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特開2023-165618電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165618
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/00 20060101AFI20231109BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20231109BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20231109BHJP
   B01J 38/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B01J37/00 Z
B01J35/02 G
B01J35/04 301Z
B01J38/00 301V
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061906
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 111 170.9
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】ウリ, ゾファン
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA20
4G169CA03
4G169CA06
4G169CA18
4G169DA06
4G169EA19
4G169EA27
4G169EE03
4G169FA10
4G169FB22
4G169FB24
4G169FB79
4G169FB80
4G169GA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】必要とされない触媒コーティングの除去方法およびデバイスを提供する。
【解決手段】触媒コーティングでコーティングされた電気加熱要素1を提供するステップと、加熱要素を、第1の保持要素101と第2の保持要素102との間に位置付けることによって、加熱要素の第1の端部面10が第1の保持要素に面し、加熱要素の第2の端部面11が第2の保持要素に面し、2つの保持要素によって加熱要素を固定するステップであって、保持要素が2つの端部面を被覆することで、ディレイヤされる外側領域20、21、22のみが未被覆のままである、ステップと、2つの保持要素及びその間に位置付けられた加熱要素を、回転軸105を中心に回転させ、ディレイヤされる領域にディレイヤ媒体を適用するステップと、ディレイヤ媒体の適用及び加熱要素の回転を停止し、コーティングがディレイヤされる領域で除去されたときに、加熱要素を解放するステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱要素(1)の触媒コーティング(2)の部分的な除去のための方法であって、
-前記触媒コーティング(2)でコーティングされた前記電気加熱要素(1)を提供するステップと、
-前記加熱要素(1)を、第1の保持要素(101)と第2の保持要素(102)との間に位置付け、前記加熱要素(1)の第1の端部面(10)が、前記第1の保持要素(101)に面し、前記加熱要素(1)の第2の端部面(11)が、前記第2の保持要素102に面し、前記2つの保持要素(101、102)によって前記加熱要素(1)を固定するステップであって、前記保持要素(101、102)が、前記2つの端部面(10、11)を被覆することで、ディレイヤされる外側領域(20、21、22)のみが未被覆のままである、ステップと、
-前記2つの保持要素(101、102)及び前記2つの保持要素の間に位置付けられた前記加熱要素(1)を、回転軸(105)を中心に回転させ、ディレイヤされる前記領域(20、21、22)にディレイヤ媒体を適用するステップと、
-前記ディレイヤ媒体の前記適用及び前記加熱要素(1)の回転を停止し、前記コーティング(2)が、ディレイヤされる前記領域(20、21、22)で除去されたときに、前記加熱要素(1)を解放するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記保持要素(101、102)が、前記保持要素の間に位置付けられた前記加熱要素(1)に向かって移動することによって前記加熱要素(1)を固定し、定義された力(F)によって中央中心に前記加熱要素(1)を固定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ディレイヤ媒体が、ディレイヤされる前記領域(20、21、22)にジェットノズル(104)によって適用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ジェットノズル(104)が、前記2つの保持要素(101、102)の前記共通回転軸(105)に直交して延在する旋回軸の周りで、定義された旋回範囲で移動されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ドライアイスが、前記ディレイヤ媒体として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、部分的に自動化又は完全自動化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
