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特開2023-165666アルカリ耐性が増加された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165666
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】アルカリ耐性が増加された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/31 20060101AFI20231109BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20231109BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231109BHJP
   C12N 11/12 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
C12N15/31 ZNA
C07K1/22
C07K14/195
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N11/12
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076167
(22)【出願日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0054786
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517167247
【氏名又は名称】アミコージェン・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】14-10 WORASAN-RO 950 BEON-GIL, MUNSAN-EUP, JINJU-SI, GYEONGSANGNAM-DO, 52840, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】崔 守林
(72)【発明者】
【氏名】朴 昭英
(72)【発明者】
【氏名】朴 ▲ソ▼▲ラ▼
(72)【発明者】
【氏名】沈 餘援
【テーマコード(参考)】
4B033
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B033NA42
4B033NB03
4B033NB45
4B033NC03
4B033ND03
4B033NF02
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA60
4H045AA10
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA61
4H045CA11
4H045EA65
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
【課題】アルカリ耐性が増加された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途が提供。
【解決手段】本出願は、アルカリ耐性が増加された免疫グロブリン結合蛋白質変異体に関し、より詳しくは、免疫グロブリン結合蛋白質のB3ドメインの特定位置のアミノ酸が突然変異されて野生型に比べてアルカリ耐性が増進された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算して、
28番目のアミノ酸であるグルタミン酸(Glu、E)、43番目のアミノ酸であるリシン(Lys、K)、13番目のアミノ酸であるチロシン(Tyr、Y)、51番目のアミノ酸であるアスパラギン酸(Asp、D)、および60番目のアミノ酸であるアスパラギン(Asn、N)からなる群より選択された一つ以上が元来とは異なるアミノ酸で置換された、ポリペプチド。
【請求項2】
配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算して、下記の中から選択された一つ以上の置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド:
28番目のアミノ酸(E)がグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、プロリン(Pro、P)、またはトリプトファン(Trp、W)で置換;
43番目のアミノ酸(K)がプロリン(Pro、P)またはグルタミン酸(Glu、E)で置換;
13番目のアミノ酸(Y)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換;
51番目のアミノ酸(D)がバリン(Val、V)またはトレオニン(Thr、T)で置換;および
60番目のアミノ酸(N)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換。
【請求項3】
配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算して、28番目のアミノ酸(E)がグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、プロリン(Pro、P)、またはトリプトファン(Trp、W)で置換された、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
下記の中から選択された一つ以上の置換を追加的に含む、請求項3に記載のポリペプチド:
配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算して、
43番目のアミノ酸(K)がプロリン(Pro、P)またはグルタミン酸(Glu、E)で置換;
13番目のアミノ酸(Y)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換;
51番目のアミノ酸(D)がバリン(Val、V)またはトレオニン(Thr、T)で置換;および
60番目のアミノ酸(N)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換。
【請求項5】
配列番号4のアミノ酸配列で、以下のアミノ酸変異を含む、請求項1に記載のポリペプチド:
E28A、E28G、E28L、E28P、E28W、E28G+Y13F、E28G+K43P、E28G+D51V、E28G+N60E、E28L、E28P、E28W、E28G+K43E、E28G+D51T、E28G+N60F、またはY13F+E28G+K43P。
【請求項6】
配列番号7、8、9、10、11、12、23、24、25、26、27、28、または47のアミノ酸配列で表示される、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
蛋白質LのA、B1、B2、B4、C、W、およびMドメインからなる群より選択された一つ以上を追加的に含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号4のポリペプチドと比較してアルカリ耐性が増加された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含む、ポリペプチド多量体。
【請求項10】
配列番号49のアミノ酸配列で表示される、請求項9に記載のポリペプチド多量体。
【請求項11】
蛋白質LのA、B1、B2、B4、C、W、およびMドメインからなる群より選択された一つ以上を追加的に含む、請求項9に記載のポリペプチド多量体。
【請求項12】
B3ドメインとして、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチドまたは前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体を含む、蛋白質L変異体。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド、前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、または前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体をコーディングする、核酸分子。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸分子を含む組換えベクター。
【請求項15】
請求項13に記載の核酸分子またはこれを含む組換えベクターを含む組換え細胞。
【請求項16】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド、前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、または前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体が固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックス。
【請求項17】
(1)請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド、
(2)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(3)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、
(4)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体または蛋白質L変異体をコーディングする核酸分子、
(5)前記核酸分子を含む組換えベクター、
(6)前記核酸分子または組換えベクターを含む組換え細胞、および
(7)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体が固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックス、
からなる群より選択された1種以上を含む、免疫グロブリン結合用組成物。
【請求項18】
(a)請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド、
(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、または
(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックス、
を含む、免疫グロブリンの分離または精製用組成物。
【請求項19】
免疫グロブリンを含む試料に、(a)請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド、(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、または(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックスを接触させて、前記免疫グロブリンを吸着させる段階を含む、免疫グロブリンの分離または精製方法。
【請求項20】
標的化合物を含む液状試料に、(a)請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリペプチド、(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、または(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックスを接触させて、前記標的化合物を吸着させる段階を含む、液体から一つ以上の標的化合物を分離または精製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルカリ耐性が増加された免疫グロブリン結合蛋白質変異体に関し、より詳しくは、免疫グロブリン結合蛋白質のB3ドメインの特定位置のアミノ酸が突然変異されて野生型に比べてアルカリ耐性が増進された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途が提供される。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体(monoclonal antibody)は、遺伝子操作された動物細胞の培養時、培地中に分泌され、細胞自体から分泌される多くの蛋白質と培地内の蛋白質とが混ざって非常に低濃度に存在するようになる。したがって、目的のモノクローナル抗体以外の不純物除去が抗体生産で重要な段階である。モノクローナル抗体分離精製工程は、培地からモノクローナル抗体だけを選択的に回収できる抗体親和性リガンド(antibody affinity ligand)を利用した親和性クロマトグラフィー(affinity chromatography)が主に使用されており、前記抗体親和性リガンドとして蛋白質A、蛋白質G、蛋白質Lなどが使用されている。
