(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165617
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】少なくとも半自動運転する自動車を能動的に制御するためのステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20231109BHJP
B62D 1/183 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B62D1/04
B62D1/183
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061904
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 111 084.2
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】ヤスミーン オスターターク
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB13
3D030DD05
3D030DD61
3D030DE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全性を維持しながらも、(完全)自動運転中の自動車の運転手の座席および動きの自由度の向上を図る。
【解決手段】回転軸4を有するステアリング本体3であって、ステアリング本体が、ステアリングホイールハンドル5およびステアリングホイールキャニスター6を備え、ステアリングホイールハンドルおよびステアリングホイールキャニスターが、回転軸の周りで互いに回転可能に接続された、ステアリング本体と、ステアリングホイールキャニスター内に配設されたエアバッグモジュール7とを含み、ステアリング本体の少なくとも一部が、能動位置8および格納位置9を有し、これらの位置の間を移動可能であり、能動位置で、ステアリング本体が、関連する自動車の能動制御のために回転軸の周りを回転可能であり、特に、エアバッグモジュールが、ステアリング本体の位置に関係なく、機能的に同一の配向でステアリングホイールキャニスター内に保持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも半自動運転する自動車(2)を能動的に制御するためのステアリング装置(1)であって、少なくとも、
-回転軸(4)を有するステアリング本体(3)であって、前記ステアリング本体(3)が、ステアリングホイールハンドル(5)およびステアリングホイールキャニスター(6)を備え、前記ステアリングホイールハンドル(5)および前記ステアリングホイールキャニスター(6)が、前記回転軸(4)の周りで互いに回転可能に接続される、ステアリング本体(3)と、
-前記ステアリングホイールキャニスター(6)内に配設されたエアバッグモジュール(7)とを含み、
前記ステアリング本体(3)の少なくとも一部が、能動位置(8)および格納位置(9)を有し、これらの位置(8、9)の間を移動可能であり、前記能動位置(8)において、前記ステアリング本体(3)が、関連する自動車(2)の能動制御のために前記回転軸(4)の周りで回転可能であり、
前記エアバッグモジュール(7)が、前記ステアリング本体(3)の前記位置(8、9)に関係なく、機能的に同一の配向で前記ステアリングホイールキャニスター(6)内に保持されることを特徴とする、ステアリング装置(1)。
【請求項2】
前記ステアリングホイールハンドル(5)が、好ましくはステアリングホイールリム(10)として構成され、前記ステアリングホイールキャニスター(6)に取り外し可能に接続され、前記能動位置(8)で、
前記ステアリングホイールハンドル(5)が、トルク伝達のために前記ステアリングホイールキャニスター(6)に固定され、前記格納位置(9)で、前記ステアリングホイールハンドル(5)が前記ステアリングホイールキャニスター(6)から解体される、請求項1に記載のステアリング装置(1)。
【請求項3】
前記ステアリングホイールハンドル(5)が、ラッチ(11)によって前記ステアリングホイールキャニスター(6)に取り外し可能に接続されている、請求項2に記載のステアリング装置(1)。
【請求項4】
前記ステアリングホイールキャニスター(6)が、第一のキャニスター部分(12)および第二のキャニスター部分(13)を備え、これらが互いに対して移動可能であり、
前記エアバッグモジュール(7)が前記第二のキャニスター部分(13)内に受けられ、
少なくとも前記能動位置(8)において、前記ステアリングホイールキャニスター(6)の前記第一のキャニスター部分(12)が、トルクを伝達する様式で前記ステアリングホイールハンドル(5)および前記ステアリングホイールキャニスター(6)の前記第二のキャニスター部分(13)に接続され、
前記第一のキャニスター部分(12)が、旋回軸(14)の周りで、前記能動位置(8)と前記格納位置(9)との間で枢動可能に取り付けられることが好ましい、請求項1~3のいずれか一項に記載のステアリング装置(1)。
【請求項5】
前記ステアリングホイールキャニスター(6)が、車両機能が運転手によって動作され得る運転者要素(15)を含む、請求項1に記載のステアリング装置(1)。
【請求項6】
軸オフセット(16)が、前記ステアリングホイールキャニスター(6)と前記ステアリングホイールハンドル(5)との間に形成される、請求項1に記載のステアリング装置(1)。
【請求項7】
-少なくとも一つの駆動機械(17)、
-少なくとも一つのステアリング可能な車両ホイール(18)、ならびに
-ダッシュボード(20)および請求項1によるステアリング装置(1)を有する少なくとも一つのコックピット(19)という構成要素を少なくとも含み、
前記ステアリング装置が、前記自動車(2)を制御し、前記運転手からステアリングコマンドを受け、ステアリングコマンドに対応する関連するステアリング可能な車両ホイール(18)のステアリングの向きのために、前記ステアリングコマンドを前記ステアリング可能な車両ホイール(18)の少なくとも一つへのトルク伝達に変換するように構成される、自動車(2)。
