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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165483
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】電源制御装置および電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20231109BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20231109BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H02J1/00 309R
H02J1/00 306K
H02J1/00 304H
H02H3/087
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076521
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 惇也
(72)【発明者】
【氏名】植竹 行成
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5G165
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB03
5G004CA03
5G004EA01
5G053AA05
5G053BA01
5G053EB08
5G053EC03
5G053FA05
5G165BB05
5G165CA04
5G165EA02
5G165EA04
5G165GA04
5G165GA09
5G165KA09
5G165MA08
5G165MA10
5G165NA05
(57)【要約】
【課題】第1電源の失陥が解消した場合に、スイッチに悪影響を与えることなく、第2負荷への給電の瞬断を防止できる電源制御装置および電源制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電源制御装置は、系統間スイッチと、電池用スイッチと、制御部とを備える。系統間スイッチおよび電池用スイッチは、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる直列に接続された1対のFETを含む。制御部は、第1電源の失陥を検出すると第2電源から第2負荷へ給電し、第1電源の失陥が解消すると、復帰制御を行う。制御部は、復帰制御を行う場合に、第2電源から寄生ダイオードを介して第2負荷に電流が流れるように、電池用スイッチのFETを制御し、その後、第1電源から寄生ダイオードを介して第2負荷に電流が流れるように、系統間スイッチのFET制御し、その後、電池用スイッチをオフした後、系統間スイッチをオンする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを導通および遮断する系統間スイッチと、
前記第2電源と、前記第2系統とを導通および遮断する電池用スイッチと、
前記第1電源の失陥を検出すると、前記系統間スイッチを遮断し、前記電池用スイッチを導通して前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給するフェイルセーフ制御を行い、前記第1電源の失陥が解消すると前記系統間スイッチを導通し、前記電池用スイッチを遮断する復帰制御を行う制御部とを備え、
前記系統間スイッチおよび前記電池用スイッチは、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる1対のFET(Field Effect Transistor)が直列に接続された回路を含み、
前記制御部は、前記復帰制御を行う場合に、前記第2電源から前記寄生ダイオードを介して前記第2負荷に電流が流れるように、前記電池用スイッチの一方の前記FETをオフし、他方の前記FETをオンし、その後、前記第1電源から前記寄生ダイオードを介して前記第2負荷に電流が流れるように、前記系統間スイッチの一方の前記FETをオフし、他方の前記FETをオンし、その後、前記電池用スイッチの両方の前記FETをオフした後、前記系統間スイッチの両方の前記FETをオンする、
電源制御装置。
【請求項2】
前記系統間スイッチは、
寄生ダイオードのアノードが前記第2系統側になる第1の前記FETと、寄生ダイオードのアノードが前記第1系統側になる第2の前記FETとが直列に接続された回路を含み、
前記電池用スイッチは、
寄生ダイオードのアノードが前記第2電源側になる第3の前記FETと、寄生ダイオードのアノードが前記第2負荷側になる第4の前記FETとが直列に接続された回路を含み、
前記制御部は、
前記復帰制御を行う場合に、前記第3のFETをオフし、その後、前記第1のFETをオンし、その後、前記第4のFETをオフし、その後、前記第2のFETをオンする、
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記電池用スイッチをオフする速度を制御するスイッチング制御回路を備える、
請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記スイッチング制御回路は、
前記第2系統に流れる電流を検出する電流検出回路と、
前記電流検出回路の検出結果を積分する積分回路と、
