(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165423
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ペットフード、その製造方法、そのペットフードを封入したペットフード包装袋
(51)【国際特許分類】
A23K 50/42 20160101AFI20231109BHJP
【FI】
A23K50/42
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076352
(22)【出願日】2022-05-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】520035296
【氏名又は名称】株式会社エヌ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】工藤 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】工藤 宏美
(72)【発明者】
【氏名】小禄 あさの
【テーマコード(参考)】
2B005
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA05
2B005LA03
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ペットの食欲を増進させることができるペットフードを提供することである。
【解決手段】飼料粒102は、食用油脂が含浸されたタンパク質及び炭水化物を含む成形粒106に、糖質を主成分とする皮膜で動物性油脂を包んだ被覆油脂粉108、及び旨みパウダー112が付着され、乾燥肉ペレット、及び脱酸素剤と共に包装用の小袋に封入される。複数の小袋が包装用の大袋に封入されて販売に供される。旨みパウダー112の匂いによって惹き付けられ、被覆油脂粉108の動物性油脂による食感によって、ペットの食欲を増進させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂(118)が含浸された飼料粒(102)を含むペットフード(100)であって、当該飼料粒(102)は、成形粒(106)の表面に、糖質を主成分とする皮膜(124)で油脂(122)を包んだ被覆油脂粉(108)が付着されたことを特徴とするペットフード。
【請求項2】
前記成形粒(106)に旨みパウダー(112)が付着されたことを特徴とする請求項1のペットフード。
【請求項3】
前記飼料粒(102)に乾燥肉ペレット(104)を混合してなる請求項1又は2に記載のペットフード。
【請求項4】
食用油脂(118)が含浸された成形粒(106)を形成する工程、前記食用油脂(118)が含浸された成形粒(106)の表面に、糖質を主成分とする皮膜(124)で油脂(122)を包んだ被覆油脂粉(108)を付着させる工程、及び旨みパウダー(112)を付着させる工程を含むペットフードの製造方法。
【請求項5】
食用油脂(118)が含浸された成形粒(106)の表面に、糖質の皮膜(124)で油脂(122)を包んだ被覆油脂粉(108)と旨みパウダー(112)が付着された飼料粒(102)に、乾燥肉ペレット(104)が混合されたペットフード(100)を、脱酸素剤(132)と共に包装袋(134、136)内に封入したことを特徴とするペットフード包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフード、特にフェレットに適したペットフードに関する。また、当該ペットフードの製造方法に関する。さらに、当該ペットフードを封入したペットフード包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、フードペレットの内部は主として高融点の油脂が含浸され、表面は主として低融点の油脂が含浸され、ペットフードの表面にコーティングパウダー層を形成し、当該コーティングパウダー層は、旨みパウダー層であるペットフードが知られている(例えば、特許文献1参照)。
第2の従来技術として、油脂を吸着してなる多孔質の芯部材と、該芯部材を被覆している油脂中間層と、該油脂中間層の外側に付着している変性しやすい成分の粉末層と、その外側に付着している多糖類を主成分とする最外層とからなることを特徴とするドライタイプのペットフードが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-330180(段落0006)
