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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165741
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】物
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
B60R16/02 620Z
B60R16/02 621A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143392
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2021022294の分割
【原出願日】2016-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃
(57)【要約】
【課題】車両内の信号を送信するためのアンテナからの信号を分岐させるための物を提供すること。
【解決手段】中継ケーブル装置1は第一のコネクタ2と第二のコネクタ3と、この間を中継する中継ケーブル4と、中継ケーブル4から分岐される分岐ケーブル5を備える。中継ケーブル装置1は車両内のアンテナに単独で接続させるものである。アンテナのアンテナ側コネクタに第一のコネクタ2を接続し、ケーブル側コネクタに第二のコネクタ3を接続する。中継ケーブル4から分岐ケーブル5で分岐された信号が車両内の車両中継機に伝達される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられたアンテナが有するアンテナ側コネクタに嵌めることが可能に構成された第一のコネクタと、
前記車両に配置された車両制御装置と電気的に接続されるケーブルに設けられたケーブル側コネクタを嵌めることが可能に構成された第二のコネクタと、
前記第一のコネクタと前記第二のコネクタの間で信号を中継する中継線と、
を有し、
前記第二のコネクタは、
前記アンテナ側コネクタと異なる形状であり、かつ前記第一のコネクタと同じ形状のケーブル側コネクタを嵌めることが可能に構成される
を備える装置。
【請求項2】
前記第二のコネクタの端子の数とその端子間ピッチは、前記アンテナ側コネクタと同じであり、
前記第二のコネクタが有する、前記ケーブル側コネクタを嵌めることを可能にするために案内する案内部の形状は、前記アンテナ側コネクタが有する案内部の形状と異なる
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二のコネクタは、前記アンテナ側コネクタと同じ形状の接続部形状である
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記車両制御装置は、前記車両のエンジンの遠隔始動を実現するための制御を行うものであり、
前記信号を取得するための分岐線であって、前記車両制御装置と所定の携帯機との間で前記遠隔始動に関する信号を中継する車両中継機と電気的に接続される分岐線を有する
請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば信号を伝達する物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内で無線を介して遠隔操作が行われている。このような技術として特許文献1を一例として示す。
特許文献1は車両用遠隔始動装置に関するものである。特許文献1では、次のように遠隔操作がされている。
まず、車両1の運転者が携帯機16を携帯して、車両1から離れた位置でリモコン34を操作して、リモコン34からリモコン始動信号を無線送信させる。これにより、車載機30の無線送受信部32は、このリモコン始動信号を受信すると、車両制御部4にエンジン始動信号SSW2を出力する。車両制御部4はエンジン始動信号SSW2を受けて、照合制御部6にエンジン始動許可の問い合わせをし、照合制御部6は無線送受信部18からリクエスト信号を送信する。
【0003】
車載機30はこのリクエスト信号を無線送受信部32で受信すると、リクエスト信号を増幅してリモコン34に転送する。リモコン34の無線送受信部36はリクエスト信号を受信すると、このリクエスト信号を携帯機16の無線送受信部24に転送する。携帯機16はリクエスト信号を受信すると、暗証コードを含む暗証コード信号を無線送受信部24あるいはトランスポンダ部26から送信する。リモコン34はこの暗証コード信号を受信すると、暗証コード信号を増幅して無線送受信部36から無線送信する。
車載機30はこの暗証コード信号を受信すると、暗証コード信号を無線送受信部32あるいはトランスポンダ部35から照合制御部6の無線送受信部18あるいはトランスポンダ部20に送信する。照合制御部6は暗証コード信号を受信すると、参照コードと暗証コードとの照合を行う。参照コードと暗証コードとが一致したときに、照合制御部6は車両制御部4に、エンジン始動許可信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-121791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の遠隔操作では車両側から信号を無線送信する場合に受信側となる車載器30は無線送受信部32によって無線で受信する。しかし、この信号を無線で受信する場合には電波に対する無線送受信部32の受信性能が最適になるような位置や方向で設置しなければならない。このため、測定器のインジケータを確認しながら最も受信性能よい位置や方向となるように車載器30を配置する必要がある。しかも、車載器30を配置する場所はどこでもよいわけではないため、車載器30を置くことができ、なおかつ受信性能も確保するということはなかなか困難であってそのような場所を探すには時間もかかるものである。
そのため、発明者は信号の送信を無線によらずに信号を伝達する物をアンテナに接続することで実現するようにした。アンテナからの信号を中継するためにはアンテナとアンテナへの配線の間に信号を分岐させる装置を配置することがよい。信号を分岐させる装置は、例えば中継ケーブル装置を使用することがよい。
中継ケーブル装置は1又は複数の中継ケーブルの両端に一対のコネクタを配置させ、中継ケーブルに分岐ケーブルを接続したものである。中継ケーブル装置はケーブルを接続するアンテナ側のコネクタ間に中継ケーブル装置のコネクタをそれぞれ接続するように介在させて使用する。例えばケーブルの途中に分岐ケーブルを接続させるための簡易コネクターとしてのエレクトロタップを使用することも可能であるが、エレクトロタップのような簡易取り付けでは作業者のスキルによっては作業ミスによる接続不良もありうるためである。
【0006】
尚、アンテナとの有線接続のために中継ケーブル装置を取り付ける際には、次のような課題も例示的に生ずることとなる。
(イ)アンテナから分岐させるためのケーブル経路上のコネクタは中継ケーブル装置を取り付ける位置には目的とするコネクタ以外の他のコネクタ群が配設されていることが多く、目的とするコネクタを探すのに手間取ってしまう。いったいどのコネクタを外せば分岐ケーブルのコネクタが差し込めるのかわかりにくく、例えばあるコネクタを外して分岐ケーブルを差し込もうとして、分岐ケーブルが差し込めない誤ったコネクタを外してしまったことに気づき、また別のコネクタを外してはまた分岐ケーブルの差し込めない誤ったコネクタを外してしまったことに気づくというような問題があった。
(ロ)コネクタ形状に車両メーカー間での共通性がなく、また、同一車両メーカーであっても車種間でのコネクタ形状の共通性に乏しいという問題があった。それはケーブルをどのようにどこのコネクタに中継させるかは車メーカーの違いや車種の違いによって車両の設計における機能の割り付けや、車両の組み立て工程での順序や作業性等に応じて最適化等されるためである。また、ケーブルはまとめてハーネス化するという発想があるため車種によってどうしてもケーブル形状が一定しないからである。
そのため、それらのコネクタに対応させるため車種の違いによって多数の異なる種類の中継ケーブル装置を用意しなければならなかった。そのため、多くの異なる種類のコネクタの製造のための金型を用意しなければならず、そのための金型コストがかかってしまう。また、作業者は多くの異なる種類の中継ケーブル装置において中継ケーブルをコネクタへ取り付けるための作業や分岐ケーブルの取り付け等の作業をしなければならず面倒であり、またその際の製造は少ないロットで行わなければならない。そのため結果として中継ケーブル装置の作業コストもかかってしまう。また、多種類の中継ケーブル装置をストックしておかなければならずそのための収容場所の確保も必要となる。
(ハ)中継ケーブル装置を取り付ける位置は多くのコネクタやケーブルが集中することになり、この位置に中継ケーブル装置を取り付けることがスペース容量的に困難である場合がある。
このようにアンテナ用の中継ケーブル装置を装着することについて上記のような課題が生じている一方、アンテナについての現状について様々な車種を発明者が検証した結果、車両の制御の認証のためのアンテナは現状において車種やメーカーにかかわらず同じものが独占的に供給されていることを発見している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記のような種々の課題に鑑みてなされている。
(1)車両に備えたアンテナから車室内に信号を無線送信し、前記車室内にある携帯機から受信したこれに対する応答信号に基づいて車両の所定の動作を許可するか否かを判定する車両において、前記信号を利用する他のシステムで前記信号を取得するための物であって、前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線に設けられた外部からアクセス可能な最も前記アンテナ寄りの一対のコネクタの一方に嵌め合う第一のコネクタと、他方に嵌め合う第二のコネクタと、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタの間で信号を中継する中継線と、前記信号を取得するための分岐線を備えることがよい。
