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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165777
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】包装材料及び包装製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20231110BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20231110BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/32 Z
B32B27/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149586
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2019058937の分割
【原出願日】2019-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】清水 怜子
(72)【発明者】
【氏名】國弘 武嗣
(57)【要約】
【課題】化石燃料の使用量を削減しつつ、包装製品の内容物に与えるバイオマス成分特有の臭気の影響を抑える包装材料を提供する。
【解決手段】包装材料は、第1ポリオレフィン樹脂層、紙基材層、第1接着樹脂層、バリア層、第2接着樹脂層、シーラント層が順に積層されている。第1ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層である。シーラント層は、包装材料の最内面に位置する第2ポリオレフィン樹脂層を備える。第2ポリオレフィン樹脂層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層である。第2接着樹脂層は、第2ポリオレフィン樹脂層と接している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポリオレフィン樹脂層、紙基材層、第1接着樹脂層、バリア層、第2接着樹脂層、シーラント層が順に積層された包装材料であって、
前記第1ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層であり、
前記シーラント層が、前記包装材料の最内面に位置する第2ポリオレフィン樹脂層を備え、前記第2ポリオレフィン樹脂層が、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層であり、
前記第2接着樹脂層が、前記第2ポリオレフィン樹脂層と接している、包装材料。
【請求項2】
前記バリア層が、バイオマス由来のポリエステルを含む、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記バリア層が、無機物若しくは無機酸化物の蒸着膜、又は金属箔を更に備える、請求項2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記第2接着樹脂層が、前記バリア層と接しており、かつカルボン酸基含有化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装材料を、胴材、底材、又は胴材及び底材に用いたカップ容器。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装材料を用いた液体包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス由来成分を含む包装材料及び包装材料を備えた包装製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。
【0003】
バイオマス由来の樹脂としては、乳酸発酵を経由して製造されるポリ乳酸(PLA)が先行して商業生産が始まったが、生分解性であることをはじめ、プラスチックとしての性能が現在の汎用プラスチックとは大きく異なるため、製品用途や製品製造方法に限界があり広く普及するには至っていない。また、PLAに対しては、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価が行われており、PLA製造時の消費エネルギー及び汎用プラスチック代替時の等価性等について議論がなされている。
【0004】
ここで、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル等、様々な種類が用いられている。特に、ポリエチレンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に供されており、世界中での使用量が多い。そのため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きい。そのため、ポリエチレンの製造にバイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。例えば、現在までに、ポリオレフィン樹脂の原料となるエチレンやブチレンを、再生可能な天然原料から製造することが研究されてきた(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献2では、バイオマス由来の原料を用いた製品として、紙カップが提案されている。これは、紙カップの胴部材と底部材を形成する胴部材用ブランクと底部材用ブランクの内面が、植物由来のバイオマスポリエチレン樹脂からなる内側熱可塑性樹脂層であることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2011-506628号公報
【特許文献2】特開2015-214365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に提案されたようなバイオマス由来の成分からなる樹脂を包装製品の最内面に用いると、バイオマス成分特有の臭気が内容物に影響を及ぼすという問題がある。本発明者らは、包装材料から形成された包装製品において、包装材料が化石燃料由来の成分からなる層を最内面に備えることで、上記問題を解決できるとの知見を見出した。
【0008】
したがって、本発明の目的は、バイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減しつつ、包装製品の内容物に与えるバイオマス成分特有の臭気の影響を抑える包装材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1ポリオレフィン樹脂層、紙基材層、第1接着樹脂層、バリア層、第2接着樹脂層、シーラント層が順に積層された包装材料であって、前記第1ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層であり、前記シーラント層は、前記包装材料の最内面に位置する第2ポリオレフィン樹脂層を備え、前記第2ポリオレフィン樹脂層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層であり、前記第2接着樹脂層は、前記第2ポリオレフィン樹脂層と接している、包装材料である。
【0010】
本発明による包装材料において、前記バリア層は、バイオマス由来のポリエステルを含んでもよい。
【0011】
本発明による包装材料において、前記バリア層は、無機物若しくは無機酸化物の蒸着膜、又は金属箔を更に備えてもよい。
【0012】
本発明による包装材料において、前記第2接着樹脂層は、前記バリア層と接しており、かつカルボン酸基含有化合物を含んでもよい。
【0013】
本発明は、上記の包装材料を、胴材、底材、又は胴材及び底材に用いたカップ容器である。
【0014】
本発明は、上記の包装材料を用いた液体包装用容器である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、化石燃料の使用量を削減しつつ、包装製品の内容物に与えるバイオマス成分特有の臭気の影響を抑える包装材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の包装材料の一例を示す断面図である。
図2】本発明の包装材料の一例を示す断面図である。
図3】本発明の包装材料を備える包装容器の一例を示す図である。
図4】本発明の包装材料を備える包装容器の一例を示す図である。
図5】実施例1~16の包装材料の層構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による包装材料を構成する積層体は、外面側から最内面側へ順に積層された第1ポリオレフィン樹脂層、紙基材層、第1接着樹脂層、バリア層、第2接着樹脂層及びシーラント層を備える。最内面とは、包装材料から形成される包装製品において、包装製品に収容される内容物側に位置する面である。また、外面とは、最内面の反対側に位置する面であるが、積層体は、外面に位置する層の外側に更なる層を備えてもよい。本願において、「この順に備える」や「順に積層された」等の記載における「順」という用語は、特に断らない限り、外面側から最内面側に向かう方向における順序を表している。
【0018】
本発明においては、包装材料を構成する積層体全体で、下記で説明するバイオマス度が、40%以上であることが好ましく、60%以上98%未満であることがより好ましい。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。なお、特に断りのない限り、「バイオマス度」とはバイオマス由来成分の重量比率を示したものとする。
【0019】
図1は、本発明の包装材料10の一例を示す断面図である。包装材料10は、第1ポリオレフィン樹脂層11と、紙基材層12と、第1接着樹脂層13と、バリア層14と、第2接着樹脂層15と、シーラント層16とをこの順に備え、シーラント層16は、第2ポリオレフィン樹脂層17を備える。第1ポリオレフィン樹脂層11が包装材料10の外面10yを構成し、第2ポリオレフィン樹脂層17が包装材料10の最内面10xを構成している。