【0003】
蛋白質A、蛋白質G、蛋白質A/G、蛋白質Lなどのような免疫グロブリン結合バクテリア蛋白質は、免疫蛋白質(抗体、抗体断片など)を精製、検出することに幅広く使用されている。これら免疫グロブリン結合蛋白質は、抗体上の認知部位、結合する抗体種類などにおいて互いに異なる抗体結合様相を有する。
【0004】
このうち、蛋白質Lは、バクテリアの一種であるペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus(フィネゴルディア・マグナ (Finegoldia magna)))から最初分離された蛋白質であり、軽鎖相互作用(L chain interaction)を通じて免疫グロブリンに結合することが確認されて、蛋白質Lと命名された。免疫グロブリン(抗体)のFc部位に結合する蛋白質Aおよび蛋白質Gとは異なり、蛋白質Lは軽鎖(例えば、カッパ(kappa))相互作用を通じて抗体に結合する。蛋白質Lは、抗体結合時に重鎖部分に影響を受けないため、蛋白質Aおよび蛋白質Gと比較して、より広範囲な抗体種類に結合することができ、scFv(single chain variable fragment)、Fab断片などのような抗体断片にも結合可能であるという利点を有する。
【0005】
一方、一般に、抗体精製後にレジンに残っている核酸、脂質、蛋白質、微生物のような多様な汚染物質を除去するための洗浄(cleaning-in-place、CIP)を実施する。この時、レジンの洗浄剤のうち最も広範囲に使用される物質がNaOHである。しかし、蛋白質基盤の精製用レジンは、アルカリに弱いため、抗体精製により効果的に適用するために、アルカリ条件でも安定した免疫グロブリン結合蛋白質の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1857953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願では、アルカリ耐性が増加された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途が提供される。前記免疫グロブリン結合蛋白質変異体は、蛋白質Lまたはその機能的一部(例、B3ドメイン)の変異体であり得、野生型蛋白質または機能的一部に比べて、アルカリ耐性(アルカリ条件での免疫グロブリン結合能、安定性など)が改善(増加)されたことを特徴とする。
【0008】
より具体的に、本出願の一例は、蛋白質LのB3ドメインで(例えば、配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算する)、
【0009】
28番目のアミノ酸であるグルタミン酸(Glu、E)、43番目のアミノ酸であるリシン(Lys、K)、13番目のアミノ酸であるチロシン(Tyr、Y)、51番目のアミノ酸であるアスパラギン酸(Asp、D)、および60番目のアミノ酸であるアスパラギン(Asn、N)からなる群より選択された一つ以上が元来とは異なるアミノ酸で置換された、ポリペプチドを提供する。
【0010】
一例において、前記ポリペプチドは、蛋白質LのB3ドメインで(例えば、配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算する)、下記の中から選択された一つ以上の置換を含む、ポリペプチドであり得る。
【0011】
28番目のアミノ酸(E)がグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、プロリン(Pro、P)、またはトリプトファン(Trp、W)で置換;
43番目のアミノ酸(K)がプロリン(Pro、P)またはグルタミン酸(Glu、E)で置換;
13番目のアミノ酸(Y)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換;
51番目のアミノ酸(D)がバリン(Val、V)またはトレオニン(Thr、T)で置換;および、
60番目のアミノ酸(N)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換
【0012】
他の例は、前記ポリペプチドからなる繰り返し単位(単量体)を2個以上含むポリペプチド多量体を提供する。
【0013】
前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体は、蛋白質LのA、B1、B2、B4、C、W、およびMドメインからなる群より選択された一つ以上を追加的に含むことができる。
【0014】
他の例は、B3ドメインとして、前記ポリペプチドまたは前記ポリペプチドを2個以上繰り返して含むポリペプチド多量体を含む、蛋白質L変異体を提供する。
【0015】
前述したポリペプチド、ポリペプチド多量体、および/または蛋白質L変異体は、野生型蛋白質LのB3ドメイン(例えば、配列番号4)またはこれを含む多量体または野生型蛋白質Lと比較して、アルカリ耐性(例えば、アルカリ条件での免疫グロブリン結合能、安定性など)に優れたものであり得る。
【0016】
他の例は、前述したポリペプチド、ポリペプチド多量体、および/または蛋白質L変異体をコーディングする核酸分子を提供する。
【0017】
他の例は、前記核酸分子を含む組換えベクターを提供する、前記組換えベクターは、適切な宿主細胞で前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、および/または蛋白質L変異体を発現させるための発現ベクターとして使用することができる。
【0018】
他の例は、前記核酸分子または組換えベクターを含む組換え細胞を提供する。前記組換え細胞は、宿主細胞が前記核酸分子または組換えベクターで形質転換されたものであり得、前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、および/または蛋白質L変異体の発現が可能な細胞であり得る。
【0019】
他の例は、前記ポリペプチド、前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、または前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、マトリックス(レジン)を提供する。前記マトリックスは、吸着により蛋白質を分離および/または精製する技術、例えば、クロマトグラフィーに使用するためのものであり得る。
【0020】
他の例は、
(1)前記ポリペプチド、
(2)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(3)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、
(4)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体または蛋白質L変異体をコーディングする核酸分子、
(5)前記核酸分子を含む組換えベクター、
(6)前記核酸分子または組換えベクターを含む組換え細胞、および
(7)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、マトリックス、
からなる群より選択された1種以上を含む、免疫グロブリン結合用組成物および/または免疫グロブリン分離および/または精製用組成物を提供する。
【0021】
他の例は、
(1)前記ポリペプチド、
(2)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(3)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、
(4)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体または蛋白質L変異体をコーディングする核酸分子、
(5)前記核酸分子を含む組換えベクター、
(6)前記核酸分子または組換えベクターを含む組換え細胞、および
(7)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、マトリックス、
からなる群より選択された1種以上の、免疫グロブリン結合、および/または免疫グロブリン分離および/または精製のための用途を提供する。
【0022】
他の例は、
(a)前記ポリペプチド、
(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、および
(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックス、
からなる群より選択された1種以上を含む、免疫グロブリンの分離および/または精製用組成物を提供する。
【0023】
他の例は、
(a)前記ポリペプチド、
(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、および
(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックス、
からなる群より選択された1種以上の、免疫グロブリンの分離および/または精製のための用途を提供する。
【0024】
他の例は、免疫グロブリンを含む試料(例えば、液状試料)に、
(a)前記ポリペプチド、
(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、
(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、および
(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされた、クロマトグラフィー用マトリックス、
からなる群より選択された1種以上を接触させて、前記免疫グロブリンを吸着させる段階を含む、免疫グロブリンの分離および/または精製方法を提供する。
【0025】
他の例は、標的化合物を含む試料(例えば、液状試料)に、(a)前記ポリペプチド、(b)前記ポリペプチドからなる繰り返し単位を2個以上含むポリペプチド多量体、(c)前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体をB3ドメインとして含む蛋白質L変異体、および(d)前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、または蛋白質L変異体を含む複数のリガンドが固体支持体にカップリングされたクロマトグラフィー用マトリックスからなる群より選択された1種以上を接触させて、前記標的化合物を吸着させる段階を含む、液体から一つ以上の標的化合物を分離または精製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本出願では、アルカリ耐性が増進された蛋白質L B3ドメイン変異体およびその用途が提供される。
【0027】
用語の定義
本明細書において、ポリヌクレオチド(「遺伝子または核酸分子」と混用され得る)またはポリペプチド(「蛋白質」と混用され得る)が「特定の核酸配列またはアミノ酸配列を含む」または「特定の核酸配列またはアミノ酸配列から(必須で)なる」または「特定の核酸配列またはアミノ酸配列で表示される」とは、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが前記特定の核酸配列またはアミノ酸配列を必須で含むことを意味し得、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの本来の機能(免疫グロブリンの軽鎖と結合)および/または目的とする機能(例えば、野生型蛋白質L B3ドメインに比べて増加されたアルカリ耐性)を維持する範囲で前記特定の核酸配列またはアミノ酸配列に変異(欠失、置換、変形、および/または付加)が加えられた「実質的に同等な配列」を含むもの(または前記変異を排除しないもの)と解釈され得る。
【0028】
一例において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが「特定の核酸配列またはアミノ酸配列を含む」または「特定の核酸配列またはアミノ酸配列から(必須で)なるまたは表示される」とは、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、
(i)前記特定の核酸配列またはアミノ酸配列を必須で含むまたはなるか、または
