(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165593
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】加工に便利な同側同軸面固定子構造とモーター
(51)【国際特許分類】
H02K 5/20 20060101AFI20231109BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K7/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180857
(22)【出願日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】202221066709.8
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522367148
【氏名又は名称】東莞市科徳精密制造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】唐有為
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD11
5H605DD31
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD03
5H607FF04
(57)【要約】
【課題】本発明は、加工に便利な同側同軸面固定子構造とモーターを提供する。
【解決手段】本発明の加工に便利な同側同軸面固定子構造は、エアダクトハウジングを含み、前記エアダクトハウジング内にモーター部品を取り付けるための固定部が同軸に配置され、前記エアダクトハウジングと前記固定部との間に、この両者の相対位置を固定するための接続部品が設けられ、前記固定部の取付口が、前記エアダクトハウジングにおいてファンブレードアセンブリが設置される位置と同じ側に設置され、前記固定部が前記取付口から離れている一端に取付エンドキャップが設けられている。固定部の取付口とエアダクトハウジングにおけるファンブレードアセンブリの取付位置を同じ側に設定することで、A面、B面、C面の表面加工を1回のクランプで完了することができ、二次のクランプが必要なくなるので、エアダクトの同軸性が確保される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアダクトハウジング(1)を含み、前記エアダクトハウジング(1)内にモーター部品(6)を取り付けるための固定部(2)が同軸に配置され、前記エアダクトハウジング(1)と前記固定部(2)との間に、この両者の相対位置を固定するための接続部品が設けられ、
前記固定部(2)の取付口(21)が、前記エアダクトハウジング(1)においてファンブレードアセンブリ(7)が設置される位置と同じ側に設置され、前記固定部(2)の内、前記取付口から離れている一端に取付エンドキャップ(3)が設けられている、ことを特徴としている加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項2】
前記接続部品は複数本の導風板(4)であり、複数本の前記導風板(4)は前記エアダクトハウジング(1)と前記固定部(2)との間に環状配列に分布されている、請求項1に記載の加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項3】
前記導風板(4)は円弧状で同じ方向を向いている、請求項2に記載の加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項4】
前記固定部(2)の内側壁に軸方向に沿って延びる少なくとも1つの位置決め溝(22)が設けられている、請求項1に記載の加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項5】
前記取付エンドキャップ(3)に複数本の長尺状端子回避孔(31)が形成されている、請求項1に記載の加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項6】
前記取付エンドキャップ(3)と前記固定部(2)との間に、複数本の補強リブ(5)が設けられている、請求項1に記載の加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項7】
前記固定部(2)の端部は軸芯方向に沿って外側に延伸することで、前記取付エンドキャップ(3)が前記エアダクトハウジング(1)の外側に位置されている、請求項1に記載の加工に便利な同側同軸面固定子構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載されている同側同軸面固定子構造を含み、前記固定部(2)の内に前記モーター部品(6)が設けられ、前記モーター部品(6)の出力端部に前記ファンブレードアセンブリ(7)が取り付けられ、前記ファンブレードアセンブリ(7)が前記エアダクトハウジング(1)内に位置されている、ことを特徴としているモーター。
【請求項9】
