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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165675
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】二重動作緊急通路退出システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20231109BHJP
   E05B 65/10 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B64D11/06
E05B65/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076728
(22)【出願日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】17/738,657
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519315774
【氏名又は名称】アディエント エアロスペース エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スコットフォード, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】モーガン, ポール
(72)【発明者】
【氏名】レークス, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ, ポール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】座席ユニットに関連付けられたスライド式プライバシードアのための二重動作スライドデバイスを含むドアセンブリを提供する。
【解決手段】ドアアセンブリは、座席ユニットのドア支持部材に移動可能に取り付けられたスライド式ドアを含む。ドアは、後退した位置と展開した又は部分的に展開した位置との間で側方に摺動する。二重動作スライドデバイスは、解放レバーの手動での起動又は力が加えられた起動に基づいて、主たる起動が詰まったか又はさもなければ故障した場合、通常動作モード中に使用される主たる軌道システムから、バックアップ動作モード中に使用される従たる軌道システムへ、ドアアセンブリを切り替えるための誘発及び解放機構を含む。二重動作スライドデバイスは、通常動作モードにおいて動作するための主たるスライドユニットの故障後に、ユーザがスライド式ドアを後退した位置へ戻すことを可能にする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重動作スライド式ドアアセンブリであって、
座席ユニットに関連付けられたスライド式ドアであって、前記座席ユニットのドア支持部材に取り付けられたスライド式ドアと、
前記座席ユニットのドア支持部材内に少なくとも部分的に配置された二重動作スライドデバイスと、
前記二重動作スライドデバイスに係合する主たる軌道であって、前記スライド式ドアは、通常動作モードにおいて、後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で、前記主たる軌道に沿って移動可能である、主たる軌道と、を備え、
前記二重動作スライドデバイスは更に、
前記ドア支持部材内に少なくとも部分的に配置される移動不能キャリッジステーションであって、キャリッジデバイスを前記移動不能キャリッジステーションにロックし、前記主たる軌道が前記通常動作モードにおいて前記キャリッジデバイスの上を摺動する、移動不能キャリッジステーション、
前記ドア支持部材に関連付けられた従たる軌道であって、前記キャリッジデバイスがバックアップ動作モードにおいて前記移動不能キャリッジステーションからロック解除され、前記キャリッジデバイスが前記少なくとも1つの展開した位置と前記後退した位置との間で前記従たる軌道に沿って摺動することを可能にする、従たる軌道、
前記キャリッジデバイスが、作動状態において前記移動不能キャリッジステーションから解放されることを誘発する解放レバー、及び
前記ドア支持部材の方向において前記スライド式ドアの背面に閾値力が加えられたことに応じて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから自動的に解放することを誘発する機械的ヒューズアセンブリを備える、ドアアセンブリ。
【請求項2】
前記キャリッジデバイスを前記移動不能キャリッジステーションに戻すようにロックし直すリセット機構を更に備える、請求項1に記載のドアアセンブリ。
【請求項3】
前記キャリッジデバイスを前記移動不能キャリッジステーションから解放するのと同時に、前記バックアップ動作モードの誘発を可能にする、連動した誘発及び解放機構を更に備える、請求項1又は2に記載のドアセンブリ。
【請求項4】
前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のローラを更に備え、前記一組のローラは前記主たる軌道に係合する、請求項1から3のいずれか一項に記載のドアアセンブリ。
【請求項5】
ピンガイド内に配置されたトリガピンを更に備え、前記トリガピンは、前記通常動作モード中に前記ピンガイド内の第1の位置に位置し、前記トリガピンは、前記キャリッジデバイスを前記移動不能キャリッジステーションから解放し、前記バックアップ動作モードを誘発するために、前記第1の位置から第2の位置へ移動する、請求項1から4のいずれか一項に記載のドアアセンブリ。
【請求項6】
前記機械的ヒューズアセンブリに関連付けられたヒューズスライダを更に備え、前記ヒューズスライダは、前記通常動作モード中に前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のTスライドを前記移動不能キャリッジステーション内のロック位置にロックする、請求項1から5のいずれか一項に記載のドアアセンブリ。
【請求項7】
前記解放レバーの解放ラッチを更に備え、前記解放ラッチは、前記解放レバーの手動による作動後に、引かれた構成にあるままであり、前記二重動作スライドデバイスが前記通常動作モードから前記バックアップ動作モードに切り替わったという視覚的な表示を提供する、請求項1から6のいずれか一項に記載のドアアセンブリ。
【請求項8】
ドアアセンブリのスライド式ドアを係合解除するための方法であって、
主たる軌道に移動可能に取り付けられたスライド式ドアに関連付けられた二重動作スライドデバイスのキャリッジロックアセンブリを介して、キャリッジデバイスをキャリッジステーションにロックすることであって、前記スライド式ドアは、前記主たる軌道内に少なくとも部分的に配置された前記キャリッジデバイスを介して、通常動作モードにおいて後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で前記主たる軌道に沿って移動可能である、ロックすること、
解放レバーの作動又はドア支持部材の方向において機械的ヒューズアセンブリに閾値力が加えられた起動を検出すること、及び
前記解放レバーの前記作動又は前記閾値力が加えられた起動に応じて、前記ドア支持部材内に配置された二重動作スライドデバイスを介して、バックアップ動作モードにおいて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから従たる軌道に解放することを含み、解放された前記キャリッジデバイスは、前記少なくとも1つの展開した位置から前記後退した位置へ前記従たる軌道に沿って移動可能である、方法。
【請求項9】
前記ドア支持部材から離れる方向において前記スライド式ドアに閾値力を加えること、及び
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションに戻すようにリセットし、前記二重動作スライドデバイスを前記主たる軌道に関連付けられた前記通常動作モードに戻すことを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記解放レバーの前記作動は、
前記解放レバーの前記作動に応じて、キャリッジ解放機構が前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放することを誘発することを更に含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記閾値力が加えられた起動は、
自動解放機構の機械的ヒューズアセンブリに関連付けられたスライダヒューズに閾値力を加えることを更に含み、前記スライダヒューズは、前記キャリッジステーションから少なくとも1つのTスライダを解放するために下降し、前記キャリッジデバイスが前記従たる軌道の上で摺動することを可能にする、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のローラが、前記主たる軌道に係合する、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ドアアセンブリの二重動作スライド式ドアのためのシステムであって、
座席ユニットのドア支持部材、
キャリッジデバイスに関連付けられた一組のローラに係合する第1の軌道を備える主たる軌道システム、
前記第1の軌道に関連付けられたスライド式ドアであって、通常動作モードにおいて後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で前記第1の軌道に沿って移動可能であるスライド式ドア、
前記第1の軌道内に少なくとも部分的に配置されたキャリッジデバイス、
前記キャリッジデバイスを前記ドア支持部材に取り付けられたキャリッジステーションにロックするキャリッジロックアセンブリ、
バックアップ動作モード中に前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のTスライドに係合する第2の軌道を備える従たる軌道システム、及び
前記バックアップ動作モードにおいて前記キャリッジステーションから前記第2の軌道の上に前記キャリッジデバイスを自動的に解放する前記ドア支持部材内に配置された二重動作スライドデバイスであって、前記キャリッジデバイスは、前記バックアップ動作モードにおいて前記少なくとも1つの展開した位置から前記後退した位置へ前記第2の軌道に沿って移動可能である、二重動作スライドデバイスを備える、システム。
【請求項14】
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションに戻すようにロックし直すリセット機構を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放するのと同時に、前記バックアップ動作モードの誘発を可能にする、連動した誘発及び解放機構を更に備える、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記二重動作スライドデバイスは、
解放レバーの作動に応じて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放することを誘発する前記解放レバーを備える、請求項13から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ドア支持部材の方向において前記スライド式ドアの背面に閾値力が加えられたことに応じて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放することを誘発する機械的ヒューズアセンブリを更に備える、請求項13から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
