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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165677
(43)【公開日】2023-11-16
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20231109BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20231109BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/298
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089418
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2023502399の分割
【原出願日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2021028999
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶一
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA07
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC27
5H040CC38
5H040JJ02
5H040JJ03
(57)【要約】
【解決手段】バッテリパック(10)は、ホルダ本体部(30、40、56、62)を含むセルホルダ(26、28、52、54)と、該セルホルダを収納するケーシング18とを備える。ホルダ本体部は、複数個の単位セルを保持する。該ホルダ本体部の外壁には、ケーシング18の内壁に向かって突出する凸状延出部(32、42、58、64)が設けられる。凸状延出部は、ケーシングの内壁に当接する当接延出部(32A、42A、58A、64A)を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の単位セルを保持したセルホルダと、前記セルホルダを収納するケーシング(18)とを備えるバッテリパック(10)において、
前記セルホルダは、前記複数個の単位セルを保持するホルダ本体部(30、40、56、62)と、前記ホルダ本体部の外壁から前記ケーシングの内壁に向かって突出するように延出した凸状延出部(32、42、58、64、34、44、60、66)とを有し、
前記バッテリパックは、前記複数個の単位セルの各電極に電気的に接続されるハーネス(94)を備え、
前記凸状延出部は、前記ハーネスを位置決めするバッテリパック。
【請求項2】
請求項1記載のバッテリパックにおいて、前記凸状延出部は、前記ホルダ本体部の外壁から前記ケーシングの内壁に向かう方向に対して交差する方向に折曲された折曲部を有し、前記折曲部と前記セルホルダとの間に前記ハーネスの一部が配置されたバッテリパック。
【請求項3】
請求項1記載のバッテリパックにおいて、前記凸状延出部は、前記ホルダ本体部の外壁から前記ケーシングの内壁に向かう方向に対して交差する第1方向に折曲された第1折曲部を有する第1凸状延出部と、前記第1方向と反対方向である第2方向に折曲した第2折曲部を有する第2凸状延出部と、を含み、
前記第1折曲部と前記セルホルダとの間に前記ハーネスの一部が配置され、前記第2折曲部と前記セルホルダとの間に前記ハーネスの別の一部が配置されたバッテリパック。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のバッテリパックにおいて、前記セルホルダは、互いに当接する第1ホルダ及び第2ホルダを有し、前記ハーネスが、前記第1ホルダと前記第2ホルダとの当接面に沿って配策されたバッテリパック。
【請求項5】
請求項2に従属する請求項4記載のバッテリパックにおいて、前記折曲部は、前記ホルダ本体部の外壁から前記ケーシングの内壁に向かう方向に対し、前記第1ホルダに向かって折曲されるか、又は、前記第2ホルダに向かって折曲されるバッテリパック。
【請求項6】
請求項3に従属する請求項4記載のバッテリパックにおいて、前記第1方向は前記第1ホルダに向かう方向であり、前記第2方向は前記第2ホルダに向かう方向であるバッテリパック。
【請求項7】
請求項3又は6記載のバッテリパックにおいて、前記第1折曲部と前記第2折曲部とが互いに離間する方向から前記セルホルダを見たとき、前記第1折曲部と前記第2折曲部とが重なるバッテリパック。
【請求項8】
