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特開2023-165657スイッチ制御回路およびスイッチング制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165657
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】スイッチ制御回路およびスイッチング制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20231109BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20231109BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075598
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】2206590.8
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】512006527
【氏名又は名称】ティーディーケイ-ラムダ ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TDK-Lambda UK Limited
【住所又は居所原語表記】Kingsley Avenue Ilfracombe Devon EX34 8ES United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】ドボシュ,レオナード
(72)【発明者】
【氏名】ニュー,アンソニー
【テーマコード(参考)】
5H740
【Fターム(参考)】
5H740BB05
5H740BB07
5H740BB08
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された適応デッドタイムのスイッチ制御回路、方法及び電圧センサを提供する。
【解決手段】ハーフブリッジトポロジ1において、スイッチ制御回路10は、第1、第2のスイッチ4、5、その間に結合されたスイッチングノード6を備え、ハーフブリッジトポロジのスイッチングを制御する。駆動配置101、104、105は、第1、第2のスイッチを交互に開閉制御し、一方のスイッチ4の開放と他方のスイッチ5の閉止との間にデッドタイム期間を適用する。スイッチングノードに接続される電圧センサ106は、デッドタイム期間中、高電圧状態と低電圧状態との間を遷移する際、検出した電圧に基づいてフィードバックを提供し、スイッチの一方が開放される時間から、検出した電圧が高電圧状態と低電圧状態との間に設定された閾値を通過する時間まで測定した第1の時間期間と乗算係数とに基づいてデッドタイム期間の長さを設定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチ、第2のスイッチ、およびその間に結合されたスイッチングノードを備えるトポロジにおけるスイッチングを制御するためのスイッチ制御回路であって、
前記制御回路は、
前記第1および前記第2のスイッチを交互に開閉するように制御するドライバ配置であって、使用時に一方のスイッチの開放と他方のスイッチの閉止との間にデッドタイム期間が適用される、ドライバ配置と、
前記デッドタイム期間中に、高電圧状態と低電圧状態との間を遷移する際に、検出された電圧に基づいてフィードバックを提供するために、前記スイッチングノードに接続する電圧センサと、を備え、
ここで、前記制御回路は、測定された第1の時間期間と乗算係数とに基づいて前記デッドタイム期間の長さを設定するように構成され、
前記第1の時間期間は、前記スイッチの一方が開放される時間から、検出された電圧が高電圧状態と低電圧状態との間に設定された閾値を通過する時間まで測定される、
ことを特徴とするスイッチ制御回路。
【請求項2】
前記閾値は、前記高電圧状態と前記低電圧状態との間の中点電圧である、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ制御回路。
【請求項3】
前記閾値は、前記高電圧状態における電圧の半分の電圧である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ制御回路。