ピンガイド内に配置されたトリガピンを更に備え、前記トリガピンは、前記通常動作モード中に前記ピンガイド内の第1の位置に位置し、前記トリガピンは、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放し、前記バックアップ動作モードを誘発するために、前記第1の位置から第2の位置に移動する、請求項13から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
機械的ヒューズアセンブリに関連付けられたヒューズスライダを更に備え、前記ヒューズスライダは、前記通常動作モード中に前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のTスライドを前記キャリッジステーション内のロック位置にロックする、請求項13から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
解放レバーの解放ラッチを更に備え、前記解放ラッチは、前記解放レバーの手動による作動後に、引かれた構成にあるままであり、前記二重動作スライドデバイスが前記通常動作モードから前記バックアップ動作モードに切り替わったという視覚的な表示を提供する、請求項13から19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] スライド式プライバシードアは、しばしば、航空機や他の種類の旅客輸送ビークルのキャビン内の乗客用座席などの、ビークル内の座席に設けられることがある。これらのスライド式プライバシードアは、ある乗客用座席を他の乗客用座席から分割し及び/又はビークルのキャビンの通路に隣接する座席アクセスポイントを閉じる、網戸及び/又はスライド式の仕切りを含んでよい。これらの種類のプライバシードアは、典型的には、開いた又は後退した位置から乗客用座席に座っている乗客にプライバシーを提供する展開した(閉じた)位置に摺動し得る。
【発明の概要】
【0002】
[0002] 開示される複数の実施例は、以下で挙げられる添付図面を参照しながら、以下で詳細に説明される。以下の概要は、本明細書で開示される複数の実施態様を説明するために提供される。しかし、それは、全ての実施例が、任意の特定の構成又は動作のシーケンスに限定されることを意図するものではない。この概要は、特許請求の範囲の主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲の主題の範囲を規定する助けとして使用されることを意図するものでもない。
【0003】
[0003] 本明細書で開示される幾つかの態様及び実施態様は、緊急通路退出用の二重動作スライド式ドアアセンブリを対象とする。座席ユニットは、スライド式ドアに取り付けられたドア支持部材及び主たる軌道を含む。スライド式ドアは、主たる軌道内に少なくとも部分的に配置されたキャリッジデバイスを介して、通常動作モードにおいて、後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で、主たる軌道に沿って移動可能である。
【0004】
[0004] 二重動作スライドデバイスが、ドア支持部材内に少なくとも部分的に配置される。二重動作スライドデバイスは、バックアップ動作モードにおいて、キャリッジデバイスを、移動不能キャリッジステーションから従たる軌道の上に自動的に解放する。解放されたキャリッジデバイスは、展開した位置から後退した位置へ戻るように、従たる軌道に沿って移動可能である。二重動作スライドデバイスは、解放レバーが作動されたときに、キャリッジステーションからのキャリッジデバイスの解放を誘発するキャリッジ解放機構を含む。二重動作スライドデバイスはまた、機械的ヒューズアセンブリに力が加えられたことに応じて、キャリッジデバイスをキャリッジステーションから解放する自動解放機構も含む。閾値量の力がドア支持部材の方向においてスライド式ドアに加えられたことに応じて、機械的ヒューズアセンブリは、キャリッジデバイスのキャリッジステーションからの解放を誘発する。
【0005】
[0005] 前述された特徴、機能、及び利点は、様々な実施態様において個別に実現可能であるか、又は、更に別の実施態様に組み込まれてよく、かかる更に別の実施態様の更なる詳細事項は、以下の説明及び図面を参照することで理解される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006] 二重動作スライド式ドアアセンブリを有する座席ユニットを示す例示的なブロック図である。
図2】[0007] 乗客用座席配置の上面図を示す例示的な概略図である。
図3】[0008] 完全に展開した位置にあるスライド式ドアを有する座席ユニットを含む、乗客用座席配置の側面図を示す例示的な概略図である。
図4】[0009] 後退した位置にあるスライド式ドアを有する座席ユニットを含む、乗客用座席配置の側面図を示す例示的な概略図である。
図5】[0010] 完全に後退した位置にあるスライド式ドアを有する座席ユニットを含む、乗客用座席配置の斜視図を示す例示的な概略図である。
図6】[0011] 二重動作スライドデバイスを含むドア支持部材を示す例示的な概略図である。
図7】[0012] 従たる軌道を有する二重動作スライドデバイスを含むドア支持部材を示す例示的な概略図である。
図8】[0013] 非作動状態にあるドア支持部材上の解放レバーを示す例示的な概略図である。
図9】[0014] 機械的ヒューズアセンブリ及びキャリッジロックアセンブリを含む、二重動作スライドデバイス120を示すブロック図である。
図10】[0015] 作動状態にある二重動作スライドデバイスに関連付けられた解放レバーを示す例示的な概略図である。
図11】[0016] 通常動作モードにある二重動作スライドデバイスを示す例示的な概略図である。
図12】[0017] バックアップ動作モードを誘発するように作動された解放レバーを有する二重動作スライドデバイスを示す例示的な概略図である。
図13】[0018] 展開されたスライド排出アセンブリを有する二重動作スライドデバイスを示す例示的な概略図である。
図14】[0019] 通常動作モードにある二重動作スライドデバイスの機械的ヒューズアセンブリを示す例示的な概略図である。
図15】[0020] 二重動作スライドデバイスのバックアップ動作モードにキャリッジデバイスを解放する機械的ヒューズアセンブリを示す例示的な概略図である。
図16】[0021] 二重動作スライドデバイスのバックアップ動作モードの力が加えられた起動を示す例示的な概略図である。
図17】[0022] 主たる軌道のロックアップ故障を有する二重動作スライドデバイスを示す例示的な概略図である。
図18】[0023] 通常動作モードからバックアップ動作モードへ切り替わる二重動作スライドデバイスを示す例示的な概略図である。
図19】[0024] テーパが付けられたハウジングを有する機械的ヒューズアセンブリを含む二重動作スライドデバイスを示す例示的な概略図である。
図20】[0025] 一組のTスライダを有するキャリッジデバイスを示す例示的な概略図である。
図21】[0026] 二重動作スライドデバイスに関連付けられた機械的ヒューズアセンブリを示す例示的な概略図である。
図22】[0027] 二重動作スライドデバイスに関連付けられた一組の軌道を示す例示的な概略図である。
図23】[0028] バックアップ動作モードにあるTスライドに係合する従たる軌道を示す例示的な概略図である。
図24】[0029] 従たる軌道に係合するTスライドの下面図を示す例示的な概略図である。
図25】[0030] 従たる軌道の一部分を示す例示的な概略図である。
図26】[0031] ピボットローラサブアセンブリを有するキャリッジロックアセンブリを示す例示的な概略図である。
図27】[0032] 解放レバーを介して誘発されたキャリッジロックアセンブリの下側図を示す例示的な概略図である。
図28】[0033] スライド式ドアの通常動作モードからバックアップ動作モードに切り替えるための二重動作スライドデバイスの動作を示す例示的なフローチャートである。
図29】[0034] 特定の飛行モジュールの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0035] 対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部品を示す。
【0008】
[0036] 添付の図面を参照しながら、様々な実施態様が詳細に説明されることとなる。可能なときは何時でも、同じ又は類似する部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。本開示の全体を通して行われる特定の実施態様に対する参照は、例示のみを目的とするものであり、逆のことが示唆される場合を除き、全ての実施態様を限定することを意図しない。
【0009】
[0037] 上記の概要、ならびに特定の実施態様の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことによってより良く理解されるだろう。本明細書で使用される「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。更に、「一実施態様」に対する言及は、挙げられている特徴も組み込んだ更なる複数の実施態様の存在を除外すると解釈されることを意図していない。更に、明示的に反対の記述がない限り、特定の性質を有する1以上の要素を「含む」又は「有する」複数の実施態様は、その性質を有しない更なる要素を含み得る。
【0010】
[0038] 航空機などのビークル内のプライバシードア又は他の種類のスライド可能なスクリーン若しくは仕切りを含む、ビークルのキャビン内で利用される座席ユニットに関連付けられたドアアセンブリは、損傷、不適切な使用、整備の問題、軌道の詰まり、又は他の問題によって動作不能になる可能性がある。ドアが展開された位置で動作不能になる場合、ユーザはドアを後退した位置に戻すように移動させることができなくなる可能性がある。そのような場合の移動不能なドアは、乗客の進路を塞いだり、乗客や乗務員の移動を妨げたり、さもなければビークルからの脱出を邪魔したりする可能性がある。詰まったドアを手動で除去したり、プライバシードアがそれほど高くなければドアを踏み越えたりすることはできるかもしれないが、これらの解決策は面倒で、不便であり、潜在的にユーザにとって障害となる。更に、ドアを手作業で分解したり、無理に動かしたりした場合、座席ユニットが更に損傷したり、及び/又は、ドアが通路や座席間の他のスペースに落下して、ビークルのキャビン内での乗客の自由な移動が妨げられたりする恐れがある。
【0011】
[0039] 場合によっては、可撓性パネルや着脱可能なドアが使用され得る。しかし、このようなシステムでバックアップ動作モードを誤って作動させると、移動の期間中に乗客のプライバシーフィーチャが失われ、リセットのために大規模で時間のかかる整備が必要となり、及び/又は、高ストレス状態の乗務員によって直すことが困難に成り得る。そのような状況では、座席ユニットの備品からドアを除去するか又はさもなければ取り外すことに関連付けられた潜在的に複雑な指示を見つけ、読み、それに従うことを試みるよりも、ユーザの本能的な身体的努力は、詰まったドアを移動させるためにより大きな力を使用することであろう。更に、このような措置は、乗客や乗務員の移動に悪影響を与える可能性があり、ならびにスイートからの脱出にも影響を与えることがある。
【0012】
[0040] したがって、本開示の複数の態様は、航空機のキャビンなどのビークルのキャビン内に設けられた座席ユニット用の改善されたドアアセンブリを提供する。緊急時、故障時、又は展開した位置若しくは部分的に展開した位置でのドアの詰まり(移動不能)の場合では、スライド式ドアを詰まった主たる軌道からバックアップの従たる軌道に切り替えるために、結合解除レバーを作動させることによって開閉が容易になり得、それによって、詰まったドアを展開した位置から後退した位置へ移動させることが可能になる。その場合、乗客のアクセスエリアは、安全で遮るものがない。それは、修理することなく、ドアをドア支持部材から取り外すことなく、任意の工具を使用することなしにである。
【0013】
