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特開2023-165670低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165670
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20231109BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20231109BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231109BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20231109BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20231109BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231109BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/65
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K8/99
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076307
(22)【出願日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0055255
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0048321
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】サン・グウォン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ヒ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ソン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・コ
(72)【発明者】
【氏名】ユジン・ホン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018MD08
4B018MD20
4B018MD82
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA031
4C083AA032
4C083AC331
4C083AC332
4C083AD431
4C083AD432
4C083CC02
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含む、しわ改善用化粧料組成物;しわ改善用医薬部外品組成物;及びしわ改善用食品組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用化粧料組成物;医薬部外品組成物;及び食品組成物に関する。本発明に係る低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物によれば、コラーゲン吸収を増加させるとともに、コラーゲン合成増加にシナジー効果に優れ、皮膚弾力増進またはしわ改善のための化粧品、医薬部外品及び食品などに有用に利用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用化粧料組成物。
【請求項2】
黒トリュフ抽出物をさらに含むものである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記低分子コラーゲンが、分子量100~5000Daである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
コラーゲン合成増加によるしわ改善の効果を発揮するものである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用医薬部外品組成物。
【請求項6】
黒トリュフ抽出物をさらに含むものである、請求項5に記載の医薬部外品組成物。
【請求項7】
低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用食品組成物。
【請求項8】
黒トリュフ抽出物をさらに含むものである、請求項7に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、皮膚の線維芽細胞(Fibroblast)で生成される主な基質タンパク質として細胞外間質に存在し、重要機能としては皮膚の機械的堅牢性、結合組織の抵抗力と組織の結合力、細胞接着の支え、細胞分割と分化(有機体の成長あるいは創傷治癒の時)の誘導などが知られている。このようなコラーゲンは、年齢及び紫外線照射による光老化により減少し、コラーゲンを分解するコラゲナーゼ酵素の活性によりコラーゲンの減少が促進される。これは皮膚のしわ形成と密接な関連があることが知られている。
【0003】
コラーゲンは分子量によって高分子コラーゲンと低分子コラーゲンに分けることができ、高分子コラーゲンは、一般に分子量5,000Da以上のものを指すが、分子量が大きいほど体内吸収率が低下し、機能性を示すことが難しい。一方、低分子コラーゲンは、分子量5,000Da以下のもので、既存のコラーゲンを含む化粧料組成物の場合、コラーゲン分子量を減らして吸収率を高めようとする研究がなされていたが、これだけでは皮膚内のコラーゲン合成を増加させるには十分ではないという問題があった(特許文献1)。
【0004】
