(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165412
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】巻き上げられたファイバにより強化された熱可塑性シースを有する動的ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/282 20060101AFI20231108BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01B7/282
H01B7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075817
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】22305647.4
(32)【優先日】2022-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501044725
【氏名又は名称】ネクサン
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン オーダン
(72)【発明者】
【氏名】ベングソン カール マグナス
(72)【発明者】
【氏名】アクリッチェフ アントン
【テーマコード(参考)】
5G313
【Fターム(参考)】
5G313AA02
5G313AB02
5G313AC07
5G313AD03
5G313AE00
5G313AE02
5G313AE05
5G313EA09
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5G313FA03
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5G313FC10
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5G313FD03
5G313FD05
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5G313FD10
5G313FD11
5G313FD13
5G313FD14
5G313FD15
(57)【要約】
【課題】 巻き上げられたファイバにより強化された熱可塑性シースを有する動的ケーブルを提供する。
【解決手段】 本発明は海中アプリケーションのための動的電力ケーブルに関し、動的電力ケーブルは、遮水壁シースを中心に放射状に少なくとも1つのファイバ強化熱可塑性化合物シースを含み、遮水壁シースの座屈を低減し、少なくとも1つのファイバ強化熱可塑性化合物シースは熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-導電体(3)と前記導電体(3)の外側に放射状に配置される電気的絶縁層(4)とを含む少なくとも1つのケーブル芯(2)、
-前記ケーブル芯(2)の外側に放射状に配置される遮水壁シース(5)、及び
-熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む前記遮水壁シース(5)の外側に放射状に配置される内側熱可塑性化合物芯シース(6)を含む動的電力ケーブル(1)。
【請求項2】
少なくとも3つのケーブル芯(2)を含む、請求項1に記載の動的電力ケーブルであって、各ケーブル芯は、
-各ケーブル芯(2)の外側に放射状に配置される遮水壁シース(5)、及び
-熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む各遮水壁シースの外側に放射状に配置される内側熱可塑性化合物芯シース(6)を有する、動的電力ケーブル。
【請求項3】
前記動的電力ケーブルは、遮水壁シース(5)及び内側熱可塑性化合物芯シース(6)を有する前記少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状に配置される鎧装層(11)を含み、熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む外側熱可塑性化合物シース(12)が前記鎧装層(11)の外側に放射状に配置される、請求項2に記載の動的電力ケーブル。
【請求項4】
前記動的電力ケーブルは、遮水壁シース(5)及び内側熱可塑性化合物芯シース(6)を有する前記少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状に配置される熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む外側熱可塑性化合物シース(12)を含み、前記電力ケーブルは鎧装層(11)を含まない、請求項2に記載の動的電力ケーブル。
【請求項5】
前記内側熱可塑性化合物芯シース(6)の前記ファイバは、ガラスファイバ、炭素ファイバ、ポリプロピレンファイバ、ポリエチレンファイバ、アラミドファイバ、液晶高分子ファイバ、ポリエステルファイバ、天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項6】
前記内側熱可塑性化合物芯シース(6)は少なくとも1%(v/v)ファイバにより強化される、請求項1~5のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項7】
前記内側熱可塑性化合物芯シース(6)の前記ファイバは前記熱可塑性高分子により予め含浸される、請求項1~6のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項8】