前記積分回路の積分結果に応じたスイッチング速度で前記電池用スイッチをオフする駆動回路とを含む、
請求項3に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記復帰制御を行う場合に、前記第3のFETをオフし、その後、前記第1のFETをオンし、その後、前記スイッチング制御回路の動作を開始させ、前記積分回路の積分結果に応じたスイッチング速度で前記第4のFETをオフした後、前記第2のFETをオンする、
請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる1対のFETが直列に接続された回路を含み、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを導通および遮断する系統間スイッチと、
寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる1対のFETが直列に接続された回路を含み、前記第2電源と、前記第2系統とを導通および遮断する電池用スイッチと、
前記第1電源の失陥を検出すると、前記系統間スイッチを遮断し、前記電池用スイッチを導通して前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給するフェイルセーフ制御を行い、前記第1電源の失陥が解消すると前記系統間スイッチを導通し、前記電池用スイッチを遮断する復帰制御を行う制御部とを備える電源制御装置の前記制御部が、
前記復帰制御を行う場合に、前記第2電源から前記寄生ダイオードを介して前記第2負荷に電流が流れるように、前記電池用スイッチの一方の前記FETをオフし、他方の前記FETをオンし、その後、前記第1電源から前記寄生ダイオードを介して前記第2負荷に電流が流れるように、前記系統間スイッチの一方の前記FETをオフし、他方の前記FETをオンし、その後、前記電池用スイッチの両方の前記FETをオフした後、前記系統間スイッチの両方の前記FETをオンする、
電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源制御装置および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1電源から第1負荷に給電する第1系統と第2電源から第2負荷に給電する第2系統とを導通および遮断する系統間スイッチと、第2電源と第2系統とを導通および遮断する電池用スイッチと、制御部とを備える電源制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
制御部は、第1電源の失陥を検出すると、系統間スイッチを遮断し、電池用スイッチを導通して第2電源の電力を第2負荷に供給するフェイルセーフ制御を行い、第1電源の失陥が解消すると系統間スイッチを導通し、電池用スイッチを遮断する復帰制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-04075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源制御装置は、第1電源の失陥が解消した場合に、電池用スイッチを遮断した後に、系統間スイッチを導通すると、電池用スイッチの遮断から系統間スイッチの導通までの間、第2負荷への給電が瞬断される。
【0006】
このため、電源制御装置は、第1電源の失陥が解消した場合に、系統間スイッチを導通した後に、電池用スイッチをオフすれば、給電の瞬断を防止できるが、第1電源および第2電源間の電位差が大きい場合、大電流が流れてスイッチに悪影響を与える。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、第1電源の失陥が解消した場合に、スイッチに悪影響を与えることなく、第2負荷への給電が瞬断することを防止することができる電源制御装置および電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る電源制御装置は、系統間スイッチと、電池用スイッチと、制御部とを備える。系統間スイッチは、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを導通および遮断する。電池用スイッチは、前記第2電源と、前記第2系統とを導通および遮断する。制御部は、前記第1電源の失陥を検出すると、前記系統間スイッチを遮断し、前記電池用スイッチを導通して前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給するフェイルセーフ制御を行い、前記第1電源の失陥が解消すると前記系統間スイッチを導通し、前記電池用スイッチを遮断する復帰制御を行う。前記系統間スイッチおよび前記電池用スイッチは、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる1対のFET(Field Effect Transistor)が直列に接続された回路を含む。前記制御部は、前記復帰制御を行う場合に、前記第2電源から前記寄生ダイオードを介して前記第2負荷に電流が流れるように、前記電池用スイッチの一方の前記FETをオフし、他方の前記FETをオンし、その後、前記第1電源から前記寄生ダイオードを介して前記第2負荷に電流が流れるように、前記系統間スイッチの一方の前記FETをオフし、他方の前記FETをオンし、その後、前記電池用スイッチの両方の前記FETをオフした後、前記系統間スイッチの両方の前記FETをオンする。