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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165516
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】消音器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/18 20100101AFI20231109BHJP
   F01N 1/02 20060101ALI20231109BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20231109BHJP
【FI】
F01N13/18
F01N1/02 K
F01N13/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076633
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古屋 智大
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004CA06
3G004CA13
3G004DA14
3G004FA02
3G004GA01
(57)【要約】
【課題】スピニング時の吸音材のはみ出しを抑制できる消音器の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、内管と、内管の外周面を囲うように配置された外管と、内管と外管との間に設けられた空隙と、空隙に配置された吸音材と、を備える消音器の製造方法である。消音器の製造方法は、第1端部が閉塞された空隙の第2端部から吸音材を充填する工程と、空隙に充填された吸音材に向けて、空隙の第2端部から気体を送りつつ、外管をスピニングによって縮径する工程と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と、前記内管の外周面を囲うように配置された外管と、前記内管と前記外管との間に設けられた空隙と、前記空隙に配置された吸音材と、を備える消音器の製造方法であって、
第1端部が閉塞された前記空隙の第2端部から前記吸音材を充填する工程と、
前記空隙に充填された前記吸音材に向けて、前記空隙の前記第2端部から気体を送りつつ、前記外管をスピニングによって縮径する工程と、
を備える、消音器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の消音器の製造方法であって、
前記縮径する工程では、少なくとも前記外管の内周面近傍に存在する前記吸音材に前記気体を当てる、消音器の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の消音器の製造方法であって、
前記縮径する工程では、前記外管の内周面に近い領域に向けて送られる単位時間当たりの前記気体の量を、前記内管の外周面に近い領域に向けて送られる単位時間当たりの前記気体の量よりも大きくする、消音器の製造方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の消音器の製造方法であって、
前記縮径する工程では、ノズルを用いて前記外管の内周面近傍に前記気体を送る、消音器の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の消音器の製造方法であって、
前記外管の軸方向と垂直な断面における外形は円形であり、
前記縮径する工程では、前記空隙を構成する前記外管の内周面に前記気体を当てる、消音器の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の消音器の製造方法であって、
前記内管は、前記空隙と連通する連通孔を有し、
前記縮径する工程では、前記内管の内部空間から前記気体を吸引しつつ、前記スピニングを行う、消音器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、消音器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスの流路に配置される消音器は、内管と外管との間の空隙に吸音材が配置された二重管によって構成される。この消音器は、空隙の一端を閉じた状態で吸音材を充填したのち、スピニングによって外管を縮径させて空隙の他端を閉じることで製造される(特許文献1参照)。