前記内側熱可塑性化合物芯シース(6)の前記熱可塑性高分子はポリエチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリアミド及びその共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、注型ポリウレタン(PU)及びそれらの任意の組み合せから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項9】
前記外側熱可塑性化合物シース(12)の前記ファイバは、ガラスファイバ、炭素ファイバ、ポリプロピレンファイバ、ポリエチレンファイバ、アラミドファイバ、液晶高分子ファイバ、ポリエステルファイバ、天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択される、請求項3又は4に記載の動的電力ケーブル。
【請求項10】
前記動的電力ケーブルは前記遮水壁シース(5)と前記内側熱可塑性化合物芯シース(6)との間に押し出し成型熱可塑性シース、及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項11】
前記動的電力ケーブルは前記鎧装層(11)と前記外側熱可塑性化合物シース(12)との間に押し出し成型熱可塑性高分子シース及び/又は別のファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む、請求項3に記載の動的電力ケーブル。
【請求項12】
前記動的電力ケーブルは、押し出し成型熱可塑性高分子シース、及び/又は前記少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状にであるが前記外側熱可塑性化合物シース(12)の下に配置された別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む、請求項3、4、9、及び11のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項13】
前記別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは短ファイバにより強化され、前記短ファイバは約45mm以下の長さを有する、請求項10に記載の動的電力ケーブル。
【請求項14】
前記遮水壁シース(5)は少なくとも2層の絶縁又は非絶縁高分子間に積層された金属箔を含む積層構造又は縦方向溶接金属シースである、請求項1~13のいずれか一項に記載の動的電力ケーブル。
【請求項15】
ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む動的電力ケーブルを製造する方法であって、
-導電体(3)と前記導電体(3)の外側に放射状に配置される電気的絶縁層(4)とを含む少なくとも1つのケーブル芯(2)を提供する工程、
-前記ケーブル芯(2)を中心に放射状に遮水壁シース(5)を包んで防水シースを形成する工程、
-ファイバに熱可塑性高分子を含浸し、前記含浸されたファイバを前記遮水壁シース(5)を中心に放射状に巻き上げてファイバ強化熱可塑性化合物芯シース(6)を提供する工程、及び
-前記遮水壁シース(5)と前記ファイバ強化熱可塑性化合物芯シース(6)との間に押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シース及び/又は押し出し成型熱可塑性シースを任意選択的に提供する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海中アプリケーションのための動的ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
世界の海上インフラストラクチャが発達するにつれ、電力を送達することができる海底ケーブルの使用は水域の下、水域の上、水域中、又は水域全体にわたり急速に増加している。海中電力ケーブルは、細い構造であり、そして通常は水域の表面に配置された浮遊ユニット間に懸架され、ここから電力が通常は海底上の機器へ送達される。海中電力ケーブルの応用の範囲は、広く、電気を受信又は送信するために必要とされる任意の海上ベース設備(油及びガス生産設備、再生可能エネルギー生産現場(沖合風力発電地帯など)など)を含む。したがって、海中電力ケーブルは通常、波動及び水面下流からケーブルの動的運動中に課せられる機械負荷に晒される。海中電力ケーブルの所望寿命は10年~50年の間であり、したがって、ケーブル内のすべての構成要素は長期間の間機械負荷に対する暴露に耐えなければならない。
【0003】
海中電力ケーブルはケーブル芯を乾燥状態に保つために遮水壁(water barrier)シースを有することが要求される。遮水壁シースは、湿気の進入が最終的にケーブルの故障に至り得るので水の対流又は拡散を完全に遮断しなければならない。
【0004】
従来の遮水壁シースは通常、シームレス管の連続的又は不連続的押し出し成型により製造され、そしてそれらの押し出し成型性及び高延性に起因して鉛又は鉛合金をしばしば含む。
【0005】
しかし、動的ケーブル内の放射状遮水壁としての鉛シースはその材料が劣悪な疲労特性を有するのであまり好ましくない。
【0006】
鉛で作製された遮水壁を使用することを回避するために、動的電力ケーブルはしばしば、縦方向溶接金属シース(LWS:longitudinally welded metallic sheath)で作製された遮水壁、又は2層の絶縁又は非絶縁高分子層間に積層された金属層からなる金属高分子化合物を含む。しかし、これらの遮水壁は、動的設定(特に、浅水域、大電力相断面、又は特にLWS又は積層金属シース構造の座屈(buckling)に起因する過酷な環境)における動作寿命の観点でその限界に達し得る。