【請求項4】
前記乗算係数は、1以上5以下である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項5】
前記乗算係数は2である、
ことを特徴とする請求項4に記載のスイッチ制御回路。
【請求項6】
前記ドライバ配置は、前記ハイサイド・スイッチを駆動するためのハイサイド・ドライバと、前記ローサイド・スイッチを駆動するためのローサイド・ドライバとを備える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項7】
前記ドライバ配置を制御し、前記デッドタイム期間の長さを設定するためのプロセッサをさらに備え、
前記プロセッサは、前記電圧センサからのフィードバックに基づいて、前記スイッチのうちの1つが開放した時間から、前記検出された電圧が前記閾値を介して遷移する時間までである前記第1の時間期間を測定する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項8】
前記電圧センサは、リアクティブ型分圧器を備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項9】
前記電圧センサはさらに、バイアス回路を備え、
前記バイアス回路は、前記制御回路の検出可能閾値に対応するバイアス電圧を供給する、
ことを特徴とする請求項8に記載のスイッチ制御回路。
【請求項10】
前記バイアス回路はさらに、前記バイアス電圧を分圧するための分圧器配置における第1および第2の抵抗を備える、
ことを特徴とする請求項9に記載のスイッチ制御回路。
【請求項11】
前記電圧センサは出力を備え、
前記スイッチングノード電圧が前記閾値を介して遷移した際に、前記出力上にフィードバック信号を生成するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項12】
前記トポロジは、ハーフブリッジ、フルブリッジ、または3相トポロジである、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項13】
前記トポロジは、2つのローサイド・スイッチ、または2つのハイサイド・スイッチを使用する、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のスイッチ制御回路。
【請求項14】
第1のスイッチ、第2のスイッチ、およびその間に結合されたスイッチングノードを備えるトポロジにおけるスイッチングを制御する方法であって、
ドライバ配置を使用して、第1および第2のスイッチを交互に開閉するように制御するステップと、ここで、一方のスイッチが開放されてから他方のスイッチが閉止するまでの間にデッドタイム期間が適用され、
前記デッドタイム期間中に前記スイッチングノードが高電圧状態と低電圧状態との間を遷移する際に、前記スイッチングノードに接続される電圧センサによって検出された電圧に基づくフィードバックを受信するステップと、および、
測定された第1の時間期間と乗算係数とに基づいて前記デッドタイム期間の長さを設定するステップとを備え、
前記第1の時間期間は、前記スイッチの1つが開放された時間から、検出された電圧が高電圧状態と低電圧状態の間に設定された閾値を通過する時間まで測定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記閾値は、前記高電圧状態における電圧の半分の電圧である、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記乗算係数が2である、
ことを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記乗算係数が適用される前または後にドライバ遅延が加算または減算される、
ことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記トポロジは、ハーフブリッジ、フルブリッジ、または3相トポロジである、
ことを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記トポロジは、2つのローサイド・スイッチまたは2つのハイサイド・スイッチを使用する、
ことを特徴とする請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
