IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コグノア,インク.の特許一覧

特開2023-165417デジタル個別化医療のためのプラットフォームとシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165417
(43)【公開日】2023-11-15
(54)【発明の名称】デジタル個別化医療のためのプラットフォームとシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20231108BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124893
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2019543082の分割
【原出願日】2018-02-08
(31)【優先権主張番号】62/457,130
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.MATLAB
3.アンドロイド
4.FITBIT
(71)【出願人】
【識別番号】519173211
【氏名又は名称】コグノア,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーガン,ブレント
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】個別化治療の処置と改善された診断のためのデジタル治療システム及びモバイルデバイスを提供する。
【解決手段】デジタル個別化医療システムは、個別化されるか又はより適切な治療的介入と、改善された診断を提供するために、被験体の症状の評価または診断のためにデジタルデータを使用する。関係する特徴重要度を用いた優先的質問と回答の使用は、精神機能を評価し、より少ない質問での被験体の診断を可能にするために使用することができ、その結果、診断をより頻繁に繰り返すことができ、かつ、より頻繁に用量を調節することができる。被験体の薬物動態は、被験体のための処置計画を決定するために、人口統計データとバイオマーカーに基づいて推定するか又は測定することができる。さらに、バイオマーカーは、被験体が望ましくない副作用を経験するリスクにあり得る場合を判定するために使用することができ、そして処置計画が適宜、調節される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別化治療の処置計画で被験体を処置するためのデジタル治療システムであって、該デジタル治療システムは:
プロセッサであって:
被験体に関するデータを受け取り、および被験体に関する診断データを出力する診断モジュールであって、被験体に関する診断データを判定するために被験体集団に関するデータに基づいた、機械学習分類子、人工知能分類子、および統計的モデリング分類子から成る群から選択される診断分類子を含む、診断モジュール、および
被験体に関する診断データを受け取り、および被験体に関する個別化治療の処置計画を出力するための治療モジュール、
に対するソフトウェア命令を含む、プロセッサを含み、治療の処置計画は、治療薬の投与のタイミングまたは量を含み、治療モジュールは、機械学習分類子、人工知能分類子、および統計的モデリング分類子から成る群から選択される治療分類子を含み、治療分類子は、被験体のための治療薬の投与のタイミングまたは量を決定するために被験体集団に関するデータに基づく、デジタル治療システム。
【請求項2】
被験体に関するデータは、被験体の認知機能に関する複数の質問に対する回答を含み、および被験体集団に関するデータは、被験体集団の構成員の認知機能に関する複数の質問に対する回答を含む、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項3】
診断モジュールまたは治療モジュールは、被験体の認知機能に関する複数の質問に対する回答に応じて、および随意に被験体に関する追加データに応じて、被験体の挙動または能力を評価するように構成された第2の分類子を含む、請求項2に記載のデジタル治療システム。
【請求項4】
被験体に関する追加データは、受動的なデータまたは第三者から収集したデータを含む、請求項3に記載のデジタル治療システム。
【請求項5】
第2の分類子は、被験体の挙動または能力に数的スコアを割り当てるように構成される、請求項3に記載のデジタル治療システム。
【請求項6】
診断モジュールは、被験体の数的スコアの数値または数値の変化を、類似のコホートによって定義される他の被験体の数的スコアと比較するように構成される、請求項5に記載のデジタル治療システム。
【請求項7】
治療モジュールは、被験体の数的スコアの数値または数値の変化と、類似のコホートによって定義された他の被験体の数的スコアとの比較に応じて、患者のための個別化治療の処置計画を決定し出力するように構成される、請求項6に記載のデジタル治療システム。
【請求項8】
診断モジュールは、複数の質問の各々に対する回答に応じて診断スコアを生成するように構成され、ここで複数の質問の各々に対する前記回答は、前記の各回答に関する特徴重要度に対応し、および診断モジュールは、前記特徴重要度に応じてスコアを生成し、かつ治療モジュールにスコアを伝達するように構成され、および治療モジュールは、スコアに応じて投与のタイミングまたは量を決定するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項9】
診断モジュールは、複数の別個の重複しない時点の各々で複数の診断スコアを生成し、および、複数の別個の重複する時点の各々について、治療モジュールに複数の診断スコアを送信するように構成され、ここで治療モジュールは、複数の診断スコアに応じて、投与のタイミングまたは量を決定するように構成される、請求項8に記載のデジタル治療システム。
【請求項10】
診断モジュールは、診断スコアの大きさに基づいて特定の時点で認知機能属性または行動障害の重症度を判定するように構成される、請求項9に記載のデジタル治療システム。
【請求項11】
処置計画は、投与の量とタイミングを含む、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項12】
治療モジュールは、被験体に関する診断データに応じて個別化治療の処置計画を決定するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項13】
診断モジュールは、被験体の治療に応じて被験体から最新の被験体データを受け取り、および被験体に関する最新の診断データを生成するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項14】
治療モジュールは、治療薬の最新の用量を投与するための最新の量と最新のタイミングを決定するために、最新の診断データを受信し、および診断データと最新の診断データに応じて被験体に関する最新の個別化処置計画を出力するように構成される、請求項13に記載のデジタル治療システム。
【請求項15】
被験体のための個別化治療の処置計画は、治療薬の最新の用量の最新の量および最新の投与タイミングを含む、請求項14に記載のデジタル治療システム。
【請求項16】
治療薬は、約1~約30日の範囲内のベータ排出半減期を含み、および治療モジュールは、ベータ排出半減期に応じて続く投与のタイミングを決定するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項17】
治療モジュールは、被験体の測定された薬物動態に応じて、治療薬の投与のタイミングまたは量を決定し、および個別化治療の処置計画を出力するように構成され、および随意に、被験体の測定された薬物動態は、アルファ排出半減期とベータ排出半減期から成る群から選択される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項18】
被験体の測定された薬物動態は、最初に、被験体への治療薬の既知量の投与に応じて、次に、治療薬の量の決定に応じて決定される、請求項17に記載のデジタル治療システム。
【請求項19】
治療モジュールは、被験体に有効治療域内の治療薬を提供するために、被験体の血液中の治療薬の標的治療範囲とベータ排出半減期に応じて続く投与の量またはタイミングを決定するように構成され、および治療モジュールは、投与と続く投与との間の時間の少なくとも半分にわたり有効治療域内の用量から治療薬を提供するために、続く投与のタイミングを決定するように構成される、請求項17に記載のデジタル治療システム。
【請求項20】
治療モジュールは、被験体の人口統計に基づいて、被験体の推定ベータクリアランス率に応じて治療薬の投与のタイミングまたは量を決定し、および個別化治療の処置計画を出力するように構成され、および随意に、被験体の測定された薬物動態は、アルファ排出半減期とベータ排出半減期から成る群から選択される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項21】
被験体の人口統計は、身長、体重、年齢、および性別から成る群から選択される、請求項20に記載のデジタル治療システム。
【請求項22】
治療薬はスラミンを含み、および被験体は小児の被験体である、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項23】
前記デジタル治療システムは複数の質問を表示するように構成されたユーザーインターフェースを含み、および治療モジュールは、複数の質問に応じて効果を判定するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項24】
治療薬はスラミンを含み、およびスラミンの注入量は、被験体の体重1kgあたり約10~約40mg/kgの範囲内である、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項25】
治療モジュールは、被験体のクレアチニン測定に応じて治療薬の用量を決定するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項26】
治療モジュールは、被験体に関する診断データと最新の診断データに応じて、治療薬の投与のタイミングまたは量を調節するように構成される、請求項13に記載のデジタル治療システム。
【請求項27】
治療モジュールは、固定された投与スケジュールと固定された測定スケジュールを提供し、かつ被験体に関する診断データおよび最新の診断データに応じて、次の投与の量を調節するように構成される、請求項13に記載のデジタル治療システム。
【請求項28】
治療モジュールは、被験体の診断データと最新の診断データ、および測定された薬物動態に応じて、治療薬の用量の投与タイミングを調節するように構成される、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項29】
治療モジュールは、約1μMから約100μMの範囲内の、被験体の血液中のスラミンの量を標的とするように構成される、請求項22に記載のデジタル治療システム。
【請求項30】
治療モジュールは、被験体から得た生体サンプル中の複数の代謝物質の各々の量の検出に基づいて、治療薬の投与のタイミングと量を決定するように構成され、各代謝産物は:クレアチンまたはクレアチニン代謝、プリン代謝、エイコサノイド代謝、レゾルビン代謝、ビタミンB3代謝、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド代謝、マイクロバイオーム代謝、脂肪酸の酸化および/または合成、ガングリオシド代謝、スフィンゴリピド代謝、解糖および/または糖新生、S-アデノシルメチオニン代謝、Sアデノシルホモシエイン代謝、グルタチオン代謝、リン脂質代謝、酸化窒素代謝、活性酸素種代謝、カルディオリピン代謝、胆汁酸塩代謝、コレステロール代謝、コルチゾール代謝、ステロイド代謝、シュウ酸塩代謝、グリオキシラート代謝、トリプトファン代謝、クレブス回路、γ-アミノ酪酸代謝、グルタミン酸塩代謝、アルギニン代謝、オルニチン代謝、プロリン代謝、ピリミジン代謝、ビタミンB2代謝、チロキシン代謝、アミノ糖代謝、ガラクトース代謝、メチオニン代謝、ビオプテリン代謝、ネオプテリン代謝、および/またはモリブドプテリン代謝から成る群から選択される代謝経路にある、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項31】
治療モジュールは、被験体から得た生体サンプル中の複数の代謝物質の各々の量の検出に基づいて、治療薬の投与のタイミングと量を決定するように構成され、各代謝物質は:クレアチニン、キサンチン、ヒポキサンチン、イノシン、LTB4、グアノシン、1-メチルニコチンアミド、11-デヒドロ-トロンボキサンB2,4-ヒドロキシフェニル乳酸、L-シスチン、ヘキサノイルカルニチン、ジヘキソシルセラミド、セラミド、2,3-ジホスホグリセリン酸、イノシトールリン脂質、システイン-グルタチオンジスルフィド、D-グルコース、トリヘキソシルセラミド、ビスモノアシルリン脂質、マロンジアルデヒド、ホスファチジルコリン、3,5-テトラデカジエンカルニチン、エポキシ-5,8,11-エイコサトリエン酸、カルディオリピン、8,9-エポキシエイコサトリエン酸、ミリストイルカルニチン、コール酸、オクタノイルカルニチン、ピメリルカルニチン、ドデカノイルカルニチン、L-ホモシステイン酸、9-デセノイルカルニチン、ヒドロキシイソカプロン酸、プロピオン酸、5-アルファ-コレスタノール、グリセリン酸1,3-重リン酸塩、3-メチルフェニル酢酸、シチジン、オキサル酢酸、9-ヘキサデセノイルカルニチン、デヒドロイソアンドロステロン3‐硫酸塩、11-R-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、ピリドキサミン、11,12-ジヒドロキシエイコサトリエン酸、セドヘプツロース7‐リン酸塩、および5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチドから成る群から選択される代謝物質である、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項32】
被験体は被験体集団の構成員ではない、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項33】
治療モジュール分類子は、被験体集団に関するデータの一部に基づく、請求項1に記載のデジタル治療システム。
【請求項34】
被験体のための個別化処置計画を提供するモバイルデバイスであって、該モバイルデバイスは:
ディスプレイ;および、
プロセッサであって:
(i)被験体の認知機能に関連する複数の質問を表示し;
(ii)被験体の処置前に、被験体の認知機能に関連する複数の質問への回答を含むユーザーからの入力を受信し;
(iii)複数の質問に応じて被験体のための個別化治療の処置計画を表示するための命令を伴って構成され、個別化治療の処置計画は、治療薬の投与量と投与のタイミングを含む、プロセッサ、
を含む、モバイルデバイス。
【請求項35】
プロセッサは、ユーザーが個別化治療の処置計画に従って処置されたことの指標を受信するために命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項36】
プロセッサは、治療薬を用いた被験体の処置後に、被験体の認知機能に関する第2の複数の質問を表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項37】
プロセッサは、治療薬での被験体の処置後に、被験体の認知機能に関する複数の質問に対する回答を含むユーザーからの入力を受信するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項38】
プロセッサは、治療薬での被験体の処置後に、被験体の認知機能に関する複数の質問に対する回答を含むユーザーからの受信された入力に応じて、治療薬の第2の用量の第2の量と投与タイミングを含む、被験体のための最新の個別化治療の処置計画を表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項39】
プロセッサは、被験体への用量の投与前に、複数の質問のうち次に最も予測される質問を受信して表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項40】
プロセッサは、被験体への用量の投与後に、次に最も予測される質問を受け取り表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項41】
プロセッサは、行程(iii)でのユーザーの処置後に、複数の質問に対する回答を含むユーザーからの受信された入力に応じて、治療薬の次の用量の量と投与タイミングを含む、ユーザーのための最新の個別化治療の処置計画を表示するために命令を実行した後、ユーザーからの入力の受信に応じて、工程(i)から(iii)を繰り返し実行するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項42】
プロセッサは、ユーザーが処置を完了した後に、ユーザーがチェックインするべき次の回を示す、ユーザーへのプロンプトを表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項43】
プロセッサは、治療薬の用量が投与された量と時間を入力するようにユーザーに促し、および用量が投与された量と時間を示す記録を更新するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項44】
プロセッサは、ユーザーの処置に対する反応を示すスコア結果を表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【請求項45】
プロセッサは、薬理学的または非薬理学的介入に関連する複数の質問を表示するための命令を伴って構成される、請求項34に記載のモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2017年2月9日出願の、“PLATFORM AND SYSTEM FOR DIGITAL PERSONALIZED MEDICINE”と題した米国仮特許出願第62/457,130号の優先権を主張し、その全内容が、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
患者のデジタル診断と処置のための先行方法および装置は、少なくともいくつかの点で理想を満たしていない。多くの方法で患者からデジタルデータを得ることができるが、患者の処置へのこのデジタルデータの組み込みは理想を満たしていない。例えば、単に患者の活動を記録し、事前に決定された処置に従って活動を提案することが、患者に最良の処置を提供する訳ではない。
【0003】
機械学習を用いたデジタル診断が提案されてきたが、患者の処置へのデジタル診断の組み込みは、理想を満たし得ない。例えば、患者を診断するために使用される分類子は、最も効果的に、診断を処置と提携させ、および処置をモニタリングするのに、理想とするほど適していない場合もある。
【0004】
例えば発達に係る障害を有する人々等の人々の認知機能を診断し、および処置するための先行する方法と装置は、少なくともいくつかの点で理想に満たないことがある。残念ながら、診断と処置を得るために、および患者が痴呆、アルツハイマー病または発達障害等の認知機能の低下のリスクにあるかどうかを判定するために、理想よりも多くの時間、エネルギー、および費用が求められる場合もある。先行アプローチによって理想に満たない処置をなされる認知障害と発達障害の例として、例えば自閉症、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、および言語障害と学習障害が含まれる。先行アプローチによって理想に満たない処置をなされる気分障害または精神病の例として、うつ病、不安、ADHD、強迫障害、および物質乱用と摂食障害等の物質障害が含まれる。いくつかの神経変性疾患の診断と処置に対する先行アプローチは、多くの事例で理想を満たすことができず、そのような神経変性疾患の例には、例えば年齢に関係する認知力低下、認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)が含まれる。ヘルスケアシステムは、より低いコストでケアを送達するためにますます高まる圧力下にあり、および発達障害のリスクにある患者を臨床的に診断または識別するための先行方法と装置は、ヘルスケアシステムに対して理想よりも多くの費用と負担をもたらし得る。さらに、少なくとも何人かの患者は、理想とされるようにすぐには処置されず、その結果、ヘルスケアシステムに関する負担が、これらの被験体に必要な追加のケアと共に増加する。
【0005】
患者の認知障害の識別と処置は、精度と効率の両方の点で、気力をくじくような技術的問題を提示し得る。そのような障害を識別し処置するための多くの先行方法は、しばしば多くの時間を要し、かつ資源集約的であり、多くの質問に回答するよう患者に求め、または有資格の臨床医による管理下で広範な観察を受けるよう患者に求め、患者の地理的位置によっては臨床医の人数とアベイラビリティが制限されている場合もある。加えて、そのような方法を使用して評価される患者がしばしば、捉えて分類するのが困難であり得る広範な変動を示すため、行動障害、神経障害、または精神衛生障害を識別して処置するための多くの先行方法の精度と一貫性は理想に満たない。診断と処置に関する精度と効率の両方を改善することができる、そのような技術的問題への技術的解決法が望まれるであろう。理想的には、そのような技術的解決法は、行動障害、神経障害、または精神衛生障害等の認知機能属性を識別して処置するための方法を実施するための必要時間と資源を減らし、患者の識別結果の精度と一貫性を改善するだろう。
【0006】
さらに、発達障害のリスクにあると患者を診断または識別するために、親等の介護者に質問付きの長い事前テストを実施してもよいが、そのようなテストは非常に長く、厄介であり得る。例えば、これらのテストの少なくともいくつかには100以上の質問があり、複数のそのような長いテストが実施されると、医療従事者と介護者の負担をさらに増やすだろう。患者の臨床的所見等の追加データが求められる場合もあり、クリニックへの通院は、ヘルスケアシステムにかかる時間と負担をさらに増大させるだろう。結果的に、患者が評価の必要ありと識別されてから、発達遅延のリスクの臨床的識別または診断をされるまでの時間は、数ヶ月、いくつかの事例では一年にわたり得る。
【0007】
さらに、進行した、正常な、および低下した認知機能を有する患者に関して、認知機能を進歩させるための診断法と処置を患者に適用することができれば有用であろう。
【0008】
加えて、多くの先行方法と装置は、行動障害、神経障害、または精神衛生障害等の認知機能属性を処置するための理想を満たすことができない。治療薬の送達が可能であるが、十分な量で送達することができず、望ましくない副作用を有し得る。固定された投薬または処置レジメンに依存する先行方法と装置は、例えば、治療薬の治療の有益性にとって適正な量を保持しない場合もある。さらに、あまりにも多くの治療薬を送達することで、結果として副作用を招き得る。さらに、全ての患者が同じように反応することはなく、何人かの患者は、望ましい治療上の有益性を達成するのに必要であろうよりも多くの薬剤を摂取し、他方で他の患者は、同様の用量では十分でない場合もある。したがって、患者の薬物動態等の、患者の個々の特徴に合わせて処置をカスタマイズすることができる方法と装置があれば有益だろう。
【0009】
成長しているクラスの抗プリン作動性の医薬品(APD)が開発されているが、治療的処置に治療薬を取り込む際の技術的な難題は、適切な用量の決定だけでなく、処置としてその効果を維持するために被験体の血流中で治療薬のレベルをどのように維持するかに関しても存在する。より具体的には、スラミン等のいくつかのAPDは、ある患者では高すぎて、結果として毒性をもたらす用量で使用され、他方で他の患者では、同じ用量では低すぎて、効果が低下する場合もある。したがって、スラミン等の治療薬を用いた自閉症等の認知障害を処置するための、改良された方法と装置を提供すると有利であろう。
【0010】
本開示に関連する研究は、腎臓機能が治療薬のクリアランス率と、投与可能な治療薬の量に関係し得ることを示唆している。例えば、患者は異なる腎臓機能と、関係するベータクリアランス率を有する場合もあり、その結果、治療薬は、別の患者よりも素早く、ある患者から除去され得る。さらに、許容可能な治療薬の量は、クレアチニン等の腎臓機能のバイオマーカーと関係し得る。先の1回用量は、すべてのアプローチを臨床試験に適合させ、他方で、個々の患者の特徴に基づいて、効果を引き続き改善することができる。
【0011】