これによって、例えばアンテナに近い部分の信号を有線によって受信させることができる。また、例えば無線でアンテナから信号を受信する場合と異なり信号を利用する他のシステムの設定に手間取ることもない。
また、上記(イ)の課題に対して、外部からアクセス可能な最もアンテナ寄りの一対のコネクタの位置には他のコネクタ群が配置されにくいため、目的とするコネクタを探したり、コネクタの取り違えが生じにくなる。
また、上記(ロ)の課題に対して、アンテナ独自に設けられているコネクタは共通性があるため、このようなコネクタと嵌め合う第一のコネクタと第二のコネクタであればよく、異なる多種類の「物」を用意する必要がない。
また、上記(ハ)の課題に対して、アンテナ単独で配置されるため、「物」を取り付ける際にスペース的に有利である。
【0008】
ここに「物」は、例えば信号を伝達できる物とするとよく、例えば車両の装置からアンテナに至る配線を分岐する構造物とするとよい。中継線や分岐線は例えばケーブルとするとよく、特に単独で被覆された線体とするとよい。そして、そこに第一のコネクタと第二のコネクタとを取り付けてもよい。中継線や分岐線は例えばプリント基板上に中継線と分岐線が配設されていてもよく、プリント基板上に中継線や分岐線とつながるコネクタを形成するようにしてもよいが、プリント基板を備えずにコネクタ部材と配線部材とから形成すると特によい。特に配線部材は柔軟性を有する素材とするとよい。このようにすれば、車両に残された狭い空き空間、あるいは、異なる車種間で異なる空き空間に、折り曲げて挿入しておくことなどが、容易にできる。
「車両に備えたアンテナから車室内に信号を無線送信し、前記車室内にある携帯機から受信したこれに対する応答信号に基づいて車両の所定の動作を許可するか否かを判定する車両」は、例えば、車両制御装置と車両制御装置と相互に無線通信可能な携帯機との間で無線で信号のやり取りを行うことで車両の制御を行う車両制御システムとすることがよい。車両制御システムでは、例えば車両制御装置に記憶された認証情報と、車両制御装置と相互に無線通信可能な携帯機に記憶された認証情報が所定の認証条件を充足する場合に、車両の制御を行うシステムとすることがよい。「認証情報が所定の認証条件を充足する」として、例えば所定の認証条件が合致したり、認証条件として毎回異なる認証条件をその都度計算して一致させるようにしたりすることがよい。「車両の所定の動作」としては、例えばエンジンのスタートとすることがよい。
「信号を利用する他のシステム」は、例えば、車両制御装置と相互に無線通信可能な携帯機との間で無線で信号のやり取りを行うことで車両の制御を行う車両制御システムにおいて、車両制御装置と携帯機の間での無線通信を中継する中継システムとすることがよい。無線通信を中継する中継システムを構成する機器として、例えば車両側に配置される第一の中継器と携帯機と共に携帯される第二の中継器であることがよい。
「外部からアクセス可能な最も前記アンテナ寄り」の一対のコネクタは、例えば一対のコネクタのアンテナ側のコネクタが、アンテナ本体となるアンテナユニットの一部としてアンテナの筐体から露出されていたり、例えばアンテナの筐体に直接固着されたり、例えば連結物(例えばごく短いケーブル)でアンテナの筐体近傍に支持されている構造であるとよい。例えばアンテナの筐体内部においてアンテナユニットの内部回路と接続されたコネクタが配設されていたとしても、そのコネクタが外部のコネクタと嵌め合うことが不能であれば、ここでいう「最も前記アンテナ寄り」のコネクタとはなり得ないということである。
「配線」は、例えば電気的に接続されていればよく、ケーブルや導線等の導体のみでなく途中に抵抗やコンデンサのような部品が介在されて配線されていてもよい。「中継線」「分岐線」等の他の線についても同様である。
第一のコネクタは例えば前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線に設けられた最も前記アンテナ寄りにある一対のコネクタのうちアンテナ側のコネクタに嵌め合うコネクタとし、第二のコネクタは例えば前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線に設けられた最も前記アンテナ寄りにある一対のコネクタのうち前記車両の装置側のコネクタに嵌め合うコネクタとするとよい。
【0009】
(1-1)車両に備えたアンテナから車室内に信号を無線送信し、前記車室内にある携帯機から受信したこれに対する応答信号に基づいて車両の所定の動作を許可するか否かを判定する車両において、前記信号を利用する他のシステムで前記信号を取得するための物であって、前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線の経路には複数の一対のコネクタを有し、いずれかの一対のコネクタのうち、より配線が少ない一対のコネクタの一方に嵌め合う第一のコネクタと、他方に嵌め合う第二のコネクタと、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタの間で信号を中継する中継線と、前記信号を取得するための分岐線を備えるとよい。
このようにすればより配線が少ない一対のコネクタに「物」を接続することで相対的に配線が多い一対のコネクタに接続する場合に比べて取り付けの際に配線の確認のための作業時間がかからない。より配線が少ない一対のコネクタに適合する第一のコネクタと第二のコネクタは相対的に配線が多い一対のコネクタに接続する場合に比べて大型化せず、製造コストもかからない。
【0010】
(1-2)車両に備えたアンテナから車室内に信号を無線送信し、前記車室内にある携帯機から受信したこれに対する応答信号に基づいて車両の所定の動作を許可するか否かを判定する車両において、前記信号を利用する他のシステムで前記信号を取得するための物であって、前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線の経路には複数の一対のコネクタを有し、
前記複数の一対のコネクタのうち、その一対のコネクタの近傍に前記アンテナに至る配線以外の配線が接続されたコネクタが配置されたコネクタと、その一対のコネクタの近傍に前記アンテナに至る配線以外の配線が接続されたコネクタが配置されてないコネクタとを有し、
その一対のコネクタの近傍に前記アンテナに至る配線以外の配線が接続されたコネクタが配置されてないコネクタの一方に嵌め合う第一のコネクタと、他方に嵌め合う第二のコネクタと、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタの間で信号を中継する中継線と、前記信号を取得するための分岐線を備えるとよい。
このようにすれば、アンテナに至る車両における配線の経路には複数のコネクタがあり、「物」をそれらのうちの、外部からアクセス可能な最も前記アンテナ寄りの一対のコネクタに接続するようにし、アンテナに至る車両における配線の経路の複数のコネクタの最も前記アンテナ寄りではない「物」は接続できないので、多くの種類のコネクタが集まる付近に「物」を接続されることがなく、取り付けるコネクタの選別や取り間違い等の不具合がなくなる。
特に、(1)と(1-2)の構成をいずれも有するような、第一のコネクタ、第二のコネクタ、中継線、分岐線を備えるとよい。より望ましくは、(1)、(1-1)(1-2)の構成をいずれも有するように第一のコネクタ、第二のコネクタ、中継線、分岐線を備えるとよい。
【0011】
(2)前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線には前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタと、最も当該アンテナ寄りではない1又は複数の一対のコネクタがそれぞれ設けられ、前記最も当該アンテナ寄りではないコネクタには前記アンテナに至る配線以外の他の配線が接続され、前記第一及び第二のコネクタは前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りのコネクタに嵌め合うものとすることがよい。
これは、例えば、第一及び第二のコネクタをいずれかの一対のコネクタのうち、より配線が少ない一対のコネクタ側に嵌め合うようにするという発想である。このように「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」にアンテナ材の配線以外の他の配線が一緒に接続されている場合に、この「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」に対して「物」を配置すると多くの問題が生じる。
例えば、「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」には複数の配線が集中するためにこの「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」を見てもどの配線が何のための配線か一見してわからなくなってしまうものである。そのため、まず、取り付けの際に配線の確認のための作業時間が余分にかかってしまう。
また、例えば、複数の配線が接続されるため「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」が大型化する傾向となるため材料コストがかかってしまう。また、例えば、「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」の形状は車種毎で必ずしも統一されているわけではないので車種毎に「最も当該アンテナ寄りではないコネクタ」に集中する配線の種類や数が同じというわけではない。そのためその場合には「物」の第一のコネクタ及び第二のコネクタを製造するための金型の数も多くなってしまい金型コストもかかってしまう。また、例えば、「物」の第一のコネクタ及び第二のコネクタの極数(端子数)に合わせて対応する数の中継線を組み込まなければならず作業コストもかかってしまう。これらのことからも「物」を製造する際の製造コストが大きくなってしまう。また、例えば、多くの種類の「物」を用意する場合にはそれら多種類の「物」をストックする場所も確保しなければならず、それら多種類の「物」からその車種に対応するものを選択する手間もかかることとなる。
