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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165462
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20231109BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076477
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】林 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】顧客に行動変容を促す上で有用性の高いデータを導出する。
【解決手段】分析装置10は、第1の特徴を有する複数の顧客を含む第1顧客群(例えばオフライン群)と、第1の特徴と異なる第2の特徴を有する複数の顧客を含む第2顧客群(例えばオンライン群)と、が存在する環境において、第1顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる2次元座標系における第1分布と、第2顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる上記2次元座標系における第2分布とから、第1分布における特徴点から第2分布における特徴点に至る経路を設定する経路設定部11と、設定された経路上の複数の通過点に関するデータを、第1顧客群から第2顧客群への段階的な変化を表すデータとして導出する導出部12と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の特徴を有する複数の顧客を含む第1顧客群と、第1の特徴と異なる第2の特徴を有する複数の顧客を含む第2顧客群と、が存在する環境において、第1顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる2次元座標系における第1分布と、第2顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる前記2次元座標系における第2分布とから、第1分布における特徴点から第2分布における特徴点に至る経路を設定する経路設定部と、
前記経路設定部により設定された経路上の複数の通過点に関するデータを、第1顧客群から第2顧客群への段階的な変化を表すデータとして導出する導出部と、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記経路設定部は、
前記第1分布の重心位置を始点とし、前記第2分布の重心位置を終点とする経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記経路設定部は、
前記第1分布の点と前記第2分布の点との組合せで、距離が最も長くなる2点を結ぶ経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記経路設定部は、
前記2次元座標系において、前記第1分布と前記第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる、前記比率に応じた等比線を複数求め、等比線同士の間隔が最小となる経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記経路設定部は、
前記2次元座標系において、前記第1分布と前記第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる、前記比率に応じた等比線を複数求め、等比線同士の間隔が最大となる経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記経路設定部は、
前記2次元座標系において、前記第1分布と前記第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる、前記比率に応じた等比線を複数求め、ある地点での前記比率に関する勾配に基づいて経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記経路設定部は、
ある要素を固定させるという拘束条件の下で、前記第1分布および前記第2分布を得て、得られた前記第1分布および前記第2分布の範囲内で、前記経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
前記経路設定部は、
回避したい要素から成るデータから、前記第1分布および前記第2分布を得て、得られた前記第1分布および前記第2分布の範囲を避けるように、前記経路を設定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項9】
前記経路設定部は、前記2次元座標系における前記第1分布および前記第2分布を表示出力する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項10】
前記経路設定部は、
前記第1顧客群および前記第2顧客群それぞれにおける各顧客についての多次元ベクトルを2次元の変数に圧縮するエンコーダ部、を含み、
前記導出部は、
前記経路上の複数の通過点に関するデータに対応する、各顧客についての前記2次元の変数から、前記多次元ベクトルと同じ次元のベクトルに復元するデコーダ部、を含み、
