(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016582
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20230126BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121004
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】321003371
【氏名又は名称】LINE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100107951
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(74)【代理人】
【識別番号】100166176
【弁理士】
【氏名又は名称】加美山 豊
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
(72)【発明者】
【氏名】豊口 慎太郎
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB57
(57)【要約】
【課題】暗号資産の運用に関する新たな技術を提案する。
【解決手段】端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムにより実行されるプログラムは、暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御を実行することと、利率に関する情報を端末に表示させるための制御を実行することと、ユーザにより貸出が許可された暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御を実行することと、暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御を実行することと、権利を行使する制御を実行することと、証拠金と権利を行使することにより得られた金額との合計金額の少なくとも一部を使用して暗号資産を購入する制御を実行することと、第1資産額に基づく元本金額に相当する暗号資産の資産額である第2資産額と、利率に相当する暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額をユーザに関連付ける制御を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムにより実行されるプログラムであって、
前記暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御を実行することと、
前記利率に関する情報を前記端末に表示させるための制御を実行することと、
前記ユーザにより貸出が許可された前記暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御を実行することと、
前記暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御を実行することと、
前記権利を行使する制御を実行することと、
前記証拠金と前記権利を行使することにより得られた金額との合計金額の少なくとも一部を使用して前記暗号資産を購入する制御を実行することと、
前記第1資産額に基づく元本金額に相当する前記暗号資産の資産額である第2資産額と、前記利率に相当する前記暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額を前記ユーザに関連付ける制御を実行することと、
を含むプログラム。
【請求項2】
請求項1のプログラムであって、
前記利率に関する情報は、前記第3資産額相当の金額に関する情報を含むプログラム。
【請求項3】
請求項2のプログラムであって、
前記利率に関する情報は、前記合計資産額相当の金額に関する情報を含むプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のプログラムであって、
前記利率は、前記暗号資産のインプライド金利に基づいて算出されるプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のプログラムであって、
前記利率に関する情報を表示させるための制御は、前記端末において前記暗号資産を売却するための操作が行われたことに基づいて実行されるプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のプログラムであって、
前記権利を購入する制御は、前記暗号資産の現物価格よりも、前記暗号資産の先物価格が高いことに基づく、前記暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御であり、
前記権利を行使する制御は、前記暗号資産の先物の期日までに実行されるプログラム。
【請求項7】
請求項6のプログラムであって、
前記利率に関する情報は、前記期日に関する情報を含むプログラム。
【請求項8】
請求項6または請求項7のプログラムであって、
前記証拠金を補充する制御は、前記暗号資産の現物価格よりも、前記暗号資産の先物価格が高い場合に、前記第1資産額の一部を売却して前記証拠金を補充する制御であるプログラム。
【請求項9】
請求項8のプログラムであって、
前記暗号資産の現物価格よりも、前記暗号資産の先物価格が高くない場合には、第1資産額の全部を売却して、前記暗号資産の購入に使用できる資金とする制御を実行すること、を含むプログラム。
【請求項10】
請求項9のプログラムであって、
