(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165566
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】道路の防草工法
(51)【国際特許分類】
E01H 11/00 20060101AFI20231109BHJP
E01C 11/22 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
E01H11/00 A
E01C11/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076780
(22)【出願日】2022-05-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 2021年6月1日等 公開した場所 新潟県新潟市西区坂井地内等
(71)【出願人】
【識別番号】522079919
【氏名又は名称】新潟維持サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522179703
【氏名又は名称】株式会社特殊技工
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 一也
(72)【発明者】
【氏名】倉科 知弘
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AF06
2D051AG13
(57)【要約】
【課題】様々な道路環境に対応して雑草の発生を抑え、道路維持面、交通安全面、景観面及び環境面の改善を図る道路の防草工法を提供する。
【解決手段】接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層13によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、道路面2Aの一部2AAと、前記道路面2Aと分離帯1との隙間部8と、前記分離帯1の側面3B全体と、前記分離帯1の上面3A全体としている
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、
前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、
前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面と分離帯との隙間と、前記分離帯の側面全体と、前記分離帯の上面全体であることを特徴とする防草工法。
【請求項2】
前記分離帯の側面にガラスビーズを添加した塗料を塗布する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の防草工法。
【請求項3】
接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、
前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、
前記施工範囲が、車道面の一部と、前記車道面と境界ブロックとの隙間と、前記境界ブロックの側面全体と、前記境界ブロックの上面全体と、前記境界ブロックと歩道面との隙間と、前記歩道面の一部であることを特徴とする防草工法。
【請求項4】
接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、
前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、
前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面とコンクリート壁部との隙間と、前記コンクリート壁部全体であることを特徴とする防草工法。
【請求項5】
接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、
前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、
前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面とU字溝との隙間と、前記U字溝の側壁であることを特徴とする防草工法。
【請求項6】
接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、
前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、
前記施工範囲が、地面に敷設した下地シートであることを特徴とする防草工法。
【請求項7】
接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、
前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、
前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面と境界ブロックとの隙間と、前記境界ブロックの上面全体と、前記境界ブロックと前記境界ブロックにより区画された植栽区域との隙間と、前記植栽区域の一部であることを特徴とする防草工法。
【請求項8】
前記植栽区域を水透過部材により被覆することを特徴とする請求項7に記載の防草工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路の防草工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の維持管理作業には、多大な経費を必要とすると同時に、管理作業に道路規制による車両の渋滞を発生させたり、維持管理作業中に作業員が走行車両によって危険に晒される場合もあった。そこで、以下に示すとおりの道路の隙間をウレタン樹脂で被覆して、道路の隙間からの雑草の発生を抑え、道路維持面、交通安全面、景観面及び環境面の改善を図っていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の道路の防草工法では、修繕箇所が他の正常な路面に対して継ぎ接ぎ状となり景観を損ねる、という課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、様々な道路環境に対応して雑草の発生を抑え、道路維持面、交通安全面、景観面及び環境面の改善を図る道路の防草工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面と分離帯との隙間と、前記分離帯の側面全体と、前記分離帯の上面全体であることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記分離帯の側面にガラスビーズを添加した塗料を塗布する工程を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、車道面の一部と、前記車道面と境界ブロックとの隙間と、前記境界ブロックの側面全体と、前記境界ブロックの上面全体と、前記境界ブロックと歩道面との隙間と、前記歩道面の一部であることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面とコンクリート壁部との隙間と、前記コンクリート壁部全体であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面とU字溝との隙間と、前記U字溝の側壁であることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、地面に敷設した下地シートであることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層にウレタン樹脂層を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層にコーティング材層を積層する工程と、を有し、被覆層によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、道路面の一部と、前記道路面と境界ブロックとの隙間と、前記境界ブロックの上面全体と、前記境界ブロックと前記境界ブロックにより区画された植栽区域との隙間と、前記植栽区域の一部であることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、前記植栽区域を水透過部材により被覆することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、隙間部をウレタン樹脂層で被覆することで、雑草の発生を抑え、道路維持面、交通安全面、景観面及び環境面の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施例を示す境界ブロック付近の道路の防草工法の断面図である。