上記に照らすと、被験体のための改善されたデジタル治療が求められる。理想的には、そのようなデジタル治療は、被験体のためにカスタマイズされた処置計画を提供し、経過を判定するためにカスタマイズされた処置計画に応じて最新の診断データを受け取り、および適宜、処置計画を更新するだろう。リスクを有する被験体を診断し、処置し、かつ識別する改良された方法と装置が、さらに必要である。理想的には、そのような方法と装置は、より少ない質問と所要時間で被験体をモニタリングし、および臨床または非臨床の環境において、臨床的に許容可能な感度と特異度を提供し、これは、処置効果をモニタリングし適応させるために使用することができる。付加的に、そのような方法と装置は、理想的には、自閉症等の認知機能属性または障害に効果的なように被験体を処置するためにカスタマイズされた治療の処置計画において、スラミン等の治療薬のタイミングと用量を取り込むだろう。理想的には、そのような方法と装置もまた、被験体の発達の進行を判定し、かつ発達の進行を進ませる処置を修正するために使用することができる。
【発明の概要】
【0012】
本明細書に記載されるデジタル個別化医療システムと方法は、患者等の被験体にデジタル診断とデジタル治療を提供する。デジタル個別化医療システムは、個別化治療の処置と改善された診断を提供するために、被験体の症状の評価または診断のためにデジタルデータを使用する。関係する特徴重要度を用いた優先的質問と回答の使用は、精神機能を評価し、およびより少ない質問での被験体の診断を可能にするために使用することができ、その結果、診断をより頻繁に繰り返すことができ、かつ副作用を減らしながら治療の有益性を改善するために、より頻繁に用量を調節することができる。被験体の薬物動態は、被験体のために改善された治療計画を決定するために、人口統計データとバイオマーカーに基づいて推定することができる、または測定することができる。さらに、バイオマーカーは、被験体が望ましくない副作用を経験するリスクにあり得る場合を判定するために使用することができ、そして処置計画が適宜、調節される。機械学習分類子は、集団に関して訓練可能であり、および集団の構成員ではない被験体のための処置計画を決定するために使用されてもよい。
【0013】
被験体の治療的処置は、認知機能属性の処置のための治療薬の投与を含む、カスタマイズされた個別化治療計画を含んでもよい。本明細書に開示されるシステムと方法は、自閉症等の認知障害を処置するために、投薬量の適正量とタイミングの両方の観点で、スラミン等の治療薬の投薬の改善を提供することができる。治療薬の投薬の改善は、治療薬の投与のタイミングと量を含む、個別化治療の処置計画を出力することができる治療モジュールによって実施されてもよい。治療モジュールは、被験体のための治療薬の投与のタイミングまたは量を決定するために、例えば、機械学習分類子、人工知能分類子、または統計的モデリング分類子等の治療分類子を使用することができる。さらに、個別化治療の処置計画は、被験体の認知機能に関する1セットの質問に対する回答、および被験体集団の構成員の認知機能に関係する質問のセットに対する回答に、少なくとも部分的に基づくことができる。本明細書に記載の方法とシステムによって提供される治療の処置計画は、分類子の使用により治療薬の投与の量とタイミングを改善することによって、および随意に、被験体の認知機能に関する1セットの質問に対する回答を使用することによって、先行方法とシステムの欠点の少なくともいくつかに対処する。モバイルデバイスは、治療薬の投与にとって適切な時に適正量でのユーザーによる投与を可能にすることができる。モバイルデバイスはまた、続く投与処置間の少なくとも半分の期間、標的領域内で治療薬のレベルを維持するために使用することができる。モバイルデバイスは、複数の質問を提示し、および複数の回答を受け取り、そしてユーザーに次の投与のタイミングと量を表示するように構成することができる。
【0014】
一態様では、個別化治療の処置計画で被験体を処置するためのデジタル治療システムは、以下に対するソフトウェア命令を含むプロセッサを含んでもよい:1)被験体に関するデータを受け取り、および被験体に関する診断データを出力するための診断モジュール;および2)被験体に関する診断データを受け取り、および被験体に関する個別化治療の処置計画を出力するための治療モジュール。診断モジュールは、機械学習分類子、人工知能分類子、および統計的モデリング分類子から成る群から選択される診断分類子を含んでもよい。診断分類子は、被験体に関する診断データを判定するために、被験体集団に関するデータに基づいてもよい。治療の処置計画は、治療薬の投与のタイミングまたは量を含んでもよい。治療モジュールは、機械学習分類子、人工知能分類子、および統計的モデリング分類子から成る群から選択される治療分類子を含んでもよい。治療分類子は、被験体のために治療薬の投与のタイミングまたは量を決定するために、被験体集団に関するデータに基づいてもよい。
【0015】
被験体に関するデータは、被験体の認知機能に関係する複数の質問に対する答えを含んでもよい。被験体集団に関するデータは、被験体集団の構成員の認知機能に関係する複数の質問に対する答えを含んでもよい。処置計画は、投与の量とタイミングを含んでもよい。治療モジュールは、被験体に関する診断データに応じて、個別化治療の処置計画を決定するように構成されてもよい。
【0016】
診断モジュールは、複数の質問の各々に対する回答に応じて診断スコアを生成するように構成することができ、ここで複数の質問の各々に対する前記回答は、前記の各回答に関する特徴重要度に対応し、および診断モジュールは、前記特徴重要度に応じてスコアを生成し、かつ治療モジュールにスコアを送信するように構成され、および治療モジュールは、スコアに応じて投与のタイミングまたは量を決定するように構成される。
【0017】
診断モジュールは、複数の別個の重複しない時点で複数の診断スコアを生成し、および、複数の別個の重複する時間の各々内に、治療モジュールに複数の診断スコアを送信するように構成することができ、ここで治療モジュールは、複数の診断スコアに応じて、投与のタイミングまたは量を決定するように構成される。
【0018】
診断モジュールは、被験体の治療に応じて被験体から最新の被験体データを受け取り、および被験体に関する最新の診断データを生成するように構成されてもよい。治療モジュールは、治療薬の最新の用量を投与するための最新の量と最新のタイミングを判定するために、最新の診断データを受け取り、および診断データと最新の診断データに応じて被験体に関する最新の個別化処置計画を出力するように構成されてもよい。被験体のための個別化治療の処置計画は、治療薬の最新の用量投与の、最新の量と最新のタイミングを含んでもよい。治療薬は、約1日から約30日の範囲内のベータ排出半減期を含んでもよい。治療モジュールは、ベータ排出半減期に応じて、続く投与のタイミングを決定するように構成されてもよい。
【0019】
治療モジュールは、治療薬の投与のタイミングまたは量を決定し、かつ被験体の測定された薬物動態に応じて個別化治療の処置計画を出力するように構成されてもよい。被験体の測定された薬物動態は、アルファ排出半減期とベータ排出半減期から成る群から選択されてもよい。被験体の測定された薬物動態は、最初に、被験体への治療薬の既知量の投与に応じて、次に、治療薬の量の決定に応じて、判定されてもよい。治療モジュールは、被験体に有効治療域内の治療薬を提供するために、被験体の血液中の治療薬の標的有効治療域、およびベータ排出半減期に応じて続く投与の量またはタイミングを決定するように構成されてもよい。治療モジュールは、投与と次の投与との間の時間の少なくとも半分に及ぶ有効治療域内の投与から、治療薬を提供するための続く投与のタイミングを判定するように構成されてもよい。治療モジュールは、治療薬の投与のタイミングまたは量を決定し、かつ被験体の人口統計に基づいた被験体の推定ベータクリアランス率に応じて個別化治療の処置計画を出力するように構成されてもよい。被験体の測定された薬物動態は、アルファ排出半減期とベータ排出半減期から成る群から選択されてもよい。被験体の人口統計は、身長、体重、年齢、および性別から成る群から選択されてもよい。
【0020】
治療薬はスラミンを含んでもよく、および被験体は小児の被験体であってもよい。治療薬はスラミンを含んでもよい。注入される量は、被験体の体重1kgあたり約10mg/kgから、被験体の体重1kgあたり約40mg/kgの範囲内であってもよい。治療モジュールは、約1μMから約100μMの範囲内の、被験体の血液中のスラミンの量を標的とするように構成されてもよい。
【0021】
治療モジュールは、被験体から得た生体サンプル中の複数の代謝物質の各々の量の検出に基づいて、治療薬の投与量と投与のタイミングを決定するように構成されてもよい。各代謝物質は、以下から成る群から選択される代謝経路に存在してもよい:クレアチンまたはクレアチニン代謝、プリン代謝、エイコサノイド代謝、レゾルビン代謝、ビタミンB3代謝、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド代謝、マイクロバイオーム代謝、脂肪酸の酸化および/または合成、ガングリオシド代謝、スフィンゴリピド代謝、解糖および/または糖新生、S-アデノシルメチオニン代謝、Sアデノシルホモシエイン代謝、グルタチオン代謝、リン脂質代謝、酸化窒素代謝、活性酸素種代謝、カルディオリピン代謝、胆汁酸塩代謝、コレステロール代謝、コルチゾール代謝、ステロイド代謝、シュウ酸塩代謝、グリオキシラート代謝、トリプトファン代謝、クレブス回路、γ-アミノ酪酸代謝、グルタミン酸塩代謝、アルギニン代謝、オルニチン代謝、プロリン代謝、ピリミジン代謝、ビタミンB2代謝、チロキシン代謝、アミノ糖代謝、ガラクトース代謝、メチオニン代謝、ビオプテリン代謝、ネオプテリン代謝、およびモリブドプテリン代謝。
【0022】
各代謝物質は、以下から成る群から選択される代謝物質であってもよい:クレアチニン、キサンチン、ヒポキサンチン、イノシン、LTB4、グアノシン、1-メチルニコチンアミド、11-デヒドロ-トロンボキサンB2,4-ヒドロキシフェニル乳酸、L-シスチン、ヘキサノイルカルニチン、ジヘキソシルセラミド、セラミド、2,3-ジホスホグリセリン酸、イノシトールリン脂質、システイン-グルタチオンジスルフィド、D-グルコース、トリヘキソシルセラミド、ビスモノアシルリン脂質(bismonoacylphospholipid)、マロンジアルデヒド、ホスファチジルコリン、3,5-テトラデカジエンカルニチン、エポキシ-5,8,11-エイコサトリエン酸、カルディオリピン、8,9-エポキシエイコサトリエン酸、ミリストイルカルニチン、コール酸、オクタノイルカルニチン、ピメリルカルニチン、ドデカノイルカルニチン、L-ホモシステイン酸、9-デセノイルカルニチン、ヒドロキシイソカプロン酸、プロピオン酸、5-アルファ-コレスタノール、グリセリン酸1,3-重リン酸塩、3-メチルフェニル酢酸、シチジン、オキサル酢酸、9-ヘキサデセノイルカルニチン、デヒドロイソアンドロステロン3-硫酸塩、11-R-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、ピリドキサミン、11,12-ジヒドロキシエイコサトリエン酸、セドヘプツロース7-リン酸塩、および5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチド。
【0023】
システムは、複数の質問を表示するように構成されたユーザーインターフェースを含んでもよく、および治療モジュールは、複数の質問に応じて効果を判定するように構成される。治療モジュールは、複数の質問に応じて効果を判定するように構成されてもよい。治療モジュールは、被験体のクレアチニン測定に応じて用量を決定するように構成されてもよい。治療モジュールは、被験体に関する診断データおよび最新の診断データに応じて、注入される用量の量、または用量の投与のタイミングを調節するように構成されてもよい。治療モジュールは、固定された投与スケジュールと固定された測定スケジュールを提供し、かつ被験体に関する診断データおよび最新の診断データに応じて、次の投与の量を調節するように構成されてもよい。治療モジュールは、被験体の診断データと最新の診断データ、および測定された薬物動態に応じて、治療薬の用量の投与タイミングを調節するように構成されてもよい。被験体は、被験体集団の構成員でなくてもよい。治療モジュール分類子は、被験体集団に関するデータの一部に基づいてもよい。
【0024】
他の態様では、被験体のための個別化処置計画を提供するモバイルデバイスは、ディスプレイと、以下のための命令を伴って構成されたプロセッサとを含んでもよい:1)被験体の認知機能に関係する複数の質問を表示する;2)被験体の処置前に、被験体に関連する複数の質問への回答を含むユーザーからの入力を受信する;および、3)複数の質問に応じて被験体のための個別化治療の処置計画を表示する。個別化治療の処置計画は、治療薬の投与量と投与のタイミングを含んでもよい。プロセッサは、ユーザーが個別化治療の処置計画に従って処置されたことの指標を受け取るための命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、被験体の処置後に、被験体の認知機能に関係する第2の複数の質問を表示するための命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、治療薬での被験体の処置後に、被験体の認知機能に関係する複数の質問に対する回答を含むユーザーからの入力を受信するための命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、被験体のための最新の個別化治療の処置計画を表示するための命令を伴って構成されてもよい。処置計画は、ユーザーから受信した入力に応じた、治療薬の第2の投与の第2の量と投与タイミングを含んでもよい。ユーザーからの入力は、治療薬での被験体の処置後に、被験体の認知機能に関係する複数の質問に対する回答を含んでもよい。プロセッサは、被験体への用量の投与前に、複数の質問のうち次に最も予測される質問を受信して表示するための命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、被験体への用量の投与後に、次の最も予測される質問を受信して表示するための命令を伴って構成されてもよい。
【0025】
プロセッサは、ユーザーのための最新の個別化治療の処置計画を表示するために命令を実行した後に、ユーザーからの入力の受信に応じて繰り返し工程を実行するための命令を伴って構成されてもよい。処置計画は、ユーザーから受信した入力に応じた治療薬の次の投与量と投与のタイミングを含んでもよい。ユーザーからの入力は、ユーザーの処置後の複数の質問に対する回答を含んでもよい。プロセッサは、ユーザーが処置を完了した後に、ユーザーがチェックインするべき次の回を示す、ユーザーへのプロンプトを表示するための命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、いつ治療薬の投与が行われるかとその用量を入力し、およびいつ投与が行われたかとその用量を示す記録を更新するようにユーザーに促す命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、ユーザーの処置に対する反応を示すスコア結果を表示するための命令を伴って構成されてもよい。プロセッサは、薬理学的または非薬理学的介入に関係する複数の質問を表示するために命令を伴って構成されてもよい。
【0026】
<引用による組み込み>
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されているかのような程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される実施形態を例示する以下の詳細な説明と、添付図面とを参照することによって得られる。
図1A】いくつかの実施形態に従った、デジタル個別化医療プラットフォームに関する典型的な系統図を例示する。
図1B】いくつかの実施形態に従った、典型的な診断モジュールの詳細な図を例示する。
図1C】いくつかの実施形態に従った、典型的な治療モジュールの図を例示す。
図2】いくつかの実施形態に従った、デジタル個別化医療プラットフォームで提供される、診断と治療のための典型的な方法を例示する。
図3】いくつかの実施形態に従った、自閉症関連の発達遅延の取り扱いを示す典型的なフロー図を例示する。
図4】いくつかの実施形態に従った、多数のソースからの情報を統合するように構成された、診断モジュールと治療モジュールを含むデジタル個別化医療システムに関するデータ処理フローの全体を例示する。
図5A】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載されるような診断と治療のための方法を使用する、診断され処置され得るいくつかの典型的な発達障害を示す。
図5B】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載されるような診断と治療のための方法を使用する、診断され処置され得るいくつかの典型的な発達障害を示す。
図6】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載されるような診断テストを提供するための典型的なデータ処理モジュールの概略図である。
図7】いくつかの実施形態に従った、ランダムフォレスト分類子に基づく典型的な評価モデルの一部を例示する概略図である。
図8】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載されるような予測モジュールの典型的な操作フローである。
図9】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載されるような特徴推奨モジュールの典型的な操作フローである;
図10】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載される特徴推奨モジュールによって行なわれる、予期される特徴の重要度測定アルゴリズムの典型的な操作フローである。
図11】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載されるような診断テストを実施する方法を例示する。
図12】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載される方法と装置に組み込むのに適した典型的なコンピュータシステムを示す。
図13】いくつかの実施形態に従った、フィードバックループと少ないテストを伴うデジタル個別化医療プラットフォームに関する典型的な系統図を例示する。
図14】いくつかの実施形態に従った、フィードバックループを伴うデジタル個別化医療プラットフォームに関する典型的な系統図を例示する。
図15】いくつかの実施形態に従った、治療モジュールに関する典型的な系統図を示す。
図16】いくつかの実施形態に従った、治療薬の用量を決定する方法に関するフローチャートを示す。
図17】いくつかの実施形態に従った、小児の人口学的情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図18】いくつかの実施形態に従った、自身の子供の診断状態についての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図19】いくつかの実施形態に従った、自身の子供の強みについての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図20】いくつかの実施形態に従った、自身の子供に関する懸念についての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図21】いくつかの実施形態に従った、自身の子供の言葉の使用についての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図22】いくつかの実施形態に従った、ユーザーが自身の子供に関して医療専門家に質問することを可能にする、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図23】いくつかの実施形態に従った、活動を行っている自身の子供の映像の提出をユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図24】いくつかの実施形態に従った、活動を行っている自身の子供の映像の提出方法に関してユーザーに指示する、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図25】いくつかの実施形態に従った、ユーザーが医療専門家に診断情報を提出することを可能にする、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図26】いくつかの実施形態に従った、ユーザーの子供に関するプロフィールを示す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図27】いくつかの実施形態に従った、ユーザーが種々のプロフィール間での選択を行うことを可能にする、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図28】いくつかの実施形態に従った、自身の子供の診断に関連する症状を緩和するために、子供が行なうことのできる活動に関してユーザーに提案を提供する、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。
図29】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載される典型的な評価モデルに関して感度 対 フォールアウト(予期せぬ結果)をマッピングする受信者動作特性(ROC)曲線を示す。
図30】いくつかの実施形態に従った、本明細書に記載される特徴推奨モジュールに関する性能メトリックを例示する散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一態様では、デジタル個別化医療システムは、プロセッサと:被験体を評価し診断するためにデータを受信し;有効性、適応性、および治療の介入からもたらされる反応の相対レベルを識別する、インタラクションとフィードバックデータをキャプチャし;および、治療的介入をさらに個別化し、改良し、またはその有効性を評価するためにユーザーデータとユーザープロフィールを評価するために、機械学習、人工知能、および統計モデルの少なくも1つを含む、データ解析を行なうように構成された、関連するソフトウェアを有するデジタルデバイスを含む。
【0029】
いくつかの例では、システムは、デジタル診断とデジタル治療を使用するように構成される。デジタル診断とデジタル治療は、個体の医学的、心理的、または生理学的状態を改善するために、デジタル情報を収集して処理し、および提供されたデータを分析する工程を含むシステムまたは方法を含むことができる。デジタル治療システムは、ユーザーデータを分析し、システムによって提供される診断と治療的介入をモニタリングして改善するために、ソフトウェアベースの学習を適用することができる。
【0030】
システムのデジタル診断データは、被験体、または介護者、または評価されている個体と無関係の人物から収集されたデータとメタデータから構成することができる。いくつかの例では、収集されたデータは、個体以外の人物によってなされる場合もある行動、観察、判断、または評価のモニタリングを含むことができる。さらなる例では、評価は、評価を行なう成人を含み、または小児または年少者の評価のためにデータを提供することができる。
【0031】
データソースは、携帯電話、映像キャプチャ、音声キャプチャ、活動モニター、またはウェアラブルデジタルモニター等の1つ以上のデジタルデバイスを介するデジタル形式で、能動的または受動的ソースのいずれかを含み得る。能動的なデータ収集の例は、眼球運動を追跡し、身体または付属物の移動を記録し、睡眠パターンをモニタリングし、言語パターンを記録するためのデバイス、システムまたは方法を含む。いくつかの例では、能動的ソースは、言語パターン、語彙/構文のパターン(例えば、語彙の規模、代名詞の正確/不正確な使用、正確/不正確な活用と動詞の変化、能動態/受動態等の文法構造の使用、および文の流れ)、高位言語パターン(例えば首尾一貫性、理解力、対話能力、および好奇心)、タッチスクリーンデータソース(例えば、微細運動機能、ポインティングの精度と頻度、スワイプ移動の精度と頻度、および焦点/注意の範囲)、および活動中の被験体の顔の映像記録(例えば、眼固視 対 サッカードの質/量、スクリーン上の眼の焦点のヒートマップ、焦点/注意の範囲、表情の変動性、および情緒的刺激に対する反応の質)等の、オーディオフィードデータソースを含むことができる。受動的なデータ収集は、モバイルアプリケーション、埋め込みセンサーまたは記録ユニットを有する玩具からの記録または測定を使用する、ユーザーからデータを収集するためのデバイス、システムまたは方法を含むことができる。いくつかの例では、受動的ソースは、スマートトイに埋め込まれたセンサー(例えば、微細運動機能、粗大運動機能、焦点/注意の範囲、および問題解決スキル)とウェアラブルデバイス(例えば、活動水準、休息の量/質)を含むことができる。
【0032】
診断と処置に使用されるデータは、複数のソースから得ることができ、ユーザーとインタラクトするモバイルデバイス等の1つのデバイスから集められた受動的および能動的データ収集の組み合わせ、またはマイクロバイオームサンプリングおよび被験体の遺伝子サンプリング等の他のソースを含んでもよい。
【0033】
