IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

特開2023-165468調光装置、バックライトユニットおよび調光方法
<>
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図1
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図2
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図3
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図4
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図5
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図6
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図7
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図8
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図9
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図10
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図11
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図12
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図13
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図14
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図15
  • 特開-調光装置、バックライトユニットおよび調光方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165468
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】調光装置、バックライトユニットおよび調光方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20231109BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231109BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231109BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20231109BHJP
【FI】
H05B47/155
F21S2/00 430
F21S2/00 480
H05B47/165
H05B47/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076488
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 務
【テーマコード(参考)】
3K244
3K273
【Fターム(参考)】
3K244BA18
3K244BA50
3K244CA02
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA12
3K244EA16
3K244HA01
3K273PA09
3K273QA05
3K273SA17
3K273SA21
3K273SA34
3K273SA36
3K273SA46
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA48
3K273TA79
3K273UA02
3K273UA22
3K273VA01
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】エッジ型バックライトの照射面の外側にダイレクト型バックライトのLEDを配置する構成とした上で、不必要な黒浮きの発生を抑制することを目的とする。
【解決手段】エッジ型バックライト3とダイレクト型バックライト4とを含んで構成されたバックライト1を調光する調光装置25は、1フレーム分の画像データに基づいて液晶パネル7に画像が表示される際に、画像データにおいて一のダイレクトLED8の照射領域に対応する領域内に、閾値以上の明るさの画素が存在する場合、当該一のダイレクトLED8を点灯する一方、この場合であっても、閾値以上の明るさの画素がエッジ型バックライト3の照射領域に対応する領域に属する範囲にのみ存在する場合には、当該一のダイレクトLED8を消灯する調光部30を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの背面側に設けられ、エッジLEDの光を導光板により拡散して前記液晶パネルに照射するエッジ型バックライトと、前記エッジ型バックライトの照射面の外側に配置された1つ以上のダイレクトLEDを有し、前記ダイレクトLEDの光を直接、前記液晶パネルに照射するダイレクト型バックライトとを備えるバックライトを調光する調光装置であって、
1フレーム分の画像データに基づいて前記液晶パネルに画像が表示される際に、前記画像データにおいて一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域内に、閾値以上の明るさの画素が存在する場合、当該一のダイレクトLEDを点灯する一方、この場合であっても、前記閾値以上の明るさの前記画素が前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する範囲にのみ存在する場合には、当該一のダイレクトLEDを消灯する調光部を備える
ことを特徴とする調光装置。
【請求項2】
前記調光部は、
前記画像データを、前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する全ての前記画素の明るさが前記閾値を下回るように変換して変換データを生成し、前記変換データにおいて一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域に、閾値以上の明るさの画素が存在するか否かを判別し、存在する場合は当該一のダイレクトLEDを点灯する一方、存在しない場合は当該一のダイレクトLEDを消灯する
ことを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
前記調光部は、
前記画像データを含む映像信号を入力すると共に、映像信号における画素情報の入力タイミングを示すクロック信号、水平同期信号および垂直同期信号を入力し、
前記画像データから前記変換データを生成する際に、映像信号として入力される前記画素情報のそれぞれについて、水平同期信号の入力タイミングを起点としたクロック信号の入力数によって前記画像データにおける水平方向の位置を認識すると共に、垂直同期信号の入力タイミングを起点とした前記水平同期信号の入力数によって前記画像データにおける垂直方向の位置を認識し、水平方向および垂直方向の位置が前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する場合に、明るさが前記閾値を下回るにように前記画素情報を変換する