【0003】
この製造方法では、スピニング時における吸音材の空隙からのはみ出しを抑制するために、空隙に連通する孔が設けられた内管から空気を吸引しながら外管を縮径させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-44592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の製造方法では、内管に設けられた孔との距離によって吸音材の吸引力にバラツキが発生する。そのため、スピニング時における吸音材の空隙からのはみ出しが十分に抑制できない。
【0006】
本開示の一局面は、スピニング時の吸音材のはみ出しを抑制できる消音器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、内管と、内管の外周面を囲うように配置された外管と、内管と外管との間に設けられた空隙と、空隙に配置された吸音材と、を備える消音器の製造方法である。消音器の製造方法は、第1端部が閉塞された空隙の第2端部から吸音材を充填する工程と、空隙に充填された吸音材に向けて、空隙の第2端部から気体を送りつつ、外管をスピニングによって縮径する工程と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、第2端部から空隙内の吸音材に向けて気体を送ることで、吸音材を空隙の第1端部(つまり閉塞端)に向けて押圧することができる。その結果、スピニング時の空隙からの吸音材のはみ出しを抑制できる。また、吸音材が存在しない空気層の発生を抑制できるため、消音機能の向上及び消音器の小型化を図ることができる。
【0009】
本開示の一態様では、縮径する工程では、少なくとも外管の内周面近傍に存在する吸音材に気体を当ててもよい。このような構成によれば、スピニングによる遠心力が大きくなる消音器の径方向外側の吸音材を気体で押圧することができる。そのため、スピニング時の吸音材のはみ出し抑制効果が促進される。
【0010】
本開示の一態様では、縮径する工程では、外管の内周面に近い領域に向けて送られる単位時間当たりの気体の量を、内管の外周面に近い領域に向けて送られる単位時間当たりの気体の量よりも大きくしてもよい。このような構成によれば、スピニングによる遠心力が大きくなる消音器の径方向外側の吸音材に気体を集中させることができる。そのため、スピニング時の吸音材のはみ出し抑制効果が促進される。
【0011】
本開示の一態様では、縮径する工程では、ノズルを用いて外管の内周面近傍に気体を送ってもよい。このような構成によれば、吸音材がはみ出しやすい領域に気体を効率よく誘導できる。そのため、スピニング時の吸音材のはみ出し抑制効果が促進される。
【0012】
本開示の一態様では、外管の軸方向と垂直な断面における外形は円形であってもよい。縮径する工程では、空隙を構成する外管の内周面に気体を当ててもよい。このような構成によれば、径方向外側の遠心力が大きくなる外管に対し、吸音材のはみ出しを効率よく抑制できる。
【0013】
本開示の一態様では、内管は、空隙と連通する連通孔を有してもよい。縮径する工程では、内管の内部空間から気体を吸引しつつ、スピニングを行ってもよい。このような構成によれば、気体の吸引によって吸音材に加わる遠心力の一部を相殺できる。そのため、スピニング時の吸音材のはみ出し抑制効果が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1Aは、実施形態における消音器の模式的な中央縦断面図であり、図1Bは、図1AのIB-IB線での模式的な断面図である。
図2図2は、実施形態における消音器の製造方法のフロー図である。
図3図3A及び図3Bは、図2の消音器の製造方法における一工程を示す模式図である。
図4図4は、図2の消音器の製造方法における一工程を示す模式図である。
図5図5は、図4とは異なる実施形態における消音器の製造方法における一工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
<消音器>
図1A及び図1Bに示す消音器1は、例えば内燃機関の排気ガス流路内に設けられる。消音器1は、内管2と、外管3と、保持部材4と、空隙5と、吸音材6とを備える。
【0016】
<内管>
