(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165321
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】管支持構造体
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
F01N1/08 H
F01N1/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076212
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】澤西 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】北島 颯太
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇作
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA01
3G004BA04
3G004CA04
3G004CA11
3G004DA01
3G004DA09
3G004DA11
3G004EA03
3G004FA04
3G004GA01
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】外郭部材内に挿入される管を支持する構造体において破損を抑制する技術を提供する。
【解決手段】管と、管の端部が内部に挿入される外郭部材と、外郭部材の内部に配置され、管を支持する支持部材と、を備える管支持構造体であって、支持部材は、孔形成部と、2つの接合部と、低剛性部と、を備える。孔形成部は、管が挿入される挿入孔が形成される。2つの接合部は、挿入孔を間に挟んで配置され、外郭部材又は外郭部材に固定される部材と接合する。低剛性部は、2つの接合部が並ぶ方向と交差する方向に沿って延び、少なくとも孔形成部よりも剛性が低く構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管と、前記管の端部が内部に挿入される外郭部材と、前記外郭部材の内部に配置され、前記管を支持する支持部材と、を備える管支持構造体であって、
前記支持部材は、
前記管が挿入される挿入孔が形成された孔形成部と、
前記挿入孔を間に挟んで配置され、前記外郭部材又は前記外郭部材に固定される部材と接合する2つの接合部と、
前記2つの接合部が並ぶ方向と交差する方向に沿って延び、少なくとも前記孔形成部よりも剛性が低く構成される低剛性部と、
を備える、管支持構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の管支持構造体であって、
当該管支持構造体は、消音装置であって、
前記管は、前記外郭部材の内部に排気ガスを導入するインレットパイプであり、
前記外郭部材は、前記消音装置における消音空間を覆うように構成されたマフラシェルである、管支持構造体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の管支持構造体であって、
前記支持部材は、板状の部材であり、
前記低剛性部は、平板状に構成される前記孔形成部の平面に直交する断面がU字状に湾曲する形状を有する、管支持構造体。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の管支持構造体であって、
少なくとも前記2つの接合部の一方と前記低剛性部との間に配置され、少なくとも前記孔形成部よりも剛性が高く構成される高剛性部を更に備える、管支持構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の管支持構造体であって、
前記高剛性部は、少なくとも前記2つの接合部の一方と前記低剛性部との間を繋ぐ屈曲した屈曲部と、前記屈曲部に設けられ、変形を抑制するリブと、を有する、管支持構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外郭部材の側方に挿入されるインレットパイプが、外郭部材の内部に固定される支持部材により支持されるように構成されたマフラが開示されている。