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特開2023-165693テルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165693
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】テルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20231110BHJP
   C30B 29/28 20060101ALI20231110BHJP
   C30B 15/36 20060101ALI20231110BHJP
   G02F 1/09 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G02B27/28 A
C30B29/28
C30B15/36
G02F1/09 501
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076816
(22)【出願日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】202210491317.4
(32)【優先日】2022-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202221087099.X
(32)【優先日】2022-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210967175.4
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521017642
【氏名又は名称】山東大学
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.17923, Jingshi Road, Lixia District Jinan, Shandong 250061, China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】付 秀偉
(72)【発明者】
【氏名】賈 志泰
(72)【発明者】
【氏名】陶 緒堂
【テーマコード(参考)】
2H199
2K102
4G077
【Fターム(参考)】
2H199AA02
2H199AA12
2H199AA23
2H199AA48
2H199AA72
2H199AA92
2K102AA27
2K102BA00
2K102BB05
2K102BC09
2K102BD01
2K102CA28
2K102DD08
4G077AA02
4G077AB02
4G077BC25
4G077CF10
4G077EC04
4G077EC05
4G077EC07
4G077ED06
4G077EG02
4G077GA03
4G077HA01
4G077HA12
4G077PB04
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】本発明は、テルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータに関し、光路に沿って順番に設けられた第1の偏光板と、磁気コイル及び磁気コイル中に設けられた光磁気結晶を含むファラデー回転子と、第2の偏光板とを含み、前記光磁気結晶は、結晶分子式がTbAlGa5-x12(1.75≦x<5)であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶である。
【効果】本発明のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、熱消磁効果を大幅に低下させ、高出力下で適用性能が劣化する状況を効果的に改善することができ、デバイスの小型化の点でも、適用潜在力が高い。そして、コスト的にも安価であり、商業的に極めて有利である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路に沿って順番に設けられた第1の偏光板と、磁気コイル及び磁気コイル中に設けられた光磁気結晶を含むファラデー回転子と、第2の偏光板とを含み、前記光磁気結晶は、結晶分子式がTbAlGa5-x12(1.75≦x<5)であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶である、
ことを特徴とするテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項2】
前記光磁気結晶は、結晶分子式がTbAlGa5-x12(3≦x<5)であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項3】