本明細書に開示される方法と装置は、認知障害と発達障害、気分障害と精神病、および神経変性疾患の診断とデジタル治療処置によく適している。認知障害と発達障害の例として、言語障害と学習障害、知能指数(「IQ」)、非言語IQと言語IQ、および本明細書に記載される他の障害があげられる。小児と成人に影響し得る気分障害と精神病の例は、行動障害、気分障害、うつ病、注意欠陥多動性障害(「ADHD」)、強迫障害(「OCD」)、統合失調症、および摂食障害と物質乱用等の物質関連の障害を含む。神経変性疾患の例は、加齢に伴う認知力低下、アルツハイマー病と老化へと進行する認知障害、パーキンソン病とハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)を含む。本明細書に開示される方法と装置は、小児のデジタル診断と処置、および被験体が成人するまでの処置の継続が可能であり、かつ個別化されたプロフィールに基づいた生存期間にわたる処置を提供することができる。
【0034】
本明細書に記載されるデジタル診断と処置は、生物学的または化学的な治療的処置と結び付けられた行動的介入に適している。本明細書に記載のユーザーインタラクションデータを集めることによって、行動的介入データの薬学的および生物学的処置の組み合わせをフィードバック効果治療に提供することができる。
【0035】
本明細書に記載されるモバイルデバイスは、結果を改善し、ユーザー入力への依存を減らすために、フィードバックループの一部として使用することができる被験体のデータを収集するためのセンサーを含んでもよい。モバイルデバイスは、処置後に被験体のデータを収集するために、本明細書に記載の受動形センサーまたは能動形センサーを含んでもよい。iPad(商標)またはiPhone(商標)または類似のデバイス等の、同じモバイルデバイスまたは第2のモバイルデバイスは、定期的に、例えば毎日、毎時間ごと等に、処置を改善するために何をすべきかをユーザーに伝えるためにユーザーとインタラクトするソフトウェアアプリケーションを含んでもよい。ユーザーモバイルデバイスは、処置経過に応じてユーザーに通知を送るように構成することができる。モバイルデバイスは、被験体に送達される治療薬の送達量をモニタリングするように構成された薬物送達デバイスを含んでもよい。
【0036】
本明細書に開示される方法と装置は、例えば親と子供の両方の処置に十分に適している。親と子供の両方が、本明細書に記載される処置を別個に受けることができる。例えば、親の神経学的な疾病をモニタリングして処置し、および子供の発達の進行をモニタリングして処置することができる。
【0037】
被験体のデータを得るために使用されるモバイルデバイスは、多くの方法で構成することができ、例えば、複数のデバイスを組み合わせてもよい。睡眠パターンは、例えば自閉症、および本明細書に記載されるような診断・治療モジュールへの入力として取得し使用されるデータと関係し得る。モバイルデバイスは、小児用の睡眠モニタリングのためのモバイルウェアラブルを含んでもよく、これは、診断と治療のための入力として提供することができ、および本明細書に記載のフィードバックループのコンポーネントを含んでもよい。
【0038】
多くのタイプのセンサー、バイオセンサー、およびデータを、被験体のデータを集め、かつ被験体の診断と処置に入力するために使用することができる。例えば、実施形態に関する作業は、マイクロバイオームデータが自閉症の診断と処置に有用であり得ることを示唆する。マイクロバイオームデータは、当業者に既知の多くの方法で収集することができ、および便サンプル、洗腸、または被験体の腸管のフローラの他のサンプルから選択されたデータを含んでもよい。遺伝子データもまた、診断・治療モジュールへの入力として得ることができる。遺伝子データは、被験体の全ゲノム配列、特定のマーカーのシーケンシングと識別を含み得る。
【0039】
本明細書に開示される診断・治療モジュールは、遺伝子データ、フローラデータ、睡眠センサー、ウェアラブルアンクレットの睡眠モニター、睡眠をモニタリングするためのブーティ、および被験体の眼の追跡から成る群から得られるデータ等の、複数のソースからのデータを受信することができる。眼の追跡は、凝視の方向と持続時間を判定するための多くの方法で行なうことができる。追跡は、凝視の方向と持続時間に関して、眼鏡、ヘルメット、または他のセンサーで行うことができる。データは、ゲーム、ビデオゲーム、および被験体のキャプチャ映像の任意の組み合わせを用いて得ることができ、およびこれらは、被験体の表情と凝視を判定するために使用することができる。このデータは、最初に被験体を診断し、被験体の処置を決定し、被験体の処置を修正し、そして処置後に被験体をモニタリングするために、処置の前と最中と後に取得され、本明細書に記載される治療モジュールと診断モジュールに提供され得る。
【0040】
凝視、凝視の持続時間、および顔の表情の情報は、当業者に既知の方法と装置を用いて取得することができ、および診断・治療モジュールへの入力として得ることができる。データは、ダウンロード可能なソフトウェア命令を含むアプリケーションを用いて取得することができる。例えば、表情の処理は、Gloarai et al.“Autism and the development of face processing”,Clinical Neuroscience Research 6(2006)145-160により記載されている。デューク大学の自閉症研究グループは、ウェブページautismandbeyond.researchkit.duke.edu.に記載されるように、モバイルデバイスにダウンロードされたソフトウェアアプリケーションを用いたAutism&Beyond調査研究を行ってきた。そのようなデバイスからのデータは、本開示に従った組み合わせに特によく適している。顔認識データと凝視データは、本明細書に記載される診断モジュールと治療モジュールに入力することができる。
【0041】
本明細書に開示される分類子は、改善された治療と処置を提供するためにこのデータと組み合わせるのに特によく適している。データは階層化され、本明細書に記載されるフィードバックループと共に使用することができる。例えば、フィードバックデータは、反応差を判定し、かつ応答者と非応答者を識別するために、薬物治療と組み合わせて使用することができる。代替的にまたは組み合わせて、フィードバックデータは、行動治療等の非薬物治療と組み合わせることができる。
【0042】
遺伝学に関して最近の研究は、一部の人々が自閉症によりかかりやすくなる遺伝的特質を有し得ることを示唆している。被験体の遺伝的組成は、被験体を環境的影響により影響されやすくする場合もあり、これは症状を引き起こし、かつ症状の重症度に影響を及ぼし得る。環境的影響は、例えば毒素、ウイルス、または他の物質からの傷害を含み得る。いかなる特定の理論にも縛られることなく、これは、発現遺伝子の調節を変化させるメカニズムを結果としてもたらし得る。遺伝子の発現における変化は、胃腸(「GI」)のフローラにおける変化と関係する場合もあり、およびフローラにおけるこれらの変化は、自閉症と関係する症状に影響を与える場合もある。代替的にまたは組み合わせて、腸のマイクロバイオームの損傷は、被験体のマイクロバイオームにおける変化を結果としてもたらす場合もあり、結果として被験体はより理想から離れた恒常性を有し、これは自閉症に関係する症状に影響し得る。本発明者らは、Sarkis K.Mazmanian等によって行われたB.フラギリスの予備研究が、自閉症および自閉症の進行と関係し得ることに注意している(さらに、“Gut Bacteria May Play a Role in Autism”by Melinda Wenner Moyer,Scientific American,September 1,2014を参照)。
【0043】
デジタル診断は被験体についてシステムによって収集されたデータを使用し、被験体の疾病を評価または診断するための機械学習、人工知能、および統計的モデリング等のツールからの分析を用いてデジタル診断外でキャプチャされた補足的な診断データを含み得る。デジタル診断はまた、診断と可能性のある治療的介入を改善または改良するためにシステムにフィードバックを提供する機械学習、人工知能、および統計的モデリング等のツールによって分析可能なデータとメタデータを通じて、直接または間接的に、状態または能力に関する被験体の変化の評価を提供することができる。
【0044】
デジタル診断および対応する反応、またはそれらの欠如からのデータ評価と機械学習は、被験体に関する新たな診断、および被験体と介護者双方のための新たな治療レジメンの識別をもたらすことができる。
【0045】
システムによって収集され利用されるデータの種類には、例えば、被験体と介護者の映像、音声、質問または活動に対する反応、および活動、ゲーム、またはシステムのソフトウェア機能とのユーザーインタラクションからの能動的または受動的なデータストリームが含まれ得る。そのようなデータはまた、例えば推奨された活動を行なう場合、被験体または介護者によるシステムとのインタラクションからのメタデータを含むことができる。特定のメタデータの例として、ユーザーの挙動の態様、プロフィール、活動、ソフトウェアシステムとのインタラクション、ゲームとのインタラクション、使用頻度、セッション時間、選択されるオプションまたは機能、およびコンテンツと活動の好みをとらえるシステムのデバイスまたはモバイルアプリとのユーザーインタラクションからのデータがあげられる。データはまた、活動モニター、ゲームまたはインタラクティブコンテンツ等の様々な第三者デバイスからのデータとメタデータを含んでもよい。
【0046】
本明細書に記載されるデジタル治療は、システムによって被験体または介護者に提供される命令、フィードバック、活動、またはインタラクションから構成され得る。例として、挙動、活動、ゲーム、またはシステムソフトウェアおよび/または第三者デバイス(例えば、当業者によって理解される「IoT」(Internet of Things)により可能な治療デバイス)との対話セッションがあげられる。
【0047】
図1Aは、行動障害、神経障害、または精神衛生障害に関する診断と治療を提供するための、デジタル個別化医療プラットフォーム(100)に関する系統図を例示する。例えば、プラットフォーム(100)は、発達遅延に関する小児の認知および行動の疾病の診断と処置を提供することができる。ユーザーデジタルデバイス(110)(例えばスマートフォン等のモバイルデバイス、活動モニター、またはウェアラブルデジタルモニター)は、被験体に関するデータとメタデータを記録する。データは、デバイスとの被験体のインタラクションに基づいて、さらに介護者および医療従事者とのインタラクションに基づいて、収集され得る。データは、試験を実施し、発話および/または映像を記録し、および診断の質問に対する反応を記録すること等によって、活発に収集され得る。データはまた、診断された発達障害に関して尋ねられた質問と調査された項目を記録する等、被験体と介護者の行動をオンラインでモニタリングする等によって、受動的に収集されてもよい、
【0048】
デジタルデバイス(110)は、コンピューターネットワーク(120)に接続され、接続されたコンピュータとデータを共有し、およびそれからデータを受信することを可能にする。特に、デバイスは、個別化医療システム(130)と通信することができ、後者は、コンピュータネットワーク(120)を通じてデジタルデバイス(110)と通信するように構成されたサーバーを含んでもよい。個別化医療システム(130)は、被験体の発達状態の初期診断およびインクリメンタルな診断を提供するために診断モジュール(132)を含み、さらに診断モジュール(132)の診断に応じた個別化治療推奨を提供するために治療モジュール(134)を含んでもよい。
【0049】
診断モジュール(132)と(134)の各々は、処置の経過中にユーザーデジタルデバイス(110)と通信する。診断モジュールは、デジタルデバイス(110)に診断テストを提供し、およびそこから診断フィードバックを受信し、そして被験体の診断を判定するためにフィードバックを使用する。例えば、初期診断はテストと質問の包括的なセットに基づいてもよいが、他方で、より小さなデータサンプルを使用して診断にインクリメントの更新を行ってもよい。例えば、診断モジュールは、介護者に出された質問、および語彙テストまたは言語コミュニケーションテスト等の被験体に実施されたテストに基づいて、自閉症関連の言葉の遅れを診断してもよい。診断は、言語能力における数ヶ月または何年にもわたる遅れを示すかもしれない。この診断を更新するために、その後のテストが実施され、かつ質問がなされてもよく、例えばより小さなまたはより大きな程度の遅滞が示される。
【0050】
診断モジュールは、デジタルデバイス(110)と共に治療モジュール(134)にその診断を通信し、後者は、診断された症状を処置するために行われる治療を提案するために診断を使用する。治療モジュール(134)は、デジタルデバイス(110)にその推奨された治療を送信し、任意の時間フレームにわたって推奨された治療を行なうための被験体と介護者に関する命令を含む。任意の時間フレームにわたって治療を行なった後に、介護者または被験体は、推奨された治療の完了を示すことができ、および報告をデジタルデバイス(110)から治療モジュール(134)に送信することができる。次に、治療モジュール(134)は、最新の治療ラウンドが終わり、そして新たな診断が必要であることを診断モジュール(132)に示すことができる。次に、診断モジュール(132)は、新たな診断テストと質問をデジタルデバイス(110)に提供することができ、および学習セッションの記録、または治療あるいは診断された疾病に関する介護者または被験体のブラウジング履歴等の、治療モジュールからの治療の一部として提供されたデータの入力をとることができる。次に、診断モジュール(132)は、プロセスを繰り返し、かつ治療の次の工程を提供するために最新の診断を提供する。
【0051】
診断と治療に関する情報もまた、個別化医療システム(130)から、ヘルスケア専門家のコンピュータシステム等の第三者システム(140)に提供することができる。ヘルスケア専門家または他の第三者は、被験体が期待されたスケジュールから遅れているかどうか、または予想よりも早く改善しているかどうかを含む、治療スケジュールからの有意な逸脱に関してアラートを受けることができる。第三者は、この提供情報に基づいてさらなる適切な行動をとることができる。
【0052】
図1Bは、診断モジュール(132)の詳細な図を例示する。診断モジュール(132)は、被験体に実施するための試験および対応する命令を生成する試験実施モジュール(142)を含んでもよい。診断モジュール(132)はさらに、被験体データ受信モジュール(144)を含んでもよく、ここで、例えば、試験結果;介護者フィードバック;システムとの被験体および介護者のインタラクションからのメタデータ;およびシステムとの、映像、音声、およびゲームインタラクション等の被験体データが受信される。被験体評価モジュール(146)は、被験体データ受信モジュール(144)からのデータ、さらに被験体および類似の被験体の過去の診断に基づいた、被験体の診断を生成する。機械学習モジュール(148)は、どのタイプの測定が被験体の診断に関する最たる情報を提供するかを判定するために、診断に対する各入力の相対感度を評価する。これらの結果は、最も効率的に診断を通知する試験を提供するために試験実施モジュール(142)によって、および診断の精度と一貫性を改善するために診断データに重みを適用するために被験体評価モジュール(146)によって、使用され得る。処置された各被験体に関する診断データは、パターンマッチングと機械学習のための診断データのライブラリを形成するために、例えばデータベースに保存される。多くの被験体プロフィール、例えば10,000以上を、そのようなデータベースに同時に保存することができる。
【0053】
図1Cは、治療モジュール(134)の詳細な図を例示する。治療モジュール(134)は、効果に基づいて治療をスコア付けする治療評価モジュール(152)を含んでもよい。事前に提案された治療は、治療の前と後の両方で、診断モジュールによって提供される診断に基づいて評価され、および改善の度合が判定される。この改善の度合は、治療の効果をスコア付けするために使用される。治療は、特定のクラスの診断と相関するその効果を有する場合もある;例えば、治療は、第1のタイプの診断を有する被験体には効果的であるが、第2のタイプの診断を有する被験体には効果的ではないと見なされる場合もある。治療マッチングモジュール(154)がさらに設けられ、これは、被験体の診断に類似する診断を処置するのに最も効果的であると治療評価モジュール(152)によって判定された1セットの治療を判定するために、診断モジュール(132)からの被験体の診断を治療のリストと比較する。次に、治療推奨モジュール(156)は、治療マッチングモジュール(154)によって有望であると識別された1つ以上の治療を含む推奨される治療を生成し、および推奨された治療の実施のための命令と共に被験体にその推奨を送る。次に、治療追跡モジュール(158)は、推奨された治療の経過を追跡し、診断モジュール(132)によっていつ新たな診断が行なわれるべきか、またはいつ所与の治療を継続し、経過をさらにモニタリングするべきかを判定する。処置された各被験体に関する治療データは、パターンマッチングと機械学習のための治療データのライブラリを形成するために、例えばデータベースに保存される。多くの被験体プロフィール、例えば10,000以上を、そのようなデータベースに同時に保存することができる。治療データは、診断への効果的な治療のマッチングを可能にするために、診断モジュール(132)の診断データに関連づけることができる。
【0054】
治療はデジタル治療を含むことができる。デジタル治療は、被験体または介護者により実施可能な、単一または複数の治療活動または介入を含むことができる。デジタル治療は、センサー、コンピュータ、医療機器、および治療送達システム等の第三者デバイスとの規定されたインタラクションを含むことができる。デジタル治療は、FDAが承認した医学請求(medical claim)、1セットの診断コード、単一の診断コードを支持することができる。
【0055】
図2は、デジタル個別化医療プラットフォームで提供される、診断と治療のための方法(200)を例示する。デジタル個別化医療プラットフォームは、診断を提供し、かつ治療を推奨するために、1人以上の介護者を伴う被験体を含み得る患者と通信する。
【0056】
工程(210)において、診断モジュールは、診断を判定するために、例えば診断テストを被験体に適用することによって、被験体を評価する。診断テストは、被験体に関する複数の特徴および対応する特徴値の判定を対象としてもよい。例えば、テストは、被験体に提示される複数の質問、被験体の観察、または被験体に割り当てられるタスクを含んでもよい。テストはまた、被験体の介護者の能力 対 特定の挙動および/またはマイルストーンからのフィードバック;システムとの被験体および介護者のインタラクションからのメタデータ;およびシステムとの、または被験体と介護者の挙動と能力に関するデータを提供する第三者ツールとの、映像、音声、およびゲームインタラクション等の、被験体の間接試験を含んでもよい。最初のテストについては、正確な初期診断の生成を目的として、より包括的なテストレジメンを実施してもよい。経過を追跡するために先の診断を更新するのに使用される後のテストは、あまり包括的でないテストを含むことができ、および例えば、行動の追跡と治療関連の記録およびメタデータ等の間接試験により依存してもよい。
【0057】
工程(212)において、診断モジュールは、被験体から新たなデータを受信する。新たなデータは、特定の被験体に関する一連の特徴および対応する特徴値を含むことができる。本明細書に記載されるように、特徴は、被験体に提示される複数の質問、被験体の観察、または被験体に割り当てられるタスクを含んでもよい。特徴値は、尋ねられた質問に対する被験体の回答、または被験体の反応等の、被験体の特性に対応する被験体からの入力データを含んでもよい。特徴値はまた、上記のような記録されたフィードバック、メタデータ、およびシステムインタラクションデータを含んでもよい。
【0058】
工程(214)において、診断モジュールは、モデルを保存するために構成されたローカルメモリおよび/またはリモートサーバーからの、事前に保存された評価モデルをロードすることができる。代替的に、評価モデルが患者に関して存在しない場合、例えば1つ以上の初期診断の指標に基づいて、デフォルトモデルをロードしてもよい。
【0059】
工程(216)において、最新の評価モデルを生成するために新たなデータを評価モデルに適合させる。この評価モデルは、事前に処置されていない被験体に関する初期診断、または事前に処置された被験体に関する最新の診断を含んでもよい。最新の診断は、記憶、注意と共同注意、認知、行動反応、情緒反応、言語使用、語学力、特異的行動の頻度、睡眠、社交性、非言語コミュニケーション、および発達のマイルストーン等の、疾病の1つ以上の態様における経過の測定を含むことができる。経過と現在の診断を判定するためのデータの分析は、質問のスコア付け、および語彙と音声分析のための音声認識等の自動分析法を含むことができる。分析はまた、映像、音声、およびテキストデータを調査する分析によるヒトのスコア付けを含むことができる。
【0060】
工程(218)において、最新の評価モデルが治療モジュールに提供され、治療モジュールは、事前に推奨された治療の結果としてどのような進展がなされたかを判定する。治療モジュールは、評価モデルにおいて進展の量に基づいて治療をスコア付けし、より高いスコアに対応するより大きな進展を用いて、成功した治療および類似の治療が将来、類似の評価を有する被験体により推奨されやすくなるようにする。利用可能な治療のセットはしたがって、被験体の診断と相関するように、効果の新たな評価を反映するために更新される。
【0061】
工程(220)において、新たな治療が、評価モデル、もしあれば事前治療の成功度、および被験体および同様の評価を有する他の被験体へのそれらの治療の事前使用に基づいて治療の候補に割り当てられたスコアに基づいて、推奨される。推奨された治療は、それを適用する特定の時間スパンの指示に従って、投与のために被験体に送られる。例えば、治療は、介護者または被験体によって使用されるモバイルデバイスのオーディオファイルに記録される各ドリルを用いて、1週間毎日、被験体により行われる用語ドリルを含んでもよい。
【0062】
工程(222)において、新たな治療の経過が、治療期間を延ばすべきかどうかを判定するためにモニタリングされる。このモニタリングは周期的な再診断を含んでもよく、再診断は工程(210)に戻ることによって行われてもよい。代替的に、基本的なマイルストーンは、完全な再診断なしに記録されてもよく、および経過は、治療モジュールによって生成された、予測された経過スケジュールと比較されてもよい。例えば、治療が最初に失敗した場合、治療モジュールは、再診断して新たな治療を提案する、または医療専門家による介入を提案する前に、治療を1回以上、繰り返すように提案してもよい。
【0063】
図3は、疑われる、または確認された言葉の遅れまたは言語発達遅滞の取り扱いを示すフロー図(300)を例示する。
【0064】
工程(302)において、初期評価が診断モジュール(132)によって判定される(図1Aに関して記載のように;図3には図示せず)。初期評価は、本明細書に開示されるように、言葉と言語の使用等の、1つ以上の領域における被験体の能力を評価し、および多くの軸に沿って発達遅延の度合いと種類を評価することができる。評価は、経過の全体的な複数の追跡の内の1つに被験体を置くことができ;例えば、被験体は言語的または非言語的であると評価され得る。
【0065】
工程(310)のように、被験体が非言語的と判定されると、1つ以上の非言語的治療(312)を治療モジュール(134)によって推奨することができ(図1Aに関して記載のように;図3には図示せず)、選択を行なう、タスクに注意を払う、または名前あるいは他の言葉に反応することに関するタスク等である。さらに、経過にとって有用であり得る有用なデバイスと生成物の提案がさらに提供されてもよく、すべての提案は、被験体の診断と経過報告によって指示される被験体の必要に適合させることができる。
【0066】
推奨された治療を適用している間、診断が予測された速度で改善しているかどうかを判定するために、工程(314)において経過がモニタリングされる。
【0067】
工程(314)において改善が測定された場合、システムは、被験体が工程(316)において依然として非言語的であるかどうかを判定し;もしそうであれば、次にシステムは工程(310)に戻り、改善をさらに誘発するために新たに推奨される治療(312)を生成する。
【0068】
工程(314)において改善が測定されない場合、システムは、事前に決められた回数だけ治療を繰り返すように推奨することができる。システムはまた、試される治療の変化形体を試すように推奨し、よりよい結果を得てもよい。そのような繰り返しと変化形体が失敗した場合、システムは、発達を妨害する問題により直接的に取り組むために工程(318)においてセラピストの診察を推奨することができる。
【0069】
工程(320)で示されるように、一旦被験体が言語的であると判定されると、言語的治療(322)が治療モジュール(134)によって生成され得る(図1Aに関して記載のように;図3には図示せず)。例えば、言語的治療(322)は、用語ドリル、発音練習、および表現豊かな要求またはコミュニケーションの1つ以上を含むことができる。さらに、経過にとって有用であり得る有用なデバイスと生成物の提案がさらに提供されてもよく、すべての提案は、被験体の診断と経過報告によって指示される被験体の必要に適合させることができる。