高電圧状態と低電圧状態との間で変化する検出されたノード電圧に基づいてフィードバックを提供するための電圧センサであって、
前記電圧センサは、
リアクティブ型分圧器と、
前記高電圧状態に対応するバイアス電圧を供給するためのバイアス回路 であって、閾値を設定するために前記バイアス電圧を分圧するための分圧器配置における第1および第2の抵抗器を備えるバイアス回路と、および、
フィードバック信号用の出力と、を備え、
前記電圧センサは、前記ノード電圧が前記閾値を通過する際に前記出力上に前記フィードバック信号を生成するように構成される、
ことを特徴とする電圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチングトポロジ、特にハーフブリッジ型またはフルブリッジ型トポロジにおけるスイッチングを制御するためのスイッチ制御回路に関する。本開示は、特に、パワーエレクトロニクス用途においてハーフブリッジ型およびフルブリッジ型トポロジを駆動するための適応デッドタイムスイッチコントローラ、およびスイッチモード電源コントローラに関連する。本開示はまた、スイッチングを制御する方法、およびスイッチコントローラを組み込んだ電源にも関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、DC-ACインバータおよびDC-DCコンバータ用途で一般的に使用されるハーフブリッジ型トポロジ1を示す。このトポロジでは、2つのMOSFETスイッチデバイス4,5が直列に接続されており、これらのデバイスは、それぞれのゲート41,51に印加される2つの相補的な駆動信号によって駆動され、それぞれのデューティサイクルは約50%である。動作を維持し効率を向上させるためには、スイッチング動作中の電力損失がゼロになるように、スイッチモード電源のこのようなスイッチデバイスがソフトスイッチングすることが望ましい。そのため、MOSFETスイッチデバイス4,5がオンまたはオフされる際に、理想的には、それらを横切る電圧と電流の流れがゼロになる必要がある。これを容易にするために、一方のスイッチを開放して他方のスイッチを閉止する間に、デッドタイムが設けられる。
【0003】
図2は、ハイサイド・スイッチデバイスHS1(図1の4)を駆動する信号と、ローサイド・スイッチデバイスLS1(図1の5)を駆動する信号と、およびスイッチングノード信号SN1(図1の出力6)を示す概略グラフである。図2において、デッドタイムは、灰色の領域8に示されており、これは、両方のスイッチデバイス4,5がオフでありこれらのデバイスを駆動する信号がローに維持されている時間量である。図に示すように、LS1がローに維持されたまま、点7でHS1がローになると、SN1信号が高電圧状態から立下り遷移する。SN1信号のドレイン-ソース間電圧(VDS)がゼロボルトまたはそれに近い低電圧状態まで低下した後まで、LS1をオン(図2の低電圧点9)にしないことで、効率の向上が達成される。したがって、デッドタイム期間8の設定は、効率的な動作を実現するために重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この観点において、従来、ハーフブリッジ型トポロジのスイッチ駆動用コントローラは、固定値のデッドタイムを適用する。しかしながら、SN1信号の立ち下がり遷移にかかる時間は、特定の動作条件下で変化する可能性がある。このようなシナリオでは、固定されたデッドタイムが短すぎたり長すぎたりすると効率が低下する。例えば、図3は、デッドタイムの設定が短すぎるため、ハードスイッチングが発生し、その結果、デバイスに電力損失を引き起こすシナリオを示す。実際には、このハードスイッチングは、ゲート信号に影響を及ぼし、これはミラー・プラトー(Miller Plateaux)を呈することになる。図4は、逆にデッドタイムの設定が長すぎる場合のシナリオを示す。ここでは、最初のSN1電圧降下の後、共振電流がゼロを通過し、再び電圧を引き上げ始める。これもまたハードスイッチングと電力損失の原因となるため、効率を低下させ、部品が損傷する可能性を高める。
【0005】
