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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165688
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】手持ち式研削具
(51)【国際特許分類】
   B24B 3/36 20060101AFI20231110BHJP
   B24B 3/00 20060101ALI20231110BHJP
   B24B 23/00 20060101ALI20231110BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B24B3/36 A
B24B3/36 E
B24B3/00 Z
B24B23/00 Z
B24B23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076798
(22)【出願日】2022-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】714001489
【氏名又は名称】西原 政芳
(72)【発明者】
【氏名】西原 政芳
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA02
3C158AA04
3C158AC01
3C158CB01
3C158CB04
3C158DB02
3C158DB08
(57)【要約】
【課題】従来の手持ち式研削具での刃物研削においては、固定する被研削物3の切れ刃2と、研削面1とを平行面にして研削するのが難しかった。切れ刃2が狭小で砥ぎ角4は把握しにくく、研削面1はディスク14自体等で隠れてしまうので、明視的に調節するのが難しかったためである。
【解決手段】回転研削具15の本体ケース13等に、鏡面11を研削面1の裏側に当たる位置で、研削面1と平行面になるように設けている。持ち手9によって把持し、切れ刃2よりの反射光と、鏡面11からの反射光とを一致させることで、切れ刃2と研削面1とを平行面にさせることが出来る。そのまま図16のように切れ刃2に当てて回転させ、効率的な研削作業ができる。2つの反射光の誤差を防ぐために、作業者の利き目23の近くで発光する光源装置19を使用する。
【選択図】 図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施例1の手動研削具を使用する際に、実施例3のように光源装置を併用する器具構成。
【請求項2】
実施例2の回転研削具を使用する際に、実施例3のように光源装置を併用する器具構成。
【請求項3】
実施例1の手動研削具を使用する際に、実施例4のように光源装置を併用しない器具構成。
【請求項4】
実施例2の回転研削具を使用する際に、実施例4のように光源装置を併用しない器具構成
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刃物等を研ぐ際に使用する、手持ち式の研削具に関するもので、非熟練者でも容易に研削を行うことが出来る。
【背景技術】
【0002】
刃物等を研削して鋭利な刃を得る一般的な方法は、砥石等の研削具を床に置き、刃物を手で把持し圧力をかけながら摺動させるが、双方を密着させながら摺動させることは、非熟練者にとっては難しい作業である。
【0003】
簡易な研削方法として、特許文献1に記すような手持ち式の研削具が使われている。また特許文献2に記すような手持ち式の研磨・研削用グラインダも小型軽量のものが刃物等の研削に使われている。
【0004】
これら手持ち式の方法では被研削物を固定しておいて、研削具の研削面を切れ刃に当て摺動させ、またはディスクの研削面を切れ刃に当てて回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願2007-004384号公報
【0006】
【特許文献2】国際特許公開第2017/086476(WO,A1)
【0007】
【特許文献3】特開2018-190654号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】五所菊雄著 木版画の世界 2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
手持ち式の研削具を使っても、鋭利な刃先を得ることは容易ではない。切れ刃に対して研削具の研削面が、平行面になっていないからである。これには以下の3課題があると考え、図1を例として説明する。
【0010】
一般的研削具8での一般的研削では、非特許文献1でいう被研削物の砥ぎ角4を感覚的にとらえ、また研削時の切れ刃2の固定も水平で設定するのではなく、作業者の好みの角度で設定し固定して、作業の進行によっては固定角度の変更も行う。
