部を備えることを特徴とする請求項3に記載の調整装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記固定案内部と前記可動案内部との間に設置可能な少なくとも1つ以上のスペーサーであることを特徴とする請求項2に記載の調整装置。
【請求項6】
前記係止部は、前記ヘッドボックスの壁面に形成された複数の係止孔であり、前記可動案内部は、前記係止孔に挿入可能な爪部を有することを特徴とする請求項2に記載の調整装置。
【請求項7】
前記ヘッドボックスと、前記遮蔽材と、前記複数のコード部材と、
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の調整装置とを備える遮蔽装置。
【請求項8】
ヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される複数のコード部材のそれぞれの一端が連結されて吊り下げ支持される遮蔽材とを備え、前記ヘッドボックスに形成された導出口から導出された前記複数のコード部材の他端側一部が前記導出口からヘッドボックス内に引き込まれることが規制された遮蔽装置において、前記遮蔽材の下限位置を調整する調整方法であって、
前記複数のコード部材を前記導出口に案内するコード案内部を該コード案内部から前記複数のコード部材の垂下位置までの離間距離を変動可能に前記ヘッドボックスにおいて移動可能に設け、前記コード案内部の移動方向における係止位置を調整する調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、遮蔽材を昇降する遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材を昇降する遮蔽装置においてボトムレールの下限位置を調整する技術として、下記特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1には、ヘッドボックスから吊り下げられる日射遮蔽材の下端にボトムレールを配置し、ヘッドボックスから垂下される昇降コードによって昇降可能にボトムレールを支持し、ボトムレールは規制手段によって下限位置を規制され、回転操作部の操作による回転部材の回転に伴って昇降コードをボトムレール内に引きこむ量を変化させることで、ボトムレールの下限位置を調整可能な調整装置をボトムレール内に配置した日射遮蔽装置が開示されている。
【0003】
このような日射遮蔽装置によれば、回転操作部がボトムレールの底面又は室外側の面に設けられるか、この面に設けられた貫通孔を通じて操作可能な位置に設けられることで、意匠性を悪化させることなくボトムレールの下限位置を容易に微調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の日射遮蔽装置によれば、調整装置が複数の昇降コードそれぞれに対して設けられるため、ボトムレールの下限位置の調整に際して、昇降コードの本数と同数の調整装置のそれぞれに設けられた回転操作部に対する操作が必要となり、調整作業が煩雑となる課題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、遮蔽材の下限位置をより容易に調整することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、ヘッドボックスと、該ヘッドボックスから垂下される複数のコード部材のそれぞれの一端が連結されて吊り下げ支持される遮蔽材とを備え、前記ヘッドボックスに形成された導出口から導出された前記複数のコード部材の他端側一部が前記導出口からヘッドボックス内に引き込まれることが規制された遮蔽装置において、前記遮蔽材の下限位置を調整する調整装置であって、前記複数のコード部材を前記導出口に案内するコード案内部と、該コード案内部から前記複数のコード部材の垂下位置までの離間距離を変動可能に前記ヘッドボックスにおいて移動可能に設けられ、前記コード案内部を支持する可動支持部とを有する可動案内部と、前記可動支持部を該可動支持部の移動方向における所定位置で係止する係止部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遮蔽材の下限位置をより容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る調整装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る調整装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る調整装置の構成を示す平面図である。
【