【0020】
図2は、本発明の包装材料10のその他の一例を示す断面図である。包装材料10は、第1ポリオレフィン樹脂層11と、紙基材層12と、第1接着樹脂層13と、バリア層14、第2接着樹脂層15と、シーラント層16とをこの順に備え、シーラント層16は、第3ポリオレフィン樹脂層18と、第2ポリオレフィン樹脂層17とを備える。第1ポリオレフィン樹脂層11が包装材料10の外面10yを構成し、第2ポリオレフィン樹脂層17が包装材料10の最内面10xを構成している。
【0021】
なお、上記した図1及び図2に示す包装材料10の複数の層構成を適宜組み合わせることも可能である。
【0022】
以下、本発明の包装材料を構成する各層について説明する。
【0023】
(紙基材層)
紙基材層は、基材層としての機能を果たすものであり、ポリオレフィン樹脂層を押出成形により積層する工程に耐える強度を有することが必要である。紙基材層は、好ましくは100g/m以上700g/m以下、より好ましくは150g/m以上600g/m以下、更に好ましくは200g/m以上500g/m以下の坪量を有するものである。紙基材層としては、白板紙全般を対象とするが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の使用が好ましい。
【0024】
また、本発明で使用する板紙は、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、硫酸バンドを使用してpH6以上pH9以下の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤の他、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
【0025】
(第1ポリオレフィン樹脂層)
第1ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層である。第1ポリオレフィン樹脂層は、包装材料のコア層としての機能を果たすものであってもよい。包装材料はコア層を有することで、破断せず、優れた屈曲性を示すことができる。
【0026】
ここで、低密度ポリエチレン樹脂層を構成する低密度ポリエチレン(LDPE)及び後述する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層を構成する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDEP)について説明する。低密度ポリエチレンとは、高圧法エチレン単独重合体であり、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。直鎖状低密度ポリエチレンとは、チーグラーナッタ触媒に代表されるマルチサイト触媒又はメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を使用して重合した、エチレンとα-オレフィンとの共重合体である。いずれも、密度が0.930g/cm未満のものを指す。直鎖状低密度ポリエチレンのコモノマーとなるα-オレフィンとしては、炭素数3~20のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-オクテン、1-ノネン、4-メチルペンテン等、及びこれらの混合物が挙げられる。ここで、ポリエチレンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。
【0027】
上記のシングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより調整される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造の重合体を重合することができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、特に、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、担体の各触媒成分とを含む触媒である。
【0028】
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1~30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、その水添体等を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに互いに置換基を有していてもよい。
【0029】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常2個を有し、各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は架橋基により互いに結合しているものが好ましい。なお、架橋基としては炭素数1~4のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基等の置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基等の置換ゲルミレン基等が挙げられる。好ましくは、置換シリレン基である。
【0030】
周期律表第IV族の遷移金属化合物において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1~20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基等が挙げられる。
【0031】
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、一種又は二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。
【0032】
助触媒としては、上記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、又は触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有あるいは非含有のカチオンと非配位性アニオンからなるイオン性化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ、フルオロ基を含有するフェノキシ化合物等が挙げられる。
【0033】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機又は有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機又は有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等又はこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
また更に必要により使用される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物等が例示される。このうち有機アルミニウムが好適に使用される。
【0035】
第1ポリオレフィン樹脂層を構成するバイオマス由来の低密度ポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを第1ポリオレフィン樹脂層全体に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは25質量%以上75質量%以下、最も好ましくは40質量%以上75質量%以下含んでなるものである。第1ポリオレフィン樹脂層11中のバイオマス由来のエチレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな包装材料を実現できる。
【0036】
第1ポリオレフィン樹脂層は、1~30g/10分、好ましくは3~25g/10分、より好ましくは4~20g/10分、のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。第1ポリオレフィン樹脂層のMFRが1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、第1ポリオレフィン樹脂層のMFRが30g/10分以下であれば、第1ポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
【0037】
第1ポリオレフィン樹脂層の厚さは、10~100μmであることが好ましく、10~50μmであることがより好ましく、10~30μmであることが更に好ましい。
【0038】
<バイオマス由来のエチレン>
バイオマス由来のポリエチレン(以下、バイオマスポリエチレンとも称する)の原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。
【0039】
バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、及びマニオクを挙げることができる。
【0040】
バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物又はその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、及び抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、又は膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
【0041】
上記エチレンを得るために、この段階で、エタノール中の不純物総量が1ppm以下にする等の高度な精製を更に行ってもよい。
【0042】
エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には通常触媒が用いられるが、この触媒は、特に限定されず、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利なのは、触媒と生成物の分離が容易な固定床流通反応であり、例えば、γ―アルミナ等が好ましい。