【0007】
機械的操作中の座屈を回避するために動的ケーブルの曲げ剛性を増加することは、外側熱可塑性シースの厚さを増加する又はその高分子特性を改善することにより既に行われてきた。外側熱可塑性シースの下の追加放射状金属鎧装(armouring)シースがしばしば使用される。
【0008】
さらに、LWSの座屈耐性を改善するために、内側熱可塑性芯シースの厚さは特に鉛被ケーブル上で使用される場合は標準より厚かった。
【0009】
したがって、ケーブルの直径を増加することがケーブルをより重くしそして操作することをより困難にするのでLWS又は積層金属シース構造の座屈を防止すると同時に内側熱可塑性芯シースの厚さ及び/又は外側熱可塑性シースの厚さの増加を防止する改善された解決策の必要性がある。
【0010】
本発明者らは、少なくとも1つのファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む動的電力ケーブルを提供することにより上述の必要性を解決した。ここでは、ファイバ強化熱可塑性化合物シースは、LWS又は積層金属シース構造の座屈を低減しそしてしたがって動的ケーブルの疲労寿命を改善するために高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む。さらに、剛性を増加することはまた、電力相径を増加することができるための必須キーであるが屈伸中の座屈に対しますます脆弱にもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは第1の態様において動的電力ケーブルを提供することにより上述の必要性を解決した。本動的電力ケーブルは、
-導電体と導電体の外側に放射状に配置される電気的絶縁層とを含む少なくとも1つのケーブル芯、
-ケーブル芯の外側に放射状に配置される遮水壁シース、及び
-熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む遮水壁シースの外側に放射状に配置される内側熱可塑性化合物芯シースを含む。
【0013】
第1の態様の一実施形態では、動的電力ケーブルは少なくとも3つのケーブル芯を含み、各ケーブル芯は、
-各ケーブル芯の外側に放射状に配置される遮水壁シース、及び
-熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む各遮水壁シースの外側に放射状に配置される内側熱可塑性化合物芯シースを含む。
【0014】
第1の態様の一実施形態では、動的電力ケーブルはさらに、遮水壁シース及び内側熱可塑性化合物芯シースを有する少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状に配置される鎧装層を含み、高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む外側熱可塑性化合物シースが鎧装層の外側に放射状に配置される。
【0015】
第1の態様の一実施形態では、動的電力ケーブルはさらに、遮水壁シース及び内側熱可塑性化合物芯シースを有する少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状に配置される熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む外側熱可塑性化合物シースを含み、動的電力ケーブルは鎧装層を含まない。この実施形態では、巻き上げられたファイバを含む外側ファイバ強化熱可塑性化合物シースが伝統的鎧装層を置換するので追加鎧装層の要求は無く、したがって動的電力ケーブルは鎧装層を含まない。
【0016】
第1の態様の一実施形態では、内側熱可塑性化合物芯シースの巻き上げられたファイバは、ガラスファイバ、炭素ファイバ、ポリプロピレンファイバ、ポリエチレンファイバ、アラミドファイバ、液晶高分子ファイバ、ポリエステルファイバ、天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択される。
【0017】
第1の態様の一実施形態では、外側熱可塑性化合物シースのファイバはガラスファイバ、炭素ファイバ、ポリプロピレンファイバ、ポリエチレンファイバ、アラミドファイバ、液晶高分子ファイバ、ポリエステルファイバ、天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択される。
【0018】
第1の態様の一実施形態では、ポリエチレンファイバはUHMWPEである。
【0019】
第1の態様の一実施形態では、天然ファイバはジュート及びサイザル及びそれらの任意の組み合せから選択される。
【0020】
第1の態様の一実施形態では、内側熱可塑性化合物シースは、少なくとも1%(v/v)ファイバ(少なくとも5%(v/v)ファイバ、少なくとも10%(v/v)ファイバ、少なくとも20%(v/v)ファイバ、少なくとも30%(v/v)ファイバ、少なくとも40%(v/v)ファイバ、少なくとも50%(v/v)ファイバ、少なくとも60%(v/v)ファイバ、少なくとも70%(v/v)ファイバ、又は少なくとも80%(v/v)ファイバなど)により強化される。
【0021】
第1の態様の一実施形態では、内側熱可塑性化合物シースは1%~90%(v/v)ファイバ(2%~90%(v/v)ファイバ、3%~90%(v/v)ファイバ、5%~80%(v/v)ファイバ、約1%~約10%(v/v)ファイバ、約10%~約50%(v/v)ファイバ、又は約50%~約90%(v/v)ファイバなど)により強化される。
【0022】
