IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社秀英の特許一覧

<>
  • 特開-収容箱 図1
  • 特開-収容箱 図2
  • 特開-収容箱 図3
  • 特開-収容箱 図4
  • 特開-収容箱 図5
  • 特開-収容箱 図6
  • 特開-収容箱 図7
  • 特開-収容箱 図8
  • 特開-収容箱 図9
  • 特開-収容箱 図10
  • 特開-収容箱 図11
  • 特開-収容箱 図12
  • 特開-収容箱 図13
  • 特開-収容箱 図14
  • 特開-収容箱 図15
  • 特開-収容箱 図16
  • 特開-収容箱 図17
  • 特開-収容箱 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165652
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】収容箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
B65D5/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074990
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2022076757
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】394004608
【氏名又は名称】株式会社秀英
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 孝司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB15
3E060BB01
3E060DA01
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】簡単に組み立てることができ、かつ衛生上の問題点が生じない収容箱を提供する。
【解決手段】収容箱1は、矩形の底板31と、底板31の四辺に連接された4つの側板21,22と、互いに隣り合う前記側板に連接された4つのコーナー板と、第1側板31に連接された第1外側板33と、第1外側板33に連接された係止フラップとを含む。底板31に関連して、第1外側板33を第1側板21の外面に折り重ねた状態で、係止フラップを挿し込んで係止するための第1挿し込み口P1が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および胴部を有し、ブランクによって構成された収容箱であって、
矩形の底板と、
前記底板の四辺に連接された4つの側板と、
互いに隣り合う前記側板に連接された4つのコーナー板であって、内面に形成された谷折れの第1折れ罫線を介して二つ折り可能なコーナー板と、
前記4つの側板のうち互いに対向する第1側板において当該第1側板に連接された第1外側板と、
前記第1外側板に連接された係止フラップとを含み、
前記コーナー板が前記第1折れ罫線を介して二つ折り可能であり、かつ二つ折り状態の前記コーナー板が前記第1側板に対して外側に折り重ね可能であり、
前記底板に関連して、前記第1外側板を前記第1側板に対して外側に折り重ねた状態で、前記係止フラップを挿し込んで係止するための挿し込み口が形成されている、収容箱。
【請求項2】
前記4つの側板のうち前記第1側板と別の側板であって互いに対向する2つの第2側板において当該第2側板に連接された第2外側板と、
各第1外側板に連接された先端フラップとをさらに含み、
前記第2外側板が外側に折り畳まれて、前記第2外側板が前記第2側板に対して外側に折り重ねられかつ前記先端フラップが前記底板の底面に重ねられられており、
前記挿し込み口が、前記先端フラップの両端部と前記底板の前記底面との間の隙間によって形成される第1挿し込み口を含む、請求項1に記載の収容箱。
【請求項3】
前記ブランクの内面のうち、少なくとも前記底板の内面の全域、前記4つの側板の内面の全域、前記第1外側板の内面の全域、および前記第2外側板の内面の全域が撥水面である、請求項2に記載の収容箱。
【請求項4】
板紙ブランクの内面に貼り付けられたフィルムをさらに含み、
前記フィルムが、前記ブランクの内面のうち、少なくとも前記底板の内面の全域、前記4つの側板の内面の全域、前記第1外側板の内面の全域、および前記第2外側板の内面の全域を覆うフィルムであり、
前記フィルムによって前記撥水面が実現されている、請求項3に記載の収容箱。
【請求項5】
前記フィルムが、前記ブランクの内面の全域を覆う、請求項4に記載の収容箱。
【請求項6】
各先端フラップの一部分が前記底板の底面に接合されており、
前記第1挿し込み口が、各先端フラップの両端部と前記底板の前記底面との間の隙間によって形成される、請求項2または3に記載の収容箱。
【請求項7】
2つの前記先端フラップ同士が互いに接合されており、
前記第1挿し込み口が、2つの前記先端フラップと前記底板の前記底面との間の隙間によって形成される、請求項2または3に記載の収容箱。
【請求項8】
板紙ブランクの内面に貼り付けられたフィルムをさらに含み、
前記フィルムが、前記ブランクの内面のうち、少なくとも前記底板の内面および前記4つの側板の内面を覆うフィルムであり、
前記挿し込み口が、前記第1側板と前記第1外側板とを繋ぐ第2折れ罫線に沿う切り込みによって形成された第2挿し込み口を含み、
前記第2挿し込み口の周囲において、前記底板の内面と前記フィルムとの間に接着剤が配置されておらず、
前記第2挿し込み口に挿し込まれた係止フラップが、前記フィルムと前記底板の内面との間に挟まれる、請求項1に記載の収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収容箱が知られている(特許文献1~3参照)。特許文献1,2に記載のトレーは、製函工場において、1枚の紙製ブランクを、機械作業で折り曲げ加工・糊付け加工することにより製函される。また、機械作業でなく、収容箱の使用者が手で組み立てる手組式の組立箱も知られている(特許文献3参照)。特許文献3に記載の組立箱は、内側板を内側に折り畳んで、底板に形成された係合穴に係合させることにより、使用者によって組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-6071号公報
【特許文献2】特開2009-29457号公報
【特許文献3】特開2016-130135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1,2のような食品を収容するための容器を、特許文献3のような手組式で設けることを検討している。しかし、特許文献3に示す方式では、内側板を内側に折り畳むために、紙粉等の異物が容器(収容箱)の内側に入り込むおそれがある。