【請求項8】
前記ステアリングホイールキャニスター(6)を、前記自動車(2)のダッシュボード(20)のレセプタクル(21)内に格納することができ、
前記ステアリングホイールキャニスター(6)が、前記回転軸(4)に沿って好ましくは並進移動可能である、請求項7に記載の自動車(2)。
【請求項9】
前記ステアリング本体(3)の格納可能な部分が、前記格納位置(9)において、好ましくは前記自動車(2)の前記ダッシュボード(20)に固定可能である、請求項7に記載の自動車(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも半自動運転する自動車を能動的に制御するためのステアリング装置に関する。本発明はさらに、このような自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の自動運転は、自動車の計算能力の向上およびモバイルデータ伝送速度の増加により、実行可能になりつつある。運転は一般的に、手動運転、半自動運転、および(完全)自動運転に分けられ、手動運転または(例えば、支援システムを用いた)半自動運転の場合、運転手はコックピットに座って介入し続ける必要があり、すなわち、必要に応じて、自動車を能動的に制御しなければならない。手動運転、半自動運転および(完全)自動運転は、自動車の法律および/または装置に応じて、同一の自動車で実施することができる。例えば、高速道路上での移動は(完全)自動運転で実行可能であるが、都市部での移動は依然として運転手が自動車を能動的に制御する必要がある。
【0003】
能動的に制御される自動車では、それに応じて、自動車のステアリング装置のステアリング本体が、自動車を能動的に制御するためのステアリングコマンドを受けるために、運転手に向かってコックピット内に突出している必要がある。一方で、車両の(完全)自動運転では、座席および動きの自由度という形で可能な限り高いレベルの快適さを運転手に対して確保するため、可能な限り自由度の高いコックピット領域が有利である。したがって、自動車内の空間的快適さの向上が運転手のために確保されるべきである。
【0004】
しかし同時に、例えばエアバッグの設置などの手段によって運転手の安全を確保しなければならない。これは、ステアリング装置のステアリング本体が、例えば、都市部での交通において能動制御のための位置に配設されているか、または移動したステアリング本体が自動運転状況において配設されているかにかかわらず、車両の(完全)自動運転または手動運転または半自動運転のいずれにおいても、役割を果たさない。さらに、ステアリング装置のステアリング本体は、能動制御のための位置と自動運転のための位置との間で容易かつ確実に移動可能であり、その結果、自動車の運転手が現在の運転状況に急速に能動的に介入することができる必要がある。
【発明の概要】
【0005】
そこから、本発明によって対処される問題は、先行技術からの既知の不利益を少なくとも部分的に克服することである。本発明による特徴は独立請求項から生じ、その有利な構成は従属請求項で開示される。請求項の特徴は、任意の技術的に有意義な方法で組み合わせられてもよく、以下の説明ならびに本発明の補足的構成を含む図面の特徴を、この目的のために使用することができる。
【0006】
本発明は、少なくとも半自動運転する自動車を能動的に制御するためのステアリング装置に関し、少なくとも、
-回転軸を有するステアリング本体であって、ステアリング本体が、ステアリングホイールハンドルおよびステアリングホイールキャニスターを備え、ステアリングホイールハンドルとステアリングホイールキャニスターが回転軸の周りで互いに回転可能に接続された、ステアリング本体と、
-ステアリングホイールキャニスター内に配設されたエアバッグモジュールの構成要素を含み、
ステアリング本体の少なくとも一部が、能動位置と格納位置を有し、これらの位置の間で移動可能であり、
能動位置で、ステアリング本体が、関連する自動車の能動制御のために回転軸の周りで回転可能である。
【0007】
ステアリング装置は、エアバッグモジュールが、ステアリング本体の位置に関係なく、機能的に同一の配向でステアリングホイールキャニスター内に保持されることを、とりわけ特徴とする。
【0008】
明示的に別段の示唆がない限り、軸方向、半径方向、軌道方向、および対応する用語が使用される場合、以下では前述の回転軸に言及する。上述および後述で使用される順序の番号は、明確な区別を行う目的でのみ使用され、明示的に別段の示唆がない限り、指定された構成要素の順序またはランキングを反映するものではない。1より大きい順序数は、さらにそのような構成要素が必ずしも存在しなければならないことを必要としない。
【0009】
ステアリング装置は、本明細書において、運転手のステアリング動作が自動車に伝達可能であるように、少なくとも半自動運転する自動車の制御が手動で実行可能となるように配設される。当然のことながら、「能動」という用語は、搭載コンピュータおよび/または自動的な方法によってのみ実行されるのではなく、むしろ自動車の運転手によって実行される手動制御を意味するために使用される。しかしながら、運転手が、例えば車線維持支援制御装置またはパワーステアリングシステムなどの支援システムによって支援されることは除外されない。
【0010】
ステアリング動作を伝達するために、ステアリング装置は、回転軸の周りに回転可能に配設されたステアリング本体を含む。次に、ステアリング本体は、ステアリングホイールハンドルおよびステアリングホイールキャニスターを含む。ステアリングホイールハンドルおよびステアリングホイールキャニスターは、それらが運転手のステアリング動作を受け、それに応じて回転軸の周りで回転するように、互いに接続される。
【0011】
衝突イベント時に運転手を保護するために、エアバッグモジュールもステアリングホイールキャニスター内に配設される。好ましくは、使用されるエアバッグモジュールは産業慣行において当業者に周知のエアバッグモジュールであり、これは衝突イベントが起きた場合に、数ミリ秒以内にガスによってエアバッグを膨張させ、衝撃の力を減じるように適合される。