図6】第1実施形態に係る最内方状態における可動案内部及び係止部を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る中間状態における可動案内部及び係止部を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る最外方状態における可動案内部及び係止部を示す斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係る最内方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る中間状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図11】第1実施形態に係る最外方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図12】第1実施形態に係る最内方状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【
図13】第1実施形態に係る中間状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【
図14】第1実施形態に係る最外方状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【
図15】第1実施形態に係る下限位置が上昇される遮蔽装置を示す側面図である。
【
図16】第2実施形態に係る調整装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図17】第2実施形態に係る最内方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図18】第2実施形態に係る中間状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図19】第2実施形態に係る最外方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図20】第2実施形態に係る最内方状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【
図21】第2実施形態に係る中間状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【
図22】第2実施形態に係る最外方状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【
図23】第3実施形態に係る最内方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図24】第3実施形態に係る中間状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図25】第3実施形態に係る最外方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【
図26】第3実施形態に係る最内方状態における調整装置を示す正面断面図である。
【
図27】第3実施形態に係る中間状態における調整装置を示す正面断面図である。
【
図28】第3実施形態に係る最外方状態における調整装置を示す正面断面図である。
【
図29】第4実施形態に係る最内方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、遮蔽材として昇降可能なスクリーンを備えるプリーツスクリーンに本発明を適用した遮蔽装置を例にとり説明を行う。なお、本実施形態においては、遮蔽装置が設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、遮蔽装置の長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
(全体構成)
第1実施形態に係る遮蔽装置の全体構成について
図1を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る遮蔽装置1は、ヘッドボックス2と、ボトムレール3と、遮蔽材としてのスクリーン4と、紐状またはテープ状に形成された2本の昇降コード5及び操作コード61と、コード連結部62と、コード規制部63と、調整装置7とを備える。
【0013】
ヘッドボックス2は、2つのブラケット21を介して不図示の窓枠等に固定され、内部空間を画成する左右方向に長尺な箱状に形成される。ヘッドボックス2の前面における
図1中右側端部近傍には内部空間と外部とを連通させる導出口22が形成され、ヘッドボックス2の内部空間内には2つの垂下案内部23が設けられる。2本の昇降コード5のそれぞれの一端側は導出口22から導出されるとともに、2本の昇降コード5のそれぞれの他端側は2つの垂下案内部23のそれぞれによってヘッドボックス2から垂下するように案内される。2つの垂下案内部23がヘッドボックス2内において左右方向に互いに離間した位置に配され、これによって、2本の昇降コード5のそれぞれの他端側は、左右方向に互いに離間した位置で垂下される。なお、昇降コード5は遮蔽装置1の大きさに合わせて3本以上とすることもできる。
