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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165686
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】音符学習教材及び音符学習システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 15/00 20060101AFI20231110BHJP
   G09B 15/04 20060101ALI20231110BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G09B15/00 Z
G09B15/04
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076796
(22)【出願日】2022-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】522180570
【氏名又は名称】林 珠衣
(74)【代理人】
【識別番号】100206656
【弁理士】
【氏名又は名称】林 修身
(72)【発明者】
【氏名】林 珠衣
(57)【要約】
【課題】効果的な音符学習を行えるようにすること。
【解決手段】少なくとも1の音符が記されている音符表示部と、該音符の音名情報を特定可能な特定情報が読み取り可能とされた音名情報読取部と、を有する複数のカードと、インターネット網に接続可能であるとともに音名情報を出力可能な端末であって、前記音名情報読取部を読み取り可能な情報端末と、インターネット網上のURLに対応付けて前記音名情報が記憶されているサーバコンピュータと、を含み、前記特定情報が、前記URLの情報を含み、前記情報端末は、前記音名情報読取部から読み取った特定情報に含まれるURLに対応付けて前記サーバコンピュータに記憶されている音名情報を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音符に対応する音名を学習するための音符学習教材であって、
少なくとも1の音階の音符が記されている音符表示部と、該音符の音名情報を出力可能な情報端末によって読み取り可能な音名情報読取部と、を備えた音符カードから成ることを特徴とする音符学習教材。
【請求項2】
前記音名情報読取部が、二次元情報シンボルにて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の音符学習教材。
【請求項3】
前記二次元情報シンボルは、インターネット網上のサーバコンピュータにおいて前記音名情報として音名の音声が対応付けて登録されているURLの情報を含み、
前記情報端末は、音名情報として前記サーバコンピュータに登録された音名の音声を出力可能であることを特徴とする請求項2に記載の音符学習教材。
【請求項4】
前記音名情報は、音名に加えて該音名の演奏音を含むことを特徴とする請求項3に記載の音符学習教材。
【請求項5】
音符に対応する音名を学習するための音符学習教材であって、
少なくとも1の音符が一面に記されているとともに該一面に記された音符の音名が反対面に記された面状部と、該面状部から導出された棒状の把手部と、を有することを特徴とする音符学習教材。
【請求項6】
音符に対応する音名を学習するための音符学習システムであって、
少なくとも1の音符が記されている音符表示部と、該音符の音名情報を特定可能な特定情報が読み取り可能とされた音名情報読取部と、を備える音符カードと、
インターネット網に接続可能であるとともに音名情報を出力可能な端末であって、前記音名情報読取部を読み取り可能な情報端末と、
インターネット網上のURLに対応付けて前記音名情報が記憶されているサーバコンピュータと、
を含み、
前記特定情報が、前記URLの情報を含み、
前記情報端末は、前記音名情報読取部から読み取った特定情報に含まれるURLに対応付けて前記サーバコンピュータに記憶されている音名情報を出力する
ことを特徴とする音符学習システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音符に対応する音名を学習するための音符学習教材及び音符学習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音符に対応する音名を学習するための音符学習教材としては、個々の音階の音符が一面に表記されるとともに、該一面の隅部等に表記されている音符に対応する音名が記載されたカード状のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3152887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、音符に対応する音名を覚えるために、カードを繰り返し視認して覚えるようにトレーニングするものであるが、これらトレーニングにおいて、音符の視認に際して音名も同時に視認できてしまい、効果的な音符学習を行うことが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、効果的な音符学習を行うことのできる音符学習教材及び音符学習システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
手段1の音符学習教材は、
