(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165509
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 47/22 20060101AFI20231109BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20231109BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20231109BHJP
B24B 7/06 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B24B47/22
B24B29/00 J
B24B49/12
B24B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076606
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 省吾
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C158
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA11
3C034CA22
3C034CA30
3C034CB01
3C034DD20
3C043BA17
3C043CC05
3C043CC11
3C043DD06
3C043DD12
3C158AA06
3C158AB03
3C158AB08
3C158AC02
3C158BA02
3C158BA07
3C158BB02
3C158BC02
3C158CB01
3C158CB03
(57)【要約】
【課題】研磨部材の高さ位置の検出精度の低下を簡易な構成で抑制する。
【解決手段】水平面における搬送方向PにワークWを搬送するコンベヤ10と、コンベヤ10の上方に配置された支持部20と、支持部20に支持されて昇降し、水平面において搬送方向Pに直交するコンベヤ10の幅方向Q、又はコンベヤ10におけるワークWの搬送面13aに直交する鉛直方向と平行な第1回転軸AX1の軸まわりに回転する回転部材30と、回転部材30に着脱可能に取り付けられ、回転部材30と一体で第1回転軸AX1の軸まわりに回転することでワークWの表面を研磨する研磨部材40と、研磨部材40の高さを検出する検出装置50と、を備える研磨装置であって、検出装置50は、研磨部材40が回転している状態で回転部材が下降することにより接触して、研磨部材40の回転により移動する移動体51と、移動体51の移動を検出する移動検出部52と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面における搬送方向にワークを搬送するコンベヤと、
前記コンベヤの上方に配置された支持部と、
前記支持部に支持されて昇降し、水平面において前記搬送方向に直交する前記コンベヤの幅方向、又は前記コンベヤにおけるワークの搬送面に直交する鉛直方向と平行な第1回転軸の軸まわりに回転する回転部材と、
前記回転部材に着脱可能に取り付けられ、前記回転部材と一体で前記第1回転軸の軸まわりに回転することで前記ワークの表面を研磨する研磨部材と、
前記研磨部材の高さを検出する検出装置と、を備える研磨装置であって、
前記検出装置は、
前記研磨部材が回転している状態で前記回転部材が下降することにより接触して、前記研磨部材の回転により移動する移動体と、
前記移動体の移動を検出する移動検出部と、を備える、研磨装置。
【請求項2】
前記移動体は、回転する前記研磨部材が接触することにより回転する回転体であり、
前記移動検出部は、前記回転体の回転を検出する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記回転体は、前記研磨部材が接触する上端が、前記コンベヤにおけるワークの搬送面よりも高くなるように配置される、請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記幅方向と平行な第2回転軸の軸まわりに回転可能な円盤状であり、
前記移動検出部は、前記回転体と非接触で前記回転体の回転を検出する、請求項2に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記回転体は、前記幅方向に貫通しかつ前記第2回転軸を中心とする周回方向の一部に配置される少なくとも1つの貫通孔を有し、
前記移動検出部は、前記回転体の、前記貫通孔を含む前記周回方向の部分に向けて検出光を出射する発光部と、前記発光部からの前記検出光を受光する受光部とを有する、請求項4に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記回転部材を前記幅方向に移動可能に支持し、
前記回転部材は、鉛直方向と平行な第1回転軸の軸まわりに回転し、
前記研磨部材は、前記回転部材の下面に着脱可能に取り付けられ、
