IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青島海爾洗衣机有限公司の特許一覧 ▶ ハイアールアジアインターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗濯乾燥機 図1
  • 特開-洗濯乾燥機 図2
  • 特開-洗濯乾燥機 図3
  • 特開-洗濯乾燥機 図4
  • 特開-洗濯乾燥機 図5
  • 特開-洗濯乾燥機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165561
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20231109BHJP
   D06F 33/50 20200101ALI20231109BHJP
【FI】
D06F58/02 F
D06F58/02 J
D06F33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076763
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】金田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】八田 聡
(72)【発明者】
【氏名】福井 秋陸
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA12
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE04
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA22
3B166BA55
3B166BA78
3B166BA83
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB02
3B166CB11
3B166CB12
3B166CD02
3B166CD05
3B166CD15
3B166DA35
3B166DB03
3B166DB18
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE04
3B166DE08
3B166EA02
3B166EA03
3B166EA14
3B166EA18
3B166EC18
3B166EC22
3B166ED05
3B166ED06
3B166EE07
3B166GA02
3B166GA05
3B166GA06
3B166GA07
3B166GA12
3B166GA13
3B166HA11
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
3B167AA02
3B167AA12
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA22
3B167BA55
3B167BA78
3B167BA83
3B167JA51
3B167KA18
3B167KB16
3B167LC08
3B167LC09
3B167LC19
3B167LC20
3B167LD03
3B167LE06
3B167LF01
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】機外に冷風が吹き出す冷風運転と機外に温風が吹き出す温風運転とを、ヒートポンプ装置の構成を大きく変更することなく実行でき得る洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機1は、冷風路140が開放されるとともに温風路150が閉鎖され且つ給気口103から給気される状態で送風器120およびヒートポンプ装置130を動作させ、第1熱交換器131により冷却された空気を、冷風路140を流通させて冷風吹出口101から吹き出させる冷風運転と、冷風路140が閉鎖されるとともに温風路150が開放され且つ給気口103から給気される状態で送風器120およびヒートポンプ装置130を動作させ、第2熱交換器132により加熱された空気を、温風路150を流通させて温風吹出口102から吹き出させる温風運転と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記外槽に接続された循環路と、
前記循環路内に配置され、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風器と、
前記循環路内に配置された第1熱交換器と、前記循環路内の前記第1熱交換器の下流側に配置された第2熱交換器とを含み、前記第1熱交換器を流れる低温の冷媒との熱交換により前記循環路を流れる空気を冷却し、前記第2熱交換器を流れる高温の冷媒との熱交換により前記循環路を流れる空気を加熱するヒートポンプ装置と、
前記循環路の前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間の位置から分岐し、前記第1熱交換器により冷却された空気が流通可能な第1風路と、
前記第1風路を流れた空気が外部に吹き出す第1吹出口と、
前記第1風路の開閉を行う第1開閉部と、
前記循環路の前記第2熱交換器の下流の位置から分岐し、前記第2熱交換器により加熱された空気が流通可能な第2風路と、
前記第2風路を流れた空気が外部に吹き出す第2吹出口と、
前記第2風路の開閉を行う第2開閉部と、
前記循環路内の前記送風器の上流に供給される外気が取り込まれる給気口と、
前記給気口からの給気の可否を切り替える切替部と、
前記送風器、前記ヒートポンプ装置、前記第1開閉部、前記第2開閉部および前記切替部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1風路および前記第2風路が閉鎖され且つ前記給気口から給気されない状態で前記送風器および前記ヒートポンプ装置を動作させ、前記第2熱交換器により加熱された空気を前記循環路と前記外槽との間で循環させて、前記洗濯槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥運転と、
