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特開2023-165620積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法
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  • 特開-積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165620
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20231109BHJP
   G01N 21/95 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G01N21/88 H
G01N21/95 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062646
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0056016
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0140461
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ヨン バム
(72)【発明者】
【氏名】バン、キョウン ヨーン
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン モ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、セウン ワン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャン ユン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ダエ チュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、セオン チャン
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA20
2G051BB03
2G051BB07
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層型キャパシタの断面イメージを獲得する時間(又はコスト)の効率性と、積層型キャパシタの断面イメージの微細な分解能を得ることができる積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置は、複数の内部電極と複数の誘電体層が交互に積層された本体を含む積層型キャパシタにおいて、本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面の拡大したイメージを獲得するカメラと、断面とカメラとの間に配置されたレンズと、可視光線を出力する光源と、光源と断面との間から入力される光を偏光させて出力する第1偏光器と、を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部電極と複数の誘電体層が交互に積層された本体を含む積層型キャパシタにおいて、前記本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面の拡大したイメージを獲得するカメラと、
前記断面と前記カメラとの間に配置されたレンズと、
可視光線を出力する光源と、
前記光源と前記断面との間から入力される光を偏光させて出力する第1偏光器と、を含む、積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項2】
前記複数の内部電極のそれぞれの厚さは400nm以下である、請求項1に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項3】
前記複数の誘電体層は強誘電体であり、
前記複数の誘電体層のそれぞれの厚さは400nm以下である、請求項2に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項4】
前記カメラが獲得する前記断面の拡大したイメージの分解能は、5nm超え200nm未満である、請求項1に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項5】
前記第1偏光器は、偏光させる光の偏光方向を変更し、
前記カメラは、前記偏光方向が変更される前に第1イメージを獲得し、前記偏光方向が変更された後に第2イメージを獲得する、請求項1に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項6】
前記断面と前記カメラとの間から入力される光を円形偏光させる第2偏光器を更に含む、請求項1に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項7】
前記光源と前記第1偏光器との間から入力される光において、第1、第2及び第3波長範囲から外れる波長成分をフィルタリングするフィルタを更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項8】
前記第1偏光器と前記断面との間から入力される光の一部を透過させ、他の一部を反射させるビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタと前記断面との間に配置された対物レンズと、を更に含み、
前記ビームスプリッタは、前記対物レンズと前記カメラとの間に配置される、請求項7に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項9】
前記光源と前記フィルタとの間から入力される光において、一部の方向成分を相殺するディフューザと、