【特許文献2】特公平6-38735(第2頁第3欄15行から25行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術において、コーティングパウダーは、ペットの臭覚、味覚等を刺激し、嗜好性を高めるためのパウダー、換言すれば、ペットの嗜好性を高める成分を含んだ粉末材であり、例えばチキン抽出パウダー、ビーフ抽出パウダー、豚肉抽出パウダー、魚肉抽出パウダー等の旨みパウダーである。よって、旨みパウダーによってペットの臭覚及び味覚を刺激し、ペットの食欲を増進させる利点がある。しかし、旨みパウダーの食欲増進効果が未だ不十分である懸念がある。
第2の従来技術において、最外層は油脂層であるため、油脂の含有量を高めた場合、油脂がしみ出してべた付く懸念がある。
また、イタチ科に属するフェレットは、肉食動物であり、成体でも腸の長さは10〜15センチなので、そのペットフードは、消化性・吸収性が良い動物性たんぱく質・動物性脂肪を多く含んでいることが好ましい。しかしながら、動物性脂肪を液状にして飼料粒に多く含ませた場合、気温が高くなると当該動物性脂肪が飼料粒表面に滲み出し、べた付く恐れがあるので、多くの動物性脂肪を含有させることができない懸念がある。
【0005】
本発明の第1の目的は、ペットの食欲増進効果を一層高めることができると共に、油脂によるべた付きを防止できるペットフードを提供することである。
本発明の第2の目的は、当該ペットフードの製造方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、当該ペットフードを封入したペットフード包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、請求項1に係る第1の発明は以下のように構成される。
食用油脂が含浸された飼料粒を含むペットフードであって、当該飼料粒は、成形粒の表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉が付着されたことを特徴とするペットフードである。
【0007】
本発明に係る第2の発明は、以下のように構成される。
前記成形粒に旨みパウダーが付着されたことを特徴とする第1の発明のペットフードである。
【0008】
本発明に係る第3の発明は、以下のように構成される。
前記飼料粒に乾燥肉ペレットを混合してなる第1又は第2の発明のペットフードである。
【0009】
本発明に係る第4の発明は、以下のように構成される。
食用油脂が含浸された成形粒を形成する工程、前記食用油脂が含浸された飼料粒は、成形粒の表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉を付着させる工程、及び旨みパウダーを付着させる工程を含むペットフードの製造方法である。
【0010】
本発明に係る第5の発明は、以下のように構成される。
食用油脂が含浸された成形粒の表面に、糖質皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉と旨みパウダーが付着された飼料粒に、乾燥肉ペレットが混合されたペットフードを、脱酸素剤と共に包装袋内に封入したことを特徴とするペットフード包装袋である。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明において、食用油脂が含浸された飼料粒を含むペットフードであって、飼料粒は成形粒の表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉が付着されている。成形粒にはベトつかない程度に油脂を含浸させることができる。成形粒の表面には、糖質を主成分とする皮膜によって油脂が包まれた皮膜油脂粉が、食用油脂による付着力によって付着されている。
皮膜油脂粉は、皮膜油脂粉の油脂から発する匂いによってペットの食欲を増進させる。特に、成形粒の表面に付着されていることから、成形粒に混入させるよりも効果的に食欲を増進させる。また、被覆油脂粉は皮膜によって包まれていることから、ペットフード全体として動物性油脂量を高めることができるので、ペットの食欲を増進させることができ、また、被覆油脂粉は皮膜で包まれているので、飼料粒表面に油脂が滲み出してベトつくことがない利点がある。よって、本第1の発明は本発明の第1の目的を達成することができる。