【0005】
そのため、手組式の収容箱において、内部への異物混入を抑制または防止できる収容箱を提供することが求められている。
【0006】
そこで、この発明は、簡単に組み立てることができ、かつ内部への異物混入を抑制または防止できる収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態は、底部および胴部を有し、ブランクによって構成された収容箱であって、矩形の底板と、前記底板の四辺に連接された4つの側板と、互いに隣り合う前記側板に連接された4つのコーナー板であって、内面に形成された谷折れの第1折れ罫線を介して二つ折り可能なコーナー板と、前記4つの側板のうち互いに対向する第1側板において当該第1側板に連接された第1外側板と、前記第1外側板に連接された係止フラップとを含む、収容箱を提供する。そして、前記コーナー板が前記第1折れ罫線を介して二つ折り可能であり、かつ二つ折り状態の前記コーナー板が前記第1側板に対して外側に折り重ね可能である。そして、前記底板に関連して、前記第1外側板を前記第1側板に対して外側に折り重ねた状態で、前記係止フラップを挿し込んで係止するための挿し込み口が形成されている。
【0008】
この構成によれば、4つのコーナー板を、第1折れ罫線を介して二つ折り(谷折り)にしながら4つの側板を角筒状に起し、第1側板の両隣の二つ折り状態の2つのコーナー板を第1側板の外面に折り重ね、これらのコーナー板の上から、第1外側板および係止フラップを第1側板に対して外側に折り重ねる。そして、係止フラップを挿し込み口に挿し込むことにより、係止フラップが底板に係止される。これにより、収容箱を簡単に組み立てることができる。
【0009】
また、収容箱の組み立て時において、第1外側板および係止フラップを第1側板の外側に折り重ねるため、内部への、紙粉等の異物の混入を抑制または防止できる。
【0010】
ゆえに、簡単に組み立てることができ、かつ内部への異物混入を抑制または防止できる収容箱を提供できる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記収容箱が、前記4つの側板のうち前記第1側板と別の側板であって互いに対向する2つの第2側板において当該第2側板に連接された第2外側板と、各第1外側板に連接された先端フラップとをさらに含む。そして、前記第2外側板が外側に折り畳まれて、前記第2外側板が前記第2側板に対して外側に折り重ねられかつ前記先端フラップが前記底板の底面に重ねられている。そして、前記挿し込み口が、前記先端フラップの両端部と前記底板の前記底面との間の隙間によって形成される第1挿し込み口を含む。
【0012】
この構成によれば、第2外側板を第2側板に対して外側に折り重ね、かつ先端フラップを底板の底面に重ねることにより、先端フラップの両端部と底板の底面との間に隙間が形成される。この隙間が、係止フラップを挿し込むための第1挿し込み口として機能する。隙間が係止フラップと強固に係合することより、係止フラップの抜け止めを良好に実現できる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記ブランクの内面のうち、少なくとも前記底板の内面の全域、前記4つの側板の内面の全域、前記第1外側板の内面の全域、および前記第2外側板の内面の全域が撥水面である。
【0014】
この構成によれば、組み立てられた状態の収容箱において、胴部の内面全域、底部の内面全域および胴部の外面全域が撥水性を有する。そのため被収容物が液体を含む場合であっても、被収容物を良好に収容できる。とくに、胴部の外面全域が撥水性を有するために、横から液体が付着しても、胴部が強度を失うことを抑制または防止できる。
【0015】
この場合、前記収容箱が、前記ブランクの内面に貼り付けられたフィルムをさらに含んでもよい。前記フィルムが、前記ブランクの内面のうち、少なくとも前記底板の内面の全域、前記4つの側板の内面の全域、前記第1外側板の内面の全域、および前記第2外側板の内面の全域を覆うフィルムであってもよい。前記フィルムによって前記撥水面が実現されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、胴部の内面全域、底部の内面全域および胴部の外面全域が撥水性を有する構成を、簡単な構成で実現できる。
【0017】
前記フィルムが、前記ブランクの内面の全域を覆ってもよい。この構成によれば、胴部の内面全域、底部の内面全域および胴部の外面全域をフィルムで覆う構成を、簡単な構成で実現できる。
【0018】
この発明の一実施形態では、各先端フラップの一部分が前記底板の底面に接合されている。そして、前記第1挿し込み口が、各先端フラップの両端部と前記底板の前記底面との間の隙間によって形成される。
【0019】
この構成によれば、隙間と係止フラップとを強固に係合させることができ、これにより、係止フラップの抜け止めを良好に実現できる。
【0020】
この発明の一実施形態では、2つの前記先端フラップ同士が互いに接合されている。そして、前記第1挿し込み口が、2つの前記先端フラップと前記底板の前記底面との間の隙間によって形成される。
【0021】
この構成によれば、2つの先端フラップと底板の底面との接触面積を多く確保できるので、隙間と係止フラップとをより強固に係合させることができ、これにより、係止フラップの抜け止めをより一層良好に実現できる。
【0022】
この発明の一実施形態では、前記収容箱が、前記ブランクの内面に貼り付けられたフィルムをさらに含む。そして、前記フィルムが、前記ブランクの内面のうち、少なくとも前記底板の内面および前記4つの側板の内面を覆うフィルムである。そして、前記挿し込み口が、前記第1側板と前記第1外側板とを繋ぐ第2折れ罫線に沿う切り込みによって形成された第2挿し込み口を含む。そして、前記第2挿し込み口の周囲において、前記底板の内面と前記フィルムとの間に接着剤が配置されていない。そして、前記第2挿し込み口に挿し込まれた係止フラップが、フィルムと前記底板の内面との間に挟まれる。
【0023】
この構成によれば、第2挿し込み口の周囲に底板の内面とフィルムとの間に接着剤が配置されていないので、第2挿し込み口に係止フラップを良好に挿し込むことができ、挿し込まれた係止フラップを、フィルムと底板の内面との間で挟んで保持できる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、簡単に組み立てることができ、かつ内部への異物混入を抑制または防止できる収容箱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の第1実施形態に係る収容箱の斜視図である。
図2】前記収容箱に含まれる板紙ブランクの展開図である。