前記光磁気結晶の光路方向の表面には、反射防止膜が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項4】
前記光磁気結晶は、<111>方向の結晶である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項5】
前記光磁気結晶の熱膨張係数が8.48×10-6/Kより小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項6】
前記ファラデー回転子の外形は、円筒形或いは直方体である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項7】
前記ファラデー回転子のファラデー偏向角が30°~60°である、
ことを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項8】
前記ファラデー回転子のファラデー偏向角が45°である、
ことを特徴とする請求項7に記載のテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータ。
【請求項9】
高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶であって、分子式がTb3AlxGa5-xO12、1.75≦x<5であることを特徴とする、3≦x<5であることを特徴とする。
【請求項10】
前記高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶は直径が≧5 mmであること;
好ましくは、前記高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶は一致溶融特性を有すること;
好ましくは、前記高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶はフィールド定数が>45 rad m-1-1 @1064nmであることを特徴とする請求項1に記載の高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶。
【請求項11】
溶融法を用いて成長させ、まず、高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の種結晶を溶融体の中に静置し、溶融体をすべてガーネット純相に転換させることを誘導し、その後、種結晶を溶融体液面から抽出し、正常な結晶成長プログラムに入ることを含む請求項9に記載の高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の製造方法。
【請求項12】
前記溶融体法は溶融体引き上げ法であることを特徴とする請求項11に記載の高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の製造方法は、ステップは以下の通りである:
(1)多結晶材料の合成
原料Tb4O7、Ga2O3、Al2O3を化学量論比で秤量し、その上でGa2O3を1%~3%過剰にさせ、化学量論比で得られたGa2O3の質量を基準にして、固相焼結法または液相法を用いて高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の多結晶材料を合成する;
(2)結晶成長
得られた多結晶材料をイリジウム金るつぼに入れ、引上げ炉に入れ、真空引きし、保護ガスを充填し、昇温して多結晶材料を溶融させ、溶融体が十分に混合されて均一になったら、まずTAGG種結晶を溶融体に静置し、その後種結晶を溶融体液面から抽出し、結晶成長を開始させる。引き上げ速度が0.1-5mm/hで、回転速度が1-50rpmで、結晶を所望のサイズまで成長させたら、結晶を抽出し、5-100℃/hの降温速度で室温まで低下させる。
【請求項13】
ステップ(1)におけるTb4O7、Ga2O3、Al2O3の純度が99.999%であること;
好ましくは、ステップ(1)において固相焼結法を用いて多結晶材料を合成することを特徴とする請求項12に記載の高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の製造方法。
【請求項14】
ステップ(1)における固相焼結法による多結晶材料の焼結温度が1300~1500℃で、焼結時間が10~30時間であることを特徴とする請求項12に記載の高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の製造方法。
【請求項15】
ステップ(2)で充填される保護ガスがアルゴンガスであること;
好ましくは、ステップ(2)において結晶成長に用いられる種結晶が<111>配向種結晶であること;