[0041] 他の複数の実施例では、二重動作スライドデバイスが、スライド式ドアがラッチの作動を介して主たる軌道から従たる軌道に切り替わることを可能にする。ラッチは、ドア支持部材の内側に設けられ、座席ユニットに関連付けられた座席に座っている乗客にとって容易にアクセス可能である。これにより、通常動作モードから、スライド式ドアが従たる軌道に沿って摺動するバックアップ動作モードへ、迅速かつ効率的に切り替えることが可能になる。
【0014】
[0042] 更に他の複数の実施例では、二重動作スライドデバイスの力が加えられた作動に応じて、二重動作スライドデバイスが、主たる軌道から従たる軌道へ自動的に切り替わる。言い換えると、ユーザがドアを開ける(後退させる)ことを試みているときなどに、主たる軌道が詰まり、閾値力がスライド式ドアのハンドルに加えられた場合(スライド式ドアの背面に加えられるか、又はドア支持部材に向けられた方向においてスライド式ドアの任意の他の部分に加えられるか)、自動解放機構が、スライド式キャリッジデバイスを移動不能キャリッジステーションから従たる軌道の上に解放し、ラッチなしにドアがバックアップ動作モードで摺動することを可能にする。これらの複数の実施例では、二重動作スライドデバイスが、解放レバーあり又はなしで動作する。幾つかの実施例では、バックアップ動作モードにある間にドアが後退する範囲が、完全に開いた位置と閉じた位置との間のドアの位置に応じる。一実施例では、従たる軌道の長さが、故障がドアが完全に閉じた位置において生じたときに、最小で15インチの開きを提供する。
【0015】
[0043] 図面を参照すると、本開示の複数の実施例が、二重動作スライドデバイスを提供する。二重動作スライドデバイスは、主たる軌道が詰まったり又はさもなければ動作不能になったりしたときに、スライド式ドアが座席ユニットのドア支持部材上のキャリッジステーションから解放され、従たる軌道に切り替わることを可能にする。次いで、ドアは、完全に展開した位置又は部分的に展開した位置から、従たる軌道を介して後退した位置へ移動される。これにより、スライド式ドアをドア支持部材から完全に取り外すことなしに、スライド式ドアを後退した位置へ戻すための迅速且つ効率的な係合解除機構が実現可能になる。これにより、ユーザは、ドアを所望の開位置に移動させ、キャビンの通路又は座席ユニットの外側の他のエリアにアクセスすることが可能になる。
【0016】
[0044] 他の複数の実施例では、キャリッジデバイスをキャリッジステーションにリセットし戻すことを可能にするリセットが提供される。それによって、スライド式ドアは、従たる軌道よりも主たる軌道に沿って摺動するように戻される。この自動リセットは、任意の工具、分解、又は修理なしに、スライド式ドアを通常動作モードに復旧し、ユーザの安全性及び利便性を向上させる。
【0017】
[0045] 他の複数の態様では、ドア支持部材上のチャネルに係合する一組のガイドをスライド式ドア上に設ける。スライド式ドアがスライドユニットから取り外されたときに、少なくとも1つのガイド及び少なくとも1つのガイドプロファイルを含む補助スライドデバイスが、スライド式ドアの重量を支持し、通路及び乗客用座席エリアに対して直立した構成にドアを維持する。これにより、ユーザの安全性が向上し、バックアップ動作モードにおけるスライド式ドアの滑らかな動作が保証される。
【0018】
[0046] 図面をより詳細に参照すると、図1は、乗客のための乗客用座席ユニット100を示す例示的なブロック図を提供する。幾つかの実施例では、座席ユニット100が、スライド式ドア104を含むドアアセンブリ102を含む。
【0019】
[0047] 幾つかの実施例では、スライド式ドア104が、航空機での飛行中などに、乗客にプライバシーを提供し、乗客がキャビン108内の照明から保護され、他の乗客及び/若しくは乗務員からの音を弱め、又はさもなければ乗客が移動中にリラックスすることを可能にするための、開位置(後退した)から閉位置(展開した)へ摺動するドア、スクリーン、仕切り、又は他のパネルなどの、ビークル106のキャビン108内の任意の種類のドア要素である。スライド式ドア104はまた、ドア、ドアユニット、ドア要素、又はプライバシードアとも呼ばれてよい。
【0020】
[0048] 例えば、後退した位置では、スライド式ドア104が、収納された且つ開いた状態にある。それによって、ドアアセンブリに隣接して配置された座席は、乗客にとってアクセス可能であり、乗務員から視認可能である。この実施例では、スライド式ドア104が、任意選択的に、航空機のタクシング、離陸、及び着陸中など、又は緊急事態のときに、後退した位置にロックされる。後退した位置は、完全に後退した位置、ならびに部分的に又は実質的に後退した位置を含む。その場合、ドアは、ユーザが座席エリアから出入りすることを可能にするのに十分な距離まで後退している。
【0021】
[0049] 飛行中、スライド式ドア104は、ロックされていない。それによって、乗客は、スライド式ドア104を完全に又は部分的に後退した位置から任意の展開した又は部分的に展開した位置へ移動させることが可能である。任意の展開した又は部分的に展開した位置では、乗客の座席エリアの一部分への視界がカバーされ又は部分的に遮断され、プライバシーと利便性を向上させる。例えば、スライド式ドア104は、乗客がプライバシーを所望する就寝中、食事中、読書中、又は任意の他の時間に、乗客のプライバシーを提供するために前方に展開される。スライド式ドアは、ドアがドア支持部材から離れるように部分的に延ばされ又は完全に延ばされたときに展開され又は部分的に展開される。展開した位置はまた、閉じた位置又は延ばされた位置としても説明され得る。
【0022】
[0050] ビークル106は、1以上のユーザを第1の場所から第2の場所へ輸送するためのビークルである。ビークル106は、非限定的に、航空機、ボート、船、宇宙定期船、バスなどの任意の種類のビークル、又は任意の他の種類のビークルを含み得る。この非限定的な一実施例では、ビークルが航空機である。航空機には、民間飛行機、自家用飛行機、ホバークラフト、水上飛行機、又は任意の他の種類の航空機が含まれ得る。
【0023】
[0051] 幾つかの実施例では、ビークル106内の座席ユニット100のドアアセンブリ102がまた、ドア支持部材110も含み、スライド式ドア104は、ドア支持部材110と移動可能に取り付けられている。ドア支持体部材は、座席ユニットを構成する什器備品の一部である。
【0024】
[0052] スライド式ドア104は、完全に後退した位置112と1以上の展開した位置114との間で移動可能である。完全に後退した位置112は、スライド式ドアがドア支持部材に重なるドアの開状態である。それによって、乗客は、乗客用座席118内及び周りのエリアへのアクセス、及び座席エリアから通路116への脱出が妨げられない。1以上の展開した位置114は、完全に展開した位置又は様々な部分的に展開した位置を含む。例えば、スライド式ドア104は、半分のポイントまで展開され、完全に展開した(ドアが閉じた)位置への四分の三まで展開され、後退した位置から四分の一の位置まで展開され得るなどである。
【0025】
[0053] 二重動作スライドデバイス120は、この実施例では、スライド式ドア104をドア支持部材110上に移動可能に支持するために、ドア支持部材110上又は内に配置されている。幾つかの実施例では、主たる軌道122がスライド式ドア104上に取り付けられている。この実施例では、主たる軌道が、スライド式ドアの内側に取り付けられている。それによって、主たる軌道は、ビークル106の通路116に面したスライド式ドアの外側から見えない。この実施例の主たる軌道122は、ドアの内面の上側エリアで、ドアの上縁部の近傍に取り付けられている。キャリッジデバイス124は、主たる軌道内に収まるか又はさもなければ主たる軌道と摺動可能に接続する一組のローラ又はスライダを含み、スライド式ドアが、通常動作モードにおいて、キャリッジデバイスを介して左右に沿って側方に摺動することを可能にする。
【0026】
[0054] キャリッジデバイスの下側は、キャリッジステーション126と着脱可能に取り付けられるか又はさもなければロックする。キャリッジステーションは、ドア支持部材110と移動不能に取り付けられる。キャリッジデバイスは、主たる軌道内に少なくとも部分的に配置される。通常動作モード134では、ドアが後退した位置と展開した位置との間で左右に移動するときに、スライド式ドア上の主たる軌道が、キャリッジデバイス上のローラを滑動し、又はさもなければローラの上を摺動する。キャリッジデバイスは、キャリッジロックアセンブリ128によって静止した位置で適所にロックされたままである。
【0027】
[0055] 主たる軌道が詰まるか、又はさもなければ正常に動作するのを止めて、スライド式ドア104が後退した位置に戻ることを妨げる場合、二重動作スライドデバイス120が、バックアップ動作モード132において、キャリッジデバイス124をキャリッジステーションから従たる軌道130上に自動的に解放する。解放されたキャリッジデバイス124は、少なくとも1つの展開した位置114から後退した位置112へ、従たる軌道130に沿って移動可能である。
【0028】
[0056] 幾つかの実施例では、二重動作スライドデバイス120が、解放レバー136を含む。解放レバー136は、キャリッジデバイス124をキャリッジステーション126から解放するようキャリッジロックアセンブリ128を誘発するように、ユーザによって作動される。解放されたときに、キャリッジデバイス124は、従たる軌道130に沿って摺動する。従たる軌道130は、ドア支持部材110の内面に取り付けられるか、又はドア支持部材110の内装の一部分内に取り付けられる。それによって、従たる軌道は、座席ユニット100に関連付けられた座席118に座っている乗客から見えない。
【0029】
[0057] 他の複数の実施例では、ユーザが、スライド式ドア104の背面に閾値量の力を加え、ドアを後退した位置に向けて押すことによって、通常動作モード134からバックアップ動作モード132へ自動的に切り替えるように、システムを誘発する。言い換えると、主たる軌道が詰まった状態で、ドアが完全に又は部分的に展開した位置にあるときに、ユーザは、ドアをドア支持部材110に向けて押し、機械的ヒューズアセンブリ138は、キャリッジデバイスをキャリッジステーションから解放するように自動的に誘発される。次いで、スライド式ドアは、従たる軌道に沿って後退した位置112に戻るように摺動する。
【0030】
[0058] キャリッジデバイスが、キャリッジステーションにロックされたときに、スライド式ドアは、通常動作モード134において、主たる軌道に沿って、左右方向の動きで後退した位置から完全に展開した位置へ摺動する。キャリッジデバイスが、キャリッジステーションから結合解除されたときに、キャリッジデバイスは、バックアップ動作モード132において、従たる軌道130に沿って、左右方向の動きで完全に又は部分的に展開した位置から後退した位置へ戻るように摺動する。
【0031】
[0059] 本明細書で使用されるときに、座席ユニット100は、乗客用座席118に関連付けられた、什器、構造物、備品、ベース、及び/又は他の支持部材を指す。座席ユニット100は、例えば、非限定的に、単一の乗客が座るための座席118、コンソール、後壁パネル、側壁パネル、スライド式ドア、乗客を座席及び/又は座席の周りの座席エリアから出入り可能にするアクセススペース/経路、カップホルダ、トレイテーブル、ディスプレイスクリーン/ビデオスクリーン、フットレスト、バックレスト、ヘッドレスト、又は任意の他の座席に関連したデバイスを含み得る。この実施例では、座席ユニット100が、ドアアセンブリ102、座席118などの乗客用座席、ベース部材、バック部材、コンソール、及び/又は乗客がビークルのキャビン108の通路116から座席ユニット100に関連付けられた座席エリアに移動することを可能にするアクセスエリアを含む。乗客用座席は、任意選択的に、静止した座席、リクライニングシート、又は任意の他の種類の座席である。
【0032】