支持部材は、インレットパイプが挿入される円筒部と、円筒部に連続し、互いに反対側に延びる長尺板状のフランジ部であって、剛性を高めるためのリブが設けられるフランジ部と、を備え、フランジ部の端部が外郭部材の内面に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した支持部材では、例えば内燃機関からの振動による外力がインレットパイプを介して当該支持部材に伝わる場合、外郭部材と支持部材との接合部であるフランジ部の端部に応力が集中しやすい。このため、当該応力が高くなると接合部の強度が低下することでマフラに破損が生じるという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、外郭部材内に挿入される管を支持する構造体において破損を抑制する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、管と、外郭部材と、支持部材と、を備える管支持構造体であって、支持部材は、孔形成部と、2つの接合部と、低剛性部と、を備える。外郭部材は、管の端部が内部に挿入される。支持部材は、外郭部材の内部に配置され、管を支持する。孔形成部は、管が挿入される挿入孔が形成される。2つの接合部は、挿入孔を間に挟んで配置され、外郭部材又は外郭部材に固定される部材と接合する。低剛性部は、2つの接合部が並ぶ方向と交差する方向に沿って延び、少なくとも孔形成部よりも剛性が低く構成される。
【0007】
このような構成では、2つの接合部が並ぶ方向と交差する方向に沿って延びる低剛性部を支持部材が備える。このため、管又は外郭部材に外力が加わった場合、低剛性部が弾性変形する。これにより、当該外力により支持部材に生じる応力の接合部への集中を緩和することができる。したがって、支持部材における接合部の強度が低下することを抑制することができる結果、外郭部材内に挿入される管を支持する管支持構造体において破損を抑制することができる。
【0008】
本開示の一態様では、管は、外郭部材の内部に排気ガスを導入するインレットパイプであってもよい。外郭部材は、消音装置における消音空間を覆うように構成されたマフラシェルであってもよい。このような構成によれば、内燃機関からの振動がインレットパイプを介して支持部材に伝わる場合でも、低剛性部が弾性変形することによって当該振動を吸収することができる。このため、当該振動により支持部材に生じる応力の接合部への集中を緩和することができる。
【0009】
本開示の一態様では、支持部材は、板状の部材であってもよい。低剛性部は、平板状に構成される孔形成部の平面に直交する断面がU字状に湾曲する形状を有してもよい。このような構成によれば、支持部材の一部分をU字状に湾曲させて、2つの接合部が並ぶ方向と交差する方向に沿って延びる溝を設けることで、容易に低剛性部を得ることができる。
【0010】
本開示の一態様は、少なくとも2つの接合部の一方と低剛性部との間に配置され、少なくとも孔形成部よりも剛性が高く構成される高剛性部を更に備えてもよい。このような構成では、支持部材が、低剛性部に加え、低剛性部と接合部との間に配置される高剛性部を備える。これにより、高剛性部が弾性変形し難いため、例えば孔形成部に荷重が加わっても高剛性部は変形が抑制され、接合部が外郭部材又は外郭部材に固定される部材から剥がれる方向に接合部を動きにくくすることができる。このため、高剛性部においても、接合部の剥離を抑制することができる。したがって、支持部材における接合部の強度が低下することを更に抑制することができる結果、破損を生じにくくすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、高剛性部は、少なくとも2つの接合部の一方と低剛性部との間を繋ぐ屈曲した屈曲部と、屈曲部に設けられ、変形を抑制するリブと、を有してもよい。このような構成では、支持部材における低剛性部と接合部との間に屈曲部及びリブを設けることで、容易に高剛性部を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】マフラが透過的に示された消音装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線での切断部を示す端面図である。
【
図5】アッパーシェル及びアンダーシェルにより形成されるマフラを備える消音装置の変形例を示す斜視図である。
【
図7】
図6のVII-VII線での切断部を示す端面図である。
【
図8】複数の貫通孔により形成される低剛性部を有する支持部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1及び
