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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165562
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/45 20200101AFI20231109BHJP
【FI】
D06F58/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076764
(22)【出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】八田 聡
(72)【発明者】
【氏名】田島 登
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA12
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AB33
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA08
3B167BA38
3B167BA42
3B167BA45
3B167HA11
3B167HA32
3B167HA34
3B167HA53
3B167HA54
3B167HA56
3B167JA03
3B167JA52
3B167JA72
3B167KA02
3B167KA18
3B167KB16
3B167LC09
3B167LC30
(57)【要約】
【課題】乾燥フィルタから除去された異物が、洗い工程で外槽内に供給された水に混ざり込みにくく、洗濯物に異物が付着しにくい洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機1は、外槽20に設けられた排水口部20bを開閉するための排水バルブ41と、外槽20と循環路110との間で空気を循環させる送風ファン120と、循環路110内に配置され、空気を加熱する加熱器132と、循環路110内に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタ142と、捕獲面に向けて給水する給水部材150と、給水部材150への水の供給と停止とを行うための第2給水バルブ52と、制御部とを備える。制御部は、洗い工程を開始する前に、排水バルブ41を開放した状態で第2給水バルブ52を開放することにより、捕獲面に付着した異物を給水部材150からの水で流して外槽20へと送り、外槽20から排出させる乾燥フィルタ清掃工程を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記外槽に設けられた排水口部を開閉するための排水バルブと、
前記外槽に接続された循環路と、
前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、
前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、
前記捕獲面に給水するフィルタ給水部と、
前記フィルタ給水部への水の供給と停止とを行うための給水バルブと、
前記外槽内に溜められた洗剤を含む水により前記洗濯槽内の洗濯物を洗う洗い工程と、前記外槽内に溜められた水により前記洗濯槽内の洗濯物をすすぐすすぎ工程と、前記加熱部により加熱されつつ前記外槽と前記循環路との間を循環する空気により前記洗濯槽内の洗濯物を乾かす乾燥工程と、を順次実行可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗い工程を開始する前に、前記排水バルブを開放した状態で前記給水バルブを開放することにより、前記捕獲面に付着した異物を前記フィル給水部からの水で流して前記外槽へと送り、前記外槽から排出させる乾燥フィルタ清掃工程を実行する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御部は、前回の運転時に前記乾燥工程が行われていたことに基づいて、前記乾燥フィルタ清掃工程を行う、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御部は、前回の運転時に前記乾燥工程が行われており、且つ、前回の運転時に検出された前記洗濯槽内の洗濯物の負荷量が所定の閾値より大きい場合に、前記乾燥フィルタ清掃工程を行う、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯乾燥機において、
前記外槽内への給水を行う給水装置を、さらに備え、
前記制御部は、前記洗い工程での前記給水装置による給水時に前記給水バルブを開放させる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯乾燥機において、
前記制御部は、前記乾燥フィルタ清掃工程において、前記給水バルブの閉鎖から所定時間遅延させて前記排水バルブを閉鎖する、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯乾燥機において、
前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、
前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、をさらに備え、
前記制御部は、前記フィルタ給水部による給水が行われている間に、前記アクチュエータに前記移動動作を行わせる、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、外槽内の空気を取出口から循環路内に取り出して戻し口から外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、循環路内に設けられ、循環路内の空気を加熱する加熱部と、循環路内において加熱部よりも取出口側に配置され、循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する縦面部を有する乾燥フィルタと、縦面部に上側から給水する給水部とを備える洗濯乾燥機が、以下の特許文献1に記載されている。
【0003】
