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特開2023-165622磁気共鳴システムにおける磁気勾配相互作用を抑制するシステム、アセンブリ、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165622
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】磁気共鳴システムにおける磁気勾配相互作用を抑制するシステム、アセンブリ、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231109BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20231109BHJP
   H01F 6/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A61B5/055 362
A61B5/055 330
H01F5/00 C
H01F6/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065291
(22)【出願日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】17/736,538
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】スンキョン・リー
(72)【発明者】
【氏名】イフェ・ファ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB44
4C096CA02
4C096CA42
4C096CA70
(57)【要約】
【課題】磁気共鳴(MR)システム(10)を提供する。
【解決手段】システムは、分極磁場を生成するように構成された主磁石アセンブリ(12)と、分極磁場に少なくとも1つの勾配磁場を印加するように構成された複数の勾配コイルを含む勾配コイルアセンブリ(22)と、主磁石アセンブリ(12)と勾配コイルアセンブリ(22)の間に配置されたシールドアセンブリ(208)とを含む。シールドアセンブリ(208)は、導電性材料で製造され、導電層(304)を貫通して位置付けられた複数の溝(308)を画定する導電層(304)を含み、複数の溝(308)は、少なくとも1つの勾配磁場が印加されたときに、分極磁場及び少なくとも1つの勾配磁場の作用によって引き起こされる運動渦電流を遮断する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴(MR)システム(10)であって、
分極磁場を生成するように構成された主磁石アセンブリ(12)と、
分極磁場に少なくとも1つの勾配磁場を印加するように構成された複数の勾配磁場コイルを含む勾配磁場コイルアセンブリ(22)と、
主磁石アセンブリ(12)と勾配コイルアセンブリ(22)の間に配置されたシールドアセンブリ(208)とを含み、
シールドアセンブリ(208)は、導電性材料で製造され、導電層(304)を貫通して配置される溝(308)を画定する導電層(304)を備え、
溝(308)は、少なくとも1つの勾配磁場が印加されたときに、分極磁場及び少なくとも1つの勾配磁場の作用によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、MRシステム(10)。
【請求項2】
溝(308)の少なくとも一部は、運動渦電流の方向に直交する方向に向けられ、
導電層(304)は、少なくとも1つの勾配磁場が印加されると、勾配コイルアセンブリ(22)によって誘導される誘導渦電流を伝導するように構成される、請求項1に記載のMRシステム(10)。
【請求項3】
シールドアセンブリ(208)は、xシールド層(212x)、yシールド層(212y)、またはzシールド層のうちの少なくとも1つを含み、
xシールド層(212x)、yシールド層(212y)、またはzシールド層は、それぞれ、x勾配コイル、y勾配コイル、またはz勾配コイルを介した少なくとも1つの勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流をブロックするように構成される、請求項1または2に記載のMRシステム(10)。
【請求項4】
シールドアセンブリ(208)は、xシールド層(212x)またはyシールド層(212y)のうちの少なくとも1つを含み、xシールド層(212x)またはyシールド層(212y)は、それぞれ、x勾配コイルまたはy勾配コイルを介した少なくとも1つの勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流をブロックするように構成される、請求項1または2に記載のMRシステム(10)。
【請求項5】
主磁石アセンブリ(12)は、超伝導主磁石を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載のMRシステム。
【請求項6】
シールドアセンブリ(208)は、勾配コイルアセンブリ(22)と主磁石アセンブリ(12)の超伝導領域(206)の間に配置される、請求項5に記載のMRシステム(10)。
【請求項7】
シールドアセンブリ(208)は、勾配コイルアセンブリ(22)に取り付けられる、及び/または、シールドアセンブリ(208)は主磁石アセンブリ(12)に取り付けられる、請求項1乃至6のいずれかに記載のMRシステム(10)。
【請求項8】
磁気共鳴(MR)システム(10)のシールドアセンブリ(208)であって、
導電性材料で製造され、導電層(304)を貫通して配置される溝(308)を画定する導電層(304)を含み、溝(308)は、MRシステム(10)によって生成される運動渦電流を阻止するように構成される、シールドアセンブリ(208)。
【請求項9】
溝(308)の少なくとも一部は、運動渦電流の方向に直交する方向に向けられる、
及び/または、
導電層(304)は、MRシステム(10)によって誘導される誘導渦電流を伝導するように構成される、
及び/または、
導電層(304)は2ミリメートル以下の厚みを有する、請求項8に記載のシールドアセンブリ(208)。
【請求項10】
シールドアセンブリ(208)は、xシールド層(212x)、yシールド層(212y)、またはzシールド層のうちの少なくとも1つを含み、xシールド層(212x)、yシールド層(212y)、またはzシールド層は、それぞれ、MRシステム(10)のx勾配コイル、y勾配コイル、またはz勾配コイルを介した勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、請求項8または9に記載のシールドアセンブリ(208)。
【請求項11】
シールドアセンブリ(208)は、xシールド層(212x)またはyシールド層(212y)のうちの少なくとも一方を含み、xシールド層またはyシールド層は、それぞれ、MRシステム(10)のx勾配コイルまたはy勾配コイルを介した勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、請求項8または9に記載のシールドアセンブリ(208)。
【請求項12】
磁気共鳴(MR)システム(10)のシールドアセンブリ(208)を組み立てる方法(600)であって、
導電性材料で製造され、導電層(304)を貫通して位置付けられた溝(308)を画定する導電層(304)を提供するステップを含み、溝(308)は、MRシステム(10)によって生成される運動渦電流を阻止するように構成される、方法。
【請求項13】
導電層(304)を提供するステップは、MRシステム(10)によって生成された運動渦電流を推定するステップ(604)と、推定された運動渦電流に基づいて、導電層(304)上の溝(308)のパターン(302)を生成するステップ(606)と、を含む、請求項12に記載の方法(600)
【請求項14】
