(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165787
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231110BHJP
B41J 29/54 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 301
B41J29/54 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150688
(22)【出願日】2023-09-19
(62)【分割の表示】P 2019160084の分割
【原出願日】2019-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津雪 泰弘
(57)【要約】
【課題】装置に落下による衝撃等が加えられた場合にも高品質の印刷を維持することのできる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷ヘッドとしてのカートリッジ41を移動させることが可能に構成された移動部130と、装置内部に装着され、非印刷時において、移動部130を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構6と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドを移動させることが可能に構成された移動部と、
装置内部に装着され、非印刷時において、前記移動部を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記移動部は係止穴及び係止突起のいずれか一方を備え、前記ロック機構は前記係止穴及び前記係止突起のいずれか他方を備えており、
前記係止穴と前記係止突起とが互いに嵌り合う係止状態となったときに前記移動部が前記移動規制状態となり、前記係止穴と前記係止突起との前記係止状態が解除された係止解除状態となったときに前記移動部の前記移動規制状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記移動部は前記係止突起が係止される前記係止穴を有し、
前記ロック機構は、
上下方向に延在するロッドと、
前記ロッドを下方向に付勢する付勢部材と、
を有し、
前記ロッドは、前記付勢部材によって下方向に付勢された付勢状態において下端が装置下面から装置外に突出するように構成されており、
前記係止突起は、下方向に突出する向きで前記ロッドに取り付けられて上方向から前記係止穴に挿入可能に構成され、前記ロッドが前記付勢状態であるときに前記係止状態となり、前記付勢状態に抗して前記ロッドが押し上げられ前記係止突起が前記係止穴から外れたときに前記係止解除状態となることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記移動部は前記係止突起が係止される前記係止穴を有し、
前記ロック機構は、
上下方向に延在するロッドを備え、
前記係止突起は、前記ロッドに上方向に突出するように設けられて下方向から前記係止穴に挿入可能に構成され、前記ロッドが上昇したときに前記係止状態となり、前記ロッドが下降して前記係止突起が前記係止穴から外れたときに前記係止解除状態となることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
基台の下に装着される装着部材を有し、
前記ロッドは、前記装着部材が装着されたときに上昇し、前記装着部材が取り外されたときに下降するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ロック機構は、動力付与装置と当該動力付与装置により動力が付与されることで動作する作動部とを備え、
前記ロック機構は、前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与されない状態となったときに前記移動部が前記移動規制状態となり、前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与された状態となったときに前記移動部の前記移動規制状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記装置の内部に前記装置と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の印刷装置等では、印刷ヘッド等をタイミングベルトによって駆動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
タイミングベルトを用いた場合には高精度の動作制御を行うことができ、細かい絵柄や文字等を高品質に印刷することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした装置において、落下試験を行った場合や誤って落下させてしまった場合には、落下の衝撃によって、印刷ヘッドを保持する保持部が動いてしまい、タイミングベルトに撓みができてプーリの山を乗り越え、タイミングベルトを駆動させるプーリとの関係で歯飛びが生じたり、タイミングベルト周辺の部品を破損させたりするおそれがある。
【0005】
特に、特許文献1に示されている装置のように、平行に配置された左右一対のタイミングベルトを用いて印刷ヘッドを移動させる印刷装置の場合には、歯飛びが生じると画像にズレが生じ、画像品質が落ちてしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、装置に落下による衝撃等が加えられた場合にも高品質の印刷を維持することのできる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
印刷ヘッドを移動させることが可能に構成された移動部と、
装置内部に装着され、非印刷時において、前記移動部を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置に落下による衝撃等が加えられた場合にも高品質の印刷を維持することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すネイルプリント装置から筐体を外した状態を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係るネイルプリント装置の装置本体の要部構成を示す模式的な分解斜視図である。
【
図4】第1の実施形態におけるネイルプリント装置の要部構成を示す模式的な側面図である。
【
図5】第1の実施形態におけるネイルプリント装置の要部構成を示す模式的な側面図である。
【
図6】ロック機構を備えないネイルプリント装置の装置本体の要部構成を示す模式的な分解斜視図である。
【
図8】
図6に示す装置本体が落下した状態を示す側面図である。
【
図9】本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
【
図10】第2の実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図である。
【
図11】第2の実施形態に係るネイルプリント装置の装置本体の要部構成を示す模式的な分解斜視図である。
【
図12】第2の実施形態における装置本体の要部構成を示す模式的な側面図である。
【
図13】第2の実施形態における装置本体の要部構成を示す模式的な側面図である。
【
図14】第3の実施形態に係るネイルプリント装置の装置本体の要部構成を示す模式的な分解斜視図である。
【
図15】第3の実施形態における装置本体の要部構成を示す模式的な側面図である。
【
図16】第3の実施形態における装置本体の要部構成を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
図1から
図9を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の第1の実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷するネイルプリント装置である場合を例に説明するが、本発明における印刷装置は手の指の爪に印刷を施すもの限るものではなく、例えば足の指の爪を印刷対象とするものでもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象とするものでもよい。
【0011】
図1は、本実施形態における印刷装置であるネイルプリント装置の外観構成を示す斜視図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、
図1に示した方向をいうものとする。
【0012】
図1に示すように、ネイルプリント装置100は、装置本体1と、筐体2と、を有している。
筐体2は、下側が開口しており、全体がほぼ箱形に形成されている。筐体2は、装置本体1の上に配置され、装置本体1上の各部を被覆するようになっている。
筐体2の前面側(ネイルプリント装置1の正面側、