【0043】
この脱水反応は吸熱反応であるため、通常加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で反応が進行すれば、加熱温度は限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、更に好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支及び設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。
【0044】
エタノールの脱水反応においては、原料として供給するエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合には、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にあることが判明した。恐らく、少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察している。許容される水の含有量の下限は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上必要である。上限は特に限定されないが、物質収支上及び熱収支の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
【0045】
このようにしてエタノールの脱水反応を行うことによりエチレン、水及び少量の未反応エタノールの混合部が得られるが、常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これら混合部から気液分離により水やエタノールを除きエチレンを得ることができる。この方法は公知の方法で行えばよい。
【0046】
気液分離により得られたエチレンは更に蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度、及び滞留時間等は特に制約されない。
【0047】
原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、及びエステル等のカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミン及びアミノ酸等の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去してもよい。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
【0048】
なお、エチレン中の不純物の精製方法として苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
【0049】
<バイオマスポリエチレン>
バイオマスポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオマス由来のエチレンには、上記の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。バイオマスポリエチレンが、バイオマス由来の低密度ポリエチレンである場合は、バイオマス由来のエチレンを用いて、上記した重合方法により重合したポリエチレンである。なお、ポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
【0050】
本発明の目的を損なわない範囲であれば、バイオマスポリエチレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンを更に含んでもよい。
【0051】
上記のポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(以下、「バイオマス度」ということがある)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエチレン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出し、バイオマス由来成分の重量比率を求めることができる。
【0052】
本発明においては、理論上、ポリエチレンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマスポリエチレンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリエチレンのバイオマス度は0%となる。
【0053】
本発明において、バイオマスポリエチレンやバイオマス由来の樹脂層は、バイオマス度が100%である必要はない。包装材料の一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという本発明の趣旨に沿うからである。
【0054】
(シーラント層)
シーラント層は、包装材料の最内面に位置する第2ポリオレフィン樹脂層を備える。第2ポリオレフィン樹脂層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層又は化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層である。
また、シーラント層は、第3ポリオレフィン樹脂層を更に備えてもよい。第3ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層である。
さらに、シーラント層は、第2ポリオレフィン樹脂層と第3ポリオレフィン樹脂層とを、共押出成形により形成した層であってもよい。
【0055】
シーラント層が第3ポリオレフィン樹脂層を備える場合、シーラント層のバイオマス度は、10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上80%以下であることがより好ましく、30%以上70%以下であることが更に好ましい。バイオマス度を上記範囲にすることにより、化石燃料の使用量をより削減することができ、環境負荷をより減らすことができる。
【0056】
シーラント層は、1~30g/10分、好ましくは3~25g/10分、より好ましくは4~20g/10分、のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、上記した通りの値のことである。シーラント層のMFRが1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、シーラント層のMFRが30g/10分以下であれば、シーラント層の機械的強度を高めることができる。
【0057】
シーラント層の厚さは、10~100μmであることが好ましく、10~80μmであることより好ましく、10~60μmであることが更に好ましい。
【0058】
(第2ポリオレフィン樹脂層)
第2ポリオレフィン樹脂層は、包装材料の最内面に位置し、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層又は化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層である。包装材料の最内面に位置する第2ポリオレフィン樹脂層を、化石燃料由来の層とすることで、内容物に与えるバイオマス成分特有の臭気の影響を抑えることができる。また、第2ポリオレフィン樹脂層を低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンとすることで、シール性を向上することができ、シーリングの際に層間を強固に接着することができる。
【0059】
第2ポリオレフィン樹脂層の厚さは、10~100μmであることが好ましく、10~80μmであることがより好ましく、10~60μmであることが更に好ましい。
【0060】
(第3ポリオレフィン樹脂層)
第3ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層である。第3ポリオレフィン樹脂層におけるバイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層は、第1ポリオレフィン樹脂層と同様のものを用いることができる。シーラント層が第3ポリオレフィン樹脂層を備えることにより、最内面を化石燃料由来の層にしつつ、包装材料のバイオマス度をより向上することができる。また、シーラント層が備える各層の厚さを調節することにより、包装材料のバイオマス度を容易に向上することができる。さらに、第3ポリオレフィン樹脂層は、第2ポリオレフィン樹脂層と接していてもよい。
【0061】
第3ポリオレフィン樹脂層の厚さは、10~90μmであることが好ましく、10~70μmであることがより好ましく、10~50μmであることが更に好ましい。
【0062】
(バリア層)
バリア層は、酸素ガス及び水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光及び紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与乃至向上する層である。バリア層は、バイオマス由来のポリエステル(以下、バイオマスポリエステルとも称する)を含むことが好ましい。これにより、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな包装材料を実現しできると共に、包装材料の保香性をより向上することができる。バリア層は、バイオマスポリエステルを含む樹脂組成物から形成されたものであってもよい。また、バリア層は、バイオマスポリエステルを含むプラスチックフィルムをであってもよい。
【0063】
バイオマスポリエステルは、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステルである。バリア層を形成する樹脂組成物は、樹脂組成物全体に対して、例えば、5質量%以上45質量%以下のバイオマスポリエステルを含む。
【0064】