この洗濯乾燥機では、乾燥工程終了後、即ち洗濯乾燥運転終了後に、給水部の給水口から下向きに水が噴射され、噴射された水が乾燥フィルタの縦面部を伝って流れ落ちる。縦面部に付着した異物が、縦面部を流れ落ちる水により剥がされ、水とともに外槽内に落下し、外槽内に溜まる。排水弁が開放されると、水が異物を乗せて排水路を流れ、異物が排水路に設けられた排水フィルタで捕獲される。このようにして、乾燥フィルタが自動的に洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-168231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の洗濯洗濯機では、洗濯乾燥運転終了後に、給水部からの給水による乾燥フィルタの自動洗浄が行われるが、この際にドラム内に未だ洗濯物が残っている場合もあり得る。このような場合、外槽内に流れ込む水がドラム内の乾いた洗濯物に掛かり、洗濯物が濡れてしまう、ということが懸念される。
【0006】
そこで、洗濯物が濡れてしまうことを懸念せずに済むよう、洗濯乾燥運転の開始初期に乾燥フィルタの自動洗浄を行うことが考えられる。しかしながら、このような場合に、乾燥フィルタから除去された異物が、洗い工程で外槽内に供給された水に混ざり込んでしまうと、洗濯物に異物が付着してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、乾燥フィルタから除去された異物が、洗い工程で外槽内に供給された水に混ざり込みにくく、洗濯物に異物が付着しにくい洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記外槽に設けられた排水口部を開閉するための排水バルブと、前記外槽に接続された循環路と、前記外槽と前記循環路との間で空気を循環させる送風部と、前記循環路内に配置され、空気を加熱する加熱部と、前記循環路内に配置され、空気に含まれる異物を捕獲面により捕獲する乾燥フィルタと、前記捕獲面に給水するフィルタ給水部と、前記フィルタ給水部への水の供給と停止とを行うための給水バルブと、前記外槽内に溜められた洗剤を含む水により前記洗濯槽内の洗濯物を洗う洗い工程と、前記外槽内に溜められた水により前記洗濯槽内の洗濯物をすすぐすすぎ工程と、前記加熱部により加熱されつつ前記外槽と前記循環路との間を循環する空気により前記洗濯槽内の洗濯物を乾かす乾燥工程と、を順次実行可能な制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記洗い工程を開始する前に、前記排水バルブを開放した状態で前記給水バルブを開放することにより、前記捕獲面に付着した異物を前記フィル給水部からの水で流して前記外槽へと送り、前記外槽から排出させる乾燥フィルタ清掃工程を実行する。
【0009】
本態様に係る洗濯乾燥機によれば、乾燥フィルタから除去されて外槽内に送られた異物が、水とともに外槽から排出されるので、洗い工程が開始されたときに外槽内に異物が残りにくい。これにより、洗い工程で外槽内に供給された水に異物が混ざり込みにくく、洗濯槽内の洗濯物に異物が付着するということが生じにくい。
【0010】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記制御部は、前回の運転時に前記乾燥工程が行われていたことに基づいて、前記乾燥フィルタ清掃工程を行うような構成とされ得る。
【0011】
上記の構成によれば、前回の運転時に乾燥工程が行われなかったために乾燥フィルタへの異物の付着が少ないと考えられる場合には、乾燥フィルタの清掃が行われないので、運転が不要に長くなったり、使用水量が不要に多くなったりすることを防止できる。
【0012】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前回の運転時に前記乾燥工程が行われており、且つ、前回の運転時に検出された前記洗濯槽内の洗濯物の負荷量が所定の閾値より大きい場合に、前記乾燥フィルタ清掃工程を行うような構成とされ得る。
【0013】
このような構成とされれば、前回の運転時に乾燥工程が行われていても、前回の運転での負荷量が少量であり、乾燥フィルタに異物が付着しにくいと考えられる場合には、乾燥フィルタ清掃工程での乾燥フィルタの清掃が行われないようにできる。これにより、運転が不要に長くなったり、使用水量が不要に多くなったりすることを、一層防止できる。
【0014】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記外槽内への給水を行う給水装置を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記洗い工程での前記給水装置による給水時に前記給水バルブを開放させるような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、洗い工程の給水時においてもフィルタ給水部からの給水により乾燥フィルタに付着した異物を除去できるので、乾燥フィルタを、一層、異物の少ない状態にできる。
【0016】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記制御部は、前記乾燥フィルタ清掃工程において、前記給水バルブの閉鎖から所定時間遅延させて前記排水バルブを閉鎖するような構成とされ得る。
【0017】
上記の構成によれば、乾燥フィルタから除去されて水とともに外槽に送られてきた異物を、外槽から十分に排出でき、外槽内に異物が一層残りにくくなる。
【0018】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記捕獲面に沿って移動し、前記捕獲面に付着した異物を拭き取るワイパと、前記ワイパを移動させるため移動動作を行うアクチュエータと、をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記フィルタ給水部による給水が行われている間に、前記アクチュエータに前記移動動作を行わせるような構成とされ得る。
【0019】
