(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165543
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】断熱構造及び断熱方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
E04B1/76 400C
E04B1/76 500F
E04B1/76 400A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076716
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹川 拓也
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA03
2E001GA05
2E001GA12
2E001HA32
2E001HA33
(57)【要約】
【課題】施工し易い断熱構造及び断熱方法を提供する。
【解決手段】断熱構造は、床梁12と、床梁12の上方に配置された天井梁14と、床梁12と天井梁14との間に配置された第一断熱材20と、床梁12及び天井梁14の屋外側に固定された枠状のフレーム31と、フレーム31の屋外側に固定された外壁パネル40と、フレーム31の屋内側へ固定され第一断熱材20と接して配置された第二断熱材50と、を有する外壁ユニット30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床梁と、
前記床梁の上方に配置された天井梁と、
前記床梁と前記天井梁との間に配置された第一断熱材と、
前記床梁及び前記天井梁の屋外側に固定された枠状のフレームと、前記フレームの屋外側に固定された外壁パネルと、前記フレームの屋内側へ固定され前記第一断熱材と接して配置された第二断熱材と、を有する外壁ユニットと、
を備えた断熱構造。
【請求項2】
前記第一断熱材は、フィルムで被覆された袋状断熱材であり、
前記第二断熱材は、板状断熱材である、
請求項1に記載の断熱構造。
【請求項3】
前記フレームは、
横桟及び縦桟が組付けられて形成された枠状のフレーム本体と、
前記横桟に沿って所定の間隔で複数設けられると共に、前記縦桟に沿う縦長形状とされ、前記フレーム本体を前記天井梁へ連結する連結ブラケットと、
を備え、
前記第二断熱材は、前記フレーム本体の屋内側に固定されている、
請求項1に記載の断熱構造。
【請求項4】
前記フレームは、
横桟及び縦桟が組付けられて形成された枠状のフレーム本体と、
前記横桟に沿う長尺形状とされ、前記横桟に固定された状態で前記フレーム本体を前記天井梁へ連結する連結ブラケットと、
を備え、
前記第二断熱材は、前記フレーム本体の屋内側に固定されている、
請求項1に記載の断熱構造。
【請求項5】
前記フレームは、
縦桟と、
前記縦桟に組付けられ、前記縦桟より屋内側へ跳ね出した状態で前記天井梁へ連結された横桟と、
を備えている、請求項1に記載の断熱構造。
【請求項6】
枠状のフレームの一方側へ外壁パネルを固定し他方側へ断熱材を固定して外壁ユニットを形成する工程と、
床梁及び前記床梁の上方に配置された天井梁の屋外側に前記フレームの他方側を固定し、前記断熱材と、前記床梁及び前記天井梁の間の断熱材と、を接して配置する工程と、
を備えた断熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱構造及び断熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、構造用面材に板状断熱材を貼り合わせて構成された外張断熱用パネルユニットが記載されている。この外張断熱用パネルユニットは柱の外側に配置され、また、外張断熱用パネルユニットの外側には、外壁材が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の外張断熱用パネルユニットのように、1枚の板状断熱材によって断熱層を形成する場合、高い断熱性を確保するためには板状断熱材の厚みを大きくする必要がある。断熱材の厚みが大きくなると重量が重くなるため運搬し難く、施工性が悪い。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、施工し易い断熱構造及び断熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の断熱構造は、床梁と、前記床梁の上方に配置された天井梁と、前記床梁と前記天井梁との間に配置された第一断熱材と、前記床梁及び前記天井梁の屋外側に固定された枠状のフレームと、前記フレームの屋外側に固定された外壁パネルと、前記フレームの屋内側へ固定され前記第一断熱材と接して配置された第二断熱材と、を有する外壁ユニットと、を備える。