図1において前側)であって装置幅方向(
図1等におけるX方向)のほぼ中央部には開口部21が形成されている。
【0013】
筐体2の上面のほぼ中央部には、取手22が設けられている。
筐体2の上面には凹部23が形成されており、取手22は凹部23内に収納可能となっている。取手22は、凹部23内に収納された収納状態(
図1等に示す状態)において筐体2の上面とほぼ面一となる。これにより、筐体2の高さ分の隙間があればネイルプリント装置1を配置することができ、装置収納時の省スペース化を図ることができる。
また、取手22は、凹部23内から引き起こされた引き起こし状態においてネイルプリント装置1を持ち運ぶための持ち手となる。
なお、筐体2各部の形状や配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。例えば、筐体2の上面や側面等にネイルプリント装置1の電源をON/OFFする電源スイッチ釦等の操作部53(
図9参照)や各種表示部等が設けられていてもよい。
【0014】
また、筐体2の上面(天板)の内側であって、後述する指固定部3の開口部33の上方位置には、撮影部54(
図9参照)が設けられている。撮影部54は、図示しないカメラや照明装置等を備え、開口部33から露出する爪(爪を含む指)を撮影して爪画像を取得する。なお、印刷を施す爪に対応する指を、本実施形態において「印刷指」とする。
なお、撮影部54は、筐体2に設けられている場合に限定されない。例えば後述する装置本体1に設けられるカートリッジホルダ42等に設けられていてもよい。この場合には、カートリッジホルダ42の移動に伴って撮影部54も装置のXY方向に移動可能に構成される。
本実施形態では、撮影部54によって取得された爪画像を解析することで、印刷対象面である爪表面の位置や形状等を制御部51(
図9参照)が取得し、制御部51が印刷部40を制御することによって爪の上にネイルプリントを施すことができるようになっている。
【0015】
さらに、本実施形態では、筐体2の上面(天板)の内側であって、後述するロック機構6(
図3等参照)のロッド61(後述のロッド61の本体62)の上端部が配置される位置に対応する部分には、ロッド受け部24(
図4及び
図5参照)が設けられている。
ロッド受け部24は、筐体2の上面(天板)から装置内部に向かって垂設されており、内部が中空の筒状部241となっている。筒状部241の内径は、後述するロッド61の外径よりも大きく、ロッド61の周囲に配置される付勢部材65の外径よりも小さく形成されている。
後述のようにロッド61は装置内において上下動するが、本実施形態では、ロッド61が最も高い位置に上がった状態(
図5参照)から最も低い位置に下がった状態(
図4参照)まで、いずれの状態でもロッド61の上端部分がロッド受け部24の筒状部241内から外れないように構成されている。
【0016】
図2は、本実施形態におけるネイルプリント装置の装置本体の斜視図である。また、
図3は、本実施形態における装置本体の要部を模式的に示した分解斜視図である。さらに、
図4及び
図5はネイルプリント装置内部の要部を示す模式的な側面図である。
図3から
図5では、後述するロック機構6とかかわらない構成部については適宜図示を省略している。また、
図4及び
図5では、筐体2内を透過させた状態で示し、一部を断面として図示している。
【0017】
本実施形態では、
図2に示すように、装置本体1は、各種の内部構造物が組み付けられた基台11を有している。
基台11の下面には、装置前側及び後側の左右にそれぞれ1つずつ、4つの脚部111が設けられている。
なお、脚部111の数や配置、形状等は図示例に限定されないが、ネイルプリント装置100を安定して支えられるようにするため、脚部111は3つ以上バランスよく配置されることが好ましい。
脚部111は、例えばゴムや各種合成樹脂等で形成されている。なお、脚部111を形成する材料は特に限定されないが、脚部111の少なくとも下側面は、ネイルプリント装置100をテーブルや床の上等(例えば、
図4及び
図5において載置台S)に置いた際に滑ったりガタついたりしないように、滑り止めとなりうる材料で形成されていることが好ましい。
【0018】
基台11の前後方向(すなわちY方向)の後側(装置における奥側)であって後述するロック機構6のロッド61の下端部に対応する位置には、装置内外に貫通する貫通孔14が形成されている。
貫通孔14は、後述するロック機構6のロッド61の外径よりも大きな径を有し、ロッド61が挿通可能となっている。
本実施形態では、ロッド61が直状に形成されており、ロッド61の上端部を受け入れるロッド受け部24の筒状部241の真下又はその相当位置に貫通孔14が形成される(
図4及び
図5参照)。なお、貫通孔14の形状等は図示例に限定されない。
【0019】
基台11のうちの前後方向(すなわちY方向)の前側(装置における手前側)部分であって左右方向(すなわちX方向)のほぼ中央部には、指固定部3が配置されている。
指固定部3は装置前面側に開口する開口部31を有する箱状の部材であり、指固定部3内部には印刷指を固定する指固定部材32が配置されている。
指固定部材32は、印刷指を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。本実施形態では、指固定部材32は、幅方向(左右方向)のほぼ中央部が窪んだ形状となっている。これにより、印刷指を指固定部材32上に載置した際に、印刷指の腹部分を指固定部材32が受けて、左右方向に指がガタつくのを防止することができる。
【0020】
指固定部3の天面奥側(Y方向後側)は開口した開口部33となっている。開口部33からは指固定部3内に挿入された指の爪が露出するようになっている。
本実施形態では、開口部33の設けられている領域において、後述の印刷部40により印刷が行われるようになっている。
なお、
図3では指固定部3の図示を省略し、本実施形態において印刷を行う範囲となる指固定部3の開口部33の位置を二点鎖線で示している。
【0021】
また、指固定部3の天面手前側(Y方向前側)は印刷指の浮き上がりを防止して印刷指の上方向の位置を規制する指押え34となっている。
印刷指が下側から指固定部材32によって支持され、印刷指の上側が指押え34によって押さえられることで、印刷指の爪の表面(印刷対象面)の高さ方向の位置が印刷部40による印刷を行うのに適した所定の位置に位置決めされる。
【0022】
また、図示は省略するが、基台11上には、カートリッジ41の移動を妨げない位置に、非印刷時に後述するカートリッジ41が待機する待機領域であるホームポジション及び非印刷時にカートリッジ41のクリーニング等のメンテナンスを行うメンテナンス領域等が設けられている。
本実施形態では、装置後方がホームポジションとなっており、非印刷時には、X方向移動ステージ13(X方向移動ステージ13を含む後述の移動部130)が装置後方まで移動して、ホームポジションで停止するようになっている。
【0023】
また、
図2等に示すように、ネイルプリント装置100の内部には、印刷対象面に印刷を施す印刷部40が設けられている。ここで印刷対象面とは、印刷対象の表面であり、本実施形態では、指の爪の表面である。
印刷部40は、印刷ヘッドとしての機能を有するカートリッジ41、カートリッジ41を支持するカートリッジホルダ42、カートリッジ41及びカートリッジホルダ42を左右方向に沿ったX方向に移動させるためのX方向移動ステージ13や図示しないX方向移動モータ46(
図9参照)、カートリッジ41及びカートリッジホルダ42を前後方向に沿ったY方向に移動させるためのY方向移動ステージ12及びY方向移動モータ48(
図9参照)等を備えて構成されている。
【0024】
本実施形態においてカートリッジ41は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインク貯留部とインクを吐出させるインク吐出部411(
図9参照)とが一体に形成されたヘッド一体型のインクカートリッジである。
インク吐出部411は、印刷対象(爪の表面)に対向する面に、各色のインクを吐出する複数のノズルの吐出口(インク吐出口、図示せず)が形成された図示しないノズル面を備えている。インク吐出部411は、制御部51(
図9参照)の制御にしたがって、インクを微滴化し、ノズル面(ノズル面のインク吐出口)から爪の表面に対して直接にインクを吹き付けるインクジェット方式にて印刷を行うようになっている。
【0025】
なお、インク吐出部411の構成は、インクジェット方式のものに限定されない。また、カートリッジ41は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインク貯留部及びインク吐出口を備えていてもよい。また、印刷ヘッドとして機能する部分の構成は、ここに例示したヘッド一体型のインクカートリッジに限定されない。インク吐出部を備える印刷ヘッドとインクを貯留するカートリッジとが別体として設けられていてもよい。
本実施形態では、カートリッジ41は、カートリッジホルダ42に支持された状態でX方向移動ステージ13に取り付けられており、基台11の上方をX方向及びY方向に移動しながら爪表面に対して印刷を行うように構成されている。