前記第1風路が開放されるとともに前記第2風路が閉鎖され且つ前記給気口から給気される状態で前記送風器および前記ヒートポンプ装置を動作させ、前記第1熱交換器により冷却された空気を、前記第1風路を流通させて前記第1吹出口から吹き出させる冷風運転と、
前記第1風路が閉鎖されるとともに前記第2風路が開放され且つ前記給気口から給気される状態で前記送風器および前記ヒートポンプ装置を動作させ、前記第2熱交換器により加熱された空気を、前記第2風路を流通させて前記第2吹出口から吹き出させる温風運転と、を実行する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記冷風運転の際に開放され、前記第1風路に向かわずに前記第2熱交換器を通過した後に前記外槽内に導入された空気を、前記外槽の外に排気させる排気部を、さらに備える、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記排気部は、前記外槽内に溜められた水を、前記洗濯乾燥機が設置された部屋に設けられた排水パイプに排出させる排水路であり、
前記制御部は、前記冷風運転において、前記排水路に設けられた排水バルブを開放させる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯乾燥機において、
前記洗濯槽は、横軸型のドラムであり、
前記筐体の前面に、前記ドラム内に洗濯物を投入するための投入口が設けられ、
前記第2吹出口は、前記筐体の天面に設けられる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯乾燥機において、
前記第1吹出口は、前記筐体の前面における前記投入口よりも上の位置に設けられる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗濯乾燥機において、
前記循環路は、前記筐体内において、前記外槽の上方に配置される、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物を乾燥させるための空気を、ヒートポンプを利用して加熱および除湿する洗濯乾燥機において、乾燥運転に加えて、暖房および冷房の空調運転を実行できる洗濯乾燥機が、以下の特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1の洗濯乾燥機では、水槽に接続された通風路内に、第1熱交換器である蒸発器と第2熱交換器である凝縮器が配置される。蒸発器および凝縮器は、圧縮機とともにヒートポンプを構成する。また、通風路内には、送風機が配置される。
【0004】
水槽の温風出口は、通風路を構成する還風ダクトに接続される。還風ダクトの上端部の前面部に形成された空調用吹出口が、接続ホースおよび連通路を介して、外箱の前面部の上部に開口する空調出口部に接続される。空調吹出口には、ダンパーが設けられる。還風ダクトの下部の前壁面には、空気取入口が形成される。空気取入口には、ダンパーが設けられる。
【0005】
暖房の空調運転が行われる際には、空調吹出口と空気取入口が開放される。圧縮機と送風機が作動すると、外の空気が空気取入口から通風路内に吸入され、蒸発器で冷却されて除湿され、その後に凝縮器で加熱されて温風化される。温風は、水槽に供給された後に温風出口から還風ダクト内に流入し、空調用吹出口、接続ホースおよび連通路を経て空調出口部から機外の前方に吹き出す。
【0006】
冷房の空調運転のために、ヒートポンプには、第1熱交換器および第2熱交換器と、圧縮機との間に四方弁が設けられる。暖房の空調運転が行われる際には、第1熱交換器が凝縮器となり、第2熱交換器が蒸発器となるように四方弁が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4791882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の洗濯乾燥機では、冷房および暖房の空調運転を行うために、四方弁が備えられた、乾燥運転のみを行う場合よりも高機能なヒートポンプを用いる必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、機外に冷風が吹き出す冷風運転と機外に温風が吹き出す温風運転とを、ヒートポンプ装置の構成を大きく変更することなく実行でき得る洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記外槽に接続された循環路と、前記循環路内に配置され、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風器と、前記循環路内に配置された第1熱交換器と、前記循環路内の前記第1熱交換器の下流側に配置された第2熱交換器とを含み、前記第1熱交換器を流れる低温の冷媒との熱交換により前記循環路を流れる空気を冷却し、前記第2熱交換器を流れる高温の冷媒との熱交換により前記循環路を流れる空気を加熱するヒートポンプ装置と、前記循環路の前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間の位置から分岐し、前記第1熱交換器により冷却された空気が流通可能な第1風路と、前記第1風路を流れた空気が外部に吹き出す第1吹出口と、前記第1風路の開閉を行う第1開閉部と、前記循環路の前記第2熱交換器の下流の位置から分岐し、前記第2熱交換器により加熱された空気が流通可能な第2風路と、前記第2風路を流れた空気が外部に吹き出す第2吹出口と、前記第2風路の開閉を行う第2開閉部と、前記循環路内の前記送風器の上流に供給される外気が取り込まれる給気口と、前記給気口からの給気の可否を切り替える切替部と、前記送風器、前記ヒートポンプ装置、前記第1開閉部、前記第2開閉部および前記切替部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記第1風路および前記第2風路が閉鎖され且つ前記給気口から給気されない状態で前記送風器および前記ヒートポンプ装置を動作させ、前記第2熱交換器により加熱された空気を前記循環路と前記外槽との間で循環させて、前記洗濯槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥運転と、前記第1風路が開放されるとともに前記第2風路が閉鎖され且つ前記給気口から給気される状態で前記送風器および前記ヒートポンプ装置を動作させ、前記第1熱交換器により冷却された空気を、前記第1風路を流通させて前記第1吹出口から吹き出させる冷風運転と、前記第1風路が閉鎖されるとともに前記第2風路が開放され且つ前記給気口から給気される状態で前記送風器および前記ヒートポンプ装置を動作させ、前記第2熱交換器により加熱された空気を、前記第2風路を流通させて前記第2吹出口から吹き出させる温風運転と、を実行する。
