(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165436
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】無線送信装置および無線送信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0457 20230101AFI20231109BHJP
H04W 72/54 20230101ALI20231109BHJP
【FI】
H04W72/04 110
H04W72/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076413
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 大
(72)【発明者】
【氏名】波多江 英一
(72)【発明者】
【氏名】百留 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】安藤 智
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕喜
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG09
(57)【要約】
【課題】干渉の原因となる同一周波数帯の無線信号を送出する信号源が自機以外に存在する場合でも、無線信号の干渉の発生を抑制する。
【解決手段】無線送信装置は、撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得するアプリケーション部と、複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成する無線部と、アンテナを介して受信機に無線パケットを送信する送信部と、を備える。無線部は、受信機からの受信信号の強度に基づいて、無線パケットを再送するための通信レートを決定する無線再送レート制御部を少なくとも有する。送信部は、無線再送レート制御部により決定された通信レートを用いて無線パケットを再送する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得するアプリケーション部と、
前記複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成する無線部と、
アンテナを介して受信機に前記無線パケットを送信する送信部と、を備え、
前記無線部は、
前記受信機からの受信信号の強度に基づいて、前記無線パケットを再送するための通信レートを決定する無線再送レート制御部を少なくとも有し、
前記送信部は、
前記無線再送レート制御部により決定された前記通信レートを用いて前記無線パケットを再送する、
無線送信装置。
【請求項2】
前記無線再送レート制御部は、
前記受信機からの受信信号の強度が再送レート閾値より小さい場合、前記無線パケットを送信するための再送最低レートを含む通信レートと前記無線パケットの再送回数との関係を規定する第2対応テーブルを選択し、選択した前記第2対応テーブルに基づいて、前記無線パケットを送信するための前記通信レートを決定する、
請求項1に記載の無線送信装置。
【請求項3】
前記第2対応テーブルは、
前記再送回数が1からK(K:2以上の整数である既定値)までは前記通信レートを最大通信レートから最小通信レートまでの間および前記最小通信レートから前記最大通信レートまでの間を離散的に変更し、
前記再送回数が(K+1)からL(L:(K+2)以上の整数である既定値)までは前記通信レートを前記最小通信レートに向けて段階的に下げるように変更し、
前記再送回数が(L+1)からM(M:(L+2)以上の整数である既定値)までは前記通信レートを前記最小通信レートに固定して維持する、
という、前記通信レートと前記無線パケットの再送回数との関係を規定する、
請求項2に記載の無線送信装置。
【請求項4】
前記第2対応テーブルは、
前記再送回数が1からKまでは前記通信レートを前記最大通信レート、前記最小通信レートの順に交互に繰り返す、
という、前記通信レートと前記無線パケットの再送回数との関係を規定する、
請求項3に記載の無線送信装置。
【請求項5】
前記無線再送レート制御部は、
前記受信機からの受信信号の強度が再送レート閾値より大きい場合、前記無線パケットを送信するための再送最低レートを含む通信レートと前記無線パケットの再送回数との関係を規定する第3対応テーブルを選択し、選択した前記第3対応テーブルに基づいて、前記無線パケットを送信するための前記通信レートを決定する、
請求項1に記載の無線送信装置。
【請求項6】
前記第3対応テーブルは、
前記再送回数が1からK(K:2以上の整数である既定値)までは前記通信レートを最大通信レートから最小通信レートまでの間および前記最小通信レートから前記最大通信レートまでの間を離散的に変更し、
前記再送回数が(K+1)からL(L:(K+2)以上の整数である既定値)までは前記通信レートを前記最小通信レートに向けて段階的に下げるように変更し、
前記再送回数が(L+1)からM(M:(L+2)以上の整数である既定値)までは前記通信レートを前記最小通信レートに固定して維持する、
という、前記通信レートと前記無線パケットの再送回数との関係を規定する、
請求項5に記載の無線送信装置。
【請求項7】
前記第3対応テーブルは、
前記再送回数が1からKまでは前記通信レートを前記最大通信レート、前記最小通信レートの順に交互に繰り返す、
という、前記通信レートと前記無線パケットの再送回数との関係を規定する、
請求項6に記載の無線送信装置。
【請求項8】
前記アプリケーション部は、
前記受信機との間の無線品質の変動に基づいて、前記ネットワークパケットの帯域を可変に制御する帯域制御部と、
前記無線品質の変動に基づいて、前記ネットワークパケットのサイズを可変に制御するパケットサイズ制御部と、を少なくとも有する、
請求項1に記載の無線送信装置。
【請求項9】
前記アプリケーション部は、
前記無線品質の変動に基づいて、前記サイズおよび前記帯域の両方を連動して変更するようにそれぞれの変更量を決定するサイズ帯域評価部、をさらに有し、
前記サイズ帯域評価部は、決定した前記サイズの変更量を含むサイズ変更指示を前記パケットサイズ制御部に送り、決定した前記帯域の変更量を含む帯域変更指示を前記帯域制御部に送る、
請求項8に記載の無線送信装置。
【請求項10】
前記サイズ帯域評価部は、前記無線品質の変動に応じた前記サイズおよび前記帯域の関係を規定する第1対応テーブルを保持し、前記第1対応テーブルに基づいて前記サイズおよび前記帯域のそれぞれの変更量を決定する、
請求項9に記載の無線送信装置。
【請求項11】
前記アプリケーション部は、
前記撮像エリアの画像データを生成するカメラ部、をさらに有する、
請求項1に記載の無線送信装置。
【請求項12】
撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得するステップと、
前記複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成するステップと、
アンテナを介して受信機に前記無線パケットを送信するステップと、を有し、
前記無線パケットを生成するステップは、
前記受信機からの受信信号の強度に基づいて、前記無線パケットを再送するための通信レートを決定するステップ、をさらに有し、
前記無線パケットを送信するステップは、
決定された前記通信レートを用いて、前記無線パケットを再送するステップ、をさらに有する、
無線送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線送信装置および無線送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子レンジの近傍で、電子レンジで発生される加熱用のマイクロ波に近い周波数帯の無線電波を使用して、データ通信を行う無線LAN装置を開示している。無線LAN装置は、電子レンジ内に設置され、マイクロ波が発生されるタイミングを検知する検知回路、および検知回路の検知結果を表す信号を送信する送信回路を備える電子レンジ動作検知装置と、無線電波を使用してデータ通信を行う複数の無線端末装置とを含む。各無線端末装置は、電子レンジからマイクロ波が発生されないときに無線通信を行う第1のデータ通信方式と電子レンジからマイクロ波が発生されるときにマイクロ波による妨害が少ない状態で通信が可能な第2のデータ通信方式とに切り換える。
【0003】
特許文献2は、ベース装置と1つ以上の端末装置とが無線により接続されて形成されるワイヤレスLANシステムを開示している。ベース装置は、端末装置からのチャンネル変更要求を受信する受信手段と、自機を起動した場合と、受信手段を通じてチャンネル変更要求を受信した場合との一方あるいは両方において、利用可能な各ワイヤレスチャンネルの受信信号のレベルを検出するレベル検出手段と、レベルの検出の対象となっている受信信号がワイヤレスLAN信号か否かを判別する信号判別手段と、信号判別手段により、ワイヤレスLAN信号であると判別された場合に、ワイヤレスLAN信号はQoS(Qulity of Services)保証された信号であるか否かを判別するQoS判別手段と、を備える。端末装置は、受信信号を復調した場合に発生する復調エラーを検出するエラー検出手段と、復調エラーの検出数が所定の閾値を超えたか否かを判別するエラー量判別手段と、エラー量判別手段により復調エラーの検出数が閾値を越えたと判別された場合に、チャンネル変更要求を生成する変更要求生成手段と、変更要求生成手段により生成されたチャンネル変更要求をベース装置に送信する変更要求送信手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-224176号公報
【特許文献2】特開2004-96595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、電子レンジ動作検知装置が電子レンジ内に設けられることが前提となって、電子レンジからマイクロ波が発生されるタイミングを無線LAN装置が認識することが可能となっている。このため、電子レンジ動作検知装置を設けない限り、無線LAN装置はマイクロ波が発生されるタイミングを認識することはできず、同一周波数帯を用いることによる無線信号の干渉が起きてしまいデータの伝送エラーが起き易くなるという課題がある。これは、電子レンジに限った話ではなく、特許文献2のように電子レンジと同一周波数帯を用いて無線信号を送受信する無線LANにおいても同様な課題が生じると考えられる。つまり、電子レンジおよび無線LANで共通に使用される周波数帯(例えば2.4GHz帯)の無線信号を扱う際、干渉の原因となる同一周波数帯(例えば2.4GHz帯)の無線信号を送出する信号源が自機以外に存在すると、無線信号の干渉が起きてしまう。したがって、特許文献1の電子レンジ動作検知装置の構成が設けられない場合でも、同一周波数帯(例えば2.4GHz帯)の無線信号を送出する信号源との干渉の発生を抑制することが求められている。
【0006】
本開示は、従来の事情に鑑みて案出され、干渉の原因となる同一周波数帯の無線信号を送出する信号源が自機以外に存在する場合でも、無線信号の干渉の発生を抑制する無線送信装置および無線送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得するアプリケーション部と、前記複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成する無線部と、アンテナを介して受信機に前記無線パケットを送信する送信部と、を備え、前記無線部は、前記受信機からの受信信号の強度に基づいて、前記無線パケットを再送するための通信レートを決定する無線再送レート制御部を少なくとも有し、前記送信部は、前記無線再送レート制御部により決定された前記通信レートを用いて前記無線パケットを再送する、無線送信装置を提供する。
【0008】
また、本開示は、撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得するステップと、前記複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成するステップと、アンテナを介して受信機に前記無線パケットを送信するステップと、を有し、前記無線パケットを生成するステップは、前記受信機からの受信信号の強度に基づいて、前記無線パケットを再送するための通信レートを決定するステップ、をさらに有し、前記無線パケットを送信するステップは、決定された前記通信レートを用いて、前記無線パケットを再送するステップ、を少なくとも有する、無線送信方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、干渉の原因となる同一周波数帯の無線信号を送出する信号源が自機以外に存在する場合でも、無線信号の干渉の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示に係る無線送信装置の使用環境の一例を示す図
【
図2】電子レンジからの無線信号の時間軸上の信号強度の特性例を示す図
【
図3】無線LANルータからの無線信号の時間軸上の信号強度の特性例を示す図
【
図4】本実施の形態に係るカメラの詳細な内部構成例を示すブロック図
【
図6】通信レートと各種の通信性能との対比一覧を示す図
【
図7】無線環境に応じたパケットサイズおよび帯域を決定するための対応テーブルの一例を示す図
【
図8】ネットワークパケット生成手順の一例を示すフローチャート
【
図9】ビデオ通信品質評価手順の一例を示すフローチャート
【
図10】ビデオ通信品質評価手順の一例を示すフローチャート
【
図11】帯域制御処理手順の一例を示すフローチャート
【
図12】パケットサイズ処理手順の一例を示すフローチャート
【
図13】無線パケットの再送回数に応じた通信レートのインデックスを決定するための対応テーブルの一例を示す図
【
図14】無線パケットの再送回数に応じた通信レートのインデックスを決定するための対応テーブルの一例を示す図
