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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165596
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】合成装置及び合成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/072 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
C01B21/072 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188644
(22)【出願日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】202210482491.2
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522462270
【氏名又は名称】ニンシア・シシング・テクノロジー・カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】NINGXIA SHIXING TECHNOLOGY CO.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,ウェングイ
(72)【発明者】
【氏名】チン,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ラン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】マー,リービン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ヤンチャオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】合成装置及び合成物の製造方法、特に窒化アルミニウム連続合成装置及び窒化アルミニウム連続合成方法を提供する。
【解決手段】合成装置は、反応部A1であって、反応室100を含み、前記反応室100と連通している供給手段200が反応室100に設けられ、前記供給手段200が固体材料と反応ガスを前記反応室100に供給するように構成され、前記固体材料と前記反応ガスが前記反応室100内で反応して合成物を形成するように構成される反応部A1と、前記反応部A1の下方に設けられ、重力によって落下した合成物で形成される材料を切削するように構成される排出手段A3と、を含む。前記合成装置及び合成物の製造方法は、合成物材料を切削しながら自動的に排出することができ、これにより、手動操作による環境汚染を回避又は低減させ、反応室100内の反応物の容積が比較的安定することを確保するのに有利である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成装置であって、
反応部であって、反応室を含み、前記反応室と連通している供給手段が反応室に設けられ、前記供給手段が固体材料と反応ガスを前記反応室に供給するように構成され、前記固体材料と前記反応ガスが前記反応室内で反応して合成物を形成するように構成される反応部と、
前記反応部の下方に設けられ、重力によって落下した合成物で形成される材料を切削するように構成される排出手段と、を含む、合成装置。
【請求項2】
前記固体材料はアルミニウム粉末であり、前記反応ガスは窒素ガスであり、前記合成物は窒化アルミニウムである、請求項1に記載の合成装置。
【請求項3】
前記反応部の下方に接続され、前記反応室と連通し、反応室からの前記合成物を冷却するように構成される冷却部をさらに含み、前記冷却部、前記反応部はすべて円筒状であり、且つ同じ軸線で配置され、
前記排出手段は前記冷却部の下方に設けられ、冷却後の合成物で形成される材料を切削するように構成される、請求項1に記載の合成装置。
【請求項4】
前記冷却部は、合成物材料を冷却するように構成される水冷ジャケットを含む、請求項3に記載の合成装置。
【請求項5】
前記冷却部の下方及び前記排出手段の上方に設けられるガイドシリンダをさらに含み、前記ガイドシリンダ、前記冷却部、前記反応部はすべて円筒状であり、且つ同軸線で配置される、請求項3に記載の合成装置。
【請求項6】
上側が前記ガイドシリンダの下側に接続され、外部除塵機に接続されるように構成される吸引孔が設けられる集気カバーをさらに含む、請求項5に記載の合成装置。
【請求項7】
前記集気カバーは、前記軸線から離れて外側に広がる円錐状の集気カバーであり、前記円錐状の集気カバーには前記吸引孔が周方向に等間隔に設けられる、請求項6に記載の合成装置。
【請求項8】
切削後の合成物材料を搬送するための合成物材料搬送手段をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【請求項9】
前記合成物材料搬送手段は搬送ベルトを含む、請求項8に記載の合成装置。
【請求項10】
前記搬送ベルトが位置する空間は外部除塵機に接続されるように構成される、請求項9に記載の合成装置。
【請求項11】
前記反応室には前記反応室内の圧力を微正圧に維持するための呼気弁及び/又はガス補充手段が設けられ、前記呼気弁は前記反応室内の瞬間過剰ガスを排出するように構成され、前記ガス補充手段は前記反応室内に反応ガスを補充するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【請求項12】
前記供給手段は反応室の頂部に設けられ、分配器を含み、前記分配器は前記反応室内に入った固体材料を分散させるように前記反応室内に噴射するように構成され、
前記ガス補充手段は前記反応室の下部に設けられて、前記反応室内に反応ガスを斜め上方に補充する、請求項11に記載の合成装置。
【請求項13】
前記微正圧は100~500Paの範囲内である、請求項11に記載の合成装置。
【請求項14】
前記反応室には前記ガス補充手段が設けられ、
前記合成装置は、前記反応室内の圧力を測定するように構成される圧力センサと、前記圧力センサによって検出された圧力に基づいて前記ガス補充手段が前記反応室内に搬送する反応ガスの量を調整するように構成されるコントローラと、をさらに含む、請求項11に記載の合成装置。
【請求項15】
前記供給手段は反応室の頂部に設けられ、分配器を含み、前記分配器は前記反応室内に入った固体材料を分散させるように前記反応室内に噴射するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【請求項16】
前記反応室の頂部に天板が設けられ、前記天板は前記反応室の頂部を閉鎖し、円形であり、前記分配器は軸線が前記天板の円心を貫通する供給チューブを含む、請求項15に記載の合成装置。
【請求項17】
出口が前記供給手段の供給口と連通し、入口が反応ガスパルス空気圧方式で搬送された前記固体材料を受けるように構成されるパルス搬送管路をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【請求項18】