【0011】
本態様に係る洗濯乾燥機によれば、冷風運転で第1吹出口から吹き出す冷風により、ユーザが涼むことができる。また、温風運転で第2吹出口から吹き出す温風により、室内を乾かしてカビの発生を抑制させたり、室内を温めたりできる。
【0012】
しかも、冷風運転および温風運転の実行に合わせて、第1熱交換器および第2熱交換器を、凝縮器と蒸発器との間で切り替えなくてよいので、乾燥運転のみを行うものからヒートポンプ装置の構成を大きく変更することなく、冷風運転および温風運転が可能な洗濯乾燥機を実現できる。
【0013】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記冷風運転の際に開放され、前記第1風路に向かわずに前記第2熱交換器を通過した後に前記外槽内に導入された空気を、前記外槽の外に排気させる排気部を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0014】
上記の構成によれば、第2熱交換器を流れる冷媒を、第1熱交換器からの冷風により冷却できるので、ヒートポンプ装置を長い時間、動作させやすくなる。
【0015】
上記の構成とされた場合、前記排気部は、前記外槽内に溜められた水を、前記洗濯乾燥機が設置された部屋に設けられた排水パイプに排出させる排水路とされ得る。この場合、前記制御部は、前記冷風運転において、前記排水路に設けられた排水バルブを開放させ得る。
【0016】
このような構成とされれば、冷却運転の際、外槽内に導入された温風を、排水路を利用して外槽の外に排出できるので、専用の排気部を設けなくてよい。
【0017】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記洗濯槽は、横軸型のドラムであり、前記筐体の前面に、前記ドラム内に洗濯物を投入するための投入口が設けられるような構成が採られ得る。この場合、前記第2吹出口は、前記筐体の天面に設けられ得る。
【0018】
上記の構成によれば、第2吹出口から筐体の上方に温風を吹き出すことができ、湿気が溜まりやすい部屋の上部を良く乾かすことができる。
【0019】
上記の構成とされた場合、前記第1吹出口は、前記筐体の前面における前記投入口よりも上の位置に設けられ得る。
【0020】
このような構成とされれば、第1吹出口から吹き出した冷風がユーザの上半身に当たりやすくなる。
【0021】
上記の構成とされた場合、前記循環路は、前記筐体内において、前記外槽の上方に配置され得る。
【0022】
このような構成とされれば、冷風路および温風路を短くできるので、循環路からの温度変化が小さい状態の冷風および温風を機外へ吹き出させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、機外に冷風が吹き出す冷風運転と機外に温風が吹き出す温風運転とを、ヒートポンプ装置の構成を大きく変更することなく実行でき得る洗濯乾燥機を提供できる。
【0024】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施の形態に係る、洗濯乾燥機の構成を模式的に示す側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、洗濯乾燥機の構成を示すブロック図である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る、乾燥運転において制御部により実行される制御動作を示すフローチャートである。図3(b)は、実施の形態に係る、乾燥運転での洗濯乾燥機の動作について説明するための図である。
図4図4(a)は、実施の形態に係る、冷風運転において制御部により実行される制御動作を示すフローチャートである。図4(b)は、実施の形態に係る、冷風運転での洗濯乾燥機の動作について説明するための図である。
図5図5(a)は、実施の形態に係る、温風運転において制御部により実行される制御動作を示すフローチャートである。図5(b)は、実施の形態に係る、温風運転での洗濯乾燥機の動作について説明するための図である。
図6図6(a)は、変更例1に係る、洗濯乾燥機の構成を示す図である。図6(b)は、変更例2に係る、洗濯乾燥機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の洗濯乾燥機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、洗濯乾燥機1の構成を模式的に示す側面断面図である。
【0028】
本実施の形態の洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、方形箱状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0029】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸Lの周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。投入口11および開口部23aを通じてドラム23内に洗濯物が投入される。ドラム23は、本発明の洗濯槽に相当する。
【0030】
外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に、図示しないパッキンを介して投入口11に繋がる円形の開口部20aを有する。
【0031】
ドラム23の周面壁には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23内には、周面壁に、洗濯物を掻き揚げるためのバッフル24が設けられる。なお、ドラム23は、横軸型であれば、傾斜した回転軸の周りに回転するものであってもよい。