【0014】
スクリーン4は、一方向に折り畳み可能な略方形状の膜状部材であり、折り畳み方向が上下方向を向くように遮蔽装置1に設けられる。スクリーン4は、その上端が左右方向略全域に亘ってヘッドボックス2に連結されるとともに、その下端が左右方向略全域に亘ってボトムレール3に連結される。ボトムレール3は、左右方向に長尺な略方柱状に形成されて内部空間を画成する部材である。ボトムレール3の内部空間には、2本の昇降コード5のそれぞれの垂下位置に対応して左右方向に離間して配される2つのコードホルダ31が設けられる。2本の昇降コード5のそれぞれの他端側は、折り畳まれたスクリーン4を上下方向に貫通するようにスクリーン4を挿通する。2本の昇降コード5のそれぞれの他端部は、2つのコードホルダ31のそれぞれに対して連結され、これによって、ボトムレール3が2本の昇降コード5によりヘッドボックス2に対して吊り下げ支持される。
【0015】
操作コード61は、その一端部が2本の昇降コード5の一端部に連結されるコード連結部62に連結され、ユーザが下方に牽引可能に垂下する。コード連結部62は、2本の昇降コード5と操作コード61とに連結されることによって、2本の昇降コード5と操作コード61とを連結する。操作コード61が下方に牽引されることによって、2本の昇降コード5に支持されるボトムレール3が上昇する。
【0016】
コード規制部63は、全体として、ヘッドボックス2の導出口22に挿入不能な大きさに形成されるとともに、2本の昇降コード5に対して着脱可能に構成される。コード規制部63が導出口22に当接するまで2本の昇降コード5がヘッドボックス2内に引き込まれることによって、それ以上のボトムレール3の下降が規制される。なお、コード連結部62にコード規制部63の機能を持たせることで、コード規制部63を省略することもできる。また、ヘッドボックス2内にはストッパ装置24(
図9~
図11参照)が設けられる。ストッパ装置24は、操作コード61に対する操作に応じて、2本の昇降コード5の拘束/拘束の解除を行う。ストッパ装置24によれば、ボトムレール3は、下限位置よりも上方で吊り下げ支持されることができ、ユーザがスクリーン4の開閉状態を調整することができる。
【0017】
(調整装置の構成)
第1実施形態に係る調整装置の構成について説明する。
図2、
図3、
図4は、それぞれ、本実施形態に係る調整装置の構成を示す斜視図、分解斜視図、平面図である。
図5は、
図4のA-A線断面図である。
【0018】
図2~
図5に示すように、本実施形態に係る調整装置7は、ボックスキャップ70と、カバー71と、可動案内部72と、係止部73とを備える。ボックスキャップ70は、ヘッドボックス2に装着されることによって、開放されたヘッドボックス2の右側(
図1中右側)端部を閉塞するとともに、カバー71と協働することによって可動案内部72及び係止部73を可動に支持/収容する筐体として構成される。
【0019】
ボックスキャップ70は、前後方向及び上下方向に延在する略平板状に形成された基部700と、基部700の前端(
図4中下側)から左右方向内方(
図4中左側)に突出する前方壁部701と、基部700の後端(
図4中上側)から左右方向内方に突出する後方壁部702とを有する。前方壁部701及び後方壁部702は、いずれも前後方向内方側が開放される断面略C字状に形成される。前方壁部701には、ボックスキャップ70がヘッドボックス2に装着された際に前方壁部701が導出口22を閉塞しないように開口部701Oが形成される。カバー71は、略板状に形成された部材であり、基部700と対向するように前方壁部701及び後方壁部702の先端部に取り付けられる。また、カバー71には、調整装置7内に2本の昇降コード5を導入するための開口部が形成される。
【0020】
可動案内部72は、可動支持部720と、被係止部721と、コード案内部722とを有する。可動支持部720は、略箱状に形成された部材であり、左右方向内方側から2本の昇降コード5を導入可能、且つ導入された2本の昇降コード5を導出可能に開口される。可動支持部720は、ボックスキャップ70及びカバー71によって左右方向にのみ可動に支持される。具体的には、断面略C字状に形成された前方壁部701及び後方壁部702によって、可動支持部720は、上下方向の移動が規制されるとともに、基部700からカバー71までの間を左右方向に移動可能に支持される。
【0021】
被係止部721は、可動案内部72の背面から左右方向所定距離に亘って突出するように設けられ、左右方向に貫通する貫通孔が形成される。被係止部721における貫通孔の内周面には雌ネジが形成される。コード案内部722は、可動支持部720の内部において上下方向を向く軸周りに回転可能に軸支されたローレット面を有するローラーとして形成される。