図3】前記収容箱に含まれるフィルムの展開図である。
図4】前記収容箱の折り畳み状態を示す平面図である。
図5】収容箱を下方から見た斜視図である。
図6】収容箱を下方から見た斜視図である。
図7】この発明の第2実施形態に係る収容箱に含まれる板紙ブランクの展開図である。
図8】前記収容箱の折り畳み状態を示す平面図である。
図9】収容箱を下方から見た斜視図である。
図10】この発明の第3実施形態に係る収容箱の斜視図である。
図11】前記収容箱に含まれる板紙ブランクの展開図である。
図12】前記収容箱に含まれるフィルムの展開図である。
図13】前記収容箱の拡大斜視図である。
図14】この発明の第1実施形態の第1変形例を説明するための斜視図である。
図15】この発明の第1実施形態の第2変形例を説明するための板紙ブランクの展開図である。
図16】前記板紙ブランクの拡大展開図である。
図17】前記第2変形例を説明するための斜視図である。
図18】この発明の第1実施形態の第3変形例の板紙ブランクの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の第1実施形態に係る収容箱1の斜視図である。
【0027】
収容箱1は、上面が開放された有底の方体状の箱状であり、手組式の紙製のトレーである。収容箱1は、平面視が略正方形状である。収容箱1は、上部開口2bおよび下部開口を有する四角筒状の胴部2と、胴部2の下部開口を閉塞する底部3とを備えている。上部開口2bおよび下部開口のサイズは、互いに同じである。
【0028】
収容箱1は、たとえば食品を収容するための容器である。収容箱1の内面、すなわち胴部2の内面2aおよび底部3の内面3aには、食品との接触による汚れを防止するためのフィルム4が積層配置されている。具体的には、収容箱1は、たとえば持ち帰り用の加工食品を被収容物として収容する。フィルム4の利点を活かすとすると、収容箱1に収容されるのに好適な食品として、表面に液体調味料が塗られた食品(焼きそばやたこ焼き等)や、液汁の出る食品(おでん等)、水分の出る食品(弁当等)、油を含む食品(から揚げ等、フライ等)を例示できる。収容箱1は、それ単体の状態で持ち運びされてもよいし、他の容器(弁当箱等)に収容された状態で持ち運びされてもよい。
【0029】
収容箱1は、折り畳み状態(図4参照)で、流通・販売される。そして、購入した使用者が、折り畳み状態の収容箱1を引き起こして、図1に示す状態に組み立てる。組み立てられた状態の収容箱1に、上記の被収容物が上部開口2bから収容される。
【0030】
胴部2は、収容箱1の起立状態で互いに対向する一対の第1側板21と、収容箱1の起立状態で互いに対向する一対の第2側板22とを備えている。第1側板21および第2側板22は、収容箱1の内面(内面2a,3a)を区画している。第1側板21および第2側板22は、収容箱1の起立状態で互いに隣接する。図1の例では、第2側板22の横幅が、第1側板21の横幅と同等にされているが、第1側板21の横幅よりも長くてもよいし、短くてもよい。胴部2は、第1側板21に横方向に重なる第1外側板33と、第2側板22に横方向に重なる第2外側板35とをさらに備えている。
【0031】
底部3は、矩形状(図1の例では、略正方形状)の底板31を備えている。
【0032】
図2は、収容箱1に含まれる板紙ブランク(ブランク)5の展開図である。図2に示すように、収容箱1は、一枚の板紙ブランク5から形成されている。板紙ブランク5において、底板31を取り囲むように、4つの側板(2つの第1側板21および2つの第2側板22)が連接されている。底板31の周囲に、4つの側板が、第1側板21、第2側板22、第1側板21および第2側板22の順で、時計回りに配置されている。2つの第1側板21は、横折れ罫線HL1を介して底板31に連接されている。2つの第2側板22は、縦折れ罫線VL1を介して底板31に連接されている。底板31の表面(図2における手前側の面)および側板21,22の表面(図2における手前側の面)が、起立状態にある収容箱1の内面に相当する。
【0033】
板紙ブランク5は、4つのコーナー板32をさらに備えている。各コーナー板32は、隣接する第1側板21および第2側板22の間に配置されており、隣接する側板21,22を連結する。各コーナー板32は、縦折れ罫線VL2を介して第1側板21に連接されており、横折れ罫線HL2を介して第2側板22に連なっている。
【0034】
板紙ブランク5は、2つの矩形状の第1外側板33と、2つの係止フラップ34とをさらに備えている。第1外側板33および係止フラップ34の組が、第1側板21に対応している。各第1外側板33は、横折れ罫線HL3を介して、対応する第1側板21に連接されている。各係止フラップ34は、横折れ罫線HL4を介して、対応する第1外側板33に連接されている。
【0035】
板紙ブランク5は、2つの矩形状の第2外側板35と、2つの先端フラップ36とをさらに備えている。第2外側板35および先端フラップ36の組が、第2側板22に対応している。各第2外側板35は、縦折れ罫線VL3を介して、対応する第2側板22に連接されている。各先端フラップ36は、縦折れ罫線VL4を介して、対応する第2外側板35に連接されている。底板31の裏面(図2において奥側の面)および外側板33,35の表面(図2における手前側の面)が、起立状態にある収容箱1の外面に相当する。
【0036】
各コーナー板32は、第1側板21に連なる第1半部32aと、第2側板22に連なる第2半部32bとを含む。第1半部32aと第2半部32bとの境界には、傾斜折れ罫線(第1折れ罫線)IL1が形成されている。すなわち、第1半部32aおよび第2半部32bは、傾斜折れ罫線IL1を介して互いに連接されている。図2の例では、傾斜折れ罫線IL1は、縦折れ罫線VL2および横折れ罫線HL2に対して約45°の角度をもってコーナー板32の先端縁まで延びている。傾斜折れ罫線IL1は、谷折れ罫線である。そのため、各コーナー板32を、傾斜折れ罫線IL1に沿って2つに谷折り(すなわち二つ折り)できる。
【0037】
板紙ブランク5は、平板状の板紙の所定位置に罫線(折れ罫線および歪吸収用罫線)を付し、かつ、プレス打ち抜き装置によって所定の形状に打ち抜くことにより形成される。板紙ブランク5は、上下左右対称である。図2において、谷折れ罫線を一点鎖線で示し、山折れ罫線を破線で示す。板紙ブランク5を構成する板紙は、たとえばコート紙である。この実施形態では、収容箱1としての強度の兼ね合いから、板紙として、坪量が270g/m以上400g/m以下のコート紙が採用されることが好ましい。坪量は一例であり、この範囲を超える坪量であってもよい。
【0038】