上記の問題に対処するため、より洗練されたコントローラには、スイッチングノード信号SN1がその低電圧状態(すなわち、ゼロ電圧またはゼロに近い値)に達した際のモニタリングに基づいて、デッドタイムに可変長を適用しようとするものがある。そのため、スイッチングノードの電圧遷移が最小閾値に達した瞬間が、デッドタイム期間の停止を決定するために使用される。わずかなモニタリング遅延を除けば、電源スイッチがオン状態とオフ状態の間でほぼ一定のドレイン容量を持ち、したがって図5に示すような線形のSN1電圧遷移を示す場合、このアプローチは一般にうまく機能する。しかし、実際には、ドレイン容量がほぼ一定である電源スイッチは稀である。
【0006】
これに関連して、シリコンスーパージャンクション技術を用いたMOSFETのような最新のパワーデバイスでは、ドレイン容量がON状態とOFF状態の間で2桁も変化する可能性がある(例えば、ピコ・ファラッドからナノ・ファラッドへ)。このような状況では、図6に示すように、SN1の電圧遷移は3つの傾きを示す。その結果、スイッチングノード電圧が低電圧状態にいつ達したかを検出するのは極めて困難である。炭化ケイ素やGANなどの他の技術では、静電容量の変化が小さくても同じ問題が生じる。そのため、ローサイド・スイッチデバイスLS1が早すぎるタイミングでオンしてしまい、寄生容量42,52に蓄積されたエネルギーをデバイスが散逸してしまう可能性がある。さらに、電源装置のようなノイズの多い環境では、真の低電圧状態(例えば0V)を検出することも困難である。従って、より高度な従来型コントローラであっても、ハードスイッチングが発生する可能性がある。
【0007】
上記ではハーフブリッジ型トポロジ1について説明したが、上記のデッドタイムの問題は、フルブリッジ型トポロジや他のスイッチングトポロジにも同様に当てはまることが理解されよう。
【0008】
従って、改良された適応デッドタイム制御回路、およびパワーエレクトロニクスデバイスの制御方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、第1のスイッチ、第2のスイッチ、およびその間に結合されるスイッチングノードを備えるトポロジのスイッチングを制御するためのスイッチ制御回路が提供される。この制御回路は、第1および第2のスイッチを交互に開閉するよう制御するためのドライバ配置であって、使用時に一方のスイッチの開放と他方のスイッチの閉止との間にデッドタイム期間が適用される、ドライバ配置と、前記デッドタイム期間中に高電圧状態と低電圧状態との間で遷移するときに検出される電圧に基づいてフィードバックを提供するために前記スイッチングノードに接続するための電圧センサと、を備える。この制御回路は、測定された第1の時間期間と乗算係数とに基づいて前記デッドタイム期間の長さを設定するように構成され、前記第1の時間期間は、前記スイッチの1つが開放した時間から、前記検知された電圧が前記高電圧状態と前記低電圧状態との間に設定された閾値を通過する時間まで測定される。
【0010】
このようにして、スイッチ制御回路は、最適化されたソフトスイッチングを実現するためにデッドタイムの量を変化させてよく、その結果、効率の向上と損失の低減を実現することができる。すなわち、この制御回路は、高電圧から低電圧への遷移中の閾値点に基づいてデッドタイムの量を決定する。この期間の傾きの変化がより速いということは、低電圧状態がいつ達成されたかの検出と比較して、閾値を通過した瞬間の検出がより正確に決定され得ることを意味する。重要なのは、測定された期間の長さがスイッチング負荷の変化とともに変化しても、適用されるデッドタイムも調整されるため、最適な動作が維持されることである。
【0011】
ある実施形態では、前記第1のスイッチはハイサイド・スイッチであり、前記第2のスイッチはローサイド・スイッチである。
【0012】
ある実施形態では、前記閾値は、高電圧状態と低電圧状態との間の中点電圧である。このようにして、閾値は最も急勾配の遷移中に設定され、それにより検出精度が向上する。
【0013】
ある実施形態では、前記閾値は、高電圧状態の電圧の半分の電圧である。このように、ハイサイドおよびローサイドのスイッチデバイスが対称的な遷移を示す場合、必要なデッドタイムの合計を、単純に第1の時間期間を2倍にすることで簡易に計算することができる。
【0014】
ある実施形態では、前記乗算係数は1.5から5の間である。好ましい実施形態では、前記乗算係数は1.5から2.5の間である。
【0015】
ある実施形態では、前記乗算係数は2である。
【0016】