電気加熱要素(1)の触媒コーティング(2)の部分的な除去、特に請求項1に記載の方法を実行するためのデバイス(100)であって、
-第1の保持要素(101)及び第2の保持要素(102)であって、その間に、前記加熱要素(1)が配置可能であり、前記保持要素(101、102)が、前記保持要素(101、102)の間に、位置付けられる前記加熱要素(1)を固定し、前記加熱要素(1)の2つの対向する端部面(10、11)を被覆することで、ディレイヤされる外側領域(20、21、22)のみが未被覆のままである、第1の保持要素及び第2の保持要素と、
-前記2つの保持要素(101、102)と、回転軸(105)の周りで前記2つの保持要素(101、102)によって固定された前記加熱要素(1)との共通回転運動を駆動するように適合された駆動デバイス(103)と、
-前記加熱要素(1)にディレイヤ媒体を適用するための手段と、を備える、デバイス。
【請求項8】
前記加熱要素(1)にディレイヤ媒体を適用するための前記手段が、ディレイヤされる前記領域(20、21、22)に、ディレイヤ媒体として、ドライアイスを適用するように適合されることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
前記加熱要素(1)にディレイヤ媒体を適用するための前記手段が、ジェットノズル(104)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
前記ジェットノズル(104)が、前記2つの保持要素(101、102)の共通回転軸(105)に直交して延在する、定義された旋回範囲の旋回軸の周りで移動可能であるように適合されることを特徴とする、請求項9に記載のデバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼エンジンを装備した自動車では、排気ガスの後処理は、法的に義務付けられた排気ガス基準に準拠するために必要である。触媒コンバータ及び粒子フィルタなどの排気ガスの後処理のために提供される排気ガス後処理デバイスの構成要素は、エンジンのコールドスタートの後に、可能な限り速やかに、いわゆる「着火」温度(=排気後処理デバイスの構成要素の「始動」温度)に到達し、排出量の多い排気ガスの効果的な後処理が行われるべきである。
【0003】
燃焼エンジンのコールドスタート後、特に少なくとも1つの触媒変換器及び少なくとも1つの粒子フィルタで、排気後処理デバイスの構成要素の最速の可能な加熱をもたらすために、排気流れの方向に配置された1つ以上の電気加熱要素を、排気後処理構成要素の上流に配置することができる。これらの電気加熱要素は、電気エネルギーから変換された熱エネルギーを排気流に伝達することができ、それによって下流の排気処理後構成要素を加熱する。
【0004】
代替的に、電気加熱要素自体に、セラミック材料から作製された触媒コーティングを提供することができる。この触媒コーティングは、電気加熱要素を、排気後処理デバイスの加熱触媒コンバータなどの動作中に自己加熱排気後処理構成要素にする。
【0005】
加熱要素を囲む金属ハウジング、特にシート金属ハウジングに触媒コーティングを有する電気加熱要素を収容するために、セラミック触媒コーティングを含まない対応する接触面が必要とされる。例えば、これらの接触面は、電気加熱要素が、ハウジング内のその「浮動」ベアリング内の加熱中に、応力なしに膨張することを可能にする。しかしながら、コーティング残渣がこれらの接触位置に存在する場合、それらは、加熱要素が特定の状況下で金属ハウジング内の遮られた熱膨張によって詰まり得るように、定義されていない様式で、「浮動」ベアリングの摩擦を増加させる。最悪のシナリオでは、これは、電気的ショート回路につながり、これが破壊されて、したがって、電気加熱要素を使用不可にする。
【0006】