ことを特徴とする請求項2に記載の調光装置。
【請求項4】
前記調光部は、
1フレーム分の画像データに基づいて前記液晶パネルに画像が表示される際に、前記画像データにおいて一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域のうち、前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する範囲を除く領域に前記閾値以上の明るさの前記画素が存在するか否かを判別し、存在する場合は当該一のダイレクトLEDを点灯する一方、存在しない場合は当該一のダイレクトLEDを消灯する
ことを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
【請求項5】
液晶パネルの背面側に設けられ、エッジLEDの光を導光板により拡散して前記液晶パネルに照射するエッジ型バックライトと、前記エッジ型バックライトの照射面の外側に配置された1つ以上のダイレクトLEDを有し、前記ダイレクトLEDの光を直接、前記液晶パネルに照射するダイレクト型バックライトとを有するバックライトと、
1フレーム分の画像データに基づいて前記液晶パネルに画像が表示される際に、前記画像データにおいて一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域内に、閾値以上の明るさの画素が存在する場合、当該一のダイレクトLEDを点灯する一方、この場合であっても、前記閾値以上の明るさの前記画素が前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する範囲にのみ存在する場合には、当該一のダイレクトLEDを消灯する調光装置とを備える
ことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項6】
液晶パネルの背面側に設けられ、エッジLEDの光を導光板により拡散して前記液晶パネルに照射するエッジ型バックライトと、前記エッジ型バックライトの照射面の外側に配置された1つ以上のダイレクトLEDを有し、前記ダイレクトLEDの光を直接、前記液晶パネルに照射するダイレクト型バックライトとを備えるバックライトを調光する調光装置による調光方法であって、
前記調光装置の調光部が、フレーム分の画像データに基づいて前記液晶パネルに画像が表示される際に、前記画像データにおいて一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域内に閾値以上の明るさの画素が1つ以上存在するか否かを判定するステップと、
前記調光装置の前記調光部が、前記一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域内に前記閾値以上の明るさの画素が1つ以上存在すると判定した場合、前記閾値以上の明るさの画素が前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する範囲にのみ存在するか否かを判定するステップと、
前記調光装置の前記調光部が、前記閾値以上の明るさの画素が前記エッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する範囲にのみ存在すると判定した場合、前記一のダイレクトLEDを消灯すると決定するステップとを含む
ことを特徴とする調光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光装置、バックライトユニットおよび調光方法に関し、特に、エッジ型バックライトとダイレクト型バックライトとを含んで構成されたバックライトを調光する調光装置、このような調光装置とバックライトとを含むバックライトユニット、および、当該調光装置による調光方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶パネルを有する液晶表示装置が広く普及している。一般に液晶表示装置は、液晶パネルに対して背後から光を照射するバックライトを備えている。このバックライトには大きく分けて2つのタイプが存在する。1つはエッジ型バックライトと呼ばれるものであり、液晶パネルの表示部とは重ならない領域に光源たるLEDを設置し、LEDが出力する光を導光板によって拡散し照射する方式である。エッジ型バックライトはLEDの個数が少なくて済み、装置全体を薄くすることが可能というメリットがある。もう1つの方式はダイレクト型バックライトと呼ばれるものであり、液晶パネル表示部の真裏に光源たるLEDを並べて配置する方式である。ダイレクト型バックライトでは多くの場合、複数のLEDをマトリックス状に配置する。ダイレクト型バックライトは、液晶パネル全面を照光するために多くのLEDを必要とするというデメリットがあるものの、部分的に必要な箇所のみLEDを点灯することで、表示上不要な部分のLEDを消光し、表示コントラストを高められるというメリットがある。
【0003】
エッジ型バックライトおよびダイレクト型バックライトに関し、特許文献1には、これらを組み合わせた技術が開示されている。詳述すると特許文献1に係るバックライトは、ダイレクト型バックライトを備え、このダイレクト型バックライトの中央部付近にLEDが存在しない領域が形成される一方、当該領域に反射板が設けられている。なおLEDが存在しない領域は、液晶パネルによる高画質での表示が必要ない領域に対応している。更に特許文献1に係るバックライトでは、ダイレクト型バックライトの前面の全域に重なるようにエッジ型バックライトが取り付けられている。特許文献1に係るバックライトでは、このような構成によりダイレクト型バックライトに設けるLEDの個数を低減しつつ、液晶パネルによる高画質な画像の表示が維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-040842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が示唆するように、エッジ型バックライトとダイレクト型バックライトとを適切に組み合わせて用いることによって、双方のメリットを享受しつつ、双方のデメリットを補完するような相乗効果が期待できる。そしてエッジ型バックライトとダイレクト型バックライトとを組み合わせて用いる場合、特許文献1のようにエッジ型バックライトの照射面とダイレクト型バックライトのLEDとを前後方向に重ねて配置するのではなく、エッジ側バックライトの照射面の外側にダイレクト型バックライトのLEDを配置し、これによりエッジ側バックライトの照射面とダイレクト型バックライトとが正面視で隣り合うように構成することが考えられる。そして発明者らは、このように構成する場合に以下の問題点が生じることを見出した。
【0006】