ある実施形態では、ドライバ配置は、前記第1のスイッチを駆動するためのハイサイド・ドライバと、前記第2のスイッチを駆動するためのローサイド・ドライバとを備える。
【0017】
ある実施形態では、スイッチ制御回路はさらに、前記ドライバ配置を制御し、前記デッドタイム期間の長さを設定するためのプロセッサを備える。このプロセッサは、前記電圧センサからのフィードバックに基づいて、前記スイッチの1つが開放された時間から、前記検出された電圧が閾値を通過して遷移する時間までの前記第1の時間期間を測定する。このようにして、前記プロセッサは、適用されるデッドタイムを変化させるためのデッドタイムアルゴリズムを実施するように構成され得る。ある実施形態において、前記デッドタイムアルゴリズムは、前記プロセッサ上で実行されるソフトウェアに実装されてよい。
【0018】
ある実施形態では、前記電圧センサは、リアクティブ型分圧器を備える。このようにして、ホールドアップ中や、整流されたAC電源の電源電圧の変化やリップル中に発生し得る電源電圧の変動があっても、受動部品を使用してプリセットされた遷移閾値レベルを適用することができる。
【0019】
ある実施形態では、前記電圧センサはさらに、バイアス回路を備え、このバイアス回路はバイアス電圧を供給する。ある実施形態において、前記バイアス電圧は、高電圧状態に対応する。他の実施形態では、前記バイアス電圧は、補助電圧に対応する。この補助電圧は、前記制御回路に電力を供給するためにも使用することができる。
【0020】
ある実施形態では、前記バイアス回路はさらに、バイアス電圧を分圧するための分圧器配置に第1および第2の抵抗を備える。このようにして、トリガ閾値は、第1および第2の抵抗の間の比に基づいて便宜に設定されることができ、それにより、一貫した検出点を維持することができる。ある実施形態では、バイアス電圧は、制御回路電圧などの低電圧電源から供給されてよい。
【0021】
ある実施形態では、電圧センサは出力を備え、スイッチングノード電圧が閾値を通過する遷移時に出力へのフィードバック信号を生成するように構成される。このようにして、この信号は、制御回路プロセッサまたは集積回路において検出イベントをトリガするために使用されてよい。
【0022】
ある実施形態では、トポロジはハーフブリッジ、フルブリッジ、または3相トポロジである。ある実施形態では、トポロジは2つのローサイド・スイッチまたは2つのハイサイド・スイッチを使用する。この場合、測定されるスイッチングノードは、デバイスのドレインの一方または他方であり得る。ある実施形態では、トポロジは、共振プッシュプルコンバータ、2つのローサイド・スイッチ、およびセンタータップ変圧器/インダクタで構成される。
【0023】
第2の態様によれば、第1のスイッチ、第2のスイッチ、およびその間に結合されたスイッチングノードを備えるトポロジのスイッチングを制御する方法が提供され、この方法は以下を含む:ドライバ配置を用いて第1および第2のスイッチを交互に開閉するように制御するステップであって、一方のスイッチの開放と他方のスイッチの閉止との間にデッドタイム期間が適用されるステップと、前記デッドタイム期間中にスイッチングノードが高電圧状態と低電圧状態との間を遷移する際に、前記スイッチングノードに接続された電圧センサによって検出された電圧に基づくフィードバックを受信するステップと、および、測定された第1の時間期間と乗算係数とに基づいて前記デッドタイム期間の長さを設定するステップであって、前記第1の時間期間は、前記スイッチの一方が開放される時間から、前記検出された電圧が高電圧状態と低電圧状態との間に設定された閾値を通過する時間まで測定される、ステップ。
【0024】
ある実施形態では、前記第1のスイッチはハイサイド・スイッチであり、前記第2のスイッチはローサイド・スイッチである。
【0025】
ある実施形態では、前記閾値は高電圧状態での電圧の半分の電圧である。
【0026】
ある実施形態では、前記乗算係数は、1.5から5の間である。好ましい実施形態では、前記乗算係数は、1.5から2.5の間である。ある実施形態では、前記乗算係数は2である。
【0027】