したがって、一般に、電気加熱要素の製造プロセス中に既に触媒コーティングから除外される領域を適切にマスクして、これらの領域がコーティングプロセス中に全くコーティングされないようにする試みがなされる。しかしながら、これは、コーティングされる構成要素の幾何学的形状によっては、常に可能というわけではない。特にマスキングの縁部領域では、例えば、静止液コーティング材料はまた、そこに位置する流体流れチャネル又は流体流れセルに進入し、これは、マスキングによって部分的にのみ被覆され得る。例えば、加熱要素の曲がりくねったスリット又は他のマスク不良な形状がマスキング縁部に沿って存在する場合、そこに位置する依然として液体のコーティング材料は、マスキングの下に浸透する。
【0007】
コーティングの乾燥後、マスキング下で浸透した触媒コーティング材料は、研削デバイス又はワイヤブラシを使用して、非常に精緻に機械的に除去されなければならない。経済的見地から、この場合、コーティングは、電気加熱要素の容易にアクセス可能な領域でのみ完全に除去することができる。コーティングの大部分は、加熱要素のあまり容易にアクセスできない領域において構成要素上に留まっている。これは、触媒コーティングが導電性であり、許容できないコーティングが電気接点と電気加熱要素の加熱領域との間の電気的ショート回路をもたらし得るという点で、排気後処理デバイスで使用される電気加熱要素において不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電気加熱要素の触媒コーティングを切断除去するための方法及びデバイスを提供することであり、加熱要素の特定の領域に必要とされないコーティングは、特に単純かつ効果的な方法で除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この作業の解決策は、請求項1に記載の特徴を有する電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法を提供する。デバイスに関して、この目的は、請求項7に記載の特徴を有する電気加熱要素の触媒コーティングを部分的に除去するためのデバイスによって達成される。下位請求項は、本発明の有利な更なる開発に関する。
【0010】
電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための本発明の方法は、
-触媒コーティングでコーティングされた電気加熱要素を提供するステップと、
-加熱要素を第1の保持要素と第2の保持要素との間に位置付けることによって、加熱要素の第1の端部面が、第1の保持要素に面し、加熱要素の第2の端部面が、第2の保持要素に面し、2つの保持要素によって加熱要素を固定するステップであって、保持要素が、2つの端部面を被覆することで、ディレイヤされる外側領域のみが未被覆のままである、ステップと、
-2つの保持要素及び2つの保持要素の間に位置付けられた加熱要素を第1の回転軸を中心に回転させ、ディレイヤされる領域にディレイヤ媒体を適用するステップと、
-ディレイヤ媒体の適用及び加熱要素の回転を停止し、コーティングがディレイヤされる領域で除去されたときに、加熱要素を解放するステップと、を含む。
【0011】
本発明の方法は、電気加熱要素の2つの対向する端部の外縁領域それぞれに位置する、ディレイヤされる領域の電気加熱要素の触媒コーティングの直接的な部分的除去を可能にする。
【0012】
加熱要素を固定するために、好ましい実施形態は、保持要素が、それらの間に位置付けられた加熱要素に向かって移動し、定義された力によって中央中心に位置する加熱要素を固定することを提案する。特に、これは、定義された力を有する2つの保持要素間の電気加熱要素のクランプ作動式、中央中心固定を可能にし、この固定は、追加のツールなしで有利に達成され得る。
【0013】
1つの実施形態は、ジェットノズルによってディレイヤされる加熱要素の領域にディレイヤ媒体が適用される能力を提供する。特に、このようなジェットノズルは、ディレイヤされる電気加熱要素の領域にコーティングを正確に除去する能力を生じさせる。
【0014】
好ましい実施形態は、ジェットノズルが、2つの保持要素の回転の共通軸に直交して延在する旋回軸の周りで、定義された旋回範囲で移動されることを提供することができる。これにより、ディレイヤされる加熱要素の領域における触媒コーティングの均等な除去を達成することができる。
【0015】
特に好ましい実施形態は、ドライアイスが、ディレイヤ媒体として使用されることを提案する。固体二酸化炭素(短くは、CO)であるドライアイスの使用は、ディレイヤされる電気加熱要素の領域におけるコーティングの局所的な除去が、したがって、研磨的に、及び熱衝撃脆化によって、すなわち、コーティングと加熱要素との間の熱応力によって、両方起こることができるため、特に有利である。除去操作の後、ドライアイスは、昇華によって、固体からガス相状態に直接変化し、それゆえ、これら2つの相の間の液体相状態を採らないことから、ディレイヤ媒体としてのドライアイスの使用は、ディレイヤされる領域の加熱要素によって除去されるコーティングが不純物を含まないという利点を更に有する。
