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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165776
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】内容物充填システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/16 20060101AFI20231110BHJP
   B65B 55/14 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B65B55/16
B65B55/14
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149434
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2023128809の分割
【原出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2022052451
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022122236
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】古谷 文明
(72)【発明者】
【氏名】早川 睦
(57)【要約】
【課題】内容物が熱分解したり、システムの装置に金属腐食が生じたり、加熱により析出することがない内容物充填システムを提供する。
【解決手段】内容物充填システム10は対象原料と水を混合させる混合ライン51Aと、混合対象原料を非加熱殺菌する混合対象原料殺菌ライン50と、他の原料を加熱殺菌する他の原料殺菌ライン70とを備える。混合対象原料殺菌ライン50と他の原料殺菌ライン70は、容器100に内容物を充填する充填装置21に接続されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含む非加熱原料を生成する非加熱原料供給ラインと、
前記非加熱原料を非加熱殺菌する非加熱原料殺菌ラインと、を備え、
前記非加熱原料以外の他の原料を予め殺菌しておき、バッグ・イン・ボックス、無菌コンテナ、または無菌タンクを用いて、殺菌された前記非加熱原料以外の他の原料を前記非加熱原料殺菌ラインの下流側に投入し、前記非加熱原料と前記他の原料を容器に充填する充填装置を設けた、内容物充填システム。
【請求項2】
前記非加熱原料以外の他の原料は予め殺菌され、前記バッグ・イン・ボックス内に充填された後、無菌状態で前記非加熱原料殺菌ラインの下流側に投入される、請求項1記載の内容物充填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内容物充填システムに関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌された容器(PETボトル)に殺菌された内容物を無菌環境下で充填し、その後、容器をキャップによって閉栓する無菌充填システム(アセプティック充填システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、無菌充填システムにおいて、成形した容器を無菌充填システムに供給し、無菌充填システム内で、容器に殺菌剤としての過酸化水素水溶液をスプレーする。その後、過酸化水素水溶液を乾燥することにより容器を殺菌する。次いで、容器に加熱殺菌した内容物を常温下で無菌充填する。
【0004】
近年、環境負荷の低減を目的として、排出される二酸化炭素の量を低減することが求められている。内容物は殺菌処理が施された後、容器内に充填される。内容物の中には高温で殺菌した場合、分解したりシステムの装置に対して金属腐食を生じさせたり、加熱により析出してシステムの装置の性能を劣化させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4526820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、内容物を加熱殺菌する際に熱分解したり、装置に対して金属腐食を生じさせたり、析出してシステムの装置の性能を劣化させることがない、内容物充填システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、対象原料と水を混合して混合対象原料を生成する混合ラインと、前記混合対象原料を非加熱殺菌する混合対象原料殺菌ラインと、前記対象原料以外の他の原料を加熱殺菌する他の原料殺菌ラインと、前記混合対象原料殺菌ラインと前記他の原料殺菌ラインに接続され、前記混合対象原料と前記他の原料を容器に充填する充填装置とを備えた、内容物充填システムである。
【0008】
本開示は、対象原料と水を混合して混合対象原料を生成する混合ラインと、前記混合対象原料を非加熱殺菌する混合対象原料殺菌ラインと、前記対象原料以外の他の原料を供給する他の原料供給ラインと、前記混合対象原料殺菌ラインと、前記他の原料供給ラインに接続され、前記混合対象原料および前記他の原料を容器に充填する充填装置とを備えた、内容物充填システムである。
【0009】
本開示は、水を非加熱殺菌する水殺菌ラインと、対象原料を非加熱殺菌する対象原料殺菌ラインと、前記対象原料以外の他の原料を加熱殺菌する他の原料殺菌ラインと、前記水殺菌ラインと、前記対象原料殺菌ラインと、前記他の原料殺菌ラインに接続され、前記水と、前記対象原料と、前記他の原料を容器に充填する充填装置とを備えた、内容物充填システムである。
【0010】
本開示は、水を非加熱殺菌する水殺菌ラインと、対象原料を非加熱殺菌する対象原料殺菌ラインと、前記対象原料以外の他の原料を供給する他の原料供給ラインと、前記水殺菌ラインと、前記対象原料殺菌ラインと、前記他の原料供給ラインに接続され、前記水と、前記対象原料と、前記他の原料を容器に充填する充填装置とを備えた、内容物充填システムである。
【0011】
本開示は、前記対象原料は高温下で熱分解、または機能低下する材料、高温下で金属腐食を生じさせる材料、または高温下で析出する材料を含む、内容物充填システムである。
【0012】
本開示は、前記対象原料はビタミンを含む、内容物充填システムである。
【0013】
本開示は、前記ビタミンは飲料水に含まれ、前記他の原料は飲料水の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0014】
本開示は、前記対象原料はカルシウムを含む、内容物充填システムである。
【0015】
本開示は、前記カルシウムは乳成分を含む乳性飲料水や機能性飲料水に含まれ、前記他の原料は乳性飲料水や機能性飲料水の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0016】
本開示は、前記対象原料は塩化物イオンを生成する塩化化合物を含む、内容物充填システムである。
【0017】
本開示は、前記塩化物イオンは塩化化合物を加えた機能性飲料水等に含まれ、前記他の原料は前記塩化化合物を加えた前記機能性飲料水等の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0018】
本開示は、前記塩化物イオンは塩化化合物を加えた液体食品に含まれ、前記他の原料は前記塩化化合物を加えた前記液体食品の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0019】
本開示は、前記対象原料は香料を含む、内容物充填システムである。
【0020】
本開示は、前記香料は香料入り飲料水に含まれ、前記他の原料は香料入り飲料水の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0021】
本開示は、前記対象原料は甘味料を含む、内容物充填システムである。
【0022】
本開示は、前記甘味料は甘味料入り飲料水に含まれ、前記他の原料は甘味料入り飲料水の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0023】
本開示は、前記対象原料は酸味料を含む、内容物充填システムである。
【0024】
本開示は、前記酸味料は酸味料入り飲料水に含まれ、前記他の原料は酸味料入り飲料水の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0025】
本開示は、前記対象原料は着色料を含む、内容物充填システムである。
【0026】
本開示は、前記着色料は着色料入り飲料水に含まれ、前記他の原料は着色料入り飲料水の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0027】
本開示は、前記対象原料はアミノ酸および電解質から選ばれる少なくとも1種または2種の混合物を含む、内容物充填システムである。
【0028】
本開示は、前記アミノ酸および電解質から選ばれる少なくとも1種または2種の混合物は、輸液に含まれ、前記他の原料は、前記輸液の他の原料からなる、内容物充填システムである。
【0029】
本開示は、前記充填装置は、前記水殺菌ラインに接続された第1充填装置と、前記対象原料殺菌ラインに接続された第2充填装置と、前記他の原料殺菌ラインに接続された第3充填装置と、を有する、内容物充填システムである。
【0030】
本開示は、前記水殺菌ラインは、さらに第2充填装置および第3充填装置にそれぞれ接続され、前記対象原料殺菌ラインは、さらに前記第1充填装置および第3充填装置にそれぞれ接続され、前記他の原料殺菌ラインは、さらに前記第1充填装置および第2充填装置にそれぞれ接続される、内容物充填システムである。
【0031】
本開示は、前記水殺菌ラインと前記第1充填装置との間に第1混合タンクが介在され、前記対象原料殺菌ラインと前記第2充填装置との間に第2混合タンクが介在され、前記他の原料殺菌ラインと前記第3充填装置との間に第3混合タンクが介在される、内容物充填システムである。
【0032】
本開示は、前記水殺菌ラインは、さらに前記第2混合タンクおよび前記第3混合タンクにそれぞれ接続され、前記前記対象原料殺菌ラインは、さらに前記第1混合タンクおよび前記第3混合タンクにそれぞれ接続され、前記他の原料殺菌ラインは、さらに前記第1混合タンクおよび前記第2混合タンクにそれぞれ接続される、内容物充填システムである。
【0033】
本開示は、前記第1混合タンクは、さらに前記第2充填装置および前記第3充填装置にそれぞれ接続され、前記第2混合タンクは、さらに前記第1充填装置および前記第3充填装置にそれぞれ接続され、前記第3混合タンクは、さらに前記第1充填装置および前記第2充填装置にそれぞれ接続される、内容物充填システムである。
【0034】
本開示は、前記混合対象原料殺菌ラインは、非無菌雰囲気下の非無菌ゾーンと、非無菌雰囲気と無菌雰囲気とを隔絶する、第1グレーゾーン及び第2グレーゾーンと、無菌雰囲気下の無菌ゾーンとに区画されており、前記非無菌ゾーン、前記第1グレーゾーン、前記第2グレーゾーン及び前記無菌ゾーンは、前記混合対象原料の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に設けられており、前記第1グレーゾーンにおいて、除菌フィルタ通過菌を殺菌し、前記第2グレーゾーンにおいて、除菌フィルタ通過菌が存在しない状態を維持する、内容物充填システムである。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、内容物が熱分解したり、システムの装置が腐食したり、内容物が析出してシステムの装置の性能が劣化することはない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、第1の実施の形態による内容物充填システムを示す概略系統図である。
図1B図1Bは、第1の実施の形態による内容物充填システムを示す概略平面図である。
図1C図1Cは、充填装置を示す概略図である。
図2A1図2A1は、第1の実施の形態による混合対象原料殺菌ラインを示す概略図である。
図2A2図2A2は、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2A3図2A3は、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2A4図2A4は、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2A5図2A5は、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2A6図2A6は、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2A7図2A7は、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2B図2Bは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2C図2Cは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2D図2Dは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2E図2Eは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2F図2Fは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2G図2Gは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2H図2Hは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2I図2Iは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2J図2Jは、混合対象原料殺菌ラインの他の例を示す概略図である。
図2K図2Kは、殺菌機の他の洗浄工程を示す概略図であって、図2A1と類似の図ある。
図3図3は、第1の実施の形態による混合対象原料ラインの殺菌機の第1殺菌機を示す平面図である。
図4図4は、第1の実施の形態による殺菌機の第1殺菌機を示す断面図(図3のIV-IV線断面図)である。
図5A図5Aは、第1の実施の形態による殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す平面図である。
図5B図5Bは、第1の実施の形態による殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す断面図(図5AのVB-VB線断面図)である。
図6A図6Aは、第1の実施の形態による殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す正面図である。
図6B図6Bは、第1の実施の形態による殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す断面図(図6AのVIB-VIB線断面図)である。
図6C図6Cは、一実施の形態による水殺菌機の第1殺菌機の他の例を示す断面図(図6BのVIC部拡大図)である。
図7図7は、第1の実施の形態による原料殺菌ラインを示す概略図である。
図8図8は、第1の実施の形態による内容物充填システムを用いた内容物充填方法を示すフローチャートである。
図9A図9Aは、第1の実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、殺菌機の殺菌方法を示すフローチャートである。
図9B図9Bは、第1の実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、殺菌機の殺菌方法の他の例を示すフローチャートである。
図9C図9Cは、第1の実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、殺菌機の殺菌方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
図9D図9Dは、第1の実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、殺菌機の殺菌方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
図9E図9Eは、第1の実施の形態による内容物充填システムの殺菌方法であって、殺菌機の殺菌方法のさらに他の例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2の実施の形態による内容物充填システムを示す概略系統図である。
図11図11は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置の配置構成を示す図。
図12図12は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置と第3充填装置の配置構成を示す図。
図13図13は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置と第3充填装置の配置構成を示す図。
図14図14は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置と第3充填装置の配置構成を示す図。
図15図15は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置と第3充填装置の配置構成を示す図。
図16図16は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置と第3充填装置の配置構成を示す図。
図17図17は、第2の実施の形態による第1充填装置と第2充填装置と第3充填装置の配置構成を示す図。
図18A図18Aは、内容物充填システムの変形例における、混合対象原料殺菌ラインを示す概略図である。
図18B図18Bは、内容物充填システムの変形例の他の例における、混合対象原料殺菌ラインを示す概略図である。
図18C図18Cは、内容物充填システムの変形例における、混合対象原料殺菌ラインを示す概略図である。
図18D図18Dは、内容物充填システムの変形例を示す概略平面図である。
図18E図18Eは、内容物充填システムの変形例における、混合対象原料殺菌ラインを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10Bは本開示の第1の実施の形態を示す図である。
【0038】
(内容物充填システム)
まず、図1Aおよび図1Bにより、実施の形態による内容物充填システム(無菌充填システム)について説明する。
【0039】
図1Aおよび図1Bに示す内容物充填システム10は、ボトル(容器)100に飲料等の内容物を充填するシステムである。内容物は、製品原液を水によって希釈することによって生成される。この場合、製品原液は、水によって、1.1倍以上100倍以下に希釈されても良く、好ましくは2倍以上10倍以下に希釈されても良い。また、製品原液は、水によって、10倍以上80倍以下に希釈されても良く、20倍以上70倍以下に希釈されても良く、30倍以上50倍以下に希釈されても良い。ボトル100は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム100aを二軸延伸ブロー成形することにより作製できる。なお、ボトル100は、ダイレクトブロー成形により作製されても良い。ボトル100の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。このほか、容器としては、ガラス、缶、紙、パウチ、カップ又はこれらの複合容器であっても良い。本実施の形態においては、容器として合成樹脂製ボトルを用いる場合を例にとって説明する。
【0040】
図1Aおよび図1Bに示すように、内容物充填システム10は、対象原料と水を混合して混合対象原料を生成する混合ライン51Aと、混合対象原料を非加熱殺菌する混合対象原料殺菌ライン50と、対象原料以外の他の原料を加熱殺菌する他の原料殺菌ライン70と、混合対象原料殺菌ライン50と他の原料殺菌ライン70とに接続され、混合対象原料と他の原料を混合して内容物を生成する混合タンク55と、混合タンク55で生成された内容物をボトル100に充填する充填装置21とを備えている。図1Bにおいて、充填装置21は1台で示しているが、図10に示す通り、充填装置21として、複数台、好ましくは2台または3台の充填フィラを設けても良い。また充填装置21は、ロータリーフィラを用いても良いし、直線式のフィラを用いても良い。ここで「非加熱殺菌」とは、加熱殺菌以外の方法であり、菌を不活化するすべての殺菌を含む。例えば紫外線、放射線、パルス状マイクロ波、超高圧、オゾン、高電圧極短パルス放電、電解酸性水、光パルス、衝撃波などが挙げられる。
【0041】
このうち混合ライン51Aは純水製造装置50cから供給された水(純水)を貯留する水タンク50aと、内容物の原料のうち対象原料を貯留する対象原料タンク50bと、水タンク50a内の水と対象原料タンク50b内の対象原料を混合する混合タンク51とを有する。
【0042】
混合タンク51では水と対象原料が混合されて混合対象原料が生成され、この混合対象原料は上述のように混合対象原料殺菌ライン50において非加熱殺菌される。
【0043】
他方、内容物の原料のうち、対象原料以外の他の原料は他の原料タンク71内に貯留され、他の原料タンク71内に貯留された他の原料は上述のように他の原料殺菌ライン70で加熱殺菌される。
【0044】
そして混合対象原料殺菌ライン50において非加熱殺菌された混合対象原料と、他の原料殺菌ラインで加熱殺菌された他の原料は混合タンク55で混合されて内容物を生成する。
【0045】
本実施の形態において、内容物の原料の対象原料とは、加熱されることにより熱分解したり、加熱されることにより、内容物充填システム10の加熱殺菌を行う他の原料殺菌ライン70に対して金属腐食を生じさせたり、析出して検出装置等の機能を劣化させるものである。このため本実施の形態においては、対象原料の殺菌にあたっては、非加熱殺菌を行っている。
【0046】
他方、他の原料とは内容物の原料のうち対象原料以外の他の原料をいう。他の原料に対して非加熱殺菌することも可能であるが、非加熱殺菌ラインは、後述のようにフィルタを有するため、フィルタ閉塞により処理量が低下することを考慮して、すなわち他の原料が目詰まりしないよう、本実施の形態においては、他の原料に対して加熱殺菌が施される。
【0047】
次に対象原料について述べる。本実施の形態において、内容物が例えば飲料水の場合、対象原料としてはビタミンがある
【0048】
飲料水に含まれるビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、パントテン酸及び葉酸及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の混合物がある。
【0049】
このうち、ビタミンA、ビタミンDは熱分解性が高い脂溶性ビタミン類となっている。
【0050】
脂溶性ビタミンとしては、ビタミンAパルミテート,α-トコフェロール及びビタミンEアセテートを除く脂溶性ビタミンであれば特に限定されない。具体的には、例えばレチノール,3-ヒドロレチノール,レチナール,3-ヒドロレチナール,レチノイン酸,3-デヒドロレチノイン酸,ビタミンAアセテート等のビタミンA類;α,β,γ-カロテン,β-クリプトキサンチン,エキネノン等のカロテノイドやキサントフィル等のプロビタミンA類がある。
【0051】
また、脂溶性ビタミンとして、ビタミンD2乃至D7等のビタミンD類;β,γ,δ-トコフェロール、α,β,γ,δ-トコトリエノール,ニコチン酸ビタミンE等のエステル類;ビタミンK1乃至K3等のビタミンK類がある。また、これらの脂溶性ビタミン類は、単独で添加することもできるが、2種以上を組み合わせて添加することも可能である。
【0052】
飲料水中に含まれるビタミンは加熱されると熱分解するため、その特性が変化したりビタミン自体の量が減少する。このためビタミンを加熱した場合にその減少分を予測して予めビタミンの量を多目に添加する必要がある。
【0053】
本実施の形態によれば、ビタミンを対象原料として他の原料と区別して非加熱殺菌することにより、ビタミンの劣化あるいは減少を抑えることができる。
【0054】
また飲料水中にビタミンが含まれる場合、飲料水中のビタミン以外の他の原料、例えば糖分、着色料等が他の原料となる。
【0055】
あるいは、内容物が例えば乳性飲料水やカルシウムを添加した機能性飲料水の場合、対象原料はカルシウムとなる。
【0056】