前記パルス搬送管路の中間部分と連通して、前記パルス搬送管路内に反応ガスを連続的に搬送するように構成される反応ガス連続搬送管路をさらに含む、請求項17に記載の合成装置。
【請求項19】
反応室内の温度を監視するように構成される温度センサと、
前記温度センサによって監視された温度に基づいて固体材料の搬送量を調整するように構成されるコントローラと、をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【請求項20】
前記排出手段は、
切削駆動機構の駆動下で合成物材料を切削するように構成される排出機と、
前記排出機の下部に設けられて、切削後の合成物材料を収集する収集ガイド機構と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【請求項21】
合成物の製造方法であって、
反応室内の温度が固体材料と反応ガスを反応させる反応温度となるように加熱するステップと、
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送し、前記反応ガスを前記固体材料の搬送ガスとするステップと、
前記反応室内で固体材料と反応ガスを合成して合成物を生成するステップと、
重力によって落下した合成物で形成される材料を排出手段によって切削するステップと、を含む方法。
【請求項22】
合成物材料を冷却するステップと、
排出手段によって冷却後の前記合成物材料を切削するステップと、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
切削後の合成物材料を搬送するステップをさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記固体材料と反応ガスの合成ステップでは、前記反応室に設けられた呼気弁及び/又はガス補充手段によって前記反応室内の圧力を微正圧に維持させ、前記呼気弁は前記反応室内の瞬間過剰ガスを排出するように構成され、前記ガス補充手段は前記反応室内に反応ガスを補充するように構成される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
前記微正圧は100~500Paの範囲内である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップは、
前記反応室の頂部から前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップと、
前記ガス補充手段は反応室の側面の下部で反応室内に反応ガスを斜め上方に補充して、落下した未反応の固体材料と逆方向に混合するようにするステップと、を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記反応室には圧力センサと前記ガス補充手段が設けられ、前記圧力センサは前記反応室内の圧力を測定するように構成され、
前記合成物の製造方法は、前記圧力センサによって検出された圧力に基づいて前記ガス補充手段が前記反応室内に搬送する反応ガスの量を調整するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップは、
前記反応室の頂部に設けられた分配器によって、前記反応室内に入った固体材料を分散させるように前記反応室内に噴射するステップを含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項29】
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップは、
パルス搬送管路を介して前記反応室の頂部から反応ガスパルス空気圧方式で固体材料を搬送するステップと、
前記パルス搬送管路の中間部分と連通している反応ガス連続搬送管路を介して前記パルス搬送管路内に反応ガスを連続的に搬送するステップと、を含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項30】
排出手段によって合成物材料を切削するステップでは、発生した粉末含有ガスを外部除塵機によって吸引する、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項31】
前記合成物の製造方法は、搬送ベルトを介して切削後の合成物材料を搬送するステップをさらに含み、
前記搬送ベルトが位置する空間は前記外部除塵機に接続されるように構成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
固体材料をパルス的に搬送する場合には、前記固体材料の質量流量が20~200kg/hの範囲内である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項33】
反応室内の反応温度を800~1100℃の範囲内、さらに1050~1100℃の範囲内に制御するステップをさらに含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項34】
前記固体材料はアルミニウム粉末であり、前記反応ガスは窒素ガスであり、前記合成物は窒化アルミニウムである、請求項21又は22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学材料製造の分野に関し、特に合成装置及び合成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物は、硬度が高く、融点が高く、化学的性質が安定しているなどの特性を有するため、工業的な生産や製造によく応用されている。例えば、窒化アルミニウムは人工的に合成された高熱伝導性絶縁材料であり、セラミック原料として工業的に広く応用されており、主に電子パッケージ、セラミック基板、熱伝導性充填材、構造物、透明セラミックなどに用いられている。
【0003】
沈降式自己伝播技術は化学反応による自己発熱を利用して材料を合成する方式であり、化学反応による自己発熱によって反応が継続でき、外部熱源を使用せずに反応が持続できるため、産業界により好まれている。
【0004】
沈降式自己伝播による窒化物の製造過程では、例えば、窒化アルミニウムを例にとると、窒素ガスをキャリアガスとしてアルミニウム粉末を反応器に連続的又はパルス的に搬送して自己伝播反応を行い、反応の瞬間に生成した窒化アルミニウムは自重により反応室の底部に沈降し、下降中の未反応のアルミニウム粉末は下部の堆積体の表面で反応を継続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記沈降式自己伝播による窒化物の製造プロセスでは、窒化物の収集と排出は主に手動操作で行われているが、手動操作では窒化物材料の断続的な排出状態が発生しやすく、該断続的な操作状態は反応室内の反応空間容量に影響を与えるため、手動操作で排出する場合に、反応室内に投入したアルミニウム粉末と窒化物との量のバランスを確保できず、すなわち、反応室内の反応物の容積が比較的安定していることを確保できない。また、手動収集操作は環境を汚染するため、製品の品質に影響を与える。
【0006】