[0060] 幾つかの実施例では、ドアが、完全に展開したモードにおいて、ドア支持部材に実質的に隣接している。ドア支持体部材は、ドアが後退した位置に配置されているときに、ドアによって実質的にカバーされている。同様に、ドアが部分的に展開した位置にあるときに、ドアは、ドア支持部材と部分的に重なり、ドア支持部材を越えて、座席ユニットのアクセススペースの中に部分的に突出する。
【0033】
[0061] 図1の実施例では、二重動作スライドデバイスが、解放レバー136と、機械的ヒューズアセンブリ138を介した力が加えられた作動140との両方を含む。しかし、他の複数の実施例では、ドアアセンブリ102が、解放レバー136を含まない。これらの実施例では、二重動作スライドデバイスが、閾値量の力がドア支持部材の方向においてドアの背面に加えられたことに応じて、二重動作スライドデバイスが、主たる軌道から従たる軌道に切り替わる。更に他の一実施例では、ドアアセンブリが、主たる軌道が詰まったが、バックアップ動作モード132の力が加えられた作動を含まない場合に、キャリッジデバイスをキャリッジステーションから解放するように、キャリッジロックアセンブリを起動させるために利用される解放レバー136を含む。
【0034】
[0062] 更に他の複数の実施例では、解放レバー136の作動を介したバックアップ動作モードの起動後に、ドアを完全に展開した位置114に向けて戻すために引っ張るよう閾値量の力を加えることによって、システムがリセット142され得る。ユーザがドアを押すと、キャリッジデバイスは、キャリッジステーションの中に戻るように摺動し、キャリッジ解放機構がリセット142され、キャリッジデバイスはキャリッジステーションにロックされる。リセットされてしまうと、スライド式ドアは、通常動作モード134において動作するように戻る。
【0035】
[0063] スライド式ドア104は、任意選択的に、スライド式ドア104がバックアップ動作モード132にあることを示す従たるインジケータ144を含む。幾つかの実施例では、解放レバー136が、ドアがバックアップ動作モードにあることを示す起動された/引かれた状態にあるままである。従たるインジケータ144は、スライド式ドアがバックアップ動作モードにあることをユーザに通知する、スライド式ドアの外(通路に面した)側の更なるインジケータを提供する。他の複数の実施例では、システムが解放レバーを含まない。これらの実施例では、従たるインジケータ144が、ドアが従たる軌道を使用するバックアップモードで動作していることの、唯一の視覚的、触覚的、又は聴覚的表示を提供する。従たるインジケータ144は、ドアの外装(通路に面する)側のポップアウトボタン、ライトインジケータ、音を発する可聴インジケータ、ドアがバックアップ動作モードにあることを示すテキスト又はグラフィックインジケータを表示するディスプレイスクリーンを有するデジタルインジケータ、又は任意の他の種類のインジケータとして実装され得る。この実施例では、従たるインジケータ144が、ドアが通常モードで動作している間、ドアと面一であるか又はドア内に凹んでいるままであるポップアウトボタンである。ドアがバックアップモードで動作するときに、ボタンは、ドアがバックアップモードで動作していることの視認可能な表示を提供するために飛び出す(ポップアウトする)。
【0036】
[0064] 幾つかの実施例では、キャリッジステーション126と従たる軌道130が、2つの分離した構成要素である。それらは、非限定的に、ネジ、溶接、ボルト、又は他の取り付けデバイスなどの取り付け手段を介して共に接合される。他の複数の実施例では、キャリッジステーション126と従たる軌道130が、2つの分離したピースとしてよりもむしろ単一(ワンピース)のデバイスとして実装される。これらの実施例では、従たるデバイスの端部をキャリッジステーションに取り付ける取り付けデバイスが不要である。
【0037】
[0065] 図1の一実施例では、主たる軌道がスライド式ドアに取り付けられ、従たる軌道がドア支持部材に取り付けられている。他の複数の実施例では、主たる軌道がドア支持部材に取り付けられ、従たる軌道がスライド式ドアに取り付けられる。
【0038】
[0066] 図2は、非限定的に、上述の図1の座席ユニット100などのスライド式ドアを有する座席ユニットを含む乗客用座席配置200の上面図を示している例示的な概略図である。この実施例では、乗客用座席配置(SA)200が、ビークルのキャビン108内、特に航空機のキャビン又は他の旅客輸送ビークル内に配置されている。乗客用SA200は、例えば、座席ユニット202、座席ユニット204、座席ユニット206、及び/又は座席ユニット208などの、ビークルのキャビン内に配置された複数の座席ユニットを含む。座席ユニット202、座席ユニット204、座席ユニット206、及び/又は座席ユニット208は、非限定的に、図1の座席ユニット100などの、乗客用座席、ドア支持部材、及びスライド式ドアを支持するためのユニットである。
【0039】
[0067] この実施例では、座席ユニットが、1列当たり2つの座席の複数の列内に配置されている。その場合、各列は、ビークルのキャビンの長手延在方向に沿って互いの後ろに1つずつ配置されている。しかし、複数の実施例は、1列当たり2つの座席のみを有する直線的な複数の列内に配置された座席ユニットに限定されない。他の複数の実施例では、複数の座席が、3つ以上の座席を有する複数の列内に置かれ得る。同様に、座席ユニットは、図2で示されていない他の配置に置かれ得る。
【0040】
[0068] 各座席ユニットは、座席、ドア支持部材、及び、非限定的に、図1のスライド式ドア104などのスライド式ドアを含む。例えば、座席ユニット202は、座席210及びドア支持部材212を含み、座席ユニット204は、座席214を含み、座席ユニット206は、座席216及びドア支持部材218を含み、座席ユニット208は、座席220を含む。各スライド式ドアは、対応する座席への乗客のアクセスを少なくとも部分的に遮断し又は閉鎖するように構成され、対応する乗客により多くのプライバシーを提供する。幾つかの実施例では、スライド式ドアが展開した又は部分的に展開した位置にあるときに、座席ユニット208に関連付けられたスライド式ドア222が、座席220とキャビン通路116との間の出入りエリアを少なくとも部分的に遮断する。
【0041】
[0069] 幾つかの非限定的な実施例では、所与の座席ユニット用のドアアセンブリが、座席ユニットのキャビン通路116に面する側に配置されている。例えば、完全に又は部分的に後退した位置では、座席ユニット204用のスライド式ドアが、収納された且つ開いた状態になる。それによって、乗客のアクセスは、座席ユニット208からの退出又は座席ユニット208への進入を提供する。展開した位置(図示せず)では、座席220に座っている乗客により多くのプライバシーが提供される。というのも、座席220は、展開したドアによって視界から少なくとも部分的にカバーされるからである。しかし、複数の実施例は、座席ユニットの通路に隣接した側に配置されたスライド式ドアに限定されない。他の複数の実施例では、ドアが、座席ユニットの別の乗客用座席に面した又は隣接した側でドア支持部材に取り付けられる。更に他の複数の実施例では、スライド式ドアが、座席ユニットの、通路若しくは任意の他の通路、出入口、階段、出口ドア(出入りのポイント)、又は他の通行エリアに近い側に取り付けられる。
【0042】
[0070] 次に図3を参照すると、完全に展開した位置にあるスライド式ドアを有する座席ユニットを含む、乗客用座席配置300の側面図を示している例示的な概略図が描かれている。乗客用座席配置300は、非限定的に、図2の乗客用SA200などのスライド式ドアを有する1以上の座席ユニットを含む。この実施例では、乗客用SA300が、航空機のキャビン又は他の旅客輸送ビークルなどのビークルのキャビン内に配置されている。この実施例では、SA300が、上で示された図1のビークル106などのビークル内にある。
【0043】
[0071] 乗客用SA300は、例えば、座席ユニット302及び座席ユニット304などの、ビークルのキャビン内に配置された複数の座席ユニットを含む。非限定的に、図1の座席ユニット100などの座席ユニット302及び座席ユニット304は、乗客用座席、ドア支持部材、及びスライド式ドアを支持し得る。
【0044】
[0072] スライド式ドアは、任意選択的に、スライド式ドア310上の従たるインジケータ318などの従たるインジケータを含む。従たるインジケータ318は、スライド式ドアがバックアップ動作モードにあるときに自動的に起動するデバイスである。従たるインジケータ318は、上述の図1の従たるインジケータ144などのインジケータであるが、これに限定されない。
【0045】
[0073] この実施例では、座席ユニットが、ビークルのキャビンの長手延在方向に沿って互いの後ろに1つずつ配置されている。しかし、複数の実施例は、直線的な列内に配置された座席ユニットに限定されない。他の実施例では、座席ユニットが、図3では示されていない他の配置内に置かれ得る。
【0046】
[0074] 各座席ユニットは、図1の座席118などの乗客用座席を含むが、これに限定されない。座席ユニット302は、他の複数の実施例では、ドア支持部材306及び/又はベース部材308を含む。ドア支持体部材306は、二重動作スライドデバイス及び従たる軌道を含み得る。それらは、座席ユニット302の備品部分に結合され得る。この実施例では、スライド式ドア310が、ベース部材308の上方のドア支持部材306に取り付けられている。スライド式ドア310は、この実施例では、キャビンの床に接触しない。
【0047】
[0075] スライド式ドア310は、図2のドアアセンブリ102などのドアアセンブリに関連付けられたドアであるが、これに限定されない。スライド式ドア310は、後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で移動可能である。スライド式ドア310の展開した位置は、完全に展開した位置又は部分的に展開した位置を含み得る。部分的に展開した位置では、ドアが主たる軌道の終端停止ポイントまで移動してない。終端停止ポイントで、ドアは最大限延在している(完全に展開した)。この実施例では、座席ユニット302に関連付けられたドア310が、完全に展開した(閉じた)位置で図示されている。座席ユニット304に関連付けられたスライド式ドア312も、ドア支持部材314と実質的に隣接した完全に展開した位置で図示されている。完全に展開した位置では、ドア312が、ドア支持部材314の一部分と部分的に重なってよいが、ドア支持部材314の大部分は、ドア312から離れている。
【0048】
[0076] スライド式ドア310及び/又はスライド式ドア314は、後退した位置と展開した位置との間の任意の位置に側方移動するように構成されている。幾つかの実施例では、スライド式ドア310及び/又はスライド式ドア312が、ユーザによってその後退した位置に固定される。スライド式ドア310及び/又はスライド式ドア312が固定されているときに、スライド式ドア310及び/又はスライド式ドア312は、任意選択的に、ドア312が座席ユニット302の乗客によって前方に展開されるまで、後退した位置にラッチされたままである。展開した位置では、スライド式ドア310及び/又はスライド式ドア312が、ラッチ解除されたままである。スライド式ドア310は、座席ユニット302に関連付けられた座席に対するアクセスを、少なくとも部分的に、物理的に、視覚的に、又は物理的と視覚的の両方で遮断するように構成されており、座席ユニット302の対応する乗客により多くのプライバシーを提供する。
【0049】
[0077] バックアップ動作モードは、この実施例では、ドア支持部材の内側(スライド式ドアの裏側)に位置付けられている解放レバーを手動で引くことによって、係合され得る。スライド式ドアが従たる軌道に沿って摺動するバックアップ動作モードはまた、ドア支持部材314に向けられた方向において、ユーザがスライド式ドアの背面316を押す閾値力を加えることによっても係合され得る。言い換えると、ドアが主たる軌道で詰まった場合、ユーザは、後退した位置に戻るときにドアが摺動することになる方向において、ドアの背面316を押して、バックアップ動作モードに係合して、二重動作スライドデバイスが主たる軌道から従たる軌道へ自動的に切り替わることをもたらし得る。それは、任意のレバーを引くことなく、任意の工具を使用することなく、又はスライドドアアセンブリの任意の部品を分解することなしにである。