(ii)前記特定の核酸配列またはアミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の相同性(identity)を有するアミノ酸配列からなるかこれを必須で含み、元来の機能および/または目的とする機能を維持することを意味し得る。本明細書において、前記元来の機能は、野生型蛋白質L B3ドメインの免疫グロブリン(特に、軽鎖部位)結合能(アミノ酸配列の場合)または前記のような免疫グロブリン結合能を有する蛋白質をコードする機能(核酸配列の場合)であり得、前記目的とする機能は、野生型蛋白質L B3ドメインに比べて増加されたアルカリ耐性(アミノ酸配列の場合)または前記のような増加されたアルカリ耐性を有する蛋白質をコードする機能(核酸配列の場合)であり得る。
【0029】
本明細書で提供されるポリペプチドは、特定の配列番号として定義されたアミノ酸配列を含むか、またはその機能的変異体であり得る。前記「機能的変異体」は、増加されたpH値の環境で前記ポリペプチドの向上した化学的安定性および/または免疫グロブリンに対する親和性(結合能)には影響を与えないアミノ酸位置で一つ以上の追加変異を含む全ての類似する配列を含む。
【0030】
本明細書において、用語「配列相同性(sequence identity)」は、与えられた核酸配列またはアミノ酸配列と一致する程度を意味し、百分率(%)で表示され得る。核酸配列に対する相同性の場合、例えば、文献によるアルゴリズムBLAST(参照:KarlinおよびAltschul, Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873, 1993)またはPearsonによるFASTA(参照:Methods Enzymol., 183, 63, 1990)などを使用して決定することができる。このようなアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(参照:http://www.ncbi.nlm.nih.gov)。
【0031】
本明細書において、「ポリペプチドのアミノ酸配列内の特定位置のアミノ酸残基」は、前記アミノ酸配列内の特定位置のアミノ酸残基または前記蛋白質と同一の活性を有する同種由来のアイソタイプ蛋白質および/または異種由来蛋白質で前記特定位置と対応する位置のアミノ酸残基を包括する意味に解釈され得る。
【0032】
本明細書で提供されるポリペプチドのアミノ酸配列のうち、N-末端の1番目の残基がメチオニン(M)である場合、前記メチオニンは、自然的状態で含まれているものであるか、または組換え過程で生成されたものであり得る。本明細書で提供されるポリペプチドが組換えで生産される場合、N-末端の1番目の残基であるメチオニン(M)および/またはN-末端に位置するシグナルペプチド(signal peptide)を除いたアミノ酸配列を含むポリペプチドも本明細書の範囲に含まれる。また、蛋白質のアミノ酸配列のうち、N-末端の1番目の残基がメチオニンでない場合、前記蛋白質が組換え的に生産される場合に前記1番目の残基のN-末端にメチオニンが追加され得る。
【0033】
本明細書で使用されたアミノ酸位置は、特別な言及がない限り、N-末端の1番目のアミノ酸残基としてメチオニン(M)を含む組換え蛋白質の場合、前記メチオニンの次の2番目のアミノ酸から起算する。例えば、N-末端の1番目のアミノ酸としてメチオニン(M)を含む配列番号4のポリペプチドで、「28番目のアミノ酸」とは、前記1番目のアミノ酸であるメチオニンの次の2番目のアミノ酸であるプロリン(P)を1番アミノ酸にして28番目に位置するアミノ酸残基(つまり、配列番号4から29番目のアミノ酸に該当する)を意味する。
【0034】
本明細書に使用されたアミノ酸の1文字(3文字)は、生化学分野での標準略語規定により、以下のアミノ酸を意味する:
A(Ala):アラニン;C(Cys):システイン;D(Asp):アスパラギン酸;E(Glu):グルタミン酸;F(Phe):フェニルアラニン;G(Gly):グリシン;H(His):ヒスチジン;I(IIe):イソロイシン;K(Lys):リシン;L(Leu):ロイシン;M(Met):メチオニン;N(Asn):アスパラギン;O(Ply)ピロリシン;P(Pro):プロリン;Q(Gln):グルタミン;R(Arg):アルギニン;S(Ser):セリン;T(Thr):トレオニン;U(Sec):セレノシステイン、V(Val):バリン;W(Trp):トリプトファン;Y(Tyr):チロシン。
【0035】
本明細書に表記される「(アミノ酸1文字)(アミノ酸位置)(アミノ酸1文字)」は、天然型ポリペプチドの当該アミノ酸位置で先に表記されたアミノ酸が後に表記されたアミノ酸で置換されることを意味する。例えば、E28Gは、天然型ポリペプチドの28番残基に該当するグルタミン酸(E)がグリシン(G)で置換されることを意味する。また後に表記されたアミノ酸で「斜線(/)」表示は「または」を意味し得る。例えば、E28G/Aは、天然型ポリペプチドの28番残基に該当するグルタミン酸(E)がグリシン(G)またはアラニン(A)で置換されることを意味し得る。
【0036】
本明細書において、用語「約(about)」は、後に出る数値と同等または類似の範囲の数値を全て含むための表現であり、後に出る数値を基準に、±0.5、±0.4、±0.3、±0.2、±0.1、±0.05、または±0.01範囲を含むものと解釈され得るが、これに制限されるのではない。
【0037】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0038】
免疫グロブリン結合蛋白質変異体:蛋白質L B3ドメイン変異体、およびこれを含む多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および蛋白質L変異体
本出願は、アルカリ耐性が増進された免疫グロブリン結合蛋白質変異体およびその用途が提供される。前記免疫グロブリン結合蛋白質変異体は、蛋白質Lまたはその機能的一部(例、B3ドメイン)の変異体であり得、野生型蛋白質または機能的一部に比べて、アルカリ耐性(アルカリ条件での免疫グロブリン結合能、安定性など)が改善(増加)されたことを特徴とする。
【0039】
本出願の免疫グロブリン結合蛋白質は、バクテリアの一種であるペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus(フィネゴルディア・マグナ (Finegoldia magna)))から最初分離された蛋白質であり、軽鎖相互作用(L chain interaction)を通じて免疫グロブリンに結合することが確認されて、蛋白質L(protein L)と命名された。ペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)由来の蛋白質L(例えば、NCBI Accession No. AAA25612.1)は、719個のアミノ酸残基からなり、分子量は95kD(還元剤(2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol))存在下でSDS-PAGEで測定時)または76kD(6M グアニジン塩酸塩(guanidine HCl)存在下のゲルクロマトグラフィーで測定時)であり、酸性蛋白質である(pI4.0)。免疫グロブリン(抗体)のFc部位に結合する蛋白質Aおよび蛋白質Gとは異なり、蛋白質Lは軽鎖(例えば、kappa)相互作用を通じて抗体に結合する。蛋白質Lは、抗体結合時に重鎖部分に影響を受けないため、蛋白質Aおよび蛋白質Gと比較して、より広範囲な抗体種類に結合することができ、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなどを含む全てのサブタイプの抗体に結合することができ、scFv(single chain variable fragment)、Fab断片などのような抗体断片にも結合可能である。
【0040】
このような免疫グロブリン軽鎖(kappa)結合活性により、蛋白質Lは、カッパタイプ(kappa type)軽鎖(全部または一部)を含む抗体(全長または断片)の精製に有用に使用することができる。
【0041】
そこで、本出願の免疫グロブリン結合蛋白質変異体は、蛋白質L、特に蛋白質LのB3ドメインを基盤に改良されたものであり得る。前記蛋白質Lは、ペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)由来のものであり得、例えば、NCBI Accession No. AAA25612.1(配列番号50)のアミノ酸配列で表現されたり、前記アミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の相同性(identity)を有するアミノ酸配列を有して免疫グロブリン(特に、軽鎖部位)結合能を維持する蛋白質であり得るが、これに制限されるのではない。
【0042】
前記蛋白質LのB3ドメインは、ペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)由来の蛋白質L(例えば、配列番号50)のB3ドメインであり得、例えば、配列番号4のアミノ酸配列で表現されたり、前記アミノ酸配列と80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上の相同性(identity)を有するアミノ酸配列を有して免疫グロブリン(特に、軽鎖部位)結合能を維持する蛋白質であり得るが、これに制限されるのではない。前記蛋白質LのB3ドメインは、配列番号3の核酸配列によりコーディングされるものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0043】
前記B3ドメインの所定の位置にアミノ酸置換による変異を導入することによって、B3ドメイン、これを含む多量体および/または蛋白質Lの免疫グロブリン(特に、軽鎖部位)との結合能は維持しながらアルカリ耐性を増加させることができる。
【0044】
一例は、蛋白質LのB3ドメインにおいて(蛋白質LのB3ドメインを基準に)、28番目のアミノ酸残基に該当するグルタミン酸(Glu、E)、43番目のアミノ酸残基に該当するリシン(Lys、K)、13番目のアミノ酸残基に該当するチロシン(Tyr、Y)、51番目のアミノ酸残基に該当するアスパラギン酸(Asp、D)、および60番目のアミノ酸残基に該当するアスパラギン(Asn、N)からなる群より選択された一つ以上(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個)が元来とは異なるアミノ酸で置換された、ポリペプチド(蛋白質LのB3ドメイン変異体)を提供する。
【0045】
前記他のアミノ酸は、アラニン(A、Ala)、アスパラギン(N、Asn)、トレオニン(T、Thr)、グルタミン酸(E、Glu)、セリン(S、Ser)、バリン(V、Val)、イソロイシン(I、Ile)、ロイシン(L、Leu)、アスパラギン酸(D、Asp)、システイン(C、Cys)、グルタミン(Q、Gln)、メチオニン(M、Met)、フェニルアラニン(F、Phe)、プロリン(P、Pro)、トリプトファン(W、Trp)、チロシン(Y、Tyr)、アルギニン(R、Arg)、ヒスチジン(H、His)、リシン(K、Lys)、およびグリシン(G、Gly)からなる群より選択され、野生型蛋白質L B3ドメインの当該位置のアミノ酸残基とは異なるアミノ酸であり得る。
【0046】
一具体例において、前記ポリペプチドは、蛋白質LのB3ドメインにおいて、下記の中から選択された一つ以上(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個)の置換を含むものであり得る:
28番目のアミノ酸(E)がグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、プロリン(Pro、P)、またはトリプトファン(Trp、W)で置換;
43番目のアミノ酸(K)がプロリン(Pro、P)またはグルタミン酸(Glu、E)で置換;
13番目のアミノ酸(Y)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換;
51番目のアミノ酸(D)がバリン(Val、V)またはトレオニン(Thr、T)で置換;および
60番目のアミノ酸(N)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換。
【0047】
他の具体例において、前記ポリペプチドは、蛋白質LのB3ドメインにおいて、28番目のアミノ酸(E)がグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、プロリン(Pro、P)、またはトリプトファン(Trp、W)、例えば、グリシン(Gly、G)で置換されたものであり得る。
【0048】
他の具体例において、前記ポリペプチドは、蛋白質LのB3ドメインにおいて、
