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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165334
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】鋼材の結合構造
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/06 20060101AFI20231108BHJP
   E04C 5/18 20060101ALI20231108BHJP
   E21D 13/00 20060101ALI20231108BHJP
   E21D 9/04 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
E04C5/06
E04C5/18 103
E21D13/00
E21D9/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076237
(22)【出願日】2022-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000141864
【氏名又は名称】株式会社京都スペーサー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 大介
(72)【発明者】
【氏名】大林 優也
(72)【発明者】
【氏名】玉野 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】坂口 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】星田 義明
【テーマコード(参考)】
2D054
2D155
2E164
【Fターム(参考)】
2D054AA03
2D054AA04
2D054AA05
2D054EA09
2D155AA02
2D155BA01
2D155KB08
2E164AA02
2E164BA01
2E164BA34
2E164CA11
2E164CA33
(57)【要約】
【課題】互いに直交する3軸に配置された鋼材を一度に結合することができる結合構造を提供する。
【解決手段】結合構造は、第1方向に延びる棒状の第1鋼材1と、第1方向に直交する第2方向に延びる棒状の第2鋼材2と、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に延びる棒状の第3鋼材3と、を結合金具10によって結合する鋼材の結合構造である。第3鋼材3に固定され、第1鋼材1と第2鋼材2の交差部分Cにおいて第1鋼材1又は第2鋼材2に第3方向から接触するプレート3aを有する。結合金具10は、第3方向において、第1鋼材1と第2鋼材2の交差部分C、及び第3鋼材3に固定されたプレート3aを挟持する第1及び第2挟持部材20,30を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる棒状の第1鋼材と、
前記第1方向に直交する第2方向に延びる棒状の第2鋼材と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に延びる棒状の第3鋼材と、を結合金具によって結合する鋼材の結合構造であって、
前記第3鋼材に固定され、前記第1鋼材と前記第2鋼材の交差部分において前記第1鋼材又は前記第2鋼材に前記第3方向から接触する接触部を有し、
前記結合金具は、
前記第3方向において、前記第1鋼材と前記第2鋼材の前記交差部分、及び前記第3鋼材に固定された前記接触部を挟持する第1及び第2挟持部材を有する、鋼材の結合構造。
【請求項2】
第1方向に延びる棒状の第1鋼材と、
前記第1方向に直交する第2方向に延びる棒状の第2鋼材と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に延びる棒状の第3鋼材と、を結合金具によって結合する鋼材の結合構造であって、
前記第3鋼材は、前記第1鋼材と前記第2鋼材の交差部分において前記第1鋼材又は前記第2鋼材に前記第3方向から接触する接触部を有し、
前記結合金具は、
前記第3方向において、前記第1鋼材と前記第2鋼材の前記交差部分、及び前記第3鋼材の前記接触部を挟持する第1及び第2挟持部材を有する、鋼材の結合構造。
【請求項3】
前記接触部は、前記第3鋼材の端部に固定された板状の部材によって構成される請求項1に記載された鋼材の結合構造。
【請求項4】
前記第1挟持部材は、
前記第3方向に延び一端に雄ねじが形成されるロッド部と、
前記ロッド部の他端に形成された第1挟持部と、を有し、