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様に係る電源制御装置および電源制御方法は、第1電源の失陥が解消した場合に、スイッチに悪影響を与えることなく、第2負荷への給電が瞬断することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成例を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図3図3は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図5図5は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図7図7は、実施形態に係る電源制御装置の制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態の変形例に係る電源制御装置の構成例を示す説明図である。
図9図9は、実施形態の変形例に係る電源制御装置の復帰制御中における状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、電源制御装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する電源装置を例に挙げて説明するが、実施形態に係る電源装置は、自動運転機能を備えていない車両に搭載されてもよい。
【0012】
[1.電源制御装置の構成]
まず、図1を参照して、実施形態に係る電源制御装置1の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る電源制御装置1の構成例を示す説明図である。図1に示すように、電源制御装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、第2負荷102とに接続される。
【0013】
第1負荷101は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、およびレーダ等を含む。また、第1負荷101は、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、各種ライト等の一般負荷も含む。
【0014】
第2負荷102は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、および車載カメラ等を含む。以下では、自動運転用の負荷のうち、レーダが第2負荷102には含まれずに第1負荷101に含まれ、車載カメラが第1負荷101には含まれずに第2負荷102に含まれる場合を例に挙げて説明する。
【0015】
第1電源10は、電源失陥がない通常時に第1負荷101および第2負荷102に電力を供給する主電源である。第1電源10は、例えば、車両に搭載される鉛バッテリである。なお、第1電源10は、鉛バッテリ以外の任意の二次電池であってもよい。
【0016】
電源制御装置1は、第1系統110と第2系統120とを接続する系統間スイッチ41と、電池用スイッチ42と、第2電源20と、制御部3とを備える。第2電源20は、第1電源10が失陥した場合に、第2負荷102に電力を供給する補助電源である。第2電源20は、例えば、リチウムイオンバッテリである。なお、第2電源20は、リチウムイオンバッテリ以外の任意の二次電池であってもよい。
【0017】
第1系統110は、第1電源10の電力を第1負荷101に供給する給電系統である。第2系統120は、第2電源20の電力を第2負荷102に供給する給電系統である。系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを導通および遮断する。電池用スイッチ42は、第2電源20と第2系統120とを導通および遮断する。
【0018】
系統間スイッチ41は、ハーネスによって第1負荷101および第1電源10に接続される。また、系統間スイッチ41は、同じくハーネス(図示略)によって第2負荷102に接続されると共に、電源制御装置1内の図示せぬプリント基板の配線によって電池用スイッチ42に接続される。ハーネス接続による問題および問題の解決手段については、後述する変形例において説明する。
【0019】
系統間スイッチ41は、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる1対のFET(Field Effect Transistor)が直列に接続された回路を含む。例えば、系統間スイッチ41は、寄生ダイオード51のアノードが第2系統120側になる第1のFET61と、寄生ダイオード52のアノードが第1系統110側になる第2のFET62とが直列に接続された回路を含む。
【0020】
第1のFET61は、ドレインが第1電源10および第1負荷101に接続され、ソースが第2のFET62のソースに接続され、ゲートが制御部3に接続される。第2のFET62は、ドレインが第2負荷102および電池用スイッチ42に接続され、ゲートが制御部3に接続される。
【0021】
また、電池用スイッチ42は、寄生ダイオードの向きが互いに逆向きとなる1対のFETが直列に接続された回路を含む。例えば、電池用スイッチ42は、寄生ダイオード53のアノードが第2電源20側になる第3のFET63と、寄生ダイオード54のアノードが第2負荷102側になる第4のFET64とが直列に接続された回路を含む。
【0022】