【0007】
第一態様の断熱構造では、第一断熱材が床梁と天井梁との間に配置され、床梁及び天井梁の屋外側に固定される外壁ユニットに第二断熱材が配置されている。すなわち、断熱層が2層構成となっている。
【0008】
このため、1層の断熱材で同じ厚みの断熱層を形成する場合と比較して、それぞれの断熱材の厚みを薄くできる。これにより、外壁ユニットだけに断熱材(第二断熱材より厚みが大きい断熱材)を配置する場合と比較して、外壁ユニットの重量を軽くできる。
【0009】
あるいは、床梁と天井梁との間だけに断熱材(第一断熱材より厚みが大きい断熱材)を配置する場合と比較して、それぞれの断熱材の重量を軽くできる。このように部材の重量が軽くなると、運搬し易いので施工性が高い。
【0010】
また、断熱材が2層構成となっていることにより、それぞれの層の間に配線を通すことができる。このため、例えば温水管等を断熱すれば、給湯設備の運転負荷を低減できる。
【0011】
第二態様の断熱構造は、第一態様の断熱構造において、前記第一断熱材は、フィルムで被覆された袋状断熱材であり、前記第二断熱材は、板状断熱材である。
【0012】
第二態様の断熱構造では、外壁ユニットに板状断熱材が用いられている。板状断熱材は形状が安定しているためフィルムで被覆しなくても運搬できる。そして、例えば板状断熱材を含む外壁ユニットを高温環境の塗装ラインに通してもフィルムが融解することがない。このように、第二断熱材として板状断熱材を用いれば、外壁ユニットを加工し易い。
【0013】
一方、床梁と天井梁との間に配置された袋状断熱材は、フィルムで被覆されている。このため、フィルム内部の断熱材が吸湿し難く、内部結露を抑制できる。このように、第一断熱材として袋状断熱材を用いれば、断熱性能を高められる。
【0014】
第三態様の断熱構造は、第一態様の断熱構造において、前記フレームは、横桟及び縦桟が組付けられて形成された枠状のフレーム本体と、前記横桟に沿って所定の間隔で複数設けられると共に、前記縦桟に沿う縦長形状とされ、前記フレーム本体を前記天井梁へ連結する連結ブラケットと、を備え、前記第二断熱材は、前記フレーム本体の屋内側に固定されている。
【0015】
第三態様の断熱構造では、フレームが、フレーム本体と連結ブラケットとを備えて形成されている。連結ブラケットは、フレーム本体を天井梁へ連結する。このため、連結ブラケットの寸法を調整すれば、フレーム本体と天井梁との間隔を調整できる。これにより、フレーム本体の屋内側に固定される第二断熱材の厚みを調整できる。また、第二断熱材の厚みを変えても、フレーム本体は共通化されたものを用いることができる。
【0016】
さらに、連結ブラケットは縦桟に沿う縦長形状とされているため、上下方向の複数箇所で天井梁へ連結できる。これにより、複数の連結箇所を介して、外壁ユニットの鉛直荷重を支持できる。また、天井梁から外側へ跳ね出す外壁ユニットから天井梁へ作用する回転モーメントに対して抵抗し易い。
【0017】
第四態様の断熱構造は、第一態様の断熱構造において、前記フレームは、横桟及び縦桟が組付けられて形成された枠状のフレーム本体と、前記横桟に沿う長尺形状とされ、前記横桟に固定された状態で前記フレーム本体を前記天井梁へ連結する連結ブラケットと、を備え、前記第二断熱材は、前記フレーム本体の屋内側に固定されている。
【0018】
第四態様の断熱構造では、フレームが、フレーム本体と連結ブラケットとを備えて形成されている。連結ブラケットは、フレーム本体を天井梁へ連結する。このため、連結ブラケットの寸法を調整すれば、フレーム本体と天井梁との間隔を調整できる。これにより、フレーム本体の屋内側に固定される第二断熱材の厚みを調整できる。また、第二断熱材の厚みを変えても、フレーム本体は共通化されたものを用いることができる。
【0019】
さらに、連結ブラケットは横桟に沿う長尺形状とされているため、横方向の複数箇所で天井梁へ連結できる。これにより、複数の連結箇所を介して、外壁ユニットの鉛直荷重を支持できる。また、連結ブラケットが縦長形状の場合と比較して、連結ブラケットの下方に空間を形成できるため、この空間に配線などを設置することができる。
【0020】
第五態様の断熱構造は、第一態様の断熱構造において、前記フレームは、縦桟と、前記縦桟に組付けられ、前記縦桟より屋内側へ跳ね出した状態で前記天井梁へ連結された横桟と、を備えている。