【0032】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程、すすぎ工程および乾燥工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の周面壁に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0033】
外槽20の底部には、排水口20bが形成される。排水口20bには、排水ホース等により構成される排水路40が接続される。排水路40には、排水バルブ41と排水フィルタ42が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水路40は、本発明の排気部に相当する。
【0034】
排水路40は、洗濯乾燥機1が設置される脱衣室等の部屋の床に設けられた排水パイプ2に接続される。排水パイプ2は、水が溜まるU字トラップを有する。
【0035】
排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水路40を通じて排水パイプ2に排出される。排水フィルタ42により、排水に含まれるリント等の異物が捕獲される。
【0036】
筐体10内の上部には、給水部50が配置される。給水部50は、給水バルブ51と、給水ホース52とを含む。給水ホース52は、一端が給水バルブ51に接続され、他端が外槽20の背面に設けられた注水口20cに接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が給水ホース52を流れて注水口20cから外槽20内に供給される。
【0037】
筐体10内の上部には、加熱された空気によりドラム23内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置100が配置される。乾燥装置100は、循環路110と、送風器120と、第1熱交換器131と、第2熱交換器132と、を備える。
【0038】
循環路110は、空気が流れる風路であり、外槽20に接続される。循環路110は、第1ダクト111と、ファンケーシング112と、第2ダクト113と、導入パイプ114とを含む。循環路110は、筐体10内において、外槽20の上方に配置される。
【0039】
第1ダクト111は、一端が外槽20の背面に設けられた排気口20dに接続され、他端がファンケーシング112の吸込口に接続される。排気口20dは、外槽20の周面後部に設けられてもよい。
【0040】
第2ダクト113は、前後方向に長い箱状を有し、外槽20の上方であって、ファンケーシング112の前方に配置される。第2ダクト113は、後端がファンケーシング112の吐出口に接続される。導入パイプ114は、第2ダクト113の前端から延びて、外槽20の前上部に形成された導入口20eに接続される。
【0041】
送風器120は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング112内に収容されたファン121と、ファン121を回転駆動するためのファンモータ122とを含む。送風器120は、外槽20と循環路110との間で空気を循環させる。排気口20dを通じて外槽20内から排出された空気は、第1ダクト111、ファンケーシング112、第2ダクト113、導入パイプ114の順に循環路110内を流れ、導入口20eを通じて外槽20内に戻る。
【0042】
第1熱交換器131および第2熱交換器132は、それぞれ、第2ダクト113内の上流側および下流側に配置される。第1熱交換器131および第2熱交換器132は、それぞれ、蒸発器および凝縮器であり、ヒートポンプ装置130に含まれる。
【0043】
ヒートポンプ装置130は、第1熱交換器131および第2熱交換器132の他、コンプレッサ133と、冷媒循環路134と、減圧器135とを含む。コンプレッサ133は、冷媒を圧縮する。冷媒循環路134は、第1熱交換器131および第2熱交換器132と、コンプレッサ133との間を接続し、冷媒を循環させる。減圧器135は、たとえば、膨張弁であり、冷媒循環路134の第1熱交換器131と第2熱交換器132との間に配置され、冷媒を減圧する。減圧器135は、キャピラリーチューブであってもよい。
【0044】
コンプレッサ133が動作すると、コンプレッサ133で圧縮されて高温高圧となった冷媒が第2熱交換器132へと流れる。第2熱交換器132を流れる高温の冷媒との熱交換により循環路110を流れる空気が加熱される。空気により冷やされた冷媒は、減圧器135を通って減圧され、低温低圧となり、第1熱交換器131へと流れる。第1熱交換器131を流れる低温の冷媒との熱交換により循環路110を流れる空気が冷却され、除湿される。空気により温められた冷媒は、コンプレッサ133へと戻る。
【0045】
筐体10には、前面の投入口11よりも上の位置に、前方に開口する冷風吹出口101が設けられる。さらに、筐体10には、天面の前部に、上方に開口する温風吹出口102が設けられ、天面の後部に、上方に開口する給気口103が設けられる。冷風吹出口101および温風吹出口102は、たとえば、左右方向に長い長方形状に形成される。冷風吹出口101は、本発明の第1吹出口に相当し、温風吹出口102は、本発明の第2吹出口に相当する。
【0046】
なお、冷風吹出口101を前方上方に向けたり冷風吹出口101に前方上方に傾くルーバを設けたりすることにより、冷風が洗濯乾燥機1の前方上方に向けて吹き出すようにされてもよい。また、給気口103は、筐体10の天面でなく、後面や左右の側面に設けられてもよい。
【0047】
乾燥装置100は、冷風路140と、温風路150と、給気路160と、外槽出口バルブ171と、外槽入口バルブ172と、冷風路バルブ173と、温風路バルブ174と、給気バルブ175とを備える。
【0048】
冷風路140は、循環路110の第1熱交換器131と第2熱交換器132との間の位置から分岐し、冷風吹出口101に繋がる。第1熱交換器131により冷却された空気が、冷風として、冷風路140内を流れることができる。冷風路140内を流れた冷風は、冷風吹出口101から外部、即ち洗濯乾燥機1の前方に吹き出す。冷風路140は、本発明の第1風路に相当する。