【0016】
好ましくは、本方法は、特に有利な実施形態では、部分的に自動化することができるか、又は完全に自動化することができる。
【0017】
電気加熱要素の領域における触媒コーティングを除去するための、特に請求項1~6のいずれかに記載の方法を実施するための、本発明によるデバイスは、
-第1の保持要素及び第2の保持要素であって、その間に、加熱要素が配置可能であり、保持要素が、保持要素の間に、位置付けられる加熱要素を固定し、加熱要素の2つの対向する端部面を被覆することで、ディレイヤされる外側領域のみが未被覆のままである、第1の保持要素及び第2の保持要素と、
-2つの保持要素と、回転軸の周りで2つの保持要素によって固定された加熱要素との共通回転運動を駆動するように適合された駆動デバイスと、
-加熱要素にディレイヤ媒体を適用するための手段と、を備える。
【0018】
本発明の方法は、電気加熱要素の2つの対向する端部の外縁領域それぞれに位置する、ディレイヤされる領域の電気加熱要素の触媒コーティングの直接的な部分的除去を可能にする。デバイスは、特に、部分的に自動化されて動作するように適合することができるか、又は特に有利な実施形態では、完全に自動化されて動作することができる。
【0019】
1つの実施形態は、ディレイヤ媒体を加熱要素に適用するための手段が、ディレイヤされる領域にディレイヤ媒体としてドライアイスを適用するように適合されることを提案している。ドライアイスをディレイヤ媒体として使用する利点は、既に上で説明されている。
【0020】
1つの実施形態は、ディレイヤ媒体を加熱要素に適用するための手段がジェットノズルを含む能力を提供する。特に、このジェットノズルは、ディレイヤされる電気加熱要素の領域にコーティングを正確に除去する能力を生じさせる。
【0021】
好ましい実施形態は、ジェットノズルが、2つの保持要素の共通回転軸に直交して延在する回転軸の周りで、定義された回転範囲で移動可能であるように、ジェットノズルが適合されることを提案する。結果として、電気加熱要素の領域で触媒コーティングを除去して、最小の領域までも高精度でディレイヤさせることができる。
【0022】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付された図を参照して好ましい実施形態の例の以下の説明から明らかになる。これらは、以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1a】平面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図1b】平面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図1c】平面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図1d】平面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図2a図1aに対して90°回転した側面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図2b図1bに対して90°回転した側面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図2c図1cに対して90°回転した側面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
図2d図1dに対して90°回転した側面図における電気加熱要素の触媒コーティングの部分的な除去のための方法及びデバイスの概略的に非常に簡略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1a及び2aを参照すると、燃焼エンジンの排気後処理デバイスで使用するために提供される電気加熱要素1が、第1の方法ステップS1に提供される。この電気加熱要素1は、実質的に円筒形の形状であり、セラミック触媒コーティング2を含む。図1aは、触媒コーティング2を有する電気加熱要素1を平面図で示しており、作動中に内燃エンジンの高温排気ガスが流れる個々の流体流路又は流体フローセルが正方形の形状にされている。図2aは、図1に対して90°回転した側面図における電気加熱要素1を示す。
【0025】
加熱要素1を囲む金属ハウジング、特にシート金属ハウジングにこの電気加熱要素1を収容するために、セラミック触媒コーティング2を含まない対応する接触面が必要である。例えば、これらの接触面は、電気加熱要素1が、その「浮動」ベアリング内の加熱中に、応力のない膨張を可能にする。しかしながら、コーティング残渣がこれらの接触位置に存在する場合、それらは、加熱要素1が特定の状況下で金属ハウジング内の遮られた熱膨張によって詰まり得るように、定義されていない様式で、「浮動」ベアリングの摩擦を増加させる。最悪のシナリオでは、これは、電気的ショート回路につながり、これが破壊されて、したがって、電気加熱要素1を使用不可にする。