【
図15】無線パケットの再送回数と通信レートのレートダウン値との関係を示すテーブルの一例を示す図
【
図16】無線パケットの再送回数と通信レートのレートダウン値との関係を示すテーブルの一例を示す図
【
図17】再送レート処理手順の一例を示すフローチャート
【
図18】再送レート処理手順の一例を示すフローチャート
【
図19】電子レンジからの妨害電波の信号波形の一例とカメラのネットワークパケット送信信号の信号波形の一例とを対比的に示す図
【
図20】無線LAN中継器からの妨害電波の信号波形の一例とカメラの無線パケットの送信信号の信号波形の一例とを対比的に示す図
【
図21】無線LAN中継器からの妨害電波の信号波形の一例とカメラの無線パケットの送信信号の信号波形の一例とを対比的に示す図
【
図22】無線LAN中継器からの妨害電波の信号波形の一例とカメラの無線パケットの送信信号の信号波形の一例とを対比的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本開示に係る無線送信装置および無線送信方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
図1は、本開示に係る無線送信装置の使用環境の一例を示す図である。以下、本開示に係る無線送信装置の一例として、カメラ100を例示して説明する。但し、本開示に係る無線送信装置はカメラ100に限定されなくてもよく、例えば
図1のインターホン子機IPT1、携帯型ハンドセットHS1a,HS1bのそれぞれが無線送信装置でもよい。
【0013】
昨今、数々の電子機器間において無線通信を利用してデータを送受信するためのネットワーク環境は種々のものが存在している。本実施の形態では、例えばISM(Industrial Scientific and Medical)バンドと重複する2.4GHz帯を用いた無線LAN(Local Area Network)、いわゆるWi-Fi(登録商標)を用いて説明する。
図1に示すように、Wi-Fi(登録商標)は、複数の部屋が隣接して建造されているマンションあるいはアパートの各部屋において、中継器(ルータ)を介して各電子機器間の無線通信をサポートする無線通信方式である。例えばカメラ100のユーザ(以下、単に「ユーザ」と略記する)の自室RM1とそのお隣さんの他室RM2とのそれぞれにおいて、Wi-Fi(登録商標)の利用が可能である。
【0014】
ユーザの自室RM1では、そのリビングルーム中央に配置されているインターホン親機IPM1を通信相手(以下、「受信機」とも称する場合がある)として、玄関側のインターホン子機IPT1、リビングルームあるいはベランダを撮影するカメラ100、携帯型ハンドセットHS1a,HS1bのそれぞれがWi-Fi(登録商標)の2.4GHz帯を用いて互いに無線通信可能である。しかし、ISMバンドと重複する2.4GHz帯をWi-Fi(登録商標)で使用する際、ISMバンドの周波数帯を使用する電子機器(例えば電子レンジMW1)からの電波(言い換えると、妨害電波)が発生していると、Wi-Fi(登録商標)の通信に干渉が生じ、無線通信の品質が劣化する。これは、ユーザの自室RM1内、お隣さんの他室RM2内のそれぞれに独立して限定して発生するものではなく、部屋同士を跨って自室RM1から見て他室RM2にISMバンドの干渉源(例えば電子レンジMW2)が存在している場合も同様に発生し得る。
【0015】
また、Wi-Fi(登録商標)の通信の干渉源はISMバンドの機器(例えば電子レンジ)に限らず、同一周波数帯(つまり2.4GHz帯)を使用するWi-Fi(登録商標)に対応した他の電子機器(例えばWi-Fi(登録商標)に準拠した無線LANルータRT1)も該当する。例えば他室RM2でお隣さんが動画視聴、大量のデータダウンロード、長時間のネットゲーム等によってWi-Fi(登録商標)を利用していると、自室RM1でのWi-Fi(登録商標)の利用時に干渉が生じることもあり得る。なお、
図1では図示を省略しているが、ISMバンドと重複する2.4GHz帯をWi-Fi(登録商標)で使用する際の無線通信の干渉は、マンションあるいはアパートの各部屋に限らず個宅の敷地内でも起こり得る。特に個宅の敷地内であっても個宅内の屋外(例えば屋外の郵便ポスト付近に設置したインターホン子機)と個宅内(例えばインターホン親機)との間では、例えば5GHz帯を使用しようとすると衛星検知用の5GHz帯と重複して使用ができず、2.4GHz帯のWi-Fi(登録商標)を使用する必要があるため、結果的に同様に電子レンジ等の妨害電波による干渉の影響が生じる。
【0016】
図2は、電子レンジからの無線信号の時間軸上の信号強度の特性例を示す図である。
図2の上段の横軸は時間を示し、縦軸は信号の強度(信号レベル)を概念的に示している。
図2の下段はオン区間(後述参照)の信号波形例である。
【0017】
例えば西日本地域では、電子レンジは8.33ms周期でオンオフを所定のデューティ比で繰り返して作動する。なお東日本地域では、電子レンジは10ms周期でオンオフを所定のデューティ比で繰り返して作動する。例えば
図2に示すように、電子レンジは、8.33msを1周期として、そのうち6~7msをオン区間、1.33~2.33msをオフ区間とするデューティ比で作動する。つまり、オン区間に比べてオフ区間が短い。なお、デューティ比は電子レンジの仕様によって異なることがあり、オン区間が6msである場合にはオフ区間が2.33msであり、オン区間が7msである場合にはオフ区間が1.33msである。電子レンジは、オン区間には、例えば特性MVPY1a,MVPY1bのそれぞれに示すように、-4dBm,-12dBm程度の強い電波(妨害電波)を放射する。この妨害電波の強度は、例えば無線LANルータが送信する電波の強度と同程度である。したがって、オン区間に所望のWi-Fi(登録商標)の無線信号(無線パケット)を送信しようとすると、無線通信の干渉が生じてしまう。つまり、電子レンジからの妨害電波に負けて所望のWi-Fi(登録商標)の無線信号の送信ができなくなる。
【0018】
図3は、無線LANルータからの無線信号の時間軸上の信号強度の特性例を示す図である。
図3の横軸は時間を示し、縦軸は信号の強度を概念的に示している。電子レンジと異なり、無線LANルータから放射される電波(妨害電波)の強度(信号レベル)は時間によって不規則に変動し、その無線LANの利用形態を含む無線環境等によって時々刻々と変動するという特徴が見られる。
【0019】
図3に示す信号強度の特性例はあくまで一例であるが、例えば信号強度が大きい(言い換えると、大きな妨害電波を発する)3.3msのオン区間、0.7msのオフ区間、信号強度が中程度の(言い換えると、中程度の妨害電波を発する)12msのオン区間、1.0msのオフ区間、信号強度が小さい(言い換えると、小さい妨害電波を発する)0.5msのオン区間、4.5msのオフ区間、信号強度が特大の(言い換えると、極めて大きい妨害電波を発する)0.5msのオン区間のように信号強度が時間的に変動した特性が見られる。電子レンジと違って周期性は見られないが、同様に、オン区間に所望のWi-Fi(登録商標)の無線信号(無線パケット)を送信しようとすると、無線通信の干渉が生じてしまう。つまり、自機以外である他の無線LANルータからの妨害電波に負けて所望のWi-Fi(登録商標)の無線信号の送信ができなくなる。ここでいう自機とは、後述するカメラ100のように、通信相手(例えばインターホン親機IPM1、
図1参照)にWi-Fi(登録商標)の2.4GHz帯を用いて無線通信する無線送信装置である。
【0020】
図4は、本実施の形態に係るカメラ100の詳細な内部構成例を示すブロック図である。カメラ100は、アプリケーション部1と、無線部2と、送受信部3とを含む。アプリケーション部1は、カメラ部11と、パケットサイズ制御部12と、ネットワークパケット生成部13と、ビデオ通信品質評価部14と、帯域制御部15と、を有する。無線部2は、無線バッファ21と、無線パケット生成部22と、無線送信制御部23と、無線再送レート制御部24と、無線再送制御部25と、無線受信制御部26と、無線受信電界強度測定部27と、無線通信品質評価部28と、を有する。送受信部3は、RF(Radio Frequency)部31と、アンプ部32と、アンテナ33と、を有する。
【0021】
以下、カメラ100の各部について説明する。
【0022】
アプリケーション部1は、撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得する。撮像エリアは、例えばユーザの自室RM1(
図1参照)のリビングルームあるいはベランダであるが、カメラ100の設置向きによっては他のエリアでも構わない。パケットサイズ制御部12と、ネットワークパケット生成部13と、ビデオ通信品質評価部14と、帯域制御部15とは、例えばCPU(Central Proceesing Unit)あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等のメモリとにより構成されて各部の機能が実現される。
【0023】
カメラ部11は、レンズおよびイメージセンサを少なくとも有し、撮像エリア(上述参照)内の被写体(例えばユーザ、ユーザの家族、ユーザが飼っているペット。以下同様。)を撮像することにより撮像エリアの画像データを生成する。レンズは、例えばフォーカスレンズおよびズームレンズを含む。レンズには、被写体により反射された光である入射光が入射する。レンズにより結像された光は、被写体の光学像としてイメージセンサの受光面(撮像面)に入射する。レンズとして、カメラ100の設置場所または撮影用途等に応じて、様々な焦点距離または撮影範囲のレンズを用いることができる。イメージセンサは、可視光あるいは近赤外光の撮像に適した複数の画素が配列されたCCD(Charge Coupled Device)センサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサと、信号処理回路(図示略)とを含む。イメージセンサは、複数の画素により構成される受光面(撮像面)に入射した光(被写体の光学像)を電気信号に変換する光電変換を行う。イメージセンサは、被写体により反射された光に応じて、RGB(Red Green Blue)のカラー画像若しくは白黒の輝度成分信号からなるモノクロ画像の電気信号を取得する。イメージセンサの信号処理回路(図示略)は、帯域制御部15からの指示(例えば画像データの1フレーム当たりのデータ量を規定する帯域を指定する帯域指定指示)に基づいて、電気信号(アナログ信号)をデジタル形式の画像データに変換してパケットサイズ制御部12に送る。つまり、イメージセンサの信号処理回路(図示略)は、帯域制御部15からの帯域指定指示に応じて、1フレーム当たりのデータ量(言い換えると、解像度)を規定した画像データを生成してパケットサイズ制御部12に送る。
【0024】
パケットサイズ制御部12は、ビデオ通信品質評価部14からの指示(例えばサイズ変更指示あるいはサイズ維持指示)に基づいて、カメラ部11からの画像データを分割することにより複数のデータパケットを生成してネットワークパケット生成部13に送る。ビデオ通信品質評価部14から指示されるサイズは、1個のデータパケットに格納される画像データのサイズであり、例えば
図7(後述参照)に示すように6種類ある。最も小さいサイズ(1)は64バイト、次に大きいサイズ(2)は128バイト、次に大きいサイズ(3)は256バイト、次に大きいサイズ(4)は512バイト、次に大きいサイズ(5)は1.0kバイト、最も大きいサイズ(6)は1.5kバイトである。なお、これらのバイト数は一例であってよい。パケットサイズ制御部12の詳細な動作手順については、
図12を参照して後述する。
【0025】
ネットワークパケット生成部13は、パケットサイズ制御部12からの個々のデータパケットに既定の各種ヘッダ(例えばRTP(Realtime Transport Protocol)ヘッダ、UDP(User Datagram Protocol)/IP(Internet Protocol)ヘッダ)を付与することによりネットワークパケットを生成する。ネットワークパケット生成部13は、生成した個々のネットワークパケットを無線バッファ21に書き込む。また、ネットワークパケット生成部13は、ネットワークパケットの無線バッファ21への書き込みに関するパラメータ(例えば、破棄パケット数Y、単位時間当たりの無線バッファ21への書き込みに成功した総データ量D1)をビデオ通信品質評価部14に送る。ネットワークパケット生成部13の詳細な動作手順については、
図8を参照して後述する。
【0026】
ビデオ通信品質評価部14は、無線部2からのフィードバック(例えば無線通信品質評価部28からの無線品質の評価結果)に基づいて、現在の画像データの帯域およびパケットサイズの維持あるいは変更の要否を判定するビデオ通信品質評価処理を周期的に行う。ビデオ通信品質評価部14は、例えば無線品質の評価結果が「普通」であって現在の画像データの帯域およびパケットサイズの両方を維持すると判定した場合、帯域維持指示を生成して帯域制御部15に送るとともにサイズ維持指示を生成してパケットサイズ制御部12に送る。一方、ビデオ通信品質評価部14は、例えば無線品質の評価結果が「良い」あるいは「悪い」であって現在の画像データの帯域およびパケットサイズの両方を連動して変更すると判定した場合、それぞれの変更量を決定し、帯域の変更量を含む帯域変更指示を生成して帯域制御部15に送るとともにパケットサイズの変更量を含むサイズ変更指示を生成してパケットサイズ制御部12に送る。ビデオ通信品質評価部14の詳細な動作手順については、
図9および
図10を参照して後述する。
【0027】
帯域制御部15は、ビデオ通信品質評価部14からの指示(例えば帯域変更指示あるいは帯域維持指示)に基づいて、カメラ部11が生成するデータパケットの帯域(つまり、1フレーム当たりのデータ量であって、解像度とみなすことが可能である)を決定する。帯域制御部15は、決定した帯域を指定する帯域指定指示を生成してカメラ部11に送る。ビデオ通信品質評価部14から指示される帯域は、1フレーム当たりの画像を構成するデータ量であり、例えば