一方、第一及び第二のコネクタを外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りのコネクタに嵌めるような構成とすると、上記のような諸問題は生じず、第一及び第二のコネクタの取り付け作業が簡素化され、また第一及び第二のコネクタの製造コストも削減されることとなる。
【0012】
車両においてケーブルの途中にコネクタが配置される理由は次のようなものである。
信号を伝達する物としてのケーブルは、例えばエンジンルーム側とインパネ部分との境界付近、あるいはエンジンルーム側と室内側との境界付近というように区域毎に分けられたその境界位置でコネクタで接続されて経路が構成されている。そのようにケーブルを分断してコネクタで接続しているのは、一般に車両においてケーブルが途中にコネクタなしで目的とする装置まで1本状態で接続させるようにしたのでは、車両製造における組み立て工程上あまりにケーブルの取り回しが悪くなってしまうからである。そのため車両におけるケーブルは一般に途中にコネクタを介して目的とする車両内装置に接続させるようにしている。
また、同種のケーブルは1つのコネクタを介するように束ねられてハーネス化されており、ハーネス毎に異なる複数のコネクタが存在する。そしてコネクタ群が集中する位置は概ね上記境界付近となっている。コネクタ群が集中する位置は一般には車両を組み立てる際にコネクタを接続するためにコネクタ位置に作業者がアクセスがしやすい場所であり、同時に作業者が車両整備や修理においてもアクセスのしやすいことがよいため、経験的にも効率的にもコネクタを配置する場所として適切である。そのため、コネクタ群は例えば助手席の前方下付近等に設けられた格納スペース内に格納されることが多い。
【0013】
(3)前記信号を生成する車両の装置から前記アンテナに至る車両における配線には前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタと、最も当該アンテナ寄りではない1又は複数の一対のコネクタがそれぞれ設けられ、前記最も当該アンテナ寄りではないコネクタの近傍には前記アンテナに至る配線以外の車両内の配線が接続されたコネクタが配置され、前記第一及び第二のコネクタは前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りのコネクタに嵌め合うものとすることがよい。
このような構成であれば、「物」の第一のコネクタと二のコネクタを周囲には他のコネクタがない状態で車両のコネクタに嵌めることができるため、スペース的余裕をもって作業者が作業をすることができる。また、アンテナに至る配線の最も当該アンテナ寄りのコネクタに第一のコネクタと二のコネクタを嵌めることができるため、コネクタの取り違いが生じることもない。
一方、もし最も当該アンテナ寄りではない一対のコネクタに対して「物」を配設する場合では、例えば、本来取り付ける予定であるコネクタとその近傍の他のコネクタとの峻別をする作業が必要であるし、そのための無駄な作業時間がかかってしまう。また、もし取り付け領域が狭い場合には取り付けの際にコネクタは配線が邪魔にもなる。
【0014】
(4)前記アンテナ寄りにある一対のコネクタのうちのアンテナ側のコネクタに嵌め合う第一又は第二のいずれかのコネクタは、当該アンテナに備えたコネクタに嵌め合うコネクタとすることがよい。
発明者らは様々な国内で流通している多くの車を実際に分解して検討した結果、車両に備えたアンテナから車室内に信号を無線送信し、前記車室内にある携帯機から受信したこれに対する応答信号に基づいて車両の所定の動作を許可するか否かを判定する車両においてこのアンテナは同一メーカーの異なる車種間で共通のコネクタが用いられているとともに、異なるメーカーの異なる車種間においても共通のコネクタが用いられていることを見出した。一方、他のコネクタではそのような可能性が低いことも見出した。最も当該アンテナ寄りのコネクタは異なる車種であっても共通性があることとなるため、そのコネクタに嵌め合う第一のコネクタと第二のコネクタを有する「物」もほとんどの車種で1種類で足ることとなる。少なくとも他のコネクタに嵌め合うコネクタとするよりも、大幅に種類を減らすことができる。そのため、多種類のコネクタを製造する製造コストやそれら多種類のコネクタをストックする場所も確保する必要がなくなる。
ここに「アンテナに備えたコネクタ」は、例えばアンテナの筐体に直接コネクタを固定しても、例えばアンテナの筐体内に収容されているアンテナユニットの一部としてアンテナの筐体から露出させても、例えばアンテナ側からわずかに延出される筐体以外の連結物(例えばごく短いケーブル)にコネクタを固定してもよい。
(5)前記アンテナ寄りにある一対のコネクタのうちのアンテナ側のコネクタに嵌め合う第一又は第二のいずれかのコネクタは、当該アンテナ側に固定されたコネクタに嵌め合うコネクタであることがよい。
これによって、アンテナとアンテナ側のコネクタとの一体化が図られるため、アンテナ側のコネクタを多種類用意するということがなくなり、アンテナ側のコネクタの単一化が進むこととなる。そのため多種類のアンテナ側のコネクタと嵌め合い関係にあるコネクタの形状も単一化が進み多種類用意する必要がなくなる。
【0015】
(6)前記第一のコネクタ及び前記第二のコネクタは、前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタに至る配線経路の前記外部からアクセス可能な最も前記アンテナ寄りの一対のコネクタよりも前記信号を生成する車両の装置側に設けられた前記アンテナに至る車両における配線に設けられた最も当該アンテナ寄りではない一対のコネクタとも嵌め合い可能とすることがよい。
これによって「信号を生成する車両の装置からアンテナに至る車両における配線」の経路上には2以上の一対のコネクタが形成されている場合に、「物」の第一のコネクタ及び第二のコネクタはいずれのコネクタとも接続可能であるため、「物」の取り付け位置の自由度が高まる。
【0016】
(7)前記第一のコネクタ及び前記第二のコネクタは、前記最も当該アンテナ寄りではないコネクタよりも相対的にアクセスしにくい位置に配置した前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタと嵌め合い可能であることがよい。
このような構成において、例えばアンテナ寄りではないコネクタに「物」の第一のコネクタ及び第二のコネクタを取り付けると考えた場合、アンテナ寄りではないコネクタの配置されたアクセスしやすい場所には多くの他のコネクタが集中して配置される傾向となって、「物」を配置するための目的とするアンテナ寄りではないコネクタを探しにくくなってしまう。また、スペース的にも必ずしも新たに「物」を配置するための十分な余裕があるわけでもないため取り付けが困難な場合もあり得る。一方、「最も当該アンテナ寄りのコネクタ」の配置されるアクセスしにくい場所は多くの他のコネクタが集中しにくく、目的とする「最も当該アンテナ寄りのコネクタ」を探しやすい。また、「最も当該アンテナ寄りのコネクタ」以外の他のコネクタが集中しにくいためスペース的余裕もある。そのため、このような位置に「物」を取り付けることでかえって作業者の作業時間の軽減やコネクタの取り違いが生じにくくなることが期待できる。
【0017】
(8)前記車室内に信号を無線送信する前記アンテナは車両に複数備えられており、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタは、前記車両に設けられた複数の前記アンテナのうち、最も車両の中央にある前記アンテナへの経路にある前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りのコネクタと嵌め合うコネクタとすることがよい。
第一のコネクタと第二のコネクタの取り付け対象として、このような「最も当該アンテナ寄りのコネクタ」であると車両のどの方向からもアクセスしやすく第一のコネクタと第二のコネクタの、当該「最も当該アンテナ寄りのコネクタ」への取り付け作業がしやすくなる。
【0018】
(9)前記信号を利用する他のシステムは、車両の、少なくともプッシュスイッチ、イグニッションスイッチ、ブレーキ信号線、及び電源に接続が必要なシステムであり、前記車室内に信号を無線送信する前記アンテナは車両に複数備えられており、前記第一のコネクタと前記第二のコネクタは、前記車両に設けられた複数の前記アンテナのうち、運転席からアクセス可能な位置にある前記アンテナへの経路にある前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りのコネクタと嵌め合うコネクタとすることがよい。
車両の、プッシュスイッチ、イグニッションスイッチ、ブレーキ信号線、及び電源はいずれも運転席の前方において室内の運転席からアクセスして接続できる位置に接続可能に配置されており、アンテナへの経路にある最も当該アンテナ寄りのコネクタと嵌め合うコネクタも運転席からアクセスできる位置にあるため、信号を利用する他のシステムへの配線作業を集中して行うことができ作業効率が向上する。
(10)前記車室内に信号を無線送信する前記アンテナは車両に複数備えられており、前記外部からアクセス可能な最も前記アンテナ寄りの一対のコネクタとして複数の前記アンテナは共通のものを有し、前記第一のコネクタと、前記第二のコネクタはそのうちの1つの前記アンテナの前記最も当該アンテナ寄りのコネクタの間に配設することがよい。
これによって作業者にとって作業しやすい位置に配設されているアンテナを選択して 「物」を取り付けることができる。
(11)前記アンテナは前記車両の幅方向中央付近に配設されていることがよい。
これによって作業者にとって作業しやすいアンテナを選択して「物」を取り付けることができる。特に車両の幅方向中央付近にアンテナがあれば車両のどちらから乗り込んでも作業が可能であり、作業領域も確保されるため作業上よい。
【0019】
(12)前記第一のコネクタの形状を前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタのアンテナ側のコネクタは嵌め合い可能な形状とし、かつ前記第一のコネクタの形状を前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタの配線側のコネクタとは異なる形状とすることがよい。