音符に対応する音名を学習するための音符学習教材であって、
少なくとも1の音階の音符が記されている音符表示部と、該音符の音名情報を出力可能な情報端末によって読み取り可能な音名情報読取部と、を備えた音符カードから成ることを特徴としている。
この特徴によれば、音符カードの音名情報読取部を読み取ることによって情報端末から音名情報が出力されるまでは、音符の音名を認識できないので、効果的な音符学習を行うことができる。
【0007】
手段2の音符学習教材は、手段1に記載の音符学習教材であって、
前記音名情報読取部が、二次元情報シンボルにて形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、音名情報読取部を容易に設けることができ、教材を安価にて製造できる。
【0008】
手段3の音符学習教材は、手段2に記載の音符学習教材であって、
前記二次元情報シンボルは、インターネット網上のサーバコンピュータにおいて前記音名情報として音名の音声が対応付けて登録されているURLの情報を含み、
前記情報端末は、音名情報として前記サーバコンピュータに登録された音名の音声を出力可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、音符から視線を外すことなく音名を音声にて認識できようになるので、学習効果をより一層向上できる。
【0009】
手段4の音符学習教材は、手段3に記載の音符学習教材であって、
前記音名情報は、音名に加えて該音名の演奏音を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、音名だけではなく音名の演奏音も確認できるので、音感学習も並行してできるようになる。
【0010】
手段5の音符学習教材は、
音符に対応する音名を学習するための音符学習教材であって、
少なくとも1の音符が一面に記されているとともに該一面に記された音符の音名が反対面に記された面状部と、該面状部から導出された棒状の把手部と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、音符の音名は、把手部によって面状部を回転させるまでは認識できないので、効果的な音符学習を行うことができる。
【0011】
手段6の音符学習教材は、手段5に記載の音符学習教材であって、
前記把手部によって前記面状部を回転させて前記反対面を視認できるようにしたときに、前記一面に記されている音符と略同一位置となる位置に同一の音符が記されている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、面状部を回転させても音符を確認することができるとともに、残像効果で、回転によらず音符の表示が継続しているように利用者に見せることができ、音符の視認性が向上して、より一層効果的な音符学習を行うことができる。
【0012】
手段7の音符学習教材は、手段5または手段6に記載の音符学習教材であって、
前記把手部の先端部における回転中心に対応する位置に突出部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、把手部を持って手で回転させるときに、手のひらに突出部が当接することで、該突出部を回転中心として面状部が回転するようになるので、良好な残像効果を得られ易くなる。
【0013】
手段8の音符学習システムは、
音符に対応する音名を学習するための音符学習システムであって、
少なくとも1の音符が記されている音符表示部と、該音符の音名情報を特定可能な特定情報が読み取り可能とされた音名情報読取部と、を備える音符カードと、
インターネット網に接続可能であるとともに音名情報を出力可能な端末であって、前記音名情報読取部を読み取り可能な情報端末と、
インターネット網上のURLに対応付けて前記音名情報が記憶されているサーバコンピュータと、
を含み、
前記特定情報が、前記URLの情報を含み、
前記情報端末は、前記音名情報読取部から読み取った特定情報に含まれるURLに対応付けて前記サーバコンピュータに記憶されている音名情報を出力する
ことを特徴としている。
この特徴によれば、音符カードの音名情報読取部を読み取ることによって情報端末から音名情報が出力されるまでは、音符の音名を認識できないので、効果的な音符学習を行うことができる。
【0014】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであって良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1における音符学習カードの一例を示す正面図である。
図2】本発明の実施例1における音符学習システムの構成例を示す図である。
図3】音符学習システムを構成する携帯電話端末とサーバコンピュータとの間において送受される情報と個々の処理内容を示す図である。
図4】音符学習システムの変形例を示す図である。
図5】本発明の実施例2における音符学習カードの一例を示す正面図である。
図6】本発明の実施例2における音符学習カードの一例を示す正面図である。
図7】本発明の実施例2における音符学習カードの一例を示す分解斜視図である。
図8】本発明の実施例2における音符学習カードの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の音符学習教材及び音符学習システムの実施形態を実施例に基づいて以下に説明する。
(実施例1)
【0017】