【0012】
第2の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の目的を達成することができる。さらに、第2の発明においては、成形粒に旨みパウダーが付着されている。旨みパウダーにおける旨み成分は、ペットの食欲を増進させることから、第1の目的を、さらに達成できる利点がある。
【0013】
第3の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の目的を達成することができる。さらに、第3の発明においては、飼料粒に乾燥肉ペレットが混合されている。乾燥肉によって、さらにペットの食欲を増進させることができることから、第1の目的をより一層達成できる利点がある。
【0014】
第4の発明は、食用油脂が含浸された成形粒を形成する工程、前記食用油脂を含浸させた成形粒に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉を付着させる工程、及び旨みパウダーを付着させる工程を含むペットフードの製造方法である。
これにより、成形粒を形成する工程において、穀物、肉片又は肉粉、及び食用油脂からなり、当該食用油脂が表面に滲み出さない程度に含浸された所定の大きさの成形粒が製造される。
次に、食用油脂を含浸させた成形粒に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉を付着させる。
さらに、成形粒に旨みパウダーを付着させる工程を有する。
これにより、食用油脂が含浸された飼料粒を含むペットフードであって、飼料粒は成形粒表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉が付着されている。成形粒にはベトつかない程度に油脂を含浸させることができる。成形粒の表面には、糖質を主成分とする皮膜によって包まれた油脂からなる被覆油脂粉が付着されている。被覆油脂粉は皮膜よって包まれていることから、ペットフード全体としての油脂量を高めることができ、更に旨みパウダーが付着されているので、ペットの食欲を増進させることができ、また、被覆油脂粉は皮膜で包まれているので、飼料粒表面に油脂が滲み出してベトつくことがない利点があるペットフードが製造できる。よって、第4の発明は本発明の第2の目的を達成できる。
【0015】
第5の発明において、第3の発明のペットフードが脱酸素剤と共に包装袋内に封入されている。脱酸素剤によって包装袋内は低酸素状態になるので、封入されているペットフードの酸化劣化を抑制することができる。また、包装袋内において、旨みパウダー及び乾燥肉ペレットの匂い成分が飼料粒に吸着されて飼料粒自体の旨みを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明にかかる実施例1のペットフード概略図であり、(A)は斜視図、(B)はペットフードの正面図である。
【
図2】
図2は、本発明にかかる実施例1のペットフードに用いる被覆油脂粉の拡大図であり、(A)は被覆油脂粉の集合体、(B)は被覆油脂粉の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明にかかる実施例1のペットフードの被覆油脂粉の拡大図であり、(A)は
図1(A)におけるA―A線断面図、(B)は
図1(A)におけるB―B線断面図、(C)は
図1(A)におけるC―C線断面図である。
【
図4】
図4は、本発明にかかる実施例1のペットフードを封入する包装袋であり、(A)は小袋、(B)は複数の小袋を封入した大袋である。
【
図5】
図5は、本発明にかかる実施例1のペットフードの製造工程図である。
【
図6】
図6は、本発明にかかる実施例1のペットフードの説明図である。
【
図7】
図7は、本発明にかかる実施例1のペットフードの食いつき試験の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下のように構成することが好ましい。
食用油脂が含浸された飼料粒を含むペットフードであって、当該飼料粒は、成形粒の表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉が付着されたことを特徴とするペットフード。
前記成形粒に旨みパウダーが付着されたことを特徴とする第1の発明のペットフード。
前記飼料粒に乾燥肉ペレットを混合してなる第1又は第2の発明のペットフード。