前記ディフューザと前記フィルタとの間から入力される光の方向を一方向に更に集中させるリレーレンズと、を更に含む、請求項8に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置。
【請求項10】
複数の内部電極と複数の誘電体層が交互に積層された本体を含む積層型キャパシタにおいて、前記本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面を提供する段階と、
前記断面に偏光を出力し、前記偏光が前記断面により反射されることに基づくイメージを拡大して獲得する段階と、を含む、積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【請求項11】
前記断面により反射されることに基づくイメージの分解能は、5nm超え200nm未満である、請求項10に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【請求項12】
前記複数の誘電体層は強誘電体であり、
前記複数の誘電体層のそれぞれの厚さは400nm以下である、請求項11に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【請求項13】
前記複数の内部電極のそれぞれの厚さは400nm以下である、請求項11に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【請求項14】
前記断面は、前記断面を提供する段階と前記イメージを獲得する段階との間で伝導性コーティングがされない状態である、請求項10に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【請求項15】
前記本体は、前記断面を提供する段階と前記イメージを獲得する段階との間で1Torr以上の圧力雰囲気に置かれる、請求項14に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【請求項16】
前記イメージを獲得する段階は、
前記断面に対する前記偏光の偏光方向を変更する前に、前記断面により反射されることに基づく第1イメージを獲得し、
前記断面に対する前記偏光の偏光方向を変更した後に、前記断面により反射されることに基づく第2イメージを獲得し、
前記第1イメージ及び前記第2イメージの差に基づいて断面イメージを生成することを含む、請求項10から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックキャパシタ(Multi-layer ceramic capacitor、MLCC)のような積層型キャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、コンピュータ、PDA、携帯電話などの電子機器の部品として広く使用されており、高信頼性、高強度特性を有することから電気機器(車両を含む)の部品としても広く使用されている。
【0003】
近年、積層型キャパシタの層別の厚さはさらに薄くなっており、積層型キャパシタの総積層数は益々多くなっている。これにより、積層型キャパシタの製造過程で、積層構造が熱のために変形したり、積層構造に不要な異物が取り込まれたり、積層過程でシートが折れたりするなどの不良が発生する頻度を減らすことは、一層難しくなっている。
【0004】
不良の積層型キャパシタは、需要者に提供される前に予め見出す必要があり、積層型キャパシタの断面は、当該積層型キャパシタが不良であるか否かを検出できる情報を提供することができる。
【0005】
一般的に、積層型キャパシタの大きさは、断面を目視で確認し難い程度に小さいことがあるため、積層型キャパシタの断面を拡大することも必要である。
【0006】
光学顕微鏡は、可視光線を利用して積層型キャパシタの断面を拡大して確認するのに用いることができる。可視光線の波長は450nm~700nmであることができ、分解能は波長によって決定することができるため、可視光線に基づく分解能の限界点は300nmであることができる。従って、光学顕微鏡の分解能は、積層型キャパシタの不良を高い正確度で検出するか、小型の積層型キャパシタの不良を検出するために必要なほど微細になり難い可能性がある。
【0007】
SEM(Scanning Electron Microscope)は、電子ビームを用いて積層型キャパシタの断面イメージを獲得することができ、電子ビームの波長は約0.6nmであることができるため、SEMの分解能は5nm未満であることができる。従って、SEMは、積層型キャパシタの不良を高い正確度で検出するか、小型の積層型キャパシタの不良を検出するのに用いることができる。
【0008】
しかしながら、SEMを使用するためには、積層型キャパシタの断面を前処理(例えば、水洗、伝導性コーティング)する必要があり、積層型キャパシタは、10-3~10-7Torrの高真空や10-7~10-10Torrの超高真空に置かれる必要がある。従って、SEMを用いて積層型キャパシタの断面を獲得するには、多大な時間とコストがかかる可能性がある。近年、積層型キャパシタの需要が高まっているため、大量の積層型キャパシタに対して迅速かつ経済的に不良であるか否かを検出することも重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、積層型キャパシタの断面イメージを獲得する時間(又はコスト)の効率性と、積層型キャパシタの断面イメージの微細な分解能を得ることができる積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置は、複数の内部電極と複数の誘電体層が交互に積層された本体を含む積層型キャパシタにおいて、上記本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面の拡大したイメージを獲得するカメラと、上記断面と上記カメラとの間に配置されたレンズと、可視光線を出力する光源と、上記光源と上記断面との