【0012】
運転手による能動制御を伴う手動運転または半自動運転と、(完全)自動運転、すなわち運転手による介入のない運転状況との間でステアリング本体を移動させるために、ステアリング本体の少なくとも一部分が2つの位置の間で移動可能であることが提案される。ステアリング本体は、ステアリング装置を介して、運転手によって(好ましくは人間工学的に)自動車が能動的に制御可能であるように、能動位置に配設される。ステアリング本体は、結果として、可能な限り自由度の高いコックピット領域が生成され得るように、格納位置に配設される。ステアリング本体が格納位置に配設されると、座席および動きの自由度という形で高いレベルの快適さが運転手に対して確保される。
【0013】
ある運転モードから別の運転モード、すなわち(完全)自動運転と手動運転または半自動運転との間での切り替えは、運転手の先導および/または自動車からの命令で、実行可能である。例えば、一部の地域、例えば一部の都市内での規制要件では、車両を運転するためにステアリング本体を能動位置に配設することが要求される。自動車が(完全)自動運転で高速道路を運転中であり、その後数分以内に高速道路から降りる場合、ステアリング本体は格納位置に配設されていて、自動車は、例えば、(完全)自動運転からの適時の終了を示し、その結果、高速道路から降りる時には運転手が自動車を能動的に制御しなければならない。したがって、運転手は、自動車が高速道路を降りて都市部での交通に入る前に、格納位置から能動位置へとステアリング本体を移動させることができる。別の方法として、ステアリング本体は、自動車が制御なしで、または合法的でない制御で運転されることを防ぐために、自動車から能動位置へと自動的に移動可能であるか、または自動車の電源を切ることができる。
【0014】
能動位置では、ステアリング本体は、回転軸の周りで回転可能に支持されるように配設される。好ましくは、ステアリング装置は、自動車が能動位置内でのみ手動で制御可能であるように構成される。ステアリング本体が能動位置外に配設されている場合、ステアリング本体は、自動車を能動的に制御するように構成されておらず、その結果、自動車の望ましくない制御が除外される。
【0015】
ここで、ステアリング本体の位置にかかわらず、エアバッグモジュールは機能的に同一の配向を有する、すなわち、運転手への影響を低減するために、エアバッグモジュールが衝突イベント時に正しく整列されていることが提案される。この場合、エアバッグモジュールは、衝突イベント時に、エアバッグが正しく膨張され得るように、ステアリングホイールキャニスター内に保持される。この文脈において、正しいとは、ステアリング本体の位置、または自動車の手動運転、半自動運転、または(完全)自動運転に関係なく、エアバッグが運転手の安全に関する法的要件を満たすことを意味する。したがって、自動車の運転の任意の時点で、エアバッグモジュールの機能的に同一の使用が実現され得る。好ましくは、エアバッグモジュールは、ステアリング本体の位置に関係なく、それに応じて、運転手の同一の身体領域に向けられる。例えば、ステアリングホイールキャニスターは、エアバッグモジュールが配設される、剛性に配設された部分(キャニスター部分)を含む。剛性のキャニスター部分は、コックピットの残りの部分に対して旋回可能ではない、または、例えば、両方向に最大5度でのわずかな角度で旋回可能であることが好ましい。しかしながら、一実施形態では、ステアリングホイールキャニスターの剛性のキャニスター部分は、回転軸に沿って並進移動可能である。
【0016】
ステアリングホイールキャニスターは、衝突イベントにおいて、エアバッグモジュールを有するステアリングホイールキャニスターが運転手に向かって正しく配向されたままになるように、機械的に安定していることに注意すべきである。例えば、ステアリングホイールキャニスターは、機械的に形成されたステアリングコラムまたは(ステアリングコラムのないステアリング装置、例えば、ステアバイワイヤで)、例えば、自動車のダッシュボード内の対応する補強構造に取り付けられる。
【0017】
本発明による装置は、格納位置では、快適な空間がコックピット内に作られ、能動位置では、自動車の手動および能動的な制御が可能であるという利点を提供する。さらに、両方の位置において、運転手の高いレベルの安全性は、機能的に能力があり正しく整列されたエアバッグモジュールによって確保される。
【0018】
旋回軸は、必ずしも物理的に形成されたステアリング軸ではない。しかしながら、一実施形態例では、旋回軸は、車両を制御するためにステアリングコマンドを機械的に伝達するための物理的に構成されたステアリング軸である。一部の実施形態では、ステアリングコマンドの伝達は、非機械的な方法、または排他的に機械的ではない方法、例えば、電気信号によって発生し、その結果、物理的に形成されたステアリング軸は不要である。
【0019】
一実施形態では、ステアリング軸は、ステアリングギアを有する従来的に配設されたステアリングコラムであり、自動車の進行方向は、ステアリングギアによって実現することができる。ステアリングギアは、ステアリング本体またはステアリングホイールハンドルのステアリング動作を自動車のタイロッド上の摺動動作に変換し、その結果、車両ホイールが自動車の現在の主な進行方向とは異なるステアリングの向きへ回転する。
【0020】
代替的な実施形態では、ステアリング軸はサーボモーターで構成され、その結果、運転手が制御に掛ける力が油圧システムおよび/または電気モーターを介して車両ホイールにより強く伝達可能であるという点で、サーボモーターは運転手の制御を支援する。この実施形態では、ステアリング動作の伝達は、動力を受けるステアリングコラムまたはステアリングギアによって直接行われるのではなく、むしろステアリング動作と同じ方向のトルクによって行われるため、ステアリングの向きを変えるためにステアリング本体またはステアリングホイールハンドルに掛ける力がより少なくて済む。
【0021】