第1の態様の一実施形態では、外側熱可塑性化合物シースは、少なくとも1%(v/v)ファイバ(少なくとも5%(v/v)ファイバ、少なくとも10%(v/v)ファイバ、少なくとも20%(v/v)ファイバ、少なくとも30%(v/v)ファイバ、少なくとも40%(v/v)ファイバ、少なくとも50%(v/v)ファイバ、少なくとも60%(v/v)ファイバ、少なくとも70%(v/v)ファイバ、又は少なくとも80%(v/v)ファイバなど)により強化される。
【0023】
第1の態様の一実施形態では、外側熱可塑性化合物シースは1%~90%(v/v)ファイバ(2%~90%(v/v)ファイバ、3%~90%(v/v)ファイバ、5%~80%(v/v)ファイバ、約1%~約10%(v/v)ファイバ、約10%~約50%(v/v)ファイバ、又は約50%~約90%(v/v)ファイバなど)により強化される。
【0024】
第1の態様の一実施形態では、内側熱可塑性化合物シースのファイバはサイジングされてもされなくてもよい。
【0025】
第1の態様の一実施形態では、外側熱可塑性化合物シースのファイバはサイジングされてもされなくてもよい。
【0026】
第1の態様の一実施形態では、内側熱可塑性化合物シースのファイバは熱可塑性高分子により予め含浸される。
【0027】
第1の態様の一実施形態では、外側熱可塑性化合物シースのファイバは熱可塑性高分子により予め含浸される。
【0028】
第1の態様の一実施形態では、熱可塑性高分子はポリエチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリアミド及びその共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、注型ポリウレタン(PU)及びそれらの任意の組み合せから選択される。
【0029】
第1の態様の一実施形態では、ポリエチレンはLLDPE、MDPE及びHDPEから選択される。
【0030】
第1の態様の一実施形態では、ポリアミドはナイロンである。
【0031】
第1の態様の一実施形態では、動的電力ケーブルは、遮水壁シースと内側熱可塑性化合物芯シースとの間に押し出し成型熱可塑性高分子シース及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む。
【0032】
第1の態様の一実施形態では、動的電力ケーブルは、鎧装層と外側熱可塑性化合物芯シースとの間に押し出し成型熱可塑性高分子シース及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む。
【0033】
第1の態様の一実施形態では、動的電力ケーブルは、少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状にであるが外側熱可塑性化合物シースの下に配置された押し出し成型熱可塑性高分子シース及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む。
【0034】
第1の態様の一実施形態では、押し出し成型熱可塑性高分子シースは押し出し成型ポリエチレンシースである。
【0035】
第1の態様の一実施形態では、別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは短ファイバにより強化されており、短ファイバは45mm以下の長さを有する。
【0036】
第1の態様の一実施形態では、別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは短ファイバを含み、短ファイバは約0.1μm~約45mmの範囲内(約0.1μm~約20mmの範囲内など、約0.1μm~約10mmの範囲内など、約0.1μm~約5mmの範囲内など、約0.1μm~約4mmの範囲内など、約0.1μm~約3mmの範囲内など、約0.1μm~約2mmの範囲内など)の長さを有する。
【0037】
短ファイバは、好適には約0.1μm~約1mmの範囲内、より好適には約0.1μm~約0.5mmの範囲内の長さを有する。
【0038】
第1の態様の一実施形態では、短ファイバは、ガラスファイバ、カーボンファイバ、玄武岩ファイバ、グラフェンナノチューブ、単層及び/又は多層カーボンナノチューブ、グラフェンプレートレット、酸化グラフェンプレートレット、及び細断された天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択される。
【0039】
一実施形態では、細断された天然ファイバはジュート、竹又はそれらの任意の組み合せから選択される。
【0040】
第1の態様の一実施形態では、短ファイバは、約0.1μm~約1000μm長の範囲内の長さを有するガラスファイバである。
【0041】
第1の態様の一実施形態では、短ファイバは約0.1μm~約1000μm長の範囲内の長さを有するカーボンファイバである。
【0042】
第1の態様の一実施形態では、短ファイバは約0.1μm~約1000μm長の範囲内の長さを有する玄武岩ファイバである。
【0043】
第1の態様の一実施形態では、別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは0.01%~50%(v/v)(約0.01%~約40%(v/v)など、約0.01%~約30%(v/v)など、約0.05%~約30%(v/v)など、約0.1%~約30%(v/v)など、約0.1%~約10%(v/v)など、約5%~約30%(v/v)など)短ファイバにより強化される。
【0044】
第1の態様の一実施形態では、遮水壁シースは少なくとも2層の絶縁又は非絶縁高分子間に積層された金属箔を含む積層構造である。
【0045】
第1の態様の一実施形態では、遮水壁シースは縦方向溶接金属シースである。
【0046】
第1の態様による一実施形態では、動的電力ケーブルは高電圧動的電力ケーブルである。