前記検出装置は、前記コンベヤを挟んで前記幅方向の両側のうち少なくとも一方に配置される、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記研磨部材が前記検出装置に接触可能な位置まで前記回転部材を前記幅方向に案内するガイド部を有する、請求項6に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記研磨部材を交換したタイミングで、前記検出装置による前記研磨部材の高さの検出を実行させるように制御する制御部を備える、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記研磨部材による前記ワークの加工数が所定数に達したタイミングで、又は前記研磨部材による前記ワークの加工時間が所定時間に達したタイミングで、前記検出装置による前記研磨部材の高さの検出を実行させる、請求項8に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレスにより板状のワークの一部を切断加工又は打ち抜き加工した場合、加工部分にバリが生じることがある。また、レーザ加工機によりワークの一部を切断加工した場合、レーザ光により溶融した一部がワークに付着するドロスとなることがある。このようなバリ、ドロスを除去するため、研磨部材を有する研磨装置が用いられる。研磨装置としては、円板状の研磨部材を回転させながらワーク当接させ、ワークからバリ、ドロスを除去する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の研磨装置では、光電センサにより研磨部材の下面である研磨面を検出することで、研磨部材の高さ位置を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した研磨装置では、研磨部材によるワークの研磨にって粉塵が生じる。この粉塵が光電センサの発光面及び受光面に付着すると、研磨部材の高さ位置の検出精度が低下するおそれがある。その結果、研磨部材の高さ位置にばらつきが生じ、ワークからバリ、ドロスを十分に除去できず、又は、必要以上にワーク表面を研磨することになり、好ましくない。そのため、研磨装置を所定時間稼働するごとに、又は研磨したワークが所定数に達するごとに、光電センサの発光面及び受光面に付着した粉塵を除去する作業が必要となり、作業者にとって面倒な作業が生じるだけでなく、ワークの加工効率を低下させることになる。
【0005】
本発明は、研磨部材の高さ位置の検出精度が低下するのを簡易な構成で抑制することが可能な研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る研磨装置は、水平面における搬送方向にワークを搬送するコンベヤと、コンベヤの上方に配置された支持部と、支持部に支持されて昇降し、水平面において搬送方向に直交するコンベヤの幅方向、又はコンベヤにおけるワークの搬送面に直交する鉛直方向と平行な第1回転軸の軸まわりに回転する回転部材と、回転部材に着脱可能に取り付けられ、回転部材と一体で第1回転軸の軸まわりに回転することでワークの表面を研磨する研磨部材と、研磨部材の高さを検出する検出装置と、を備える研磨装置であって、検出装置は、研磨部材が回転している状態で回転部材が下降することにより接触して、研磨部材の回転により移動する移動体と、移動体の移動を検出する移動検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様に係る研磨装置によれば、研磨部材が回転している状態で回転部材が移動体に接触することで移動体を移動させ、この移動体の移動を移動検出部で検出することにより研磨部材の高さ位置を検出するので、粉塵による検出精度の低下を抑制できる。すなわち、移動体に粉塵が付着しても、移動体の移動を移動検出部で検出することで、研磨部材の高さ位置の検出精度を維持することができる。
【0008】
また、上記態様に係る研磨装置において、移動体は、回転する研磨部材が接触することにより回転する回転体であり、移動検出部は、回転体の回転を検出してもよい。この構成によれば、移動体として回転体が用いられるので、回転体が回転することで研磨部材が接触したことを容易に判別できる。また、上記態様に係る研磨装置において、回転体は、研磨部材が接触する上端が、コンベヤにおけるワークの搬送面よりも高くなるように配置されてもよい。この構成によれば、研磨部材の高さ位置を検出する際、研磨部材がコンベヤに干渉することを回避できる。
【0009】
また、上記態様に係る研磨装置において、回転体は、幅方向と平行な第2回転軸の軸まわりに回転可能な円盤状であり、移動検出部は、回転体と非接触で回転体の回転を検出してもよい。この構成によれば、円盤状の回転体が幅方向と平行な第2回転軸の軸まわりに回転するので、回転体に研磨部材が接触した際に、回転体を感度よく回転させることができる。また、上記態様に係る研磨装置において、回転体は、幅方向に貫通しかつ第2回転軸を中心とする周回方向の一部に配置される少なくとも1つの貫通孔を有し、移動検出部は、回転体の、貫通孔を含む周回方向の部分に向けて検出光を出射する発光部と、発光部からの検出光を受光する受光部とを有してもよい。この構成によれば、検出光が貫通孔を通過する場合と、検出光が回転体に遮断される場合とを検出することで、回転体と非接触で回転体の回転を確実に検出できる。
【0010】
また、上記態様に係る研磨装置において、支持部は、回転部材を幅方向に移動可能に支持し、回転部材は、鉛直方向と平行な第1回転軸の軸まわりに回転し、研磨部材は、回転部材の下面に着脱可能に取り付けられ、検出装置は、コンベヤを挟んで幅方向の両側のうち少なくとも一方に配置されてもよい。この構成によれば、検出装置がコンベヤの側方に配置されるので、研磨部材の高さ位置を検出する際に、研磨部材の移動距離を少なくすることができる。また、上記態様に係る研磨装置において、支持部は、研磨部材が検出装置に接触可能な位置まで回転部材を幅方向に案内するガイド部を有してもよい。この構成によれば、簡単な構成で研磨部材を検出装置の上方まで移動させることができる。
【0011】