【0022】
係止部73は、軸方向が左右方向を向く軸部材として形成され、左右方向外方側端部がボックスキャップ70の基部700に軸支され、左右方向内方側端部がカバー71に軸支される。係止部73には、雄ネジ部731と頭部732とが形成されるとともに、圧縮コイルばね734,735が設けられる。
【0023】
雄ネジ部731は、係止部73の軸方向における略中央部において、他の部分よりも太い径に形成された部分であり、雄ネジ部731の外周には被係止部721の貫通孔に形成された雌ネジに螺合する雄ネジが形成される。頭部732は、係止部73の左右方向外方側端部、即ち、係止部73における基部700側の端部に形成され、頭部732にはマイナスドライバなどの工具、又は治具により係止部73を回転するための溝が形成される。係止部73は、ヘッドボックス2の左右方向外方側において頭部732が外部に露出するようにボックスキャップ70により軸支される。
【0024】
係止部73は、可動案内部72の被係止部721に挿通された状態でボックスキャップ70及びカバー71により軸支される。可動案内部72は、被係止部721に形成された雌ネジと雄ネジ部731に形成された雄ネジとが当接することによって係止部73により左右方向に係止される。また、可動案内部72は、頭部732を介して係止部73が軸周りに回転されることによって係止位置が左右方向に調整される。
【0025】
なお、被係止部721及び雄ネジ部731は、雌ネジ及び雄ネジが形成される左右方向距離がボックスキャップ70及びカバー71に規定される可動案内部72の左右方向の可動距離範囲よりも僅かに短くなるように形成される。これによって、可動案内部72が可動距離範囲外まで移動される前に被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとの螺合が解除され、係止部73が可動距離範囲外へ移動すること、更には可動距離範囲外への移動による調整装置7の破損が防止される。
【0026】
圧縮コイルばね734,735は、それぞれ、雄ネジ部731の左右方向外方側、内方側に位置するように係止部73に挿通される。圧縮コイルばね734は、被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとの螺合が解除され、且つ被係止部721が雄ネジ部731に対して左右方向外方側にある場合に、ボックスキャップ70の基部700と被係止部721とを反力によって離間させるように、即ち、被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとが螺合する方向に付勢するように係止部73に設けられる。圧縮コイルばね735は、被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとの螺合が解除され、且つ被係止部721が雄ネジ部731に対して左右方向内方側にある場合、カバー71と被係止部721とを反力によって離間させるように、即ち、被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとが螺合する方向に付勢するように係止部73に設けられる。
【0027】
(調整装置の動作)
第1実施形態に係る調整装置の動作について説明する。
図6、
図7、
図8は、それぞれ、最内方状態、中間状態、最外方状態における可動案内部及び係止部を示す斜視図である。
図9、
図10、
図11は、それぞれ、最内方状態、中間状態、最外方状態における調整装置を示す平面断面図である。
図12、
図13、
図14は、それぞれ、最内方状態、中間状態、最外方状態における遮蔽装置を示す正面図である。
図15は、下限位置が上昇される遮蔽装置を示す側面図である。
【0028】
まず、2本の昇降コード5が導出口22から導出されるまでの経路について説明する。
図9~
図11に示すように、2本の昇降コード5は、カバー71の開口部を介して左右方向内方(
図9~
図11中左側)から可動案内部72内に導入され、可動案内部72のコード案内部722の後方(
図9~
図11中上側)に巻き掛けられることによりコード案内部722に前方に案内され、
図12~
図14に示すように前方の導出口22から導出される。本実施形態において、コード案内部722は回転するローレット面を有するローラーとして構成されるが、左右方向内方から導入された2本の昇降コード5を導出口22側に案内するように構成されたものであれば良い。なお、2本の昇降コード5は、連結されたボトムレール3の重みによる張力が生じた状態で案内されることとなるため、コード案内部722は、回転体、曲面などの導出口22への案内に際して2本の昇降コード5に掛かる負荷を低減可能に構成されることが望ましい。
【0029】