間から入力される光を偏光させて出力する第1偏光器と、を含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法は、複数の内部電極と複数の誘電体層が交互に積層された本体を含む積層型キャパシタにおいて、上記本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面を提供する段階と、上記断面に偏光を出力し、上記偏光が上記断面により反射されることに基づくイメージを拡大して獲得する段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法は、積層型キャパシタの断面イメージを獲得する時間(又はコスト)の効率性と、積層型キャパシタの断面イメージの微細な分解能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法を示した斜視図である。
図1b】積層型キャパシタの第1断面A-A'を示した断面図である。
図1c】積層型キャパシタの第2断面B-B'を示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置を更に具体的に示した図である。
図3】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法を示したフローチャートである。
図4a】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置及び方法に沿って獲得した断面イメージを示した写真である。
図4b図4aの第1及び第2領域を拡大した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0015】
そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一思想の範囲内で機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。
【0016】
更に、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素を更に含むことができることを意味する。
【0017】
本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に表示されたL、W及びTは、それぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向(又は第1方向)と同一の概念として使用することができる。
【0018】
以下では、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ、特に積層セラミックキャパシタ(Multi-layer ceramic capacitor、MLCC)について説明するが、これに制限されるものではない。
【0019】
図1a、図1b及び図1cを参照すると、積層型キャパシタ100は、本体(body)110、第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。図1aは、本体110の内部を示すために体積の約1/4だけ切断された形態を示しているが、実際の積層型キャパシタ100は、体積の約1/4だけ切断されなくてもよく、中心からL方向、W方向及びT方向のそれぞれを基準として、略対称的な形態であってもよい。
【0020】
本体110は、少なくとも1つの第1内部電極121と、少なくとも1つの第2内部電極122が、少なくとも1つの誘電体層111を挟んで第1方向(例えば、T方向)に交互に積層された積層構造を含むことができる。
【0021】
本体110は、積層構造の焼成により、セラミック本体から構成することができる。例えば、本体110は、長さ方向Lの両側面、幅方向Wの両側面及び厚さ方向Tの両側面を有する六面体に形成することができ、上記六面体の角及び/又はコーナーは、研磨により丸い形態にすることができる。但し、本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数は、本実施形態に示すものに限定されるものではない。
【0022】
少なくとも1つの誘電体層111は、その厚さを積層型キャパシタ100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系粉末を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、積層型キャパシタ100の要求規格に応じて、セラミック粉末に様々なセラミック添加剤(例えば、MgO、Al、SiO、ZnO)、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されてもよい。
【0023】
少なくとも1つの誘電体層111の形成に使用されるセラミック粉末の平均粒径は特に制限されず、積層型キャパシタ100の要求規格(例えば、電子機器用キャパシタのように小型化及び/又は高容量が要求されるか、電気機器用キャパシタのように高耐電圧特性及び/又は高強度が要求されるなど)に応じて調節することができるが、例えば、400nm以下に調節することができる。
【0024】
例えば、少なくとも1つの誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥し、複数個のセラミックシートを設けることにより形成することができる。上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に作製することにより形成することができるが、これに限定されない。例えば、少なくとも1つの誘電体層111のそれぞれの厚さは、400nm以下であることができる。
【0025】
少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷し、誘電体層の積層方向(例えば、T方向)に沿って、本体110の長さ方向Lの一側面と他側面に交互に露出されるように形成することができ、中間に配置された誘電体層によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0026】