内管2は、内部を排気ガスが通過する金属製のパイプである。内管2の軸方向と垂直な断面(つまり横断面)における外形は円形(具体的には真円)である。内管2は、第1端部21と、第2端部22と、複数の連通孔23とを有する。
【0017】
第1端部21及び第2端部22は、それぞれ、外管3と径方向に連結されている。排気ガスは、第1端部21から第2端部22に向かって流れてもよいし、第2端部22から第1端部21に向かって流れてもよい。
【0018】
複数の連通孔23は、内管2の内部空間(つまり排気ガス流路)と、空隙5(つまり内管2の外部)とを連通する貫通孔である。連通孔23は、内管2の周方向又は軸方向に沿って任意の場所に配置される。なお、内管2は、1つの連通孔23を有してもよい。連通孔23と空隙5との連通により、空隙5を利用した空間拡張による消音が可能になる。
【0019】
<外管>
外管3は、内管2の外周面を囲うように配置された金属製のパイプであり、消音器1の外殻を構成している。外管3の軸方向と垂直な断面(つまり横断面)における外形は円形(具体的には真円)である。外管3の内径は、内管2の外径よりも大きい。
【0020】
外管3は、第1端部31と、第2端部32と、中央部とを有する。第1端部31は、内管2の第1端部21の外周面に重ね合わされ、その全周が例えば溶接によって第1端部21に接合されている。第2端部32は、内管2の第2端部22の外周面に重ね合わされ、その全周が保持部材4を介して第2端部22に連結されている。
【0021】
中央部は、外管3の軸方向において第1端部31と第2端部32との間に位置する部位である。第1端部31及び第2端部32は、それぞれ、中央部に対し縮径している。中央部は、外径が一定の胴部と、胴部の一方の端から第1端部31に向かって直線的、段階的又は曲線的に縮径する第1傾斜部と、胴部の他方の端から第2端部32に向かって直線的、段階的又は曲線的に縮径する第2傾斜部とを有する。
【0022】
<保持部材>
保持部材4は、内管2の第2端部22と外管3の第2端部32との間に配置されたリング状の部材である。なお、保持部材4は、リングの一部を切り欠いたC字状でもよい。また、保持部材4は、リング状又はC字状を形成する複数の部品の組み合わせで構成されてもよい。
【0023】
保持部材4は、内管2の外周面と、外管3の内周面との間に挟み込まれており、内管2及び外管3の少なくとも一方には固定されていない。保持部材4は、内管2又は外管3に対して摺動することで、内管2と外管3との熱膨張差を吸収する。
【0024】
保持部材4は、内管2の外周面及び外管3の内周面の周方向全体に沿って配置されている。つまり、保持部材4は、内管2と外管3との間の空間(つまり空隙5)における内管2の軸方向の端部を閉塞するように配置されている。なお、保持部材4は、完全に空隙5を閉塞しなくてもよい。
【0025】
保持部材4は、吸音材6を空隙5内に保持でき、かつ少なくとも内管2又は外管3に対して摺動することができるものであれば限定されない。保持部材4としては、例えば金属製のワイヤメッシュが好適である。
【0026】
<空隙>
空隙5は、内管2と外管3との間に設けられた空間である。空隙5は、内管2の第1端部21と外管3の第1端部31とによって閉塞された第1端部51と、内管2の第2端部22と外管3の第2端部32と保持部材4とによって閉塞された第2端部52とを有する。空隙5は、内管2の外周面と、外管3の内周面とによって画定されている。
【0027】
<吸音材>
吸音材6は、空隙5に配置された吸音性を有する充填材の集合体である。吸音性を有する充填材としては、例えばグラフファイバー等の繊維が好適である。
【0028】
具体的には、吸音材6は、内管2と外管3の中央部の胴部との間、内管2と外管3の中央部の第1傾斜部との間、及び内管2と外管3の中央部の第2傾斜部との間に配置されている。吸音材6は、均一な密度で配置されることが好ましい。
【0029】
<消音器の製造方法>
図2に示す消音器の製造方法は、接合工程S10と、充填工程S20と、縮径工程S30とを備える。
【0030】
(接合工程)
本工程では、図3Aに示すように、内管2の第1端部21と、外管3の第1端部31とを例えば溶接によって接合する。
【0031】
本工程における外管3は、直管の一方の端部をスピニングによって縮径し、第1傾斜部及び第1端部31を形成したものである。外管3は、第1端部21とは反対側の端部に保持部材4が固定された内管2に挿入される。内管2の第1端部21と外管3の第1端部31とが接合されることで、第1端部51が閉塞された空隙5が形成される。