前記モーター部品の外側壁に長尺状凸起(61)が設けられ、前記長尺状凸起(61)が前記位置決め溝(22)に係止されている、請求項8に記載されているモーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関し、特に加工に便利な同側同軸面固定子構造とモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
モーターは高速で回転するため、ファンブレード、回転子、エアダクト、軸受及び軸受箱などについて、高い同軸性を要求している。同軸度が悪くなると、モーターの振動騒音の発生と悪化を招き、モーターの寿命にも悪影響を与える。現在、送風機に適用されるモーターには、エアダクトとこのエアダクトに取り付けられている必要なモーターコンポーネントが含まれる。
【0003】
エアダクトの同軸性を確保するため、エアダクトの内側壁を処理する必要がある。
図1~
図3に示すように、従来のエアダクトは、エアダクトの内側壁のA'、B'、C'、及びD'面を滑らかな面に処理する必要がある。しかし、エアダクトのエンドカバー1'が空気入口付近にあり、A'面をB'、C'、D'面と離隔しているため、2次の加工が必要となり、同軸度を保証できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、表面加工のような仕上げに便利な同側同軸面固定子構造とモーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術案を提供する。加工に便利な同側同軸面固定子構造であって、エアダクトハウジングを含み、前記エアダクトハウジング内にモーター部品を取り付けるための固定部が同軸に配置され、前記エアダクトハウジングと前記固定部との間に、この両者の相対位置を固定するための接続部品が設けられ、前記固定部の取付口が、前記エアダクトハウジングにおいてファンブレードアセンブリが設置される位置と同じ側に設置され、前記固定部の内、前記取付口から離れている一端に取付エンドキャップが設けられている。
【0006】
モーターであって、上記同側同軸面固定子構造を含み、前記固定部の内に前記モーター部品が設けられ、前記モーター部品の出力端部に前記ファンブレードアセンブリが取り付けられ、前記ファンブレードアセンブリが前記エアダクトハウジング内に位置されている。
【発明の効果】
【0007】
固定部の取付口とエアダクトハウジングにおけるファンブレードアセンブリの取付位置を同じ側に設定することで、A面、B面、C面の表面加工を1回のクランプで完了することができ、二次のクランプが必要なくなる。そして、エアダクトの同軸性が確保される。
【0008】
固定部の取付口とエアダクトハウジングの空気入口が同じ側にあるので、設置されるのは前端キャップであり、前端キャップが設置される位置は加工面Bに対応している。従って、本発明はD面を表面加工する必要がなくなる。これにより、処理ステップが削減され、処理効率が向上する。
本発明の他の特徴および利点は、後述する実施形態を以って説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来技術のエアダクトハウジングの断面立体図である。
【
図2】従来技術のエアダクトハウジングの立体図である。
【
図3】従来技術のエアダクトハウジングの立体図である。
【
図4】本発明におけるエアダクトハウジングの断面立体図である。
【
図5】本発明におけるエアダクトハウジングの立体図である。
【
図6】本発明におけるエアダクトハウジングの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図4~
図9を参照して、本発明の実施形態を説明する。
本発明は、従来技術におけるエアダクトの同軸性が保証できないという課題を解決するために改良されたものである。
【0011】
本実施形態における構造は、エアダクトハウジング1と、エアダクトハウジング1内に同軸に配置されモーター部品6を取り付けるための固定部2とを含む。本実施形態における構造において、従来技術におけるエアダクトとの区別点は、取付口から離れている固定部2における一端に取付エンドキャップ3を設けている。エアダクトハウジング1の内側壁のA面と、固定部2の内側壁のB面と、取付エンドキャップ3の内側壁のC面との間には障壁がなく、すべてが同じ側に配置され、すべてが同軸面である。A面は、エアダクトハウジング1の内側壁においてファンブレードアセンブリ7が設置される位置を指し、B面は、固定部2の内側壁において、モーター部品6が設置される位置を指し、C面は、取付エンドキャップ3の内側壁において、軸受8が取り付けられる位置を指す。加工する際に、A面、B面、C面の順に表面加工してもよいし、C面、B面、A面の順に表面加工してもよい。また、他の順序で加工してもよく、限定しない。このような構造にすることで、一回のクランピングでA面、B面、C面への加工を完了させることができ、二回目のクランピングがいらない。そして、エアダクトの同軸性を確保することができる。
【0012】
また、
図1~