乳性飲料水やカルシウムを添加した機能性飲料水に含まれるカルシウム成分としては、好ましくは水溶性カルシウム塩が好ましく、水溶性の有機酸塩又は無機酸塩のいずれでも使用することができる。具体的には例えば、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、琥珀酸カルシウム等の有機酸塩;塩化カルシウム等の無機酸塩等を好ましく挙げることができる。前記カルシウム成分の使用量は、得られる濃縮飲料100gあたり、カルシウムが200~1000mg、更に好ましくは300~600mg含有されるような使用量が望ましい。カルシウムの含有量が100gあたり200mg未満では、濃縮飲料を通常3~6倍に希釈して飲用する場合において、飲用時のカルシウム濃度が低くなり、目的とするカルシウム強化効果が希薄になる。一方、100gあたり1000mgを超えると良好な風味が得られない恐れがあるので好ましくない。
【0057】
あるいは対象原料として用いるカルシウム成分としては、好ましくは水溶性カルシウム塩が好ましく、水溶性の有機酸塩又は無機酸塩のいずれでも使用することができる。例えば、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、琥珀酸カルシウム等の有機酸塩;塩化カルシウム等の無機酸塩等が好ましい。これらは単独又は混合物として用いることができる。
【0058】
乳性飲料水に含まれるカルシウムは高温下(例えば40℃以上)で析出するため、装置表面に析出したカルシウム自体の量が飲料水の成分から減少する。このためカルシウムを加熱した場合に、その減少分を予測して予めカルシウムを多目に添加する必要がある。
【0059】
またカルシウムは加熱により析出して、装置を制御する計測装置の機能を低下させる。
【0060】
本実施の形態によれば、カルシウムを対象原料として他の原料と区別して非加熱殺菌することにより、カルシウムの析出による減少あるいは計測装置の機能低下を抑えることができる。
【0061】
また乳性飲料水中にカルシウムが含まれる場合、乳性飲料水中のカルシウム以外の他の原料、例えば乳酸菌発酵乳、糖分、ペクチン水溶液等が他の原料となる。
【0062】
あるいは内容物が例えば塩化化合物を加えた機能性飲料水の場合、対象原料としては塩化物イオンを生成する塩化化合物がある。
【0063】
また運動等により失われたナトリウムなどの電解質や水分を補うことを目的とした機能性飲料水に含まれる原料としては、塩化ナトリウム(食塩)、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、糖類、香料等、がある。
【0064】
また運動等により失われたナトリウムなどの電解質や水分を目的とした機能性飲料水等における電解質の塩素イオン濃度の例として、3~30,000mEq/l(希釈せず直接飲用する機能性飲料水として好ましくは4~1,000mEq/l)がある。
【0065】
また、塩化物イオンを生成する塩化化合物は、麺つゆ等の液体食品中に含まれることもある。この場合、塩化物イオンを生成する塩化化合物が対象原料となり、塩化物イオンを生成しない他の原料が他の原料となる。このような麺つゆとしては、麺つゆ(ストレート)、麺つゆ(3倍濃縮)があげられる。さらに上記の液体食品の具体例としては、その他、濃口醤油あるいは鍋用スープがある。
【0066】
なお、機能性飲料水および液体食品としては、上記のものに限られることはない。例えば、塩素濃度が12mg/100ml以上、Cl濃度が3mEq/l以上の機能性飲料水あるいは液体食品は、加熱温度、加熱時間、金属の応力ダメージによって経時的な金属腐食を生じさせる可能性がある。このため、本実施の形態による、機能性飲料水あるいは液体食品に含まれる。
【0067】
塩化化合物を加えた機能性飲料水等に含まれる塩化物イオンは加熱されると内容物充填システム10の各種ライン50A、50、70、あるいは充填装置21、とりわけ他の原料殺菌ライン70に金属腐食を生じさせる。
【0068】
すなわち、内容物充填システム10の部品としては、通常耐食性に優れたSUS316L材、SUS317L、SUS329J1材、SUS890L材、スーパーステンレス材、チタン材が用いられるが、塩化物イオンは加熱により腐食性が増して、これらSUS316L材、SUS317L、SUS329J1材、SUS890L材、スーパーステンレス材、チタン材に金属腐食を生じさせる。
【0069】
また塩化物イオンは加熱により析出して内容物充填システム10の各種ライン70、内で析出して計測装置等の機能を低下させる。
【0070】
本実施の形態によれば、塩化物イオンを対象原料として他の原料と区別して非加熱殺菌することにより、内容物充填システム10内では金属腐食あるいは機能の低下を抑えることができる。
【0071】
あるいは内容物が例えば香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料等が添加されている飲料水の場合、対象原料としては香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料が考えられる。
【0072】
香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料等が添加されている飲料水は加熱されると熱分解し、その特性が変化したり、添加したもの自体の量や機能が減少・低下する。安定性の低下も含む)このため添加物を加熱した場合に、その減少分を予測して予め多目に添加する必要がある。
【0073】
本実施の形態によれば、香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料を対象原料として他の原料と区別して非加熱殺菌することにより、香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料の劣化あるいは減少を抑えることができる。
【0074】
本実施の形態において、香料としては芳香族アルコール系の芳香族アルデヒド類、脂肪族高級アルコール系の脂肪族高級アルデヒド類、エステル系のケトン類、フェノールエーテル系のフェノール類がある。具体例としては、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油およびベルガモット油などの柑橘精油類;ペパーミント油、スペアミント油、シンナモン油などの精油類;オールスパイス、アニスシード、バジル、ローレル、カルダモン、セロリ、クローブ、クミン、デイル、ガーリック、ジンジャー、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、パセリ、ブラックペパー、ナッツメグ、サフラン、ローズマリーなどのスパイス精油またはオレオレジン類;さらにリモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、l-メントール、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、アネトール、ペリラアルデヒド、バニリン、γ-ウンデカラクトン、l-カルボン、マルトール、フルフリルメルカプタン、プロピオン酸エチル、カプロン酸アリル、メチル-n-アミルケトン、ジアセチル、酢酸、酪酸などの公知香料化合物;着香油(反応フレ-バ-);およびこれらの天然精油、オレオレジンおよび香料化合物などを任意に組み合わせて混合した調合香料があるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
本実施の形態において、甘味料としては、ステビア抽出物(ステビオシド等)、羅漢果抽出物、ソーマチン等の天然甘味料:アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム等の人口甘味料がある。
【0076】
本実施の形態において、酸味料としては、カルボン酸類、アミノ酸類、醸造酢類、乳醗酵食品、植物由来の酸味料がある。上記カルボン酸類としては、酢酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、メチレンコハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルタル酸、α-ケトグルタル酸等がある。上記アミノ酸類としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等がある。上記醸造酢類としては、米酢、穀物酢、麦芽酢、黒酢、ブドウ酢、梅酢、リンゴ酢等がある。上記乳醗酵食品としては、ヨーグルト、乳清等がある。上記植物由来の酸味料としては、温州みかん、夏みかん、柚子、だいだい、すだち、レモン、グレープフルーツ等の柑橘類やリンゴ、いちご、ブドウ、パイナップル、桃、アセロラ、トマト、梅等の果汁、米糠、大豆、小麦、トウモロコシ等のイノシトールヘキサリン酸等を含む穀類抽出物やその精製物、ハイビスカス、バラ等の花弁、シソ葉、レタス、セロリ等の粉砕物やその抽出物等がある。
【0077】
本実施の形態において、着色料としては、カロテン系色素(カロテノイド色素)、コチニール色素、アントシアニン系色素、クチナシ色素、紅コウジ色素などがある。
【0078】
本実施の形態において、保存料としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル等がある。
【0079】
また香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料入り飲料水中の香料、甘味料、酸味料、着色料、保存料以外の他の原料、例えば酸味料、果汁、カフェイン、糖分等が他の原料となる。
【0080】
あるいは、内容物が、アミノ酸および電解質から選ばれる少なくとも1種または2種の混合物を含む輸液であっても良い。輸液中のアミノ酸は、加熱されると熱分解するため、その特性が変化したり、アミノ酸自体の量が減少する。このため、アミノ酸を加熱した場合に、その減少分を見越して予めアミノ酸の量を多目に添加する必要がある。また、輸液中の電解液は、塩化物イオンを生成する塩化化合物を含む。
【0081】
輸液中に含まれる塩化物イオンは加熱されると内容物充填システム10の各種ライン50A、50、70、あるいは充填装置21、とりわけ他の原料殺菌ライン70に金属腐食を生じさせる。
【0082】
すなわち、内容物充填システム10の部品としては、通常耐食性に優れたSUS316L材、SUS317L、SUS329J1材、SUS890L材、スーパーステンレス材、チタン材が用いられるが、塩化物イオンは加熱により腐食性が増して、これらSUS316L材、SUS317L、SUS329J1材、SUS890L材、スーパーステンレス材、チタン材に対しても金属腐食を生じさせる。
【0083】
また塩化物イオンは加熱により析出して内容物充填システム10の各種ライン70、内で析出して計測装置等の機能を低下させる。
【0084】
本実施の形態によれば、アミノ酸および電解質から選ばれる少なくとも1種または2種の混合物を対象原料として、輸液中の他の原料と区別して非加熱殺菌することにより、内容物充填システム10内での金属腐食あるいは機能低下を抑えることができる。
【0085】
ここで、輸液中のアミノ酸および電解質以外の他の原料が輸液中の他の原料となる。このような輸液中の他の原料としては、糖類、脂肪乳剤、あるいは微量元素がある。
【0086】
次に輸液中の各成分について述べる。
【0087】
アミノ酸としては、従来から生体への栄養補給を目的とするアミノ酸輸液に利用されている各種のアミノ酸(必須アミノ酸および非必須アミノ酸)を用いることができる。具体的には、例えばL-イソロイシン、L-ロイシン、L-バリン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、グリシン、L-アラニン、L-プロリン、L-アスパラギン酸、L-セリン、L-チロシン、L-グルタミン酸、L-システインなどが例示される。これらのアミノ酸は、必ずしも遊離アミノ酸の形態で用いる必要はなく、無機酸塩(例えば、L-リジン塩酸塩など)、有機酸塩(例えば、L-リジン酢酸塩、L-リジンリンゴ酸塩など)、生体内で加水分解可能なエステル体(例えば、L-チロシンメチルエステル、L-メチオニンメチルエステル、L-メチオニンエチルエステルなど)、N-置換体(例えば、N-アセチル-L-トリプトファン、N-アセチル-L-システイン、N-アセチル-L-プロリンなど)、同種または異種のアミノ酸をペプチド結合させたジペプチド類(例えば、L-チロシル-L-チロシン、L-アラニル-L-チロシン、L-アルギニル-L-チロシン、L-チロシル-L-アルギニンなど)などの形態で用いることもできる。
【0088】
電解質としては、従来から、例えば、生理食塩液のような輸液に用いられている各種水溶性塩を用いることができる。該水溶性塩には、例えば、生体の機能、体液の電解質バランスなどを維持する上で必要とされる各種無機成分(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、ヨウ素、リンなど)の水溶性塩が含まれる。具体的には、例えば塩化物、硫酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩などが含まれる。これらの水溶性塩は、水和物であってもよい。
【0089】
例えば、5%ブドウ糖注射液のような輸液中の糖としては各種糖類を用いることができる。その内でも還元糖が好適に用いられる。還元糖としては、例えばブドウ糖、果糖、マルトースなどがある。これらの還元糖は1種を単独で用い得ると共に、2種以上を混合して用いることもできる。更に、これらの還元糖は、ソルビトール、キシリトールなどと併用することもできる。
【0090】
微量元素とは、ヒトに対して高カロリー輸液療法を施す際に生じ得る各種欠乏症状を改善する元素をいう。具体的には、鉄、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、クロム、フッ素等が挙げられる。これらの微量元素は、対象となる患者の状態に対応して一種類のみを使用しても良く、二種類以上を使用しても良い。本発明において、微量元素は微量元素と共存することにより化学変化を受け得る成分と異なる区画に充填される。
【0091】
脂肪乳剤としては、油脂を乳化剤を用いて水に分散させて生成された水中油型乳剤を用いることが好ましい。脂肪乳剤の生成は公知の方法により行うことができる。本発明において、脂肪乳剤は電解質とは異なる区画に充填される。また、目的に応じて、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の脂溶性ビタミンが脂肪乳剤と共に充填されていても良い。
【0092】
次に、本実施の形態による内容物充填システム10について、図1Aおよび図1Bにより更に述べる。
【0093】
図1Bに示すように、内容物充填システム10は、内容物充填システム10を制御する制御部90を備えている。内容物充填システム10は、ボトル成形部30と、殺菌装置(容器殺菌装置)11と、エアリンス装置14と、上述した充填装置21と、キャップ装着装置(キャッパー、巻締及び打栓機)16と、製品ボトル搬出部25とを備えている。ボトル成形部30、殺菌装置11、エアリンス装置14、充填装置21、キャップ装着装置16及び製品ボトル搬出部25は、ボトル100の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。エアリンス装置14、充填装置21及びキャップ装着装置16等の間には、これらの装置間でボトル100を搬送する複数の搬送ホイール12が設けられている。ここでは、ボトル成形部30、殺菌装置11、エアリンス装置14、充填装置21、キャップ装着装置16及び製品ボトル搬出部25について説明する。
【0094】
ボトル成形部30は、外部からプリフォーム100aを受け入れるとともにボトル100の成形を行うように構成されている。そして、ボトル成形部30は、成形されたボトル100を殺菌装置11へ向けて搬送するように構成されている。これにより、内容物充填システム10において、プリフォーム100aの供給からボトル100の成形を経て、ボトル100への内容物の充填及び閉栓に至る工程を連続して行うようにできる。この場合、容積の大きいボトル100ではなく、容積の小さいプリフォーム100aが、外部から内容物充填システム10に運搬される。このため、運送費を低減できる。
【0095】
このようなボトル成形部30は、プリフォーム100aを搬送するプリフォーム搬送部31と、プリフォーム100aに対してブロー成形を施すことにより、プリフォーム100aからボトル100を成形するブロー成形部(容器成形装置)32と、成形されたボトル100を搬送するボトル搬送部33とから構成される。
【0096】
このうち、プリフォーム搬送部31は、受取部34と、加熱部35と、受渡部36とを含んでいる。このうち、受取部34は、プリフォーム供給装置1からプリフォーム供給コンベア2を介して供給されるプリフォーム100aを受け取るように構成されている。この受取部34には、プリフォーム100aを殺菌するためのプリフォーム殺菌装置34aと、プリフォーム100aをエアリンスするためのプリフォームエアリンス装置34bとが設けられている。図示された例においては、受取部34には、1つのプリフォーム殺菌装置34aと、1つのプリフォームエアリンス装置34bとが設けられている。なお、プリフォーム殺菌装置34a及びプリフォームエアリンス装置34bの個数は、これに限られない。
【0097】
受取部34において、プリフォーム殺菌装置34aにより、過酸化水素水溶液のガス又はミストがプリフォーム100aに吹き付けられ、プリフォーム100aが殺菌される(予備殺菌)。
【0098】
プリフォーム100aを殺菌するための殺菌剤としては、微生物を不活性化させる性質を有していれば良く、例えば過酸化水素のほか、過酢酸、酢酸、過硝酸、硝酸、塩素系薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、二酸化塩素、オゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0099】
このように、プリフォーム殺菌装置34aにより予めプリフォーム100aを殺菌(予備殺菌)することによって、プリフォーム100aから作製されるボトル100に付着する菌を少なくできる。このため、ボトル100を殺菌する殺菌装置11で使用する過酸化水素の使用量を低減できるとともに、殺菌時間を短縮できる。ここで、一般に、容積の小さいプリフォーム100aを殺菌するために使用する殺菌剤の量は、ボトル100を殺菌するために使用する殺菌剤の量よりも少なくて良い。このため、プリフォーム100aを予備殺菌することにより、殺菌剤の全体の使用量を低減できる。
【0100】
また、殺菌装置11で使用する過酸化水素の使用量を低減できるとともに、殺菌時間を短縮できるため、殺菌装置11の小型化を図ることができる。また、ボトル100を殺菌する殺菌時間を短縮できるため、ボトル100への熱負荷を低減できる。このため、軽量化されたボトル100又はリサイクルによる再生PETを使用したボトル100であっても、殺菌剤の熱によるボトル100の変形を抑制できる。
【0101】
さらに、プリフォーム100aを予備殺菌することによって、ボトル100に付着する菌を少なくできるため、殺菌装置11において、殺菌条件を弱化させても良い。ここで、一般に、殺菌装置11における殺菌効果を向上させるために、ブロー成形部32において、金型温調器(図示せず)の温水を金型に供給することによって、ボトル100の胴部をヒートセットしている。これにより、殺菌装置11における殺菌効果を向上できるとともに、殺菌装置11におけるボトル100の収縮を低減できる。ところが、本実施の形態では、上述したように、プリフォーム100aを予備殺菌することによって、ボトル100に付着する菌を少なくできる。このため、ブロー成形部(容器成形装置)32が、温水によってボトル100の温度を調節することなく、ボトル100を成形しても良い。すなわち、ブロー成形部32において、殺菌効果を向上させるために金型に供給していた温水を、金型に供給しなくても良い。この結果、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、ブロー成形部32の金型に温水を供給しなくても良いため、ブロー成形部32の簡素化を図ることができる。また、ブロー成形部32の簡素化を図ることができるため、ボトル100に加えられる熱量を低減できる。このため、上述した温水を金型に供給しない場合であっても、殺菌装置11におけるボトル100の収縮を低減できる。
【0102】
なお、このような殺菌処理は、受取部34だけでなく、加熱部35又は受渡部36で行われても良い。また、殺菌処理は、ボトル100の成形後に、ボトル搬送部33から充填装置20までの間に行われても良い。さらに、殺菌処理は、複数の箇所で行われても良い。なお、殺菌処理において、殺菌剤を使用することなく、紫外線照射又は電子線照射等によって、菌を不活性化しても良い。
【0103】
図1Bを参照すると、プリフォーム殺菌装置34aの下流側には、上述したプリフォームエアリンス装置34bが設けられている。殺菌剤が吹き付けられたプリフォーム100aは、プリフォームエアリンス装置34bにおいて、ホットエアで乾燥される。この際、プリフォーム100aの口部を下に向けた状態で、プリフォーム100aに対してホットエアが供給されることが好ましい。これにより、プリフォーム100a内から異物を効果的に除去できる。このため、無菌水によってプリフォーム100aを洗浄する工程を省略でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。なお、受取部34において、プリフォームエアリンス装置34bは設けられていなくても良い。また、受取部34において、プリフォーム殺菌装置34aの上流側に、プリフォーム100aに付着した異物を除去するための異物除去装置(図示せず)が設けられていても良い。
【0104】
加熱部35は、受取部34からプリフォーム100aを受け取り、プリフォーム100aを搬送しながら加熱するように構成されている。この加熱部35には、プリフォーム100aを加熱するヒーター35aが設けられている。このヒーター35aは、例えば赤外線ヒーターであっても良い。このヒーター35aにより、プリフォーム100aは、例えば90℃以上130℃以下程度に加熱される。なお、プリフォーム100aの口部の温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
【0105】
受渡部36は、加熱部35により加熱されたプリフォーム100aを受け取り、ブロー成形部32に受け渡すように構成されている。
【0106】
ブロー成形部32は、図示しない金型を含んでいる。この金型を用いてプリフォーム100aに対してブロー成形を施すことにより、ボトル100が成形される。そして、成形されたボトル100は、ボトル搬送部33によって、下流側に搬送される。
【0107】
ここで、ボトル成形部30と殺菌装置11との間に、ボトル搬送部33からボトル100を受け取り、殺菌装置11へボトル100を受け渡す調整搬送部5が設けられている。この調整搬送部5の少なくとも一部は、殺菌剤噴霧チャンバ70d(後述)の上流側に設けられた雰囲気遮断チャンバ70c(後述)の内部に収容されている。図示された例においては、調整搬送部5は、ボトル成形部30を収容する成形部チャンバ70b(後述)と、雰囲気遮断チャンバ70cとに跨がるように配置されている。このように、調整搬送部5の少なくとも一部が、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に収容されていることにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が、成形部チャンバ70bに流入することを抑制できる。
【0108】
図示された例においては、調整搬送部5とボトル成形部30のボトル搬送部33との間には、単一の搬送ホイール12が設けられている。すなわち、ボトル成形部30のブロー成形部32と殺菌装置11との間には、ボトル成形部30のボトル搬送部33、単一の搬送ホイール12及び調整搬送部5が設けられている。これにより、調整搬送部5とボトル成形部30のボトル搬送部33との間に、複数の搬送ホイール12が設けられている場合と比較して、内容物充填システム10をコンパクトにできる。なお、図示はしないが、ボトル成形部30のブロー成形部32と殺菌装置11との間に、調整搬送部5のみが設けられていても良い。この場合、内容物充填システム10を更にコンパクトにできる。
【0109】
殺菌装置11は、殺菌剤をボトル100に噴射することにより、ボトル100を殺菌する装置である。これにより、内容物の充填前に殺菌剤によってボトル100が殺菌される。殺菌剤としては、例えば過酸化水素水溶液が用いられる。殺菌装置11においては、過酸化水素水溶液のガス又はミストが生成され、ガス又はミストがボトル100の内外面に噴霧される。このようにボトル100が過酸化水素水溶液のガス又はミストで殺菌されるので、ボトル100の内外面がムラなく殺菌される。
【0110】
エアリンス装置14は、ボトル100に無菌の加熱エア又は常温エアを供給することにより、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル100内から異物、過酸化水素等を除去する装置である。この際、ボトル100の口部を下に向けた状態で、ボトル100に対して無菌エアが供給されることが好ましい。これにより、ボトル100内から異物を効果的に除去できる。このため、無菌水によってボトル100を洗浄する工程を省略でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。なお、必要に応じて、常温の無菌化されたエアに、低濃度の過酸化水素の凝結ミストを混ぜて過酸化水素をガス化させて、ボトル100に供給しても良い。