図3は、収容箱1に含まれるフィルム4の展開図である。板紙ブランク5の表面(内面、図2における手前側の面)がフィルム4によって覆われる。フィルム4は、たとえば透明な合成樹脂材料を用いて形成されている。フィルム4は、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。フィルム4には、撥水処理が施されていてもよい。フィルム4は、板紙ブランク5の表面の所定位置に所定の貼着箇所において、接着剤によって形成された貼着部37を介して貼着される(積層貼着)。貼着部37は、フィルム4の裏面(図3における奥側の面)と板紙ブランク5の表面との間に配置されるが、図示の関係上、図2には示さず図3に示す。
【0039】
貼着部37は、フィルム4が剥離可能な程度の強さで貼着されている。貼着部37は、フィルム4が剥離可能な接着剤によって板紙ブランク5の表面に貼着されていてもよいし、フィルム4と板紙ブランク5の表面とが熱溶着により、剥離可能に接合されていてもよい。たとえば、接着剤を用いて貼着する場合、剥離可能な接着剤は、たとえば、被接着物を容易に剥ぎ取ることのできるいわゆる軽剥離接着剤と呼ばれる剥離性接着剤であってもよい。剥離性接着剤は、たとえばエマルジョン型接着剤である。
【0040】
罫線が形成された後の板紙(板紙ブランク5の基になる板紙)の所定箇所に、接着剤によって貼着部37を形成し、その板紙の表面(図2の手前側の面に相当)に、フィルム(フィルム4の基になるフィルム)を貼り付ける。その後、板紙およびフィルムが打ち抜かれることにより、図2の板紙ブランク5の表面に図3のフィルム4が貼り付けられた状態が得られる。
【0041】
また、図2に示すように、先端フラップ36の裏面(外面)には、接着剤(糊)によって貼着部50が形成される。図2に示すように、貼着部50は、先端フラップ36の長手方向の両端部を除く領域(先端フラップ36の一部分)に形成される。
【0042】
そして、貼着部50(接着剤(糊))を形成した後、板紙ブランク5の第2外側板35および先端フラップ36を、横折れ罫線HL3を介して外側へ折り(山折りし)、先端フラップ36の裏面(外面)を貼着部50によって底板31の裏面(外面)に押し付ける。これにより、先端フラップ36が、底板31の外面(底面)に接合される。貼着部50が先端フラップ36の両端部に配置されておらず、そのため、先端フラップ36が底板31に接合された状態で、先端フラップ36の両端部と底板31の外面との間にそれぞれ隙間Cが形成される。この隙間Cは、係止フラップ34が挿し込まれる第1挿し込み口P1として機能する。
【0043】
上述のように、第2外側板35および先端フラップ36を第2側板22に対して折り曲げ、先端フラップ36を底板31の外面に接合(接着固定)することにより、収容箱1が形成される。このようにして得られる収容箱1は、図4に示す折り畳み状態にある。貼着部50への糊付け作業や、板紙ブランク5の折り曲げ作業、先端フラップ36の底板31への押し付け作業は、糊付け装置を用いて自動的に行われる。収容箱1は、この折り畳み状態(図4参照)で、流通・販売される。
【0044】
そして、収容箱1の使用前に、使用者が、折り畳み状態の収容箱1を引き起こして、図1に示す状態に組み立てる。具体的には、図4に示す折り畳み状態から、4つのコーナー板32を、谷折れ罫線からなる傾斜折れ罫線IL1を介して二つ折り(谷折り)にしながら、4つの側板21,22を角筒状に起こす。そして、第1側板21の両隣の2つのコーナー板32(二つ折り状態のコーナー板32)を第1側板21の外面に折り重ねる。そして、板紙ブランク5の第1外側板33および係止フラップ34を、縦折れ罫線VL3を介して外側へ折り(山折りし)、コーナー板32の上から、第1側板21の外面に折り重ねる。これにより、第1側板21の外面が、二つ折り状態の2つのコーナー板32を挟んで第1外側板33によって覆われる。
【0045】
図5および図6は、収容箱1を下方から見た斜視図である。図5は、係止フラップ34の係止後の状態を示し、図6は、係止フラップ34の係止前の状態を示す。
【0046】
図6に示すように、第1外側板33および係止フラップ34を第1側板21に対して折り曲げると、係止フラップ34が2つの隙間C(第1挿し込み口P1)に対向するようになる。そして、係止フラップ34を2つの隙間Cに挿し込むことで、係止フラップ34が隙間Cに係止される。図5に示す挿し込み状態では、係止フラップ34と2つの隙間C(第1挿し込み口P1)とが係合することにより、係止フラップ34の2つの隙間Cからの抜け防止が実現される。これにより、係止フラップ34の底板31への係止が実現される。
【0047】
収容箱1の使用後において、収容箱1の内面2a,3aからフィルム4を引き剥がして分離させてもよい。そして、使用者は、フィルム4が引き剥がされた後の収容箱1を展開し、板紙ブランク5に戻す。フィルム4は廃棄され、板紙ブランク5は回収されて再生紙へとリサイクルされる。
【0048】
以上により、この実施形態によれば、コーナー板32が傾斜折れ罫線IL1を介して二つ折り可能であり、かつ二つ折り状態のコーナー板32が第1側板21に対して外側に折り重ね可能である。そして、4つのコーナー板32を傾斜折れ罫線IL1を介して二つ折り(谷折り)にしながら、4つの側板21,22を角筒状に起し、第1側板21の両隣の二つ折り状態の2つのコーナー板32を第1側板21の外面に折り重ね、これらのコーナー板32の上から、第1外側板33および係止フラップ34を第1側板21の外面に折り重ねる。そして、各係止フラップ34を対応する第1挿し込み口P1に挿し込むことにより、各係止フラップ34が底板31に係止される。これにより、収容箱1を簡単に組み立てることができる。
【0049】
また、収容箱1の組み立て時において、第1外側板33および係止フラップ34を第1側板21の外側に折り重ねるため、組み立て時において、収容箱1の内部(内面)に紙粉等の異物が混入するのを抑制または防止できる。
【0050】
ゆえに、簡単に組み立てることができ、かつ内部への異物混入を抑制または防止できる収容箱1を提供できる。
【0051】
また、収容箱1の組み立て時に使用者が触るのは、第1外側板33および係止フラップ34や、底板31の外面、側板21,22の外面のみである。収容箱1の組み立て時において、底板31の内面(に対応するフィルム4の内面(表面))や側板21,22の内面(に対応するフィルム4の内面(表面))に使用者が触ることはない。特許文献3に示すような、内側板を内側に折り畳んで組立箱を手で組み立てる方式では、内側板を内側に折り畳む際に、内側板の内面に作業者(使用者)の手が触れてしまう。内側板の内面が組み立て後において収容箱の内面を構成するので、衛生上の観点(含:防菌、防ウィルスの観点)から、加工食品等を収容する収容箱としては、特許文献3のようなタイプの箱は好ましくない。そのため、手組式であっても衛生上の問題がなく、食品(加工食品等)を収容する食品収容用の収容箱1として用いることができる。
【0052】
ゆえに、簡単に組み立てることができ、かつ衛生上の問題点が生じない収容箱1を提供できる。