前記暗号資産の現物価格よりも、前記暗号資産の先物価格が高くなった場合に、前記資金の一部を使用して前記暗号資産を購入する制御と、前記資金の一部を使用して前記暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御とを実行すること、を含むプログラム。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載のプログラムであって、
前記権利は所定倍数のレバレッジに基づくプログラム。
【請求項12】
請求項11のプログラムであって、
前記証拠金が基準値より低下した場合に、前記暗号資産の一部を売却して前記証拠金を補充する制御を実行すること、を含むプログラム。
【請求項13】
請求項12のプログラムであって、
前記証拠金が前記基準値より低下していない場合に、前記証拠金の一部を、前記暗号資産の購入に使用できる資金にする制御と、前記資金の一部を使用して前記暗号資産を購入する制御と、前記資金の一部を使用して前記暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御とを実行すること、を含むプログラム。
【請求項14】
請求項1から請求項13の何れか1項に記載のプログラムであって、
前記暗号資産の先物は、第1法定通貨により購入することが可能であり、
前記端末に、前記暗号資産の価格を、前記第1法定通貨とは異なる第2法定通貨の単位に基づいて表示させるための制御を実行することを含み、
前記利率は、前記第1法定通貨と前記第2法定通貨との為替ヘッジコストに基づき算出されるプログラム。
【請求項15】
端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムの情報処理方法であって、
前記暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御を実行することと、
前記利率に関する情報を前記端末に表示させるための制御を実行することと、
前記ユーザにより貸出が許可された前記暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御を実行することと、
前記暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御を実行することと、
前記権利を行使する制御を実行することと、
前記証拠金と前記権利を行使することにより得られた金額の合計金額の少なくとも一部を使用して前記暗号資産を購入する制御を実行することと、
前記第1資産額に基づく元本金額に相当する前記暗号資産の資産額である第2資産額と、前記利率に相当する前記暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額を前記ユーザに関連付ける制御を実行することと、を含む情報処理方法。
【請求項16】
端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムであって、
前記暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御と、
前記利率に関する情報を前記端末に表示させるための制御と、
前記ユーザにより貸出が許可された前記暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御と、
前記暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御と、
前記権利を行使する制御と、
前記証拠金と前記権利を行使することにより得られた金額の合計金額の少なくとも一部を使用して前記暗号資産を購入する制御と、
前記第1資産額に基づく元本金額に相当する前記暗号資産の資産額である第2資産額と、前記利率に相当する前記暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額を前記ユーザに関連付ける制御と、を実行する制御部を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理方法、システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、投資家から集めた資金を実績連動クーポンが支払われる債権に投資する投資信託会社が管理する情報処理システムであって、投資信託会社の投資戦略に基づき仮想ポートフォリオを算出し、算出された仮想ポートフォリオに基づく運用シミュレーション情報を、実績連動クーポンの利率を決定するための基礎データとする情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムにより実行されるプログラムは、暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御を実行することと、利率に関する情報を端末に表示させるための制御を実行することと、ユーザにより貸出が許可された暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御を実行することと、暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御を実行することと、権利を行使する制御を実行することと、証拠金と権利を行使することにより得られた金額との合計金額の少なくとも一部を使用して暗号資産を購入する制御を実行することと、第1資産額に基づく元本金額に相当する暗号資産の資産額である第2資産額と、利率に相当する暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額をユーザに関連付ける制御を実行する。