【0032】
(充填工程)
本工程では、図3Bに示すように、空隙5の第2端部52(つまり第1端部51とは反対側)から吸音材6を充填する。
【0033】
具体的には、内管2の第2端部22にキャップ12(図4参照)を挿入した状態で、内管2の内部の空気を吸引しながら、吸音材6を充填する。吸音材6の充填時には、比較的均一な密度で吸音材6を充填するために、内管2及び外管3を回転させるとよい。
【0034】
(縮径工程)
本工程では、図4に示すように、空隙5に充填された吸音材6に向けて、空隙5の第2端部52から気体を送りつつ、外管3をスピニングによって縮径する。
【0035】
外管3のスピニングは、公知のスピニング加工装置で行われる。スピニング加工装置は、内管2の第1端部21(つまり外管3の第1端部31)に取り付けられたスピンドル11と、内管2の第2端部22に挿入されたキャップ12と、外管3の第2端部32の径方向外側に配置されたローラ(図示省略)とを備える。
【0036】
スピンドル11は、例えば内管2と共に外管3を軸回転させる。スピンドル11の先端は、内管2の内部空間に挿入されている。スピンドル11によって回転する外管3の第2端部32に対し、径方向外側からローラが押し当てられることで、外管3が縮径する。
【0037】
スピニングは、予め内管2に取り付けられた保持部材4と共に外管3が空隙5の第2端部52を閉塞するまで行われる。これにより、外管3の第2傾斜部及び第2端部32が形成される。なお、例えば内管2又は外管3を固定しているチャックを回転させることにより、外管3のスピニングを行ってもよい。
【0038】
スピニングの実施中(具体的には内管2及び外管3の回転開始から外管3の第2端部32が形成されるまでの間)、気体供給装置13によって、吸音材6に向けて気体が送られる。気体としては、例えば圧縮空気を用いることができる。気体供給装置13は、ノズル13A,13Bを用いて外管3の空隙5を構成する内周面に気体を当てることによって、回転する外管3の内周面近傍に気体を送る。
【0039】
これにより、本工程において、少なくとも外管3の内周面近傍に存在する吸音材6に気体が当てられる。また、本工程では、内管2の外周面近傍に存在する吸音材6には、実質的に気体を送らない。又は、本工程では、外管3の内周面近傍の風量よりも内管2の外周面近傍の風量を相対的に少なくしてもよい。例えば、内管2の外周面近傍よりも外管3の内周面に、強い風を当ててもよい。
【0040】
このように本工程では、外管3の内周面に近い領域に向けて送られる単位時間当たりの気体の量を、内管2の外周面に近い領域に向けて送られる単位時間当たりの気体の量よりも大きくする。換言すれば、本工程では、外管3の内周面に近い領域に向けて送られる空隙5の横断面における単位面積当たりの気体の量を、内管2の外周面に近い領域に向けて送られる空隙5の横断面における単位面積当たりの気体の量よりも大きくする。本工程では、単位時間当たりの気体の量と単位面積当たりの気体の量との双方を調整してもよい。
【0041】
気体供給装置13から送られる気体によって、吸音材6は、空隙5の閉塞された第1端部51に向かって押圧される。そのため、外管3の内径が大きい場合、内管2の連通孔23が偏って配置されている場合、及び連通孔23の径が小さい場合にも、吸音材6のはみ出しを抑制できる。また、吸音材6が空隙5内で圧縮されるため、吸音材6が存在しない空気層の発生が抑制される。
【0042】
本工程では、スピニングによって外管3の第2端部32は縮径していくため、これに合わせてノズル13A,13Bの向きを変更するとよい。つまり、スピニングに合わせて、ノズル13A,13Bの先端を徐々に内管2の外周面に近づくように移動させるとよい。
【0043】
なお、図4では、2つのノズル13A,13Bを用いて気体を送っているが、外管3が回転しているため、ノズルの数は1つであってもよい。また、3つ以上のノズルが外管3の周方向に沿って等間隔で配置されてもよい。さらに、ノズルの先端はフレア形状であってもよい。また、気体の供給方向は、内管2の軸方向と平行であってもよい。
【0044】
また、本工程では、内管2の内部空間から気体を吸引しつつ、スピニングを行う。具体的には、スピンドル11の内部に設けられた吸引路11Aによって回転している内管2の内部空間から気体を吸引する。
【0045】