また、上記沈降式自己伝播による窒化物の製造プロセスで使用されるアルミニウム粉末の分散性が悪く、堆積物カラムが急峻な円錐体であり、反応生成物が窒化アルミニウムと溶融アルミニウムの混合物であり、反応が不完全であり、反応室内の圧力が不安定であり、連続生産の要件を満たすことができない。
【0007】
従来技術の上記課題の少なくとも1つを緩和又は解決するために、以下の技術案が提案される。
【0008】
本発明は合成装置及び合成物の製造方法を提供し、前記合成装置及び合成物の製造方法は、合成物材料を切削しながら自動的に排出することができ、これにより、手動操作による環境汚染を回避し、反応室内の反応物の容積が比較的安定することを確保できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例の一態様によれば、合成装置が提案され、
反応部であって、反応室を含み、前記反応室と連通している供給手段が反応室に設けられ、前記供給手段が固体材料と反応ガスを前記反応室に供給するように構成され、前記固体材料と前記反応ガスが前記反応室内で反応して合成物を形成するように構成される反応部と、
前記反応部の下方に設けられ、重力によって落下した合成物で形成される材料を切削するように構成される排出手段と、を含む。
【0010】
好ましくは、前記合成装置は、前記反応部の下方に接続され、前記反応室と連通し、反応室からの前記合成物を冷却するように構成される冷却部をさらに含み、前記冷却部、前記反応部はすべて円筒状であり、且つ同軸線で配置され、前記排出手段は前記冷却部の下方に設けられ、冷却後の合成物で形成される材料を切削するように構成される。
【0011】
本発明の実施例の別の態様によれば、合成物の製造方法が提案され、
反応室内の温度が固体材料と反応ガスを反応させる反応温度となるように加熱するステップと、
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送し、前記反応ガスを前記固体材料の搬送ガスとするステップと、
前記反応室内で固体材料と反応ガスを合成して合成物を生成するステップと、
重力によって落下した合成物で形成される材料を排出手段によって切削するステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、前記合成物の製造方法は、前記合成物材料を冷却するステップと、排出手段によって冷却後の前記合成物材料を切削するステップと、をさらに含む。
【0013】
上記合成装置及び合成物の製造方法では、好ましくは、前記固体材料はアルミニウム粉末であり、前記反応ガスは窒素ガスであり、前記合成物は窒化アルミニウムである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の説明及び図面は、本発明で開示された各実施例に記載のこれらの及び他の特徴や利点を理解するのをより良好に支援するためのものであり、図面を通じて同じ符号は常に同じ部材を表している。
図1】本発明の1つの例示的な実施例に係る合成装置の構造概略図である。
図2】本発明の1つの例示的な実施例に係る合成装置の反応室の天板の上面概略図である。
図3】本発明の1つの例示的な実施例に係る分配器の構造概略図である。
図4】本発明の1つの例示的な実施例に係る導流コーンの構造概略図である。
図5】本発明の1つの例示的な実施例に係る導流コーンを保持するための保持部の構造概略図である。
図6】本発明の1つの例示的な実施例に係る下部ガイドチューブ、下部接続フランジ、保持部及び導流コーンを組み合わせたときの構造概略図である。
図7】本発明の1つの例示的な実施例に係る窒化アルミニウムの合成方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照した本発明の実施形態の説明は本発明の全体的な発明構想を解釈するためのものであり、本発明を制限するものとして理解されるべきではなく、発明の実施例の一部に過ぎず、実施例の全部ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて得た他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとなる。
【0016】
以下、図1図2を参照して本発明の1つの例示的な実施例の合成装置を例示的に説明し、該合成装置は、反応部A1と、反応部A1の下方に設けられる排出手段A3とを含む。反応部A1は反応室100を含み、反応室100(例えば、反応室の天板101)には反応室100と連通している供給手段200が設けられ、供給手段200は固体材料と反応ガスを反応室100に供給するように構成され、固体材料と反応ガスは反応室100内で反応して合成物を形成するように構成される。排出手段A3は重力によって落下した合成物で形成される材料を切削するように構成される。
【0017】
上記排出手段A3によって、合成物材料で形成される材料カラムが切削により微細化され、これにより従来技術における手動排出の代わりに機械的な自動排出が使用される。これにより、反応室に投入した固体材料と反応室から搬出された合成物との間の量のバランスが確保され、反応室100内の反応物の容積が比較的安定することが確保される。
【0018】
一実施例では、前記合成装置は冷却部A2をさらに含んでもよく、前記冷却部A2は反応部A1の下方に接続され、反応室100と連通し、反応室100からの合成物を冷却するように構成される。好ましくは、冷却部A2は合成物材料を冷却するための水冷ジャケットを含む。
【0019】
好ましい実施例では、図示されていないが、反応部A1の下方及び排出手段A3の上方に冷却部A2が設けられず、排出手段A3の後に冷却部が設けられてもよく、冷却部が設けられなくてもよく、これらはいずれも本発明の保護範囲内である。
【0020】
排出手段A3が反応部A1の下方に設けられることは、上記冷却部A2が設けられない状況と、上記冷却部A2が設けられる状況とを含む。
【0021】
図1に示す実施例では、供給手段200は反応室100の頂部に設けられるが、本発明はこれに限定されない。好ましい実施例では、供給手段200は反応室の側壁の上部などの位置に設けられてもよく、これらも本発明の保護範囲内である。
【0022】
好ましい実施例では、合成装置の作業をさらにライン化するために、合成装置は切削後の合成物材料を搬送するための合成物材料搬送手段A4をさらに含む。更なる実施例では、合成物材料搬送手段A4は搬送ベルトを含み、前記搬送ベルトが位置する空間は外部除塵機に接続されるように構成される。これにより、環境汚染を低減させるのに有利であるだけでなく、粉塵中の合成物粉末を回収するのにも有利である。
【0023】
好ましい実施例では、例えば、前記合成装置には冷却部A2が設けられる。図1に示すように、排出手段A3は、冷却部A2の下方に位置し、駆動機構の駆動下で合成物材料を切削するように構成される排出機400と、排出機400の下部に設けられて、切削後の合成物材料を収集する収集ガイド機構500と、を含む。より具体的には、ガイドシリンダと地面との縦方向空間に排出機が設けられ、正常に作動する際には、反応室100の材料カラム全体が排出機に位置する。排出機は、合成物で形成される材料カラムを支持、上昇させ、材料カラムを連続的又は断続的に切削し、切削した合成物粉末と合成物ブロックの混合物を収集し、該混合物を排出機の底部の搬送ベルトに導出する役割を果たしている。