本発明の第2の態様によると、端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムの情報処理方法は、暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御を実行することと、利率に関する情報を端末に表示させるための制御を実行することと、ユーザにより貸出が許可された暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御を実行することと、暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御を実行することと、権利を行使する制御を実行することと、証拠金と権利を行使することにより得られた金額の合計金額の少なくとも一部を使用して暗号資産を購入する制御を実行することと、第1資産額に基づく元本金額に相当する暗号資産の資産額である第2資産額と、利率に相当する暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額をユーザに関連付ける制御を実行する。
本発明の第3の態様によると、端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムは、暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御と、利率に関する情報を端末に表示させるための制御と、ユーザにより貸出が許可された暗号資産の資産額である第1資産額の一部を売却して先物取引に関する証拠金を補充する制御と、暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御と、権利を行使する制御と、証拠金と権利を行使することにより得られた金額の合計金額の少なくとも一部を使用して暗号資産を購入する制御と、第1資産額に基づく元本金額に相当する暗号資産の資産額である第2資産額と、利率に相当する暗号資産の資産額である第3資産額との合計資産額をユーザに関連付ける制御と、を実行する制御部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1実施例に係る通信システムのシステム構成の一例を示す図。
【
図2】第1実施例に係る取引所サーバのハードウェア構成の一例を示す図。
【
図3】第1実施例に係る先物サーバのハードウェア構成の一例を示す図。
【
図5】第1実施例に係るユーザ暗号資産管理データベースの一例を示す図。
【
図6】第1実施例に係る暗号資産運用管理データの一例を示す図。
【
図7】第1実施例に係る運用開始時における資金移動の具体例を示す図。
【
図8】第1実施例に係る返還時における資金移動の具体例を示す図。
【
図9】第1実施例に係る返還時における資金移動の具体例を示す図。
【
図10】第1実施例に係る返還時における資金移動の具体例を示す図。
【
図11】第1実施例に係る各装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図12】第1実施例に係る暗号資産預入利率算出処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図13】第1実施例に係る新規暗号資産預入処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図14】第1実施例に係る暗号資産返還処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図15】第1実施例に係る日次運用処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図16】第1実施例に係る端末の表示部に表示される画面の一例を示す図。
【
図17】第1実施例に係る端末の表示部に表示される画面の一例を示す図。
【
図18】第1変形例に係る端末の表示部に表示される画面の一例を示す図。
【
図19】第2実施例に係る端末の表示部に表示される画面の一例を示す図。
【
図20】第2実施例に係る端末の表示部に表示される画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
<法的事項の遵守>
本明細書に記載の開示は、通信の秘密など、本開示の実施に必要な実施国の法的事項遵守を前提とすることに留意されたい。
【0007】
本開示に係るプログラム等を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
システムとは、限定ではなく例として、複数の装置を有して構成されるものとすることができる。
複数の装置は、同じ種類の装置の組合せとしてもよいし、異なる種類の装置の組合せとしてもよいし、同じ種類の装置と異なる種類の装置との組合せとしてもよい。
なお、システムとは、限定ではなく例として、複数の装置が協働して何らかの処理を行うもの、と考えることもできる。
【0009】
また、クライアント(クライアント装置)とサーバとに関するシステムとは、限定ではなく例として、少なくとも以下のいずれかと考えることができる。
(1)端末&サーバ
(2)サーバ
(3)端末
【0010】
(1)は、限定ではなく例として、少なくとも1つの端末と、少なくとも1つのサーバとを含むシステムである。この一例は、クライアントサーバシステムである。
【0011】
サーバは、限定ではなく例として、以下の装置によって構成されており、単独の装置であってもよいし、複数の装置の組合せであってもよいものとする。
【0012】
具体的には、サーバは、限定ではなく例として、少なくとも1つのプロセッサー(限定ではなく例として、CPU:Central Processing Unit、GPU:Graphics Processing Unit、APU:Accelerated Processing Unit、DSP:Digital Signal Processor(限定ではなく例として、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array)等)、コンピュータ装置(プロセッサー+メモリ)、制御装置、演算装置、処理装置等のいずれかを有して構成され、いずれか1つの装置の同種を複数備える構成(限定ではなく例として、CPU+CPU、ホモジニアスマルチコアプロセッサー等)や、いずれか1つの装置の異種を複数備える構成(限定ではなく例として、CPU+DSP、ヘテロジニアスマルチコアプロセッサー等)としてもよいし、複数の装置の組み合わせ(限定ではなく例として、プロセッサー+コンピュータ装置、プロセッサー+演算装置、複数の装置をヘテロジニアス化したもの等)であってもよい。