図2に示す消音装置100は、車両に搭載され、車両のエンジンからの排気流路に設けられる。消音装置100は、マフラ1と、マフラパイプ2と、貼付部材3と、支持部材4と、アウトレットパイプ5と、を備える。
【0014】
マフラ1は、排気騒音を低減する装置である。マフラ1の内部には、消音空間101が形成される。マフラ1は、消音空間101が区分けされることで当該マフラ1の内部に形成される複数の部屋を排気ガスが通過することによって消音効果を発揮する。本実施形態では、マフラ1は、楕円柱状の形状を有する。すなわち、マフラ1は、当該マフラ1の中心軸に直交する断面形状が略楕円形状を有する。なお、マフラの形状は限定されるものではなく、例えば、マフラは断面形状が略円形状である円柱状の形状であってもよい。マフラ1は、金属、例えばステンレスから構成される。
【0015】
以下の説明では、マフラ1の断面における長径に沿った方向を長径方向とし、断面における短径に沿った方向を短径方向と称する。また、マフラ1の側面における長径方向に沿って広がる領域を長径領域11a,11bとし、側面における短径方向に沿って広がる領域を短径領域11c,11dと称する。つまり、マフラ1の側面には、2つの長径領域11a,11b、及び、2つの短径領域11c,11dが存在する。2つの長径領域11a,11bは短径方向に対面し、2つの短径領域11c,11dは長径方向に対面する。
【0016】
図2に示すように、マフラ1は、マフラシェル11と、第1エンドプレート12と、第2エンドプレート13と、第1セパレータ14と、第2セパレータ15と、を備える。
マフラシェル11は、マフラ1の中心軸に直交する断面形状が略楕円形状を有し、第1端部111及び第2端部112が開口する筒状の部材である。マフラシェル11は、消音空間101の側面を覆うように構成される。つまり、マフラシェル11は、マフラ1の側面を構成する。このため、上述した長径領域11a,11b及び短径領域11c,11dは、マフラシェル11の外面に形成される。なお、マフラシェルの形状は限定されるものではなく、例えば、マフラシェルは断面が略円形状である筒状の部材であってもよい。また、マフラシェルは、1枚の矩形の板状部材を筒状に湾曲させることで構成されてもよい。また、マフラシェルは、一重に配置された板状部材により構成されてもよいし、多重(例えば、二重)に配置された板状部材により構成されてもよい。
【0017】
マフラシェル11は、当該マフラシェル11を貫通するシェル挿入孔113を有する。本実施形態では、シェル挿入孔113は、マフラ1の中心軸方向における中央部分であって、マフラ1の短径領域11cに設けられる。なお、シェル挿入孔が設けられる位置は限定されるものではなく、例えば、シェル挿入孔は、マフラ1の長径領域11a,11bに設けられてもよいし、短径領域11c,11d及び長径領域11a,11bの両方に被るように設けられてもよい。
図3に示すように、マフラシェル11におけるシェル挿入孔113を囲む部分には、マフラシェル11の外側に向かって突出するバーリング加工がなされている。つまり、マフラシェル11は、シェル挿入孔113の縁に沿って延びる壁状の部位であり、マフラ1の外側に向かって突出するシェル接続部114を有する。シェル挿入孔113には、後述するマフラパイプ2が挿入される。このとき、シェル接続部114は、マフラパイプ2の外面に接合され、マフラパイプ2を支持する。
【0018】
図2に示すように、第1エンドプレート12及び第2エンドプレート13は、マフラシェル11の両側端部の開口を覆う略楕円形状の蓋部材であり、互いに対面した状態で配置される。第1エンドプレート12は、第1端部111の開口を覆い、第2エンドプレート13は、第2端部112の開口を覆う。第2エンドプレート13は、当該第2エンドプレート13を貫通し、後述するアウトレットパイプ5が接続される孔を有する。
【0019】
第1セパレータ14及び第2セパレータ15は、マフラシェル11の内部に配置され、マフラシェル11の内部を複数の部屋に区分けする板状の部材である。すなわち、第1セパレータ14及び第2セパレータ15は、消音空間101を仕切る部材である。本実施形態では、第1セパレータ14及び第2セパレータ15は、略楕円形状を有する。第1セパレータ14は、第1エンドプレート12と対面した状態で、第1エンドプレート12と略平行に配置される。第2セパレータ15は、第1セパレータ14と第2エンドプレート13との間に位置し、第2エンドプレート13と対面した状態で、第2エンドプレート13と略平行に配置される。なお、セパレータの数は2つに限定されるものではなく、セパレータは1つ又は3つ以上配置されていてもよい。