このように第一のコネクタを最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタの配線側のコネクタとを接続部形状が違うように構成しても共に最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタのアンテナ側のコネクタと嵌め合って接続可能な構造としたため、必ずしも第一のコネクタの形状として配線側のコネクタと同じ形状のコネクタを用意しなくともよくなり、例えば第一のコネクタとしてすでに量産品として入手可能なコネクタを使用することも可能となるため、新たに第一のコネクタを製造するための金型を不要とすることもでき、コネクタに関する製造コストが大幅に軽減されることとなる。
【0020】
(13)前記第二のコネクタの端子の数とその端子間ピッチを前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタのアンテナ側のコネクタと同じに構成し、かつ前記第二のコネクタの前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタの配線側のコネクタを嵌め合いのために案内する案内部の形状を前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタのアンテナ側のコネクタとは異なる形状とすることがよい。
コネクタ間で端子同士の接続がなされるような案内部の形状であれば第二のコネクタの形状とアンテナ側のコネクタの形状が異なっていてもよく、端子の数と端子間ピッチのみを必須条件として様々な案内部形状の異なるコネクタを適用することが可能となってコネクタに関する製造コストが大幅に軽減されることとなる。
(14) 前記第一のコネクタを前記外部からアクセス可能な最も当該アンテナ寄りの一対のコネクタの配線側のコネクタと同じ形状の接続部形状とすることがよい。
これによって第一のコネクタと配線側のコネクタとを別々に用意しなくともよくなり、部品の共通性が図れるためコスト削減となる。
【0021】
(15)前記信号を利用する他のシステムは、車両に設置される前記信号に基づく信号を少なくとも車室外へ無線送信する機能を備えたシステムであることがよい。
アンテナから取得した信号の劣化が少ないため、他のシステムがこの信号に基づいて車室外へ無線送信する際に正確に送信動作をすることができる。
無線送信する信号としては、例えば、車両制御装置に記憶された認証情報と、車両制御装置と相互に無線通信可能な携帯機に記憶された認証情報が所定の認証条件を充足するかどうかの際に使用される信号とすることがよい。車室外へ無線送信する際には他のシステムが受信する周波数よりも高い周波数であり、かつ、前記無線送信の電力よりも大きな電力で行うことがよい。
(16)前記信号を利用する他のシステムは、前記信号を車室外にある携帯機まで無線を介して中継し、当該車室外にある携帯機からの前記中継された信号に対する応答信号を中継して車両が受信可能な前記応答信号を生成するシステムであることがよい。
このようなシステムであると、アンテナから有線で取得した信号の劣化が少ないため、他のシステムがこの信号に基づいて車室外へ無線送信する際にも正確に送信動作をすることができ、車室外にある携帯機からの応答信号も正確なものとなる。
(17)前記車両の所定の動作を許可するか否かの判定は、車両制御装置側の認証情報と前記携帯機側の認証情報とをやり取りするものであり、所定の認証条件の成立で前記車両の所定の動作を許可することがよい。
このように認証条件の成立で車両の所定の動作を許可することによって、車両が誤動作することが防止される。
上述した(1)から(17)(1-1)(1-2)の各発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)の全部または一部を備えずに他の(2)から(17)の少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしてもよい。但し特に、(1)の構成を備えて、(2)から(17)の少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また特に(1-1)の構成を備えて、(1)から(17)の少なくともいずれか1つの構成に記載の構成要素と組み合わせを備えるとよい。また特に(1-2)の構成を備えて、(1)から(17)の少なくともいずれか1つの構成に記載の構成要素と組み合わせを備えるとよい。(1)から(17)(1-1)(1-2)の各発明の任意の構成要素を抽出し、他の構成要素と組み合わせてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、これによって、例えばアンテナに近い部分の信号を有線によって受信させることができる。また、例えばアンテナから無線で信号を受信する場合と異なり信号を利用する他のシステムの設定に手間取ることもない。
また、上記(イ)の課題に対する効果として、外部からアクセス可能な最もアンテナ寄りの一対のコネクタの位置には他のコネクタ群が配置されにくいため、目的とするコネクタを探したり、コネクタの取り違えが生じにくい。
また、上記(ロ)の課題に対する効果として、アンテナ独自に設けられているコネクタは共通性があるため、このようなコネクタと嵌め合う第一のコネクタと第二のコネクタであればよく、異なる多種類の「物」を用意する必要がない。
また、上記(ハ)の課題にする効果として、アンテナ単独で配置されるため、「物」を取り付ける際にスペース的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明にかかる実施の形態の中継ケーブル装置の正面図。
図2】同中継ケーブル装置の(a)は第一のコネクタ及びケーブル側コネクタ、( b)は第二のコネクタの斜視図。
図3】同中継ケーブル装置の(a)は第一のコネクタ、(b)は第二のコネクタの 正面図。
図4】(a)はアンテナの背面図、(b)はアンテナが車両側に固定された状態の 側面図。
図5】車両中継機からの中継ケーブル装置の配線状態を説明する説明図。
図6】車両内におけるアンテナの位置や車両中継機の中継ケーブル装置の接続位置 を説明した説明図。
図7】アンテナのアンテナ側コネクタへの第一のコネクタの嵌め合い関係を説明す る図であって(a)は嵌め合う前、(b)は嵌め合い完了状態。
図8】第二のコネクタへのケーブル側コネクタの嵌め合い関係を説明する図であっ て(a)は嵌め合う前、(b)は嵌め合い完了状態。
図9】第二のコネクタへケーブル側コネクタを挿入している途中の状態を説明する 一部破断横断面平面図。
図10】中継システムを含んだ車両遠隔操作システムの概要を説明するための説明 図。
図11】中継システムを含んだ車両遠隔操作システムの電気的構成と信号のやり取 りを説明するための説明する説明図。
図12】(a)は実施の形態においてアンテナから車両制御装置までの経路を説明 する説明図、(b)は他の実施の形態においてアンテナから車両制御装置までの経路 を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例である。本発明はこれらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0025】
図1は信号を本発明の信号を伝達する物である中継ケーブル装置1である。中継ケーブル装置1は、第一のコネクタ2と、第二のコネクタ3と、第一及び第二のコネクタ2、3内の金属端子を連結する2本の中継ケーブル4と、いずれかホット側の中継ケーブル4から分岐する分岐ケーブル5とから構成されている。
図1図2図3(a)、図5図8等に示すように、第一のコネクタ2のプラスチック製のハウジング6は金型を使用して射出成形によって製造されている。但し、その他の例えば押し出し成形等の金型を使用した製造方法でもよい。第一のコネクタ2は後述するケーブル側コネクタ46と同じ形状のコネクタであり、なおかつこの位置の用途に使用するための限定的なコネクタではなく一般に広く流通する汎用品が使用されている。以下の説明では図3(a)で表示されている面を前方とする。
ハウジング6は端子収容部7を有している。端子収容部7は上下方向に扁平な直方体形状とされており、最も前面が平面に形成された当接面7aとされている。端子収容部7上面は後方側が前方側に比較して一段高い(本実施の形態では例えば0.5mmの高低差)平面に構成されている。端子収容部7内部には前後方向に連通する横方向に同一面上に配置された3本の透孔8が形成されている。図8に示すように、透孔8は隔壁9によって端子収容部7内部で隣接する透孔8と区画されている。透孔8の最も前面は小径に絞られた正方形の外形の端子挿入口10とされている。隣接する透孔8(及び端子挿入口10)の間隔は均等とされ、3本の透孔8の中央位置のものが端子収容部7の左右幅方向中央に配置されている。
【0026】
端子収容部7の下方位置には揺動部11が一体形成されている。揺動部11は端子収容部7前面側を基部として端子収容部7の下方において片持ち梁状に後方に向かって延出された揺動可能な部分である。揺動部11の左右幅は端子収容部7よりもわずかに小さく形成されている。揺動部11は基部寄りが端子収容部7の底面7bと平行に後方に延出された水平部11Aとされ、先端寄りが水平部11Aに対して斜め下方に延出された操作部11Bとされている。揺動部11は操作部11Bを操作して基部を中心として端子収容部7方向に接近させるように揺動部11を揺動させることで原位置に復帰するバネ力となる付勢力を内部に発生させる。揺動部11の基部の前面は端子収容部7の当接面7aと面一に形成され、第一のコネクタ2の使用時に揺動部11の基部の前面が嵌め合い動作の邪魔とならないように構成されている。揺動部11の基部の底面11aは第一のコネクタ2を第二のコネクタ3に嵌合させる際の案内面とされる。
揺動部11の下面には爪12が突起状に形成されている。爪12には第一のコネクタ2の進出方向である前方側に緩やかな角度で進行方向の当接部に当接させるためのテーパ面12aが形成されている。端子収容部7の後方側であって左右方向両端位置には下方に延出される一対の脚13が形成されている。脚13は爪12の揺動の際の案内と爪12の保護のために形成されている。
【0027】