食用油脂が含浸された成形粒を形成する工程、前記食用油脂が含浸された飼料粒は、成形粒の表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉を付着させる工程、及び旨みパウダーを付着させる工程を含むペットフードの製造方法。
食用油脂が含浸された成形粒の表面に、糖質皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉と旨みパウダーが付着された飼料粒に、乾燥肉ペレットが混合されたペットフードを、脱酸素剤と共に包装袋内に封入したことを特徴とするペットフード包装袋。
【実施例0018】
本発明に係るペットフード100は、少なくとも、
図1に示すように、飼料粒102を含んでいる。本実施例1において、ペットフード100は、
図6に示すように飼料粒102に加え、さらに、乾燥肉ペレット104を含んでいる。
【0019】
飼料粒102を
図1を参照しつつ説明する。
飼料粒102は、動物性及び/又は植物性タンパク質を主成分とする成形粒106、被覆油脂粉108、及び旨みパウダー112を含んでいる。
【0020】
次に成形粒106を
図3を参照しつつ説明する。
成形粒106は、ペットフード100の大半を占めるたんぱく質と炭水化物からなる。
たんぱく質の原材料は、動物性タンパク質としては肉類、魚介類、卵類等をあげることができ、植物性タンパク質としては豆類、穀類を上げることができ、乾燥肉を粉砕した粉状肉114が好ましい。
また、炭水化物は穀物粉116を用いることが好ましい。
本実施例1において、成形粒106は、粉状肉114、穀物粉116及び食用の食用油脂118を均質に混合し、圧縮成形法等によって、所定の大きさに固形化して成形される。
【0021】
粉状肉114は、チキン、ビーフ、ラム、ポーク、獣肉、魚肉、又はそれらの内臓等を、例えば、細切りして乾燥させて粉砕して製造したものであり、それら肉類の一種類、又は複数種類を混合したものを用いる。乾燥法としては、例えばフリーズドライ製法を採用することができる。
魚肉は、マグロ節、削り節、煮干し等を採用し、粉状にする。
粉状肉114は、大きさに制限はないが、直径1.4ミリメートル程度が好ましい。
【0022】
穀物粉116は、大豆粉末、コーン粉末、米粉、小麦粉、又は馬鈴薯粉等を混入できる。
穀物粉116は、大きさに制限はないが、直径1.4ミリメートル程度が好ましい。
【0023】
食用油脂118は、例えば、植物性油脂又は動物性油脂を使用することができる。植物性油脂は、例えば菜種油、キャノーラ油である。動物性油脂は、例えば、牛脂、豚脂、鶏脂、又は魚油を用いることが出来る。動物性油脂は、常温では固形化している場合があるので、食用油脂118にするため、粉状肉114と穀物粉116と動物性油脂を加熱しつつ混合する必要がある。
食用油脂118は、脂質率を上げすぎないため植物性油脂を用いることが好ましい。
これら粉状肉114及び穀物粉116に、塩、食物繊維、海藻粉末、栄養剤等を混合させることができる。
【0024】
粉状肉114、穀物粉116、及び食用油脂118(成形用の食用油脂118F)等を適当な割合で均一に混合した成形粒106の原材料を、所定の型枠に注入した後に加圧し、所定の形状に成形することができる。これにより、所定量の食用油脂118が含浸された成形粒106を製造することができる。また、成形粒106の原材料を所定形状の成形型から押し出しつつ所定の長さに切断してペレット化して所定の形状に成形することができる。
成形粒106の形状は、円盤形状、円筒形状等任意の形状に成形できる。
成形用の食用油脂118Fの含有率は、成形粒106から当該成形用の食用油脂118Fがにじみ出ないようにすることが好ましい。
【0025】
本実施例1において成形粒106は、直径が約8mm、厚みが4.4mmの円柱体に形成されている。しかし、ペットが容易に食いつくことが出来る大きさであれば、更に大きく、又は小さく形成することができる。
成形粒106は、タンパク質が34乃至36%以上、脂肪が18乃至20%以上であることが好ましい。
【0026】
次に被覆油脂粉108を主に
図2を参照しつつ説明する。
被覆油脂粉108は、油脂122を主成分とし、当該油脂122が皮膜124で包まれた微粉体である。被覆油脂粉108は、直径約30ミクロン程度であることが好ましい。油脂122を構成する油粒の直径は約1ミクロン程度であることが好ましい。
【0027】