【0026】
本実施形態において、X方向移動モータ46(
図9参照)及びY方向移動モータ48は、カートリッジ41及びこれを支持するカートリッジホルダ42を移動させるための駆動モータである。本実施形態では、Y方向移動ステージ12及びX方向移動ステージ13、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48等を備えて印刷部40における移動機構49(
図9参照)が構成されている。
ここで、移動機構49の具体的な構成について説明する。
【0027】
Y方向移動ステージ12は、基台11の上であって左右方向の両側部に、それぞれ前後方向(Y方向)に延在して設けられた支持部材121を有している。
これら一対の支持部材121の延在方向における両端部にはそれぞれプーリ127が取り付けられている。装置左側及び装置右側のプーリ127には、前後方向に延在する駆動ベルト124がそれぞれ巻回されている。
本実施形態の駆動ベルト124は、その内側に所定ピッチで歯列が形成された歯付ベルト(タイミングベルト)となっており、精密な駆動を可能としている。
本実施形態において、装置後側に設けられているプーリ127は、駆動軸部126の両端部に取り付けられている。駆動軸部126に取り付けられているこのプーリ127は、タイミングベルトである駆動ベルト124の歯列と噛合う歯を有し、歯車の役割を果たすタイミングプーリとなっている。
【0028】
プーリ127のうちの一方はY方向移動モータ48のギアに連結された駆動プーリである。駆動プーリとしてのプーリ127は、Y方向移動モータ48のギアに直接噛合うものであってもよいし、1又は複数のギアを介して減速されるものであってもよい。プーリ127はY方向移動モータ48の動作に応じて適宜正逆方向に回転する。
プーリ127及びこれが取り付けられている駆動軸部126は、Y方向移動モータ48が駆動することで適宜回転し、プーリ127の回転により、プーリ127に巻回され互いに歯列が噛み合っている駆動ベルト124も回転する。これによりX方向移動ステージ13等の移動部130(X方向移動ステージ13及びX方向移動ステージ13に搭載されているカートリッジ41及びカートリッジホルダ42)がY方向に移動可能となっている。
また、支持部材121上には駆動ベルト124と平行して前後方向に延在するガイド軸125が設けられている。
【0029】
X方向移動ステージ13は、左右方向(X方向)に延在する略矩形箱状に形成され、基台11の上面に設けられている。X方向移動ステージ13は、非印刷時には、カートリッジ41(印刷ヘッド)のホームポジション等が配置されている基台11の上面の後方側に配置される。
本実施形態においてX方向移動ステージ13は、X方向の両側にそれぞれ設けられた側板131と、これらの側板131を繋ぐようにかけ渡された天板132とを有している。
天板132は側板131の前後幅(Y方向の幅)よりも後方に張り出した天板張出部132aを有しており、この天板張出部132aには係止穴132bが形成されている。本実施形態では、後述の係止突起64の位置及び形状等に合わせて、天板張出部132aの後端部寄りであって装置における幅方向(X方向)のほぼ中央部に上下方向に貫通する矩形の係止穴132bが形成されている。
なお、係止穴132bは後述の係止突起64が係止可能なものであればよく、その形状等は図示例に限定されない。例えば係止穴132bは貫通孔でなくてもよく、係止突起64を挿入することが可能な深さを有する凹部であってもよい。
【0030】
X方向移動ステージ13の左右両端部である側板131はそれぞれガイド軸125に摺動可能に取り付けられている。また、側板131の下端部は駆動ベルト124に係止される係止脚部131aとなっている。なお、
図3等において、係止脚部131aが係止される駆動ベルト124上の位置を係止位置αとして二点鎖線で示している。
Y方向移動モータ48が駆動して駆動ベルト124が回転すると、X方向移動ステージ13は、駆動ベルト124の動きに伴い、ガイド軸125に沿ってY方向に移動可能となっている。
【0031】
また、X方向移動ステージ13の内側には図示しないプーリが設けられており、このプーリには、左右方向(X方向)に延在する駆動ベルト134が巻回されている。また、X方向移動ステージ13の内側には、この駆動ベルト134とほぼ平行して左右方向(X方向)に延在するガイド軸135が設けられている。
ガイド軸135には、カートリッジホルダ42が摺動可能に取り付けられている。
カートリッジホルダ42は、X方向移動モータ46が駆動して駆動ベルト134が回転することによって、X方向移動ステージ13内をガイド軸135に沿ってX方向に移動可能となっている。
【0032】
さらに本実施形態では、X方向移動ステージ13よりも装置後方側にロック機構6(
図3等参照)が設けられている。
ロック機構6は、非印刷時において、移動部130を自由移動が規制された移動規制状態とするものである。
ここで印刷時とは、カートリッジ41からインクが吐出されている印刷動作時に限定されず、印刷動作及びこれに伴う動作(例えばクリーニングや各種メンテナンスを行うための動作、所定のホームポジションに復帰するための動作等)を行うための移動機構49の動作時をいい、非印刷時とはこれらに該当しない、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48(駆動モータ)の停止時である。
また、本実施形態では、移動機構49のうち、基台11の上を移動しながら印刷動作を行うカートリッジ41(印刷ヘッド)を支持するカートリッジホルダ42、及びカートリッジ41やカートリッジホルダ42を保持するX方向移動ステージ13を移動部130とする。
【0033】
図6は、ロック機構が設けられていない装置本体の要部を示す模式的な分解斜視図である。また、
図7及び
図8は、
図6に示す装置本体の模式的側面図である。
図7に示すように、装置がほぼ水平に置かれた状態であれば特に問題は生じない。しかし、
図8に示すように装置が誤って落下した場合や移動の際に壁等にぶつけた場合等、ネイルプリント装置100に大きな衝撃が加わった際には、装置各部が停止した状態から無理やり移動しまう場合がある。
特に移動部130であるカートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41(印刷ヘッド)は、ネイルプリント装置100の中でも大きな重量のある構成部である。このため、衝撃が加わると、自重によって装置の前後方向(Y方向)等に移動してしまう。非印刷時にはカートリッジ41(印刷ヘッド)がカートリッジホルダ42から取り外されていることもあるが、この場合でも同様である。
【0034】
この場合、駆動モータ(特にY方向移動モータ48)が停止した状態ではモータと連結されているプーリ127にもブレーキがかかった状態であって停止している。このため、プーリ127に巻回されている駆動ベルト124も動かない状態となっており、移動部130が無理に動こうとすると、駆動ベルト124に係止されている係止脚部131aに大きな力がかかって折れたりひびが入る等、破損するおそれがある。また、駆動ベルト124に係止されたまま移動部130が無理に移動すると駆動ベルト124に弛みが生じ、駆動ベルト124がタイミングベルトである場合にはプーリ127の歯列との噛合いがずれてしまう歯飛びが発生する。特にネイルプリント装置が平行に配置された左右一対のタイミングベルトを用いてカートリッジ41を移動させる構成である場合には、歯飛びが生じるとタイミングベルトとしての駆動ベルト124によるカートリッジ41等の位置制御を高精度に行うことができなくなり、画像にズレが生じて、画像品質が低下してしまう。
この点本実施形態のようにロック機構6を設けた場合には、非印刷時において装置に何らかの衝撃が加えられた場合にも、移動部130の自由移動が規制されるため、係止脚部131aに大きな力がかかって破損することを回避することができ、歯飛びの発生を防ぐこともできる。
【0035】
以下、
図3から
図5を参照しつつ、本実施形態のロック機構6について詳細に説明する。
ロック機構6は、装置(印刷装置であるネイルプリント装置100)の内部に装置と一体的に形成されているものである。
ここで「一体的に形成」されているとは、必ずしもロック機構6の一部又は全部が装置(装置本体1や筐体2)と一体成型されていることを意味しないが、装置内からユーザがロック機構6を取り外すことが困難な状態で設けられていることを意味する。このように、ロック機構6は、装置から容易に取り外すことができない点で、例えばユーザによる着脱が予定されている出荷時の梱包材等とは異なる構成のものである。
【0036】
本実施形態のロック機構6は、上下方向に延在するロッド61と、ロッド61を下方向に付勢する付勢部材65とを有している。