【0049】
温風路150は、循環路110の第2熱交換器132の下流の位置から分岐し、温風吹出口102に繋がる。第2熱交換器132により加熱された空気が、温風として、温風路150内を流れることができる。温風路150内を流れた温風は、温風吹出口102から外部、即ち洗濯乾燥機1の上方に吹き出す。温風路150は、本発明の第2風路に相当する。
【0050】
給気路160は、給気口103から延びて循環路110の送風器120の上流、即ち第1ダクト111の途中に接続される。給気口103から外気が取り込まれ、給気路160を通じて循環路110の送風器120の上流に供給される。
【0051】
外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172、冷風路バルブ173、温風路バルブ174、給気バルブ175は、たとえば、フラップと、フラップを駆動するアクチュエータとにより構成される。
【0052】
外槽出口バルブ171は、循環路110の空気入口近傍に配置され、その開閉により循環路110の空気入口を開閉する。循環路110の空気入口は、外槽20の空気出口である排気口20dである。外槽出口バルブ171の閉鎖により排気口20dが閉鎖されると、外槽20から循環路110へ空気が流れなくなる。
【0053】
外槽入口バルブ172は、循環路110の空気出口近傍に配置され、その開閉により循環路110の空気出口を開閉する。循環路110の空気出口は、外槽20の空気入口である導入口20eである。外槽入口バルブ172の閉鎖により導入口20eが閉鎖されると、循環路110から外槽20へ空気が流れなくなる。
【0054】
冷風路バルブ173は、冷風路140に配置され、その開閉により冷風路140の開閉を行う。冷風路バルブ173は、冷風路140の空気入口、空気出口および中間部の何れの位置に設けられてもよい。冷風路バルブ173の閉鎖により冷風路140が閉鎖されると、冷風路140内を空気、即ち冷風が流通できなくなる。冷風路バルブ173は、本発明の第1開閉部に相当する。
【0055】
温風路バルブ174は、温風路150に配置され、その開閉により温風路150の開閉を行う。温風路バルブ174は、温風路150の空気入口、空気出口および中間部の何れの位置に設けられてもよい。温風路バルブ174の閉鎖により温風路150が閉鎖されると、温風路150内を空気、即ち温風が流通できなくなる。温風路バルブ174は、本発明の第2開閉部に相当する。
【0056】
給気バルブ175は、給気路160に配置され、その開閉により給気路160の開閉を行うことによって、給気口103からの給気の可否を切り替える。給気バルブ175は、給気路160の空気入口、空気出口および中間部の何れの位置に設けられてもよい。給気バルブ175の開放により給気路160が開放されると、給気口103から外気を取り込んで循環路110へ供給できるようになる。給気バルブ175は、本発明の切替部に相当する。
【0057】
図2は、洗濯乾燥機1の構成を示すブロック図である。
【0058】
洗濯乾燥機1は、上述した構成に加え、制御部201と、記憶部202と、操作部203と、水位センサ204と、モータ駆動部205と、給水駆動部206と、排水駆動部207と、ファン駆動部208と、コンプレッサ駆動部209と、風路切替駆動部210と、を備える。
【0059】
操作部203は、洗濯乾燥機1に対する電源の投入および遮断を行うための電源ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンと、複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンと、冷風運転を開始および停止させるための冷風ボタンと、温風運転を開始および停止させるための温風ボタンと、を含む。操作部203は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部201に出力する。
【0060】
水位センサ204は、外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部201に出力する。
【0061】
モータ駆動部205は、制御部201からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部205は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部201により設定された目標回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0062】
給水駆動部206は、制御部201からの制御信号に従って、給水バルブ51を駆動する。排水駆動部207は、制御部201からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0063】
ファン駆動部208は、制御部201からの制御信号に従って、送風器120のファンモータ122を駆動する。コンプレッサ駆動部209は、制御部201からの制御信号に従って、コンプレッサ133を駆動する。風路切替駆動部210は、制御部201からの制御信号に従って、外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172、冷風路バルブ173、温風路バルブ174および給気バルブ175を駆動する。
【0064】
記憶部202は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部202には、各種運転コースの洗濯運転および乾燥運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部202には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0065】
制御部201は、操作部203、水位センサ204等からの各信号に基づいて、記憶部202に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部205、給水駆動部206、排水駆動部207、ファン駆動部208、コンプレッサ駆動部209、風路切替駆動部210等を制御する。これにより、制御部201は、駆動モータ30、排水バルブ41、給水バルブ51、送風器120、ヒートポンプ装置130、外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172、冷風路バルブ173、温風路バルブ174および給気バルブ175を制御する。