【0021】
第五態様の断熱構造では、フレームが、縦桟と横桟とを備えて形成されている。横桟は、縦桟より屋内側へ跳ね出した状態で天井梁へ連結される。このため、横桟の寸法を調整すれば、フレーム本体と天井梁との間隔を調整できる。これにより、フレームをフレーム本体及び連結ブラケットで構成する場合と比較して、フレームの部材点数を少なくできる。
【0022】
さらに、横桟が天井梁へ連結されるため、横方向の複数箇所で天井梁へ連結できる。これにより、複数の連結箇所を介して、外壁ユニットの鉛直荷重を支持できる。また、縦長形状の連結ブラケットを用いる場合と比較して、横桟の下方に空間を形成できるため、この空間に配線などを設置することができる。
【0023】
第六態様の断熱方法は、枠状のフレームの一方側へ外壁パネルを固定し他方側へ断熱材を固定して外壁ユニットを形成する工程と、床梁及び前記床梁の上方に配置された天井梁の屋外側に前記フレームの他方側を固定し、前記断熱材と、前記床梁及び前記天井梁の間の断熱材と、を接して配置する工程と、を備える。
【0024】
第六態様の断熱方法では、断熱材が床梁と天井梁との間に配置され、床梁及び天井梁の屋外側に固定される外壁ユニットにも断熱材が配置されている。すなわち、断熱層が2層構成となっている。
【0025】
このため、1層の断熱材で同じ厚みの断熱層を形成する場合と比較して、それぞれの断熱材の厚みを薄くできる。これにより、外壁ユニットの断熱材だけで断熱する場合と比較して、外壁ユニットの重量を軽くできる。あるいは、床梁と天井梁との間に配置される断熱材だけで断熱する場合と比較して、それぞれの断熱材の重量を軽くできる。このように部材の重量が軽くなると、運搬し易いので施工性が高い。
【0026】
また、断熱材が2層構成となっていることにより、それぞれの層の間に配線を通すことができる。このため、例えば温水管等を断熱すれば、給湯設備の運転負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、施工し易い断熱構造及び断熱方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の実施形態に係る断熱構造を示す断面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る断熱構造の外壁ユニットを天井梁及び床梁に取付ける前の状態を示す断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る断熱構造の外壁ユニットにおけるフレームを示す背面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る断熱構造の第一変形例を示す断面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る断熱構造の第一変形例におけるフレームを示す背面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る断熱構造の第二変形例を示す断面図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る断熱構造の第二変形例におけるフレームを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施形態に係る断熱構造及び断熱方法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0030】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0031】
各図において矢印X、Yで示す方向は水平面に沿う方向であり、互いに直交している。また、矢印Zで示す方向は鉛直方向(上下方向)に沿う方向である。各図において矢印X、Y、Zで示される各方向は、互いに一致するものとする。
【0032】
<建物>
本開示の実施形態に係る断熱構造は、
図1に示す建物10に適用される断熱構造である。建物10は、図示しない柱と、床梁12と、天井梁14と、を組み付けた箱状の住宅ユニットによって形成されるユニット建築である。
【0033】
<断熱構造>
本開示の断熱構造は、建物10の屋外に面した床梁12及び天井梁14に外壁ユニット30を固定して形成される外壁内における断熱材の配置構造である。この断熱構造は、床梁12、天井梁14、第一断熱材20、外壁ユニット30を備えて形成されている。
【0034】
(床梁、天井梁)