パターン(302)を生成するステップ(606)が、溝(308)の少なくとも一部が運動渦電流の方向に直交する方向に配向されるように溝(308)を形成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法(600)。
【請求項15】
導電層(304)を提供するステップは、
MRシステム(10)によって誘導された誘導渦電流を推定するステップ(604)と、
誘導渦電流の流れを促進するように構成された溝(308)を形成することによって、運動渦電流及び誘導渦電流に基づいて導電層(304)上に溝(308)のパターン(302)を生成するステップ、及び/又は、
シールドアセンブリ(208)をMRシステム(10)の主磁石アセンブリ(12)又は勾配コイルアセンブリ(22)の少なくとも一方に取り付けるステップ、
を含む、請求項12に記載の方法(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に、磁石アセンブリのシステムおよび方法に関し、より詳細には、磁気共鳴(MR)システムにおける磁気勾配相互作用(magnet-gradient interaction)を抑制するシステム、アセンブリ、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴画像法(MRI)は、多くの疾患の診断に有用であることが証明されている。MRIは、コンピュータ断層撮影(CT)などの他の撮像モダリティ(imaging modalities)によって容易に撮像することができない、軟組織、腫瘍などの異常組織、および他の構造の詳細な画像を提供する。さらに、MRIは、CTおよびX線などのモダリティで経験される電離放射線(ionizing radiation)に患者を曝すことなく動作する。
【0003】
安定した磁場は、MRシステムの性能にとって基本的なものである。強い勾配コイルの高速スイッチングは、漏洩磁場(leakage magnetic field)を生成し、これは、誘導渦電流(induced eddy currents)を引き起こし、次いで、運動渦電流(motional eddy currents)を生成する。運動渦電流は、MRシステムの磁石に加熱及びクエンチの深刻なリスクをもたらす。磁石と勾配コイルの間の相互作用の運動誘導増幅は、磁石勾配相互作用(MGI:magnet-gradient interaction)と呼ばれることがある。MGIを管理する既知のシステムおよび方法は、いくつかの態様において不利であり、改善が望まれる。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、磁気共鳴(MR)システムが提供される。システムは、分極磁場を生成するように構成された主磁石アセンブリと、分極磁場に少なくとも1つの勾配磁場を印加するように構成された複数の勾配コイルを含む勾配コイルアセンブリと、主磁石アセンブリと勾配コイルアセンブリの間に配置されたシールドアセンブリとを含む。シールドアセンブリは、導電性材料で製造され、導電層を貫通して配置された複数の溝を画定する導電層を含み、複数の溝は、少なくとも1つの勾配磁場が印加されたときに、分極磁場および少なくとも1つの勾配磁場の作用によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される。
【0005】
別の態様では、MRシステムのシールドアセンブリが提供される。シールドアセンブリは、導電性材料で製造され、導電層を貫通して配置される複数の溝を画定する導電層を含み、複数の溝は、MRシステムによって生成される運動渦電流を遮断するように構成される。
【0006】
もう1つの態様では、MRシステムのシールドアセンブリを組み立てる方法が提供される。この方法は、導電性材料で製造された導電層を提供することと、導電層を貫通して配置された複数の溝を画定することとを含み、複数の溝は、MRシステムによって生成される運動渦電流を阻止するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
非限定的かつ非網羅的な実施例が、以下の図面を参照して説明され、同様の参照番号は、別段の指定がない限り、様々な図面を通して同様の部分を指す。
図1】例示的な磁気共鳴(MR)システムの概略図である。
図2A図1に示されるシステムの例示的な磁石アセンブリの概略図である。
図2B】断面線2B-2Bに沿った図2Aに示す磁石アセンブリの部分断面図である。
図3A図2Aおよび2Bに示された磁石アセンブリのための例示的なシールドアセンブリの断面を示す模式図である。
図3B図3Aに示されるシールドアセンブリの例示的なパターンを示す図である。
図4A】ヘリウムバス冷却を使用する超伝導主磁石アセンブリの概略図である。
図4B】伝導冷却を使用する超伝導主磁石アセンブリの模式図である。
図5】本明細書に記載のシステムおよび方法を用いない場合と用いた場合のMRシステムの運動渦電流加熱の比較図である。
図6図1図3Bに示すシールドアセンブリを組み立てる例示的な方法のフローチャートである。
図7】例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
図8】例示的なサーバコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、磁気共鳴(MR)システムにおける運動渦電流を低減するシステム、アセンブリ、及び方法を含む。運動渦電流は、特に小型、高性能、高磁場スキャナの場合、磁石加熱およびクエンチの深刻なリスクをもたらす。MRシステムの超伝導磁石アセンブリは、例示のみを目的として説明される。システム、アセンブリ、および方法は、永久磁石アセンブリなどの任意のシステムにおける任意の磁石アセンブリに適用され得る。なぜなら、運動渦電流からの加熱は、磁石アセンブリにおける磁場ドリフト(magnetic field drift)を引き起こし、磁石アセンブリの性能を損なうからである。方法の態様は、以下の説明において部分的に明らかになり、部分的に明示的に論じられる。
【0009】
磁気共鳴イメージング(MRI)において、対象(subject)は磁石内に配置される。本明細書で使用される場合、対象は、ヒト、動物、もしくはファントム、または臓器もしくは組織などのヒト、動物、もしくはファントムの一部である。対象が磁石によって生成された磁場内にあるとき、陽子などの原子核の磁気モーメントは、磁場と整列しようとするが、原子核のラーモア周波数でランダムな順序で磁場の周りを歳差運動する。磁石の磁場はB0と呼ばれ、長手方向またはz方向に延びる。MRI画像を取得する際、xy平面内にあり、ラーモア周波数に近い磁場(励起磁場B1と呼ばれる)が、無線周波数(RF)コイルによって生成され、原子核の正味磁気モーメントMzをz方向から横方向またはxy平面に回転させる、または「傾ける:tip」ために使用され得る。励起信号B1が終了すると、核からMR信号と呼ばれる信号が放射される。MR信号を使用して被検体の画像を生成するために、勾配磁場パルス(Gx、Gy、およびGz)が使用される。勾配パルスは、k空間、空間周波数の空間、または距離の逆数を走査するために使用される。取得されたMR信号と被検体の画像にはフーリエ関係が存在するため、MR信号を再構成することで被検体の画像を導出することができる。
【0010】
図1は、例示的なMRシステム10の概略ブロック図を示す。MRシステム10は、画像を取得するために、または対象のスペクトロスコピー用途(spectroscopy applications:スペクトル分析用途)のために使用される。
【0011】
例示的な実施形態では、MRシステム10は、主磁石(main magnet:メインマグネット)14を含む主磁石アセンブリ12を含む。いくつかの実施形態では、主磁石14は、磁気コイル支持体またはコイルフォーマの周りに巻かれた複数の磁気コイルから形成された超伝導磁石である。主磁石14は、分極磁場を生成するように構成される。他の実施形態では、主磁石14は永久磁石である。主磁石アセンブリ12は、主磁石14を取り囲むクライオスタット容器18を含むことができる。クライオスタット容器18は、通常、液体ヘリウムおよび/または窒素などの極低温流体で充填され、これは、超伝導コイルを極低温、例えば、4Kに冷却するために使用され、その結果、電流は、電源が切断された後、均一で静的な主磁場を維持するために、電気抵抗なしに超伝導コイルを通って流れ続ける。