図1に本発明の音符学習教材の一例である音符学習カード1を示す。本実施例1の音符学習カード1は、角部が丸みを帯びた方形状であって、7音階のいずれかに対応する音符7と音部記号6と五線譜5からなる音符表示3が一面に印刷された方形状の紙片2を、該紙片2よりも一回り大きな大きさを有する透明なラミネートフィルムFによってラミネート加工したカードとされている。尚、ラミネート加工は、手に触れることによる汚れ等を防止するとともに、カードとしての取り扱い性を向上するために行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用する紙の材質によっては、ラミネート加工を行わないようにしてもよい。
【0018】
そして、音符表示3が印刷されている面と同一の面であって、音符表示3の上部位置となる紙片2の一方の隅部近傍には、後述するサーバコンピュータ120に割り当てられているインターネット上の複数のURLのうちの1のURLがシンボル化された二次元情報シンボル(二次元バーコード)4が印刷されている。
【0019】
尚、図1には、一例として音部記号としてト音記号であって「ソ」の音階の音符が表記されている例を示しているが、これら音符学習カード1は、例えば、ト音記号の「ド」~「ソ」までの12度の各音名(音階)に対応した音符表示が印刷された12枚のカードを1セットとしてもよいし、また、音部記号がヘ音記号とされた低い音程の音符の音符表示が印刷されたカードを含む、よりカード枚数の多いセットとされていてもよく、これら音符学習教材に含まれる音符学習カード1の枚数は、学習者の年齢や学習の進捗状況に応じて適宜に決定すればよい。
【0020】
また、本実施例1では、二次元情報シンボル4の印刷位置を、図1に示すように、音符表示3に対して利用者と反対側となる音符表示3の上部位置に1つのみとすることで、二次元情報シンボル4が音符表示3の視認の妨げとならないようにした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら二次元情報シンボル4の印刷位置を利用者側となる音符表示3の下方としたり、更には、1つだけではなく、音符表示3の上部と下部の双方として複数としてもよい。
【0021】
次に、これら本実施例1の音符学習カード1が使用される音符学習システムの構成を図2に示す。本実施例1の音符学習システムは、図2に示すように、通話を行うための音の入出力手段となるマイク(図示略)とスピーカ(図示略)とを有するとともに、音符学習カード1の二次元情報シンボル4を読み取り可能であって、インターネット網110を介してサーバコンピュータ120にアクセス可能な携帯電話端末であるスマートフォン100と、インターネット網110に通信接続されているサーバコンピュータ120とで構成される。
【0022】
スマートフォン100は、大型の表示部101とカメラ102を有する市販のものであって、二次元情報シンボル4の読み取り機能をスマートフォン100に付与するための読み取りアプリケーションプログラム(以下、単に読み取りアプリと略称する)がインストールされたものであればよく、これら読み取りアプリとしては、二次元情報シンボル4に符号化されているURLをデコード(変換)して該デコードしたURLにアクセス可能なものであれば公知の2次元バーコードリーダのアプリケーションプログラムを使用することができる。尚、これらスマートフォン100としては、通話用の通話スピーカだけではなく、スマートフォン100を耳から離しても出力音を聞き取り可能なハンズフリー機能を提供するための外部スピーカを有するものとすることが好ましい。
【0023】
また、サーバコンピュータ120は、サーバコンピュータ120が配信可能な予め複数のWebページの各々に割り当てられたインターネットアドレスである複数のURL(URL1、URL2、URL3…)が割り当てられた公知のWebサーバであり、後述するように、これら複数のURL(URL1、URL2、URL3…)の各々に対応付けて、各音符に対応する音階の音名と演奏音とが再生可能に登録されるようになっている。
【0024】
ここで、本発明の音符学習システムを利用する場合の流れについて、図3を用いて説明すると、まず、最初に、図3(a)に示すように、音符学習カード1に表示されている音符表示に対応する音名の音声と演奏音とをサーバコンピュータ120に登録する。尚、これら音名の音声と演奏音の登録は、音符学習カード1の利用者が実行することもできるが、登録する音声等に間違いが生じることがないように、音符学習カード1を販売または貸出する事業者等が実行することが好ましい。
【0025】
具体的には、図2に示すように、スマートフォン100において読み取りアプリを起動して二次元バーコードを読み取って、URLに変換して該変換したURLにアクセスする。
【0026】
サーバコンピュータ120は、該URLへのアクセスに応じて、音名の音声と演奏音とが該URLに対応付けて登録されていないことにもとづいて、図示しない音声登録用Webページを配信する。尚、この音声登録用Webページには、予め音名の音声と演奏音と録音(登録)の開始を指示するための開始メニュー部と、録音(登録)の終了を指示するための終了メニュー部と、録音(登録)可能な残り時間を示すタスクバー表示部とが設けられている。
【0027】