例えば、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122のそれぞれは、粒子の平均大きさが0.1~0.2μmであり、40~50重量%の導電性金属粉末を含む内部電極用導電性ペーストにより形成することができるが、これに限定されない。上記導電性ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉛(Pb)又は白金(Pt)などの単独であるか又はこれらの合金であってもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
例えば、上記セラミックシート上に上記内部電極用導電性ペーストを印刷工法などで塗布して、内部電極パターンを形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法はインクジェット印刷方式であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、上記内部電極パターンが印刷されたセラミックシートを200~300層積層し、圧着、焼成することにより、本体110を作製することができる。
【0028】
積層型キャパシタ100の静電容量は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122との積層方向(例えば、T方向)の重ね合わせ面積に比例し、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122の総積層数に比例し、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122との間隔に反比例することができる。上記内部電極の間隔は、少なくとも1つの誘電体層111のそれぞれの厚さと実質的に同一であることができる。
【0029】
積層型キャパシタ100は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122との間隔が短いほど、厚さに対して更に大きい静電容量を有することができる。一方、積層型キャパシタ100の耐電圧は、上記内部電極の間隔が長いほど高くなる。従って、上記内部電極の間隔は、積層型キャパシタ100の要求規格(例えば、電子機器用キャパシタのように小型化及び/又は高容量が要求されるか、電気機器用キャパシタのように高耐電圧特性及び/又は高強度が要求されるなど)に応じて調節することができる。少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122のそれぞれの厚さも、上記内部電極の間隔の影響を受けることができる。
【0030】
例えば、積層型キャパシタ100は、高耐電圧特性及び/又は高強度が要求される場合、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122との間隔が、それぞれの厚さの2倍を超えるように設計することができる。例えば、積層型キャパシタ100は、小型化及び/又は高容量が要求される場合、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122のそれぞれの厚さが0.4μm以下であり、総積層数が400層以上になるように設計することができる。
【0031】
第1及び第2外部電極131、132は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122にそれぞれ連結されるように、互いに離隔して本体110に配置することができる。
【0032】
例えば、第1及び第2外部電極131、132のそれぞれは、金属成分が含まれたペーストにディッピング(dipping)する方法、導電性ペーストを印刷する方法、シート(Sheet)転写、パッド(Pad)転写方法、スパッタめっき又は電解めっきなどで形成することができる。例えば、第1及び第2外部電極131、132は、上記ペーストが焼成されることにより形成された焼成層と、上記焼成層の外面に形成されためっき層を含むことができ、上記焼成層と上記めっき層との間に導電性樹脂層を更に含むことができる。例えば、上記導電性樹脂層は、エポキシのような熱硬化性樹脂に導電性粒子が含有されることにより形成されることができる。上記金属成分は、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、スズ(Sn)などの単独であるか又はこれらの合金であってもよいが、これに限定されない。
【0033】
積層型キャパシタ100は、外部基板(例えば、プリント回路基板)に実装又は内蔵することができ、第1及び第2外部電極131、132を通じて、上記外部基板の配線、ランド、ソルダ及びバンプのうち少なくとも1つに連結されることにより、上記外部基板に電気的に連結された回路(例えば、集積回路、プロセッサ)に電気的に連結されることができる。
【0034】
図1a、図1b及び図1cを参照すると、本体110は、上部カバー層112、下部カバー層113及びコア領域115を含むことができ、コア領域115は、マージン領域114及び容量領域116を含むことができる。
【0035】
上部及び下部カバー層112、113は、第1方向(例えば、T方向)にコア領域115を挟むように配置され、それぞれ、少なくとも1つの誘電体層111のそれぞれよりも更に厚くてもよい。
【0036】
上部及び下部カバー層112、113は、外部の環境要素(例えば、水分、めっき液、異物)がコア領域115に浸透することを防ぐことができ、本体110を外部の衝撃から保護することができ、本体110の曲げ強度も向上させることができる。
【0037】