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマス由来のエチレンの説明したバイオマス由来のエタノールを原料としたものである。例えば、バイオマス由来のエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマス由来のエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマス由来のエチレングリコールを好適に使用することができる。
【0065】
ポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体を使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
【0066】
バリア層を形成する樹脂組成物のバイオマス度は、上記したバイオマスポリエチレンと同様の方法により算出することができる。即ち、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれる放射性炭素(C14)の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出し、バイオマス由来成分の重量比率を求めることができる。
ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は31.25%である。従って、バイオマス度の理論値は31.25%となる。具体的には、ポリエチレンテレフタレートの質量(分子量)は192であり、そのうちバイオマス由来のエチレングリコールに由来する質量(分子量)は60であるため、「60÷192×100=31.25」となる。また、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートのバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートのバイオマス度は0%となる。本発明において、バリア層のバイオマス度は、5.0%以上であることが好ましく、10.0%以上であることがより好ましい。また、バリア層のバイオマス度は、30.0%以下であることが好ましい。
【0067】
バリア層は、上記の樹脂組成物を用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することにより形成することができる。具体的には、上記した樹脂組成物を乾燥させた後、樹脂組成物の融点以上の温度(Tm)~Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイ等のダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラム等で急冷固化することによりバリア層を成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
【0068】
バリア層の厚さは、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、12μm以上であることが更に好ましい。これにより、ガスバリア性及びバリア層の強度を向上することができる。また、バリア層の厚さは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。これにより、バリア層の成形性を向上することができる。
【0069】
本発明の包装材料が備えるバリア層は、無機物若しくは無機酸化物の蒸着膜、又は金属箔を更に備えてもよい。バリア層が、無機物若しくは無機酸化物の蒸着膜、又は金属箔を備えることにより、酸素ガス及び水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光及び紫外線等の透過を阻止する遮光性をより向上することができる。
【0070】
無機物及び/又は無機酸化物の蒸着膜は、プラスチックフィルムの内面側及び外面側の少なくとも一方の上に蒸着される。蒸着膜は、従来公知の無機物又は無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成及び形成方法は特に限定されない。
【0071】
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物又は無機酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装製品等に適するものとしては、アルミニウム金属の蒸着膜、あるいは、ケイ素酸化物又はアルミニウム金属もしくはアルミニウム酸化物の蒸着膜を用いるのがよい。
【0072】
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1、5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~1、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装製品には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
【0073】
上記のような無機物又は無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物又は無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50~2000Å位、好ましくは、100~1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50~600Å位、更に、好ましくは、100~450Å位が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化ケイ素の蒸着膜の場合には、膜厚50~500Å位、更に、好ましくは、100~300Å位が望ましいものである。
【0074】
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0075】
バリア層が蒸着膜を備える場合、バリア層は、蒸着膜上にガスバリア性塗布膜を更に備えてもよい。これにより、蒸着膜を機械的・化学的に保護すると共に、バリア層のバリア性をより向上させることができる。ガスバリア性塗布膜は、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂、及び必要に応じて添加されるシランカップリング剤とを含む樹脂組成物からなるガスバリア性塗布膜用コート剤によって形成される硬化膜である。また、バリア層は、ガスバリア性塗布膜上に蒸着膜を更に備えてもよい。即ち、バリア層は、蒸着膜を2つ以上備えてもよい。この場合、蒸着膜は、ガスバリア性の観点から、2種以上の蒸着膜であることが好ましい。
【0076】
該樹脂組成物中の水酸基含有水溶性樹脂/金属アルコキシドの質量比は、5/95以上20/80以下が好ましく、8/92以上15/85以下がより好ましい。該範囲よりも小さいと、バリア性塗布膜のバリア効果が不十分になり易い傾向になり、該範囲よりも大きいと、バリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり易くなる。
【0077】
ガスバリア性塗布膜の厚みは、100~800nmであることが好ましい。該範囲よりも薄いと、ガスバリア性塗布膜のバリア効果が不十分になり易くなり、該範囲よりも厚いと、剛性と脆性とが大きくなり易くなる。
【0078】
金属アルコキシドは、一般式R1nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、水素原子又は炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。1分子中の複数のR1、R2のそれぞれは、同一であっても、異なっていてもよい。)・・・(I)で表される。
【0079】
金属アルコキシドのMで表される具体的な金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、スズ、鉛、その他等を例示することができ、例えば、MがSi(ケイ素)であるアルコキシシランを使用することが好ましい。
【0080】
上記一般式(I)において、ORの具体例としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ基、3-メタクリロキシ基。3-アクリロキシ基、フェノキシ基、等のアルコキシ基又はフェノキシ基等が挙げられる。
【0081】
上記において、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、p-スチリル基、3-クロロプロピル基、トリフルオロメチル基、ビニル基、γ-グリシドキシプロピル基、メタクリル基、γ-アミノプロピル基等が挙げられる。
【0082】
アルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、フェニルフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等の各種アルコキシシランやフェノキシシラン等が挙げられる。本実施の形態において、これらのアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン等を使用することができる。
【0083】
シランカップリング剤は、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂による硬化膜の架橋密度を調整して、バリア性及び耐熱水処理性のある膜とするために用いるものである。
【0084】
シランカップリング剤は、一般式:RnSi(OR)4-n ・・・(II)
(ただし、式中、R及びRはそれぞれ独立して有機官能基を表し、nは1から3である。)
で表される。
【0085】
上記一般式(II)中、Rとしては、例えば、アルキル基やアルキレン基等の炭化水素基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、ウレイド基、ビニル基、アミノ基、イソシアヌレート基又はイソシアネート基を有する官能基が挙げられる。具体的には、2つ又は3つ存在するRの少なくとも一つは、エポキシ基を有する官能基であることが好ましく、3-グリシドキシプロピル基及び2-(3,4エポキシシクロヘキシル)基であることがより好ましい。なお、Rは、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