このような背景下で、本発明者らは、この問題を解決しようと鋭意努力した結果、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含む化粧料組成物がコラーゲン吸収を増加させるとともに、コラーゲン合成の増加にシナジー効果を発揮することを確認し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1636680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用化粧料組成物を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用医薬部外品組成物を提供することである。
【0008】
本発明のまた他の目的は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用食品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを具体的に説明すると以下の通りである。一方、本発明で開示された各説明及び実施形態は、他の各説明及び実施形態にも適用することができる。すなわち、本発明に開示された様々な要素の全ての組み合わせが本発明の範囲に属する。また、下記の具体的な説明によって本発明の範囲が制限されるとは見なされない。
【0010】
前記目的を達成するための本発明の一態様は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物によれば、コラーゲン吸収を増加させるとともに、コラーゲン合成増加にシナジー効果に優れ、皮膚弾力増進またはしわ改善のための化粧品、医薬外部品及び食品などに有用に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記組成物は、黒トリュフ抽出物をさらに含むものであってもよい。
【0013】
本発明の用語、「低分子コラーゲン(low molecular weight collagen)」は、物理的処理、化学的処理及び生物学的処理のうちのいずれか1つ以上の処理による機序により低分子化した5,000Da以下のコラーゲンを意味しうる。
【0014】
より具体的には、低分子コラーゲンは、加水分解処理によって低分子化されたコラーゲン(hydrolyzed collagen)であってもよい。
【0015】
具体的には、前記低分子コラーゲンペプチドは、分子量が100~5,000Da、100~3,000Da、200~2,000Da、300~1,000Daであってもよい。
【0016】
前記低分子コラーゲンは、組成物全体の含量に対して0.0001%~10%、0.001%~10%、0.01%~5%含まれてもよい。
【0017】
本発明の用語、「ロスマリン酸(rosmarinic acid)」は、様々な植物(ゴマ葉 、レモン、ローズマリーなど)から発見されるポリフェノール化合物であり、分子式C1816で表される生化合物を意味しうる。
【0018】
前記ロスマリン酸は、組成物全体の含量に対して、0.01μg/ml~10mg/ml、0.1μg/ml~1mg/ml、1μg/ml~500μg/ml含まれてもよい。
【0019】
本発明の用語、「黒トリュフ(Tuber melanosporum)抽出物または黒セイヨウショウロ抽出物」の黒トリュフは、セイヨウショウロ科(Tuberaceae)のセイヨウショウロ属(Tuber)に属するキノコで、地下(地中20~30cm)に子実体を形成し、子実層が閉鎖されているのが特徴である。原産地はフランス及びイタリアで、主にオーク類の根に菌根(Mycorrhizae)として生息しているため、オークの木を利用して栽培することもある。
【0020】
前記黒トリュフは、組成物全体の含量に対して0.0001%~10%、0.001%~10%、0.01%~5%含まれてもよい。
【0021】
本発明の用語、「抽出物」は、目的とする物質を種々の溶媒に浸漬した後、常温、低温または加温状態で一定時間抽出して収得した液状成分、前記液状成分から溶媒を除去して収得した固形分などの結果物を意味する。さらに、前記結果物に加えて、前記結果物の希釈液、それらの濃縮液、それらの粗精製物、精製物などを全て含むものと包括的に解釈しうる。
【0022】
本発明において、前記抽出物は、黒トリュフ抽出物(Tuber melanosporum extract)またはセイヨウショウロ抽出物であってもよい。前記抽出物は、対象植物の天然、雑種、変種植物の様々な器官から抽出してもよく、例えば、胞子(spore)、菌糸(hyphae)、子実体(fruiting body)、子実層(hymenium)、子嚢(ascos)、担子器(basidium)だけでなく、子実体のいぼ(warts)、カサ(cap、pileus)、ヒダ(lamellae、gills、pores)、つば(ring、partial veil)、柄(stipe、stalk)、つぼ(volva) などの子実体組織から抽出可能であり、対象植物の種類に応じて適宜選択してもよいが、これに制限されない。前記抽出物は、水または様々な有機溶媒などで抽出して収得することができる。このとき、用いられる有機溶媒は抽出物を収得しうる限り、特にこれに制限されないが、具体的には、水、極性溶媒または非極性溶媒であってもよく、より具体的には、水、炭素数1~6の低級アルコール(C1~C6のアルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、それらの混合溶媒であってもよい。
【0023】
また、前記抽出物を収得するための方法は、前記抽出物を収得しうる限り、特にこれに制限されないが、具体的には、前記黒トリュフの子実体、その乾燥物、加工物などを前記溶媒に浸漬し、常温で抽出する冷浸抽出法、加熱抽出法、超音波を加えて抽出する超音波抽出法、還流冷却器を用いた還流抽出法などの方法を用いてもよい。
【0024】
本発明の用語、「分画物」は、様々な構成成分を含む混合物から特定成分または特定成分のグループを分離するために分画を実施して得られた結果物を意味する。本発明における分画物は、黒トリュフ抽出物の分画物であってもよい。
【0025】
本発明において前記分画物を得る分画方法は、前記分画物が皮膚有益菌増強効果を示しうる限り、特にこれに制限されないが、当該技術分野で通常的に使用される方法に従って行ってもよい。例えば、様々な溶媒を処理して行う溶媒分画法、一定の分子量カットオフ値を有する限外濾過膜を通過させて行う限外濾過分画法、様々なクロマトグラフィー(サイズ、電荷、疎水性または親和性による分離のために作製されたもの)を行うクロマトグラフィー分画法、及びそれらの組み合わせなどであり得る。