【0020】
第1セパレータ14の縁には、接続部141が設けられている。接続部141は、第1セパレータ14の外縁を囲む壁状の部位である。第1セパレータ14の縁部は、L字状に屈曲されており、この屈曲された部分が接続部141に相当する。接続部141は、第1セパレータ14の縁からマフラシェル11に沿って第1エンドプレート12側に突出する。第2セパレータ15は、第1セパレータ14と同様に構成されており、その縁に接続部151が設けられている。接続部151は、第2エンドプレート13側に突出する。なお、接続部が突出する向きは限定されるものではなく、上述した向きとは逆方向に突出してもよい。第1セパレータ14の接続部141及び第2セパレータ15の接続部151は、例えば、溶接又はかしめ等により、マフラシェル11の内側に接合される。なお、これらの接続部141,151は、それぞれ、複数の壁状の部位として構成されていてもよい。
【0021】
第1セパレータ14及び第2セパレータ15には、当該第1セパレータ14及び当該第2セパレータ15を貫通する孔が設けられている。
図2に示す例では、第1セパレータ14及び第2セパレータ15には、それぞれ2つの孔が設けられており、各セパレータ14,15の2つの孔の中心位置は、マフラシェル11の長さ方向の端部から見て同一位置である。これらの孔には、マフラシェル11の内部に配置され、マフラ1の中心軸方向に延びる図示を省略する中間パイプが挿入され、当該中間パイプによって、第1セパレータ14及び第2セパレータ15によって仕切られた空間同士が繋がれる。
【0022】
マフラパイプ2は、金属、例えばステンレスから構成されるパイプであり、内燃機関から排気される排気ガスをマフラ1に導入する。マフラパイプ2は、一方の端部がシェル挿入孔113に挿入されることでマフラ1の内部に挿入される。本実施形態では、マフラパイプ2の端部は、第1セパレータ14及び第2セパレータ15により挟まれた中央空間102に位置する。本実施形態では、マフラパイプ2は、マフラ1の短径領域11cから斜めに傾いた状態で突出するように配置される。なお、マフラシェル11の内部にセパレータが1つのみ配置される場合、当該セパレータと第1エンドプレート12により挟まれた空間、又は、当該セパレータと第2エンドプレート13により挟まれた空間に、マフラパイプ2の端部が位置する。
【0023】
図3に示すように、マフラパイプ2は、インレットパイプ21と、インナパイプ22と、を有する。インナパイプ22は、一端がシェル挿入孔113に接続されていると共に、他端は中央空間102に配置される。一方、インレットパイプ21は、一端がシェル挿入孔113に接続されており、シェル挿入孔113から外側に突出する。つまり、インレットパイプ21の一端とインナパイプ22の一端とは、シェル接続部114の内側で接続されている。本実施形態では、インレットパイプ21がインナパイプ22の内側に位置するように、インレットパイプ21とインナパイプ22とが重なった状態となっている。すなわち、インレットパイプ21とインナパイプ22との重複部分が、シェル接続部114の内側にて接続されている。なお、マフラパイプの構成はこれに限定されるものではなく、例えば、マフラパイプは、一本のパイプとして構成されていてもよい。また、例えば、インレットパイプがインナパイプの外側に位置するように、インレットパイプがインナパイプと重なってもよい。
【0024】
図2及び
図3に示す貼付部材3は、矩形の板状の部材であり、中央に貼付挿入孔31が形成されている。貼付部材3は、パッチとも呼ばれる。貼付部材3は、シェル挿入孔113の周囲を覆った状態で、マフラシェル11の外面に沿って配置される。このとき、貼付挿入孔31の内側に、シェル接続部114が挿入された状態となる。また、貼付挿入孔31は、マフラパイプ2が挿入された状態となる。
【0025】
貼付部材3は、マフラシェル11の外面に溶接されることによって固定される。貼付部材3における貼付挿入孔31を囲む部分には、貼付挿入孔31の縁に沿って延びる壁状の部位であり、マフラ1の外側に向かって突出する貼付接続部32が設けられている。貼付接続部32は、バーリング加工により形成されてもよい。貼付接続部32は、貼付挿入孔31に挿入されているシェル接続部114の内側にて接続されている。
【0026】
上述したように、シェル接続部114の内側には、インレットパイプ21及びインナパイプ22を有するマフラパイプ2が配置される。つまり、インレットパイプ21とインナパイプ22との重複部分と、シェル接続部114と、貼付接続部32と、が重なった状態で配置され、これらが全周溶接又は複数箇所のみの溶接により接合される。これにより、貼付接続部32とマフラパイプ2とが固定される。