皮膜124は、糖質を主成分とし、例えば糖質の一種であるコーンシロップを用いることができる。糖質は賦形剤として油脂122を包み込む機能を有し、コーンシロップの他、テキスト林、上白糖、オリゴ糖、トレハロース、でん粉等が油脂122との組み合わせで選択される。皮膜124には酸化防止剤を配合することができる。
【0028】
油脂122は、パーム油、動物性油脂等の固形脂を使用することができ、特に豚脂(ラード)が好ましい。豚脂には融点が34度から40度の内臓ラードと、融点27度から30度の皮下ラードがあるが、どちらか1つを選択しても良いし、それらを混合しても良い。しかし、動物性油脂としては鶏油、獣油等をも使用することができる。
【0029】
被覆油脂粉108は、皮膜124を形成する糖質及び乳タンパク質を溶解した水相に乳化剤などを溶解した食用油脂(油相)たる油脂122を投入して均質に混合し、油中水滴(W/O型)エマルションを得る。この油中水滴エマルジョンを、例えばスプレードライヤーを使用して200度C以上の熱風中に噴霧し、急速に乾燥させる。これにより、油中水滴エマルジョンを保ったまま油滴は破壊されずに粉体構造に残る。この被覆油脂粉108の一粒の直径は、
図2(B)に示すように、約30ミクロン程度である。この約30ミクロンの一粒が、スプレードライヤー内で衝突して多数くっつくことにより、
図2(A)に図示するように、最終的に直径約200ミクロン程度の大きさになる。
【0030】
図2(B)に示すように、被覆油脂粉108は内部が中空殻状の油脂122と、油脂122の外周を覆う皮膜124によって構成される。これは、スプレードライヤーにおいて、高温雰囲気中に噴霧された油中水滴エマルジョンは、中心部に水の表面張力によって球状の水滴核が形成され、その水滴核の周囲に油脂122の各油粒が殻状の油脂層を構成し、糖類や乳タンパク質は油脂122層の外周を包み込んだ油脂と水の結合粒を構成する。
【0031】
この結合粒は、高温雰囲気中において瞬時に内部の水滴が蒸発するため、内部が空洞の殻状の油脂122層が構成されると共に、当該油脂122層の周りを糖類等の皮膜124で被覆した被覆油脂粉108が生成される。被覆油脂粉108は、油脂の比率が約70%、糖類が約24%、カイゼン約4%、乳化剤・その他2%程度の構成比率であることが好ましい。
【0032】
被覆油脂粉108は、成形粒106に含浸されている食用油脂118による粘着力によって成形粒106の表面に付着される。具体的には、後述するステップ4-1の混合第1工程において、成形粒106の表面に追加的に付着、含浸させた付着用の食用油脂118Bによって付着される。
【0033】
次に旨みパウダー112を説明する。
旨みパウダー112は、動物及び/又は植物由来の原材料より抽出して生成したパウダーが好ましい。
特にフェレット用としてはチキンレバーパウダーが好ましい。
旨みパウダー112は、例えば、内臓や肉を加熱してタンパク質を収縮させて水分を分離して肉汁を分離させて製造する。その後、例えば、その肉汁等を連続式真空乾燥装置、スプレードライヤー等によって粉体化することで製造できる。チキンレバーパウダーとしては、粗蛋白質50%以上(セミミクロケルダール法)、粗脂肪28%以下(ソックスレー抽出法)であることが好ましい。旨みパウダー112も、ステップ4-1の混合第1工程において、成形粒106の表面に追加的に付着、含浸させた付着用の食用油脂118Bによる粘着力によって成形粒106の表面に付着されている。
【0034】
次に乾燥肉ペレット104を説明する。
乾燥肉ペレット104は、匂い等によってペットの食欲を増進させる機能を有する。
乾燥肉ペレット104は、動物又は魚の肉を乾燥させた乾燥肉や乾燥させた内臓を所定の大きさに粉砕した粉状体である。
乾燥肉ペレット104のフェレット用乾燥肉としては、豚肉が好ましい。さらに、乾燥肉ペレット104には食用植物油脂、砂糖、香辛料、糖アルコールの一種であるソルビトール等を付着させることができる。
乾燥肉ペレット104の混入比率は、ペットフード100において、3重量パーセント程度が好ましい。
【0035】
次に飼料粒102の製造工程を
図5を参照しつつ説明する。
製造工程は、大きく分けて成形粒106の製造工程、付着用の食用油脂118の付着、並びに被覆油脂粉108及び旨みパウダー112のコーティング工程、及び包装工程の3工程に分けられる。
【0036】
まず、成形粒106の製造工程(ステップS1からS3)を説明する。
ステップS1において、成形粒106の原料となる、粉状肉114、穀物粉116及び食用油脂118たる成形用の食用油脂118Fを均質に混合し、成形用原料を製造する。