また、上記態様に係る研磨装置において、研磨部材を交換したタイミングで、検出装置による研磨部材の高さの検出を実行させる制御部を備えてもよい。この構成によれば、新たな研磨部材が装着された状態で研磨部材の高さ位置を検出するので、交換した研磨部材の厚さが異なる場合でも研磨部材の高さ位置を検出して、適切にワークの研磨を行うことができる。また、上記態様に係る研磨装置において、制御部は、研磨部材によるワークの加工数が所定数に達したタイミングで、又は研磨部材によるワークの加工時間が所定時間に達したタイミングで、検出装置による研磨部材の高さの検出を実行させてもよい。この構成によれば、研磨部材が摩耗して厚さが変化した場合でも研磨部材の高さ位置を検出して、適切にワークの研磨を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る研磨装置の一例を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る研磨装置の一例を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る研磨装置の一例を示す側面図である。
【
図7】回転体が回転可能に取り付けられた状態を示す図である。
【
図8】研磨部材の高さ位置を検出する前の状態を示す図である。
【
図9】研磨部材が検出装置の移動体に接触した状態を示す図である。
【
図10】研磨部材が移動体に接触した状態を拡大して示す正面図である。
【
図11】研磨部材が移動体に接触した状態を拡大して示す平面図である。
【
図12】他の研磨部材が他の検出装置の移動体に接触した状態を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係る研磨装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下説明する内容に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは形状、寸法等が異なっている場合がある。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面においてワークWの搬送方向Pに平行な方向をX方向と表記し、X方向に直交するコンベヤ10の幅方向QをY方向と表記する。また、XY平面に垂直な鉛直方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る研磨装置100の一例を示す正面図である。
図2は、第1実施形態に係る研磨装置100の一例を示す平面図である。
図3は、第1実施形態に係る研磨装置100の一例を示す側面図である。
図1から
図3に示すように、研磨装置100は、コンベヤ10と、支持部20と、回転部材30と、研磨部材40と、検出装置50と、制御部70とを備える。コンベヤ10は、ワークWを搬送方向Pに向けて搬送する。ワークWは、金属等の平板状の板材である。
【0015】
ワークWは、工作機械であるレーザ加工機により、一部に切断加工又は打ち抜き加工が施されており、切断加工部分又は打ち抜き加工部分には加工に伴うバリが生じている。また、工作機器であるレーザ加工機により、一部に切断加工又は穴あけ加工が施されており、切断加工部分又は穴あけ加工部分には加工に伴って溶融したワークWの一部が付着したドロスが生じている。本実施形態の研磨装置100は、ワークWに生じたバリ、ドロスを除去するために用いられる。
【0016】
コンベヤ10は、例えばベルトコンベヤ機構である。コンベヤ10は、
図1に示すように、コンベヤフレーム11と、一対のローラ12と、無端状のコンベヤベルト13とを有する。コンベヤフレーム11は、本体フレーム60の支持フレーム61上に固定される。本体フレーム60は、例えば建屋の床面上に設置される。支持フレーム61は、本体フレーム60の内部の下方側に、水平方向に設けられている。一対のローラ12は、コンベヤフレーム11のX方向における+X側及び-X側にそれぞれ配置され、それぞれY方向と平行な軸まわりに回転可能に支持される。一対のローラ12の少なくとも一方は、不図示のローラ駆動部により回転駆動される。ローラ駆動部としては、例えば、電動回転モータ等が用いられ、制御部70によって回転駆動、停止が制御される。
【0017】
無端状のコンベヤベルト13は、一対のローラ12に掛け渡されて配置される。コンベヤベルト13は、ローラ12が回転駆動することにより周回移動する。コンベヤベルト13の上面(+Z側の面)はワークWが載置される搬送面13aであり、コンベヤベルト13が周回移動することにより+X方向に移動する。一対のローラ12の内側には、それぞれガイド部12A(
図3参照)が配置される。
図3に示すガイド部12Aは、コンベヤベルト13の内面側(裏面側)に当接する板金のガイドが用いられる。ガイド部12Aは、例えば、コンベヤベルト13の幅に相当するY方向の長さに設けられ、コンベヤフレーム11に支持される。コンベヤベルト13は、ガイド部12Aにより上方に持ち上げられた状態で、ガイド部12Aの上面を摺動する。すなわち、ガイド部12Aは、コンベヤベルト13に対して所定のテンションを付与しつつ、搬送面13aの高さを規定する。なお、ガイド部12Aは、板金のガイドが用いられることに限定されず、Y方向と平行な軸まわりに回転可能に支持される補助ローラ(従動ローラ)が用いられてもよい。
【0018】
コンベヤベルト13のX方向の寸法、及び幅(Y方向の寸法)は、任意であり、載置するワークWの寸法、個数等により設定される。コンベヤベルト13の搬送面13aにワークWを載置した状態で、ローラ12を回転駆動することにより、コンベヤベルト13の周回移動に伴って搬送面13aが+X方向に移動し、搬送面13aに載置されたワークWが搬送方向P(+X方向)に搬送される。なお、コンベヤベルト13の搬送面13aは、載置されたワークWのズレを防止するため、ワークWに対する摩擦係数を高くするなど、滑り止め加工等の表面処理が施されてもよい。
【0019】