図7(後述参照)に示すように6種類ある。最も小さい帯域(1)は128kビット(=16kバイト)、次に大きい帯域(2)は256kビット(=32kバイト)、次に大きい帯域(3)は512kビット(=64kバイト)、次に大きい帯域(4)は1Mビット(=125kバイト)、次に大きい帯域(5)は2Mビット(=250kバイト)、最も大きい帯域(6)は4Mビット(=500kバイト)である。なお、これらのビット数は一例であってよい。帯域制御部15の詳細な動作手順については、
図7あるいは
図11を参照して後述する。
【0028】
無線部2は、複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成する。無線パケット生成部22と、無線送信制御部23と、無線再送レート制御部24と、無線再送制御部25と、無線受信制御部26と、無線受信電界強度測定部27と、無線通信品質評価部28とは、例えばCPUあるいはFPGA等のプロセッサと、RAMおよびROM等のメモリとにより構成されて各部の機能が実現される。
【0029】
無線バッファ21は、例えば既定のデータ容量を有するRAM等のメモリであり、ネットワークパケット生成部13により生成された個々のネットワークパケットを一時的に蓄積する。無線バッファ21に書き込み可能なデータサイズにはメモリの仕様に応じた上限が設けられており、この上限を超えるデータサイズのネットワークパケットの書き込みは不可となる。
【0030】
無線パケット生成部22は、無線バッファ21に蓄積されている古いネットワークパケットから順に読み出して取得し、その読み出したネットワークパケットに、無線送信するための既定の各種ヘッダ(例えばMAC(Media Access Control)ヘッダ、PHY(Physical:物理層)ヘッダ)を付与することにより無線パケットを生成する。無線パケット生成部22は、生成した個々の無線パケットを無線送信制御部23に送る。
【0031】
無線送信制御部23は、無線パケット生成部22からの無線パケットを送信する時の通信速度を示す通信レートを設定する。無線送信制御部23は、設定した通信レートで無線送信するように、Wi-Fi(登録商標)の通信方式に対応する変調等のベースバンド処理を無線パケットに施してベースバンド無線信号を生成してRF部31に送る。また、無線送信制御部23は、例えばカメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなった場合もしくは良くなった場合に、無線再送レート制御部24により決定された変更後の通信レートを使用するように設定する。ここで、カメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなった場合とは、例えば受信信号(例えば無線パケットに対応する受信応答(Ack:Acknowledgment))が一定期間受信されない場合が該当する。また、カメラ100と受信機との間の無線品質が良くなった場合とは、例えば受信信号(例えば無線パケットに対応する受信応答(Ack))の強度が所定の閾値(後述する再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim))より大きい場合が該当する。なお、受信信号は、無線パケットに対応する受信応答(Ack)だけに限定されるものではなく、例えば、カメラ100の通信相手(例えばインターホン親機IPM1あるいは不図示のWi-Fi(登録商標)ルータ等)から送られる無線通信用の無線パケットでもよく、以下の説明においても同様である。
【0032】
無線再送レート制御部24は、カメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなった場合もしくは良くなった時の無線再送制御部25からの指示に応じて、無線パケットを送信する時の通信レートを再送回数および受信応答(Ack)の受信電界強度に基づいて動的に変更するように決定する再送レート処理を行う。なお、受信電界強度は、受信応答(Ack)の受信電界強度の代わりに、カメラ100の通信相手(例えばインターホン親機IPM1あるいは不図示のWi-Fi(登録商標)ルータ等)から送られる無線通信用の無線パケットの受信電界強度でもよく、以下の説明においても同様である。無線再送レート制御部24の詳細な動作手順については、
図17および
図18を参照して後述する。
【0033】
無線再送制御部25は、受信機から受信信号(例えば受信応答(Ack))が一定期間受信されない時の無線受信制御部26からの無線パケットを再送するための指示に応じて、無線パケットを送信する時の通信レートを決定するための再送レート処理を実行するための指示を生成して無線再送レート制御部24に送る。無線再送制御部25は、無線パケットの再送回数の総数を管理(保持)してもよく、この場合には再送回数の総数を無線通信品質評価部28に送ってよい。
【0034】
無線受信制御部26は、RF部31からのベースバンド帯の受信信号を入力する。無線受信制御部26は、受信機から受信信号(例えば受信応答(Ack))が一定期間受信されない時、無線パケットの再送を実行するための指示を生成して無線再送制御部25に送る。また、無線受信制御部26は、受信機からの受信信号(例えば受信応答(Ack))が送受信部3において受信された時にRF部31から送られるベースバンド帯の受信信号(例えば受信応答(Ack))の受信電界強度を測定するための指示を生成して無線受信電界強度測定部27に送る。
【0035】
無線受信電界強度測定部27は、無線受信制御部26からの指示に応じて、送受信部3において受信された受信機からの受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度の測定を行い、その測定結果(例えば無線パケットの受信応答の受信電界強度RSSI_VI)を無線通信品質評価部28に送る。
【0036】
無線通信品質評価部28は、無線受信電界強度測定部27の受信信号(例えば受信応答(Ack))の受信電界強度の測定結果と所定の閾値とに基づいて、カメラ100と受信機との間の無線品質の良し悪し(例えば「良い」、「普通」、「悪い」)を評価する。無線通信品質評価部28は、無線品質の評価結果をビデオ通信品質評価部14に送る。なお、無線通信品質評価部28は、カメラ100と受信機との間の無線品質が「良い」あるいは「悪い」と評価した場合には、無線パケットの通信レートを変更するための指示を生成して無線再送レート制御部24に送ってもよい。この場合、無線再送レート制御部24は、無線通信品質評価部28からの指示に基づいて、再送レート処理(
図17および
図18参照)を行ってもよい。
【0037】
送受信部3は、アンテナ33を介して、無線部2により生成された無線パケットを受信機に送信する。送受信部3は、アンテナ33を介して、受信機から送信された信号あるいは受信機以外の信号源からの信号を受信する。受信機は、ユーザの自室RM1内に配置されているカメラ100の通信相手であり、例えばインターホン親機IPM1であるが、他の電子機器(例えば図示されていないWi-Fi(登録商標)用の無線LANルータ)でもよい。また、受信機から送信された信号は、無線パケット(例えばカメラ100が撮影した映像)に対応する受信応答(Ack:Acknowledgment)が該当する。同様に、受信機以外の信号源からの信号は、電子レンジあるいは他の無線LANルータ等からの妨害電波、他の電子機器が通信している無線パケットが該当する。
【0038】
RF部31は、無線送信制御部23からのベースバンド無線信号を2.4GHz帯の高周波信号にアップコンバートしてアンプ部32に送る。RF部31は、アンテナ33により受信されかつアンプ部32により増幅された高周波信号(例えば2.4GHz帯の信号)をベースバンド帯の受信信号にダウンコンバートして無線受信制御部26に送る。
【0039】
アンプ部32は、RF部31からの2.4GHz帯の高周波信号のレベルを無線送信用の所定送信電力レベルまでに増幅してアンテナ33に送る。アンプ部32は、アンテナ33により受信された高周波信号(例えば2.4GHz帯の信号)のレベルを無線受信用の所定受信電力レベルまでに増幅してRF部31に送る。
【0040】
アンテナ33は、アンプ部32により増幅された2.4GHz帯の高周波信号を送信(つまり、2.4GHz帯の電波を放射)する。アンテナ33は、受信機から送信された信号あるいは受信機以外から送信された信号を受信する。アンテナ33により受信された信号はアンプ部32に入力される。
【0041】
図5は、設定値あるいは閾値の一覧を示す図である。
図5に示す設定値あるいは閾値は、カメラ100の各部(
図4参照)のうち該当する構成要素を構成するプロセッサまたはメモリに保持されている。
【0042】
書き込み待ち時間TWは、無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みリトライ回数Nが書き込みリトライ回数上限値TH_Nに達するまでに無線バッファ21への書き込みが待機される一定時間を示す。書き込み待ち時間TWは、ネットワークパケット生成部13により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0043】
書き込みリトライ回数Nは、無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みが失敗した場合にインクリメントされる書き込みの再試行回数を示す。書き込みリトライ回数Nは、ネットワークパケット生成部13により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0044】
書き込みリトライ回数上限値TH_Nは、無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みリトライ回数Nの上限値を示す。書き込みリトライ回数上限値TH_Nは、ネットワークパケット生成部13により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0045】
破棄パケット数Yは、無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みが失敗したために無線バッファ21への書き込みを一定時間待機していたが無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みリトライ回数Nが書き込みリトライ回数上限値TH_Nを超えてしまった場合に時間切れにより破棄されるネットワークパケットの数を示す。破棄パケット数Yは、ネットワークパケット生成部13により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0046】
破棄パケット数による品質判断閾値TH_Yは、破棄パケット数Yとの比較によってカメラ100と受信機との間の無線品質の良し悪しを決定するために参照される閾値である。破棄パケット数による品質判断閾値TH_Yは、ビデオ通信品質評価部14により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0047】
破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_Wは、現在の無線帯域(帯域)の設定により単位時間当たりの無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みが成功する否かを決定するために参照される閾値である。破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_Wは、ビデオ通信品質評価部14により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0048】
無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wは、カメラ100と受信機との間の現在の無線品質に応じて現在の無線帯域(帯域)の設定から帯域を増加するべきか減少するべきかを決定するために参照される閾値である。無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wは、ビデオ通信品質評価部14により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0049】
現在の連続無線帯域良好回数OK_Wは、カメラ100と受信機との間の現在の無線品質に影響を与える現在の無線帯域(帯域)の設定が適している(言い換えると、維持するべきである)と無線通信品質評価部28により評価された回数を示す。現在の連続無線帯域良好回数OK_Wは、ビデオ通信品質評価部14により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0050】
再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLimは、カメラ100が受信した受信機からの受信信号(例えば受信応答(Ack))が弱電界である(つまり、カメラ100と受信機との間の現在の無線品質が悪い)であるか否かを決定するために参照される閾値である。再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLimは、無線再送レート制御部24により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0051】
再送回数最大数TH_RTYMAXは、1つの無線パケットの再送が許される再送回数の最大値であって既定値(例えば
図13および
図14の例では「32」)である。再送回数最大数TH_RTYMAXは、無線再送レート制御部24により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0052】
送信中無線パケットの再送回数T_RTYは、現在送信中である無線パケットの受信応答(Ack)が受信機から届かない場合にカメラ100がその無線パケットを再送している再送回数を示す。送信中無線パケットの再送回数T_RTYは、無線再送レート制御部24により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0053】