【0050】
[0078] 図4は、後退した位置にあるスライド式ドアを有する座席ユニットを含む、乗客用座席配置(SA)400の側面図を示している例示的な概略図である。乗客用SA400内の座席ユニットは、乗客用座席ユニットの外側のキャビン通路のエリア内のユーザの視点から、ドアの外側又はキャビンに面する側から見たものとして示されている。
【0051】
[0079] 乗客用SA400は、非限定的に、図2の乗客用SA200及び/又は図3の乗客用SA300などの、スライド式ドアを有する1以上の座席ユニットを含む。この実施例では、乗客用SA400が、航空機のキャビン又は他の旅客輸送ビークルなどのビークルのキャビン内に配置されている。この実施例では、SA400が、上で示された図1のビークル106などのビークル内にある。
【0052】
[0080] 乗客用SA400は、例えば、座席ユニット342及び座席ユニット404などの、ビークルのキャビン内に配置された複数の座席ユニットを含む。非限定的に、図1の座席ユニット100などの座席ユニット402及び座席ユニット404は、乗客用座席、ドア支持部材、及びスライド式ドアを支持し得る。この実施例では、座席ユニットが、ビークルのキャビンの長手延在方向に沿って互いの後ろに1つずつ配置されている。しかし、複数の実施例は、直線的な列内に配置された座席ユニットに限定されない。他の実施例では、座席ユニットが、図4では示されていない他の配置内に置かれ得る。
【0053】
[0081] 各座席ユニットは、座席ユニット402に関連付けられた座席ユニット406などの乗客用座席を含む。座席406は、図1の座席118などの乗客用座席であるが、これに限定されない。座席は、移動しない静的な座席及び/又はリクライニングシートを含み得る。座席406は、任意選択的に、リクライニング背もたれ、フットレスト、及び/又はアームレストを含み得る。
【0054】
[0082] 座席ユニット402は、他の複数の実施例では、ドア支持部材408を含む。座席ユニット402は、任意選択的に、ベース部材410を含む。ドア支持部材408は、主たる軌道、キャリッジステーション接点、主たる軌道終端、及び/又は壁若しくは(1以上の)他の支持構造を含み得る。それらは、備品、座席406、及び/又はキャビンの床構造に結合され得る。この実施例では、スライド式ドア412が、ドア支持部材408に取り付けられた主たる軌道と着脱可能に係合する。スライド式ドア412は、幾つかの実施例では、ベース部材410の上方に吊り下げられ、キャビンの床に接触しない。
【0055】
[0083] スライド式ドア412は、図2のドアアセンブリ102などのドアアセンブリに関連付けられたドアであるが、これに限定されない。スライド式ドア412は、後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で移動可能である。この実施例では、座席ユニット402に関連付けられたドア412と座席ユニット404に関連付けられたドア414の両方が、後退した位置で図示されている。この実施例では、スライド式ドア414の外側418が図示されている。スライド式ドアの外側は、スライド式ドアの通路に面する側である。それは、座席エリアの外側のビークルの通路にいるユーザから視認可能である。
【0056】
[0084] 後退した位置にあるドア412は、ドア支持部材408に重なる。それによって、ドア412は、ドア支持部材408にほぼ完全に重なる。同様に、この実施例のドア414は、ドア支持部材416の外面と大部分が重なっている。それによって、ドア414は、ドア支持部材の外面の大部分をカバーする。
【0057】
[0085] この実施例のスライド式ドア412は、プライバシードア又はスクリーン要素である。それは、図1の二重動作スライドデバイス120などの二重動作スライドデバイスによって、前方に展開し、後方に収納される。スライド式ドア412は、硬いドア、メッシュドア、網戸、又は任意の他の種類のスライド式ドアとして実装されてよい。
【0058】
[0086] 例えば、緊急事態又はスライド式ドアの偶発的な損傷の間に、主たる軌道が誤作動したり、詰まったりした場合、スライド式ドア412は、その展開した位置のうちの1つで動かなくなる可能性がある。それによって、スライド式ドアは、ドア支持部材に対して移動しない。そのような場合、二重動作スライドデバイスは、スライド式ドアのキャリッジデバイスが、主たる軌道に沿って摺動することから従たる軌道に沿って摺動することに切り替わる。それは、キャリッジデバイスが、キャリッジステーションから結合解除されることによる。キャリッジデバイスをキャリッジステーションから結合解除することによって、スライド式ドアは、展開した位置から後退した位置に移動して、主たるスライドユニットが非動作である又は意図されたように動作できないときに、乗客のための脱出経路を提供することが可能になる。
【0059】
[0087] この実施例では、後退した位置が、スライド式ドア412の可能な最大後退位置である。ユーザは、通常動作モード中に、完全に収納された位置から出て、部分的に展開した又は完全に展開した位置へ移動する側方ラインに沿ってドアを引く。スライド式ドア412を展開することによって、座席ユニット402に関連付けられた座席406を利用しているユーザに少なくとも部分的なプライバシーが提供される。
【0060】
[0088] 他の複数の実施例では、スライド式ドア412が、ドア支持部材408に取り付けられ、ビークルのキャビンの床に接触することなしに、ベース部材410の上方の所定の距離に吊り下げられる。
【0061】
[0089] 座席ユニット402は、任意選択的に、コンソール、仕切り、トレイテーブルデバイス、乗客用ユーティリティデバイス、収納デバイス、又は任意の他の備品構造などの、備品構造を含むが、これらに限定されない。この実施例では、1以上の任意選択的な備品構造が、備品が座席406を少なくとも部分的に取り囲むように配置される。
【0062】
[0090] スライド式ドア412は、乗客の便宜のために機内でも使用され得る。幾つかの実施例では、スライド式ドア412が、離陸時及び/又は着陸時に、収納され(完全に後退し)、固定されて、離陸時及び/又は着陸時に、スライド式ドアの展開又は部分的な展開を防止する。
【0063】
[0091] 図5は、完全に後退した位置にあるスライド式ドアを有する座席ユニットを含む、乗客用座席配置500の斜視図を示している例示的な図である。この実施例では、スライド式ドア502が後退している。座席配置500において、スライド式ドア502と座席ユニット510の前に配置された次の座席ユニット508のドア支持部材506との間に、開口部又は間隙504が存在する。この実施例では、ドア支持部材506が、図5で後退した位置で示されているスライド式ドア507の後ろで部分的に見えない。主たる軌道が、スライド式ドアの内側512に取り付けられている。内側512は、乗客に面する側である。それは、スライド式ドアが完全に展開した位置にあるときに、乗客用座席エリアに面している。後退した位置にあるときに、内側512は、ドア支持部材の外側に面している。
【0064】
[0092] 幾つかの実施例では、システムが解放レバーを含まない。解放レバーが含まれていない場合、システムは、力を加えた起動を使用することによって、主たる軌道から従たる軌道に切り替わる。そのような場合、従たるインジケータ514が、バックアップ動作モードが使用中であることを示すために、ドアの通路に面した(外)側の表面上に含まれ得る。この実施例では、従たるインジケータ514が、システムがバックアップ動作モードにあるときに起動する、ポップアップボタン、スイッチ、ライト、又は他のインジケータである。従たるインジケータ514は、上述の図1の従たるインジケータ144などのインジケータであるが、これに限定されない。
【0065】
[0093] 次に図6を参照すると、従たる軌道606を有する二重動作スライドデバイス604を含むドア支持部材602を示している例示的な概略図が示されている。ドアの内面上に位置付けられた主たる軌道を有するドア(破線に示されている)が、二重動作スライドデバイス604のキャリッジステーションにロックされたキャリッジデバイスに係合する。ドアが完全に又は部分的に展開した位置にある間に、主たる軌道が詰まった場合、二重動作スライドデバイス604は、キャリッジデバイスをキャリッジステーションから解放し、ドアを従たる軌道606に沿って摺動するように解放する。キャリッジデバイスは、従たる軌道に沿って摺動し、後退した位置に戻る。
【0066】
[0094] 図7は、従たる軌道606を有する二重動作スライドデバイス604を含むドア支持部材602を示している例示的な概略図である。破線で図示されているドアが、主たる軌道又は従たる軌道のいずれかに沿って後退した位置702に戻ると、ドアはドア支持部材602と部分的に重なる。
【0067】
[0095] 図8は、非作動状態にあるドア支持部材804上の解放レバー802を示している例示的な概略図である。この実施例では、解放レバー802が、ドア支持部材804を含むドアアセンブリの座席ユニットに関連付けられた座席に座っている乗客に面するドア支持部材の内面上に位置付けられている。ユーザは、二重動作スライドデバイスを、ドアがスライド式ドアの上部分806上に位置付けられた主たる軌道(図示せず)上で摺動する通常動作モードから切り替えるために、解放レバーを引く。
【0068】
[0096] この実施例では、主たる軌道が、ドア808の上部分806に後ろに位置付けられている。ドア808は、主たる軌道の一部を覆って湾曲しており、主たる軌道は、乗客用座席エリア内の乗客からは見えにくくなっている。言い換えると、ドア支持部材上の解放レバー802は、乗客に面している。それによって、解放レバー802は、スライド式ドアに関連付けられた座席内に座っている乗客からは見えるが、通路からは見えない。ドア808の上部分806は、ドア支持部材の通路側でドア支持部材に重なっている。この実施例では、ドア支持部材の上縁部を覆って湾曲しているドア808の上部分806だけが、ドア支持部材の乗客に面する(内)側で視認可能である。
【0069】
[0097] 図9は、機械的ヒューズアセンブリ138及びキャリッジロックアセンブリ128を含む、二重動作スライドデバイス120を示しているブロック図である。幾つかの実施例では、キャリッジデバイス124が、キャリッジデバイス124の下部分に結合された一組の1以上のTスライド902を含む。(1以上の)Tスライド902は、キャリッジステーション126のハウジングの一部分内に収まる。
【0070】
[0098] キャリッジロックアセンブリ128は、主たる軌道が誤作動している間に、結合解除機構の作動及び/又は閾値量の力がドアの背面に加えられたことに応じて、キャリッジデバイス124のTスライドをキャリッジステーション126にロックし及び/又は(1以上の)Tスライドをキャリッジデバイス124から解放するための機構である。
【0071】
[0099] 幾つかの実施例では、ユーザがスライド式ドア支持部材上の解放レバーを作動させたときに、トリガピン904が、トリガピンスライド908内のピンガイド906を通って、第1の位置から第2の位置へ押し上げられる。トリガピンが第2の位置に移動したときに、トリガピンは、回転ラッチ910に係合して、回転ラッチを押す。回転ラッチのピボットローラ912が、ストライカを前進させ、機械的ヒューズアセンブリ138のテーパが付けられたハウジング916を上昇させる。これにより、キャリッジロックアセンブリが落下し、(1以上の)Tスライド902をキャリッジステーションから解放する。Tスライドが自由になると、キャリッジデバイス124は、バックアップ動作モードにおいて従たる軌道へ摺動することができる。
【0072】