コンベヤベルト13の搬送面13aは、ガイド部12Aによって水平面(XY平面)に沿うように設定されている。従って、ワークWは、水平面に配置された状態を維持しながら+X方向に搬送される。なお、コンベヤベルト13は、表裏を貫通する複数の貫通孔(図示せず)が設けられた構成であってもよい。この場合、コンベヤ10には、ワークWを搬送面13aに吸着(吸引)させる吸着装置が設けられてもよい。この吸着装置は、例えば、一対のローラ12の間であってコンベヤベルト13の上側部分と下側部分との間に配置される。吸着装置は、コンベヤベルト13の貫通孔を介してワークWを吸引することで、ワークWを搬送面13aに吸着させる。ワークWは、吸着装置によりコンベヤベルト13の搬送面13aに吸着された状態で搬送される。
【0020】
本実施形態では、コンベヤ10として無端状のコンベヤベルト13を有するベルトコンベヤ機構が用いられているが、この形態に限定されない。例えば、コンベヤ10としてローラコンベヤ機構が用いられてもよい。このローラコンベヤ機構が用いられる場合、複数のローラが搬送方向P(X方向)に並列され、複数のローラの一部を回転駆動ローラとすることで、これらローラ上をワークWが搬送方向Pに搬送される形態であってもよい。また、コンベヤ10として、ベルトコンベヤ機構、ローラコンベヤ機構の他に、ワークWを搬送方向Pに搬送可能な任意の機構が適用されてもよい。
【0021】
支持部20は、コンベヤベルト13の搬送面13aの上方に配置される。支持部20は、本体フレーム60の一部である上部フレーム62に設けられている。上部フレーム62は、コンベヤベルト13の幅方向Qの両側から上下方向に沿って上方に延びる支柱部分と、支柱部分の上端において幅方向Qに延びる梁部とを有している。支持部20は、スライダ21と、ガイド部22と、昇降フレーム23と、昇降ガイド24と、を有する。
【0022】
スライダ21は、例えば板状体であり、回転部材30を支持する。スライダ21は、ガイド部22に沿って幅方向Q(Y方向)に移動可能である。ガイド部22は、昇降フレーム23の-X側に設けられる。ガイド部22は、昇降フレーム23の上下2カ所において幅方向Qに延びて設けられ、スライダ21を幅方向Qに案内する。スライダ21は、スライド駆動部25の駆動により幅方向Qに移動する。すなわち、スライド駆動部25を駆動することにより、スライダ21とともに回転部材30を幅方向Qに往復移動させることが可能である。
【0023】
ガイド部22は、後述する研磨部材40をコンベヤベルト13の幅方向Qの範囲で往復させることが可能な長さを含んで設定される。つまり、ガイド部22の長さは、研磨部材40をコンベヤベルト13の幅方向Qの範囲で往復させるように、回転部材30の移動を許容する長さを含んで設定される。この構成により、搬送面13aの任意の位置に載置されたワークWに対して研磨部材40を当接させることが可能となる。また、ガイド部22は、研磨部材40の一部が、後述する検出装置50の上方に達する位置まで、回転部材30を移動させる長さに設定される。この構成により、ガイド部22を幅方向Qに長くするだけで、研磨部材40を検出装置50の上方に容易に配置させることができる。
【0024】
昇降フレーム23は、昇降ガイド24を介して本体フレーム60に支持される。昇降フレーム23は、昇降ガイド24に沿って昇降可能(Z方向に移動可能)である。昇降ガイド24は、本体フレーム60に支持される。昇降ガイド24は、コンベヤベルト13の幅方向Qの両側において上下方向に延びており、昇降フレーム23を上下方向に案内する。昇降フレーム23は、+Y側及び-Y側のそれぞれに昇降ガイド24に案内される被ガイド部27を備えている。被ガイド部27が昇降ガイド24に案内されることで、昇降フレーム23は、上下方向に案内される。
【0025】
昇降フレーム23は、昇降駆動部26の駆動により昇降する。昇降駆動部26により昇降フレーム23が昇降することに伴い、回転部材30は昇降する。昇降駆動部26としては、例えば、回転電動モータを用いたボールねじ機構又はラックアンドピニオン機構、シリンダ装置などが用いられる。昇降駆動部26は、本体フレーム60の一部(例えば、上部フレーム62)に設けられてもよいし、昇降フレーム23に設けられてもよい。昇降駆動部26を駆動することにより回転部材30を昇降させ、回転部材30に備える研磨部材40をワークWに対して近接させ、又は離間させることが可能となる。
【0026】
回転部材30の高さ(又は研磨部材40の高さ)は、後述する検出装置50により検出可能である。検出装置50からの出力に基づいて昇降駆動部26を駆動することにより、回転部材30(又は研磨部材40)を所望の高さに設定することが可能である。なお、回転部材30を所望の高さに設定した状態で回転部材30を幅方向Qに往復移動させる場合は、スライド駆動部25を駆動することにより、回転部材30をワークWに対して幅方向Qに往復移動させることが可能である。このように、支持部20は、回転部材30(研磨部材40)を所望の高さ及び幅方向Qの位置に配置可能である。なお、支持部20の構成は、上記した構成に限定されない。支持部20としては、回転部材30(研磨部材40)を所望の高さ及び幅方向Qの位置に配置可能な任意の構成が適用可能である。
【0027】
回転部材30は、昇降フレーム23の-X側において2つ配置される。2つの回転部材30は、幅方向Q(Y方向)に並んだ状態で配置される。2つの回転部材30は、それぞれ回転駆動部33を介して昇降フレーム23に支持される。2つの回転部材30は、上記した支持部20により、幅方向Q及び上下方向(Z方向)に移動可能である。以下、2つの回転部材30を区別する場合、+Y側の回転部材30を回転部材31と表記し、-Y側の回転部材30を回転部材32と表記する。
【0028】