上記の構成によれば、乾燥フィルタに付着した異物を、一層除去でき、乾燥フィルタを、一層、異物の少ない状態にできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、乾燥フィルタから除去された異物が、洗い工程で外槽内に供給された水に混ざり込みにくく、洗濯物に異物が付着しにくい洗濯乾燥機を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施の形態に係る、洗濯機乾燥機の構成を示す側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、フィルタ部材、給水部材およびワイパ機構が装着された第1ダクトの右側面断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る、フィルタ部材、給水部材およびワイパ機構が装着された第1ダクトの背面断面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、洗濯乾燥機の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態に係る、洗濯乾燥機の運転で実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態に係る、乾燥フィルタ清掃工程で実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態に係る、洗い工程における給水工程で実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図8図8は、変更例1に係る、洗濯乾燥機の運転で実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の洗濯乾燥機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、洗濯乾燥機1の構成を示す側面断面図である。
【0025】
本実施の形態の洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0026】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。ドラム23は、本発明の洗濯槽に相当する。
【0027】
外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0028】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル25が設けられる。
【0029】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程、すすぎ工程および乾燥工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の内周面に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0030】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、当該排水口部20bを開閉する排水バルブ41が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41は、排水ホース42に接続される。排水バルブ41と排水ホース42は、外槽20内から排水を行う排水部40を構成する。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部20bおよび排水ホース42を通じて機外に排出される。排水ホース42の途中には、リント等の異物を捕獲する排水フィルタ43が配置される。
【0031】
筐体10内の上部には、給水装置50が配置される。給水装置50は、第1給水バルブ51と、第2給水バルブ52と、第1給水ホース53と、第2給水ホース54とを含む。第1給水バルブ51と第2給水バルブ52は、2連電磁バルブによって構成される。第1給水ホース53は、一端が第1給水バルブ51に接続され、他端が外槽20の後面に設けられた注水口20cに接続される。第2給水ホース54は、一端が第2給水バルブ52に接続され、他端が給水部材150に接続される。第2給水バルブ52は、給水部材150への水の供給と停止とを行うためのバルブであり、本発明の給水バルブに相当する。
【0032】
第1給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が第1給水ホース53を流れて注水口20cから外槽20内に供給される。第2給水バルブ52が開放されると、水道水が第2給水ホース54を流れて給水部材150に供給される。
【0033】
なお、第1給水ホース53が、洗剤容器が収容された洗剤ボックスに接続されてもよい。この場合、洗剤ボックスに接続され、洗剤容器を経由した水が流れる注水パイプが、外槽20の前部上部に接続されてもよい。
【0034】
筐体10内の上部には、ドラム23内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置100が配置される。乾燥装置100は、循環路110と、送風ファン120と、冷却器131と、加熱器132と、フィルタ部材140と、給水部材150と、ワイパ機構160と、を備える。
【0035】
循環路110は、空気が流れる風路であり、外槽20に接続される。循環路110は、第1ダクト111と、ファンケーシング112と、第2ダクト113と、第1接続ホース114と、第2接続ホース115とを含む。第1ダクト111は、一端が外槽20の背面に設けられた排気口20dに接続され、他端が第1接続ホース114を介してファンケーシング112の吸込口に接続される。第2ダクト113は、一端が第2接続ホース115を介してファンケーシング112の吐出口に接続され、他端が外槽20の開口部20aの近傍に設けられた吸気口20eに接続される。
【0036】
送風ファン120は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング112内に配置されたファン121と、ファン121を回転駆動するためのファンモータ122とを含む。送風ファン120は、外槽20と循環路110との間で空気を循環させる。排気口20dを通じて外槽20内から排出された空気は、第1ダクト111、ファンケーシング112、第2ダクト113の順に循環路110内を流れ、吸気口20eを通じて外槽20内に戻る。送風ファン120は、本発明の送風部に相当する。
【0037】
冷却器131および加熱器132は、それぞれ、第2ダクト113内の上流側および下流側に配置される。冷却器131および加熱器132は、それぞれ、ヒートポンプ装置に含まれるエバポレータおよびコンデンサにより構成される。ヒートポンプ装置には、エバポレータおよびコンデンサとともに冷熱回路を構成するコンプレッサ、膨張弁等が含まれる。なお、加熱器132は、本発明の加熱部に相当する。