前記第2挟持部材は、前記ロッド部が挿通される第2挟持部を有し、
前記結合金具は、
ナットを前記雄ねじに締め付けることで、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記第1鋼材と前記第2鋼材の前記交差部分、及び前記接触部を挟持する、請求項1から3のいずれか1つに記載された鋼材の結合構造。
【請求項5】
前記第1挟持部及び前記ロッド部は、棒状の鋼材を折り曲げることによって一体に形成されている、請求項4に記載された鋼材の結合構造。
【請求項6】
前記第1挟持部材は、
一対の前記ロッド部及び一対の前記第1挟持部と、
前記一対の第1挟持部の端部どうしを連結するループ部と、を有し、
前記第2鋼材は、前記一対のロッド部の間及び前記ループ部を挿通することによって前記第1方向の移動が規制される、請求項5に記載された鋼材の結合構造。
【請求項7】
前記第2挟持部材は、前記ロッド部との間で前記第1鋼材を挟んで前記第1鋼材の前記第2方向への移動を規制する、請求項4に記載された鋼材の結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼材の結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主筋とフープ筋又は補強枠との交差部を、ロッドと座金を用いて結合する結合金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-102490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された結合金具は、主筋とフープ筋、あるいは主筋と補強枠の2つの部材を結合することができる。しかしながら、特許文献1に開示された結合金具では、互いに直交する3軸に配置された部材を一度に結合することができない。
【0005】
本発明は、互いに直交する3軸に配置された鋼材を一度に結合することができる結合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1方向に延びる棒状の第1鋼材と、第1方向に直交する第2方向に延びる棒状の第2鋼材と、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に延びる棒状の第3鋼材と、を結合金具によって結合する鋼材の結合構造であって、第3鋼材に固定され、第1鋼材と第2鋼材の交差部分において第1鋼材又は第2鋼材に第3方向から接触する接触部を有し、結合金具は、第3方向において、第1鋼材と第2鋼材の交差部分、及び第3鋼材に固定された接触部を挟持する第1及び第2挟持部材を有する、鋼材の結合構造である。
【0007】
また、本発明は、第1方向に延びる棒状の第1鋼材と、第1方向に直交する第2方向に延びる棒状の第2鋼材と、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に延びる棒状の第3鋼材と、を結合金具によって結合する鋼材の結合構造であって、第3鋼材は、第1鋼材と第2鋼材の交差部分において第1鋼材又は第2鋼材に第3方向から接触する接触部を有し、結合金具は、第3方向において、第1鋼材と第2鋼材の交差部分、及び第3鋼材の接触部を挟持する第1及び第2挟持部材を有する、鋼材の結合構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、互いに直交する3軸に配置された鋼材を一度に結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る鉄筋構造体が使用された本線とランプとが分岐・合流する分岐合流部の断面図である。
図2】本実施形態に係る鉄筋構造体の一部を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る鉄筋構造体における結合金具近傍の拡大斜視図である。
図4】本実施形態に係る鉄筋構造体における結合金具近傍の正面図である。
図5】本実施形態に係る鉄筋構造体における結合金具近傍の側面図である。
図6】本実施形態に係る鉄筋構造体における結合金具近傍の底面図である。
図7】本実施形態に係る第1挟持部材の斜視図である。
図8】本実施形態に係る第2挟持部材の斜視図である。
図9】変形例に係る第2挟持部材の斜視図である。
図10】変形例に係る鉄筋構造体の一部を示す斜視図である。
図11】変形例に係る第3鋼材の正面図である。
図12】変形例に係る第3鋼材を用いた鉄筋構造体の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る鋼材の結合構造について説明する。
【0011】