なお、プロセッサーは、仮想プロセッサーとしてもよい。
【0013】
また、サーバによって何らかの処理を実行する場合に、単一の装置で構成される場合は、単一の装置によって実施例に記載されている処理が実行される。また、複数の装置を有して構成されている場合には、一部の処理を一方の装置が実行し、その他の処理を他方の装置が実行するように構成されていてもよい。限定ではなく例として、プロセッサーと、演算装置とを有して構成される場合、第1処理をプロセッサーが実行し、第2処理を演算装置が実行するように構成されていてもよい。
また、複数の装置で構成する場合には、各々の装置が互いに物理的に離れた位置に配置されて構成されてもよい。
【0014】
また、サーバの機能は、限定ではなく例として、クラウドコンピューティングにおけるPaaSやIaaS、SaaSの形態で提供されるようにしてもよい。
【0015】
また、システムの制御部は、端末の制御部とサーバの制御部とのうちの少なくともいずれか一方とすることができる。つまり、限定ではなく例として、(1A)端末の制御部のみ、(1B)サーバの制御部のみ、(1C)端末の制御部とサーバの制御部との両方、のうちのいずれかを、システムの制御部とすることができる。
【0016】
また、システムの制御部が行う制御や処理(以下、包括的に「制御等」と称する。)は、(1A)端末の制御部のみによって行うようにしてもよいし、(1B)サーバの制御部のみによって行うようにしてもよいし、(1C)端末の制御部とサーバの制御部との両方によって行うようにしてもよい。
また、(1C)では、限定ではなく例として、システムが制御部によって行う制御等のうちの一部の制御等を端末の制御部によって行うようにし、残りの制御等をサーバの制御部によって行うようにしてもよい。この場合、制御等の割り当て(割り振り)は、等分であってもよいし、等分ではなく異なる割合で割り当ててもよい。
【0017】
また、サーバの通信部という場合、サーバが単一の装置によって構成されている場合には、単一の装置が備える通信部そのものであってもよい。また、サーバが複数の装置を有して構成されている場合には、サーバの通信部は、各々の装置が備える各々の通信部を含む構成であってもよい。
限定ではなく例として、サーバは、第1装置と第2装置とを備え、第1装置は第1通信部を有し、第2装置は第2通信部を有する場合、サーバの通信部は、第1通信部と第2通信部とを含む概念としてもよい。
【0018】
(2)は、限定ではなく例として、複数のサーバによって構成されるシステム(以下、「サーバシステム」と称する。)とすることができる。この場合、各々のサーバの構成としては、前述した構成を同様に適用することができる。
【0019】
サーバシステムが行う制御等は、複数のサーバのうち、(2A)一のサーバのみによって行うようにしてもよいし、(2B)他のサーバのみによって行うようにしてもよいし、(2C)一のサーバと他のサーバとが行うようにしてもよい。
また、(2C)では、限定ではなく例として、サーバシステムが行う制御等のうちの一部の制御等を一のサーバが行うようにし、残りの制御等を他のサーバが行うようにしてもよい。この場合、制御等の割り当て(割り振り)は、等分であってもよいし、等分ではなく異なる割合で割り当ててもよい。
【0020】
(3)は、限定ではなく例として、複数の端末によって構成されるシステムとすることができる。
このシステムは、限定ではなく例として、以下のようなシステムとすることができる。
・サーバの機能を端末に持たせるシステム(分散システム)。これは、限定ではなく例として、ブロックチェーンの技術を用いて実現することが可能である。
・端末同士が無線通信を行うシステム。これは、限定ではなく例として、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信技術を用いてP2P(ピアツーピア)方式等で通信を行うことで実現可能である。
【0021】
なお、上記は、制御部に限らず、システムの構成要素となり得る入出力部、通信部、記憶部、時計部等の各機能部についても同様である。
【0022】
以下の実施形態では、限定ではなく例として、端末とサーバとを含むシステム(限定ではなく例として、クライアントサーバシステム)を例示する。
なお、サーバとして、上記(2)のサーバシステムを適用することも可能である。
【0023】
また、端末とサーバとを含むシステムに代えて、サーバを含まないシステム、限定ではなく例として、上記(3)のシステムを適用することも可能である。
この場合の実施形態は、前述したブロックチェーンの技術等に基づいて構成することが可能である。具体的には、限定ではなく例として、以下の実施形態で説明するサーバに記憶されて管理されるデータを、ブロックチェーン上に保管(格納)する。そして、端末が、ブロックチェーンへのトランザクションを生成し、トランザクションがブロックチェーン上で承認されると、ブロックチェーン上に保管されたデータが更新されるようにすることができる。
【0024】
なお、端末と表現した場合でも、これは、クライアントサーバにおけるクライアントの装置としての端末の意味に限定されるものではない。
つまり、端末は、クライアントサーバにおけるものではない装置の概念を含むこともあり得る。
【0025】
また、本明細書では、適宜「通信I/Fによって」という表現を用いる。これは、限定ではなく例として、装置が、制御部(プロセッサー等)の制御に基づいて、通信I/Fを介して(通信部を介して)、各種の情報やデータを送受信することを示してもよいものとする。