端子収容部7の左右側面位置には端子収容部7の前後方向(長手方向)に直線状に延びる一対のサイドレール14が形成されている。サイドレール14は端子収容部7の底面7bに沿ってハウジング6の左右対向する位置に形成されている。サイドレール14が形成されている位置はハウジング6の上下幅(ここでは図3(a)に示す間隔L1)において中央よりも若干下方位置とされている。
端子収容部7内には金属端子として2つの雌型端子15が配設されている。各雌型端子15は端子収容部7の3つある透孔8の両側の2つに配設されている。各雌型端子15は透孔8の前方寄りに収容され、圧着端子16を介して透孔8の後方開口部18から端子収容部7内に導かれた中継ケーブル4の一端と接続されている。ハウジング6前方の端子収容部7~揺動部11基部にかけての上下幅間隔L1は6.5mmとされている。ハウジング6の端子収容部7の左右幅方向寸法L2は7.2mmとされ、両サイドレール14を含めた左右幅方向寸法は10mmとされている。これらのサイズは一例である。
【0028】
図1図2図3(b)、図5図8図9等に示すように、第二のコネクタ3のプラスチック製のハウジング21は金型を使用して射出成形によって製造されている。但し、第一のコネクタ2と同様、その他の例えば押し出し成形等の金型を使用した製造方法でもよい。第二のコネクタ3は後述するアンテナ側コネクタ37と同じ形状のコネクタではなく別の形状であり、なおかつこの位置の用途に使用するための限定的なコネクタではなく一般に広く流通する汎用品が使用されている。以下の説明では図3(b)で表示されている面を前方とする。
ハウジング21は端子収容部22を有している。端子収容部22は上下方向に扁平な直方体形状とされており、端子収容部22の前方には筒部23が一体的に形成されている。端子収容部22と筒部23は左右方向が同幅に構成され、上下方向において筒部23が下方に若干張り出して構成されている。筒部23は隅丸長方形に形成された外周形状となる有底筒体であって、有底部分、つまり内部の最も奥寄りが端子収容部22の平面に形成された前面22aとされている。
筒部23内の底面23a上には前後方向に延びる一対のガイドレール24が形成されている。各ガイドレール24はそれぞれ隣接する左右内壁面から等距離(つまり、筒部23内の左右方向中央を通る前後に延びる直線を境界として左右等距離)に配置されている。両ガイドレール24は開口部25位置から端子収容部22の前面22aまで延びている。両ガイドレール24の相互の間隔は第一のコネクタ2のハウジング6の幅よりもわずかに大きく構成されており、この間にハウジング6が配置可能となっている。筒部23内の底面23aから両ガイドレール24上面までの高さは第一のコネクタ22の揺動部11の基部底面11aからサイドレール14の下面までの長さと一致する。両ガイドレール24の間であって筒部23の開口部25に面した位置には浅い畝部26が形成されている。図2(b)及び図8(a)(b)等に示すように、畝部26は開口部25寄りで左右方向に延び、その両端側で90度屈曲してサイドレール14に沿って端子収容部22の前面22aまで延びている。
筒部23の内部空間の畝部26上面~筒部23内の天井面23bの間の上下間隔L3は7mmとされ、左右間隔L4は14mmとされている。これらのサイズは一例である。
【0029】
端子収容部22内部には前後方向に連通する横方向に同一平面上に配置された複数の(本実施の形態では5本の)透孔28が形成されている。図8に示すように、透孔28は隔壁29によって端子収容部22内部で隣接する透孔28と区画されている。透孔28の最も前面は小径に絞られた正方形の外形の端子突出口30とされている。端子突出口30は端子収容部22前面22aに横方向に水平に5つ露出する。隣接する透孔28(及び端子突出口30)同士の間隔は均等であって、中央の透孔28は端子収容部22の左右幅方向中央に配置されている。各透孔28の間隔は上記第一のコネクタ2の端子収容部7の各透孔8の間隔と同じとされている。
端子収容部22内には金属端子として2つの雄型端子31が配設されている。各雄型端子31は端子収容部22の透孔28の列の二番目と四番目に配設されている。配設状態で2つの雄型端子31の間隔は上記第一のコネクタ2側の雌型端子15の間隔と一致する。各雄型端子31は透孔28内において端子収容部22の前面22a寄りに収容され、その前端側は筒部23内に突出状態で配置される。各雄型端子31は圧着端子32を介して透孔28の後方開口部33から端子収容部22内に導かれた中継ケーブル4の他端と接続されている。
図1及び図5に示すように、第一のコネクタ2と、第二のコネクタ3との間に配設された2本の中継ケーブル4のうちの、いずれかホット側となる中継ケーブル4の途中(例えば中間位置)には分岐ケーブル5が接続されている。分岐ケーブル5の接続部分はゴムスリーブ34が巻かれて保護されている。
【0030】
このような構成の中継ケーブル装置1は図4に示すアンテナ35の基部位置に直接接続するために使用される。アンテナ35は車両内に当初から配置されており、後述する中継システムを装着していないデフォルト状態では図12(a)に示すようにアンテナ35のアンテナ側コネクタ37はケーブル側コネクタ46と嵌め合っている。図2(a)に示すようにケーブル側コネクタ46は第一のコネクタ2と同形状である。本実施の形態では中継システムの装着の際にアンテナ側コネクタ37とケーブル側コネクタ46との嵌合状態を解除してその間に中継ケーブル装置1を接続して使用する。
まずアンテナ35について説明する。
図6に示すように、複数の(本実施の形態では3つの)アンテナ35A~35Cは車両C内の異なる箇所、具体的には本実施の形態ではコンソールボックスの内部、後部座席の下面、トランクルーム内部の床の裏側の3箇所にそれぞれ配設されている。配設位置はいずれも本実施の形態では車両Cの幅方向中央位置である。これらの位置はいずれも他のコネクタや車両内に配設されるケーブルに接続された他の機器が配置されていない位置である。また、作業者がアクセスしやすい位置であるが普通に乗車しているだけでは隠れていて見えない位置である。アンテナ35は後述するように各種のコマンド・データ等のLFデータを第一周波数で無線送信する際に使用する134kHzの周波数の電波を発信するために車両に当初から配設されているアンテナである。各アンテナ35からはケーブル47が延出され図6の矢印で示す「A」付近に配設されている車両C内の助手席下の図示しないコネクタ・ケーブル格納スペース内に格納されている一対のコネクタ48を介して図6の矢印で示す「B」付近に配設されている車両制御装置50に接続されている。図12(a)に示すように、コネクタ48にはケーブル47以外に他の機器へと接続される中継ケーブルが接続されている。車両Cに関わらず他の車種やメーカーの違う車種であってもほとんどが共通仕様としてこのアンテナ35を使用している。図6の矢印で示す「A」の格納スペース内にはアンテナ35に導かれるケーブル47が接続されたコネクタ48以外の他のコネクタも一緒に格納されている。
【0031】
図4に示すように、アンテナ35は略直方体形状のアンテナ筐体36とアンテナ筐体36内に収容されたアンテナユニット40と、アンテナユニット40の一部としてアンテナ筐体36の長手方向の後端側から外部に露出したアンテナ側コネクタ37とから構成されている。つまり、アンテナ側コネクタ37はアンテナ35の一部として一体的に形成されているものである。以下の説明では図4(b)の右方を前方側とする。アンテナ筐体36は側面(図4(b)では上面)に取着された固定用コネクタ38を介して車両C側に固定されたキャッチ39に対して固定されている。
図4(a)(b)、図7(a)(b)等に示すように、アンテナ側コネクタ37は後方が開口された筒部形状とされている。アンテナ側コネクタ37は隅丸長方形に形成された外周形状となる有底筒体であって、有底部分、つまり内部の最も奥寄りがアンテナユニット40の後面40aとされている。アンテナ側コネクタ37の内部空間における左右間隔L5は7.5mm、上下間隔L6は7mmとされている。アンテナ側コネクタ37の左右間隔L5はケーブル側コネクタ46を嵌合させた際にそのハウジング6が左右方向でちょうどぴったり収まる形状であり、一方、第二のコネクタ3はアンテナ側コネクタ37よりも横方向に幅広であるためケーブル側コネクタ46を嵌合させた際に左右方向に隙間が生じることとなる(上下方向はどちらもぴったりと収まる)。
アンテナ側コネクタ37の左右内壁37aには前後方向に延びる左右一対のガイド溝41が形成されている。ガイド溝41はアンテナ側コネクタ37の開口部42位置からアンテナユニット40の後面40aまで延びている。ガイド溝41は互いに対向する位置に形成され、上下方向における中央よりも若干一方へ(図4(a)では下方に)ずれた位置に配置されている。ガイド溝41に近い側のアンテナ側コネクタ37の底内壁37bの後方寄りには内外に連通する方形の透孔43が形成されている。底内壁37bにおいて透孔43の周囲三方(開口部42側とそれに隣接する左右側)には透孔43を取り囲んで畝部44が形成されている。
図4(a)及び図7に示すように、アンテナユニット40の後面40aから後方のアンテナ側コネクタ37内に向かって金属端子としての2つの雄型端子45が突出した状態に配設されている。雄型端子45はガイド溝41よりも天井壁37c側に寄った位置に配設され、天井壁37cの面と平行に延出されている。2つの雄型端子45の間隔は上記第二のコネクタ3側の2つの雄型端子31とまったく同じ間隔とされている。また、一対の雄型端子45はアンテナ側コネクタ37内の左右方向の中央位置(つまり雄型端子45は左右いずれか近い方の内壁37aまでの距離が同じになるように)に配置されている。また、天井壁37cから雄型端子45までの間隔は筒部23の天井面23bからの雄型端子31までの間隔と一致する。
【0032】
次に、中継ケーブル装置1の第一のコネクタ2をアンテナ側コネクタ37に嵌合させる際の動作について説明する。上記のようにこの動作はデフォルトで図12(a)のようにアンテナ35のアンテナ側コネクタ37とケーブル側コネクタ46が嵌め合っている状態を解除して行う。