【0070】
非言語的追跡のように、言語的治療に対する反応の経過は、診断が予測された速度で改善したかどうかを判定するために工程(324)で断続的にモニタリングされる。
【0071】
工程(324)において改善が測定された場合、システムは、工程(326)で経過を報告し、さらなる改善を誘発するために新たに推奨される治療(322)を生成する。
【0072】
工程(2514)において改善が検出されない場合、システムは、事前に決められた回数だけ治療を繰り返すように推奨することができる。システムはまた、試してよりよい結果を得るために、治療の変化形体を試すように推奨してもよい。そのような繰り返しと変化形体が失敗した場合、システムは、発達を妨害する問題により直接的に取り組むために工程(328)においてセラピストの診察を推奨することができる。
【0073】
非言語的および言語的治療のための工程は、被験体における継続した訓練と経過を刺激し、および言語スキルと能力の欠損による逆行を防ぐまたは遅らせるのに必要とされる度合まで、無期限に繰り返すことができる。図3に例示される特定の療法計画は、小児の言葉の遅れと言語発達遅滞を対象とするが、成人被験体のための計画を含む類似の計画が、発達または認知の問題を持つ他の被験体のために生成されてもよい。例えば、神経変性疾患および/または加齢に伴う認知力低下は、そのような疾病に適切であると選択された処置を使用して、類似の診断と治療スケジュールで処置されてもよい。本明細書に開示される方法とシステムによって成人または小児の被験体で処置され得るさらなる疾病は、鬱病、OCD、および統合失調症等の気分障害;認知障害と認知の衰え;睡眠障害;常習行為;摂食障害;および、行動関連の体重管理の問題を含む。
【0074】
図4は、多数のソースからの情報を統合するように構成された、診断モジュールと治療モジュールを含むデジタル個別化医療システムに関するデータ処理フローの全体を例示する。データは受動的なデータソース(501)を含むことができ;受動的なデータは、よりきめ細かい情報を提供するように構成することができ、およびより自然な条件下でより長い期間にわたって採取されたデータセットを含むことができる。受動的なデータソースは、例えば、ウェアラブルデバイスから収集されたデータ、ビデオフィードから収集されたデータ(例えばビデオ対応の玩具、モバイルデバイス、映像素材からの眼球追跡データ)、3軸センサーまたはジャイロスコープ(例えば家で、または医療現場外の通常の条件下で、被験体がインタラクトする玩具または他のデバイスに埋め込まれたセンサー)から集められた情報に基づく被験体の機敏さに関する情報、以下のいずれか1つまたは組み合わせを測定するスマートデバイスを含み得る:被験体の言語パターン、運動、タッチレスポンス時間、韻律、語彙分析、表情、および被験体によって表わされた他の特性。受動的なデータは、ユーザーの運動に関するデータを含むことができ、および訓練されていない個体にとって容易に検出できるどうかわからない微妙な情報を含むことができる。いくつかの例では、受動的なデータは、より包括的であり得る情報を提供することができる。
【0075】
受動的に収集されたデータは、様々な環境から連続的に収集されたデータを含むことができる。受動的に収集されたデータは、被験体のより完全な全体像を提供することができ、したがって評価の質を改善することができる。いくつかの例では、例えば、受動的に収集されたデータは、医療現場の内外で収集されたデータを含むことができる。医療現場で受動的に収集されたデータは、医療現場外から受動的に収集されたデータと異なり得る。したがって、連続的に収集された受動的なデータは、被験体の一般的挙動とマンネリズムのより完全な全体像を含むことができ、したがって医師がそうでなければアクセスしないデータまたは情報を含むことができる。例えば、医療現場で評価を受けている被験体は、医療現場への被験体の反応を代表する症状、ジェスチャーまたは特徴を示す場合もあり、したがって、よりありふれた条件下の医療現場外での被験体の挙動の完全で正確な様相を提供しないであろう。医療現場での評価から抽出された1つ以上の特徴(例えば診断モジュールによって評価された特徴)の相対的重要度は、臨床現場から抽出した、または臨床現場外で評価された1つ以上の特徴の相対的重要度と異なる場合もある。
【0076】
データは、診断テスト、診断の質問、またはアンケート(505)を通じて収集された情報を含むことができる。いくつかの例では、診断テスト(505)からのデータは、第2の観察者(例えば親、保護者、または分析されている被験体ではない個体)から収集されたデータを含むことができる。データは、能動的なデータソース(510)、例えば眼球運動の追跡のために、または言語パターンの測定あるいは分析のために構成されたデバイスから収集されたデータを含むことができる。
【0077】
図4に例示されるように、被験体が試験される障害(例えば自閉症スペクトラム障害)を有する可能性があるかどうか(520)、または試験される障害を有さない可能性があるかどうか(525)の診断を行うために、データ入力は、例えば分類子、アルゴリズム(例えば機械学習アルゴリズム)、または統計的モデルを使用するデータ解析(515)を含むことができる診断モジュールに供給され得る。被験体が障害を有する可能性がある(520)事例では、第2の関係者(例えば医師、親、保護者または他の個体)には情報提供ディスプレイが提示されてもよい。情報提供ディスプレイは、被験体によって示された症状と、平均集団によって示された症状の共分散を示すグラフとして表示することができる障害の症状を提供することができる。特定の診断に関係する特性のリストは、信頼値、相関係数、または被験体の能力と平均集団あるいは類似の障害を有するものから成る集団との間の関係を示すための他の手段を用いて、表示することができる。
【0078】
ユーザーは診断可能な疾病(例えば自閉症スペクトラム障害)を有する可能性があるとデジタル個別化医療システムが予測した場合、治療モジュールは、行動的介入、規定された活動または訓練、特定の所要時間、または特定の時点または瞬間における、医療機器または他の治療的介入による介入を含み得る行動療法(530)を提供することができる。被験体が治療を受けると、例えば治療が効いているかどうかを判定するための追跡評価を実施するために、データ(例えば受動的なデータと診断の質問データ)を収集し続けることができる。収集されたデータは、所与の被験体の適合性についての判定を行うために、データ解析(540)(例えば機械学習、統計的モデリング、分類タスク、予測アルゴリズムを使用する分析)を行うことができる。成長曲線ディスプレイは、ベースラインに対する(例えば年齢の一致したコホートに対する)被験体の経過を示すために使用することができる。個体の能力または経過は、治療モジュールによって予測された提案された行動療法に対する被験体の遵守を追跡するために測定されてもよく、および成長曲線上に能力の履歴と予測される能力として提示され得る。個々の被験体の能力を評価するための手順は、適切な行動療法が特定されるまで、繰り返され、または反復されてもよい(535)。
【0079】
ユーザーが診断可能な疾病(例えば自閉症スペクトラム障害)を有する可能性がないとデジタル個別化医療システムが予測した場合、治療モジュールは、他の提案を提供してもよい(550)。被験体が他の提案を行うと、例えば、治療が効いているかどうかを判定するための追跡評価を行なうためにデータの収集を継続することができる。収集されたデータは、他の提案の経過について判定を行うために、データ解析(540)(例えば機械学習、統計的モデリング、分類タスク、予測アルゴリズムを使用する分析)を行うことができる。他の提案に反応した個々の被験体の能力を評価するための手順は、繰り返され、または反復されてもよい(545)。
【0080】
図1-4に関連して記載されるデジタル治療の処置方法と装置は、特に、図5A-14に関連して本明細書に記載されるより少ない質問での被験体の評価のための方法と装置と組み合わせるのによく適している。例えば、本明細書に記載される診断モジュール(132)のコンポーネントは、本明細書に記載されるように最も関連する質問を含む減らされた質問のサブセットで被験体を評価し、その後、治療モジュール(134)で評価して、本明細書に記載されるように処置をモニタリングするための、最も関連する質問を含む質問の続くセットを用いて被験体を評価するように構成することができる。
【0081】
図5Aと5Bは、本明細書に記載される診断と治療のための方法を使用して診断および処置をされ得る、いくつかの典型的な行動障害、神経障害、または精神衛生障害を示す。診断テストは、2つ以上の関連する行動障害、神経障害、または精神衛生障害等の、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害を有する被験体のリスクを評価するように構成することができる。行動障害、神経障害、または精神衛生障害は、被験体の症状または特徴に少なくともいくつかの重複を有する場合もある。そのような行動障害、神経障害、または精神衛生障害は、広汎性発達障害(PDD)、自閉症障害(ASD)、社会的コミュニケーション症、限定的で反復的な行動、興味、および活動(RRB)、自閉症(「古典的自閉症」)、アスペルガー症候群(「高機能自閉症」)、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS、「非定型自閉症」)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、言葉の遅れと言語発達遅滞、強迫障害(OCD)、知的障害、学習障害、または精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)のいずれかの版に定義される障害等の他の関連する発達障害を含み得る。診断テストは、複数の障害の各々を有することについての被験体のリスクを判定するように構成されてもよい。診断テストは、複数の障害のうちの第1の障害または第2の障害のより大きなリスクにあると被験体を判定するように構成されてもよい。診断テストは、併発症を伴う第1の障害と第2の障害のリスクにあると被験体を判定するように構成されてもよい。診断テストは、被験体の発達は正常である、または該手順がそのスクリーニングのために構成されている障害のいずれかを被験体が有するリスクは低いと予測するように構成されてもよい。診断テストはさらに、障害に関する異なる重症度等級を区別するために高い感度と特異度を有するように構成されてもよい;例えば、手順は、DSM(DSM-V)の第5版に定義されるようなレベル1のASD、レベル2のASD、またはレベル3のASDを有する被験体のリスクを予測するように構成されてもよい。
【0082】
多くの行動障害、神経障害、または精神衛生障害には類似する、または重複する症状があり、したがって被験体の発達障害の評価を複雑にするかもしれない。本明細書に記載される診断テストは、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害に関連し得る被験体の複数の特徴を評価するように構成することができる。該手順は、被験体の特徴と、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の臨床診断との間の統計的関係を学習するために、臨床的に確認されたデータの大きなセットを使用して訓練された評価モデルを含むことができる。したがって、被験体が診断テストに関与すると、評価された各特徴に対する被験体の特徴値(例えば質問に対する被験体の回答)は、1つ以上のスクリーニングされた行動障害、神経障害、または精神衛生障害に対する被験体の特徴値の統計的相関(もしあれば)を識別するために、評価モデルに対して照会することができる。被験体によって提供される特徴値と、評価モデルによって判定される1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の予測されるリスクとそれらの値との関係に基づいて、診断テストは、被験体において評価されることになる次の特徴の選択を動的に最適化することができる。評価される次の特徴の選択は、スクリーニングされた複数の障害のうちの特定の障害のリスクにあるという被験体の判定に基づいた、次の最も予測される特徴の識別を含んでもよい。例えば、被験体が診断テストの最初の5つの質問に答えた後に、評価モデルが被験体における自閉症の低いリスクとADHDの比較的より高いリスクを予測する場合、診断テストは、被験体において次に評価されるものとしてADHDとのより高い関連性を有する特徴を選択してもよい(例えば、その回答がADHDの臨床診断と高度に相関している質問が、次に被験体に提示されてもよい)。したがって、本明細書に記載される診断テストは、被験体の特定のリスクプロフィールに合わせて動的に調整することができ、およびより高いレベルの細分性で被験体の障害を評価することを可能にする。
【0083】
図6は、本明細書に記載されるような認知機能に関して被験体をスクリーニングするための評価手順を提供するための典型的なデータ処理モジュール(600)の概略図であり、認知機能は、複数の行動的、神経学的、または精神衛生の障害または疾病の1つ以上を含んでもよい。評価手順は、認知機能に関連する被験体の複数の特徴または特性を評価することができ、ここで各特徴は、例えば、手順によってスクリーニング可能な複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の少なくとも1つを被験体が有する可能性に関係し得る。評価手順は、コンピューティングデバイスによって提供されるユーザーインターフェースを用いて、被験体およびその介護者に実施され得る。いくつかの例では、評価手順は、被験体に実施するのに60分未満、45分未満、30分未満、20分未満、10分未満、またはそれ以下を要する場合もある。いくつかの例では、データ処理モジュール(600)は、本明細書に記載される診断モジュールの少なくとも一部であり得る。データ処理モジュール(600)は概して、前処理モジュール(605)、訓練モジュール(610)、および予測モジュール(620)を含んでもよい。データ処理モジュールは、データベースから訓練データ(650)を抽出し、およびユーザーインターフェース(630)で新たなデータ(655)を取り込む。前処理モジュールは、訓練モジュールまたは予測モジュール用の訓練データまたは新たなデータを標準化するために、1つ以上の変換を適用することができる。前処理された訓練データは、訓練モジュールに渡すことができ、訓練モジュールは訓練データに基づいて評価モデル(660)を構築することができる。訓練モジュールは、任意の適切な検証アルゴリズム(例えば層化K-分割交差検証[Stratified K-fold cross-validation])を使用して訓練された評価モデルを検証するように構成された検証モジュール(615)をさらに含んでもよい。前処理された新たなデータを予測モジュールに渡すことができ、予測モジュールは、訓練モジュールに構築された評価モデルに新たなデータを適合させることによって、被験体の発達障害の予測(670)を出力し得る。予測モジュールは、被験体に関する事前に提供された特徴値に基づいて、被験体において評価されることになる次の特徴を選択または推奨するように構成された特徴推奨モジュール(625)をさらに含んでもよい。
【0084】
評価モデルを構築するために訓練モジュールによって使用される訓練データ(650)は、複数の被験体からの複数のデータセットを含むことができ、各被験体のデータセットは、一連の特徴および対応する特徴値、および被験体の発達障害または疾病の分類を含むことができる。本明細書に記載されるように、特徴は、被験体に出された質問、被験体の観察、または被験体との構造化されたインタラクションの1つ以上により、被験体において評価され得る。例えば、特徴値は、質問に対する回答、ビデオ画像に基づいた特性評価等の被験体の観察、または構造化されたインタラクションに対する被験体の反応の1つ以上を含んでもよい。各特徴は、1つ以上の行動的、神経的、または精神衛生的な障害または疾病の識別に関連する場合もあり、および各対応する特徴値は、特定の被験体における特徴の存在の程度を指示する場合もある。例えば、特徴は、想像遊びまたはごっこ遊びを行うための被験体の能力であってもよく、および特定の被験体に関する特徴値は、0、1、2、3、または8のいずれかのスコアであってもよく、各スコアは、被験体における特徴の存在の程度に対応する(例えば、0=多様なごっこ遊び;1=いくつかのごっこ遊び;2=時折のごっこ遊び、または高度に反復的なごっこ遊び;3=ごっこ遊びなし;8=不可)。特徴は、被験体または親等の介護者に提示される質問によって被験体において評価されてもよく、質問に対する回答は特徴値を含んでもよい。代替的にまたは組み合わせて、特徴は、例えば特定の挙動をとる被験体の映像を用いて、被験体において観察されてもよく、および特徴値は観察を通じて識別されてもよい。一連の特徴および対応する特徴値に加えて、訓練データ中の各被験体のデータセットもまた、被験体の分類を含んでもよい。例えば、分類は自閉症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、またはノンスペクトラムでもよい。分類は、生成された評価モデルの予測精度を改善するために、有資格の臨床心理士等の有資格者によって割り当てられた臨床診断を含んでもよい。訓練データは、Autism Genetic Resource Exchange(AGRE)から利用可能なAutism Diagnostic Interview-Revised(ADI-R)データ、および/またはAutism Diagnostic Observation Schedule(ADOS)等の大きなデータレポジトリから利用可能なデータセット、または他の適切なデータレポジトリから利用可能なデータセット(例えば、ボストン自閉症コンソーシアム(AC)、シモンス財団、米国自閉症研究データベース等)を含んでもよい。代替的にまたは組み合わせて、訓練データは、(例えばウェブサイト、モバイルアプリケーション等を介した)ユーザーからのクラウドソースが可能な、大きな自己報告データセットを含んでもよい。
【0085】
前処理モジュール(605)は、例えば、データをきれいにして標準化するために、抽出された訓練データに1つ以上の変換を適用するように構成することができる。前処理モジュールは、偽のメタデータを含む、または観測値をほとんど含まない特徴を切り捨てるように構成することができる。前処理モジュールは、特徴値のエンコーディングを標準化するようにさらに構成することができる。種々のデータセットはしばしば、データセットのソースに応じて、異なる方法でコード化された同じ特徴値を有し得る。例えば「900」、「900.0」、「904」、「904.0」、「-1」、「-1.0」、「なし(None)」および「NaN」はすべて「欠測」特徴値に対してコード化してもよい。前処理モジュールは、同じ特徴値に関するエンコーディングバリアントを認識し、かつ任意の特徴値に関するUniformエンコーディングを有するようにデータセットを標準化するように構成することができる。前処理モジュールはしたがって、訓練・予測モジュールのための入力データにおける不規則性を減らすことができ、それによって訓練・予測モジュールの頑健性を改善する。
【0086】
データの標準化に加えて、前処理モジュールはまた、特定の特徴値を異なるデータ表現に再コード化するように構成することができる。いくつかの例では、データセットにおける特徴値のオリジナルデータ表現は、評価モデルの構築にとって理想的ではないかもしれない。例えば、対応する特徴値が1~9の整数としてコード化される絶対的な特徴については、各整数値は、他の値に依存しない異なる意味内容を有し得る。例えば、「1」の値と「9」の値は共に特定の分類と高度に相関し得るが、他方で「5」の値はそうではない。整数自体としてコード化された特徴値の元データ表現は、各値の特有の意味内容を捕らえることができないであろうが、それは値が線形モデルで表されるからである(例えば、特徴を切り離して考慮する場合、「5」の回答は被験体を「1」と「9」の間に直角に据える;しかしながら、そのような解釈は、「1」と「9」が任意の分類と高度に相関している一方で「5」がそうではない前述のケースにおいては不正確である)。例えば、各特徴値の意味内容が評価モデルの構造で捕らえられることを保証するために、前処理モジュールは、「One-hot」様式で、絶対的な特徴に対応する特徴値等の特定の特徴値を再コード化する命令を含んでもよい。「One-hot」表現では、特徴値は、0または1の数値を有する一連のビットとして表されてもよく、ビットの数は特徴に関する可能性のある数値の数に対応する。被験体に関する特徴値のみが「1」として表されてもよく、および全ての他の数値は「0」として表される。例えば、可能性のある回答が1から9の整数を含む質問に被験体が「4」と答えた場合、元データ表現は[4]であり得、およびOne-hot表現は[0 0 0 1 0 0 0 0 0]であり得る。特徴値のそのようなOne-hot表現は、そのような表現が必要な場合に、すべての数値を他の可能性のある数値と無関係に考慮することを可能にする。したがって、各特徴に関して最も適切なデータ表現を使用して訓練データを再コード化することによって、前処理モジュールは、訓練データを使用して構築された評価モデルの精度を改善することができる。
【0087】
前処理モジュールは、下流のモジュールがデータを正しく処理できるように、いかなる欠測値データも帰するようにさらに構成することができる。例えば、訓練モジュールに提供される訓練データセットが質問の1つに対する回答を欠いたデータを含む場合、前処理モジュールは欠測値を提供することができ、その結果、データセットは訓練モジュールによって正しく処理することができる。同様に、予測モジュールに提供される新たなデータセットが1つ以上の特徴値を欠いている場合(例えば、照会されているデータセットは、尋ねられる一連の質問のうち第1の質問に対する回答だけを含む)、前処理モジュールは予測モジュールによるデータセットの正確な処理を可能にするために欠測値を提供することができる。絶対的な特徴値を有する特徴に関しては(例えば、被験体における特定の挙動の表示範囲)、欠測値はそういうものとして特異的に指定された適切なデータ表現として提供することができる。例えば、絶対的な特徴が、本明細書に記載されるOne-hot表現でコード化される場合、前処理モジュールは、一連の「0」ビットとして欠けている絶対的な特徴値をコード化する。連続的な特徴値を有する特徴(例えば被験体の年齢)に関しては、可能性のある値の全ての値の平均を欠測値の代わりに提供することができる(例えば4歳)。
【0088】
例えば、訓練モジュール(610)は、診断テストで使用されることになる評価モデルを構築して訓練するために、機械学習アルゴリズムまたは他のアルゴリズムを利用することができる。評価モデルは、もしあれば、任意の特徴値と、診断テストによってスクリーニングされることになる特定の発達障害との間の統計的関係を、訓練データに基づいてとらえるように構築することができる。評価モデルは、例えば、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の複数の臨床的特徴と臨床的診断との間の統計的相関を含み得る。所与の特徴値は、診断テストで評価されることになる複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の各々を分類するために、異なる予測効用を有し得る。例えば、想像遊びまたはごっこ遊びを行うための被験体の能力を含む特徴の前述の例において、特徴値「3」または「想像遊びの多様性なし」は、自閉症の分類のために高い予測効用を有する場合もあり、他方で同じ特徴値はADHDの分類に関しては低い予測効用を有し得る。したがって、各特徴値に関して、診断テストによってスクリーニングされる複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の各々を予測するための特定の特徴値の確率を記載する確率分布が抽出され得る。機械学習アルゴリズムは、1つ以上の特徴値を含むデータセットがモデルに適合される場合、訓練データからこれらの統計的関係を抽出し、かつ発達障害の正確な予測を生み出すことができる評価モデルを構築するために使用することができる。
【0089】
1つ以上の機械学習アルゴリズムが、変数減増法および/またはグラフ式モデル(双方共に特徴間のインタラクションを推測するという有利性を有し得る)を展開するサポートベクターマシン等の評価モデルを構築するために使用されてもよい。例えば、機械学習アルゴリズムまたは他の統計的アルゴリズムを使用してもよく、ADTree(alternating decision tree)、決定株、関数木(FT)、ロジスティックモデルツリー(LMT)、ロジスティク回帰、ランダムフォレスト、線形分類子、または当技術分野で既知の任意の機械学習アルゴリズムまたは統計的アルゴリズム等である。アンサンブル法を生み出すために1つ以上のアルゴリズムを一緒に使用してもよく、アンサンブル法は、バイアスおよび/または分散を減らすためにブースティング(例えばAdaBoost、LPBoost、TotalBoost、BrownBoost、MadaBoost、LogitBoost等)等の機械学習アンサンブルメタアルゴリズムを使用して最適化されてもよい。一旦、評価モデルが訓練データから抽出されると、モデルは、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害を有する被験体のリスクを評価するために予測ツールとして使用され得る。機械学習分析は、例えば、R、Weka、Python、および/またはMatlab等の、当技術分野で既知の多くのプログラミング言語およびプラットフォームの1つ以上を使用して行なわれてもよい。