第3のFET63は、ドレインが系統間スイッチ41および第2負荷102に接続され、ソースが第4のFET64のソースに接続され、ゲートが制御部3に接続される。第4のFET64は、ドレインが第2電源20に接続され、ゲートが制御部3に接続される。
【0023】
以下では、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42の状態を遮断状態から導通状態にすることをオンする、導通状態から遮断状態にすることをオフするという場合がある。また、以下では、第1のFET61、第2のFET62、第3のFET63、および第4のFET64の状態を遮断状態から導通状態にすることをオンする、導通状態から遮断状態にすることをオフするという場合がある。
【0024】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部3は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0025】
制御部3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、第1電源10および第2電源20の失陥の検知、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42の動作制御を行う。
【0026】
例えば、制御部3は、第1電源10の失陥を検出すると、系統間スイッチ41をオフし、電池用スイッチ42をオンして第2電源20の電力を第2負荷102に供給するフェイルセーフ制御を行う。その後、制御部3は、第1電源10の失陥が解消すると系統間スイッチ41をオンし、電池用スイッチ42をオフする復帰制御を行う。
【0027】
ここで、制御部3は、復帰制御を行う場合に、例えば、電池用スイッチ42をオフしてから系統間スイッチ41をオンすると、電池用スイッチ42のオフから系統間スイッチ41のオンまでの期間に、第2負荷102への給電が瞬断され、車両の制御に支障をきたすおそれがある。
【0028】
例えば、自動運転制御装置は、通常時に車載カメラとレーダとを使用して自動運転制御を行い、第1電源10が失陥してフェイル制御が開始されると、カメラが使用不能になり、レーダを使用して自動運転制御を行う。
【0029】
その後、第1電源10の失陥が解消すると、車載カメラは、動作を開始するが、起動からイニシャル処理などを行って画像を撮像できる状態になるまでに一定の時間が掛かる。このため、自動運転制御装置は、復帰制御が行われる場合に、レーダへの給電が瞬断すると、車載カメラおよびレーダの双方を使用できず、車両の制御に支障をきたすおそれがある。
【0030】
また、制御部3は、復帰制御を行う場合に、例えば、系統間スイッチ41をオンしてから電池用スイッチ42をオフすれば、第2負荷102への給電が瞬断することを防止できる。しかし、電源制御装置1では、このとき、一時的に第1電源10と第2電源20とが直結される状態が発生し、第1電源10と第2電源20との電位差が大きい場合、大電流が流れて系統間スイッチ41および電池用スイッチ42に悪影響をおよぼすおそれがある。
【0031】
そこで、制御部3は、復帰制御を行う場合に、第2電源20から寄生ダイオード53を介して第2負荷102に電流が流れるように、電池用スイッチ42の一方のFET(第3のFET63)をオフし、他方のFET(第4のFET64)をオンする。その後、制御部3は、第1電源10から寄生ダイオード52を介して第2負荷102に電流が流れるように、系統間スイッチ41の一方のFETをオフ(第2のFET62)し、他方のFET(第1のFET61)をオンする。その後、制御部3は、電池用スイッチ42の両方のFET(第3のFET63および第4のFET64)をオフした後、系統間スイッチ41の両方のFET(第1のFET61および第2のFET62)をオンする。
【0032】
これにより、電源制御装置1は、復帰制御を行う場合に、寄生ダイオード52,53によって第2負荷102への給電を継続しながら、第1電源10から第2電源20への電流の流れ、および、第2電源20から第1電源10への電流の流れを寄生ダイオード52,53によって阻止できる。したがって、電源制御装置1は、復帰制御を行う場合に、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42に悪影響を与えることなく、第2負荷102への給電が瞬断することを防止することができるので、第2負荷102の動作異常を防ぐことができる。
【0033】
[2.電源制御装置の動作例]
次に、図2図6を参照して、電源制御装置1の動作例について、具体的に説明する。図2図6は、実施形態に係る電源制御装置1の動作例を示す説明図である。
【0034】
[2.1.通常時動作]
図2に示すように、制御部3は、第1電源10に失陥がない通常時には、第1のFET61および第2のFET62をオンし、第3のFET63および第4のFET64をオフして、第1電源10から第1負荷101および第2負荷102に電力を供給する。
【0035】
[2.2.フェイルセーフ制御]
図3に示すように、制御部3は、例えば、第1系統110で地絡200が発生した場合、第1電源10の失陥を検出する。例えば、制御部3は、第1電源10の電圧を検出する図示しない電圧センサによって、地絡閾値以下の電圧が所定時間継続して検出された場合に、地絡200の発生を検知して第1電源10の失陥を検出する。
【0036】