本実施形態においてロッド61は、ほぼ鉛直方向に延在する直状の棒状体である本体62と本体62の上部に固定又は一体形成され、本体62と直交する方向に突出する腕部63と、腕部63の自由端側から本体62に平行するように垂設された係止突起64とを有している。このように本実施形態では、係止突起64は下方向に突出する向きでロッド61(ロッド61の本体62)に取り付けられており、係止突起64は、X方向移動ステージ13の天板張出部132aに形成されている係止穴132bに上方向から挿入可能に構成されている。本実施形態の係止突起64は四角柱状に形成されており、係止穴132bは前述のように、係止突起64の横方向の断面形状に合わせて矩形に形成されている。
なお、係止突起64及びこれが挿入され係止される係止穴132bの形状は特に限定されないが、本実施形態のように四角柱状の係止突起64を矩形の係止穴132bに係止させた場合には、円形状の突起を円形の穴に係止させる場合と比べて係止穴132b内部で係止突起64がガタつくことを抑えることが期待できる。
【0037】
付勢部材65は例えばコイルばねであり、ロッド61の本体62における腕部63よりも上に取り付けられる。なお、付勢部材65は弾性変形可能で付勢力及び復元力を有するものであればコイルばねに限定されない。
前述のように、ロッド61の本体62の上端部は、筐体2のロッド受け部24の筒状部241内に挿入されるが(
図4及び
図5参照)、付勢部材65はロッド受け部24の端縁に引っ掛かる。このため、付勢部材65はロッド受け部24の端縁と腕部63との間に配置され、ロッド61(ロッド61の本体62)を下方向に付勢するようになっている。
【0038】
ロッド61(ロッド61の本体62)は、付勢部材65によって下方向に付勢された付勢状態において下端が装置下面から装置外に突出するように構成されている。すなわち、ロッド61の本体62の下端部は基台11の貫通孔14に対応して設けられ、付勢部材65による付勢状態では、貫通孔14から装置外に突出する。本実施形態では、
図4に示すように、ネイルプリント装置100がテーブル等の載置台Sから浮いた状態であるときにはロッド61の本体62の下端部が貫通孔14から装置外に突出し、脚部111よりも下まで下がった状態となる。
このとき、係止突起64は、係止穴132bに係止された係止状態となり、付勢部材65によって上方から付勢されているために係止穴132bから抜けない状態が維持される。
【0039】
これに対して、付勢部材65による付勢状態に抗してロッド61が押し上げられ係止突起64が係止穴132bから外れたときには、係止解除状態となる。
係止解除状態となると、
図5に白抜き矢印で示すように、移動部130の自由移動が可能となる。
本実施形態では、
図5に示すように、ネイルプリント装置100がテーブル等の載置台Sの上に置かれると、装置の自重によって付勢部材65の付勢状態に抗してロッド61が押し上げられる。載置台Sに凹凸等がなければ、ロッド61の本体62の下端部は脚部111の下面と面一となる高さまで押し上げられる。この状態において、係止突起64が係止穴132bから外れるようになっている。
【0040】
本実施形態において、係止状態(係止突起64が係止穴132bに係止された状態)から係止解除状態となるまでのロッド61(ロッド61の本体62)のストロークは、
図4に示すロッド61の下端部が装置外に突出した状態から
図5に示す脚部111の下面と面一となるまでの長さ・距離よりも短いことが必要である。
これにより、ネイルプリント装置100がテーブル等の載置台Sの上から浮いた状態のときには確実にロック機構6によって移動部130の移動が規制されるとともに、ネイルプリント装置100がテーブル等の載置台Sの上に置かれ、ロッド61の下端部が脚部111の下面と面一となる位置まで押し上げられると、確実に係止解除状態となり、移動部130の自由移動が可能となって、印刷動作を行うことができる状態となる。
【0041】
また、ネイルプリント装置100は、
図9に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部51と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有して構成される記憶部52とを備えている。
制御部51は、記憶部52に記憶されている各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、ネイルプリント装置100の動作を統括的に制御する。具体的には、制御部51は記憶部52に記憶されている各種プログラムのうち、指定されたプログラムを読み出して、RAMのワークエリアに展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。
【0042】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用について説明する。
ネイルプリント装置100を用いて爪等に印刷を行う場合には、ネイルプリント装置100をできるだけ水平状態に保つことのできる安定した載置台S(例えば各種のテーブルや作業台等)の上に配置して印刷動作を開始させる。
【0043】
ネイルプリント装置100が載置台Sに置かれた状態では、
図5に示すように、ロック機構6のロッド61の下端部が脚部111の下面と面一となる位置まで押し上げられ、付勢部材65は押し縮められた状態となる。この状態では、係止突起64が係止穴132bから外れて係止解除状態となり、移動部130(カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41)が自由に移動できる。このため、制御部51の制御にしたがって、カートリッジ41が適宜X方向及びY方向に移動しながら印刷動作を行う。
【0044】
非印刷時に、ネイルプリント装置100を収納場所に移動させる場合等には、装置を手で抱えるか、筐体2に設けられた取手22を引き起こし、取手22を持って移動させる。
このとき、ネイルプリント装置100(装置の脚部111)が持ち上げられ、載置台Sの上面を離れると、押し縮められていたロック機構6の付勢部材65が元の状態に復帰し、ロッド61を押し下げる。これにより、
図4に示すように、ロッド61(ロッド61の本多62)の下端部が貫通孔14から下方向に突出し、脚部111の下面よりも低い位置まで下がる。
【0045】
本実施形態では、ロッド61の下端部が脚部111の下面よりも低い位置まで突出した状態において、係止突起64が係止穴132bに係止され係止状態となる。これにより、移動部130の移動が規制される。
このため、ネイルプリント装置100が載置台Sの上面から離れた状態では、装置に衝撃が加わっても移動部130(カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41)が無理に移動するのを防止することができる。
【0046】
そして、再びネイルプリント装置100が載置台Sに載置されると、装置の自重が掛かることで付勢部材65が押し縮められ、ロッド61の下端部が脚部111の下面と面一となる位置まで押し上げられる。これによりロック機構6が係止解除状態となり、移動部130の自由移動が可能となって、印刷動作を行うことができる状態となる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置としてのネイルプリント装置100が、印刷ヘッドとして機能し、基台11上を移動しながら印刷動作を行うカートリッジ41を保持した状態で、カートリッジ41を移動させることが可能に構成された移動部130(カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41)と、ネイルプリント装置100の内部に装着され、非印刷時において、移動部130を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構6とを備えている。
これにより、ネイルプリント装置100が落下したり、壁等に衝突すること等で衝撃を受けたときでも、装置内の構成部の中でも比較的大きな重量を有する移動部130(カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41)が、自由移動するのを防止することができる。
【0048】
非印刷時には電源はOFFとなっていることが通常であり、駆動モータ(Y方向移動モータ48)及びこれに直接又は間接的に連結されているプーリ127、駆動ベルト124は停止状態となっている。このため、装置に落下等の衝撃が加えられることで駆動ベルト124に係止されている移動部130が自重によって揺さぶられると、動かない駆動ベルト124との間で大きな抵抗を受け、比較的強度の弱い部品部分(例えば係止脚部131a等)が折れたり、割れたりする等、装置各部に破損を生じやすい。また、駆動ベルト124がタイミングベルトの場合には、無理な力が加わることで移動部130が無理に動くと、移動部130が係止されている駆動ベルト124がプーリ127の歯列を乗り越え歯飛びを生じる場合もある。
部品が破損したり、歯飛びが生じた場合には、精度のよい印刷動作を行うことができなくなってしまう。
この点、本実施形態では、駆動モータ(Y方向移動モータ48)及び駆動ベルト124等が停止している非印刷時には、ロック機構6によって移動部130の自由移動も規制する。これにより本実施形態では、比較的簡易な構成によって、装置各部の破損や歯飛びの発生を回避することができ、耐衝撃性に優れたネイルプリント装置100を実現することができる。