[00100] 他の実施例では、二重動作スライドデバイス120が、スライド式ドアに力が加えられたことに応じて、通常動作モードからバックアップ動作モードに切り替わる。主たる軌道が詰まったときに、ドアに加えられた力が、ヒューズスライダ918の上に押し付けられる。ヒューズスライダ918上に加えられた力は、バネにヒューズスライダを前方に押し下げるように圧縮させる。これは、(1以上の)Tスライドをキャリッジステーションから自由にする。
【0073】
[00101] 図10は、作動状態にある二重動作スライドデバイス1000に関連付けられた解放レバーを示している例示的な概略図である。この実施例では、主たる軌道1002が、破線で示されているスライド式ドアに結合されている。主たる軌道1002は、スライド式ドアの内側に取り付けられている。スライド式ドアは、スライド式ドアが完全に後退するか又は部分的に後退した位置にあるときに、ドア支持部材に面する。この実施例では、破線で示されているスライド式ドアの上部分が、主たる軌道をわずかに覆って湾曲し又は曲がり、主たる軌道を覆って小さなレッジ、リップ、カバー、又は短いキャノビーを形成する。
【0074】
[00102] キャリッジデバイス1004が、主たる軌道1002に係合する。この実施例では、キャリッジデバイス1004が、一組のローラ、車輪、軸受、又は他の軌道係合ユニットを含む。それらは、主たる軌道の少なくとも一部分内に収まり、ドアが後退した位置と展開した位置との間で移動するときに、ドアの主たる軌道が静止したキャリッジデバイス1004の上を滑らかに摺動することを可能にする。キャリッジデバイス1004は、通常動作モードにおいてキャリッジステーションにロックされている間、ドア支持部材1016上の固定された位置に静止している。
【0075】
[00103] 幾つかの実施例では、解放レバー1014が起動されたときに、トリガピン1018が、第1の位置から第2の位置に移動される。これは、回転ラッチ1010がキャリッジロックアセンブリを前方及び下方に移動させることを誘発し、(1以上の)Tスライド1008をキャリッジステーション1006から解放する。自由になると、キャリッジデバイス1004は、バックアップ動作モードにおいて、後退した位置に向けて従たる軌道1020に沿って摺動し得る。
【0076】
[00104] この実施例では、解放レバーによって動作される二重動作スライドデバイスが、キャリッジデバイスの解放を誘発する。解放レバーは、図10で示されているように、引っ張られた状態にロックされ、引っ張られたラッチによって係合されたバックアップ動作モードを視覚的にフィードバックする。このキャリッジロック解放機構は、スライド式ドアが開き、従たる(冗長な)スライドによって座席ユニット構造上に保持されることを可能にする。
【0077】
[00105] 図11は、通常動作モードにある二重動作スライドデバイス1100を示している例示的な概略図である。この実施例では、解放レバー1102が、非起動状態にある。それは、解放レバーが、ユーザによって手動で作動されていないことを示す。トリガピン1105は、トリガピンスライド1106のピンガイド1104内の第1の位置にある。機械的ヒューズアセンブリのバネ1108は、非圧縮状態にある。キャリッジデバイス1116は、キャリッジステーション1118にロックされている。
【0078】
[00106] 次に図12を参照すると、バックアップ動作モードを誘発するように作動された解放レバーを有する二重動作スライドデバイス1100を示している例示的な概略図が示されている。この実施例では、解放レバー1102が手動で作動されている。解放レバー1102は、「引かれた」構成にあるままである。その場合、解放レバー1202は、外向きに延在している。それは、解放レバーが作動されたことを示している。解放レバー1102を引くと、トリガピン1105がピンガイド1104内の第2の位置に押し込まれる。キャリッジロックアセンブリ1012は、前方に摺動する。キャリッジデバイス1116は、(1以上の)Tスライダ1204がキャリッジハウジング1118から解放されると、前方に摺動し始める。
【0079】
[00107] 図13は、展開されたスライド排出アセンブリ1302を有する二重動作スライドデバイス1100を示している例示的な概略図である。この実施例では、解放レバー1102の解放ラッチ1202が作動されている。解放レバーは、展開の視覚的な表示として開いたままである。ヒューズスライダ1304が落下して、キャリッジデバイス1116の(1以上の)Tスライダを、キャリッジステーションから解放している。トリガピンは、ピンガイド内の第2の位置内にあるままである。
【0080】
[00108] 図14は、通常動作モードにある二重動作スライドデバイス1400の機械的ヒューズアセンブリを示している例示的な概略図である。この実施例では、機械的ヒューズアセンブリ1402が、Tスライド1406をキャリッジステーション1408内の適所に押し込むか又はさもなければロックするヒューズスライダ1404を含む。トリガピン1410は、ピンガイド1414内のトリガピンスライド1412の下部分における第1の位置にある。キャリッジデバイス1416は、キャリッジステーション内にロックされ、主たる軌道1418に係合している。この実施例では、スライド式ドアが、通常動作モードにおいて主たる軌道に沿って摺動する。この実施例では、バックアップ動作モードが誘発されていない。
【0081】
[00109] この実施例の二重動作スライドデバイスは、解放レバーを含まない。代わりに、キャリッジロックアセンブリは、ドア支持部材に向けられた方向において、スライド式ドアに閾値最小量の力を加えることによって、キャリッジデバイスをキャリッジステーションから解放するように誘発される。加えられた力は、変形ピンガイド1414が、第1の位置(図14で示されている)から第2の位置へ移動することを誘発し、バックアップ動作モードの動作を誘発する。この非限定的な実施例では、バックアップ動作モードを作動させるために加えられる力は、後退した位置の方向において、ドアに加えられる25ポンドの押し力である。しかし、複数の実施例は、その量の力に限定されない。バックアップモードの起動のために加えられる閾値力は、静止したキャリッジステーションからのキャリッジデバイスの解放を誘発するための任意の適切な量の力を含み得る。
【0082】
[00110] 図15は、二重動作スライドデバイス1400のバックアップ動作モードにキャリッジデバイスを解放する機械的ヒューズアセンブリを示している例示的な概略図である。この実施例では、キャリッジステーションの部分が切り取られ、キャリッジステーション内のTスライダの断面図を示している。この実施例では、二重動作スライドデバイスが、依然として通常動作モードにある。その場合、キャリッジデバイスは、キャリッジステーションにロックされている。ヒューズスライダ1404は、キャリッジステーション1408内で、Tスライド1406を通常動作モード位置に押すか又は保持している。
【0083】
[00111] 図16は、二重動作スライドデバイス1400のバックアップ動作モードの力が加えられた起動を示している例示的な概略図である。この実施例では、バックアップ動作モードが、力が加えられた起動によって起動されている。トリガピン1410は、トリガピンスライド1412内の第2の位置へ上向きに移動されている。トリガピンスライド内の第2に位置に向けられた移動は、回転ラッチを起動する。これは、キャリッジロック1012を結合解除し、ヒューズスライダが自由に落下することを可能にする。
【0084】
[00112] ヒューズスライダ1404は落下して、Tスライダ1406を解放する。キャリッジデバイス1416は、キャリッジハウジングから出るように摺動し、従たる軌道1604上又はその中に入る。キャリッジデバイスが従たる軌道の上で摺動するときに、キャリッジデバイスは、主たる軌道1418と着脱可能に結合されたままである。ユーザがスライド式ドア上に押す力又は引く力を加え、ドアを後退した位置に向けて押したときに、キャリッジデバイスに係合した主たる軌道1418は、キャリッジデバイスのTスライダと共に移動する。それは、キャリッジデバイスが、従たる軌道に沿って後退した位置へ戻るように移動するときである。
【0085】
[00113] 図17は、主たる軌道のロックアップ故障を有する二重動作スライドデバイス1700を示している例示的な概略図である。この実施例では、主たる軌道のロックアップ故障が、バックアップ動作モードを起動するために、半インチのドアの移動につき25ポンドのバネ力を超えないスイートドアの引く力を必要とする。他の実施例では、バックアップ動作モードの起動が、キャリッジステーション1712からキャリッジデバイスを解放するために、解放レバーを手動で作動させることによって実行される。
【0086】
[00114] この実施例では、二重動作スライドデバイスが、依然として通常動作モードにある。トリガピン1702は、ピンガイド1704内の第1の位置にある。ヒューズスライダ1706は、キャリッジデバイス1710のTスライド1708を、キャリッジステーション内のロックされた構成に保持する。
【0087】
[00115] 図18は、通常動作モードからバックアップ動作モードへ切り替わる二重動作スライドデバイス1700を示している例示的な概略図である。この実施例では、トリガピン1702が、ピンガイド1704内の第2の位置にある。Tスライド1708は自由であり、キャリッジデバイス1710は従たる軌道1802の上に移動している。キャリッジデバイス1710が、従たる軌道に沿って摺動するときに、キャリッジデバイスは、スライド式ドアに取り付けられた主たる軌道に取り付けられたままである。一方で、キャリッジステーション1712及びキャリッジロックアセンブリは、ドア支持部材1804上で静止したままである。
【0088】
[00116] 図19は、テーパが付けられたハウジング1904を有する機械的ヒューズアセンブリ1902を含む二重動作スライドデバイス1900を示している例示的な概略図である。キャリッジデバイス1912の一組の1以上のTスライダ1908は、1以上のヒューズスライダ1910によってキャリッジステーション内にロックされている。
【0089】
[00117] 図20は、一組のTスライダ1906を有するキャリッジデバイス1912を示している例示的な概略図である。この実施例では、一組のTスライダが、第1のTスライダ2002及び第2のTスライダ2004を含む。Tスライダは、従たる軌道に係合するように成形及びサイズ決定されている。この実施例では、一組のローラ2006が、主たる軌道2008の内装部分と係合するようにサイズ決定されている。
【0090】
[00118] 図21は、二重動作スライドデバイスに関連付けられた機械的ヒューズアセンブリ1902を示している例示的な概略図である。この実施例では、二重動作スライドデバイスが通常動作モードにあるときに、ヒューズスライダの第1の端部2106が、第1のTスライダ2002に係合し、ヒューズスライダの第2の端部2104が、第2のTスライダ2004に係合する。
【0091】
[00119] 図22は、二重動作スライドデバイスに関連付けられた一組の軌道2200を示している例示的な概略図である。この実施例では、主たる軌道2202が、キャリッジデバイス2204に係合する。キャリッジデバイス2204は、バックアップ動作モードにおいて、従たる軌道2206と着脱可能に結合する。(1以上の)Tスライド2208は、従たる軌道上又はその範囲内で摺動するように構成されている。
【0092】
[00120] 図23は、バックアップ動作モードにおいてTスライドに係合する従たる軌道2306を示している例示的な概略図である。この実施例のTスライドの上部分2302は、従たる軌道の上方に位置している。下部分2304は、従たる軌道によって形成された空洞又はスペース内に位置している。Tスライドは、ドアが完全に展開した位置又は部分的に展開した位置から実質的に完全に後退した位置に押し込まれるときに、従たる軌道に沿って摺動する。
【0093】