【0011】
これは刃幅6が長かったり曲線形状であったりする被研削物3に対しては、大掛かりな固定装置で角度の正確さを期するより、簡便な方法であると考えられる。
【0012】
ここで1番目の課題として、切れ刃の幅5は一般的に短いので砥ぎ角4が捉えにくく、作業者が設定する被研削物3の固定角度は感覚的で曖昧である。また刃先7を2段に砥いだ、いわゆる小刃(こば)はハサミなどに多く見受けられるが、極めて小さな切れ刃2のため砥ぎ角4はさらに捉えにくく、固定角度は、さらに曖昧になる。
【0013】
2番目の課題として、研削作業は、切れ刃2に一般的研削具8の研削面1を被せて行うので、切れ刃2に当てる研削面1は一般的研削具8自体で隠れてしまう。このため研削面1が切れ刃2に対して平行に当たっている事を、目視をもって調整するのは難しく、曖昧な手の感覚にたよることが多い。
【0014】
3番目の課題として、研削作業を続けながら、研削面1の面角度を同じに保つのは難しく、切れ刃2と研削面1とが水平面である関係は壊れてしまいやすい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は手持ち式研削具等の構成で、手の感覚などに頼らざるを得なかった切れ刃の面角度、並びにそこに当てる研削具研削面の面角度を、反射光を利用して明視的に調整できることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
被研削物3の切れ刃2はそれ自体が光を反射するので、切れ刃2による光源の反射光から切れ刃2の面角度が明視できる。
【0017】
本発明による研削具は、研削面1の裏側にそれと平行面である鏡面11を設けているので、鏡面11よる前段と同じ光源の反射光から研削面1の面角度も明視でき、切れ刃2の面角度に合致するように調整出来る利点がある。
【0018】
重ねて鏡面11よりの反射は、研削作業中でも継続的に確認できるので、研削面1の面角度は適切に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】課題を説明する斜視図である。
図2】手動研削具の上平面図である。
図3】手動研削具の正側面図である。
図4】手動研削具の下平面図である。
図5】回転研削具の上平面図である。
図6】回転研削具の正側面図である。
図7】回転研削具の下平面図である。
図8】手動研削具の使用方法斜図である。
図9】Y軸Z軸平面(A-A‘)断面図である。
図10】X軸Z軸平面(B-B‘)断面図である。
図11】光源装置の上平面図である。
図12】光源装置の正側面図である。
図13】光源装置の左側面図である。
図14】光源装置の下平面図である。
図15】光源装置の(C-C‘)断面図である。
図16】回転研削具の使用方法斜図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
反射光によって面角度を明視的にするために、研削面1の裏側にそれと平行面になるように、鏡面11を取り付けた。補助具として反射光の光源を得るものとしての光源装置19を加えての構成である
【実施例0021】
手動研削具10は、特許文献1に似た手持ち式の研削器具で図2図4に図示する。手動研削具10の表側は研削面1である。その裏側には研削面1と平行面である鏡面11を設けている。持ち手9によって把持し、図8のように切れ刃2に当てて摺動させる。
【実施例0022】
回転研削具15は、特許文献2に似た手持ち式の研磨・研削用グラインダで図5図7に図示する。本体ケース内13にモーターを内蔵し、その駆動でディスク14を回転させる。本体ケース13等に鏡面11を研削面1の裏側に当たる位置で、研削面1と平行面になるように設けている。持ち手9によって把持し、図16のように切れ刃2に当てて回転させる。
【実施例0023】
光源装置19は、特許文献3に似た眼鏡取り付け式の照明装置で、図11図15に図示する。前方に光を発する光源34を十数ミリメートル程の間隔で左右に2個並べ、左右光源中心の空間を光源34の裏方向から、作業者が目視可能39にしたものである。前方以外には光が漏れぬように光源34をフード37で覆う。支持枠38で光源34を固定する。バネ36等で眼鏡等26に着脱可能で、眼鏡等26を介して作業者の利き目23側に着用する。
【0024】
この光源装置19の発光に要する電力は、配線35を長くする等で外部から供給するか、小型電池を眼鏡等26に装着し供給する。
【0025】
光源装置19を伴った構成の使用方法について説明する。図8においてX軸16Y軸17Z軸18は切れ刃2上の研削個所20を原点とし。Z軸18が作業者の利き目23の中心を通る3次元直交座標右手系を表している。