さらなる代替的な実施形態では、ステアリング軸は、ステアリング軸が理論上の回転軸として構成される、いわゆるステアバイワイヤシステムとして構成される。例えば、本明細書のステアリング装置は、ステアリング本体またはステアリングホイールハンドルのステアリング衝撃を感知する、いわゆるステアリング力シミュレーターを含む。さらに、可変ステアリング力および機械的限界停止は、好ましくは、電気的に動作可能な統合型ブレーキによってシミュレートされる。ステアリング動作は、(例えば、電子制御ユニットによって作動される比例弁を介して)電子的におよび/または油圧的に生成される。
【0022】
ステアリング装置の有利な実施形態では、好ましくはステアリングホイールリムとして構成されるステアリングホイールハンドルが、ステアリングホイールキャニスターに取り外し可能に接続され、
能動位置では、ステアリングホイールハンドルはトルク伝達のためにステアリングホイールキャニスターに固定され、格納位置
では、ステアリングホイールハンドルはステアリングホイールキャニスターから解体されることがさらに提案される。
【0023】
ステアリングホイールハンドルは、ステアリングホイールキャニスターに取り外し可能に固定可能である。すなわち、ステアリングホイールハンドルはステアリングホイールキャニスターに可逆的に接続されるか、またはステアリングホイールキャニスターに固定され、その後ステアリングホイールキャニスターから取り外されてもよい。ここで、「取り外し可能」とはさらに、運転手によって、かつ工具を使わずに(好ましくは、(完全)自動運転中に、例えばボタンの押しなどにより)、迅速に取り外し可能な接続を意味する。
【0024】
ステアリングホイールハンドルは、ステアリングホイールリム(特に好ましくは円周方向の構成)であることが好ましい。ステアリングホイールリムは、運転手が掴むことができるように、ステアリングホイールキャニスターから間隔を置いていることが好ましい。
【0025】
例えば、運転手のステアリング動作は、ステアリングホイールハンドルによって回転軸に、よって、自動車の車両ホイールに伝達可能である。ステアリングホイールリムは、回転軸の周りに配設される円周方向の構成要素である。例えば、ステアリングホイールリムからステアリングホイールキャニスターへ半径方向に内向きに伸びるように配設された複数のスポークによって、ステアリングホイールリムはステアリングホイールキャニスター上に支持される。好ましくは、ステアリングホイールリムはまた、スポークを介して軸方向、特に好ましくは運転手の方向に、ステアリングホイールキャニスターから間隔を置いている。
【0026】
こうしたステアリングホイールリムは、運転手がステアリングホイールリムを掴むことができるため、自動車を能動的に制御する時に、特に安全なステアリング装置の操作を提供する。さらに、ステアリングホイールキャニスターからのステアリングホイールリムの軸方向の間隔を介して、運転手によるステアリング装置の特に人間工学的な操作が可能である。
【0027】
ステアリング本体が能動位置にある場合、ステアリングホイールハンドルはステアリングホイールキャニスターに固定され、トルク伝達のために構成される。
【0028】
対照的に、格納位置では、ステアリングホイールハンドルは、本明細書で提案する実施形態により残りのステアリング本体から可逆的に解体される。ステアリングホイールハンドルは、例えば、ダッシュボード内の別個のストレージ空間でステアリングホイールキャニスターから完全に取り外し可能かつ着脱可能であるか、またはこの目的のために提供されるマウントに取り付け可能であることが好ましい。
【0029】
代替的な実施形態では、解体は、ステアリングホイールハンドルがステアリングホイールキャニスターから離れてヒンジで固定されるように、折り畳み機構によって実施される。例えば、ヒンジは、ステアリングホイールハンドルとステアリングホイールキャニスターとの間に配設される。
【0030】
この実施形態は、コックピット内に特に大きな空間を創造し、それによって(完全)自動運転において運転手に特に快適な空間を提供するという利点を有する。
【0031】
ステアリング装置の有利な実施形態では、ステアリングホイールハンドルは、ラッチによってステアリングホイールキャニスターに取り外し可能に接続されることがさらに提案される。
【0032】
一実施形態では、ラッチは、ステアリングホイールハンドルが、ステアリングホイールキャニスターの補完的な開口部にスナップ嵌合する複数のピンを有するように配設される。例えば、この実施形態では、ばね機構がステアリングホイールキャニスター上に配設される。ばね機構によって、例えば、スナップインフックは、ポジティブロック接続を生成するために、ステアリングホイールハンドルのピンの少なくとも一つにあるくぼみに挿入され得る。こうしたポジティブロック接続は、例えば、ステアリングホイールキャニスターおよび/またはステアリングホイールハンドルのスイッチを介して取り外し可能であり、その結果、ステアリングホイールハンドルはステアリングホイールキャニスターから着脱可能である。
【0033】
代替的な実施形態では、ステアリングホイールハンドルは、電動式または磁気駆動式のラッチ機構によって、バヨネット留め具によって、ねじ接続によって、クリックヒンジによって、または同種のものによって、ステアリングホイールキャニスターに接続される。
【0034】
こうしたラッチの特徴によるステアリングホイールハンドルのステアリングホイールキャニスターへの接続は、運転手にとって特に簡単でかつ迅速に取り外し可能であり、なおもしっかりとした保持力と、それゆえに高度な安全性が確保されるという利点を提供する。
【0035】
ステアリング装置の有利な実施形態では、ステアリングホイールキャニスターが、第一のキャニスター部分および第二のキャニスター部分を備えることがさらに提案され、これらは互いに対して移動可能であり、
エアバッグモジュールが第二のキャニスター部分内に受けられ、
少なくとも能動位置において、ステアリングホイールキャニスターの第一のキャニスター部分が、ステアリングホイールハンドルおよびステアリングホイールキャニスターの第二のキャニスター部分に、トルクを伝達する様式で接続され、