図3に示すように、従来技術において、固定部2'の取付口21'の設置方向は、エアダクト内のファンブレード(図示せず)を取り付ける位置A'と背き離れている。一般的に、モーターアセンブリは、固定子アセンブリ、回転子アセンブリ及びエンドキャップを含む。また、固定子アセンブリは固定部2'に取り付けられ、回転子アセンブリは固定子アセンブリ内に配置され、その一端がエンドキャップ1'を貫通し、他端は後端キャップ(図示せず)を貫通する。すなわち、後端キャップは固定部2'の取付口21'に設置する必要があり、後端キャップの同軸度を確保するために、固定部2'のD'面を表面処理する必要がある。
【0013】
一方、本発明には、固定部2における取付口21はエアダクトハウジング1の空気入口と同じ側にあるので、前端キャップ62を取り付けることになる。前端キャップ62が取り付けられる位置は、表面加工が必要なB面に対応するので、本発明ではD面を表面加工する必要がなく(D面は図示せず)なり、処理工数を軽減することができ、処理効率の向上もできる。
【0014】
本発明におけるエアダクトがモーター部品6と組み合わせて使用されることで、ヘアドライヤーや電気バリブラシで使用されるモーターを形成する。モーターの出力端にファンブレードアセンブリ7が設けられている。モーターがファンブレードアセンブリ7を駆動して回転させるとき、外部空気がエアダクトの空気入口から入り、エアダクトハウジング1と固定部2との隙間を通って空気出口から吹き出す。換言すれば、モーターによってファンブレードを駆動するだけで、空気の気体流動が形成できる。そして、エアダクトハウジング1と固定部2との間にどのような接続方法で接続するかは重要ではない。例えば,エアダクトハウジング1の内側壁には、軸芯方向に延びる固定柱(図示せず)が設けられ、複数の固定柱でブラケットを形成して固定部2に接続されている。または、エアダクトハウジング1の内側壁には、軸芯方向に延びる導風板4が設けられても、エアダクトハウジング1と固定部2との相対位置を固定することができる。本実施形態において、接続部品は、エアダクトハウジング1と固定部2との相対位置を固定するために、環状配列に分布された複数の導風板4を適用している。また、導風板4は円弧状で同じ方向を向いているので、良好な固定効果が達成できるだけではなく、空気の流れを誘導することもでき、排気効果が向上できる。
【0015】
図4~
図9に示すように、固定部2は、モーター部品6を取り付ける役割を有する。モーター部品6の固定子アセンブリは、固定部2の内側壁に直接接触し、一般的にねじ連接により固定するので、固定部2に穴を開ける必要があり、取付が煩雑である。一方で、本実施形態において、固定部2の内側壁に軸方向に沿って延びる少なくとも1つの位置決め溝22が設けられ、固定子アセンブリの外側壁に位置決め溝22に対応する長尺状凸起61が設けられている。設置する際には、固定子アセンブリを固定部2に挿入し、長尺状凸起61が位置決め溝22に係止することで設置できる。また、モーター部品6は前端キャップ62を含み、前端キャップ62が固定部2の後に取り付けられる。前端キャップ62は、取付エンドキャップ33と協働して使用されることで、固定子アセンブリの位置が制限される。そして、固定子アセンブリを固定することができる。
【0016】
従来は、後端キャップ固定方式を採用しているため、後端キャップの位置に回避孔31を加工する必要がある。一方、本実施形態では、エアダクトを形成する際に、取付エンドキャップ3の処に回避孔31を形成する。そして、前端キャップ62の追加加工が不要となり、生産効率を向上させることができる。
【0017】
本実施形態では、取付エンドキャップ3と固定部2との間の強度を向上させるために、両者の接続部に多数の補強リブ5が設けられている。また、本発明における固定部2は、空気入口と離れている一端はエアダクトハウジング1の外側に位置している。
【0018】
本発明は、上記同側同軸面固定子構造と、上記同側同軸面固定子構造を有するモーターを提供している。モーターと本発明の同側同軸面固定子構造の実施形態は、同じ概念に基づいており、同じ技術的効果をもたらしている。したがって、モーターの詳細を省略し、具体的な内容は上記説明を参照することができる。
【0019】
当業者にとって、本発明が上記実施形態に列挙した内容に限定されるものではなく、本発明の思想または本質的な特徴から逸脱していない範囲内には、他の特定の形態で本発明を具現化することもできる。従って、本実施形態は例示的であり、限定的ではない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の請求項によって定義されるべきである。請求項の範囲内にあるかぎり、均等の意味でも、変更でも、本発明に含まれる。請求項の参照記号は、関連する請求項を限定するものではない。
【0020】
本発明の実施形態が例示され、説明されているが、このような変更された実施例は本発明の技術思想や範囲から個別的に理解されてはならず、当業者は本発明の原理や思想から行われた変更、修正、変形も本発明の添付した特許請求範囲内に含まれると理解すべきである。各実施例は組み合わせ可能である。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲とその均等物によって定義される。
【符号の説明】
【0021】
1、エアダクトハウジング
2、固定部
21、取付口
22、位置決め溝
3、取付エンドキャップ
31、回避孔
4、導風板
5、補強リブ
6、モーター部品
61、凸起
62、前端キャップ
7、ファンブレードアセンブリ
8、軸受