床梁12は、アングル形状の鋼材であり、両端が図示しない柱に固定されている。天井梁14は、床梁12と同様にアングル形状の鋼材であり、床梁12の上方において、床梁12に沿って配置され、床梁12が固定された柱と同じ柱に、両端が固定されている。
【0035】
(第一断熱材)
第一断熱材20は、グラスウール又はロックウールがフィルムで被覆して形成された袋状断熱材である。フィルムとしては、水分が透過し難い(防湿性の)膜材が用いられており、内部のグラスウールやロックウールが、空気中の水蒸気に晒されることが抑制されている。
【0036】
第一断熱材20は、床梁12と天井梁14との間に配置されている。第一断熱材20の配置方法は後述するように特に限定されるものではないが、一例として、建物10の外壁において屋内側に配置される面材16Aに接着剤によって固定してもよい。
【0037】
(外壁ユニット)
図2に示すように、外壁ユニット30は、フレーム31、外壁パネル40及び第二断熱材50を備えて形成されている。
【0038】
ここで、
図3には、
図2に示すA-A線矢視図が、フレーム31を分解した状態で示されている。フレーム31は、フレーム本体32、上ブラケット34及び下ブラケット36を備えて形成されている。
【0039】
フレーム本体32は、それぞれチャンネル形状の鋼材である横桟32A、32B、中桟32C及び縦桟32Dを備えており、枠状に形成されている。横桟32Aは、上枠を形成する横架材であり、横桟32Bは、下枠を形成する横架材である。
【0040】
上下に配置された横桟32A及び32Bには、2本の縦桟32Dが架け渡されている。縦桟32Dは、それぞれ横桟32A及び32Bの両端部を連結する繋ぎ材であり、上下方向に沿って配置されている。
【0041】
中桟32Cは、2本の縦桟32D間に架け渡された横架材である。中桟32Cは、上下方向に2本設けられている。なお、中桟32Cの本数は、縦桟32Dの長さに応じて、適宜増減してもよい。
【0042】
上ブラケット34は、本開示における連結ブラケットの一例であり、横桟32Aに沿って所定の間隔で複数設けられると共に、縦桟32Dに沿う縦長形状とされている。具体的には、上ブラケット34は、横桟32Aの両端部であって、2本の縦桟32Dそれぞれとの接合部に設けられている。すなわち、本例における「所定の間隔」とは縦桟32Dの間隔である。また、上ブラケット34は、横桟32Aの両端部から縦桟32Dに沿って下方へ延出された縦長形状とされている。
【0043】
下ブラケット36は、横桟32Bに沿って所定の間隔で複数設けられると共に、縦桟32Dに沿う縦長形状とされている。具体的には、下ブラケット36は、横桟32Bの両端部であって、2本の縦桟32Dそれぞれとの接合部に設けられている。また、下ブラケット36は、横桟32Bの両端部から縦桟32Dの延長線に沿って下方へ延出された縦長形状とされている。
【0044】
図2に示すように、上ブラケット34とフレーム本体32(横桟32A及び縦桟32D)とは、ボルトB1を用いて上下方向に並ぶ2箇所で固定されている。同様に、下ブラケット36とフレーム本体32(横桟32B)とは、ボルトB1を用いて1箇所で固定されている。
【0045】
外壁パネル40は、フレーム31(フレーム本体32)の屋外側に固定された面材であり、例えば窯業系のサイディングを用いて形成されている。
【0046】
(第二断熱材)
第二断熱材50は、外壁ユニット30に設けられた断熱材であり、グラスウール又はロックウールが板状に成型された板状断熱材である。第二断熱材50は、縦桟32D及び中桟32Cに接着剤などを用いて固定されている。なお、第二断熱材50は、溶接ピンなどを用いて縦桟32D及び中桟32Cに固定してもよく、固定方法は特に限定されるものではない。第二断熱材50は、
図1に示すように、第一断熱材20と面接触した状態で配置される。
【0047】
(断熱方法)
上記の断熱構造は、次のようにして施工される。
【0048】
まず、
図3に示すように、枠状のフレーム31の上端部に上ブラケット34を固定し、下端部に下ブラケット36を固定する。
【0049】
次に、
図2に示すように、フレーム31の一方側、より具体的には、フレーム本体32(横桟32A、32B、中桟32C及び縦桟32D)において、上ブラケット34及び下ブラケット36が固定された側と反対側へ、外壁パネル40を固定する。また、フレーム31の他方側、より具体的にはフレーム本体32(中桟32C及び縦桟32D)において、上ブラケット34及び下ブラケット36に挟まれた位置へ、第二断熱材50を固定する。これにより、外壁ユニット30が形成される。