次にステップS2において、成形用原料を型枠に入れて加熱、加圧し、又は所定形状の成形型から押し出しつつ所定長で切断し、所定形状の粗成形粒106Cを得る。
次にステップS3において、ステップS2において製造した粗成形粒106Cを加熱して乾燥させ、所定の水分率になるように乾燥した成形粒106を得る。
なお、乾燥した成形粒106を自然冷却し、又はクーラーで強制的に冷却し、常温に戻した後、コーティング工程に進む。
【0037】
次にコーティング工程(ステップS4)を説明する。
本実施例1においてコーティング工程(ステップS4)は、混合第1工程たりステップS4-1に続いて行われる混合第2工程たるステップS4-2によって構成されている。
まずステップS4-1において、攪拌機、例えば、攪拌ドラムに所定量の成形粒106を投入し、攪拌する。次いで、攪拌中の成形粒106に所定量の液体の食用油脂118たる付着用の食用油脂118Bをふりかけて攪拌し、ふりかけた付着用の食用油脂118Bが、成形粒106の表面に均質に付着するよう更に攪拌する。これによって、付着用の食用油脂118Bは、成形粒106の表面に付着し、一部は成形粒106に含浸される。これによって、成形粒106の表面に、付着用の食用油脂118Bの粘着力によって、被覆油脂粉108が付着される。なお、付着用の食用油脂118Bを成形粒106の表面に付着させ、一部を成形粒106に含浸させる工程は、攪拌中の成形粒106に対し、付着用の食用油脂118Bを噴霧して行うことも出来る。なお、成形用の食用油脂118Fと付着用の食用油脂118Fは同一種類であっても、異なる種類であっても良い。付着用の食用油脂118Bは植物性油脂が好ましい。
【0038】
次にステップS4-2において、付着用の食用油脂118Bを付着させた成形粒106に、所定量の被覆油脂粉108及び旨みパウダー112を攪拌ドラムに投入し、均質になるように混ぜ合わせる。所定の割合としては、例えば、成形粒106が92.15重量パーセント、被覆油脂粉108が2.91重量パーセント、旨みパウダー112が0.97重量パーセント、及び食用油脂118が0.97重量パーセントであることが好ましい。なお、残りの3.00重量パーセントは、乾燥肉ペレット104である。また、成形粒106に被覆油脂粉108を付着させた後、旨みパウダー112を混合して付着させても良い。
【0039】
これによって、成形粒106の表面に、付着用の食用油脂118Bの粘着力によって、被覆油脂粉108及び旨みパウダー112が付着し、飼料粒102が完成する。
【0040】
次にステップS5において、ステップS4で製造した飼料粒102に乾燥肉ペレット104を所定量、均等に混入してペットフード100が完成する。
【0041】
次に包装工程(ステップS6からS7)を説明する。
次にステップS6において、ステップS5において製造したペットフード100を脱酸素剤132と共に小袋134に投入した後、密封する。
【0042】
次にステップS7において、ステップS6において製造した小袋134の所定数を大袋136に投入した後、密封することにより販売用のペットフードが完成する。本実施例1において、大袋136には3つの小袋134が封入される。
【0043】
なお、ステップS5とステップS6を一体化することができる。即ち、所定量の飼料粒102及び所定量の乾燥肉ペレット104を、脱酸素剤132と共に小袋134に投入した後、密封することができる。
【0044】
次に、
図4を参照しつつ飼料粒102と乾燥肉ペレット104が、公知の脱酸素剤132と共に所定量が封入される小袋134、及び大袋136を説明する。小袋134、及び大袋136は、それぞれ包装袋を構成する。
小袋134と大袋136は、2軸延伸ポリプロピレン(Oriented PolyproPylene)フィルム、PET(polyethylene terephthalate)フィルムにアルミ蒸着を施したフィルム(VM-PET)、及び低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene)フィルムの三層構造にし、強度、防湿性、ガスバリヤ性等に優れた材料によって構成することが好ましい。本実施例1においては、小袋134の3袋を大袋136に封入し、販売する。しかし、小袋134のままで販売することもでき、大袋136に入れる小袋134の数も任意に設定することができる。
【0045】
次に