例えば、上部及び下部カバー層112、113は、少なくとも1つの誘電体層111と同一の材料や異なる材料(例えば、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂)を含むことができる。
【0038】
容量領域116は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122との間を含むことができるため、積層型キャパシタ100の静電容量を形成することができる。
【0039】
容量領域116は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122が、少なくとも1つの誘電体層111を挟んで第1方向(例えば、T方向)に交互に積層された積層構造を含むことができ、上記積層構造と同一のサイズを有することができる。
【0040】
マージン領域114は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122の境界線と本体110の表面の間を含むことができる。
【0041】
複数のマージン領域114は、第1方向(例えば、T方向)に垂直である第2方向(例えば、W方向)に容量領域116を挟むように配置されてもよい。例えば、複数のマージン領域114は、少なくとも1つの誘電体層111と類似の方式(積層方向は異なる)で形成されてもよい。
【0042】
複数のマージン領域114は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122が本体110から第2方向(例えば、W方向)の表面に露出されることを防ぐことができるため、外部の環境要素(例えば、水分、めっき液、異物)が上記第2方向の表面を通じて、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122に浸透することを防止することができ、積層型キャパシタ100の信頼性及び寿命を向上させることができる。また、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122は、複数のマージン領域114により第2方向へ効率的に拡張して形成することができるため、複数のマージン領域114は、少なくとも1つの第1内部電極121と少なくとも1つの第2内部電極122の重ね合わせ面積を広げることで、積層型キャパシタ100の静電容量の向上にも寄与することができる。
【0043】
図1aを参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200は、積層型キャパシタ100の第1断面A-A'及び第2断面B-B'のうち少なくとも1つの拡大したイメージを獲得することができる。
【0044】
図1a及び図1bを参照すると、第1断面A-A'は、本体110の中心地点を含むWT平面が露出されるように、本体110をW方向に研磨又は切断することで提供することができ、本体110は、第1断面A-A'が積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200に対向するように、W方向を巻く方向に90度回転することができる。
【0045】
図1a及び図1cを参照すると、第2断面B-B'は、本体110の中心地点を含むLT平面が露出されるように、本体110をW方向に研磨又は切断することで提供することができ、本体110は、第2断面B-B'が積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200に対向するように、L方向を巻く方向に90度回転することができる。
【0046】
図1a及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200は、偏光生成部210、対物部220、イメージ獲得部230、支持部材240及び連結部250のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0047】
例えば、積層型キャパシタ100は、支持部材240の上面に配置することができ、支持部材240と偏光生成部210は、連結部250により互いに連結することができる。例えば、偏光生成部210、対物部220、イメージ獲得部230、支持部材240及び連結部250は、外部の衝撃から内部構造(図2に示す構造)を保護するための外皮を含むことができる。
【0048】
図2を参照すると、偏光生成部210は、光源212、ディフューザ(diffuser)214、リレーレンズ(relay lens)215、フィルタ(filter)216、第1偏光器(Polarizer)218及びビームスプリッタ(beam splitter)219のうち少なくとも1つを含むことができ、対物部220は対物レンズ222を含むことができ、イメージ獲得部230は、第2偏光器232、レンズ234及びカメラ236のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0049】
カメラ236は、積層型キャパシタ100の本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面(例えば、第1断面A-A'及び/又は第2断面B-B')の拡大したイメージを獲得することができる。例えば、カメラ236は、CCD(Charge couple device)カメラであることができ、獲得したイメージを積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200の外部(例えば、コンピューティングシステム、電子機器)に有線又は無線で伝送することができる。
【0050】
レンズ234は、積層型キャパシタ100の断面とカメラ236との間に配置することができる。レンズ234は、積層型キャパシタ100の断面から入力されるイメージを光学的に拡大し、カメラ236に出力するように構成することができる。例えば、レンズ234は、顕微鏡の接眼レンズと類似するように実現することができる。例えば、カメラ236で獲得されるイメージの実際の断面に対する総拡大倍率は、約100倍であることができる。