本実施形態の鋼材の結合構造は、トンネルを造成する際に、コンクリート内に埋設される鉄筋構造体Rを形成する際に、鋼材どうしを結合するために用いられる。まず、本実施形態の結合構造を用いて形成された鉄筋構造体Rが使用される例としてトンネルの具体例について簡単に説明する。
【0012】
図1は、高速道路などにおけるトンネルにおいて、本線101とランプ(傾斜路)102とが分岐・合流する分岐合流部100の断面図である。
【0013】
図1に示すように、本線101及びランプ102は、それそれ、シールド工法によって地中に掘削されて形成されたシールドトンネル101a,102a内に設けられる。
【0014】
分岐合流部100では、シールドトンネル101a及びシールドトンネル102aの外周を覆う外殻体103が設けられる。
【0015】
ここで、外殻体103の形成工程について簡単に説明する。
【0016】
まず、円周方向に所定の間隔をあけて複数の先行シールドトンネル103aを掘削する。次いで、先行シールドトンネル103a内において鉄筋構造体Rを組み立て、配置する。
【0017】
その後、円周方向において隣り合う先行シールドトンネル103aをつなぐように複数の後行シールドトンネル103bを掘削する。次いで、後行シールドトンネル103b内において鉄筋構造体Rを組み立て、先行シールドトンネル103a内に配置された鉄筋構造体Rに接続するようにして配置する。
【0018】
そして、先行シールドトンネル103a及び後行シールドトンネル103b内に、コンクリートを打設する。
【0019】
このようにして、複数の先行シールドトンネル103aと複数の後行シールドトンネル103bとにより環状の外殻体103が形成される。その後、外殻体103の内側を上側から下側に向かって本線101及びランプ102の路面まで掘削することで、分岐合流部100が完成する。
【0020】
次に、図2から図6を参照して、鉄筋構造体Rについて説明する。
【0021】
図2は、鉄筋構造体Rの一部を示す斜視図である。図3は、鉄筋構造体Rにおける結合部分(結合金具近傍)の拡大斜視図である。図4は、鉄筋構造体Rにおける結合部分(結合金具近傍)の正面図である。図5は、鉄筋構造体Rにおける結合部分(結合金具近傍)の側正面図である。図6は、鉄筋構造体Rにおける結合部分(結合金具近傍)の底面図である。
【0022】
図2などに示すように、鉄筋構造体Rは、X軸方向(第1方向)に延びる複数の棒状の第1鋼材1と、Y軸方向(第1方向に直交する第2方向)に延びる複数の棒状の第2鋼材2と、Z軸方向(第1方向及び第2方向に直交する第3方向)に延びる複数の棒状の第3鋼材3と、を有する。鉄筋構造体Rは、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3を結合することで構成される。
【0023】
本実施形態では、第1鋼材1は平鋼であり、第2鋼材2及び第3鋼材3は、鉄筋である場合を示している。鉄筋構造体Rが上記分岐合流部100に用いられる場合には、第1鋼材1は、トンネルの周方向に円環状に配置される。この場合には、第1鋼材1は、主鉄筋として機能し、トンネルの曲げ方向の剛性を確保する。また、第2鋼材2は、トンネルの軸方向に配置され、トンネルの捻じれ方向の剛性を確保する。第3鋼材3は、トンネルの径方向に配置され、トンネルのせん断方向の剛性を確保する。
【0024】
次に、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3の結合構造について説明する。
【0025】
図2から図6に示すように、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3は結合金具10によって結合される。
【0026】
第3鋼材3の端部付近には、結合金具10に挟持されるプレート3a(接触部)が設けられる。プレート3aは、例えば、平板状の鋼板によって形成され、第3鋼材3の端部付近に、溶接や機械的嵌合などにより固定される。プレート3aは、第3鋼材3の軸方向(Z軸方向)に直交する面において、第3鋼材3の断面方向(X軸方向及びY軸方向)に対して拡張され、第3鋼材3の断面積と比較して大きな面積の面を備える。つまり、プレート3aは、X軸方向、Y軸方向に所定の幅を有する板状の部材であり、鉄筋である第3鋼材3の断面積と比較して大きな面積の板状部材によって形成される。
【0027】
結合金具10は、Z軸方向から、第1鋼材1の側面、第2鋼材2、及び第3鋼材3に固定されたプレート3aを一体的に挟持することで、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3を結合した状態に保持する。このとき、プレート3aは、上述のように、X軸方向、Y軸方向に所定の幅を有し、それぞれ第3鋼材3のX軸方向、Y軸方向の幅より大きい面を有するので、第1鋼材1及び第2鋼材2の所定の範囲に締結力を作用させることができる。また、プレート3aが第3鋼材3に端部に固定されることでし、第3鋼材3は、結合金具10によって、第1鋼材1及び第2鋼材2と一体的に挟持される。