再送最低レートFB_MINは、無線パケットを送信する時の通信レートの最低値(最小値)を示す。再送最低レートFB_MINは、無線パケットの受信応答(Ack)の受信電界強度RSSI_VIと再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLimとの比較結果に応じて異なるように設定される。再送最低レートFB_MINは、無線再送レート制御部24により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0054】
無線パケットの受信応答の受信電界強度RSSI_VIは、カメラ100からの無線パケットが受信機にて受信されたことに基づく受信応答(Ack)をカメラ100が受信した時に無線受信電界強度測定部27により測定される受信電界強度を示す。無線パケットの受信応答の受信電界強度RSSI_VIは、無線受信電界強度測定部27により管理(保持)されるが、他の各部(例えば無線再送レート制御部24)により参照されてもよい。
【0055】
レートダウン値FB_DOWN(T_RTY)は、無線再送レート制御部24による再送レート処理の中で無線パケットを送信するための現在の通信レートからどのくらい通信レートを減少するかを規定する値を示す。レートダウン値FB_DOWN(T_RTY)は、無線再送レート制御部24により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0056】
単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALは、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功したネットワークパケットの総データ量D1の算出結果を、時間差(例えば前回のビデオ通信品質評価処理を実行した時刻T1と現在時刻T2との差分)により除算した値を示す。単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALは、無線再送レート制御部24により管理(保持)されるが、他の各部により参照されてもよい。
【0057】
図6は、通信レートと各種の通信性能との対比一覧を示す図である。
図6中のindexは、無線パケットを送信する時の通信レートを識別する識別番号である。つまり、カメラ100では、無線再送レート制御部24は、無線パケットを再送する時の通信レートをindex(識別番号)で特定する。なお、無線再送レート制御部24は、通信レートの特定にindex(識別番号)以外の要素を用いても構わない。
【0058】
図6の例では、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11bの通信規格では、最大通信レートのindexは2(5.5Mbps)であり、最小通信レートのindexは0(1Mbps)となる。IEEE802.11gの通信規格では、最大通信レートのindexは10(54Mbps)であり、最小通信レートのindexは3(6Mbps)となる。
【0059】
IEEE802.11n,11ac,11axのそれぞれの通信規格では、最大通信レートのindexは10(つまり、MCS(Modulation and Coding Scheme)が7)であり、最小通信レートのindexは3(つまり、MCSが0)となる。MCSは、無線通信における変調方式および符号化率のパラメータの組み合わせを段階的に規定するインデックスである。特にIEEE802.11n,11acでは、最大通信レートは65Mbps,72.2Mbps,135Mbps,150Mbpsのいずれかとなり、最小通信レートは6.5Mbps,7.2Mbps,13.5Mbps,15Mbpsのいずれかとなる。
【0060】
また、indexが大きければ大きいほど、無線通信における到達距離は近くなり易く、無線通信における受信感度は悪くなり易く、無線通信における耐妨害性は弱く、無線通信における通信帯域が高い方が適しており、無線通信における干渉衝突確率は低くなり易く、無線通信におけるパケット長(つまり、パケット内のデータ格納領域の長さ)は短く、無線通信における転送時間は短くなり易くなる。
【0061】
一方、indexが小さければ小さいほど、無線通信における到達距離は遠くし易く、無線通信における受信感度は良く、無線通信における耐妨害性は強く、無線通信における通信帯域が低い方が適しており、無線通信における干渉衝突確率は高く、無線通信におけるパケット長(つまり、パケット内のデータ格納領域の長さ)は長く、無線通信における転送時間は長くなる傾向がある。
【0062】
そこで、本実施の形態では、無線通信における耐妨害性および干渉衝突確率のそれぞれの特性と通信レートとの関係に鑑みて、無線再送レート制御部24は、カメラ100と受信機との間の無線品質が良い場合には通信レートを高く(つまり、indexを高く)設定し、同無線品質が悪い場合には通信レートを低く(つまり、indexを低く)設定するという基本的な考えに基づいて通信レートの設定を行う。つまり、カメラ100が使用する2.4GHz帯と同一周波数帯の妨害電波を放射する電子レンジあるいは他の無線LANルータ等が存在している環境下でも、通信レートのindexを高く設定することにより干渉衝突確率の低い無線通信を実行可能とし、その一方で、通信レートのindexを低く設定することにより耐妨害性に強い無線通信を実行可能にできる。さらに、無線再送レート制御部24は、上述した基本的な考えだけではなく、
図13および
図14に示す各種の対応テーブルに基づいて、再送回数に応じて通信レートを柔軟に設定できる。通信レートの設定の詳細については、
図17および
図18を参照して後述する。
【0063】
図7は、無線環境に応じたパケットサイズおよび帯域を決定するための対応テーブルTBL1の一例を示す図である。ここでいう無線環境とは、例えばカメラ100と受信機との間の無線品質であり、無線通信品質評価部28による評価結果に相当する。
図7の対応テーブルTBL1は、例えばビデオ通信品質評価部14が有するメモリ(図示略)に保存されてよい。対応テーブルTBL1は、帯域およびパケットサイズのそれぞれを6段階に規定し、かつ、帯域およびパケットサイズのそれぞれに応じて1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を規定している。帯域およびパケットサイズが大きければ大きいほど、1枚の画像データの画質が高くなり綺麗な画像が得られる。一方、帯域およびパケットサイズが小さければ小さいほど、1枚の画像データの画質が低くなり粗い画像が得られる。
【0064】
本実施の形態では、ビデオ通信品質評価部14は、無線部2からのフィードバック(例えば無線通信品質評価部28からの無線品質の評価結果)に基づいて、現在の画像データの帯域およびパケットサイズの設定変更の要否を判定するビデオ通信品質評価処理(
図9および
図10参照)を行う。ビデオ通信品質評価部14は、カメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなってくると、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数は大きく変更せずに帯域およびパケットサイズを1段階ずつ減少するように変更する。
【0065】
より具体的には、現在の帯域が「帯域(6)」であって現在のパケットサイズが「サイズ(6)」でありかつカメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなってくると、ビデオ通信品質評価部14は、「帯域(5)」への帯域変更指示を生成するとともに「サイズ(5)」へのサイズ変更指示を生成する。この場合には、ビデオ通信品質評価部14は、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を「333」から「250」に減少する旨の指示をネットワークパケット生成部13に送る。ネットワークパケット生成部13は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に応じて、1枚の画像データを形成するために「250」個のネットワークパケットを生成する。なお、この例では「帯域(6)」および「サイズ(6)」から「帯域(5)」および「サイズ(5)」に1段階減少する例を説明したが、カメラ100と受信機との間の無線品質が良くなった場合には「帯域(5)」および「サイズ(5)」から「帯域(6)」および「サイズ(6)」に1段階増加することも同様である。
【0066】
また、現在の帯域が「帯域(5)」であって現在のパケットサイズが「サイズ(5)」でありかつカメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなってくると、ビデオ通信品質評価部14は、「帯域(4)」への帯域変更指示を生成するとともに「サイズ(4)」へのサイズ変更指示を生成する。この場合には、ビデオ通信品質評価部14は、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を「250」から「244」に減少する旨の指示をネットワークパケット生成部13に送る。ネットワークパケット生成部13は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に応じて、1枚の画像データを形成するために「244」個のネットワークパケットを生成する。なお、この例では「帯域(5)」および「サイズ(5)」から「帯域(4)」および「サイズ(4)」に1段階減少する例を説明したが、カメラ100と受信機との間の無線品質が良くなった場合には「帯域(4)」および「サイズ(4)」から「帯域(5)」および「サイズ(5)」に1段階増加することも同様である。
【0067】
同様に、現在の帯域が「帯域(4)」であって現在のパケットサイズが「サイズ(4)」でありかつカメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなってくると、ビデオ通信品質評価部14は、「帯域(3)」への帯域変更指示を生成するとともに「サイズ(3)」へのサイズ変更指示を生成する。この場合には、ビデオ通信品質評価部14は、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を「244」から「250」に増加する旨の指示をネットワークパケット生成部13に送る。ネットワークパケット生成部13は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に応じて、1枚の画像データを形成するために「250」個のネットワークパケットを生成する。なお、この例では「帯域(4)」および「サイズ(4)」から「帯域(3)」および「サイズ(3)」に1段階減少する例を説明したが、カメラ100と受信機との間の無線品質が良くなった場合には「帯域(3)」および「サイズ(3)」から「帯域(4)」および「サイズ(4)」に1段階増加することも同様である。
【0068】
同様に、現在の帯域が「帯域(3)」であって現在のパケットサイズが「サイズ(3)」でありかつカメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなってくると、ビデオ通信品質評価部14は、「帯域(2)」への帯域変更指示を生成するとともに「サイズ(2)」へのサイズ変更指示を生成する。この場合には、ビデオ通信品質評価部14は、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を「250」から変更しない旨の指示をネットワークパケット生成部13に送る。ネットワークパケット生成部13は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に応じて、1枚の画像データを形成するために「250」個のネットワークパケットを生成する。なお、この例では「帯域(3)」および「サイズ(3)」から「帯域(2)」および「サイズ(2)」に1段階減少する例を説明したが、カメラ100と受信機との間の無線品質が良くなった場合には「帯域(2)」および「サイズ(2)」から「帯域(3)」および「サイズ(3)」に1段階増加することも同様である。
【0069】
同様に、現在の帯域が「帯域(2)」であって現在のパケットサイズが「サイズ(2)」でありかつカメラ100と受信機との間の無線品質が悪くなってくると、ビデオ通信品質評価部14は、「帯域(1)」への帯域変更指示を生成するとともに「サイズ(1)」へのサイズ変更指示を生成する。この場合には、ビデオ通信品質評価部14は、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を「250」から変更しない旨の指示をネットワークパケット生成部13に送る。ネットワークパケット生成部13は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に応じて、1枚の画像データを形成するために「250」個のネットワークパケットを生成する。なお、この例では「帯域(2)」および「サイズ(2)」から「帯域(1)」および「濃くTサイズ(1)」に1段階減少する例を説明したが、カメラ100と受信機との間の無線品質が良くなった場合には「帯域(1)」および「サイズ(1)」から「帯域(2)」および「サイズ(2)」に1段階増加することも同様である。
【0070】
同様に、現在の帯域が「帯域(1)」であって現在のパケットサイズが「サイズ(1)」でありかつカメラ100と受信機との間の無線品質が良くなってくると、ビデオ通信品質評価部14は、「帯域(2)」への帯域変更指示を生成するとともに「サイズ(2)」へのサイズ変更指示を生成する。この場合には、ビデオ通信品質評価部14は、1枚の画像データを形成するために必要なネットワークパケットのパケット数を「250」から変更しない旨の指示をネットワークパケット生成部13に送る。ネットワークパケット生成部13は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に応じて、1枚の画像データを形成するために「250」個のネットワークパケットを生成する。