請求項1記載のバッテリパックにおいて、前記凸状延出部は、前記ケーシングの内壁から離間しているバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の単位セルを保持したセルホルダと、該セルホルダを収納するケーシングとを備えるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数個の単位セルを保持したセルホルダと、該セルホルダをケーシング内に収納したバッテリパックとが記載されている。ここで、前記ケーシングは、特許文献1の特に図1図2及び図4に示されるように、略直方体形状をなす。ケーシングにおける4個の側面は略平坦である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/230879号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなバッテリパックにおいて、見栄え又は意匠性を向上することが要請されることがある。この要請に対応するべく、該バッテリパックの少なくとも1個の側面を、バッテリパックの長手方向(高さ方向)に直交する幅方向において、両端部から中間部に向かって膨出するように湾曲させることが考えられる。
【0005】
膨出する部分では、ケーシングの内壁とセルホルダの外壁とが離間する。すなわち、セルホルダとケーシングとの間に間隙が形成される。このため、セルホルダをケーシング内で位置決めすることが容易でなくなる。
【0006】
この不具合を回避するため、セルホルダとケーシングとの間にスペーサを挿入することが考えられる。しかしながら、この場合、スペーサを作製しなければならない。しかも、セルホルダの外壁、又はケーシングの内壁に対してスペーサを接合する作業が必要である。従って、バッテリパックを得るまでの作業工程が増加する。また、バッテリパックの製造作業が煩雑である。
【0007】
本発明の主たる目的は、スペーサを別部材として必要としないバッテリパックを提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、ケーシング内でセルホルダを位置決めすることが容易なバッテリパックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、複数個の単位セルを保持したセルホルダと、前記セルホルダを収納するケーシングとを備えるバッテリパックにおいて、
前記セルホルダは、複数個の単位セルを保持するホルダ本体部と、前記ホルダ本体部の外壁から前記ケーシングの内壁に向かって突出するように延出した凸状延出部とを有し、
前記凸状延出部が、前記ケーシングの内壁に当接する当接延出部を含むバッテリパックが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セルホルダを収納するケーシングの内壁に当接延出部が一体的に形成される。当接延出部は、単位セルを保持するセルホルダに当接する。これにより、セルホルダがケーシングに位置決めされる。従って、バッテリパックの組立作業が容易となる。しかも、この場合、スペーサを別途作製する作業が不要である。スペーサをセルホルダに接合する作業も不要である。従って、バッテリパックの組立作業が簡素化する。また、作業工程数が増加することが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係るバッテリパックの概略全体斜視図である。
図2図2は、バッテリパックにおける長手方向に対して直交する方向の概略断面図である。
図3図3は、4個のホルダによって構成された第1コアパック及び第2コアパックの概略斜視図である。
図4図4は、第1コアパック及び第2コアパックの概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下における「下」及び「上」は、各図面の下方及び上方に対応する。また、ケーシング18、第1列ホルダ26、第2列ホルダ28、第3列ホルダ52及び第4列ホルダ54の各側壁部において、アーチ形状部16aを向く側壁部を「正面部」と表記している。且つ正面部と反対側に位置する側壁部を「背面部」と表記している。これらは説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的な方向付け及び名称であり、バッテリパックを放電又は充電するときの方向又は姿勢であるとは限らない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るバッテリパック10の概略全体斜視図である。このバッテリパック10はケーシング18を備える。ケーシング18は、ボトムカバー12と、長尺なケーシング本体14と、トップカバー16とを含む。ケーシング本体14は、長手方向(高さ方向)両端が開口して略四角筒形状をなす中空体からなる。ここで、長手方向の両端とは、図1における下端及び上端である。ボトムカバー12は、ケーシング本体14における下端の開口を閉塞する。トップカバー16は、上端の開口を閉塞する。
【0014】
トップカバー16には、該トップカバー16の上面から突出するアーチ形状部16a及びタブ形状部16bが設けられる。アーチ形状部16aからタブ形状部16bにわたって、把持用バー16cが設けられる。バッテリパック10をトップカバー16側から見た平面視では、タブ形状部16bと、把持用バー16cと、アーチ形状部16aとが略H字形状に連なる。
【0015】