【0086】
上記一般式(II)中、Rとしては、例えば、炭素数1~8の有機官能基であり、好ましくは分岐を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基又は炭素数3~7のアルコキシアルキル基である。例えば、炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。また、炭素数3~7のアルコキシアルキル基としては、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、メチルsec-ブチルエーテル、エチルsec-ブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル等の直鎖又は分岐鎖状エーテルから1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。なお、(OR)は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
【0087】
上記一般式(II)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、n=1の場合、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。n=2の場合、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、n=3の場合、3-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ジメチルメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
【0088】
特に、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを用いたバリア性塗布膜の硬化膜の架橋密度は、トリアルコキシシランを用いた系での架橋密度より低くなる。そのため、ガスバリア性及び耐熱水処理性のある膜として優れながら、柔軟性のある硬化膜となり、耐屈曲性にも優れるため、当該バリアフィルムを用いた包装材料はゲルボフレックス試験後でもガスバリア性が劣化し難い。
【0089】
シランカップリング剤は、n=1、2、3、のものを混合して用いることもでき、その量比及びシランカップリング剤の使用量は、バリア性塗布膜の硬化膜の設計により決められる。
【0090】
水酸基含有水溶性樹脂は、金属アルコキシドと脱水共縮合し得るものであり、ケン化度は、90%以上100%以下が好ましく、95%以上100%以下がより好ましく、99%以上100%以下が更に好ましい。ケン化度が上記範囲よりも小さいと。バリア性塗布膜の硬度が低下し易くなる。
【0091】
水酸基含有水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコ一ル共重合体、2官能フェノール化合物と2官能エポキシ化合物との重合体、等が挙げられ、各々を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、共重合させて用いてもよい。これらの中で、特に、柔軟性と親和性に優れることから、ポリビニルアルコールが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂が好適である。
【0092】
具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコ一ル系樹脂や、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化して得られたエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のPVA-124(ケン化度=99%、重合度=2,400)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM-14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
【0093】
金属箔は、金属を圧延することによって得られた部材である。金属箔は、プラスチックフィルムの内面側及び外面側の少なくとも一方の上に位置する。金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。金属箔は、加工性やコスト等の観点から、アルミニウム箔等が好ましい。
【0094】
金属箔の厚さは、3~20μmであることが好ましく、5~15μmであることがより好ましい。
【0095】
バリア層が金属箔を備える場合、プラスチックフィルムと金属箔との間に接着剤を用いてもよい。プラスチックフィルムと金属箔との接着剤による接着は、従来公知の方法、例えばドライラミネート法により行うことができる。ドライラミネート法では、接着されるプラスチックフィルムと金属箔のうち、積層される側のプラスチックフィルム又は金属箔の表面に接着剤を塗布して乾燥させ、その後、乾燥後の接着剤を介してプラスチックフィルムおよび金属箔を積層する。塗布される接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等の接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
【0096】
接着剤は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、接着剤がポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオール又はイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。これにより、包装材料のバイオマス度をより向上させることができる。
【0097】
(第1接着樹脂層)
第1接着樹脂層は、紙基材層とバリア層との間に位置する層である。第1接着樹脂層は、紙基材層と接する層であってもよい。また、第1接着樹脂層は、バリア層と接する層であってもよい。
【0098】
第1接着樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。第1接着樹脂層は、従来公知の方法、例えば溶融押出しラミネート法やサンドラミネート法により形成することができる。第1接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、又は環状ポリオレフィン系樹脂、又はこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、又は、混合体(アロイを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、又は、共重合した樹脂等を用いることができる。これらの材料は、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネン等の環状ポリオレフィン等を用いることができる。これらの樹脂は、単独又は複数を組み合せて使用できる。
【0099】
なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、第1ポリオレフィン樹脂層において説明したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用してもよい。これにより、包装材料のバイオマス度を更に向上させることができる。
【0100】
第1接着樹脂層を構成する接着樹脂は、エポキシ基含有化合物、シラン基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、及び酸無水物含有化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含む樹脂組成物であってもよく、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を用いることができる。これらの中でも、第1接着樹脂層は、カルボン酸基含有化合物を含むことが好ましい。これにより、第1接着樹脂層を介してサンドラミネート法により紙基材層とバリア層とを接着する工程において、バリア層が受ける熱ストレスを低減することができる。また、第1接着樹脂層が蒸着膜と接する場合に、ガスバリア性が低下することを抑制することができる。
【0101】
第1接着樹脂層を構成する接着樹脂として、ポリエチレン系樹脂を用いる場合には、耐熱性に優れることから、密度が920~970kg/mの範囲が好ましく、920~965kg/mの範囲がより好ましい。第1接着樹脂層を構成する接着樹脂の密度をこれら範囲とすることにより、包装材料に熱が加えられた場合に、ピンホールの発生や蒸着膜の剥離やシワを効果的に抑制することができる。また、包装製品を作製する際の熱に起因する熱ピンホールの発生も抑制することができる。
【0102】
第1接着樹脂層の接着樹脂を構成するポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、もしくはエチレン・α-オレフィン共重合体、及びこれらの組成物であり、その分子鎖の形態は直鎖状でもよく、炭素数6以上の長鎖分岐を有していてもよい。
【0103】
第1接着樹脂層において、エチレン単独重合体としては、中・低圧法エチレン単独重合体、高圧法ポリエチレン単独重合体等を例示することができる。中・低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の中・低圧イオン重合法により得ることができる。また、高圧法ポリエチレン単独重合体は、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
【0104】