好ましくは、ステップ(2)において結晶を成長させる際の引上げ速度が0.5-2mm/hで、回転速度が10-20rpmであること;
好ましくは、ステップ(2)において結晶を成長させる際の降温速度が40~60℃/hであることを特徴とする請求項12に記載の高純度アルミニウムテルビウムアルミニウムガリウムガーネット結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータに関し、光学結晶デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信技術(5G通信、光ファイバ通信等)は、高速化、高精度化、大容量化に向けて急速に発展しており、高出力レーザーは、軍事産業などの分野における発展の必要により、レーザー出力も高まっている。ファラデー光磁気アイソレータは、レーザーシステムの基本素子として、反射光を効果的に分離してフロントエンドシステムを保護し、レーザー光の一方向伝送を確保し、光路の安定性を向上させる。ファラデー光磁気アイソレータは、非可逆受動デバイスであり、光ダイオードとも呼ばれ、主に光磁気材料のファラデー効果を利用して、光の一方向伝送のみを可能にするものであり、レーザーシステムにおける光の一方向伝送を確保でき、反射光による不安定な振動を低減し、増幅器システムにおける寄生振動或いはレーザーダイオードにおける周波数の不安定を防止することができる。したがって、光アイソレータは、光源と他の光学部材との間に配置されて使用されることが多い。
【0003】
光アイソレータは、一般に、入射光側に位置する偏光子と、光磁気材料(例えばガラス、セラミック、結晶材料)と、磁石或いはコイルからなるファラデー回転子と、出射光側に位置する検光子とからなる。入射光方向に平行な磁界を印加し、光が光磁気材料を通過する際に、その偏光方向が偏向される。光磁気材料の特性に応じて、ファラデー回転子を光の偏向角が45°になるように調整し、その後偏光子及び検光子の位置を調整することができ、光が順方向から入射する場合、光は検光子を正常に通過することができる。光の偏光方向が入射光の方向と無関係であるため、光が逆方向から入射する場合、光はファラデー回転子を透過した後、その偏光面は偏光子の偏光方向と90°をなし、即ち光は偏光子を通過できず、逆方向分離の効果を奏した。
【0004】
光アイソレータの性能は、根本的に、光アイソレータの最も重要な部分としての光磁気材料により決定される。光磁気結晶は、光磁気ガラス及び光磁気セラミックに比べ、その高いベルデ定数、高い透過率、高い熱的性能、高いレーザー損傷閾値、低い温度係数のために、非常に広く商業的に適用され、高出力の適用の点においても非常に大きな利点を有する。レーザー出力が向上し続けるのに伴い、アイソレータの高出力下での使用性能が劣化しやすく、高出力下での使用に適する光アイソレータをマッチングする必要がある。デバイスの性能劣化の根本的な原因は、材料の熱吸収による熱消磁効果のせいで分離度が低下することであり、デバイス口径を大きくし、材料の長さを小さくし、材料熱的性能を向上させることにより、材料の熱消磁効果を効果的に低減することができる。立方晶系に属する光磁気結晶は、光学性能や熱的性能がよく、さらに、対称性が高く、温度係数が小さく、構造の安定性がよいという特徴を有し、そのため、光磁気アイソレータに広く適用されている。TbGa12(TGG)及びTbScAl12(TSAG)は、400~1100nm(470~500nmを含まない)波長範囲内で、現在のどころ商業価値が最も大きく、適用が最も広い光磁気結晶である。しかし、TGG結晶には、成長過程において、Gaが揮発しやすい問題及び螺旋成長が発生しやすい問題等が依然として存在する。TSAG結晶はTGGに比べ、ベルデ定数が約20%高く(ファラデー回転角θ=VHLであり、ベルデ定数Vが大きいほど、同じ回転角の取得に必要な材料の長さが小さくなる)、吸収係数が約30%低く、熱的性質もTGGよりも優れているため、高出力光アイソレータを製造するのに理想的な材料であるが、TSAG結晶は、成長及び加工中に割れやすく、且つSc元素が高価であるため、TSAG結晶の適用が制限されている。TAG結晶は、性能が最も優れているものであるが、不均一な溶融の特性を有するため、汎用の溶融法(例えば引き上げ法、エッジ定義膜フィード成長法、ブリッジマン法等)を使用して適用レベルサイズの単結晶に成長させることが難しく、大規模生産が不可能であるため、今のどころは、使用価値がない。CN102485975Aはテルビウムドープガーネット(TGG)磁気光学結晶の引き上げ成長方法を開示し、アルミニウム添加TGG(Tb3Ga5-xAlxO12,x=0~0.5)、鉄添加TGG(Tb3Ga5-xFexO12,x=0~0.5)またはアルミニウムと鉄添加TGG(Tb3Ga5-x-yAlxFeyO12,x+y=0~0.5)磁気光学結晶を成長させ、結晶のサイズがTAG結晶より数倍高い。