ケーシング本体14において、アーチ形状部16aを向く正面部14aは、幅方向に沿って湾曲している。幅方向とは、長手方向に対して直交する方向である。すなわち、図2にも示すように、正面部14aは、幅方向端部(隅部14c1、14c2)から、幅方向中間部に向かうに従って漸次的に膨出する。このため、正面部14aは丸みを帯びている。このように、正面部14aを、幅方向中間部で最も膨出させることにより、バッテリパック10が優れた美観(意匠性)を有する。なお、ボトムカバー12及びトップカバー16の正面は特に湾曲していなくてもよい。ただし、ボトムカバー12及びトップカバー16の正面も、ケーシング本体14の正面部14aに合わせて湾曲していることが好ましい。この場合、バッテリパック10の意匠性が一層良好となるからである。
【0016】
ケーシング本体14が略四角筒形状をなすので、該ケーシング本体14は、略90°に折曲された4個の隅部14c1~14c4を有する。隅部14c1及び隅部14c2は、正面部14aの幅方向端部である。なお、隅部14c1~14c4の内壁及び外壁は、なだらかに湾曲している。
【0017】
ケーシング18内には、図3及び図4に示す第1コアパック20及び第2コアパック22が収納される。第1コアパック20につき説明する。第1コアパック20は、複数個の単位セル(図示せず)を保持する第1セルホルダ24を有する。さらに、第1セルホルダ24は、第1ホルダとしての第1列ホルダ26と、第2ホルダとしての第2列ホルダ28とを有する。
【0018】
第1列ホルダ26は、第1本体部30(ホルダ本体部)と、第1正面側凸状延出部32と、第1背面側凸状延出部34とを有する。第1本体部30には、特許文献1の図7に示されるように、単位セルを収容する収容孔が形成される。第1正面側凸状延出部32は、第1本体部30の正面30aの外壁から突出する凸部である。第1正面側凸状延出部32は、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に向かって延在する。第1背面側凸状延出部34は、正面30aの裏面である背面30b(図2参照)の外壁から突出する凸部である。第1背面側凸状延出部34は、ケーシング本体14の背面部14bの内壁に向かって延在する。
【0019】
図2から理解されるように、第1正面側凸状延出部32は、長延出部32A(当接延出部)と、短延出部32B(非当接延出部)とを含む。長延出部32Aは突出量が大きい。このため、長延出部32Aは、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に当接する。短延出部32Bは突出量が小さい。従って、短延出部32Bはケーシング本体14の正面部14aの内壁に当接しない。
【0020】
図3及び図4に示すように、長延出部32Aは、第1本体部30の正面30aに格子形状に形成される。長延出部32Aの突出量は、ケーシング本体14の幅方向端部(隅部14c1)で小さく、且つ幅方向中間部に近接すると大きくなる。幅方向端部に設けられた長延出部32Aは、ケーシング本体14の隅部14c1の内壁に当接する。すなわち、幅方向端部に設けられた長延出部32Aは、隅部当接延出部である。
【0021】
短延出部32Bは、第1列ホルダ26における第2列ホルダ28との当接面近傍に設けられる。短延出部32Bの一部は、ケーシング本体14の内壁に向かって突出した後、第2列ホルダ28に向かって折曲される。この折曲により、短延出部32Bの先端に折曲部36が形成される。折曲部36は、第1列ホルダ26における第2列ホルダ28との当接面に覆い被さる。これにより、折曲部36は、前記当接面の一部を覆い隠す。
【0022】
長延出部32A及び短延出部32Bのうちで互いに隣接する長延出部32A及び短延出部32Bは、第1本体部30の正面30aから若干離間した連結壁部38を介して連なる。従って、第1本体部30の正面30aと連結壁部38との間にはクリアランスが形成される。上記の離間により、第1列ホルダ26を溶融樹脂から射出成形によって作製するとき、長延出部32A及び短延出部32Bの基端にヒケが生じることを回避することができる。
【0023】
第2列ホルダ28は、第2本体部40(ホルダ本体部)と、第2正面側凸状延出部42と、第2背面側凸状延出部44とを有する。第2本体部40には、単位セルを収容する収容孔が形成される。第2正面側凸状延出部42は、第2本体部40の正面40aの外壁から突出する凸部である。第2正面側凸状延出部42は、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に向かって延在する。第2背面側凸状延出部44は、正面40aの裏面である背面40b(図2参照)の外壁から突出する凸部である。第2背面側凸状延出部44は、ケーシング本体14の背面部14bの内壁に向かって延在する。
【0024】
図2に示すように、第2正面側凸状延出部42は、長延出部42A(当接延出部)と、短延出部42B(非当接延出部)とを含む。長延出部42Aは突出量が大きい。このため、長延出部42Aは、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に当接する。長延出部42Aは、ケーシング本体14の幅方向中間部から幅方向端部に向かうにつれ、ケーシング本体14の膨出の度合いに合わせて小さくなる。短延出部42Bは突出量が小さい。従って、短延出部42Bはケーシング本体14の正面部14aの内壁に当接しない。