【0049】
また、本実施形態では、移動部130とロック機構6とが、それぞれ係止穴132b、係止突起64のいずれか一方を備え、係止穴132bと係止突起64とが互いに嵌り合う係止状態となったときに移動部130が移動規制状態となり、係止穴132bと係止突起64との係止が解除された係止解除状態となったときに移動部130の移動規制状態が解除される構成としている。
このため、このような比較的簡易なメカ的構成によって、非印刷時における移動部130の移動を効果的に規制することができ、衝撃時の不具合の発生を回避することが可能となる。
【0050】
特に本実施形態では、移動部130が係止穴132bを有し、ロック機構6が係止穴132bに係止される係止突起64を有するとともに上下方向に延在するロッド61と、ロッド61を下方向に付勢する付勢部材65とを有している。そして、ロッド61(本実施形態ではロッド61の本体62)は、付勢部材65によって下方向に付勢された付勢状態において下端が装置の下面から装置外に突出するように構成されており、係止突起64は、下方向に突出する向きでロッド61に取り付けられて上方向から係止穴132bに挿入可能に構成され、ロッド61が付勢状態であるときに係止状態となり、付勢状態に抗してロッド61が押し上げられ係止突起64が係止穴132bから外れたときに係止解除状態となる。
このため、ネイルプリント装置100がテーブル等の載置台Sに置かれている状態ではロッド61が押し上げられてロック機構6が働かず、カートリッジ41等の移動部130が自由に移動できて印刷動作が可能な状態が維持される。そして、ネイルプリント装置100が持ち上げられて載置台Sの上面から離れると、ロック機構6の係止突起64が係止穴132bに係止されて、移動部130が自由に移動できない移動規制状態となる。
ネイルプリント装置100はテーブル等の載置台Sに載置された状態で印刷を行うことが予定されている。このため、ネイルプリント装置100が載置台Sの上面から離れることで機械的にロック機構6が機能するように構成することで、効果的に非印刷時における移動部130の自由移動を規制することができる。これにより、装置各部の破損や歯飛びの発生を回避することができ、耐衝撃性に優れたネイルプリント装置100を実現することができる。
【0051】
さらに本実施形態のように、ロック機構6が、装置(印刷装置であるネイルプリント装置100)の内部に装置と一体的に形成されたものである場合には、例えば移動部130の自由移動を防ぐために梱包材を配置する場合等と異なり、ロック機構6の配置が常に一定となる。
このため、非印刷時において係止突起64を係止穴132bに確実に係止させることができ、安定して移動部130の自由移動を規制することができる。
【0052】
[第2の実施形態]
図10から
図13を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態の印刷装置は、第1の実施形態と同様にネイルプリント装置であり、ロック機構等の構成が第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0053】
図10は、本実施形態に係るネイルプリント装置の外観を示す斜視図である。
図11は、ネイルプリント装置の要部構成を示す模式的な分解斜視図であり、また、
図12及び
図13は、ネイルプリント装置の模式的な側面図である。なお、
図11から
図13では、筐体の上カバーを外して内部構成を示している。
【0054】
図10に示すように、本実施形態のネイルプリント装置200は、装置本体10と、筐体20とを備えている。
ネイルプリント装置200の下側面(本実施形態では、筐体20における後述する下カバー202の下側面)には、ゴム等で形成された脚部203が設けられている。なお、脚部203は、第1の実施形態における脚部111とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0055】
装置本体10は、第1の実施形態と同様に、各種の内部構造物が組み付けられた基台11を有している。
また、基台11の前後方向(すなわちY方向)の後側(装置における奥側)であって後述するロック機構7のリンク74に対応する位置には、装置内外に貫通するスリット状の貫通孔15が形成されている。
貫通孔15は、リンク74全体を収容するとともに、リンク74及びリンク74の動作に伴って上下動するロッド71の動きを妨げない大きさに形成されている。
【0056】
基台11上には、第1の実施形態とほぼ同様の印刷部40が設けられている。
印刷部40は、カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41を含む移動部130を有している。
本実施形態では移動部130を構成するX方向移動ステージ13の天板張出部132aに、後述する係止突起71aが係止される係止穴132cが形成されている。
なお、本実施形態では、係止突起71aを有するロック機構7が、装置の幅方向(X方向)の中心よりも右側にずれた位置に配置される。このため、係止突起71aを受ける係止穴132cも係止突起71aに対応した位置に設けられている。
【0057】
また、本実施形態では、係止突起71aが四角柱状に形成されているため、係止穴132cもこれに応じた矩形状となっている。なお、係止穴132cは係止突起71aが係止可能なものであればよく、その形状等は図示例に限定されない。
なお、例えば係止穴132cは貫通孔でなくてもよく、係止突起71aを挿入することが可能な深さを有する凹部であってもよい。
【0058】
本実施形態におけるロック機構7は、
図11等に示すように、ロッド71と、ロッド71を支持するロッドガイド部72と、付勢部材73と、リンク74とを備えている。
なお、本実施形態のロック機構7は、後述するリンク押上部204cの上方にリンク74が配置されるように、装置の幅方向(X方向)の中心よりも右側にずれた位置に配置される。
【0059】
ロッド71は、上下方向に延在する直状の棒状体である。ロッド71の上端には上方向に突出するように係止突起71aが設けられている。係止突起71aは、係止穴132cに嵌り合う形状に形成され、係止穴132cに下方向から挿入可能に構成されている。本実施形態では、前述のように係止穴132cが矩形状に形成されており、係止突起71aはこれに対応するように四角柱状に形成されている。
ロッド71の下端部はリンク74の後端側に揺動可能に連結されている。これにより、リンク74が上下動すると、これに追従してロッド71も上下動するようになっている。
【0060】
ロッドガイド部72は、例えば基台11の後端側等に設けられロッド71とほぼ平行に上下方向に延在する板金である。ロッドガイド部72の上端側は、ほぼL字状に屈曲して装置の前方(Y方向の前側)に向かって張り出す張出部72aとなっている。
張出部72aにはロッド71が挿通される貫通孔721が設けられている。貫通孔721は、ロッド71の径よりも大きく、付勢部材73の径よりも小さく形成されている。これにより、ロッド71が貫通孔721内に挿通された際に、付勢部材73が張出部72aの下面に突き当たるようになっている。
本実施形態では、張出部72aは、X方向移動ステージ13がホームポジションにあるときに天板張出部132aの下方に位置するようになっており、貫通孔721は係止穴132cに対応する位置に配置される。これにより、X方向移動ステージ13がホームポジションにあるときにロッド71が押し上げられると、ロッド71がロッドガイド部72にガイドされて、係止突起71aがぶれずに係止穴132cまで到達し、係止突起71aが下方から係止穴132cに係止される。
【0061】
また、ロッド71の軸周りには、コイルばね等で構成された付勢部材73が取り付けられている。
ロッド71には、長手方向の中央部近傍に、付勢部材73よりも径の大きなフランジ部71cが設けられており、付勢部材73は、フランジ部71cよりも上に取り付けられる。
前述のように、ロッドガイド部72の貫通孔721は付勢部材73の径よりも小さいため、付勢部材73は、ロッドガイド部72の張出部72aの下面とフランジ部71cの上面との間に配置される。
【0062】
リンク74は、一端側が基台11の貫通孔15の内側面等に回動可能に取り付けられたアーム状の部材であり、他端側にロッド71の下端部71aが連結されている。
本実施形態において、リンク74が下から押圧された状態にないときには、付勢部材73によってロッド71が下方向に押し下げられており、リンク74の後端側が下がった状態となっている(例えば
図13参照)。そして、後述するリンク押上部204cによってリンク74が下から押圧されると、リンク74の後端側が押し上げられ、これに伴って、ロッド71も上昇する(例えば
図12参照)。
【0063】
筐体20は、装置本体10の上側を覆う上カバー201及び装置本体10の下側を覆う下カバー202から構成されている。
筐体20の上カバー201は、ほぼ箱状に形成されており、第1の実施形態と同様に上面に取手22等を備えている。
【0064】