第1接着樹脂層において、エチレン・α-オレフィン共重合体に用いるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上が用いられる。エチレン・α-オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、シングルサイト系触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法等を例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
【0105】
第1接着樹脂層を構成する接着樹脂中に含有されるエポキシ基含有化合物としては、エポキシ化植物油(天然植物油の不飽和二重結合のエポキシ化)、グリシジルエーテルタイプ、グリシジルアミンタイプ、グリシジルエステルタイプ等が挙げられる。中でも食品系の包装材料に用いた場合の安全性の観点からエポキシ化植物油がより好ましい。例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化コーン油等が用いられる。このようなエポキシ基含有化合物の含有量は、例えば、第1接着樹脂層を構成する接着樹脂100重量部に対して0.01~10重量部であり、0.01~5.0重量部が好ましい。
【0106】
第1接着樹脂層を構成する接着樹脂中に含有されるシラン基含有化合物としては、シランオリゴマーが好適に用いられる。より具体的には、接着性を上げるために、分子内にエポキシ基、メルカプト基、アルコキシ基の何れか、もしくは、これらの数種を含有するシランオリゴマーが望ましい。シランオリゴマーは、第1接着樹脂層を構成する接着樹脂100重量部に対し、0.01~10重量部、好ましくは0.01~5重量部配合される。
【0107】
第1接着樹脂層を構成する接着樹脂中に含有されるカルボン酸基含有化合物としては、エチレン-不飽和カルボン酸、又はそのエステル化物との共重合体を用いることができる。より具体的には、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。また、エチレン-不飽和カルボン酸の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂を使用することもできる。
【0108】
第1接着樹脂層を構成する接着樹脂中に含有される酸無水物含有化合物としては、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂やマレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂等のマレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂や無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂等の無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。なお、マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂にマレイン酸がグラフト重合されてなる。
【0109】
第1接着樹脂層の厚さは、10~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましく、10~20μmであることが更に好ましい。
【0110】
なお、第1接着樹脂層を構成する樹脂には、上記各種化合物の他、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本願発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0111】
(第2接着樹脂層)
第2接着樹脂層は、バリア層とシーラント層との間に位置する層である。第2接着樹脂層は、バリア層と接する層であってもよい。また、第2接着樹脂層は、シーラント層と接する層であってもよい。さらに、第2接着樹脂層は、シーラント層と共押出成形により形成された層であってもよい。第2接着樹脂層は、上記した第1接着樹脂層と同様のものを用いることができる。
【0112】
第2接着樹脂層の厚さは、10~100μmであることが好ましく、10~80μmであることがより好ましく、10~60μmであることが更に好ましい。
【0113】
(印刷層)
本発明における包装材料は、必要に応じて、印刷層を更に備えてもよい。印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様等の所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、例えば、紙基材層よりも外面側に位置してもよい。また、印刷層は、全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
【0114】
(包装材料の製造方法)
次に、本発明の包装材料を構成する積層体の製造方法の一例について説明する。
【0115】
図1に示す包装材料10の製造方法の一例について説明する。まず、上記した紙基材層12を準備する。続いて、溶融押出しラミネート法により、紙基材層12上に溶融状態の樹脂を押し出して、第1ポリオレフィン樹脂層11を形成する。続いて、サンドラミネート法により、紙基材層12とバリア層14とを第1接着樹脂層13を介して積層する。続いて、溶融押出しラミネート法により、バリア層14上に、溶融状態の第2接着樹脂層15を構成する樹脂と第2ポリオレフィン樹脂層17を構成する樹脂とを共押出し、第2接着樹脂層15を介して、第2ポリオレフィン樹脂層17を積層する。これによって、第1ポリオレフィン樹脂層11、紙基材層12、第1接着樹脂層13、バリア層14、第2接着樹脂層15、及び第2ポリオレフィン樹脂層17(シーラント層16)を備える包装材料10を得ることができる。
【0116】
なお、紙基材層12上に第1接着樹脂層13、バリア層14、第2接着樹脂層15及び第2ポリオレフィン樹脂層17(シーラント層16)を形成後、紙基材層12上に第1ポリオレフィン樹脂層11を形成してもよい。
【0117】
図2に示す包装材料10の製造方法の一例について説明する。まず、上記した紙基材層12を準備する。続いて、溶融押出しラミネート法により、紙基材層12上に溶融状態の樹脂を押し出して、第1ポリオレフィン樹脂層11を形成する。続いて、サンドラミネート法により、該紙基材層12とバリア層14とを第1接着樹脂層13を介して積層する。続いて、溶融押出しラミネート法により、バリア層14上に、溶融状態の第2接着樹脂層15を構成する樹脂と、第3ポリオレフィン樹脂層18を構成する樹脂と、第2ポリオレフィン樹脂層17を構成する樹脂とを共押出し、第2接着樹脂層15を介して、第3ポリオレフィン樹脂層18及び第2ポリオレフィン樹脂層17を積層する。これによって、第1ポリオレフィン樹脂層11、紙基材層12、第1接着樹脂層13、バリア層14、第2接着樹脂層15、並びに第3ポリオレフィン樹脂層18及び第2ポリオレフィン樹脂層17(シーラント層16)を備える包装材料10を得ることができる。
【0118】
なお、紙基材層12上に第1接着樹脂層13、バリア層14、第2接着樹脂層15、並びに第3ポリオレフィン樹脂層18及び第2ポリオレフィン樹脂層17(シーラント層16)を形成後、紙基材層12上に第1ポリオレフィン樹脂層11を形成してもよい。
【0119】
(包装製品)
包装材料を用いることによって形成される包装製品の例について説明する。
【0120】
<紙カップ>
図3は、紙カップ20の一部を切除した斜視図である。紙カップ20は、胴部22及びフランジ部23を有する本体部21と、底部24と、を備える。この本体部21を構成する胴材及び/又は底部24を構成する底材に、上記した包装材料10を用いることによって形成される包装製品の一例である。紙カップ20に収容される内容物の例としては、ヨーグルト、アイスクリーム、納豆、乳飲料、果汁、お茶等の清涼飲料等の食品等を挙げることができる
【0121】
<液体用紙容器>
図4は、包装製品の例である液体用紙容器30を示す図である。液体用紙容器は、バリア性に優れることから、日本酒、焼酎、ワイン等のアルコール類、牛乳等の乳飲料、オレンジジュースやお茶等の清涼飲料等の食品、カーワックス、シャンプーや洗剤等の化学製品等液体全般の包装製品として好適に用いることができる。
【0122】
図4に示すように、液体用紙容器30は、側面を含む四角筒状の胴部31と、四角板状の底部32と、上部33とを有しており、所謂ゲーベルトップ型容器となっている。上部33は、対向する一対の傾斜板34と、一対の傾斜板34間に位置するとともに傾斜板34間に折込まれる一対の折込部35とを有している。また、一対の傾斜板34は各々の上端に設けられたのりしろ36により互いに接着している。なお、一対の傾斜板34のうちの一方の傾斜板に注出口を取付け、注出口をキャップで密封するようにしてもよい。また、フラットトップ型容器を形成してもよい。
【0123】
<他の態様>
本発明の他の態様は、第1ポリオレフィン樹脂層、紙基材層、第1接着樹脂層、バリア層、第2接着樹脂層、シーラント層が順に積層された包装材料であって、前記第1ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層であり、前記シーラント層は、前記包装材料の最内面に位置する第2ポリオレフィン樹脂層を備え、前記第2ポリオレフィン樹脂層は、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層又は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層である、包装材料である。
本発明の他の態様による包装材料において、前記バリア層は、バイオマス由来のポリエステルを含んでもよい。
本発明の他の態様による包装材料において、前記バリア層は、無機物若しくは無機酸化物の蒸着膜、又は金属箔を更に備えてもよい。
本発明の他の態様による包装材料において、前記第2接着樹脂層は、前記バリア層と接しており、かつカルボン酸基含有化合物を含んでもよい。
本発明の他の態様による包装材料において、前記シーラント層は、第3ポリオレフィン樹脂層を更に備え、前記第3ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層であってもよい。