【0025】
短延出部42Bは、第2列ホルダ28における第1列ホルダ26との当接面近傍に設けられる。短延出部42Bの一部は、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に向かって延在した後、第1列ホルダ26に向かって折曲される。この折曲により、短延出部32Bの先端に折曲部46が形成される。折曲部46は、第2列ホルダ28における第1列ホルダ26との当接面の一部に覆い被さる。これにより、折曲部46は、前記当接面の一部を覆い隠す。従って、セルホルダを平面視したとき、第1列ホルダ26の折曲部36と、第2列ホルダ28の折曲部46とが上下に重なる。
【0026】
第2コアパック22は、複数個の単位セル(図示せず)を保持する第2セルホルダ50を有する。第2セルホルダ50は、第1ホルダとしての第3列ホルダ52と、第2ホルダとしての第4列ホルダ54とを有する。
【0027】
第3列ホルダ52は、第3本体部56(ホルダ本体部)と、第3正面側凸状延出部58と、第3背面側凸状延出部60とを有する。第4列ホルダ54は、第4本体部62(ホルダ本体部)と、第4正面側凸状延出部64と、第4背面側凸状延出部66とを有する。この中の第3本体部56及び第4本体部62には、単位セルを収容する収容孔が形成される。
【0028】
第3正面側凸状延出部58及び第4正面側凸状延出部64は、第3本体部56及び第4本体部62の各々の正面56a、62aの外壁から突出するように形成された凸部である。第3正面側凸状延出部58及び第4正面側凸状延出部64は、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に向かって延在する。第3背面側凸状延出部60及び第4背面側凸状延出部66は、第3本体部56及び第4本体部62の各々の各背面56b、62bの外壁から突出するように形成された凸部である。第3正面側凸状延出部58及び第4正面側凸状延出部64は、ケーシング本体14の背面部14bの内壁に向かって延在する。
【0029】
図2に示すように、第3正面側凸状延出部58は、長延出部58Aと短延出部58Bとを含む。第4正面側凸状延出部64は、長延出部64Aと短延出部64Bとを含む。長延出部58A及び長延出部64Aは、突出量が大きい。このため、長延出部58A及び長延出部64Aは、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に当接する。すなわち、長延出部58A及び長延出部64Aは当接延出部である。短延出部58B及び短延出部64Bは、突出量が小さい。従って、短延出部58B及び短延出部64Bは、ケーシング本体14の正面部14aの内壁に当接しない。すなわち、短延出部58B及び短延出部64Bは非当接延出部である。
【0030】
長延出部58A及び長延出部64Aは、第3本体部56及び第4本体部62の各々の正面56a、62aに格子形状に形成される。長延出部58A及び長延出部64Aの突出量は、ケーシング本体14の幅方向中間部から幅方向端部(隅部14c2)に向かうにつれ、ケーシング本体14の膨出の度合いに合わせて小さくなる。なお、第4本体部62の正面62aの幅方向端部に設けられた長延出部64Aは、ケーシング本体14の隅部14c2の内壁に当接する隅部当接延出部である。
【0031】
短延出部58Bは、第3列ホルダ52において、第4列ホルダ54との当接面近傍に設けられる。短延出部58Bの一部は、ケーシング本体14の内壁に向かって突出するように延在した後、第4列ホルダ54に向かって折曲される。この折曲により、一部の短延出部58Bの先端に折曲部70が形成される。
【0032】
短延出部64Bは、第4列ホルダ54において、第3列ホルダ52との当接面近傍に設けられる。短延出部64Bの一部は、ケーシング本体14の内壁に向かって突出するように延在した後、第3列ホルダ52に向かって折曲される。この折曲により、一部の短延出部64Bの先端に折曲部72が形成される。
【0033】
折曲部70及び折曲部72は、第3列ホルダ52と第4列ホルダ54との当接面の一部を隠すように、当接面に覆い被さる。従って、第3列ホルダ52及び第4列ホルダ54を平面視したとき、第3列ホルダ52の折曲部70と第4列ホルダ54の折曲部72とが上下に重なる。
【0034】
第1コアパック20と同様に、互いに隣接する長延出部58Aと短延出部58Bは、第3本体部56の正面56aから若干離間した連結壁部38を介して連なる。互いに隣接する長延出部64Aと短延出部64Bは、第4本体部62の正面62aから若干離間した連結壁部38を介して連なる。第3本体部56の正面56aと連結壁部38との間、及び第4本体部62の正面62aと連結壁部38との間にクリアランスがそれぞれ形成される。このクリアランスにより、第3列ホルダ52及び第4列ホルダ54を溶融樹脂から射出成形によって作製する際、長延出部58A、長延出部64A、短延出部58B及び短延出部64Bの基端にヒケが生じることを回避することができる。