【0027】
図3及び
図4に示すように、支持部材4は、矩形の板状の部材であり、マフラシェル11の内部に配置される。ここでいう板状の部材とは、少なくとも主たる部分が薄く平たく構成されるものをいい、当該板状の部材は、平たく構成されていない部分を含んでもよい。支持部材4は、ステーとも呼ばれる。支持部材4は、シェル挿入孔113に対面した状態で中央空間102に配置される。支持部材4は、マフラシェル11における長径領域11aの内側から、短径領域11cの内側にわたって配置される。支持部材4は、孔形成部41と、第1接合部42と、第2接合部43と、低剛性部44と、高剛性部45と、を有する。
【0028】
孔形成部41は、矩形の平板状の部分であり、その中央に当該孔形成部41を貫通する支持挿入孔411を有する。支持部材4における支持挿入孔411を囲む部分には、支持挿入孔411の縁に沿って延びる壁状の部位であり、シェル挿入孔113側に向かって突出する支持接続部412が設けられている。マフラパイプ2におけるインナパイプ22は、支持挿入孔411に挿入された状態で配置される。このとき、マフラパイプ2の外面が、支持接続部412により支持された状態となる。なお、支持接続部が突出する向きは限定されるものではなく、例えば、支持接続部は、シェル挿入孔113側とは反対側に向かって突出していてもよい。また、支持接続部は、複数の壁状の部位として構成されていてもよい。
【0029】
第1接合部42及び第2接合部43は、支持挿入孔411を間に挟んで配置され、マフラシェル11と接合する部分である。第1接合部42及び第2接合部43は、支持部材4において互いに平行に並ぶ端部に設けられ、それぞれシェル挿入孔113側とは反対側に向かって延びる。第1接合部42及び第2接合部43は、それぞれマフラシェル11と当接する平面を有する。第1接合部42は、マフラシェル11における長径領域11aの内側に接合され、第2接合部43は、短径領域11cの内側に接合される。第1接合部42及び第2接合部43と、マフラシェル11の内側とは、それぞれ複数箇所をスポット溶接することによって接合される。支持部材4のうち、第1接合部42及び第2接合部43が設けられていない端部、すなわち、支持部材4のうち、第1セパレータ14、第2セパレータ15、第1エンドプレート12及び第2エンドプレート13のいずれかと対面する外周部分においては、第1セパレータ14、第2セパレータ15、第1エンドプレート12及び第2エンドプレート13のいずれとも接合されておらず、隙間が設けられている。
【0030】
低剛性部44は、支持部材4において、少なくとも孔形成部41よりも剛性が低く構成される部分である。低剛性部44には、支持部材4に外力が加わった場合、弾性変形が生じやすい。本実施形態では、低剛性部44は、第1接合部42及び第2接合部43が並ぶ方向と交差する方向に沿って延びる溝である。ここで、並ぶ方向とは、
図4に示す第1方向であり、交差する方向とは、第1方向と直交する第2方向である。なお、交差する方向には、第1方向と直交する方向以外の方向が含まれてもよい。換言すると、低剛性部44は、孔形成部41の平面からシェル挿入孔113側とは反対側に向かって突出し、第2方向に沿って延びる細長いくぼみである。低剛性部44は、孔形成部41の平面に直交する断面がU字状に湾曲する形状を有する。なお、孔形成部41の平面に直交する断面は、第2方向が法線方向である平面による断面である。換言すると、孔形成部41の平面に直交する断面は、孔形成部41の平面に直交し、かつ、第1方向に沿って延びる平面による断面である。本実施形態では、低剛性部44は、第1接合部42と支持挿入孔411との間、及び、第2接合部43と支持挿入孔411との間に、合計2つ設けられる。
また、上述したように、支持部材4は、第1接合部42及び第2接合部43が設けられていない端部において、第1セパレータ14、第2セパレータ15、第1エンドプレート12及び第2エンドプレート13のいずれとも隙間を介して設けられているため、第1接合部42及び第2接合部43を結ぶ方向において弾性変形が容易となる。
【0031】