すなわち、ある1つのダイレクトLED(以下「注目ダイレクトLED」という)に注目したときに、注目ダイレクトLEDの近傍に明るい画素がある場合、通常の制御ではその画素(に対応する液晶パネルの部位)に光を供給するためにダイレクトLEDを点灯することになる。しかしながら、その画素がエッジ型バックライトの照射領域内であり、しかもダイレクトLEDの近傍にその画素以外に明るい画素が存在しない状況のときに、通常の制御に従ってそのダイレクトLEDを点灯すると、その画素にはエッジ型バックライトから光が供給されるため、その画素の視認性に与える良い影響は限定的である一方、ダイレクトLEDの近傍にダイレクトLEDから光が照射されることに伴う黒浮き(本来黒色であるべき部分が明確な黒色とならないこと)が生じる。以上の問題が発生することを発明者らは見出した。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、エッジ型バックライトの照射面の外側にダイレクト型バックライトのLEDを配置する構成とした上で、不必要な黒浮きの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明は、液晶パネルの背面側に設けられ、エッジLEDの光を導光板により拡散して液晶パネルに照射するエッジ型バックライトと、エッジ型バックライトの照射面の外側に配置された1つ以上のダイレクトLEDを有し、ダイレクトLEDの光を直接、液晶パネルに照射するダイレクト型バックライトとを備えるバックライトを調光する際に以下の処理を実行する。すなわち、1フレーム分の画像データに基づいて液晶パネルに画像が表示される際に、画像データにおいて一のダイレクトLEDの照射領域に対応する領域内に、閾値以上の明るさの画素が存在する場合、当該一のダイレクトLEDを点灯する一方、この場合であっても、閾値以上の明るさの画素がエッジ型バックライトの照射領域に対応する領域に属する範囲にのみ存在する場合には、当該一のダイレクトLEDを消灯する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、あるダイレクトLEDの照射領域内に明るい画素が存在する場合であって、その画素がエッジ型バックライトの照射領域内にのみ存在する場合には、そのダイレクトLEDは消灯されることになる。このため、このような場合に、ダイレクトLEDを点灯する必要がないにもかかわらずダイレクトLEDが点灯されてしまうことを防止でき、ひいては不必要に黒浮きが発生することを防止できる。すなわち本発明によれば、バックライトについて、エッジ型バックライトの照射面の外側にダイレクト型バックライトのLEDを配置する構成とした上で、不必要な黒浮きの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るバックライトの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るバックライトの斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るバックライトが搭載された液晶表示装置の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る調光装置の機能構成例を示すブロック図である。
図5】バックライトの一部の正面図である。
図6】画像データを座標系に展開した様子を示す図である。
図7】画像データおよび変換データの一例を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る変換部のハードウェア構成例を示す図である。
図9】フレームバッファに変換データが展開された様子を示す図である。
図10】画像データおよび変換データの一部を示す図である。
図11】画像データおよび変換データの一部を示す図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る調光装置の動作例を示すフローチャートである。
図13】本発明の第2実施形態に係る調光装置の機能構成例を示すブロック図である。
図14】画像データの一部を示す図である。
図15】バックライトの別例を示す図である。
図16】バックライトの別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るバックライト1の正面図である。図2は、バックライト1を右上隅部を右斜め前方から見たときの斜視図である。図3は、バックライト1が搭載された液晶表示装置2の断面図である。図3は、図1のA-A断面に対応する断面で液晶表示装置2を切断した様子を示している。
【0012】
以下の説明では図1、2で示すようにバックライト1を正面視したときの左右方向を「左右方向」とし、左右方向において正面視で右に向かう向きを「右」とし、左に向かう向きを「左」とする。また図1、2、3で示すようにバックライト1を正面視したときの上下方向を「上下方向」とし、上下方向において正面視で上に向かう向きを「上」とし、下に向かう向きを「下」とする。またバックライト1を正面視したときの奥行方向を「前後方向」とし、前後方向において正面視で手前に向かう向きを「前」とし、奥に向かう向きを「後」とする。
【0013】
本実施形態に係るバックライト1は、エッジ型バックライト3と、ダイレクト型バックライト4とを含んで構成されている。エッジ型バックライト3は、エッジLED5(図3)の出力光を導光板6によって拡散し照射するタイプのバックライトである。なおエッジLED5とは、エッジ型バックライト3の光源となるLEDのことであり、後述するダイレクトLED8と区別するため、この用語を用いている。一方、ダイレクト型バックライト4は、液晶パネル7(図3)の背面側に、複数のダイレクトLED8を並べて配置し、ダイレクトLED8を液晶パネル7に直接照射するタイプのバックライトである。
【0014】
エッジ型バックライト3は、導光板6および複数のエッジLED5(図3)を少なくとも備えている。図1で示すようにバックライト1の正面の全域であるバックライト正面領域10の略中央には、正面視で矩形のエッジ型バックライト照射面11(特許請求の範囲の「照射面」に相当)が形成されている。図1、3で示すようにエッジ型バックライト照射面11の後方であって、正面視でエッジ型バックライト照射面11を包含する領域には導光板6が設けられている。図1では、正面視において導光板6が延在する領域を破線で示している。導光板6の上側の側面12(図3)に対向する位置には、LEDにより構成された複数のエッジLED5がこの側面12に沿うように並んで配置されている。エッジ型バックライト3は、エッジLED5が出力する光を導光板6に導き、導光板6で拡散し、エッジ型バックライト照射面11から照射する。
【0015】
図1、3(特に図3)で示すように導光板6の前面の上部の一定の領域の前方には、ダイレクトLED8の基板13や、リフレクタ14(後述)、筐体15(図3)等の部材が介在し、当該一定の領域から真っ直ぐ前方に向かう光がこれら部材によって遮られる構成となっている。導光板6の正面の左部、下部および右部の一定の領域についても同様である。導光板6の正面の領域のうち、上部、左部、下部および右部の一定の領域を除いた領域がエッジ型バックライト照射面11に相当する。すなわち導光板6の正面の領域のうち、バックライト1を正面視したときに露出する領域が、エッジ型バックライト照射面11に相当する。
【0016】
ダイレクト型バックライト4は、複数のダイレクトLED8および付随する部材を備えている。図1~3で示すように、ダイレクト型バックライト4のダイレクトLED8は、エッジ型バックライト照射面11の外側(エッジ型バックライト照射面11の面に沿った外側)を取り囲むように設けられている。ダイレクトLED8のそれぞれは、LEDにより構成されており、ダイレクト型バックライト4の光源として機能する。このように本実施形態に係るバックライト1では、エッジ型バックライト3のエッジ型バックライト照射面11の外側にダイレクト型バックライト4のダイレクトLED8が配置されており、これによりエッジ型バックライト3のエッジ型バックライト照射面11とダイレクト型バックライト4のダイレクトLED8とが正面視で隣り合う構成となっている。
【0017】