【0026】
本発明において前記分画物を得るために用いられる分画溶媒の種類は特に制限されず、当該技術分野で公知の任意の溶媒を用いてもよい。前記分画溶媒の非制限的な例としては、水、蒸留水、アルコールなどの極性溶媒;ヘキサン(Hexan)、酢酸エチル(Ethyl acetate)、クロロホルム(Chloroform)、ジクロロメタン(Dichloromethane)などの非極性溶媒などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。前記分画溶媒の中でアルコールを用いる場合には、炭素数1~4の低級アルコール(C1~C4のアルコール)を用いてもよい。
【0027】
前記黒トリュフは栽培したものまたは市販されるものなどを制限なく用いてもよい。
【0028】
本発明の一実施例では、コラーゲンを分子量別に処理してコラーゲン増加能を確認することにより、低分子コラーゲンの効果に優れることが確認でき(表2)、コラーゲンとロスマリン酸との組み合わせ、コラーゲン、ロスマリン酸及び黒トリュフ抽出物の組み合わせによるコラーゲン生合成性能のシナジー効果を確認することができた。前記組み合わせによる効果も、コラーゲンの分子量別のデータを介して低分子コラーゲンとの組み合わせにおけるシナジー効果に優れることを確認した。
【0029】
前記効果として、本発明のしわ改善用組成物は、低分子コラーゲンの吸収を増加させてコラーゲン含量を増加させるとともに、コラーゲン生合成能に優れ、しわ改善効果が顕著であることが確認できた。
【0030】
本発明の他の態様は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用化粧料組成物を提供する。
【0031】
前記化粧料組成物は、黒トリュフ抽出物をさらに含むものであってもよい。
【0032】
本発明において、前記化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーで構成される群から選択される剤形に製造してもよいが、これに制限されない。
【0033】
本発現において、前記化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容可能な担体を1種以上さらに含んでもよく、通常の成分として、例えば、油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適宜配合してもよいが、これに制限されない。
【0034】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容可能な担体は化粧料組成物の剤形によって様々である。
【0035】
本発明の剤形が軟膏、ペースト、クリームまたはゲルの場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などが用いられてもよいが、これに制限されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0036】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミドパウダーなどが用いられてもよく、特にスプレーの場合は、ハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどの推進剤がさらに含まれてもよいが、これに制限されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0037】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、可溶化剤または乳濁化剤などが用いられてもよく、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚種油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセリン脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが用いられてもよいが、これに制限されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0038】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール、プロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガーまたはトラガカントなどが用いられてもよいが、これに制限されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0039】
本発明の剤形が石鹸の場合は、担体成分として、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオン酸塩、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセリン、糖などが用いられてもよいが、これに制限されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0040】
本発明のまた他の一態様は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用医薬部外品組成物を提供する。
【0041】
前記医薬部外品組成物は、黒トリュフ抽出物をさらに含むものであってもよい。
【0042】
本発明の医薬部外品組成物には、前記成分以外に、必要に応じて薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤は、本発明の効果を損なわない限り制限されず、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが挙げられる。
【0043】