【0047】
第2の態様では、ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む動的電力ケーブルを製造する方法が提供され、本方法は、
-導電体と導電体の外側に放射状に配置される電気的絶縁層とを含む少なくとも1つのケーブル芯を提供する工程、
-遮水壁シースをケーブル芯を中心に放射状に包んで防水シースを形成する工程、
-ファイバに熱可塑性高分子を含浸し、そして含浸されたファイバを遮水壁シースを中心に放射状に巻き上げてファイバ強化熱可塑性化合物芯シースを提供する工程、及び
-遮水壁とファイバ強化熱可塑性化合物芯シースとの間に押し出し成型熱可塑性高分子シース及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを任意選択的に提供する工程を含む。
【0048】
第2の態様による一実施形態では、巻き上げられたファイバは熱可塑性高分子により予め含浸される。
【0049】
第2の態様による一実施形態では、巻き上げられたファイバはサイジングされてもされなくてもよい。
【0050】
第2の態様の一実施形態では、押し出し成型熱可塑性高分子シースは押し出し成型ポリエチレンシースである。
【0051】
第2の態様の一実施形態では、別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは短ファイバにより強化されており、短ファイバは45mm以下の長さを有する。
【0052】
第2の態様の一実施形態では、遮水壁シースは少なくとも2層の絶縁又は非絶縁高分子間に積層された金属箔を含む積層構造である。
【0053】
第2の態様の一実施形態では、遮水壁シースは縦方向溶接金属シースである。
【0054】
第2の態様による一実施形態では、動的電力ケーブルは高電圧動的電力ケーブルである。
【0055】
第3の態様では、70mより深い又は900mより深い水中アプリケーションにおける動的電力ケーブルの使用が提供される。
【0056】
第3の態様による一実施形態では、動的電力ケーブルは高電圧動的電力ケーブルである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明の一実施形態を概略的に示し、1つのケーブル芯を含む動的電力ケーブル断面の例が示される。
【
図2】本発明の一実施形態を概略的に示し、3つのケーブル芯を含む動的電力ケーブル断面の例が示される。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下の説明では、本発明の様々な例及び実施形態が、当業者に本発明のより完全な理解を提供するために記載される。様々な実施形態の文脈においてそして添付図面を参照して説明される特定詳細は制限として解釈されるようには意図されていない。
【0059】
数的制限又は範囲が本明細書において陳述される場合はその終点が含まれる。また、数的制限又は範囲内のすべての値及び下位範囲は特に明示的に書き出されなくても含まれる。
【0060】
定義:
本明細書において適用される用語「高電圧」は36kVを越える(50kV~800kVの範囲内などの)電圧を指す。
【0061】
用語「動的」は、使用時に運動に晒されるケーブルを指すためにここでは適用される。
【0062】
海中動的電力ケーブルは、設置される電力ケーブルであり、2つの固定支持体間で動くことが許容される。一方の支持体は海洋底に配置されそして他方は海水面に配置される。浮遊設備の運動が動的ケーブル上の機械負荷及び疲労を導出することになる。
【0063】
本明細書において適用される用語「サイジング」は、ファイバを保護しそして熱可塑性高分子マトリクスとファイバとの間の接着性を増加するためにファイバの表面へ貼り付けられる被覆又はプライミングを指す。
【0064】
本明細書において適用される用語「%v/v」は容積濃度又は容積パーセントを指す。
【0065】
本明細書において適用される用語「巻き上げられたファイバ」又は「巻き上げファイバ」は連続ファイバの巻き上げを指す。
【0066】
本明細書において適用される用語「短ファイバ」は45mm以下の長さを有する合成又は天然ファイバを指す。ファイバの長さはファイバ強化シースの必要とされる剛性に依存して変動し得るということが当業者によく知られている。したがって、約45mm以下の任意の長さを有するファイバの使用は本発明から逸脱しない。
【0067】
高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含むファイバ強化型化合物シース
上述のように、本発明は、遮水壁シースの座屈を低減するための少なくとも1つのファイバ強化化合物シースを含む動的電力ケーブルを提供し、ファイバ強化化合物シースは熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む。
【0068】
ファイバ強化化合物シースは、動的ケーブルの疲労寿命を改善し、そして動的ケーブルの満足な延性及び剛性を提供する。
【0069】
ファイバ強化熱可塑性化合物シース内のファイバの量は、少なくとも1%(v/v)ファイバ(少なくとも5%(v/v)ファイバ、少なくとも10%(v/v)ファイバ、少なくとも20%(v/v)ファイバ、少なくとも30%(v/v)ファイバ、少なくとも40%(v/v)ファイバ、少なくとも50%(v/v)ファイバ、少なくとも60%(v/v)ファイバ、少なくとも70%(v/v)ファイバ、又は少なくとも80%(v/v)ファイバなど)を含み得る。
【0070】
代替的に、ファイバ強化熱可塑性化合物シース内のファイバの量は、約1%~約90%(v/v)ファイバ(約2%~約90%(v/v)ファイバ、約3%~約90%(v/v)ファイバ、約5%~約80%(v/v)ファイバ、約1%~約10%(v/v)ファイバ、約10%~約50%(v/v)ファイバ、又は約50%~約90%(v/v)ファイバなど)の範囲内であり得る。