図1、2で示すようにダイレクトLED8は、上下方向および左右方向に沿ってマトリックス状に並んで配置されている。ただしエッジ型バックライト照射面11に対応する位置にはダイレクトLED8は配置されていない。以下ではマトリックス状に配置されたダイレクトLED8について、左右方向に並ぶ1行分の配列を「行」と定義し、上から順に「第1行LED、第2行LED・・・」のように表現する。また上下方向に並ぶ1列分の配列を「列」と定義し、左から順に「第1列LED、第2列LED・・・」のように表現する。上述したように各行、各列においてエッジ型バックライト照射面11に対応する位置にはダイレクトLED8は配置されていない。
【0018】
図1で示すようにエッジ型バックライト照射面11の上方には第2行LEDが設けられている。そして第2行LEDはエッジ型バックライト照射面11の上辺16(図1、2)の上側で、この上辺16と正面視で隣り合うように設けられており、エッジ型バックライト照射面11の上辺16の全域に沿って第2行LEDを構成するダイレクトLED8が連続して並べて配置されている。図1で示すようにエッジ型バックライト照射面11の左方には第2列LEDが設けられている。そして第2列LEDはエッジ型バックライト照射面11の左辺17(図1)の左側で、この左辺17と正面視で隣り合うように設けられており、エッジ型バックライト照射面11の左辺17の全域に沿って第2列LEDを構成するダイレクトLED8が連続して並べて配置されている。
【0019】
図1で示すようにエッジ型バックライト照射面11の下方には第7行LEDが設けられている。そして第7行LEDはエッジ型バックライト照射面11の下辺18(図1)の下側で、この下辺18と正面視で隣り合うように設けられており、エッジ型バックライト照射面11の下辺18の全域に沿って第7行LEDを構成するダイレクトLED8が連続して並べて配置されている。図1で示すようにエッジ型バックライト照射面11の右方には第13列LEDが設けられている。そして第13列LEDはエッジ型バックライト照射面11の右辺19(図1)の右側で、この右辺19と正面視で隣り合うように設けられており、エッジ型バックライト照射面11の右辺19の全域に沿って第13列LEDを構成するダイレクトLED8が連続して並べて配置されている。
【0020】
図3で示すようにダイレクトLED8のそれぞれは、ダイレクトLED8の後側に設けられた基板13に実装されている。そして図1~3で示すようにダイレクトLED8のそれぞれに対応して、リフレクタ14が設けられている。リフレクタ14は、その底部21(図3)に孔部22(図3)が形成されると共に、底部21から前方に向かうに従って断面積が大きくなるように開口した開口部23が形成されている。図3で示すように開口部23の形状(開口部23を物体で埋めたときの、その物体の形状)は、本実施形態では略四角錐形状であるが、これに限られず円錐形状や回転放物面形状であってもよい。リフレクタ14の底部21は基板に接しており、底部21の孔部22にはダイレクトLED8が貫通し、ダイレクトLED8が孔部22を介して開口部23に入り込んでいる。
【0021】
図1、2、3で示すようにリフレクタ14のそれぞれは、開口部23の最前面開口が同一平面上で連続するように隙間なく並べて配置されている。リフレクタ14は、ダイレクトLED8が出力する光が、前方から傾いた向きに発散することを抑制し、前方に向かって効率的に光が投射されるようにダイレクトLED8が出力する光を反射させる部材である。ダイレクト型バックライト4に関して、バックライト正面領域10(図1)のうちエッジ型バックライト照射面11を避けた領域が、ダイレクト型バックライト4のダイレクトLED8が配置された領域である。
【0022】
図3で示すように液晶パネル7が筐体15に取り付けられると共に、液晶パネル7の背面側において、バックライト1の各部材が筐体15に取り付けられ、これにより液晶表示装置2が構成される。
【0023】
以上の通り本実施形態に係るバックライト1は、エッジ型バックライト3とダイレクト型バックライト4とが組み合わせて用いられて構成されており、更にエッジ型バックライト3に係るエッジ型バックライト照射面11の外側に、ダイレクト型バックライト4に係るダイレクトLED8が配置され、これによりエッジ型バックライト3のエッジ型バックライト照射面11と、ダイレクトLED8とが正面視で隣り合う構造となっている。
【0024】
図4は、本実施形態に係る調光装置25の機能的構成例を関連する部材と共に示すブロック図である。図4に示すように、調光装置25と、バックライト1と、バックライト1の駆動用の第1ドライバ26および第2ドライバ27とによりバックライトユニット28が構成される。調光装置25は、第1ドライバ26および第2ドライバ27を介してバックライト1を調光する。図4で示すように、調光装置25は機能ブロックとして、調光部30を備えており、調光部30は、調光処理部31と変換部32とを備えている。上記機能ブロック30~32は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアのいずれによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック30~32は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROM等を備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。他の実施形態の機能ブロックについても同様である。
【0025】
図4で示すように、調光処理部31には、第1ドライバ26および第2ドライバ27が接続されている。第1ドライバ26は、エッジLED5の駆動回路である。第1ドライバ26は、調光処理部31の制御に従って、エッジLED5の点灯/消灯の切替えと、点灯時の輝度の調整を実行する。第2ドライバ27は、ダイレクトLED8の駆動回路である。第2ドライバ27は、調光処理部31の制御に従って、ダイレクトLED8の点灯/消灯の切替えと、点灯時の輝度の調整を実行する。なおエッジLED5は複数あるが、調光処理部31は、全てのエッジLED5に対して、同一の点灯/消灯の制御および点灯時の輝度の制御を行う。これにより導光板6から、平面的に均等な光が照射される。一方ダイレクトLED8も複数あるが、調光処理部31は、ダイレクトLED8のそれぞれに対して、個別に点灯/消灯の制御および点灯時の輝度の制御を行う。
【0026】
図4で示すように本実施形態では、映像出力装置33から液晶パネル制御装置34に映像信号が出力される。液晶パネル制御装置34には、映像信号における画素情報(1つの画素の画素値を含む情報)の入力タイミングを示すクロック信号、水平同期信号および垂直同期信号が入力されている。1フレーム分の画像の表示に際し、液晶パネル制御装置34は、クロック信号、水平同期信号および垂直同期信号に基づいて、映像信号から1フレーム分の画像データ35を切り出し、バッファに展開し、ドライバを介して液晶パネル7を駆動し、液晶パネル7に画像を表示する。
【0027】
さて上述の通り本実施形態に係るバックライト1は、エッジ型バックライト3に係るエッジ型バックライト照射面11の外側に、ダイレクト型バックライト4に係るダイレクトLED8が配置され、これによりエッジ型バックライト3のエッジ型バックライト照射面11と、ダイレクトLED8とが正面視で隣り合う構造となっている。そして発明者らは、このような構造においては、以下のような問題点が生じることを見出した。
【0028】