回転部材31は、回転駆動部33により第1回転軸AX1の軸まわりに回転可能に支持されている。回転部材32は、回転駆動部33により第1回転軸AX2の軸まわりに回転可能に支持されている。第1回転軸AX1、AX2は、上下方向(Z方向)と平行である。第1回転軸AX1、AX2は、互いに平行であり、コンベヤベルト13の搬送面13aと直交している。回転部材31、32は、それぞれ回転駆動部33の回転軸に連結されており、回転駆動部33を駆動することにより、第1回転軸AX1、AX2の軸まわりに回転する。回転駆動部33としては、例えば、回転電動モータ及び減速機などを含んで構成される。
【0029】
回転駆動部33は、高さ調節部34を備える。高さ調節部34は、回転駆動部33に対する回転部材30の高さを調節する。従って、高さ調節部34により回転部材31、32の高さ位置を調節することで、回転部材31、32の高さ位置を揃えることができる。例えば、回転部材31、32に異なる厚さの研磨部材40が取り付けられた場合であっても、回転部材31、32の高さ位置を調節することで、2つの研磨部材40の高さを揃えることができる。なお、2つの回転駆動部33のそれぞれに高さ調節部34を備える形態に限定されない。2つの回転駆動部33のいずれか一方に高さ調節部34を備える形態であってもよい。
【0030】
図4は、回転部材30と研磨部材40の一例を示す図である。回転部材30は、軸部30aと、研磨部材支持部30bとを有する。軸部30aは、第1回転軸AX1、AX2に沿う棒状であり、回転駆動部33の回転軸に連結されて第1回転軸AX1、AX2の軸まわりに回転する。研磨部材支持部30bは、円板状であり、軸部30aの下端に設けられる。研磨部材支持部30bの中心は、第1回転軸AX1、AX2と一致する。研磨部材支持部30bは、軸部30aが回転することで軸部30aと一体で第1回転軸AX1、AX2の軸まわりに回転する。
【0031】
研磨部材40は、円板状であり、研磨部材支持部30bの下面側に保持される。研磨部材40は、研磨部材支持部30bに着脱可能に取り付けられる。研磨部材40は、研磨部材支持部30b(回転部材30)と一体で第1回転軸AX1、AX2の軸まわりに回転する。研磨部材40は、下面が研磨面40aであり、例えばサンドペーパが用いられる。なお、研磨部材40としては、例えば金属製ブラシが用いられてもよい。この場合、金属製ブラシの先端部分が研磨面40aとなる。
【0032】
研磨部材40を回転させた状態でワークWに研磨面40aを当接させることで、ワークWの表面を研磨することが可能である。また、回転部材30は、上記したように幅方向Qに往復移動が可能であるので、研磨部材40を回転させつつ幅方向Qに往復移動させた状態でワークWに当接させることによりワークWの表面を研磨することが可能である。また、回転部材30を幅方向Qの+Y側又は-Y側に移動させることで、研磨部材40を検出装置50の上方に配置することが可能である。
【0033】
検出装置50は、回転する研磨部材40と接触することにより、研磨部材40の高さを検出する。検出装置50は、コンベヤベルト13を幅方向Qに挟んだ両側にそれぞれ配置される。なお、検出装置50は、コンベヤベルト13を挟んだ両側に配置されることに限定されず、コンベヤベルト13を挟んだ両側のうち少なくとも一方に配置されてもよい。なお、コンベヤベルト13の+Y側に配置される検出装置50と、コンベヤベルト13の-Y側に配置される検出装置50とは、コンベヤベルト13を挟んで対称な構成であり、同一の部材により構成されている。
【0034】
図5は、検出装置50の一例をY方向から見た図である。
図6は、検出装置50の一例をZ方向から見た図である。
図7は、回転体51が回転可能に取り付けられた状態を示す図である。検出装置50は、例えば、コンベヤフレーム11に設けられる。検出装置50は、
図5から
図7に示すように、回転体51(移動体)と、移動検出部52とを有する。回転体51は、研磨部材40が回転している状態で回転部材30が下降することにより研磨部材40の研磨面40aと接触して、研磨部材40の回転により移動する。本実施形態において、回転体51は、回転する研磨部材40が接触することにより回転する。
【0035】
回転体51は、円盤状である。回転体51は、幅方向Qと平行な第2回転軸AX3の軸まわりに回転可能である。回転体51の上端部51aは、研磨部材40が接触する部分となる。回転体51は、
図5に示すように、上端部51aがコンベヤ10におけるワークWの搬送面13aよりも高さLだけ高くなるように配置される。高さLは任意に設定可能である。回転体51は、
図7に示すように、ベアリング54を介して、コンベヤフレーム11に備える軸部55に回転可能に支持される。回転体51には、連結部材57により回転板56が取り付けられる。
【0036】
回転板56は、回転体51の+Y側に、回転体51から離間して配置される。回転板56は、例えば回転体51と同一又はほぼ同一の直径を有する円板状であり、中心が第2回転軸AX3と一致するように配置される。つまり、回転板56は、回転体51と一体で第2回転軸AX3の軸まわりに回転する。従って、回転板56は、回転体51の一部を構成する、又は回転体51に含まれる。
【0037】
回転板56は、Y方向に貫通しかつ第2回転軸AX3を中心とする周回方向に配置される複数の貫通孔56aを有する。貫通孔56aの内径は、例えば、後述する発光部52aから出射する検出光の直径よりも大きく設定される。複数の貫通孔56aは、第2回転軸AX3を中心とする周回方向において等しいピッチで配置される。なお、貫通孔56aの数は任意であり、少なくとも1つ設けられる。また、複数の貫通孔56aを等しいピッチで配置することに限定されず、異なるピッチで配置されてもよい。
【0038】
