(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165575
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレンの新しい分解方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/16 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
C08J11/16 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022084842
(22)【出願日】2022-05-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】522205482
【氏名又は名称】福田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸司
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA14
4F401CA69
4F401CA75
4F401EA13
4F401FA01Z
4F401FA06Z
(57)【要約】
【課題】
プラスチック材料の中には、物理的/化学的に分解が難しく、焼却時にダイオキシンなど人体に有害な物質を発生させるものがある。これらの素材の中には、リサイクルが難しいものも含まれており、安全な廃棄の方法を確立することが急務である。
【解決手段】粉末状にしたポリテトラフルオロエチレンの切削加工後の削りかすを錫の粉末と混ぜ、ペレットを整形して380℃で30分ほど加熱することにより、完全に分解することができる。より融点の低い錫の合金などを用い、他の、ポリテトラフルオロエチレンより融点の低いプラスチック材料にもこの方法を用いれば、焼却時に有害物質を発生させる材料も、安全に分解することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレンの切削加工で発生した削りかすを粉末状にし、これに錫の粉末をまぶしたペレットを整形し、380℃で30分間加熱することにより炭素の固体とフッ素化合物の気体に分解する方法。
【請求項2】
粉末状にした任意のプラスチック材料に錫または錫を含む合金の粉末をまぶしたペレットを整形し、任意のプラスチック材料の融点以上で30分間加熱することにより、炭素の固体と錫の化合物の気体に分解する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的/化学的に安定し、極めて分解の難しいポリテトラフルオロエチレンの新しく、簡単な分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレンは粘度が高く、溶融時の流動性がほとんどないため、成型加工方法としては、ほとんど切削加工のみが採用される。この切削加工時に大量の削りかすが発生するが、この削りかすから生成される粉末は、ポリテトラフルオロエチレンのモールディングパウダーと物性が大きく異なるため、再利用は難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリテトラフルオロエチレンは、摂氏400度以上に加熱することにより、極めて少量の熱分解を示すことが知られているが、耐薬品性・対候性に優れており、安定的に簡便な方法で分解/再重合することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ポリテトラフルオロエチレンの切削加工で発生した削りかすを粉末状にし、錫の粉末とよく混ぜる。混ぜた粉末を錠剤成型器で平たい円筒状のペレットに成型する。このペレットをホットプレート上で、摂氏380度で30分ほど加熱する。すると、錫と、ポリテトラフルオロエチレンに含まれるフッ素が反応し、フッ素化合物の気体となり、後には炭化したペレットが残される。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、物理的、化学的に安定した物質であるポリテトラフルオロエチレンを一瞬で、簡単な方法で分解し、再度重合してモールディングパウダーを生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0006】
本発明により、ポリテトラフルオロエチレンの切削加工時に大量に発生する削りかすを有効に再利用する道が開ける。また、他のプラスチック材料に適用することにより、例えばポリエチレンテレフタレートなどの燃焼時にダイオキシンを発生させる塩素を含有した高分子素材を安全に分解することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレンの切削加工で発生した削りかすを粉末状にし、これに錫の粉末をまぶしたペレットを整形し、380℃で30分間加熱する、ポリテトラフルオロエチレンの切削加工で発生した削りかすを分解する方法。
【請求項2】
粉末状にした塩素を含有した高分子素材に錫の粉末をまぶしたペレットを整形し、380℃で30分間加熱する、塩素を含有した高分子素材を分解する方法。