空隙5内の気体は、内管2の連通孔23を通過して、主にスピンドル11によって外部に排出される。気体の吸引に伴って、吸音材6も内管2の外周面に向かって吸引される。つまり、吸音材6にスピニングによる遠心力を相殺する力が作用する。なお、スピンドル11以外の気体排出装置を用いてもよい。
【0046】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第2端部52から空隙5内の吸音材6に向けて気体を送ることで、吸音材6を空隙5の第1端部51(つまり閉塞端)に向けて押圧することができる。その結果、スピニング時の空隙5からの吸音材6のはみ出しを抑制できる。また、吸音材6が存在しない空気層の発生を抑制できるため、消音機能の向上及び消音器1の小型化を図ることができる。
【0047】
(1b)外管3の内周面近傍に存在する吸音材6に気体を当てることで、スピニングによる遠心力が大きくなる消音器1の径方向外側の吸音材6を気体で押圧することができる。そのため、スピニング時の吸音材6のはみ出し抑制効果が促進される。
【0048】
(1c)外管3の内周面に近い領域に向けて送られる気体の量を、内管2の外周面に近い領域に向けて送られる気体の量よりも大きくすることで、スピニングによる遠心力が大きくなる消音器1の径方向外側の吸音材6に気体を集中させることができる。そのため、スピニング時の吸音材6のはみ出し抑制効果が促進される。
【0049】
(1d)ノズル13A,13Bを用いて外管3の内周面近傍に気体を送ることで、吸音材6がはみ出しやすい領域に気体を効率よく誘導できる。そのため、スピニング時の吸音材6のはみ出し抑制効果が促進される。
【0050】
(1e)空隙5を構成する外管3の内周面に気体を当てることで、径方向外側の遠心力が大きくなる外管3に対し、吸音材6のはみ出しを効率よく抑制できる。
【0051】
(1f)内管2の内部空間から気体を吸引することで、気体の吸引によって吸音材6に加わる遠心力の一部を相殺できる。そのため、スピニング時の吸音材6のはみ出し抑制効果が促進される。
【0052】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0053】
(2a)上記実施形態の消音器の製造方法において、必ずしも縮径工程において内管の内部空間から気体を吸引しなくてもよい。また、内管は必ずしも連通孔を有しなくてもよい。
【0054】
(2b)上記実施形態の消音器の製造方法において、内管及び外管それぞれの横断面における外形は必ずしも真円でなくてもよい。例えば、これらの横断面の外形は楕円であってもよい。
【0055】
(2c)上記実施形態の消音器の製造方法において、縮径工程では、必ずしも外管の内周面に気体を当てなくてもよい。また、必ずしもノズルで気体を送らなくてもよい。さらに、外管の内周面に近い領域に向けて送られる気体の量と、内管の外周面に近い領域に向けて送られる気体の量とが同等であってもよい。
【0056】
例えば、図5に示すように、気体供給装置14として、内管2の軸方向に沿って、空隙5の第2端部52全体に気体を送るファンを用いてもよい。気体供給装置14は、吸音材6の端面全体に均一的に気体を当てるように構成されている。
【0057】
(2d)上記実施形態の消音器の製造方法において、消音器の軸方向の長さ、使用環境(例えば、排気ガス温度が低い場合)等によっては、消音器は必ずしも保持部材を備えなくてもよい。
【0058】
(2e)上記実施形態の消音器の製造方法において、消音器は、空隙を排気ガスの流れ方向における上流側と下流側とに分割するセパレータを備えてもよい。また、セパレータで分割された空隙の一方のみに吸音材が充填されてもよい。
【0059】
さらに、消音器は、2層以上の種類の異なる吸音材を備えてもよい。例えば、縮径工程において、ステンレスウール等の吸音材に重ねて充填されたグラスファイバーに気体を送ってもよい。
【0060】
(2f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0061】
1…消音器、2…内管、3…外管、4…保持部材、5…空隙、6…吸音材、
11…スピンドル、11A…吸引路、12…キャップ、13…気体供給装置、
13A,13B…ノズル、14…気体供給装置、21…第1端部、22…第2端部、
23…連通孔、31…第1端部、32…第2端部、51…第1端部、52…第2端部。
図1
図2
図3
図4
図5