調整装置7においては、作業者により係止部73が回転操作されることによって、可動案内部72が係止される位置が左右方向に移動される。可動案内部72の係止位置は無段階に左右方向に移動されるが、可動案内部72が最も左右方向内方側に移動された状態を最内方状態、最も左右方向外方側に移動された状態を最外方状態、可動案内部72が最内方状態と最外方状態との中間位置にある状態を中間状態として、調整装置7の動作について以下に説明する。
【0030】
図6、
図9、
図12に示すように、調整装置7が最内方状態にあり、且つコード規制部63が導出口22に当接している場合、垂下案内部23から可動案内部72までの距離が最も短くなり、
図15(A)に示すように、ヘッドボックス2から垂下する昇降コード5の長さが最も長くなり、ボトムレール3の下限位置が最も低くなるように調整される。また、調整装置7が最内方状態にある場合、被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとの螺合が解除されるが、
図6に示すように、圧縮された圧縮コイルばね735の反力によって被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとが常時接触するように被係止部721が左右方向外方側に付勢されるため、可動案内部72を左右方向外方に移動させるように係止部73が回転されることによって、雌ネジと雄ネジとが再度螺合される。
【0031】
最内方状態にある調整装置7において、可動案内部72を左右方向外方に移動させるように係止部73が回転されると、調整装置7が中間状態となる。
図7、
図10、
図13に示すように、調整装置7が中間状態にあり、且つコード規制部63が導出口22に当接している場合、調整装置7が最内方状態にある場合と比較して、垂下案内部23から可動案内部72までの距離が長くなり、
図15(B)に示すように、ヘッドボックス2から垂下する昇降コード5の長さが短くなり、ボトムレール3の下限位置がより高くなるように調整される。
【0032】
中間状態にある調整装置7において、可動案内部72を左右方向外方に移動させるように係止部73が更に回転されると、調整装置7が最外方状態となる。
図8、
図11、
図14に示すように、調整装置7が最外方状態にあり、且つコード規制部63が導出口22に当接している場合、調整装置7が中間状態にある場合と比較して、垂下案内部23から可動案内部72までの距離が長くなり、
図15(C)に示すように、ヘッドボックス2から垂下する昇降コード5の長さがさらに短くなり、ボトムレール3の下限位置がより高くなるように調整される。また、調整装置7が最外方状態にある場合、被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとの螺合が解除されるが、
図8に示すように、圧縮された圧縮コイルばね734の反力によって被係止部721の雌ネジと雄ネジ部731の雄ネジとが常時接触するように被係止部721が左右方向内方側に付勢されるため、可動案内部72を左右方向内方に移動させるように係止部73が回転されることによって、雌ネジと雄ネジとが再度螺合される。
【0033】
このように、本実施形態に係る調整装置7によれば、係止部73に対する回転操作に応じて可動案内部72が係止される左右方向位置が調整されることによって、垂下案内部23から可動案内部72までの距離、延いては、2本の昇降コード5の垂下位置からコード規制部63までの距離が変動される。これによって、2本の昇降コード5のそれぞれに対する調整操作を行うことなく、ヘッドボックス2から垂下する昇降コード5の長さが調整可能となり、ボトムレール3の下限位置を調整することができる。
【0034】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る調整装置について説明する。
図16は、本実施形態に係る調整装置の構成を示す分解斜視図である。
図17、
図18、
図19は、本実施形態に係る最内方状態、中間状態、最外方状態における調整装置を示す平面断面図である。
図20、
図21、
図22は、本実施形態に係る最内方状態、中間状態、最外方状態における遮蔽装置を示す正面図である。
【0035】
図16に示すように、本実施形態に係る調整装置7Aは、ボックスキャップ70、可動案内部72、係止部73に代えて、ボックスキャップ70A、可動案内部72A、2つの係止部74を備える点が第1実施形態に係る調整装置7とは異なる。また、調整装置7Aは、固定案内部75を更に備え、カバー71を備えない点において調整装置7とは異なる。更に、
図17~
図22に示すように、調整装置7Aを備える遮蔽装置1Aは、ヘッドボックス2が導出口22に代えて、左右方向の幅がより小さく形成された導出口22Aを備える点において遮蔽装置1とは異なる。
【0036】
ボックスキャップ70Aは、前方壁部701及び後方壁部702を有さず、
図17~
図19に示すように、単にヘッドボックス2の左右方向右側を閉塞するように構成される点において、ボックスキャップ70とは異なる。