【0035】
ケーシング本体14の背面部14bは、略平坦に形成されている。このため、第1列ホルダ26~第4列ホルダ54の背面では、第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66の突出量を略同等としてもよい。この場合、第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66は全て、ケーシング本体14の内壁(隅部14c3、14c4を含む)に当接する当接延出部である。第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66にも、折曲部が設けられる。折曲部は、例えば、第1列ホルダ26と第2列ホルダ28との当接面に覆い被さる。又は、折曲部は、第3列ホルダ52と第4列ホルダ54との当接面に覆い被さる。
【0036】
第1列ホルダ26、又は第2列ホルダ28に収容された単位セルの電極同士は、バスバー90を介して電気的に接続される。バスバー90にはリード線92が連結される。複数個のリード線92が集約されることで、ハーネス94が形成される。ハーネス94は、正面部14aにおいて、第1列ホルダ26と第2列ホルダ28との当接面に沿って設けられた短延出部32Bと短延出部42Bとの間に掛止される。ハーネス94は、折曲部36及び折曲部46にも掛止される。背面部14bの折曲部にも同様に、ハーネス94が掛止される。
【0037】
第3列ホルダ52、又は第4列ホルダ54に収容された単位セルの電極同士も、バスバー90を介して電気的に接続される。バスバー90に連結されたリード線92は集約され、ハーネス94を形成する。ハーネス94は、正面部14aにおいて、第3列ホルダ52と第4列ホルダ54との当接面に沿って設けられた短延出部58Bと短延出部64Bとの間に掛止される。ハーネス94は、折曲部70及び折曲部72にも掛止される。背面部14bの折曲部にも同様に、ハーネス94が掛止される。
【0038】
すなわち、正面部14a側のハーネス94は、折曲部36、46、70、72を含む短延出部32B、42B、58B、64Bによって位置決めされる。このように、短延出部32B、42B、58B、64B(折曲部36、46、70、72)は、ハーネス94の位置を規制する規制部としての役割を果たす。背面部14b側においても同様に、折曲部を含む第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66によってハーネス94の位置が規制される。
【0039】
図2に示すように、第1コアパック20に設けられた第1正面側凸状延出部32、第1背面側凸状延出部34、第2正面側凸状延出部42及び第2背面側凸状延出部44の各々と、第2コアパック22に設けられた第3正面側凸状延出部58、第3背面側凸状延出部60、第4正面側凸状延出部64及び第4背面側凸状延出部66の各々とは、線対称の位置関係にある。すなわち、第1正面側凸状延出部32と第4正面側凸状延出部64とは、第2列ホルダ28と第3列ホルダ52との対面箇所を通る中心線CLから等距離に位置する。第1背面側凸状延出部34及び第4背面側凸状延出部66も同様に、中心線CLから等距離に位置する。第2正面側凸状延出部42と第3正面側凸状延出部58との位置関係、及び第2背面側凸状延出部44と第3背面側凸状延出部60との位置関係も同様である。
【0040】
第1正面側凸状延出部32と第1背面側凸状延出部34とは、180°離間した位置関係にある。換言すれば、第1正面側凸状延出部32と第1背面側凸状延出部34とは、中心線CLと平行な軸線上に位置する。第2正面側凸状延出部42と第2背面側凸状延出部44との位置関係も同様である。第3正面側凸状延出部58及び第3背面側凸状延出部60も180°離間した位置関係にある。第4正面側凸状延出部64及び第4背面側凸状延出部66も、180°離間した位置関係にある。
【0041】
本実施形態に係るバッテリパック10は、基本的には以上のように構成される。次に、バッテリパック10の作用効果について説明する。
【0042】
ケーシング本体14の正面部14aは、図1に示すように、湾曲壁部として形成されている。このため、バッテリパック10の意匠性が向上する。すなわち、バッテリパック10は美観に優れる。
【0043】
ここで、ケーシング18内に収納される第1コアパック20、第2コアパック22では、第1列ホルダ26~第4列ホルダ54の各正面部に長延出部32A、42A、58A、64Aが設けられている。これら長延出部32A、42A、58A、64A及び第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66は、ケーシング本体14の正面部14a又は背面部14bの内壁に当接する。従って、例えば、第1列ホルダ26~第4列ホルダ54をケーシング18内に収納する際、第1列ホルダ26~第4列ホルダ54をケーシング18内で容易に位置決めすることができる。これにより、バッテリパック10の組立作業が容易となる。