【0071】
本明細書において適用される巻き上げられたファイバは連続ファイバである。
【0072】
巻き上げられたファイバはフィラメント、粗紡、又は布地であり得る。
【0073】
巻き上げられたファイバはサイジングされてもされなくてもよい。
【0074】
本明細書において適用される用語「フィラメント」は個々のファイバを指す。
【0075】
本明細書において適用される用語「粗紡」は別個のフィラメントの束を指す。
【0076】
巻き上げられたファイバはテープの形式であり得、巻き上げられたファイバは織物などのように単方向性又は多方向性である。
【0077】
テープの形式の巻き上げられたファイバはサイジングされてもされなくてもよい。
【0078】
テープ幅は約1mm~約1000mmであり得る。
【0079】
ファイバテープは、上述のように短ファイバを含む熱可塑性高分子により予め含浸され得る。
【0080】
ファイバは、ガラスファイバ、炭素ファイバ、ポリプロピレンファイバ、ポリエチレンファイバ(例えばUHMWPE)、アラミドファイバ、液晶高分子ファイバ(例えばVectran)、ポリエステルファイバ、天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択され得る。
【0081】
天然ファイバはジュート、サイザル及びそれらの任意の組み合せから選択され得る。
【0082】
フィラメント、粗紡、又は布地の形式の巻き上げられたファイバは、ケーブル処理及び絶縁を改善するために、ファイバを遮水壁シースを中心に放射状に巻き上げる前に熱可塑性高分子により予め含浸され得る。
【0083】
熱可塑性高分子は絶縁性又は非絶縁性であり得る。
【0084】
用語「絶縁性」又は「非絶縁性」は本明細書では材料の電導性を指す。
【0085】
熱可塑性高分子は、ポリエチレン(LLDPE、MDPE、HDPEなどの)及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリアミド(ナイロンなど)及びその共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、注型ポリウレタン(PU)及びそれらの任意の組み合せから選択され得る。
【0086】
短ファイバを含む別のファイバ強化熱可塑性化合物シース
動的電力ケーブルの剛性をさらに増加するために、電力ケーブルは、短ファイバを含む別の押し出し成型ファイバ強化化合物シースを含み得る。
【0087】
別のファイバ強化型化合物シースの短ファイバの長さは45mm以下(20mm以下など、15mm以下など、10mm以下などの5mm以下など、4mm以下など、3mm以下など、2mm以下など、1.5mm以下など、1mm以下などの)であり得る。
【0088】
代替的に、短ファイバは、約0.1μm~約45mmの範囲内(約0.1μm~約20mmの範囲など、約0.1μm~約10mmの範囲など、約0.1μm~約5mmの範囲など、約0.1μm~約4mmの範囲など、約0.1μm~約3mmの範囲など、約0.1μm~約2mmの範囲など)の長さを有し得る。
【0089】
短ファイバは、好適には約0.1μm~約1mmの範囲内、より好適には約0.1μm~約0.5mmの範囲内の長さを有する。
【0090】
短ファイバは、ガラスファイバ、カーボンファイバ、玄武岩ファイバ、グラフェンナノチューブ、単層及び/又は多層カーボンナノチューブ、グラフェンプレートレット、酸化グラフェンプレートレット、及び細断された天然ファイバ及びそれらの任意の組み合せから選択され得る。
【0091】
細断された天然ファイバはジュート、竹及びそれらの任意の組み合せから選択され得る。
【0092】
短ファイバはサイジングされてもされなくてもよい。
【0093】
短ファイバは、約0.1μm~約1000μm長の範囲内の長さを有するガラスファイバであり得る。
【0094】
短ファイバは、約0.1μm~約1000μm長の範囲内の長さを有するカーボンファイバであり得る。
【0095】
短ファイバは、約0.1μm~約1000μm長の範囲内の長さを有する玄武岩ファイバであり得る。
【0096】
短ファイバはグラフェンナノチューブであり得る。
【0097】
短ファイバは単層及び/又は多層カーボンナノチューブであり得る。
【0098】
短ファイバはグラフェンプレートレット又は酸化グラフェンプレートレットであり得る。
【0099】
短ファイバは細断された天然ファイバであり得る。
【0100】
別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シース内の短ファイバの量は変動し得、そして上記説明された短ファイバの少なくとも0.01%(v/v)(少なくとも0.05%(v/v)など、少なくとも0.1%(v/v)など、少なくとも0.5%(v/v)など、少なくとも1%(v/v)など、少なくとも5%(v/v)など、少なくとも10%(v/v)など、少なくとも20%(v/v)など)を含み得る。
【0101】
代替的に、別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シース内の短ファイバの量は、0.01%~50%(v/v)(約0.01%~約40%(v/v)など、約0.01%~約30%(v/v)など、約0.05%~約30%(v/v)など、約0.1%~約30%(v/v)など、約0.1%~約10%(v/v)など、約5%~約30%(v/v)など)の範囲内であり得る。
【0102】