本発明の他の態様による包装材料において、前記第3ポリオレフィン樹脂層は、前記第2ポリオレフィン樹脂層と接していてもよい。
本発明の他の態様による包装材料において、前記第2接着樹脂層は、前記シーラント層と接していてもよい。
本発明の他の態様は、上記の包装材料を、胴材、底材、又は胴材及び底材に用いたカップ容器である。
本発明の他の態様は、上記の包装材料を用いた液体包装用容器である。
【実施例0124】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0125】
[実施例1]
紙基材層として、300g/mの秤量を有する耐酸紙を準備した。続いて、紙基材層上にグラビア印刷によって印刷層を形成した。続いて、印刷層上に溶融状態の樹脂を押し出して、第1ポリオレフィン樹脂層を形成した。第1ポリオレフィン樹脂層としては、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを用いた。第1ポリオレフィン樹脂層の厚みは15μmであった。
【0126】
続いて、紙基材層とバリア層(厚さ12μm)とを、第1接着樹脂層を介して、サンドラミネート法によって貼り合せた。バリア層としては、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、バイオPETフィルムとも称する)を用いた。第1接着樹脂層としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを用いた。第1接着樹脂層の厚みは15μmであった。
【0127】
続いて、バイオPETフィルム上に、溶融状態の第2接着樹脂層を構成する樹脂と第2ポリオレフィン樹脂層を構成する樹脂とを共押出し、第2接着樹脂層を介して、第2ポリオレフィン樹脂層(シーラント層)を積層した。第2接着樹脂層としては、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いた。第2ポリオレフィン樹脂層としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2接着樹脂層の厚みは15μmであった。第2ポリオレフィン樹脂層の厚みは20μmであった。これにより、包装材料を作製した。
【0128】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/バイオPET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
「/」は層と層の境界を表している。左端の層が、包装材料の外面を構成する層であり、右端の層が、包装材料の最内面を構成する層である。
「バイオLDPE」は、バイオマス由来の低密度ポリエチレン樹脂層を意味する。「印」は、印刷層を意味する。「耐酸紙」は、紙基材層を意味する。「接石化LDPE」は、化石燃料由来の低密度ポリエチレンからなる接着樹脂層を意味する。「バイオPET」は、バイオPETフィルムを意味する。「接石化EMAA」は、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体からなる接着樹脂層を意味する。「石化LDPE」は、化石燃料由来の低密度ポリエチレン樹脂層を意味する。数字は、層の厚み(単位はμm)を意味する。
【0129】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0130】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0131】
[実施例2]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0132】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/バイオPET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
【0133】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0134】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0135】
[実施例3]
バリア層として、バイオPETフィルム上に無機酸化物(酸化ケイ素)蒸着膜を形成し、更に無機酸化物蒸着膜上にガスバリア性塗布膜を形成した層、さらにその上に酸化アルミニウム(AlO)蒸着膜を形成した層(厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。なお、酸化アルミニウム(AlO)蒸着膜は、第2接着樹脂層と接している。
【0136】
具体的に、ガスバリア性塗布膜の形成方法としては、まず、水、イソプロピルアルコール及び0.5N塩酸を混合し、pHを調整した溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシランを冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。
水溶性高分子として、ポリビニルアルコール、水、イソプロピルアルコールを混合した溶液Bを調製した。A液とB液を混合して得られた溶液をガスバリア性塗布膜用コート剤とした。
バイオPETフィルムの無機酸化物(酸化ケイ素)蒸着膜上に、上記で調製したガスバリア性塗布膜用コート剤をスピンコート法によりコーティングした。
その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmのガスバリア性塗布膜を無機酸化物(酸化ケイ素)蒸着膜上に形成し、その上に酸化アルミニウム(AlO)蒸着層膜を形成した。
【0137】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/バイオIB-PET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
「バイオIB-PET」は、無機酸化物蒸着膜、ガスバリア性塗布膜及び酸化アルミニウム蒸着膜が積層されたバイオPETフィルムを意味する。
【0138】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0139】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0140】
[実施例4]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例3の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0141】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/バイオIB-PET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
【0142】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0143】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0144】
[実施例5]
バリア層として、バイオPETフィルム上にアルミニウム蒸着膜を形成した層(厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。なお、アルミニウム蒸着膜は、第1接着樹脂層と接している。
【0145】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/バイオVM-PET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
「バイオVM-PET」は、アルミニウム蒸着膜が積層されたバイオPETフィルムを意味する。
【0146】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0147】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0148】
[実施例6]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例5の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0149】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/バイオVM-PET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
【0150】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0151】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0152】
[実施例7]
バリア層として、ドライラミネート法により、バイオPETフィルム(厚さ12μm)とアルミニウム箔(厚さ7μm)とを、接着剤を介して積層した層を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして包装材料を作製した。ドライラミネート法においては、主剤として、化石燃料由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物であるポリエステルポリオールを準備した。また、硬化剤として、化石燃料由来のイソシアネート化合物を準備した。
【0153】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/AL箔7/接/バイオPET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
「AL箔」は、アルミニウム箔を意味する。「接」は、接着剤を意味する。
【0154】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0155】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0156】