【0038】
冷却器131の内部には、低温の冷媒が流れる。冷却器131は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる空気を、低温の冷媒との間の熱交換により冷却して、空気の除湿を行う。
【0039】
加熱器132の内部には、高温の冷媒が流れる。加熱器132は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる除湿後の空気を、高温の冷媒との間の熱交換により加熱する。
【0040】
なお、冷却器131は、水冷式の熱交換器等であってもよく、加熱器132は、半導体ヒータ等であってもよい。
【0041】
フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160は、第1ダクト111に配置される。フィルタ部材140は、第1ダクト111内において、空気の流路を塞ぐように配置される。フィルタ部材140は、循環路110内において、冷却器131および加熱器132よりも空気の流れの上流に位置する。フィルタ部材140は、乾燥フィルタ142を含み、乾燥フィルタ142により外槽20から排出された空気に含まれるリント、埃等の異物を捕獲する。
【0042】
給水部材150とワイパ機構160は、乾燥フィルタ142を清掃するためものである。給水部材150は、フィルタ部材140の上部に配置され、第2給水バルブ52から供給された水を乾燥フィルタ142に流し、乾燥フィルタ142に付着した異物を流す。ワイパ機構160は、ワイパ170を含み、ワイパ170により乾燥フィルタ142に付着した異物を拭き取る。
【0043】
図2は、フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160が装着された第1ダクト111の右側面断面図である。図3は、フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160が装着された第1ダクト111の背面断面図である。図2は、図3のB-B´線で切断された図であり、図3は、図2のA―A´線で切断された図である。
【0044】
図2および図3を参照し、第1ダクト111、フィルタ部材140、給水部材150およびワイパ機構160の詳細な構成について説明する。
【0045】
第1ダクト111は、上下方向に延びる所定形状の上流ダクト部111aと、上流ダクト部111aの上部から前方に張り出す所定形状の下流ダクト部111bとを含む。さらに、第1ダクト111は、上流ダクト部111aの前面下部から前方に突出する円筒状の流入口111cと、下流ダクト部111bの上面から上方に突出する円筒状の流出口111dとを含む。流入口111cが外槽20の排気口20dに接続され、流出口111dが第1接続ホース114に接続される。
【0046】
流入口111cを通じて上流ダクト部111a内に流入した空気は、上流ダクト部111a内を上方へ流れた後、向きを変えて前方へ向かい、下流ダクト部111b内に流入し、さらに向きを変えて下流ダクト部111b内を上方へ向かい、流出口111dから第1接続ホース114へ排出される。
【0047】
第1ダクト111内では、フィルタ部材140が、前方への空気の流れに直交するよう、上下方向に立てられた状態で上流ダクト部111aと下流ダクト部111bとの境界部分に配置される。下流ダクト部111bの入口全体がフィルタ部材140により塞がれる。フィルタ部材140は、下流ダクト部111bの入口の下壁面と上壁面に設けられた固定部111eに、ネジ等により固定される。
【0048】
フィルタ部材140は、フレーム141と、乾燥フィルタ142とを含む。フレーム141は、樹脂材料により方形の板状に形成され、方形状の開口部141aを有する。開口部141aは、上下に延びる2つの格子141bにより区切られて3つの開口領域に分かれる。乾燥フィルタ142は、ステンレス等の金属材料により方形の板状に形成され、上流ダクト部111a側からフレーム141の開口部141aを覆うように、フレーム141に装着され、固定される。乾燥フィルタ142は、少なくとも開口部141aを覆う領域にメッシュが形成されており、上流ダクト部111a側に向く後面が、リント等の異物を捕獲する捕獲面142aとなる。
【0049】
乾燥フィルタ142は、ほぼ鉛直方向に起立した状態、即ち縦向き状態にあり、捕獲面142aは、ほぼ水平方向を向く。
【0050】
給水部材150は、フレーム141の上流ダクト部111a側の面における上端であって乾燥フィルタ142より上の位置に設けられる。給水部材150は、細長い方形の管であり、フレーム141の左右方向の幅全体に亘って設けられ、さらに、第1ダクト111から外に突出する。給水部材150には、第1ダクト111から突出した部分に接続口151が設けられ、接続口151に第2給水ホース54が接続される。給水部材150の下面には、複数の給水孔152が、左右方向に並ぶように、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに寄せられて形成される。なお、給水部材150は、本発明のフィルタ給水部に相当する。
【0051】
ワイパ機構160は、ワイパ170と、アクチュエータ180と、伝達機構190とを含む。
【0052】
ワイパ170は、棒状のヘッド171と、ヘッド171から延び出したアーム172とを含む。ヘッド171には、前面に、多数の毛により構成されたブラシ173が設けられる。ブラシ173は、ヘッド171の長手方向にヘッド171と同じ長さを有し、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに接触する。アーム172の先端部には、回動軸174が設けられる。第1ダクト111の後面には、アーム172の後方に凹部111fが設けられる。回動軸174は、凹部111fの底面を貫通し、第1ダクト111の外に突出する。回動軸174は、凹部111fの底面に設けられた図示しない軸受に回動可能に支持される。なお、ワイパ170は、ブラシ173に替えて、ゴムなどの弾性材料からなるブレードを備えてもよい。
【0053】
ワイパ170は、図3の実線で示す待機位置と図3の二点鎖線で示す拭取位置との間で回動可能である。ワイパ170は、待機位置では鉛直方向に立てられた状態で乾燥フィルタ142の水平方向の端部に位置し、拭取位置では水平方向よりやや下方に傾くように倒れた状態で乾燥フィルタ142の鉛直方向の端部に位置する。