作業者は図7(a)に示すように、第一のコネクタ2の当接面7aをアンテナ側コネクタ37側の開口部42に面するように配置し、第一のコネクタ2がアンテナ側コネクタ37内に嵌合されるように相対的に接近させる(いずれか一方の進出と見ることもできる)。第一のコネクタ2のハウジング6両側のサイドレール14がアンテナ側コネクタ37の左右のガイド溝41に収まるように両者を相対的に接近させると、第一のコネクタ2の内部形状に対してハウジング6の外形はほぼぴったりであるため、第一のコネクタ2のハウジング6はアンテナ側コネクタ37内に無理なく収容されていくこととなる。また、ちょうど揺動部11の基部底面11a(ハウジング6底面となる)も底内壁37b上をスライドして移動していくこととなる。このようにガイド溝41とサイドレール14及びハウジング6底面と底内壁37bによって案内されている状態でアンテナ側コネクタ37の雄型端子45の正面には第一のコネクタ2側の雌型端子15がちょうど配置されることとなる。
このとき、どちらか一方、例えば第一のコネクタ2を180度反転させてもガイド溝41にはサイドレール14は収まらない。ガイド溝41もサイドレール14も上下方向において中央からずれた位置に形成されているため、第一のコネクタ2のハウジング6を上下逆向きにすると、ハウジング6がアンテナ側コネクタ37の開口部42付近に衝突してしまうためである。これによって上下間違って配置して雄型端子45が雌型端子15内に挿入できずに第一のコネクタ2に当たって折れてしまう等の不具合が解消される。
ハウジング6先端寄りがアンテナ側コネクタ37内に収まった段階で更に両者を接近させていくと、揺動部11の操作部11Bは先端側が下がっているため進出に伴ってアンテナ側コネクタ37の開口部42の下方部分に当接することとなり、接近に伴って揺動部11は上方に押動されて付勢されることとなる。また、両者の接近に伴って雄型端子45が雌型端子15内に挿入されて端子同士が接続されることとなる。第一のコネクタ2がアンテナ側コネクタ37内に嵌合されていくと、揺動部11の爪12のテーパ面12aが案内面となって畝部44を乗り越え爪12は透孔43位置に移動することとなり揺動部11への付勢力が解除され、揺動部11は下動して爪12がコネクタ37側の透孔43に係合される(図7(b)の状態)。この状態で第一のコネクタ2はアンテナ側コネクタ37内に収納されてその最も奥位置で保持されることとなる。一方、これを取り外す場合には揺動部11を操作して爪12の透孔43への係合状態を解除させ両者を相対的に逆方向に移動させるようにする。
【0033】
次に、中継ケーブル装置1の第二のコネクタ3とケーブル側コネクタ46との嵌合動作を説明する。ここにケーブル側コネクタ46は第一のコネクタ2とまったく同じ形状のコネクタであるため、ケーブル側コネクタ46の構成要素の説明については第一のコネクタ2と同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。図12(a)に示すようにケーブル側コネクタ46からはケーブル47が延出されており、その経路上においてコネクタ48を介して車両制御装置50に接続されている。
作業者は図8(a)に示すように、ケーブル側コネクタ46の当接面7aをアンテナ側コネクタ37側の開口部25に面するように配置し、第二のコネクタ3の筒部23内に嵌合されるようにケーブル側コネクタ46を相対的に接近させる。(いずれか一方の進出と見ることもできる)。図9に示すように、ケーブル側コネクタ46のハウジング6下方寄り(揺動部11の水平部11A)の左右幅は第二のコネクタ3の一対のガイドレール24間の間隔にちょうどぴったりと収まるため、このガイドレール24を案内としてハウジング6は第二のコネクタ3内に無理なく収容されていくこととなる。また、ケーブル側コネクタ46のサイドレール14は案内の役割はしないものの、筒部23内に嵌合されたハウジング6は揺動部11の基部底面11a(ハウジング6底面となる)が筒部23内の底面23aに当接した状態でガイドレール24の上にちょうど載置されるため、両者の接近の際の上下方向のがたつきが防止される。このようにガイドレール24によってハウジング6が案内されている状態で第二のコネクタ3の雄型端子31の正面にはケーブル側コネクタ46側の雌型端子15がちょうど配置されることとなる。
このとき、どちらか一方、例えばケーブル側コネクタ46を180度反転させてもガイド溝41にはサイドレール14は収まらない。ハウジング6の上方寄り(端子収容部7側)は若干幅広に形成されているため、サイドレール14に当たってしまうからである。これによって上下間違って配置して雄型端子45が雌型端子15内に挿入できずにケーブル側コネクタ46に当たって折れてしまう等の不具合が解消される。
ハウジング6先端寄りが筒部23内に収まった段階で更に両者を接近させていくと、揺動部11の操作部11Bは先端側が下がっているため進出に伴って筒部23内の開口部25の下方部分に当接することとなり、接近に伴って揺動部11は上方に押動されて付勢されることとなる。また、両者の接近に伴って雄型端子45が雌型端子15内に挿入されて端子同士が接続されることとなる。ケーブル側コネクタ46がアンテナ側コネクタ37内に嵌合されていくと、揺動部11の爪12のテーパ面12aが案内面となって畝部26を乗り越えた段階で揺動部11への付勢力が解除され、揺動部11は下動して爪12が畝部26に係合される(図8(b)の状態)。この状態でケーブル側コネクタ46は第二のコネクタ3の筒部23内に収納されてその最も奥位置で保持されることとなる。一方、これを取り外す場合には揺動部11を操作して爪12の畝部26への係合状態を解除させ両者を相対的に逆方向に移動させるようにする。
このようにして、中継ケーブル装置1の第一及び第二のコネクタ2、3をアンテナ35の基部位置(アンテナ側コネクタ37とケーブル側コネクタ46との間)に接続し、次いで分岐ケーブル5先端側を以下の中継システムを構成する車両中継機51に接続する。
【0034】
次に、このような中継ケーブル装置1をアンテナ35のアンテナ側コネクタ37とケーブル側コネクタ46との間に配設した車両遠隔操作システムの概要について説明する。
図10及び図11に示すように、車両遠隔操作システムは車両制御装置50と、車両中継機51と、携帯中継機52と、携帯機53とを備える。尚、図11では車両遠隔操作システムの概要を説明するために必要な基本的構成のみを表示しており、車両遠隔操作システムにはこの構成以外の他の構成を含み得るものである。車両遠隔操作システムは基本的に例えばスマートキーとか携帯キーとか呼称される携帯機53に記憶されている認証情報と、車両制御装置50に記憶されている認証情報が合致することを条件の一つとして、車両の所定の動作、例えばエンジンの始動等の制御を行うシステムである。車両中継機51と携帯中継機52は車両制御装置50と携帯機53との間に介在する中継システムであって、中継システムを介在させることで車両内あるいは車両近傍に携帯機53が存在しない場合であっても車両の所定の動作を許可するか否かの判定をすることが可能となる。
【0035】
車両制御装置50は、車両の所定機器を制御するための装置である。この所定の機器の制御は、例えば、プッシュスタートボタンの押下等のユーザの操作に応じて車両を走行可能な状態に始動するためのもので、例えば内燃機関を動力源とする自動車におけるセルモータのON(エンジン始動)や、電動機(モーター)を動力源とする電気自動車における電動機への電源をONにすること等がある。車両制御装置50は、制御対象の車両の機器に対する制御を行うに先立ち、携帯機53に記憶されている認証情報と、車両制御装置50に記憶されている認証情報が合致することを条件の一つとして、エンジンの始動等の制御を行う。
係る制御を行うため、車両制御装置50と携帯機53は、相互に無線通信可能として構成される。係る処理を行うため車両制御装置50は、制御部50aと、送受信部50bと、認証情報記憶部50cを備える。
【0036】
制御部50aは、例えばMPU等により構成する。制御部50aは、制御対象の車両の機器を制御するための制御信号を出力する機能や、認証情報記憶部50cに記憶した認証情報に基づき、正規の携帯機53の存在を確認するための応答要求信号(LFデータ)等の他の装置と通信を行う際のコマンド・データ等を出力する機能等を有する。
送受信部50bは、携帯機53や車両中継機51に実装された送受信部と無線通信を行うものである。送受信部50bは、例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。この送受信部1bは、制御部50aから出力される各種のコマンド・データ等のLFデータを第一周波数で無線送信する機能、他の装置から第二周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のRFデータを受信し、制御部50aに渡す機能等を有する。第二周波数は第一周波数よりも高い周波数であり、第二周波数を用いたRFデータの通信可能な距離も長い。一例を示すと、第一周波数は134kHzであり、第二周波数は314MHzである。図10に示すように、車両制御装置50は送受信部50bと接続された第一周波数の送信用のアンテナ35と第二周波数の受信用のアンテナ61とを備えている。図6に示すように、本実施の形態では送信用のアンテナ35A~35Cは車両内に3つ配設され、受信用のアンテナ61は例えば運転席側後方となるCピラー内に配設されている。
【0037】
車両中継機51は車両内の選択可能な所定の位置、例えば助手席の前方のセンターコンソールボックス寄りの位置やダッシュボードの裏面等の乗車や運転に邪魔にならない位置に配設される。車両中継機51は、車両中継機51の制御を司る制御部51aと、車両制御装置50と有線通信を行うための第一車両側送受信部51bと、携帯中継機52と無線通信を行うための第二車両側送受信部51cを備える。制御部51aは、例えばMPU等により構成する。また、第一車両側送受信部51b並びに第二車両側送受信部51cは、それぞれ例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。車両中継機51にはアンテナ35Aのアンテナ側コネクタ37とケーブル側コネクタ46の間に中継された中継ケーブル装置1の分岐ケーブル5が接続されている。
【0038】