【0071】
次に、本実施の形態に係るカメラ100の各種の動作手順例について説明する。
【0072】
図8は、ネットワークパケット生成手順の一例を示すフローチャートである。
図8に示すネットワークパケット生成手順は、主にネットワークパケット生成部13により実行される。
【0073】
図8において、ネットワークパケット生成部13は、各種の設定値を読み出して取得する(ステップSt1)。各種の設定値は、例えば書き込み待ち時間TW、書き込みリトライ回数N、書き込みリトライ回数上限値TH_N、破棄パケット数Yである。ステップSt1の時点では、書き込みリトライ回数Nは0(ゼロ)である。ネットワークパケット生成部13は、画像を形成する個々のデータパケットをパケットサイズ制御部12から取得する(ステップSt2)。ネットワークパケット生成部13は、ステップSt2で取得した個々のデータパケットに既定の各種ヘッダ(例えばRTPヘッダ、UDP/IPヘッダ)を付与することによりネットワークパケットを生成する(ステップSt3)。ネットワークパケット生成部13は、ステップSt3で生成した個々のネットワークパケットを無線バッファ21に書き込む(ステップSt4)。
【0074】
ネットワークパケット生成部13は、ステップSt4での無線バッファ21への書き込みに成功した場合(ステップSt5、YES)、ステップSt10の処理を行う。一方、ネットワークパケット生成部13は、ステップSt4での無線バッファ21への書き込みに失敗した場合(ステップSt5、NO)、ステップSt1で取得した書き込みリトライ回数Nをインクリメントする(ステップSt6)。ここで、書き込みリトライ回数NがステップSt1で取得した書き込みリトライ回数上限値TH_N未満である場合には(ステップSt7、NO)、ネットワークパケット生成部13は、ステップSt1で取得した書き込み待ち時間TWだけ無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みを中断して待機する(ステップSt8)。ステップSt8の後、ネットワークパケット生成部13の処理はステップSt5に戻る。
【0075】
一方、ネットワークパケット生成部13は、書き込みリトライ回数NがステップSt1で取得した書き込みリトライ回数上限値TH_Nに達したと判定した場合には(ステップSt7、YES)、時間切れによる破棄パケット数Yをインクリメントし、破棄パケット数Yをビデオ通信品質評価部14に送る(ステップSt9)。ネットワークパケット生成部13は、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功したネットワークパケットの総データ量D1を算出し、総データ量D1の算出結果をビデオ通信品質評価部14に送る(ステップSt10)。例えば、ネットワークパケット生成部13は、「無線バッファ21に書き込みしたネットワークパケットの個数」と「1個のネットワークパケットのサイズ」とを乗算結果を総データ量D1として算出してよい。これにより、ネットワークパケット生成部13によるネットワークパケット生成手順の処理が終了する。
【0076】
図9および
図10は、ビデオ通信品質評価手順の一例を示すフローチャートである。
図9および
図10に示すビデオ通信品質評価手順は、主にビデオ通信品質評価部14により周期的に実行される。
【0077】
図9において、ビデオ通信品質評価部14は、各種の設定値を読み出して取得する(ステップSt11)。各種の設定値は、例えば破棄パケット数による品質判断閾値TH_Y、破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_Wである。ビデオ通信品質評価部14は、現在の連続無線帯域良好回数OK_Wを設定する(ステップSt12)。ビデオ通信品質評価部14は、時間切れによる破棄パケット数Yをネットワークパケット生成部13から取得する(ステップSt13)。
【0078】
ビデオ通信品質評価部14は、現在の帯域の設定値(帯域(W))を取得し(ステップSt14)、その取得した帯域(W)に基づいて無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wを算出する(ステップSt15)。具体的には、ビデオ通信品質評価部14は、帯域(W)/2を演算することにより、無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wを算出する。例えば帯域(W)が2Mbps(帯域(5)参照)である場合、無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wは、1Mbpsと算出される。
【0079】
ビデオ通信品質評価部14は、前回のビデオ通信品質評価処理を実行した時刻T1および現在時刻T2を確認し(ステップSt16)、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功したネットワークパケットの総データ量D1の算出結果をネットワークパケット生成部13から取得する(ステップSt17)。さらに、ビデオ通信品質評価部14は、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALを算出する(ステップSt17)。例えば、ビデオ通信品質評価部14は、「単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功したネットワークパケットの総データ量D1の算出結果」/(T2-T1)の算出結果を単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALとして算出してよい。
【0080】
ビデオ通信品質評価部14は、ステップSt13で取得した破棄パケット数YがステップSt11で取得した破棄パケット数による品質判断閾値TH_Yより大きいと判定した場合(ステップSt18、YES)、ステップSt12で設定した現在の連続無線帯域良好回数OK_Wを0(ゼロ)に変更する(ステップSt19)。ビデオ通信品質評価部14は、ステップSt19の処理に伴い、現在の帯域を1段階減少するための帯域変更指示を生成するとともに現在のパケットサイズを1段階減少するためのサイズ変更指示を生成する(ステップSt20)。ステップSt20の後、ビデオ通信品質評価部14の処理はステップSt30に進む。
【0081】
一方、ビデオ通信品質評価部14は、ステップSt13で取得した破棄パケット数YがステップSt11で取得した破棄パケット数による品質判断閾値TH_Y以下であると判定した場合(ステップSt18、NO)、ステップSt21の処理を行う。具体的には、ビデオ通信品質評価部14は、ステップSt17で算出した単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALがステップSt15で算出した無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wより大きいか否かを判定する(ステップSt21)。単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALが無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_W以下であると判定された場合(ステップSt21、NO)、ビデオ通信品質評価部14の処理はステップSt19に進む。つまり、無線バッファ21へのネットワークパケットの書き込みが成功しにくい状況であるため、現在の帯域およびパケットサイズが適切ではないとしてそれぞれ1段階減少するように変更される。
【0082】
ビデオ通信品質評価部14は、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALが無線バッファ書き込み成功帯域による品質判断閾値TH_Wより大きいと判定した場合(ステップSt21、YES)、ステップSt22の処理を行う。具体的には、ビデオ通信品質評価部14は、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALがステップSt11で取得した破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_Wより大きいか否かを判定する(ステップSt22)。単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALが破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_W未満であると判定された場合(ステップSt22、NO)、ビデオ通信品質評価部14の処理はステップSt25に進む。
【0083】
ビデオ通信品質評価部14は、時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功した帯域W_CALが破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_Wより大きいと判定した場合(ステップSt22、YES)、ステップSt23の処理を行う。具体的には、ビデオ通信品質評価部14は、現在の破棄パケット数Yが0(ゼロ)であるか否かを判定する(ステップSt23)。ビデオ通信品質評価部14は、現在の破棄パケット数Yが0(ゼロ)であると判定した場合(ステップSt23、YES)、現在の連続無線帯域良好回数OK_Wをインクリメントする(ステップSt24)。ステップSt24の後、ビデオ通信品質評価部14の処理はステップSt26に進む。
【0084】
ビデオ通信品質評価部14は、現在の破棄パケット数Yが0(ゼロ)でないと判定した場合(ステップSt23、NO)、現在の連続無線帯域良好回数OK_Wを0(ゼロ)に変更する(ステップSt25)。ステップSt25の後、ビデオ通信品質評価部14による帯域およびパケットサイズの変更はなされず維持されてビデオ通信品質評価部14によるビデオ通信品質評価処理は終了する。なお、この場合、ビデオ通信品質評価部14は、帯域の現在設定を維持するための帯域維持指示を生成して帯域制御部15に送るとともにパケットサイズの現在設定を維持するためのサイズ維持指示を生成してパケットサイズ制御部12に送ってもよい。
【0085】
ビデオ通信品質評価部14は、現在の連続無線帯域良好回数OK_WがステップSt11で取得した破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_W以上であると判定した場合(ステップSt26、YES)、現在の帯域を1段階増加するための帯域変更指示を生成するとともに現在のパケットサイズを1段階増加するためのサイズ変更指示を生成する(ステップSt27)。ステップSt27の後、ビデオ通信品質評価部14の処理はステップSt30に進む。一方、現在の連続無線帯域良好回数OK_Wが破棄パケット・無線帯域による品質判断閾値TH_OK_W未満であると判定された場合(ステップSt26、NO)、ビデオ通信品質評価部14による帯域およびパケットサイズの変更はなされず維持されてビデオ通信品質評価部14によるビデオ通信品質評価処理は終了する。
【0086】
図10において、ステップSt20あるいはステップSt27の後、ビデオ通信品質評価部14は、帯域制御処理手順の処理を実行するための指示を生成して帯域制御部15に送り(ステップSt30)、さらに、パケットサイズ処理手順の処理を実行するための指示を生成してパケットサイズ制御部12に送る(ステップSt40)。ステップSt30およびステップSt40のそれぞれの処理の詳細については、
図11および
図12のそれぞれを参照して後述する。なお、
図10では帯域制御処理手順、パケットサイズ処理手順の順に実行されるように図示しているが、これら2つの処理手順の実行順序は順不同であり、逆の順序で実行されても構わない。
【0087】
ステップSt40の後、ビデオ通信品質評価部14は、時間切れにより破棄されたパケット数を示す破棄パケット数Yを初期化してゼロにするとともに、現在時刻T2を今回のビデオ通信品質評価処理を実行した時刻T1として保存する(ステップSt28)。さらに、ビデオ通信品質評価部14は、単位時間当たりに無線バッファ21への書き込みに成功したネットワークパケットの総データ量D1を初期化してゼロにする(ステップSt29)。これにより、ビデオ通信品質評価部14によるビデオ通信品質評価手順の処理が終了する。
【0088】
図11は、帯域制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11に示す帯域制御処理手順は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に基づいて帯域制御部15により周期的に実行される。
【0089】
図11において、帯域制御部15は、例えば
図7に示す対応テーブルTBL1を参照して各種の設定値を取得する(ステップSt31)。各種の設定値は、例えば最大帯域である帯域(6)(つまり4Mbps)および最小帯域である帯域(1)(つまり128kbps)である。帯域制御部15は、現在の帯域の設定値(帯域(W))を取得する(ステップSt32)。帯域制御部15は、ビデオ通信品質評価部14から取得した帯域変更指示の内容が帯域の1段階減少であるか否かを判定する(ステップSt33)。
【0090】
帯域制御部15は、帯域変更指示の内容が帯域の1段階減少であると判定した場合(ステップSt33、YES)、ステップSt32で取得した現在の帯域(W)が最小帯域である帯域(1)であるか否かを判定する(ステップSt34)。現在の帯域(W)が最小帯域である帯域(1)であると判定された場合(ステップSt34、YES)、最小帯域である帯域(1)からさらに帯域を下げることはできないので、帯域制御部15は、現在の帯域(W)である帯域(1)を維持する。これにより、帯域制御部15による帯域制御処理手順の処理が終了する。