高剛性部45は、支持部材4において、少なくとも孔形成部41よりも剛性が高く構成される部分である。高剛性部45には、支持部材4に外力が加わった場合でも、弾性変形が生じにくい。高剛性部45は、屈曲部46と、複数のリブ451と、を有する。屈曲部46は、第1接合部42と低剛性部44との間、及び、第2接合部43と低剛性部44との間を繋ぐ屈曲した部分である。屈曲部46は、第2方向に沿って延びる。屈曲部46は、孔形成部41の平面に直交する断面がU字状に湾曲を有する形状であってもよいし、孔形成部41の平面に直交する断面が例えばL字状に鋭く曲がるような形状であってもよい。なお、孔形成部41の平面に直交する断面は、第2方向が法線方向である平面による断面である。複数のリブ451は、屈曲部46に第2方向に沿って間隔を空けて設けられる。本実施形態では、4つのリブ451が設けられる。リブ451は、屈曲部46が凸となる方向とは反対側の方向に向かって凸となるように形成され、略四角錐状を有する。
【0032】
アウトレットパイプ5は、金属、例えばステンレスから構成されるパイプであり、マフラ1内を通過した排気ガスを排出する。アウトレットパイプ5は、上述した第2エンドプレート13から真っ直ぐ突出するように配置される。
【0033】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、第1接合部42と支持挿入孔411との間、及び、第2接合部43と支持挿入孔411との間に配置され、第2方向に沿って延びる低剛性部44を支持部材4が備える。このため、内燃機関からの振動がマフラパイプ2を介して支持部材4に伝わる場合でも、低剛性部44が弾性変形することによって当該振動を吸収することができる。すなわち、マフラパイプ2からの振動を吸収する機構を有しない支持部材と比較して、第1接合部42及び第2接合部43に当該振動が伝わりに難くなる。これにより、当該振動により支持部材4における第1接合部42及び第2接合部43に集中しやすい応力が第1接合部42及び第2接合部43に集中し難くなる。つまり、当該振動により支持部材4に生じる応力の第1接合部42及び第2接合部43への集中を、低剛性部44の弾性変形によって緩和することができる。したがって、支持部材4におけるマフラシェル11との接合部の強度が低下することを抑制することができる結果、消音装置100において破損を生じにくくすることができる。
【0034】
(2b)本実施形態では、低剛性部44は、第2方向に沿って延びる溝であり、孔形成部41の平面に直交する断面がU字状に湾曲する形状を有するように構成される。このため、支持部材4の孔形成部41の平板の一部分をU字状に湾曲させるように加工することで、容易に低剛性部44を得ることができる。
【0035】
(2c)本実施形態では、支持部材4が、低剛性部44に加え、低剛性部44と、第1接合部42及び第2接合部43と、の間に配置される高剛性部45を備える。これにより、高剛性部45が弾性変形し難いため、孔形成部41に荷重が加わっても高剛性部45は変形が抑制され、第1接合部42及び第2接合部43がマフラシェル11から剥がれる方向に第1接合部42及び第2接合部43を動きにくくすることができる。このため、高剛性部45においても、マフラシェル11との接合部の剥離を抑制することができる。したがって、支持部材4におけるマフラシェル11との接合部の強度を更に向上させることができる結果、破損を生じにくくすることができる。
【0036】
(2d)本実施形態では、高剛性部45は、低剛性部44と第2接合部43との間の屈曲部46と、屈曲部46に配置される複数のリブ451により構成される。このため、屈曲部46及びリブ451を設ける加工をすることで、容易に高剛性部45を得ることができる。
なお、本実施形態では、マフラパイプ2が管の一例に相当し、マフラシェル11が外郭部材の一例に相当し、消音装置100が管支持構造体の一例に相当する。
【0037】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0038】
(3a)上記実施形態では、マフラ1が楕円柱状の形状を有する構成を例示したが、マフラの形状はこれに限定されるものではない。例えば、
図5~
図7に示す消音装置100aのように、略長方体状の形状を有するマフラ1aを備えてもよい。消音装置100aは、マフラ1aと、インレットパイプ21aと、を備える。マフラ1aは、アッパーシェル110と、アンダーシェル120と、を有する。以下の説明では、説明の便宜上、アッパーシェル110が配置される側を上方とし、アンダーシェル120が配置される側を下方とし、インレットパイプ21aが配置される側を左方とし、インレットパイプ21aが配置される側と対向する側を右方とするが、マフラ1aが配置される向きが限定されるものではない。アッパーシェル110は、消音空間101aを上方から覆う、一辺が開口した部材である。すなわち、アッパーシェル110は、マフラ1aの上面、左右方向及び前後方向の側面の一部を形成する。アンダーシェル120は、消音空間101aを下方から覆う、一辺が開口した部材であり、アッパーシェル110と対向するように、当該アッパーシェル110の下側に配置される。すなわち、アンダーシェル120は、マフラ1aの下面、左右方向及び前後方向の側面の一部を形成する。