図5に示すように、車両中継機51には中継ケーブル装置1以外に複数の(この実施の形態では例えば4つの)他の中継ケーブル装置63~66が配設されている。他の中継ケーブル装置63~66はそれぞれ複数の車両内の装置に接続される車両の所定の位置に設けられた一対のコネクタ間に接続されるものであって、目的とする信号(あるいは電源)を分岐させてケーブルによって車両中継機51に導いている。中継ケーブル装置1だけが単独の車両内の装置(本実施の形態では例えばアンテナ35A)に接続されている。
第一の他の中継ケーブル63は図6の矢印で示す「C」付近(オーディオの裏位置)において接続されている。第二の他の中継ケーブル64は図6の矢印で示す「D」付近(プッシュスイッチ)に接続されている。第三の他の中継ケーブル65は図6の矢印で示す「C」付近(オーディオの裏位置)において接続されている。第四の他の中継ケーブル66は図6の矢印で示す「E」付近(ブレーキスイッチ)に接続されている。
中継ケーブル装置1及び各他の中継ケーブル63~66から分岐させて取り出された電源又は信号は車両中継機51の筐体に固着されたコネクタ67に集合させられて一箇所の位置で車両中継機51内に導かれている。コネクタ67にはヒューズ67、ボディアース68、オプション用等のコネクタ69が中継ケーブル装置1からケーブルによって延出されている。
【0039】
第一車両側送受信部51bは、車両制御装置50の送受信部50bとの間でデータの送受を行い、送受信部50bの送信周波数帯(第一周波数)でアンテナ35Aから有線通信にて送信された電波を受信し、第二周波数で無線送信する。また、第二車両側送受信部51cは、特定省電力無線局に用いられる周波数帯の電波を使用する。この特定省電力無線通信を利用することで、通信距離は、例えば見晴らし距離で1~2km程度になり、また、障害物があった場合でも例えば数百m程度になる。
図10に示すように、車両中継機51は第一車両側送受信部51bと接続された第二周波数の送信用のアンテナ70と、第二車両側送受信部51cと接続された特定省電力無線通信用の送受信を共用するアンテナ71を備えている。尚、図10ではアンテナ71を送受信共用のアンテナとして表現したが、送受信個別のアンテナとしてもよい。
【0040】
更に、本実施形態では、車両中継機51と車両制御装置50との間は、有線通信を行う通信ケーブルにより接続される。車両中継機51の制御部2aは、この有線通信を利用して、フットブレーキ信号と、エンジン始動要求信号を送信する。フットブレーキ信号は、車両のフットブレーキペダルが踏まれたときに出力される信号に対応する信号である。エンジン始動要求信号は、例えば、車両のプッシュスタートボタンが押下されたときに出力される信号に対応する信号である。
【0041】
携帯中継機52は携帯機53と一緒に携帯されて車両内外に移動可能とされている。携帯中継機52は、携帯中継機52の制御を司る制御部52aと、携帯機53と通信を行うための第一携帯側送受信部52bと、車両中継機51と通信を行うための第二携帯側送受信部52cを備える。さらに、携帯中継機52は、操作部52dを備える。
操作部52dは、例えば、始動スイッチ、停止スイッチ等の動作指示に対応する押しボタンスイッチである。車両から離れた位置にいるユーザーは、当該操作部52dを押下することで、車両に搭載された車両制御装置50を動作させ、エンジンを始動させたり、停止させたりして、遠隔操作する。係る処理を行うため、制御部52aは、この操作部52dに対する操作を検知すると、係る操作に対応する指示命令を第二携帯側送受信部52cから送信する。
制御部52aは、例えばMPU等により構成する。また、第一携帯側送受信部52b並びに第二携帯側送受信部52cは、それぞれ車載用の送受信用RFICにより構成する。そして、第一携帯側送受信部52bは、携帯機53の受信周波数帯(第一周波数)で無線送信し、送受信部53bの送信周波数(第二周波数)で無線受信する。そして、通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。また、第二携帯側送受信部52cは、特定省電力無線局に用いられる周波数帯の電波を使用する。
図10に示すように、携帯中継機52は第一携帯側送受信部52bと接続された第一周波数の送信用のアンテナ72と、同じく第二周波数の受信用のアンテナ73と、第二車両側送受信部52cと接続された特定省電力無線通信用の送受信を共用するアンテナ74とを備えている。尚、図10では携帯中継機52の送信用アンテナ72と受信用のアンテナ73は別体で表現したが、これは模式的に送信側と受信側があることを表現したものであり、実際には例えば送受信共用アンテナであってもよい。逆に特定省電力無線通信用のアンテナ74を送受信個別のアンテナとしてもよい。
【0042】
携帯機53は、制御部53aと、送受信部53bと、認証情報記憶部53cを備える。認証情報記憶部53cは、イモビライザ機能のための認証情報として固有のIDコードを格納する。制御部53aは、例えばMPU等により構成する。制御部53aは、対を構成する車両制御装置50からの自己宛の応答要求信号を受信した場合、応答信号(RFデータ:レスポンスデータ)を出力する。送受信部53bは、車両制御装置50や携帯中継機52に実装された送受信部と無線通信を行うものである。例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。この送受信部53bは、第一周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のLFデータを受信して制御部53aに渡す機能、制御部53aから出力される応答信号等の各種のコマンド・データ等のRFデータを第二周波数で無線送信する機能等を備える。図10に示すように、携帯機53は送受信部53bと接続された第一周波数の受信用のアンテナ75と第二周波数の送信用のアンテナ76を備えている。尚、図10では携帯機53の受信用アンテナ75と送信用のアンテナ76は別体で表現したが、これは模式的に送信側と受信側があることを表現したものであり、実際には例えば送受信共用アンテナであってもよい。
【0043】
このようなシステムの概要において、本実施形態では、以下のような順の通信遷移で携帯中継機52の中継機能を用いたエンジンの遠隔始動を可能としている。以下の通信遷移説明における番号は図11のアンテナによる通信状態を示す矢印に付した番号の位置の通信に対応している。
(1)携帯中継機52の制御部52aは、操作部52dの押下に伴い、始動信号を出力する。第二携帯側送受信部52cは、この始動信号を車両中継機51に向けて無線送信する。
(2)車両中継機51の第二車両側送受信部51cは、携帯中継機52から送信されてきた始動信号を受信する。車両中継機51の制御部51aは、当該始動信号を受信すると、有線通信機能を用いて車両制御装置50にフットブレーキ信号を有線による通信で送信する。車両中継機51は、以下に示す各データ・信号の中継・送信処理中、フットブレーキ信号をONにした状態を維持する。
(3)車両制御装置50の制御部50aは、当該フットブレーキ信号を受信すると、認証情報記憶部50cにアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含む応答要求信号(LFデータ)を出力する。送受信部50bは、無線送信機能を用いて当該LFデータを送信する。
【0044】
(4)車両中継機51の第一車両側送受信部51bは、当該LFデータを受信する。車両中継機51は、その受信したLFデータに基づく無線LFデータを、第二車両側送受信部2cの送信機能を用いて携帯中継機52に向けて無線送信する。無線LFデータは、LFデータと可逆性のあるデータである。
(5)携帯中継機52の第二携帯側送受信部52cは、無線LFデータを受信する。携帯中継機52は、その受信した無線LFデータから元のLFデータを生成し、その生成したLFデータを第一携帯側送受信部52bの送信機能を用いて携帯機53に向けて第一周波数で送信する。
【0045】
(6)携帯中継機52が送信する当該LFデータは、第一周波数で送信され、車両制御装置50の送受信部50bが送信したLFデータと等価のものとなるので、携帯機53の送受信部53bは、当該LFデータを受信する。制御部53aは、受信したLFデータが自己宛のものか否かを判断する。具体的には、LFデータに含まれるIDコードが、認証情報記憶部53cに格納された自己のIDコードと一致するか否かを判断する。そして、IDコードが一致する場合、応答信号であるRFデータ(レスポンスデータ)を送受信部4bの送信機能を用いて送信する。なお、制御部53aは、IDコードが一致しない場合、何も送信しない。
(7)携帯中継機52の第一携帯側送受信部52bは、RFデータを受信する。携帯中継機52は、その受信したRFデータに基づく無線RFデータを、第二携帯側送受信部52cの送信機能を用いて送信する。無線RFデータは、LFデータと可逆性のあるデータである。
(8)車両中継機51の第二車両側送受信部51cは、無線RFデータを受信する。車両中継機51は、その受信した無線RFデータから元のRFデータを生成し、その生成したRFデータを第一車両側送受信部51bの送信機能を用いて第二周波数で送信する。また、車両中継機51の制御部51aは、第一車両側送受信部51bからのRFデータの送信に先立ち、有線通信機能を用いて車両制御装置50にエンジン始動要求信号を送信する。車両中継機51は、エンジン始動要求信号をONにした状態を維持しつつ、上記のRFデータを無線送信する。
【0046】
上記のように構成することにより本実施の形態では次のような効果が奏される。
(1)中継ケーブル装置1を構成する第二のコネクタ3は、アンテナ35のアンテナ側コネクタ37とは異なる形状である。にも関わらず第二のコネクタ3はケーブル側コネクタ46と嵌め合いが可能な形状とされている。そのため、ケーブル側コネクタ46と嵌め合うことができる一般に広く流通する汎用品を使用することができ、敢えてアンテナ35のアンテナ側コネクタ37と同じ形状のコネクタを製造するために金型を用意して新規に成形する必要がない。
(2)中継ケーブル装置1を構成する第一のコネクタ2は、もともとデフォルトで使用されているアンテナ35のアンテナ側コネクタ37に接続されているケーブル側コネクタ46と同じ形状であるため、アンテナ側コネクタ37として別の形状を用意する必要がない。また、第一のコネクタ2はこの位置の用途に使用するための限定的なコネクタではなく一般に広く流通する汎用品であるため、簡単に入手でき金型を用意して新規にコネクタを成形する必要がない。