移動検出部52は、回転体51と非接触で、回転体51が第2回転軸AX3に軸まわりに回転したことを検出する。移動検出部52による検出結果は、制御部70に送られる。移動検出部52は、支持部材53によりコンベヤフレーム11に支持される。移動検出部52は、発光部52aと受光部52bとを有する。発光部52aと受光部52bとは、回転板56のうち貫通孔56aが設けられた周回方向の部分を挟んで対向するように配置される。支持部材53は、発光側支持部53a及び受光側支持部53bを有する。発光側支持部53aは、回転板56の-Y側に配置されて発光部52aを支持する。受光側支持部53bは、回転板56の+Y側に配置されて受光部52bを支持する。
【0039】
発光部52aは、回転板56に向けて検出光を出射する。つまり、発光部52aは、回転体51の一部である回転板56に向けて検出光を出射する。受光部52bは、発光部52aから出射した検出光が貫通孔56aを通過した場合に、この検出光を受光して、受光したことを制御部70に送信する。従って、回転板56が回転していない場合(すなわち回転体51が回転していない場合)は、発光部52aから出射した検出光を受光していない状態又は検出光を受光している状態が継続される。制御部70は、予め設定した所定時間において、受光部52bからの検出結果に基づいて、検出光を受光していない状態又は検出光を受光している状態が連続しているときは、回転板56(回転体51)が回転していないと判断する。
【0040】
また、回転板56が回転している場合(すなわち回転体51が回転している場合)は、受光部52bにおいて検出光を断続的に受光する。受光部52bは、検出光を受光したタイミングで制御部70に出力する。制御部70は、予め設定した所定時間において、受光部52bからの検出結果に基づいて、検出光を受光した回数が予め定めた所定回数を超えたか否かを判断する。制御部70は、検出光の受光回数が所定回数を超えた場合に回転板56(回転体51)が回転したと判断する。なお、上記した所定時間及び所定回数は、任意に設定可能である。
【0041】
制御部70は、回転板56(回転体51)が回転したと判断した際の、研磨部材40の高さを取得する。制御部70は、昇降駆動部26による昇降フレーム23の昇降量、又は不図示のエンコーダ等の出力値により、研磨部材40の高さ位置(回転部材30の高さ位置)を取得する。つまり、制御部70は、回転板56が回転した際、研磨部材40の研磨面40aが、コンベヤベルト13の搬送面13aから高さL(
図5参照)に位置していることを取得する。また、制御部70は、研磨対象のワークWの厚さを上位の制御装置等から取得している。制御部70は、例えば、取得した研磨部材40の高さ位置を基準位置として、研磨対象のワークWの高さに合わせて研磨部材40の高さを設定することにより、ワークWの上面に適切に研磨部材40を接触させることができる。
【0042】
次に、上記のように構成された研磨装置100の動作について説明する。ワークWは、レーザ加工機又はパンチプレス等の工作機械によって一部を切断加工又は打ち抜き加工された後、搬送装置又は作業者による手作業でコンベヤ10のコンベヤベルト13の-X側に載置される。まず、昇降駆動部26(
図1等参照)を駆動して研磨部材40の高さ(Z方向の位置)を調整し、研磨部材40の研磨面40aが適度にワークWに当接する高さに調整する。研磨部材40の高さは、ワークWの厚さによって予め設定された値となるように、制御部70により昇降駆動部26が制御されて自動で設定されてもよいし、作業者が手動で昇降駆動部26を駆動して設定してもよい。
【0043】
続いて、コンベヤ10によるワークWの搬送に先だって、回転駆動部33により回転部材30(研磨部材40)を第1回転軸AX1、AX2の軸まわり方向に回転させる。回転駆動部33による回転部材30の回転数(rpm)は、不図示の制御部等により制御されてもよいし、作業者が手動で設定してもよい。なお、回転部材30(31、32)は、第1回転軸AX1、AX2の軸方向まわりに同一方向に回転させてもよいし、互いに異なる方向に回転させてもよい。
【0044】
回転部材30の回転が安定した段階で、スライド駆動部25を駆動して、予め設定した幅方向Qの所定範囲においてスライダ21を往復移動させる。所定範囲は、研磨部材40がコンベヤベルト13の幅において往復するように設定される。スライダ21の移動速度は、例えば、搬送方向PにワークWを搬送する速度に応じて設定される。この状態でコンベヤ10を駆動することによりコンベヤベルト13を周回移動させ、コンベヤベルト13に載置されたワークWは、搬送方向Pに搬送される。ワークWを搬送方向Pに搬送する途中において、研磨部材40の研磨面40aがワークWの上面に接触する。その結果、ワークWに生じているバリ、ドロスは、研磨面40aにより削り取られることで表面から除去される。
【0045】
このような研磨装置100では、研磨部材40の研磨面40aをワークWの上面に適切に接触させるため、研磨部材40の高さ位置を取得しておく必要がある。研磨部材40の高さは、上記した検出装置50により検出される。制御部70は、例えば、研磨部材40を交換したタイミング、研磨部材40によるワークWの加工数が所定数に達したタイミング、又は研磨部材40によるワークWの加工時間が所定時間に達したタイミング等で、検出装置50による研磨部材40の高さの検出を実行させる。また、制御部70は、研磨装置100の稼働開始のタイミング、作業者により高さ検出に関する実行が指示されたタイミングなどでも、検出装置50による研磨部材40の高さの検出を実行させてもよい。
【0046】
次に、研磨装置100において研磨部材40の高さ位置を検出する動作について、
図8から
図12を参照して説明する。
図8は、研磨部材40の高さ位置を検出する前の状態を示す図である。
図8に示すように、先ず、制御部70は、昇降駆動部26を駆動して、研磨部材40の研磨面40aがコンベヤベルト13の搬送面13aから高さL(