【0091】
帯域制御部15は、現在の帯域(W)が最小帯域である帯域(1)ではないと判定した場合(ステップSt34、NO)、現在の帯域(W)を1段階減少するように帯域を設定する(ステップSt35)。これにより、帯域制御部15による帯域制御処理手順の処理が終了する。
【0092】
帯域制御部15は、帯域変更指示の内容が帯域の1段階減少ではないと判定した場合(ステップSt33、NO)、ビデオ通信品質評価部14から取得した帯域変更指示の内容が帯域の1段階増加であるか否かを判定する(ステップSt36)。帯域変更指示の内容が帯域の1段階増加ではないと判定された場合(ステップSt36、NO)、帯域制御部15は、現在の帯域(W)を維持する。これにより、帯域制御部15による帯域制御処理手順の処理が終了する。
【0093】
帯域制御部15は、帯域変更指示の内容が帯域の1段階増加であると判定した場合(ステップSt36、YES)、ステップSt32で取得した現在の帯域(W)が最大帯域である帯域(6)であるか否かを判定する(ステップSt37)。現在の帯域(W)が最大帯域である帯域(6)であると判定された場合(ステップSt37、YES)、最大帯域である帯域(6)からさらに帯域を上げることはできないので、帯域制御部15は、現在の帯域(W)である帯域(6)を維持する。これにより、帯域制御部15による帯域制御処理手順の処理が終了する。
【0094】
帯域制御部15は、現在の帯域(W)が最大帯域である帯域(6)ではないと判定した場合(ステップSt37、NO)、現在の帯域(W)を1段階増加するように帯域を設定する(ステップSt38)。これにより、帯域制御部15による帯域制御処理手順の処理が終了する。
【0095】
図12は、パケットサイズ処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12に示すパケットサイズ処理手順は、ビデオ通信品質評価部14からの指示に基づいてパケットサイズ制御部12により周期的に実行される。
【0096】
図12において、パケットサイズ制御部12は、例えば
図7に示す対応テーブルTBL1を参照して各種の設定値を取得する(ステップSt41)。各種の設定値は、例えば最大パケットサイズであるサイズ(6)(つまり1.5kバイト)および最小サイズであるサイズ(1)(つまり128バイト)である。パケットサイズ制御部12は、現在のパケットサイズの設定値(サイズ(Z))を取得する(ステップSt42)。パケットサイズ制御部12は、ビデオ通信品質評価部14から取得したサイズ変更指示の内容がサイズの1段階減少であるか否かを判定する(ステップSt43)。
【0097】
パケットサイズ制御部12は、サイズ変更指示の内容がパケットサイズの1段階減少であると判定した場合(ステップSt43、YES)、ステップSt42で取得した現在のサイズ(Z)が最小パケットサイズであるサイズ(1)であるか否かを判定する(ステップSt44)。現在のサイズ(Z)が最小パケットサイズであるサイズ(1)であると判定された場合(ステップSt44、YES)、最小パケットサイズであるサイズ(1)からさらにパケットサイズを下げることはできないので、パケットサイズ制御部12は、現在のサイズ(Z)であるサイズ(1)を維持する。これにより、パケットサイズ制御部12によるパケットサイズ処理手順の処理が終了する。
【0098】
パケットサイズ制御部12は、現在のサイズ(Z)が最小パケットサイズであるサイズ(1)ではないと判定した場合(ステップSt44、NO)、現在のサイズ(Z)を1段階減少するようにパケットサイズを設定する(ステップSt45)。これにより、パケットサイズ制御部12によるパケットサイズ処理手順の処理が終了する。
【0099】
パケットサイズ制御部12は、サイズ変更指示の内容がパケットサイズの1段階減少ではないと判定した場合(ステップSt43、NO)、ビデオ通信品質評価部14から取得したサイズ変更指示の内容がパケットサイズの1段階増加であるか否かを判定する(ステップSt46)。サイズ変更指示の内容がパケットサイズの1段階増加ではないと判定された場合(ステップSt46、NO)、パケットサイズ制御部12は、現在のサイズ(Z)を維持する。これにより、パケットサイズ制御部12によるパケットサイズ処理手順の処理が終了する。
【0100】
パケットサイズ制御部12は、サイズ変更指示の内容がパケットサイズの1段階増加であると判定した場合(ステップSt46、YES)、ステップSt42で取得した現在のサイズ(Z)が最大パケットサイズであるサイズ(6)であるか否かを判定する(ステップSt47)。現在のサイズ(Z)が最大パケットサイズであるサイズ(6)であると判定された場合(ステップSt47、YES)、最大パケットサイズであるサイズ(6)からさらにパケットサイズを上げることはできないので、帯域制御部15は、現在のサイズ(Z)であるサイズ(6)を維持する。これにより、パケットサイズ制御部12によるパケットサイズ処理手順の処理が終了する。
【0101】
パケットサイズ制御部12は、現在のサイズ(Z)が最大パケットサイズであるサイズ(6)ではないと判定した場合(ステップSt47、NO)、現在のサイズ(Z)を1段階増加するようにパケットサイズを設定する(ステップSt48)。これにより、パケットサイズ制御部12によるパケットサイズ処理手順の処理が終了する。
【0102】
図13および
図14は、無線パケットの再送回数に応じた通信レートのインデックスを決定するための対応テーブルの一例を示す図である。
図15および
図16は、無線パケットの再送回数と通信レートのレートダウン値との関係を示すテーブルの一例を示す図である。
図13および
図14に示す通信レート(図中には「レート」とのみ表記)には、一例として、
図6に示す通信レートのうちIEEE802.11g,11n,11ac,11axに対応するものが示されている。
図13および
図14に示すインデックス(index)は、
図6に示す通信レートの識別番号であるインデックス(index)と同じである。
【0103】
図13の対応テーブルTBL2および
図14の対応テーブルTBL3のそれぞれは、例えば無線再送レート制御部24が有するメモリ(図示略)に保存されてよい。対応テーブルTBL2および対応テーブルTBL3のそれぞれは、無線パケットを送信する時の通信レートのインデックスを、無線再送レート制御部24が無線パケットの再送回数に応じて決定する際に参照される。
図13の対応テーブルTBL2では、最大通信レートは54MbpsあるいはMCSが7(
図6参照)であり、最小通信レートは1Mbps(
図6参照)となる。一方、
図14の対応テーブルTBL3では、最大通信レートは54MbpsあるいはMCSが7(
図6参照)であり、最小通信レートは6MbpsあるいはMCSが0(
図6参照)となる。
【0104】
図13の対応テーブルTBL2は、無線受信電界強度測定部27により測定される受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度RSSI_VIが再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FB_Lim(
図5参照)未満である場合に参照される。一方、
図14の対応テーブルTBL3は、無線受信電界強度測定部27により測定される受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度RSSI_VIが再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FB_Lim(
図5参照)以上である場合に参照される。無線再送レート制御部24は、
図13の対応テーブルTBL2あるいは
図14の対応テーブルTBL3のいずれを参照した場合でも、次の共通点にしたがって無線パケットの再送回数に応じた通信レートを決定する。
【0105】
図13においては、具体的には、無線パケットの再送回数が1からK(例えばK=8)である場合(範囲Phs1参照)、通信レートは最大通信レートから最小通信レートまでの間を離散的に変更される。より具体的には、再送回数が「1」であるとインデックスは「10」、再送回数が「2」であるとインデックスは「5」、再送回数が「3」であるとインデックスは「0」、再送回数が「4」であるとインデックスは「10」、再送回数が「5」であるとインデックスは「0」、再送回数が「6」であるとインデックスは「10」、再送回数が「7」であるとインデックスは「0」、再送回数が「8」であるとインデックスは「10」となる。受信機から無線パケットの受信応答(Ack)を受信できない期間が続く原因には、カメラ100への妨害電波を放射している電子機器(以下、「妨害機器」と称する場合がある)が存在していることが考えられる。しかしながら、この妨害機器が電子レンジであるのか他の無線LANルータのいずれであるかをカメラ100は把握できない。したがって、無線再送レート制御部24は、再送回数が少ない初期段階の範囲Phs1においては、高い通信レート(例えばインデックス「10」)による送信と低い通信レート(例えばインデックス「0」)による送信とを交互に繰り返すことにより、妨害機器が妨害電波を放射していないオフ区間に無線パケットを送信する機会を効率的に得て無線パケットの送信の干渉の発生を抑制するという考えに基づく。また、通信レートのインデックス(index)を高く設定することにより干渉衝突確率の低い無線通信を実行可能とし、その一方で、通信レートのインデックス(index)を低く設定することにより耐妨害性に強い無線通信を実行可能にできる。
【0106】
また、無線パケットの再送回数が(K+1)(例えば9=8+1)からL(例えば18)である場合(範囲Phs2参照)、通信レートは最小通信レートに向けて段階的に下げるように変更される。より具体的には、再送回数が「9」であるとインデックスは「9」、再送回数が「10」であるとインデックスは「8」、再送回数が「11」であるとインデックスは「7」、再送回数が「12」であるとインデックスは「6」、再送回数が「13」であるとインデックスは「5」、再送回数が「14」であるとインデックスは「4」、再送回数が「15」であるとインデックスは「3」、再送回数が「16」であるとインデックスは「2」、再送回数が「17」であるとインデックスは「1」、再送回数が「18」であるとインデックスは「0」となる。無線再送レート制御部24は、再送回数が中間段階の範囲Phs2においては、再送回数が1増える度に通信レートを1段階減少するように設定することにより、初期段階の範囲Phs1の送信に比べて耐妨害性の強い送信を実現している。
【0107】
また、無線パケットの再送回数が(L+1)(例えば19=18+1)からM(例えば32)である場合(範囲Phs3参照)、通信レートは最小通信レートが固定して維持される。より具体的には、再送回数が「19」から「32」のいずれでもインデックスは「0」となる。無線再送レート制御部24は、再送回数が最終段階の範囲Phs3においては、再送回数に拘わらず通信レートを最小通信レートに固定することにより、中間段階の範囲Phs2の送信に比べて耐妨害性のより強い送信を実現している。
【0108】
図14においては、具体的には、無線パケットの再送回数が1からK(例えばK=8)である場合(範囲Phs1参照)、通信レートは最大通信レートから最小通信レートまでの間を離散的に変更される。より具体的には、再送回数が「1」であるとインデックスは「10」、再送回数が「2」であるとインデックスは「5」、再送回数が「3」であるとインデックスは「3」、再送回数が「4」であるとインデックスは「10」、再送回数が「5」であるとインデックスは「3」、再送回数が「6」であるとインデックスは「10」、再送回数が「7」であるとインデックスは「3」、再送回数が「8」であるとインデックスは「10」となる。受信機から無線パケットの受信応答(Ack)を受信できない期間が続く原因には、妨害機器が存在していることが考えられる。しかしながら、この妨害機器が電子レンジであるのか他の無線LANルータのいずれであるかをカメラ100は把握できない。したがって、無線再送レート制御部24は、再送回数が少ない初期段階の範囲Phs1aにおいては、高い通信レート(例えばインデックス「10」)による送信と低い通信レート(例えばインデックス「3」)による送信とを交互に繰り返すことにより、妨害機器が妨害電波を放射していないオフ区間に無線パケットを送信する機会を効率的に得て無線パケットの送信の干渉の発生を抑制するという考えに基づく。また、通信レートのインデックス(index)を高く設定することにより干渉衝突確率の低い無線通信を実行可能とし、その一方で、通信レートのインデックス(index)を低く設定することにより耐妨害性に強い無線通信を実行可能にできる。
【0109】
また、無線パケットの再送回数が(K+1)(例えば9=8+1)からL(例えば18)である場合(範囲Phs2a参照)、通信レートは最小通信レートに向けて段階的に下げるように変更される。より具体的には、再送回数が「9」であるとインデックスは「9」、再送回数が「10」であるとインデックスは「8」、再送回数が「11」であるとインデックスは「7」、再送回数が「12」であるとインデックスは「6」、再送回数が「13」であるとインデックスは「5」、再送回数が「14」であるとインデックスは「4」、再送回数が「15」であるとインデックスは「3」となる。無線再送レート制御部24は、再送回数が中間段階の範囲Phs2aにおいては、再送回数が1増える度に通信レートを1段階減少するように設定することにより、初期段階の範囲Phs1aの送信に比べて耐妨害性の強い送信を実現している。
【0110】
また、無線パケットの再送回数が(L+1)(例えば19=18+1)からM(例えば32)である場合(範囲Phs3a参照)、通信レートは最小通信レートが固定して維持される。より具体的には、再送回数が「19」から「32」のいずれでもインデックスは「3」となる。無線再送レート制御部24は、再送回数が最終段階の範囲Phs3aにおいては、再送回数に拘わらず通信レートを最小通信レートに固定することにより、中間段階の範囲Phs2aの送信に比べて耐妨害性のより強い送信を実現している。