第一のキャニスター部分が、旋回軸の周りで能動位置と格納位置との間に枢動可能に取り付けられることが好ましい。
【0036】
この実施形態によれば、ステアリングホイールキャニスターは2つの部分で配設されることが提案される。したがって、ステアリングホイールキャニスターは、第一のキャニスター部分および第二のキャニスター部分を備え、これらは、互いに対して移動可能であるように支持される。例えば、エアバッグモジュールを受けることに加え、ステアリングホイールキャニスターは、電子構成要素を受けるように、好ましくは、自動車を運転および制御するように構成される。
【0037】
第二のキャニスター部分の機能的に同一の配向を確保するために、エアバッグモジュールが第二のキャニスター部分内に受けられ、第二のキャニスター部分が回転軸に固定されることが提案される。第二のキャニスター部分を回転軸に固定するため、エアバッグモジュールは、第一のキャニスター部分の動きに関係なく、同一に整列し、静止したままである。そのため、エアバッグモジュールの適切な動作が確保される。
【0038】
能動位置では、第一のキャニスター部分は、トルクを伝達する様式でステアリングホイールハンドルおよび第二のキャニスター部分に接続され、その結果、ステアリングホイールハンドルからステアリングホイールキャニスターのキャニスター部分両方へのステアリング動作のトルクの伝達を実現することができる。この実施形態の一実施形態例では、ステアリングホイールハンドルは、ステアリングホイールキャニスターおよび第一のキャニスター部分に接続され、取り外し不可能な方法で接続される。この場合、「取り外し不可能」とは、ユーザーが、容易にかつ複数の単純な動作(例えば、移動中に能動的に制御する運転モードから自動運転モードに切り替えることなど)で、ステアリングホイールキャニスターの第一のキャニスター部分とステアリングホイールハンドルとの間の接続を緩めることができないことを意味する。しかしながら、産業慣行(例えば、工具による)から公知の接続の解除は除外されない。
【0039】
好ましくは、第一のキャニスター部分は、旋回軸の周りで能動位置と格納位置との間に旋回可能に支持され、トルクを伝達する様式での第一のキャニスター部分の第二のキャニスター部分への接続は、第二のキャニスター部分が、受けられたエアバッグモジュールの機能的に同一の動作を確実にするように、能動位置外で解放される。旋回軸は、回転軸に直交して配設されることが好ましく、一実施形態では、第一のキャニスター部分の旋回が実行可能である技術構成要素内に配設される。例えば、旋回軸は軸受内に配設され、軸受は、旋回軸が回転軸に対して横方向に配設され、レバーアームによって第一のキャニスター部分に接続され、その結果、旋回軸の周りで旋回することができる。
【0040】
代替的な実施形態では、旋回軸は、その周りで第一のキャニスター部分が能動位置と格納位置との間で枢動可能に支持される、理論上の軸である。例えば、第一のキャニスター部分は、旋回軸が湾曲したレールの理論上の中心点を表し、任意選択で、上記実施形態の旋回軸よりもステアリングホイールキャニスターからさらに離れて(運転手の視点から)水平に配設されるように、湾曲したレールに沿って格納位置内へと旋回可能である。
【0041】
2つのキャニスター部分を有するこうした実施形態は、ステアリングホイールハンドルを解体しなくても、(完全)自動運転中にコックピット内の運転手のために空間を作り出すことができるという利点を提供する。さらに、ステアリングホイールハンドルの解体または解体されたステアリングホイールハンドルを受けることも不要である。
【0042】
ステアリング装置の有利な実施形態では、ステアリングホイールキャニスターは、車両機能が運転手によって動作可能である運転者要素を含むことがさらに提案される。
【0043】
したがって、車両機能は、ステアリング本体の少なくとも能動位置、好ましくは格納位置においても、運転手によって動作可能である。例えば、こうした車両機能は、インフォテインメント機能、自動車の車線維持支援制御装置および/または速度調節器などの支援システム、シフト、または運転モードの選択である。さらに、例えば、ステアリングホイールハンドルは、運転者要素によって取り外し可能であるか、または第一のキャニスター部分は、第二のキャニスター部分から取り外し可能および/または第二のキャニスター部分から離れて旋回可能である。一実施形態では、格納位置においては、車両が運転者要素によって(完全)自動運転している時に、例えば、音響システムの音量または再生/一時停止ボタンなどのインフォテインメントシステム用の車両機能のみが動作可能であり、その結果、(完全)自動運転中では、車両の車両機能の誤った調整が除外される。
【0044】
こうした運転者要素を有する一実施形態は、(完全)自動運転さらに手動運転または半自動運転における、特に便利な車両機能の動作という利点を提供する。
【0045】
ステアリング装置の有利な実施形態では、軸オフセットがステアリングホイールキャニスターとステアリングホイールハンドルとの間に形成されることがさらに提案される。
【0046】
こうした実施形態によれば、ステアリングホイールハンドルは、ステアリングホイールキャニスターがステアリングホイールハンドルから軸方向に間隔を置く、すなわち軸オフセットを有するように、少なくとも能動位置でステアリングホイールキャニスターに接続される。オフセットは、ステアリングホイールキャニスターとステアリングホイールハンドルとの間の軸方向距離を表す。したがって、運転手はステアリングホイールハンドル(ステアリングホイールリムとして構成されることが好ましい)を掴むことができ、人間工学的かつ安全に保持され得る。
【0047】
軸オフセットは、例えば、上記実施形態によるラッチによって調節可能である。好ましくは、軸オフセットは、ステアリングホイールハンドルの軸方向距離が運転手の方向に短縮または増加するように、ラッチによって調節可能である。一実施形態では、ピンは、オフセットがしたがって好ましくは人間工学的に調節可能であるように、ばね機構用の複数のノッチを有する。
【0048】