【0026】
また、以下では、限定ではなく例として、端末にインストールされたアプリケーション(限定ではなく例として、暗号資産アプリケーション)によって、実施例に係る各種の処理が実行されることとして説明する。
【0027】
なお、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーションの一機能としてチャットサービス(限定ではなく例として、メッセージングサービス)の機能を持たせる、またはチャットアプリケーション(限定ではなく例として、メッセージングアプリケーション)の一機能として暗号資産アプリケーションサービスの機能を持たせるようにすることもできる。
【0028】
メッセージングサービスでは、ユーザが、チャットルームを利用してチャットを行うことができるように構成されている。
以下の説明では、適宜、複数のユーザの端末間で送受信されるコンテンツを各々のユーザが閲覧できるUI(User Interface)やGUI(Graphical User Interface)を「トークルーム」と称する。また、トークルームをチャットルームと称してもよい。
【0029】
コンテンツには、単純なテキストや絵文字等を含むメッセージの他、限定ではなく例として、画像情報(静止画像、動画像等の情報を含む。)、操作用情報(ボタン、アイコン等を含む。)、通信用情報・リンク情報(URI、URL等を含む。)など、端末間で送受信可能な各種の情報を含めることができる。
【0030】
なお、トークルームには、限定ではなく例として、一対一のユーザのトークルームの他、複数のユーザを含むグループのトークルーム(グループトークルーム)を含めることができる。この場合におけるトークルームは、複数のユーザを含むグループの各端末間で送受信されるコンテンツをグループに含まれるユーザが閲覧できるUIやGUIのことを意味する。
【0031】
また、メッセージングサービスには、端末間での簡単なメッセージ等のコンテンツの送受信を可能とするインスタントメッセージングサービス(IMS:Instant Messaging Service)を含めてもよいし、含めなくてもよい。
【0032】
また、メッセージングサービス:MS(IMSを含む。)を、ソーシャルネットワーキングサービス:SNSの1つの形態(一形態)と捉える考え方もある。
このため、メッセージングサービス:MSと、ソーシャルネットワーキングサービス:SNSとは区別してもよいし、区別しなくてもよい。
【0033】
また、以下では、端末に対する入力として、主として端末のユーザによる操作入力(限定ではなく例として、タッチ(タッチ操作)による入力)を例示するが、これに限定されない。
操作入力に代えて、または操作入力に加えて、音入力(音声入力を含む。)を端末に対する入力としてもよいし、しなくてもよい。
【0034】
以下の説明において、「暗号資産販売所」は、限定ではなく、端末のユーザからの要請に応じて、端末のユーザに暗号資産販売所が保有する所定の暗号資産を提供する(限定ではなく例として、暗号資産を送金する)事業者の一例である。なお、所定の暗号資産を提供することには、限定ではなく例として、端末のユーザによる暗号資産の購入額(限定ではなく例として、電子貨幣を含む法定通貨の使用額(投資額)や、ポイントの使用額)に対応した価値の暗号資産を提供することが含まれる。暗号資産販売所の事業者(以下、「暗号資産販売業者」と呼称する。)は、暗号資産交換業者として所管の財務局に登録されている事業者としてもよく、そうしなくてもよい。
【0035】
限定ではなく例として、暗号資産販売業者は、法定通貨と、暗号資産との交換レート(換算レート)を定める。交換レートは、その暗号資産の需要に応じて変動する値である。
【0036】
限定ではなく例として、暗号資産販売業者は、暗号資産アプリケーションサービスを端末に対して提供する。
【0037】
また、以下の説明において、「暗号資産取引所」は、限定ではなく、顧客(限定ではなく例として、暗号資産販売業者)からの要請に応じて、暗号資産の売買を仲介する事業者の一例である。暗号資産取引所の事業者(以下、「暗号資産取引業者」と呼称する。)は、暗号資産交換業者として所管の財務局に登録されている事業者としてもよく、そうしなくてもよい。
【0038】
限定ではなく例として、暗号資産取引所では、交換レート(取引価格)は、顧客同士の需給に基づいて決定される。
【0039】
なお、暗号資産販売所は、暗号資産交換所と言ってもよいし、そうしなくてもよい。暗号資産取引所は、暗号資産交換所と言ってもよいし、そうしなくてもよい。
【0040】
また、以下の説明において、「先物取引ブローカー」は、限定ではなく、顧客(限定ではなく例として、暗号資産販売業者)からの要請に応じて、先物取引所における金融先物取引を仲介する事業者の一例である。金融先物取引としては、限定ではなく例として、暗号資産先物取引や、外国為替先物取引が含まれる。
なお、先物取引ブローカーは、「先物ブローカー」としてもよいし、そうしなくてもよい。
【0041】
また、以下の説明において、「法定通貨」には、限定ではなく例として、円、USドル、人民元、ユーロ、ウォン等の法定通貨が含まれる。限定ではなく、法定通貨には、電子貨幣が含まれるようにしてもよく、そうしなくてもよい。また、限定ではなく、法定通貨には、暗号通貨(仮想通貨)が含まれるようにしてもよく、そうしなくてもよい。
【0042】
また、以下の説明において、「暗号資産」には、限定ではなく例として、ビットコイン(登録商標)、ビットコインキャッシュ、イーサリアム(登録商標)、テザー(登録商標)、ライトコイン(登録商標)、リンク(登録商標)、モナコイン(登録商標)等のブロックチェーンにより管理される暗号資産(暗号通貨・仮想通貨)が含まれる。また、暗号資産は、ユーザが、暗号資産販売業者から取得(交換または購入)できる資産としてもよく、そうしなくてもよい。