【0012】
例示的な実施形態では、主磁石アセンブリ12はまた、クライオスタット容器18および主磁石14をその中に封入する熱シールドアセンブリ16を含むことができる。一実施形態では、熱シールドアセンブリ16は、内側熱シールド部材(inner thermal shield member)162および外側熱シールド部材(outer thermal shield member)164を含むことができる。内側熱シールド部材162は、略円筒形状であり、主磁石14の半径方向内側に配置される。内側遮熱部材162は、被検体が置かれている暖かい領域(warm region)からメインマグネット14が置かれている寒い領域(cold region)への放熱を防ぐように構成されている。外側熱シールド部材164は、内側熱シールド部材162に対して同心円状に配置される。外側熱シールド部材164はまた、略円筒形状を有することができ、主磁石14の半径方向外側に配置される。外側熱シールド部材164は、環境から主磁石14に熱が放射されることを防止するように構成される。いくつかの実施形態では、熱シールドアセンブリ16は、変化する電磁場との相互作用に起因して渦電流を生成し得る、アルミニウムなどの金属材料から作製される。一実施形態において、1種類の変化する電磁場は、パルス電流信号によって1つ以上の勾配コイルによって生成される。いくつかの実施形態では、主磁石アセンブリ12はまた、熱シールドアセンブリ16を取り囲む磁石真空容器(magnet vacuum vessel)19と、動作中の環境から主磁石14を絶縁することを含み得る。
【0013】
例示的な実施形態では、MRシステム10はまた、内側熱シールド部材162の内側に配置された勾配コイルアセンブリ22を含む。勾配コイルアセンブリ22は、x軸、y軸、またはz軸などの1つ以上の軸に沿って1つ以上の勾配磁場を選択的に印加するように構成される。いくつかの実施形態では、勾配コイルアセンブリ22は、シールド構成または非シールド構成を有する。本明細書で使用される場合、「シールド構成(shielded configuration遮蔽構成)」は、通常の勾配磁場コイルによって生成されるフリンジ磁場(fringe fields)を相殺または低減するために対向する磁場を生成するために1つまたは複数の遮蔽勾配磁場コイルが提供される構成を指す。勾配コイルアセンブリ22は、供給されたパルス電流信号に応答してx軸方向に沿ってx軸勾配磁場を印加するように構成されたx軸勾配コイルを含むことができる。勾配コイルアセンブリ22はまた、そこに供給されるパルス電流信号に応答してy軸方向に沿ってy軸勾配磁場を課すように構成されるy軸勾配コイルを含んでもよい。勾配コイルアセンブリ22はまた、そこに供給されるパルス電流信号に応答してz軸方向に沿ってz軸勾配磁場を課すように構成されるz軸勾配コイルを含んでもよい。x軸、y軸、またはz軸勾配コイルは、それぞれx、y、またはz勾配コイルと呼ばれることがある。勾配磁場コイルアセンブリ22によって生成される勾配磁場は、被検体内部の励起核(excited nuclei)から発せられる高周波信号の空間情報(spatial information of radio-frequency signals)を識別することを可能にする。
【0014】
例示的な実施形態では、MRシステム10はまた、RFコイル24を含む。図1に示すRFコイル24は、ボディコイルである。RFコイル24は、撮像される解剖学的構造に近接して配置され得る局所コイル、又は複数のコイルを含むコイルアレイであり得る。RFコイル24は、RFパルスを送信するように構成された送信コイルであってもよい。RFコイル24は、被検体からのMR信号を検出するように構成された受信コイルであってもよい。RFコイル24は、MR信号を送信及び検出する送信及び受信コイルであってもよい。
【0015】
主磁石アセンブリ12、勾配コイルアセンブリ22、および本体RFコイル24は、通常、磁石と総称され、本明細書で使用される場合、磁石アセンブリ50と総称される。なぜなら、磁石アセンブリ50は、磁場を有する単一のユニットを形成するからである。磁石アセンブリ50はボア46を有し、スキャン中に被検体が位置決めされる。図1に示す磁石アセンブリ50は、ボアが円筒形である閉鎖ボアシステムである。本明細書では、説明のために、閉鎖ボア磁石アセンブリ50を例に説明する。磁石アセンブリ50は、開放システムもしくはオープンボアシステム、双極電磁石構成、またはハルバッハ構成(an open system or an open-bore system, a dipolar electromagnet configuration, or a Hallbach configuration)などの他の設計の磁石アセンブリであってもよい。
【0016】
例示的な実施形態では、MRシステム10はまた、コントローラ30と、主磁場制御32と、勾配磁場制御34と、メモリ36と、ディスプレイデバイス38と、送信/受信(T/R)スイッチ40と、RF送信機42と、受信機44とを含む。動作中、対象は、適切な支持体、例えば、電動テーブル(図示せず)または他の患者テーブル上のボア46内に配置される。主磁石14は、ボア46にわたって均一で静的な主磁場B0を生成する。ボア46内及びそれに対応して患者内の主磁場B0の強度及び均一性は、主磁場制御部32を介してコントローラ30によって制御され、主磁石14への通電電流の供給も制御する。勾配磁場コイルアセンブリ22は、勾配磁場制御部34によって通電され、コントローラ30によっても制御され、その結果、一以上の勾配磁場が主磁場B0に印加される。RFコイル24および受信コイルは、提供される場合、それぞれ、T/Rスイッチ40によって、RF送信機42または受信機44の一方に選択的に相互接続される。RF送信機42およびT/Rスイッチ40は、RF場パルスまたは信号がRF送信機42によって生成され、対象における磁気共鳴の励起のために対象に選択的に印加されるように、コントローラ30によって制御される。
【0017】
例示的な実施形態では、RFパルスの印加に続いて、RF送信コイル24をRF送信機42から切り離すためにT/Rスイッチ40が再び作動される。検出されたMR信号は、次いで、メモリ36に記憶するために特定のフォーマットでMR信号を編成し得るコントローラ30に通信される。コントローラ30は、MR信号の処理を制御して患者の画像を表す信号を生成するプロセッサ48を含む。被検体を表す処理された信号は、画像の視覚表示を提供するために表示装置38に送信される。
【0018】
MRIにおける高速かつ強力な勾配コイルは、コイルの外側に、渦電流および周囲の磁石構造における加熱を誘導する実質的な漏れ磁場(substantial magnetic leakage field)を生成する。MRシステムの強い静磁場(B0)の存在下で、渦電流は、ローレンツ力に起因して磁石の導電層の振動を引き起こし、これは、次いで、元の渦電流よりもはるかに大きくなり得る運動渦電流(motional eddy currents)を生成する。運動渦電流は、勾配コイルと磁石の間の電磁相互作用を悪化させ、特にコンパクトで高性能な高磁場スキャナの場合、磁石の加熱およびクエンチの深刻なリスクをもたらす。相互作用の運動誘導増幅(motion-induced amplification)は、磁気勾配相互作用(MGI:magnet-gradient interaction)と呼ばれることがある。
【0019】
既知のMGI低減方法は、勾配コイルと磁石コイルの間に位置する導電性構造の動きを抑制することに焦点を当てている。しかしながら、高電界環境において導電性構造体の振動を抑制することは、機械的設計及び材料選択(例えば、バイメタルまたは炭素繊維:bimetals or carbon fibers)の観点からコストがかかる。