図5参照)より高くなる位置まで昇降フレーム23を上昇させる。続いて、制御部70は、スライド駆動部25を駆動して、回転部材31の研磨部材40が+Y側の検出装置50の上方に位置するようにスライダ21を+Y方向に移動させる。支持部20のY方向の位置の調整は、例えば、予め設定された位置に、制御部70によりスライド駆動部25が制御されて自動で設定される。
【0047】
続いて、回転駆動部33により回転部材31及び研磨部材40を第1回転軸AX1の軸まわりに回転させる。回転部材31の回転数(rpm)は、予め設定された回転数となるように、制御部70により回転駆動部33が制御されて自動で設定される。制御部70は、例えば、ワークWの研磨時と同一の回転数で回転部材31を回転させてもよいし、ワークWの研磨時の回転数より低い回転数で回転部材31を回転させてもよい。
【0048】
図9は、回転部材31に装着された研磨部材40が検出装置50の回転体51に接触した状態を示す図である。
図9に示すように、制御部70は、回転部材31を回転させた状態で昇降フレーム23を下降させることで、研磨部材40を検出装置50に接触させる。制御部70は、昇降フレーム23を下降させる際、研磨部材40の研磨面40aが搬送面13aから高さLに近づいたと想定される位置から、微小量ずつ昇降フレーム23を下降させるように昇降駆動部26を制御してもよい。この動作により、研磨部材40が勢いよく回転体51に接触して研磨部材40又は回転体51の損傷するのを防止できる。
【0049】
図10は、研磨部材40が回転体51に接触した状態を拡大して示す正面図である。
図11は、研磨部材40が回転体51に接触した状態を拡大して示す平面図である。
図10及び
図11に示すように、回転した状態の研磨部材40の研磨面40aが回転体51の上端部51aに接触することで、研磨部材40の回転が回転体51に伝達され、回転体51が第2回転軸AX3の軸まわりに回転する。
図11において、研磨面40aと回転体51との接触部分Vを示している。なお、研磨面40aの摩擦係数が高いことから、接触部分Vを介して感度よく回転体51に回転を伝達することができる。なお、回転体51の周面に、摩擦抵抗を高めるような表面処理が施されてもよい。
【0050】
回転体51が第2回転軸AX3の軸まわりに回転することで、回転体51と一体で回転する回転板56の貫通孔56aが第2回転軸AX3の軸まわりに周回移動する。貫通孔56aの周回移動により、移動検出部52における検出状態が変化する。つまり、貫通孔56aが発光部52aから外れると、発光部52aからの検出光は、回転体51の一部で遮光されて受光部52bに到達しない。一方、貫通孔56aが発光部52aに達すると、発光部52aからの検出光は、受光部52bにより受光される。このように、回転体51が回転すると、受光部52bで受光しない状態と、受光部52bで受光する状態とが交互に繰り返される。
【0051】
従って、制御部70は、受光部52bの検出結果に基づいて、例えば、予め設定された所定時間において受光部52bが受光した数が予め設定された閾値を超える場合に、回転体51が回転していると判断する。このように所定時間中の受光数を閾値と対比することで、回転体51が研磨部材40と非接触のタイミングで少し回転した場合を除外することができ、研磨部材40が回転体51に接触していることを精度よく検出することができる。制御部70は、回転体51が回転していると判断した際の研磨部材40の高さを取得する。制御部70は、昇降フレーム23の昇降量、又は不図示のエンコーダ等の出力値により、研磨部材40の研磨面40a高さが、コンベヤベルト13の搬送面13aから高さL(
図5参照)であることを取得する。
【0052】
次に、-Y側の研磨部材40の高さ位置の検出を行う。この場合、上記した+Y側の研磨部材40の高さ位置の検出に相当する動作が実行される。先ず、昇降駆動部26を駆動して、研磨部材40の研磨面40aをコンベヤベルト13の搬送面13aから高さLより高い位置となるまで、昇降フレーム23を上昇させる。続いて、スライド駆動部25を駆動して、回転部材32の研磨部材40が-Y側の検出装置50の上方に位置するようにスライダ21を-Y方向に移動させる。続いて、回転部材32及び研磨部材40を第1回転軸AX2の軸まわりに回転させる。
【0053】
図12は、回転部材32に装着された研磨部材40が検出装置50の回転体51に接触した状態を示す図である。
図12に示すように、制御部70は、昇降駆動部26を駆動して昇降フレーム23を下降させ、回転した状態の研磨部材40の研磨面40aを検出装置50の回転体51に接触させる。研磨面40aが回転体51に接触することで、研磨部材40の回転が回転体51に伝達され、回転体51が第2回転軸AX3の軸まわりに回転する点は、上記と同様である。また、回転体51の回転を検出装置50により検出し、そのときの研磨部材40の高さ位置を制御部70が取得する点についても、上記と同様である。
【0054】
なお、回転部材31の研磨部材40の高さ位置と、回転部材32の研磨部材40の高さ位置とが異なる場合は、回転部材31、32のいずれかの高さ調節部34により研磨部材40の高さ位置を調節し、回転部材31、32の2つの研磨部材40の高さ位置を揃える。この高さ調節部34の動作は、制御部70により自動で行ってもよいし、作業者が手動により行ってもよい。制御部70は、2つの研磨部材40の高さ位置が揃った状態で、上記したようにワークWの研磨を実行する。このとき、研磨部材40の高さ位置が精度よく検出されているので、研磨部材40をワークWに対して適切な高さ位置に設定することができる。
【0055】