【0090】
ランダムフォレスト分類子は、通常は複数の決定木を含み、出力予測は個々のツリーの予測された分類の様式であるが、ランダムフォレストは訓練データへの過剰適合を減らすのに有用であり得る。決定木の集団は、各スプリットまたは決定ノードにおいて特徴のランダムなサブセットを使用して構築することができる。ジニ基準(Gini criterion)を使用して最良のパーティションを選択してもよく、算出された最低のジニ不純度を有する決定ノードが選択される。予測時間において、「票」がすべての決定木にわたってとられ、多数票(または予測された分類の様式)が予測された分類として出力され得る。
【0091】
図7は、ランダムフォレスト分類子に基づいた典型的な評価モデル(660)の一部を例示する概略図である。評価モジュールは、決定木(765a)と(765b)等の複数の個々の決定木(765)を含んでもよく、その各々は、訓練データ内の特徴のランダムなサブセットを使用して独立して生成することができる。決定木はそれぞれ、図7に示される決定ノード(766)と(767)等の1つ以上の決定ノードを含んでもよく、各決定ノードは疾病の予測を規定する。例えば、決定ノード(766)は、個体の任意のデータセットに関して、ADI-R質問#86(異常が最初に明らかになった年齢)に対する回答が4以下であるという疾病を断定する。決定ノード(767)は、任意のデータセットに関して、ADI-R質問#52(提示と方向性注意[showing and direction attention])への回答が8以下であるという疾病を断定する。各決定ノードにおいて、決定木は、決定ノードに付けられた疾病の予測が真であるかどうかに基づいて分枝し、予測ノード(例えば(766a)、(766b)、(767a)、(767b))に導くことができる。各予測ノードは、評価モジュールによって評価される分類または疾病の1つ以上に関して、「票」を表す出力値(図7の「値」)を含むことができる。例えば、図7に示される予測ノードでは、出力値は、自閉症を有する、または非スペクトラムであると分類された個体に関する票を含む。予測ノードを、1つ以上の追加の決定ノードの下流に(図7には示さず)導くことができ、各決定ノードは、対応する出力値を有する対応する予測ノードに関連した決定木の追加の分枝に導かれる。ジニ不純度は、各決定木の分枝が構成され得ることに基づいて、有益な特徴を見つけるために基準として使用され得る。
【0092】
評価モデルにおいて照会されているデータセットが「葉」、またはさらなる下流の分枝のない最終予測ノードへと達すると、葉の出力値は特定の決定木に関する票として出力され得る。ランダムフォレストモデルは複数の決定木を含むため、フォレスト内のすべての木にわたる最終票は、最終票および被験体の対応する分類を生み出すために合計することができる。2つの決定木のみが図7に示されているが、該モデルはいかなる数の決定木をも含み得る。多くの数の決定木は、個々の決定木の各々の差異を減らすことによって、訓練データへの評価モデルの過剰適合を減らすのを助けることができる。例えば、評価モデルは、少なくとも約10の決定木、例えば少なくとも約100の個々の決定木またはそれ以上を含むことができる。
【0093】
線形分類子のアンサンブルはまた、本明細書に記載される評価モデルの微分に適している場合もある。各線形分類子は、「切片項」なしに、確率的勾配降下法で個々に訓練することができる。切片項の欠如は、分類子が欠けている特徴値から有意性を導き出すことを防ぐことができる。例えば、被験体が質問に答えず、したがって前記質問に対応する特徴値が被験体のデータセットにおいて一連の「0」ビットとして表現されると、切片項なしで訓練された線形分類子は、一連の「0」ビットに対する有意性に帰さない。結果として得られる評価モデルは、したがって、特徴または被験体によって回答される質問の選別と、モデルによって判定される被験体の最終分類との間の相関を確立することを回避することができる。そのようなアルゴリズムは、特徴または質問ではなく、被験体により提供される特徴値または回答のみが被験体の最終分類の要素として考慮されることを保証するのを助けることができる。
【0094】
訓練モジュールは特徴選択を含んでもよい。1つ以上の特徴選択アルゴリズム(サポートベクターマシン、畳み込みニューラルネット等)が、特定の行動障害、神経障害、または精神衛生障害を有する個体と有さない個体を区別することのできる特徴を選択するために使用されてもよい。障害の異なるセットが、異なる障害の識別子に関するものとして選択されてもよい。ステップワイズ(stepwise backwards)アルゴリズムを他のアルゴリズムと共に使用してもよい。特徴選択手順は、最適な数の特徴の測定を含んでもよい。
【0095】
訓練モジュールは、導き出した評価モデルの性能を評価するように構成されてもよい。例えば、データの分類における精度、感度、および特異度を評価することができる。評価は、適切な機械学習アルゴリズムまたはそのパラメータを選択する際のガイドラインとして使用することができる。訓練モジュールは、したがって、感度(有病正診率)に対して特異度(無病正診率)を最大化するために、導き出された評価モデルを更新し、および/または改良することができる。クラス不均衡またはサンプルバイアスが訓練データに存在する場合、そのような最適化は特に有用であり得る。
【0096】
少なくともいくつかの例では、利用可能な訓練データは、特定の発達障害と診断された個体に向かってゆがめられてもよい。そのような例では、訓練データは、サンプルバイアスを反映する評価モデルを生成してもよく、その結果としてモデルは、それを否定する強力なケースが存在しなければ、被験体が特定の発達障害のリスクにあると仮定する。新たなデータは、訓練データに存在するものに類似するサンプルバイアスを含まないであろう被験体集団から導き出され得るため、そのような特定のサンプルバイアスを組み込む評価モデルは、新たなまたは未分類のデータの予測を生成する際に理想的な性能に満たない。歪んだ訓練データを使用して評価モデルを構築する際のサンプルバイアスを減らすために、サンプルの重み付けが、評価モデルを訓練する際に適用されてもよい。サンプルの重み付けは、モデル訓練プロセス中にサンプルの特定のセットに比較的より大きな有意性の度合いを与える工程を含むことができる。例えば、モデル訓練中に、訓練データが自閉症と診断された個体の方へとゆがめられる場合、より高い有意性は、自閉症と診断されていない個体からのデータに帰することができる(例えば、自閉症と診断された個体からのデータよりも最大で50倍多い有意性)。そのようなサンプルの重み付け技術は実質的に、訓練データに存在するサンプルバイアスの平衡を保つことができ、それによって現実世界においてデータを分類する際のバイアスを減らし、精度を改善する評価モデルを生成する。評価モデルの生成に対する訓練データサンプルのバイアスの寄与をさらに減らすために、ブースティング技術が訓練プロセス中に実施されてもよい。ブースティングは反復プロセスを含み、訓練の各反復後に、各サンプルデータポイントの重み付けが更新される。例えば、反復の後に誤って分類されたサンプルは、より高い有意性で更新することができる。訓練プロセスはその後、訓練データに関して最新の重みづけを用いて繰り返されてもよい。
【0097】
訓練モジュールは、訓練データを使用して構築された評価モデルを検証するように構成された検証モジュール(615)(図6)をさらに含んでもよい。例えば、検証モジュールは、K-分割交差検証(Stratified K-fold cross validation)を実施するように構成されてもよく、ここでkは、訓練データが交差検証のために分割される分割数を表す。例えば、kは、3、4、5、6、7、8、9または10等の1より大きい任意の整数、または可能性として、訓練データに評価モデルを過剰適合させるリスクに応じてより大きい整数であり得る。
【0098】
訓練モジュールは、ローカルメモリおよび/またはリモートサーバーに訓練された評価モデルを保存するように構成されてもよく、その結果、モデルは、訓練モジュールによる修正のために、または予測モジュール(620)による予測の生成のために、取り出され得る。
【0099】
図8は、本明細書に記載される予測モジュール(620)の方法の典型的な操作フロー(800)である。予測モジュール(620)は、訓練モジュールに構築された評価モデルに新たなデータを適合させることによって、任意の被験体の予測分類(例えば発達障害)を生成するように構成され得る。工程(805)において、予測モジュールは、本明細書に記載されるように、例えば、偽性のメタデータを落とすことによって、特徴値の均一なエンコーディングを適用することによって、異なるデータ表現を使用して選択された特徴を再コード化することによって、および/または欠測データポイントを帰することによって、データを標準化するために前処理モジュールによって処理される場合もある新たなデータを受信することができる。新たなデータは、特定の被験体に関する一連の特徴および対応する特徴値を含むことができる。本明細書に記載されるように、特徴は、被験体に提示される複数の質問、被験体の観察、または被験体に割り当てられるタスクを含んでもよい。特徴値は、尋ねられた質問に対する被験体の回答、または被験体の反応等の、被験体の特性に対応する被験体からの入力データを含んでもよい。予測モジュールに提供される新たなデータは、データに関連する既知の分類または診断を有し、または有さなくてもよく;いずれであっても、予測モジュールは、被験体に関する予測分類を生成する際に事前に割り当てられた分類情報を使用しなくてもよい。新たなデータは、複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の1つ以上を有するリスクに関して診断または評価される被験体に関する、事前に収集された完全なデータセットを含んでもよい。代替的にまたは組み合わせて、新たなデータは、例えば本明細書でさらに詳細に記載されるようなユーザーインターフェースを用いて、被験体または被験体の介護者からリアルタイムで収集されたデータを含んでもよく、その結果、完全なデータセットは、被験体によって提供される新たな特徴値の各々が評価モデルに対して連続的に照会されるに伴ってリアルタイムで集合させることができる。
【0100】
工程(810)において、予測モジュールは、モデルを保存するために構成されたローカルメモリおよび/またはリモートサーバーからの、訓練モジュールによって構築された、事前に保存された評価モデルをロードすることができる。工程(815)において、被験体の予測分類を生成するために新たなデータを評価モデルに適合させる。工程(820)において、モジュールは、例えば90%以上の信頼区間、例えば95%以上内の、閾値を上回る信頼区間内で、データの適合が1つ以上の特定の障害(例えば自閉症、ADHD等)の予測を生成することができるかどうかをチェックすることができる。もしそうであれば、工程(825)に示されるように、予測モジュールは、被験体の診断、または被験体がリスクに瀕している障害として、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害を出力することができる。予測モジュールは、被験体が設定された閾値を超えるリスクにあると判定された複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害を出力し、随意に、リスクの順に複数の障害を提示してもよい。予測モジュールは、最大のリスクに瀕していると被験体が判定される1つの発達障害を出力してもよい。予測モジュールは、被験体が併発症のリスクを判定される2つ以上の発育障害を出力してもよい。予測モジュールは、評価モジュールにおいて1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の各々に関して判定されたリスクを出力してもよい。予測モジュールが指定された閾値以上の信頼区間内のいかなる特定の発達障害にもデータを適合させることができない場合、予測モジュールは工程(830)において、照会可能なさらなる特徴があるかどうかを判定してもよい。新たなデータが事前に収集された完全なデータセットを含み、およびいかなる追加の特徴値に関しても被験体を照会することができない場合、工程(840)に示されるように、「診断なし」が予測分類として出力され得る。予測モジュールに提供された各新たな入力データ値を用いてデータセットが更新され、かつ各更新されたデータセットが評価モデルに適合するように、新たなデータが、予測プロセス中に被験体または介護者からリアルタイムで収集されたデータを含む場合、予測モジュールは、追加の特徴値に関して被験体を照会することが可能であり得る。予測モジュールが評価モジュールに含まれるすべての特徴に関して既にデータを得ている場合、工程(840)に示されるように、予測モジュールは「診断なし」を被験体の予測分類として出力してもよい。工程(835)に示されるように、被験体にまだ提示されていない特徴が存在する場合、予測モジュールは、例えば被験体に追加の質問を提示することによって、被験体から追加の入力データ値を得てもよい。次に、追加入力データを含む最新のデータセットが、再び評価モデルに適合されてもよく(工程815)、および予測モジュールが出力を生成することができるまでループが続いてもよい。
【0101】
図9は、非限定的な例として、本明細書に記載される特徴推奨モジュール(625)の典型的な操作フロー(900)である。予測モジュールは、被験体に関する事前に提供された特徴値に基づいて、被験体において評価されることになる次の最も予測されるまたは関連する特徴を識別、選択または推奨するように構成された、特徴推奨モジュール(625)をさらに含んでもよい。例えば、特徴推奨モジュールは質問推奨モジュールであってもよく、モジュールは、事前に提示された質問への回答に基づいて、被験体または介護者に提示される最も予測される次の質問を選択することができる。特徴推奨モジュールは、特定の被験体の発達障害の分類の際に最も高い予測効用を有する1つ以上の次の質問または特徴を推奨するように構成することができる。特徴推奨モジュールはしたがって、被験体に評価手順を動的に適合させるのを助けることができ、それによって予測モジュールが、より短い評価時間と改善された感度および精度で予測を生成するのを可能にする。さらに特徴推奨モジュールは、被験体によって事前に提供される特徴値に基づいて、特定の被験体が最も有する可能性のある1つ以上の特定の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の予測に最も関連する、被験体に提示される特徴の選択によって、予測モジュールによって生成される最終予測の特異度を改善するのを助けることができる。
【0102】
工程(905)において、特徴推奨モジュールは、評価手順において被験体から既に得られたデータを入力すると、受信することができる。入力された被験体データは、被験体によって提供される一連の特徴および対応する特徴値を含むことができる。工程(910)において、特徴推奨モジュールは、被験体、介護者または臨床医の1人以上に提示されることになる次の特徴として推奨に関する「特徴の候補」と見なされる1つ以上の特徴を選択することができる。既に提示された特徴は、考慮される特徴の候補のグループから除外することができる。随意に、特定の基準を満たす追加の特徴もまた、本明細書で以下にさらに詳細に記載されるように、特定の特徴の候補のグループから除外されてもよい。
【0103】
工程(915)において、特徴推奨モジュールは、各特徴の候補の「予測される特徴重要度」を評価することができる。特徴の候補は、特定の被験体に関して特定の発達障害を予測する際の、それらの「予測される特徴重要度」、または各特徴の候補の推定される有益性に関して評価することができる。特徴推奨モジュールは、以下に基づいてアルゴリズムを利用してもよい:(1)特定の発達障害を予測する際の、特定の特徴値の重要度または関連性;および(2)被験体が特定の特徴値を提供し得る確率。例えば、ADOS質問B5への回答「3」が自閉症の分類と高度に相関している場合、この回答は自閉症の予測にとって高い有益性を有する特徴値と見なすことができる。手近の被験体がまた、前記質問B5に対して「3」と答える確率が高い場合、特徴推奨モジュールはこの質問を、より高い予測される特徴重要度と判定することができる。例えば、特徴の予測される特徴重要度を判定するために使用することができるアルゴリズムは、図10に関するさらなる詳細に記載される。
【0104】
工程(920)において、特徴推奨モジュールは、工程(915)で判定される特徴の予測される特徴重要度に基づいて、被験体に次に提示される1つ以上の特徴の候補を選択することができる。例えば、各特徴の候補の予測される特徴重要度は、スコアまたは実数として表されてもよく、それは次に、他の特徴の候補と比較してランク付けされ得る。望ましいランク、例えばトップ10、トップ5、トップ3、トップ2、または最高ランクを有する特徴の候補は、被験体に次に提示される特徴として選択されてもよい。
【0105】
図10は、本明細書に記載される特徴推奨モジュール(625)によって行なわれる、予測される特徴重要度測定アルゴリズム(627)を判定する方法の典型的な操作フロー(1000)である。
【0106】
工程(1005)において、アルゴリズムは、特定の発達障害を予測する際の特定の特徴値の重要度または関連性を判定することができる。特定の発達障害の予測の際の特定の特徴値の重要度または関連性は、訓練データを使用して構築された評価モデルから抽出することができる。そのような「特徴値の重要度」は、被験体の最終分類の判定に際して、任意の特徴値の役割がどれくらい関連するか、存在すべきか否かの基準として概念化することができる。例えば、評価モデルがランダムフォレスト分類子を含む場合、特定の特徴値の重要度は、その特長がランダムフォレスト分類子の枝に位置づけられる関数であり得る。一般的には、決定木の特徴の平均位置が比較的高い場合、特徴は比較的高い特徴重要度を有し得る。特定の評価モデルを考慮した特徴値の重要度は、効率的に、特徴推奨モジュールまたは訓練モジュールのいずれかによって計算することができ、訓練モジュールは特徴推奨モジュールに計算された統計を渡してもよい。代替的に、特定の特徴値の重要度は、前記特徴値が被験体によって提供された場合に帰結するであろう実際の予測信頼の関数であり得る。任意の特徴の候補に関する各可能性のある特徴値に関して、特徴推奨モジュールは、被験体の事前に提供された特徴値と現在想定される特徴値に基づいて、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害を予測するための実際の予測信頼を計算するように構成することができる。
【0107】
各特徴値は、評価手順がそのスクリーニングのために設計された各発達障害の異なる重要度を有し得る。したがって、各特徴値の重要度は、評価される複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の各々に関する正確な予測を生み出す特徴値の確率を記載する確率分布として表されてもよい。
【0108】
工程(1010)において、特徴推奨モジュールは、被験体が各特徴値を提供する確率を判定することができる。被験体が特定の特徴値を提供し得る確率は、任意の適切な統計モデルを使用して計算することができる。例えば、以下のような式の数値を見つけるために、大規模な確率的グラフィカルモデル(large probabilistic graphical model)を使用することができる:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)
式中、AとBとCは予測モジュールにおける異なる特徴または質問を表し、および整数1と2は、特徴(または質問への可能性のある回答)に関する可能性のある異なる特徴値を表す。特定の特徴値を提供する被験体の確率は、次に、以下の式を用いて、ベイズの定理を使用して計算され得る:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)=prob(E=1,A=1,B=2,C=1)/prob(A=1,B=2,C=1)
そのような式は、計算時間と求められる処理資源の両方の観点から、計算上、費用がかかるであろう。代替的に、または明確にベイズの定理を使用した確率の計算と組み合わせて、ロジスティク回帰または他の統計的エスティメータを使用してもよく、ここで確率は機械学習アルゴリズムから抽出したパラメータを使用して推定される。例えば、下記式は、被験体が特定の特徴値を提供し得る確率を推定するために使用されてもよい:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)≒sigmoid(a1*A+a2*B+a3*C+a4)
式中、a1とa2とa3とa4は、訓練された評価モデルから判定された一定の係数であり、この式を最大限正確にするように試みる最適化アルコリズムを使用して訓練され、およびsigmoidは、この式を確率に変化させることができる非線形関数である。そのようなアルゴリズムは素早く訓練することができ、および結果として得られる式は、例えば評価手順の実施中に、アプリケーションで素早く計算することができる。4つの係数が言及されているが、当業者によって認識されるように、有用な数の計数が使用されてもよい。
【0109】
工程(1015)において、各特徴値の予測重要度は、工程(1005)と(1010)で計算されたメトリックの組み合わせに基づいて判定することができる。これらの2つの因子に基づいて、特徴推奨モジュールは、特定の発達障害を予測する際に特定の特徴値の期待効用を判定することができる。乗算による予測重要度の判定に本明細書は言及するが、予測重要度は、例えばルックアップテーブル、ロジック、または割り算等の多くの方法で係数とパラメータを組み合わせることによって判定することができる。
【0110】
工程(1020)において、工程(1005-1015)は、候補となる各特徴のあらゆる可能性のある特徴値に関して繰り返すことができる。例えば、特定の質問に4つの可能性のある回答がある場合、4つの可能性のある回答の各々の予測重要度が判定される。
【0111】
工程(1025)において、特徴の各候補の、すべての予測重要度または予測される特徴重要度を判定することができる。工程(1020)で判定されるように、各特徴の予測される特徴重要度は、特徴に関する全ての特徴値の特徴値重要度を合計することによって判定することができる。したがって、任意の特徴に関するすべての可能性のある特徴値に及ぶ期待効用を合計することによって、特徴推奨モジュールは、事前の回答に応じて特定の発達障害を予測するための特徴のすべての予測される特徴重要度を判定することができる。
【0112】
工程(1030)において、工程(1005-1025)は、特徴推奨モジュールによって考慮された特徴のすべての候補に関して繰り返すことができる。特徴の候補は、質問等の可能性のある特徴のサブセットを含んでもよい。したがって、特徴のすべての候補に関する予測される特徴重要度スコアを生成することができ、および特徴の候補は、予測される特徴重要度の最も高いものから最も低いものの順でランク付け可能である。
【0113】
随意に、工程(1005)と(1010)で判定される2つの因子に加えて、第3の因子もまた、各特徴値の重要度を判定する際に考慮されてもよい。被験体の事前に提供された特徴値に基づいて、複数の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の1つ以上を有する被験体の確率を判定することができる。そのような確率は、被験体によって提供される特徴値に基づいて、複数のスクリーニングされた行動障害、神経障害、または精神衛生障害の各々を有する被験体の確率を指示する、評価モデルに保存された確率分布に基づいて判定することができる。被験体に提示される次の特徴を選択する際に、アルゴリズムは、手近の被験体が有する可能性が最も高い1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の予測にとって最も重要または最も関連する特徴値に、より大きな重みを与えるように構成されてもよい。例えば、事前に提供された被験体の特徴値は、被験体が、評価される他の行動障害、神経障害、または精神衛生障害のいずれかよりも知的障害、または言葉の遅れと言語発達遅滞のいずれかを有するより高い確率を有していることを示し、特徴推奨モジュールは、自閉症、ADHD、または評価がそのスクリーニングのために設計されている他の発達障害を予測するためのより高い重要度を有する特徴よりもむしろ、知的障害、または言葉の遅れと言語発達遅滞のいずれかを予測するための高い重要度を有する特徴値を有利にし得る。特徴推奨モジュールはしたがって、予測モジュールによって手近の被験体に予測プロセスを適合させることができ、より高い細分性と信頼性を有する最終分類を生み出すために被験体の可能性のある発達障害に関連するより多くの特徴を提示する。