図5は、問題点の説明に利用するため、エッジ型バックライト照射面11の上辺16付近の正面図を説明に適した態様で示す図である。以下の説明では、ダイレクトLED8の照射領域36(液晶パネル7に有効な光が届く領域)を「ダイレクトLED照射領域36」という。ダイレクトLED照射領域36は、リフレクタ14の開口部23の最前面開口よりも広くなる。これはダイレクトLED8から照射された光は、リフレクタ14の外側にある程度拡散するからである。図5において、符号8-1はダイレクトLED8の1つを示している。また符号36-1は、ダイレクトLED8-1についてのダイレクトLED照射領域36を示している。
【0029】
ここで、バックライト1の動作モードの種類は、様々なものが想定されるが、重要な動作モードの1つとして、エッジ型バックライト3は常時、点灯しておき、ダイレクト型バックライト4のダイレクトLED8については必要なものだけを適宜、点灯する(いわゆるローカルディミング)という動作モード(以下「基本動作モード」という)が想定される。例えば、エッジ型バックライト3の照射領域37(ダイレクトLED8-1から液晶パネル7に有効な光が届く領域)内にメイン画像を継続して表示する一方、メイン画像の外側に必要に応じて一時的に画像を表示する場合に、基本動作モードが利用される。以下、エッジ型バックライト3の照射領域37を「エッジ型バックライト照射領域37」という。エッジ型バックライト照射領域37は、エッジ型バックライト照射面11よりも広くなる。これはエッジ型バックライト3から照射された光は、エッジ型バックライト照射面11の外側にある程度拡散するからである。図5では、破線によってエッジ型バックライト照射領域37を示している。
【0030】
基本動作モードでは、ダイレクトLED8は基本的には、対応するダイレクトLED照射領域36の範囲内に、明るさが一定以上の画素39(液晶パネル7に形成されたピクセル)が存在する場合に、その画素39に光を供給することを目的として点灯される。一方で基本動作モードでは、ダイレクトLED8は基本的には、ダイレクトLED照射領域36の範囲内に、明るさが一定以上の画素39が存在しない場合には消灯される。以下、液晶パネル7の画素39を「LCD画素39」という。図5、その他のLCD画素39を描画した図では、LCD画素39を誇張して表現している。
【0031】
図5の符号39-1は、LCD画素39の1つを示している。図5で示すようにLCD画素39-1は、ダイレクトLED8-1のダイレクトLED照射領域36-1内に存在し、かつ、エッジ型バックライト照射領域37内に存在するLCD画素39である。今、動作モードが基本動作モードであり、ダイレクトLED8-1のダイレクトLED照射領域36-1内において、明るさが一定以上のLCD画素39は、LCD画素39-1のみであるとする。この場合において、ダイレクトLED8-1を点灯すると以下の問題点が生じる。
【0032】
すなわち基本動作モードでは、LCD画素39-1に対しては、常時点灯されるエッジ型バックライト3から光が供給される。従ってダイレクトLED8-1が点灯することによってLCD画素39-1の視認性に与える良い影響は限定的である。一方、ダイレクトLED8-1が点灯されるため、ダイレクトLED8-1のダイレクトLED照射領域36-1にダイレクトLED8-1から光が照射されることになり、当然、ダイレクトLED照射領域36-1のうち、エッジ型バックライト照射領域37に属する範囲を除いた領域(除外領域)にもダイレクトLED8-1から光が照射されることになる。このため、当該除外領域には、明るさが一定以上の画素が1つもないにもかかわらず、ダイレクトLED8-1から光が照射されることになり、当該除外領域に黒浮き(本来黒色であるべき部分が明確な黒色とならないこと)が生じる。以上の問題が発生することを発明者らは見出した。
【0033】
以上の問題点を解消すべく、本実施形態に係る調光装置25は以下の処理を実行する。以下、1フレーム分の画像データ35に基づいて、1フレーム分の画像が液晶パネル7に表示されるときの調光装置25の動作について詳述する。本実施形態では、画像データ35とは、ドットマトリクス状に配置された画素40のそれぞれについて、RGBの画素値を保持するデータである。以下、画像データ35および後述する変換データ38の画素を「データ画素40」といい、上述したLCD画素39と区別する。
【0034】
また本実施形態では、画像データ35および後述する変換データ38について以下の通り座標系を定義する。図6は、画像データ35を座標系に展開した様子を説明に適した態様で示す図である。図6で示すように、画像データ35(および変換データ38)の左上隅のデータ画素40を原点Oとし、左右方向に延びる軸をx軸、上下方向に延び得る軸をy軸とする。またx軸について右方を+方向とし、y軸について下方を+方向とする。画像データ35(および変換データ38)の全てのデータ画素は、座標系の座標としてその位置が特定される。
【0035】
上述したように、本実施形態では、映像出力装置33から液晶パネル7の液晶パネル制御装置34に映像信号が出力されるが、図4で示すように映像信号は途中で分岐し、調光装置25の調光部30の変換部32に対しても出力される。変換部32にはクロック信号、水平同期信号および垂直同期信号が入力されており、変換部32は、入力される映像信号に基づいて、1フレーム分の画像データ35を変換した変換データ38を生成する。
【0036】
変換データ38は、画像データ35の領域のうち、エッジ型バックライト照射領域37に対応する領域42(以下「エッジ側照射対応領域42」という)に属する全てのデータ画素40の明るさが、輝度閾値(閾値)を下回るように変換されたデータである。本実施形態では、データ画素40の明るさとは、データ画素40の輝度を意味し、データ画素40のRGBの画素値に基づいて計算により導出される。また本実施形態では、あるデータ画素40の明るさが輝度閾値を下回る場合、そのデータ画素40の輝度は「0」(つまりRGBの各画素値が「0」)となるものとする。以下、明るさが輝度閾値を下回るデータ画素40(つまり輝度が「0」の画素)を「黒画素」と表現する場合がある。
【0037】
図7の(A)は画像データ35の一例を示し、(B)は変換データ38の一例を示している。図7(A)の画像データ35は、その中央に輝度閾値以上のデータ画素の集合によって円状のオブジェクトが形成されており、当該オブジェクト以外の領域(つまり、当該オブジェクトの背景となる領域)は全て黒画素である。図7(A)および(B)において破線で囲まれた矩形の領域がエッジ側照射対応領域42に相当する。図7(A)と図7(B)との比較で明らかな通り、変換データ38では、画像データ35のエッジ側照射対応領域42について、全てのデータ画素40が黒画素へと変換されている。
【0038】
以下、変換部32のハードウェア構成の一例を明らかにすると共に、変換部32が変換データ38を生成する方法について説明する。図7(A)を参照し、以下では、画像データ35中のエッジ側照射対応領域42の左辺のx座標(=エッジ側照射対応領域42の左上隅のx座標)を「左端座標」という。また画像データ35中のエッジ側照射対応領域42の右辺のx座標(=エッジ側照射対応領域42の右下隅のx座標)を「右端座標」という。また画像データ35中のエッジ側照射対応領域42の上辺のy座標(=エッジ側照射対応領域42の左上隅のy座標)を「上端座標」という。また画像データ35中のエッジ側照射対応領域42の下辺のy座標(=エッジ側照射対応領域42の右下隅のy座標)を「下端座標」という。
【0039】