【0111】
充填装置21は、水及び製品原液をボトル100に充填する装置である。すなわち、充填装置21は、ボトル100の口部からボトル100内へ、対象原料と水を混合してなり予め非加熱殺菌された混合対象原料と、予め加熱殺菌された他の原料からなる内容液を充填するものである。これにより、充填装置21において、水と対象原料とからなる混合対象原料と、他の原料とを混合することによって生成された内容物が、空の状態のボトル100に充填される。この充填装置21では、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ内容物が充填される。
【0112】
充填装置21は、後述する無菌チャンバ70fの内部に配置されている。充填装置21は、回転可能な複数の充填ノズル21aを有するいわゆるロータリーフィラであっても良い(図1C参照)。
【0113】
充填装置21は、ボトル100に対して、殺菌された内容物を充填する。この場合、充填装置21は、空のボトル100に対して、殺菌された内容物を充填する。
【0114】
キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料および他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる。
【0115】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70fの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0116】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0117】
なお、内容物充填システム10は、プリフォーム殺菌チャンバ70aと、成形部チャンバ70bと、雰囲気遮断チャンバ70cと、殺菌剤噴霧チャンバ70dと、エアリンスチャンバ70eと、無菌チャンバ70fと、出口チャンバ70gとを有している。このうち、無菌チャンバ70fの上流側に、エアリンスチャンバ70eが設けられている。すなわち、プリフォーム殺菌チャンバ70a、成形部チャンバ70b、雰囲気遮断チャンバ70c、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70gは、プリフォーム100a及びボトル100の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。
【0118】
各チャンバ70a乃至70gは、それぞれ隔壁によって分離されている。隔壁は、各チャンバ70a乃至70g間で、殺菌剤等が意図しない方向へ流通することを防ぎ、各チャンバ70a乃至70g内の圧力を安定させる役割を果たす。なお、隔壁には、それぞれプリフォーム100a又はボトル100が通過できる程度の隙間が形成されている。この隙間は、各チャンバ70a乃至70g内の圧力が変化しないように、最小限、例えば1個分のプリフォーム100a又はボトル100程度の大きさに形成されている。また、隔壁には、上述した隙間を閉鎖するシャッターが設けられていても良い。このシャッターは、例えば制御部90からの信号により、自動で開閉するように構成されていても良い。
【0119】
各チャンバ70a乃至70gのうち、プリフォーム殺菌チャンバ70aの内部には、プリフォーム殺菌装置34a等が収容されている。
【0120】
成形部チャンバ70bの内部には、ボトル成形部30のブロー成形部32等が収容されている。
【0121】
雰囲気遮断チャンバ70cの内部には、調整搬送部5の少なくとも一部が収容されている。また、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に、カメラが設けられていても良い。そして、カメラを用いることにより、ボトル100が成形上問題ないかどうかを検査しても良い。さらに、雰囲気遮断チャンバ70cの内部に、温度計が設けられていても良い。そして、この温度計によって、殺菌前のボトル100の温度が測定されても良い。ここで、ボトル100の温度は、ボトル100の殺菌効率を左右する重要な要素の1つである。すなわち、ボトル100の温度を適切な温度に保つことにより、ボトル100の殺菌効率を向上できる。このため、温度計によって、殺菌前のボトル100の温度を測定することにより、殺菌時のボトル100の温度を適切な温度に保つことができ、ボトル100の殺菌効率を向上できる。また、雰囲気遮断チャンバ70cの内部で、ボトル成形部30側のボトル100間ピッチから充填装置21のボトル100間ピッチへ変更しても良い。あるいは、雰囲気遮断チャンバ70cの内部にボトル成形部30と充填装置21の位相を合わせ、ホイールの回転速度を同期させる調整ホイールを設けても良い。
【0122】
殺菌剤噴霧チャンバ70dの内部には、殺菌装置11が収容されている。また、エアリンスチャンバ70eの内部には、エアリンス装置14が収容されている。
【0123】
無菌チャンバ70fの内部には、充填装置21と、搬送ホイール12と、キャップ装着装置16とが収容されている。さらに、出口チャンバ70gの内部には、製品ボトル搬出部25が収容されている。
【0124】
上述したプリフォーム殺菌チャンバ70a、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70gの内部には、各チャンバ内の圧力を測定する圧力計(図示せず)が取り付けられている。なお、成形部チャンバ70b及び又は雰囲気遮断チャンバ70cにも、各チャンバ内の圧力を測定する圧力計が取り付けられていても良い。
【0125】
ここで、上述したように、内容物充填システム10は、内容物充填システム10を制御する制御部90を備えている。この制御部90は、充填装置21に電気的に接続されており、充填装置21を制御する。なお、制御部90は、混合対象原料殺菌ライン50、他の原料殺菌ライン70、ボトル成形部30、殺菌装置11、エアリンス装置14、キャップ装着装置16、製品ボトル搬出部25及びキャップ殺菌装置18に電気的に接続されていても良く、制御部90が混合対象原料殺菌ライン50等を制御しても良い。
【0126】
この制御部90は、各チャンバ内を洗浄及び殺菌しても良く、混合対象原料殺菌ライン50の後述する殺菌機60等を洗浄及び殺菌しても良い。本実施の形態では、制御部90は、無菌チャンバ70f内を洗浄(以下、各チャンバ内の洗浄をCOPとも記す)する。また、制御部90は、充填装置21を洗浄(以下、充填装置21内の洗浄をCIP(Cleaning in Place)とも記す)する。
【0127】
なお、製品ボトル101を生産する際には、無菌チャンバ70f内の圧力は、30Pa以上60Pa以下であることが好ましい。
【0128】
また、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、無菌チャンバ70f内の圧力以下であることが好ましい。これにより、エアリンスチャンバ70e内の空気が、無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制できる。このため、無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を良好に維持できる。
【0129】
無菌チャンバ70f内を洗浄及び殺菌する際、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。また、充填装置21を洗浄及び殺菌する際、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上40Pa以下であることが好ましい。これにより、エアリンスチャンバ70e内の空気が、無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制でき、無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を更に良好に維持できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上30Pa以下であることが好ましい。
【0130】
また、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、雰囲気遮断チャンバ70c内の圧力以下であることが好ましい。これにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気が、雰囲気遮断チャンバ70c及び成形部チャンバ70b内に入り込むことを抑制できる。ここで、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気が成形部チャンバ70b内に入り込むことを抑制できることにより、成形部チャンバ70b内の湿度の上昇を抑制できる。上述したように、成形部チャンバ70bの内部には、ボトル成形部30のブロー成形部32が収容されている。このため、成形部チャンバ70b内の湿度の上昇を抑制することにより、ブロー成形部32を構成する機械の腐食を抑制できる。
【0131】
無菌チャンバ70f内を洗浄及び殺菌する際、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。また、充填装置21を洗浄及び殺菌する際、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。これにより、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の空気が、雰囲気遮断チャンバ70c及び成形部チャンバ70b内に入り込むことを抑制でき、成形部チャンバ70b内の湿度の上昇を抑制できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、-10Pa以上10Pa以下であることが好ましい。
【0132】
無菌チャンバ70f内を洗浄及び殺菌する際、出口チャンバ70g内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。また、充填装置21を洗浄及び殺菌する際、出口チャンバ70g内の圧力は、0Pa以上20Pa以下であることが好ましい。これにより、出口チャンバ70g内の空気が無菌チャンバ70f内に入り込むことを抑制でき、無菌チャンバ70fの内部の無菌状態を更に良好に維持できる。なお、製品ボトル101を生産する際には、出口チャンバ70g内の圧力は、10Pa以上20Pa以下であることが好ましい。
【0133】
このような内容物充填システム10は、例えば無菌充填システムからなっていても良い。この場合、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70gの内部は無菌状態に保持される。なお、出口チャンバ70gの下流側に、無菌状態の無菌ゾーンと、非無菌状態の非無菌ゾーンとを連結するチャンバ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0134】
次に、内容物充填システム10の混合ライン51Aと、混合対象原料殺菌ライン50と、他の原料殺菌ライン70について説明する。
【0135】
ここではまず図2A1により、混合ライン51Aについて説明する。混合ライン51Aは対象原料と水を混合して混合対象原料を生成するものである。このような混合ライン51Aは、純水製造装置50cから供給された水(純水)を貯留する水タンク50aと、内容物の原料のうち対象原料を貯留する対象原料タンク50bと、水タンク50a内の水と対象原料タンク50b内の対象原料を混合して混合対象原料を生成する混合タンク51とを有する。
【0136】
水タンク50aは、水の供給源(例えば、上述する純水製造装置50c)から供給された水(純水)を貯留するタンクである。例えば内容物が飲料水の場合、食品衛生法によって定められている食品製造用水を使用することが義務付けられている。食品製造用水は、活性炭、逆浸透膜又はイオン交換樹脂(EDI含む)等を備える純水製造装置50cで生成された純水(RO水、イオン交換水または蒸留水)である。純水は、カルシウム、マグネシウム、塩素、鉄又はミネラル分等の不純物が取り除かれた水である。この場合、純水の蒸発残留物は、20mg/L以下である。さらに、純水の電気伝導率は、0.1μS/cm以上20μS/cm以下である。後述するように、本実施の形態では、水は、紫外線によって殺菌される。このため、殺菌する水の電気伝導率が20μS/cm以下であることにより、後述する第1紫外線ランプ67a等の表面に、無機物(カルシウム等の酸化物)等が付着することを抑制できる。このため、紫外線透過率の低下を防ぐことができる。また、純水製造装置50cから供給される水は、純水に限らず、超純水でもよい。製薬用水として用いられる精製水や注射用水でもよい。
【0137】
この水タンク50aは、水を貯留することにより、水の流れを円滑にする役割を果たす。水タンク50aの容積は、30m以上100m以下であっても良く、一例として、50mであっても良い。
【0138】
また、水タンク50a内の菌数は、0.01CFU/mL以上10CFU/mL以下であることが望ましい。なお、水タンク50a内の菌数が10CFU/mLよりも多くなる場合、水タンク50aを塩素、熱水又は蒸気等で殺菌することが好ましい。水タンク50a内の菌数は、常時モニタリングされるとともに、上記範囲内になるように制御されても良い。これにより、追加の機器を設けることなく、無菌性を維持した水を製造できる。このため、後述する混合対象原料殺菌ライン50の殺菌機60を高コストな仕様にすることなく、殺菌機60が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。なお、水タンク50aの上流側又は下流側に第1殺菌機62と同一構成の前段殺菌機62Aを設けてもよい。
【0139】
また対象原料タンク50bは上述した内容物のうち対象原料を貯留するものであり、水タンク50aからの水と対象原料タンク50bからの対象原料とが混合タンク51内で混合されて混合対象原料が生成される。
【0140】
このような構成からなる混合ライン51Aの下流側に、水を搬送するためのポンプP1と、水の流量を測定するための流量計Fが設けられていても良い。ポンプP1及び流量計Fは、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に設けられていても良い。また、流量計Fの下流側には、上述した殺菌機60からなる混合対象原料殺菌ライン50が設けられている。
【0141】
殺菌機60からなる混合対象原料殺菌ライン50は、混合タンク51内で水と対象原料とを混合することにより得られた混合対象原料を非加熱で殺菌する殺菌機である。なお、殺菌機60の詳細は後述する。
【0142】
また殺菌機60の下流側にはタンク52が設けられ、このタンク52は、殺菌機60によって殺菌された混合対象原料を貯留するタンク(いわゆるアセプティックタンク)である。このタンク52は、殺菌された混合対象原料を貯留することにより、混合対象原料の流れを円滑にする役割を果たす。タンク52の容積は、5m以上50m以下であっても良く、一例として、10mであっても良い。
【0143】
また、タンク52の下流側に、混合タンク55が設けられ、この混合タンク55により、混合対象原料と、他の原料殺菌ライン70により殺菌された他の原料とが混合されて内容物が生成される。
【0144】
さらに、図2A2に示すように、タンク52の上流側に、循環ライン59が接続されていても良い。この循環ライン59は、混合タンク51に接続されていても良い。これにより、殺菌機60の異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63、第2殺菌機64、第2除菌フィルタ65、循環ライン59及び混合タンク51によって、水を循環させる循環系59Aが構成されていても良い。
【0145】
(混合対象原料殺菌ラインと殺菌機)
次に、混合対象原料殺菌ライン50の殺菌機60について説明する。この殺菌機60は、内容物充填システム10で使用する混合対象原料を殺菌する殺菌機である。本実施の形態では、殺菌機60は、混合対象原料を非加熱殺菌する。上述したように、殺菌機60は、混合タンク51に貯留された混合対象原料を殺菌する。このため、殺菌機60は、電気伝導率が、0.1μS/cm以上20μS/cm以下である混合対象原料を殺菌する。
【0146】
図2A1及び図2A2に示すように、殺菌機60は、少なくとも1つの除菌フィルタ(第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65)を備えている。また、殺菌機60は、少なくとも1つの殺菌機(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を備えている。殺菌機60が、少なくとも1つの除菌フィルタと、少なくとも1つの殺菌機とを備えていることにより、除菌フィルタ及び殺菌機の一方が停止した場合であっても、除菌フィルタ及び殺菌機の他方によって、水の無菌性を保証できる。また、図2A2に示すように、殺菌機60は後述する循環系95Aを有する。
【0147】
図2A1及び図2A2に示す例においては、殺菌機60は、異物除去フィルタ61と、第1殺菌機62と、第1除菌フィルタ63と、第2殺菌機64と、第2除菌フィルタ65とを備えている。異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63、第2殺菌機64及び第2除菌フィルタ65は、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。このように、除菌フィルタ(この場合、第1除菌フィルタ63)の下流側に、殺菌機(この場合、第2殺菌機64)が配設されていることにより、菌が除菌フィルタを通過した場合であっても、殺菌機によって、当該菌を殺菌できる。このとき、図2A3に示すように、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第2殺菌機64、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65が、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。図2A1乃至図2A3に示すように、殺菌機60が複数の除菌フィルタ(第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65)を備えていることにより、一方の除菌フィルタが停止した場合であっても、他方の除菌フィルタによって、水の無菌性を保証できる。また、殺菌機60が複数の殺菌機(第1殺菌機62及び第2殺菌機64)を備えていることにより、一方の殺菌機が停止した場合であっても、他方の殺菌機によって、内容物の無菌性を保証できる。なお、異物除去フィルタ61および第1除菌フィルタ63には、ドレンライン95cが設けられている。
【0148】
また、図2A4に示すように、殺菌機60は、異物除去フィルタ61と、第1殺菌機62と、第1除菌フィルタ63と、第2除菌フィルタ65とを備えていても良い。異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65は、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63と第2除菌フィルタ65との間に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。
【0149】
また、図2A5に示すように、殺菌機60は、第1殺菌機62と、第1除菌フィルタ63と、第2除菌フィルタ65とを備えていても良い。第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65は、水の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63と第2除菌フィルタ65との間に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。また、図2A6に示すように、第1除菌フィルタ63、第1殺菌機62、第2除菌フィルタ65及び第2殺菌機64が、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。さらに、図2A7に示すように、第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63、第2除菌フィルタ65及び第2殺菌機64が、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。
【0150】
また、図2Bに示すように、殺菌機60は、第1殺菌機62と、第1除菌フィルタ63とを備えていても良い。第1殺菌機62及び第1除菌フィルタ63は、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。また、図2Cに示すように、第1除菌フィルタ63及び第1殺菌機62が、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。これらの場合、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63と後述するバルブV1との間に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。
【0151】
また、図2Dに示すように、殺菌機60は、第1殺菌機62と、第2殺菌機64と、第1除菌フィルタ63とを備えていても良い。第1殺菌機62、第2殺菌機64及び第1除菌フィルタ63は、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63の下流側に設けられた第2除菌フィルタ65を更に備えていても良い。また、第1殺菌機62の上流側に前段殺菌機62Aが設けられている。
【0152】
また、図2Eに示すように、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63と、第2除菌フィルタ65と、第1殺菌機62とを備えていても良い。第1除菌フィルタ63、第2除菌フィルタ65及び第1殺菌機62は、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されていても良い。この場合、殺菌機60は、第1殺菌機62の下流側に設けられた第2殺菌機64を更に備えていても良い。
【0153】
また、殺菌機60は、除菌フィルタを備えていなくても良い。すなわち、製品原液を水によって希釈することによって生成された内容物の無菌品質レベル、及び又は内容物における菌の増殖特性等により、殺菌機60が除菌フィルタを備えていなくても良い場合がある。この場合、例えば、図2Fに示すように、殺菌機60は、第1殺菌機62のみを備えていても良い。また、図2Gに示すように、殺菌機60は、第1殺菌機62と第2殺菌機64とを備えていても良い。このように、殺菌機60が無菌フィルタを備えていない場合、殺菌機60の製造コストを低減できる。
【0154】
さらに、殺菌機60は、殺菌機を備えていなくても良い。すなわち、製品原液を水によって希釈することによって生成された内容物の無菌品質レベル、及び又は内容物における菌の増殖特性等により、殺菌機60が殺菌機を備えていなくても良い場合がある。この場合、例えば、図2Hに示すように、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63のみを備えていても良い。また、図2Iに示すように、殺菌機60は、第1除菌フィルタ63と第2除菌フィルタ65とを備えていても良い。このように、殺菌機60が殺菌機を備えていない場合においても、殺菌機60の製造コストを低減できる。
【0155】
次に、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63、第2殺菌機64及び第2除菌フィルタ65について説明する。なお、以下の説明では、主に図2A1に示す殺菌機60を例にとって、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62、第1除菌フィルタ63、第2殺菌機64及び第2除菌フィルタ65を説明する。ここでは、まず、異物除去フィルタ61について説明する。
【0156】