【0024】
さらに好ましくは、合成装置は、冷却部A2の下方に設けられ、排出機400を取り囲んで設けられ、粉末含有ガスを収集するように構成される環状のガイドシリンダ600と、前記環状のガイドシリンダに設けられ、外部除塵機に接続されるように構成される吸引孔が設けられる集気カバー700と、をさらに含む。よりさらに好ましい実施例では、前記集気カバー700は円錐状の集気カバーであり、前記円錐状の集気カバーの対称的な両側に前記吸引孔がそれぞれ設けられる。より具体的には、集気カバー700のウエスト部には2つの吸引孔が対称的に設けられ、管路を介して外部除塵機に接続される。排出機による排出時に、同時に除塵機が起動されて排出時に放出した粉末含有ガスを抽出し、排出時の合成物粉塵を不意に外部へ放出することを徹底的に解決する。
【0025】
本発明の一実施例では、冷却部A2、反応部A1は全て円筒状であり、且つ同軸線で配置される。本発明の更なる一実施例では、ガイドシリンダ600、冷却部A2、反応部A1は全て円筒状であり、且つ同軸線で配置される。
【0026】
上記環状のガイドシリンダ600、集気カバー700及び外部除塵機によって、排出手段A3による合成物材料の切削中に発生した粉塵を効果的に抑制し、これにより従来技術における手動収集操作による環境汚染の問題を回避又は低減させることができ、手動収集に起因して製品が汚染されて製品の品質に影響を与えるという問題をなくすことができる。さらに、環境汚染を低減させるのに有利であるだけでなく、粉塵中の合成物粉末を回収するのにも有利である。
【0027】
好ましい実施例では、図1図2に示すように、反応室100には、反応室100内の圧力を微正圧に維持するための呼気弁1001及び/又はガス補充手段1002が設けられる。呼気弁1001は反応室100内の瞬間過剰ガス(例えば、窒素ガス)を排出するように構成され、ガス補充手段1002は反応室100内に反応ガス(例えば、窒素ガス)を補充するように構成される。好ましい実施例では、前記微正圧は100~500Paの範囲内である。上記解決手段によれば、反応室100内の圧力の安定を維持し、これにより連続生産の要件を満たすのに有利である。ここでは、呼気弁1001は、粉末状固体材料の排出を可能にせず、反応室内の瞬間過剰ガス(特にパルスによる粉末搬送の場合)の排出のみを可能にする。更なる実施例では、呼気弁1001はさらに自己清掃機能を有し、すなわち、所定の周期だけ順方向に呼気すると、逆方向清掃ガスをオンにして反応室内の濾過網に付着した粉末状固体材料を吹き出す。
【0028】
ここでのガス補充手段1002は反応室100に基礎ガスを供給し、反応室を100~500Paの微正圧に維持し、材料堆積領域での継続合成に必要な反応ガスを供給する。
【0029】
さらに好ましい実施例では、前記合成装置は、反応室100内の圧力を測定するように構成される圧力センサ1003と、圧力センサ1003によって検出された圧力に基づいてガス補充手段1002が反応室100内に搬送する反応ガスの量を調整するように構成されるコントローラ1004と、をさらに含む。このようにして、反応室100内の圧力を正確に制御することができる。より具体的には、反応室100の中央部に圧力センサ1003が設けられ、反応室100の圧力を測定し、該圧力が設定値よりも低い場合、ガス補充手段1002のバルブを自動的に大きくしてガスを補充して、反応室100を常に100~500Paの微正圧状態に維持させる。
【0030】
図3に示すように、図1における供給手段200は反応室100の頂部に設けられ、分配器又は分配手段を含み、前記分配器は反応室100内に入った固体材料を分散させるように反応室100内に噴射するように構成される。
【0031】
好ましい実施例では、ガス補充手段1002は反応室100の下部に設けられて、反応室100内に反応ガスを斜め上方に補充する。このようにして、上向きの気流と固体材料を下方へ搬送するときの気流とを逆方向に混合し、固体材料が十分に拡散して懸濁状態での滞留時間を長くさせ、合成反応が実質的に完了する。
【0032】
好ましい実施例では、前記合成装置は、出口が前記供給手段の供給口と連通し、入口が反応ガスパルス空気圧方式で搬送された前記固体材料を受けるように構成されるパルス搬送管路をさらに含む。更なる実施例では、前記合成装置は、反応ガス連続搬送管路をさらに含み、前記反応ガス連続搬送管路は前記パルス搬送管路の中間部分と連通して、前記パルス搬送管路内に反応ガスを連続的に搬送するように構成される。すなわち、本発明では、固体材料を搬送するための反応ガスは2つの経路に分けられ、一方は常にオンにされ、管路に残留したアルミニウム粉末をパージして、パルス方式の場合に次のパルスによる粉末搬送段階におけるチューブの詰まりを回避し、また、霧化用の分配器を持続的に冷却する役割を果たし、他方は正常に連続的又はパルス的に搬送されるガスである。
【0033】
反応室100内の温度を制御又は監視するために、温度センサ1005及びコントローラ1006がさらに設けられてもよい。温度センサ1005は反応室内の温度を監視するように構成され、コントローラ1006は温度センサ1005によって監視された温度に基づいて固体材料の搬送量を調整するように構成される。より具体的には、反応室100の中上部や中下部には2つの温度プローブが設けられて反応室の温度を測定し、該温度に基づいて粉末供給手段に信号をフィードバックすることで、固体材料の搬送量又はパルスによる粉末搬送回数を増減することができる。
【0034】
図2に示すように、反応室100の天板101には複数の作業孔が均等に配置され、また適合する作業プラグが設けられ、反応室100の内壁に材料が付着した場合、プラグを抜き出して手動で除去することができる。更なる実施形態では、反応室100の生産を新たに開始するときに加熱する必要があるため、作業孔にバーナーが取り付けられ、電力や可燃ガスで反応室を加熱することができ、自己伝播反応に必要な800~1100℃の点火温度になると、材料投入生産が開始される。更なる実施形態では、このうちの1つ又は2つの作業孔に呼気弁1001が取り付けられる。
【0035】
以下、図3図6を参照して霧化機能又は拡散機能を有する分配器を例示的に説明する。
【0036】
図3図6に示すように、分配器は、コーン頂部11Aとコーン面11Bを含むコーン本体11を含む導流コーン10と、上端が固体材料を担持する反応ガスを導入するように構成され、下端開口21が開口端面21Aを有するガイドチューブ20と、導流コーン10を保持することに用いられ、ガイドチューブ20に接続される保持部30と、を含む。ガイドチューブ20の軸線L1に平行な方向において、コーン面11Bの少なくとも一部は開口端面21Aの下側に位置し、ガイドチューブ20の軸線L1に平行な方向において、開口端面21Aの下側に位置するコーン面11Bの部分は開口端面21Aから離間される。
【0037】
本発明では、ガイドチューブ20は反応ガスと固体材料が流れるための流れ通路Sを画定する。本発明の1つの例示的な実施例では、固体材料粒子の粒子径は10μm以下である。
【0038】