本明細書においては、本実施形態が適用される当該国において法定通貨として取り扱われる通貨以外の暗号資産のことを、暗号資産と称する。また、暗号資産を管理するためのブロックチェーンを、暗号資産ブロックチェーンと称する。
【0043】
また、以下の説明において、「装置A」から「装置B」に「送金する」とは、限定ではなく例として、装置Aのユーザの口座(アカウント)から装置Bのユーザの口座(アカウント)に所定額の法定通貨または暗号資産を移動することが含まれる。なお、送金対象が暗号資産である場合、送金には、装置Aに属する暗号資産ウォレットアドレスから装置Bに属する暗号資産ウォレットアドレスへの暗号資産の取引(移動)が含まれる。
【0044】
<第1実施例>
第1実施例は、限定ではなく例として、ユーザが、暗号資産販売業者の提示する利回り(利率、預入利息)に基づいて、暗号資産販売業者に保有する暗号資産を貸し出す(貸し付ける)。暗号資産販売業者は、ユーザから預入された暗号資産を運用し、利息をつけて暗号資産をユーザに返還する実施例である。
【0045】
ユーザから預入された暗号資産は、返還のとき、預入されたときの第1法定通貨換算の価値に利息を付与した第1法定通貨換算の価値を持つ暗号資産としてユーザに返還される。
【0046】
第1実施例では、限定ではなく例として、暗号資産の一例として、ビットコイン(BTC)(登録商標)を用いて説明する。また、限定ではなく例として、第1法定通貨の一例として、米ドル(USD)を用いて説明する。また、限定ではなく例として、暗号資産先物取引の一例として、ビットコイン先物を用いて説明する。
【0047】
なお、ビットコイン先物は、限定ではなく例として、一日に一度算出される指標値(参考基準レート)をベースとする米ドル建ての先物取引とする。また、ビットコイン先物では、決済方法として「現引」「現渡」での清算が可能なため、反対売買を必ずしも必要としないこととする。
【0048】
第1実施例に記載の内容は、他の各実施例や他の各変形例のいずれにも適用可能である。
また、既出の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して、再度の説明を省略する。
【0049】
<システム構成>
図1は、本実施例における通信システム1のシステム構成の一例を示す図である。
通信システム1では、限定ではなく例として、ネットワーク30を介して、サーバ10と、複数の端末20(端末20A,端末20B,端末20C,・・・)と、取引所サーバ40と、先物サーバ50とが接続される。
【0050】
サーバ10は、ネットワーク30を介して、暗号資産の販売買取サービスを提供する機能を有する。サーバ10は、暗号資産交換所サーバ、暗号資産交換サーバ、暗号資産販売サービスサーバ等のように表現することもできる。本実施形態では、限定ではなく例として、サーバ10のユーザを、暗号資産販売業者とする。
なお、ネットワーク30に接続されるサーバ10の数は限定されない。限定ではなく例として、1以上のサーバ10を接続するようにしてもよい。
【0051】
取引所サーバ40は、ネットワーク30を介して、暗号資産ブロックチェーンを用いた暗号資産取引サービスを提供するための機能を有する。取引所サーバ40は、暗号資産交換所サーバ、暗号資産交換サーバ、暗号資産取引サーバ等のように表現することもできる。本実施形態では、限定ではなく例として、取引所サーバ40のユーザを、暗号資産取引業者とする。
なお、ネットワーク30に接続される取引所サーバ40の数は限定されない。限定ではなく例として、1以上の取引所サーバ40を接続するようにしてもよい。
【0052】
先物サーバ50は、ネットワーク30を介して、不図示の先物取引所サーバと協調して金融先物取引を仲介するサービスを提供するための機能を有する。先物サーバ50は、先物取引ブローカーサーバ、先物ブローカーサーバ、先物取引サービスサーバ等のように表現することもできる。本実施形態では、限定ではなく例として、先物サーバ50のユーザを、先物取引ブローカーとする。
なお、ネットワーク30に接続される先物サーバ50の数は限定されない。限定ではなく例として、1以上の先物サーバ50を接続するようにしてもよい。
【0053】
端末20(端末20A,端末20B,端末20C、・・・)は、各実施例において記載する機能を実現できる情報処理端末であればどのような端末であってもよい。端末20は、限定ではなく例として、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(限定でなく例として、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(限定でなく例として、PDA・(personal digital assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、VR(Virtual Reality)端末、スマートスピーカ(音声認識用デバイス)、または他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームを含む。また、端末20は情報処理端末と表現されてもよい。
なお、ネットワーク30に接続される端末20の数は限定されない。
【0054】
端末20A、端末20Bおよび端末20Cの構成は、限定ではなく例として、同一とすることができる。また、必要に応じて、ユーザXが利用する端末を端末20Xと表現し、ユーザXまたは端末20Xに対応づけられた、所定のサービスにおけるユーザ情報をユーザ情報Xと表現してもよいし、しなくてもよい。