図7を参照しつつペットの食いつき試験を説明する。
本発明の第3の発明のペットフード100(飼料粒102と乾燥肉ペレット104)と、成形粒106のみのペットフードを用い、ペットの食いつき試験を以下の条件で行った。
試験ペット:フェレット
収容:フェレットをケージ138内に収容
試験前準備:試験6時間前からフェレットに食料を与えず空腹状態とした。前述したように、フェレットは消化器官が短いので、試験6時間前に無食事状態であれば、胃内の食物は消化され、空腹状態であると推測される。但し、水は自由に飲むことが出来る。
食事可能時間:2時間
ペットフード:
本発明:飼料粒102(下記成形粒106に下記被覆油脂粉108及び下記旨みパウダー112を付着)に乾燥肉ペレット104を混合。
成形粒106の配合比率は以下の通りである。
マグロ節パウダー 15重量%
削り節ミール 15重量%
いわし煮干しパウダー 4重量%
脱脂大豆粉末 17重量%
酵母 16重量%
米粉 13重量%
馬鈴薯粉 12重量%
菜種油 7重量%
並塩 0.60重量%
食物繊維 0.20重量%
昆布粉末 0.20重量%
被覆油脂粉108の成分は以下の通りである。
豚脂 71.5重量%
糖類(コーンシロップ)23.59重量%
カゼイン 3.5重量%
乳化剤 1.4重量%
酸化防止剤 0.01重量%
この被覆油脂粉108の栄養成分は以下が推定される(100g当たり)。
エネルギー 759Kcal
脂質 72.9g
炭水化物 22.7g
タンパク質 3.0g
旨みパウダー112の成分は以下の通りである。
チキンレバーパウダー
粗タンパク質 50%以上(セミミクロケルダール法)
粗脂肪 28%以下(ソックスレー抽出法)
飼料粒102の配合比率は以下の通りである。
成形粒106 92.15重量%
被覆油脂粉108(被覆豚脂粉) 2.91重量%
旨みパウダー112 0.97重量%
食用油脂118B(菜種油) 0.97重量%
乾燥肉ペレット104の栄養成分(100g当たり)は以下である。
タンパク質 39.2g
脂質 24.6g
炭水化物 24.8g
食塩相当量 4.8g
エネルギー 477Kcal
この飼料粒102に乾燥肉ペレット104を加えた栄養成分は以下である。
水分 7.49%
タンパク質 40.70%
粗脂質 15.18%
粗繊維 0.17%
粗灰分 5.43%
カルシウム 0.74%
リン 0.79%
ナトリウム 0.46%
比較ペットフード:上記成形粒106のみ
試験場所:株式会社エヌ・シー内フェレット飼育室
試験方法:フェレット1匹を1のケージ138内に収容し、第2の発明に係る飼料粒102を第1容器142に、成形粒106のみを第2容器144に同量ずつ入れ、第1容器142及び第2容器144を同時にケージ内に設置し、フェレットが食事可能にし、食いつき状態を観察した。
フェレットは、まず匂いを嗅ぎ、第1の発明に係る飼料粒102を完食し、その後、成形粒106のみを食すようになった。
この結果から、第1の発明に係る飼料粒102の方が、フェレットの食欲を増進させるといえる。
【0046】
本発明は、上記実施例1に限定されず、発明の範囲において各種変形して実施することができる。
第1の発明において、食用油脂が含浸された飼料粒を含むペットフードであって、飼料粒は成形粒の表面に、糖質を主成分とする皮膜で油脂を包んだ被覆油脂粉が付着されている。成形粒にはベトつかない程度に油脂を含浸させることができる。成形粒の表面には、糖質を主成分とする皮膜によって油脂が包まれた皮覆油脂粉が、食用油脂による付着力によって付着されている。
皮覆油脂粉は、皮覆油脂粉の油脂から発する匂いによってペットの食欲を増進させる。
特に、成形粒の表面に付着されていることから、成形粒に混入させるよりも効果的に食欲を増進させる。また、被覆油脂粉は皮膜によって包まれていることから、ペットフード全体として動物性油脂量を高めることができるので、ペットの食欲を増進させることができ、また、被覆油脂粉は皮膜で包まれているので、飼料粒表面に油脂が滲み出してベトつくことがない利点がある。よって、本第1の発明は本発明の第1の目的を達成することができる。
この結合粒は、高温雰囲気中において瞬時に内部の水滴が蒸発するため、内部が空洞の殻状の油脂122層が構成されると共に、当該油脂122層の周りを糖類等の皮膜124で被覆した被覆油脂粉108が生成される。被覆油脂粉108は、油脂の比率が約70%、糖類が約24%、カゼイン約4%、乳化剤・その他2%程度の構成比率であることが好ましい。