なお、本発明の実施例では、ガイドチューブ20の軸線L1に平行な方向において、コーン頂部11Aは開口端面21Aから離間されるか又は開口端面21Aの下方に位置するが、本発明はこれに限定されない。理解できるように、コーン頂部11Aはガイドチューブ20の下端以内、すなわち、開口端面21Aの上方に位置してもよいが、ガイドチューブ20の軸線L1に平行な方向において、コーン面11Bとガイドチューブ20の開口端面21Aとの間に隙間が存在し、該隙間は材料がガイドチューブから流出することに用いられ、これも本発明の保護範囲内である。さらに好ましい実施例では、該隙間の高さは10mm~20mmの範囲内である。
【0039】
本発明では、開口端面21Aの下側に位置するコーン面11Bの部分は開口端面21Aから離間されるため、固体材料と反応ガスがガイドチューブ20から反応室100内に入るための通路が形成される。本発明では、ガイドチューブ20の下端開口からの固体材料と反応ガスの材料流れが導流コーン10と衝突してから、コーン面11Bによりガイドされて、外側又は周辺へ分散して、固体材料を霧化状態にすることができる。
【0040】
反応室内に入った固体材料が拡散状態であるため、固体材料と反応ガスの反応速度が速まり、固体材料の反応の波動が低減し、これにより反応室の温度や圧力の安定化を維持するのに有利であり、例えば反応室の温度を1050~1100℃の範囲内に維持し、反応室100内の圧力を200pa以上に維持するのに有利である。
【0041】
また、アルミニウム粉末が周辺へ拡散するため、後に形成される窒化アルミニウムの材料カラムの上部の堆積形状が、中央部の高いコーン本体又は急峻なコーン本体から皿形状(すなわち、周辺が高く中央部が低い形状)にされるのに有利であり、急峻な材料カラムの円錐体部が急速反応領域に位置することに起因して溶着ブロックが増加することを減少又は解消し、窒化アルミニウムの材料カラムを低密度(例えば材料カラムの体積密度を約0.5t/m)にするのに有利であり、これにより後続の窒化アルミニウム材料の切削や排出に有利である。
【0042】
また、なお、アルミニウム粉末が拡散、分散するため、アルミニウム粉末と窒素ガスの接触が増加し、これによりアルミニウムの転化率が向上し、例えば従来技術の90%から95%以上に向上する。
【0043】
以下、図3図4及び図6を参照して導流コーン10を例示的に説明する。
【0044】
図3図4及び図6に示す実施例では、導流コーン10のコーン本体11のコーン面11Bは正円錐面であり、ガイドチューブ20の断面は円形であり、ガイドチューブ20の軸線L1はコーン本体11の軸線L2と重なる。このようにして、コーン頂部11Aが軸線L1上にある。このような構成によれば、アルミニウム粉末がコーン本体11の周辺に均一に分散するのに有利である。
【0045】
ただし、好ましい実施例では、コーン本体11のコーン面11Bは正円錐面ではなくてもよく、例えばコーン本体11は正多角錐であってもよく、他のコーン本体であってもよく、アルミニウム粉末を拡散又は周辺へ分散させる効果を果たすことができればよい。
【0046】
図3図4及び図6に示すように、導流コーン10はコーン本体11とベース12を含み、コーン本体11はベース12に固定される。ただし、ベース12が設けられなくてもよいことが理解できる。
【0047】
以下、保持部30を用いたコーン本体11の固定を例示的に説明する。
【0048】
図3図6に示すように、保持部30は周方向において互いに等角度に離間される複数の支持バー31(図3及び図5に示される構造では、左右両側にある2本の支持バー31であってもよい)を含み、各支持バー31の上端がガイドチューブ20の下端に接続される。図3図4及び図6に示すように、導流コーン10はベース12をさらに含み、コーン本体11はベース12に固定される。これに対応して、図6に示すように、各支持バー31の下端がフレーム底部32に接続され、フレーム底部32がベース12の下側でベース12に接続される。図5に示すように、支持バー31、フレーム底部32はU字形の断面を構成する。
【0049】
好ましい実施例では、フレーム底部32が設けられなくてもよく、この場合、支持バー31の下端はベース12に直接接続される。
【0050】
好ましい実施例では、図4では、ベース12が設けられなくてもよく、この場合、コーン本体11はフレーム底部32に直接接続される。
【0051】
好ましい実施例では、ガイドチューブ20の軸線L1に垂直な方向において、支持バー31の内側はコーン面11Bの底辺に接触するか又は両方の間隔が2mm以下、例えば1mm~2mmの範囲内である。例えば、コーン本体11の下側又は導流コーン10の下側の断面における幅が30mmであり、対応する支持バー31の間隔が例えば31mmである。
【0052】
好ましい実施例では、図6に示すように、支持バー31の内側がある面はガイドチューブ20の内壁面と同一面である。
【0053】
図4に示すように、コーン本体11のコーン面11Bの頂角が105度であり、好ましい実施例では、該頂角θは95~135度の範囲内、さらに100~110度の範囲内であってもよい。
【0054】
好ましい実施例では、コーン頂部11Aとガイドチューブ20の下端の開口端面との間隔を選択又は設定してもよい。例えば、軸線に平行な方向において、例えば図3に示す実施例では、ガイドチューブ20の軸線に平行な方向において、コーン頂部11Aは開口端面21Aの下方に位置し、コーン頂部11Aと開口端面21Aとの距離は60mm~90mmの範囲内である。好ましい実施例では、図示されていないが、ガイドチューブ20の軸線に平行な方向において、コーン頂部11Aは開口端面21Aの上方に位置し、コーン面11Bと開口端面21Aとの距離は10mm~20mmの範囲内である。
【0055】
図3図6に示す実施例では、保持部30は側面に設けられた支持バー31を含む形態とされている。ただし、本発明はこれに限定されない。図示されていないが、支持バーはガイドチューブ20の軸線L1に沿って配置されてもよく、支持バーの下端はコーン本体のコーン頂部に接続され、支持バーの上端は(例えばガイドチューブ内に設けられた横方向支持バーに接続されることによって)ガイドチューブに固定される。このようにすると、図3における構造と比較して、材料流れが導流コーンと接触した後に支持バーが材料流れに与えた干渉を低減させるという利点がある。
【0056】
これに対応して、支持バーがガイドチューブ20の軸線L1に沿って配置されてもよい場合、コーン頂部11Aとガイドチューブ20の下端の開口端面との間の距離を選択又は設定してもよい。例えば、軸線に平行な方向において、図示されていないが、ガイドチューブ20の軸線に平行な方向において、コーン頂部11Aは開口端面21Aの下方に位置し、コーン頂部11Aと開口端面21Aとの距離は60mm~90mmの範囲内である。好ましい実施例では、図示されていないが、ガイドチューブ20の軸線に平行な方向において、コーン頂部11Aは開口端面21Aの上方に位置し、コーン面11Bと開口端面21Aの距離は10mm~20mmの範囲内である。
【0057】
以下、図3を参照してガイドチューブ20の取り付け又は固定を例示的に説明する。
【0058】