【0066】
さて、洗濯乾燥機1では、制御部201による制御の下、洗濯運転および乾燥運転を行うことができる。洗濯乾燥機1で実行される各種の運転コースには、洗濯運転に続いて乾燥運転を行う各種の洗濯乾燥コース、洗濯運転のみを行う各種の洗濯コースおよび乾燥運転のみを行う各種の乾燥コースが含まれる。
【0067】
洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、最終脱水工程が、順番に実行される。運転コースによっては、洗濯運転において、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上、実行される場合がある。
【0068】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた所定水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0069】
すすぎ工程では、外槽20内に所定水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0070】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の周壁面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0071】
乾燥運転では、乾燥工程が実行される。
【0072】
図3(a)は、乾燥運転において制御部201により実行される制御動作を示すフローチャートである。図3(b)は、乾燥運転での洗濯乾燥機1の動作について説明するための図である。なお、図3(b)では、便宜上、外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172、冷風路バルブ173、温風路バルブ174、給気バルブ175および排水バルブ41のうち、開放されているバルブが破線で示されている。この点は、以下の図4(b)、図5(b)においても同様である。
【0073】
本実施の形態では、洗濯乾燥機1が待機している状態、即ち洗濯運転または乾燥運転が行われていない状態において、外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172、冷風路バルブ173、温風路バルブ174、給気バルブ175および排水バルブ41は、全て閉鎖されている。
【0074】
図3(a)を参照して、乾燥運転が開始されると、制御部201は、外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172および排水バルブ41を開放する(S101)。これにより、外槽20の排気口20d、導入口20eおよび排水路40が開放される。冷風路バルブ173、温風路バルブ174および給気バルブ175は閉鎖されており、冷風路140および温風路150が閉鎖され且つ給気口103から給気されない状態にある。
【0075】
制御部201は、駆動モータ30、送風器120およびコンプレッサ133、即ちヒートポンプ装置130を始動させる(S102)。
【0076】
図3(b)に示すように、ドラム23が回転し、ドラム23内で洗濯物がタンブリングする。さらに、送風器120の回転により外槽20と循環路110との間で空気が循環し、第2熱交換器132により外槽20に導入される空気が加熱され、温風となる。導入口20eから外槽20内に導入された温風が、開口部23aを通ってドラム23内に入り、タンブリングする洗濯物に当たる。これにより、洗濯物が乾燥する。
【0077】
洗濯物から水分を奪った温風は、脱水孔23bを通って外槽20内へ排出され、排気口20dから循環路110へ戻る。循環路110内において、温風は、第2熱交換器132で加熱される前に第1熱交換器131を通過し、第1熱交換器131により冷却されて除湿される。
【0078】
制御部201は、所定の乾燥時間が経過するなど、乾燥終了条件が成立したと判定すると(S103:YES)、駆動モータ30、送風器120およびコンプレッサ133を停止させる(S104)。さらに、制御部201は、外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172および排水バルブ41を閉鎖する(S105)。
【0079】
こうして、乾燥運転が終了する。
【0080】
本実施の形態の洗濯乾燥機1では、ヒートポンプ装置130を備えた乾燥装置100を用いることにより、乾燥運転に加えて、冷風運転および温風運転を行うことができる。冷風運転では、第1熱交換器131での除湿および冷却により乾いた冷風が生成され、冷風吹出口101から吹き出す。温風運転では、第1熱交換器131での除湿と第2熱交換器132での加熱により乾いた温風が生成され、温風吹出口102から吹き出す。
【0081】
図4(a)は、冷風運転において制御部201により実行される制御動作を示すフローチャートである。図4(b)は、冷風運転での洗濯乾燥機1の動作について説明するための図である。
【0082】
操作部203の冷風ボタンが押されると、冷風運転が開始される。
【0083】
図4(a)を参照して、制御部201は、給気バルブ175、冷風路バルブ173、外槽入口バルブ172および排水バルブ41を開放する(S201)。外槽出口バルブ171および温風路バルブ174は閉鎖されている。これにより、冷風路140が開放されるとともに温風路150が閉鎖され且つ給気口103から給気される状態となる。さらに、排気口20dが閉鎖され、導入口20eおよび排水路40が開放された状態となる。
【0084】
制御部201は、送風器120およびコンプレッサ133を始動させる(S202)。
【0085】
図4(b)に示すように、送風器120の回転により給気口103から外気が取り込まれ、給気路160を介して循環路110に供給される。循環路110を流れる空気は、第1熱交換器131を通過し、第1熱交換器131により冷却されて除湿される。冷却および除湿された空気は、冷風として、その一部が、冷風路140に導入され、冷風路140内を流れて冷風吹出口101から筐体10の前方へ吹き出す。