28番目のアミノ酸(E)がグリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、ロイシン(Leu、L)、プロリン(Pro、P)、またはトリプトファン(Trp、W)、例えば、グリシン(Gly、G)で置換され、
下記の中から選択された一つ以上の置換を追加的に含むものであり得る。
【0049】
配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算して、
43番目のアミノ酸(K)がプロリン(Pro、P)またはグルタミン酸(Glu、E)で置換;
13番目のアミノ酸(Y)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換;
51番目のアミノ酸(D)がバリン(Val、V)またはトレオニン(Thr、T)で置換;および
60番目のアミノ酸(N)がフェニルアラニン(Phe、F)で置換。
【0050】
例えば、前記ポリペプチドは、前記蛋白質LのB3ドメインにおいて、以下のアミノ酸変異を含むものであり得る。
【0051】
E28G(28番目のアミノ酸であるグルタミン酸(E)がグリシン(G)で置換、本明細書での単一のアミノ酸置換は同一の方式で表示および解釈される)、E28A、E28L、E28P、E28W、E28G+Y13F、E28 G+K43P(28番目のアミノ酸であるグルタミン酸(E)がグリシン(G)で置換および43番目のアミノ酸であるリシン(K)がプロリン(P)で置換、本明細書での多重のアミノ酸置換は同一の方式で表示および解釈される)、E28G+D51V、E28G+N60E、E28L、E28P、E28W、E28G+K43E、E28G+D51T、E28G+N60F、またはY13F+E28G+K43P。
【0052】
前記蛋白質LのB3ドメイン(野生型)は、配列番号4のアミノ酸配列を含むものであり得る。
【0053】
本明細書に記載された蛋白質LのB3ドメインのアミノ酸位置は、配列番号4のアミノ酸配列で2番目のアミノ酸であるプロリン(Pro、P)から起算する。つまり、本明細書に記載された28番目のアミノ酸(E)(E28)は配列番号4の29番目のアミノ酸に該当し、43番目のアミノ酸(K)(K43)は配列番号4の44番目のアミノ酸に該当し、13番目のアミノ酸(Y)(Y13)は配列番号4の14番目のアミノ酸に該当し、51番目のアミノ酸(D)(D51)は配列番号4の52番目のアミノ酸に該当し、60番目のアミノ酸(N)(N60)は配列番号4の61番目のアミノ酸に該当する。
【0054】
一具体例において、前記ポリペプチド(蛋白質L B3ドメイン変異体)は、配列番号4のアミノ酸配列を基準に、
E28A変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号7);
E28G変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号8);
E28G+Y13F変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号9);
E28G+K43P変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号10);
E28G+D51V変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号11);
E28G+N60E変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号12)
E28L変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号23);
E28P変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号24);
E28W変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号25);
E28G+K43E変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号26);
E28G+D51T変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号27);
E28G+N60F変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号28);または
Y13F+E28G+K43P変異が導入されて変形されたアミノ酸配列(配列番号47)、
を含むものであり得る。
【0055】
前記ポリペプチド(蛋白質L B3ドメイン変異体)のアミノ酸配列を下記の表1に整理した。
【0056】
【表1】
【0057】
他の例は、前記ポリペプチドを繰り返し単位(単量体)で2個以上含むポリペプチド多量体を提供する。一具体例において、前記ポリペプチド多量体は、前述したポリペプチドを含む(またはなる)繰り返し単位を2個以上、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個含むものであり得る。例えば、前記ポリペプチド多量体は、配列番号49(配列番号47を連続して4個含む)で表現されるものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0058】
他の例は、前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体を含む免疫グロブリン結合蛋白質を提供する。
【0059】
一例において、前記免疫グロブリン結合蛋白質は、前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体に加えて、蛋白質LのA、B1、B2、B4、C、W、およびMドメインからなる群より選択された一つ以上を追加的に含むものであり得る。
【0060】
他の例は、前記ポリペプチドまたはポリペプチド多量体を含む、蛋白質L変異体を提供する。
【0061】
本出願で提供されるポリペプチド(蛋白質L B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質L変異体は、野生型B3ドメイン(配列番号4)またはこれを含むポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質Lと比較して、アルカリ耐性が増加したものであり得る。例えば、本出願で提供されるポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質L変異体は、塩基条件(例えば、pH9以上、pH9.5以上、pH10以上、pH10.5以上、pH11以上、pH11.5以上、pH12以上、pH12.5以上、またはpH13以上;上限値はpH14であり得る)での免疫グロブリン(例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG、3、またはIgG4))またはその軽鎖部位を含む断片(例えば、scFv、Fabなど)との結合能が、野生型B3ドメイン(配列番号4)またはこれを含むポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質Lと比較して、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、または約30%以上増加したものであり得るが、これに制限されるのではない。特に、前記ポリペプチド多量体は、塩基条件での免疫グロブリンまたはその断片との結合能が、野生型B3ドメインに比べて、約1.5倍以上、約1.7倍以上、約2倍以上、約2.3倍以上、約2.5倍以上、または約2.7倍以上増加したものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0062】
本明細書において、免疫グロブリンは、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などに由来するものであり得、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、IgA、IgD、IgE、IgMなどの多様なサブタイプから選択されたものであり得る。本出願で提供されるポリペプチド(蛋白質L B3ドメイン変異体)および/またはこれを含むポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質L変異体は、免疫グロブリンの軽鎖部位に結合するものであり得る。したがって、本出願で提供されるポリペプチド(蛋白質L B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質L変異体が結合可能な免疫グロブリンは、完全な形態または軽鎖を含む断片形態、例えばscFv、Fab、(scFv)、Fab、Fab’またはF(ab’)などであり得るが、これに制限されるのではない。
【0063】
一例において、本出願で提供されるポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、および/または蛋白質L変異体は、非自然に発生(non-naturally occurring)するものであり得、例えば、組換え的方法または化学的合成により生産されるものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0064】
核酸分子、組換え発現ベクター、組換え細胞
他の例は、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体をコードする核酸分子を提供する。
【0065】
他の例は、前記核酸分子を含む組換えベクターを提供する。前記組換えベクターは、適切な宿主細胞で前記核酸分子を蛋白質で発現させることができる発現ベクターであり得る。前記組換えベクターは、適切な宿主細胞で前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、および/または蛋白質L変異体を発現させるための発現ベクターとして使用され得る。
【0066】
他の例は、前記核酸分子または組換えベクターを含む組換え細胞を提供する。前記組換え細胞は、適切な宿主細胞が前記核酸分子または組換えベクターが導入(形質転換)されたものであり得る。
【0067】
また、前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体は、遊離状態でなく固定化させた状態で使用され得る。前記固定化は、当業界に公知の通常の方法により製造が可能であり、固定化させるための担体として、繊維素、デンプン、デキストラン、アガロース(agarose)などの天然ポリマー;ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリメタクリレート(polymethacylate)、ユーバージットC(Eupergit C)などの合成ポリマー;またはシリカ(silica)、ベントナイト(bentonite)、金属のようなミネラルなどを使用することができる。また、これら担体に共有結合、イオン結合、疎水性結合、物理的吸着、マイクロカプセル化(microencapsulation)などにより前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体を結合させることが可能である。また、これら担体-酵素結合体がグルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、シアノゲンブロミド(cyanogen bromide)などの作用により共有結合を形成することによって前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体を固定化させることも可能である。また、前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体を別に精製する必要なしに前記ポリペプチド、これを含むポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体を含有する微生物細胞をそのまま固定化して使用することも可能である。このような全細胞固定化(whole cell immobilization)時に微生物に含有されている前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体の反応性を高めるために細胞エントラップメントまたは表面ディスプレイ(cell entrapment or surface display)などの技術を適用することもできる。
【0068】