【0020】
本明細書に記載されるシステム、アセンブリ、及び方法は、導電性構造体の機械的振動を低減することに焦点を当てる代わりに、シールドアセンブリを直接使用して運動渦電流を標的とすることによってMGIに対処する。例えば、シールドアセンブリは、導電層から切り出された特定のパターンの複数の溝/複数のスロット(grooves/slots)を含み、複数の溝は、(i)誘導渦電流が比較的容易に流れることを可能にする一方で、(ii)運動渦電流が導電層上を流れるための経路を遮断するように構成される。設計されたパターンを有する導電層は、非運動渦電流(NME:non-motional eddy current)層と呼ぶことができる。その結果、導電性構造体が振動する場合であっても、磁石の加熱を増進(enhance)するための運動渦電流はほとんどない。導電層は、ガラス繊維で裏打ちされた薄い銅またはアルミニウム(thin copper or aluminum backed by fiberglass)であってもよく、磁石構築のための追加コストを比較的少なくする。本明細書で説明されるシステム、アセンブリ、および方法は、NME層が、非運動渦電流または誘導渦電流が流れるための経路を提供し、それが勾配コイルの漏れ磁場から磁石を保護する一方で、導電性構造体が高B0環境で振動する場合であっても、運動渦電流を制限または阻止するので有利である。既知の方法とは異なり、振動は制限されておらず、運動渦電流は、導電層内のカットアウトパターンを介して抑制され、それによって、磁石アセンブリ内の構造の補強の必要性をなくす。さらに、磁石アセンブリを特定の共振周波数で振動させる用途を制限することによって運動渦電流が低減される既知の方法とは異なり、本明細書に記載のシステム、アセンブリ、および方法は、用途に制限を課さず、それによってMRシステムの性能を向上させ、高勾配システムの可能性に完全に到達する(fully reaching the potential of high gradient systems)。高勾配電力シーケンス(High gradient power sequences)は、エコー間隔、分解能、勾配振幅、またはスルーレート(echo spacing, resolution, gradient amplitude, or slew rates)などのシーケンスパラメータを制限することなく適用され得る。さらに、本明細書に記載されるシステム、アセンブリ、および方法は、磁場強度の増加によるローレンツ力および運動渦電流の増加による磁石加熱およびクエンチのリスクの増加を有する7Tなどの高磁場強度のMRシステムにおける運動渦電流を効果的に低減する。MGI効果は、高磁場システムにとって大きなリスクである。したがって、本明細書に記載のシステム、アセンブリ、および方法は、高磁場システムにおける加熱および急冷のリスクを低減するのに有利である。
【0021】
図2Aおよび2Bは、例示的な磁石アセンブリ50の概略図である。図2Bは、断面線2B-2Bに沿った磁石アセンブリ50の部分断面図である。ボディRFコイル24は、図2Aおよび図2Bでは描かれていない。例示的な実施形態では、磁石アセンブリ50は、勾配コイルアセンブリ22と主磁石アセンブリ12を含む。磁石アセンブリ50は、シム管(shim tube)202を含むことができる。シム管202は、勾配コイルアセンブリ22に取り付けられることがある。いくつかの実施形態では、シム管202は、勾配コイルアセンブリ22と一体的に形成することができる。あるいは、シム管202は、主磁石アセンブリ12に取り付けられており、例えば磁石真空容器19の内側バッキング(inner backing)に取り付けられている。
【0022】
例示的な実施形態では、主磁石アセンブリ12は、磁石真空容器19、熱シールドアセンブリ16、極低温容器18、主磁石14および、複数の磁石ワイヤ(magnet wires)201を含む。簡略化のため、外側の熱シールド部材164および磁石真空容器19の外層は、図2Aまたは2Bには描かれていない。超電導主磁石アセンブリ12において、複数の磁石ワイヤ201は、複数の磁石ワイヤ201における超電導金属の超電導温度に保たれる。超伝導温度は通常4ケルビン(K)である。主磁石アセンブリ12において、電流の超伝導が起こるような超伝導温度に温度が維持される領域は、超伝導領域206と呼ばれる。図2Aでは、主磁石14とクライオスタット容器18が超電導領域206にある。超伝導マグネットの場合、超伝導領域206におけるの温度は、超伝導温度以下に保たれることが必要である。超伝導領域206のの温度を維持するために、コールドヘッド(cold head:図示せず)を使用することができる。超伝導領域206の温度が低いため、冷却におけるコールドヘッドの威力(power)は限定的である
【0023】
例示的な実施形態では、磁石アセンブリ50は、シールドアセンブリ208を含む。シールドアセンブリ208は、勾配コイルアセンブリ22と超伝導領域206の間に配置される。シールドアセンブリ208は、勾配コイルアセンブリ22と超伝導領域206の間の領域において磁石アセンブリ50の構造に取り付けられ得る。例えば、シールドアセンブリ208は、勾配コイルアセンブリ22、シムチューブ202、磁石真空容器19の内層、内側熱シールド部材162、またはクライオスタット容器18の内側210に取り付けられる。クライオスタット容器18の内側210は、ボア46に面するクライオスタット容器18の最も内側である。シールドアセンブリ208は、運動渦電流によって引き起こされる主磁石14への加熱を低減するために使用される。
【0024】
電流は、変化する磁場によって近くの導体に誘導される。MRは、信号を生成し空間的に定義するために急速に変化する磁場を使用するので、走査が実行されるときはいつでも渦電流が常に生成される。このような渦電流は、誘導渦電流と呼ばれる。変化する磁場のソース(source:原因)は、勾配コイル、大部分はRFコイルからである。渦電流が誘導される導電性材料は、コイル、シールド、チューブ、ワイヤ、又はハウジング(coils, shields, tubes, wires, or housing)などのMRシステム10の任意の導電性構成要素である場合がある。
【0025】
走査中、電流は、特に勾配コイルにおいて、k空間を通してサンプリングするために迅速に切り替えられ得る。磁場内の電流の急速なスイッチングは、ローレンツ力を生成し、磁石アセンブリ50内の構造を振動させる。磁石アセンブリ50内の構造の振動または移動は、電流を生成する。このような電流は、運動渦電流と呼ばれる。
【0026】
主磁石14に対する誘導渦電流の加熱効果は、管理可能である。誘導渦電流によって生成される電磁場は、渦電流を誘導するソース電磁場とは反対であり、少なくとも部分的にソース電磁場を消去する(cancel:無効にする)。勾配コイルアセンブリ22と超伝導領域206の間の導電性材料の層はシールドとして作用し、誘導渦電流および主磁石14に対する渦電流の影響を低減する。残りの誘導電流からのジュール加熱は、コールドヘッドによって管理される。誘導された渦電流はまた、能動遮蔽(active shielding)によって、または、渦電流を誘導する磁石アセンブリ50の構造へのフリンジング磁場(fringing magnetic field)が相殺または低減される遮蔽構成によって低減され得る。
【0027】
運動渦電流は、誘導渦電流と比較して大きさが比較的大きく(relatively high magnitude:比較的規模が大きく)、低減することが困難である。運動渦電流は、誘導渦電流よりもはるかに大きい規模(magnitude)を有し得る。特定の振動周波数において、運動渦電流は、誘導渦電流よりも数百倍大きい。運動渦電流からのジュール加熱は、コールドヘッドの冷却力を超え、超伝導領域206の温度を維持するために極低温流体を蒸発させる。ヘリウムなどの極低温流体は、リサイクル不可能な天然資源(nonrecyclable natural resource)であり、補充するのに費用がかかる。運動渦電流は、極低温流体の蒸発が超伝導領域206の温度を維持するのに十分でなく、超伝導性が失われ、極低温流体の急速な沸騰およびMRシステムの停止(decommission:デコミッショニング)を引き起こすレベルに運動渦電流があるとき、クエンチリスクを引き起こす(impose quench risks)ことさえある。