【0044】
第1列ホルダ26~第4列ホルダ54は、上記したように、溶融樹脂を射出成形することで作製することができる。すなわち、第1本体部30~第4本体部62と、第1正面側凸状延出部32~第4正面側凸状延出部64と、第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66とが同時に成形される。このため、第1本体部30~第4本体部62と、第1正面側凸状延出部32~第4正面側凸状延出部64及び第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66とを個別に作製する必要がない。従って、個別に作製した部分を接合する必要もない。すなわち、煩雑な作業が不要である。また、バッテリパック10を得るまでの作業工程が増加することが回避される。
【0045】
このように構成されたバッテリパック10を、ユーザが外部機器や充電装置に装填するとき、例えば、ケーシング18を構成するケーシング本体14が、外部機器又は充電装置等に偶発的に接触することが想定される。この場合、ケーシング本体14に外力が作用する。
【0046】
しかしながら、ケーシング本体14では、正面部14aの内壁が長延出部32A、42A、58A、64Aで支持され、且つ背面部14bの内壁が第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66で支持されている。このため、ケーシング本体14が十分な剛性を示す。従って、ケーシング本体14が変形することを防止することが可能である。
【0047】
しかも、第1正面側凸状延出部32~第4正面側凸状延出部64の各々と、第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66の各々とは、180°離間した位置関係にある。さらに、第1正面側凸状延出部32と第4正面側凸状延出部64とが線対称の位置関係にある。第1背面側凸状延出部34及び第4背面側凸状延出部66も同様に、線対称の位置関係にある。第2正面側凸状延出部42及び第3正面側凸状延出部58も線対称の位置関係にあり、第2背面側凸状延出部44及び第3背面側凸状延出部60も線対称の位置関係にある。すなわち、第1コアパック20における凸状延出部と、第2コアパック22における凸状延出部とが左右対称となっている。このため、バッテリパック10では、剛性が均等に確保される。
【0048】
すなわち、バッテリパック10に、他の部位に比して剛性が著しく小さい部位が形成されることが回避される。従って、外力が作用した部位がケーシング本体14の何処であるかに拘わらず、ケーシング本体14が変形することを防止することが可能である。
【0049】
なお、バッテリパック10において、ケーシング本体14の隅部14c1~14c4は、何らかの物体に接触する頻度が比較的高いと想定される。ここで、本実施形態では、ケーシング本体14の隅部14c1~14c4の内壁に、隅部当接延出部を当接させている。このために隅部14c1~14c4の剛性が確保されるので、隅部14c1~14c4が高頻度で何らかの物体に接触したとしても、隅部14c1~14c4が凹むこと又は変形することが抑制される。
【0050】
さらに、リード線92を集束したハーネス94が、第1コアパック20又は第2コアパック22に設けられた折曲部36、46、70、72等に通される。従って、ハーネス94がケーシング本体14の内壁に当接することが回避される。このため、ケーシング本体14に外力が作用した場合であっても、ハーネス94に外力が及び難い。これにより、ケーシング18内でのハーネス94の位置が保たれる。換言すれば、外力が作用する前後において、ハーネス94の位置を規制することができる。
【0051】
さらにまた、第1コアパック20、第2コアパック22の各々は、上記したように2個のセルホルダを有する。ハーネス94を掛止する折曲部36、46、70、72等は、2個のセルホルダを跨ぐようにして設けられる。このため、万一、2個のセルホルダ中の1個が外力の影響を受けて変形した場合であっても、残る1個のセルホルダの折曲部によってハーネス94の位置を規制することが可能である。
【0052】
すなわち、この場合、ハーネス94が位置ズレを起こすことを防止することができる。従って、ハーネス94同士の間で短絡等の電気的不具合が発生することを抑制することもできる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0054】
例えば、ケーシング本体14の背面部14bが平坦な場合であっても、第1コアパック20及び第2コアパック22において、正面部14aと同様に、背面部14bの内壁に当接する当接延出部と、内壁に当接しない非当接延出部とを設けてもよい。
【0055】
ケーシング本体14の背面部14bを正面部14aと同様に湾曲させてもよい。この場合、第1背面側凸状延出部34~第4背面側凸状延出部66を、第1正面側凸状延出部32~第4正面側凸状延出部64と同様の構成とすることが好ましい。
図1
図2
図3
図4