また、国内の福州大学はTAGG単結晶におけるアルミニウム含有量をさらに高めたが、置換比率が34.2%にすぎない場合、結晶の内部に欠陥が多く、結晶の品質が理想的ではない(W. Zhang, F. Guo, J. Chen, Journal of Crystal Growth, 306, 2007, 195-199)。総じて言えば、TAGG結晶は優れた磁気光学特性を持っているが、現在報道されているTAGG結晶におけるアルミニウム含有量が比較的に低く(<35%)、成分におけるアルミニウム含有量がさらに増加すると、結晶成長が非常に難しく、現在、高純度アルミニウムTAGG単結晶(アルミニウム含有量は35%より高い)に関わる報道はまだない。
【0005】
したがって、大きいベルデ定数を有し、材料の長さを短くすることができ、よい熱的性質及び低い吸収係数、良好な成長特性、低い製造コストを有する光磁気結晶を探し出すのが急務となっている。当該結晶をファラデー回転子に製造すると、デバイスの小型化及び高出力適用のニーズを満たすことができ、優れた性能を持つファラデー光磁気アイソレータを得ることができる。
【0006】
そのため、本発明を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術における欠点に対して、400~1100nm(470~500nmを含まない)波長帯域は、優れた光磁気性能、熱学性能、光学性能を有するテルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータを提供する。そして、光磁気結晶は、生産コストが低く、成長難易度が小さく、それにより製造されるファラデー回転子により、アイソレータのサイズを効果的に小さくし、熱消磁効果が低下し、デバイスの分離度を高め、光磁気アイソレータの小型化及び高出力用途のニーズを満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的解決手段は、下記のとおりである。
【0009】
テルビウム・アルミニウム・ガリウム・ガーネット光磁気結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータであって、
光路に沿って順番に設けられた第1の偏光板と、磁気コイル及び磁気コイル中に設けられた光磁気結晶を含むファラデー回転子と、第2の偏光板とを含み、前記光磁気結晶は、結晶分子式がTbAlGa5-x12(1.75≦x<5)であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶である。
【0010】
本発明によれば、好ましくは、前記光磁気結晶は、470~500nmを含まない400~1100nm波長帯域範囲内で透過率が80%以上である。
【0011】
本発明によれば、好ましくは、結晶分子式がTbAlGa5-x12(3≦x<5)であり、TAGGと略称される。当該結晶は、立方晶系に属し、空間群はIa-3d(230)である。
【0012】
本発明によれば、好ましくは、前記光磁気結晶の光路方向の表面には、反射防止膜が設けられている。
【0013】
本発明によれば、好ましくは、前記光磁気結晶は、<111>方向の結晶である。
【0014】
本発明によれば、好ましくは、前記光磁気結晶の熱膨張係数は、8.48×10-6/Kより小さい。
【0015】
本発明によれば、好ましくは、前記ファラデー回転子の外形は、円筒形或いは直方体である。
【0016】
本発明によれば、好ましくは、前記ファラデー回転子のファラデー偏向角は、30°~60°であり、最も好ましくは45°である。
【0017】
本発明に使用されるTAGG結晶は、室温でベルデ定数がTGGの1.1~1.3倍であり、同じ条件で、TAGG結晶が同じファラデー偏向角を取得するのに必要なサンプルのサイズが小さくなり、熱消磁効果を効果的に緩和することができる。TAGG結晶は、光学研磨或いはコーティングの後に使用する必要があり、研磨レベル及びコーティングレベルが高いほど、アイソレータを通過する光の損失が少なくなる。
【0018】
本発明に使用されるTAGG結晶は、光磁気性能に異方性があり、<111>方向の光磁気性能が最適であり、アイソレータを製造するとき、<111>方向の結晶が好ましい。
【0019】
本発明に使用されるTAGG結晶は、熱伝導率がTGGの1.1~1.2倍であり、当該結晶で製造されたアイソレータは、熱伝達性能がよりよく、より安定しており、熱消磁効果を効果的に緩和することができる。
【0020】
本発明に使用されるTAGG結晶は、比熱が最高でTGGの1.1~1.2倍になり、当該結晶で製造されたアイソレータは、高出力下で使用される際に、より発熱しにくく、性能がより安定し、熱消磁効果を効果的に緩和することができる。