【0028】
運動渦電流を低減するために、勾配コイルへの電流を低減することができる。運動渦電流は、磁石アセンブリ50内の構造の振動によって引き起こされるので、構造の共振周波数において、運動渦電流は他の周波数よりも高い。パルスシーケンスは、それらの周波数における運動渦電流を回避するように再設計または制限され、MRシステム10の性能に制限を課すことがある。
【0029】
運動渦電流を低減する別の既知の方法は、構造を補強すること又は補強構造(stiffening structures)を追加することなどによって振動を最小化することである。この方法は、いくつかの課題に直面する。第1に、材料は無限剛性(infinite stiffness)を有さないため、振動は不可避である。第2に、剛性の増加(increasing stiffness)はコストがかかり、磁石アセンブリは、構造の剛性の増加を可能にする内部空間を欠いている。例えば、剛性を増加させるために、構造を厚くすることができ、これは、磁石アセンブリ50のボアサイズを増加させ、超伝導ワイヤが高価であり、ボアサイズの増加が必然的に磁石ワイヤの長さを増加させるので、コストを大幅に増加させる。
【0030】
本明細書に記載のシステム、アセンブリ、及び方法は、既知のシステム及び方法における上述の問題を克服する。シールドアセンブリ208は、磁石アセンブリ50のボアサイズを増大させないか、または最小限の増大しか必要としない。シールドアセンブリ208の厚みは、0.1mmと薄くてもよい。シールドアセンブリ208は、磁石アセンブリ50の構造間の任意の間隙に配置することができ、又は磁石アセンブリの既存の構造上に配置することができる。したがって、シールドアセンブリを含むシステムは、法外なコストではない。シールドアセンブリ208は、構造が振動することを可能にするので、勾配磁場コイルの電流またはパルスシーケンスなどの振動に関連する制限を課す必要がなく、MRシステム10の性能を向上させる。
【0031】
図3A及び図3Bは、例示的なシールドアセンブリ208を示す。シールドアセンブリ208の断面の概略図である。シールドアセンブリ208のパターン302を示す。例示的な実施形態では、シールドアセンブリ208は、導電層304および絶縁層306を含む。絶縁層306は、プラスチックまたはガラス繊維などの非導電性材料から作製される。絶縁層306は、導電層304のための構造的支持および絶縁を提供する。
【0032】
例示的な実施形態では、導電層304は、銅、銀、またはアルミニウムなどの導電性材料から製造される。導電層304は、絶縁層306を露出する、導電層304を通る溝308を含む。溝308は、電流が流れる方向を制限する。溝308は、溝308の少なくとも一部が運動渦電流の方向に対して直角に配向されるように設計される。その結果、溝は、誘導渦電流が導電層304内を流れる一方で、運動渦電流が溝によってブロックされるように設計または構成される。
【0033】
導電層304は、接着剤などの接着剤(bonding agent:図示せず)によって絶縁層306に取り付けられてもよい。導電層304は、金属めっきを用いて絶縁層でめっきすることができる。他の接合方法を用いて、導電層304を絶縁層306と接合してもよい。導電層304と絶縁層306との接合は、溝(grooves)308を形成する前に行うことができ、導電層304と絶縁層306とを接合し、パターン302に従って溝を切断する。あるいは、導電層304と絶縁層306との接合は、溝308の形成後に行われてもよく、パターン302を有する導電層304が絶縁層306と接合される。いくつかの実施形態では、導電層304が絶縁層306と接合されている間に溝が形成される。例えば、導電層304は、パターン302に従って絶縁層306上に堆積される。
【0034】
図3Bにおいて、zは主磁場の方向であり、r・φはボア46のアイソセンタから延びるボア46の中心z軸からシールドアセンブリ208の円周に沿った距離である(図2参照)。シールドアセンブリ208は、シールドアセンブリ208がシートとして形成され、次いで折り畳まれ、円筒などの所望の形状に丸められるように、柔軟であってもよい。シールドアセンブリ208は、中心z線312の周りでシールドアセンブリ208をカールさせることによって円筒に形成され得る。シールドアセンブリ208は、磁石アセンブリ50の内側に半径方向に配置することができる。シールドアセンブリ208は、事前に組み立てることができ、次いで、シールドアセンブリ208を折り畳んで磁石アセンブリ50に取り付けることによって、磁石アセンブリ50に組み立てることができる。あるいは、シールドアセンブリ208は、磁石アセンブリ50と組み立てられてもよい。例えば、導電層304および/または絶縁層306を磁石アセンブリ50に形成し、次いでパターン302の溝308を導電層304に切り込むことができる。別の例において、導電層304は、付加製造プロセスによって組み立てられ、導電層304は、パターン302の溝を有する磁石アセンブリ50の絶縁層306または絶縁層上に堆積される。
【0035】
動作中、走査中、誘導渦電流は導電層304上を流れ、一方、運動渦電流はブロックされる。シールドアセンブリ208内を流れる誘導渦電流は、勾配磁場コイルからの磁場などの誘導渦電流の発生源を少なくとも部分的に打ち消す電磁場を生成する。したがって、シールドアセンブリ208は、誘導渦電流に対するシールド機能を実行し、主磁石14などのシールドアセンブリ208を超える構造における誘導渦電流を低減する。一方、溝308は、運動渦電流の方向に対して直角に配向されているので、運動渦電流は、シールドアセンブリ208によって遮断される。
【0036】
導電層304は、誘導渦電流が流れるための導電媒体(conductive medium)を提供するので、導電層304の材料は、銅、銀、銅合金、または銀合金などの比較的高い導電率を有するように選択される。導電層304は、誘導渦電流が流れることを可能にする厚さ310を有する。いくつかの実施形態では、厚さ310は、誘導渦電流の表皮深さに近いか、またはそれより大きい(close to or larger than the skin depth of induced eddy currents)。室温における銅の表皮深さはおよそ2mmである。導電層の厚みは、およそ2mm以上であってもよい。他の実施形態では、表皮効果にもかかわらず、誘導渦電流は他の構造によって既に低減されており、有意ではないため、導電層304は、誘導渦電流に適度な導電性を提供する。導電層304の厚さは、導電層304の導電性材料の表皮深さ未満、例えば0.1mm以上であってもよい。
【0037】
導電層304は、様々な方法で構成することができる。例えば、並列ループ構成(parallel-loop configuration)では、層304は、互いにばらばらなループ(disjoint loops)を含むことができ、この場合、互いにばらばらなループは、個々のループ間で電流が流れるように電気的に接続されない。別の例において、直列ループ構成(series-loop configuration)では、導電層304は、誘導渦電流が流れる連続マルチターン経路(continuous multi-turn path)を含むことができる。更なる一例において、導電層304は、互いにばらばらなループ及びマルチターン経路の双方を含むことができる。
【0038】