【0051】
光源212は可視光線を出力することができる。例えば、光源212は、可視光線のスペクトルが広い(例えば、白に近い)LED(Light Emitting Diode)であることができる。従って、積層型キャパシタ100の断面は、真空ではない雰囲気(例えば、1Torr以上の圧力雰囲気)でも獲得することができる。
【0052】
第1偏光器218は、光源212と積層型キャパシタ100の断面との間から入力される光を偏光させて出力することができる。これにより、偏光は、積層型キャパシタ100の断面に到達し、反射されることができる。
【0053】
積層型キャパシタ100の断面に偏光が到達し、反射されることで得られるイメージの分解能は、一般的な光学顕微鏡の分解能よりも微細であることができ、例えば、5nm超え200nm未満(最も可能性の高い分解能は約30nm)であることができる。従って、上記イメージは、積層型キャパシタ100の不良を更に正確に分析するのに使用されるか、又は厚さが薄い(例えば、400nm以下)誘電体層及び/又は内部電極を含む積層型キャパシタ100の不良を分析するのに使用されることができる。
【0054】
積層型キャパシタ100は、サイズに対して大きい静電容量を得るために、強誘電体(例えば、チタン酸バリウム)である複数の誘電体層を含むことができ、強誘電体の光学的非等方性は、複数の内部電極に含有された金属の光学的非等方性と異なることができる。
【0055】
積層型キャパシタ100の断面に到達した偏光の反射特性(例えば、屈折率による反射角度、吸収率による反射エネルギー、誘電率による透過速度など)は、断面の各地点の光学的非等方性によって決定されることができ、上記光学的非等方性は、上記各地点が誘電体層であるか、内部電極であるか、異物であるか、空隙であるかによって決定されることができる。
【0056】
上記断面の各地点で反射された光の集合体は、カメラ236が獲得するイメージに対応することができ、上記イメージの各地点のピクセル値(例えば、明度、彩度)は、上記光学的非等方性に対応することができる。従って、上記イメージを分析する者(例えば、コンピューティングシステム、使用者)は、上記イメージの各地点のピクセル値に基づいて、積層型キャパシタ100の断面に異物や空隙があるか否か(第1不良類型)を検出することができ、誘電体層の形態と内部電極の形態が予想される形態から大きく外れるか否か(第2不良類型)を検出することができる。
【0057】
または、第1偏光器218は偏光させる光の偏光方向を変更し、カメラ236は、上記偏光方向が変更される前に第1イメージを獲得し、上記偏光方向が変更された後に第2イメージを獲得することができ、上記イメージを分析する者は、第1及び第2イメージ間のピクセル値の差に基づいて、上記第1及び第2不良類型を検出することができる。例えば、上記偏光方向は、偏光の伝播方向と上記断面とのなす角度であってもよく、偏光の振動方向(偏光の伝播方向に垂直)と基準振動方向(偏光の初期振動方向)とのなす角度であってもよい。
【0058】
例えば、第1偏光器218は、偏光させる光の偏光方向を総4回変更することができ、カメラ236は断面のイメージを総4回獲得することができる。例えば、偏光させる光の初期伝播方向がW方向である場合、第1偏光器218は偏光方向を+L方向に傾け、-L方向に傾け、+T方向に傾け、-T方向に傾けることができる。例えば、第1偏光器218は、入力される光を円形偏光又は線偏光させることができる。
【0059】
第2偏光器232は、積層型キャパシタ100の断面とカメラ236との間から入力される光を円形偏光させることができる。円形偏光は、カメラ236が、偏光に基づくイメージを効率的に獲得できるようにすることができる。
【0060】
フィルタ216は、光源212と第1偏光器218との間から入力される光において、第1、第2及び第3波長範囲から外れる波長成分をフィルタリングすることができる。例えば、第1波長範囲の中間値は450nmであり、第2波長範囲の中間値は535nmであり、第3波長範囲の中間値は633nmであることができる。積層型キャパシタ100の断面の反射特性は、偏光の波長により変わるため、フィルタ216を通過した光に基づく偏光は、カメラ236が獲得するイメージのピクセル値を更に多様化することができる。
【0061】
ビームスプリッタ219は、第1偏光器218と積層型キャパシタ100の断面との間から入力される光の一部を透過させ、他の一部を反射させることができる。例えば、ビームスプリッタ219は、偏光の伝播方向に対して斜めの面を有する反射板を含むことができるため、偏光の伝播方向を変更することができる。例えば、ビームスプリッタ219により透過される光のエネルギーと反射される光のエネルギーの割合は50対50であることができる。
【0062】
対物レンズ222は、ビームスプリッタ219と積層型キャパシタ100の断面との間に配置することができる。ビームスプリッタ219は、対物レンズ222とカメラ236との間に配置することができる。従って、積層型キャパシタ100の断面から反射された光は、ビームスプリッタ219を通過してカメラ236に伝播されることができる。
【0063】
ディフューザ214は、光源212とフィルタ216との間から入力される光において、一部の方向成分を相殺することができる。例えば、上記一部の方向成分は、カメラ236が獲得するイメージの一部地点で誤差を生じさせる可能性があるが、ディフューザ214は上記一部の方向成分を相殺することができるため、カメラ236が獲得するイメージの偏光角を向上させることができる。但し、上記一部の方向成分が偏光誤差を生じさせるか否かは、積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200の具体的な構造により変わるため、ディフューザ214は設計に応じて省略されてもよい。
【0064】
リレーレンズ215は、ディフューザ214とフィルタ216との間から入力される光の方向を一方向に更に集中させることができる。これにより、ディフューザ214から出力される光のエネルギー損失は減少することができる。