【
図2】同上、
図1における境界ブロックの立ち上げ部付近の拡大断面図である。
【
図3】同上、(A)は防草工法施工後の境界ブロック付近の道路の斜視図であり、(B)防草工法施工前の境界ブロック付近の道路の斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施例を示す道路の断面図である。
【
図6】本発明の第3実施例を示す道路の断面図である。
【
図8】本発明の第4実施例を示す道路の防草工法の斜視図である。
【
図9】同上、排水用U字溝付近の道路の断面図である。
【
図10】本発明の第5実施例を示す道路の防草工法の断面図である。
【
図11】本発明の第6実施例を示す道路の斜視図であり、(A)は防草工法施工後の道路の斜視図であり、(B)は防草工法施工前の道路の斜視図である。
【
図13】本発明の第7実施例を示す道路の防草工法の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0017】
以下、本発明に係る道路の防草工法の第1実施例について、
図1~
図3を参照しながら詳細に説明する。
図1及び
図3において、1に示す分離帯は、道路(ここでは、車道2)を分離する島状構造物である。分離帯1は、分離帯1と車道2の境界に沿って敷設された複数のコンクリート製の断面矩形状の境界ブロック3によって分離帯1の周縁が画設されており、複数の境界ブロック3によって囲まれた分離帯1の内部には、モルタルが充填されたモルタル層4と、モルタル層4の上からコンクリートが打設されたコンクリート層5が形成されており、コンクリート層5の上面5Aは、境界ブロック3の上面部3Aと面一となるように形成されている。尚、分離帯1の内部の構成については適宜変更可能とする。
【0018】
境界ブロック3とコンクリート層5の間の目地部6において、コンクリート層5を形成する際の乾燥によるコンクリート層5の収縮等によって僅かな隙間部7が形成してしまう場合には、隙間部7から雑草が発生する問題がある。
【0019】
図1に示すように、上記の分離帯1を備えた道路の防草工法の手順について説明する。最初に防草工法の下処理工程として、目地部6の隙間部7と車道2と境界ブロック3の隙間部8より繁茂する雑草を、取り除き、あるいは、伐根し、隙間部7、8に詰まっている夾雑物を除去する。ここで、境界ブロック3が破損している場合には、この段階で境界ブロック3の補修又は交換を行うことが好ましい。続いて、隙間部7、8の土砂をモルタル等の充填物に置換する。
【0020】
次に防草工程に移行する。まずは、車道2の路面2Aの一部と、路面2Aと分離帯1(ここでは境界ブロック3)との隙間部8と、分離帯1(ここでは境界ブロック3)の側面3B全体と、前記分離帯1の上面全体(ここでは境界ブロック3の上面部3A及びコンクリート層5の上面部5A)まで連続してプライマー等の糊材からなる接着剤を塗布、噴霧または吹き付けして接着剤層9を形成する。
【0021】
続いて、該接着剤層9にウレタン樹脂を塗布、噴霧または吹き付けして積層し、ウレタン樹脂層10を形成する。ここで、ウレタン樹脂層10に使用されるウレタン樹脂は、2液混合タイプのウレタン樹脂を使用することで、速やかに乾燥固化する速攻乾燥性と、耐候性、耐摩耗性、耐水性、および耐透水性に優れ、ピンホール、クラック等の発生を防ぐ追従性を有している。
【0022】
さらに、ウレタン樹脂層10にコーティング材を塗布、噴霧または吹き付けてコーティング材層11を形成する。
【0023】
最後に、境界ブロック3の立ち上がり部3Bのコーティング材層11にガラスビーズを添付した塗料を塗布して塗装層12を形成する。尚、塗装層12は境界ブロックの立ち上がり部3B以外のコーティング材層11には形成しないものとする。
【0024】
本実施例では、接着剤層9、ウレタン樹脂層10およびコーティング材層11の順に積層してなる被覆層13は、車道2の路面2Aの一部と、路面2Aと分離帯1との隙間部と、分離帯1の側面全体たる境界ブロック3の立ち上がり部3Bと、前記分離帯の上面全体たる境界ブロック3の上面部3A及びコンクリート層5の上面部5Aまでを施工範囲として連続して施工されるものである。
【0025】
ここで、被覆層13における路面2Aの一部2AAを被覆する範囲13Aとしては、隙間部7を被覆する部分から連続して路面2Aを数センチメートル~数十センチメートル程を被覆する範囲としている。
【0026】
以上のように本実施例の道路の防草工法では、接着剤層9を形成する工程と、前記接着剤層9にウレタン樹脂層10を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層10にコーティング材層11を積層する工程と、を有し、被覆層13によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、道路面2Aの一部2AAと、前記道路面2Aと分離帯1との隙間部8と、前記分離帯1の側面3B全体と、前記分離帯1の上面3A全体としている。
【0027】
この場合、隙間部7、8をウレタン樹脂層10で被覆するとともに、分離帯1の表面が被覆層13によって完全に被覆することで、太陽光が入る隙間が全く生じないため、極めて高い防草効果を有し、道路維持面、交通安全面、景観面及び環境面の改善を図ることができる。
【0028】
前記分離帯1の側面3Bにガラスビーズを添加した塗料を塗布する工程を有することで、ガラスビーズによる光の再起反射特性により境界ブロック3を照らすヘッドライトの光が反射されるので、境界ブロック3の視認性を高めることができる。
次に防草工程に移行する。まずは、車道20の路面20Aの一部20AAと、路面20Aと境界ブロック22との隙間部23と、境界ブロック22の側面部22B全体と、歩道21の路面21Aと境界ブロック22の上面部22Aの隙間部24と、歩道21の路面21Aの一部21AAまで連続してプライマー等の糊材からなる接着剤を塗布、噴霧または吹き付けして接着剤層25を形成する。
続いて、該接着剤層25にウレタン樹脂を塗布、噴霧または吹き付けして積層し、ウレタン樹脂層26を形成する。ここで、ウレタン樹脂層26に使用されるウレタン樹脂は、実施例1と同じものである。
本実施例では、接着剤層25、ウレタン樹脂層26およびコーティング材層27の順に積層してなる被覆層28は、車道20の路面20Aの一部20AAと、路面20Aと境界ブロック22との隙間部23と、境界ブロック22の側面部22B全体と、歩道21の路面21Aと境界ブロック22の上面部22Aの隙間部24と、歩道21の路面21Aの一部21AAまでを施工範囲として連続して施工されるものである。
ここで、被覆層28における路面20Aの一部20AA、21AAを被覆する範囲28A、28Bとしては、隙間部23、24を被覆する部分から連続して路面20A、21Aを数センチメートル~数十センチメートル程を被覆するような範囲としている。
以上のように本実施例の道路の防草工法では、接着剤層25を形成する工程と、前記接着剤層25にウレタン樹脂層26を積層する工程と、前記ウレタン樹脂層26にコーティング材層27を積層する工程と、を有し、被覆層28によって施工範囲を被覆する防草工法であって、前記施工範囲が、車道面20Aの一部20AAと、前記車道面20Aと境界ブロック22との隙間部23と、前記境界ブロック22の側面22B全体と、前記境界ブロック22の上面22A全体と、前記境界ブロック22と歩道面21Aとの隙間部24と、前記歩道面21Aの一部21AAとしている。