サーバコンピュータ120から配信されてきた音声登録用Webページは、スマートフォン100の表示部101に表示される。そして、該表示された音声登録用Webページにおいて、開始メニュー部を選択し、音名の音声と演奏音の録音(登録)を開始する。具体的には、例えば、図1に示す音符学習カード1の場合であれば、音符表示に対応したピアノの「ソ」の鍵盤を所定間隔にて押下して「ソ」の音の演奏音をスマートフォン100のマイクを通じて録音(登録)してから、声で「音名はソです」と発声して音名の音声を録音(登録)したのち、終了メニュー部を選択して録音(登録)の終了する。尚、本実施例1では、演奏音をピアノの音としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の楽器、例えば、バイオリン教室で教材を使用する場合であればバイオリンの演奏音とすればよいし、フルート教室で教材を使用する場合であればフルートの演奏音とすればよい。
【0028】
尚、上記では、演奏音を音名の音声よりも先とした形態を例示しているが、これらの順を逆にしてもよいことは言うまでもない。また、本実施例1では、ピアノの「ソ」の鍵盤を所定間隔にて押下した演奏音も録音(登録)しているが、このようにすることは、単に音名だけではなく音名の演奏音も確認できることで、音感学習、特には、幼児等においてトレーニングとすることによって獲得できる可能性が高まる絶対音感の鍛錬も並行してできるようになることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音名の演奏音を録音(登録)しないようにしてもよい。
【0029】
サーバコンピュータ120は、終了メニュー部の選択に応じて、開始メニュー部の選択時から終了メニュー部の選択時までの間にスマートフォン100から送信されてきた音データを該URLに対応付けて登録(記憶)した後、アクセス元のスマートフォン100に対して登録完了を返信(通知)する。スマートフォン100の操作者は、登録完了の返信(通知)により、問題なくサーバコンピュータ120に音名の音声と演奏音とが登録されたことを確認できる。尚、これら録音(登録)に際し、例えば、音声登録用Webページに「テスト再生」のメニュー部を設けておき、登録する前に事前に一時録音した音名の音声と演奏音を確認できるようにしておき、これら事前確認してOKとした一時録音した音名の音声と演奏音をURLに対応付けて登録(本登録)するようにしてもよい。
【0030】
このようにして音名の音声と演奏音とが既に登録されている状態において、音符を学習する利用者は、音符学習カード1を視認して該音符学習カード1の表面に記されている音符表示3がいずれの音名であるかを答える。そして、該答えが正解であるか否かを、音符学習カード1の二次元情報シンボル4を、読み取りアプリを起動したスマートフォン100を音符学習カード1にかざして読み取る(図2参照)。
【0031】
このようにして二次元情報シンボル4を読み取ることによってスマートフォン100は、図3(b)に示すように、読み取った二次元情報シンボル4をURLに変換して該変換したURLにアクセスする。
【0032】
サーバコンピュータ120は、該URLへのアクセスに応じて、音声再生用Webページ(図示略)を配信する。そして、スマートフォン100側において、該配信された音声再生用Webページに設けられている「再生」のメニュー部を選択すると、再生指示がスマートフォン100側からサーバコンピュータ120に送信されることに応じて、サーバコンピュータ120において該URLに対応付けて登録されている音名の音声と演奏音との再生データがスマートフォン100側に送信されることで、例えば、スマートフォン100の外部スピーカから、予め登録されている、例えば、「ソ」のピアノ音(繰り返し)と音名の音声である「音名はソです」が外部スピーカから出力されることで、学習者は、自分の回答が正解であったか否かを耳で確認することができる。
【0033】
尚、図3(b)においては、音声再生用Webページにおいて「再生」のメニュー部を選択するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、Webページや読み取りアプリにおいて自動再生の設定を予めしておくことで、「再生」のメニュー部を選択しなくても音名の音声と演奏音とが自動的に再生されるようにしてもよく、このようにすれば、学習者は、音符学習カード1の音符表記から殆ど視点を移動させることなく、音名と演奏音をと耳で確認できるので、学習効果を著しく向上できる。
【0034】
また、本実施例1では、上記のように、音名情報が音名の音声である音情報として出力されることで、学習者が正解の音名を耳で確認できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、二次元情報シンボル4に、音符表示3の正解の音名の情報(テキストデータ)を符号化しておき、読み取りアプリが該音名の情報を変換して表示部101に、例えば、「そ」や「ソ」と表示するようにしてもよく、この場合は、音名情報が文字情報であり、学習者が正解の音名を目で確認できるようにした形態となる。尚、このように、簡単な「そ」や「ソ」の表示情報だけを符号化する場合には、二次元情報シンボル4ではなく、1次元の情報シンボル(バーコード)を使用してもよい。
【0035】