【0039】
アッパーシェル110は、開口を囲む部分に、開口の縁に沿って延びる壁状の部位であり、外側に向かって突出するアッパ接続部110aが設けられている。アンダーシェル120も同様に、アンダ接続部120aが設けられている。アッパーシェル110の開口とアンダーシェル120の開口とが対向するように組み合わせ、アッパ接続部110a及びアンダ接続部120aを接合することによって、消音空間101aが形成される。
【0040】
また、アッパーシェル110及びアンダーシェル120の左側面には、それぞれ半円状の溝が形成される。上述したように、アッパーシェル110及びアンダーシェル120を組み合わせ、半円状の溝が組み合わされることによって、インレットパイプ21aを挿入するシェル挿入孔113aが形成される。インレットパイプ21aの一方の端部は、シェル挿入孔113aに挿入される。そして、消音空間101a内に位置するインレットパイプ21aの端部は、消音空間101a内に配置される上述した支持部材4の支持挿入孔411に挿入され、支持部材4によって支持される。
【0041】
(3b)上記実施形態では、低剛性部44は、第2方向に沿って延びる溝であり、孔形成部41の平面に直交する断面がU字状に湾曲する形状を有するように構成される。しかし、低剛性部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、支持部材4bは、第2方向に沿って間隔を空けて、孔形成部41bの平面を貫通する複数の貫通孔441が設けられることによって構成される低剛性部44bを有してもよい。第2方向に沿って複数の貫通孔441が設けられた部分は、少なくとも孔形成部41bよりも剛性が低くなる。このため、支持部材4bに外力が加わった場合、弾性変形が生じやすい。これにより、当該外力により支持部材4bに生じる応力の第1接合部42及び第2接合部43への集中を緩和することができる。また、例えば、低剛性部は、第2方向に沿って延びるように、孔形成部の板厚よりも板厚が薄い部分を設けることによって構成されてもよい。このような構成の場合にも、上述した複数の貫通孔441が設けられる構成と同様に、弾性変形によって応力の第1接合部及び第2接合部への集中を緩和することができる。
【0042】
(3c)上記実施形態では、高剛性部45は、屈曲部46と、屈曲部46に配置される複数のリブ451と、により構成される。しかし、高剛性部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、高剛性部は、第2方向に沿って延びるように、屈曲部において板厚が厚い部分を設けることによって構成されてもよい。また、例えば、高剛性部は、例えば、厚みを有し、かつ、長さを有する補強部材を第2方向に沿って屈曲部に貼り付けることによって、厚みを有するように構成されてもよい。
【0043】
(3d)上記実施形態では、支持部材4において、低剛性部44及び高剛性部45は、支持挿入孔411を間に挟んで第1接合部42側及び第2接合部43側の両方に設けられていたが、支持部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、支持部材において、低剛性部44及び高剛性部45は、それぞれ第1接合部42側及び第2接合部43側のいずれか一方にのみ設けられてもよい。また、支持部材において、低剛性部44が第1接合部42側及び第2接合部43側の両方に設けられ、高剛性部45が第1接合部42側及び第2接合部43側のいずれか一方にのみ設けられてもよい。また、支持部材において、高剛性部45が第1接合部42側及び第2接合部43側の両方に設けられ、低剛性部44が第1接合部42側及び第2接合部43側のいずれか一方にのみ設けられてもよい。また、例えば、支持部材は、高剛性部45を有しない構成、つまり低剛性部44のみを有する構成であってもよい。
【0044】