【0037】
可動案内部72Aは、被係止部721が設けられていない点、可動支持部720に代えて可動支持部720Aを有する点、コード案内部722がより後方側に位置するように設けられている点において、可動案内部72とは異なる。可動支持部720Aは、略箱状に形成された部材であり、左右方向内方側から2本の昇降コード5を導入及び導出可能に開口され、固定案内部75とボックスキャップ70Aとの間で左右方向に移動可能に構成される。なお、可動支持部720Aの前後方向の移動はヘッドボックス2によって規制されるものとする。
【0038】
2つの係止部74は、それぞれ、左右方向から見て上方側が開放された断面略C状に形成されたスペーサーとして構成される。2つの係止部74のそれぞれは、ヘッドボックス2内において、可動案内部72Aとボックスキャップ70Aとの間、または可動案内部72Aと固定案内部75との間に配される。なお、
図16においては2つの係止部74が可動案内部72Aと固定案内部75との間に配された場合の分解状態が示されている。
【0039】
固定案内部75は、可動案内部72Aと2つの係止部74の合計幅と略同等の距離だけ左右方向内方側にボックスキャップ70Aから離間するようにヘッドボックス2に固定的に設けられる。固定案内部75は、固定支持部750とコード案内部752とを有する。固定支持部750は、略箱状に形成された部材であり、
図17~
図19に示すように、左右方向内方側から2本の昇降コード5を導入可能、左右方向外方側から2本の昇降コード5を導入及び導出可能、且つ導出口22Aから2本の昇降コード5を導出可能に開口される。コード案内部752は、固定支持部750の内部において上下方向を向く軸周りに回転可能に軸支されたローレット面を有するローラーとして形成され、前後方向において、可動案内部72Aのコード案内部722よりも前方側に位置するように固定支持部750に支持される。
【0040】
本実施形態において、2本の昇降コード5は、
図17~
図19に示すように、固定案内部75を介して左右方向内方(
図17~
図19中左側)から可動案内部72A内に導入され、可動案内部72Aのコード案内部722に後方から巻き掛けられて左右方向内方側に転回され、固定案内部75のコード案内部752に後方から巻き掛けられて前方に案内され、導出口22Aから導出される。調整装置7Aにおいては、作業者により可動案内部72A、2つの係止部74の配置順序が変更されることによって、可動案内部72Aが2つの係止部74により係止される位置が段階的に左右方向に移動される。
【0041】
図17、
図20に示すように、2つの係止部74が可動案内部72Aとボックスキャップ70Aとの間に配置される場合、調整装置7Aは、垂下案内部23から可動案内部72Aまでの距離が最も短くなる最内方状態となる。
【0042】
図18、
図21に示すように、2つの係止部74が、それぞれ、固定案内部75と可動案内部72Aとの間と可動案内部72Aとボックスキャップ70Aとの間とに配置される場合、調整装置7Aは、最内方状態にある場合と比較して垂下案内部23から可動案内部72Aまでの距離が長くなる中間状態となる。
【0043】
図19、
図22に示すように、2つの係止部74が固定案内部75と可動案内部72Aとの間に配置される場合、調整装置7Aは、中間状態にある場合と比較して垂下案内部23から可動案内部72Aまでの距離が長くなる最外方状態となる。
【0044】
本実施形態に係る調整装置7Aによれば、左右方向位置が固定された固定案内部75を経由して2本の昇降コード5が導出口22Aから導出されるため、導出口22Aから導出される2本の昇降コード5の左右方向位置が変わることがない。これによって、遮蔽装置1Aのヘッドボックス2における導出口22Aの左右方向幅を導出口22よりも小さくして、ボトムレール3の下限位置を容易に調整することができる。
【0045】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る調整装置について説明する。
図23~
図25は、本実施形態に係る最内方状態、中間状態、最外方状態における調整装置を示す平面断面図である。
図26~
図28は、本実施形態に係る最内方状態、中間状態、最外方状態における調整装置を示す正面断面図である。
【0046】
図23~
図28に示すように、本実施形態に係る調整装置7Bは、可動案内部72A、固定案内部75Aに代えて可動案内部72B、固定案内部75Bを備える点、2つの係止部74を備えない点において第2実施形態に係る調整装置7Aとは異なる。また、調整装置7Bを備える遮蔽装置1Bは、ヘッドボックス2に代えてヘッドボックス2Bを備える点において第2実施形態に係る遮蔽装置1Aとは異なる。
【0047】
可動案内部72Bは、その底面部において左右方向内方に突出するとともに先端部に下方に突出する爪部(
図26~