別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースの熱可塑性高分子は、ポリエチレン(LLDPE、MDPE、HDPEなどの)及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリアミド(ナイロンなど)及びその共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、注型ポリウレタン(PU)及びそれらの任意の組み合せから選択され得る。
【0103】
ファイバ強化熱可塑性化合物芯シースを含む動的電力ケーブル
本発明は、本発明のケーブルの一実施形態の断面の概略図を示す添付図面の
図1及び
図2を参照してさらに説明される。
【0104】
図1は、動的電力ケーブル1の断面の例を概略的に示し、ここで、ケーブル1は1つのケーブル芯2と共に示される。しかし、本発明は1芯ケーブルに限定されなく、そしてケーブル1は、ケーブルの目的に好適であると思われるように2つ以上の芯2を含み得る。したがって、
図2は3つのケーブル芯2を含む動的電力ケーブル1断面の例を示す。
【0105】
各芯2は、芯2の中心に配置された導電体3と各導電体3の外側に放射状に配置された電気的絶縁層4とを含む。第1の電気的絶縁層4の外側において、図では示されていないが、電気的絶縁層4と遮水壁シース5との間に配置される封止材層が配置され得る。この封止材は、水と接触すると膨れ、これにより、遮水壁シース5内の亀裂又は他の故障の場合に湿気の流入を防止する追加冗長性手段として働く。
【0106】
1つの好適な形態では、遮水壁シース5の外側に放射状に内側ファイバ強化熱可塑性化合物芯シース6が存在する。この内側ファイバ強化熱可塑性芯シース6は、熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む。
【0107】
巻き上げられたファイバは上述のように熱可塑性高分子により予め含浸され得る。
【0108】
電力ケーブルは、遮水壁シース5と内側熱可塑性化合物芯シース6との間に押し出し成型熱可塑性高分子層及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含み得る。
【0109】
押し出しプロセスは、当該技術領域において周知のプロセスでありそして当業者に明らかになるので本明細書ではさらに説明されない。
【0110】
遮水壁シース5と内側熱可塑性化合物芯シース6との間の別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは短ファイバを含むファイバ強化熱可塑性化合物シースであり得る。短ファイバを含むファイバ強化熱可塑性化合物シースの詳細は上に述べている。
【0111】
遮水壁シース5を内側熱可塑性化合物芯シース6に束縛する中間接着層が提供され得る。
【0112】
当業者は好ましい接着剤について十分に知っている。
【0113】
ケーブル1及びその変形形態は、各導電体3又は少なくとも1つのケーブル芯2の外側に放射状に配置される
図2に例示されるような本明細書ではさらに説明されない追加層(又は充填材10)を含み得るということに注意すべきである。これらの層及び材料は、本明細書において既に述べた層の内部、その間又はその外側に配置され得、そして当該技術分野で良く知られているように例えば追加絶縁層、半導体層、導電層、遮蔽層及び鎧装層を含み得る。
【0114】
動的電力ケーブルは直流(DC)電力ケーブル又は交流(AC)電力ケーブルであり得る。
【0115】
動的電力ケーブルは高電圧動的電力ケーブルであり得る。
【0116】
一態様では、1つのケーブル芯2は
図2に示すようにいくつかの他のケーブル芯と共にひとまとめにされ得る。
【0117】
例えば、動的電力ケーブルは少なくとも3つのケーブル芯2を含み、各ケーブル芯は、
-ケーブル芯2の外側に放射状に配置される遮水壁シース5、及び
-遮水壁シース5の外側に放射状に配置される内側ファイバ強化熱可塑性化合物芯シース6を含み、各内側ファイバ強化熱可塑性化合物芯シース6は熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む。
【0118】
ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含む動的電力ケーブルを製造する方法も提供され、本方法は、
-導電体3と導電体3の外側に放射状に配置される電気的絶縁層4とを含む少なくとも1つのケーブル芯2を提供する工程、
-遮水壁シース5をケーブル芯2を中心に放射状に包んで防水シースを形成する工程、
-ファイバに熱可塑性高分子を含浸し、そして含浸されたファイバを遮水壁シース5を中心に放射状に巻き上げ、ファイバ強化熱可塑性化合物芯シースを提供する工程、及び
-遮水壁シース5とファイバ強化熱可塑性化合物芯シース6との間に押し出し成型熱可塑性高分子シース及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを任意選択的に提供する工程を含む。
【0119】
巻き上げられたファイバ及び熱可塑性高分子の詳細は上に述べている。
【0120】
別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは約45mm以下の長さを有する短ファイバを含み得る。
【0121】
短ファイバを含む別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースの詳細は上に述べている。
【0122】
巻き上げられたファイバは熱可塑性高分子により予め含浸され得る。
【0123】
巻き上げられたファイバは、一方向に単一層内に又は複数の方向にいくつかの層(プライなど)内に貼り付けられ得、こうして頑強な化合物積層板を形成する。単一層又は複数層は異なる剛性を化合物シースへ提供することになり、したがって変動し得るということを当業者は理解する。