[00121] 図24は、従たる軌道2404に係合したTスライド2402を示している例示的な概略図である。Tスライド2402の一部分は、Tスライド開孔2406を通して見ることができる。Tスライド2408の一部分は、Tスライド開孔2410を通して見ることができる。図25は、従たる軌道2500の一部分を示している例示的な概略図である。この非限定的な実施例では、従たる軌道が「C」軌道である。Tスライドは、擦れたり又は引き摺ったりすることなしに軌道内で摺動するようにサイズ決定されたC軌道フィッティングを含む。
【0094】
[00122] 図26は、ピボットローラサブアセンブリ2602を有するキャリッジロックアセンブリ2600を示している例示的な概略図である。ピボットローラサブアセンブリは、ローラ2604及びローラ2606などの一組のローラを含む。ピボットローラサブアセンブリは、セルフロックナット2608、(1以上の)ネジ2610、及び肩付きネジ2612などの(1以上の)ファスナを介して、スライダアーム2614に取り付けられている。
【0095】
[00123] 図27は、解放レバー2702を介して誘発されたキャリッジロックアセンブリ2700を示している例示的な概略図である。この実施例では、解放レバー2702が引かれている。トリガピン2704は、ピンガイドの第2の位置の中に移動している。これにより、キャリッジロックアセンブリ2706が、機械的ヒューズアセンブリのテーパが付けられた縁部に沿って上方に押し戻され、ヒューズスライダを下げてキャリッジデバイスを解放する。幾つかの実施例では、バネの戻り止めが、ドアを主たる軌道に戻すためのリセット中に解放される。バックアップ動作モードの誤った起動の場合に、リセットシステムのピボットローラ/テーパロック機構が、単一の飛行乗務員によって実行され得る単純化されたプロセスにおいて、主たる直線的な軌道(スライド)/キャリッジステーションとリラッチとを固定する。
【0096】
[00124] 図28は、図4のスライド式ドア104などのスライド式ドアの通常動作モードからバックアップ動作モードに切り替えるための二重動作スライドデバイスの動作を示している例示的なフローチャートである。
【0097】
[00125] キャリッジデバイスは、2802において、通常動作モードでキャリッジステーションにロックされる。2804において、通常動作モードでドアが主たる軌道に沿って摺動する。解放レバーが2806で作動される場合、キャリッジデバイスは2810でキャリッジステーションから解放される。バックアップ動作モードにおいて、ドアは従たる軌道上で摺動する。
【0098】
[00126] ラッチが2806において作動されない場合、キャリッジデバイスはまた、2808において二重動作スライドデバイスに閾値力が加えられる場合にも、キャリッジステーションから解放され得る。キャリッジデバイスが、キャリッジステーション2810から解放された後で、ドアが2812において従たる軌道上で摺動する。ユーザは、ドアを展開した位置に向けて戻すように押すことによって、二重動作スライドデバイスをリセットし得る。二重動作スライドデバイスが2814でリセットされた場合、キャリッジデバイスは、2802においてキャリッジステーションにロックし戻され、ドアは、2804において主たる軌道に沿って摺動する。
【0099】
[00127] 幾つかの実施例では、ドアが、完全に後退した位置に戻ったときに自動的に固定される。他の複数の実施例では、ドアが、ドアを後退した位置に保持するためにロッキングデバイスを起動することによって固定される。他の複数の実施例では、ドアが完全に後退したときに、内部ロッキングデバイスが、スライド式ドアを適所に保持するために適所にカチッと音を立てて保持される。更に他の複数の実施例では、ドアが、任意のロック又は他の固定デバイスを係合することなしに、後退した位置に向けてドアを移動させることによって固定される。この実施例では、慣性を介して、ドアが部分的に後退した位置又は完全に後退した位置にあるままである。
【0100】
[00128] 次に図29を参照すると、本開示の一実施態様が好適に採用される飛行装置2901のより具体的な図が描かれている。この実施例では、飛行する装置2901が、複数のシステム2904及び内装2906を有する機体2903を含む。幾つかの実施例では、飛行する装置2901が、図1のビークル106などのビークルであるが、これに限定されない。
【0101】
[00129] 複数のシステム2904の複数の実施態様には、推進システム2908、電気システム2910、液圧システム2912、及び環境システム2914のうちの1以上が含まれる。本システムは、航空機内のキャビン内に実装されてよい。図示されていない他の複数のシステムがまた、候補として挙げられる。航空宇宙産業の例を示したが、種々の好適な複数の実施態様が、自動車産業などの他の産業に適用される。
【0102】
更なる実施例
[00130] 幾つかの実施例では、システムが、キャリッジステーションに取り付けられた直線的なスライドシステムを含む。キャリッジステーションは、主たる軌道[PES]及び従たる軌道[EPF]システムを統合するが、同じ軸に沿った独立した動作を可能にする。ロックされたときに、主たる直線的なキャリッジを拘束し、EPFスライドシステムからの隔離を提供し、ドアの通常動作のための主たるスライドへの優先権を可能にする。主たる軌道が故障した場合、連動した誘発及び解放機構が、引くレバーの動作による又は25ポンドを超えないスイートドアにかけられた引く力による、EPFの展開を可能にする。
【0103】
[00131] バックアップ動作モードのEPFの引くレバーシステムを、ドアへの予め設定された引く力の誘発と統合することによって、EPFとユーザの相互作用の方法にかかわりなく同じ結果がもたらされる。更に、ストレスの高い状態や不慣れな装備を操作している間に、ユーザの最初の本能は、物理的なレバーを探すことではないかもしれない。代わりに、ユーザは、動作不能なドアを単純に強く引っ張るだけだろう。二重動作スライドデバイスは、誤った展開の場合に、殊にEPFリセットを更に単純化する。また、バックアップ動作モードが展開するように設定されている範囲まで主たるスライド性能が低下した場合、力による誘発[機械的ヒューズ]によるフェイルセーフの解決策を提供する。
【0104】
[00132] 他の複数の実施例では、結合解除レバーが、EPFレバーを引くか又はドアを引く力の誘発によるかのいずれかの後に、EPFの従たる(バックアップ動作モード)のスライドの展開の後に、「オープン」をロックするように設計されており、EPF起動の可視表示を提供する。同軸の直線的なPES/EPF軌道システム、キャリッジリターンステーション、テーパが付けられたロック、及びEPFラッチ設計は、二重動作スライドシステムが、スイートの占有者による誤った起動の場合に、単一のユーザによって容易にリセットされることを可能にする。「EPF展開されたオープン」位置からドアの「クローズド(閉)」位置に向かってスイートドアを移動すると、直線的なスライドキャリッジが再係合し、キャリッジステーションに「ロックホーム」される。EPFレバーがロック解除し次いでクローズし、EPFシステムがリセットされる。EPFをリセットするためには、40ポンド[tbc]を超えない押す力が、ドアの閉位置に向けられた方向に加えられることが、単一の飛行乗務員にとって適切であると考えられる。
【0105】
[00133] 例示的な1つのシナリオでは、ドアが閉位置で詰まったときに、スイートからの脱出が妨げられる。ユーザは、緊急時にスイートから避難するために、場所を確認し、指示に従うという選択肢を有する。幾つかの場合では、ドアに隣接するスイートにドアの詰まりを解除するための手順の詳細を記した警告プラカードが利用可能である場合もある。一実施例では、指示が、EPFバックアップ動作モードを展開するために、[*警告]衰退プラカードに隣接するレバーを引く指示を含んでよい。ドアが開き、スイートからの緊急脱出が可能になる。レバーは引いた状態でロックされて、EPFが展開されたことを視覚的にフィードバックする。
【0106】
[00134] 他の複数の例では、ドアが詰まったときに、ユーザはドアを強く引くことができる。最大上限閾値を超えない力を加えることによって、EPFバックアップ動作モードを展開することができる。このやり方で、ユーザはドアを後退した状態に戻すことができる。
【0107】
[00135] 別の一実施例では、搭乗状況中にスライド式ドアが完全に開いた位置でロックした場合、乗務員はスイートドアをロック解除することができる。ロック解除後、乗客は、ドアを開位置と閉位置との間で移動させるために、完全な位置の制御を有する。ドアハンドルによって支援されるスイートドアスライド式動作は、ドアを開と閉の移動ステーションとの間でドアを配置するために、ユーザによる最小力しか必要としない。ドアは、通常、マグネットキャッチで機能して、非接触端部移動の触覚フィードバックを提供する。
【0108】
[00136] 更に、他の複数の実施例では、引くレバーが、EPFシステムの保守試験を可能にする。主たる直線的な軌道の性能低下は、通常使用中にドアによって必要とされる通常動作荷重の増加をもたらし得る。ドアの引く力がEPF展開のための予め設定された値に到達したときに、設計は、ブレークがシステムの故障を報告する機械的な「ヒューズ」を提供する。このやり方で、二重動作スライドデバイスは、EPFレバーを控え目な引く力と組み合わせて、バックアップ動作モード(緊急通路機能)を起動する。二重動作スライダシステムは、主たる及び従たるバックアップの直線的なシステムを含み、スイートドアの誤用荷重からのEPFスライド構成要素の分離/隔離を提供する。更に、EPFレバー及び/又は控え目な引く力の誘発の組み合わせが、バックアップ動作モードを起動することを可能にすることによって、乗客や乗務員が使用するシステムを単純化する一方で、冗長性がもたらされる。更に他の複数の実施例では、システムが次のことを可能にする、すなわち、ユーザが、バックアップ動作モードを使用して詰まったドアをロック解除し、次いで、ドアに加えられる押す力又は引く力を使用して、システムを主たる軌道システムに戻すように容易にリセットする。
【0109】
[00137] 以下の段落は、本開示の更なる態様を説明する。幾つかの実施態様では、以下で説明される段落が、本開示の範囲から逸脱することなく、任意のサブコンビネーション内に更に組み合わされ得る。
1A.
二重動作スライド式ドアアセンブリであって、
座席ユニットに関連付けられたスライド式ドアであって、前記座席ユニットのドア支持部材に取り付けられたスライド式ドアと、
前記座席ユニットのドア支持部材内に少なくとも部分的に配置された二重動作スライドデバイスと、
前記二重動作スライドデバイスに係合する前記スライド式ドアの主たる軌道であって、前記スライド式ドアは、通常動作モードにおいて、後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で、前記主たる軌道に沿って移動可能である、主たる軌道とを備え、
前記二重動作スライドデバイスは更に、
前記ドア支持部材内に少なくとも部分的に配置される移動不能キャリッジステーションであって、キャリッジデバイスを前記移動不能キャリッジステーションにロックし、前記主たる軌道が前記通常動作モードにおいて前記キャリッジデバイスの上を摺動する、移動不能キャリッジステーション、
前記ドア支持部材に関連付けられた従たる軌道であって、前記キャリッジデバイスがバックアップ動作モードにおいて前記移動不能キャリッジステーションからロック解除され、前記キャリッジデバイスが前記少なくとも1つの展開した位置と前記後退した位置との間で前記従たる軌道に沿って摺動することを可能にする、従たる軌道、
前記キャリッジデバイスが、作動状態において前記移動不能キャリッジステーションから解放されることを誘発する解放レバー、及び
前記ドア支持部材の方向において前記スライド式ドアの背面に閾値力が加えられたことに応じて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから自動的に解放することを誘発する機械的ヒューズアセンブリを備える、ドアアセンブリ。
2A.