第3の態様によれば、高電圧状態と低電圧状態との間で変化する検出されたノード電圧に基づいてフィードバックを提供するための電圧センサが提供され、この電圧センサは、リアクティブ型分圧器と、バイアス電圧を供給するためのバイアス回路であって、前記バイアス電圧を分圧して閾値を設定するための分圧器配置の第1および第2の抵抗器からなるバイアス回路と、フィードバック信号用の出力と、を備える。前記電圧センサは、前記ノード電圧が前記閾値を通過して遷移するときに、前記出力上にフィードバック信号を生成するように構成される。ある実施形態では、前記バイアス電圧は高電圧状態に対応する。他の実施形態では、バイアス電圧は補助電圧に対応する。前記補助電圧は、制御回路への電力供給にも使用することができる。
【0028】
ある実施形態では、制御回路がゲート駆動状態変化を及ぼしてから、デバイスのゲート電圧が実際にオン/オフ遷移点を通過するまでの間に時間遅延がある。ゲート駆動回路および/またはデバイスにおけるこの時間遅延は、ハイサイド・ドライバとローサイド・ドライバとで異なる場合があり、ターンオン遅延とターンオフ遅延とで異なる場合がある。これらの遅延は、測定された遅延時間のかなりの割合を占める可能性がある。検出された閾値の交差が、(スイッチングデバイスの実際のゲート電圧ではなく)制御回路コマンドの遷移と比較される場合、乗数を計算する際に、これらの遅延を測定された遅延に加算または減算する必要がある。ドライバの時間遅延は一定であったり、予測可能に変化したりするため、計算が簡単になる。
以下、例示的実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、例示的なハーフブリッジのトポロジを示す。
図2図2は、デッドタイムが最適となるスイッチング遷移におけるHS1、LS1、SN1の信号電圧を示す概略グラフである。
図3図3は、デッドタイムが短すぎるスイッチング遷移におけるHS1、LS1、SN1の信号電圧を示す概略グラフである。
図4図4は、デッドタイムが長すぎるスイッチング遷移におけるHS1、LS1、SN1の信号電圧を示す概略グラフである。
図5図5は、ON状態とOFF状態の間のドレイン容量がほぼ一定であるスイッチング遷移におけるHS1、LS1、SN1の信号電圧を示す概略グラフである。
図6図6は、ドレイン容量がON状態とOFF状態の間で変化するスイッチング遷移におけるHS1、LS1、SN1の信号電圧を示す概略グラフである。
図7図7は、本発明の実施形態に係るコントローラを組み込んだ例示的なハーフブリッジトポロジを示す。
図8図8は、図7に示すコントローラによってデッドタイムが制御されるスイッチング遷移におけるHS1、LS1、およびSN1信号電圧を示す概略グラフである。
図9図9は、本発明のさらなる実施形態に係るコントローラで使用するためのリアクティブ型分圧器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の例示的実施形態による係るコントローラ10を図7に示す。コントローラ10は、ハーフブリッジトポロジ1に組み込まれている。
【0031】
図1に示した配置と同様に、ハイサイド・スイッチデバイス4とローサイド・スイッチデバイス5は、正ライン2と接地ライン3との間に直列に接続されている。寄生コンデンサ42,52は、スイッチデバイス4,5のそれぞれに関連付けられている。
【0032】
本実施形態に係るコントローラ10は、最適なデッドタイム量を決定するための制御アルゴリズムソフトウェアを実装するためのプロセッサ101を含む。他の実施形態では、コントローラ10は、集積回路に実装された完全に集積化されたソリューションとして提供されてもよい。このような集積化ソリューションは、電圧センサ106を組み込んでもよい。コントローラ10は、それぞれハイサイドおよびローサイドゲート入力41,51を介してハイサイドおよびローサイド・スイッチデバイス4,5を駆動するためのハイサイド制御ドライバ104およびローサイド制御ドライバ105を含む。
【0033】
コントローラ10は、スイッチングノード電圧を検出するために出力スイッチングノードライン6に設けられた電圧センサ106をさらに含む。コントローラ10は、スイッチングノード電圧遷移の検出電圧に基づいて適応デッドタイムを提供する。
【0034】
コントローラ10は、スイッチングノード電圧が高点から中点に遷移する時間を検出するように構成されている。この実施形態では、中点は、スイッチングノードライン6の電圧が、正ライン2に印加される高電圧状態、+Vin、の約半分に対応する閾値を横切るときである。したがって、コントローラ10は、ハイサイドまたはローサイド・スイッチデバイス4,5がオフにされる瞬間として開始時間を特定し、スイッチングノード電圧が印加電圧の半分に一致する瞬間として停止時間を特定する。この開始時間と停止時間の時間差は、図8を参照して以下にさらに説明するが、最適動作のために設定されるべきデッドタイムの値を計算するための基礎として使用される。