図28参照)が形成される被係止部723を備える点において可動案内部72Aとは異なる。ヘッドボックス2Bは、その底面部において、被係止部723の爪部が挿入可能な係止孔25が左右方向に並んで複数(本実施形態では3つ)形成される点においてヘッドボックス2とは異なる。固定案内部75Bは、その底面部において、3つの係止孔25を閉塞しないように形成される切り欠きが形成される点において、固定案内部75Aとは異なる。固定案内部75Bの切り欠きは、その左右方向長さが被係止部723の左右方向長さ以上となるように形成される。
【0048】
調整装置7Bにおいては、3つの係止孔25のうちのいずれかの係止孔25に可動案内部72Bの被係止部723の爪部が挿入されることによって、可動案内部72Bが係止される位置が段階的に左右方向に移動される。
【0049】
図23、
図26に示すように、被係止部723の爪部が図中左右方向左側の係止孔25に挿入されて左右方向に係止される場合、調整装置7Bは、垂下案内部23から可動案内部72Bまでの距離が最も短くなる最内方状態となる。
【0050】
図24、
図27に示すように、被係止部723の爪部が図中左右方向中央の係止孔25に挿入されて左右方向に係止される場合、調整装置7Bは、最内方状態にある場合と比較して垂下案内部23から可動案内部72Bまでの距離が長くなる中間状態となる。
【0051】
図25、
図28に示すように、被係止部723の爪部が図中左右方向右側の係止孔25に挿入されて左右方向に係止される場合、調整装置7Bは、中間状態にある場合と比較して垂下案内部23から可動案内部72Bまでの距離が長くなる最外方状態となる。
【0052】
本実施形態に係る調整装置7Bによれば、調整装置7Aと比較して、ボトムレール3の下限位置の調整に係る部材数を低減させることができる。
【0053】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る調整装置について説明する。
図29は、本実施形態に係る最内方状態における調整装置を示す平面断面図である。
【0054】
図29に示すように、本実施形態に係る調整装置7Cは、ボックスキャップ70A、可動案内部72A、2つの係止部74に代えて、ボックスキャップ70C、可動案内部72C、係止部73を備える点、更にカバー71を備える点において第2実施形態に係る調整装置7Aとは異なる。
【0055】
ボックスキャップ70Cは、基部700と前方壁部701Cと後方壁部702とを有する。前方壁部701Cは、基部700の前方側端部において左右方向内方側に突出するように形成される点において第1実施形態に係るボックスキャップ70の前方壁部701と同様であるが、開口部701Oが形成されない点において前方壁部701とは異なる。また、前方壁部701C及び後方壁部702の先端部にはカバー71が取り付けられ、第1実施形態に係る調整装置7と同様に、基部700とカバー71とにより係止部73を回転可能に軸支する。可動案内部72Cは、被係止部721を有する点、前方壁部701C及び後方壁部702により左右方向にのみ移動可能に案内される点において、可動案内部72Aとは異なる。
【0056】
固定案内部75及び導出口22Aは、カバー71よりも左右方向内方側(
図29中左側)に位置付けられる。2本の昇降コード5は、固定案内部75、カバー71に形成された開口部を経由して可動案内部72C内に導入され、可動案内部72Cのコード案内部722に後方から巻き掛けられて左右方向内方側に転回され、固定案内部75のコード案内部752に後方から巻き掛けられて前方に案内され、導出口22Aから導出される。
【0057】
本実施形態に係る調整装置7Cによれば、調整装置7Cを備える遮蔽装置1Cのヘッドボックス2における導出口22Aの左右方向幅を導出口22よりも小さくしつつ、ボトムレール3の下限位置を係止部73により無段階で調整することができる。
【0058】
以上に説明したように、調整装置7,7A,7B,7Cによれば、遮蔽材の下限位置をより容易に調整することができる。なお、調整装置7,7A,7B,7Cとしてプリーツスクリーンを例に挙げて説明したが、本発明は横型ブラインド、ハニカムスクリーン等の遮蔽材の下端をコードにより吊り下げ支持する遮蔽装置に適用することができる。
【0059】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の各実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0060】
1,1A,1B,1C 遮蔽装置
2,2B ヘッドボックス
3 ボトムレール
4 スクリーン(遮蔽材)
5 昇降コード(コード部材)
7,7A,7B,7C 調整装置
22,22A 導出口
25 係止孔
72,72A,72B,72C 可動案内部
73,74 係止部
75 固定案内部
720,720A 可動支持部
721,723 被係止部