【0065】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法は、薄膜MLCC断面露出段階S10、断面前処理なしにMLCC配置段階S20及びMLCC断面イメージ獲得段階S30を含むことができる。例えば、上記積層型キャパシタの断面イメージ獲得方法は、図1a及び図2に示す積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置により行うことができる。
【0066】
薄膜MLCC断面露出段階S10は、積層型キャパシタの本体の複数の内部電極と複数の誘電体層が露出される断面を提供する段階を含むことができる。例えば、図1a及び図1bを参照すると、第1断面A-A'は、本体110の中心地点を含むWT平面が露出されるように、本体110をW方向に研磨又は切断することで提供することができ、本体110は、第1断面A-A'が積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200に対向するように、W方向を巻く方向に90度回転することができる。図1a及び図1cを参照すると、第2断面B-B'は、本体110の中心地点を含むLT平面が露出されるように、本体110をW方向に研磨又は切断することで提供することができ、本体110は、第2断面B-B'が積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200に対向するように、L方向を巻く方向に90度回転することができる。
【0067】
図1aを参照すると、断面前処理なしにMLCC配置段階S20は、積層型キャパシタ100を、積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200の対物部220の焦点を含む位置に配置する段階を含むことができる。
【0068】
例えば、積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置200の光源が可視光線であることができるため、上記断面は、薄膜MLCC断面露出段階S10とMLCC断面イメージ獲得段階S30の間で伝導性コーティングがされない状態であることができ、真空ではない雰囲気(1Torr以上の圧力雰囲気)に置かれることができる。
【0069】
MLCC断面イメージ獲得段階S30は、積層型キャパシタの断面に偏光を出力し、上記偏光が上記断面により反射されることに基づくイメージを獲得する段階を含むことができる。積層型キャパシタ100の断面に偏光が到達し、反射されることで得られるイメージの分解能は、一般的な光学顕微鏡の分解能よりも微細であることができ、例えば、5nm超え200nm未満(最も可能性の高い分解能は約30nm)であることができる。従って、上記イメージは、積層型キャパシタの不良を更に正確に分析するのに使用されるか、又は厚さが薄い(例えば、400nm以下)誘電体層及び/又は内部電極を含む積層型キャパシタの不良を分析するのに使用されることができる。
【0070】
例えば、MLCC断面イメージ獲得段階S30は、断面に対する偏光の偏光方向を変更する前に、断面により反射されることに基づく第1イメージを獲得し、断面に対する偏光の偏光方向を変更した後に、断面により反射されることに基づく第2イメージを獲得し、第1及び第2イメージの差に基づいて断面イメージを生成することを含むことができる。
【0071】
図4aは、上記断面イメージIEを示しており、上記断面イメージIEの各地点における白に近い地点は、第1内部電極121又は第2内部電極122であることができ、黒に近い地点は、誘電体層111であることができる。図4aの断面イメージIEは、誘電体層111と第1内部電極121と第2内部電極122の形態が、予想される形態から大きく外れるか否か(第2不良類型)を検出するのに使用することができる。
【0072】
図4bは、図4aの第1領域E1と第2領域E2を拡大して示しており、第1及び第2領域E1、E2は内部電極が切れている部分G1、G2をそれぞれ含むことができる。時々、切れている部分G1、G2は異物や空隙を含む(第1不良類型)ことができ、切れている部分G1、G2は、不良であるか否かをより精密に分析するための関心領域として取り扱うことができる。
【0073】
一方、本明細書で説明する厚さは、平均厚さで定義することができる。例えば、図4bの誘電体層111と第1内部電極121と第2内部電極122のそれぞれの厚さは、図4bの各地点の隣接地点に対するピクセル値(例えば、明度、彩度)の差が大きい地点の集合として定義される境界線が構成する形態の縦方向の長さを、横方向の各地点別に得て、上記縦方向の長さの平均値を計算することにより測定することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。
【0075】
従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0076】
100 積層型キャパシタ
110 本体(body)
111 誘電体層
112 上部カバー層
113 下部カバー層
114 マージン領域
115 コア領域
116 容量領域
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
200 積層型キャパシタの断面イメージ獲得装置
210 偏光生成部
212 光源
214 ディフューザ(diffuser)
215 リレーレンズ(relay lens)
216 フィルタ(filter)
218 第1偏光器(Polarizer)
219 ビームスプリッタ(beam splitter)
220 対物部
222 対物レンズ
230 イメージ獲得部
232 第2偏光器
234 レンズ
236 カメラ
240 支持部材
250 連結部
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4a
図4b