【0086】
ユーザは、冷風に当たることにより、涼むことができる。冷風は、筐体10の前面上部から吹き出すため、ユーザは、冷風を上半身に当てやすい。
【0087】
冷風路140に向かわない冷風は、第2熱交換器132を通過し、第2熱交換器132により加熱されて温風となる。このとき、第2熱交換器132を流れる冷媒は、冷風との熱交換によって冷却される。温風は、外槽20内に導入され、排水路40を通って外槽20の外、即ち排水パイプ2へ排出される。このとき、排水パイプ2のU字トラップ内の水は、風圧により流される。温風は、排水パイプ2を流れることで、最終的に、洗濯乾燥機1が設置された部屋の外に排出される。
【0088】
このように、冷風路140に向かわない冷風により第2熱交換器132を流れる冷媒が冷却されるので、ヒートポンプ装置130が長い時間の動作を行いやすくなる。なお、排水路40が閉鎖されている場合、即ち冷風運転時に外槽20からの空気を排気する排気部かない場合は、第2熱交換器132を冷風がほぼ流れないため、冷媒を冷却できず、冷媒の温度上昇によりヒートポンプ装置130の長い時間の動作が難しくなる。
【0089】
制御部201は、冷却ボタンが再度押される、所定の運転時間が経過するなど、冷風終了条件が成立したと判定すると(S203:YES)、送風器120およびコンプレッサ133を停止させる(S204)。
【0090】
次に、制御部201は、給水バルブ51を開放する(S205)。外槽20内に水が供給され、その水が排水路40を介して排水パイプ2に排出される。これにより、排水パイプ2のU字トラップに水が溜まる。
【0091】
給水バルブ51の開放から所定時間が経過すると(S206:YES)、制御部201は、給気バルブ175、冷風路バルブ173、外槽入口バルブ172、給水バルブ51および排水バルブ41を閉鎖する(S207)。このとき、排水バルブ41は、給水バルブ51の閉鎖から、外槽20から水が抜ける時間だけ遅らせて閉鎖される。
【0092】
こうして、冷風運転が終了する。
【0093】
図5(a)は、温風運転において制御部201により実行される制御動作を示すフローチャートである。図5(b)は、温風運転での洗濯乾燥機1の動作について説明するための図である。
【0094】
操作部203の温風ボタンが押されると、温風運転が開始される。
【0095】
図5(a)を参照して、制御部201は、給気バルブ175および温風路バルブ174を開放する(S301)。外槽出口バルブ171、外槽入口バルブ172、冷風路バルブ173および排水バルブ41は閉鎖されている。これにより、冷風路140が閉鎖されるとともに温風路150が開放され且つ給気口103から給気される状態となる。さらに、排気口20d、導入口20eおよび排水路40が閉鎖された状態となる。
【0096】
制御部201は、送風器120およびコンプレッサ133を始動させる(S302)。
【0097】
図5(b)に示すように、送風器120の回転により給気口103から外気が取り込まれ、給気路160を介して循環路110に供給される。循環路110を流れる空気は、第1熱交換器131を通過し、第1熱交換器131により冷却されて除湿される。冷却および除湿された空気は、第2熱交換器132を通過し、第2熱交換器132により加熱されて温風となる。このとき、温風は、湿度が低く、乾いた状態となり得る。温風は、温風路150に導入され、温風路150内を流れて温風吹出口102から筐体10の上方、たとえば、ほぼ真上に吹き出す。
【0098】
乾いた温風により、洗濯乾燥機1が設置された脱衣室などの部屋が乾かされる。これにより、室内の壁などへのカビの発生を抑制できる。温風は、筐体10の天面から上方に吹き出すため、湿気が溜まりやすい部屋の上部が乾きやすくなる。また、温風により、室内を温めることができる。さらに、筐体10の天面に小型の物干しスタンドを設置することにより、上方に吹き出した温風で物干しスタンドに干されたタオル等の洗濯物を乾かすこともできる。
【0099】
制御部201は、温風ボタンが再度押される、所定の運転時間が経過するなど、温風終了条件が成立したと判定すると(S303:YES)、送風器120およびコンプレッサ133を停止させる(S304)。さらに、制御部201は、給気バルブ175および温風路バルブ174を閉鎖する(S305)。
【0100】
こうして、温風運転が終了する。
【0101】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、第1熱交換器131により除湿および冷却された空気が、冷風として冷風吹出口101から吹き出す冷風運転と、第1熱交換器131により除湿された後に第2熱交換器132により加熱された空気が、温風として温風吹出口102から吹き出す温風運転とが行われるので、冷風により、ユーザが涼むことができ、温風により、室内を乾かしてカビの発生を抑制させたり、室内を温めたりできる。
【0102】
しかも、冷風運転および温風運転の実行に合わせて、第1熱交換器131および第2熱交換器132を、凝縮器と蒸発器との間で切り替えなくてよいので、乾燥運転のみを行うものからヒートポンプ装置130の構成を大きく変更することなく、冷風運転および温風運転が可能な洗濯乾燥機1を実現できる。
【0103】
さらに、本実施の形態によれば、冷風運転の際に、第1熱交換器131で冷却された空気の一部が、冷風路140に向かわずに第2熱交換器132を通過して外槽20内に導入され、外槽20の外に排気される。これにより、第2熱交換器132を流れる冷媒を、冷却された空気により冷却できるので、ヒートポンプ装置130を長い時間、動作させやすくなる。
【0104】
さらに、本実施の形態によれば、冷却運転の際、外槽20内に導入された空気、即ち温風を、排水路40を利用して外槽20の外に排出できるので、専用の排気部を設けなくてよい。さらに、外槽20内に導入された温風を、排水路40が接続された排水パイプ2に流して洗濯乾燥機1が設置された部屋の外に排出できる。これにより、冷風によって室内を冷やすことが可能となる。
【0105】