異物除去フィルタ61は、水内の異物を除去するフィルタである。図示された例においては、殺菌機60は、単一の異物除去フィルタ61を備えている。しかしながら、これに限られず、殺菌機60が、複数の異物除去フィルタ61を備えていても良い。この異物除去フィルタ61の目開き(濾過精度)は、例えば0.20μm以上10μm以下であっても良く、0.45μm以上10μm以下であっても良い。また、異物除去フィルタ61の目開きは、真菌類(カビ・酵母等)を除去可能な大きさであることが好ましい。後述するように、異物除去フィルタ61の下流側に設けられた第1殺菌機62等では、水に対して紫外線が照射される。このため、異物除去フィルタ61の目開きは、紫外線に対して耐性のあるカビ類を除去可能な大きさであることが好ましく、0.45μm以上1.0μm以下であることが好ましい。なお、異物除去フィルタ61を通過した水の無菌性を高めるために、異物除去フィルタ61の目開きは、0.2μm以上1.0μm以下であっても良い。これにより、水に残存するほぼ全ての菌を捕集し得る。また、異物除去フィルタ61を通過した水の無菌性を高めるために、目開きが0.1μm以上0.22μm以下である無菌グレードのフィルタが、異物除去フィルタ61として使用されても良い。
【0157】
第1殺菌機62は、異物除去フィルタ61の下流側に設けられている。また、第1殺菌機62は、第1除菌フィルタ63の上流側に設けられている。第1殺菌機62は、紫外線によって混合対象原料を殺菌する殺菌機である。これにより、異物除去フィルタ61を通過した菌(カビ・酵母以外の細菌)を殺菌できる。また、第1殺菌機62が紫外線によって混合対象原料を殺菌することにより、混合対象原料を加熱することによって混合対象原料を殺菌する場合と比較して、内容物充填システムが排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。とりわけ、上述したように、内容物を生成する場合、製品原料は、水によって、1.1倍以上100倍以下に希釈され得て、好ましくは2倍以上10倍以下に希釈され得る。製品原料が水によって、2倍以上10倍以下に希釈された場合、内容物の50%以上90%以下は、水である。このため、水を含む混合対象原料を加熱することなく殺菌することにより、内容物を生成する際に排出される二酸化炭素の排出量を大幅に低減できる。
【0158】
ところで、純水製造装置50cから供給される菌数濃度が高い場合(例えば、1CFU/ml以上)、且つ異物除去フィルタ61が除菌フィルタのポアサイズ(0.1~1μm)であった場合に、異物除去フィルタ61は短期間で菌汚染される。菌が異物除去フィルタ61で大量に捕捉され、菌増殖すると、水の品質に影響を及ぼす場合がある。そこで、第1殺菌機62を異物除去フィルタ61の上流側にも設置すると良い(図2Bの62A参照)。長期間、品質の良い無菌水を製造することが可能になる。
【0159】
上述したように、本実施の形態では、第1殺菌機62は、紫外線によって水を殺菌する。この場合、図3及び図4に示すように、第1殺菌機62は、本体部66と、本体部66内に設けられた紫外線照射部67とを有していても良い。
【0160】
このうち本体部66は、中空状に形成されている。また、本体部66の形状は、円錐台形状である。具体的には、本体部66は、円錐台形状の内面を有しており、小径側の端部が、大径側の端部より上方に位置するように向けられている。この本体部66の下部に、本体部66の内部に混合対象原料を導入する導入部68が形成され、本体部66の上部に、殺菌された混合対象原料を本体部66から排出する排出部69が形成されていても良い。本体部66に形成された導入部68には、導入管68aが連結されていても良く、導入管68aは、平面視において、本体部66の内面の接線方向に延びるように設けられていても良い。この場合、内面の接線方向とは、導入部68を含む水平断面において、本体部66の内面によって構成される円の接線のうち、導入される混合対象原料が本体部66の内面に衝突する部分における接線方向である。
【0161】
導入部68を通って本体部66の内部に導入された混合対象原料は、本体部66の内面に沿って案内されることにより、周方向に旋回する。そして、混合対象原料は、旋回しながら上方に移動し、排出部69から排出される。これにより、本体部66の内部に導入された混合対象原料の流れの偏りを抑制できる。このため、本体部66の内部に導入された混合対象原料の一部が短時間で排出部69から排出されること(いわゆるショートパス)を防止できる。
【0162】
また、図4に示すように、本体部66内に、混合対象原料の流れを規制する邪魔板66aが設けられていても良い。この邪魔板66aは、螺旋状に周回するように、本体部66の内面から径方向に突出していても良い。このような邪魔板66aが本体部66内に設けられることにより、導入部68を通って本体部66の内部に導入された混合対象原料が、周方向に旋回することなく上方に移動することを抑制できる。このため、いわゆるショートパスをより確実に防止できる。なお、図示はしないが、本体部66内において、邪魔板66aが螺旋状に周回していなくても良い。この場合、例えば、本体部66内に、それぞれ平面視における形状が円環形状である複数の邪魔板66aが設けられていても良く、中央の開口部を水が通過するように構成されていても良い。
【0163】
さらに、本体部66内に、紫外線照射部67の後述する第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bを固定するための固定部材66bが設けられていても良い。固定部材66bの形状は、例えば、平面視において、十字形状であっても良い。これにより、水の上方への移動が、固定部材66bによって妨げられることを抑制できる。あるいは、固定部材66bの形状は、例えば、円盤形状であっても良く、平面視において円形状であっても良い。この場合、固定部材66bには、図示しない貫通孔が形成されていても良く、当該貫通孔を混合対象原料が通過するように構成されていても良い。
【0164】
なお、本体部66に、紫外線照射部67から照射された紫外線の照度を測定する照度計が設置されていても良い。また、紫外線照射部67の後述する第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bの出力を測定する出力計が設置されていても良い。また、上述した流量計Fにより、混合対象原料が本体部66の内部を通過する時間(滞留時間)を常時監視しても良い。さらに、本体部66を通過する混合対象原料の温度、濁度及び又は色度を、常時又は適宜測定し、紫外線の照射量及び又は透過率に異常がないことを確認しても良い。
【0165】
混合対象原料の殺菌保証は、照度計の指示値を常時監視して行う。照度が設定値から上昇あるいは下降した場合、紫外線の出力を自動調整し、設定値に近づけると良い。また、送液流量を変動させるためにポンプP1の周波数を変動させ、照度を設定値に近づけても良い。照度に関し、上限値は設けずに、下限値のみ設けても良い。また、万が一送液時の照度が下限値を下回った場合、混合対象原料の流れを直ちに循環ライン59に切替え、タンク(アセプティックタンク)52以降の無菌性を維持する。その後、殺菌機60の洗浄・殺菌、又は殺菌のみを行い、製造を再開しても良い。
【0166】
次に、紫外線照射部67について説明する。紫外線照射部67は、本体部66の径方向中央に設けられた第1紫外線ランプ67aと、第1紫外線ランプ67aの周囲に設けられた複数の第2紫外線ランプ67bとを含んでいても良い。図示された例においては、1本の第1紫外線ランプ67aの周囲に、4本の第2紫外線ランプ67bが設けられている。
【0167】
各々の第2紫外線ランプ67bは、本体部66の内面に沿って配置されている。すなわち、各々の第2紫外線ランプ67bは、上方に向かうにつれて径方向内側に傾斜するように設けられている。この場合、第2紫外線ランプ67bは、周方向に沿って等間隔に配置されていることが好ましい。これにより、紫外線の積算照射量(mJ/cm)にバラツキが生じることを抑制できる。第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、それぞれ、波長が200nm以上450nm以下の紫外線を照射する紫外線ランプであっても良い。
【0168】
このような第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、それぞれ低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ又はUV-LEDであっても良い。この場合、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bは、それぞれ低圧水銀ランプ又は中圧水銀ランプであることが好ましい。低圧水銀ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が10Pa未満となる水銀ランプである。この低圧水銀ランプは、殺菌効果の高い波長(253.7nm)の紫外線を効率よく照射できる。このため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが、それぞれ低圧水銀ランプである場合、第1殺菌機62及び第2殺菌機64における殺菌効果を向上できる。低圧水銀ランプは、水銀と他の金属との合金であるアマルガムが発光管内に封入されたアマルガムランプ(低圧高出力アマルガムランプ)であっても良い。
【0169】
中圧水銀ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が40kPa以上となる水銀ランプである。一般的に、中圧水銀ランプは、低圧水銀ランプと比較して、高出力の水銀ランプである。このため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが、それぞれ中圧水銀ランプである場合、多くの量の水を第1殺菌機62及び第2殺菌機64が殺菌できる。また、中圧水銀ランプが高出力の水銀ランプであるため、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bが、それぞれ中圧水銀ランプである場合、第1殺菌機62及び第2殺菌機64の小型化を図ることができる。
【0170】
ここで、紫外線による菌の殺菌効果は、紫外線の積算照射量(mJ/cm)によって変化する。すなわち、紫外線の積算照射量が多いほど紫外線による菌の殺菌効果が高まる。この積算照射量は、照度(mW/cm)と、照射時間(sec)との積によって求められる。このため、紫外線による菌の殺菌効果を高めるためには、光源(第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67b)と混合対象原料との間の距離を短くするとともに、紫外線の照射時間を長くすることが求められる。とりわけ、照度は、紫外線を照射する光源からの距離の二乗に反比例する。例えば、光源からの距離が2倍になった場合、照度は1/4になり、光源からの距離が3倍になった場合、照度は1/9になる。このため、水が光源の近くを通過することにより、紫外線による菌の殺菌効果を高めることができる。
【0171】
上述したように、本実施の形態では、本体部66の下部に、本体部66の内部に混合対象原料を導入する導入部68が形成され、本体部66の上部に、殺菌された混合対象原料を本体部66から排出する排出部69が形成されている。これにより、ショートパスを防止でき、混合対象原料が本体部66の内部に滞留する時間を長くできる。このため、混合対象原料に対する紫外線の照射時間を長くでき、紫外線の積算照射量を多くできる。また、混合対象原料を本体部66の下部から導入することにより、第1殺菌機62の稼働初期の水、すなわち、空の状態の本体部66に導入された混合対象原料であっても、混合対象原料が本体部66の内部に滞留する時間を十分に確保できる。このため、水に対する紫外線の照射時間を長くできる。
【0172】
また、本体部66の形状は、円錐台形状である。これにより、本体部66の上部において、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bと混合対象原料と間の距離を短くできる。このため、紫外線による菌の殺菌効果を高めることができる。また、紫外線照射部67が、本体部66の径方向中央に設けられた第1紫外線ランプ67aと、第1紫外線ランプ67aの周囲に設けられた複数の第2紫外線ランプ67bとを含んでいる。これにより、周方向に旋回しながら上方に移動する混合対象原料に対して、ムラなく紫外線を照射できる。このため、紫外線の積算照射量にバラツキが生じることを抑制できる。
【0173】
ここで、水に対する紫外線の積算照射量は、10mJ/cm以上10000mJ/cm以下であることが好ましく、100mJ/cm以上1000mJ/cm以下であることがより好ましい。すなわち、本体部66を通過した際に、内容物に対する紫外線の積算照射量は、254nmの波長で10mJ/cm以上10000mJ/cm以下であることが好ましく、100mJ/cm以上1000mJ/cm以下であることがより好ましい。またより好ましくは130mJ/cm以上500mJ/cm以下である。紫外線の積算照射量が10mJ/cm以上であることにより、第2除菌フィルタ65を通過する可能性がある水棲菌(貧栄養環境の水内で増殖可能なPseudomonas属またはMethylobacterium属等のグラム陰性菌)を効果的に殺菌できる。また、紫外線の積算照射量が100mJ/cm以上であることにより、細菌胞子も殺菌できる。また、紫外線の積算照射量が10000mJ/cm以下であることにより、電気消費量を低減でき、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。ここで、紫外線の波長は、250nm以上260nm以下であっても良く、一例として253.7nm(254nm)であっても良い。紫外線の波長が250nm以上260nm以下、とりわけ253.7nmであることにより、紫外線による菌の殺菌効果を高めることができる。ここで、本明細書中「水棲菌」とは、目開きが0.2μmの除菌フィルタを通過可能な菌を意味し、以下、「除菌フィルタ通過菌」ともいうことができる。また、紫外線照射部67が照射する紫外線の照射量は、実際の化学線量計又は生物線量計によって求められたRED(換算紫外線照射量:Reduction Equivalent UV Dose)に基づいて設定されても良い。詳細は、「ULTRAVIOLET DISINFECTION GUIDANCE MANUAL FOR THE FINAL LONG TERM 2 ENHANCED SURFACE WATER TREATMENT RULE, United States Environmental Protection Agency, EPA 815-R-06-007,November 2006」を参照できる。
【0174】
このような第1殺菌機62は、殺菌(SIP)可能であることが好ましい。これにより、第1殺菌機62を定期的に殺菌できる。なお、第1殺菌機62を殺菌する場合、上述した制御部90は、蒸気又は熱水で第1殺菌機62を殺菌しても良い。あるいは、第1殺菌機62が熱に弱い場合には、制御部90は、殺菌機60を含む循環系59Aにおいて、例えば過酢酸を含む殺菌剤を循環させることにより、第1殺菌機62を殺菌しても良い。この場合、制御部90は、循環系59Aにおいて、殺菌剤を少なくとも10秒以上60分以下で循環させても良い。
【0175】
なお、図5A及び図5Bに示すように、第1殺菌機62の本体部66の形状が、円筒形状であっても良い。この場合、本体部66に形成された排出部69には、排出管69aが連結されていても良く、排出管69aは、平面視において、本体部66の内面の接線方向に延びるように設けられていても良い。この場合、内面の接線方向とは、排出部69を含む水平断面において、本体部66の内面によって構成される円の接線のうち、内面に当接しながら周回した混合対象原料が本体部66の内面から離れる方向に向かう接線方向である。本体部66の形状が、円筒形状である場合、混合対象原料が本体部66の内部に滞留する時間を長くできる。このため、混合対象原料に対する紫外線の照射時間を長くでき、紫外線の積算照射量を多くできる。なお、この場合、図示はしないが、複数の第2紫外線ランプ67bが、上方に向かうにつれて径方向内側に傾斜するように設けられていても良い。
【0176】
また、図6A及び図6Bに示すように、本体部66の形状が、円筒形状であり、本体部66の一方の端部に、本体部66の内部に混合対象原料を導入する導入部68が形成されていても良い。また、本体部66の他方の端部に、殺菌された混合対象原料を本体部66から排出する排出部69が形成されていても良い。この場合、本体部66の長手方向(水の進行方向)が水平方向となるように、本体部66が配置されても良く、本体部66の長手方向(水の進行方向)が上下方向になるように、本体部66が配置されても良い。
【0177】
本変形例では、紫外線照射部67は、混合対象原料の進行方向に沿って配置された複数の第3紫外線ランプ67cを含んでいても良い。これにより、水に対して、ムラなく紫外線を照射できる。このため、紫外線の積算照射量にバラツキが生じることを抑制できる。
【0178】
また、混合対象原料の進行方向において互いに隣り合う第3紫外線ランプ67cは、混合対象原料の進行方向から見た場合に、互いに異なる方向に延びていても良い。これにより、紫外線の積算照射量にバラツキが生じることをより効果的に抑制できる。図示された例においては、各々の第3紫外線ランプ67cは、規則的に配置されている。すなわち、各々の第3紫外線ランプ67cは、混合対象原料の進行方向の上流側(図6Bの左側)から見た場合に、混合対象原料の進行方向下流側(図6Bの右側)に向かうにつれて、本体部66の中心軸線Xを中心に45°ずつ時計回り方向に回転している。なお、各々の第3紫外線ランプ67cは、不規則的に配置されていても良い。
【0179】
第3紫外線ランプ67cは、第1紫外線ランプ67a及び第2紫外線ランプ67bと同様の紫外線ランプであっても良い。すなわち、第3紫外線ランプ67cは、波長が200nm以上450nm以下の紫外線を照射する紫外線ランプであっても良い。また、第3紫外線ランプ67cは、低圧水銀ランプ(低圧高出力アマルガムランプを含む)又は中圧水銀ランプであっても良い。なお、図示はしないが、本体部66内に、水の流れを規制する邪魔板66aが設けられていても良い。
【0180】
また、図3乃至図6Bに示す第1殺菌機62において、第1殺菌機62における殺菌効率を高めるために、本体部66内で紫外線を反射させても良い。例えば、図6A及び図6Bに示す第1殺菌機62を例にとって説明すると、図6Cに示すように、本体部66は、外側部材660と、外側部材660の内部に設けられた内側部材661とを含んでいても良い。外側部材660は、例えば、研磨されたステンレス鋼管から構成されていても良い。内側部材661は、ガラス管から構成されていても良い。また、外側部材660と内側部材661との間に、空気層662が介在されていても良い。この場合、内側部材661のガラス管のガラスとして、紫外線透過率の高いガラス(例えば、石英ガラス又はフッ化物ガラス)を用いた場合、図6Cに示すように、内側部材661と空気層662との界面において、紫外線UVを反射させることができる。なお、内側部材661の材料としては、第3紫外線ランプ67c等が照射する紫外線の波長に合わせて、紫外線の透過率が高い材質が適宜選択されても良い。また、内側部材661の材料としては、ガラス以外が用いられても良く、例えば、ガラスと同様の特性を有するプラスチックが用いられても良い。さらに、外側部材660の内面及び又は内側部材661の外面に、反射率の高い材料がコーティングされていても良い。とりわけ、図6A及び図6Bに示す第1殺菌機62のように、本体部66が細長い場合、外側部材660の内面等に反射率の高い材料をコーティングすることにより、紫外線UVの減衰を抑制しつつ、紫外線UVを繰り返し反射させることができる。このため、水を効率よく殺菌できる。なお、紫外線UVは、本体部66の内部において、1回以上反射することが好ましい。この場合、外側部材660等と第3紫外線ランプ67c等との間の距離を短くすることにより、紫外線UVの反射回数を2回以上とすることがより好ましい。ここで、中圧水銀ランプから照射された紫外線は、低圧水銀ランプから照射された紫外線と比較して、より遠くまで照度を維持できる。このため、第3紫外線ランプ67c等が中圧水銀ランプである場合、本体部66の内部において、紫外線UVを複数回反射させた場合であっても、紫外線UVによる殺菌効果が低下することを効果的に抑制できる。
【0181】
また、水が第1殺菌機62を通過する通過時間は、0.1秒以上10秒未満であっても良く、0.5秒以上5秒未満であることが好ましい。なお、通過時間は、導入部68から本体部66の内部に導入された水が、排出部69から排出されるまでの時間である。通過時間が0.1秒以上であることにより、水の殺菌効果にバラツキが生じることを抑制できる。このため、十分な殺菌効果を得ることができる。通過時間が10秒未満であることにより、第1殺菌機62の小型化を図ることができる。なお、水が第1殺菌機62を通過する通過時間は、第1殺菌機62が処理(殺菌)する水の流量に基づいて、適宜変更されても良い。
【0182】
再度図2A1を参照すると、第1除菌フィルタ63は、第1殺菌機62の下流側に設けられている。この第1除菌フィルタ63は、混合対象原料に残存する菌を捕集することにより、混合対象原料を除菌する精密濾過フィルタ(MF(Micro-Filtration)である。第1除菌フィルタ63の目開きは、0.1μm以上0.45μm以下であっても良く、0.1μm以上0.22μm以下であることが好ましい。第1除菌フィルタ63の目開きが0.1μm以上であることにより、混合対象原料の殺菌効率の低下を抑制できる。また、第1除菌フィルタ63の目開きが0.45μm以下であることにより、混合対象原料に残存する菌を第1除菌フィルタ63によって効果的に捕集できる。一部のウイルスも除去可能な、目開きが0.02μm以上0.1μm以下のフィルタを、無菌フィルタ63として使用されても良い。また第1除菌フィルタ63の濾過膜(メンブレン)の材質は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、混合セルロース(SCWP)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミドなどが良い。内容物の適性に応じて、例えば逆浸透膜(RO(Reverse Osmosis)膜)であっても良く、限界濾過膜(UF(Ultra-Filtration)膜)であっても良い。
【0183】
この第1除菌フィルタ63は、殺菌(SIP)可能であることが好ましい。これにより、第1除菌フィルタ63を定期的に殺菌できる。ここで、上述したように、第1除菌フィルタ63は、第1殺菌機62を通過し、混合対象原料に残存する菌を捕集する。このため、殺菌機60において長期間水の殺菌を続けると、捕集された菌が第1除菌フィルタ63内で繁殖し得る。また、有機物である菌の死骸が第1除菌フィルタ63等に付着していた場合、菌の死骸が基質になり得る。この場合、菌が第1除菌フィルタ63内で更に繁殖し得る。このように、第1除菌フィルタ63内で繁殖した場合、第1除菌フィルタ63を通過する混合対象原料内に入り込む可能性がある。これに対して、第1除菌フィルタ63が殺菌可能であることにより、第1除菌フィルタ63に付着した菌が、第1除菌フィルタ63を通過する混合対象原料内に入り込むことを抑制できる。この結果、第1除菌フィルタ63の濾過性能が低下することを抑制できる。なお、第1除菌フィルタ63を殺菌する場合、殺菌用の蒸気等は、後述する、無菌エアの供給口60aから第1除菌フィルタ63に供給されても良い。
【0184】
ここで、第1除菌フィルタ63の殺菌の程度については、F値によって管理されても良い。言い換えれば、第1除菌フィルタ63を有する殺菌機60を殺菌する際、殺菌機60の殺菌の程度については、F値によって管理されても良い。この際、例えば、制御部90は、第1除菌フィルタ63の流路に流された加熱蒸気(流体)又は熱水(流体)の温度を測定するとともに、測定された温度に基づいてF値を算出しても良い。そして、F値が目的値以上となった場合に、制御部90は、第1除菌フィルタ63の殺菌を終了しても良い。加熱蒸気又は熱水の温度を測定する場合、制御部90は、第1除菌フィルタ63の流路に、加熱蒸気又は熱水を流しつつ、流路のうち温度が上昇しにくい各所に配置された温度センサで温度を測定しても良い。そして、制御部90は、各温度センサからの温度が所定温度に達した時間が所定時間以上となったときに、加熱蒸気等による流路の加熱を終了させても良い。これにより、第1除菌フィルタ63に対して必要以上に熱を加えることなく、第1除菌フィルタ63を殺菌できる。ここでF値とは、菌を一定時間で加熱したとき、全ての菌を死滅させるのに要する加熱時間であり、121.1℃における菌の致死時間で示され、下記の式によって算出される。
【数1】
【0185】
(ただし、Tは任意の殺菌温度(℃)、10^{(T-Tr)/Z}は任意の殺菌温度Tでの致死率、Trは基準温度(℃)、ZはZ値(℃)を表す。)
また、第1除菌フィルタ63は、第1除菌フィルタ63の目開きに対する後述する完全性試験を行うことが可能であることが好ましい。ここで、完全性試験は、以下のようにして行うことができる。例えば、まず、第1除菌フィルタ63内のハウジング(図示せず)に水を充填する。次に、水が充填された第1除菌フィルタ63内に、例えば無菌エアの供給口60aから無菌エアを注入する。次いで、第1除菌フィルタ63から無菌エアが抜けるまで、無菌エアの圧力を高める。そして、第1除菌フィルタ63から無菌エアが抜けた際の無菌エアの圧力(バブルポイント)に基づいて、第1除菌フィルタ63の目開きの大きさを判断する。このように、第1除菌フィルタ63が、第1除菌フィルタ63の目開きに対する完全性試験を行うことが可能であることにより、第1除菌フィルタ63の劣化具合を容易に判断できる。なお、第1除菌フィルタ63内の圧力を測定するために、無菌エアの供給口60a近傍に、圧力計P2が設けられていても良い。完全性試験は、前述のバブルポイント試験以外に、ディフージョンフロー試験、プレッシャーホールド試験などで行ってもよい。