【0114】
上記の工程は、予測される特徴重要度判定アルゴリズム(627)の典型的な操作フロー(1000)を示すが、当業者は、本明細書に記載の技術に基づいて多くの変化形体を認めることだろう。工程は、異なる順序で完了されてもよい。工程は追加され、または削除されてもよい。工程のいくつかは、他の工程のサブ工程を含んでもよい。工程の多くは、ユーザーによって望まれる頻度で繰り返されてもよい。
【0115】
特徴推奨モジュールの典型的な実装がここで記載される。被験体Xは、質問(特徴)に対する回答(特徴値)を提供した。評価手順におけるA、B、およびC:
被験体X={‘A’:1,‘B’:2,‘C’:1}
特徴推奨モジュールは、最終分類または診断に達するための予測信頼度を最大限に高めるために、質問Dまたは質問Eを次に提示すべきかどうかを判定することができる。被験体Xの先の回答を考慮して、特徴推奨モジュールは、被験体Xが質問DとE各々に可能性のある各回答を提供する確率を以下のように判定する:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)=0.1
prob(E=2|A=1,B=2,C=1)=0.9
prob(D=1|A=1,B=2,C=1)=0.7
prob(D=2|A=1,B=2,C=1)=0.3
質問DとE各々への可能性のある各回答の特徴重要度は、記載される評価モデルに基づいて計算することができる。代替的に、質問DとEの各々への可能性のある各回答の特徴重要度は、被験体が特定の回答をした場合の結果であろう実際の予測信頼度として計算することができる。各回答の重要度は、任意の適切な数値尺度で様々な数値を使用して表すことができる。例えば:
重要度(E=1)=1
重要度(E=2)=3
重要度(D=1)=2
重要度(D=2)=4
計算された確率と特徴値重要度に基づいて、特徴推奨モジュールは、各質問の予測される特徴重要度を以下のように計算することができる:
期待[重要度(E)]=(prob(E=1|A=1,B=2,C=1)*重要度(E=1)
+(prob(E=2|A=1,B=2,C=1)*重要度(E=2)
=0.1*1+0.9*3
=2.8
期待[重要度(D)]=(prob(D=1|A=1,B=2,C=1)*重要度(D=1)
+(prob(D=2|A=1,B=2,C=1)*重要度(D=2)
=0.7*2+0.3*4
=2.6
したがって、質問Dが概してその回答に対するより高い特徴重要度を有するとしても、質問Eの回答からの予測される特徴重要度(関連性としても言及される)は、質問Dのそれよりも高いと判定される。したがって、特徴推奨モジュールは、被験体Xに提示される次の質問として、質問Eを選択することができる。
【0116】
被験体に提示される次の最良の特徴を選択する場合、特徴の候補が、被験体に既に提示された特徴と高い共分散を有する場合、特徴推奨モジュール(625)は1つ以上の特徴の候補を考慮から除外するようにさらに構成されてもよい。種々の特徴の共分散は、訓練データに基づいて判定されてもよく、および訓練モジュールによって構築された評価モデルに保存されてもよい。特徴の候補が、事前に提示された特徴と高い共分散を有する場合、特徴の候補は、比較的少ない追加の予測効用を加える場合もあり、したがって、評価手順の効率を最適化するために被験体への将来の提示から除外されてもよい。
【0117】
予測モジュール(620)は、ユーザーインターフェース(630)を用いて、評価手順に関与する人物(例えば被験体または被験体の介護者)とインタラクトしてもよい。ユーザーインターフェースには、パソコン、タブレット、またはスマートフォン等の、予測モジュールへのユーザーのアクセスを可能にするコンピューティングデバイスのディスプレイ等のユーザーインターフェースが提供されてもよい。コンピューティングデバイスは、例えばモバイルアプリケーションの形態で、ユーザーインターフェースを提供するための命令を含むプロセッサを含んでもよい。ユーザーインターフェースは、予測モジュールからの命令をユーザーに表示し、および/またはコンピューティングデバイスによって提供される入力方式でユーザーからの入力を受信するように構成することができる。したがって、ユーザーは、ユーザーインターフェースを有する予測モジュールとインタラクトすることによって、例えば予測モジュールによって提示される質問(特徴)に応じた回答(特徴値)を提供することによって、本明細書に記載される評価手順に関与することができる。ユーザーインターフェースは、リアルタイムで評価手順を実施するように構成されてもよく、それによってユーザーは一度に1つの質問に答え、予測モジュールが、特徴推奨モジュールによってなされた推奨に基づいて尋ねるべき次の最良の質問を選択することができる。代替的にまたは組み合わせて、ユーザーインターフェースは、例えば特徴のセットに対応する特徴値の完全なセットをユーザーにアップロードさせることによって、ユーザーからの新たなデータの完全なセットを受信するように構成されてもよい。
【0118】
本明細書に記載されるように、1つ以上の行動障害、神経障害、または精神衛生障害の識別に関連する対象の特徴は、多くの方法で被験体において評価され得る。例えば、被験体または介護者または臨床医は、対象の特徴が被験体に存在する範囲を評価するように設計された一連の質問をされてもよい。次に、提供される回答は、被験体の対応する特徴値を表すことができる。ユーザーインターフェースは、被験体(または被験体に代わって評価手順に関与する任意の人物)に一連の質問を提示するように構成されてもよく、これは、本明細書に記載される1セットの質問の候補から動的に選択されてもよい。質疑応答に基づくそのような評価手順は、完全にマシンによって実施することができ、したがって被験体の発達障害の非常に迅速な予測を提供することができる。
【0119】
代替的にまたは組み合わせて、被験体における対象の特徴は、例えば被験体の映像を用いて、被験体の挙動を観察することで評価されてもよい。ユーザーインターフェースは、被験体または被験体の介護者が被験体の1つ以上の映像を記録またはアップロードできるように構成されてもよい。対象の特徴に関する被験体の特徴値を判定するために、有資格者がその後に映像素材を分析してもよい。代替的にまたは組み合わせて、特徴値の測定のための映像分析は、マシンによって行なわれてもよい。例えば、映像分析は、対象の検出(例えば、被験体、被験体の空間的な位置、顔、眼、口、手、四肢、指、つま先、足等)、続いて対象の動きの追跡を含んでもよい。映像分析は、被験体の性別、および/または、被験体が話す言語の熟達を推測してもよい。映像分析は、表情を推測し、かつ経時的に表情を追跡するために、顔全体、または鼻、眼、唇、および口等の顔の特定の目印を識別してもよい。映像分析は、眼、四肢、指、つま先、手、足を検出し、および挙動を推測するために経時的にそれらの動作を追跡してもよい。場合によっては、分析は、挙動の意図、例えば子供が騒音または大きな音楽に困惑している、自傷行為を行っている、他の人物の行動をまねしている等をさらに推測してもよい。映像ファイルに記録された音および/または音声をさらに分析してもよい。分析は、被験体の挙動のコンテキストを推測してもよい。音/音声分析は、被験体の感情を推測してもよい。ヒトおよび/またはマシンによって行なわれる被験体の映像分析は、対象の特徴に関する特徴値を生み出すことができ、それは次に、予測モジュールへの入力のために適切にコード化され得る。被験体の発達障害の予測はその後、訓練データを使用して構築された評価モデルに対する被験体の特徴値の適合に基づいて生成されてもよい。
【0120】
代替的にまたは組み合わせて、被験体における対象の特徴は、被験体との構造化されたインタラクションを通じて評価されてもよい。例えば被験体は、コンピューターゲーム等のゲームをするように求められてもよく、および被験体のゲームをする能力は、被験体の1つ以上の特徴を評価するために使用されてもよい。被験体に1つ以上の刺激(例えば、ディスプレイを介して被験体に提示される視覚刺激)を提示してもよく、および刺激に対する被験体の反応は、被験体の特徴を評価するために使用されてもよい。被験体は、特定のタスクを行うように求められてもよく(例えば、被験体は、自身の指で泡をポンとはじくように求められてもよい)、要求への被験体の反応または要求されたタスクを実行する被験体の能力は、被験体の特徴を評価するために使用されてもよい。
【0121】
本明細書に記載される方法と装置は、次の最も予測されるまたは関連する質問を判定するために、多くの方法で構成することができる。本明細書に記載されるソフトウェア命令の少なくとも一部は、ユーザーインターフェースを提供し、質問を提示し、質問への回答を受け取るために、ローカルデバイス上でローカルに動作するように構成することができる。ローカルデバイスは、最も予測される次の質問に関してリモートサーバーに照会するために、アプリケーション・プログラム・インターフェース(API)のソフトウェア命令を伴って構成することができる。APIは、例えば、本明細書に記載される特徴重要度に基づいて、識別された質問を返すことができる。代替的にまたは組み合わせて、ローカルプロセッサは、先の回答に応じて最も予測される次の質問を判定するための命令を伴って構成することができる。例えば、予測モジュール(620)は、リモートサーバーのソフトウェア命令、またはローカルプロセッサのソフトウェア命令、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。代替的にまたは組み合わせて、特徴推奨モジュール(625)は、例えば、最も予測される次の質問を判定するために構成された、リモートサーバーのソフトウェア命令、またはローカルプロセッサのソフトウェア命令、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、本明細書に記載される特徴推奨モジュール(625)によって行なわれる、予測される特徴重要度判定アルゴリズム(627)を判定する方法の典型的な操作フロー(1000)は、本明細書に記載される1つ以上のプロセッサで行なうことができる。
【0122】
図11は、本明細書に記載される評価手順を行う方法(1100)を例示する。方法(1100)は、コンピューティングデバイスに設けられたユーザーインターフェースを用いて実行されてもよく、コンピューティングデバイスは、ディスプレイと、ディスプレイに提供される命令に応じてユーザー入力を受信するためのユーザーインターフェースを含む。評価手順に関与するユーザーは、被験体自身、または被験体の代わりに手順に関与する別の人物、例えば被験体の介護者であってもよい。工程(1105)において、N番目の特徴に関するN番目の質問は、ディスプレイを用いてユーザーに提示することができる。工程(1110)において、対応するN番目の特徴値を含む被験体の回答が受信され得る。工程(1115)において、手近の被験体に関するデータセットは、被験体に提供されるN番目の特徴値を含むように更新可能である。工程(1120)において、最新のデータセットは、予測された分類を生成するために評価モデルに適合させることができる。本明細書に記載されるように、工程(1120)は予測モジュールによって行なわれてもよい。工程(1125)において、データの適合によって特定の発達障害(例えば自閉症、ADHD等)の十分な信頼(例えば少なくとも90%の信頼区間内)の予測を生成できるかどうかを判定するために、チェックを行うことが可能である。もしそうであれば、工程(1130)に示されるように、予測された発達障害をユーザーに表示することができる。もしそうでなければ、工程(1135)において、照会可能な追加の特徴があるかどうかを判定するためにチェックを行うことが可能である。もしそうであれば、工程(1140)に示されるように、特徴推奨モジュールは、ユーザーに提示されることになる次の特徴を選択してもよく、および最終予測(例えば特定の発達障害、または「診断なし」)をユーザーに示すことができるまで、工程(1105-1125)を繰り返してもよい。被験体に追加の特徴を提示することができない場合、工程(1145)に示されるように、「診断なし」が被験体に表示され得る。
【0123】
上記の工程は、評価手順を行う典型的な方法(1100)を示すが、当業者は、本明細書に記載の技術に基づいて多くの変化形体を認めることだろう。工程は、異なる順序で完了されてもよい。工程は追加され、または削除されてもよい。工程のいくつかは、他の工程のサブ工程を含んでもよい。工程の多くは、ユーザーによって望まれる頻度で繰り返されてもよい。
【0124】
本開示は、本開示の方法を実施するためにプログラムされたコンピュータ制御システムを提供する。図12は、本明細書に記載される方法および装置と融合するのに適したコンピュータシステム(1201)を示す。コンピュータシステム(1201)は、例えば質問と回答、反応、統計的分析等の、本開示の情報の様々な態様を処理することができる。コンピュータシステム(1201)は、ユーザーの電子装置、または電子装置に対して遠隔に位置するコンピュータシステムであり得る。電子装置はモバイル電子装置であり得る。
【0125】
コンピュータシステム(1201)は中央処理装置(CPU、本明細書ではまた「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」)(1205)を含み、これは単一のコアまたはマルチコアのプロセッサ、または並列処理用の複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム(1201)はまた、メモリまたは記憶域(1210)(例えばランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(1215)(例えばハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース(1220)(例えばネットワークアダプタ)、キャッシュ等の周辺機器(1225)、他のメモリ、データ保存および/または電子ディスプレイアダプタを含む。メモリ(1210)、記憶装置(1215)、インターフェース(1220)、および周辺機器(1225)は、マザーボード等の通信バス(実線)を介してCPU(1205)と通信している。記憶装置(1215)は、データを保存するためのデータ記憶装置(またはデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム(1201)は、通信用インターフェース(1220)の助けによってコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)(1230)に動作可能に接続され得る。ネットワーク(1230)は、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、またはインターネットと通信しているイントラネットおよび/またはエクストラネットであり得る。ネットワーク(1230)は、場合によってはテレコミュニケーションおよび/またはデータネットワークである。ネットワーク(1230)は、1つ以上のコンピュータサーバーを含むことができ、それは、クラウドコンピューティング等の分散コンピューティングを可能にすることができる。ネットワーク(1230)は、場合によってはコンピュータシステム(1201)の助けで、ピアツーピア・ネットワークを実施することができ、これによってコンピュータシステム(1201)に接続されたデバイスは、クライアントまたはサーバーとして動作することが可能になる場合もある。
【0126】
CPU(1205)は、機械可読命令の配列を実行することができ、これによってプログラムまたはソフトウェアに具現することができる。命令は、メモリ(1210)等の記憶域に保存されてもよい。命令はCPU(1205)に向けられてもよく、その後に、本開示の方法を実施するためにCPU(1205)をプログラムする、またはそうでなければ構成することができる。CPU(1205)によって行なわれる動作の例は、命令取出、デコード、実行、およびライトバックを含み得る。
【0127】
CPU(1205)は集積回路等の回路の一部であり得る。システム(1201)の他の1つ以上のコンポーネントは回路に含まれ得る。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0128】
記憶装置(1215)は、ドライバ、ライブラリ、および保存されたプログラム等のファイルを保存することができる。記憶装置(1215)は、ユーザーデータ、例えばユーザーの好み、およびユーザプログラムを保存することができる。コンピュータシステム(1201)は、場合によっては、イントラネットまたはインターネットを介してコンピュータシステム(1201)と通信するリモートサーバーに配置されるような、コンピュータシステム(1201)の外部にある1つ以上の追加データ記憶装置を含むことができる。
【0129】
コンピュータシステム(1201)は、ネットワーク(1230)を介して1つ以上の遠隔コンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム(1201)は、ユーザー(例えば親)の遠隔コンピュータシステムと通信することができる。遠隔コンピュータシステムとモバイル通信装置の例として、パソコン(例えば携帯用のPC)、スレートまたはタブレットPC(例えばApple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えばApple(登録商標)iPhone、アンドロイド対応デバイス、Blackberry(登録商標))、携帯情報端末、ウェアラブルメディカルデバイス(例えばFitbits)、または医療機器モニター(例えば発作モニター)があげられる。ユーザーは、ネットワーク(1230)でコンピュータシステム(1201)にアクセスすることができる。
【0130】
本明細書に記載される方法は、例えばメモリ(1210)または電子記憶装置(1215)等の、コピュータシステム(1201)の電子記憶域に保存されたマシン(例えばコンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。マシン実行可能コードまたは機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供することができる。使用中に、コードはプロセッサ(1205)によって実行され得る。いつかの場合では、コードは、電子記憶装置(1215)から取得され、プロセッサ(1205)による容易なアクセスのためのメモリ(1210)に保存することができる。いくつかの状況において、電子記憶装置(1215)を排除してもよく、マシン実行可能命令がメモリ(1210)に保存される。
【0131】
コードは、プリコンパイルされ、コードを実行するのに適したプロセッサを有するマシンでの使用のために構成されてもよく、あるいは実行時にコンパイルすることもできる。コードは、コードをプリコンパイルする、またはコンパイルされた様式で実行することができるように選択可能なプログラミング言語で供給することができる。
【0132】
コンピュータシステム(401)等の、本明細書に提供されるシステムと方法の態様は、プログラミングにおいて具現され得る。本技術の様々な態様は、典型的にはマシン(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または一種のマシン可読媒体で実行または具現される関連データの形態の「プロダクト」または「製品」と見なしてもよい。マシン実行可能コードは、電子記憶装置、そのようなメモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクに保存することができる。「記憶」タイプの媒体は、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的記憶を提供し得る、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ等の、コンピュータまたはプロセッサ等の有形メモリ、またはそれらの関連モジュールのいずれか、またはすべてを含むことができる。ソフトウェアのすべてまたは一部は、インターネットまたは様々な他の通信ネットワークを介して時々、通信され得る。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のものへの、例えば、管理サーバーまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバーのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのロードを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を有し得る別のタイプの媒体は、有線および光地上通信ネットワークおよび様々なエアリンクを介した、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたって使用されるもの等の、光波、電波、および電磁波を含む。有線または無線のリンク、あるいは光リンク等の、そのような波を運ぶ物理要素は、ソフトウェアを有する媒体としても考慮され得る。本明細書で使用されるように、非一時的な、有形の「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたはマシン「可読媒体」等の用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する媒体を指す。
【0133】
したがって、コンピュータ実行可能コード等のマシン可読媒体は、限定されないが、有形記憶媒体、carrierwave媒体、または物理的な伝送媒体を含む多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体は、例えば、図に示されるように、データベースを実装するために使用され得るもの等の、コンピュータ等の記憶デバイスのいずれか等の、光ディスクまたは磁気ディスクを含むことができる。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリ等のダイナミックメモリを含む。有形の伝送媒体は、同軸ケーブル;コンピュータシステム内にバスを含むワイヤーを含む、銅ワイヤーとファイバーオプティクスを含む。carrierwave伝送媒体は、無線周波(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるもの等の、電気信号または電磁気信号、あるいは音波または光波の形態をとり得る。したがってコンピュータ可読媒体の共通の形態は、例えば、以下を含む:フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、DVDまたはDVD-ROM、他の光学媒体、パンチカード紙テープ、穴のパターンを有する他の物理的な記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、他のメモリチップまたはカートリッジ、carrierwave転送データまたは命令、そのようなcarrierwaveを転送するケーブルまたはリンク、コンピュータがプログラミングコードおよび/またはデータを読み取るための他の媒体。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、実行のためにプロセッサに1つ以上の命令の1つ以上の配列を運ぶことに関与し得る。
【0134】
コンピュータシステム(1201)は、例えば、質問と回答、分析結果、推奨を提供するためのユーザーインターフェース(UI)(1240)を含む電子ディスプレイ(1235)を含み、またはそれと通信することができる。UIの例として、限定されないが、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザーインターフェースがあげられる。
【0135】
本開示の方法とシステムは、1つ以上のアルゴリズムによって、および本明細書に開示される1つ以上のプロセッサと共に提供される命令で、実行することができる。アルゴリズムは、中央処理装置(1205)による実行に際して、ソフトウェアによって実行することができる。アルゴリズムは、例えばランダムフォレスト、グラフィックモデル、サポートベクターマシン等であり得る。
【0136】
上記の工程は、例に従ったシステムの方法を示すが、当業者は、本明細書に記載の教示に基づいて多くの変化形体を認めることだろう。工程は、異なる順序で完了されてもよい。工程は追加され、または削除されてもよい。工程のいくつかは、サブ工程を含んでもよい。工程の多くは、プラットフォームによって有用である頻度で繰り返されてもよい。
【0137】
本明細書に記載される例の各々は、1つ以上の他の例と組み合わせることができる。さらに、1つ以上の例の1つ以上の構成員を、他の例と組み合わせることができる。
【0138】