前記デコーダ部は、さらに、各顧客についての前記2次元の変数から、当該顧客が前記第1顧客群と前記第2顧客群のうち何れに属するかを予測し、予測結果を出力する、
請求項1に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、互いに特徴の異なる複数の顧客が属する第1顧客群および第2顧客群が存在する環境において、第1顧客群から第2顧客群へのシフトのためのデータ分析を行う分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客が商品の購入や契約内容の変更などの手続きを行う場合、近年では、ウェブサイトを通じて手続きを行うオンライン手続きと、実際の店舗への来店又はコールセンターへの電話を通じて手続きを行うオフライン手続きとが想定される。このうちオンライン手続きは、オフライン手続きに比べ、手数料や待ち時間を削減することができ、顧客にとって時間的および金銭的な利点があり、また、企業にとっても、オンライン手続きの顧客数が増加すれば、オフライン手続きのための有人稼働を効率化することができるという利点がある。
【0003】
そこで、顧客の行動と、顧客による手続き方法(本件では「チャネル」と称する)(ここでは、オンライン手続き又はオフライン手続き)との間に、一定の関連性があると仮定して、これらの関連性を分析したうえで、顧客に対し、オフライン手続きからオンライン手続きへ変容させるように促すことが検討されている。このような人間の行動変容を促す一例として、例えば、非特許文献1には、健康管理の支援のためにレーダチャートを用いて、複数の要素に関する、あるユーザの現在の状態と好ましい状態との差異を視覚的に表して、好ましい状態となるように当該ユーザに促す技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】論文「自己健康管理を支援する健康カードシステムの開発」、永野 綾ほか著、医療情報学 22(1),2002、第103-110ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、非特許文献1の内容では、現在の状態と好ましい状態との差異が大きい要素(改善すべき要素)は把握できるものの、レーダチャートに表された複数の要素のうち、どの要素から、どの程度変化させればよいのかに関する示唆を得ることは困難であるため、ユーザに行動変容を促す上での有用性の面で改善の余地がある。これを、オフライン手続きからオンライン手続きへの変容に当てはめると、顧客が閲覧すべきウェブページの種類や契約しているサービスなど、どの行動や属性から変化させればよいのかに関する示唆が得られないことに相当し、上記同様に、顧客に行動変容を促す上での有用性の面で改善の余地がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するために成されたものであり、顧客に行動変容を促す上で有用性の高いデータを導出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る分析装置は、第1の特徴を有する複数の顧客を含む第1顧客群と、第1の特徴と異なる第2の特徴を有する複数の顧客を含む第2顧客群と、が存在する環境において、第1顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる2次元座標系における第1分布と、第2顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる前記2次元座標系における第2分布とから、第1分布における特徴点から第2分布における特徴点に至る経路を設定する経路設定部と、前記経路設定部により設定された経路上の複数の通過点に関するデータを、第1顧客群から第2顧客群への段階的な変化を表すデータとして導出する導出部と、を備える。
【0008】
上記の分析装置では、第1顧客群と第2顧客群とが存在する環境において、経路設定部が、第1顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる2次元座標系における第1分布と、第2顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる上記2次元座標系における第2分布とから、第1分布における特徴点から第2分布における特徴点に至る経路を設定する。そして、導出部が、経路設定部により設定された経路上の複数の通過点に関するデータを、第1顧客群から第2顧客群への段階的な変化を表すデータとして導出する。このように、第1分布における特徴点から第2分布における特徴点に至る経路上の複数の通過点に関するデータが、第1顧客群から第2顧客群への段階的な変化を表すデータとして導出されるため、顧客が第1顧客群から第2顧客群へ変容する際に、どの行動データやどの属性データから、どの程度変化させればよいのかに関する示唆を得ることが可能となり、顧客に第1顧客群から第2顧客群への行動変容を促す上で有用性の高いデータを導出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、顧客に行動変容を促す上で有用性の高いデータを導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】発明の実施形態に係る分析装置の機能ブロック構成図である。