【0050】
外壁ユニット30には、必要に応じて、塗装が施される。外壁ユニット30に塗装を施す塗装ラインは、高温状態の塗料を外壁ユニット30へ噴射・乾燥するために、気温より高温であり、例えば袋状断熱材である第一断熱材20を形成するフィルムが変形し得る温度である。
【0051】
次に、外壁ユニット30を、建物10を形成する床梁12及び天井梁14へ固定する。具体的には、上ブラケット34を、上下方向の2箇所において、ボルトB2を用いて天井梁14へ固定する。また、下ブラケット36を、ボルトB2を用いて、床梁12へ固定する。以上の工程は、工場において実施される。
【0052】
次に、外壁ユニット30が固定された住宅ユニットを運搬し、建設現場へ搬入する。建設現場では、複数の住宅ユニットを組み合わせたうえで、
図1に示すように、外壁ユニット30の内側へ、配線HLを敷設する。
【0053】
また、配線HLの敷設の後で、面材16Aを含む内装材を施工する。この際、第一断熱材20を設置して、第一断熱材20と第二断熱材50とを面接触させる。これにより、第一断熱材20及び第二断熱材50による2層の断熱層が形成される。なお、床梁12及び天井梁14におけるフランジ間にも、断熱材22が充填されるが、この断熱材22は所望のタイミングで施工できる。各種内装材の施工順序は、配線HLの施工前でもよい。
【0054】
配線HLとしては、給水管、排水管及び電線など、各種の管を配置することができる。配線HLは、上ブラケット34及び下ブラケット36によって形成された空間、すなわち、天井梁14及び床梁12と、外壁ユニット30との間の空間に敷設される。
【0055】
また、配線HLは、第二断熱材50及び第一断熱材20と干渉しない位置において、横引きされる。さらに、配線HLは、第二断熱材50及び第一断熱材20によって挟まれた位置において縦引きすることができる。
【0056】
<作用及び効果>
本開示の断熱構造では、
図1に示すように、第一断熱材20が床梁12と天井梁14との間に配置され、床梁12及び天井梁14の屋外側に固定される外壁ユニット30に第二断熱材50が配置されている。すなわち、断熱層が2層構成となっている。
【0057】
このため、1層の断熱材で同じ厚みの断熱層を形成する場合と比較して、それぞれの断熱材の厚みを薄くできる。これにより、外壁ユニット30だけに断熱材(第二断熱材50より厚みが大きい断熱材)を配置する場合と比較して、外壁ユニット30の重量を軽くできる。
【0058】
あるいは、床梁12と天井梁14との間だけに断熱材(第一断熱材20より厚みが大きい断熱材)を配置する場合と比較して、断熱材の重量を軽くできる。このように部材の重量が軽くなると、運搬し易いので施工性が高い。
【0059】
また、断熱材が2層構成となっていることにより、上述したように、それぞれの層の間に配線HLを通して断熱することができる。このため、例えば温水管等を断熱すれば、給湯設備の運転負荷を低減できる。
【0060】
また、本開示の断熱構造では、外壁ユニット30に第二断熱材50として板状断熱材が用いられている。板状断熱材は形状が安定しているためフィルムで被覆しなくても運搬できる。そして、例えば第二断熱材50を含む外壁ユニット30を高温環境の塗装ラインに通してもフィルムが融解することがない。このように、第二断熱材50として板状断熱材を用いれば、外壁ユニット30を加工し易い。
【0061】
一方、床梁12と天井梁14との間に配置された第一断熱材20は袋状断熱材であり、フィルムで被覆されている。このため、フィルム内部の断熱材が吸湿し難く、内部結露を抑制できる。このように、第一断熱材20として袋状断熱材を用いれば、断熱性能を高められる。
【0062】
また、本開示の断熱構造では、
図2に示すように、フレーム31が、フレーム本体32と連結ブラケットとしての上ブラケット34とを備えて形成されている。上ブラケット34は、フレーム本体32を天井梁14へ連結する。このため、上ブラケット34の寸法(X方向に沿う寸法、屋外側への出寸法)を調整すれば、フレーム本体32と天井梁14との間隔を調整できる。これにより、フレーム本体32の屋内側に固定される第二断熱材50の厚みを調整できる。また、第二断熱材50の厚みを変えても、フレーム本体32は共通化されたものを用いることができる。
【0063】
さらに、
図3に示すように、上ブラケット34は縦桟32Dに沿う縦長形状とされているため、
図2に示すように、上下方向の複数箇所(本例では2箇所)で天井梁14へ連結できる。これにより、複数の連結箇所を介して、外壁ユニット30の鉛直荷重を支持できる。また、天井梁14から外側へ跳ね出す外壁ユニット30から天井梁14へ作用する回転モーメントに対して抵抗し易い。