【0186】
第2殺菌機64は、第1除菌フィルタ63の下流側に設けられている。この第2殺菌機64の構成は、図3乃至図6Bに示す第1殺菌機62と略同一の構成としても良い。すなわち、第2殺菌機64は、紫外線によって水を殺菌する殺菌機であっても良い。
【0187】
第2除菌フィルタ65は、第2殺菌機64の下流側に設けられている。この第2除菌フィルタ65は、第2殺菌機64を通過し、混合対象原料に残存する菌を捕集することにより、混合対象原料を除菌するフィルタである。第2除菌フィルタ65の目開きは、第1除菌フィルタ63の目開き以下であることが好ましい。これにより、万が一、混合対象原料内の菌が第1除菌フィルタ63を通過した場合であっても、第2除菌フィルタ65によって、当該菌を捕集できる。このため、混合対象原料の無菌性を十分に確保できる。また、第2除菌フィルタ65の目開きが、第1除菌フィルタ63の目開きと同等である場合、殺菌機と除菌フィルタとによって構成される殺菌セットを、混合対象原料の搬送方向に沿って、2セット配置できる。すなわち、第1殺菌機62と第1除菌フィルタ63とによって構成される第1の殺菌セットと、第2殺菌機64と第2除菌フィルタ65とによって構成される第2の殺菌セットとを、混合対象原料の搬送方向に沿って、直列に配置できる。このため、一方の殺菌セットに何らかの異常が発生した場合であっても、混合対象原料の無菌性を保証できる。なお、殺菌セットは、混合対象原料又は最終製品(内容物)の無菌性保証レベル(SAL(Sterility Assurance Level))に合わせて、複数設けられていても良い(図2A1図2A2図2A4乃至図A7参照)。また、図2B等に示すように、殺菌セットの個数は、1つであっても良く、図示はしないが、殺菌セットの個数は、3つ以上であっても良い。
【0188】
第2除菌フィルタ65の目開きは、0.1μm以上0.45μm以下であっても良く、0.1μm以上0.22μm以下であることが好ましい。第2除菌フィルタ65の目開きが0.1μm以上であることにより、混合対象原料の殺菌効率の低下を抑制できる。また、第2除菌フィルタ65の目開きが0.45μm以下であることにより、混合対象原料に残存する菌を第2除菌フィルタ65によって更に効果的に捕集できる。第2除菌フィルタ65の濾過膜は、例えば、逆浸透膜(RO(Reverse Osmosis)膜)であっても良く、限界濾過膜(UF(Ultra-Filtration)膜)であっても良い。
【0189】
第2除菌フィルタ65のその他の構成は、第1除菌フィルタ63と略同一の構成としても良い。すなわち、第2除菌フィルタ65は、殺菌(SIP)可能であっても良い。また、第2除菌フィルタ65は、第2除菌フィルタ65の目開きに対する完全性試験を行うことが可能であっても良い。
【0190】
ここで、殺菌機60において、菌数レベルの目標値(FSO(Food Safety Objective/ISO13409-1996)(=logN))に基づいて、水の殺菌強度を調整しても良い。
【0191】
この場合、例えばフィルタ(例えば、第1除菌フィルタ63)に入る前の混合対象原料内の初発菌数レベルをH(=logN)とする。この場合、フィルタの初発菌数レベルHは、フィルタ(例えば、第1除菌フィルタ63)による除菌効果(水内の菌減少数レベル:ΣR(=log(N/NR)>0)によって減少する。なお、「N」は、水内の初発菌数を意味し、「NR」は、フィルタ(例えば、第1除菌フィルタ63)によって除菌された後の混合対象原料内の菌数を意味する。
【0192】
一方、フィルタを通過する間に、混合対象原料内の菌が、ある一定の割合で増加する場合も考えられる(混合対象原料内の菌増加数レベル:ΣI(=log(N)≧0))。なお、「N」は、フィルタを通過する間に増加した菌数を意味する。
【0193】
また、混合対象原料内の菌は、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)による殺菌効果(混合対象原料内の菌減少数レベル:ΣR(=log(N/NR)>0))によって再び減少する。殺菌機60を通過した後の混合対象原料内の菌数レベルが目標値(FSO(Food Safety Objective/ISO13409-1996)(=logN))以下であれば、混合対象原料殺菌ライン50によって殺菌された混合対象原料の無菌性には問題がないと考えることができる。なお、「NR」は、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)によって殺菌された後の混合対象原料内の菌数を意味し、「N」は、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)によって殺菌された後の混合対象原料内の菌数の目標値を意味する。
【0194】
上述した、H、ΣR、ΣI、ΣR及びFSOの関係を式として表すと以下のようになる。
【0195】
-ΣR+ΣI-ΣR≦FSO・・・(式1) このため、ΣRの値が(H-ΣR+ΣI)-FSO以上となるように、殺菌機(例えば、第2殺菌機64)の殺菌能力を設定することにより、混合対象原料の無菌性を目標値(FSO)以下とすることが可能となる。
【0196】
また、殺菌機60の入口、殺菌機60の出口、及び、異物除去フィルタ61と第1殺菌機62との間等には、混合対象原料を無菌的にサンプリングするためのサンプリングポイントSP1乃至SP6(SP)が設けられていても良い。また、このサンプリングポイントSP1乃至SP6のうちの少なくとも一部には、図示しないバルブを介して、サンプリングラインSLが接続されていても良い。これにより、サンプリングポイントSP1乃至SP6又はサンプリングラインSLから水を無菌的にサンプリングすることにより、水内の菌数を容易に測定できる。なお、サンプリングラインSLには、温度計Tが設けられていても良く、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65を蒸気によって殺菌する際に、温度計Tによって、蒸気の温度を監視しても良い。また、混合対象原料内の菌数を測定する場合、及び又は菌の繁殖といった状態変化を確認する場合、例えば、液をサンプリングし、平板培地を用いて菌数をカウントしても良い。また、例えば、混合対象原料内の菌数及び又は菌の状態変化は、微生物計測器(例えば、アズビル株式会社製、リアルタイム微生物ディテクタ、IMD-W(登録商標))、又は微粒子計測器(液中パーティクルカウンタ)等を用いて測定及び又は確認されても良い。
【0197】
このような殺菌機60の処理能力は、製品ボトル101の生産時に必要とされる最大処理能力の105%以上であることが好ましく、製品ボトル101の生産時に必要とされる最大処理能力の110%以上であることがより好ましい。例えば、殺菌機60の処理能力は、5m/h以上50m/h以下であっても良く、一例として、24m/hであっても良い。また、殺菌機60の処理能力が、製品ボトル101の生産時に必要とされる最大処理能力の105%以上である場合、製品ボトル101の生産時に、タンク52内に所定の量の水を貯留することもできる。この場合、タンク52の容積を適宜設計することにより、上述した第1除菌フィルタ63等の殺菌(SIP)又は完全性試験時であっても、混合対象原料を不足させることなく、製品ボトル101の生産、及び第1除菌フィルタ63等の殺菌(SIP)又は完全性試験を行うことができる。なお、第1除菌フィルタ63等の殺菌(SIP)の所要時間及び完全性試験の所要時間は、それぞれ約30分以上約1時間以下である。このため、タンク52の容積は、製品ボトル101を1時間生産する際に、内容物充填システム10において使用される混合対象原料の量以上としても良い。
【0198】
また、殺菌機60の処理能力は、制御部90によって制御されても良い。例えば、制御部90は、内容物充填システム10を洗浄及び殺菌するために使用する水の量を決定するとともに、決定された混合対象原料の量に基づいて、混合対象原料殺菌ライン50の殺菌機60が製品ボトル101の生産中に殺菌する混合対象原料の量を決定しても良い。ここで、製品ボトル101の生産後に各チャンバ内等を洗浄及び又は殺菌するために必要な無菌水の量は、チャンバ等毎に把握可能である。このため、殺菌機60の処理能力は、製品ボトル101の生産後に使用する無菌水を、製品ボトル101を1ロット生産する間に蓄えられるように、制御部90によって制御されても良い。これにより、製品ボトル101の生産後に、直ちに各チャンバ内等を洗浄及び又は殺菌できる。このため、ダウンタイムを短縮できる。
【0199】
このような殺菌機60は、内容物充填システム10においてボトル100に内容物を充填することにより、製品ボトル101を生産している間、混合対象原料の殺菌を停止することなく、混合対象原料を殺菌し続けることが好ましい。これにより、第1除菌フィルタ63内及び第2除菌フィルタ65内で、菌が繁殖することを抑制できる。すなわち、殺菌機60内において、混合対象原料の流れが停止した場合、第1除菌フィルタ63内及び第2除菌フィルタ65内で、菌が増殖する可能性がある。これに対して、内容物充填システム10において製品ボトル101を生産している間、ポンプP1を停止することなく、混合対象原料を殺菌し続けることにより、第1除菌フィルタ63内及び第2除菌フィルタ65内で、菌が繁殖することを抑制できる。なお、内容物充填システム10において製品ボトル101を生産している間に、タンク52が満水になった場合には、殺菌された混合対象原料を循環系59A(図2A等参照)内で循環させても良い。これにより、タンク52が満水になった場合であっても、殺菌機60内において、混合対象原料の流れが停止することを抑制できる。このため、第1除菌フィルタ63内及び第2除菌フィルタ65内で、菌が繁殖することを抑制できる。なお、殺菌された混合対象原料の循環時間が長くなる場合、紫外線照射部67から照射された紫外線の照射エネルギーにより、殺菌された混合対象原料の温度が上昇する場合がある。この場合、循環ライン59を流れる混合対象原料を混合タンク51に戻すことなく、循環ライン59から排出しても良い。そして、純水製造装置50cから水タンク50aを介して混合タンク51に新しい純水を供給することにより、循環する混合対象原料の温度の上昇を抑制しても良い。
【0200】
ここで、図2Jに示すように、混合対象原料殺菌ライン50は、非無菌ゾーンZ1 と、第1グレーゾーンZ2と、第2グレーゾーンZ3と、無菌ゾーンZ4とに区画されている。非無菌ゾーンZ1、第1グレーゾーンZ2、第2グレーゾーンZ3及び無菌ゾーンZ4は、内容物の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に設けられている。
【0201】
このうち非無菌ゾーンZ1は、非無菌雰囲気下のゾーンであり、菌が存在し得るゾーンである。図示された例においては、非無菌ゾーンZ1は、前段殺菌機62Aよりも上流側の領域である。非無菌ゾーンZ1では、製品ボトル101の製造前に、混合タンク51、及び混合タンク51よりも下流側の流路が殺菌される。一方、製品ボトル101の製造開始後、混合タンク51よりも上流側から菌が持ち込まれることにより、混合タンク51等が菌によって汚染され得る。
【0202】
第1グレーゾーンZ2及び第2グレーゾーンZ3は、それぞれ、非無菌雰囲気と無菌雰囲気とを隔絶するためのゾーンである。このうち第1グレーゾーンZ2は、除菌フィルタ通過菌を滅菌するゾーンである。第2グレーゾーンZ3は、製品ボトル101の製造時、除菌フィルタ通過菌が存在しない状態を維持するゾーンである。図示された例においては、第1グレーゾーンZ2は、前段殺菌機62Aから第2殺菌機64の出口までの領域である。また、第2グレーゾーンZ3は、第2殺菌機64の出口から第1無菌フィルタ63の入口までの領域である。ここで、混合対象原料殺菌ライン50に水を供給する純水製造装置50cは、混合対象原料殺菌ライン50に水を殺菌する前に殺菌(SIP)される。このとき、殺菌は、少なくとも除菌フィルタ通過菌を殺菌可能な条件で行われる。殺菌に使用する蒸気又は熱水の温度及び殺菌時間は、少なくとも60℃以上、5分以上であっても良く、好ましくは85℃、30分以上である。殺菌に使用する蒸気又は熱水の温度及び殺菌時間は、殺菌価がZ=5℃と同等の条件である90℃、3分としても良い。また、殺菌条件は、殺菌に使用する蒸気又は熱水の温度及び殺菌時間が95℃、0.3分である高温短時間の条件でも良い。一方、これらの殺菌条件における殺菌価では、一般的に細菌芽胞は殺菌できない。よって、第1無菌フィルタ63の手前までの領域では、細菌芽胞が存在し得る。このため、前段殺菌機62Aから第1無菌フィルタ63の手前までの領域をグレーゾーンと呼ぶ。純水製造装置50cの殺菌後、第2グレーゾーンZ3に常時水を供給し続けることにより、第2グレーゾーンZ3が陽圧状態に維持される。これにより、第2グレーゾーンZ3において、除菌フィルタ通過菌が存在しない状態が維持される。なお、第2グレーゾーンZ3の陽圧状態は、圧力計(図示せず)で管理する。除菌フィルタ通過菌の殺菌方法は、蒸気又は熱水に限らない。除菌フィルタ通過菌を不活化する薬剤等でも構わない。
【0203】
無菌ゾーンZ4は、無菌雰囲気下のゾーンである。すなわち、無菌ゾーンZ4は、無菌状態に保持されたゾーンである。図示された例においては、無菌ゾーンZ4は、第1無菌フィルタ63よりも下流側の領域である。無菌ゾーンZ4には、各機器を蒸気又は熱水で殺菌(SIP/F≧3以上、Z=10℃)することにより細菌芽胞を含めた全ての菌を殺菌した後、無菌エア又は無菌水が供給される。無菌ゾーンZ4のSIPは、少なくとも第2グレーゾーンZ3との境界面までを行う。無菌ゾーンZ4を殺菌するとき、無菌ゾーンZ4とともに、第2グレーゾーンZ3の配管もSIPしても良い。これにより、無菌ゾーンZ4が陽圧状態に維持され、無菌ゾーンZ4が無菌状態に保持される。
【0204】
これらの非無菌ゾーンZ1、第1グレーゾーンZ2、第2グレーゾーンZ3及び無菌ゾーンZ4のうち、第1グレーゾーンZ2では、内容物に対して紫外線が照射され得る。第1グレーゾーンZ2において、前段殺菌機62Aによる水に対する紫外線の積算照射量は、少なくとも10mJ/cm以上であっても良く、好ましくは100mJ/cm以上であっても良い。この場合、前段殺菌機62Aは、低圧水銀ランプを含んでいても良い。また、第1グレーゾーンZ2において、第1殺菌機62及び第2殺菌機64による水に対する紫外線の合計積算照射量は、100mJ/cm以上であっても良い。このように、第1殺菌機62及び第2殺菌機64による水に対する紫外線の合計積算照射量が100mJ/cm以上であることにより、第1グレーゾーンZ2において、除菌フィルタ通過菌を殺菌できる。このため、第2グレーゾーンZ3における水の無菌性を保証できる。この場合、第1殺菌機62及び第2殺菌機64は、それぞれ中圧水銀ランプを含んでいても良い。
【0205】
第1グレーゾーンZ2において、第1殺菌機62及び第2殺菌機64による内容物に対する紫外線の合計積算照射量が100mJ/cm2未満である場合、第1除去フィルタ63に供給される前の内容物を循環ライン95によって循環させても良い。これにより、除菌フィルタ通過菌が存在し得る内容物が、第1除菌フィルタ63に供給されることを防止できる。このため、無菌ゾーンZ4における内容物の無菌性を保証できる。また、この場合、内容物を無菌ゾーンZ4(第1除菌フィルタ63)に供給する前に、前段殺菌機62A、異物除去フィルタ61、第1殺菌機62及び第2殺菌機64を殺菌(SIP)しても良い。
【0206】
また、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65のうちの少なくとも一方において、後述する生産前後の完全性試験(第1完全性試験及び第2完全性試験)の試験結果が合格であることが好ましい。これにより、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65のうちの少なくとも一方により、除菌フィルタ通過菌以外の菌を濾過滅菌できる。このため、無菌ゾーンZ4における内容物の無菌性を保証できる。なお、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65において、生産前後の完全性試験結果が不合格である場合、異物除去フィルタ61として、例えば目開きが0.1μm以上0.22μm以下である無菌グレードのフィルタを使用されても良い。この場合、異物除去フィルタ61において、生産前後の完全性試験結果が合格であることが好ましい。これにより、異物除去フィルタ61により、除菌フィルタ通過菌以外の菌を濾過滅菌でき、無菌ゾーンZ4における内容物の無菌性を保証できる。
【0207】
このように、本実施の形態による混合対象原料殺菌ライン50の殺菌機60においては、生産中、紫外線の照射量が所定の値以上又は所定の範囲内であったこと、及び、生産開始前後の完全性試験結果が合格であることにより、水の無菌性が担保される。
【0208】
(他の原料殺菌ライン70)
次に、他の原料殺菌ライン70について説明する。他の原料殺菌ライン70は、内容物の原料のうち対象原料以外の他の原料を加熱殺菌する殺菌ラインである。
【0209】
図7に示すように、他の原料殺菌ライン70は、他の原料タンク71からの他の原料を加熱殺菌する原料殺菌機80を有し、原料殺菌機80の下流側に原料タンク72が設置されている。他の原料タンク71、原料殺菌機80及び原料タンク72は、他の原料の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。第3段冷却部86から原料タンク72へ送液せずに、他の原料を他の原料タンク71に戻す、循環ライン89が接続されていても良い。
【0210】
他の原料タンク71は、図示しない供給源から供給された他の原料を貯留するタンクである。この他の原料タンク71は、他の原料を貯留することにより、他の原料の流れを円滑にする役割を果たす。他の原料タンク71の容積は、0.3m以上3m以下であっても良く、一例として、1mであっても良い。
【0211】
この他の原料タンク71の下流側には、他の原料を搬送するためのポンプP3が設けられていても良い。また、ポンプP3の下流側には、上述した他の原料殺菌ライン70を構成する原料殺菌機80が設けられている。
【0212】
原料殺菌機80は、他の原料タンク71に貯留された他の原料を加熱殺菌する殺菌機である。本実施の形態では、原料殺菌機80は、超高温加熱処理法によって他の原料を殺菌する殺菌機(Ultra High-temperature、以下、単にUHTと記す)であっても良い。このUHT80は、第1段加熱部81と、第2段加熱部82と、ホールディングチューブ83と、第1段冷却部84と、第2段冷却部85、第3段冷却部86とを有している。UHT80に供給された他の原料は、第1段加熱部81及び第2段加熱部82によって徐々に加熱され、ホールディングチューブ83内で目標温度まで加熱される。この場合、例えば他の原料は、第1段加熱部81によって60℃以上80℃以下に加熱され、第2段加熱部82によって80℃以上150℃以下に加熱されても良い。また、ホールディングチューブ83内で、他の原料の温度が一定時間保持される。ホールディングチューブ83内を通過した他の原料は、第1段冷却部84、第2段冷却部85及び第3段冷却部86によって徐々に冷却される。なお、加熱部や冷却部の段数は必要に応じて増減される。また、第1段加熱部81と第2段加熱部82との間において、他の原料の圧力損失が高くなり得る。このため、第1段加熱部81と第2段加熱部82との間に、追加のポンプ(図示せず)が設けられていても良い。また、第1段加熱部81と第2段加熱部82との間、又は第1段冷却部84と第2段冷却部85との間等に、他の原料を均質化するためのホモゲナイザーが設けられても良い。
【0213】
このようなUHT80の処理能力は、3m/h以上30m/h以下であっても良く、一例として、6m/hであっても良い。
【0214】
また、UHT80のうち、最も高温となる場所(例えば、第2段加熱部82)の温度をモニタリングすることにより、UHT80に付着したスケール(カルシウム等の堆積物)を監視しても良い。そして、UHT80を洗浄(CIP)する際に、スケールの除去状態をモニタリングしても良い。これにより、UHT80を洗浄する洗浄工程の最適化を図ることができる。このため、洗浄時間を短縮できるとともに、洗浄に使用する水、蒸気及び洗浄剤の使用量を低減できる。この結果、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0215】
なお、UHT80はインジェクション方式でもインフュージョン方式でも良い。また、UHT80の熱交換器等、内容物充填システム10において熱交換を行うために使用される熱交換機はプレート式でもシェル&チューブ式でも良い。また熱交換器として、シェル&チューブ式のものを用いる場合、シェルの媒体側を水や温水を循環させながら昇温・冷却する型式のものを用いても良く、他の原料同士(製品同士)で熱交換させる形式のもの(液-液交換)を用いても良い。
【0216】
また、上述した実施の形態において、他の原料を加熱殺菌する原料殺菌機80が、UHTである例について説明したが、これに限られない。例えば、原料殺菌機80が、他の原料に直接通電し、自己発熱させるオーミック(ジュール式)加熱殺菌機であっても良い。また、原料殺菌機80は、マイクロ波(915MHz、2450MHz)を用いて他の原料を殺菌する殺菌機であっても良い。この場合、マイクロ波は、他の原料中の原液又は固形物が通過する配管の外部から照射されても良い。これにより、他の原料中の原液又は固形物の温度を上昇させることができ、他の原料中の原液又は固形物を殺菌できる。これらの場合においても、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0217】
原料タンク72は、原料殺菌機80によって殺菌された他の原料を貯留するタンク(いわゆるアセプティックタンク)である。この原料タンク72は、殺菌された他の原料を貯留することにより、他の原料の流れを円滑にする役割を果たす。原料タンク72の容積は、1m以上20m以下であっても良く、一例として、2mであっても良い。
【0218】
また、原料タンク72を設けず、混合タンク55のみで構成しても良い。またタンク52と原料タンク72を其々もう1基設けても良い。
【0219】
さらに、混合タンク55の下流側に、異物を濾過する補助フィルタ53と、補助フィルタ53を通過した最終製品液を貯留する充填機タンク57とが設けられていても良い。補助フィルタ53は充填装置21の先端に設けても良い(図示なし)。充填機タンク57は、充填装置21の能力が可変しても液不足にならず充填量、充填精度を確保する、いわゆるクッションタンクとしての役割を果たす。充填機タンク57の容積は、0.1m以上1m以下であっても良く、一例として、0.3mであっても良い。
【0220】
他の原料に対して固形物を添加する添加ユニット75が連結されていても良い。これにより、内容物充填システム10において、固形物入りの内容物をボトル100に充填できる。この場合、添加ユニット75が他の原料に対して添加する固形物としては、例えば、さのう、ナタデココ、タピオカ又はアロエ等であっても良い。また、固形物は、予め殺菌された無菌の固形物であっても良い。さらに、固形物以外に無菌あるいは非無菌の香料、酸味料、着色料を添加ユニット75から他の原料に対して、定量的に添加しても良い。
【0221】
<内容物充填方法>
次に、上述した内容物充填システム10(図1Aおよび図1B)を用いた内容物充填方法について、図8により説明する。
【0222】
まず、プリフォーム供給装置1により、プリフォーム供給コンベア2を介して、複数のプリフォーム100aが、プリフォーム搬送部31の受取部34に順次供給される(プリフォーム供給工程、図8の符号S1)。この際、プリフォーム100aは、プリフォーム殺菌装置34aにおいて、プリフォーム100aに対して過酸化水素のガス又はミストを吹き付けることによって殺菌処理された後、ホットエアで乾燥される。
【0223】
次に、プリフォーム100aは、加熱部35に送られ、ヒーター35aにより、例えば90℃以上130℃以下程度に加熱される。次いで、加熱部35により加熱されたプリフォーム100aは、受渡部36に送られる。そして、プリフォーム100aは、受渡部36からブロー成形部32に送られる。
【0224】
次いで、ブロー成形部32に送られたプリフォーム100aに対して、図示しない金型を用いてブロー成形を施すことにより、ボトル100がブロー成形される(ボトル成形工程、図8の符号S2)。そして、ブロー成形されたボトル100は、ボトル搬送部33に送られる。
【0225】
次に、殺菌装置11において、ボトル100に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(容器殺菌工程、図8の符号S3)。このとき、殺菌剤は、過酸化水素水溶液を一旦沸点以上で気化させたガス又はミストであっても良い。過酸化水素水溶液のガス又はミストは、ボトル100の内面及び外面に付着し、ボトル100の内外面を殺菌する。