また、本実施例1では、音名情報読取部として二次元情報シンボル4を用いた形態を例示しており、このようにすることで、安価にて音符学習カード1を製造することができる。つまり、音名情報読取部としては、例えば、URLや音名情報を読み取り可能に記憶している非接触ICタグを用いることも可能であるが、このように、非接触ICタグを用いる場合には、音符学習カード1の製造コストが上昇するとともに、重ねた状態による読み取りエラーが発生し易くなってしまうという問題も生じてしまう畏れがあるのに対し、二次元情報シンボル4を使用することで、このような問題を解消することができる。但し、本発明は二次元情報シンボル4に限定されるものではなく、コストに問題がなければ、非接触ICタグを使用してもよいし、これら音名情報読取部としては、音や表示により音符の音名情報を出力可能な情報端末によって読み取り可能なものであれば、いずれの読み取り方式のものであってもよい。
【0036】
尚、上記した非接触ICタグではなく、メッセージを再生出力可能な超薄型のメッセージICレコーダ等を音符学習カード1に付与することも考えられるが、この場合には、更に音符学習カード1の製造コストが著しく上昇してしまうとともに、電池が消耗することで使用不能となってしまうため、音符学習カード1の使用に期限が生じてしまい、訓練のために繰り返し使用される音符学習カード1としては好適ではない。
【0037】
また、本実施例1では、情報端末として普及率が高い携帯電話端末であるスマートフォン100を使用した形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら情報端末は、例えば、公知のタブレット端末やバーコードリーダ端末等であってもよく、音名情報読取部の読み取り機能と音や表示にて音名情報を出力可能な出力機能とを有するものであれば、いずれの端末も使用することができる。
【0038】
尚、上記実施例1では、音符表示3に表記されている音符の数を1とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの音符の数を、例えば、「ド」、「ミ」、「ソ」の3つとした和音としてもよく、これら和音の音名の組み合わせを理解する練習や聴音練習にも本発明を使用することで、高い学習効果を得ることができる。
(実施例2)
【0039】
次に、本発明の第2実施形態である実施例2の音符学習カード20を、図5図7を用いて説明する。
【0040】
本実施例2の音符学習カード20は、図5に示すように、本発明の面状部を構成する外形が楕円形状とされた薄板状のカード本体部21と、該カード本体部21から導出された棒状の把手部27とを備えている。
【0041】
カード本体部21の表面部22には、実施例1の音符学習カード1と同じく、音符33と音部記号31と五線譜32からなる音符表示30が印刷された紙が貼着されているとともに、カード本体部21の裏面部29には、中央にソフトクリームのキャラクタ絵40と、カタカナの音名である「ソ」の文字から成る上部音名表示41と、ひらがなの音名である「そ」の文字から成る下部音名表示42とが印刷された紙が貼着されている。尚、ソフトクリームのキャラクタ絵40は、文字を読めない幼児等であっても、音名が「そ」であることを覚え易いように、「そ」の音から始まる物の絵としたものである。
【0042】
図6は、図5の音部表示30とは異なる音符表示50を有する音符学習カード20を示す図である。図6の音符学習カード20の構成は、図5の音符学習カード20と同一であるが、表面部22には、音符53とヘ音記号の音部記号51と五線譜52からなる音符表示50が印刷された紙が貼着されているとともに、裏面部29には、中央にレモンのキャラクタ絵60と、カタカナの音名である「レ」の文字から成る上部音名表示61と、ひらがなの音名である「れ」の文字から成る下部音名表示62とが印刷された紙が貼着されている。
【0043】
カード本体部21の上部と下部は、図7に示すように、印刷物が貼着されている表面部22や裏面部29よりも肉厚とされた部分であって、その中央部が断面視円形状の回転軸部24,26が形成された肉厚部23、25とされている。尚、表面部22や裏面部29には、後述する回転軸部24,26から上下方向中心部に向けて放射状とされた図示しない骨部が形成されており、カード本体部21を回転させ易いように軽量化が図られている。
【0044】
把手部27は、図7に示すように、指でつまんだ状態で音符学習カード20を回転させ易くなるように、薄板棒状とされているとともに、カード本体部21側と反対側の端部形状が球状の突起部28とされており、これら球状の突起部28が手の平と当接したときに支点となって、音符学習カード20をより回転させ易くなっている。
【0045】
また、把手部27のカード本体部21側の端部には嵌入突起29が形成されており、該嵌入突起が回転軸部24,26に形成された嵌入受部26’に挿抜することで、把手部27がカード本体部21に着脱可能とされている。
【0046】
尚、本実施例2では、嵌入突起29を挿入可能な嵌入受部(図示略)が回転軸部24にも形成されていて、把手部27を回転軸部24にも装着できるようになっており、例えば、学習者が幼児である場合に、把手部27を回転軸部24に装着することで、学習者とは反対側から親が把手部27を持ってカード本体部21を操作(回転)することができるようになっている。
【0047】
本実施例2の音符学習カード20は、まず、学習者は、各音符学習カード20を、表面部21を視認できるよう表向きにして、例えば、机の上等に並べておく。
【0048】
そして、いずれかの音符学習カード20の把手部27を掴んで取り出し、表面部21に印刷されている音符表示を視認して音名を回答する。
【0049】