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションに戻すようにロックし直すリセット機構を更に備える、1Aに記載のドアアセンブリ。
3A.
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放するのと同時に、前記バックアップ動作モードの誘発を可能にする、連動した誘発及び解放機構を更に備える、1Aに記載のドアアセンブリ。
4A.
前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のローラを更に備え、前記一組のローラは前記主たる軌道に係合する、1Aに記載のドアアセンブリ。
5A.
ピンガイド内に配置されたトリガピンを更に備え、前記トリガピンは、前記通常動作モード中に前記ピンガイド内の第1の位置に位置し、前記トリガピンは、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放し、前記バックアップ動作モードを誘発するために、前記第1の位置から第2の位置へ移動する、1Aに記載のドアアセンブリ。
6A.
前記機械的ヒューズアセンブリに関連付けられたヒューズスライダを更に備え、前記ヒューズスライダは、前記通常動作モード中に前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のTスライドを前記キャリッジステーション内のロック位置にロックする、1Aに記載のドアアセンブリ。
7A.
前記解放レバーの解放ラッチを更に備え、前記解放ラッチは、前記解放レバーの手動による作動後に、引かれた構成にあるままであり、前記二重動作スライドデバイスが前記通常動作モードから前記バックアップ動作モードに切り替わったという視覚的な表示を提供する、6Aに記載のドアアセンブリ。
8A.
ドアアセンブリのスライド式ドアを係合解除するための方法であって、
主たる軌道に移動可能に取り付けられたスライド式ドアに関連付けられた二重動作スライドデバイスのキャリッジロックアセンブリを介して、キャリッジデバイスをキャリッジステーションにロックすることであって、前記スライド式ドアは、前記主たる軌道内に少なくとも部分的に配置された前記キャリッジデバイスを介して、通常動作モードにおいて完全に後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で前記主たる軌道に沿って移動可能である、ロックすることと、
解放レバーの作動又はドア支持部材の方向において機械的ヒューズアセンブリに閾値力が加えられた起動を検出することと、
前記解放レバーの前記作動又は前記閾値力が加えられた作動に応じて、前記ドア支持部材内に配置された二重動作スライドデバイスを介して、バックアップ動作モードにおいて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから従たる軌道に解放することとを含み、解放された前記キャリッジデバイスは、前記少なくとも1つの展開した位置から前記完全に後退した位置へ前記従たる軌道に沿って移動可能である、方法。
9A.
前記ドア支持部材から離れる方向において前記スライド式ドアに閾値力が加えられたことを検出すること、及び
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションに戻すようにリセットし、前記二重動作スライドデバイスを前記主たる軌道に関連付けられた前記通常動作モードに戻すことを更に含む、8Aに記載の方法。
10A.
前記解放レバーの前記作動は、
前記解放レバーの前記作動に応じて、キャリッジ解放機構が前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放することを誘発することを更に含む、8Aに記載の方法。
11A.
前記閾値力が加えられた起動は、
自動解放機構の機械的ヒューズアセンブリに関連付けられたスライダヒューズに加えられる前記閾値力を加えることを更に含み、前記スライダヒューズは、前記キャリッジステーションから少なくとも1つのTスライダを解放するために下降し、前記キャリッジデバイスが前記従たる軌道の上で摺動することを可能にする、8Aに記載の方法。
12A.
前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のローラが、前記主たる軌道に係合する、8Aに記載の方法。
13A.
ドアアセンブリの二重動作スライド式ドアのためのシステムであって、
座席ユニットのドア支持部材、
キャリッジデバイスに関連付けられた一組のローラに係合する第1の軌道を備える主たる軌道システム、
前記第1の軌道に関連付けられたスライド式ドアであって、通常動作モードにおいて後退した位置と少なくとも1つの展開した位置との間で前記第1の軌道に沿って移動可能であるスライド式ドア、
前記第1の軌道内に少なくとも部分的に配置されたキャリッジデバイス、
前記キャリッジデバイスを前記ドア支持部材に取り付けられたキャリッジステーションにロックするキャリッジロックアセンブリ、
バックアップ動作モード中に前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のTスライドに係合する第2の軌道を備える従たる軌道システム、及び
前記バックアップ動作モードにおいて前記キャリッジステーションから前記第2の軌道の上に前記キャリッジデバイスを自動的に解放する前記ドア支持部材内に配置された二重動作スライドデバイスであって、前記キャリッジデバイスは、前記バックアップ動作モードにおいて前記少なくとも1つの展開した位置から前記後退した位置へ前記第2の軌道に沿って移動可能である、二重動作スライドデバイスを備える、システム。
14A.
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションに戻すようにロックし直すリセット機構を更に備える、13Aに記載のシステム。
15A.
前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放するのと同時に、前記バックアップ動作モードの誘発を可能にする、連動した誘発及び解放機構を更に備える、13Aに記載のシステム。
16A.
前記二重動作スライドデバイスは、
解放レバーの作動に応じて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放することを誘発する前記解放レバーを備える、13Aに記載のシステム。
17A.
前記ドア支持部材の方向において前記スライド式ドアの背面に閾値力が加えられたことに応じて、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放することを誘発する機械的ヒューズアセンブリを更に備える、13Aに記載のシステム。
18A.
ピンガイド内に配置されたトリガピンを更に備え、前記トリガピンは、前記通常動作モード中に前記ピンガイド内の第1の位置に位置し、前記トリガピンは、前記キャリッジデバイスを前記キャリッジステーションから解放し、前記バックアップ動作モードを誘発するために、前記第1の位置から第2の位置に移動する、13Aに記載のシステム。
19A.
機械的ヒューズアセンブリに関連付けられたヒューズスライダを更に備え、前記ヒューズスライダは、前記通常動作モード中に前記キャリッジデバイスに関連付けられた一組のTスライドを前記キャリッジステーション内のロック位置にロックする、13Aに記載のシステム。
20A.
解放レバーの解放ラッチを更に備え、前記解放ラッチは、前記解放レバーの手動による作動後に、引かれた構成にあるままであり、前記二重動作スライドデバイスが前記通常動作モードから前記バックアップ動作モードに切り替わったという視覚的な表示を提供する、13Aに記載のシステム。
【0110】
[00138] 本開示の態様を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で規定される本開示の態様の範囲から逸脱することなく修正及び変更が可能であることは明らかであろう。上記の構造、製品、及び方法には、本開示の態様の範囲から逸脱せずとも様々な変更が行われうるので、上記の説明に包含され、添付図面で図示されている全ての事項は、例示であり、限定的な意味ではないと解釈されることが意図されている。
【0111】
[00139] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、それ以外のことを明確に意図する場合でなければ、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるときに、「及び/又は(and/or)」という言い回しは、そのように結合された要素、すなわち、幾つかの場合では併せて存在する及び他の場合では分離して存在する複数の要素の「いずれか或いは両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を伴って挙げられた複数の要素は、同じ様態で、すなわち、そのように結合された複数の要素のうちの「1以上」として解釈されるべきである。具体的に特定された複数の要素に関連するか関連しないに関わらず、「及び/又は」という句で具体的に特定された複数の要素以外に、他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な実施例として、「備える(comprising)」などのオープンエンドな言語と併せて使用されるときに、「A及び/又はB」への言及は、一実施例ではAのみ(任意選択的にB以外のエンティティを含む)、別の一実施例ではBのみ(任意選択的にA以外のエンティティを含む)、更に別の一実施例では、AとBの両方(任意選択的に他のエンティティを含む)を指し得るなどである。
【0112】
[00140] 本明細書及び特許請求の範囲で使用されるときに、「又は(or)」は、上述された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分けるときに、「又は」又は「及び/又は」は、包含的、すなわち、少なくとも1つの包含として解釈されるが、また1より多い数の、要素の幾つかの又はリストの、及び任意選択的に更なる挙げられていない項目も含むと解釈される。「のうちのただ1つ」又は「のうちの正にそれ1つ」、或いは、特許請求の範囲内で使用されるときに、「から成る」という、明らかに反対を意味する用語のみが、要素の幾つかの又はリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。概して、使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、又は「のうちの正に1つ」などの排他的な用語が前に付いている場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、、「一方又は他方であるが両方でない」)を示すものと解釈される。「本質的に~から成る」は、特許請求の範囲内で使用されるときに、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0113】
[00141] 本明細書及び特許請求範囲で使用されるときに、1以上の要素のリストに言及する「少なくとも1つの」という言い回しは、要素のリスト内の要素のうちの任意の1以上から選択される少なくとも1つ要素を意味するものと理解されるべきであるが、要素のリスト内で具体的に挙げられた各及び全ての要素の少なくとも1つを含む必要は必ずしもなく、要素のリスト内の要素の組み合わせを排除するものではない。この規定は、「少なくとも1つの」という言い回しが言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外にも、具体的に特定されたそれらの要素と関連するか又は関連しないかにかかわらず、要素が任意選択的に存在し得ることも許容する。したがって、非限定的な一実施例として、「AとBのうちの少なくとも1つ」(又は同じく「A又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施態様で、任意選択的に2以上のAを含む少なくとも1つのAであって、Bが存在しない(任意選択的にB以外の要素を含む)少なくとも1つのA、別の一実施態様で、任意選択的に2以上のBを含む少なくとも1つのBであって、Aが存在しない(任意選択的にA以外の要素を含む)少なくとも1つのB、更に別の一実施態様で、任意選択的に2以上のAを含む少なくとも1つのA及び任意選択的に2以上のBを含む少なくとも1つのB(任意選択的に他の要素を含む)を指し得るなどである。
【0114】
[00142] 「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「関与する」、及びそのバリエーションの使用は、その後に記載された項目及び更なる項目を包含することを意味する。
【0115】
[00143] クレーム要素を変更するための特許請求の範囲内での「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、あるクレーム要素の別のクレーム要素に対する任意の優先度、有意、順序、又は方法の作用が実施される時間的な順序を暗示するものではない。序数用語は、クレーム要素を区別するために、特定の名前を持つ1つのクレーム要素を同じ名前(序数用語がない場合)を持つ別の要素から区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0116】
[00144] 本開示の態様を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で規定される本開示の態様の範囲から逸脱することなく修正及び変更が可能であることは明らかであろう。上記の構造、製品、及び方法には、本開示の態様の範囲から逸脱せずとも様々な変更が行われうるので、上記の説明に包含され、添付図面で図示されている全ての事項は、例示であり、限定的な意味ではないと解釈されることが意図されている。
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【外国語明細書】