本発明の医薬部外品組成物は、消毒清潔剤、シャワーフォーム、軟膏液、ウェットティッシュ、コーティング剤などが挙げられるが、これに制限されるものではなく、医薬部外品の製剤化方法、用量、利用方法、構成成分などは技術分野に公知の通常の技術から適宜選択されうる。
【0044】
本発明のまた他の態様は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用食品組成物を提供する。
【0045】
前記食品組成物は、黒トリュフ抽出物をさらに含むものであってもよい。
【0046】
前記食品組成物は健康機能食品の形態で用いられてもよいが、これに制限されない。また、本発明の食品組成物は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸に加えて、食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含んでもよい。
【0047】
本発明において、「食品補助添加剤」とは、食品に補助的に添加できる構成要素を意味し、各剤形の健康機能食品を製造するのに添加されるものであり、通常の技術者が適宜選択して用いることができる。食品補助添加剤の例としては、様々な栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド、増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などが挙げられるが、これに制限されない。
【0048】
本発明の食品組成物には健康機能食品が含まれてもよい。前記健康食品とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒、液状及び丸剤などの形態に製造及び加工した食品を意味する。ここで、機能性とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を与えることを意味する。本発明の健康機能食品は、当業界で通常的に用いられる方法により製造することができ、その製造時には当業界で通常的に添加する原料及び成分を添加して製造してもよい。また、前記健康機能食品の剤形も、健康機能食品として認められる剤形であれば制限されず製造してもよい。本発明の食品組成物は、様々な形態の剤形に製造することができ、一般薬品とは異なり、食品を原料とするので薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという利点があり、携帯性に優れるので、本発明の健康機能食品はしわ改善、皮膚弾力増進効果を増進させる補助剤として摂取してもよい。
【0049】
本発明の健康機能食品が用いられる形態には制限がなく、通常の意味の食品が全て含まれ、機能性食品などの当業界に公知の用語と混用可能である。また、本発明の健康機能食品は、当業者の選択により食品に含まれ得る好適な他の補助成分や公知の添加剤を混合して製造してもよい。添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む乳製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などが挙げられ、本発明による抽出物を主成分として製造した汁、茶、ゼリー、ジュースなどに添加して製造してもよい。また、動物のための飼料として用いられる食品も含まれる。
【0050】
本発明のまた別の態様は、低分子コラーゲン及びロスマリン酸を含むしわ改善用組成物を個体に投与する段階を含む皮膚しわ改善方法を提供する。
【0051】
前記組成物は、黒トリュフ抽出物をさらに含んでもよい。
【0052】
本発明で用いられる用語、「投与」は任意の適切な方法で患者に本発明の組成物を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は、目的組織に到達することができる限り、任意の一般的な経路を介して投与してもよい。本発明の組成物がしわ改善に効果があるという特性上、前記組成物の投与経路は皮膚に塗布して投与してもよい。
【0053】
本発明の組成物を毎日投与または間欠的に投与してもよく、1日あたりの投与回数は1回または2~3回に分けて投与することが可能である。また、本発明の組成物は、皮膚弾力増進またはしわ改善のために単独で、または他の薬物治療と併用して用いてもよい。前記要素をすべて考慮して、副作用なしに最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であり、当業者によって容易に決定され得る。
【0054】
本発明において用語、「個体」は、しわまたは皮膚のしわが発生したか、または発生し得るヒトを含むラット、マウス、家畜などのすべての動物を意味する。具体的には、ヒトを含む哺乳動物であってもよい。
【実施例0055】
実験例1.コラーゲン生合成の評価
製造例1~6のコラーゲン生合成評価のために、皮膚線維芽細胞を24ウェルプレートに5×10細胞/ウェルの濃度でシーディングし、24時間培養した。成長培地を除去し、試料が含まれた培地(FBSが添加されてない)を加えて24時間培養した後、細胞培養液を採取してELISAアッセイを行った。本試験で用いたHuman procollagen 1 アルファ1 duoset ELISAキットは、R&D systems製品を使用し、製造業者が提供した実験プロトコルに従って評価した。その結果を下記表1に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
前記表1の結果のように、製造例2の低分子コラーゲンのみを処理した結果及び製造例3のロスマリン酸のみを処理した結果に比べて、製造例5の低分子コラーゲンとロスマリン酸の両方を処理した場合、コラーゲン生合成量が著しく増加することが確認できた。これは、それぞれの単独物質を処理した場合に比べてシナジー効果として見られうる。
【0058】
また、製造例2の低分子コラーゲン、製造例3のロスマリン酸及び製造例4の黒トリュフ抽出物のみをそれぞれ処理した結果に比べて、製造例6の前記3つの物質を全て同時に処理した場合、コラーゲン合成量が著しく増加し、シナジー効果が確認できた。
【0059】