図8は、変換部32のハードウェア構成例を示す図である。図8で示すように変換部32は、クロックカウンタ43と、行カウンタ44と、左端比較器45と、右端比較器46と、下端比較器47と、上端比較器48と、アンド回路49と、スイッチ回路50を備えている。クロックカウンタ43には、クロック信号(上述したように、画素情報の入力タイミングを示すクロック)と水平同期信号とが入力される。また、行カウンタ44には、水平同期信号と垂直同期信号とが入力される。なお図示は省略しているが、左端比較器45、右端比較器46、下端比較器47、上端比較器48およびアンド回路49にもクロック信号が入力されている。
【0040】
クロックカウンタ43は、クロック信号の入力に応じてカウント値をインクリメントする一方、水平同期信号の入力に応じてカウント値をリセットする。従ってクロックカウンタ43が管理するカウント値は、クロック信号と同期して入力される画素情報のx軸方向(水平方向)の座標を示している。クロックカウンタ43は、クロック信号の入力に応じてカウント値を左端比較器45および右端比較器46に出力する。以上の通りクロックカウンタ43は、映像信号として入力される画素情報のそれぞれについて、水平同期信号の入力タイミングを起点としたクロック信号の入力数(カウント値)によって画像データ35における水平方向の位置を認識する。
【0041】
左端比較器45は、入力したカウント値と左端座標とを比較し、「カウント値≧左端座標」の場合「1」をアンド回路49に出力し、そうでない場合は「0」をアンド回路49に出力する。右端比較器46は、入力したカウント値と右端座標とを比較し、「カウント値≦右端座標」の場合「1」をアンド回路49に出力し、そうでない場合は「0」をアンド回路49に出力する。
【0042】
行カウンタ44は、水平同期信号の入力に応じてカウント値をインクリメントする一方、垂直同期信号の入力に応じてカウント値をリセットする。従って行カウンタ44が管理するカウント値は、クロック信号と同期して入力される画素情報のy軸方向(垂直方向)の座標を示している。行カウンタ44は、クロック信号の入力に応じてカウント値を下端比較器47および上端比較器48に出力する。以上の通り行カウンタ44は、映像信号として入力される画素情報のそれぞれについて、垂直同期信号の入力タイミングを起点とした水平同期信号の入力数(カウント値)によって画像データ35における垂直方向の位置を認識する。
【0043】
下端比較器47は、入力したカウント値と下端座標とを比較し、「カウント値≦下端座標」の場合「1」をアンド回路49に出力し、そうでない場合は「0」をアンド回路49に出力する。上端比較器48は、入力したカウント値と上端座標とを比較し、「カウント値≧上端座標」の場合「1」をアンド回路49に出力し、そうでない場合は「0」をアンド回路49に出力する。
【0044】
アンド回路49は、クロック信号と同期して左端比較器45、右端比較器46、下端比較器47および上端比較器48の出力値を入力する。アンド回路49は、4つの入力値の論理積をとり結果を出力する。この結果、アンド回路49は、左端比較器45、右端比較器46、下端比較器47および上端比較器48の出力値が全て「1」のときは「1」を出力し、そうではないときは「0」を出力する。そしてアンド回路49が「1」を出力するときは、クロック信号に同期した画素情報の座標が、エッジ側照射対応領域42に属している場合であり、「0」を出力するときは、画素情報の座標が、エッジ側照射対応領域42に属していない場合である。
【0045】
スイッチ回路50は、変換部32の出力を、映像信号の画素情報と黒画素の画素情報(RGBの画素値が全て「0」である画素情報)との間でスイッチを切り替える回路である。詳述するとスイッチ回路50は、アンド回路49の出力値を入力し、入力値が「1」のときは、黒画素の画素情報が出力となるようにスイッチを切替え、入力値が「0」のときは映像信号の画素情報が出力されるようにスイッチを切替える。この結果、映像信号の画素情報のうち、エッジ側照射対応領域42内に存在するデータ画素40に対応するものについては黒画素の画素情報が出力され、エッジ側照射対応領域42内に存在しないデータ画素40に対応するものについては映像信号の画素情報がそのまま出力される。変換部32の出力値は、調光処理部31に出力される。
【0046】
変換部32により以上の処理が実行される結果、1フレーム分の画像データ35の入力に応じて、画像データ35が変換データ38へと変換される。以上、変換部32について、そのハードウェア構成例と共に動作例を説明したが、説明した変換部32のハードウェア構成および動作例はあくまで一例であり、説明した内容に限定されるものではない。例えば以下の構成でもよい。すなわち変換部32は、演算処理回路を備えて構成される。そして変換部32は、映像信号から1フレーム分の画像データ35を切り出してバッファに展開する。次いで変換部32は、情報処理的な手段によって、バッファに展開した画像データ35のデータ画素40のうち、エッジ側照射対応領域42内に存在するデータ画素40を特定すると共に、データ画素40の画素情報を黒画素の画素情報へと変換する。以上の構成でもよい。
【0047】
調光処理部31は、変換部32の出力を入力する。調光処理部31は、クロック信号、水平同期信号および垂直同期信号に基づいて1フレーム分の変換データ38を切り出し、フレームバッファ51に書き込む。そして調光処理部31は、1フレーム分の変換データ38を対象として以下の処理を実行する。すなわち調光処理部31は、変換データ38において一のダイレクトLED8のダイレクトLED照射領域36に対応する領域内に、輝度閾値以上の明るさのデータ画素40が存在するか否かを判別し、存在する場合は当該一のダイレクトLED8を点灯すると決定する一方、存在しない場合は当該一のダイレクトLED8を消灯すると決定する。以下、調光処理部31が、変換データ38を対象として実行する処理について詳述する。
【0048】
ここでフレームバッファ51に展開された変換データ38について、事前にダイレクトLED8ごとに、ダイレクトLED照射領域36に対応する領域52(以下「ダイレクト側照射対応領域52」という)が定義されている。一のダイレクトLED照射領域36と一のダイレクト側照射対応領域52とが対応するとは、液晶パネル7の表示面に対する当該一のダイレクトLED照射領域36の相対的な位置と、変換データ38(或いは画像データ35)に対する当該一のダイレクト側照射対応領域52の相対的な位置とが一致しているということである。
【0049】
図9は、フレームバッファ51に変換データ38が展開された様子を、説明に適した態様で示す図である。図9では、変換データ38上に仮想的なダイレクトLED8を示すと共に、エッジ側照射対応領域42を示している。調光処理部31は、ダイレクト側照射対応領域52のそれぞれについて、以下の処理を実行する。すなわち調光処理部31は、ダイレクト側照射対応領域52内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40(変換データ38のデータ画素40)が全く存在しない第1状態であるか、それともダイレクト側照射対応領域52内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40(変換データ38のデータ画素40)が1つ以上存在する第2状態であるかを判別する。そして第1状態である場合、調光処理部31は、処理対象のダイレクト側照射対応領域52(第1状態か第2状態かの判別の対象となったダイレクト側照射対応領域52)に対応するダイレクトLED8を消灯すると決定する。一方、第2状態である場合、調光処理部31は、処理対象のダイレクト側照射対応領域52に対応するダイレクトLED8を点灯すると決定する。