【0026】
電気加熱要素1のこの触媒コーティング2は、電気加熱要素1の部分的なディレイヤが発生するように、この目的のために提供及び適合されるデバイス100によって、以下に記載される方法で部分的に除去される。
【0027】
電気加熱要素1の触媒コーティング2の部分的な除去(ディレイヤ)のためのデバイス100は、第1の保持要素101及び第2の保持要素102を備え、その間に、加熱要素1が第2の方法ステップS2(図1b及び2b)に位置付けられて、これにより、加熱要素1の第1の端部面10が、第1の保持要素101に面し、加熱要素1の第2の端部面11が、第2の保持要素102に面する。加熱要素1の2つの端部面10、11は、実質的に円形の形状を有する。保持要素101、102は、ディレイヤされる外側領域20、21、22のみが未被覆のままであるように、加熱要素1の2つの端部面10、11のうちの1つを被覆するように適合される。したがって、ディレイヤされる領域20、21、22は、加熱要素1の2つの端部面10、11の外縁に位置する。保持要素101、102は、それらの間に位置付けられた加熱要素1に向かって移動され、定義された力Fによって中央中心に位置付けられる加熱要素1を固定する。したがって、加熱要素1は、円形のクランプ表面を有する2つの保持要素101、102間のクランピングによって固定される。加熱要素1の端部面10、11上に保持される電気加熱要素1の触媒コーティング2の領域は、それぞれ保持要素101、102の下に保護される。
【0028】
方法ステップS3(図1c及び2c)では、デバイス100は、2つの保持要素101、102の共通回転運動を駆動するように適合された駆動デバイス103、及びそれゆえ、2つの保持要素101、102によって固定され、後者の間に位置付けられる加熱要素1の回転運動を更に含む。回転軸105は、加熱要素1の端部面10、11に直交して延在する。
【0029】
デバイス100はまた、その回転運動中に電気加熱要素1にディレイヤされる領域20、21、22のコーティング2を除去するためのディレイヤ媒体を適用するよう適合されたジェットノズル104を備える。特に図2cで分かるように、ジェットノズル104は、2つの保持要素101、102の共通回転軸105に直交して延在する旋回軸の周りの第1の位置から第2の位置(及びその逆)まで、ある旋回範囲で移動することができる。
【0030】
ジェットノズル104は、定義された移動経路の加熱要素1に向けられ、ディレイヤ媒体を適用することによってコーティング2を除去し、ディレイヤ処理中に加熱要素1の縁部領域を超えて徐々に揺動する。したがって、コーティング2は、加熱要素1の領域20、21、22において確実にかつ容易に除去され、最小の領域までディレイヤされる。
【0031】
ドライアイス、すなわち、固体二酸化炭素(CO)は、好ましくは、ディレイヤされる電気加熱要素1の領域20、21、22のコーティング2の局所的な除去が、研磨的に、及び熱衝撃脆化によって、すなわち、コーティング2と加熱要素1との間の熱応力によって発生するため、ディレイヤ媒体として使用される。ジェット除去操作後、ドライアイスは、昇華によって、固体からガス相状態に直接変化し、それゆえ、これらの2つの相間の液体相状態を採らないことから、ディレイヤ媒体としてのドライアイスの使用は、ディレイヤされる領域20、21、22において加熱要素1から除去されたコーティング2が不純物を含まないという利点を更に有する。
【0032】
ジェットノズル104は、ディレイヤされる電気加熱要素1の領域20、21、22のコーティング2が完全に除去された後、停止される。同様に、保持要素101、102の回転も停止される。保持要素101、102は、その後離れて移動し、加熱要素1がデバイスから除去され得るように、それらの間に位置付けられた加熱要素1を解放する(方法ステップS4)。
【0033】
方法の終了後に完全にディレイヤされた領域20、21、22は、特に、金属ハウジング、特にシートメタルで作製されたハウジングにおける、加熱要素1の定義された、かつ再現可能な実装を可能にする。
【0034】
デバイス100は、好ましくは、加熱要素1の挿入及び除去、並びに保持要素101、102の移動動作が少なくとも自動的に行われるように適合される。2つの保持要素101、102の共通回転運動、並びにジェットノズル104の動作並びに旋回運動の制御も有利には自動化することができる。したがって、本明細書に提示される方法は、部分的に自動化することができるか、又は特に有利には、完全に自動化することができる。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d