図13は、フィードバックループと減らされたテストを伴うデジタル個別化医療プラットフォーム(1300)に関する典型的な系統図を例示する。プラットフォーム(1300)は、例えば、発達遅延に関する小児の認知障害と行動障害の診断と処置を提供することができる。ユーザーデジタルデバイス(110)、例えばスマートフォン等のモバイルデバイス、活動モニター、またはウェアラブルデジタルモニターは、被験体に関するデータとメタデータを記録することができる。データは、上記で論じられたように、デバイスとの被験体のインタラクションに基づいて、さらに介護者および医療従事者とのインタラクションに基づいて、収集され得る。
【0139】
デジタルデバイス(110)は、通信ネットワーク(120)を通じて個別化医療システム(130)と通信することができる。個別化医療システム(130)は、被験体の発達状態の初期診断と最新の診断を提供するために診断モジュール(132)を含んでもよく、および診断モジュール(132)の診断に応じた個別化治療の推奨を提供するために治療モジュール(134)を含んでもよい。
【0140】
いくつかの例では、診断モジュール(132)は、本明細書に記載されるデータ処理モジュールを含むことができる。データ処理モジュールは、診断モジュール(132)がテスト問題の数を減らして、被験体に対する評価を提供することができるようにすることが可能である。データ処理モジュールは、本明細書に記載されるように、前処理モジュール、訓練モジュール、および予測モジュールを含むことができる。データ処理モジュールは、データベースまたはユーザーから訓練データを抽出し、訓練データを標準化するために1つ以上の変換を適用し、および訓練モジュールに標準化した訓練データを渡すことができる。訓練モジュールは、標準化した訓練データに基づいて、診断テストで使用されることになる評価モデルを構築して訓練するために、機械学習アルゴリズムまたは他のアルゴリズムを利用することができる。一旦、評価モデルが訓練データから抽出されると、該モデルは、発達の進行等の認知機能、または行動障害、神経障害、または精神衛生障害等の1つ以上の障害に関して被験体のリスクを評価するために、予測ツールとして使用されてもよい。訓練データは、被験体が構成員ではない集団で開発されたデータを含むことができる。予測モジュールは、訓練モジュールに構築された評価モデルに新たなデータを適合させることによって、任意の被験体の認知機能(例えば発達障害)の予測される分類子を生成するように構成され得る。データ処理モジュールは、複数の尋ねられた質問に対する複数の回答に基づいて、最も予測される次の質問を識別することができ、その結果、より少ない質問で個人のリスクを診断または識別し、処置することができる。
【0141】
診断モジュール(132)から生成される診断テスト(例えば1セットのテストと質問)は、デジタルデバイス(110)を介して被験体または介護者に提供することができる。被験体の診断テストへの回答は、診断モジュール(132)によって受信され得る。診断モジュール(132)は、被験体の回答に基づいて初期診断を生成することができる。例えば、診断モジュールは、介護者に出された質問、および語彙テストまたは言語コミュニケーションテスト等の被験体に実施されたテストに基づいて、自閉症関連の言葉の遅れを診断してもよい。
【0142】
診断モジュールは、治療モジュール(134)にその初期診断を通信することができ、後者は、診断された症状を処置するために行われる最初の治療を提案するために初期診断を使用する。治療モジュール(134)は、デジタルデバイス(110)にその推奨された治療を送信し、任意の時間フレームにわたって推奨された治療を行なうための、患者と介護者に対する命令を含む。被験体と介護者は、診断モジュール(132)にフィードバックを提供することができ、および診断モジュール(132)は次に、デジタルデバイス(110)に新たな診断テストと質問を提供するようにデータ処理モジュールに命じることができる。次に、診断モジュール(132)は、治療モジュール(134)に最新の診断を提供し、これは、治療の次の工程として被験体と介護者によって行なわれる最新の治療を提案する。したがって、被験体と介護者、診断モジュールと治療モジュールの間のフィードバックループが形成され、被験体をより少ない質問で診断することができる。フィードバックは、治療的介入からもたらされる効果、適応性、および反応の相対レベルを識別することができ、および処置を改善するために、改善のための変更を認めることができる。
【0143】
いくつかの例では、治療モジュールは、異なる疾病または異なる重症度レベルの疾病を有すると被験体を分類するために、診断モジュールに依存してもよい。随意に、治療モジュールは、オプションのリストから次の最良の治療または処置を決定するために、自身の独立した予測モジュールまたは推奨モジュールを有することができる。この決定は、診断モジュールからの評価と共に、性別/年齢/人種等の人口統計により分類された、特定の被験体が特定の処置に反応する歴史上の確率に関係する独立してコンパイルされた統計学を考慮することができる。治療モジュールは、単純な規則または高度な機械学習技術を使用して、予測的なタスクを行なうことができる。機械学習の場合、独立したフィードバックループが生じ、治療モジュールに接続して被験体の処置結果を戻すだろう。
【0144】
いくつかの例では、ヘルスケア専門家のコンピュータシステム等の第三者システムは、通信ネットワーク(120)に接続することができる。ヘルスケア専門家または他の第三者は、減らされた質問に基づいて、診断モジュールによって提供された診断、および/または治療モジュールによって提案された治療からの有意な偏差に注意することができる。その後、さらなる適切な行動が第三者によってとられ得る。例えば、第三者システムは、治療モジュールによって提案された治療を審査し、修正することができる。
【0145】
いくつかの例では、被験体は、治療に応じた反応プロフィールを有することができ、および治療モジュールは、被験体の初期反応に基づいて反応プロフィールを分類するように構成することができる。例えば、被験体は、処置がうまくいっていることを示す反応プロフィール、または処置がうまくいっていないことを示す反応プロフィールを有する場合もある。これらの初期反応プロフィールは、多少、反直観的であり得る。例えば、症状の変動は、これらの変動がベースラインに対する症状の増加と減少を含んだとしても、処置がうまくいっていることを示す指標であり得る。いくつかの処置では、症状に変化があらわれる時点が遅くなることもある。
【0146】
被験体と介護者等のユーザーは、例えば、デジタルデバイス(110)にソフトウェア命令を含むアプリケーションをダウンロードし、およびインストールすることができる。アプリケーションは、ユーザーが診断テストのためにクラウドベースのサーバーから命令を受信し、診断テストに回答をアップロードし、クラウドベースのサーバーから処置を受け取り(例えば、ゲームまたは対話式コンテンツ)、フィードバックを提供し、処置がどのように進行しているかを判定するために定期的に新たなテストを受信し、および最新の処置を受け取ることを可能にする。アプリケーションは、被験体がデジタル治療を受け取るための第1のデバイス、および介護者が治療の進行をモニタリングするための第2のデバイス等の、複数のデジタルデバイスにインストールすることができる。フィードバックループは、ユーザーとクラウドベースのサーバー(例えば個別化医療システム(130))との間に生成され、ここで治療の開始後の被験体の評価が、反応を改善するために治療を適合させるために使用される。
【0147】
図14は、フィードバックループを用いたデジタル個別化医療プラットフォームのための典型的な系統図を例示する。プラットフォーム(1400)は、本明細書に記載されるように、個別化医療システム(130)、診断モジュール(132)、治療モジュール(134)、コンピュータネットワーク(120)、またはデジタルデバイス(110)等の、図13のプラットフォーム(1300)の要素のいずれか1つ以上を含んでもよい。本明細書に記載されるように、プラットフォーム(1400)はさらに第三者システム(140)を含んでもよい。個別化医療システム(130)は、コンピュータネットワーク(120)にデジタル治療に関する情報を通信するように構成され、および/またはコンピュータネットワーク(120)からデバイスデータに関する情報を得るように構成されてもよい。第三者システム(140)は、コンピュータネットワーク(120)への、および/またはそれからの情報を送信および/または受信するように構成されてもよい。
【0148】
診断モジュールは、1つ以上の診断情報に関する情報を受け取るように構成されてもよい。例えば、診断モジュールは、代謝データ、マイクロバイオームデータ、1つ以上の評価の間に出された1つ以上の質問に対する1つ以上の回答、および/または人口統計データ(ユーザーの年齢、性別、身長、体重、1つ以上の障害に関する診断ステータス、および/または当業者に既知の他の人口統計データ)を受信するように構成されてもよい。例えば、診断モジュールは、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥障害、双極性障害、統合失調症、癲癇、脳性麻痺、および/または当業者に既知の他の行動障害等の行動障害に関連し得る代謝データを受信するように構成されてもよい。代謝データは、薬物または治療の医薬品を用いた障害の処置の効果の評価に関連する場合もある。例えば、代謝データは、自閉症等の行動障害を処置するために、抗プリン作動性の治療の使用の効果の評価に関連する場合もある。代謝のデータは、例えば自閉症等の行動障害を処置するために、スラミン(8-[[4-メチル-3-[[3-[[3-[[2-メチル-5-[(4,6,8-トリスルホンナフタレン-1-イル)カルバモイル]フェニル]カルバモイル]フェニル]カルバモイルアミノ]ベンゾイル]アミノ]ベンゾイル]アミノ]ナフタレン-1,3,5-トリスルホン酸の使用の効果の評価に関連し得る。
【0149】
代謝データは、自閉症を治療するためにスラミンの使用に関係する1つ以上の代謝物質の血中濃度の測定を含んでもよい。例えば、代謝データは、クレアチニン、キサンチン、ヒポキサンチン、イノシン、LTB4、グアノシン、1-メチルニコチンアミド、11-デヒドロ-トロンボキサンB2,4-ヒドロキシフェニル乳酸、L-シスチン、ヘキサノイルカルニチン、ジヘキソシルセラミド、セラミド、2,3-ジホスホグリセリン酸、イノシトールリン脂質、システイン-グルタチオンジスルフィド、D-グルコース、トリヘキソシルセラミド、ビスモノアシルリン脂質(bismonoacylphospholipid)、マロンジアルデヒド、ホスファチジルコリン、3,5-テトラデカジエンカルニチン、エポキシ-5,8,11-エイコサトリエン酸、エポキシ-5,8,11-エイコサトリエン酸、カルディオリピン、8,9-エポキシエイコサトリエン酸、ミリストイルカルニチン、コール酸、オクタノイルカルニチン、ピメリルカルニチン、ドデカノイルカルニチン、L-ホモシステイン酸、9-デセノイルカルニチン、ヒドロキシイソカプロン酸、プロピオン酸、5-アルファ-コレスタノール、グリセリン酸1,3-重リン酸塩、3-メチルフェニル酢酸、シチジン、オキサロ酢酸、9-ヘキサデセノイルカルニチン、デヒドロイソアンドロステロン3-硫酸塩、11-R-ヒドロキシエイコサテトラエン酸、ピリドキサミン、11,12-ジヒドロキシエイコサトリエン酸、セドヘプツロース7-リン酸、および/または5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチドの1つ以上の血中濃度を含んでもよい。
【0150】
代謝物質の血中濃度は、クレアチンまたはクレアチニン代謝、プリン代謝、エイコサノイド代謝、レゾルビン代謝、ビタミンB3代謝、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド代謝、マイクロバイオーム代謝、脂肪酸の酸化および/または合成、ガングリオシド代謝、スフィンゴリピド代謝、解糖および/または糖新生、S‐アデノシルメチオニン代謝、Sアデノシルホモシエイン代謝、グルタチオン代謝、リン脂質代謝、酸化窒素代謝、活性酸素種代謝、カルディオリピン代謝、胆汁酸塩代謝、コレステロール代謝、コルチゾール代謝、ステロイド代謝、シュウ酸塩代謝、グリオキシラート代謝、トリプトファン代謝、クレブス回路、γ-アミノ酪酸代謝、グルタミン酸塩代謝、アルギニン代謝、オルニチン代謝、プロリン代謝、ピリミジン代謝、ビタミンB2代謝、チロキシン代謝、アミノ糖代謝、ガラクトース代謝、メチオニン代謝、ビオプテリン代謝、ネオプテリン代謝、および/またはモリブドプテリン代謝に関与する代謝経路に関連し得る。
【0151】
治療モジュールは、1つ以上の治療情報に関する情報を判定するように構成されてもよい。例えば、治療モジュールは、例えば推定アルファクリアランス率、または推定ベータクリアランス率等の、治療薬の推定薬物動態の(「PK」)パラメータを判定するように構成されてもよい。PKパラメータは、被験体の測定された生理的パラメータ、または人口統計データに応じて判定することができる。PKパラメータは、被験体における治療薬の推定量を判定するために使用することができる。治療モジュールは、診断モジュールに提供されるデータに応じて、クレアチニンレベル、血液尿素窒素レベル等のバイオマーカーレベルを推定することができる。PKパラメータは、例えば治療薬レベル、または推定の非薬物療法レベルを判定するために使用することができる。治療モジュールは、治療情報に関する情報を判定するために、機械学習、分類子、人工知能、または統計的モデリングによって判定されたモデルを利用してもよい。
【0152】
本明細書に記載されるように、治療モジュールまたは診断モジュールの分類子は、1つ以上の認知機能スコアを生成するように構成されてもよい。例えば、これらの認知機能スコアは、例えば被験体が自閉症スペクトラムであるかを判定できるように、ADOSスコアまたはVineland Adaptive Behavior Scaleのスコアに対応し得る。同様のスコアは、当業者によって、本明細書に記載されるような他の認知機能のために開発され得る。各回答の相対的な重みは、被験体に関する他の回答と組み合わせることができ、および被験体に関する認知スコアを判定するために使用することができる。例えば、被験体の認知スコアは、本明細書に記載されるような各質問に関する特徴重要度に応じて判定することができる。認知スコアは、質問特徴重要度の組み合わせ、および複数の質問の各々に対する質問への回答に基づいて判定することができる。例えば、認知スコアの大きさは、特定の瞬間における行動障害の重症度を示し得る。認知スコアの大きさの変化は、治療的介入、処置、または障害の進行に応じて生じ得るもの等の、行動障害の状態における変化を示し得る。例えば、スコアは、被験体が例えば自閉症からアスペルガー症候群までの自閉症スペクトラムに属することに関係し得る。
【0153】
診断モジュールまたは治療モジュールは、患者の挙動または能力を評価することができる第2の診断分類子または治療分類子をさらに含んでもよい。評価は、患者の認知機能に関する複数の質問に対する回答に直接基づいてもよく、または、患者から得た、あるいは患者に関連する受動的なデータ、または第三者から得た、あるいは収集したデータとの組み合わせに基づくことができる。第2の分類子は、患者の行動または能力に数的スコアを割り当ててもよい。第2の分類子は、相対的価値を判定するために、患者の数的スコアまたは数的スコアの変化を、他の患者または他のコホートから得られたスコアと比較してもよい。例えば、第2の分類子は、数的スコアまたは数的スコアの変化を、年齢または他の人口統計等の点で患者にいくらか類似する他の患者またはコホートから得たスコアと比較してもよい。分類子は、患者と、他の類似する患者またはコホートとの間の数的比較を判定してもよい。例えば、分類子は、患者の挙動または能力が、他の類似する患者またはコホートと比較して特定のパーセンタイル順位内に属することを判定してもよい。分類子はまた、マイルストーンまたは発達に関する技能評価を提供してもよい。診断モジュールまたは治療モジュールは、患者のスコアあるいは経時的な他の評価メトリックの値または値における変化を、類似または同様のコホートによって定義された他の患者と比較してもよい。例えば特定のマイルストーンにおいて行われ得る、この比較、または類似のコホートとの患者のスコアまたは評価メトリックの一致に基づいて、治療モジュールは、患者のための個別化治療の処置計画を判定し出力してもよい。
【0154】
処置前、処置後3週目、処置後6週目等の、複数の別個の時点の各々において複数の質問に回答することができ、および複数の追跡時点の各々においてスコアが判定される。用量は、複数の時点の各々に関して生成されたスコアに応じて調節可能である。診断モジュールからのスコアは、例えば、複数の時点の各々における回答に応じて、被験体の適切な用量を決定するために治療モジュールに伝達することができる。
【0155】
図14のシステムは、被験体のための治療計画を決定するために利用されてもよい。治療モジュールは、被験体に関する診断データに応じて、個別化治療の処置計画を決定するように構成されてもよい。治療計画は、治療薬の投与のタイミングまたは量を含んでもよい。診断モジュールは、被験体の治療に応じて被験体から最新の被験体データを受け取るように構成されてもよい。診断モジュールは、最新の被験体データに基づいて最新の診断データを生成してもよい。治療モジュールは、治療薬の最新の用量の最新の量または最新の投与タイミングを決定するために、最新の診断データを受信するように構成されてもよい。治療モジュールは、最新の診断データを受け取り、診断データと最新の診断データに応じた被験体のための最新の個別化処置計画を出力するように構成されてもよい。個別化治療の処置計画は、治療薬の最新の用量の最新の量または最新の投与タイミングを含んでもよい。
【0156】
治療モジュールは、治療薬の投与のタイミングまたは量を決定し、かつ被験体の測定された薬物動態に応じて個別化治療の処置計画を出力するように構成されてもよい。治療薬は、アルファ排出半減期および/またはベータ排出半減期を有してもよい。例えば、ベータ排出半減期は、約1日から30日の範囲内の時間を含んでもよい。治療モジュールは、ベータ排出半減期に応じて、治療薬の続く投与の量および/またはタイミングを判定するように構成されてもよい。被験体の薬物動態は、被験体への既知量の治療薬の初回投与と、1回以上後の回の治療薬の量の判定に応じて、判定されてもよい。
【0157】
治療モジュールは、被験体の人口統計に基づいて、被験体の推定ベータクリアランス率に応じて治療薬の投与のタイミングと量を決定するように構成されてもよい。人口統計は、被験体の身長、体重、年齢、または性別であってもよい。
【0158】
治療薬は、例えばスラミンを含んでもよい。被験体は小児の被験体であってもよい。スラミンは、被験体に注入されてもよい。注入量は、体重1kgあたり約10mgのスラミンから、被験体の体重1kgあたり約30mgのスラミンの範囲内であってもよい。治療モジュールは、約1μMから約100μMの範囲内のスラミン血中濃度を標的とするように構成されてもよい。
【0159】
図15は、治療モジュール(1500)に関する典型的な系統図を示す。治療モジュール(134)は、本明細書に記載されるように、分類子(1550)、受動的データモジュール(501)、能動的データモジュール(510)、および/または質問への回答(505)を含んでもよい。分類子(1500)は、本明細書に記載されるように、分類子(600)に類似する1つ以上の構成要素を含んでもよい。分類子(1550)は、分類子(600)とは別個の分類子を含んでもよく、または、分類子(1550)が組み合わせた診断・処理モジュールを含み、分類子(600)の少なくともいくつかの構成要素を含み得るように組み合わされてもよい。代替的にまたは組み合わせて、分類子(600)は、分類子(1550)からデータを送受信するように構成することができる。さらに、治療モジュール(1500)は、本明細書に記載されるような診断モジュールの構成要素を含んでもよく、その結果、治療モジュール(1500)は、組み合わせた診断・治療モジュールを含む。
【0160】
治療モジュールは、推定効果モジュール(1510)、PKモジュール(1520)、反応プロフィール比較モジュール(1530)、および/または用量モジュール(1540)をさらに含んでもよい。治療モジュールの要素は、治療モジュールの他の要素と通信するように構成されてもよい。例えば、分類子は、推定効果モジュール、受動的データモジュール、PKモジュール、反応プロフィール比較モジュール、能動的データモジュール、用量モジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。推定効果モジュールは、分類子、受動的データモジュール、PKモジュール、反応プロフィール比較モジュール、能動的データモジュール、用量モジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。受動的データモジュールは、分類子、推定効果モジュール、PKモジュール、反応プロフィール比較モジュール、能動的データモジュール、用量モジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。PKモジュールは、分類子、推定効果モジュール、受動的データモジュール、反応プロフィール比較モジュール、能動的データモジュール、用量モジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。反応プロフィール比較モジュールは、分類子、推定効果モジュール、受動的データモジュール、PKモジュール、能動的データモジュール、用量モジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。能動的データモジュールは、分類子、推定効果モジュール、受動的データモジュール、PKモジュール、反応プロフィール比較モジュール、用量モジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。用量モジュールは、分類子、推定効果モジュール、受動的データモジュール、PKモジュール、反応プロフィール比較モジュール、能動的データモジュール、および/または質問に対する回答と通信するように構成されてもよい。質問に対する回答は、分類子、推定効果モジュール、受動的データモジュール、PKモジュール、反応プロフィール比較モジュール、能動的データモジュール、および/または用量モジュールと通信するように構成されてもよい。
【0161】
推定効果モジュールは、治療の推定効果を判定するために治療モジュールの他の要素と通信してもよい。例えば、推定効果モジュールは、行動障害を処置するために、特定の用量とPKを用いた薬物の投与の効果を判定するために、分類子、受動的データモジュール、能動的データモジュール、PKモジュール、および用量モジュールと通信してもよい。PKモジュールは、薬物のPKを推定するために、治療モジュールの他の要素と通信してもよい。反応プロフィール比較モジュールは、任意の個体の反応プロフィールと処置の任意の経過を、同じ処置または異なる処置で処置されている他の個体と比較するために、治療モジュールの他の要素と通信してもよい。用量モジュールは、薬物治療のために用量(投与の量とタイミング等)を判定するために、治療モジュールの他の要素と通信してもよい。
【0162】
PKモジュール(1520)は、本明細書に記載されるような被験体に関するPKパラメータを用いて構成することができる。PKモジュールは、被験体の血液中の治療薬の量、例えば用量モジュールからの治療薬の量に応じた治療薬のプロフィールを、経時的に判定するために使用することができる。PKモジュールは、被験体の血液中の経時的な治療薬のプロフィールと曲線下面積(「AUC」)を判定し、かつ推定効果モジュール(1510)にこのデータを伝達するように構成することができる。推定効果モジュール(1510)は、被験体の血液における経時的プロフィールを、治療薬の標的量と比較し、および被験体の全体的な効果を推定することができる。推定効果モジュールは、被験体の推定された全体的な効果に関係するデータを生成してもよい。
【0163】
用量モジュール(1540)は、治療薬のタイミングと量を保存し、修正するように構成することができる。投薬モジュールは、治療薬に応じて被験体の投薬を決定するように構成することができる。投薬モジュールは、推定効果モジュール(1510)に入力を提供することができる。
【0164】
推定効果モジュール(1510)は、用量モジュール(1540)とPKモジュール(1520)によって提供される用量に応じて治療薬の効果を推定するように構成することができる。推定効果モジュールは、PKモジュールにより判定された血液中の経時的な治療薬のプロフィール、および治療薬の用量に応じて、治療薬の推定効果を判定することができる。反応プロフィール比較モジュールは、バイオマーカー、人口統計、質問モジュール(505)への回答から提供されるデータ、受動的データモジュール(501)から提供されるデータ、および能動的データモジュール(510)から提供されるデータ等の、被験体固有のデータに基づいて被験体の反応プロフィールを比較するように構成することができる。
【0165】
モジュール(501)、(505)、(510)、(1510)、(1530)、および(1540)等の複数のモジュールの治療モジュール(1500)の各々は、他のモジュールに提供される関係データを判定するためにそれ自身の分類子を伴って構成することができる。前記複数のモジュールの各々の分類子は、本明細書に記載されるような分類子(600)の1つ以上の構成要素を含んでもよい。