【0026】
光源装置19の左右の光源34は、作業者の左右の目を結ぶ線並びにX軸16と平行になり、作業者の頭頂方向がY軸17の正方向になる様着用する。
【0027】
刃幅の方向22をおおむねX軸16方向に、切れ刃の幅方向21をおおむねY軸17方向に向けて被研削物3を固定するが、この時点では正確には一致していないものとする。
【0028】
切れ刃方向の調整角度24を動かして、切れ刃の幅方向21をY軸17に一致させるためには、左右の光源の切れ刃による鏡像28が、2つ同時にX軸16上に目視できるよう調整する(図9)。また研削具の研削面1を重ねてY軸17に一致させる場合でも、光源の鏡面による鏡像位置29を2つ同時にX軸16上に目視できるよう調整する。
【0029】
刃幅方向の調整角度25では、それを動かし刃幅の方向22をX軸16に一致させるためには、左右の光源の切れ刃による鏡像28の中心が、Y軸17上に目視されよう調整する(図10)。研削具の研削面1を重ねてX軸16に一致させる場合でも、左右の光源の鏡面よる鏡像29の中心がY軸17上に目視されるよう調整する。
【0030】
図9図10は縦横の寸法比を説明用に誇張している。光源の鏡面による鏡像29が、光源の切れ刃による鏡像28より研削具の厚さの2倍32の長さだけ浅いので、図10では視角度の差33が生じ、左右の鏡像の中心をY軸17上に合わせることになる。
【0031】
前6段から前段までの手順により、被研削物3の切れ刃の方向21と刃幅の方向22とをY軸17およびX軸16に合わせ固定した後、手動研削具10もしくは回転研削具15を手に持ち、研削面1を被せて、同じ手順でそれらの研削面1をY軸17およびX軸16に合わせる。
【0032】
その後光源の切れ刃による鏡像28と、光源の鏡面による鏡像29の左右の中心位置とが、ずれないように確認しながら、研削面1をY軸17方向に摺動、もしくはディスク14を回転させれば、適切な角度を保持しながらの効率的な研削が実現できる。
【実施例0033】
次の2つのケースでは光源装置19を併用せずに、手動研削具10並びに回転研削具15は使用できる。
【0034】
その1は、光源装置19以外の光源と切れ刃2との距離が、研削具の厚さの2倍32に比べて、十分に大きい場合である。図10によればこの場合、視角度の差33は使用上問題ない程度に小さくなるので、光源の切れ刃による鏡像28と光源の鏡面による鏡像29とを重ねても実用上使用可能である。
【0035】
その2は研削具の厚さ12が十分に薄い場合である。これも前者と同一の理由で視覚度の差33は小さくなり光源装置19以外の光源が使用可能である。
【0036】
光源装置19を使用しない場合の使用方法は、切れ刃2による一般光源の鏡像が、X軸16方向でもY軸17方向でも、研削個所20で目視できるように保持もしくは固定の状態を調整する。
【0037】
次に視線と被研削物3とを動かさずに、手動研削具10または回転研削具15を手に持ち、研削面1を被せて、鏡面11による鏡像が研削個所20に、重なるように手動研削具10または回転研削具15の当て方を調整する。
【0038】
切れ刃からと鏡面からとの鏡像の中心位置がずれないように確認しながら、手動研削具10をY軸17方向に摺動、もしくは回転研削具15のディスク14を回転させれば、適切な角度を保持しながらの効率的な研削が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
非熟練者でも精度の高い研削が出来るので、今まで刃物砥ぎをあきらめていた消費者層の使用が期待される。裏側に鏡面を取り付けただけの研削具と、簡単な光源装置との簡易な器具構成で安価に実現できる。携帯性が良く、作業台等が無い場所でも使用できるので、刃物を使用する屋外現場等での使用も見込まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 研削面
2 切れ刃
3 被研削物
4 砥ぎ角
5 切れ刃の幅
6 刃幅
7 刃先
8 一般的研削具
9 持ち手
10 手動研削具
11 鏡面
12 研削具の厚さ
13 本体ケース
14 ディスク
15 回転研削具
16 X軸
17 Y軸
18 Z軸
19 光源装置
20 研削個所
21 切れ刃の方向
22 刃幅の方向
23 作業者の利き目
24 切れ刃方向の調整角度
25 刃幅方向の調整角度
26 眼鏡等
27 光の軌跡
28 光源の切れ刃による鏡像
29 光源の鏡面による鏡像
30 光源と切れ刃の距離
31 光源と鏡面の距離
32 研削具の厚さの2倍
33 視覚度の差
34 光源
35 配線
36 バネ
37 フード
38 支持枠
39 目視可能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16