図2】分析装置において実行される処理を示すフロー図である。
図3】顧客の行動に関するデータ例を示す図である。
図4図3のデータをユーザ毎の時系列に沿った行動を表すように変換した行列を示す図である。
図5図4の行列の要素を数値に変換した例を示す図である。
図6】顧客の属性に関するデータ例を示す図である。
図7図6のデータにおける数値でない変数を数値に変換した例を示す図である。
図8】顧客が、オンライン手続きとオフライン手続きのうち、どちらのチャネルで手続きを実施したかを示す図である。
図9図8のデータにおけるオフラインを0、オンラインを1として数値に変換した例を示す図である。
図10】分析装置において用いられる深層学習のネットワークを表す図である。
図11】エンコーダ部の出力h1、h2をそれぞれ横軸と縦軸に取り、N個の顧客データを2次元平面上に描画した例を示す図である。
図12図11の2次元平面上に経路を設定した例を示す図である。
図13図12の経路上の10点のデータについて、デコーダ部により再構成して得られた行動データを示す図である。
図14】第1変形例に係る処理を示すフロー図である。
図15】第1変形例における経路設定を示す図である。
図16】第2変形例に係る処理を示すフロー図である。
図17】第2変形例における経路設定を示す図である。
図18】第3変形例における経路設定を示す図である。
図19】最急降下法を説明するための図である。
図20】分析装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る分析装置の一実施形態を説明する。本開示に係る分析装置は、互いに特徴の異なる複数の顧客が属する第1顧客群および第2顧客群が存在する環境において、第1顧客群から第2顧客群へのシフトのためのデータ分析を行う。以下では、一例として、第1顧客群を、前述したオフライン手続きを行う複数の顧客が属する顧客群とし、「オフライン群」と称する。また、第2顧客群を、前述したオンライン手続きを行う複数の顧客が属する顧客群とし、「オンライン群」と称する。
【0012】
(分析装置の構成および機能について)
図1に示すように、分析装置10は、経路設定部11、導出部12、および学習部13を備える。以下、各部の機能を概説する。
【0013】
経路設定部11は、オフライン群とオンライン群とが存在する環境において、(1)入力された各群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮する機能、(2)上記圧縮により得られる各群の2次元データを2次元座標系にプロットする機能、および、(3)2次元座標系にプロットされたオフライン群の分布における特徴点からオンライン群の分布における特徴点に至る経路を設定する機能を有する。このような経路設定部11は、機能ブロックとして、上記(1)の機能を実現するためのエンコーダ部11A、上記(2)の機能を実現するためのプロット部11B、および、上記(3)の機能を実現するための設定部11Cを含む。
【0014】
導出部12は、経路設定部11により設定された経路上の複数の通過点に関するデータを、オフライン群からオンライン群への段階的な変化を表すデータとして導出する機能を有する。このような導出部12は、機能ブロックとして、経路上の複数の通過点に関するデータとして、当該複数の通過点の2次元座標を算出する座標群算出部12A、および、算出された複数の通過点の2次元座標に基づきデータを再編成するデコーダ部12Bを含む。このうちデコーダ部12Bは、詳細は後述するが、算出された複数の通過点の2次元座標に対応する後述する2次元の変数h1、h2から、入力された多次元ベクトルと同じ次元のベクトルに復元するとともに、各顧客についての上記2次元の変数から、当該顧客がオフライン群とオンライン群のうち何れに属するかを予測し、予測結果を出力する機能を有する。
【0015】
学習部13は、詳細は後述するが、エンコーダ部11Aおよびデコーダ部12Bそれぞれを構成するニューラルネットワークにおけるパラメータを学習する機能を有する。
【0016】
図2には、分析装置10において実行される処理を示し、詳細は後述するが、ステップS1~S5はそれぞれ、エンコーダ部11A、プロット部11B、設定部11C、座標群算出部12A、デコーダ部12Bにより実行される。一方、学習部13による上記ニューラルネットワークにおけるパラメータの学習は、図2の処理よりも前に実行され、その後、所定の定期的な実行タイミングの到来や分析装置10のオペレータによる開始指示入力などをトリガーに実行される。
【0017】
上記のような構成の分析装置10には、様々な顧客の行動に関するデータおよび属性に関するデータが入力される。そこで、これらのデータについて説明する。
【0018】
図3には、顧客の行動に関するデータ例を示す。行動に関するデータは、顧客個人を識別する「識別子(identifier:以下「ID」と称する)」と、ある行動を実施した「時刻ステップ」と、具体的な「行動」とを含む。図3では、時刻ステップを離散値(例えば、予め区分された時間帯のうちどの時間帯かを示す値)で表したが、具体的な時刻で表現しても良い。ただし、時刻ステップの個数は予め定められた個数Lとする。また、ここでの「行動」は、例えば、閲覧したWebページの種類、電話問合せ、店舗への来店などで表される。図3にはIDが「1」、「2」の2人の顧客のデータ例を示すが、本実施形態ではN人の顧客が存在するものとする。