【0064】
<変形例>
(第一変形例)
第一変形例に係る断熱構造では、
図4に示すように、上記の上ブラケット34及び下ブラケット36に代えて、上ブラケット54及び下ブラケット56が用いられている。
【0065】
上ブラケット54は、本開示における連結ブラケットの一例であり、横桟32Aに沿う長尺形状とされ、
図4に示すように、横桟32AにボルトB1で固定された状態で、フレーム本体32を天井梁14へ連結する。上ブラケット54は、
図4の奥行き方向(横桟32Aの延設方向)の複数箇所において、横桟32Aへ固定される。また、上ブラケット54の上下方向に沿う寸法は、上述した上ブラケット34の上下方向に沿う寸法より小さい。
【0066】
図5に示すように、下ブラケット56は、横桟32Bに沿う長尺形状とされ、
図4に示すように、横桟32BにボルトB1で固定された状態で、フレーム本体32を床梁12へ連結する。下ブラケット56は、
図4の奥行き方向(横桟32Bの延設方向)の複数箇所において、横桟32Bへ固定される。
【0067】
(第一変形例の効果)
第一変形例に係る断熱構造では、
図5に示すように、連結ブラケットとしての上ブラケット54が、横桟32Aに沿う長尺形状とされているため、横方向の複数箇所で
図4に示す天井梁14へ連結できる。これにより、複数の連結箇所を介して、外壁ユニット30の鉛直荷重を支持できる。
【0068】
また、上ブラケットが縦長形状の場合と比較して、上ブラケット54の下方に空間を形成できるため、この空間に配線HLなどを設置することができる。上ブラケット54の上下方向に沿う寸法は、上ブラケット34の上下方向に沿う寸法より小さいため、より多くの配線HLを収容できる。
【0069】
(第二変形例)
第二変形例に係る断熱構造では、
図6及び
図7に示すように、上記の連結ブラケット(上ブラケット34、54)及び下ブラケット36、56等が省略され、かつ、横桟32A、32Bに代えて、横桟32E、32Fが用いられている。
【0070】
横桟32E、32Fは、
図6に示すように、縦桟32Dより屋内側へ跳ね出した状態で天井梁14へ連結されている。
【0071】
(第二変形例の効果)
第二変形例に係る断熱構造では、フレーム31が、連結ブラケット(上ブラケット34、54)及び下ブラケット36、56を備えておらず、縦桟32Dより屋内側へ跳ね出した横桟32Eによって天井梁14へ連結される。
【0072】
このため、横桟32Eの寸法を調整すれば、フレーム本体32と天井梁14との間隔を調整できる。これにより、フレーム31をフレーム本体32及び連結ブラケットで構成する場合と比較して、フレーム31の部材点数を少なくできる。
【0073】
さらに、横桟32Eが天井梁へ連結されるため、横方向の複数箇所で天井梁14へ連結できる。これにより、複数の連結箇所を介して、外壁ユニット30の鉛直荷重を支持できる。また、連結ブラケットを用いる場合と比較して、横桟32Eの下方により広い空間を形成できるため、より多くの配線HLを収容できる。
【0074】
(その他の変形例)
上記の実施形態においては、外壁ユニット30を天井梁14及び床梁12に固定した後、配線HLを敷設して、面材16Aに固定した第一断熱材20を、外壁ユニット30における第二断熱材50へ接触するように配置したが、本開示の実施形態はこれに限らない。
【0075】
例えば予め面材16Aに固定した第一断熱材20及び配線HLを住宅ユニットに取付けておき、その後、外壁ユニット30を天井梁14及び床梁12へ固定して、第一断熱材20と第二断熱材50とを接して配置してもよい。
【0076】
また、第一断熱材20は必ずしも面材16Aに固定する必要はない。例えば第一断熱材20を、天井梁14及び床梁12に固定された外壁ユニット30における第二断熱材50へ接触するように配置して、第一断熱材20に面材16Aを押し付けて配置してもよい。この場合、第一断熱材20は、例えば第二断熱材50へ接着剤などで固定してもよい。また、第一断熱材20を形成するフィルムの一部を、第一断熱材20の間に設けられた下地材などに固定してもよい。あるいは、第一断熱材20は、第二断熱材50と面材16Aとの間で圧縮して保持してもよい。
【符号の説明】
【0077】
12 床梁
14 天井梁
20 第一断熱材
30 外壁ユニット
31 フレーム
32 フレーム本体
32A 横桟
32B 横桟
32D 縦桟
32E 横桟
34 上ブラケット(連結ブラケット)
50 第二断熱材
54 上ブラケット(連結ブラケット)