【0035】
これに関連して、図8は、デッドタイムが図7に示すコントローラによって制御されるスイッチング遷移に亘るHS1、LS1、およびSN1信号電圧の概略グラフを示す。上述したように、コントローラ10は、スイッチングノードの電圧遷移SN1を監視し、HS1信号がオフになってから中間電圧点11までの時間を測定する。この時間期間は、図8では区間Aとして識別される。次に、コントローラ10は、中間電圧点11と低電圧点9との間の時間に対応する区間Bの時間期間を計算することによって、必要なデッドタイムの量を決定する。この決定は、区間Aと区間Bの間のアルゴリズム的な関係に基づいている。これに関連して、ハイサイドおよびローサイドのスイッチデバイス4,5が同じである場合、対称的な遷移を示すことが期待できる。そのため、区間Aと区間Bは実質的に同じになり、したがって、総デッドタイムは区間Aの2倍として計算することができる。したがって、本実施形態におけるデッドタイム計算アルゴリズムは、次のように表すことができる:
デッドタイム=A+B=2・A
【0036】
他の実施形態では、2つのデバイスが異なる場合、またはトリガ閾値が+Vinに対して異なるレベルに設定される場合、異なる乗算係数が必要となる可能性があることを理解されたい。
【0037】
理解されるように、コントローラ10は、負荷状態の変化に応じて適用されるデッドタイムを変化させることができる。例えば、最新のスイッチングデバイスでは、高負荷での遷移時間は比較的短くなる。例えば、高点から中点へ遷移する時間期間Aが、約100nsと測定された場合、コントローラ10によって適用される「2・A」アルゴリズムにより、200nsの合計デッドタイムとなる。逆に、移行時間が長いほど、負荷が低くなる。例えば、高点から中点へ遷移する時間期間Aが約500nsと測定された場合、コントローラ10によって適用されるデッドタイムは、合計で1μsになる。
【0038】
したがって、コントローラ10によって提供される適応デッドタイム制御は、効率を改善し損失を低減するために、ハーフブリッジまたはフルブリッジのスイッチングデバイスを駆動するのに必要なデッドタイムの量を決定する新たな方法を提供する。重要なことは、高電圧状態と低電圧状態との間の中点における遷移はより早い傾斜変化を示すため、スイッチングノード電圧の低電圧点9を検出する場合と比較して、そのような遷移の瞬間の検出は、より正確であり得ることである。そのため、最適な瞬間までスイッチングデバイスをオフに維持するために、より正確なデッドタイム値を適用することができる。これにより、軽負荷時および重負荷時の両方で、スイッチングデバイスの効率が向上し、損失が低減する。
【0039】
上記のコントローラは、オン状態とオフ状態の間で寄生容量の変動が大きいスーパージャンクションスイッチングデバイスにおいて特に有用である。本実施形態はまた、DC-DCコンバータなどの電源デバイスに組み込んで、それらのデバイス内でハーフブリッジおよび/またはフルブリッジを駆動することもできる。本実施形態はまた、交互にスイッチングする2つのローサイド・デバイスを使用するプッシュプルコンバータなど、ハーフブリッジやフルブリッジを使用しない共振コンバータや半共振コンバータなど、他のトポロジに組み込むこともできる。
【0040】
以下、さらなる発明の態様を、図9を参照して説明する。特に、図9は、例示的な実施形態に係る電圧センサ106を示し、この電圧センサ106は、図7において上述したコントローラ配置において使用される。しかしながら、電圧センサは、他の配置においても使用され得ることが理解されるであろう。例えば、この電圧センサは、他の制御および保護システムにおけるフィードバックのための高電圧AC信号を検出するために使用され得るか、または内部リファレンスを有するコンパレータと共に使用され得る。同様に、他の電圧センサを上記コントローラ配置に使用してもよいことも理解されよう。
【0041】