【0226】
続いて、ボトル100は、エアリンス装置14に送られる。エアリンス装置14において、ボトル100に対して無菌の加熱エア又は常温エアが供給されることにより、過酸化水素の活性化が行われ、かつ、ボトル100から異物及び過酸化水素等が除去される(エアリンス工程、図8の符号S4)。なお、エアリンス工程において、必要に応じて、無菌の加熱エア又は常温の無菌化されたエアに、低濃度の過酸化水素の凝結ミストを混ぜても良い。この場合、過酸化水素は、無菌エアによってガス化される。そして、エアリンス工程において、ガス化された過酸化水素をボトル100に供給しても良い。
【0227】
続いて、ボトル100は、充填装置21に搬送される。
【0228】
この間、混合対象原料殺菌ライン50により非加熱殺菌された混合対象原料と、他の原料殺菌ライン70により加熱殺菌された他の原料が混合タンク55において混合されて、内容物が生成される(内容物生成工程、図8の符号S5)。非加熱殺菌された混合対象原料と他の原料を混合タンク55で混合させる方法について説明する。はじめに非加熱殺菌された混合対象原料を混合タンク55に受け入れ、次に加熱殺菌された他の原料を混合タンク55に受け入れる。混合タンク55に液を受け入れる順番は、非加熱殺菌された混合対象原料が先でも加熱殺菌された他の原料が先でも良い。また、混合対象原料殺菌ライン50と他の原料殺菌ライン70の其々の流量計の指示値を利用し、それぞれの液を同時に混合タンク55に一定の割合(適切な流量比)で受け入れても良い。液を受け入れる際は、混合タンク55内のアジテーター(図示せず)で撹拌すると良い。また混合タンク55内に糖度計、比重計等の混合割合が所定の範囲内に入っているかモニタリングし、其々の液の送液流量やタンク受け入れ量に反映させると良い。混合タンク55を複数設置することで、加熱殺菌及び非加熱殺菌された其々の液の送液を循環ライン59で待機運転させることなく、次々に混合タンク55へ送液できるため、製品液の歩留まりが改善される(図10に示す第2の実施の形態参照)。また、混合タンク55の下流に複数の充填機を設置した場合や充填機の能力が可変した場合にも、複数の混合タンクがバッファーとなり稼働率の低下を避けることができる。
次に充填装置21において、ボトル100は回転(公転)されながら、その口部からボトル100内へ混合タンク55で生成された内容物が充填される(内容物充填工程、図8の符号S6)。
【0229】
なお、他の原料殺菌ライン70により他の原料を加熱する加熱温度は、一般的に内容物の酸性度がpH4.5未満の場合は60℃以上120℃以下程度であっても良く、加熱時間は、30秒以上120秒以下程度であっても良い。また、内容物の酸性度がpH4.5以上の場合は、他の原料を加熱する加熱温度は、115℃以上150℃以下程度であっても良い。また、加熱時間は、30秒以上120秒以下程度であっても良い。これにより、充填前の内容物中の微生物のうち、製品ボトル101内で発育しうる微生物が、全て殺菌される。加熱殺菌処理された他の原料は、3℃以上かつ40℃以下程度の温度まで冷却される。
【0230】
充填装置21においては、ボトル100に、上記殺菌処理され混合タンク55内で常温まで冷やされた内容物が常温で充填される。充填時の内容物の温度は、例えば3℃以上かつ40℃以下程度である。充填装置21において、内容物の充填速度は30mL/sec以上400mL/sec以下であっても良い。
【0231】
続いて、内容物が充填されたボトル100は、搬送ホイール12によってキャップ装着装置16に搬送される。
【0232】
一方、キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌処理される(キャップ殺菌工程、図8の符号S7)。この間、まずキャップ88は、内容物充填システム10の外部からキャップ殺菌装置18に搬入される。続いて、キャップ88は、キャップ殺菌装置18において、過酸化水素のガス又はミストが吹き付けられて、その内外面が殺菌処理された後、ホットエアで乾燥し、キャップ装着装置16に送られる。
【0233】
次いで、キャップ装着装置16において、充填装置20から搬送されてきたボトル100の口部に殺菌済みのキャップ88を装着することにより、ボトル100が閉栓され製品ボトル101が得られる(キャップ装着工程、図8の符号S8)。
【0234】
その後、製品ボトル101は、キャップ装着装置16から製品ボトル搬出部25へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される(ボトル排出工程、図8の符号S9)。そして、製品ボトル101は、図示しない包装ラインへと運ばれ、包装される。
【0235】
なお、上記容器殺菌工程、エアリンス工程、内容物充填工程、キャップ装着工程及びボトル排出工程は、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70gで囲まれた無菌の雰囲気内すなわち無菌の環境下で行われる。また、キャップ殺菌工程は、キャップ殺菌装置18によって行われる。この場合、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、出口チャンバ70g及びキャップ殺菌装置18は、予め過酸化水素若しくは過酢酸の噴霧、又は温水の放水等により、殺菌処理されている。
【0236】
そして、各チャンバの殺菌処理後は、常時、無菌エアが、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70g外に向かって吹き出るように、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70g内に陽圧の無菌エアが供給される。また、常時、無菌エアが、キャップ殺菌装置18外に向かって吹き出るように、キャップ殺菌装置18内に陽圧の無菌エアが供給される。
【0237】
このように、各チャンバ70d乃至70g内に陽圧の無菌エアが供給される場合、雰囲気遮断チャンバ70c、殺菌剤噴霧チャンバ70d及び出口チャンバ70gで、各チャンバ内の無菌エアとボトル殺菌で使用された殺菌剤とを排気する。その際、殺菌剤噴霧チャンバ70d、エアリンスチャンバ70e、無菌チャンバ70f、及び出口チャンバ70g内の圧力がそれぞれ陽圧になるように、各チャンバ内の圧力が調整されても良い。この場合、上述したように、殺菌剤噴霧チャンバ70d内の圧力は、-10Pa以上10Pa以下であっても良い。エアリンスチャンバ70e内の圧力は、10Pa以上30Pa以下であっても良い。無菌チャンバ70f内の圧力は、30Pa以上60Pa以下であっても良い。出口チャンバ70g内の圧力は、10Pa以上20Pa以下であっても良い。
【0238】
なお、内容物充填システム10におけるボトル100の生産(搬送)速度は、100bpm以上かつ1500bpm以下とすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル100の搬送速度をいう。
【0239】
次に、殺菌機60の殺菌方法について、図9Aにより説明する。
【0240】
(殺菌機の殺菌方法)
まず、内容物充填システム10における飲料の充填が終了した後、例えば、制御部90の操作ボタンを操作する。これにより、殺菌機60の殺菌(SIP)が開始される。なお、殺菌機60の殺菌は、製品ボトル101の生産中に行っても良い。
【0241】
具体的には、まず、内容物充填システムによる内容物の充填(生産)が終了する(図9Aの「生産終了」)。その後、図2Aに示すように、殺菌機60の第1除菌フィルタ63および第2除菌フィルタ65の生産後の完全性試験が行われる(図9Aの符号S20A)。異物除去フィルタ61も無菌フィルタであった場合、3か所のフィルタの内、少なくとも2カ所のフィルタの完全性試験を行う。この生産後の完全性試験により、生産開始前後の完全性試験結果が合格であること(リークが認められないこと)と生産中、紫外線の照射量が規定値以上または規定値範囲内であったことで混合対象原料の無菌性が担保される。次に、第1殺菌機62及び又は第2殺菌機64(以下、単に第1殺菌機62等とも記す)のCIP処理を行う(殺菌機洗浄殺菌工程、図9Aの符号S20)。CIP処理は、水に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤及びキレート剤などを混ぜたアルカリ性薬剤を添加したアルカリ性洗浄液を流路内に流した後、又はアルカリ性洗浄液を流路内に流す前に、水に硝酸系やリン酸系の酸性薬剤を添加した酸性洗浄液を流路内に流すことによって行われる。なお、アルカリ性洗浄液によるアルカリ洗浄工程と酸性洗浄液による酸洗浄工程とは、自由に組み合わせて実施しても良い。これにより、飲料水が通過する流路内に付着した前回の混合対象原料の残留物等が除去される。また混合対象原料が少ない場合や、混合対象原料が洗浄性の高い成分を含む場合は、洗浄剤を添加せずに、温水や熱水だけのCIP処理でも構わない。あるいはCIP処理を省略しても構わない。
【0242】
次にSIP工程に移行する。SIP工程では、例えば、殺菌機60を含む循環系59Aに蒸気又は熱水を供給する(殺菌機洗浄殺菌工程、図9Aの符号S20)。これにより、第1殺菌機62等の第1紫外線ランプ67a、第2紫外線ランプ67b及び第3紫外線ランプ67c(以下、単に第1紫外線ランプ67a等とも記す)及び第1殺菌機62、第2殺菌機64の配管内の隅々が、それぞれ蒸気又は熱水で加熱殺菌される。第1殺菌機62、第2殺菌機64と、異物除去フィルタ61、除菌フィルタ63、除菌フィルタ65とを同時に殺菌しても良い。また上記CIP処理で使用する洗浄剤の温度、濃度、時間を調整することで菌の不活化(SIP処理)を同時に行い、その後のSIP処理を実行しなくても良い(CSIP処理)。CIP処理、SIP処理、またはCSIP処理が終了した後、洗浄剤を排出する。その後、洗浄剤を完全に除去するために濯ぎ工程へ移行する。濯ぎ水は50aの純水タンクから純水を供給して行う。
【0243】
また、第1殺菌機62等が熱に弱い場合には、第1殺菌機62等を殺菌剤または洗浄剤によって殺菌しても良い(図2K参照)。この際、まず、殺菌機60に殺菌剤を供給する(殺菌剤供給工程、図9Bの符号S201)。殺菌剤または洗浄剤は、図示しないタンク、ポンプ、ヒーター、濃度計等を含む殺菌剤供給ユニット96から送液され、殺菌機60に設けられた前段殺菌機62A、第1殺菌機62,および第2殺菌機64等に送液される。サンプリングポイントSP2又はサンプリングポイントSP4から供給されても良い。この殺菌剤は、過酢酸を含んでいても良い。また、殺菌剤が過酢酸を含む場合、殺菌剤の濃度は、1000ppm以上3000ppm以下であっても良い。殺菌剤の濃度が1000ppm以上であることにより、殺菌剤による第1殺菌機62等の殺菌効果を高めることができる。また、殺菌剤の濃度が3000ppm以下であることにより、過酢酸の使用量を低減でき、殺菌機60を殺菌する際のコストを低減できる。
【0244】
また、循環系59Aに供給される殺菌剤または洗浄剤の温度は、50℃以上150℃以下であっても良い。殺菌剤または洗浄剤の温度が50℃以上であることにより、殺菌剤による第1殺菌機62等の殺菌効果と洗浄効果を高めることができる。また、殺菌剤または洗浄剤の温度が150℃以下であることにより、第1殺菌機62等を特殊な材料を用いることなく低コストで製作することができる。
【0245】
次に、図2Kの太線に示すように、殺菌機60に設けられた前段殺菌機62A、第1殺菌機62,第2殺菌機64および循環ライン95を含む循環系95Aにおいて(混合タンク51、ポンプP1を含む循環系59Aを用いても良い)、殺菌剤または洗浄剤を循環させる(殺菌剤循環工程、図9Bの符号S202)。この場合、前段殺菌機62A、第1殺菌機62,および第2殺菌機64含む循環系95Aにおいて、殺菌剤を少なくとも10秒以上60分以下循環させることにより、殺菌機60に設けられた前段殺菌機62A、第1殺菌機62,および第2殺菌機64を殺菌しても良い。循環時間が10秒以上であることにより、殺菌剤による第1殺菌機62等の殺菌効果を高めることができる。また、循環時間が60分以下であることにより、第1殺菌機62等の殺菌時間を短縮できる。このため、ダウンタイムを短縮できる
【0246】
また、次に生産される混合対象原料が、pH4.5未満の原料の場合、循環系95A内で70℃以上、好ましくは85℃以上、100℃未満の熱水を、少なくとも3分以上、60分未満、循環しながら送液し、このようにして、混合対象原料殺菌ライン50のSIPを行う。第1殺菌機62等が紫外線ランプを有する場合、紫外線ランプを点灯したまま行っても良い。紫外線ランプに耐熱性がない場合、SIP後、循環させながら紫外線ランプ点灯可能な温度まで冷却させると良い。また循環系95Aの循環ライン95に熱交換器97および図示しないポンプを設けると良い。
【0247】
その後、殺菌剤は、サンプリングポイントSP3又はサンプリングポイントSP5から排出され(図9Bの符号S203)、その後、すすぎ工程に入る(図9Bの符号S204)。排出時は、殺菌された配管内の菌汚染を防ぐために、無菌エアを供給し(図示なし)、短時間で排出させても良い。サンプリングポイントSP3又はSP5からの排出工程を行わずに、すすぎ工程に移行しても良い。すすぎ工程では、まず異物除去フィルタ61に殺菌剤が付着しないように、十分に前段殺菌機62Aを濯ぎ液で濯いだ後、濯ぎ液を異物除去フィルタ61に通過させる。次に、第1殺菌機62に残存する殺菌剤を十分に濯ぎ液で濯いだ後、濯ぎ液を第1除菌フィルタ63に通過させる。以降、順番に下流側へ向かって同様の操作を行う。
【0248】
次に、第1除菌フィルタ63及び又は第2除菌フィルタ65(以下、単に第1除菌フィルタ63等とも記す)を殺菌する(フィルタ殺菌工程、図9Aの符号S21)。この際、まず、第1除菌フィルタ63等の流路に加熱蒸気(流体)又は熱水(流体)を供給する(流体供給工程、図9Aの符号S211)。このとき、例えば、無菌エアの供給口60aから、第1除菌フィルタ63等に、殺菌用の蒸気が供給される。
【0249】
次に、第1除菌フィルタ63等の流路に供給された加熱蒸気又は熱水の温度を測定するとともに、測定された温度に基づいてF値を算出する(F値算出工程、図9Aの符号S212)。
【0250】
その後、F値が目的値以上となった場合に、第1除菌フィルタ63等の殺菌を終了する。このようにして、第1除菌フィルタ63等が殺菌される。このように、F値を利用した第1除菌フィルタ63等の加熱殺菌を行うことにより、第1除菌フィルタ63等に対して必要以上に熱を加えることなく、第1除菌フィルタ63等を殺菌できる。このため、内容物充填システム10が排出する二酸化炭素の排出量を低減できる。また、第1除菌フィルタ63等に対して必要以上に熱を加えることなく、第1除菌フィルタ63等を殺菌できるため、第1除菌フィルタ63等のメンブレンの損傷を抑制できる。このため、第1除菌フィルタ63等の寿命を長くでき、第1除菌フィルタ63等を、交換することなく、長期間使用できる。
【0251】
なお、第1除菌フィルタ63等を殺菌する際、サンプリングポイントSP1乃至SP6に設けられたバルブ(図示せず)を開閉することにより、蒸気によって殺菌される領域を区画しても良い。例えば、第1除菌フィルタ63を殺菌する蒸気は、サンプリングポイントSP3とサンプリングポイントSP4との間の領域に供給されることにより、当該領域を殺菌しても良い。また、第2除菌フィルタ65を殺菌する蒸気は、サンプリングポイントSP5とサンプリングポイントSP6との間の領域に供給されることにより、当該領域を殺菌しても良い。なお、第1除菌フィルタ63及び第2除菌フィルタ65と共に、異物除去フィルタ61(又は除菌フィルタ)を殺菌しても良い。
【0252】
このようにして、第1除菌フィルタ63と第2除菌フィルタ65に対するSIP処理が行われ、その後、第1除菌フィルタ63および第2除菌フィルタ65が冷却され(図9Aの符号S213)、殺菌機60の第1除菌フィルタ63および第2除菌フィルタ65の完全性試験が行われる(図9Aの符号22)。その後、内容物充填システムによる内容物の充填(生産)が再度開始される。
【0253】
また殺菌機洗浄殺菌工程(図9AのS20)とフィルタ洗浄殺菌工程(図9AのS21)の順番を逆に行っても良い(図9D参照)。更に、フィルタ61,63,65のSIPの冷却工程中に、第1殺菌機62,第2殺菌機64の洗浄殺菌工程を並行して行うことが好ましい(図9E参照)。この場合は、フィルタ61,63,65の前後に接する配管、バルブが殺菌剤に接するため、冷却時間の短縮化が図られる。具体的にはフィルタ61,63,65が110℃未満まで冷却された時点から殺菌剤を送液すると良い。これにより、フィルタ61,63,65の冷却工程中に殺菌機洗浄殺菌工程が終了することも可能である。
【0254】
また、第1殺菌機62等では、製品ボトル101の生産時には、第1紫外線ランプ67a等によって紫外線が照射されている。これにより、第1殺菌機62等が菌によって汚染される可能性は少ない。このため、殺菌機60を殺菌する際、第1殺菌機62等は、殺菌されなくても良い。
【0255】
なお、別の実施の形態として、図9Cに示すように、殺菌機60の第1除菌フィルタ63および第2除菌フィルタ65と、第1殺菌機62および第2殺菌機64とを同時に洗浄・殺菌しても良い。図9Cに示すように、まず充填(生産)が終了する。その後、第1除菌フィルタ63および第2除菌フィルタ65に対して生産後の完全性試験が行われる(図9Cの符号S30)。次に異物除去フィルタ61の手前から洗浄剤及び殺菌剤を供給し、循環ライン59を使用し、循環させながら所定時間、洗浄(CIP)処理を行う(図9の符号S31)。CIP処理を行った後、殺菌(SIP)処理を行っても良い(図9Cの符号S32)。あるいはCIP処理およびSIP処理に換えて、洗浄と殺菌を同時に行っても良い(CSIP処理)(図9Cの符号S33)。
【0256】
CIP処理、SIP処理、またはCSIP処理に用いる洗浄剤及び殺菌剤としては、過酢酸、酢酸、過酸化水素、過硝酸、硝酸、リン酸等の酸性薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性薬剤、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素等の塩素系薬剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、或いはオゾン水、酸性水、界面活性剤を単体で用いても良く、これらのうち2種以上を組み合わせて用いても良い。洗浄剤及び殺菌剤の昇温は図示しないヒーターで行い、殺菌機60及び循環ライン59に設置した各所温度計59b、および濃度計59cの値から所定の条件(温度、濃度、時間)で洗浄又は殺菌又は洗浄殺菌を行う。
【0257】
洗浄剤及び殺菌剤の排出は、水タンク50aから純水を供給し、ポンプP1より殺菌剤を純水に置換しながら行っても良い。他の装置から水を供給し(図示なし)、殺菌剤を排出しても良い。殺菌剤の排出は、循環ライン59の下流側に設けられた濃度計59cの値を監視し、この値が純水製造装置50cと同じ値になるまで濯ぐと良い。タイマーで濯ぎ時間を規定し、所定の値になったら濯ぎ工程を完了しても良い。第1紫外線ランプ67aおよび第2紫外線ランプ67bは、洗浄工程、殺菌工程、あるいは洗浄殺菌工程中に点灯させても良く、点灯させなくても良い。また濯ぎ工程のみ点灯させても良い。洗浄・殺菌が完了した後、第1除菌フィルタ63および第2除菌フィルタ65に対して生産前の完全性試験を行う(図9Cの符号S34)。
【0258】
次に、完全性試験でフィルタのリークが認められなかった場合、製品液を置換する第1生産準備工程へ移行する(図9Cの符号S35)。第1生産準備工程では、循環ライン59の管路で純水循環させながら第1紫外線ランプ67aおよび第2紫外線ランプ67bが規定の照度以上をもつことを確認する。紫外線ランプ67a、67bが複数ある場合、例えば、合計照射量が10mJ/cm以上、好ましくは100mJ/cm以上あると良い。次に、対象原料殺菌ライン50Bから非加熱殺菌の対象原料(製品液)を供給し、純水から製品液への置換を行う。殺菌機60が製品液に十分置換された後(流量計とタイマーで計測し、所定時間経過後)、循環ライン59からタンク52側へ管路を切り替え、製品液をタンク52に貯留して、製品液のブレンディングを行う第2生産準備工程へ移行する(図9Cの符号S36)。
【0259】
以上のように本実施の形態によれば、内容物の原料のうち、加熱されることにより熱分解したり、加熱されることにより内容物充填システム10の加熱殺菌を行う他の原料殺菌ライン70に対して金属腐食を生じさせたり、析出して検出装置等の機能を低下させる原料を、対象原料として他の原料と区別して水とともに非加熱殺菌する。このことにより対象原料が熱分解したり、あるいは劣化して減少することを抑えることができ、また内容物充填システム10内で加熱による金属腐食が生じたり、加熱による析出が生じることはない。このため対象原料を必要以上に供給したり、対象原料の材料劣化を抑えることができ、かつ内容物充填システム10の修理、交換の時期を長く延ばすことができる。さらに内容物充填システム10の機能低下を未然に防ぐことができる。
【0260】
また本実施の形態によれば、水と対象原料とからなる混合対象原料、および他の原料全体に対して非加熱殺菌することはないので、他の原料を非加熱殺菌ラインに通した場合に生じる非加熱殺菌ラインのフィルタ閉塞を未然に防ぐことができる。
【0261】
<第2の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示の第2の実施の形態について説明する。
【0262】
ここで図10は第2の実施の形態による内容物充填システムを示す概略系統図であり、第1の実施の形態を示す図1Aに対応する図である。
【0263】
図10に示す第2の実施の形態は、水を非加熱殺菌する水殺菌ライン50Aと、対象原料を非加熱殺菌する対象原料殺菌ライン50Bを独立して設けた点が異なるが、他の構成は、図1A乃至図9Bに示す第1の実施の形態と略同一である。図10に示す第2の実施の形態において、図1A乃至図9Bに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0264】
図10に示すように、内容物充填システム10は水(第1内容液)を非加熱殺菌する水殺菌ライン(第1殺菌ライン)50Aと、対象原料(第2内容液)を非加熱殺菌する対象原料殺菌ライン(第2殺菌ライン)50Bと、対象原料以外の他の原料(第3内容液)を加熱殺菌する他の原料殺菌ライン(第3殺菌ライン)70と、水殺菌ライン50A、対象原料殺菌ライン50Bおよび他の原料殺菌ライン70の各々に接続された第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cと、第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cの各々に接続された第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cとを備えている。
【0265】
このうち水を非加熱殺菌する水殺菌ライン50Aと、対象原料を非加熱殺菌する対象原料殺菌ライン50Bと、他の原料を加熱殺菌する他の原料殺菌ライン70は、並列にかつ互いに独立に設置されている。
【0266】
図10において、純水製造装置50cから供給された水(純水)が水タンク50aに貯留され、水タンク50aから供給される水が水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌される。
【0267】
また内容物の原料のうち、上述した対象原料が対象原料タンク50bに貯留され、この対象原料タンク50bから供給される対象原料が対象原料殺菌ライン50Bにより非加熱殺菌される。
【0268】
他方、内容物の原料のうち、対象原料以外の原料は他の原料タンク71内に貯留され、他の原料タンク71内に貯留された他の原料は上述のように他の原料殺菌ライン70で加熱殺菌される。
【0269】
そして水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水と、対象原料殺菌ライン50Bにより非加熱殺菌された対象原料と、他の原料殺菌ライン70で加熱殺菌された他の原料は、各々第1混合タンク55A、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cへ送られる。この場合、例えば、水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水を、それぞれ第1混合タンク55A、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cに均一に送ってもよく、第1混合タンク55Aに多量の水を送っても良く、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cへは少量の水を送っても良い。同様に、対象原料殺菌ライン50Bにより非加熱殺菌された対象原料を、それぞれ第1混合タンク55A、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cに均一に送ってもよく、第1混合タンク55Aに多量の対象原料を送っても良く、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cへは少量の対象原料を送っても良い。同様に、他の原料殺菌ライン70で加熱殺菌された他の原料を、それぞれ第1混合タンク55A、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cに均一に送ってもよく、第1混合タンク55Aに多量の他の原料を送っても良く、第2混合タンク55B、第3混合タンク55Cへは少量の他の原料を送っても良い。