【0054】
アクチュエータ180は、たとえば、電動モータである。アクチュエータ180は、第1ダクト111の外において、第1ダクト111に設けられた取付板111gの前面に取り付けられ、その出力軸181が取付板111gを貫通して、取付板111gの後面側に突出する。通電によりアクチュエータ180が動作すると、出力軸181が回転する。
【0055】
伝達機構190は、入力ギア191と、出力ギア192と、2つの中継ギア193,194と、2つの支軸195,196とを含み、アクチュエータ180の出力軸181の回転をワイパ170の回動軸174に伝達する。入力ギア191の直径は2つの中継ギア193,194の直径より大きく、2つの中継ギア193,194の直径は、出力ギア192の直径よりも大きい。入力ギア191は回動軸174に固定され、出力ギア192は出力軸181に固定される。2つの中継ギア193,194は、入力ギア191と出力ギア192との間に設けられる。2つの中継ギア193,194は、互いに噛み合うとともに、一方の中継ギア193が入力ギア191と噛み合い、他方の中継ギア194が出力ギア192と噛み合う。2つの支軸195,196は、取付板111gに取り付けられ、2つの中継ギア193,194を回転可能に支持する。
【0056】
ワイパ170が待機位置にある状態で、アクチュエータ180の出力軸181が正回転すると、その回転が伝達機構190により伝達され、ワイパ170が拭取位置に向かって回動する。即ち、ワイパ170が往路を捕獲面142aに沿って移動する。ワイパ170が拭取位置に達すると、第1ダクト111内に設けられたストッパ111hがワイパ170に当接する。これにより、ワイパ170は拭取位置を越えて回動しない。ワイパ170が拭取位置にある状態で、アクチュエータ180の出力軸181が逆回転すると、その回転が伝達機構190により伝達され、ワイパ170が待機位置に向かって回動する。即ち、ワイパ170が復路を捕獲面142aに沿って移動する。ワイパ170が待機位置に達すると、第1ダクト111内に設けられたストッパ111iがワイパ170に当接する。これにより、ワイパ170は待機位置を越えて回動しない。
【0057】
なお、伝達機構190は、中継ギア193,194が設けられず、入力ギア191と出力ギア192とが直接噛み合うような構成とされてもよい。また、アクチュエータ180は、ソレノイドであってもよい。この場合、ソレノイドのプランジャの直線運動を、伝達機構を用いて回転運動に変換し回動軸174に伝達することにより、ワイパ170を回動できる。
【0058】
図4は、洗濯乾燥機1の構成を示すブロック図である。
【0059】
洗濯乾燥機1は、上述した構成に加え、制御部201と、記憶部202と、操作部203と、表示部204と、水位検出部205と、モータ駆動部206と、給水駆動部207と、排水駆動部208と、ファン駆動部209と、コンプレッサ駆動部210と、アクチュエータ駆動部211とを備える。
【0060】
操作部203は、機器に対する電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンと、洗濯運転、洗濯乾燥運転等の運転に係る複数のコースの中から任意のコースを選択するためのコース選択ボタンとを含む。操作部203は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部201に出力する。
【0061】
表示部204は、LED等の発光素子や液晶パネル等のディスプレイを含み、制御部201からの制御信号に従って、選択されたコースの表示、洗濯運転の進行状況の表示、異常の報知などを行う。
【0062】
水位検出部205は、外槽20内の水位を検出し、水位に応じた水位信号を制御部201に出力する。
【0063】
モータ駆動部206は、制御部201からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部206は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部201により設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。さらに、モータ駆動部206は、駆動モータ30に流れる電流を検出する電流検知回路を含む。
【0064】
給水駆動部207は、制御部201からの制御信号に従って、第1給水バルブ51および第2給水バルブ52を駆動する。排水駆動部208は、制御部201からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0065】
ファン駆動部209は、制御部201からの制御信号に従って、送風ファン120のファンモータ122を駆動する。コンプレッサ駆動部210は、制御部201からの制御信号に従って、コンプレッサ133を駆動し、冷却器131および加熱器132を動作させる。アクチュエータ駆動部211は、制御部201からの制御信号に従って、アクチュエータ180を駆動する。
【0066】
記憶部202は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部202には、各種コースの運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部202には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0067】
制御部201は、CPU等を含み、操作部203、水位検出部205等からの各信号に基づいて、記憶部202に記憶されたプログラムに従い、表示部204、モータ駆動部206、給水駆動部207、排水駆動部208、ファン駆動部209、コンプレッサ駆動部210、アクチュエータ駆動部211等を制御する。
【0068】
さて、洗濯乾燥機1では、ユーザによる操作部203の操作に基づき、制御部201による制御の下、各種コースの運転が実行される。洗濯乾燥機1の運転には、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、最終脱水工程および乾燥工程が順次行われる洗濯乾燥運転と、洗い工程から最終脱水工程までが行われ、乾燥工程が行われない洗濯運転とが含まれる。
【0069】
図5は、洗濯乾燥機1の運転で実行される制御部201の制御動作を示すフローチャートである。
【0070】
操作部203において、コース選択ボタンによりコースが選択された後、スタートボタンが押されると、選択されたコースの運転、即ち洗濯運転または洗濯乾燥運転が開始される。