【0021】
本発明に使用されるTAGG結晶は、熱膨張係数がいずれもTGG(8.48×10-6/K)より小さく、高出力下で使用される際に、結晶の外形がより安定し、当該結晶で製造されたアイソレータは、高出力下で使用される際に、安全性がより高い。
本発明による結晶は、前記高純度アルミニウムTAGG結晶は一致した溶融特性を有し、引き上げ法を用いて単結晶を成長させることができる。
本発明による結晶は、好ましくは、前記高純度アルミニウムTAGG結晶はフィールド定数が>45 rad m-1-1 @1064nmである。
本発明によれば、前記高純度アルミニウムTAGG結晶は溶融法を用いて成長させ。まずTAGG種の結晶を溶融体の中に静置し、溶融体がすべてガーネット純相に転換することを誘導することにより、TAP不純相が結晶成長への干渉を取り消す;その後、種結晶を溶融体液面から抽出し、正常な結晶成長プログラムに入る。
本発明によれば、好ましくは、上記高純度アルミニウムTAGG結晶は溶融引き上げ法を用いて成長させ、ステップが以下の通りである。
(1)多結晶材料の合成
原料Tb4O7、Ga2O3、Al2O3を化学量論比で秤量し、その上でGa2O3を1%~3%過剰にさせ、化学量論比で得られたGa2O3質量を基準にして、固相焼結法または液相法を用いてTAGGガーネット結晶の多結晶材料を合成する;
(2)結晶成長
製造された多結晶材料をイリジウム金るつぼに入れ、引上げ炉に入れ、真空引きし、保護ガスを充填し、昇温して多結晶材料を溶融させ、溶融体が十分に混合されて均一になったら、まずTAGG種結晶を溶融体の中に静置し、その後種結晶を溶融体液面から抽出し、続いて二次下種を行い、結晶成長を開始させる。引き上げ速度が0.1-5mm/hで、回転速度が1-50rpmで、結晶を所望のサイズまで成長させたら、結晶を抽出し、5-100℃/hの降温速度で室温まで低下させる。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(1)におけるTb4O7、Ga2O3、Al2O3の純度が99.999%である。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(1)において固相焼結法を用いて多結晶材料を合成する。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(1)における固相焼結法による多結晶材料の焼結温度が1300~1500℃で、焼結時間が10~30時間である。
本発明の結晶の製造方法によれば、Ga2O3の揮発分解を考慮して、ステップ(1)は配合の時に1%~3%過剰にさせ、Ga2O3を2%過剰にさせ、好ましくは、化学量論比で得られたGa2O3の質量を基準とする。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(2)で充填される保護ガスがアルゴンガスである。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(2)において結晶成長に用いられる種結晶が<111>配向種結晶である。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(2)において結晶を成長させる際の引上げ速度が0.5-2mm/hで、回転速度が10-20rpmである。
本発明の結晶の製造方法によれば、好ましくは、ステップ(2)において結晶を成長させる際の降温速度が40~60℃/hである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は、次のとおりである。
1、本発明のTAGGガーネット結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、一方では、熱消磁効果を大幅に低減し、高出力下でアイソレータの適用性能が劣化する状況を効果的に改善することができ、デバイスの小型化の点でも、適用潜在力が高い。他方では、TAGG結晶が良好な成長特性及び低い製造コストを有するため、本発明のファラデー光磁気アイソレータのコストが低くなり、商業的に極めて有利である。
2、TAG結晶Verdet定数はTGG結晶の約1.3~1.5倍であるが、その不一致溶融の特性のため、大サイズで、高品質の結晶を得ることができず、応用を満たすことができない。本発明の高純度アルミニウムTAGGガーネット結晶は新型磁気光学結晶として、主にTAG結晶に基づいて成分と構造の最適化を行い、その非一致溶融習性を克服し、溶融法を用いて大サイズで高品質の単結晶を成長させることができ、かつTAG結晶に相当する光学、熱学と磁気光学性能を有する。