【0270】
第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cにおいて、非加熱殺菌された水と、非加熱殺菌された対象原料と、加熱殺菌された他の原料が混合されて内容物が生成される。
【0271】
そして第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cにおいて生成された内容物は、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cのいずれかに供給され、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cから空のボトル100内に内容物が充填される。混合タンク55A~55Cを複数設置することにより、第1充填装置21A、第2充填装置21B、第3充填装置21Cの洗浄・殺菌が終わり、生産準備が整い次第、洗浄・殺菌が終了した第1充填装置21A、第2充填装置21B、第3充填装置21Cのいずれかに、生成された内容物を速やかに送液することが可能になる。また混合タンク55A~55Cを2基以上設置することで、生成された内容物のバッファーができ、内容物の生成を待つことなく充填することが可能になる。また、第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cの濃度が、規定範囲に入らなかった場合、水タンク50a、対象原料タンク50b、他の原料タンク71を適宜供給し、濃度調整することができる。また第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cの再調合を行うために、第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cは無菌状態を維持したまま、無菌的にブローできる機能を持つ。具体的には、第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55C下方に蒸気で殺菌した排液用ブロー配管を設け、排液する直前に配管内を蒸気で殺菌し、その後、第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55C内の液を、タンク陽圧を維持したままブローし、ブロー後、蒸気で上記配管を再殺菌する(図示せず)。なお、其々の液が流れる配管は、其々の液が交わらないように蒸気バリア、無菌水バリア、又は無菌エアバリアを備えたアセプティックバルブを用いると良い。
【0272】
また、水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水を第1混合タンク55Aへ送液し、対象原料あるいは他の原料と混ぜずに第1混合タンクs55Aで貯留し、そのまま第1充填装置21Aへ送液し、第1充填装置21Aによりボトル100内に充填しても良い。同様に、対象原料殺菌ライン50Bにより非加熱殺菌された対象原料のみを第2タンク55Bへ送液し、他の原料あるいは水と混合することなく、第2充填装置21Bへ送液し、第2充填装置21Bによりボトル100内に充填しても良い。同じく、他の原料殺菌ライン70で加熱殺菌された他の原料のみを第3混合タンク55Cへ送液し、対象原料や水と混ぜることなく、第3充填装置21Cへ送液し、加熱殺菌された他の原料のみを第3充填装置21Cによりボトル100内に充填しても良い。また、図10では3系統の液を互いに混合可能に送液する態様で説明したが、これに限らず、3系統の液を互いに独立して送液できるようにしても良い。あるいは3系統の液を其々殺菌し、その後、3系統の液を単一の混合タンク、例えば第1混合タンク55で無菌混合しても良い。あるいは3系統の液を其々殺菌し、その後、混合タンクを通すことなく、単一の充填装置、例えば、第1充填装置21Aで無菌混合しても良い。無菌混合を行わずに、3系統の液を加熱又は非加熱で殺菌し、各々独立して第1充填装置21A~第3充填装置21Cにより無菌充填しても良い。あるいは菌数の多い他の原料および対象原料のみを加熱又は非加熱で殺菌し、菌数の少ない水又は無菌水を殺菌することなく、他の原料および対象原料と、水とを混合しても良い。なお、水、対象原料、あるいは他の原料を、第1混合タンク55A~第3混合タンクではなく、第1充填装置21A~第3充填装置21Cへ直接送って混合しても良い。
【0273】
ここで内容物の原料のうち対象原料としては、第1の実施の形態で説明したとおり、加熱されることにより熱分解したり、金属腐食を生じさせたり、析出して検出装置等の機能を劣化させるものである。このため本実施の形態においては、対象原料の殺菌にあたっては非加熱殺菌を行っている。
【0274】
他方、他の原料とは第1の実施の形態で説明したとおり、内容物の原料のうち対象原料以外の他の原料をいう。他の原料に対しても非加熱殺菌することも可能であるが、非加熱殺菌ラインはフィルタを有するため、フィルタ閉塞により処理量が低下することを考慮して、本実施の形態においては、他の原料に対して加熱殺菌が施される。
【0275】
本実施の形態において、水殺菌ライン50Aは水を非加熱殺菌するものであり、対象原料殺菌ライン50Bは対象原料を非加熱殺菌するものであり、水殺菌ライン50Aおよび対象原料殺菌ライン50Bは、いずれも第1の実施の形態において説明した殺菌機60を有する。
【0276】
すなわち殺菌機60は、第1の実施の形態で説明した図2乃至図6Bに示す構成のものを用いることができる。
【0277】
また他の原料殺菌ライン70は他の原料を加熱殺菌するものであり、他の原料殺菌ライン70は、第1の実施の形態において説明した原料殺菌機80を有する。
【0278】
すなわち原料殺菌機80としては、第1の実施の形態で説明した図7に示す構成のものを用いることができる。
【0279】
また図7に示す第1の実施の形態と同様、原料殺菌機80の下流側に原料タンク72を設けてもよく、さらに原料タンク72の下流側に補助フィルタ73と原料タンク74を設けてもよい。さらに原料タンク72の下流側に添加ユニット75を設けてもよく、この場合、添加ユニット75により他の原料中にさのう、ナタデココ、タピオカ又はアロエ等の固形物を添加することができる。また固形物は、予め殺菌された無菌の固形物であってもよい。固形物以外に無菌あるいは非無菌の香料、酸味料、着色料を添加ユニット75から定量的に他の原料に対して添加しても良い。
【0280】
また第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cのいずれかにおいて、水と、対象原料と、他の原料とを混合して作成された内容物を受け、この内容物をボトル100の口部からボトル100内に充填するものである。
【0281】
このような第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、いずれも第1の実施の形態における充填装置21と同様、無菌チャンバ内に配置された例えばロータリーフィラからなる。第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cとしては、直線式のフィラを用いても良い。また、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cにおいて充填されるボトル100としては、プラスチックボトルやカップを用いても良く、紙容器やパウチを用いても良い。これらの複合容器でも良い。
【0282】
以上のように本実施の形態によれば、内容物の原料のうち、加熱されることにより熱分解したり、加熱されることにより金属腐食を生じさせたり、析出して検出装置等の機能を劣化させる原料を対象原料として他の原料と区別して非加熱殺菌する。このことにより対象原料が熱分解して、劣化したり減少することを抑えることができ、また内容物充填システム10内で加熱による金属腐食が生じたり、加熱による析出が生じることはない。このため対象原料を必要以上に供給したり、対象原料の材料劣化を抑えることができ、かつ内容物充填システム10の修理、交換の時期を長く延ばすことができる。さらに内容物充填システム10の機能劣化を未然に防ぐことができる。
【0283】
また本実施の形態によれば、水と対象原料とからなる混合対象原料、および他の原料全体に対して非加熱殺菌することはないので、他の原料を非加熱殺菌ラインに通した場合に生じる非加熱殺菌ラインのフィルタ閉塞を未然に防ぐことができる。
【0284】
なお、図10に示す第2の実施の形態において、水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水を第1混合タンク55A、第2混合タンク55Bあるいは第3混合タンク55Cへ送ることなく、内容物充填システム10の各種機器を収納するチャンバ70a~70gへ送り、これらチャンバ70a~70gを水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水で洗浄してもよい。また、水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水を、他の原料殺菌ライン70、対象原料殺菌ライン50B、第1混合タンク55A~第3混合タンク55C、あるいは第1充填装置21A~第3充填装置21Cに対するCIP処理、又はSIP処理、又はCIPとSIPを同時に行うCSIP処理の後の濯ぎ水として、供給しても良い。
【0285】
さらにまた図10に示す第2の実施の形態において、純水製造装置50cから供給され水タンク50aに貯留された水(純水)の一部を対象原料タンク50bへ供給し、この対象原料タンク50b内の対象原料を水で希釈してもよい。
【0286】
また水タンク50aに貯留された水(純水)の一部を他の原料タンク71へ供給し、この他の原料タンク71内の他の原料を水で希釈してもよい。
【0287】
このように水タンク50aからの水を対象原料タンク50bへ供給し、対象原料タンク50b内の対象原料を水で希釈することにより、対象原料をスムーズに対象原料殺菌ライン50B内に通過させることができる。
【0288】
また水タンク50aからの水を他の原料タンク71へ供給し、他の原料タンク71内の他の原料を水で希釈することにより他の原料をスムーズに他の原料殺菌ライン70内に通過させることができる。
【0289】
次に図10に示す第2の実施の形態の応用例について図11乃至図17により説明する。
【0290】
図11乃至図17に示す応用例は、図10に示す実施の形態において、水殺菌ライン50Aにより非加熱殺菌された水を第1混合タンク55Aへ送液し、対象原料あるいは他の原料と混ぜることなく第1混合タンク55Aから第1充填装置21Aへ送液し、第1充填装置21Aによりボトル100内に水充填する例を示している。同様に対象原料殺菌ライン50Bにより非加熱殺菌された対象原料を第2混合タンク55Bへ送液し、他の原料あるいは水と混ぜることなく、第2混合タンク55Bから第2充填装置21Bへ送液し、第2充填装置21Bにより対象原料をボトル100内へ充填する。
【0291】
図12乃至図17に示す応用例では、さらに他の原料殺菌ライン70で加熱殺菌された他の原料のみを第3混合タンク55Cへ送液し、対象原料や水と混ぜることなく、第3混合タンク55Cから第3充填装置21Cへ送液し、第3充填装置21Cにより他の原料をボトル100内へ充填している。
【0292】
このうち図11に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。
【0293】
さらに無菌チャンバ70hのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。また無菌チャンバ70jの下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
なお、第1充填装置21Aおよび第2充填装置21Bは、いずれも回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。
【0294】
図11において、予め上流側で殺菌されたボトル100が搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70f内の第1充填装置21Aまで搬送される。第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0295】
次にボトル100は搬送ホイール12を介して、無菌チャンバ70h内の第2充填装置21Bまで搬送される。
【0296】
第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、複数のボトル100が回転搬送されながらボトル100内部へ対象原料が充填される。
【0297】
次にボトル100は搬送ホイール12を介して、無菌チャンバ70j内のキャップ装着装置16まで送られる。
【0298】
キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水および対象原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0299】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される(図1B参照)。
【0300】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0301】
次に、図12に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。
【0302】
さらに無菌チャンバ70hに隣接して無菌チャンバ70iが設けられ、この無菌チャンバ70i内に第3充填装置21Cが配置されている。そしてこの第3充填装置21Cに第3混合タンク55Cから他の原料が送液される。なお、無菌チャンバ70iは、無菌チャンバ70fに対してボトル100の搬送方向下流側に配置され、これによって無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70hと無菌チャンバ70iとが並列に配置されているとも言える。
【0303】
さらに無菌チャンバ70h、70iのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。さらに無菌チャンバ70jの下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
【0304】
なお、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、いずれも回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。
図12において、予め上流側で殺菌されたボトル100が搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70f内の第1充填装置21Aまで搬送される。
【0305】
第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0306】
次に無菌チャンバ70f内のボトル100は搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70h内の第2充填装置21Bまで搬送される。第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、複数のボトル100が回転搬送されながらボトル100の内部へ対象原料が充填される。
【0307】
他方、無菌チャンバ70f内のボトル100を搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70i内の第3充填装置21Cまで搬送してもよい。この場合、無菌チャンバ70f内のボトル100は無菌チャンバ70h内の第2充填装置21B側へ送られることはない。
第3充填装置21Cまでボトル100が搬送されると、第3充填装置21Cにおいて第3混合タンク55Cから送液された他の原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第3充填装置21Cでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の原料が充填される。
【0308】
その後、無菌チャンバ70h内のボトル100および無菌チャンバ70i内のボトル100は、いずれも搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70j内のキャップ装着装置16まで送られる。キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料または他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0309】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される(図1B参照)。
【0310】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
次に、図13に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。
【0311】
さらに無菌チャンバ70hのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70iが設けられ、この無菌チャンバ70i内に第3充填装置21Cが配置されている。そしてこの第3充填装置21Cに第3混合タンク55Cから他の原料が送液される。さらに無菌チャンバ70iのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。
【0312】
そして図13において、無菌チャンバ70f、無菌チャンバ70h、無菌チャンバ70iおよび無菌チャンバ70jは、ボトル100を回転搬送する円形の円形搬送体110の外周に並んで配置されている。また円形搬送体110の外周には無菌チャンバ70fの上流側に、搬送ホイール12を収納した無菌チャンバ70kが配置されている。さらに無菌チャンバ70jのボトル100の搬送方向下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
【0313】
なお、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、いずれも回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。
図13において、予め上流側で殺菌されたボトル100が無菌チャンバ70k内に配置された搬送ホイール12および円形搬送体110を介して無菌チャンバ70fまで搬送され、さらに無菌チャンバ70f内で搬送ホイール12を介して第1充填装置21Aまで搬送される。
【0314】
第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0315】
次に無菌チャンバ70f内のボトル100は無菌チャンバ70f内の搬送ホイール12、円形搬送体110、および無菌チャンバ70h内の搬送ホイール12を介して第2充填装置21Bまで搬送される。第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ対象原料が充填される。
【0316】
その後、無菌チャンバ70h内のボトル100は無菌チャンバ70h内の搬送ホイール12、円形搬送体110および無菌チャンバ70i内の搬送ホイール12を介して第3充填装置21Cまで搬送される。第3充填装置21Cまでボトル100が搬送されると、第3充填装置21Cにおいて第3混合タンク55Cから送液された他の原料が、予め水と対象原料が充填されたボトル100内に充填される。この第3充填装置21Cでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の原料が充填される。
【0317】
その後、無菌チャンバ70i内のボトル100は、無菌チャンバ70i内の搬送ホイール12、円形搬送体110、および無菌チャンバ70j内の搬送ホイール12を介してキャップ装着装置16まで送られる。キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料および他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0318】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かってキャップ搬送路18Aにより列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かうキャップ搬送路18Aの途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0319】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0320】
次に、図14に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。
【0321】
さらに無菌チャンバ70hに隣接して無菌チャンバ70iが設けられ、この無菌チャンバ70i内に第3充填装置21Cが配置されている。そしてこの第3充填装置21Cに第3混合タンク55Cから他の原料が送液される。図14において、無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に、無菌チャンバ70hと無菌チャンバ70iとが並列に配置されることになる。
【0322】
さらに無菌チャンバ70h、70iのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。さらに無菌チャンバ70jのボトル100の搬送方向下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
【0323】
なお、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、いずれも回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。また第2充填装置21Bを収納する無菌チャンバ70hのうち、第3充填装置21Cを収納する無菌チャンバ70i側の領域が区画されて無菌チャンバ70lが形成され、この無菌チャンバ70l内に搬送ホイール12が配置されている。
【0324】
図14において、予め上流側で殺菌されたボトル100が搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70f内の第1充填装置21Aまで搬送される。第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0325】
次に無菌チャンバ70f内のボトル100は搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70h内の第2充填装置21Bまで搬送される。第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ対象原料が充填される。
【0326】
他方、無菌チャンバ70f内のボトル100を無菌チャンバ70h内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70i内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70i内の第3充填装置21Cまで搬送してもよい。この場合、無菌チャンバ70f内のボトルは無菌チャンバ70h内の第2充填装置21B側へ送られない。
【0327】
第3充填装置21Cまでボトル100が搬送されると、第3充填装置21Cにおいて第3混合タンク55Cから送液された他の原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第3充填装置21Cでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の原料が充填される。
【0328】