(3)中継ケーブル装置1はアンテナ35のみに使用するため、中継ケーブル4はホット側とクール側の2本のみである。そのため分岐ケーブル5を分岐させる中継ケーブル装置1の製作作業において他の中継ケーブルと間違えて分岐ケーブル5を接続するというミスがなくなり、また、アンテナ35に接続されるケーブルに対応する正しい中継ケーブルを選択するという手間もなくなるため作業上有利である。
(4)中継ケーブル装置1はアンテナ35のみに使用するため、中継ケーブル4はホット側とクール側の2本で足るため、本来は第一のコネクタ2も第二のコネクタ3も端子を収容するための領域(透孔8、28)は2つでよいはずである。しかし、第一のコネクタ2と第二のコネクタ3は端子取り付け用の領域(透孔8、28)はそれぞれ3つと5つある。このようにしたのは、アンテナ35側の2つの端子45を基準としてその間隔に合うのであれば敢えてアンテナ35側と同じでなくとも構わないためで、第一及び第二のコネクタ2、3をこのように2つ以上の端子取り付け用の領域を設けたコネクタを用いることも可能とすることで中継ケーブル装置1に使用できる汎用コネクタの種類を多様化することができる。
(5)ケーブル側コネクタ46のハウジング6のサイドレール14はアンテナ側コネクタ37に接続するときには左右方向においてガイド溝41を案内手段として案内されるように使用されるが、ケーブル側コネクタ46を第二のコネクタ3に接続する際には第二のコネクタ3にはそのガイド溝41はない。しかし、第二のコネクタ3はガイドレール24があるためガイドレール24の間隔がハウジング6を案内手段となるため、第二のコネクタ3とアンテナ側コネクタ37との嵌め合い部分の形状が違ってもケーブル側コネクタ46は第二のコネクタ3内に間違いなく案内されることとなっている。
(6)アンテナ側コネクタ37に対して第二のコネクタ3はケーブル側コネクタ46を保持するための形状が異なるが、形状が異なっていても第二のコネクタ3もケーブル側コネクタ46の爪12が係合されて保持されるようになっていることではアンテナ側コネクタ37と同じである。そのため、ケーブル側コネクタ46はアンテナ側コネクタ37から第二のコネクタ3に差し替えても嵌合状態が保持されることとなる。
(7)第二のコネクタ3はアンテナ側コネクタ37と形状は違うものの、両者ともにケーブル側コネクタ46を挿入させる際には上下の向きが決まった向き以外では挿入できない形状とされており、間違った方向で挿入して雄型端子31、45が折れるような不具合が生じないようになっている。
【0047】
(8)上記の中継システムを含む車両遠隔操作システムでは、従来はアンテナでの送受信は無線で行われていた。そのため従来の車両中継機は受信性能が最適になるような位置や方向で設置しなければならなかった。このため、受信測定器を用い、そのインジケータを確認しながら最も受信性能よい位置や方向となるように車両中継機を配置する必要があった。
しかし、上記実施の形態では車両制御装置50と車両中継機51はアンテナ35をアンテナ35から取得して有線としている。車両中継機51は車両内に移動させずに固定するものであるため、このようなアンテナからの有線とすることが可能であり、これによってよりアンテナに近い位置でかつ有線によって信号を取得することができ、劣化のない信号が取得できる。また、無線で受信する場合のようなセッティング作業の面倒さが解消され、作業時間が短縮化される。また、アンテナ35は車両内のアクセスしやすい位置に配置されているため、このような有線化作業も容易である。
一方、アンテナ35以外の他のアンテナ、例えばアンテナ61は車両に附属するものの内ではなく配置位置から考えて作業性が悪く有線化が困難である。また、その他のアンテナ、例えばアンテナ71、71~75では無線であることがむしろ有利である。
(9)中継ケーブル装置1の第一及び第二のコネクタ2、3はアンテナ35Aの基部位置に接続されるが、このアンテナ35Aが配置されている領域は他のコネクタやケーブルの配置が集中しない場所であるため、第一及び第二のコネクタ2、3の接続作業がしやすい。
(10)本実施の形態ではアンテナ35から車両制御装置50に至るまでにアンテナ側コネクタ37以外の他のコネクタ48が配設されている。そして、このコネクタ48にはアンテナ35に導かれるケーブル47以外に他の装置に導かれるケーブルも一緒に接続されている。そのため、このコネクタ48の間に中継ケーブル装置を接続してアンテナ35との有線化を図ることを考えた場合には、これらのケーブルを中継するための中継ケーブル装置用のコネクタが必要である。本実施の形態のような中継ケーブル装置1ではアンテナ35のみに接続させる単純なコネクタを中継コネクタとして使用できるが、このような多ケーブル化したコネクタでは汎用品のコネクタが見つからない可能性が高い。また、アンテナ35は車種やメーカーの違う車種であってもほとんどが共通仕様としてこのアンテナ35を使用しているが、コネクタ48では車種毎で形状は一定しない可能性が高い。そのため、新たにコネクタ48の中継コネクタ(第一及び第二のコネクタ2、3に対応するコネクタ)のための金型を製造しなければならず、そのための経費がかかってしまう。また、そのような複数のケーブルが集中した中継ケーブル装置自体を製作することも作業が面倒で経費がかかってしまう。また、金型で製造する場合にも複数のケーブルが集中するため、大型化し材料費もかかってしまう。
しかし、本実施の形態では中継ケーブル装置1はこのような複数のケーブルが集中するコネクタ48に対して接続するのではなく、アンテナ35の基部に直接露出するアンテナ側コネクタ37に対して単独で接続するため、第一及び第二のコネクタ2、3は大型化することはなく、汎用品のコネクタを使用することも可能となる。
(11)コネクタ48が格納される位置にはアンテナ35に接続されるケーブルのない他のコネクタも隣接配置されているため、目的とするコネクタ48を探す手間もかかってしまい作業上不利である。しかし、本実施の形態では中継ケーブル装置1はこのような複数のケーブルが集中するコネクタ48に対して接続するのではなく、アンテナ35の基部に直接露出するアンテナ側コネクタ37に対して単独で接続するためそのような問題は生じることはなく、作業が効率がアップする。
(12)図6に示すように、中継ケーブル装置1を接続するアンテナ35Aは前座席のすぐ脇にあり、車両中継機51に接続するための他のA~Eの位置は前席前方のダッシュボードに沿った方向にある。そのため、作業者は車両中継機51の中継ケーブル装置1を含んだ他の中継ケーブル装置63~66を接続するための作業を余裕のある前席側空間で行えるため作業上有利である。
【0048】
尚、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。例えば、以下のような態様である。
・中継ケーブル装置1の第一及び第二のコネクタ2、3の形状は上記は一例である。第二のコネクタ3は上記以外でケーブル側コネクタ46との接続可能であれば他の形状を選択することも自由である。
・第一のコネクタ2とアンテナ側コネクタ37、第二のコネクタ3とケーブル側コネクタ46との間の保持手段も上記の爪12以外の手段で保持させることも可能である。第一のコネクタ2がアンテナ側コネクタ37内に速やかに案内される手段(サイドレール14とガイド溝41)や、ケーブル側コネクタ46が第二のコネクタ3内に速やかに案内される手段(ハウジング6とガイドレール24)も上記以外の構成であってもよい。
・上記では中継ケーブル装置1の第一のコネクタ2はアンテナ側コネクタ37内に挿し込まれるように嵌合され、第二のコネクタ3内にはケーブル側コネクタ46が挿し込まれるように嵌合されている。この嵌合関係はアンテナ側コネクタ37内にケーブル側コネクタ46が挿し込まれる形態であるため、第二のコネクタ3はアンテナ側コネクタ37と異なる形状ではあるが、このような雄雌の関係での係合である必要があるためである。しかし、アンテナ35においてアンテナ側コネクタ37がケーブル側コネクタ46内に挿し込まれるような嵌合関係が逆にすることもでき、その場合には第二のコネクタ3をアンテナ側コネクタ37内に挿し込むような形状とすることがよい。その場合には第一のコネクタ2内にアンテナ側コネクタ37を挿し込むような嵌合関係となる。
・雌型端子15と雄型端子31、45の雄雌の関係は逆転させてもよい。
・アンテナ35の形状は上記は一例であり、他の形状であってもよい。また、アンテナ35は上記では車両C内の3箇所に配置させていたが、1箇所、2箇所あるいは4箇所以上でもよく、また、上記ではアクセスしやすい位置にアンテナ35は配置されていたが、アクセスが困難な位置にあってもよい。
・アンテナ35のアンテナ側コネクタ37の形状は上記は一例である。上記ではアンテナ側コネクタ37はアンテナユニット40の一部となってアンテナ35の基部位置で突出するように構成されていたが、例えばアンテナ35近傍であってアンテナと35とユニット化して取り扱えるようにしてアンテナ筐体36から短いケーブルを延出させた飛び出した位置にアンテナ側コネクタとして設けられていてもよい。
・また、ケーブル側コネクタ46の形状も上記は一例である。ケーブル側コネクタ46を第一のコネクタ2とは異なる形状としてもよい。ケーブル側コネクタ46を第一のコネクタ2とは異なる形状としてもアンテナ側コネクタ37と第二のコネクタ3の両方に接続できるのであればよい。
・上記実施の形態ではアンテナ35と車両制御装置50の間に中間のコネクタ48を介在させていたが、図12(b)のようにアンテナ35にはアンテナ側コネクタ37にケーブル側コネクタ46が接続されているだけで、ケーブル側コネクタ46から延出されるケーブル47は直接車両制御装置50に接続されていてもよい。また、逆にアンテナ35と車両制御装置50の間に3つ以上の一対のコネクタが配設されていてもよい。
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…中継ケーブル装置、2…第一のコネクタ、3…第二のコネクタ、4…中継線としての中継ケーブル、5…分岐線としての分岐ケーブル、53…携帯機、35A~35C…アンテナ、C…車両。
図1
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