図3に示すように、ガイドチューブ20は上部ガイドチューブ又は上部チューブ20Aと、下部ガイドチューブ又は下部チューブ20Bとを含み、下部チューブ20Bは前記開口端面21Aを含み、上部チューブと下部チューブは軸線を互いに揃えて接続される。
【0059】
図3に示す実施例では、上部チューブと下部チューブはフランジで接続されるが、本発明はこれに限定されず、例えばねじ接続、溶接などの他の方式で接続されてもよい。以下、上部チューブと下部チューブのフランジによる接続について具体的に説明する。
【0060】
図3に示すように、上部チューブ20Aの下端に上部接続フランジ22が設けられ、下部チューブの上端に下部接続フランジ23が設けられる。反応室100に天板101が設けられ、天板101にフランジ固定座102が固設され、上部接続フランジ22、下部接続フランジ23、フランジ固定座102は上から下へ順次設けられ、上部接続フランジ22と下部接続フランジ23との間に上部ガスケット24が設けられ、下部接続フランジ23とフランジ固定座102との間に下部ガスケット25が設けられる。図3に示すように、上部接続フランジ22、上部ガスケット24、下部接続フランジ23、下部ガスケット25及びフランジ固定座102は順次設けられ、締め付けボルト(ナットを含む)26でフランジ固定座102に固定される。
【0061】
図3では、天板101が耐火性を備えない場合、天板101の下側に反応室耐火層103がさらに設けられてもよく、この場合、下部チューブ20Bは天板101と耐火層103を貫通する。
【0062】
本発明の一実施例では、天板101は円形であり、ガイドチューブ20の軸線L1は天板101の円心を貫通する。このような構成によれば、反応室が円筒形である場合、固体材料が反応室100内で周辺に均一に分布するのに有利である。
【0063】
以下、ガイドチューブ20、導流コーン10及び保持部30の材料を例示的に説明する。具体的な実施例では、下部チューブ20Bは1100℃以上の温度に耐えることができるセラミックチューブ又は金属チューブであり、及び/又はコーン本体11はSUS310Sステンレス鋼で製造され、及び/又は上部ガスケット24及び下部ガスケット25は金属黒鉛巻きガスケットを用いる。
【0064】
具体的な実施例では、上部チューブ20Aの上端は固体材料の連続又はパルス搬送側に密封接続され、下端には上部接続フランジ22が溶接される。より具体的には、上部チューブ20Aは、内壁が滑らかであるD48×8mmの耐高温セラミックチューブ又は金属チューブを用い、上部接続フランジ22はDN40×PN16の金属フラットフランジを用いる。より具体的には、上部チューブ20A及び上部接続フランジ22は全てステンレス鋼材質、例えばSUS304を用いる。
【0065】
具体的な実施例では、下部チューブ20Bの上端にはDN40×PN16の下部接続フランジ23、例えば金属フラットフランジが溶接される。より具体的には、下部チューブ20Bは、内壁が滑らかであるD48×8mmの耐高温セラミックチューブ又は金属チューブを用いる。下部チューブ20Bの下端には拡散ノズル又は霧化ノズルが溶接又は接続される。拡散ノズル又は霧化ノズルは上記導流コーン10及び保持部30を含み、保持部30と導流コーン10を溶接した後、保持部30を下部チューブ20Bの末端又は下端に溶接することができる。より具体的な実施例では、溶接する際には、導流コーンのコーン先端又はコーン頂部が下部チューブ20Bの中心線又は軸線と重なる。より具体的な実施例では、導流コーン10及び保持部30はステンレス鋼材質を使用し、例えばSUS310Sを用いてもよい。
【0066】
具体的な実施例では、フランジ固定座102はDN40×PN16のブラインド加工されるものであり、主要な加工サイズとしては、フランジの外円の直径が150mm、内孔の直径が60mm、ボルト孔の中心円の直径が110mmであり、4つのボルト孔M16が均等に分布している。加工されたフランジ固定座102は反応室100の天板101の上側に溶接され、フランジ固定座102の円心と天板101の中心円とが同心に維持される。具体的には、フランジ固定座102はステンレス鋼材質であり、SUS310Sを用いてもよい。
【0067】
具体的な実施例では、ガスケットは金属黒鉛巻きガスケットを用い、より具体的には、4.5mmの巻きガスケットを選択する。
【0068】
具体的な実施例では、図3又は図5における保持部30は310Sステンレス鋼製の丸鋼を曲げるか、又は熱間曲げしたものであってもよい。その直径は8mmであってもよい。
【0069】
具体的な実施例では、M16のボルト(全体を通じてねじが切られた)の下端をフランジ固定座102に締め付け、先ず下部チューブ20B(下部チューブの下端には既に導流コーン10が取り付けられる)を取り付け、次に、下部ガスケット25を配置して、上部チューブ20Aを取り付け、上部ガスケット24を配置し、その後、ナットを締め付けて組み立てを完了する。
【0070】
理解できるように、上記ガイドチューブ20の取り付け又は固定に関する説明は、本発明の他の実施例に応用されるか、又は具体的な状況に応じて調整されてもよく、ここで詳しく説明しない。
【0071】
以上より、本発明では、反応ガス(例えば、窒素ガス)をキャリアガスとして固体材料をガイドチューブ20の末端の霧化分配器に連続的又はパルス的に搬送し、分配器によって反応室100に噴射された固体材料を霧状にする。反応室の下部に設けられたガス補充手段1002は反応ガスを自動的に補充して、反応室の圧力を100~500Paの微正圧に維持する。反応室100の頂部に設けられた濾過用の呼気弁1001は、反応室100内の瞬間過剰ガスを排出する。固体材料と反応ガスは反応室100の微正圧環境で自己伝播反応を完了し、生成された合成物を反応室100の底部に堆積し、堆積材料層で形成される材料カラムは反応室に接続された水冷ジャケットにて勾配冷却される。材料カラム全体は反応室の底部の排出機に位置してもよい。排出を必要とする際には、排出機は材料カラムを連続的又は間隙的に切削し、切削した合成物粉末と合成物ブロックの混合物(ほとんどは粉末状であり、溶着ブロックがない)は排出機の収集ガイド機構に収集され、次に、排出機の下部にある搬送ベルトに導入され、後続の加工工程に送られる。水冷ジャケットの最下端に環状のガイドシリンダが設けられ、該ガイドシリンダの適切な位置に円錐状の集気カバーが設けられ、集気カバーのウエスト部に吸引孔が対称的に設けられ、管路を介して除塵機に接続され、排出機による排出時に、除塵機が起動されて排出時に放出した粉末含有ガスを抽出し、排出時に窒化アルミニウム粉塵を不意に外部へ放出するという問題を徹底的に解決する。
【0072】
本発明の実施例では、前記固体材料はアルミニウム粉末であってもよく、前記反応ガスは窒素ガスであり、前記合成物は窒化アルミニウムである。これは例示的な説明に過ぎず、本発明の合成装置は窒化アルミニウムの製造に限定されるものではなく、シリコン窒化物、マンガン窒化物等の他の合成物の製造にも適用される。
【0073】
以下、図7を参照して合成物(例えば、窒化アルミニウムを例にとる)の連続生産プロセスを例示的に説明し、このプロセスは、以下のステップS1~ステップS5を含む。
【0074】
ステップS1:
アルミニウム粉末の選択。製品の用途の異なりによって様々な純度のアルミニウム粉末を選択し、通常の製品の場合は、Al>99.9%のアルミニウム粉末、高純度製品の場合は、Al>99.99%のアルミニウム粉末を選択する。アルミニウム粉末は、粒子径が0.1~100μmであり、形状が球状又は略球状である。
アルミニウム粉末の搬送。1時間あたりの粉末搬送量を20~200kgとする。周期ごとの粉末搬送量又は粉末搬送回数を反応室の温度に応じて微細に調整することができる。アルミニウム粉末の計量及びその搬送間隔はPLCによって制御され、このようにして、アルミニウム粉末を反応室へ連続的又はパルス的に搬送することが実現される。
窒素ガスの供給。窒化アルミニウムを連続的に合成するための窒素ガスは自製されるものであり、アルミニウム粉末搬送手段の密封、アルミニウム粉末搬送ガス源、アルミニウム粉末搬送管路への長時間ガス導入、反応室基礎ガスの補充、呼気弁の粉塵除去及びガス逆吹き出しに使用されている。
材料の霧化噴射又は拡散化噴射。霧化分配器はガイドチューブ20の末端に接続され、その上部がアルミニウム粉末搬送管に接続され、末端にあるアルミニウム粉末霧化分配器は反応室100内に位置する。アルミニウム粉末は霧化分配器によって導流霧化された後に反応室内に十分に拡散される。
【0075】
ステップS2:
窒化合成。霧化したアルミニウム粉末は反応室の800~1100℃の高温で瞬間窒化反応を起こし、ほとんどの合成を完了する。また、反応室の底部から上昇した窒素ガスとアルミニウム粉末を搬送する下向きの気流とを逆方向に混合し、アルミニウム粉末を十分に拡散させ、反応室の空間に滞留させ、体積反応を完了し、未反応のアルミニウム粉末を材料カラムの上面に堆積して全て合成するまで反応を継続する。最終的に形成された材料カラムの頂部は皿形状になる。
窒化合成中に反応室内の圧力を制御でき、すなわち、反応室の圧力を100~500Paに維持する。
【0076】
ステップS3:
材料カラムの冷却。水冷ジャケット内に被覆された材料カラムを強制的に冷却し、その温度を上から下へ徐々に下げて、材料カラムの上面の温度を900~1200℃とし、排出機に接触する下面の温度が例えば室温になると、排出作業を行うことができる。
【0077】
ステップS4:
材料カラムの切削。アルミニウム粉末が連続的に供給されるにつれて、合成された窒化アルミニウム粉末の反応室での堆積高さが徐々に増加する(反応室の材料カラムの上面の位置は一般的に材料位置と呼ばれる)。反応室の反応体積が小さくなることは、反応室の熱強度に影響を与えるため、排出機を適時に起動して材料カラムを切削して排出して、材料位置を下げることで、材料位置を比較的安定させる必要があり、プロセスの要件に応じて1日間の供給と排出のバランスを取る必要がある。排出機はPLCによって制御され、連続的に排出してもよく、断続的な周期で排出してもよく、例えば12時間ごとに1回排出するか又は24時間ごとに1回排出する。切削機は、切削、収集、ガイドの機能を備える。切削、収集した窒化アルミニウム粉末、ブロックを排出ベルトに導く。
【0078】
ステップS5:
材料の搬送。ステップS5とステップS4は同期して行われる。搬送ベルトを起動して排出機によって切削された材料を後続の加工工程に送る。集塵機を起動して、排出機が材料カラムを切削するときに放出した粉塵を回収する。
【0079】
上記合成装置についての説明及び上記合成方法についての例示的な説明に基づいて、本発明は窒化アルミニウムの製造方法を提案し、
反応室内の温度がアルミニウム粉末と窒素ガスを反応させる反応温度となるように加熱するステップと、
前記反応室内にアルミニウム粉末と窒素ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップと、
前記反応室内でアルミニウム粉末と窒素ガスを合成して合成物を生成するステップと、
重力によって落下した合成物で形成される材料を排出手段によって切削するステップと、を含む。
【0080】
上記実施例では、アルミニウム粉末と窒素ガスで窒化アルミニウムを製造する場合を例として説明したが、当業者であれば理解できるように、分配器内の反応ガスは窒素ガスではなくてもよく、固体粒子はアルミニウム粉末ではなくてもよく、しかも、反応室内で他の窒化物を製造する場合にも適用できる。
【0081】
これに対応して、本発明は合成物の合成装置も提案し、反応室100を含み、反応室の頂部に反応室100と連通している上記分配器が設けられ、分配器は反応室内に固体粒子及び反応ガスを供給するように構成される。
【0082】
本発明では、各データの範囲は端点値に加えて、数値範囲内の中点値、三分の一の値又は三分の二の値などであってもよい。
【0083】
以上より、本発明は上記の技術案を提案する。
【0084】
本発明の実施例が示され及び説明されたが、当業者であれば理解できるように、本発明の原理及び精神を逸脱することなくこれらの実施例を変更することができ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物により限定される。
【0085】
本明細書は、また、以下の項目に記載の合成装置および合成物の製造方法を開示している。
[項目1]
合成装置であって、
反応部であって、反応室を含み、前記反応室と連通している供給手段が反応室に設けられ、前記供給手段が固体材料と反応ガスを前記反応室に供給するように構成され、前記固体材料と前記反応ガスが前記反応室内で反応して合成物を形成するように構成される反応部と、
前記反応部の下方に設けられ、重力によって落下した合成物で形成される材料を切削するように構成される排出手段と、を含む、合成装置。
【0086】
[項目2]
前記固体材料はアルミニウム粉末であり、前記反応ガスは窒素ガスであり、前記合成物は窒化アルミニウムである、項目1に記載の合成装置。
【0087】
[項目3]
前記反応部の下方に接続され、前記反応室と連通し、反応室からの前記合成物を冷却するように構成される冷却部をさらに含み、前記冷却部、前記反応部はすべて円筒状であり、且つ同じ軸線で配置され、
前記排出手段は前記冷却部の下方に設けられ、冷却後の合成物で形成される材料を切削するように構成される、項目1に記載の合成装置。
【0088】
[項目4]
前記冷却部は、合成物材料を冷却するように構成される水冷ジャケットを含む、項目3に記載の合成装置。
【0089】
[項目5]
前記冷却部の下方及び前記排出手段の上方に設けられるガイドシリンダをさらに含み、前記ガイドシリンダ、前記冷却部、前記反応部はすべて円筒状であり、且つ同軸線で配置される、項目3に記載の合成装置。
【0090】
[項目6]
上側が前記ガイドシリンダの下側に接続され、外部除塵機に接続されるように構成される吸引孔が設けられる集気カバーをさらに含む、項目5に記載の合成装置。
【0091】
[項目7]
前記集気カバーは、前記軸線から離れて外側に広がる円錐状の集気カバーであり、前記円錐状の集気カバーには前記吸引孔が周方向に等間隔に設けられる、項目6に記載の合成装置。
【0092】
[項目8]
切削後の合成物材料を搬送するための合成物材料搬送手段をさらに含む、項目1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【0093】
[項目9]
前記合成物材料搬送手段は搬送ベルトを含む、項目8に記載の合成装置。