また、商用化されたTGG結晶と比べると、以下の優位性を持っている:〔1〕Ga2O3の揮発を低減させ、溶融成分の偏析を低減すること。〔2〕高純度アルミニウムTAGG結晶は一貫して溶融し、引き上げ法を用いて成長することができ、且つイリジウム金浮遊物がより少なく、高品質の下種を行いやすく、高品質の単結晶を得ることができること。〔3〕Ga2O3は高価であり、Al2O3は安価であるため、結晶成長のコストを大幅に削減したこと。〔4〕高純度アルミニウムTAGG結晶はTAG結晶の高性能のメリットを結合し、TGG結晶に比べると、磁気光学性能、熱学性能、機械加工性能などの方面で顕著に向上したこと。本発明は引き上げ法を用いて高純度アルミニウムTAGGガーネット結晶を成長させ、製造方法あが科学的で合理的で、大サイズで、高品質の結晶成長を実現でき、成長時間が短く、工程が簡単で、工業化生産を実現しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の光磁気アイソレータの本体構造の模式図である。
図2】本発明の光磁気アイソレータが反射光を分離する模式図である。
図3】本発明における引き上げ法でTAGG結晶を成長させる装置の模式図である。
図4】比較例1におけるTAGG(x=1.5)結晶と実施例3におけるTAGG(x=4)結晶とのベルデ定数の比較図である。
図5】比較例1におけるTAGG(x=1.5)結晶と実施例3におけるTAGG(x=4)結晶との比熱性能の比較図である。
図6】比較例1におけるTAGG(x=1.5)結晶と実施例3におけるTAGG(x=4)結晶との透過率の比較図である。
図7】実施例8で得られたTAGG(x=3)結晶の画像である。
図8】実施例8で得られたTAGG(x=3)結晶を切断・研磨した後のサンプルの画像である。
図9】実施例9で得られたTAGG(x=3.75)結晶の画像である。
図10】得られたTAGG(x=1.5、3、3.75)結晶粉末XRDとTAG結晶の標準回折スペクトルとの照合である。
図11】実施例9で得られたTAGG(x=3.75)結晶、比較例2で得られた純粋なTGG(x=0)結晶、及び比較例3で得られたTAGG(x=1.5)の結晶のベルデ定数である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施例を参照しながら本発明についてさらに説明し、以下の実施例は、本発明をより明確に説明するために用いられ、保護範囲は、実施例を含むが、実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例におけるTAGG結晶を引き上げ法で成長させ、引き上げ法でTAGG結晶を成長させる装置は、図3に示されるように、坩堝10、前記坩堝10の周囲に設けられた誘導加熱コイル11、及び前記坩堝10の上方に設けられた種晶棒6を含む。
【0026】
引き上げ法で結晶を成長させるステップは、下記のとおりである。
【0027】
(1)固相焼結法での多結晶材料の合成
原料Tb、Al、Gaの純度は99.99%である。化学量論比がTbAlGa5-x12(1.75≦x<5)となるように原料を秤量し、Gaの揮発と分解を考慮して、材料を配合する際にGaを2wt.%過剰にし、原料を混合タンクに入れて十分に混合し、混合時間は48hであり、均一に混合した材料を金型に入れて円筒状に押し、コランダム坩堝に入れ、焼結炉中で、1350℃で36h焼結すると、TAGGの多結晶材料を取得できる。
【0028】
(2)引き上げ法で結晶が成長
焼結済みの多結晶材料をイラウリタ(iraurita)坩堝10に入れ(坩堝10はすでに、出来合いの温度場に置かれている)、中心を合わせ、温度場をセットし、1×10-4Paに真空引きし、アルゴンガスを1大気圧になるまで充填し、中間周波数の誘導加熱コイル11でイラウリタ坩堝10を加熱し、プログラム昇温により原料が溶融物9にゆっくり溶融し、10~20℃ぐらい過熱にすることにより、原料を0.5h十分に反応させてから、温度を調整して、方向性種晶7を入れ、種晶7を溶融物9中に1時間静置し、その後に種晶7を引き出し、再度種晶を入れ、種晶7の直径が2~3mmに細くなると、直径制御プログラムに入って、拡径成長段階、等径成長段階、終了段階などを行う。成長中に、引上げ速度は2mm/hであり、回転速度は10rpmであり、結晶8が設定されたサイズに成長すると、結晶8を引き上げて剥ぎ取り、温度を40℃/hの降温速度で室温に降温し、結晶8を炉から取り出す。
【0029】
実施例1
図1に示すように、TAGG(x=4.95)結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、
光路に沿って順番に設けられた第1の偏光板1と、磁気コイル5及び磁気コイル5に設けられた光磁気結晶4を含むファラデー回転子2と、第2の偏光板3とを含み、前記光磁気結晶4は、結晶分子式がTbAl4.95Ga0.0512であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶である。