(3e)上記実施形態では、略四角錐状のリブ451が4つ第2方向に並んで屈曲部46に配置される構成を例示したが、リブの形状、リブの数及びリブが配置される位置はこれに限定されるものではない。また、例えば、リブの形状、リブの数及びリブが配置される位置は、支持部材における第1接合部側と第2接合部側とで異なってもよい。
【0045】
(3f)上記実施形態では、支持部材4がインレットパイプ21を備えるマフラパイプ2を支持する構成を例示したが、支持部材が支持するものはこれに限定されるものではない。例えば、支持部材は、アウトレットパイプを支持してもよい。
【0046】
(3g)上記実施形態では、支持部材4を備える管支持構造体が消音装置100である構成を例示したが、管支持構造体の用途はこれに限定されるものではない。例えば、支持部材4は、外郭部材の内部に挿入される液体が流れる管を支持する装置が備えてもよい。このような装置の場合でも、管に外力が加わった場合に、支持部材4における第1接合部42及び第2接合部43に集中しやすい応力を、低剛性部44の弾性変形によって緩和することができる。したがって、支持部材4における接合部の強度を向上させることができる結果、破損を生じにくくすることができる。
(3h)上記実施形態では、第1接合部42及び第2接合部43が、マフラシェル11と接合する構成を例示したが、支持部材4の第1接合部42及び第2接合部43が接合される場所はこれに限定されるものではない。例えば、第1接合部42及び第2接合部43は、マフラシェル11に固定される他の部材に接合されてもよい。具体的には、例えば、第1接合部42及び第2接合部43は、第1セパレータ14及び第2セパレータ15に接合されてもよい。
【0047】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0048】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
管と、前記管の端部が内部に挿入される外郭部材と、前記外郭部材の内部に配置され、前記管を支持する支持部材と、を備える管支持構造体であって、
前記支持部材は、
前記管が挿入される挿入孔が形成された孔形成部と、
前記挿入孔を間に挟んで配置され、前記外郭部材又は前記外郭部材に固定される部材と接合する2つの接合部と、
前記2つの接合部が並ぶ方向と交差する方向に沿って延び、少なくとも前記孔形成部よりも剛性が低く構成される低剛性部と、
を備える、管支持構造体。
【0049】
[項目2]
項目1に記載の管支持構造体であって、
当該管支持構造体は、消音装置であって、
前記管は、前記外郭部材の内部に排気ガスを導入するインレットパイプであり、
前記外郭部材は、前記消音装置における消音空間を覆うように構成されたマフラシェルである、管支持構造体。
【0050】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の管支持構造体であって、
前記支持部材は、板状の部材であり、
前記低剛性部は、平板状に構成される前記孔形成部の平面に直交する断面がU字状に湾曲する形状を有する、管支持構造体。
【0051】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の管支持構造体であって、
少なくとも前記2つの接合部の一方と前記低剛性部との間に配置され、少なくとも前記孔形成部よりも剛性が高く構成される高剛性部を更に備える、管支持構造体。
【0052】
[項目5]
項目4に記載の管支持構造体であって、
前記高剛性部は、少なくとも前記2つの接合部の一方と前記低剛性部との間を繋ぐ屈曲した屈曲部と、前記屈曲部に設けられ、変形を抑制するリブと、を有する、管支持構造体。
【符号の説明】
【0053】
1,1a…マフラ、2…マフラパイプ、3…貼付部材、4,4b…支持部材、5…アウトレットパイプ、11…マフラシェル、11a,11b…長径領域、11c,11d…短径領域、12…第1エンドプレート、13…第2エンドプレート、14…第1セパレータ、15…第2セパレータ、21,21a…インレットパイプ、22…インナパイプ、31…貼付挿入孔、32…貼付接続部、41,41b…孔形成部、42…第1接合部、43…第2接合部、44,44b…低剛性部、45…高剛性部、46…屈曲部、100,100a…消音装置、101,101a…消音空間、102…中央空間、110…アッパーシェル、110a…アッパ接続部、111…第1端部、112…第2端部、113,113a…シェル挿入孔、114…シェル接続部、120…アンダーシェル、120a…アンダ接続部、141,151…接続部、411…支持挿入孔、412…支持接続部、441…貫通孔、451…リブ。