制御部3は、第1電源10の地絡200を検出すると、第1のFET61および第2のFET62をオフし、第3のFET63および第4のFET64をオンして、第2電源20の電力を第2負荷102に供給するフェイルセーフ制御を行う。
【0037】
[2.3.復帰制御]
制御部3は、例えば、第1電源10の電圧を検出する図示しない電圧センサによって、地絡閾値を超える電圧が検知されると、第1電源10の失陥が解消したと判定し、復帰制御を開始する。
【0038】
図4に示すように、制御部3は、復帰制御を行う場合に、まず、第3のFET63をオフする。これにより、制御部3は、第2電源20の電力を第4のFET64および第3のFET63の寄生ダイオード53を介して第2負荷102に継続して供給する。
【0039】
その後、図5に示すように、制御部3は、第1のFET61をオンする。これにより、第2電源20の電力を第2負荷102に供給しつつ、第1電源10から第1のFET61および第2のFET62の寄生ダイオード52を介して、第2負荷102に電力を供給できる。
【0040】
また、このとき、第1電源10の電圧が第2電源20の電圧より高くても、第1電源10から第2電源20への電流の流れを、第3のFET63の寄生ダイオード53によって阻止することができる。また、第2電源20の電圧が第1電源10の電圧より高くても、第2電源20から第1電源10への電流の流れを第2のFET62の寄生ダイオード52によって阻止することができる。
【0041】
その後、図6に示すように、制御部3は、第4のFET64をオフし、その後、第2のFET62をオンする。これにより、制御部3は、図2に示す通常時動作の状態に復帰させることができる。このように、制御部3は、復帰制御時に第2負荷102への電源供給瞬断期間を確実になくすことができる。
【0042】
[2.4.制御部3が実行する処理]
次に、図7を参照して、実施形態に係る電源制御装置1の制御部3が実行する処理について説明する。図7は、実施形態に係る電源制御装置1の制御部3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
制御部3は、通常時動作中に、図7に示す処理を繰り返し実行する。このため、電源制御装置1は、図7に示す処理を開始する時点で、第1のFET61および第2のFET62がオンになっており、第3のFET63および第4のFET64がオフになっている。
【0044】
図7に示すように、制御部3は、通常時動作中に、まず、第1電源10の失陥を検出したか否かを判定する(ステップS101)。制御部3は、第1電源10の失陥を検出しないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了し、ステップS101から再度処理を開始する。
【0045】
また、制御部3は、第1電源10の失陥を検出したと判定した場合(ステップS101,Yes)、系統間スイッチ41を遮断し、電池用スイッチ42を導通してフェイルセーフ制御を行う(ステップS102)。その後、制御部3は、第1電源10の失陥が解消したか否かを判定する(ステップS103)。
【0046】
制御部3は、第1電源10の失陥が解消していないと判定した場合(ステップS103,No)、第1電源10の失陥が解消するまで、ステップS103の判定処理を繰り返す。そして、制御部3は、第1電源10の失陥が解消したと判定した場合(ステップS103,Yes)、復帰制御を開始して、まず、第3のFET63をオフする(ステップS104)。
【0047】
その後、制御部3は、第1のFET61をオンする(ステップS105)。その後、制御部3は、第4のFET64をオフする(ステップS106)。その後、制御部3は、第2のFET62をオンする(ステップS107)。これにより、電源制御装置1は、通常時動作の状態に戻る。このため、制御部3は、処理を終了して、ステップS101から、再度処理を開始する。
【0048】
[3.電源制御装置の変形例]
次に、図8および図9を参照して、実施形態の変形例に係る電源制御装置1aについて説明する。図8は、実施形態の変形例に係る電源制御装置1aの構成例を示す説明図である。図9は、実施形態の変形例に係る電源制御装置1aの復帰制御中における状態を示すタイミングチャートである。
【0049】
ここでは、図8に示す構成要素のうち、図1に示す構成要素と同一の構成要素については、図1に示す符号と同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。先に説明した電源制御装置1では、復帰制御において、電池用スイッチ42をオンからオフにしたときに、ハーネスのインピーダンスによりサージが発生し、第2負荷102への供給電力が減少するおそれがある。
【0050】
そこで、図8に示すように、変形例に係る電源制御装置1aは、電池用スイッチ42をオフする速度を制御するスイッチング制御回路7を備える。制御部3aは、復帰制御を行う場合に、スイッチング制御回路7によって、電池用スイッチ42を導通状態から徐々に遮断状態にする。つまり、スイッチング制御回路7は、電池用スイッチ42のスイッチング速度を低下させて、電池用スイッチ42をゆっくりオンからオフにする。
【0051】
これにより、電源制御装置1aは、電池用スイッチ42の切り替えによって生じるサージによる第2負荷102への供給電力の減少を抑制することで、第2負荷102の動作異常を防ぐことができる。
【0052】
スイッチング制御回路7は、電流検出回路71と、積分回路72と、駆動回路73とを含む。電流検出回路71は、第2系統120に流れる電流を検出する。積分回路72は、電流検出回路71の検出結果を積分する。駆動回路73は、積分回路72の積分結果に応じたスイッチング速度で電池用スイッチ42をオフする。