【0050】
図9の符号52-2は、ダイレクトLED8-2のダイレクト側照射対応領域52を示している。例えばダイレクト側照射対応領域52-2を処理対象とする場合、調光処理部31は、以下の処理を実行する。すなわち、調光処理部31は、ダイレクト側照射対応領域52-2内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40(変換データ38のデータ画素40)が全く存在しない第1状態であるか、それともダイレクト側照射対応領域52-2内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40(変換データ38のデータ画素40)が1つ以上存在する第2状態であるかを判別する。そして調光処理部31は、第1状態であると判定した場合、ダイレクト側照射対応領域52-2に対応するダイレクトLED8-2を消灯すると決定し、第2状態であると判定した場合、ダイレクトLED8-2を点灯すると検定する。
【0051】
以上のようにして調光処理部31は、全てのダイレクトLED8のダイレクト側照射対応領域52について、第1状態であるか第2状態であるかの判別を行うと共に、判別結果に基づいて点灯するか消灯するかを決定する。そして調光処理部31は、変換データ38の元となった画像データ35の表示タイミングと同期させて、上記決定に従って全てのダイレクトLED8を点灯し、或いは消灯する。
【0052】
調光部30により以上の処理が行われる結果、以下の効果を奏する。図10(A)は、図5に対応させて画像データ35の一部を説明に適した態様で示す図である。図10(A)では、画像データ35上に仮想的なダイレクトLED8を示すと共に、エッジ側照射対応領域42を示している。この点は、図10(B)、図11(A)、図11(B)についても同様である。また図10(A)では、データ画素40については、注目する1つ以上のデータ画素40のみを明示的に描画しており、描画したデータ画素40について、黒画素のときは矩形の枠内を黒で塗り潰し、輝度閾値以上の明るさの画素のときは矩形の枠内を黒で塗りつぶさないものとする。
【0053】
図10(A)の符号40-1は、LCD画素39-1(図5)に対応するデータ画素40を示している。また図10の符号52-1は、ダイレクトLED8-1(図5)のダイレクトLED照射領域36-1(図5)に対応するダイレクト側照射対応領域52を示している。図10(A)においてダイレクト側照射対応領域52-1では、データ画素40-1のみが輝度閾値以上の明るさの画素であり、他のデータ画素40は全て黒画であるとする。データ画素40-1は、ダイレクト側照射対応領域52-1に属し、かつ、エッジ側照射対応領域42に属する画素である。この場合、変換部32により画像データ35が変換データ38へと変換されると、変換データ38においてデータ画素40-1は黒画素へと変換される。上述の通り変換データ38においてエッジ側照射対応領域42に属する全ての画素は黒画素へと変換されるからである。その結果、ダイレクト側照射対応領域52-1の全ての画素は黒画素となる。図10(B)は、図10(A)の画像データ35から変換された変換データ38を説明に適した態様で示している。
【0054】
調光処理部31は、ダイレクト側照射対応領域52-1について、第1状態であるか、第2状態であるかを判別し、第1状態であると判定する。上述の通り、変換データ38においてダイレクト側照射対応領域52-1内の全てのデータ画素40は黒画素となっているからである。そして調光処理部31は、ダイレクト側照射対応領域52-1に対応するダイレクトLED8-1ついては消灯することに決定する。この結果、画像データ35に基づく画像の表示タイミングにおいてダイレクトLED8-1は消灯される。
【0055】
このように本実施形態では、調光部30は、画像データ35において一のダイレクトLED8のダイレクトLED照射領域36内に、輝度閾値以上の明るさのデータ画素40が存在する場合であっても、当該データ画素40がエッジ側照射対応領域42に属する範囲にのみ存在する場合には、当該一のダイレクトLED8を消灯する。
【0056】
この構成によれば、あるダイレクトLED8の照射領域内に明るいLCD画素39が存在する場合であって、そのLCD画素39がエッジ型バックライト3の照射領域内にのみ存在する場合には、そのダイレクトLED8は消灯されることになる。このため、このような場合に、ダイレクトLED8を点灯する必要がないにもかかわらずダイレクトLED8が点灯されてしまうことを防止でき、ひいては不必要に黒浮きが発生することを防止できる。すなわち本実施形態の構成によれば、バックライト1について、エッジ型バックライト3の照射面の外側にダイレクト型バックライト4のダイレクトLED8を配置する構成とした上で、不必要な黒浮きの発生を抑制することができる。
【0057】
図11は、図10で説明したケースと別のケースを説明するための図である。図11(A)の例では、画像データ35においてダイレクト側照射対応領域52-1内に、データ画素40-1aおよびデータ画素40-1bが存在する。そしてダイレクト側照射対応領域52-1において、データ画素40-1aおよびデータ画素40-1bのみが、ダイレクト側照射対応領域52-1に属するデータ画素40のうち、「輝度閾値以上の明るさのデータ画素40」である。またデータ画素40-1aはエッジ側照射対応領域42内に存在し、データ画素40-1bはエッジ側照射対応領域42内に存在しない。図11(A)で示す画像データ35が変換部32により変換データ38へと変換されると、データ画素40-1aは黒画素へと変換される一方、データ画素40-1bはそのままの画素情報が維持される。図11(B)は、図11(A)の画像データ35から変換された変換データ38を模式的に示している。
【0058】
図11(B)の変換データ38について、調光処理部31は、ダイレクト側照射対応領域52-1内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40が1つ以上存在する第2状態であると判別し、ダイレクト側照射対応領域52-1に対応するダイレクトLED8-1については点灯すると決定する。この結果、画像データ35に基づく画像の表示タイミングにおいてダイレクトLED8-1は点灯される。このように本実施形態によれば、ダイレクト側照射対応領域52からエッジ側照射対応領域42を除いた範囲に1つでも輝度閾値以上の明るさのデータ画素40がある場合には、ダイレクトLED8が点灯され、対応するLCD画素39に適切に光が供給される。
【0059】
次に調光装置25による調光方法についてフローチャートを用いて説明する。図12は、調光装置25の動作例を示すフローチャートであり、特に1フレーム分の画像データ35に基づく画像の表示に際して、ある1つのダイレクトLED8(以下、「処理対象ダイレクトLED8」という)を点灯/消灯を決定するときの調光装置25の動作例を示している。
【0060】
図12で示すように調光装置25の調光部30は、処理対象ダイレクトLED8のダイレクト側照射対応領域52内に輝度閾値以上の明るさの画素が1つ以上存在するか否かを判定する(ステップSA1)。ダイレクト側照射対応領域52内に輝度閾値以上の明るさの画素が1つも存在しない場合(ステップSA1:NO)、調光部30は、処理対象ダイレクトLED8を消灯すると決定する(ステップSA2)。
【0061】