【0019】
図4には、図3のデータをユーザ毎の時系列に沿った行動を表すように変換した行列を示す。図4の行列における「t1」は図3の時刻ステップ1を、「t2」は時刻ステップ2を、「tL」は時刻ステップLを、それぞれ表しており、「t1」の列には、時刻ステップ1で実行された行動が顧客ごとにIDに対応付けて記載されている。「t2」…「tL」の列も同様である。
【0020】
図5には、図4の行列の要素を数値に変換した例を示しており、図5では、A=1、B=2、C=3として、数値に変換している。図5においてIDの列を除いた太枠で示すN×Lの行列をXtとする。エンコーダ部11Aは、入力されたN人の顧客の行動データ(図3)を、図4の状態を経て、前述した図5に示すN×Lの行列Xtに加工する。
【0021】
図6には、顧客の属性に関するデータ例を示す。属性に関するデータは、顧客個人を識別する「ID」と、属性を表す「変数」とを含む。ここでは、s1からsMのM個の属性が存在する場合を例示しており、例えば、属性s1、s2については、「あり(顧客がその属性を有する)」又は「なし(顧客がその属性を有しない)」が変数となり、属性sMについては、顧客がその属性に当てはまる度合い(範囲は0~1)を示す数値である「0.1」、「0.2」などが変数となる。
【0022】
図7には、図6における数値でない変数(「あり」、「なし」)を数値に変換した例を示し、ここでは「あり」を「1」、「なし」を「0」とした例を示す。図7においてIDの列を除いた太枠で示すN×Mの行列をXsとする。エンコーダ部11Aは、入力されたN人の顧客の属性データ(図6)を、前述した図7に示すN×Mの行列Xsに加工する。
【0023】
一方、エンコーダ部11Aには入力されないが、学習部13に入力され、後述するニューラルネットワークにおけるパラメータの学習に用いられるデータとして、図8に示す、各顧客がオンライン手続きとオフライン手続きのどちらのチャネル(手続き方法)で手続きを実施したかを示す情報が挙げられる。図9には、図8のデータにおけるオフライン手続きを「0」、オンライン手続きを「1」として数値に変換した例を示しており、図9においてIDの列を除いた太枠で示す部分の行列をYとする。
【0024】
(分析装置10において実行される処理について)
以下、分析装置10において実行される処理として、学習部13によるパラメータの学習処理、および、図2の一連の処理を説明する。
【0025】
まず、学習部13による、エンコーダ部11Aおよびデコーダ部12Bそれぞれを構成する多層のニューラルネットワークにおけるパラメータの学習処理について説明する。図10には、分析装置10で用いられる深層学習のニューラルネットワークを表しており、一例として、前述した行列Xt、Xsを連結したものがエンコーダ部11Aに入力され、エンコーダ部11Aによってh1、h2の2次元の潜在変数に圧縮され、その後、デコーダ部12Bによって、入力と同じ次元に復元されて、行列Xtの再構成結果Xt*および行列Xsの再構成結果Xs*として出力される。さらに、デコーダ部12Bは、上記2次元の潜在変数からチャネル(手続き方法)を予測し、予測結果Y*を出力する。このようにニューラルネットワークでは、行列Xt、Xsが入力となり、再構成結果Xt*、Xs*および予測結果Y*が出力される。
【0026】
学習部13は、行列XtとXt*との差、行列XsとXs*との差、および、行列YとY*との差がそれぞれ小さくなるようにパラメータを学習する。
即ち、E=k×(|Xt*-Xt|+|Xs*-Xs|)+(1-k)×|Y*-Y|
で表される評価関数Eを最小化するようにパラメータを調整する。
例えば、Y*=w1×h1+w2×h2と表現されるとすれば、ここでのw1およびw2がパラメータである。なお、kは、誤差を調整するための係数であり、0以上1以下の値をとる。kの値については、行列Xs、Xtの再構成の精度を上げる場合は、kの値を大きくし、一方、行列Yの予測精度を上げる場合は、kの値を小さくする。図10のように、行列Xt、Xsを再構成するネットワークに加えて、行列Yを予測するネットワークを追加することによって、様々な顧客についての2次元の潜在変数h1、h2が、行列Yで表現される2つの群(オフライン群とオンライン群)に、より明確に分離され、その結果、顧客が一方の群から他方の群へ変容した場合の効果が顕著に表れることが期待できる。また、各顧客についての多次元ベクトルを2次元の変数に圧縮することの評価に加えて、各顧客がオフライン群とオンライン群のうち何れに属するかに関する予測結果を評価することが可能となる。
【0027】
なお、図10のネットワークにおいて、行列XtとXsの両方をエンコーダ部11Aへ同時に入力する必要はなく、どちらか一方でもよい。また、エンコーダ部11Aとデコーダ部12Bは、ニューラルネットワークのみで構成する必要はなく、例えば、エンコーダ部11Aでは、ニューラルネットワークによって、多次元ベクトルから、3次元以上の中間層まで圧縮し、その後、中間層から2次元ベクトルへの圧縮には主成分分析を用いてもよい。同様に、デコーダ部12Bでは、主成分分析の逆変換によって、2次元ベクトルから3次元以上の中間層へ復元し、その後、ニューラルネットワークによって中間層から多次元ベクトルを再構成してもよい。また、行列Xt、Xsを入力する場合も、行列XtとXsを予め連結して(L+M)次元の入力としてもよいし、L次元の入力とM次元の入力を別々に定め、これらをニューラルネットワークの内部で結合してもよい。また、デコーダ部12Bの構成についても、内部的に中間層でL次元とM次元に分割しても良いし、(L+M)次元の1つの出力としても良い。