【0071】
図5を参照して、運転が開始されると、制御部201は、ドラム23内の洗濯物の負荷量を検出する(S1)。たとえば、制御部201は、駆動モータ30を動作させてドラム23を所定の回転数で回転させ、ドラム23に掛かる負荷の大きさ基づいて、負荷量を検出する。ドラム23に掛かる負荷の大きさは、駆動モータ30に流れる電流の大きさに基づいて検出できる。負荷量が多いほど、ドラム23に掛かる負荷は大きくなる。
【0072】
次に、制御部201は、検出した負荷量に基づいて、外槽20内の水位を設定し、設定した水位に応じた洗剤量を表示部204に表示させる(S2)。さらに、制御部201は、設定した水位に応じた運転の残時間を表示部204に表示させる(S3)。
【0073】
なお、選択されたコースが、負荷量の検出を要しないコースである場合は、ステップS1の負荷量検出とステップS2の洗剤量表示が行われず、最初にステップS3の残時間表示が行われる。
【0074】
次に、制御部201は、乾燥フラグがセットされているか否かを判定する(S4)。乾燥フラグは、前回の運転の際に乾燥工程が実行されたか否かの情報を保持する情報保持部である。前回の運転で乾燥工程が行われていた場合は、乾燥フラグがセットされている。即ち、乾燥フラグに乾燥工程有の情報が保持されている。一方、前回の運転で乾燥工程が行われていない場合は、乾燥フラグがリセットされている。即ち、乾燥フラグに乾燥工程無の情報が保持されている。
【0075】
前回の運転で乾燥工程が行われていた場合は、リント、埃等の異物が乾燥フィルタ142の捕獲面142aに多く付着している可能性が高い。よって、乾燥フラグがセットされている場合(S4:YES)、制御部201は、洗い工程を開始する前に、乾燥フィルタ142の自動清掃を行う乾燥フィルタ清掃工程を実行する(S5)。
【0076】
一方、前回の運転で乾燥工程が行われていない場合は、リント等の異物が乾燥フィルタ142の捕獲面142aにあまり付着してない可能性が高い。よって、乾燥フラグがリセットされている場合、制御部201は、乾燥フィルタ清掃工程を実行することなく洗い工程に移行する。
【0077】
図6は、乾燥フィルタ清掃工程で実行される制御部201の制御動作を示すフローチャートである。
【0078】
図6を参照して、乾燥フィルタ清掃工程が開始されると、制御部201は、排水バルブ41を開放する(S101)。これにより、外槽20の排水口部20bが開放される。排水バルブ41が開放されて外槽20内からの排水が可能になると、制御部201は、第2給水バルブ52を開放する(S102)。さらに、制御部201は、アクチュエータ180を作動させて、ワイパ170の往復動作を開始させる(S103)。
【0079】
第2給水バルブ52が開放すると、給水部材150に水が供給されて、給水部材150から、下側の乾燥フィルタ142の捕獲面142aに向けて給水が行われる。捕獲面142aに水が流れ、捕獲面142aに付着した異物が剥がれて水で流される。異物は水とともに循環路110から外槽20へと送られる。
【0080】
アクチュエータ180が作動すると、ワイパ170が待機位置と拭取位置との間で往復移動する。このとき、制御部201は、アクチュエータ180に対して、待機位置にあるワイパ170を拭取位置へ移動させるための往路通電を、往路通電時間、たとえば、4秒間行い、停止時間、たとえば1秒間が経過した後に、アクチュエータ180に対して、拭取位置にあるワイパ170を待機位置へ移動させるための復路通電を、復路通電時間、たとえば、4秒間行う。その後、ワイパ170の往復動作が繰り返される場合には、停止時間、たとえば1秒間が経過した後に、再び往路通電が行われる。
【0081】
ワイパ170のブラシ173が、乾燥フィルタ142の捕獲面142aを擦りながら往復移動する。これにより、捕獲面142aに付着した異物が削ぎ落とされる。削ぎ落とされた異物は、捕獲面142aを流れる水に乗って運ばれ、外槽20内へと送られる。
【0082】
外槽20内に水とともに送られてきた異物は、水とともに外槽20内から排水口部20bを通じて排水ホース42へ排出され、排水ホース42に設けられた排水フィルタ43で回収される。
【0083】
このようにして、乾燥フィルタ142の捕獲面142aが給水部材150からの給水とワイパ170とにより清掃され、捕獲面142aから異物が除去される。除去された異物は、外槽20内から水とともに排出されるため、外槽20内に残りにくい。
【0084】
給水部材150による給水時間およびワイパ170の往復回数は、予め設定される。たとえば、給水時間は、15秒に設定することができ、往復回数は、2回に設定することができる。
【0085】
本実施の形態では、給水部材150による給水とワイパ170の往復動作とがほぼ同時に開始される。また、設定された往復回数の往復動作に要する時間は、給水時間よりも長くなっている。このため、ワイパ170の往復動作が設定された往復回数に達するより先に、設定された給水時間が経過する。
【0086】
制御部201は、第2給水バルブ52を開放してから、設定された給水時間が経過すると(S104:YES)、第2給水バルブ52を閉鎖する(S105)。給水部材150への水の供給が停止し、給水部材150からの給水が停止する。その後、制御部201は、設定された往復回数に達すると(S106:YES)、アクチュエータ180の動作を停止させて、ワイパ170の往復動作を停止させる(S107)。
【0087】
なお、ワイパ170が往復動作する期間が、給水部材150から給水されている期間に重なっていれば、ワイパ170の往復動作の開始が、給水部材150による給水の開始より早くても遅くてもよいし、ワイパ170の往復動作の停止が、給水部材150による給水の停止と同時であっても早くてもよい。
【0088】
排水バルブ41を開放させる開放時間は、排水バルブ41の閉鎖が、第2給水バルブ52の閉鎖、即ち給水部材150による給水の停止およびワイパ170の往復動作の停止よりも遅くなるように設定されている。開放時間は、たとえば、50秒に設定することができる。
【0089】
制御部201は、排水バルブ41を開放してから、設定された開放時間が経過すると(S108:YES)、排水バルブ41を閉鎖する(S109)。これにより、外槽20の排水口部20bが閉鎖される。
【0090】