本明細書に記載された核酸配列は、コドンの縮重性(degeneracy)により前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体を発現させようとする微生物で好まれるコドンを考慮して、コーディング領域から発現する蛋白質のアミノ酸配列および/または機能を変化させない範囲内でコーディング領域に多様な変形が行われ得る。
【0069】
前記核酸分子またはベクターの導入は、公知の形質転換方法を当業者が適切に選択して行うことができる。本明細書において、用語「形質転換」は、標的蛋白質(外来蛋白質)をコードする核酸分子を含むベクターを宿主細胞内に導入して宿主細胞内で前記核酸分子がコードする蛋白質が発現することができるようにすることを意味する。形質転換された核酸分子は、宿主細胞内で発現さえできれば、宿主細胞の染色体内に挿入される、および/または染色体外に位置することができる。また、前記核酸分子は、標的蛋白質(前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体)をコーディングするDNAおよび/またはRNAを含む。前記核酸分子は、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、その導入される形態には制限がない。例えば、前記核酸分子は、独自的に発現するのに必要な全てのエレメントを含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入され得る。前記発現カセットは、通常前記核酸分子に作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位および/または翻訳終結信号などの発現調節エレメントを含むことができる。前記発現カセットは、自己複製が可能な発現ベクターの形態であり得る。また、前記核酸分子は、それ自体の形態で宿主細胞の誘電体に導入されて宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであり得る。前記で用語「作動可能に連結」されたものとは、発現調節エレメントが目的蛋白質(外来蛋白質)をコードする核酸分子の転写調節(例、転写開始)を行うことができるように発現調節エレメント(例、プロモーター)と核酸分子が機能的に連結されていることを意味し得る。作動可能な連結は、当業界における公知の遺伝子組換え技術を利用して行うことができ、例えば、通常の部位特異的DNA切断および連結により行われ得るが、これに制限されない。
【0070】
前記核酸分子を宿主細胞に形質転換する方法は、核酸を細胞(微生物)内に導入する如何なる方法でも遂行可能であり、宿主細胞により当該分野で公知の形質転換技術を適切に選択して行うことができる。前記公知の形質転換方法として電気穿孔法(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO)沈澱法、塩化カルシウム(CaCl)沈澱法、微細注入法(microinjection)、ポリエチレングリコール(PEG)沈澱法(polyethylene glycol-mediated uptake)、DEAE-デキストラン法、陽イオンリポゾーム法、リポフェクション(lipofection)、酢酸リチウム-DMSO法、熱ショク(heat shock)方法、粒子銃衝撃法(particle gun bombardment)、シリコン炭化物ウィスカー(Silicon carbide whiskers)、超音波処理(sonication)などが例示され得るが、これに制限されるのではない。
【0071】
前記核酸分子の宿主細胞誘電体(染色体)内導入(挿入)は、公知の方法を当業者が適切に選択して行うことができ、例えば、RNA-ガイドエンドヌクレアーゼシステム(RNA-guided endonuclease systemまたはCRISPR system;例えば、(a)RNA-ガイドエンドヌクレアーゼ(例、Cas9蛋白質など)、そのコード遺伝子、または前記遺伝子を含むベクター;および(b)ガイドRNA(例、single guide RNA(sgRNA)など)、そのコードDNA、または前記DNAを含むベクターを含む混合物(例えば、RNA-ガイドエンドヌクレアーゼ蛋白質とガイドRNAの混合物など)、複合体(例えば、リボ核酸融合蛋白質(RNP))、組換えベクター(例えば、RNA-ガイドエンドヌクレアーゼコード遺伝子およびガイドRNAコードDNAを共に含むベクターなど)などからなる群より選択された一つ以上)を使用して行うことができるが、これに制限されるのではない。
【0072】
本明細書において、用語「ベクター」は、適した宿主内で目的蛋白質を発現させることができるように適した調節配列に作動可能に連結された前記目的蛋白質をコードする核酸分子の塩基配列を含有するDNA製造物を意味する。前記調節配列は、転写を開始できるプロモーター、転写を調節するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および/または転写および/または解読の終結を調節する配列を含むことができる。ベクターは、適当な宿主微生物内に形質転換された後、宿主微生物の遺伝体と関係なく発現したり、宿主微生物の遺伝体内に統合され得る。
【0073】
本明細書で使用可能なベクターは、宿主細胞内で複製可能なものであれば特に限定されず、通常使用される全てのベクターの中で選択され得る。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換えられた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージなどが挙げられる。例えば、前記ベクターとして、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、およびCharon21Aなどを使用することができ、プラスミドベクターとしてpBC系(例、pBC-KS(+))、pBR系(例、pBR322、pBR325)、pUC系(例、pUC118およびpUC119)、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系、pET系(例、pET-22b(+))、バチルスサブチリス由来プラスミド(例、pUB110、pTP5)、レトロウイルス、アデノウイルスまたはワクシニアウイルスのような動物ウイルス由来プラスミド、バキュロウイルスのような昆虫ウイルス由来プラスミドなどを使用することができるが、これに制限されない。
【0074】
前記宿主細胞は、通常使用される全ての種類の単細胞有機体、例えば各種バクテリア(例えば、Escherichia属、Clostridia属など)などの原核細胞微生物および酵母などの真核細胞微生物からなる群より選択されたものであり得、例えば、クローストリディア(Clostridia)属微生物(例えば、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Clostridium saccharoperbutylacetonicum、またはClostridium saccharobutylicum)、エスケリキア(Escherichia)属微生物(例えば、Escherichia coli(大腸菌)など)などからなる群より択されたものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0075】
本明細書で使用可能なベクターは、公知の発現ベクターおよび/または核酸分子の宿主細胞染色体内挿入用ベクターであり得る。前記核酸分子の宿主細胞染色体内挿入は、当業界に知られた任意の方法、例えば、相同組換えまたはCRISPRシステムにより行われ得るが、これに限定されない。前記ベクターは、前記染色体内挿入の有無を確認するための選別マーカ(selection marker)を追加的に含むことができる。前記選別マーカは、ベクターで形質転換された細胞を選別、つまり、前記ポリヌクレオチドの挿入有無を確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面蛋白質の発現のような選択可能表現型を付与する遺伝子の中で選択して使用することができる。選択剤(selective agent)が処理された環境では選別マーカを発現する細胞だけが生存したり他の表現形質を示すため、形質転換された細胞を選別することができる。
【0076】
他の例は、前記核酸分子を適切な宿主細胞で発現させる段階を含む、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体の製造方法を提供する。前記製造方法は、前述した組換え細胞を培養する段階を含むことができ、任意に前記培養物から前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体を分離および/または精製する段階を追加的に含むことができる。
【0077】
B3ドメイン変異体を含むマトリックス(レジン)
他の例は、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体が固体支持体にカップリングされたマトリックス(レジン)を提供する。前記マトリックスは、吸着により蛋白質を分離および/または精製する技術、例えば、(親和性)クロマトグラフィーに使用するためのクロマトグラフィー用マトリックスであり得るが、これに制限されるのではない。
【0078】
前記マトリックスで、前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体は、固体支持体に結合(カップリング)されるリガンドとして使用し、2個以上の複数個で使用することができる。一具体例において、前記クロマトグラフィー用マトリックスは、複数個のポリペプチド多量体が固体支持体にカップリングされたものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0079】
前記固体支持体は、ポリペプチドをカップリングさせることができる全ての適した公知の種類のもの、例えば、通常の親和性分離マトリックスに使用される固体支持体から適切に選択され得る。例えば、前記固体支持体は、有機または無機物質であり得る。
【0080】
一例において、前記固体支持体は、有機物質であり得、水性媒質に親水性表面を露出させる、および/または内部表面上にヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシアミド(-CONH、おそらくN-置換された形態で)、アミノ(-NH、おそらく置換された形態で)、オリゴ-またはポリエチレンオキシ基を露出させるポリマーを基剤とするものであり得る。前記ポリマーは、デキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、アガロースなどの多糖類、例えば、ビスエポキシド、エピハロヒドリン、または1,2,3-トリハロ置換された低級炭化水素と共に架橋結合された多糖類を基剤として、適した多孔性および強度を提供するものであり得る。一具体例において、前記固体支持体は、多孔性アガロースビーズであり得るが、これに制限されるのではない。本明細書で使用された固体支持体は、逆(inverse)懸濁液ゼラチン化など標準的方法により製造されたり(S Hjerten: Biochem Biophys Acta 79 (2), 393-398 (1964))、市販される製品、例えばセファロース(商標)FF(Amersham Biosciences、スウェーデン、ウプサラ所在)などを使用することができるが、これに制限されるのではない。
【0081】
他の例で、前記固体支持体は、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどの合成ポリマーを基剤とすることができる。ジビニルおよびモノビニル-置換されたベンゼンを基剤としたマトリックスのような疎水性ポリマーの場合には、マトリックス表面が時々親水性化されて、囲んだ水性液体で前記のような親水性基を露出させることがある。前記ポリマーは、標準的方法により製造したり(「Styrene based polymer supports developed by suspension polymerization」, R. Arshady:Chimica eL´Industria 70 (9), 70-75 (1988))、市販される製品、例えばソース(Source、商標)(Amersham Biosciences、スウェーデン、ウプサラ所在)などを使用することができるが、これに制限されるのではない。
【0082】
また他の例で、前記固体支持体は、シリカ、酸化ジルコニウムなどの無機性質の支持体を含むことができ、または固体支持体が表面、チップ、毛細管またはフィルターなどの他の形態であり得る。
【0083】