【0111】
図15の対応テーブルTBL4は、
図13の対応テーブルTBL2の中で、送信中無線パケットの再送回数T_RTYと通信レートのレートダウン値FB_DOWN(T_RTY)との関係例を抜粋して模式的に示している。無線再送レート制御部24は、
図13の対応テーブルTBL2あるいは
図15の対応テーブルTBL4を参照することにより、再送回数T_RTYに応じた通信レートのレートダウン値RF_DOWN(T_RTY)を決定する。
【0112】
図16の対応テーブルTBL5は、
図14の対応テーブルTBL3の中で、送信中無線パケットの再送回数T_RTYと通信レートのレートダウン値FB_DOWN(T_RTY)との関係例を抜粋して模式的に示している。無線再送レート制御部24は、
図14の対応テーブルTBL3あるいは
図16の対応テーブルTBL5を参照することにより、再送回数T_RTYに応じた通信レートのレートダウン値RF_DOWN(T_RTY)を決定する。
【0113】
図17および
図18は、再送レート処理手順の一例を示すフローチャートである。
図17および
図18に示す再送レート処理手順は、無線再送制御部25からの指示に基づいて無線再送レート制御部24により実行される。
【0114】
図17において、無線再送レート制御部24は、各種の閾値を読み出して取得する(ステップSt51)。各種の閾値は、例えば再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim、再送回数最大数TH_RTYMAXである。無線再送レート制御部24は、送信中無線パケットの再送回数T_RTYを設定する(ステップSt52)。無線再送レート制御部24は、再送最低レートFB_MIN(つまり、最小通信レート)を決定するため、受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度RSSI_VIを無線受信電界強度測定部27から取得する(ステップSt53)。無線再送レート制御部24は、ステップSt53で取得した受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度RSSI_VIがステップSt51で取得した再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim以上であるか否かを判定する(ステップSt54)。
【0115】
無線再送レート制御部24は、受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度RSSI_VIが再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim未満であると判定した場合(ステップSt54、NO)、
図13の対応テーブルTBL2を参照することにより再送最低レートFB_MINを1Mbpsと決定して設定する(ステップSt55)。一方、無線再送レート制御部24は、受信信号(例えば無線パケットの受信応答(Ack))の受信電界強度RSSI_VIが再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim以上であると判定した場合(ステップSt54、YES)、
図14の対応テーブルTBL3を参照することにより再送最低レートFB_MINを6MbpsあるいはMCSが0(ゼロ)と決定して設定する(ステップSt56)。無線再送レート制御部24は、再送最低レートを決定した後、送信中無線パケットの再送回数T_RTYをインクリメントする(ステップSt57)。
【0116】
図18において、無線再送レート制御部24は、ステップSt57でインクリメントした後の送信中無線パケットの再送回数T_RTYがステップSt51で取得した再送回数最大数TH_RTYMAX(
図13の対応テーブルTBL3あるいは
図14の対応テーブルTBL4の例では32)に達したか否かを判定する(ステップSt58)。無線再送レート制御部24は、送信中無線パケットの再送回数T_RTYが再送回数最大数TH_RTYMAXに達したと判定した場合には(ステップSt58、YES)、その無線パケットの送信が失敗したとしてその無線パケットを削除する(ステップSt59)。これにより、無線再送レート制御部24による再送レート処理手順の処理が終了する。
【0117】
無線再送レート制御部24は、送信中無線パケットの再送回数T_RTYが再送回数最大数TH_RTYMAXに達していないと判定した場合には(ステップSt58、NO)、無線パケットを再送するための通信レートの初期設定番号(INDEX(INIT))を取得する(ステップSt60)。初期設定番号(INDEX(INIT))は、
図13の対応テーブルTBL2あるいは
図14の対応テーブルTBL3のいずれが参照される場合でも、最大通信レートを規定するインデックスである「10」となる。無線再送レート制御部24は、
図15の対応テーブルTBL4あるいは
図16の対応テーブルTBL5のいずれかを参照することにより、送信中無線パケットの再送回数T_RTYの現在値に対応するレートダウン値FB_DOWN(T_RTY)を決定する(ステップSt61)。
【0118】
無線再送レート制御部24は、ステップSt60で取得した通信レートの初期設定番号(INDEX(INIT))とステップSt61で決定したレートダウン値FB_DOWN(T_RTY)とを用いて、再送するべき無線パケットの次回通信レート設定番号を算出する(ステップSt62)。例えば、無線再送レート制御部24は、通信レートの初期設定番号(INDEX(INIT))からレートダウン値FB_DOWN(T_RTY)を減算することにより、再送するべき無線パケットの次回通信レート設定番号を算出する。
【0119】
無線再送レート制御部24は、ステップSt62で算出した次回通信レート設定番号がステップSt55またはステップSt56で設定した再送最低レートFB_MIN以上であるか否かを判定する(ステップSt63)。次回通信レート設定番号が再送最低レートFB_MIN以上であると判定された場合には(ステップSt63、YES)、無線再送レート制御部24は、その再送最低レートFB_MINを用いた無線パケットの再送を行う。これにより、無線再送レート制御部24による再送レート処理手順の処理が終了する。
【0120】
無線再送レート制御部24は、次回通信レート設定番号が再送最低レートFB_MIN未満であると判定した場合には(ステップSt63、NO)、次回通信レート設定番号を再送最低レートに丸める処理を行う(ステップSt64)。つまり、無線再送レート制御部24は、再送最低レートFB_MINに基づく無線パケットの再送を行うべく、次回通信レート設定番号を再送最低レートFB_MINに設定する。これにより、無線再送レート制御部24による再送レート処理手順の処理が終了する。
【0121】
図19は、電子レンジからの妨害電波の信号波形の一例とカメラ100の無線パケットの送信信号の信号波形の一例とを対比的に示す図である。
図19の横軸は時間を示す。
図19の上段の信号波形PY1は、妨害機器の一例としての電子レンジからの妨害電波の信号波形を示す。
図19の下段の信号波形PY2は、カメラ100からの無線パケットの送信信号の信号波形を示す。
【0122】
図2を参照して説明したように、電子レンジは、カメラ100と同一周波数帯(例えば2.4GHz帯)の電波(妨害電波)を周期的に放射する特性を有する。
図19の例では、電子レンジの1つのオン区間と1つのオフ区間とにより構成される1周期区間(
図2参照)である8.33msのうち、6msがオン区間となり、残りの2.33msがオフ区間となっている。より具体的には、電子レンジからの妨害電波の信号波形PY1において、例えば時刻t10から時刻t11までは1周期区間のオフ区間(
図2参照)となる。また、時刻t11から時刻t12までは1周期区間のオン区間(
図2参照)であって、かつ、時刻t12から時刻t13までがその同じ1周期区間のオフ区間となる。
【0123】
例えば、オフ区間(例えば時刻t10~t11、時刻t12~t13)に信号レベルの高い信号特性AC1,AC2が見られるが、これらはいわゆる無線パケットの受信応答(Ack)に相当する。つまり、これらのオフ区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられている。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が成功している。これは、カメラ100からの無線パケットの送信信号の信号波形PY2において、同じオフ区間(例えば時刻t10~t11、時刻t12~t13)に信号レベルの高い信号特性AC1a,AC2aが見られることからも明らかである。しかしながら、これらのオフ区間は短い時間であり、オフ区間以外の長いオン区間(例えば時刻t11~t12)では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられない。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が失敗している。このように、カメラ100と電子レンジとの間の距離(言い換えると、位置関係)にも依存するが、2.4GHz帯をWi-Fi(登録商標)で使用するカメラ100と受信機との間に干渉源となる電子レンジが存在していると、短いオフ区間でしか所望の無線パケットの送信信号(例えば撮像エリアの映像信号)の送信が成功しないことになる。
【0124】
そこで、本実施の形態に係るカメラ100は、たとえ同一周波数帯のISMバンドを使用する電子レンジが作動している環境下に配置されても、無線パケットを構成するパケットサイズおよび帯域を無線品質の変動に基づいて動的に変更し、さらに無線パケットの再送回数に応じてその無線パケットの通信レートを決定する。これにより、カメラ100は、電子レンジが作動しない短いオフ区間の間でも効率的に無線パケットを受信機に送信することができる。
【0125】
図20、
図21および
図22は、無線LAN中継器からの妨害電波の信号波形の一例とカメラ100の無線パケットの送信信号の信号波形の一例とを対比的に示す図である。
図20から
図22のそれぞれの横軸は時間を示す。
図20から
図22のそれぞれの上段の信号波形PY1a,PY1b,PY1cは、妨害機器の一例としての他の無線LANルータからの妨害電波の信号波形を示す。
図20から
図22のそれぞれの下段の信号波形PY2a,PY2b,PY2cは、カメラ100からの無線パケットの送信信号の信号波形を示す。
【0126】
図3を参照して説明したように、妨害源の一例としての他の無線LANルータは、時間によって信号レベルの大小が不規則に変動する電波(妨害電波)を放射する特性を有する。
図20の例では、他の無線LANルータからの妨害電波の信号波形PY1aにおいて、例えば時刻t14から時刻t15までの時間(0.3ms)はオフ区間(
図2参照)となっており、この時間に信号レベルの高い信号特性AC3が見られるが、これはいわゆる無線パケットの受信応答(Ack)に相当する。つまり、このオフ区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられている。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が成功している。しかしながら、これらのオフ区間は短い時間であり、オフ区間以外の長いオン区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられない。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が失敗している。このように、カメラ100と他の無線LANルータとの間の距離(言い換えると、位置関係)にも依存するが、2.4GHz帯をWi-Fi(登録商標)で使用するカメラ100と受信機との間に干渉源となる他の無線LANルータが存在していると、短いオフ区間でしか所望の無線パケットの送信信号(例えば撮像エリアの映像信号)の送信が成功しないことになる。
【0127】
そこで、本実施の形態に係るカメラ100は、たとえ同一周波数帯の2.4GHz帯を使用する他の無線LANルータが作動している環境下に配置されても、無線パケットを構成するパケットサイズおよび帯域を無線品質の変動に基づいて動的に変更し、さらに無線パケットの再送回数に応じてその無線パケットの通信レートを決定する。例えば、無線パケットの再送回数が多くない初期段階の範囲Phs1では、カメラ100は、無線パケットの通信レートを高く設定する(
図13および
図14)。これにより、カメラ100は、他の無線LANルータが作動しない短いオフ区間の間でも効率的に無線パケットを受信機に送信することができる。
【0128】
また、
図21の例では、他の無線LANルータからの妨害電波の信号波形PY1bにおいて、例えば時刻t16から時刻t17までの時間はオフ区間(
図2参照)となっており、この時間に信号レベルの高い信号特性AC4が見られるが、これはいわゆる無線パケットの受信応答(Ack)に相当する。つまり、このオフ区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられている。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が成功している。しかしながら、これらのオフ区間は短い時間であり、オフ区間以外の長いオン区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられない。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が失敗している。このように、カメラ100と他の無線LANルータとの間の距離(言い換えると、位置関係)にも依存するが、2.4GHz帯をWi-Fi(登録商標)で使用するカメラ100と受信機との間に干渉源となる他の無線LANルータが存在していると、短いオフ区間でしか所望の無線パケットの送信信号(例えば撮像エリアの映像信号)の送信が成功しないことになる。
【0129】