筐体20の下カバー202は、筐体本体202aとこの筐体本体202aに対して着脱可能に構成された引出し部202bとを有している。
筐体本体202aは、前面側(Y方向における装置の手前側)に開口したほぼコ字状の枠体である。
筐体本体202aの上側の端面であって装置内部側には、2段に段差を有する段部206a,206bが形成されている。上側に形成された第1の段部206aには、装置本体10の基台11が嵌装されるようになっている。
また、第2の段部206bは、基台11の裏面との間でガイドレールを構成し、引出し部202bの後述するフランジ部204aを受け入れて、Y方向に案内するようになっている。
【0065】
本実施形態において引出し部202bは、基台11の下に装着される装着部材である。
本実施形態のネイルプリント装置200は、印刷時には引出し部202bを装置内から引き出し、非印刷時には装置内に装着することを予定している。
引出し部202bを引き出して装置内から取り外すと、基台11の下に空間が確保される(
図11参照)。図示は省略するが、印刷を行う指以外の指(例えば人差し指の爪に印刷を行う場合であれば、これ以外の親指、中指、薬指、小指)をこの空間内に退避させることで、無理のない姿勢で印刷を行うことができるようになっている。
【0066】
引出し部202bは、上面が開口したほぼ箱状に形成された引出し本体204と、この引出し本体204の前面側(Y方向における装置の手前側)を覆う前面板205とを備え、引出し部202bを筐体本体202aに装着した状態で、前面板205が上カバー201の前面(Y方向における装置の手前側の面)とほぼ面一となるようになっている。
前面板205には摘み部205aが設けられており、ユーザが引出し部202bを着脱しやすいようになっている。
引出し部202bは、例えばネイルプリント装置200に付属する図示しない各種部品等を収納可能な小物入れとなっていてもよい。
引出し本体204の上面の開口端縁には外向きに張り出すフランジ部204aが形成されている。本実施形態では前述のように、筐体本体202aの第2の段部206bと基台11の裏面との間で構成されるガイドレールにフランジ部204aが装着されるようになっており、これによって引出し部202bを筐体本体202aに対して出し入れできるようになっている。
引出し本体204の奥側の面であって、装置本体10に設けられている指固定部3に対応する部分には、切り欠き部204bが設けられており、引出し部202bを筐体本体202aに対して出し入れする際に、指固定部3と干渉しないようになっている。
【0067】
また、引出し本体204の奥側の面であって、切り欠き部204bを避ける位置には、リンク押上部204cが設けられている。本実施形態においてリンク押上部204cは、装置の後方に向かって突出するように形成された舌片である。
リンク押上部204cは、装着部材である引出し部202bが筐体本体202aに装着されたときにリンク74の下方に配置され、
図12に示すようにリンク74を押し上げる。
そしてX方向移動ステージ13が装置後方のホームポジションに位置するときにリンク74が押し上げられると、ロッド71が上昇し、係止突起71aが係止穴132cに係止された係止状態となる。
また、
図13に示すように引出し部202bが筐体本体202aから引き出され取り外されると、リンク押上部204cがリンク74の下方から離れ、ロッド71が下降する。これにより、係止突起71aが係止穴132cから外れて、係止解除状態となる。
【0068】
図12及び
図13に示すように、リンク押上部204cは、引出し本体204への取り付け側から後方に向かって徐々に下がるように側面視において楔形に形成されている。これにより、引出し部202bを筐体本体202aに対して出し入れする際に、リンク押上部204cがリンク74に引っ掛からず、円滑に出し入れすることができる。なお、リンク押上部204cの後端側(先端側)にはRが設けられていてもよい。端部にRを設けることで、よりリンク74に引っ掛かりにくくなる。
なお、舌片状のリンク押上部204cを設けることは必須ではない。例えばフランジ部204aがリンク押上部として機能して、引出し部202bを筐体本体202aに装着した際にリンクを押し上げるようにしてもよい。
【0069】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0070】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用について説明する。
まず、本実施形態のネイルプリント装置200を用いて爪等に印刷を行う場合には、ネイルプリント装置200を載置台S(例えば各種のテーブルや作業台等)の上に配置した後、引出し部202bを筐体本体202aから取り外す。
図13に示すように、引出し部202bが引き出され、リンク押上部204cがリンク74の下方から外れた位置に移動すると、付勢部材73が押し縮められた状態から元の状態に復帰してロッド71を下方向に付勢する。ロッド71が下降すると、係止突起71aが係止穴132cから外れて係止状態が解除される。これにより、移動規制状態が解除されて、X方向移動ステージ13等の移動部130が自由移動可能となり、印刷動作を行うことのできる状態となる。
【0071】
印刷動作が終了すると、X方向移動ステージ13等の移動部130は装置後方のホームポジションに移動する。この状態で引出し部202bを筐体本体202aに装着すると、
図12に示すように、リンク押上部204cがリンク74の下方に配置され、付勢部材73の付勢力に抗してリンク74を下から押し上げる。これにより、リンク74の後端側が上がり、リンク74の後端に連結されているロッド71が上昇する。
そして、係止突起71aが係止穴132cに係止され、移動部130が自由移動できない移動規制状態となる。
このように、引出し部202bが装着された状態であれば、誤ってネイルプリント装置200が載置台S等から落下したり、ネイルプリント装置200を壁等にぶつける等により装置に衝撃が加えられた場合でも、移動部130が動かないため、装置各部が破損したり、歯飛びを生じるのを防ぐことができる。
【0072】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、移動部130を構成するX方向移動ステージ13に係止穴132cが形成され、この係止穴132cに係止される係止突起71aがロッド71に上方向に突出するように設けられる。そして、係止突起71aは下方向から係止穴132cに挿入可能に構成され、ロッド71が上昇したときに係止状態となり、ロッド71が下降して係止突起71aが係止穴132cから外れたときに係止解除状態となる。
このように、本実施形態ではメカ的構成によってロック機構7を実現している。
このため、ネイルプリント装置200が落下したり、壁等に衝突すること等で衝撃を受けたときでも、装置内の構成部の中でも比較的大きな重量を有する移動部130(カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41)が、移動するのを比較的簡易な構成によって防止することができる。これにより、装置各部が破損したり、歯飛びを生じたりするのを効果的に防止することができる。
【0074】
特に本実施形態では、基台11の下に装着される装着部材としての引出し部202bを有し、引出し部202bが装着されたときにロッド71が上昇し、引出し部202bが取り外されたときにロッド71が下降するように構成されている。
本実施形態のネイルプリント装置200では、印刷時には引出し部202bを取り外して基台11の下に印刷を行わない指を退避させるスペースを確保することが予定されおり、印刷時には確実に係止突起71aが係止穴132cから外れた係止解除状態とすることができる。また、印刷動作終了後に引出し部202bを装着することで、容易に移動部130を移動規制状態とすることができ、装置各部が破損したり、歯飛びを生じたりするのを効果的かつ容易に防止することができる。これにより耐衝撃性に優れたネイルプリント
装置を実現することができる。
【0075】
[第3の実施形態]
図14から
図16を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態の印刷装置は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様にネイルプリント装置であり、ロック機構等の構成が第1の実施形態及び第2の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態等と異なる点について説明する。
【0076】
図14は、ネイルプリント装置の装置本体の要部構成を示す模式的な分解斜視図であり、また、
図15及び
図16は、装置本体の模式的な側面図である。
【0077】
本実施形態のネイルプリント装置は、装置本体10bと、筐体とを備えている。なお、
図14から
図16では、筐体の図示を省略し、装置本体10bの要部構成のみを示している。
なお、本実施形態のネイルプリント装置は、第1の実施形態で示したように装置本体の上側を被覆する筐体のみを備えるものでもよいし、第1の実施形態で示したように装置本体の上側を被覆する上カバーと下側を被覆する下カバーの双方から構成される筐体を備えるものでもよい。