一例において、前記マトリックスは、多孔性モノリス(monolith)の形態であるか、多孔性または非多孔性のビーズまたは粒子形態であり得る。ビーズまたは粒子型マトリックスが充填されたベッドとしてまたは懸濁された形態で使用され得る。懸濁された形態は、拡張されたベッドおよび純粋な懸濁液と知られたものなどを含み、そのうち、粒子またはビーズは自由に動くことができる。モノリス、充填されたベッドおよび拡張されたベッドの場合、分離過程は濃度勾配を通じた通常のクロマトグラフィー以降にすることが一般的である。
【0084】
前記リガンド(前記ポリペプチド、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、または蛋白質L変異体)は、例えばリガンドに存在するアミノ基および(または)カルボキシ基を使用する通常のカップリング技術を通じて支持体に付着され得る。ビスエポキシド、エピクロロヒドリン、CNBr、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などはよく知られたカップリング剤である。支持体とリガンドとの間に、スペーサとして知られた分子を導入することができ、これはリガンドの活用度を向上させ、リガンドの支持体としての化学的カップリングを容易にする。これとは異なり、リガンドは、物理的吸着または生物特異な吸着などの非共有結合により支持体に付着され得る。
【0085】
本明細書で提供されるマトリックスは、親和性クロマトグラフィーに使用される既存の蛋白質Lを含むマトリックスと比較して、塩基条件(例えば、pH9以上、pH9.5以上、pH10以上、pH10.5以上、pH11以上、pH11.5以上、pH12以上、pH12.5以上、またはpH13以上);より具体的に、アルカリ溶液(例えば、0.3M NaOH溶液、約pH13.48)を使用した洗浄を1乃至20回(例えば、15回遂行時)での免疫グロブリン(例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG、3、またはIgG4))またはその軽鎖部位を含む断片(例えば、scFv、Fabなど)との結合能が約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、または約30%以上増加したものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0086】
免疫グロブリン結合、分離、精製用途
本明細書で提供されるポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、蛋白質L変異体、および/またはクロマトグラフィー用マトリックスに一つ以上の標的化合物(例えば、免疫グロブリンのような蛋白質など)が吸着されることによって液体から分離および/または精製され得る。
【0087】
そこで、他の例は、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、蛋白質L変異体、および/またはクロマトグラフィー用マトリックスの免疫グロブリン結合、および/または免疫グロブリン分離および/または精製用途を提供する。
【0088】
より具体的に、一例は、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、蛋白質L変異体、これらをコーディングする核酸分子、組換えベクターおよび組換え細胞、およびクロマトグラフィー用マトリックスからなる群より選択された1種以上を含む免疫グロブリン結合用組成物を提供する。
【0089】
他の例は、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、蛋白質L変異体、およびクロマトグラフィー用マトリックスからなる群より選択された1種以上を含む免疫グロブリンの分離および/または精製用組成物を提供する。
【0090】
他の例は、免疫グロブリンを含む試料に、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、蛋白質L変異体、およびクロマトグラフィー用マトリックスからなる群より選択された1種以上を接触させて、前記免疫グロブリンを吸着させる段階を含む、免疫グロブリンの分離および/または精製方法を提供する。
【0091】
他の例は、標的化合物を含む液状試料に、前述したポリペプチド(B3ドメイン変異体)、ポリペプチド多量体、免疫グロブリン結合蛋白質、蛋白質L変異体、およびクロマトグラフィー用マトリックスからなる群より選択された1種以上を接触させて、前記標的化合物を吸着させる段階を含む、液体から一つ以上の標的化合物を分離および/または精製する方法を提供する。
【0092】
本明細書において、免疫グロブリンは、ヒト、サルなどの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などに由来するものであり得、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、IgA、IgD、IgE、IgMなどの多様なサブタイプから選択されたものであり得る。前記精製および/または分離対象免疫グロブリンは、完全な形態または軽鎖を含む断片形態、例えばscFv、Fab、(scFv)、Fab、Fab’またはF(ab’)などであり得るが、これに制限されるのではない。
【0093】
前記免疫グロブリンまたは標的化合物の分離および/または精製方法は、クロマトグラフィー、例えば、親和性クロマトグラフィーであり得る。
【0094】
前記親和性クロマトグラフィーを簡単に説明すれば、第1段階で標的化合物、例えば、前述のような免疫グロブリンまたはその断片を含む溶液(例えば、同じ免疫グロブリンまたはその断片発現細胞培養液など)を前記標的化合物が分離マトリックス上に存在するリガンドに吸着され得る条件下で分離マトリックスを通過させる。このような条件は例えばpHおよび(または)塩濃度、つまり、溶液中のイオン強さにより調節される。マトリックスの容量を超えないように注意するべきであるが、つまり、満足な吸着が可能なように十分に流れを緩くしなければならない。この段階で、その溶液の他の成分は原則的に塞がれず通過する。必須的なことではないが、保有された物質および(または)緩く結合された物質を除去するために、その後、マトリックスは、水溶液を使用するなどにより洗浄する。本出願で提供されるマトリックスは、前述のように、アルカリ製剤を使用する洗浄段階を行っても標的化合物(例えば、免疫グロブリンまたはその断片)に対する結合能を維持することができるという利点を有する。次の段階で、溶出剤と称する第2溶液を標的化合物の脱着、つまり、放出を可能にする条件下でマトリックス上に通過させる。このような条件はpH、塩濃度、つまり、イオン強さ、疎水性などの変化により通常提供される。勾配溶出および段階式溶出などの多様な溶出方法が知られている。溶出は、マトリックス上で所望の抗体を代替する競争物質を含む第2溶液によっても可能になり得る。
【発明の効果】
【0095】
アルカリ耐性が向上してアルカリ条件での安定性が向上した免疫グロブリン結合蛋白質を提供することによって、クロマトグラフィーのようなアルカリ製剤を利用した洗浄工程を必須で伴う免疫グロブリン精製技術で免疫グロブリン-結合リガンドとして有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】一実施例によるB3ドメイン変異体EP1(E28A)とEP2(E28G)のアルカリ処理後のscFv結合能(吸光度で測定される)を野生型(wB3)と比較した結果を示すグラフである(1次 error prone PCR結果)。
図2】一実施例による4種のB3ドメイン変異体BEP1(E28G/Y13F)、BEP2(E28G/K43P)、BEP3(E28G/D51V)、およびBEP4(E28G/N60E)のアルカリ処理後のscFv結合能(吸光度で測定される)を変異体EP2(E28G)(100%)と比較した結果を示すグラフである(2次 error prone PCR結果)。
図3】一実施例による6種のB3ドメイン変異体EPS1(E28L)、EPS2(E28P)、EPS3(E28W)、EPS4(E28G/K43E)、EPS5(E28G/D51T)、およびEPS6(E28G/N60F)のアルカリ処理後のscFv結合能(吸光度で測定される)を変異体EP2(E28G)と比較した結果を示すグラフである(3次 error prone PCR結果)。
図4】アルカリ耐性が増加された変異体の選抜のための位置指定突然変異ライブラリーの作製過程を例として示す模式図である。
図5】一実施例によるB3ドメイン変異体mBF4(Y13F/E28G/K43P)のアルカリ処理後の時間によるscFv結合能(吸光度で測定される)変化を野生型B3ドメインと比較して示すグラフである。
図6】一実施例によるB3ドメイン変異体mBF4(Y13F/E28G/K43P)を4個含む四量体4mBFのアルカリ処理(洗浄)回収(サイクル:cycle)によるscFv結合能(吸光度で測定される)変化を市販製品(Cytiva 17-5478-01、Capto L)と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を制限しようとするものではない。下記に記載された実施例は、発明の本質的な要旨を逸脱しない範囲で変形可能であることは当業者に自明である。
【0098】
<実施例1>改良のための組換え免疫グロブリンGの断片(IgG(f))蛋白質の製造
【0099】
<1-1>免疫グロブリンGのIgG(f)遺伝子合成
ヒトのIgG1基盤のscFv regionのポリペプチド(IgG(f);Herceptin scFv;配列番号2)をコードする核酸配列(IgG(f)遺伝子;配列番号1)は、NCBIサイトのBlastを通じて探して(GenBank accession no. AWW43726)、コスモジンテク社(大田、韓国)に依頼して合成した。
【0100】
<1-2>pET-IgG(f)プラスミドの製造
前記実施例<1-1>で得たIgG(f)遺伝子をpET29a(+)ベクター(Stratagene社、米国)のNdeIとXhoI制限酵素認識部位に挿入してpET-IgG(f)プラスミドを準備した。詳細は下記のとおりである。
【0101】
前記実施例<1-1>で合成を通じて得られたIgG(f)遺伝子DNA産物(配列番号1)を制限酵素NdeIとXhoIで切断した後、精製キット(QIAEX Gel Extraction Kit;Qiagen社、ドイツ)で精製して、これを挿入DNAとして使用した。また、pET29a(+)ベクターDNAを制限酵素NdeIとXhoIで切断してアンタークティックホスファターゼ(antartic phosphatase)(エンジノミックス社、韓国)で脱リン酸化させたDNA断片をベクターDNAとして使用した。前記の挿入DNAとベクターDNAをT4 DNAリガーゼ(エンジノミックス社、韓国)を利用して16℃で16時間ライゲーション(ligation)させた後、前記ライゲーション液を利用して電気穿孔法(electroporation)で発現用大腸菌BL21(DE3)菌株(エンジノミックス社)に形質転換を行った。前記菌株を50μg/mL濃度のカナマイシン抗生剤を含有するLB寒天培地に塗抹して37℃で16~18時間静置培養することによって形質転換体を選別した。この形質転換体からプラスミドを分離して挿入DNAの塩基配列を決定することによって、配列番号1の核酸配列を有するIgG(f)遺伝子を含むpET-IgG(f)プラスミドを製造した。前記pET-IgG(f)プラスミドは配列番号2で表示される野生型IgG(f)蛋白質(Herceptin scFv)を発現する。
【0102】
<1-3>ニッケル親和性レジンを利用したIgG(f)蛋白質の精製
IgG(f)遺伝子を含む大腸菌BL21(DE3)形質転換体を種菌培養するために、カナマイシン抗生剤が含有されたLB液体培地(BD(Becton、Dickinson and Company))5mLを50mLのコニカルチューブに分注し、選別された形質転換体を接種した後、37℃、200rpm条件で16時間振盪培養した。LB液体培地200mLが分注された500mL三角フラスコに前記種菌培養液1%(v/v)を接種した後、37℃、200rpmで振盪培養した。約OD600=0.6まで振盪培養した後、IPTG(イソプロピル-β-D-チオ-ガラクトピラノシド:isopropyl-β-D-thio-galactopyranoside)の最終濃度が1mMになるように添加して37℃、200rpm、18時間にかけて追加振盪培養した。このフラスコ培養液を遠心分離(4℃、8,000rpm、20分)して菌体を回収した後、PBSバッファー(pH7.4)(イントロンバイオテクノロジー社、韓国)10mLの溶液に懸濁した。この懸濁液を4℃で超音波紛砕機で15分間破砕して遠心分離(4℃、20,000rpm、20分)して上澄液だけを取った。ニッケル親和性レジンであるWorkBeads(商標)40 Ni-NTA(bioworks社、スウェーデン)1mLをカラムに充填して5mLの結合バッファー(20mM NaHPO、300mM NaCl、10mM イミダゾール(Imidazole) pH8.0)を流した後、前記の上澄液2.5mLと結合バッファー2.5mLを混合してカラムに流した。洗浄バッファー(20mM NaHPO、300mM NaCl、30mM Imidazole pH8.0)5mLを流した後、溶出バッファー(20mM NaHPO、300mM NaCl、300mM Imidazole pH8.0)2.5mLを流して通過液は15mLのコニカルチューブに回収した。このように回収された精製された蛋白質はHiPrep 26/10 desalting column(cytiva社、スウェーデン)を利用して脱塩(desalting)を進行した。