【0166】
図16は、治療薬の用量を決定する方法に関するフローチャートを示す。方法(1600)は、診断モジュールから情報を受信する工程、初期評価を判定する工程、治療モジュールに診断情報を送信する工程、用量を決定する工程、追跡データを受信する工程、治療効果を評価する工程、および用量を出力する工程を含んでもよい。
【0167】
工程(1610)において、診断モジュールから情報が受信される。情報は、本明細書に記載されるように、診断モジュールによって利用されるいかなる情報も含み得る。
【0168】
工程(1620)において、初期評価が判定される。初期評価は、本明細書に記載されるように、診断モジュールによって判定される被験体の認知機能の初期評価を含み得る。
【0169】
工程(1630)において、診断情報が治療モジュールに送られる。診断情報は、本明細書に記載されるように、診断モジュールによって判定される被験体の認知機能の診断に関連する情報を含んでもよい。例えば、診断情報は、被験体が自閉症スペクトラム障害または他の行動障害を患っているという診断を含んでもよい。
【0170】
工程(1640)において、用量が決定される。用量は、投与の量および/またはタイミングを含んでもよい。本明細書に記載されるように、用量は用量モジュールによって決定されてもよい。
【0171】
工程(1650)において、追跡データが受信される。本明細書に記載されるように、追跡データは、処置の効果を評価することを可能にするあらゆる情報を含み得る。例えば、本明細書に記載されるように、追跡データは、薬剤を使用した処置の効果の判定を可能にし得る血液代謝物質レベルを含んでもよい。
【0172】
工程(1660)において、治療の効果が判定される。治療の効果が閾値効果を下回ると判定されると、工程(1610)、(1620)、(1630)、(1640)、(1650)、および(1660)が繰り返されてもよい。治療の効果が閾値効果を満たす、または上回る場合、用量情報が工程(1670)において出力される。
【0173】
本明細書に記載されるシステムと方法は、治療薬を使用するための処置計画を判定するために使用されてもよい。
【0174】
図17は、小児の人口学的情報の入力をユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、小児の名前と性別を尋ねるプロンプトを示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、小児の名前を入力するためのデータエントリフィールドと、小児が男性または女性であるかを選択するための選択フィールドを含んでもよい。
【0175】
図18は、子供の診断状態についての情報の入力をユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、子供の名、姓、および/または生年月日を入力するためのデータエントリフィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、子供が男性または女性であるか、および/または子供が行動障害と診断されたかどうかを選択するための選択フィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、子供が1つ以上の人格障害と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、すなわち、子供が自閉症障害と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、子供が注意欠陥障害と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、子供が感覚処理障害と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、子供が知的障害と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、子供が発達遅延と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、子供が言語発達遅滞と診断されたかどうかを選択するための選択フィールド、および/または子供が言葉の遅れと診断されたかどうかを選択するための選択フィールド等を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、子供の診断を提供した人物を選択するための選択フィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、医師が子供の診断を提供したかどうかを選択するための選択フィールド、臨床心理士が子供の診断を提供したかどうかを選択するための選択フィールド、スクールカウンセラーが子供の診断を提供したかどうかを選択するための選択フィールド、および/または他の人物が子供の診断を提供したかどうかを選択するための選択フィールドであってもよい。
【0176】
図19は、子供の強みについての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、1つ以上の分野がユーザーの子供にとっての強みのある分野であるかどうかを選択するための選択フィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、子供が反応し、正常な言語の使用を見せるかどうかを選択するための選択フィールド、子供が他の子供とうまく対話しているかどうかを選択するための選択フィールド、子供がグループ内でうまく行動しているかどうかを選択するための選択フィールド、子供が一対一でうまく行動しているかどうかを選択するための選択フィールド、子供が玩具とアイテムを整理することができるかどうかを選択するための選択フィールド、子供が指示にうまく従っているかどうかを選択するための選択フィールド、子供が新しいことを学ぶのを好むかどうかを選択するための選択フィールド、子供がトイレの訓練を受けたか、またはトイレの訓練で進歩を見せているかどうかを選択するための選択フィールド、および/または子供が夜ずっと眠っているかどうかを選択するための選択フィールドを表示してもよい。
【0177】
図20は、自身の子供に関する懸念についての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、1つ以上の領域がユーザーの子供に関する懸念領域であるかどうかを選択するための選択フィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、子供が遅れた、または奇妙な言葉の使用を示すかどうかを選択するための選択フィールド、子供が他の子供とほとんど対話しないかどうかを選択するための選択フィールド、子供が問題行動を示すかどうかを選択するための選択フィールド(かんしゃくまたは敵対的な行動等)、子供が命令に従うことができない、または自身の名前に反応できないかどうかを選択するための選択フィールド、子供がとても落ち着きのない、またはじっと座っていられないかどうかを選択するための選択フィールド、子供が、奇妙または反復的な手または指の癖あるいは身体の動きを見せるかどうかを選択するための選択フィールド、子供が睡眠の問題を見せるかどうかを選択するための選択フィールド、子供がおなかの問題(痛み、便秘、または下痢等)を見せるかどうかを選択するための選択フィールド、子供が玩具の奇妙な使用を見せるかどうかを選択するための選択フィールド、および/または子供がこれらの形跡を全く見せないかどうかを選択するための選択フィールドを表示してもよい。
【0178】
図21は、自身の子供の言葉の使用についての情報を入力するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、ユーザーの子供がどれぐらいの言葉を毎日使用しているかを選択するための選択フィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、子供が言語的に流暢であることを示すための選択フィールド(例えば、子供は、「全部終わったから遊びに行く(I’m all done,so I will go play)」等の完全に発達した会話を使用する)、子供がフレーズを用いた会話を使用することを示すための選択フィールド(例えば、子供は、「遊びに行く、外(go play outside)等のより発達していない会話を使用する)、子供が単純な単語を使用することを示す選択フィールド(例えば、子供は、「行く(go)」または「遊ぶ(play)」等の発達の乏しい会話を使用する)、および/または子供がほとんどもしくは全く言葉を使用しないことを示すための選択フィールドを表示してもよい。
【0179】
図22は、ユーザーが自身の子供に関する質問を医学の専門家に尋ねることができるようにする、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、ユーザーが自身の子供の発達に関係し得る質問を入力するためのフィールドを表示してもよい。例えば、ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーが自身の子供の発達または挙動、および/または子供の評価に続く次の工程に関する質問をすることを認めてもよい。
【0180】
図23は、活動を行っている子供の映像を提出するようにユーザーに促す、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、特定の活動を行っている子供の1つ以上の映像を提出するようにユーザーに求めるプロンプト、およびユーザーが映像を記録および/またはアップロードすることを可能にする1つ以上のボタンを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーが遊び時間中の子供の映像を記録および/またはアップロードすることを可能にするボタン、ユーザーが食事時間中の子供の映像を記録および/またはアップロードすることを可能にするボタン、ユーザーがコミュニケーションを行っている子供の映像を記録および/またはアップロードすることを可能にするボタン、および/またはユーザーが選択した活動を行っている子供の映像を記録および/またはアップロードすることを可能にするボタンを表示してもよい。
【0181】
図24は、活動を行っている自身の子供の映像の提出方法に関してユーザーに指示する、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、活動を行っているユーザーの子供を記録するための1セットの命令を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、遊び時間中の、食事時間中の、コミュニケーション中の、および/またはユーザーの選択した活動中の、1分より長い、2分より長い、3分より長い、4分より長い、または5分より長い子供の映像を得るための1セットの命令を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーの子供がユーザーおよび/または他の人物と対話していることを映像に含むべき、子供の顔と手の明瞭な画像を映像に含むべき、および/または子供がユーザーと対話していることを映像が示すべきという命令を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、映像を記録するためにユーザーのカメラを開くためのボタンを表示してもよい。
【0182】
図25は、ユーザーが医療専門家に診断情報を提出することを可能にする、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、ユーザーが医療専門家に評価結果をメールするためのボタン、および/またはユーザーが評価結果を印刷するためのボタンを表示してもよい。
【0183】
図26は、ユーザーの子供に関するプロフィールを表示する、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、ユーザーの子供の年齢に関する情報、および/または子供に関するプロフィールが生成された日付を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーによる診断の更新を可能にするボタン、および/またはユーザーによる新たな評価を可能にするボタンを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーが1つ以上の部分的または完全に完了した評価にアクセスすることを可能にする、1つ以上のボタンを表示してもよい。例えば、ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーが未完了の評価(映像等)およびその評価を終了するための機能にアクセスすることを可能にする1つ以上のボタン、およびユーザーが事前に完了した評価にアクセスすることを可能にする1つ以上のボタンを表示してもよい。
【0184】
図27は、ユーザーによる異なるプロフィール間での選択を可能にする、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、ユーザーが、自身の子供の各々に関してあらかじめ生成されたプロフィール間の選択を行うことを可能にする1つ以上の選択フィールドを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーが別の子供に関するプロフィールを追加できるようにするボタンを表示してもよい。
【0185】
図28は、自身の子供の診断に関連した症状を緩和するために、子供が行なうことのできる活動に関してユーザーに提案を提供する、デジタル個別化医療プラットフォームと共に使用するためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーデジタルデバイス(110)は、ユーザーの子供が治療目的で行う場合もある1つ以上の活動のリストを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、推奨された活動、子供が行っている活動、および/または子供が既に行った活動をユーザーが選択することのできるボタンを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーが自身の子供と活動を行なう度にチェックインするようにユーザーに命じるプロンプトを表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、推奨された、子供が行っている、および/または子供が行った1つ以上の活動を表示してもよい。例えば、ユーザーデジタルディスプレイデバイスは、就寝時刻が1時間後であることをユーザーに思い出させる責任を自身の子供に与えるようにユーザーに促す、1時間休息活動を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、静かな環境を作るのを助けるために、ユーザーに就寝前にアイコンタクトと大声を避けるように促す刺激クールダウン活動を表示してもよい。ユーザーデジタルデバイスは、ユーザーがより多くの活動を見ることを可能にするボタンを表示してもよい。
【0186】
<実験データ>
本明細書に記載されるデータ処理モジュールは、Python 2.7,Anaconda Distributionに構築された。評価モデルを構築して訓練するために使用される訓練データは、自閉症遺伝資源交換(AGRE)によって生成されたデータを含んでおり、それは、自宅で親と子からのADI-RとADOSのデータを収集するために家庭内評価を行った。ADI-Rは、合計93の質問を提示する親との面談を含み、自閉症または自閉症ではないという診断を生み出す。ADOSは、自閉症、ASD、または診断なしという診断を生み出す小児との半構成的面談を含み、小児は、言語水準に基づいて4つの可能なモジュールの1つを与えられ、各モジュールは約30の質問を含む。データは、評価から抽出した小児の臨床的診断を含んだ;1人の小児が矛盾するADI-R対ADOS診断を有した場合、有資格の臨床心理士は、質問の際に小児に関するデータセットのためのコンセンサス診断を割り当てた。訓練データは、合計3,449のデータポイントを含み、3,315の事例(自閉症またはASD)と134の対照(非スペクトラム)を有した。訓練データで評価された特徴は、3つの重要な領域を標的とした:言語、社会的コミュニケーション、および反復行動。
【0187】
ブースティングされたランダムフォレスト分類子を、本明細書に記載される評価モデルを構築するために使用した。訓練データで評価モデルを訓練する前に、訓練データは、データを標準化し、および本明細書に記載されるOne-hot表現の絶対的な特徴を再コード化するために前処理された。訓練データが自閉症またはASDを有する個体へとゆがめられたため、サンプルの重み付けは、自閉症/ASDの個体からのデータと比較して、非スペクトラムの個体からのデータに最大で50倍高い有意性を帰するように適用された。評価モデルは、ブースティング、誤分類されたデータポイントに起因する有意性を増加させるために各反復の後にデータポイントの重みを更新し、および最新の有意性で再訓練することで、反復して訓練された。
【0188】
訓練されたモデルは、k=5のK-分割交差検証を使用して検証された。交差検証は、約93-96%の精度をもたらし、精度は、2進法分類タスク(自閉症/非スペクトラム)のモデルを使用して正しく分類された被験体の割合として定義される。訓練データがサンプルバイアスを含んでいたため、混同行列を計算して、モデルがどれくらいの頻度であるクラス(自閉症または非スペクトラム)を他のクラスと混同したかを判定した。正しく分類された自閉症個体の割合は約95%であったが、正しく分類された非スペクトラム個体の割合は約76%であった。しかしながら、あるクラス対他のクラスをより密に適合させるようにモデルが調整されてもよく、この場合、各クラスごとの正しい分類の割合は変わることに留意すべきである。図29は、本明細書に記載される典型的な評価モデルに関して感度 対 フォールアウトをマッピングする受信者動作特性(ROC)曲線を示す。自閉症の診断に関する有病正診率(感度)は、X軸にマッピングされた診断に関する無病誤診率(fall-put)の関数として、Y軸にマッピングされる。「Fold #0」、「Fold #1」、および「Fold #2」と標識された3つの曲線の各々は、交差検証手順の異なる「fold」に対応し、各foldに関して、訓練データの一部が評価モデルに適合され、他方でデータセットを「自閉的」と分類するのに必要な予測信頼閾値を変化させる。望ましいように、あるいは適切に、モデルは、モデルのROC曲線に従って、フォールアウトにおけるいくらかの増加の代わりに感度を増加させ、または、フォールアウトにおける減少と引き換えに感度を減らすために、調節されてもよい。
【0189】
特徴推奨モジュールは本明細書に記載されるように構成され、各質問の予測される特徴重要度が計算され、アプリケーション・プログラム・インターフェース(API)でのサーバーへの呼出しにより、質問の候補は計算された重要度の順にランク付けされる。有益な質問を推奨する特徴推奨モジュールの能力は、質問の推奨スコアと、推奨された質問への回答から得られる予測精度の増加の相関を判定することにより評価された。相関メトリックを計算するために以下の工程を行なった:(1)データは、交差検証のために層に分割された;(2)既に回答された質問を、検証セットから無作為に取り出した;(3)予測される特徴重要度(質問推奨/スコア)を各質問ごとに生成した;(4)工程2で取り出された質問の1つを明らかにし、続く予測の精度における相対的な改善を測定した;および(5)相対的な改善と予測される特徴重要度との間の相関を計算した。算出されたピアソンの相関係数は0.2~0.3に及び、予測される特徴重要度スコアと相対的な改善との間の適度な相関を示した。図30は、各質問ごとの、予測される特徴重要度(「予測される情報性(Informativitiy)スコア」)と相対的な改善(「相対的な分類改善」)との間の相関を示す散布図である。プロットは、2つの変数間の適度な直線関係を示し、特徴推奨モジュールが実際に予測精度を高める質問を推奨できることを実証している。
【0190】
開発された予測モジュールと特徴推奨モデルを使用して出力を生成するための時間が測定された。予測モジュールは、個体の自閉症のリスクの予測を行うのに約46ミリセカンドを要した。特徴推奨モジュールは、個体のための質問の推奨の生成に約41ミリセカンドを要した。これらの測定はAPIを介したサーバーへの呼び出しにより行われたが、例えば、計算はローカルで行なうことができる。
【0191】
図9-10に関して記載されたデータ処理モジュールの評価モデルが、被験体を自閉症の有無に関して分類するように構築され訓練された一方で、本明細書に記載されるように、複数の行動障害、神経異常または精神衛生障害の1つ以上を有すると被験体を分類することができる評価モデルを構築するために類似のアプローチを使用してもよい。
【0192】
当業者は、不必要な実験をすることなく改善された結果を得るために、追加のデータセットを生成して取得し、本明細書に開示される方法と装置の感度と特異度、および信頼区間を改善することができる。これらの測定はデータセット例で実施されたが、方法と装置は、本明細書に記載の追加のデータセットを伴って構成することができ、および被験体は、不要な実験なしに臨床環境において80%の信頼区間でリスクを識別される。臨床環境での80%以上の感度と特異度は、不必要な実験なしに、例えば追加のデータセットを用いて、当業者によって本明細書に提供される教示により同様に得ることができる。
【0193】
追加のデータセットは、自閉症遺伝資源交換(AGRE)、ボストン自閉症コンソーシアム(AC)、シモンス財団、および米国自閉症研究データベース等の、本明細書に記載される大きな文書保管データレポジトリから取得されてもよい。代替的にまたは組み合わせて、追加のデータセットは、様々なシミュレーションアルゴリズムを使用してアーカイブデータに基づいて生成された、数学的にシミュレートされたデータを含んでもよい。代替的にまたは組み合わせて、追加のデータセットは、クラウド・ソーシング経由で得られてもよく、ここで被験体は、本明細書に記載の評価手順を自身で実行し、評価からのデータを寄与する。自身で実行した評価からのデータに加えて、被験体はまた、評価手順のために比較の基準を提供できるように、有資格の臨床医から得られた臨床診断を提供してもよい。
【0194】
詳細な説明は、多くの詳細を含んでいるが、これらは、本開示の範囲を制限するものとしてではなく、単に本開示の種々の例と態様を例示するものとして解釈されるべきである。本開示の範囲は、上記で詳細に論じられてはいない他の実施形態を包含することを理解すべきである。当業者に明白になる様々な他の修正、変更および変形が、本明細書に記載される本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本明細書に提供される本開示の方法と装置の配置、動作、および詳細になされてもよい。例えば、本明細書に開示される例の各々の1つ以上の態様、構成要素または方法は、本明細書に記載されるように他のものと組み合わせることができ、およびそのような修正は、当業者に容易に明らかになる。本明細書に開示される方法の各々に関して、当業者は、本明細書に記載される教示に基づいて多くの変化形体を認識するだろう。工程は、異なる順序で完了されてもよい。工程は追加され、または削除されてもよい。工程のいくつかは、他の工程のサブ工程を含んでもよい。工程の多くは、望ましい頻度で繰り返されてもよく、および該方法の工程は、互いに組み合わせることができる。
【0195】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されたが、そのような実施形態が単なる例として提供されていることは、当業者にとって明白だろう。多数の変形、変更、および置き換えが、本発明から逸脱することなく、当業者によって想到されるだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法と構造、およびそれらの同等物を包含するように意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別化治療の処置計画で被験体を処置するためのデジタル治療システムであって、該デジタル治療システムは
プロセッサであって
被験体に関するデータを受け取り、および被験体に関する診断データを出力する診断モジュールであって、被験体に関する診断データを判定するために被験体集団に関するデータに基づいた、機械学習分類子、人工知能分類子、および統計的モデリング分類子から成る群から選択される診断分類子を含む、診断モジュール、および
被験体に関する診断データを受け取り、および被験体に関する個別化治療の処置計画を出力するための治療モジュール、
に対するソフトウェア命令を含む、プロセッサを含み、治療の処置計画は、治療薬の投与のタイミングまたは量を含み、治療モジュールは、機械学習分類子、人工知能分類子、および統計的モデリング分類子から成る群から選択される治療分類子を含み、治療分類子は、被験体のための治療薬の投与のタイミングまたは量を決定するために被験体集団に関するデータに基づく、デジタル治療システム。
【外国語明細書】