本実施形態では、電圧センサ106は、ハーフブリッジまたはフルブリッジのトポロジにおけるスイッチングノード電圧を監視するためのリアクティブ型分圧器として機能する。これに基づいて、低電圧出力信号がコントローラ10に出力され、スイッチ駆動信号間に必要なデッドタイムの量を設定するのに使用される。有利には、図9に示す配置は、最大電圧値に応じて変化する遷移閾値(この場合は最大電圧の50%)の検出を提供する(すなわち、50%閾値)。これは、単に減衰した低電圧センサ信号を提供する、集積化ソリューションが備える抵抗分圧器やMOSデバイスなどの従来の電圧センサとは対照的である。
【0042】
図9に示すように、電圧センサ106は、スイッチングノード(SN1)ライン6に接続され、DCバイアス回路と並列に、リアクティブ型分圧回路として配置された受動部品で構成される。
【0043】
スイッチングノード(SN1)ライン6によって給電されるリアクティブ型分圧回路は、第1および第2のコンデンサ12,13を含み、センサ出力17を供給する。本実施形態では、DCバイアス回路は、図7に示すトポロジを供給する同じDC電圧電源16によって給電される。他の実施形態では、DCバイアス回路は、低電圧電源(例えば3.3V)のような異なる電源によって給電されてもよい。電源16は、第1および第2の抵抗14,15からなる抵抗分圧器配置を介して、それらの相対抵抗値を供給し、これら相対抵抗値によって、センサ出力17に適用される所望のオフセットが設定され、これによりイベントトリガ閾値が設定される。
【0044】
これに関連して、本実施形態では、トリガ閾値は、高電圧信号の50%であり、したがって第1および第2の抵抗は同じ抵抗値を有することができる。リアクティブ型分圧器は、高電圧のAC信号を減衰させ、一方、DCバイアスは、50%遷移をコントローラの同じ閾値で設定する。例えば、AC遷移が0-400Vの場合、コントローラは、1.65V(範囲0-3.3V)で遷移を検出できる。リアクティブ型分圧器は、例えば0-2Vの範囲にAC電圧を下げるのに使用することができ、一方、バイアス回路と抵抗分圧器は、比率に応じて1.65V+-1V、または1.3V+-1V付近の変動を固定する。DC電源16によって印加される電圧は、3.3Vなどの補助電源に対応し、オフセットは、補助電源の半分(例えば1.65V)または異なる値(例えば1.3V)など、コントローラによって検出可能な値の閾値に設定することができる。その結果、最大電圧が絶対値で変化しても、閾値はこの50%のままである。
【0045】
使用時、電圧センサ配置は、スイッチングノード(SN1)ライン6信号上の高電圧信号からAC信号の内容を抽出し、信号電圧が閾値未満に低下したときにセンサ出力ライン17を介して信号を出力する。すなわち、減衰したAC信号が、DCバイアス回路によって印加されたDCバイアスを下回ると、出力はマイクロプロセッサ101に供給される。したがって、容量分圧器(capacitive divider)は、スイッチングノードの電圧スイングを、コントローラ入力に適したレベル(5V未満)まで低下させる。コンデンサ12のAC結合により、コントローラ入力の閾値電圧を、どちらか一方が変化したとしても、スイッチングノードの閾値電圧とは無関係に調整することができる。これにより、マイクロプロセッサ101は、スイッチ駆動信号間に必要なデッドタイムの量を設定する。
【0046】
電圧センサのいくつかの実施形態は、信号の完全性を保護するための保護回路と、信号をフィルタリングするためのフィルタリング回路も含んでよい。
【0047】
上述した実施形態は、例示を目的とした応用例のみを示していることが理解されよう。実際には、実施形態は多くの異なる構成に適用することができ、詳細な実施形態は当業者にとって実施するのが容易である。
【0048】
例えば、ある実施形態において、コントローラ10は、適用されるデッドタイムが、所定の最小デッドタイムおよび/または最大デッドタイムを有する範囲内となるように構成され得る。
【0049】
さらに、例えば、ハーフブリッジのトポロジを上述したが、本発明は他のトポロジにも適用できることが理解されよう。例えば、代替実施形態では、トポロジは、共振プッシュプルコンバータ、2つのローサイド・スイッチ、およびセンタータップ変圧器/インダクタから構成されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】
Figure 1
Figure 2
Figure 3
Figure 4
Figure 5
Figure 6
Figure 7
Figure 8
Figure 9