【0103】
<実施例2>鋳型(template)の作製
【0104】
<2-1>B3ドメイン遺伝子の合成
ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)由来蛋白質LのB3ドメイン遺伝子(配列番号3)に後ほどの蛋白質精製を考慮して6xHis tagを含めた遺伝子をコスモジンテク社(大田、韓国)に依頼して合成した。
【0105】
<2-2>pBC-wB3プラスミドの製造
前記実施例<2-1>で得た蛋白質Lの野生型B3ドメイン(wB3)遺伝子(配列番号3)をpBC KS(+)ベクター(Stratagene社、米国)のNdeIとNotI制限酵素認識部位に挿入してpBC-wB3プラスミドを製造した。詳しく下記のとおり進行した。
【0106】
前記実施例<2-1>で合成を通じて得られたwB3遺伝子DNA産物(配列番号3)を制限酵素NdeIとNotIで切断した後、精製キット(QIAEX Gel Extraction Kit;Qiagen社、ドイツ)で精製してこれを挿入DNAとして使用した。また、pBC KS(+)ベクターDNAを制限酵素NdeIとNotIで切断してアンタークティックホスファターゼ(antartic phosphatase)(エンジノミックス社、韓国)で脱リン酸化させたDNA断片をベクターDNAとして使用した。前記の挿入DNAとベクターDNAをT4 DNAリガーゼ(エンジノミックス社、韓国)を利用して16℃で16時間ライゲーション(ligation)させた後、前記ライゲーション液を利用して電気穿孔法(electroporation)で大腸菌DH5α菌株(エンジノミックス社)に形質転換を行った。前記菌株を20μg/mL濃度のクロラムフェニコール抗生剤を含有するLB寒天培地(BD(Becton、Dickinson and Company))に塗抹して37℃で16~18時間静置培養をすることによって形質転換体を選別した。選別された形質転換体からプラスミドを分離して挿入DNAの塩基配列を決定して、配列番号3の核酸配列を有する野生型B3ドメイン遺伝子を含むpBC-wB3プラスミドを製造した。前記pBC-wB3プラスミドは配列番号4で表示される野生型蛋白質L B3ドメイン蛋白質を発現する。
【0107】
<実施例3>エラー誘発性重合酵素連鎖反応(error prone PCR)方法を利用したwB3改良
【0108】
<3-1>エラー誘発性重合酵素連鎖反応(error prone PCR)によるwB3変異体ライブラリーの作製
実施例2で合成したwB3遺伝子(配列番号3)の核酸配列に人為的に無作為突然変異を誘発するために、エラー誘発性重合酵素連鎖反応(error prone PCR)を行って突然変異ライブラリーを構築した。
【0109】
具体的な突然変異ライブラリーの製造過程は次のとおりである。エラー誘発性重合酵素連鎖反応は、Diversity(登録商標) PCR Random Mutagenesis kit(クロンテック、米国)を使用して1000bp当たり1~2個の突然変異が起こるように誘導した。PCR反応混合液の組成は、鋳型DNAとしてpBC-wB3プラスミド(実施例2-2)1ng、EP-Fプライマー(配列番号5)とT7プライマー(配列番号6)のそれぞれ10pmol、40μM dGTP、Diversity dNTP mixとTITANIUM(商標) Taq DNA ポリメラーゼ(polymerase)で最終体積は100μLに調整した。PCRは、C1000 Touch thermal cycler(BIO-RAD社、米国)を使用して次の条件で行った。前記反応混合液を94℃で30秒間初期変性(pre-denauration)させ、変性を94℃で30秒、アニーリングを55℃で30秒および重合を68℃で3分間行う反応を16回繰り返した後、68℃で1分間後重合させた。
【0110】
前記条件で行ったエラー誘発性重合酵素連鎖反応を通じて得られたそれぞれのwB3変異遺伝子PCR産物は、制限酵素NdeIとNotIで切断した後、QIAEX Gel Extraction Kit(Qiagen社、ドイツ)で精製して、挿入DNAとして使用した。また、pBC-KS(+)プラスミドを制限酵素NdeIとNotIで切断し、アンタークティックホスファターゼ(antartic phosphatase)(エンジノミックス社、韓国)で脱リン酸化させた3.4kbの大きさのDNA断片をベクターDNAとして使用した。前記の挿入DNAとベクターDNAをT4 DNAリガーゼ(エンジノミックス社、韓国)を利用して16℃で16時間ライゲーション(ligation)させた後、前記ライゲーション液を電気穿孔法(electroporation)で大腸菌DH5α菌株に形質転換を行った。前記菌株を20μg/mL濃度のクロラムフェニコール抗生剤を含むLB寒天培地に塗抹して37℃で16~18時間静置培養をすることによって無作為突然変異ライブラリーを製造した。
【0111】
<3-2>アルカリ耐性が増加された変異体の選抜
前記方法を通じて誘発されたwB3変異遺伝子を含んでいる大腸菌DH5α形質転換体を培養するために、クロラムフェニコール抗生剤が含有されたLB液体培地500μLを96-ディープウェルプレート(バイオニア社、韓国)に分注し、形質転換体を接種した後、37℃、280rpm条件で18時間振盪培養した。
【0112】
具体的な蛋白質精製過程は次のとおりである。蛋白質精製は、Promega HisLink(商標) 96 Protein Purification System(Promega社、米国)を使用して進行した。10× FastBreak(商標) Cell Lysis ReagentとDNase I solutionを比率に合うように混合してFastBreak(商標) Reagent/DNase I solutionを準備した。各ウェルに600μLの培養液と60μLのFastBreak(商標) Reagent/DNase I solutionを入れた後、65μLのHisLink(商標) Resinを入れた。これをシェーカー(shaker)で100rpmで30分間混合して培養液とレジンが反応できるようにした。反応液とレジンを濾過(filtration)プレートに移し、Vac-Man(登録商標)96 Vacuum Manifold(Promega社、米国)を利用して10秒間真空を加えてフィルタリングした。次に、250μLのbinding/wash buffer(100mM HEPES、10mM imidazole、pH7.5)を各ウェルに添加した後、10秒間真空を加えて洗浄し、同じ方法で3回繰り返した。プレートに200μLの溶出バッファー(100mM HEPES、500mM imidazole、pH7.5)を添加して10分間反応させた後、1分間真空を与えて新たな96-ウェルプレートに精製された蛋白質を回収した。精製したwB3変異体を96-ウェルプレートでNHS(N-hydroxysuccinimide)-Activated sepharose 4 Fast flow(Cytiva社、スウェーデン)にカップリングさせた後、濾過(filteration)プレートに移した。実施例<1-3>で精製したIgG(f)蛋白質150μL(71.5μg/mL)を前記濾過(filtration)プレートに入れた後、シェーカー(shaker)を利用して常温で100rpmで1時間反応させた。非結合したIgG(f)蛋白質は真空を与えて除去した後、150μLのPBSバッファー(pH7.4)を各ウェルに添加して真空を加えて洗浄し、同じ方法で3回洗浄した。150μLの溶出バッファー(0.1M Glycine-HCl、pH2.5)を入れて常温で30秒間反応させた後、1分間真空を与えて新たな96-ウェルプレートに蛋白質を回収した。溶出バッファーを処理した濾過(filtration)プレートは150μLのPBSバッファーを各ウェルに分注して真空を加えて洗浄し、同じ方法で3回洗浄した。
【0113】
回収した蛋白質を移した新たな96-ウェルプレートは、Synergy HTX multi-mode reader(BioTek社、米国)を使用してOD280でIgG(f)蛋白質量を測定した。初期結合分析が終わった後、wB3変異体のアルカリ耐性を確認するために濾過(filtration)プレートに入っているwB3変異体レジンに0.3M NaOHを200μLを添加した後(pH13.48)、常温で100rpmで1時間反応させた。その後、200μLのPBSバッファーで3回洗浄し、初期結合分析と同様な方法でIgG(f)蛋白質結合させた後、回収して抗体の量を測定した。前記のような方法を繰り返して残っているIgG(f)蛋白質量を比較する方法でwB3変異体の残存するIgG(f)結合活性を分析した。
【0114】
前記wB3変異体の0.3M NaOH処理する前と後の吸光度を比較してwB3よりアルカリ耐性が増加されたwB3変異体(2個)を選抜した。前記選抜された2個の変異体は、遺伝子の核酸配列決定を通じて、野生型wB3(配列番号4)がE28A(組換え的合成時、開始コドンによりコーディングされたメチオニン(M)の次のアミノ酸残基(つまり、配列番号4の2番目のアミノ酸残基であるP)から起算して28番目(つまり、配列番号4の29番目)アミノ酸残基であるEがAで置換された変異を意味する、本明細書でアミノ酸変異表示は同一の方式で解釈される)変異を有する変異体EP1(配列番号7)およびE28G変異を有する変異体EP2(配列番号8)に突然変異されたことを確認した。前記選抜された2個の変異体EP1(E28A)とEP2(E28G)の吸光度を野生型(wB3)の吸光度と比較した結果を図1に示した(wB3の吸光度(100%)に対する相対値で示す)。
【0115】
<3-3>エラー誘発性重合酵素連鎖反応(error prone PCR)によるEP2変異体ライブラリーの作製
実施例<3-2>で選別されたwB3変異体のうち、アルカリ耐性がより高い変異体EP2(E28G)(配列番号8)のコーディング遺伝子に対して追加改良を進行した。pBC KS(+)ベクターに挿入されているEP2を新たな鋳型にしてエラー誘発性重合酵素連鎖反応(error prone PCR)をもう一度進行した。
【0116】
実施例<3-1>および<3-2>と同様な方法でエラー誘発性重合酵素連鎖反応を進行した後、EP2よりアルカリ耐性が増加された蛋白質を選抜した。その結果、4個の変異体が追加的に選抜され、これらの遺伝子の核酸配列決定を通じて、変異体EP2がE28G/Y13F変異を有する変異体BEP1(配列番号9)、E28G/K43P変異を有する変異体BEP2(配列番号10)、E28G/D51V変異を有する変異体BEP3(配列番号11)、E28G/N60E変異を有する変異体BEP4(配列番号12)に突然変異されたことを確認した。前記確認された4個の変異体BEP1(E28G/Y13F)、BEP2(E28G/K43P)、BEP3(E28G/D51V)、BEP4(E28G/N60E)の吸光度を変異体EP2(E28G)の吸光度と比較した結果を図2に示した(EP2の吸光度(100%)に対する相対値で示す)。
【0117】
<実施例4>部位飽和突然変異(site-saturation mutagenesis)方法を利用したwB3改良
【0118】
<4-1>部位飽和突然変異によるwB3変異体ライブラリーの作製
wB3遺伝子で改良されたEP2(E28G)遺伝子に追加的にアルカリ耐性を付与するために<実施例3>で選定された変異体で変異が起こった5個のアミノ酸残基(Y13、E28、K43、D51、N60)に対して部位飽和突然変異(site-saturation mutagenesis)ライブラリーを製造した。具体的な方法は次のとおりである。
【0119】