【0078】
装置本体10bは、第1の実施形態等と同様に、各種の内部構造物が組み付けられた基台11を有している。
基台11上には、第1の実施形態等とほぼ同様の印刷部が設けられている。
印刷部は、カートリッジホルダ42やX方向移動ステージ13、及びこれらに支持されるカートリッジ41を含む移動部130を有している。
本実施形態では移動部130を構成するX方向移動ステージ13の左右の側板131に、それぞれ係止突起136が設けられている。係止突起136には後述するロック機構8の係止フック82aが係止されるようになっている。
なお、係止突起136の形状等は係止フック82aが係止されやすく、係止状態を維持できるものであればよく、図示例に限定されない。
【0079】
図14から
図16に示すように、ロック機構8はX方向移動ステージ13よりも装置の後方側に配置されている。
本実施形態におけるロック機構8は、
図14等に示すように、ソレノイド81と、リンク82と、戻りばね84とを備えている。
【0080】
ソレノイド81は、可動部であるプランジャ81aを備える動力付与装置である。
プランジャ81aの先端部には作動部であるリンク82の一端側が取り付けられている。リンク82の他端側(自由端側)には係止穴としての係止フック82aが形成されている。係止フック82aは係止突起136に係止可能な形状となっており、本実施形態では下側が開口するほぼ半円形状の切り欠きである。
【0081】
なお、本実施形態では、左右一対の側板131に設けられた係止突起136に対応して、軸部83によって連結される一対のリンク82が設けられている。ソレノイド81は左右いずれか一方(
図14ではX方向右側)のリンク82に取り付けられており、プランジャ81aが動作することで一方のリンク82が動作すると、他方のリンク82もこれに従動して同様に動作するようになっている。
このように、左右一対等、X方向の複数個所に係止突起136及び係止フック82aを設けることで、移動部130を偏りなく安定して係止し自由移動を規制することができる。
【0082】
戻りばね84は、一端がリンク82の係止フック82a近傍(リンク82の自由端側)に取り付けられ、他端がY方向移動ステージの支持部材121等に取り付けられている。戻りばね84は、リンク82の自由端側を下方向に引くようになっている。
【0083】
本実施形態のソレノイド81は、通電状態(ネイルプリント装置の電源がONとなった状態)において、プランジャ81aを下方向に引き付けるようになっている。すなわち、動力付与装置であるソレノイド81により作動部であるリンク82に動力が付与された状態となる。逆に、無通電状態(ネイルプリント装置の電源がOFFである状態)では、プランジャ81aを引き付ける力が生じず、動力付与装置であるソレノイド81から作動部であるリンク82に対して動力が付与されない状態となる。
【0084】
このため、通電状態では
図16に示すようにプランジャ81aに連結されたリンク82の一端側が下に下がり、リンク82の他端側(自由端側)が上がるため、係止フック82aが係止突起136から外れる係止解除状態となる。係止解除状態では移動部130が自由移動できる状態となり、移動規制状態が解除される。
他方で無通電状態では
図15に示すように戻りばね84の下方向への引っ張り力によってリンクの82の先端側(自由端側)が下がり、係止フック82aが係止突起136に係止可能な状態となる。
本実施形態では、X方向移動ステージ13(X方向移動ステージ13を含む移動部130)が装置後方のホームポジションにあるときに係止突起136が係止フック82aに対応する位置に配置されるようになっており、この状態でリンク82の他端側(自由端側)が下がると係止フック82aが係止突起136に係止される。このような係止状態では移動部130が自由移動できず、移動規制状態となる。
【0085】
なお、その他の構成は、第1の実施形態等と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0086】
次に、本実施形態におけるネイルプリント装置の作用について説明する。
まず、本実施形態のネイルプリント装置を用いて爪等に印刷を行う場合には、ネイルプリント装置を載置台S(例えば各種のテーブルや作業台等)の上に配置して、装置の電源をONとする。
これにより、動力付与装置であるソレノイド81が通電状態となり、プランジャ81aを下方向に引き付けられる。そしてプランジャ81aが下がることにより作動部であるリンク82に対して動力が付与され、リンク82の他端側(自由端側)が上がる。このため、
図16に示すように係止フック82aが係止突起136から外れて係止状態が解除される。これにより移動規制状態が解除されて、X方向移動ステージ13等の移動部130が自由移動可能となり、印刷動作を行うことのできる状態となる。
【0087】
印刷動作が終了すると、X方向移動ステージ13等の移動部130は装置後方のホームポジションに移動する。この状態で装置の電源をOFFとする。
これにより、動力付与装置であるソレノイド81が無通電状態となり、プランジャ81aを引き付けることができなくなり、
図15に示すように戻りばね84の下方向への引っ張り力によってリンクの82の先端側(自由端側)が下がり、係止フック82aが係止突起136に係止される。
そしてプランジャ81aが下がることにより作動部であるリンク82に対して動力が付与され、リンク82の他端側(自由端側)が上がる。これにより、移動部130が自由移動できない移動規制状態となる。
このように、本実施形態では装置の電源をOFFするだけで移動部130を移動規制状態とすることができるため、電源OFFの状態で誤ってネイルプリント装置が載置台等から落下したり、ネイルプリント装置を壁等にぶつける等により装置に衝撃が加えられた場合でも、移動部130が自由移動しない。このため、装置各部が破損したり、歯飛びを生じるのを防ぐことができる。
【0088】
なお、その他の点については、第1の実施形態等と同様であることから、その説明を省略する。
【0089】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態等と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、ロック機構8が、動力付与装置であるソレノイド81とソレノイド81により動力が付与されることで動作する作動部としてのリンク82とを備え、ソレノイド81によりリンク82に動力が付与されない状態となったときに移動部130が移動規制状態となり、ソレノイド81によりリンク82に動力が付与された状態となったときに移動部130の移動規制状態が解除される。
このように本実施形態では、装置の電源をOFFする、という簡易かつ印刷終了後には自然に行われる動作だけで移動部130の自由移動を規制することができる。このため、電源OFFの状態であれば、誤ってネイルプリント装置が載置台等から落下したり、ネイルプリント装置を壁等にぶつける等により装置に衝撃が加えられた場合でも、移動部130が移動せず、装置各部が破損したり、歯飛びを生じるのを防ぐことができ、耐衝撃性に優れたネイルプリント装置を実現することができる。
【0090】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0091】
例えば、上記各実施形態では、係止突起又は係止穴のうち、移動部側に設けられるものは、X方向移動ステージ13に設けられている構成としたが、係止突起又は係止穴は、X方向移動ステージ13ではなく、カートリッジ41やカートリッジホルダ42に配置されてもよい。
【0092】
また、上記各実施形態では、X方向移動ステージ13及びこれに取り付けられるカートリッジ41やカートリッジホルダ42を「移動部」とし、X方向移動ステージ13とこれに取り付けられている各部が全体としてY方向に自由移動することを規制する構成としたが、「移動部」の構成及び「移動部」の自由移動を規制すべき方向はこれに限定されない。
例えば「移動部」はカートリッジ41これを支持するカートリッジホルダ42であってもよい。この場合、「移動部」の自由移動を規制すべき方向はY方向に限定されず、例えばX方向移動ステージ13内でのカートリッジホルダ42等のX方向への自由移動も規制してもよい。
X方向への自由移動も規制する場合には、係止突起又は係止穴のうち、移動部側に設けられるものを、カートリッジ41又はカートリッジホルダ42に配置する。なお、カートリッジ41は適宜交換や取り外しが可能な部材であり、カートリッジ41が取り外された状態でもカートリッジホルダ42が自由移動すると装置各部に悪影響を及ぼすことも考えられる。このため、係止突起又は係止穴のうち、移動部側に設けられるものは、カートリッジホルダ42に配置されることがより好ましい。
【0093】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、移動部130を構成するX方向移動ステージ13に係止穴を設け、ロック機構側に係止突起を設ける場合を例示したが、係止突起と係止穴とが互いに嵌り合うことが可能な構成であればよく、係止突起及び係止穴をどこに設けるかは適宜変更可能である。