【0053】
また、板紙ブランク5の表面(内面)のうち、底板31の表面(内面)の全域、4つの側板21,22の表面(内面)の全域、第1外側板33の表面(内面)の全域、および第2外側板35の表面(内面)の全域が、フィルム4によって覆われている。すなわち、板紙ブランク5の表面のうち、底板31の表面の全域、4つの側板21,22の表面の全域、第1外側板33の表面の全域、および第2外側板35の表面の全域が撥水面である。そのため、組み立てられた状態の収容箱1において、胴部2の内面全域、底部3の内面全域および胴部2の外面全域が撥水性を有する。そのため、被収容物が液体を含む場合であっても、収容箱1によって被収容物を良好に収容できる。とくに、胴部2の外面全域が撥水性を有するために、横から(外側から)収容箱1に液体が付着しても、胴部2が強度を失うことを抑制または防止できる。
【0054】
また、フィルム4が板紙ブランク5の表面(内面)の全域を覆っているので、胴部2の内面全域、底部3の内面全域および胴部2の外面全域をフィルム4で覆う構成を、簡単な構成で実現できる。
【0055】
また、板紙ブランク5の第2外側板35を第2側板22に対して外側に折り重ね、先端フラップ36における両端部を除く領域を底板31の外面に接合することにより、先端フラップ36の両端部と底板31の外面との間に隙間Cが形成される。この隙間Cが、係止フラップ34を挿し込むための第1挿し込み口P1として機能する。隙間Cが係止フラップ34と強固に係合することより、係止フラップ34の抜け止めを良好に実現できる。
【0056】
図7は、この発明の第2実施形態に係る収容箱101に含まれる板紙ブランク105の展開図である。図8は、収容箱101の折り畳み状態を示す平面図である。図9は、収容箱101を下方から見た斜視図である。
【0057】
第2の実施形態(図7図9の実施形態)において、第1の実施形態(図1図6の実施形態)に共通する部分には、それぞれ、図1図6の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。
【0058】
第2の実施形態に係る収容箱101が、図1図6の実施形態に係る収容箱1と相違する点は、先端フラップ136,136A同士が互いに接合される点、および第1挿し込み口P1に代えて、第1挿し込み口P11を備えている点である。第1挿し込み口P11は、2つの先端フラップ136,136Aと底板31の外面(底面)との間の隙間C11によって形成されている。
【0059】
収容箱101は、板紙ブランク105を備えている。板紙ブランク105が板紙ブランク5と相違する点は、先端フラップ36に代えて先端フラップ136,136Aを備えている点にある。その余の点において、板紙ブランク105は板紙ブランク5と共通している。収容箱101に含まれるフィルムは、板紙ブランク105に整合する形状(板紙ブランク105の表面(内面)全域を覆うことができる形状)を有している。このフィルムは、形状を除き、フィルム4と同等の構成である。
【0060】
図7の例では、先端フラップ136は、2つの第2外側板35のうち一方の第2外側板35に、縦折れ罫線VL4を介して連接されている。先端フラップ136Aは、2つの第2外側板35のうち他方の第2外側板35に、縦折れ罫線VL4を介して連接されている。先端フラップ136は、先端フラップ36と同等の構成である。先端フラップ136Aは、先端フラップ136に比べて、フラップ長さが長い。
【0061】
先端フラップ136の裏面(外面)には、接着剤(糊)によって貼着部150が形成されている。図7に示すように、貼着部150は、先端フラップ136の長手方向の略全域に配置される。
【0062】
そして、貼着部150(接着剤)を形成した後、板紙ブランク105の一方の第2外側板35および先端フラップ136を、横折れ罫線HL3を介して外側へ折り(山折りし)、かつ板紙ブランク105の他方の第2外側板35および先端フラップ136Aを、横折れ罫線HL3を介して外側へ折る(山折り)。このとき、底板31の裏面(外面)側において先端フラップ136と先端フラップ136Aの先端部とが重なり、先端フラップ136の裏面(外面)と先端フラップ136Aの先端部の表面(内面)とが対向するようになる。そして、先端フラップ136の裏面を貼着部150を介して先端フラップ136Aの先端部の表面(内面)に押し付ける。これにより、先端フラップ136が、先端フラップ136Aの先端部と接合される。先端フラップ136,136Aと底板31の外面(底面)との間に隙間C11が形成される。この隙間C11は、係止フラップ34が挿し込まれる第1挿し込み口P11として機能する。
【0063】
先端フラップ136,136A同士を接合することにより、収容箱101が形成される。このようにして得られる収容箱101は、図8に示す折り畳み状態にある。貼着部150への糊付け作業や、板紙ブランク105の折り曲げ作業、先端フラップ136,136A同士の押し付け作業は、糊付け装置を用いて自動的に行われる。収容箱101は、図8に示す折り畳み状態で、流通・販売される。
【0064】
そして、第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様、収容箱101の使用前に、使用者が、図8に示す折り畳み状態の収容箱101を引き起こして、図9に示す状態に組み立てる。
【0065】
第1外側板33および係止フラップ34を第1側板21に対して折り曲げると、係止フラップ34が隙間C11(第1挿し込み口P11)に対向するようになる。そして、係止フラップ34を隙間C11に挿し込むことで、係止フラップ34が隙間C11に係止される。図9に示す挿し込み状態では、係止フラップ34と隙間C11(第1挿し込み口P1)とが係合することにより、係止フラップ34の隙間C11からの抜け防止が実現される。これにより、係止フラップ34の底板31への係止が実現される。
【0066】
以上により、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。そして、第1実施形態に加え、互いに接合される2つの先端フラップ136,136Aと底板31の外面(底面)との間の隙間C11によって第1挿し込み口P11が形成されるので、係止フラップ34と2つの先端フラップ136,136Aとの接触面積を多く確保でき、その結果、隙間C11と係止フラップ34とをより強固に係合させることができ、これにより、係止フラップ34の抜け止めをより一層良好に実現できる。
【0067】
なお、第2実施形態において、図9等では、先端フラップ136Aの先端部に対し先端フラップ136が下(外側)から接合する構成を示しているが、逆に、先端フラップ136に対し先端フラップ136Aの先端部が下(外側)から接合する構成であってもよい。
【0068】