例示的な実施形態では、シールドアセンブリ208は、xシールド層212x、yシールド層212y、およびzシールド層(図示せず)を含む(図2B参照)。図2Aおよび図2Bでは、xシールド層212xは、例えば、yシールド層214の内側に位置する。x、y、zシールド層は、互いに対して任意の構成であってもよく、x、y、zシールド層は、最内層から最外層まで任意の順序であってもよい。x、y、zシールド層は互いに別個に配置することができ、x、y、zシールド層は互いに隣接していない。x、y、またはzシールド層212の各々は、導電層304を含み、絶縁層306を含んでも含まなくてもよい。x、y、およびzシールド層212上のパターン302は、パターン302が、対応するx、y、またはz勾配コイルによって引き起こされる運動渦電流に基づいて生成されるので、互いに異なる。通常、xまたはy勾配コイルによって生成されるxまたはy勾配からの運動渦電流は、z勾配コイルによって生成されるz勾配よりもはるかに重要である。いくつかの実施形態では、シールドアセンブリ208は、zシールド層を含まずにxシールド層およびyシールド層のみを含み得る。他の実施形態では、シールドアセンブリ208は、x、y、およびzシールド層の任意の組み合わせを含む。
【0039】
図4A図4Bは、2つの異なるタイプの超伝導主磁石アセンブリ12a、12bにおける超伝導領域206を示す。超伝導主磁石アセンブリ12aは、典型的にはヘリウム浴機構を使用する(図4A)。クライオスタット容器18は、液体ヘリウム402を含む。主磁石14の磁石巻線(Magnet windings)403は、液体ヘリウム402に浸される。主磁石アセンブリ12aの超伝導領域206は、内側容器層404から外側容器層406まで始まり、磁石巻線403、液体ヘリウム402、およびクライオスタット容器18を含む、クライオスタット容器18によって囲まれた領域を含む。主磁石アセンブリ12aと比較して、主磁石アセンブリ12bは伝導冷却(conduction cooling)を使用し、冷却管408(cooling tubes:冷却チューブ)内で循環される液体ヘリウムを介して、磁石巻線403が冷却され、超伝導温度に維持される(図4B参照)。冷却管408は、磁石巻線403と熱的に接続されている。主磁石アセンブリ12bの超伝導領域206は、磁石巻線403および冷却管408を含む。
【0040】
図5は、本明細書に記載のシステム及び方法を用いない(曲線502)及び用いた(曲線504)MRシステムにおける勾配誘起磁石加熱のシミュレーション結果を示す。曲線502は、MRシステム10にシールドアセンブリ208を含まない加熱を示す。曲線504は、シールドアセンブリ208がMRシステム10に含まれるときの加熱を示す。y軸は、任意単位および対数目盛における加熱のパワーである。示されるように、シールドアセンブリ208を含むことは、加熱を著しく低減する。いくつかの周波数において、加熱は2の大きさ(magnitude)のオーダーで低減され、加熱は数百倍低減される。加熱は、コールドヘッドの冷却力によって管理可能な範囲まで低減され、磁石クエンチのリスクを大幅に低減する。
【0041】
図6は、シールドアセンブリを組み立てる例示的な方法600である。例示的な実施形態では、方法600は、誘導渦電流を推定するステップ602を含む。誘導渦電流は、MRシステム10の勾配磁場マップ及び/又はパルスシーケンスを用いたシミュレーションによって推定することができる。パルスシーケンスは、MR信号を収集する際にMRシステム10によって適用されるRFパルス、勾配パルス、及びデータ収集のシーケンスである。方法600は、運動渦電流を推定するステップ604をさらに含む。例えば、所与の勾配磁場マップ及びパルスシーケンスについて、誘導渦電流からのローレンツ力は、誘導渦電流及び磁場に基づいて推定される。磁石アセンブリ50の構造の運動または振動は、構造のローレンツ力、質量、および剛性に基づいて推定される。
【数1】
渦電流は主に勾配パルスによって引き起こされるので、運動渦電流及び/又は誘導渦電流の推定は、パルスシーケンスの勾配パルス( gradient pulses of pulse sequences)のみに基づいてもよい。
【0042】
例示的な実施形態では、方法600は、推定された運動渦電流および/または推定された誘導渦電流に基づいて、シールドアセンブリのパターンを生成すること606をさらに含む。パターン302は、複数の溝308の少なくとも一部が渦電流の方向に直交する方向に配向され、それによって、運動渦電流の流れを低減または制限するように設計される。複数の溝308は、誘導渦電流の方向に追従してもよいし、追従しなくてもよい。導電層における所与の位置において、誘導渦電流の電流ベクトル及び運動渦電流の電流ベクトルは、通常、異なる向きになる。その結果、上記のように設計されたパターンを有する導電層304は、運動渦電流を遮断するとともに、誘導渦電流の流れを促進する。シールドアセンブリは、xシールド層、yシールド層、zシールド層、またはそれらの任意の組み合わせ(x shield layer, y shield layer, z shield layer, or any combination thereof.)を含み得る。xシールド層は、パルスシーケンスにおけるx勾配パルスに基づいて設計され、運動渦電流を遮断し、x勾配コイルによって引き起こされる誘導渦電流の流れを促進する。同様に、yシールド層は、パルスシーケンスにおけるy勾配パルスに基づいて設計され、運動渦電流を遮断し、y勾配コイルによって引き起こされる誘導渦電流の流れを促進する。zシールド層は、運動渦電流を遮断し、z勾配コイルによって引き起こされる誘導渦電流の流れを促進するために、z勾配パルスに基づいて設計される。異なるパルスシーケンスの勾配は変化する。設計パタ:ーン302では、パターン302は、エコープラナーイメージング(echo planar imagingEPI)シーケンスなどの最も深刻な渦電流を引き起こすパルスシーケンスのための運動渦電流をブロックすること、または磁石アセンブリ50の構造の共振周波数に対応する周波数で運動渦電流をブロックすることなどの基準を使用して最適化され得る(図5参照)。
【0043】
パターン302が設計されると、パターン302に従って複数の溝308が切断される。複数の溝308は、導電層304が絶縁層306または磁石アセンブリ50の絶縁層と組み立てられる前または後に切断され得る。シールドアセンブリ208を組み立てた後、シールドアセンブリ208を磁石アセンブリ50に取り付ける。シールドアセンブリ208は、勾配コイルアセンブリ22と超伝導領域206の間の構造に取り付けることができる。シールドアセンブリ208は、勾配コイルアセンブリ22と超伝導領域206の間に配置されるが他の構造には取り付けられない独立型構造であってもよい。シールドアセンブリ208は、磁石アセンブリ50に直接組み付けることができる。
【0044】
方法600または方法600の一部は、任意の適切なコンピューティングデバイス800およびその中に実装されるソフトウェアを用いて実装され得る。図7は、例示的なコンピューティングデバイス800のブロック図である。例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス800は、ユーザから少なくとも1つの入力を受信するユーザインターフェース804を含む。ユーザインターフェース804は、ユーザが関連情報を入力することを可能にするキーボード806を含み得る。ユーザインターフェース804はまた、たとえば、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチセンシティブパネル(例えば、タッチパッド及びタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、および/またはオーディオ入力インターフェース(例えば、マイクロフォンを含む。)を含み得る。
【0045】
さらに、例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス800は、入力イベントおよび/または検証結果などの情報をユーザに提示するプレゼンテーションインターフェース(presentation interface:提示インターフェース)817を含む。プレゼンテーションインターフェース817はまた、少なくとも1つのディスプレイデバイス810に結合されたディスプレイアダプタ808を含み得る。より詳細には、例示的な実施形態では、ディスプレイデバイス810は、陰極線管(CRT;cathode ray tube)、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)ディスプレイ、および/または「電子インク:electronic ink」ディスプレイなどの視覚ディスプレイデバイスであり得る。代替的に、プレゼンテーションインターフェース817は、オーディオ出力デバイス(例えば、オーディオアダプタおよび/またはスピーカ)および/またはプリンタを含み得る。