さらに、本実施の形態によれば、温風吹出口102が筐体10の天面に設けられているので、温風吹出口102から筐体10の上方に温風を吹き出すことができ、湿気が溜まりやすい部屋の上部を良く乾かすことができる。
【0106】
さらに、本実施の形態によれば、冷風吹出口101が筐体10の前面における投入口11よりも上の位置に設けられているので、筐体10の前面上部から冷風を吹き出すことができ、ユーザの上半身に冷風が当たりやすくなる。
【0107】
さらに、本実施の形態によれば、循環路110が、筐体10内において、外槽20の上方に配置されているので、筐体10の前面における投入口11よりも上に冷風吹出口101が設けられ、筐体10の天面に温風吹出口102が設けられた場合に、冷風路140および温風路150を短くできる。これにより、循環路110からの温度変化が小さい状態の冷風および温風を機外へ吹き出させることができる。
【0108】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0109】
<変更例1>
図6(a)は、変更例1に係る、洗濯乾燥機1の構成を示す図である。
【0110】
本変更例では、第1ダクト111、即ち循環路110における排気口20dの近傍に、筐体10の後面に形成された排気口104から延びる排気路180が接続される。さらに、循環路110には、外槽出口バルブ171に替えて、切替バルブ176が設けられる。切替バルブ176は、循環路110における切替バルブ176の上流と下流とが連通する第1状態と、循環路110における切替バルブ176の上流と排気路180とが連通する第2状態との間で切り替わる。排気路180は、本発明の排気部に相当する。
【0111】
乾燥運転の際、制御部201は、切替バルブ176を第1状態に切り替える。これにより、外槽20から排出された温風が排気路180に流れない。一方、冷却運転の際、制御部201は、切替バルブ176を第2状態に切り替える。これにより、外槽20から排出された温風が排気路180に流れ、筐体10の排気口104から洗濯乾燥機1の後方に排出される。
【0112】
本変更例では、冷却運転の際、外槽20内に導入された温風が排気路180を介して機外に排出されるので、制御部201は、排水バルブ41を開放させない。
【0113】
<変更例2>
図6(b)は、変更例2に係る、洗濯乾燥機1の構成を示す図である。
【0114】
本変更例では、外槽出口バルブ171および給気バルブ175に替えて、循環路110における給気路160の接続位置に、切替バルブ177が設けられる。切替バルブ177は、循環路110における切替バルブ177の上流と下流とが連通する第1状態と、給気路160と循環路110における切替バルブ177の下流とが連通する第2状態との間で切り替わる。切替バルブ177は、本発明の切替部に相当する。
【0115】
乾燥運転の際、制御部201は、切替バルブ177を第1状態に切り替える。これにより、給気口103から外気が取り込まれず、また、外槽20から排出された温風が循環路110を流れる。一方、冷却運転および温風運転の際、制御部201は、切替バルブ177を第2状態に切り替える。これにより、給気口103から外気が取り込まれて循環路110へ流れ、また、外槽20から循環路110へ空気が排出されない。
【0116】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、冷風運転において、制御部201は、送風器120およびコンプレッサ133を始動する前に冷風路バルブ173を開放する。しかしながら、制御部201は、送風器120およびコンプレッサ133を始動させた後、所定時間が経過してから冷風路バルブ173を開放させるようにしてもよい。この場合、冷風路バルブ173の開放により冷風路140に冷風が流れるまでは、外槽20内に導入されて排水路40から排水パイプ2へ排出される温風の風量が多くなる。これにより、排水パイプ2のU字トラップから水が除去されやすくなる。
【0117】
さらに、上記実施の形態および上記変更例2において、給気路160が設けられず、循環路110の送風器120の上流に直接、給気口103が設けられてもよい。この場合、筐体10内の外気が給気口103から取り込まれる。上記実施の形態では、給気バルブ175が、給気口103を開閉することにより、給気口103からの給気の可否を切り替える。また、上記変更例2において、切替バルブ177の第2状態では、給気口103と循環路110における切替バルブ177の下流とが連通する。
【0118】
さらに、上記実施の形態では、冷風運転において、外槽20内に導入された温風を、排水路40を通じて外槽20の外に排出させている。しかしながら、これに替えて、外槽出口バルブ171を開放して外槽20の排気口20dを開放するとともに、給水バルブ51を開放して外槽20内に水を流すようにしてもよい。この場合、外槽20内に導入された温風が、水で冷却されて、排気口20dから循環路110に排出され、循環路110で外気と混合される。この場合も、第2熱交換器132を流れる冷媒が冷風により冷却される構成が実現できるので、ヒートポンプ装置130を長い時間、動作させやすくなる。
【0119】
さらに、上記実施の形態では、洗濯乾燥機1は、横軸型のドラム23を備えるドラム式の洗濯乾燥機である。しかしながら、本発明は、内部にパルセータを有する縦軸型の洗濯脱水槽を備える、いわゆる縦型の洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0120】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 洗濯乾燥機
2 排水パイプ
10 筐体
11 投入口
20 外槽
23 ドラム(洗濯槽)
40 排水路(排気部)
41 排水バルブ
101 冷風吹出口(第1吹出口)
102 温風吹出口(第2吹出口)
103 給気口
110 循環路
120 送風器
130 ヒートポンプ装置
131 第1熱交換器
132 第2熱交換器
140 冷風路(第1風路)
150 温風路(第2風路)
173 冷風路バルブ(第1開閉部)
174 温風路バルブ(第2開閉部)
175 給気バルブ(切替部)
201 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6