【0030】
前記光磁気結晶4は、<111>方向の結晶であり、前記ファラデー回転子2の外形は円筒形である。前記光磁気結晶4は、470~500nmを含まない400~1100nm波長帯域の範囲内で透過率が80%以上である。前記光磁気結晶4の光路方向の表面には、反射防止膜が設けられている。
【0031】
(1)結晶加工
TAGG(x=4.95)結晶に対して方向性加工を行って、サイズが適切な<111>方向の結晶を取得し、その後、研磨或いはコーティングを行って、光磁気結晶4を得る。
【0032】
(2)アイソレータの製造
光磁気結晶4と磁気コイル5とを組み合わせてファラデー回転子2を製造し、磁界或いは外形設計を変更することにより45°のファラデー回転子を取得でき、その後、第1の偏光板1や第2の偏光板3と組み合わせると、ファラデー光磁気アイソレータを取得できる。
【0033】
本発明の動作原理は次のとおりである。
図1、2に示すように、光が順方向に伝播されるとき、光は、第1の偏光板1を通過して直線偏光となり、その後、ファラデー回転子2を通過して45°に偏向されてから、第2の偏光板2(第1の偏光板1と第2の偏光板3とがなす角度は45°である)を通過し、光が逆方向から通過するとき、第2の偏光板3及びファラデー回転子2を通過し、直線偏光は45°に偏向され(直線偏光の偏向方向は、光の伝播方向と無関係である)、この場合、2回の偏向角の重畳により、逆方向から通過する直線偏光は、第1の偏光板1の光通過方向と90°をなし、反射光は第1の偏光板1を通過できず、即ち逆方向分離の効果が達成された。
【0034】
実施例2
TAGG(x=4.5)結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、構造が実施例1に示すとおりであり、異なる点は、
前記光磁気結晶4は、結晶分子式がTbAl4.5Ga0.512であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶であることである。
【0035】
実施例3
TAGG(x=4)結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、構造が実施例1に示すとおりであり、異なる点は、
前記光磁気結晶4は、結晶分子式がTbAlGaO12であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶であることである。
【0036】
実施例4
TAGG(x=3)結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、構造が実施例1に示すとおりであり、異なる点は、
前記光磁気結晶4は、結晶分子式がTbAlGa12であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶であることである。
【0037】
実施例5
TAGG(x=1.75)結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、構造が実施例1に示すとおりであり、異なる点は、
前記光磁気結晶4は、結晶分子式がTbAl1.75Ga3.2512であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶であることである。
【0038】
比較例1
TAGG(x=1.5)結晶に基づくファラデー光磁気アイソレータは、構造が実施例1に示すとおりであり、異なる点は、
前記光磁気結晶4は、結晶分子式がTbAl1.5Ga3.512であるテルビウム・アルミニウム・ガリウムガーネット光磁気結晶であることである。
【0039】
試験例1
比較例1でTAGG(x=1.5)により得られたファラデー光磁気アイソレータに比べ、実施例3におけるTAGG結晶は、Alの含有量が高く、ベルデ定数が大きく、熱学性能や光学性能がよりよく、同じ条件でより大きいファラデー偏向角をより容易に取得し、高出力下で適用されるとき、熱消磁効果がより弱い。45°のファラデー回転子を製造したい場合、磁界強度が一致する状況で、実施例3におけるファラデー回転子のサイズがより小さい。
【0040】
図4図5図6は、それぞれTAGG(x=1.5)及びTAGG(x=4)結晶のベルデ定数、透過率及び比熱の性能比較図である。図4、5、6から分かるように、実施例3における光磁気結晶4のベルデ定数は、比較例1より大きく、製造されたファラデー光磁気アイソレータの熱学性能や光学性能がよりよい。
実施例6:TAGG(x=1.75)結晶Tb3Al1.75Ga3.25O12成長
(1)固相焼結法による多結晶材料の合成