【0046】
コンピューティングデバイス800はまた、プロセッサ814およびメモリデバイス818を含む。プロセッサ814は、システムバス820を介してユーザインターフェース804、プレゼンテーションインターフェース817、およびメモリデバイス818に結合される。例示的な実施形態では、プロセッサ814は、プレゼンテーションインターフェース817を介してユーザを促すことによって、および/またはユーザインターフェース804を介してユーザ入力を受信することによってなど、ユーザと通信する。「プロセッサ」という用語は、一般に、システムおよびマイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、複合命令セットコンピュータ(CISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、ならびに本明細書で説明する機能を実行することが可能な任意の他の回路またはプロセッサを含む、任意のプログラマブルシステムを指す。上記の例は例示的なものにすぎず、したがって、「プロセッサ」という用語の定義および/または意味を決して限定するものではない。
【0047】
例示的な実施形態では、メモリデバイス818は、実行可能命令および/または他のデータなどの情報を記憶し、取り出すことを可能にする1つまたは複数のデバイスを含む。さらに、メモリデバイス818は、限定はしないが、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)、ソリッドステートディスク、および/またはハードディスクなどの1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。例示的な実施形態では、メモリデバイス818は、限定はしないが、アプリケーションソースコード、アプリケーションオブジェクトコード、構成データ、追加の入力イベント、アプリケーション状態、アサーションステートメント、検証結果、および/または任意の他のタイプのデータを記憶する。例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス800はまた、システムバス820を介してプロセッサ814に結合された通信インターフェース830を含み得る。さらに、通信インターフェース830は、データ取得デバイスに通信可能に結合される。
【0048】
例示的な実施形態では、プロセッサ814は、一以上の実行可能命令を使用して動作を符号化し、実行可能命令をメモリデバイス818に提供することによってプログラムされ得る。例示的な実施形態では、プロセッサ814は、データ取得デバイスから受信される複数の測定値を選択するようにプログラムされる。
【0049】
動作中、コンピュータは、本明細書で説明および/または図示される本発明の態様を実装するために、1または複数のコンピュータ可読媒体上に記憶される1または複数のコンピュータ実行可能コンポーネントにおいて具現化されるコンピュータ実行可能命令を実行する。本明細書で図示および説明される本発明の実施形態における動作の実行または実行の順序は、別段の指定がない限り、必須ではない。すなわち、動作は、別段の指定がない限り、任意の順序で実行されてよく、本発明の実施形態は、本明細書で開示されるものよりも追加のまたは少ない動作を含んでよい。例えば、別の動作の前、同時、または後に特定の動作を実行または実行することは、本発明の態様の範囲内であることが企図される。
【0050】
図8は、方法600または方法600の一部が実装され得るサーバコンピュータデバイス1001の例示的な構成を示す。サーバコンピュータデバイス1001はまた、命令を実行するためのプロセッサ1005を含む。命令は、たとえば、メモリ領域1030に記憶され得る。プロセッサ1005は(例えば、マルチコア構成(multi-core configuration)の)1つ以上の処理ユニットを含んでもよい。
【0051】
プロセッサ1005は、サーバコンピュータデバイス1001がリモートデバイスまたは別のサーバコンピュータデバイス1001と通信することができるように、通信インターフェース1015に動作可能に結合される。例えば、通信インターフェース1015は、インターネットを介して、コンピューティングデバイス800またはコントローラ30からデータを受信し得る。
【0052】
プロセッサ1005はまた、記憶装置1034に動作可能に結合され得る。記憶装置1034は、限定はしないが、波長変化、温度、および歪みなどのデータを記憶および/または検索するのに適した任意のコンピュータ動作ハードウェアである。いくつかの実施形態では、記憶装置1034は、サーバコンピュータデバイス1001に統合される。例えば、サーバコンピュータデバイス1001は、記憶装置1034として1つ以上のハードディスクドライブを含んでもよい。他の実施形態では、記憶装置1034は、サーバコンピュータデバイス1001の外部にあり、複数のサーバコンピュータデバイス1001によってアクセスされ得る。例えば、記憶装置1034は、安価なディスクを使った冗長配列(RAID:redundant array of inexpensive disks)構成のハードディスクおよび/またはソリッドステートディスクなどの複数のストレージユニットを含み得る。記憶装置1034は、ストレージエリアネットワーク(SAN)および/またはネットワーク接続ストレージ(NAS)システムを含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1005は、ストレージインターフェース1020を介して記憶装置1034に動作可能に結合される。記憶インターフェース1020は、プロセッサ1005に記憶装置1034へのアクセスを提供することが可能な任意の構成要素である。記憶インターフェース1020は、たとえば、アドバンストテクノロジーアタッチメント(ATA: Advanced Technology Attachment)アダプタ、シリアルATA(SATA:Serial ATA)アダプタ、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI:Small Computer System Interface)アダプタ、RAIDコントローラ、SANアダプタ、ネットワークアダプタ、および/またはプロセッサ1005に記憶装置1034へのアクセスを提供する任意の構成要素を含み得る。
【0054】
本明細書に記載のシステムおよび方法の少なくとも1つの技術的効果は、(a)シールドアセンブリを介した運動渦電流の低減、(b)運動渦電流を遮断しながら誘導渦電流に対するシールドを提供し、それによって磁石加熱およびクエンチにおけるリスクを低減するシールドアセンブリ、(c)運動渦電流を遮断しながら誘導渦電流が流れる経路を提供するパターン化溝を含むシールドアセンブリ、および(d)シールドアセンブリにおけるパターンを設計する方法を含む。
【0055】
運動渦電流低減のシステムおよび方法の例示的な実施形態は、上記で詳細に説明されている。システムおよび方法は、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、システムの構成要素および/または方法の動作は、本明細書で説明される他の構成要素および/または動作から独立して、かつ別個に利用され得る。さらに、説明される構成要素および/または動作はまた、他のシステム、方法、および/またはデバイスにおいて定義されるか、またはそれらと組み合わせて使用されてよく、本明細書で説明されるシステムのみを用いた実施に限定されない。