【0028】
図3から図6などに示すように、結合金具10は、棒状の鋼材を折り曲げることによって形成された第1挟持部材20と、平板状に形成された第2挟持部材30と、ナット(締結部材)4と、を有する。
【0029】
図7などに示すように、第1挟持部材20は、Z軸方向に延び一端に雄ねじ21aが形成される一対のロッド部21と、ロッド部21の他端に形成された第1挟持部22と、一対の第1挟持部22の端部どうしを連結するU字状のループ部23と、を有する。一対のロッド部21は、Z軸方向に平行に延びるように設けられる。また、一対のロッド部21、一対の第1挟持部22、及びループ部23は、一本の棒状の鋼材を折り曲げることで、一体的に形成される。
【0030】
第1挟持部22は、ロッド部21の他端側を略90°折り曲げることで、Y軸方向に延びるように形成される。一対の第1挟持部22は、Y軸方向に略平行に延びるように設けられる。一対の第1挟持部22は、X軸方向に所定の間隔で配置された一対の棒材からなる。一対の第1挟持部22は、X軸方向に所定の間隔をあけて2箇所で、プレート3aをZ軸方向から挟持する。
【0031】
ループ部23は、第1挟持部22の端部から折り返すように折り曲げられることで略U字状に形成される。本実施形態では、ループ部23は、Y軸とZ軸の略中間の方向に向かって延びるように形成される。
【0032】
図8などに示すように、第2挟持部材30は、X軸方向、Y軸方向に所定の幅を有する略平板状の鋼板により形成される。第2挟持部材30は、Z軸方向において第1挟持部材20の第1挟持部22と対向するように配置される。
【0033】
第2挟持部材30は、平板状の第2挟持部31と、第2挟持部31のY軸方向における一端側に設けられ、第1挟持部材20の一対のロッド部21が挿通される一対の貫通孔32と、第2挟持部31のY軸方向における他端側に第2挟持部31から垂直に立ち上がるように形成された係止部33と、を有する。
【0034】
係止部33は、第1挟持部材20の一対のロッド部21が貫通孔32に挿通されたときに、一対のロッド部21との間で第1鋼材1をY軸方向から挟んで第1鋼材1のY軸方向への移動を規制する(図5など参照)。
【0035】
次に、結合金具10による第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3の結合方法について説明する。
【0036】
まず、プレート3aを第3鋼材3の端部に溶接や機械的嵌合などにより固定する。
【0037】
次に、第1鋼材1及び第2鋼材2を交差させ、Z軸方向から第1鋼材1と第2鋼材2との交差部分Cに第3鋼材3の端部に固定されたプレート3aが接触するように第3鋼材3を配置する。言い換えると、第1鋼材1と第2鋼材2とを交差させ、さらにその上に、第3鋼材3の端部に固定されたプレート3aが位置するように、これらを順番に積層する。
【0038】
この状態で、結合金具10のループ部23のU字部分の底部23a(図7参照)に第2鋼材2を引っかけた後、第2鋼材2が一対のロッド部21の間に位置するようにしつつ、第1挟持部22がプレート3aに接触するようにして、第1挟持部材20をプレート3a上に配置する。
【0039】
そして、第2挟持部材30の一対の貫通孔32のそれぞれに、ロッド部21を挿通し、ナット4を締め付ける。これにより、第1鋼材1と第2鋼材2との交差部分C、及び第3鋼材3に固定されたプレート3aが、第1挟持部材20の第1挟持部22と第2挟持部材30の第2挟持部31との間で挟持される。
【0040】
このように、本実施形態の結合構造では、結合金具10を用いること、より具体的には、第1挟持部材20及び第2挟持部材30によって、互いに直交する第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3を一度に結合することができる。
【0041】