代替的な実施形態では、ステアリングホイールキャニスターはバヨネットシール用の複数のラッチを有し、その結果、ステアリングホイールハンドルとステアリングホイールキャニスターとの間のオフセットは、ラッチの軸方向距離によって調節可能である。
【0049】
さらなる態様によれば、
-少なくとも一つの駆動機械と、
-少なくとも一つのステアリング可能な車両ホイールと、
-上述の実施形態によるダッシュボードおよびステアリング装置を有する少なくとも一つのコックピットという構成要素を少なくとも一つ含み、
ステアリング装置が、自動車を制御し、運転手からステアリングコマンドを受け、ステアリングコマンドに対応する関連するステアリング可能な車両ホイールのステアリングの向きのために、ステアリングコマンドをステアリング可能な車両ホイールの少なくとも一つへのトルク伝達に変換するように構成される、自動車が提案されている。
【0050】
本明細書で提案する自動車は、駆動機械および少なくとも一つのステアリング可能な車両ホイールを備え、その結果、自動に移動し、必要に応じて自動車自体を制御することができる。好ましくは、このような自動車は、乗用車、特に好ましくはスポーツ車である。ダッシュボードは、自動車内に配設され、上記の説明による一実施形態によるステアリング装置は、ダッシュボード内に配設される。例えば、複数の画面を有するインフォテインメントシステムが、ダッシュボード内に配設される。
【0051】
ステアリング装置は、自動車を制御するように構成され、その結果、運転手のステアリングコマンドが車両ホイールに伝達可能であり、したがって車両ホイールの新しいステアリングの向きが実現され得る。一実施形態では、ステアリングコマンドは、ステアリングギアを有する従来的に配設されたステアリングコラムによって車両ホイールに伝達可能であり、自動車の進行方向は、ステアリングギアによって影響され得る。ステアリングギアは、車両ホイールが自動車の現在の主な進行方向とは異なるステアリングの向きへと回転するように、ステアリング本体または運転手のステアリングコマンドを車両のタイロッド上の摺動動作へと変換する。
【0052】
代替的な実施形態では、ステアリングコマンドは、サーボモーターによって車両ホイールに伝達可能であり、サーボモーターは、油圧システムおよび/または電気モーターによる制御のために運転手が生成する力を車両ホイールにより強力に伝達することによって運転手を支援する。この実施形態では、ステアリングコマンドの伝達は、動力を受けるステアリングコラムまたはステアリングギアによって直接行われるのではなく、むしろステアリングコマンドと一致するトルクによって行われるため、ステアリングの向きを変えるためにステアリング本体またはステアリングホイールハンドルに掛ける力がより少なくて済む。
【0053】
さらなる代替的な実施形態では、ステアリングコマンドは、いわゆるステアバイワイヤシステムによって車両ホイールに伝達可能であり、ステアリング軸は理論上の回転軸として構成される。例えば、ステアリング装置は、ステアリング本体またはステアリングホイールハンドルのステアリング衝撃を感知する一方で、電気的に動作可能な統合型ブレーキによって可変ステアリング力および機械的限界停止をシミュレートする、いわゆるステアリング力シミュレーターを含む。ステアリングコマンドは、(例えば、電子制御ユニットによって作動される比例弁を介して)電子的におよび/または油圧的に生成され、車両ホイールに送信される。
【0054】
自動車の有利な実施形態では、ステアリングホイールキャニスターは、自動車のダッシュボードのホルダーに収納され、
ステアリングホイールキャニスターが好ましくは回転軸に沿って並進移動可能であることがさらに提案される。
【0055】
ここでは、ダッシュボードがレセプタクルを備え、レセプタクルがステアリングホイールキャニスターを格納するよう構成されることが提案される。一実施形態では、ステアリングホイールキャニスターの格納は、ステアリングホイールハンドルなしで、かつステアリング本体の格納位置でのみ、実行可能である。例えば、レセプタクルは、ステアリングホイールハンドルなしでステアリングホイールキャニスターのみがレセプタクルに格納可能であるように設計される。
【0056】
代替的な実施形態では、レセプタクルは、ステアリングホイールキャニスターが、格納位置でステアリングホイールハンドルと共にレセプタクルに格納されるように設計される。例えば、この実施形態では、レセプタクルは、ステアリングホイールキャニスターおよびステアリングホイールハンドルのためのくぼみを有し、その結果、ステアリングホイールキャニスターがステアリングホイールハンドルに接続されている間に、レセプタクルに格納することができる。
【0057】
さらなる代替的な実施形態では、ステアリングホイールハンドルを有するステアリングホイールキャニスターは、ダッシュボードのレセプタクルに能動位置で格納可能である。例えば、自動車が半自動運転モードにあり、自動車の運転手がステアリング本体を能動位置に維持し、この実施形態では、ステアリングホイールハンドルを伴ってまたは伴わないで、ステアリングホイールキャニスターをダッシュボードのレセプタクル内に格納できる可能性がある。したがって、ステアリング本体の能動位置において運転手の自動車内の空間的快適さの向上を実現することができる。同時に、運転手は、能動位置で運転プロセスに介入する選択肢を依然として有する。
【0058】
好ましい実施形態では、ステアリングホイールキャニスターは、回転軸に沿ってダッシュボードのレセプタクルに並進移動して格納される。この好ましい実施形態では、能動位置と格納位置との間のステアリング本体の移動は、回転軸に沿って並進移動して生じ、自動車の(完全)自動運転において、運転手は、ステアリングホイールハンドルを伴ってまたは伴わないで、ステアリングホイールキャニスターをダッシュボードのレセプタクル内に移動することができる。例えば、市内の移動中に、ステアリングホイールキャニスターの格納位置への望ましくない旋回が除外されるように、半自動運転では、格納位置がステアリングホイールキャニスターに対してブロックされる。
【0059】