【0056】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面には示されており、他の図面には示されていない場合があるが、これは単に便宜のためである。本発明の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または特許請求され得る。
【0057】
本明細書は、最良の形態を含む例を用いて本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と実質的に異ならない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0058】
[実施形態1]
磁気共鳴(MR)システムであって、
分極磁場を生成するように構成された主磁石アセンブリと、
少なくとも1つの勾配磁場を前記分極磁場に印加するように構成された複数の勾配コイルを含む勾配コイルアセンブリと、
前記主磁石アセンブリと前記勾配コイルアセンブリの間に配置されたシールドアセンブリと、
を含み、
前記シールドアセンブリは、導電性材料で製造され、導電層を貫通して配置される複数の溝を画定する導電層を備え、
前記複数の溝は、前記少なくとも1つの勾配磁場が印加されるときに、前記分極磁場及び前記少なくとも1つの勾配磁場の作用によって引き起こされる運動渦電流を阻止するように構成される、MRシステム。
[実施形態2]
前記複数の溝の少なくとも一部は、前記運動渦電流の方向に直交する方向に配向される、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態3]
前記導電層は、前記少なくとも1つの勾配磁場が印加されたときに、前記勾配コイルアセンブリによって誘導された誘導渦電流を伝導するように構成される、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態4]
前記シールドアセンブリは、xシールド層、yシールド層、またはzシールド層のうちの少なくとも1つを含み、前記xシールド層、前記yシールド層、または前記zシールド層は、それぞれ、x勾配コイル、y勾配コイル、またはz勾配コイルを介した前記少なくとも1つの勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態5]
前記シールドアセンブリは、xシールド層またはyシールド層のうちの少なくとも1つを含み、前記xシールド層または前記yシールド層は、それぞれ、x勾配コイルまたはy勾配コイルを介した前記少なくとも1つの勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態6]
前記主磁石アセンブリは、超伝導主磁石を含む、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態7]
前記シールドアセンブリは、前記勾配コイルアセンブリと前記主磁石アセンブリの超伝導領域の間に配置される、実施形態6に記載のMRシステム。
[実施形態8]
前記シールドアセンブリは、前記勾配コイルアセンブリに取り付けられる、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態9]
前記シールドアセンブリは、前記主磁石アセンブリに取り付けられる、実施形態1に記載のMRシステム。
[実施形態10]
磁気共鳴(MR)システムのシールドアセンブリであって、
導電性材料で製造され、導電層を貫通して配置される複数の溝を画定する導電層を含み、前記複数の溝は、前記MRシステムによって生成される運動渦電流を阻止するように構成される、シールドアセンブリ。
[実施形態11]
前記複数の溝の少なくとも一部は、前記運動渦電流の方向に直交する方向に向けられている、実施形態10に記載のシールドアセンブリ。
[実施形態12]
前記導電層は、前記MRシステムによって誘導される誘導渦電流を伝導するように構成される、実施形態10に記載のシールドアセンブリ。
[実施形態13]
前記シールドアセンブリは、xシールド層、yシールド層、またはzシールド層のうちの少なくとも1つを含み、前記xシールド層、前記yシールド層、または前記zシールド層は、それぞれ、前記MRシステムのx勾配コイル、y勾配コイル、またはz勾配コイルを介した勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、実施形態10に記載のシールドアセンブリ。
[実施形態14]
前記シールドアセンブリは、xシールド層またはyシールド層のうちの少なくとも一方を含み、前記xシールド層または前記yシールド層は、それぞれ、前記MRシステムのx勾配コイルまたはy勾配コイルを介した勾配磁場の印加によって引き起こされる運動渦電流を遮断するように構成される、実施形態10に記載のシールドアセンブリ。
[実施形態15]
前記導電層は、2ミリメートル以下の厚みを有する、実施形態10に記載のシールドアセンブリ。
[実施形態16]
磁気共鳴(MR)システムのシールドアセンブリを組み立てる方法であって、
導電性材料で製造され、導電層を貫通して配置された複数の溝を画定する導電層を提供するステップを含み、前記複数の溝は前記MRシステムによって生成される運動渦電流を遮断するように構成される、方法。
[実施形態17]
前記導電層を提供するステップは、さらに、前記MRシステムによって生成された前記運動渦電流を推定するステップと、前記推定された運動渦電流に基づいて導電層上の前記複数の溝のパターンを生成するステップとを含む、実施形態16に記載の方法。
[実施形態18]
パターンを生成するステップが、前記複数の溝の少なくとも一部が運動渦電流の方向と直交する方向を向くように前記複数の溝を形成するステップをさらに含む、実施形態17に記載の方法。
[実施形態19]
導電層を提供するステップは、さらに、前記MRシステムによって誘導された誘導渦電流を推定するステップと、前記誘導渦電流の流れを促進するように構成された前記複数の溝を形成することによって、前記運動渦電流および前記誘導渦電流に基づいて前記導電層上に前記複数の溝のパターンを生成するステップを含む、実施形態16に記載の方法。
[実施形態20]
前記MRシステムの主磁石アセンブリまたは勾配コイルアセンブリのうちの少なくとも1つに前記シールドアセンブリを取り付けるステップをさらに含む、実施形態16に記載の方法。
【符号の説明】
【0059】
10:磁気共鳴(MR)システム 12、12a、12b:主磁石アセンブリ 14:主磁石 16:熱シールドアセンブリ 18:クライオスタット容器 19:磁石真空容器 22:勾配コイルアセンブリ 24:RFコイル 30:コントローラ 32:主磁場制御 34:勾配磁場制御 36:メモリ 38:表示装置 40:送信/受信(T/R)スイッチ 42:RF送信機 44:受信機 46:ボア 48:プロセッサ 50:磁石アセンブリ 162:内側熱シールド部材 164:外側熱シールド部材 201:磁石ワイヤ 202:シム管 206:超伝導領域 208:シールドアセンブリ 210:内部側面 212x:xシールド層 212y:yシールド層 212x:xシールド層 206:超伝導領域 302:パターン 304:導電層 306:絶縁層 308:溝 310:厚さ 402:液体ヘリウム 403:磁石巻線 404:内器層 406:外器層 408:冷却管 502、504:曲線 800:コンピューティングデバイス 804:ユーザーインターフェース 806:キーボード 808:ディスプレイアダプタ 810:ディスプレイデバイス 814:プロセッサ 817:プレゼンテーションインターフェース 818:メモリーデバイス 820:システムバス 830:通信インターフェース 1001:サーバコンピュータデバイス 1005:プロセッサ 1015:通信インターフェース 1020:ストレージインターフェース 1030:メモリ領域 1034:記憶装置
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】