その後、無菌チャンバ70h内のボトル100および無菌チャンバ70i内のボトル100は、それぞれ無菌チャンバ70h内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70i内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70j内の搬送ホイール12を経てキャップ装着装置16まで送られる。キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料あるいは他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0329】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かってキャップ搬送路18Aにより列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かうキャップ搬送路18Aの途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0330】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0331】
なお、図14に示す例において、無菌チャンバ70f内で第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100を、無菌チャンバ70h内の第2充填装置21Bあるいは無菌チャンバ70i内の第3充填装置21Cへ送ることなく、無菌チャンバ70l内の搬送ホイール12を経て直接無菌チャンバ70jへ送ってもよい。この場合は、水のみが充填されたボトル100に対してキャップ88が装着されて製品ボトル101が得られる。
【0332】
次に、図15に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70iが設けられ、この無菌チャンバ70i内に第3充填装置21Cが配置されている。そしてこの第3充填装置21Cに第3混合タンク55Cから他の原料が送液される。
【0333】
さらに無菌チャンバ70fおよび無菌チャンバ70iに隣接して無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。図15において、無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に、無菌チャンバ70hと無菌チャンバ70iとが並列に配置されることになる。さらに無菌チャンバ70h、70iのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。さらに無菌チャンバ70jのボトル100の搬送方向下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
【0334】
なお、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、いずれも回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。また、第3充填装置21Cを収納する無菌チャンバ70iのうち、第2充填装置21Bを収納する無菌チャンバ70h側の領域が区画されて無菌チャンバ70lが形成され、この無菌チャンバ70l内に搬送ホイール12が配置されている。
【0335】
図15において、予め上流側で殺菌されたボトル100が搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70f内の第1充填装置21Aまで搬送される。第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0336】
次に無菌チャンバ70f内のボトル100は無菌チャンバ70f内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70h内の搬送ホイール12を介して第2充填装置21Bまで搬送される。第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、複数のボトル100が回転搬送されながらボトル100の内部へ対象原料が充填される。
【0337】
他方、無菌チャンバ70f内のボトル100を無菌チャンバ70f内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70l内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70i内の第3充填装置21Cまで搬送してもよい。
【0338】
第3充填装置21Cまでボトル100が搬送されると、第3充填装置21Cにおいて第3混合タンク55Cから送液された他の原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第3充填装置21Cでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の原料が充填される。
【0339】
その後、無菌チャンバ70h内のボトル100および無菌チャンバ70i内のボトル100は、いずれも無菌チャンバ70l内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70j内の搬送ホイール12を経てキャップ装着装置16まで送られる。キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料あるいは他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0340】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かってキャップ搬送路18Aにより列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かうキャップ搬送路18Aの途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0341】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0342】
次に、図16に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。
【0343】
さらに無菌チャンバ70hのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70iが設けられ、この無菌チャンバ70i内に第3充填装置21Cが配置されている。そしてこの第3充填装置21Cに第3混合タンク55Cから他の原料が送液される。さらに無菌チャンバ70iのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。さらに無菌チャンバ70jのボトル100の搬送方向下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
【0344】
なお、第1充填装置21A、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、いずれも回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。また無菌チャンバ70f、70hおよび70iに隣接して無菌チャンバ70mが設けられ、この無菌チャンバ70m内に搬送ホイール12が配置されている。
【0345】
図16において、予め上流側で殺菌されたボトル100が搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70f内の第1充填装置21Aまで搬送される。第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0346】
次に無菌チャンバ70f内のボトル100は無菌チャンバ70f内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70m内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70hへ送られ、無菌チャンバ70hの搬送ホイール12を経て第2充填装置21Bまで搬送される。第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、複数のボトル100が回転搬送されながらボトル100の内部へ対象原料が充填される。
【0347】
次に無菌チャンバ70h内のボトル100が無菌チャンバ70h内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70m内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70i内へ送られ、その後第3充填装置21Cまで搬送される。第3充填装置21Cまでボトル100が搬送されると、第3充填装置21Cにおいて第3混合タンク55Cから送液された他の原料が、予め水と対象原料が充填されたボトル100内に充填される。この第3充填装置21Cでは、複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ他の原料が充填される。
【0348】
その後、無菌チャンバ70i内のボトル100は、無菌チャンバ70i内の搬送ホイール12および無菌チャンバ70m内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70j内のキャップ装着装置16まで送られる。キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料および他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0349】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かってキャップ搬送路18Aにより列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かうキャップ搬送路18Aの途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
【0350】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0351】
次に、図17に示す例では、第1充填装置21Aは無菌チャンバ70f内に配置されている。そしてこの第1充填装置21Aに第1混合タンク55Aから水が送液される。また無菌チャンバ70fのボトル100の搬送方向下流側に小型の無菌チャンバ70hが設けられ、この無菌チャンバ70h内に第2充填装置21Bが配置されている。そしてこの第2充填装置21Bに第2混合タンク55Bから対象原料が送液される。
【0352】
さらに無菌チャンバ70hのボトル100の搬送方向下流側に搬送ホイール12を収納する無菌チャンバ70nが設けられている。また無菌チャンバ70nのボトル100の搬送方向下流側に小型の無菌チャンバ70iが設けられ、この無菌チャンバ70i内に第3充填装置21Cが配置されている。そしてこの第3充填装置21Cに第3混合タンク55Cから他の原料が送液される。さらに無菌チャンバ70iのボトル100の搬送方向下流側に無菌チャンバ70jが設けられ、この無菌チャンバ70j内にキャップ装着装置16が配置されている。さらに無菌チャンバ70jのボトル100の搬送方向下流側に出口チャンバ70gが設けられている。
【0353】
なお、第1充填装置21Aは回転可能な複数の充填ノズル21aを有するロータリーフィラからなる。また第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、充填量が少ない内容物を充填する充填装置であって、ボトル100の口部上に固定して使用される定量タイプの充填ノズル21bおよび充填ノズル21cを含む。
【0354】
そしてボトル100が充填ノズル21bに達すると、近赤外線でボトル100が検出されてボトル100の口部が充填ノズル21bの下を通過している間だけ、ボトル100に対して充填ノズル21bから、ボトル一本一本に対して間欠的に内容物が充填される。なお、第2充填装置21Bおよび第3充填装置21Cは、間欠的に内容物を充填するものではなく、連続的に充填する充填ノズル21bおよび充填ノズル21cを有していてもよい。充填ノズル21aおよび充填ノズル21bはロータリーフィラからなる充填ノズル21aよりも上流側に設置しても良く、上流と下流に1台以上設置しても良い。第2充填装置21Bと第3充填装置21Cからは同じ液を充填しても良い。
【0355】
図17において、予め上流側で殺菌されたボトル100が搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70f内の第1充填装置21Aまで搬送される。第1充填装置21Aにおいて、第1混合タンク55Aから送液された水が空のボトル100内に充填される。この第1充填装置21Aでは複数のボトル100が回転搬送されながら、ボトル100の内部へ水が充填される。
【0356】
次に無菌チャンバ70f内のボトル100は搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70h内の第2充填装置21Bまで搬送される。第2充填装置21Bにおいて、第2混合タンク55Bから送液された対象原料が、予め第1充填装置21Aにより水が充填されたボトル100内に充填される。この第2充填装置21Bでは、ボトル100に対して対象原料が間欠的に充填される。
【0357】
次に無菌チャンバ70h内のボトル100は無菌チャンバ70n内の搬送ホイール12を介して無菌チャンバ70i内の第3充填装置21Cまで搬送される。第3充填装置21Cまでボトル100が搬送されると、第3充填装置21Cにおいて第3混合タンク55Cから送液された他の原料が、予め水と対象原料が充填されたボトル100内に充填される。この第3充填装置21Cでは、ボトル100に対して他の原料が間欠的に充填される。
その後、無菌チャンバ70i内のボトル100は、無菌チャンバ70j内へ送られ、搬送ホイール12を経てキャップ装着装置16まで送られる。
【0358】
キャップ装着装置16は、ボトル100にキャップ88を装着することにより、ボトル100を閉栓する装置である。キャップ装着装置16において、水、対象原料および他の原料(内容物)が充填されたボトル100はキャップ88により閉じられ、ボトル100内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル100が回転(公転)されながら、その口部にキャップ88が装着される。このようにして、ボトル100にキャップ88を装着することにより、製品ボトル101が得られる(図1B参照)。
【0359】
キャップ88は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70jの外側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ88は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ88がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のガス又はミストがキャップ88の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される(図1B参照)。
【0360】
製品ボトル搬出部25は、キャップ装着装置16でキャップ88を装着された製品ボトル101を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出する。
【0361】
また、図11~17の第1混合タンク55Aは水、第2混合タンク55Bおよび第3混合タンク55Cは、対象原料または他の原料として説明を行ったがこれに限らない。内容物の混ざりやすさ、液の吹きこぼれ等を考慮し、順序を適宜変更すると良い。
【0362】
なお、図1A乃至図9Bに示す第1の実施の形態および図10に示す第2の実施の形態において、他の原料タンク71内の他の原料を他の原料殺菌ライン70により加熱殺菌する例を示したが、これに限らず他の原料タンク71内に貯留された他の原料を予め所望の手法により殺菌しておいてもよい。この場合は、他の原料タンク71内に貯留された他の原料を再度、他の原料殺菌ライン70を用いて加熱殺菌する必要はない。また、殺菌された他の原料をバッグ・イン・ボックス、無菌コンテナ、無菌タンク等を用いて、図1Bの75より無菌的に接続し、無菌的に製品液ラインに供給しても良い。
【0363】
(他の変形例)
また、上述した実施の形態において、循環系(第2循環系)95Aが、前段殺菌機62A、第3バイパスライン95a、第1殺菌機62、第2殺菌機64及び循環ライン95によって構成されている例(図2A3等参照)について説明した。この場合、第1紫外線ランプ67a等を点灯した状態で、循環系95Aにおいて水を循環させることにより、異物除去フィルタ61に捕集された菌を定期的に殺菌しても良い。異物除去フィルタ61に捕集された菌の殺菌は、例えば、製品ボトル101の製造を停止している間に行われても良い。このとき、例えば、図18Aに示すように、循環ライン95の一端は、第2殺菌機64と第1除菌フィルタ63との間に接続されていても良く、循環ライン95の他端は、混合タンク51に接続されていても良い。また、ポンプP1の周波数を変化させることにより、異物除去フィルタ61の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差(差圧)を変化させても良い。そして、異物除去フィルタ61の上流側の圧力と下流側の圧力との間の圧力差(差圧)を変化させることにより、異物除去フィルタ61に捕集された菌を、積極的に、異物除去フィルタ61の下流側に押し出しても良い。具体的には、循環系95Aにおいて水を循環させることにより菌を殺菌するとき、異物除去フィルタ61の上流側の圧力を、製品ボトル101の製造時における圧力よりも0.05MPa以上高くしても良く、好ましくは0.1MPa以上高くしても良い。また、図18Bに示すように、フィルタの構造上問題なければ、内容物を逆流させることにより、異物除去フィルタ61に捕集された菌を、循環系95Aにおいて循環させても良い。なお、このとき、異物除去フィルタ61の1次側圧力と2次側圧力の差は、異物除去フィルタ61の正圧、逆圧ともに許容最大圧力を超えないようにする。このように、異物除去フィルタ61に捕集された菌を定期的に殺菌することにより、混合対象原料殺菌ライン50によって、連続して長時間内容物を殺菌した場合であっても、混合対象原料殺菌ライン50によって殺菌された内容物の無菌性を担保できる。
【0364】
(更に他の変形例)
また、図18Cに示すように、混合対象原料殺菌ライン50は、複数(例えば2つ)の殺菌機60を有していても良い。これにより、一方の殺菌機60が停止した場合、又は一方の殺菌機60において紫外線の照射量が低下した場合であっても、他方の殺菌機60によって、内容物の無菌性を担保できる。また、一方の殺菌機60を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)している場合に、他方の殺菌機60を使用して、内容物を殺菌できる。このため、製品ボトル101の製造を連続して行うことができる。なお、図18Cに示す例においては、殺菌機60の構成が図2A1に示す殺菌機60の構成と同一であるが、これに限られない。図示はしないが、例えば、殺菌機60が、図2A2乃至図2Jに示す殺菌機60であっても良い。また、混合対象原料殺菌ライン50が複数の殺菌機60を有する場合、混合対象原料殺菌ライン50が有する殺菌機60が互いに異なっていても良い。一例として、混合対象原料殺菌ライン50が、図2A1に示す殺菌機60と、図2A3に示す殺菌機60とを有していても良い。
【0365】
(更に他の変形例)
また、上述した実施の形態において、内容物充填システム10が、ボトル100に内容物を充填するシステムである場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、内容物充填システム10が、プリフォーム100aに対して内容物を充填することにより、プリフォーム100aからボトル100を成形する充填システム(いわゆる、ブローフィルシール(Blow-Fill-Seal(BFS))であっても良い。
【0366】
この場合、図18Dに示すように、充填装置21は、ボトル成形部30内に組み込まれていても良い。なお、図示はしないが、例えば、プリフォーム100aに対して内容物を充填することにより、プリフォーム100aからボトル100を成形する場合には、充填装置21が、ボトル成形部30内に組み込まれていても良い。
【0367】
また、図18Dに示すように、ボトル成形部30のプリフォーム搬送部31において、プリフォーム殺菌装置34aは、加熱部35の下流側に設けられていても良い。そして、プリフォーム殺菌装置34aは、加熱部35によって加熱されたプリフォーム100aを殺菌するように構成されていても良い。プリフォーム殺菌装置34aは、チャンバ70s内に配置されていても良い。
【0368】
本変形例では、充填装置21において、殺菌されたプリフォーム100aに対して、加圧された内容物が充填され得る。これにより、ボトル100の成形と、ボトル100に対する内容物の充填とが同時に行われ得る。
【0369】
(他の変形例)
さらに、上述した実施の形態において、殺菌機60が、電気伝導率が0.1μS/cm以上20μS/cm以下である内容物を殺菌する例について説明したが、これに限られない。例えば、殺菌機60が殺菌する内容物が、20μS/cmよりも大きい水であっても良い。この場合、水は、水道水又は井水であっても良い。
【0370】
この場合、図18Eに示すように、混合対象原料殺菌ライン50は、混合タンク51の上流側に設けられ、水(水道水又は井水等)を貯留する前段水タンク50dと、第1殺菌機62と同一構成の前段殺菌機62Aとを設けても良い。なお、殺菌機60が水道水等を殺菌する場合、第1紫外線ランプ67a等の表面(例えば、石英ガラスによって構成される表面)に、無機物(カルシウム等の酸化物)等が付着し得る。そして、第1紫外線ランプ67a等の表面に無機物等が付着した場合、殺菌機60における紫外線の照射量が低下し得る。このため、殺菌機60における紫外線の照射量が低下した場合には、殺菌機60を洗浄(CIP)及び殺菌(SIP)することにより、第1紫外線ランプ67a等の表面に付着した無機物等を除去することが好ましい。この場合、図18Cを用いて説明したように、混合対象原料殺菌ライン50が、複数(例えば2つ)の殺菌機60を有していても良い。これにより、一方の殺菌機60を洗浄(CIP)又は殺菌(SIP)している場合に、他方の殺菌機60を使用して、水を殺菌できる。このため、製品ボトル101の製造を連続して行うことができる。
【0371】
なお、上記の実施の形態において、第1殺菌機62および第2殺菌機64により、菌を不活性化又は減少させる例を説明したが、第1殺菌機62および第2殺菌機64により、例えば混合対象原料に対して、500mJ/cm2 以上の紫外線を照射することにより、菌のみではなく、エンドトキシンも不活性化又は減少させることができる。このように、本実施の形態により、混合対象原料中の菌のみではなくエンドトキシンも不活性化又は減少させることができるので、製薬製造に適した内容物充填システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0372】
10 内容物充填システム
11 殺菌装置
18 キャップ殺菌装置
21 充填装置
21A 第1充填装置
21B 第2充填装置
21C 第3充填装置
21a 充填ノズル
32 ブロー成形部
34a プリフォーム殺菌装置
50 混合対象原料殺菌ライン
50A 水殺菌ライン
50B 対象原料殺菌ライン
50a 水タンク
50b 対象原料タンク
50c 純水製造装置
51 混合タンク
51A 混合ライン
52 タンク
53 補助フィルタ
54 タンク
55 混合タンク
55A 第1混合タンク
55B 第2混合タンク
55C 第3混合タンク
60 殺菌機
70 他の原料殺菌ライン
71 他の原料タンク
72 原料タンク
73 補助フィルタ
74 原料タンク
75 添加ユニット
80 原料殺菌機
88 キャップ
100 ボトル
100a プリフォーム
図1A
図1B
図1C
図2A1
図2A2
図2A3
図2A4
図2A5
図2A6
図2A7
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含む非加熱原料を生成する非加熱原料供給ラインと、
前記非加熱原料を非加熱殺菌する非加熱原料殺菌ラインと、
前記非加熱原料以外の他の原料を加熱殺菌する加熱殺菌ラインと、
を備え、
前記非加熱原料殺菌ラインで非加熱殺菌された前記非加熱原料と、前記加熱殺菌ラインで加熱殺菌された前記他の原料とを混合タンクで混合し、
前記非加熱原料以外の他の原料を予め殺菌しておき、前記予め殺菌された他の原料をバッグ・イン・ボックス、無菌コンテナ、または無菌タンクを用いて、前記混合タンクの下流側に投入し、前記非加熱原料と前記他の原料と前記予め殺菌された他の原料を容器に充填する充填装置を設けた、内容物充填システム。
【請求項2】
前記予め殺菌された他の原料は、前記バッグ・イン・ボックス内に充填された後、無菌状態で、前記混合タンクの下流側に投入される、請求項1記載の内容物充填システム。