【0053】
具体的には、電流検出回路71は、第2電源20と電池用スイッチ42との間に接続される抵抗R1と、抵抗R1の両端電圧の差分を増幅して積分回路72へ出力するオペアンプA1とを含む。
【0054】
積分回路72は、オペアンプA2と、コンデンサCとを含む。オペアンプA2の非反転入力端子(+)は、抵抗R2を介して電流検出回路71の出力端子に接続される。オペアンプA2の反転入力端子(-)には、抵抗R3,R4を介して、例えば、5Vの電圧が印加される。
【0055】
また、オペアンプA2の反転入力端子(-)は、抵抗R3,R5を介して、トランジスタT1のドレインに接続される。トランジスタT1のソースは、グランドに接続される。トランジスタT1のゲートには、抵抗R6を介して制御部3からスローOFF開始信号の電圧が印加される。
【0056】
コンデンサCは、オペアンプA2の反転入力端子(-)と、オペアンプA2の出力端子との間に接続される。オペアンプA2の出力端子は、抵抗R7を介してトランジスタT2のベースに接続される。トランジスタT2のエミッタは、グランドに接続される。トランジスタT2のコレクタは、駆動回路73の入力端子に接続される。
【0057】
駆動回路73は、直列に接続される2つのトランジスタT3,T4を備える。トランジスタT3は、コレクタが抵抗R8,R9を介してベースに接続され、エミッタが抵抗R10を介して、電池用スイッチ42に含まれる第4のFET64のゲートに接続される。トランジスタT3のコレクタには、ゲート駆動電圧が印加される。
【0058】
トランジスタT4は、コレクタが抵抗R11を介して、電池用スイッチ42に含まれる第4のFET64のゲートに接続され、エミッタがグランドに接続される。2つのトランジスタT3,T4のベースには、抵抗R8,R9を介してゲート駆動電圧が印加される。さらに、2つのトランジスタT3,T4のベースには、抵抗R9を介して、トランジスタT2のコレクタ電圧が印加される。
【0059】
制御部3aは、復帰制御を行う場合に、第3のFET63をオフし、その後、第1のFET61をオンし、スイッチング制御回路7の動作を開始させ、積分回路72の積分結果に応じたスイッチング速度で第4のFET64をオフした後、第2のFET62をオンする。これにより、制御部3aは、簡易な回路構成によって、第4のFET64をゆっくりオフさせることによって、サージの発生を抑制することができる。
【0060】
具体的には、制御部3aは、復帰制御を開始すると、第3のFET63をオフした後、第1のFET61をオンし、例えば、図9に示すように、時刻t1にスローOFF開始信号をLo(ローレベル)からHi(ハイレベル)に切り替える。これにより、スイッチング制御回路7が動作を開始する(ステップS1)。
【0061】
このとき、第4のFET64がオンしているため第2系統120には、第2電源20から第2負荷102に電流が流れている。このため、電流検出回路71は、第2系統120に流れる電流の検出結果に応じた出力電圧を積分回路72に出力する。
【0062】
これにより、積分回路72の出力がゆっくり上昇する(ステップS2)。その後、積分回路72の出力電圧が上昇していき、トランジスタT2が徐々にオンしていくと、駆動回路73の出力電圧が徐々に低下し、第4のFET64がゆっくりオフになる(ステップS3)。
【0063】
そして、駆動回路73の出力電圧が徐々に低下していき、閾値Vthを下回るタイミングにて、電池用スイッチ42に流れる電流もゆっくり減少していく(ステップS4)。その結果、電池用スイッチ42に流れる電流が減少し、電流検出回路71の出力電圧も低下する(ステップS5)。そして、第2系統120の電流が急激に減少し、積分回路72の出力電圧の上昇もよりゆっくりになる(ステップS6)。
【0064】
このように、電源制御装置1aは、復帰制御を行う場合に、電池用スイッチ42をゆっくり遮断することによってサージの発生を抑制できるので、第2負荷102への供給電力が減少することによる第2負荷102の動作異常を防ぐことができる。
【0065】
なお、電源制御装置1aの制御部3aは、図7に示すステップS101~S105の処理を実行した後に、ステップS106の処理に代えて、スローOFF開始信号をLoからHiに切り替え、第4のFET64がオフになった後に、第2のFET62をオフする。これにより、制御部3aは、上記した変形例に係る復帰制御を行うことができる。
【0066】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,1a 電源制御装置
3,3a 制御部
10 第1電源
20 第2電源
41 系統間スイッチ
42 電池用スイッチ
51,52,53,54 寄生ダイオード
61 第1のFET
62 第2のFET
63 第3のFET
64 第4のFET
7 スイッチング制御回路
71 電流検出回路
72 積分回路
73 駆動回路
101 第1負荷
102 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
200 地絡
A1,A2 オペアンプ
C コンデンサ
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11 抵抗
T1,T2,T3,T4 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9