【0028】
次に、図2のフロー図に沿って、分析装置10において実行される一連の処理を説明する。
【0029】
まず、エンコーダ部11Aによって入力データを潜在変数に変換する(図2のステップS1)。具体的には、エンコーダ部11Aは、入力されたN人の顧客の行動データ(図3)を、図4の状態を経て、前述した図5に示すN×Lの行列Xtに加工するとともに、入力されたN人の顧客の属性データ(図6)を、前述した図7に示すN×Mの行列Xsに加工する。そして、エンコーダ部11Aは、個々のIDごとに、行列XtにおけるL次元ベクトルおよび行列XsにおけるM次元ベクトルを2次元に圧縮することで、図10に示す流れにおける上半分のように、行列Xt、Xsから成る多次元ベクトルを2次元の潜在変数h1、h2へ変換する。変換で得られた個々のIDごと(個々の顧客ごと)の潜在変数h1、h2は、プロット部11Bへ渡される。
【0030】
次に、プロット部11Bは、顧客ごとの2次元データ(潜在変数h1、h2)を2次元座標系にプロットする(図2のステップS2)。このとき、属性データから、各顧客がオフライン群かオンライン群かは把握可能なので、プロット部11Bは、オフライン群の顧客のプロットと、オンライン群の顧客のプロットとが区別できるようにプロットする。図11に示す例では、オフライン群の顧客のプロットは黒丸で、オンライン群の顧客のプロットは白丸で、それぞれ表されており、後述の図12図15図17図18における黒丸、白丸も同様である。このように経路設定部11におけるプロット部11Bは、2次元座標系におけるオフライン群の分布およびオンライン群の分布を表示出力する、即ち、可視化する。
【0031】
次に、設定部11Cが、2次元座標系にプロットされたオフライン群の分布における特徴点を始点とし、オンライン群の分布における特徴点を終点とする経路を設定する(図2のステップS3)。ここでは、各群の分布における「特徴点」として、各群の分布の重心位置を用いる。これにより、例えば図12に矢印Aで示す経路が設定される。なお、図12には経路を直線とした例を示したが、設定する経路は曲線としてもよい。また、各群の分布における「特徴点」として、各群の分布の重心位置を用いる以外に、オフライン群の点とオンライン群の点との組合せのうち、距離が最も長くなる2点を結ぶ経路を設定してもよい。このように距離が最も長くなる2点を結ぶ経路を設定することで、経路上での特徴の変化を大きくすること可能となり、両群の段階的な差異として、よりはっきりとした差異を得ることができる、という利点がある。
【0032】
そして、座標群算出部12Aは、経路上の複数(例えば10個)の通過点に関するデータとして、当該複数の通過点の2次元座標を算出する(図2のステップS4)。算出で得られた複数の通過点の2次元座標はデコーダ部12Bへ渡される。
【0033】
さらに、デコーダ部12Bは、算出された複数の通過点の2次元座標に基づきデータを再編成する(図2のステップS5)。このステップS5において、デコーダ部12Bは、図10に示すように、算出された個々の通過点の2次元座標に対応する2次元の変数h1、h2から、入力された多次元ベクトルと同じ次元のベクトルに復元する。これにより、図13に示す表の縦方向に通過点の数(ここでは10個)分の多次元ベクトルデータ、即ち、10個の通過点それぞれに対応する顧客の行動および属性に関するデータが得られる。なお、図13の左端に付した上向き矢印は、図12の2次元平面上の矢印Aに対応しており、図13において下から上へ向けて、オフライン群からオンライン群へ徐々に変容する際の行動および属性に関する示唆、即ち、どの行動データやどの属性データから、どの程度変化させればよいのかに関する示唆が示される。
【0034】
また、図2のステップS5において、デコーダ部12Bは、各顧客についての上記2次元の変数から、当該顧客がオフライン群とオンライン群のうち何れに属するかを予測し、図10に示す予測結果Y*を出力する。この予測結果Y*は、前述した再構成結果Xt*、Xs*とともに、学習部13によるネットワークのパラメータ学習に供される。
【0035】
以上のような実施形態によって、顧客がオフライン群からオンライン群へ徐々に変容する際に、どの行動データやどの属性データから、どの程度変化させればよいのかに関する示唆を得ることが可能となり、顧客にオフライン群からオンライン群への行動変容を促す上で有用性の高いデータを導出することができる。
【0036】
また、図10のように、行列Xt、Xsを再構成するネットワークに加えて、行列Yを予測して予測結果Y*を出力するネットワークを追加することによって、様々な顧客についての2次元の潜在変数h1、h2が、行列Yで表現される2つの群(オフライン群とオンライン群)に、より明確に分離され、その結果、顧客がオフライン群からオンライン群へ変容した場合の効果が顕著に表れることが期待できる。また、各顧客についての多次元ベクトルを2次元の変数に圧縮することの評価に加えて、各顧客がオフライン群とオンライン群のうち何れに属するかに関する予測結果を評価することが可能となる。
【0037】