【0124】
巻き上げられたファイバの方向はケーブル軸に対し0~90度にわたり得る。
【0125】
巻き上げられたファイバを含むファイバ強化化合物シースは、圧縮又は予熱のような支援操作による押し出し成型が続くファイバ配置などの多工程プロセスを必要とする可能性がある。
【0126】
フィラメント巻き上げ技術が、フィラメントをケーブルを中心に放射状に巻き上げるために使用され得る。フィラメント巻き上げは、例えば回転する心棒(mandrel)の上又はケーブル芯の真上の張力下でファイバを巻き上げることに関与する。ファイバは、巻き上げながら浴槽を通ることにより熱可塑性高分子などの樹脂により含浸され、こうしてファイバ化合物材料を形成する。
【0127】
フィラメント巻き上げは当業者にとって周知のプロセスである。
【0128】
代替的シース設計は、予め製作されたファイバテープを巻き上げることにより行われ得る。
【0129】
ファイバテープは、レーザ、熱銃及び加熱ローラなどの外部加熱により、又は誘導コイルにより行われる電力ケーブル芯からの内部加熱により圧縮及び溶融融合され得る。圧縮及び融合により支援されるテープ巻き上げは当業者にとって周知のプロセスである。
【0130】
ファイバ強化熱可塑性化合物シースをさらに含む動的電力ケーブル
別の態様では、動的電力ケーブルは少なくとも3つのケーブル芯を含み、動的電力ケーブルはさらに、少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状に配置される鎧装層11を含み得、熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む外側熱可塑性化合物シース12が鎧装層11の外側に放射状に配置される。
【0131】
上記態様では、電力ケーブルは、鎧装層11と外側熱可塑性化合物シース12との間に押し出し成型熱可塑性高分子層及び/又は別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースを含み得、別の押し出し成型ファイバ強化熱可塑性化合物シースは熱可塑性高分子内に短ファイバを含む。
【0132】
別の態様では電力ケーブルは少なくとも3つのケーブル芯を含み、電力ケーブルはさらに、遮水壁シース5及び内側熱可塑性化合物芯シース6を含む少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状に配置される熱可塑性高分子内に埋め込まれた巻き上げられたファイバを含む外側熱可塑性化合物シース12を含み得、電力ケーブルは鎧装層11を含まない。
【0133】
鎧装層11の無い電力ケーブルを参照すると、電力ケーブルは、この態様では、遮水壁シース5及び内側熱可塑性化合物芯シース6を含む少なくとも3つのケーブル芯の外側に放射状にであるが外側熱可塑性化合物シース12の下に配置された押し出し成型熱可塑性高分子層及び/別の又は押し出し成型ファイバ強化熱可塑性高分子シースを含み得、別のファイバ強化熱可塑性高分子シースは上述のように短ファイバにより強化される。
【0134】
ファイバ及び高分子の詳細は上に説明されている。
【0135】
遮水壁シース
一態様では、遮水壁シース5は積層金属シース構造であり得る。
【0136】
遮水壁シース5が遮水壁積層である場合、遮水壁積層は、電気的絶縁性又は電気的非絶縁性である最終積層を構成する少なくとも2層の絶縁性又は非絶縁性高分子間に積層された金属箔を含む。
【0137】
積層構造おける使用のための絶縁性又は非絶縁性高分子層は当業者によく知られており、非絶縁性高分子層の例は(特許文献1)に見出され得る。本明細書において使用される用語「金属箔」は積層構造の中央の金属層を指す。本発明は、いかなる特定金属/合金の使用又は金属箔の厚さの使用にも縛られない。電力ケーブル内の遮水壁における使用に適していると当業者により知られた任意の厚さの任意の金属/合金が適用され得る。一例示的実施形態では、金属箔はTi/Ti合金、Al/Al合金、Cu/Cu合金又はFe/Fe合金のいずれかである。金属箔の厚さは、10~250μm、好適には15~200μm、より好適には20~150μm、より好適には25~100μm、そして最も好適には30~75μmの範囲のうちの1つの範囲内にあり得る。
【0138】
代替的に、遮水壁シース5は金属LWSであり得る、すなわち遮水壁シース5は縦方向溶接金属シースであり得る。本発明はLWS内のいかなる特定金属/合金の使用にも縛られない。
【0139】
一態様では、LWSは工業用純チタン又はチタン合金で作製され得る。
【0140】
一態様では、LWSは工業用純粋錫又は錫合金で作製される。
【0141】
別の態様では、LWSは工業用純粋銅又は銅合金で作製される。
【0142】
別の態様では、LWSは工業用純粋アルミニウム又はアルミニウム合金で作製される。
【0143】
別の態様では、LWSはステンレス鋼で作製される。
【0144】
導電体
中間電流能力から高流能力のための電力ケーブルはそれらの芯に通常1つ又は複数の導電体、それに続いて導電体の電気的絶縁及び遮蔽、芯を保護する内側シース、鎧装層、及び外側シースを有する。電力ケーブルの導電体は通常、アルミニウム又は銅のいずれかで作製される。電力ケーブルの導電体は、電気的絶縁層及び電気的遮蔽層により囲まれた単一ストランド、又は電気的絶縁層及び電気的遮蔽層により囲まれたバント(bunt)内へ配置された多くのストランドのいずれかであり得る。
【符号の説明】
【0145】
1 動的電力ケーブル
2 ケーブル芯
3 導電体
4 電気的絶縁層
5 遮水壁シース
6 内側熱可塑性化合物芯シース
10 充填材
11 鎧装層
12 外側熱可塑性化合物芯シース