処理対象ダイレクトLED8のダイレクト側照射対応領域52内に輝度閾値以上の明るさの画素が1つ以上存在する場合(ステップSA1:YES)、調光部30は、輝度閾値以上の明るさの画素がエッジ側照射対応領域42に属する範囲にのみ存在している状態であるか否かを判別する(ステップSA3)。このような状態である場合(ステップSA3:YES)、調光部30は、処理対象ダイレクトLED8を消灯すると決定する(ステップSA2)。一方、このような状態ではない場合(ステップSA3:NO)、調光部30は、ダイレクトLED8を点灯すると決定する(ステップSA4)。
【0062】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
図13は、第2実施形態に係る調光装置25Aの機能構成例を示すブロック図である。図13で示すように、本実施形態に調光装置25Aは、調光部30Aを備えている。調光部30Aは、調光処理部31Aを備えている一方、第1実施形態の変換部32を備えていない。本実施形態では映像出力装置33からの映像信号は、調光処理部31Aに入力される。調光装置25Aとバックライト1とによりバックライトユニット28Aが構成されている。以下、1フレーム分の画像データ35に基づいて1フレーム分の画像を液晶パネル7に表示するときの調光装置25Aの動作について詳述する。
【0064】
1フレーム分の画像の表示に際して、調光装置25Aの調光部30Aの調光処理部31Aは、映像信号から画像データ35を切り出してフレームバッファ51に展開する。次いで調光処理部31Aは、フレームバッファ51に展開した画像データ35を処理対象とし、ダイレクトLED8のそれぞれについて、修正ダイレクト側照射対応領域53を用いて点灯するか消灯するかを決定する。修正ダイレクト側照射対応領域53は、ダイレクト側照射対応領域52からエッジ側照射対応領域42に属する範囲を除いた領域である。
【0065】
図14は、修正ダイレクト側照射対応領域53の説明に用いるため、フレームバッファ51に展開された画像データ35を視覚的に表現した図である。図14では、画像データ35に重ねて仮想的なダイレクトLED8を描画している。また図14では、画像データ35に重ねてエッジ側照射対応領域42を示している。図14では、第1実施形態で説明したダイレクト側照射対応領域52を、二点鎖線で囲まれた矩形の領域によって示している。
【0066】
図14のダイレクトLED8-3に注目し、図14の符号53-3で示す破線の領域は、ダイレクトLED8-3の修正ダイレクト側照射対応領域53を示している。ダイレクトLED8-3のダイレクト側照射対応領域52-3と修正ダイレクト側照射対応領域53-3との比較で明らかな通り、修正ダイレクト側照射対応領域53-3は、ダイレクト側照射対応領域52-3からエッジ側照射対応領域42に属する範囲を除いた領域となっている。また図14のダイレクトLED8-4に注目し、図14の符号53-4で示す破線の領域は、ダイレクトLED8-4の修正ダイレクト側照射対応領域53を示している。ダイレクトLED8-4のダイレクト側照射対応領域52-4と修正ダイレクト側照射対応領域53-4との比較で明らかな通り、修正ダイレクト側照射対応領域53-4は、ダイレクト側照射対応領域52-4からエッジ側照射対応領域42に属する範囲を除いた領域となっている。以上の例で示すように、全てのダイレクトLED8に関し、修正ダイレクト側照射対応領域53が定義されている。
【0067】
本実施形態では調光処理部31Aは、全てのダイレクトLED8について、修正ダイレクト側照射対応領域53内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40が全く存在しない修正第1状態であるか、それともダイレクト側照射対応領域52内に輝度閾値以上の明るさのデータ画素40が1つ以上存在する修正第2状態であるかを判別する。そして修正第1状態であると判定した場合、調光処理部31Aは、処理対象の修正ダイレクト側照射対応領域53のダイレクトLED8を消灯すると決定する。一方、修正第2状態であると判定した場合、調光処理部31Aは、処理対象の修正ダイレクト側照射対応領域53のダイレクトLED8を点灯すると決定する。
【0068】
以上のようにして調光処理部31Aは、全てのダイレクトLED8について点灯するか消灯するかを決定する。次いで調光処理部31Aは、変換データ38の元となった画像データ35の表示タイミングと同期させて、上記決定に従って全てのダイレクトLED8を点灯/消灯する。
【0069】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、画像データ35において一のダイレクトLED8のダイレクト側照射対応領域52内に、輝度閾値以上の明るさのデータ画素40が存在する場合であっても、輝度閾値以上の明るさのデータ画素40がエッジ側照射対応領域42に属する範囲にのみ存在する場合には、当該一のダイレクトLED8が消灯される。従って第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記各実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0071】
例えば第1実施形態で例示したバックライト1の具体的な物理的構造は、あくまで一例である。例えば、バックライト正面領域10に対するエッジ型バックライト照射面11や導光板6の大きさや位置、リフレクタ14の具体的な形状、各種LEDの具体的な配置場所、個数等は、第1実施形態で例示したものに限定さない。以上の点は第2実施形態についても同様である。以下、バックライト1の別の構成例について2つ挙げる。以下の説明では、第1実施形態で説明した部材と同じ機能を持つ部材にについて、第1実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
図15は、第1実施形態に係るバックライト1とは異なる構造のバックライト1Xの一例を示す図である。図15のバックライト1Xは、エッジ型バックライト照射面11の外縁の対向する左右の2辺の外側にダイレクトLED8が設けらている一方、上辺の外側および下辺の外側にはダイレクトLED8が設けられていない。また図16は、第1実施形態に係るバックライト1とは異なる構造のバックライト1Yの別の一例を示す図である。図16のバックライト1Yは、エッジ型バックライト照射面11の外縁の左辺の外側にダイレクトLED8が設けらている一方、右辺、上辺、下辺の外側にはダイレクトLED8が設けられていない。
【0073】
また上述した各実施形態では、調光装置25をバックライト1から独立した装置として説明したが、調光装置25は、単独で流通し得る独立した装置である必要はない。一例として、バックライト1或いは液晶表示装置2と同じ筐体に実装された回路或いはユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、1X、1Y バックライト
3 エッジ型バックライト
4 ダイレクト型バックライト
5 エッジLED
6 導光板
7 液晶パネル
8 ダイレクトLED
11 エッジ型バックライト照射面(照射面)
25 調光装置
28、28A バックライトユニット
30 調光部
35 画像データ
36 ダイレクトLED照射領域
37 エッジ型バックライト照射領域
38 変換データ
40 データ画素(画素)
42 エッジ側照射対応領域
52 ダイレクト側照射対応領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16