給水部材150による給水が停止してから排水口部20bが閉鎖されるまでの間に、所定時間の遅延があり、この間に、外槽20内に溜まっている水が、ほぼ全て外槽20内から排出され、水に混ざっている異物もほぼ全て外槽20内から排出される。
【0091】
こうして、乾燥フィルタ清掃工程が終了する。乾燥フィルタ142が、異物の少ない状態になる。
【0092】
図5に戻り、ステップS5で乾燥フィルタ清掃工程が実行されると、あるいは、ステップS4で乾燥フラグがリセットされていると判定されると、制御部201は、洗い工程を実行する(S6)。
【0093】
洗い工程では、洗濯物の負荷量に応じた洗い水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0094】
本実施の形態では、洗い工程における給水工程において、給水部材150からの給水とワイパ170の動作とによる乾燥フィルタ142の清掃が、前回の運転で乾燥工程が行われたか否かに関係なく行われる。
【0095】
前回の運転で乾燥工程が行われたために乾燥フィルタ142の捕獲面142aへの異物の付着が多い場合には、先に乾燥フィルタ清掃工程が行われて捕獲面142aから異物が除去される。このため、前回の運転で乾燥工程が行われたか否かによらず、給水工程での清掃時には、捕獲面142aにあまり多くの異物は付着していない。よって、給水工程での清掃により、洗い工程で使用される水に、乾燥フィルタ142から除去された異物が含まれることになったとしても、除去された異物は、タンブリングや洗濯物同士の接触によりドラム23内の洗濯物から出るリント、埃等の異物に比べて非常に少量となると考えられる。このため、除去された異物の洗濯物への付着が問題となることはない。
【0096】
図7は、洗い工程における給水工程で実行される制御部201の制御動作を示すフローチャートである。
【0097】
洗い工程が開始されたとき、排水バルブ41は閉鎖されており、外槽20の排水口部20bは閉鎖されている。これにより、外槽20は、水を溜めることができる状態にある。
【0098】
図7を参照して、制御部201は、第1給水バルブ51を開放する(S201)。これにより、給水装置50から第1給水ホース53を介して外槽20内へ給水が行われる。第1給水バルブ51の開放から所定時間が経過すると(S202:YES)、制御部201は、第2給水バルブ52を開放する(S203)。さらに、制御部201は、ワイパ170の往復動作を開始させる(S204)。
【0099】
乾燥フィルタ清掃工程と同様、乾燥フィルタ142の捕獲面142aから異物が除去される。捕獲面142aを流れて外槽20に送られた水は、そのまま外槽20内に溜められる。上述の通り、除去された異物は少量であり、水に含まれる異物も少量となる。
【0100】
制御部201は、設定された往復回数に達すると(S205:YES)、ワイパ170の往復動作を停止させる(S206)。ここでの往復回数は、乾燥フィルタ清掃工程と同じ回数に設定されてもよいし、異なる回数に設定されてもよい。
【0101】
その後、制御部201は、外槽20内の水位が洗い水位に到達すると(S207:YES)、第1給水バルブ51および第2給水バルブ52を閉鎖する(S208)。これにより、外槽20内への給水が停止する。
【0102】
このように、洗い工程での給水工程においても乾燥フィルタ142の清掃が行われるため、乾燥フィルタ142が、一層、異物の少ない状態になる。
【0103】
再び図5に戻り、洗い工程が終了すると、制御部201は、中間脱水工程と、すすぎ工程と、最終脱水工程とを順番に実行する(S7→S8→S9)。
【0104】
すすぎ工程では、外槽20内に所定のすすぎ水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0105】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0106】
なお、選択されたコースに、2回のすすぎ工程が含まれる場合、制御部201は、中間脱水工程(S7)とすすぎ工程(S8)とを2回繰り返す。
【0107】
最終脱水工程が終了すると、制御部201は、選択されたコースに乾燥工程が含まれているか否かを判定する(S10)。制御部201は、乾燥工程が含まれていない場合(S10:NO)、乾燥フラグをリセットする(S11)。即ち、制御部201は、現在の乾燥フラグの状態が、セットの状態であればリセットし、リセットの状態であれば、その状態を維持する。こうして、洗濯乾燥機1の運転、この場合、洗濯運転が終了する。
【0108】
一方、制御部201は、乾燥工程が含まれている場合(S10:YES)、乾燥工程を実行する(S12)。
【0109】
乾燥工程では、送風ファン120の動作により外槽20と循環路110との間で空気が循環し、加熱器132の動作により外槽20に導入される空気が加熱される。さらに、ドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。加熱された空気がタンブリングする洗濯物に当たり、洗濯物が乾燥する。
【0110】
洗濯物から出たリント、埃等の異物は、空気とともに循環路110に取り込まれる。異物は、空気が乾燥フィルタ142を通過する際に乾燥フィルタ142の捕獲面142aで捕獲される。これにより、乾燥フィルタ142より下流側に異物が流れにくくなり、下流にある冷却器131および加熱器132に異物が付着しにくくなる。なお、洗濯物から水分を奪った空気は、加熱器132で加熱される前に冷却器131との熱交換によって除湿される。
【0111】
乾燥工程が終了すると、制御部201は、乾燥フラグをセットする(S13)。即ち、制御部201は、現在の乾燥フラグの状態が、セットの状態であればその状態を維持し、リセットの状態であればセットする。こうして、洗濯乾燥機1の運転、この場合、洗濯乾燥運転が終了する。
【0112】
本実施の形態では、乾燥フラグによる乾燥工程が実行されたか否かの情報の保持が運転の最後、即ち最終脱水工程または乾燥工程の後に行われる。これにより、運転の途中に乾燥工程の有無が変更されても、乾燥フラグの切り替え、即ち、当該情報の変更を強いられずに済む。
【0113】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、洗濯乾燥機1は、制御部201が、洗い工程を開始する前に、排水バルブ41を開放した状態で第2給水バルブ52を開放することにより、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに付着した異物を給水部材150からの水で流して外槽20へと送り、外槽20から排出させる乾燥フィルタ清掃工程を実行する。これにより、給水部材150からの給水による乾燥フィルタ142の清掃が乾燥工程の後に行われる構成と違って、乾いた洗濯物が濡れてしまうことを懸念せずに、乾燥フィルタ142の清掃を行うことができ、乾燥フィルタ142を、異物の少ない状態できる。