原料Tb4O7、Ga2O3、Al2O3の純度は99.99%である。化学量論比Tb3Al1.75Ga3.25O12に基づいて原料を秤量し、Ga2O3の揮発分解を考慮し、原料を配合する時Ga2O3は2wt.%過剰にさせ、原料を混合槽に入れて十分に混合させ、混合時間が48hで、均一に混合された材料を金型に入れて円柱状に圧製し、剛玉るつぼに入れ、焼結炉の中で1350℃で36h焼結すると、TAGG(x=1.75)の多結晶材料を得ることができる。
(2)引き上げ法による結晶成長
焼結した多結晶材料をイリジウム金るつぼに入れ(るつぼはすでに出来上がった温場に置かれている)、中心を調整し、温場を取り付け、1×10-4Paまで真空引きし、アルゴンガスを大気圧まで充填し、中周波誘導加熱イリジウム金るつぼを用い、プログラムの昇温により原料を徐々に溶融させ、10-20℃を少し過熱して原料を0.5h十分に反応させ、その後温度を調節し、配向種結晶を入れ、種結晶を溶融体の中で1時間静置させた後、直径を2-3mmに収めると、直径制御プログラムに入って肩置き、等径、仕上げなどの段階を行う。成長中の引張速度は2mm/hで、回転速度は10rpmであり、結晶が設定サイズまで成長し、結晶を抽出し、40℃/hの降温速度で室温まで低下し、結晶が出来上がる。
実施例7:TAGG(x=2)結晶Tb3AlGaO12成長
実施例6で説明したように、異なる点は以下の通りである:
(1)固相焼結法による多結晶材料の合成
原料を化学量論比Tb3AlGaO12で秤量すると、TAGG(x=2)多結晶材料が得られる。
(2)引き上げ法による結晶成長
成長中の回転速度は15rpmで、降温速度は40℃/hである。
実施例8:TAGG(x=3)結晶Tb3AlGa2O12成長
実施例6で説明したように、異なる点は以下の通りである:
(1)固相焼結法による多結晶材料の合成
化学量論比Tb3AlGa2O12に基づいて原料を秤量すると、TAGG(x=3)多結晶材料が得られる。
(2)引き上げ法による結晶成長
成長中の引張速度は1mm/hで、回転速度は30rpmで、降温速度は40℃/hである。
実施例9:TAGG(x=3.75)結晶Tb3Al3.75Ga1.25O12成長
実施例6で説明したように、異なる点は以下の通りである:
(1)固相焼結法による多結晶材料の合成
化学量論比Tb3Al3.75Ga1.25O12に基づいて原料を秤量すると、TAGG(x=3.75)多結晶材料が得られる。
(2)引き上げ法による結晶成長
成長中の引張速度は1mm/hで、回転速度は10rpmで、降温速度は40℃/hである。
実施例10:TAGG(x=4.5)結晶Tb3Al4.5Ga0.5O12成長
実施例6で説明したように、異なる点は以下の通りである:
(1)固相焼結法による多結晶材料の合成
化学量論比Tb3Al4.5Ga0.5O12に基づいて原料を秤量すると、TAGG(x=4.5)多結晶材料が得られる。
(2)引き上げ法による結晶成長
成長中の引張速度は0.5mm/hで、回転速度は30rpmで、降温速度は40℃/hである。
実施例11:TAGG(x=4.9)結晶Tb3Al4.9Ga0.1O12成長
実施例6で説明したように、異なる点は以下の通りである:
(1)固相焼結法による多結晶材料の合成
化学量論比Tb3Al4.9Ga0.1O12に基づいて原料を秤量すると、TAGG(x=4.9)多結晶材料が得られる。
(2)引き上げ法による結晶成長
成長中の引張速度は0.3mm/hで、回転速度は30rpmで、降温速度は60℃/hである。
比較例2:純TGG(x=0)結晶成長
実施例6で述べたように、成分の中にアルミニウムを含まず、引き上げ法を用いてTGG結晶を成長させる。
比較例3:TAGG(x=1.5)結晶成長
実施例6で述べたように、異なるのは、結晶成分におけるアルミニウム含有量を減少させることで、すなわち:x=1.5。
試験例2
実施例9で得られたTAGG(x=3.75)結晶の写真を図4に、比較例3の結晶の写真を図9に示す。
試験例3
実施例9で得られたTAGG(x=3.75)結晶と比較例2で得られたTGG(x=0)結晶及び比較例3で得られたTGG(x=1.5)結晶の磁気光学特性を図11に示す。
図11の比較から分かるように、本発明の高純度アルミニウムTAGG結晶のフィルダー定数は比較例1及び比較例2の結晶より明らかに優れている。そのため、本発明のTAGG結晶は、アルミニウム含有量を一定の範囲(アルミニウム:1.75≦x<5)にコントロールする必要があり、磁気光学性能が優れ、重要な応用将来性を有するTAGG結晶を製造することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…第1の偏光板、2…ファラデー回転子、3…第2の偏光板、4…光磁気結晶、5…磁気コイル、6…種晶棒、7…種晶、8…結晶、9…溶融物、10…坩堝、11…誘導加熱コイル。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】