上述の実施形態では、運転者要素は、ステアリングホイールキャニスターの一部であってもよく、ステアリングホイールキャニスターがステアリングホイールハンドルを伴ってまたは伴わないでレセプタクル内に受けられる時、少なくとも部分的にさらに動作可能であることが好ましいことに留意されたい。さらに、ステアリングホイールキャニスターの並進移動は、キャリッジ機構または伸縮機構によって回転軸に沿って実行可能であることに留意されたい。別の方法としてまたは追加的に、ステアリングホイールキャニスターの並進移動は、回転軸に沿ったリンケージおよび複数の回転軸受によって実行可能であり、エアバッグモジュールは、最小の角度変化を考慮に入れて、機能的に同一の様式で動作することができる。
【0060】
自動車の有利な実施形態では、ステアリング本体の格納可能な部分は、格納位置、好ましくは自動車のダッシュボード上で固定可能であることがさらに提案される。
【0061】
ここで提案する固定によって、ステアリング本体の格納位置からの望ましくない旋回が防止される。例えば、固定は、スナップ機構または電磁ロックとして構成され、これはトリガー機能の作動時にのみ、ステアリング本体を固定から解放する。この目的のために、ステアリングホイールキャニスターおよび/またはステアリングホイールハンドルは、好ましくは、運転手から離れた側上に対応するカウンターパートを含み、その結果、ステアリング本体が自動車のダッシュボードに取り外し可能に固定可能である。特に好ましくは、能動位置で、固定機構は、運転手の直接の視界外に目立たないように配設される。
【0062】
上述の本発明は、関連する技術背景に照らして、好ましい構成を示す添付図面を参照しながら、以下で詳細に説明される。本発明は、いかなる方法でも純粋な概略図に限定されるものではなく、図面はサイズに忠実ではなく、かつ割合を定義するのに適していないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2】
図1によるステアリング本体の正面図を示す。
【
図3】別の実施形態例におけるステアリング装置の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、ステアリング装置1の概略断面図を示す。ステアリング装置1は、ステアリング本体3および回転軸4を備え、回転軸4はステアリング本体3に同軸に配設される。ステアリング本体3は、ステアリングホイールキャニスター6およびステアリングホイールハンドル5を備え、この実施形態例のステアリングホイールハンドル5は、ステアリングホイールリム10として構成され、ラッチ11によってステアリングホイールキャニスター6に取り外し可能に接続される。ラッチ11は、この実施形態例では、ステアリングホイールキャニスター6によって受けられる複数のピンとして構成される。ラッチ11によって、例えば、ピン内の複数のノッチによって、ステアリングホイールキャニスター6とステアリングホイールハンドル5との間の軸オフセット16は調節可能である。オフセット16によって、ステアリングホイールハンドル5の人間工学的位置は、運転手に対して調節可能であることが好ましい。
【0065】
エアバッグモジュール7は、ステアリングホイールキャニスター6内に配設され、ここで、エアバッグモジュール7は、自動車2の運転手に向かってその動作方向に配向される。ステアリング本体3は、図(実線で表示)に従って適切な状況で能動位置8に配設され、その結果、自動車2の半自動運転または手動運転では、自動車2は運転手によって能動的に制御可能である。自動車2が(完全)自動運転にある場合、ステアリング本体3は格納位置9(破線で表示)内に移動可能である。ステアリング本体3をダッシュボード20内に格納するために、レセプタクル21が提供され、この実施形態例では、ステアリングホイールキャニスター6を受ける。この実施形態例では、ステアリングホイールハンドル5は、ステアリングホイールキャニスター6に分離可能に接続され、その結果、ステアリングホイールハンドル5は、格納位置9でステアリングホイールキャニスター6から解体される。ステアリングホイールキャニスター6は、能動位置8から格納位置9へと、伸縮機構を介して回転軸4に沿ってレセプタクル21内に並進移動可能である。代替的な実施形態例では、ステアリングホイールキャニスター6は、キャリッジによって回転軸4に沿ってレセプタクル21内に並進移動可能である。
【0066】
能動位置8と格納位置9との間のステアリング本体3の移動可能性により、コックピット19内の運転手の必要とされる座り心地および快適さの向上を、自動車2の(完全)自動運転中に実現することができる。純粋に任意で、ヘッドアップ・ディスプレイ22および速度計ディスプレイ23は、示されるようにダッシュボード20に配設され、車両情報、例えば、自動車2の速度、インフォテインメントシステムのディスプレイ、またはナビゲーションディスプレイが、手動運転、半自動運転、または(完全)自動運転中に、運転手にグラフィカルに提示され得る。好ましくは、(完全)自動運転では、回転速度計ディスプレイ23はオフになり、ヘッドアップ・ディスプレイ22のみが使用される。逆に、例えば、手動運転または半自動運転では、回転速度計ディスプレイ23のみを使用し、ヘッドアップ・ディスプレイ22をオフにすることができる。
【0067】
図2は、
図1によるステアリング本体3の正面図を示す。ステアリング本体3は、回転軸4に対して同軸に回転可能な様態で配設され、ステアリング本体3は、ステアリングホイールキャニスター6およびステアリングホイールハンドル5を含む。ステアリングホイールハンドル5は、自動車2の運転手のステアリング動作24のトルクを伝達するために適合される。この実施形態例では、ステアリングホイールハンドル5は、ステアリングホイールリム10として構成され、ステアリングホイールリム10は、運転手の手によって掴まれるように構成される。ステアリングホイールハンドル5は、ロック機構11によってステアリングホイールキャニスター6に取り外し可能に固定され、この実施形態例では、4つのピンによって固定される。ラッチ11により、ステアリングホイールハンドル5はトルクを伝達する様式でしっかりと固定されるが、なおもステアリングホイールキャニスター6に迅速かつ容易に取り外し可能に取り付けられる。