【0114】
さらに、乾燥フィルタ142から除去されて外槽20内に送られた異物が、水とともに外槽20から排出されるので、洗い工程が開始されたときに外槽20内に異物が残りにくい。これにより、洗い工程で外槽20内に供給された水に異物が混ざり込みにくく、ドラム23内の洗濯物に異物が付着するということが生じにくい。
【0115】
さらに、本実施の形態によれば、前回の運転時に乾燥工程が行われなかったために乾燥フィルタ142への異物の付着が少ないと考えられる場合には、乾燥フィルタ清掃工程が実行されず、乾燥フィルタ142の清掃が行われないので、運転が不要に長くなったり、使用水量が不要に多くなったりすることを防止できる。
【0116】
さらに、本実施の形態によれば、洗い工程での給水装置50による外槽20内への給水時に第2給水バルブ52が開放されるので、当該給水時においても給水部材150からの給水により乾燥フィルタ142に付着した異物を除去でき、乾燥フィルタ142を、一層、異物の少ない状態にできる。
【0117】
さらに、本実施の形態によれば、乾燥フィルタ清掃工程では、第2給水バルブ52の閉鎖から所定時間遅延した後に排水バルブ41が閉鎖するので、乾燥フィルタ142から除去されて水とともに外槽20に送られてきた異物を、外槽20から十分に排出できる。よって、外槽20内に残った異物が洗い工程の際に洗濯物に付着することを一層防止できる。
【0118】
さらに、給水部材150による給水が行われている間に、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに付着した異物を拭き取るワイパ170が動作するので、乾燥フィルタ142に付着した異物を、一層除去でき、乾燥フィルタ142を、一層、異物の少ない状態にできる。
【0119】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0120】
<変更例1>
前回の運転において乾燥工程が実行された場合であっても、そのときの洗濯物の量、即ち負荷量が少ない場合には、洗濯物から出るリント、埃等の異物が少なくなるので、乾燥フィルタ142の捕獲面142aに付着する異物も少なくなり、乾燥フィルタ142の清掃の必要性が低くなる。
【0121】
そこで、変更例1では、前回の運転時に乾燥工程が行われており、且つ、前回の運転時に検出されたドラム23内の洗濯物の負荷量が所定の閾値より大きい場合に、乾燥フィルタ清掃工程が行われる。閾値は、少量の負荷量と考えられる値であり、たとえば、3kgとすることができる。
【0122】
図8は、変更例1に係る、洗濯乾燥機1の運転で実行される制御部201の制御動作を示すフローチャートである。
【0123】
本変更例では、制御部201は、乾燥工程が終了すると、運転開始時にステップS1で検出された洗濯物の負荷量が閾値より大きいか否かを判定する(S14)。ステップS1で検出された負荷量は、記憶部202に保存され、ステップS14において記憶部202から読み出される。
【0124】
負荷量が閾値より大きい場合(S14:YES)、制御部201は、乾燥フラグをセットする(S13)。一方、負荷量が閾値以下である場合(S14:NO)、制御部201は、乾燥フラグをリセットする(S11)。
【0125】
次回の運転のステップS4において、制御部201は、乾燥フラグがセットされている場合(S4:YES)、即ち、前回の運転時に乾燥工程が行われていており、且つ、前回の運転時の負荷量が閾値より大きい場合、乾燥フィルタ清掃工程を実行する(S5)。
【0126】
本変更例では、前回の運転時に乾燥工程が行われていても、前回の運転での負荷量が少量であり、乾燥フィルタ142に異物が付着しにくいと考えられる場合には、乾燥フィルタ清掃工程での乾燥フィルタ142の清掃が行われないようにできる。これにより、運転が不要に長くなったり、使用水量が不要に多くなったりすることを、一層防止できる。
【0127】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、乾燥フィルタ清掃工程において、給水部材150による給水が行われている間に、ワイパ170が往復動作を行う。しかしながら、乾燥フィルタ清掃工程において、最初にワイパ170が往復動作を行い、それが完了した後に給水部材150による給水が行われるようにしてもよい。あるいは、最初に給水部材150による給水が行われ、それが完了した後にワイパ170が往復動作を行うようにしてもよい。この場合、ワイパ170の往復動作の完了後に、もう一度、給水部材150による給水が行われてもよい。さらには、乾燥フィルタ清掃工程において、給水部材150による給水のみが行われ、ワイパ170の往復動作が行われないようにしてもよい。
【0128】
さらに、上記実施の形態では、洗い工程における給水工程において、給水部材150による給水とワイパ170の往復動作とが行われる。しかしながら、洗い工程における給水工程において、ワイパ170の往復動作が行われないようにしてもよく、さらには、給水部材150による給水とワイパ170の往復動作の双方が行われないようにしてもよい。
【0129】
さらに、上記実施の形態では、洗濯乾燥機1は、横軸型のドラム23を備えるドラム式の洗濯乾燥機であった。しかしながら、本発明は、内部にパルセータを有する縦軸型の洗濯脱水槽を備える、いわゆる縦型の洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0130】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0131】
10 筐体
20 外槽
23 ドラム(洗濯槽)
20b 排水口部
41 排水バルブ
50 給水装置
52 第2給水バルブ(給水バルブ)
110 循環路
120 送風ファン(送風部)
132 加熱器(加熱部)
142 乾燥フィルタ
142a 捕獲面
150 給水部材(フィルタ給水部)
170 ワイパ
180 アクチュエータ
201 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8