このように、第1実施形態によれば、研磨部材40が回転している状態で回転体51に接触させることで回転体51を回転させ、この回転体51の回転を移動検出部52で検出することにより研磨部材40の高さ位置を検出するので、ワークWの研磨時に発生する粉塵により検出精度が低下することを抑制できる。すなわち、回転体51(回転板56)に粉塵が付着しても、回転体51の回転を移動検出部52で検出することで、研磨部材40の高さ位置を精度よく検出することができる。
【0056】
なお、第1実施形態では、移動検出部52として、発光部52a及び受光部52bを用いて回転体51(回転板56)の回転を検出しているが、この形態に限定されない。移動検出部52としては、回転体51の回転を検出可能な任意のセンサを用いることができる。移動検出部52として、例えば、静電容量センサなどの非接触で回転体51の回転を検出する構成が適用されてもよい。この場合、回転体51(回転板56)は、第2回転軸AX3の軸まわりに、静電容量が異なる部分を交互に形成された構成が用いられる。また、移動検出部52として、回転体51に接触するプローブを備え、このプローブが変位することで回転体51の回転を検出するような接触式の構成が適用されてもよい。
【0057】
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る研磨装置200の一例を示す図である。
図13に示すように、研磨装置200は、検出装置150が上記した第1実施形態の検出装置50とは異なっており、他の構成は第1実施形態と同様である。なお、
図13において、上記した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。以下、検出装置150の構成を中心として説明する。
【0058】
検出装置150は、移動体151と、移動検出部152とを有する。移動体151は、例えば、ワークWの搬送方向P(
図2及び
図3参照)と平行な方向に移動可能に設けられている。移動体151は、上面が接触面151aである。移動体151は、研磨部材40が回転している状態で回転部材30が下降することにより接触面151aに接触して、研磨部材40の回転により移動する。本実施形態において、移動体151は、回転する研磨部材40が接触面151aに接触することにより、搬送方向Pに向けて直線方向に移動する。
【0059】
移動検出部152は、移動体151の搬送方向Pへの移動を検出する。移動検出部152は、移動体151と非接触で移動体151の移動を検出する形態であってもよいし。移動体151と接触して移動体151の移動を検出する形態であってもよい。移動検出部152としては、移動体151の移動を検出可能な任意の非接触式又は接触式のセンサを用いることができる。移動検出部152は、検出結果を制御部70に送信する。制御部70は、移動検出部152から移動体151の移動に関する検出結果を取得し、移動体151が移動した際の研磨部材40の高さ位置を検出する。
【0060】
このように、第2実施形態によれば、研磨部材40が回転している状態で移動体151に接触することで移動体151を移動させ、この移動体151の移動を移動検出部152で検出する。その結果、第1実施形態と同様に、移動体151に粉塵が付着しても、移動体151の移動を移動検出部152で検出することで、研磨部材40の高さ位置を精度よく検出することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態において示した各動作の実行順序は、前の動作の結果を後の動作で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「先ず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【0062】
また、上記した実施形態では、2つの回転部材30(31、32)を用いる形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、1つの回転部材30が用いられる形態であってもよいし、3つ以上の回転部材30が用いられる形態であってもよい。3つ以上の回転部材30が用いられる場合、3つ以上の回転部材30は、例えば、幅方向Q(Y方向)に並べて配置されてもよいし、搬送方向P(X方向)にズレて配置されてもよい。
【0063】
また、上記した実施形態では、回転部材30の第1回転軸AX1(AX2)がコンベヤベルト13の搬送面13aと直交する上下方向(Z方向)に設定された形態を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、回転部材30の第1回転軸が水平面と平行に(例えば幅方向Qと平行に)設定され、回転部材30の第1回転軸の軸まわりの周面に研磨部材40が着脱可能に取り付けられる形態であってもよい。この形態であっても、回転する回転部材30の研磨部材40が接触することで、回転体51(移動体)を移動させ、回転体51の移動を移動検出部52により検出することで、研磨部材40の下端の高さ位置を検出することができる。
【符号の説明】
【0064】
AX1、AX2・・・第1回転軸
AX3・・・第2回転軸
P・・・搬送方向
Q・・・幅方向
W・・・ワーク
10・・・コンベヤ
13・・・コンベヤベルト
13a・・・搬送面
20・・・支持部
21・・・スライダ
22・・・ガイド部
23・・・昇降フレーム
24・・・昇降ガイド
25・・・スライド駆動部
26・・・昇降駆動部
30、31、32・・・回転部材
40・・・研磨部材
50、150・・・検出装置
51・・・回転体(移動体)
51a・・・上端部
52、152・・・移動検出部
52a・・・発光部
52b・・・受光部
56・・・回転板
56a・・・貫通孔
70・・・制御部
100、200・・・研磨装置
151・・・移動体
151a・・・接触面