前記結果から、低分子コラーゲン及びロスマリン酸または低分子コラーゲン、ロスマリン酸、及び黒トリュフ抽出物を用いる場合、コラーゲン吸収を増加させるとともに、コラーゲン合成の増加にシナジー効果で皮膚弾力増進またはしわ改善に効果に優れることが確認できた。
【0060】
実験例2.低分子コラーゲン分子量によるコラーゲン生合成の評価
低分子コラーゲンの分子量によるコラーゲン生合成の評価のために、ヒト真皮細胞(Human dermal fibroblast; HDF)を24ウェルプレートに5×10細胞/ウェルになるように入れ、1日間培養した。1日後、コラーゲン1%、ロスマリン酸10μg/ml、黒トリュフ0.01%濃度で処理した後、1日間さらに培養した。その後、細胞培養液を採取した後、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法で細胞培養液に含まれるコラーゲン濃度を測定した。
【0061】
ELISA法は以下のように行った。
【0062】
1. ELISA実験を実施する前日、プロコラーゲンIアルファ1キャプチャー抗体(pro-collagen I alpha 1 capture antibody)を4μg/mlに希釈した後、免疫プレートに1ウェルあたり100μlずつ入れ、常温に1日置いた。
【0063】
2. 1日後にキャプチャー抗体を除去し、1×洗浄バッファーで3回洗浄した。
【0064】
3. 5% BSAを1ウェルあたり200μlずつ入れ、常温に1時間置いた。
【0065】
4. 1時間後に5% BSAを除去し、1×洗浄バッファーで3回洗浄した。
【0066】
5. プロコラーゲンIアルファ1 スタンダード(Pro-collagen I alpha 1 standard)を希釈した溶液と細胞培養液とをそれぞれ1ウェルあたり100μlずつ入れ、300rpmで2時間シェイクした。
【0067】
6. 2時間後、プロコラーゲンIアルファ1スタンダード溶液と細胞培養液とを除去し、1×洗浄バッファーで3回洗浄した。
【0068】
7. 0.1μg/mlに希釈したプロコラーゲンIアルファ1検出抗体を免疫プレートにウェルあたり100μlずつ入れ、300rpmで2時間シェイクした。
【0069】
8. 2時間後、プロコラーゲンIアルファ1検出抗体を除去し、1×洗浄バッファーで3回洗浄した。
【0070】
9. 1×で希釈したストレプトアビジン-HRPを免疫プレートに1ウェルあたり100μlずつ入れて遮光した後、20分間シェイクした。
【0071】
10. 20分後、ストレプトアビジン-HRPを除去し、1×洗浄バッファーで3回洗浄した。
【0072】
11. 基質を免疫プレートにウェルあたり100μlずつ入れ遮光したまま300rpmでシェイクしながら色が変化するかどうかを確認した後、プロコラーゲンIアルファ1スタンダード溶液を入れた部分の色が変わったら停止溶液を免疫プレートにウェルあたり50μlずつ入れた後、450nm、570nmで吸光度を測定した。
【0073】
12. プロコラーゲンIアルファ1 スタンダード溶液の濃度と吸光度との間に関係式を求めた後、各培養液の吸光度を関係式に代入して培養液中のコラーゲン濃度を計算した。
【0074】
その結果、下記表2のようにコラーゲンとロスマリン酸との組み合わせ;コラーゲン、ロスマリン酸及び黒トリュフ抽出物の組み合わせによるコラーゲン合成のシナジー効果を確認することができた。
【0075】
結果は、無処理対照群対比相対値%で表し、コラーゲンとロスマリン酸との組み合わせの場合は約20%以上増加した数値を示し、両物質の単純な上昇数値の合計に比べて顕著な数値としてコラーゲン合成のシナジー効果を確認することができた。
【0076】
また、コラーゲン、ロスマリン酸及び黒トリュフ抽出物の組み合わせを処理した場合、数値上、約50~70%の上昇で優れたコラーゲン合成効果を示し、シナジー効果を確認した。
【0077】
【表2】
【0078】
具体的には、ロスマリン酸とコラーゲンとを同時処理した時、コラーゲンの分子量が大きくなるほどロスマリン酸とのシナジー効果が減少することを確認し、コラーゲンの分子量1000Da以下の時は、ロスマリン酸とコラーゲンとを組み合わせて処理時にシナジー効果を示したが、コラーゲンの分子量が90000Daの時は、ロスマリン酸とシナジー効果が見られないことが確認できた。
【0079】
また、ロスマリン酸/コラーゲン複合物と黒トリュフ抽出物とを同時処理した時も、前記単一成分による効果に比べて優れたコラーゲン合成効果を示し、組み合わせによるシナジー効果を確認することができた。
【0080】
具体的な分子量による結果を見ると、コラーゲンの分子量が大きくなるほどシナジー効果が多少減少することが確認でき、コラーゲンが分子量1000Da以下である時は、ロスマリン酸/コラーゲン複合物と黒トリュフ抽出物がシナジー効果を示したが、コラーゲン分子量が90000Daの時は、シナジー効果が見られないことが確認できた。
【0081】
したがって、前記の結果として、コラーゲン、ロスマリン酸の組み合わせ、またはコラーゲン、ロスマリン酸及び黒トリュフ抽出物の組み合わせによると、コラーゲン生合成のシナジー効果を示すことが確認され、特に、低分子コラーゲンを用いた場合、シナジー効果に優れることが確認できた。
【0082】
また、コラーゲンは皮膚のしわを決定する重要な要素であり、コラーゲン含量の増加は皮膚しわの減少と密接な関係があり、これにより皮膚のしわ改善効果を確認することができた。
【0083】
さらに、本発明のしわ改善用組成物は、低分子コラーゲンの吸収を増加させてコラーゲン含量を増加させるとともに、コラーゲン生合成能に優れ、しわ改善効果が顕著であることが確認できた。
【0084】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。これに関連して、以上で技術した実施例はすべての面で例示的なものであり、制限的なものではないと理解しなければならない。本発明の範囲は、前記詳細な説明より後述する特許請求の範囲の意味と範囲及び請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。