そこで、本実施の形態に係るカメラ100は、たとえ同一周波数帯の2.4GHz帯を使用する他の無線LANルータが作動している環境下に配置されても、無線パケットを構成するパケットサイズおよび帯域を無線品質の変動に基づいて動的に変更し、さらに無線パケットの再送回数に応じてその無線パケットの通信レートを決定する。例えば、無線パケットの再送回数が多くなってきた中間段階の範囲Phs2では、カメラ100は、無線パケットの通信レートを1段階ずつ徐々に減少するように設定する(
図13および
図14)。これにより、カメラ100は、
図20の信号波形PY1aに比べてオフ区間が長いオフ区間の間でも効率的かつ安定的に無線パケットを受信機に送信することができる。
【0130】
また、
図22の例では、他の無線LANルータからの妨害電波の信号波形PY1cにおいて、例えば時刻t20から時刻t21までの時間および時刻t22から時刻t23までの時間はともにオフ区間(
図2参照)となっており、これらの時間に信号レベルの高い信号特性AC5,AC6が見られるが、これはいわゆる無線パケットの受信応答(Ack)に相当する。つまり、これらのオフ区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられている。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が成功している。しかしながら、これらのオフ区間は短い時間であり、オフ区間以外の長いオン区間では、カメラ100から受信機に対して無線パケットが届けられない。つまり、カメラ100から受信機への無線パケットの送信が失敗している。このように、カメラ100と他の無線LANルータとの間の距離(言い換えると、位置関係)にも依存するが、2.4GHz帯をWi-Fi(登録商標)で使用するカメラ100と受信機との間に干渉源となる他の無線LANルータが存在していると、短いオフ区間でしか所望の無線パケットの送信信号(例えば撮像エリアの映像信号)の送信が成功しないことになる。
【0131】
そこで、本実施の形態に係るカメラ100は、たとえ同一周波数帯の2.4GHz帯を使用する他の無線LANルータが作動している環境下に配置されても、無線パケットを構成するパケットサイズおよび帯域を無線品質の変動に基づいて動的に変更し、さらに無線パケットの再送回数に応じてその無線パケットの通信レートを決定する。例えば、無線パケットの再送回数が多い最終段階の範囲Phs3では、カメラ100は、無線パケットの通信レートを最小通信レートに固定するように設定する(
図13および
図14)。これにより、カメラ100は、
図21の信号波形PY1bに比べてさらにオフ区間が長いオフ区間の間でも効率的かつ安定的に無線パケットを受信機に送信することができる。
【0132】
以上により、本実施の形態に係る無線送信装置(例えばカメラ100)は、撮像エリアの画像データを構成する複数のネットワークパケットを取得するアプリケーション部1と、複数のネットワークパケットのそれぞれから無線送信用の無線パケットを生成する無線部2と、アンテナ33を介して受信機(例えばインターホン親機IPM1)に無線パケットを送信する送信部(例えば送受信部3)と、を備える。無線部2は、受信機からの受信信号の強度(例えば無線パケットの受信応答(Ack)の受信電界強度RSSI_VI)に基づいて、無線パケットを再送するための通信レートを決定する無線再送レート制御部24を少なくとも有する。送信部は、無線再送レート制御部24により決定された通信レートを用いて無線パケットを再送する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、無線通信の干渉の原因となる同一周波数帯の無線信号を送出する信号源が自機(つまりカメラ100)以外に周囲に存在する場合でも、無線品質の変動に合わせて無線パケットの通信レートを柔軟に設定できる。したがって、無線送信装置(例えばカメラ100)は、通信レートを高く設定することにより干渉衝突確率の低い無線通信を行え、その一方で、通信レートを低く設定することにより耐妨害性の強い無線通信を行えるので、無線信号の干渉の発生を効果的に抑制できる。
【0133】
また、無線再送レート制御部24は、受信機(例えばインターホン親機IPM1)からの受信信号の強度(例えば無線パケットの受信応答(Ack)の受信電界強度RSSI_VI)が再送レート閾値(例えば再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim)より小さい場合、無線パケットを送信するための再送最低レートを含む通信レートと無線パケットの再送回数との関係を規定する第2対応テーブル(例えば
図13の対応テーブルTBL2)を選択する。無線再送レート制御部24は、選択した第2対応テーブルに基づいて、無線パケットを送信するための通信レートを決定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、受信機(例えばインターホン親機IPM1)からの受信信号の強度が再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLimより小さい程度にカメラ100と受信機との間の通信品質が悪い場合に、無線パケットの送信信号をどのような通信レートで通信(送信)すればよいかを適応的に決定できる。
【0134】
また、第2対応テーブル(例えば
図13の対応テーブルTBL2)は、再送回数が1からK(K:2以上の整数である既定値、例えば8)までは通信レートを最大通信レートから最小通信レートまでの間および最小通信レートから最大通信レートまでの間を離散的に変更し、再送回数が(K+1)からL(L:(K+2)以上の整数である既定値、例えば18)までは通信レートを最大通信レートから段階的に下げるように変更し、再送回数が(L+1)からM(M:(L+2)以上の整数である既定値、例えば32)までは通信レートを最小通信レートに固定して維持するという、通信レートと無線パケットの再送回数との関係を規定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、無線パケットの送信信号の再送回数を3段階(具体的には、初期段階の範囲Phs1、中間段階の範囲Phs2、最終段階の範囲Phs3)に分け、段階ごとに通信レートの決め方を異ならせて決定する。したがって、無線送信装置(例えばカメラ100)は、通信レートを高く設定して短時間の間に送信する試行、通信レートを低く設定して時間はかかるが耐妨害性を強くして送信する試行、再送回数が増える度に通信レートを徐々に1段階ずつ下げて送信する試行、再送回数が一定値以上となった際に最小通信レートで固定して送信する試行を再送回数に応じて使い分けることで無線パケットの送信確率を上げることができる。
【0135】
また、第2対応テーブル(例えば
図13の対応テーブルTBL2)は、再送回数が1からK(例えば8)までは通信レートを最大通信レート、最小通信レートの順に交互に繰り返す、という、通信レートと無線パケットの再送回数との関係を規定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、再送回数が少ない初期段階の範囲Phs1においては、高い通信レート(例えばインデックス「10」)による送信と低い通信レート(例えばインデックス「0」)による送信とを交互に繰り返すことにより、妨害機器が妨害電波を放射していないオフ区間に無線パケットを送信する機会を効率的に得て無線パケットの送信の干渉の発生を抑制できる。
【0136】
また、無線再送レート制御部24は、受信機(例えばインターホン親機IPM1)からの受信信号の強度(例えば無線パケットの受信応答(Ack)の受信電界強度RSSI_VI)が再送レート閾値(例えば再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLim)より大きい場合、無線パケットを送信するための再送最低レートを含む通信レートと無線パケットの再送回数との関係を規定する第3対応テーブル(例えば
図14の対応テーブルTBL3)を選択する。無線再送レート制御部24は、選択した第3対応テーブルに基づいて、無線パケットを送信するための通信レートを決定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、受信機(例えばインターホン親機IPM1)からの受信信号の強度が再送レート電界強度閾値TH_RSSI_FBLimより大きい程度にカメラ100と受信機との間の通信品質が悪くない場合に、無線パケットの送信信号をどのような通信レートで通信(送信)すればよいかを適応的に決定できる。
【0137】
また、第3対応テーブル(例えば
図14の対応テーブルTBL3)は、再送回数が1からK(K:2以上の整数である既定値、例えば8)までは通信レートを最大通信レートから最小通信レートまでの間および最小通信レートから最大通信レートまでの間を離散的に変更し、再送回数が(K+1)からL(L:(K+2)以上の整数である既定値、例えば18)までは通信レートを最大通信レートから段階的に下げるように変更し、再送回数が(L+1)からM(M:(L+2)以上の整数である既定値、例えば32)までは通信レートを最小通信レートに固定して維持するという、通信レートと無線パケットの再送回数との関係を規定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、無線パケットの送信信号の再送回数を3段階(具体的には、初期段階の範囲Phs1、中間段階の範囲Phs2、最終段階の範囲Phs3)に分け、無線品質が悪くない時の通信最低レート(最小通信レート)は無線品質が悪い時の通信最低レート(最小通信レート)とは異なるものの、段階ごとに通信レートの決め方を異ならせて決定する。したがって、無線送信装置(例えばカメラ100)は、通信レートを高く設定して短時間の間に送信する試行、通信レートを低く設定して時間はかかるが耐妨害性を強くして送信する試行、再送回数が増える度に通信レートを徐々に1段階ずつ下げて送信する試行、再送回数が一定値以上となった際に最小通信レートで固定して送信する試行を再送回数に応じて使い分けることで無線パケットの送信確率を上げることができる。
【0138】
また、第3対応テーブル(例えば
図14の対応テーブルTBL3)は、再送回数が1からK(例えば8)までは通信レートを最大通信レート、最小通信レートの順に交互に繰り返す、という、通信レートと無線パケットの再送回数との関係を規定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、再送回数が少ない初期段階の範囲Phs1においては、高い通信レート(例えばインデックス「10」)による送信と低い通信レート(例えばインデックス「3」)による送信とを交互に繰り返すことにより、妨害機器が妨害電波を放射していないオフ区間に無線パケットを送信する機会を効率的に得て無線パケットの送信の干渉の発生を抑制できる。
【0139】
また、アプリケーション部1は、受信機との間の無線品質の変動に基づいて、ネットワークパケットの帯域を可変に制御する帯域制御部15と、無線品質の変動に基づいて、ネットワークパケットのサイズを可変に制御するパケットサイズ制御部12と、を少なくとも有する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、無線品質の変動に合わせてパケットの帯域およびパケットサイズを柔軟に設定するので無線信号の干渉の発生を効果的に抑制できる。
【0140】
また、アプリケーション部1は、無線品質の変動に基づいて、サイズおよび帯域の両方を連動して変更するようにそれぞれの変更量を決定するサイズ帯域評価部(例えばビデオ通信品質評価部14)をさらに有する。サイズ帯域評価部は、決定したサイズの変更量を含むサイズ変更指示をパケットサイズ制御部12に送り、決定した帯域の変更量を含む帯域変更指示を帯域制御部15に送る。カメラ100と受信機との間の無線環境が悪いと、パケットの送信時間は短くしたいのでパケットサイズを減少することが考えられるが、仮にパケットサイズのみ減少して帯域を維持してしまうとパケットの分割においてオーバーヘッドだけが増えてしまい画像データの更新が遅くなる可能性が高くなる。したがって、無線送信装置(例えばカメラ100)は、パケットサイズおよび帯域の両方を連動して変更することにより、無線品質の変動に対して適応的にパケットを生成できて通信のオーバーヘッドの発生を抑制できる。
【0141】
また、サイズ帯域評価部(例えばビデオ通信品質評価部14)は、無線品質の変動に応じたサイズおよび帯域の関係を規定する第1対応テーブル(例えば
図7の対応テーブルTBL1)を保持する。サイズ帯域評価部は、第1対応テーブルに基づいてサイズおよび帯域のそれぞれの変更量を決定する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、無線品質の変動が生じた場合でも、現在のパケットサイズおよび帯域の設定値に対してパケットサイズおよび帯域を適応的に決定して設定できる。
【0142】
また、アプリケーション部1は、撮像エリアの画像データを生成するカメラ部11をさらに有する。これにより、無線送信装置(例えばカメラ100)は、撮像エリアを撮影して得た画像データをWi-Fi(登録商標)の2.4GHz帯を用いて受信機(例えばインターホン親機IPM1)に送信できる。
【0143】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本開示は、干渉の原因となる同一周波数帯の無線信号を送出する信号源が自機以外に存在する場合でも、無線信号の干渉の発生を抑制する無線送信装置および無線送信方法として有用である。
【符号の説明】
【0145】
1 アプリケーション部
2 無線部
3 送受信部
11 カメラ部
12 パケットサイズ制御部
13 ネットワークパケット生成部
14 ビデオ通信品質評価部
15 帯域制御部
21 無線バッファ
22 無線パケット生成部
23 無線送信制御部
24 無線再送レート制御部
25 無線再送制御部
26 無線受信制御部
27 無線受信電界強度測定部
28 無線通信品質評価部
31 RF部
32 アンプ部
33 アンテナ
100 カメラ