図10は、この発明の第3実施形態に係る収容箱201の斜視図である。図10では、前述の第1実施形態と同等の構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する(以下、図11図13において同じ)。
【0069】
収容箱201は、上面が開放された有底の直方体状の箱状であり、手組式の紙製のトレーである。収容箱201は、平面視が略長方形状である。収容箱201は、上部開口202bおよび下部開口を有する四角筒状の胴部202と、胴部202の下部開口を閉塞する底部203とを備えている。上部開口202bおよび下部開口のサイズは、互いに同じである。
【0070】
収容箱201は、第1実施形態に係る収容箱1と同様、たとえば食品(より具体的には、持ち帰り用の加工食品)を被収容物として収容する容器である。収容箱201は、板状状態(板紙ブランク205とフィルム204とを貼り合わせた状態)で流通・販売され、購入した使用者によって引き起こされて図10に示す状態に組み立てられた状態で使用される。組み立てられた状態の収容箱201に、上記の被収容物が上部開口202bから収容される。
【0071】
胴部202は、収容箱201の起立状態で互いに対向する一対の第1側板221と、収容箱201の起立状態で互いに対向する一対の第2側板222とを備えている。第1側板221および第2側板222は、収容箱201の内面(内面202a,203a)を区画している。第1側板221および第2側板222は、収容箱201の起立状態で互いに隣接する。図10の例では、第2側板222の横幅が、第1側板221の横幅よりも長くされているが、第1側板221の横幅と同等であっても短くてもよい。胴部202は、第1側板221に横方向に重なる外側板(第1外側板)233をさらに備えている。
【0072】
底部203は、矩形状(図10の例では長方形状)の底板231を備えている。
【0073】
図11は、収容箱201に含まれる板紙ブランク205の展開図である。図11に示すように、収容箱201は、一枚の板紙ブランク(ブランク)205から形成されている。板紙ブランク205において、底板231を取り囲むように、4つの側板(2つの第1側板221および2つの第2側板222)が連接されている。底板231の周囲に、4つの側板が、第1側板221、第2側板222、第1側板221および第2側板222の順で、時計回りに配置されている。2つの第1側板221は、横折れ罫線(第2折れ罫線)HL11を介して底板231に連接されている。2つの第2側板222は、縦折れ罫線VL11を介して底板231に連接されている。底板231の表面(図11における手前側の面)および側板221,222の表面(図11における手前側の面)が、起立状態にある収容箱201の内面に相当する。
【0074】
横折れ罫線(第2折れ罫線)HL11の両端部を除く部分には、切り込みNが形成されている。切り込みNは、次に述べる係止フラップ234を挿し込んで係止するための第2挿し込み口P2を形成する。
【0075】
板紙ブランク205は、4つのコーナー板232をさらに備えている。各コーナー板232は、隣接する第1側板221および第2側板222の間に配置されており、隣接する側板221,222を連結する。各コーナー板232は、縦折れ罫線VL12を介して第1側板221に連接されており、横折れ罫線HL2を介して第2側板222に連なっている。
【0076】
板紙ブランク205は、2つの矩形状の外側板233と、2つの係止フラップ234とをさらに備えている。外側板233および係止フラップ234の組が、第1側板221に対応している。各外側板233は、横折れ罫線HL13を介して、対応する第1側板221に連接されている。外側板233は、底板231の一側辺231aの両端部を除く部分から突出している。外側板233は、底板231から離れるに従って幅狭になる台形状である。各係止フラップ234は、横折れ罫線HL14を介して、対応する外側板233に連接されている。外側板233が、矩形等、他の形状であってもよい。
【0077】
各コーナー板232は、第1側板221に連なる第1半部232aと、第2側板222に連なる第2半部232bとを含む。第1半部232aと第2半部232bとの境界には、傾斜折れ罫線(第1折れ罫線)IL11が形成されている。すなわち、第1半部232aおよび第2半部232bは、傾斜折れ罫線IL11を介して互いに連接されている。図11の例では、傾斜折れ罫線IL11は、縦折れ罫線VL12および横折れ罫線HL12に対して約45°の角度をもってコーナー板232の先端縁まで延びている。傾斜折れ罫線IL11は、谷折れ罫線である。そのため、各コーナー板232を、傾斜折れ罫線IL11に沿って2つに谷折り(すなわち二つ折り)できる。
【0078】
板紙ブランク205は、平板状の板紙の所定位置に罫線(折れ罫線および歪吸収用罫線)を付し、かつ、プレス打ち抜き装置によって所定の形状に打ち抜くことにより形成される。板紙ブランク205は、上下左右対称である。図11において、谷折れ罫線を一点鎖線で示し、山折れ罫線を破線で示す。板紙ブランク205を構成する板紙は、たとえばコート紙である。この実施形態では、収容箱1としての強度の兼ね合いから、板紙として、坪量が270g/m以上400g/m以下のコート紙が採用されることが好ましい。坪量は一例であり、この範囲を超える坪量であってもよい。
【0079】
図12は、収容箱201に含まれるフィルム204の展開図である。板紙ブランク205の表面(内面、図11における手前側の面)がフィルム204によって覆われる。フィルム204は、たとえば透明な合成樹脂材料を用いて形成されている。フィルム204は、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。フィルム204は、合成樹脂製に限られず、紙製であってもよい。フィルム204は、板紙ブランク205の表面の所定位置に所定の貼着箇所において、接着剤によって形成された貼着部237を介して貼着される(積層貼着)。貼着部237は、フィルム204の裏面(図12における奥側の面)と板紙ブランク205の表面との間に配置されるが、図示の関係上、図11には示さずに図12に示す。
【0080】
底板231における、両端部を除く一側辺231aの周囲部分(切り込みNの周囲部分)には、貼着部237が形成されていない。これは、切り込みNから係止フラップ234を挿し込み可能とするように、当該周囲部分に貼着部237を形成したものである。
【0081】
貼着部237は、フィルム204が剥離可能な程度の強さで貼着されている。貼着部237は、フィルム204が剥離可能な接着剤によって板紙ブランク205の表面に貼着されていてもよいし、フィルム204と板紙ブランク205の表面とが熱溶着により、剥離可能に接合されていてもよい。たとえば、接着剤を用いて貼着する場合、剥離可能な接着剤は、たとえば、被接着物を容易に剥ぎ取ることのできるいわゆる軽剥離接着剤と呼ばれる剥離性接着剤であってもよい。剥離性接着剤は、たとえばエマルジョン型接着剤である。