上述のような先行シールドトンネル103a及び後行シールドトンネル103b内において、例えば、溶接によって鉄筋構造体Rを組み立てる場合には、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3を結合するためには、少なくとも溶接作業を二回行う必要がある。これに対して、本実施形態の結合構造では、結合金具10を用いることによって、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3を一度に結合することができるので、結合作業にかかる作業時間を大幅に短縮することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の結合構造では、第1挟持部材20に形成された雄ねじ21aにナット4を締結することで結合することができるので、結合作業に係る作業スペ―スを必要としない。このため、結合作業にかかる作業時間を大幅に短縮することができるとともに、作業の効率化を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態の結合構造では、第2挟持部材30が、第2挟持部31の一端側に第2挟持部31から垂直に立ち上がるように設けられた係止部33を有しているので、ロッド部21が貫通孔32に挿通されたときに、係止部33とロッド部21との間で第1鋼材1をY軸方向から挟んで第1鋼材1のY軸方向への移動を規制することができる。これにより、第1鋼材1や結合金具10がY軸方向におけるガタつきやずれを防止できる。
【0044】
さらに、本実施形態では、第1挟持部材20のループ部23によって第2鋼材2のX軸方向の移動を規制することができる。これにより、第2鋼材2や結合金具10がX軸方向におけるガタつきやずれを防止できる。
【0045】
本実施形態の結合構造では、第1挟持部材20が、一本の棒状の鋼材を折り曲げることで、一体的に形成されるので、第1挟持部材20を簡単に形成することができるとともに、部品点数の増加を抑制できる。
【0046】
また、本実施形態の結合構造では、第3鋼材3の一端に取り付けられたプレート3aによって、Z軸方向から第1鋼材1と第2鋼材2との交差部分Cを押圧することができるので、第1鋼材1と第2鋼材2との交差部分CにZ軸方向から確実に挟持力を作用させることができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0048】
上記実施形態では、トンネルの造成に用いられる鉄筋構造体Rを例に説明したが、これに限らず、上記実施形態の結合構造は、互いに直交する3軸に配置された鋼材であれば、どのような用途のものにも適用できる。また、第1鋼材1、第2鋼材2、及び第3鋼材3は、平鋼、丸鋼、鉄筋のいずれであってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、第2挟持部材30は、第2挟持部31から垂直に立ち上がるように形成された係止部33を有しているが、これに加え、図9に示すように、第2挟持部31のX軸方向における両端に第2挟持部31から垂直に立ち上がるように形成された立ち上がり部34を設けてもよい。この場合には、係止部33と立ち上がり部34との間で第1鋼材1をY軸方向から挟んで第1鋼材1のY軸方向への移動を規制することができる。これにより、第1鋼材1や結合金具10がY軸方向におけるガタつきやずれをより確実に防止できる。さらに、この構成では、ナット4をロッド部21に締結する際に、第2挟持部材30が傾くことを抑制できる。
【0050】
さらに、上記実施形態では、第3鋼材3の端部にプレート3aを固定した場合を例に説明したが、これに限らず、例えば、図10に示すように、第3鋼材3の端部以外の個所(中間部分)に固定するようにしてもよい。この場合には、Z軸方向におけるプレート3aの固定位置を適宜調節することが可能になるので、例えば、プレート3aの位置を合わせるための寸法の管理や加工などを不要にすることができる。
【0051】
また、第3鋼材3の端部にプレート3aを固定した構成に換えて、図11に示すように、第3鋼材3の一端をフック状に折り曲げた構成としてもよい。この場合には、このフック状の折り曲げ部3b(接触部)を、第1鋼材1及び第2鋼材2の交差部分Cに引っかけるように交差させた後(図12参照)、第1挟持部22と第2挟持部31の間でこれらを挟持すればよい。この場合には、プレート3aが不要となるので、部品点数を削減できるとともに、プレート3aの取り付け作業を無くすことができる。
【0052】
上記実施形態では、第1挟持部材20を一本の鋼材を折り曲げて構成した場合を例に説明したが、これに限らず、例えば、第1挟持部22やループ部23を板状の部材で構成してもよい。この場合には、ループ部23に相当する板状の部材に第2鋼材2が挿通される貫通孔を設ければよい。
【符号の説明】
【0053】
R・・・鉄筋構造体、1・・・第1鋼材、2・・・第2鋼材、3・・・第3鋼材、3a・・・プレート(接触部)、3b・・・折り曲げ部(接触部)、4・・・ナット、10・・・結合金具、20・・・第1挟持部材、21・・・ロッド部、21a・・・雄ねじ、22・・・第1挟持部、23・・・ループ部、30・・・第2挟持部材、31・・・第2挟持部、32・・・貫通孔、33・・・係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12