また、経路設定部11におけるプロット部11Bは、2次元座標系におけるオフライン群の分布およびオンライン群の分布を表示出力する、即ち、可視化する。そのため、分析装置10のオペレータ等によって各群の分布および経路を視覚的に容易に把握することができ、必要に応じ、経路の微調整等を円滑に実行することができる。
【0038】
(様々な変形例について)
以下では、上記実施形態の変形例として、何らかの拘束条件を付けて再構成する変形例1と2、および、2次元座標系において第1分布と第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで等比線を当該比率に応じて複数求め、等比線に基づき経路を設定する変形例3を順に説明する。
【0039】
(変形例1)
顧客に行動や属性を変化させるといっても、例えば住所(現在の居住地)など、変更させることが現実的に容易でないものが存在する。こうした事情を考慮し、変形例1では、分析装置10における経路設定部11が、ある要素(例えば住所など)を固定させるという拘束条件の下で、オフライン群の分布とオンライン群の分布を得て、得られた両分布の範囲内で経路を設定する例、即ち、ある要素を固定させるという拘束条件を充足した経路設定を行う例を示す。
【0040】
変形例1では、分析装置10において図14の処理が実行される。前述した図2の処理とは、ステップS3A、S3Bが異なるため、これらのステップについて説明する。図14のステップS3Aでは、プロット部11Bは、ステップS2でのプロットに加え、さらに、ある要素(例えば住所など)を固定させるという拘束条件に当てはまるデータをプロットする。そして、ステップS3Bにおいて設定部11Cは、ステップS3Aでプロットされた領域の範囲内で経路を設定する。例えば、図15に示す2次元平面において、ステップS3Aでプロットされた領域(両分布の範囲)が、楕円で示す領域R1である場合、設定部11Cは、領域R1の範囲内で、矢印A1で示すような経路を設定する。
【0041】
このような変形例1によれば、ある要素を固定させるという拘束条件の下で、適切に経路を設定することができる。
【0042】
(変形例2)
一方、顧客に行動や属性を変化させる場合、どうしても回避したい要素も存在する。こうした事情を考慮し、変形例2では、分析装置10における経路設定部11が、回避したい要素から成るデータから、オフライン群の分布とオンライン群の分布を得て、得られた両分布の範囲を避けるように、経路を設定する例、即ち、ある要素を回避するという拘束条件を充足した経路設定を行う例を示す。
【0043】
変形例2では、分析装置10において図16の処理が実行される。前述した図2の処理とは、ステップS3A、S3Cが異なるため、これらのステップについて説明する。図16のステップS3Aでは、プロット部11Bは、ステップS2でのプロットに加え、さらに、回避したい要素に当てはまるデータをプロットする。そして、ステップS3Cにおいて設定部11Cは、ステップS3Aでプロットされた領域を避けるように経路を設定する。例えば、図17に示す2次元平面において、ステップS3Aでプロットされた領域(両分布の範囲)が、楕円で示す領域R2である場合、設定部11Cは、領域R2を避けるように、例えば矢印A2で示すような経路を設定する。
【0044】
このような変形例2によれば、ある要素を回避するという拘束条件の下で、適切に経路を設定することができる。
【0045】
(変形例3)
変形例3では、分析装置10における経路設定部11が、2次元座標系において、オフライン群の分布とオンライン群の分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる線(本件では「等比線」と称する)を、比率に応じて複数求め、得られた複数の等比線に基づき経路を設定する例を示す。
【0046】
具体的には、図18に示すように、経路設定部11は、2次元座標系において、ある点を基準とし、その周辺に含まれる点群における「オフライン群に属する点」と「オンライン群に属する点」の比率が等しい地点を結ぶことで、図18に破線で示す複数の等比線を求め、得られた複数の等比線に基づいて、以下の設定方法1~3のいずれかで経路A3を設定する。
【0047】
設定方法1として、経路設定部11が、等比線の間隔が狭い経路をとることによって、急激に変化する経路を設定する方法を採用しうる。この場合、変化させるべき差が大きくなるため、変化させるべき差を明確にすることができる、という利点がある。
【0048】
設定方法2として、経路設定部11が、等比線の間隔が広い経路をとることによって、緩やかに変化する経路を設定する方法を採用しうる。この場合、変化させるべき差が小さくなるため、顧客群(ここではオフライン群の顧客)に対して負担の小さい変化を促すことができる、という利点がある。
【0049】
設定方法3として、経路設定部11が、最急降下法のように、ある地点での勾配に基づいて、探索的に経路を設定する方法を採用しうる。この場合、自動で経路が設定されるため、人間(例えば分析装置10のオペレータ)が、可視化された図18の等比線を見て設定した経路に比べて、より変化させるべき差を明確にすることができる、という利点がある。
【0050】
ここで、最急降下法により、ある地点での勾配に基づいて、探索的に経路を設定する例を説明すると、ある時刻ステップtにおけるある地点の座標(h1(t),h2(t))から、次の時刻(t+1)に到達すべき地点の座標(h1(t+1),h2(t+1))は、以下の式(1)で表される。
【数1】