【0082】
罫線が形成された後の板紙(板紙ブランク205の基になる板紙)の所定箇所に、接着剤によって貼着部237を配置し、その板紙の表面(図11の手前側の面に相当)に、フィルム(フィルム204の基になるフィルム)を貼り付ける。その後、板紙およびフィルムが打ち抜かれることにより、図11の板紙ブランク205の表面に図12のフィルム204が貼り付けられた状態が得られる。
【0083】
罫線が形成された後の板紙(板紙ブランク205の基になる板紙)の所定箇所に、接着剤によって貼着部237を配置し、その板紙の内面(図11の手前側の面に相当)に、フィルム(フィルム204の基になるフィルム)を貼り付ける。その後、板紙およびフィルムが打ち抜かれることにより、図11の板紙ブランク205の内面に図12のフィルム204が貼り付けられた板状状態が得られる。この状態を、以下、板状状態という。この板状状態で収容箱201が得られる。収容箱201は、この板状状態で、流通・販売される。
【0084】
そして、収容箱201の使用前に、使用者が、折り畳み状態の収容箱1を引き起こして、図10に示す状態に組み立てる。具体的には、板状状態から、4つのコーナー板232を、谷折れ罫線からなる傾斜折れ罫線IL11を介して二つ折り(谷折り)にしながら、4つの側板221,222を角筒状に起こす。そして、第1側板221の両隣の2つのコーナー板232(二つ折り状態のコーナー板232)を第1側板221の外面に折り重ねる。そして、板紙ブランク205の第1外側板233および係止フラップ234を、縦折れ罫線VL13を介して外側へ折り(山折りし)、コーナー板232の上から、第1側板221の外面に折り重ねる。これにより、第1側板221の外面が、二つ折り状態の2つのコーナー板232を挟んで第1外側板233によって覆われる。
【0085】
図13は、組み立て後の収容箱201の拡大斜視図である。
【0086】
図13に示すように、第1外側板233および係止フラップ234を第1側板221に対して折り曲げると、係止フラップ234が切り込みN(第2挿し込み口P2)に対向するようになる。そして、係止フラップ234を切り込みNに挿し込むことで、係止フラップ234が切り込みNに係止される。第2挿し込み口P2の周囲に底板231の内面とフィルム204との間に接着剤が配置されていない(すなわち、貼着部237が配置されていない)ので、第2挿し込み口P2に係止フラップ234を良好に挿し込むことができ、挿し込まれた係止フラップ234を、フィルム204と底板231の内面との間で挟んで保持できる。これにより、係止フラップ234の切り込みNからの抜け防止を実現でき、ゆえに、係止フラップ234の底板231への強固な係止が実現される。
【0087】
収容箱201の使用後において、収容箱201の内面202a,203aからフィルム204を引き剥がして分離させてもよい。そして、使用者は、フィルム204が引き剥がされた後の収容箱201を展開し、板紙ブランク205に戻す。フィルム204は廃棄され、板紙ブランク205は回収されて再生紙へとリサイクルされる。
【0088】
以上により、この実施形態によれば、コーナー板232が傾斜折れ罫線IL11を介して二つ折り可能であり、かつ二つ折り状態のコーナー板232が第1側板221に対して外側に折り重ね可能である。そして、4つのコーナー板232を傾斜折れ罫線IL11を介して二つ折り(谷折り)にしながら、4つの側板221,222を角筒状に起し、第1側板221の両隣の二つ折り状態の2つのコーナー板232を第1側板221の外面に折り重ね、これらのコーナー板232の上から、第1外側板233および係止フラップ234を第1側板221の外面に折り重ねる。そして、各係止フラップ234を対応する第2挿し込み口P2に挿し込むことにより、各係止フラップ234が底板231に係止される。これにより、収容箱201を簡単に組み立てることができる。
【0089】
また、収容箱201の組み立て時において、第1外側板233および係止フラップ234を第1側板221の外側に折り重ねるため、収容箱201の内部(内面)に紙粉等の異物が混入するのを抑制または防止できる。
【0090】
ゆえに、簡単に組み立てることができ、かつ内部への異物混入を抑制または防止できる収容箱201を提供できる。
【0091】
また、収容箱201の組み立て時に使用者が触るのは、第1外側板233および係止フラップ234や、底板231の外面、側板221,222の外面のみである。収容箱1の組み立て時において、底板231の内面(に対応するフィルム204の内面(表面))や側板221,222の内面(に対応するフィルム204の内面(表面))に使用者が触ることはない。特許文献3に示すような、内側板を内側に折り畳んで組立箱を手で組み立てる方式では、内側板を内側に折り畳む際に、内側板の内面に作業者(使用者)の手が触れてしまう。内側板の内面が組み立て後において収容箱の内面を構成するので、衛生上の観点(含:防菌、防ウィルスの観点)から、加工食品等を収容する収容箱としては、特許文献3に示すような箱は好ましくない。そのため、手組式であっても衛生上の問題がなく、食品(加工食品等)を収容する食品収容用の収容箱201として用いることができる。
【0092】
ゆえに、簡単に組み立てることができ、かつ衛生上の問題点が生じない収容箱201を提供できる。
【0093】
また、板紙ブランク205の表面(内面)にフィルム204が貼り付けられている。板紙ブランク205の表面のうち少なくとも底板231の表面(内面)および4つの側板221,222の表面(内面)が、フィルム204によって覆われているので、組み立てられた状態の収容箱201において、収容箱201の内面全域がフィルム204で覆われている。そのため、内面全域がフィルム204で覆われた構成の収容箱201を、簡単な構成によって実現できる。
【0094】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
【0095】
たとえば、図14に示すように、第1実施形態に係る収容箱1において、係止フラップ34に代えて、2つの係止部134を先端に有する係止フラップ34Aを設けてもよい。この場合、隙間(隙間C、隙間C11)と係止フラップ34Aとを強く係合させることができる。これにより、係止フラップ34Aが挿し込み口(第1挿し込み口P1、第1挿し込み口P11)から予期せずに外れることを、抑制または防止できる。図14の変形例は、第2実施形態に係る収容箱101に適用してもよい。
【0096】
また、図15図17に示すように、第1実施形態に係る収容箱1において、第2外側板35に連接するフラップ板137を設け、フラップ板137の下側の根元部に係合爪138を設けてもよい。
【0097】