例えば、移動部130を構成するX方向移動ステージ13に係止突起を設け、ロック機構側に係止穴を設けてもよい。
同様に、第3の実施形態のような構成においても、移動部130側に係止穴を設け、ロック機構側に、電源OFFとなったときに係止穴に係止される係止突起を設けてもよい。
【0094】
また、第3の実施形態では、左右一対の係止突起136を設け、係止穴として機能する係止フック82aを係止突起136に対応して一対設ける例を示したが、係止突起及び係止穴を複数設けることは必須ではない。例えば動力付与装置であるソレノイド81が配置されている側のみに係止突起及び係止穴を設けてもよい。
X方向の複数個所で係止しなくても移動部の自由移動を安定して規制することができる場合には、X方向のいずれか一箇所のみに係止突起及び係止穴を設けてもよい。
【0095】
また、第3の実施形態では、ロック機構が動力付与装置としてソレノイド81を備える場合を例示したが、動力付与装置はこれに限定されない。作動部を動作させる動力を付与することができるものであれば、各種のアクチュエータを適用することができる。
なお、動力付与装置は、装置の電源がOFFの状態において係止突起及び係止穴を係止状態とすることのできるものであることが好ましい。
【0096】
なお、電源がONの状態であっても、印刷動作を中断してネイルプリント装置を移動させることが考えられ、この場合には電源OFFの場合と同様に装置の落下や衝突等のおそれがある。
このため、動力付与装置は、装置の電源がOFFの状態において係止突起及び係止穴を係止状態とすることのできるものには限定されず、電源がONの状態でも係止突起及び係止穴を係止状態とすることのできるものを排除しない。
【0097】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、係止突起及び係止穴が1つずつ設けられている場合を例示したが、ロック機構としてメカ的構成を採用する場合にも複数個所に係止突起及び係止穴を設けてもよい。
この場合、より確実に安定的に移動部130の移動を規制することができる。
【0098】
また、上記各実施形態では、係止突起及び係止穴を係止させることでロック機構が移動部130の自由移動を規制する構成を示したが、ロック機構は、装置内部に装着され、非印刷時において移動部130を自由移動が規制された移動規制状態とすることのできるものであればよく、ロック機構の構成はこれに限定されない。
例えば、第2の実施形態において、非印刷時に引出し部202b等の装着部材を装着することで基台11の一部を押し上げ、移動部130の移動経路を塞いで自由移動を規制するような構成としてもよい。
【0099】
また、上記各実施形態では、印刷装置が爪等に印刷を施すネイルプリント装置である場合を例示したが、本発明を適用可能な印刷装置はネイルプリント装置に限定されない。
装置の落下や衝突等が懸念されるような、ユーザが適宜装置を移動させることが予定されている比較的小型の印刷装置であれば、本発明を適用することができる。
【0100】
また、上記各実施形態では、1種類のロック機構を備えるものを例示したが、第1の実施形態から第3の実施形態で示したようなロック機構を複数種類備えてもよい。
この場合には、より確実に移動部130の非印刷時の移動を規制することができる。
【0101】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷ヘッドを移動させることが可能に構成された移動部と、
装置内部に装着され、非印刷時において、前記移動部を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記移動部は係止穴及び係止突起のいずれか一方を備え、前記ロック機構は前記係止穴及び前記係止突起のいずれか他方を備えており、
前記係止穴と前記係止突起とが互いに嵌り合う係止状態となったときに前記移動部が前記移動規制状態となり、前記係止穴と前記係止突起との前記係止状態が解除された係止解除状態となったときに前記移動部の前記移動規制状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記移動部は前記係止突起が係止される前記係止穴を有し、
前記ロック機構は、
上下方向に延在するロッドと、
前記ロッドを下方向に付勢する付勢部材と、
を有し、
前記ロッドは、前記付勢部材によって下方向に付勢された付勢状態において下端が装置下面から装置外に突出するように構成されており、
前記係止突起は、下方向に突出する向きで前記ロッドに取り付けられて上方向から前記係止穴に挿入可能に構成され、前記ロッドが前記付勢状態であるときに前記係止状態となり、前記付勢状態に抗して前記ロッドが押し上げられ前記係止突起が前記係止穴から外れたときに前記係止解除状態となることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記移動部は前記係止突起が係止される前記係止穴を有し、
前記ロック機構は、
上下方向に延在するロッドを備え、
前記係止突起は、前記ロッドに上方向に突出するように設けられて下方向から前記係止穴に挿入可能に構成され、前記ロッドが上昇したときに前記係止状態となり、前記ロッドが下降して前記係止突起が前記係止穴から外れたときに前記係止解除状態となることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
<請求項5>
基台の下に装着される装着部材を有し、
前記ロッドは、前記装着部材が装着されたときに上昇し、前記装着部材が取り外されたときに下降するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記ロック機構は、動力付与装置と当該動力付与装置により動力が付与されることで動作する作動部とを備え、
前記ロック機構は、前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与されない状態となったときに前記移動部が前記移動規制状態となり、前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与された状態となったときに前記移動部の前記移動規制状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記ロック機構は、前記装置の内部に前記装置と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【符号の説明】
【0102】
1 装置本体
2 筐体
6 ロック機構
11 基台
13 X方向移動ステージ
40 印刷部
41 カートリッジ
42 カートリッジホルダ
64 係止突起
65 付勢部材
100 ネイルプリント装置
124 駆動ベルト
130 移動部
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
印刷ヘッドを移動させることが可能に構成された移動部と、
装置内部に装着され、非印刷時において、前記移動部を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、
動力付与装置と当該動力付与装置により動力が付与されることで動作する作動部とを有し、
前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与されない状態となったときに前記移動部が前記移動規制状態となり、前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与された状態となったときに前記移動部の前記移動規制状態が解除されることを特徴としている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドを移動させることが可能に構成された移動部と、
装置内部に装着され、非印刷時において、前記移動部を、自由移動が規制された移動規制状態とするロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、
動力付与装置と当該動力付与装置により動力が付与されることで動作する作動部とを有し、
前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与されない状態となったときに前記移動部が前記移動規制状態となり、前記動力付与装置により前記作動部に動力が付与された状態となったときに前記移動部の前記移動規制状態が解除されることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記装置の内部に前記装置と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記移動部の移動可能な方向である第1方向及び前記第1方向とは異なり、前記移動部が前記印刷ヘッドを移動させることが可能な方向である第2方向における前記移動部の自由移動を規制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。