ここで、iは潜在変数の番号(i=1,2)を表し、tは経路上の点を表す時刻ステップを表し、dは次の時刻ステップ(t+1)への進み幅を決めるための任意パラメータであり、ΔDiは時刻ステップtでのhi方向の密度の差分を表し、Δhiは時刻ステップtでのhi方向の幅を表す。なお、h1方向はx軸方向(左右方向)で、h2方向はy軸方向(上下方向)である。
【0051】
図19における右上には、ある地点(h1(t),h2(t))の周辺(ここでは3×3の周辺領域)の密度分布例を示し、上記地点(h1(t),h2(t))は中心の領域にある。この密度分布例では、h1方向、h2方向ともにΔhi=2であり、ΔD1=4-2、ΔD2=5-1である。ここで、パラメータd=2とすると、上記式(1)に当てはめることで、
h1(t+1)=h1(t)-2×(4-2)/2=h1(t)-2
h2(t+1)=h2(t)-2×(5-1)/2=h2(t)-4
が得られ、h1方向(左右方向)に「-2」、h2方向(上下方向)に「-4」だけ進む経路が設定される。このような最急降下法を用いた方法は、経路設定方法の1つのバリエーション(ここでは設定方法3)として採用することができる。
【0052】
なお、本開示の要旨は以下の[1]~[10]に存する。
[1] 第1の特徴を有する複数の顧客を含む第1顧客群と、第1の特徴と異なる第2の特徴を有する複数の顧客を含む第2顧客群と、が存在する環境において、第1顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる2次元座標系における第1分布と、第2顧客群の行動データおよび属性データを表す多次元ベクトルを2次元に圧縮することで得られる前記2次元座標系における第2分布とから、第1分布における特徴点から第2分布における特徴点に至る経路を設定する経路設定部と、
前記経路設定部により設定された経路上の複数の通過点に関するデータを、第1顧客群から第2顧客群への段階的な変化を表すデータとして導出する導出部と、
を備える分析装置。
[2] 前記経路設定部は、
前記第1分布の重心位置を始点とし、前記第2分布の重心位置を終点とする経路を設定する、[1]に記載の分析装置。
[3] 前記経路設定部は、
前記第1分布の点と前記第2分布の点との組合せで、距離が最も長くなる2点を結ぶ経路を設定する、[1]に記載の分析装置。
[4] 前記経路設定部は、
前記2次元座標系において、前記第1分布と前記第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる、前記比率に応じた等比線を複数求め、等比線同士の間隔が最小となる経路を設定する、[1]に記載の分析装置。
[5] 前記経路設定部は、
前記2次元座標系において、前記第1分布と前記第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる、前記比率に応じた等比線を複数求め、等比線同士の間隔が最大となる経路を設定する、[1]に記載の分析装置。
[6] 前記経路設定部は、
前記2次元座標系において、前記第1分布と前記第2分布の比率が等しい地点を結ぶことで得られる、前記比率に応じた等比線を複数求め、ある地点での前記比率に関する勾配に基づいて経路を設定する、[1]に記載の分析装置。
[7] 前記経路設定部は、
ある要素を固定させるという拘束条件の下で、前記第1分布および前記第2分布を得て、得られた前記第1分布および前記第2分布の範囲内で、前記経路を設定する、[1]~[6]の何れか一項に記載の分析装置。
[8] 前記経路設定部は、
回避したい要素から成るデータから、前記第1分布および前記第2分布を得て、得られた前記第1分布および前記第2分布の範囲を避けるように、前記経路を設定する、[1]~[6]の何れか一項に記載の分析装置。
[9] 前記経路設定部は、前記2次元座標系における前記第1分布および前記第2分布を表示出力する、[1]~[8]の何れか一項に記載の分析装置。
[10] 前記経路設定部は、
前記第1顧客群および前記第2顧客群それぞれにおける各顧客についての多次元ベクトルを2次元の変数に圧縮するエンコーダ部、を含み、
前記導出部は、
前記経路上の複数の通過点に関するデータに対応する、各顧客についての前記2次元の変数から、前記多次元ベクトルと同じ次元のベクトルに復元するデコーダ部、を含み、
前記デコーダ部は、さらに、各顧客についての前記2次元の変数から、当該顧客が前記第1顧客群と前記第2顧客群のうち何れに属するかを予測し、予測結果を出力する、[1]~[9]の何れか一項に記載の分析装置。
【0053】
(用語の説明、ハードウェア構成(図20)の説明など)
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0054】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0055】
例えば、本開示の一実施形態における分析装置などは、本開示の処理を実行するコンピュータとして機能してもよい。図20は、本開示の一実施形態に係る分析装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の分析装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0056】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。分析装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0057】
分析装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0058】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0059】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0060】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0061】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0062】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0063】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0064】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0065】
また、分析装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0066】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0067】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、6th generation mobile communication system(6G)、xth generation mobile communication system(xG)(xG(xは、例えば整数、小数))、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、New radio access(NX)、Future generation radio access(FX)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張、修正、作成、規定された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0068】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0069】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0070】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0071】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0072】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0073】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0074】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0075】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0076】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、通信チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0077】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0078】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0079】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な通信チャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な通信チャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0080】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0081】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0082】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0083】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0084】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0085】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…分析装置、11…経路設定部、11A…エンコーダ部、11B…プロット部、11C…設定部、12…導出部、12A…座標群算出部、12B…デコーダ部、13…学習部、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20