フラップ板137は、横折れ罫線HL5を介して第2外側板35に連接されている。各係合爪138の下縁138aは、直線状であるが、縦折れ線V3の延長線に対し傾斜している。すなわち、フラップ板137を閉じた状態において、各係合爪138の下縁138aが、底板31よりも下方に突出している。そのため、係止フラップ34を隙間(隙間C、隙間C11)に挿入して係合させた状態で、各係止フラップ34が対応する2つの係合爪138と弾性的に係合するようになる。これにより、隙間(隙間C、隙間C11)と係止フラップ34とをより強固に係合させることができ、ゆえに、係止フラップ34の抜け止めをより一層良好に実現できる。係合爪138の傾斜角度α(図16参照)は、たとえば約1°~約89°(より好ましくは、約1°~約60°)である。なお。図15図17の例では、先端フラップ36の両端縁に、係合爪138が逃げるための逃げ用凹所139が形成されている。図15図17の変形例を、第2実施形態に係る収容箱101に適用してもよい。
【0098】
また、図18に示すように、第1実施形態の第2変形例に係る収容箱1において、係合爪138に加え、係合爪138が係合する係合溝140を設けてもよい。図18に示す変形例を第3変形例とする。
【0099】
第3変形例において、係合溝140は、第1外側板33と係止フラップ34との境界部分の両端縁に、横折れ罫線HL3に沿う直線状に形成されている。係合溝140は、合計4つ形成されており、両端縁から内方に向けて延びる切り込みである。係合溝140は、係合爪138に一対一対応している。係合溝140は、対応する係合爪138に対向している。図18の例では、図15図17と同様に、逃げ用凹所139も形成されている。
【0100】
係止フラップ34を隙間(隙間C、隙間C11)に挿入すると、係止フラップ34が、係合爪138を対応する係合溝140に案内する。このとき、係合爪138によって押圧された係止フラップ34は、収容箱1の外方に弾性変形する。その後、係止フラップ34がさらに深く挿入すると、係合爪138が係合溝140に嵌る(係合する)ようになり、外方へ弾性変形していた係止フラップ34が元の形状に復元して、係合爪138と係合溝140とがスナップ係合する。これにより、隙間(隙間C、隙間C11)と係止フラップ34とをより強固に係合させることができ、ゆえに、係止フラップ34の抜け止めをより一層良好に実現できる。
【0101】
第3変形例において、係合爪138の傾斜角度α(図16参照)は、たとえば約1°~約89°(より好ましくは、約1°~約60°)であってもよい。
【0102】
第3変形例では、収容箱1の縦および横の寸法比、縦および高さの寸法比ならびに横および高さの寸法比のいずれもが、第2変形例(図15図17)と異なっている場合を例に挙げている。しかし、これらの寸法比が、第2変形例と同じであってもよい。むろん、これらの寸法比を、図15図18に示す以外の寸法比としてもよい。
【0103】
なお、第1および第2実施形態において、図14の変形例(第1変形例)ならびに図15図18の変形例(第2変形例および第3変形例の一方)の双方が適用されていてもよい。
【0104】
また、板紙ブランク5,105,205を、コート紙を用いて形成するとして説明したが、コート紙に限られず、板紙として、紙器用板紙、雑板紙等が用いられてもよい。紙器用板紙の一例は、段ボール原紙である。
【0105】
また、収容箱1,101,201は、上記の持ち帰り用食品の他、他の食品の収容に用いることができる。とくに、液体を冷やして固める羊羹やアイスクリームの収容(含:製造)に用いることができる。また、収容箱1,101,201を食品でなく、他のものを収容に用いることもできる。
【0106】
収容箱1,101,201が撥水面を有しているため、収容箱1,101,201を、液体を収容するための容器として使用することもできる。このとき、収容箱1,101,201の高さを大きく設定すれば、収容箱1,101,201を、液体を収容するカップとして使用できる。そして、収容箱1,101,201に液体を収容する場合、簡易トイレや、検尿用の容器としても用いることができる。
【0107】
また、第1および第2実施形態において、板紙ブランク5,105に対するフィルム4の接着に関し、貼着部37を点在配置する構成について説明したが、点在配置を採用せずに、板紙ブランク5,105に対しフィルム4を全面接着(板紙ブランク5,105の内面の全面に接着剤を配置)させてもよい。
【0108】
また、第1および第2実施形態において、フィルム4を省略してもよい。この場合、板紙ブランク5,105の表面(内面)に撥水性を担持させるために、板紙ブランク5,105の表面に撥水処理が施されていてもよい。少なくとも板紙ブランク5の内面のうち、底板31の表面(内面)の全域、4つの側板21,22の表面(内面)の全域、第1外側板33の表面(内面)の全域、および第2外側板35の表面(内面)の全域に撥水処理が施されていれば、組み立てられた状態の収容箱1,101において、胴部2の内面全域、底部3の内面全域および胴部2の外面全域が撥水性を有するようになる(撥水面)。
【0109】
また、第1および第2実施形態において、フィルム4を省略する場合において、胴部2の内面、底部3の内面および胴部2の外面に撥水性を発揮させる必要がない場合に、板紙ブランク5,105の表面(内面)に撥水処理を施さなくてもよい。
【0110】
また、ブランク(板紙ブランク5,105,205)が、樹脂板(より具体的には、たとえば塩ビ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテフタレート(PET)等を用いて形成された透明樹脂板)等を用いて形成されていてもよい。
【0111】
また、収容箱1,101,201は、蓋を有する有蓋式のものであってもよい。
【0112】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 :収容箱
4 :フィルム
5 :板紙ブランク(ブランク)
21 :第1側板
22 :第2側板
31 :底板
32 :コーナー板
33 :第1外側板
34 :係止フラップ
34A:係止フラップ
35 :第2外側板
36 :先端フラップ
101 :収容箱
105 :板紙ブランク(ブランク)
136 :先端フラップ
136A:先端フラップ
201 :収容箱
204 :フィルム
205 :板紙ブランク(ブランク)
221 :第1側板
222 :第2側板
231 :底板
232 :コーナー板
233 :外側板
234 :係止フラップ
C1 :隙間
C11 :隙間
HL11:横折れ罫線(第2折れ罫線)
IL1 :傾斜折れ罫線(第1折れ罫線)
N :切り込み
P1 :第1挿し込み口
P2 :第2挿し込み口
P11 :第1挿し込み口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18