[実施例8]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例7の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0157】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/AL箔7/接/バイオPET12/接石化EMAA15/石化LDPE20
【0158】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0159】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0160】
[実施例9]
第2接着樹脂層とシーラント層とを、第2接着樹脂層と、第3ポリオレフィン樹脂層と、第2ポリオレフィン樹脂層との共押出しによって形成したこと以外は、実施例1の場合と同様にして包装材料を作製した。第2接着樹脂層としては、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いた。第3ポリオレフィン樹脂層としては、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2ポリオレフィン樹脂層としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2接着樹脂層の厚みは10μmであった。第3ポリオレフィン樹脂層の厚みは10μmであった。第2ポリオレフィン樹脂層の厚みは15μmであった。
【0161】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/バイオPET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0162】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0163】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0164】
[実施例10]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例9の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0165】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/バイオPET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0166】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0167】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0168】
[実施例11]
第2接着樹脂層とシーラント層とを、第2接着樹脂層と、第3ポリオレフィン樹脂層と、第2ポリオレフィン樹脂層との共押出しによって形成したこと以外は、実施例3の場合と同様にして包装材料を作製した。第2接着樹脂層としては、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いた。第3ポリオレフィン樹脂層としては、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2ポリオレフィン樹脂層としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2接着樹脂層の厚みは10μmであった。第3ポリオレフィン樹脂層の厚みは10μmであった。第2ポリオレフィン樹脂層の厚みは15μmであった。
【0169】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/バイオIB-PET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0170】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0171】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0172】
[実施例12]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例11の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0173】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/バイオIB-PET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0174】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0175】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0176】
[実施例13]
第2接着樹脂層とシーラント層とを、第2接着樹脂層と、第3ポリオレフィン樹脂層と、第2ポリオレフィン樹脂層との共押出しによって形成したこと以外は、実施例5の場合と同様にして包装材料を作製した。第2接着樹脂層としては、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いた。第3ポリオレフィン樹脂層としては、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2ポリオレフィン樹脂層としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2接着樹脂層の厚みは10μmであった。第3ポリオレフィン樹脂層の厚みは10μmであった。第2ポリオレフィン樹脂層の厚みは15μmであった。
【0177】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/バイオVM-PET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0178】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0179】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0180】
[実施例14]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例13の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0181】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/バイオVM-PET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0182】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0183】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0184】
[実施例15]
第2接着樹脂層とシーラント層とを、第2接着樹脂層と、第3ポリオレフィン樹脂層と、第2ポリオレフィン樹脂層との共押出しによって形成したこと以外は、実施例7の場合と同様にして包装材料を作製した。第2接着樹脂層としては、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いた。第3ポリオレフィン樹脂層としては、バイオマス由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2ポリオレフィン樹脂層としては、化石燃料由来の低密度ポリエチレンを用いた。第2接着樹脂層の厚みは10μmであった。第3ポリオレフィン樹脂層の厚みは10μmであった。第2ポリオレフィン樹脂層の厚みは15μmであった。
【0185】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化LDPE15/AL箔7/接/バイオPET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0186】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0187】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0188】
[実施例16]
第1接着樹脂層として、化石燃料由来のエチレン-メタクリル酸共重合体を用いたこと以外は、実施例15の場合と同様にして包装材料を作製した。
【0189】
本実施例の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオLDPE15/印/耐酸紙/接石化EMAA15/AL箔7/接/バイオPET12/接石化EMAA10/バイオLDPE10/石化LDPE15
【0190】
続いて、本実施例の包装材料を胴材及び底材に用いて、図3に示す紙カップ20の本体部21及び底部24を作製した。紙カップ20には、例えばヨーグルトを収容することができる。
【0191】
続いて、本実施例の包装材料を用いて、図4に示す液体用紙容器30を作製した。液体用紙容器30には、例えば牛乳やジュースを収容することができる。
【0192】
図5に、実施例1~16の包装材料の層構成の例をまとめて示す。
【符号の説明】
【0193】
10 包装材料
11 第1ポリオレフィン樹脂層
12 紙基材層
13 第1接着樹脂層
14 バリア層
15 第2接着樹脂層
16 シーラント層
17 第2ポリオレフィン樹脂層
18 第3ポリオレフィン樹脂層
20 紙カップ
21 本体部
22 胴部
23 フランジ部
24 底部
30 液体用紙容器
31 胴部
32 底部
33 上部
34 傾斜板
35 折込部
36 のりしろ
図1
図2
図3
図4
図5