【0094】
[項目10]
前記搬送ベルトが位置する空間は外部除塵機に接続されるように構成される、項目9に記載の合成装置。
【0095】
[項目11]
前記反応室には前記反応室内の圧力を微正圧に維持するための呼気弁及び/又はガス補
充手段が設けられ、前記呼気弁は前記反応室内の瞬間過剰ガスを排出するように構成され、前記ガス補充手段は前記反応室内に反応ガスを補充するように構成される、項目1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【0096】
[項目12]
前記供給手段は反応室の頂部に設けられ、分配器を含み、前記分配器は前記反応室内に入った固体材料を分散させるように前記反応室内に噴射するように構成され、
前記ガス補充手段は前記反応室の下部に設けられて、前記反応室内に反応ガスを斜め上方に補充する、項目11に記載の合成装置。
【0097】
[項目13]
前記微正圧は100~500Paの範囲内である、項目11に記載の合成装置。
【0098】
[項目14]
前記反応室には前記ガス補充手段が設けられ、
前記合成装置は、前記反応室内の圧力を測定するように構成される圧力センサと、前記圧力センサによって検出された圧力に基づいて前記ガス補充手段が前記反応室内に搬送する反応ガスの量を調整するように構成されるコントローラと、をさらに含む、項目11に記載の合成装置。
【0099】
[項目15]
前記供給手段は反応室の頂部に設けられ、分配器を含み、前記分配器は前記反応室内に入った固体材料を分散させるように前記反応室内に噴射するように構成される、項目1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【0100】
[項目16]
前記反応室の頂部に天板が設けられ、前記天板は前記反応室の頂部を閉鎖し、円形であり、前記分配器は軸線が前記天板の円心を貫通する供給チューブを含む、項目15に記載の合成装置。
【0101】
[項目17]
出口が前記供給手段の供給口と連通し、入口が反応ガスパルス空気圧方式で搬送された前記固体材料を受けるように構成されるパルス搬送管路をさらに含む、項目1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【0102】
[項目18]
前記パルス搬送管路の中間部分と連通して、前記パルス搬送管路内に反応ガスを連続的に搬送するように構成される反応ガス連続搬送管路をさらに含む、項目17に記載の合成装置。
【0103】
[項目19]
反応室内の温度を監視するように構成される温度センサと、
前記温度センサによって監視された温度に基づいて固体材料の搬送量を調整するように構成されるコントローラと、をさらに含む、項目1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【0104】
[項目20]
前記排出手段は、
切削駆動機構の駆動下で合成物材料を切削するように構成される排出機と、
前記排出機の下部に設けられて、切削後の合成物材料を収集する収集ガイド機構と、を含む、項目1~4のいずれか1項に記載の合成装置。
【0105】
[項目21]
合成物の製造方法であって、
反応室内の温度が固体材料と反応ガスを反応させる反応温度となるように加熱するステップと、
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送し、前記反応ガスを前記固体材料の搬送ガスとするステップと、
前記反応室内で固体材料と反応ガスを合成して合成物を生成するステップと、
重力によって落下した合成物で形成される材料を排出手段によって切削するステップと、を含む方法。
【0106】
[項目22]
合成物材料を冷却するステップと、
排出手段によって冷却後の前記合成物材料を切削するステップと、をさらに含む、項目21に記載の方法。
【0107】
[項目23]
切削後の合成物材料を搬送するステップをさらに含む、項目21又は22に記載の方法。
【0108】
[項目24]
前記固体材料と反応ガスの合成ステップでは、前記反応室に設けられた呼気弁及び/又はガス補充手段によって前記反応室内の圧力を微正圧に維持させ、前記呼気弁は前記反応室内の瞬間過剰ガスを排出するように構成され、前記ガス補充手段は前記反応室内に反応ガスを補充するように構成される、項目21又は22に記載の方法。
【0109】
[項目25]
前記微正圧は100~500Paの範囲内である、項目24に記載の方法。
【0110】
[項目26]
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップは、
前記反応室の頂部から前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップと、
前記ガス補充手段は反応室の側面の下部で反応室内に反応ガスを斜め上方に補充して、落下した未反応の固体材料と逆方向に混合するようにするステップと、を含む、項目24に記載の方法。
【0111】
[項目27]
前記反応室には圧力センサと前記ガス補充手段が設けられ、前記圧力センサは前記反応室内の圧力を測定するように構成され、
前記合成物の製造方法は、前記圧力センサによって検出された圧力に基づいて前記ガス補充手段が前記反応室内に搬送する反応ガスの量を調整するステップをさらに含む、項目24に記載の方法。
【0112】
[項目28]
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップは、
前記反応室の頂部に設けられた分配器によって、前記反応室内に入った固体材料を分散させるように前記反応室内に噴射するステップを含む、項目21、22又は26に記載の方法。
【0113】
[項目29]
前記反応室内に固体材料と反応ガスを連続的又はパルス的に搬送するステップは、
パルス搬送管路を介して前記反応室の頂部から反応ガスパルス空気圧方式で固体材料を搬送するステップと、
前記パルス搬送管路の中間部分と連通している反応ガス連続搬送管路を介して前記パルス搬送管路内に反応ガスを連続的に搬送するステップと、を含む、項目21又は22に記載の方法。
【0114】
[項目30]
排出手段によって合成物材料を切削するステップでは、発生した粉末含有ガスを外部除塵機によって吸引する、項目21又は22に記載の方法。
【0115】
[項目31]
前記合成物の製造方法は、搬送ベルトを介して切削後の合成物材料を搬送するステップをさらに含み、
前記搬送ベルトが位置する空間は前記外部除塵機に接続されるように構成される、項目30に記載の方法。
【0116】
[項目32]
固体材料をパルス的に搬送する場合には、前記固体材料の質量流量が20~200kg/hの範囲内である、項目21又は22に記載の方法。
【0117】
[項目33]
反応室内の反応温度を800~1100℃の範囲内、さらに1050~1100℃の範囲内に制御するステップをさらに含む、項目21又は22に記載の方法。
【0118】
[項目34]
前記固体材料はアルミニウム粉末であり、前記反応ガスは窒素ガスであり、前記合成物は窒化アルミニウムである、項目21~33のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7