【0068】
ステアリングホイールキャニスター6は、車両機能を動作するように構成される運転者要素15をさらに含む。例えば、速度支援装置の速度は調節することができ、および/またはインフォテインメントシステムは、運転者要素15によって作動することができる。さらに、自動車2の方向指示器は、運転者要素15によって制御することができる。また、この実施形態例では、運転者要素15上のトランスミッション25の現在のギアのディスプレイも示されている。
【0069】
図3は、別の実施形態例におけるステアリング装置1の概略断面図を示す。ステアリング装置1は、回転軸4を備え、その周りでステアリング本体3が同軸に配設される。ステアリング本体3は、ステアリングホイールハンドル5およびステアリングホイールキャニスター6をさらに備え、ステアリングホイールキャニスター6は、第一のキャニスター部分12および第二のキャニスター部分13を備え、第二のキャニスター部分13は、トルクを伝達する様式で第一のキャニスター部分12および能動位置8のステアリングホイールハンドル5に接続される。図による能動位置8(実線で表示)では、キャニスター部分12、13は互いに接続され、その結果、自動車2を制御するためのステアリングホイールハンドル5によってトルク伝達またはステアリング動作24が実現され得る。ステアリング動作24は、図に示すように、ステアリングホイールハンドル5から、ステアリングホイールキャニスター6を介して、物理的に構成されたステアリングコラムである回転軸4へと、能動位置8で伝達可能である。エアバッグモジュール7は、第二のキャニスター部分13内に配設され、エアバッグモジュール7は、衝突イベントにおける運転手の衝撃を低減するよう構成される。ステアリング本体3の少なくとも一部分は、旋回軸14に沿って能動位置8と格納位置9の間で旋回することができる。格納位置9への旋回は、純粋に任意の湾曲したレール26によって行われ、旋回軸14は、したがって、意図されたバスバー回路の理論上の中心点において、理論上の旋回軸14を表す。
【0070】
ここで、ステアリング本体3の格納位置9は破線で示されている。この実施形態例では、第二のキャニスター部分13は、第一のキャニスター部分12から取り外され、第二のキャニスター部分13が、車両の能動的運転と比較して変化のない位置および配向に留まるように(第一のキャニスター部分12が能動位置8にある)位置付けられ、その結果、エアバッグモジュール7も、ステアリング本体3の格納位置9で動作可能である。固定要素27は、ダッシュボード20上に配設され、これは、対応するカウンターパートでステアリングホイールハンドル5を固定し、ステアリングホイールハンドル5を格納位置9に固定するように構成される。例えば、固定要素27は、クリッピング機構および/または磁石として構成され、これは、固定要素27のトリガーを別々に作動することによってのみ、対応するカウンターパートで固定からステアリングホイールハンドル5を解放する。さらに、純粋に任意のヘッドアップ・ディスプレイ22および純粋に任意の回転速度計ディスプレイ23は、ダッシュボード20に配設される。格納位置9の回転速度計ディスプレイ23は、それによって、第一のキャニスター部分12およびステアリングホイールハンドル5によって遮蔽され、その結果、この場合(自動車2の(完全)自動運転)はヘッドアップ・ディスプレイ22のみが適用可能である。
【0071】
図4は、自動運転する自動車2を示し、(完全)自動運転モードまたは手動運転モードもしくは半自動運転モードで任意に運転可能である。
【0072】
自動車2は、この実施形態例では電動牽引機として構成される駆動機械17と、トランスミッション25とを備える。駆動機械17は、トルクを生成するように構成され、トランスミッション25は、トルクを複数の車両ホイール18に伝達し、その結果、トルクが基材に伝達可能であり、したがって自動車2が推進され得るように構成される。2つの車両ホイール18を有する前輪車軸は、車両を制御するためのステアリング可能な車軸として構成される。
【0073】
コックピット19は、自動車2内に配設され、コックピット19は、自動車2の少なくとも一人の運転手のために構成される。コックピット19は、ダッシュボード20を備え、このダッシュボード20は、次に、自動車2が(完全)自動運転される時に、ステアリング装置1のステアリング本体3の少なくとも一部が格納位置9に格納されるレセプタクル21を備える。ステアリング装置1は、回転軸4をさらに備え、ステアリング本体3は、手動運転または半自動運転で自動車2を能動的に制御するために、能動位置8の回転軸4の周りで同軸に配設されることが好ましい。さらに、ステアリング本体3は、ここでステアリングホイールリム10として構成されるステアリングホイールハンドル5、およびステアリングホイールキャニスター6を備え、ステアリングホイールキャニスター6は、運転手のステアリング動作24を車両ホイール18に伝達するように適合される。
【0074】
本発明は、少なくとも半自動運転する自動車を能動的に制御するためのステアリング装置に関し、少なくとも、
-回転軸を有するステアリング本体であって、ステアリング本体が、ステアリングホイールハンドルおよびステアリングホイールキャニスターを備え、ステアリングホイールハンドルとステアリングホイールキャニスターが回転軸の周りで互いに回転可能に接続された、ステアリング本体と、
-ステアリングホイールキャニスター内に配設されたエアバッグモジュールの構成要素を含み、
ステアリング本体の少なくとも一部が、能動位置と格納位置を有し、これらの位置の間で移動可能であり、
能動位置で、ステアリング本体が、関連する自動車の能動制御のために回転軸の周りで回転可能である。ステアリング装置は、特に、エアバッグモジュールが、ステアリング本体の位置に関係なく、機能的に同一の配向でステアリングホイールキャニスター内に保持されることを特徴とする。
【0075】
本明細書で提案するステアリング装置により、衝突イベントにおける安全性を維持しながらも、(完全)自動運転中の自動車の運転手の座席および動きの自由度の向上が実現され得る。