その後、回答した音名が正解であるか否かを、把持部27を掴んでいる手首を回転させることによってカード本体部21を反転させ、裏面部29に印刷されている上部音名表示41,61や、下部音名表示42,62や、キャラクタ絵40,60から正解の音名を確認することができる。
【0050】
このように、本実施例2の音符学習カード20によれば、音符学習カード20の表面部22には、音符表示30,50のみが表示されていて、音符学習カード20を回転させて裏面部29を視認するまでは、音符表示30,50が対応する音名を認識することができないので、効果的な音符学習を行うことができる。
【0051】
特には、文字を読めない幼児等であっても、キャラクタ絵40,60によって音名を物の名前に関連付けて覚えることができるようになるので、幼児であっても遊び感覚で効果的な音符学習を行うことができる。
【0052】
尚、本実施例2では、裏面部29にキャラクタ絵40,60を印刷した形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、裏面部29にも、表面部22と同一となる位置に音符表示50’を印刷するとともに、連続した回転動作における視認性を向上させるために白抜き表示態様とされた上部音名表示71と下部音名表示72とした音符学習カード20’としてもよく、このようにすることで、音符学習カード20’を回転軸部24,26を中心として連続的に正転、逆転を繰り返すことによって、残像効果によって音符表示50が継続しているように見え、音符表示50が見えている状態のまま正解の音名を確認することができるようになるので、より一層効果的な音符学習を行うことができる。
【0053】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0054】
尚、実施例1と実施例2は、独立したものではなく、例えば、実施例2の音符学習カード20’についても、実施例1の二次元情報シンボル4を設けて、回転しなくてもスマートフォン100によって正解の音名を確認できるようにしてもよい。
【0055】
また、実施例1の音符学習カード1は、方形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音符学習カードの形状や大きさは、利用する学習者の年齢等に応じて適宜に選択すればよい。また、実施例2の音符学習カード20についても、回転させた場合の角部による危険防止と回転の容易さの観点から軸中心で対象である楕円形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、回転可能な形状であれば、例えば、団扇形状のような形状であってもよい。
【0056】
また、実施例2の音符学習カード20においては、上部の回転軸部24や球状の突起部28を設けないようにしてもよい。
【0057】
また、実施例2の音符学習カード20として、実施例1の音符学習カード1を表面部22に装着可能な袋部を設けて、高い音程と低い音程の「ソ」や「レ」の音で、1つの音符学習カード20を共用するようにしてもよい。
【0058】
また、実施例2の音符学習カード20では、把手部27を着脱可能とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら把手部27が着脱不能なものであってもよい。
【0059】
また、実施例1では、二次元情報シンボル4を印刷にて形成した形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、印刷以外の方法、例えば、転写やシール等によって設けるようにしてもよい。
【0060】
また、実施例1では、ULRに対応付けて登録される音名情報として、音名の音声や演奏音である音の情報だけとした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音声に加えて、或いはこれら音声に代えて、正解の音名や音名に関連するキャラクタ等が登場する動画としてもよい。
【0061】
また、上記した各実施例では、音符表示における音符を全音符とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら全音符を二分音符や四分音符や八分音符等の音の長さの異なる他の音符としてもよいことはいうまでもない。
【0062】
また、実施例1では、音符学習カード1の一面のみに音符表示3と二次元情報シンボル(二次元バーコード)4とを印刷表示し、裏面には何も記載しない形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら裏面に、実施例2のような音名表示を有するものとしてもよいし、或いは、表面の音符表示3における音符と音名(音階)は同一であるものの、音の長さが異なる二分音符や四分音符や八分音符等の音符表示と、これら音の長さに対応した演奏音が登録されたURLの二次元情報シンボル(二次元バーコード)とを有するものとすることで、表面と裏面とで、同一音であっても長さの異なる音符についても効果的に学習できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 音符学習カード
3 音符表示
4 二次元情報シンボル
20 音符学習カード
21 カード本体部
27 把手部
100 スマートフォン
101 表示部
102 カメラ
120 サーバコンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8