28番目のアミノ酸(N-末端に開始コドンによるメチオニン(M)を含む配列番号4の29番目のアミノ酸に該当、本明細書でアミノ酸位置表示は同一の方式で解釈される)が変異されたライブラリーを製造するために、pBC KS(+)ベクターに挿入されているwB3遺伝子(配列番号3)を鋳型にし、28-Fプライマー(配列番号13)、28-Rプライマー(配列番号14)、Pfu-X DNA polymerase、10× Pfu-X Reactionバッファー、10mM dNTPで最終体積を50μLに調整した反応混合液を準備して行った。前記反応混合液を次の反応条件で反応させた。95℃で2分間初期変性させ、変性を95℃で20秒、アニーリングを56℃で40秒および重合を72℃で1分間行う反応を25回繰り返した後、72℃で5分間後重合させた。前記条件で得られたPCR産物を制限酵素DpnIで18時間処理し、精製キット(PCR purification Kit;コスモジンテク社、韓国)で精製して、これを直ちに電気穿孔法(electrophoration)で大腸菌DH5α菌株に形質転換させた。前記形質転換された菌株を20μg/mL濃度のクロラムフェニコール抗生剤を含有するLB寒天培地に塗抹して37℃で16~18時間静置培養することによって部位飽和突然変異ライブラリーを製造した。
【0120】
その後、前記叙述した方法と同様な方法で、pBC KS(+)ベクターに挿入されているBEP1(配列番号9)コーディング遺伝子、BEP2(配列番号10)コーディング遺伝子、BEP3(配列番号11)コーディング遺伝子、またはBEP4(配列番号12)コーディング遺伝子を鋳型にして、それぞれ13-Fプライマー(配列番号15)と13-Rプライマー(配列番号16)、43-Fプライマー(配列番号17)と43-Rプライマー(配列番号18)、51-Fプライマー(配列番号19)と51-Rプライマー(配列番号20)、60-Fプライマー(配列番号21)と60-Rプライマー(配列番号22)を使用してライブラリーを作製した。
【0121】
<4-2>アルカリ耐性が増加された変異体の選抜
前記実施例<3-2>と同様な方法を利用して前記実施例<4-1>で作製されたライブラリーを探索した結果、変異体EP2(E28G)に比べてアルカリ耐性が同等または増加した変異体としてEPS1(E28L)(配列番号23)、EPS2(E28P)(配列番号24)、EPS3(E28W)(配列番号25)、EPS4(E28G/K43E)(配列番号26)、EPS5(E28G/D51T)(配列番号27)、およびEPS6(E28G/N60F)(配列番号28)の6個の変異体が追加的に選抜された。前記追加的に選抜された6個の変異体の吸光度を変異体EP2(E28G)の吸光度と比較した結果を図3に示した((EP2の吸光度100%)に対する相対値で示す)。
【0122】
<実施例5>位置指定突然変異(DNA shuffling)方法を利用したwB3改良
位置指定突然変異(DNA shuffling)を通じて実施例3および4で確認されたアルカリ耐性が増加した変異体に追加的にアルカリ耐性を付与しようとした。このために、選定された5個のアミノ酸変異(Y13F、E28G/W、K43E/P、D51T/V、N60E/F)に対して位置指定突然変異ライブラリーを作製し、具体的な製造過程は次のとおりである(図4参照)。
【0123】
まず、13番目のアミノ酸が変異されたライブラリーを製造するためにEP2(E28G)(配列番号8)コーディング遺伝子を鋳型にして、EP-Fプライマー(配列番号5)とSH13-R1プライマー(配列番号31)、SH13-R2プライマー(配列番号32)を使用するPCRを行って約0.1kbの大きさのPCR産物を回収した。28番目のアミノ酸が変異されたライブラリーを製造するために、wB3(配列番号4)コーディング遺伝子、EP2(E28G)(配列番号8)コーディング遺伝子、EPS3(配列番号25)コーディング遺伝子を鋳型にして、SH13-F1プライマー(配列番号29)、SH13-F2プライマー(配列番号30)とSH43-R1プライマー(配列番号35)、SH43-R2プライマー(配列番号36)を使用するPCRを行って約0.14kbの大きさのPCR産物を回収した。43番目のアミノ酸が変異されたライブラリーを製造するために、EP2(E28G)(配列番号8)コーディング遺伝子を鋳型にして、SH43-F1プライマー(配列番号33)、SH43-F2プライマー(配列番号34)とSH51-R1プライマー(配列番号39)、SH51-R2プライマー(配列番号40)を使用するPCRを行って約0.07kbの大きさのPCR産物を回収した。51番目のアミノ酸が変異されたライブラリーを製造するために、EP2(E28G)(配列番号8)コーディング遺伝子を鋳型にして、SH51-F1プライマー(配列番号37)、SH51-F2プライマー(配列番号38)とSH60-R1プライマー(配列番号44)、SH60-R2プライマー(配列番号45)、SH60-R3プライマー(配列番号46)を使用するPCRを行って約0.08kbの大きさのPCR産物を回収した。60番目のアミノ酸が変異されたライブラリーを製造するために、EP2(E28G)(配列番号8)コーディング遺伝子を鋳型にして、SH60-F1プライマー(配列番号41)、SH60-F2プライマー(配列番号42)、SH60-F3プライマー(配列番号43)とT7プライマー(配列番号6)を使用してPCRを行って約0.32kbの大きさのPCR産物を回収した。PCR反応液の組成は、それぞれの鋳型DNA、プライマー、Pfu-X DNA polymerase、10× Pfu-X Reactionバッファー、10mM dNTPで最終体積を100μLに調整して準備した。前記反応混合液を次の条件で反応させた。95℃で2分間初期変性させて変性を95℃で50秒、アニーリングを58℃で40秒および重合を72℃で1分間行う反応を25回繰り返した後、72℃で5分間後重合させた。
【0124】
前記条件から得られた102bpのPCR産物と141bpのPCR産物、67bpのPCR産物、78bpのPCR産物、および320bpのPCR産物を混合してプライマーを添加せずにPCRを行って5個のPCR産物が1個に連結された約0.7kbの大きさのPCR産物を回収した。前記約0.7kbのPCR産物を鋳型にしてEP-Fプライマー(配列番号5)とT7プライマー(配列番号6)を使用したPCRを行って約0.7kbの大きさの多重変異体DNA断片を増幅した。このように得られた約0.7kbのPCR産物を実施例<2-2>の方法と同様にpBC KS(+)ベクターDNAに挿入してE.coli DH5α菌株の形質転換を行って位置指定突然変異体ライブラリーを製造した。
【0125】
<実施例6>アルカリ耐性が増加されたmBF変異体開発:変異蛋白質mBF単量体のアルカリ耐性比較
前記実施例5で製造したライブラリーを実施例<1-3>のような方法で精製した後、<実施例3>と同様な方法で時間による吸光度を測定してアルカリ耐性を比較した。図5に前記で得られた時間による吸光度を開始時(0h)の吸光度(100%)に対する相対値で示した。
【0126】
図5に示されているように、実施例<3-2>と同様な方法を利用して実施例5のライブラリーを探索した結果、変異体EP2に比べてアルカリ耐性が増加した変異体としてmBF4(Y13F/E28G/K43P)(配列番号47)が選別された。図5に示すように、mBF4蛋白質は0.3M NaOHに5時間処理後に活性を比較した時、野生型アミノ酸配列を有するwB3蛋白質に比べて約2.7倍以上アルカリ耐性が増加したことを確認した。
【0127】
前記実施例1乃至6で選別された蛋白質L B3ドメイン変異体のアミノ酸配列を下記の表2に整理した。
【0128】
【表2】
【0129】
<実施例7>mBF四量体のアルカリ耐性の調査
【0130】
<7-1>4mBF遺伝子合成
実施例<6-1>で確認したmBF4蛋白質のアルカリ耐性を追加的に確認するために、mBF4変異体コーディング遺伝子を四量体で合成し、これを4mBFと命名した。前記遺伝子配列はコドン最適化(codon optimization)過程を経た後(配列番号48)、コスモジンテク社(大田、韓国)会社に依頼して合成した。
【0131】
<7-2>pET-4mBFプラスミドの製造
前記実施例<7-1>で得た4mBF遺伝子(配列番号48)を前記実施例<1-2>の方法と同様にpET29a(+)ベクター(Stratagene社、米国)にクローニングしてpET-4mBFプラスミドを製造した。前記pET-4mBFプラスミドは配列番号49で表示される変異蛋白質4mBFを発現する。
【0132】
<7-3>ニッケル親和性レジンを利用した変異蛋白質mBF四量体の精製
pET-4mBFプラスミドで形質転換されて4mBF遺伝子を含む大腸菌DH5α形質転換体を種菌培養するためにカナマイシン抗生剤が含有されたLB液体培地5mLを50mLコニカルチューブに分注し、選別した形質転換体を接種した後、37℃、200rpm条件で16時間振盪培養した。カナマイシン抗生剤が含有されたTB液体培地500mLを2000mL三角フラスコに分注し、前記培養液を種菌培養液の1%(v/v)で接種した後、37℃、200rpmで振盪培養した。約OD600=0.6まで振盪培養した後、IPTG(isopropyl-β-D-thio-galactopyranoside)の最終濃度が1mMになるように添加して37℃、200rpm、18時間にかけて追加振盪培養した。このフラスコ培養液を遠心分離(4℃、8,000rpm、20分)して菌体を回収した後、PBSバッファー(pH7.4)(イントロンバイオテクノロジー社、韓国)30mLの溶液に懸濁した。この懸濁液を4℃で超音波紛砕機で30分間破砕し、遠心分離(4℃、20,000rpm、20分)して上澄液だけを取った。WorkBeads(商標) 40 Ni-NTA(bioworks社、スウェーデン)7mLをカラムに充填した後、結合バッファー(20mM NaHPO、300mM NaCl、10mM Imidazole pH8.0)35mlを流して前記の上澄液30mLと結合バッファー30mLを混合した後にカラムに流した。洗浄バッファー(20mM NaHPO、300mM NaCl、30mM Imidazole pH8.0)35mLを流した後、溶出バッファー(20mM NaHPO、300mM NaCl、300mM Imidazole pH8.0)40mLを流して通過液は50mLのコニカルチューブに回収した。精製された蛋白質はHiPrep 26/10 desalting column(cytiva社、米国)を利用して脱塩(desalting)を進行した。
【0133】
<7-4>変異蛋白質mBF四量体のアルカリ耐性比較
実施例<7-3>で精製した4mBFをNHS(N-hydroxysuccinimide)-Activated sepharose 4 Fast flow(Cytiva社、スウェーデン)にカップリングした。作製された4mBFレジン(4mBF-アガロースビーズ)は、アルカリ耐性が高いと知られている商業的に入手可能な蛋白質L基盤のレジンであるCytiva社製品(Cytiva 17-5478-01、Capto L)とアルカリ耐性を比較した。Tricorn 5/50 カラム(cytiva社、米国)に各レジンを1mlずつ充填した後、PBSバッファー(pH7.4)(イントロンバイオテクノロジー社、韓国)5mlを1ml/分で流した。約1mg/mlの精製抗体(KBIO社、韓国)25mlをPBSバッファー25mlと希釈して1ml/分で流した。PBSバッファー5mlを1ml/分で流して非結合した抗体蛋白質を除去した後、溶出バッファー(0.1M Glycine-HCl、pH2.5)5mlを0.5ml/分で流して通過液を回収して結合された抗体を分離した。この時、分離した抗体は、中性化バッファー(1M Tris-HCl、pH8.5)0.5mlが入っているチューブに回収して中性化されるようにし、回収された抗体の量を測定した。初期結合分析が終わった後、アルカリ処理のためにPBSバッファー5mlを1ml/分で流した後、0.3M NaOH 7.5mlを0.5ml/分で流してNaOHが15分間レジンに接触することができるようにした。その後、PBSバッファー5mlを1ml/分で流して残っているNaOHを除去する過程までをアルカリ処理1回に設定し、同様な方法でアルカリ処理を繰り返した(1~15サイクル:cycle)。アルカリ処理後に初期結合分析と同様な方法で精製抗体を結合させ、回収して抗体の量を測定した。前記のような方法を繰り返して回収される抗体の量を比較する方法で各レジンが有しているアルカリ耐性を分析した。
【0134】
前記得られた結果を図6に示した。図6に示すように、4mBFレジンは、既に産業用で幅広く使用されているCytiva社製品に比べて、アルカリ耐性に優れたことを確認した。特に、アルカリ処理を15回まで進行した時、4mBFレジンの残存活性は43.46%にCytiva社製品に比べて約1.4倍高いことが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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