なお、ユーザ情報とは、所定のサービスにおいてユーザが利用するアカウント(ブロックチェーンウォレットアドレス)に対応付けられたユーザの情報である。ユーザ情報は、限定でなく例として、ユーザにより入力される、または、所定のサービスにより付与される、ユーザの名前、ユーザのアイコン画像、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの住所、ユーザの趣味趣向、ユーザの識別子などのユーザに対応づけられた情報を含み、これらのいずれか一つまたは、組み合わせであってもよいし、そうでなくてもよい。
【0055】
ネットワーク30は、1以上の端末20と、1以上のサーバ10と、1以上の取引所サーバ40と、1以上の先物サーバ50とを接続する役割を担う。すなわち、ネットワーク30は、上記の各種の装置が接続した後、データを送受信することができるように接続経路を提供する通信網を意味する。
【0056】
ネットワーク30のうちの1つまたは複数の部分は、有線ネットワークや無線ネットワークであってもよいし、そうでなくてもよい。ネットワーク30は、限定ではなく例として、アドホック・ネットワーク(ad hoc network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(virtual private network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(local area network:LAN)、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ワイヤレスWAN(wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(metropolitan area network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDN(integrated service digital networks)、無線LAN、LTE(long term evolution)、CDMA(code division multiple access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信など、または、これらの2つ以上の組合せを含むことができる。ネットワーク30は、1つまたは複数のネットワーク30を含むことができる。
【0057】
サーバ10(限定ではなく、サーバ、情報処理装置、情報管理装置の一例)は、端末20および/または取引所サーバ40および/または先物サーバ50に対して、所定のサービス(本実施例では暗号資産管理と暗号資産運用とに関するサービス)を提供する機能を備える。サーバ10は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。サーバ10は、限定ではなく例として、サーバ装置、コンピュータ(限定ではなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(限定ではなく例として、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(限定ではなく例として、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームを含む。また、サーバ10は情報処理装置と表現されてもよい。サーバ10と取引所サーバ40および/または先物サーバ50とを区別する必要がない場合は、サーバ10と取引所サーバ40および/または先物サーバ50とは、それぞれ情報処理装置と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0058】
なお、サーバ10と端末20とを区別する必要がない場合は、サーバ10と端末20とは、それぞれ情報処理装置と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0059】
取引所サーバ40(限定ではなく、サーバ、情報処理装置、情報管理装置の一例)は、サーバ10に対して、所定のサービス(本実施例では暗号資産取引に関するサービス)を提供する機能を備える。取引所サーバ40は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。取引所サーバ40は、限定ではなく例として、サーバ装置、コンピュータ(限定ではなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(限定ではなく例として、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(限定ではなく例として、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームを含む。また、取引所サーバ40は情報処理装置と表現されてもよい。取引所サーバ40とサーバ10とを区別する必要がない場合は、取引所サーバ40とサーバ10とは、それぞれ情報処理装置と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0060】
先物サーバ50(限定ではなく、サーバ、情報処理装置、情報管理装置の一例)は、サーバ10に対して、所定のサービス(本実施例では金融先物取引に関するサービス)を提供する機能を備える。先物サーバ50は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。先物サーバ50は、限定ではなく例として、サーバ装置、コンピュータ(限定ではなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(限定ではなく例として、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(限定ではなく例として、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームを含む。また、先物サーバ50は情報処理装置と表現されてもよい。先物サーバ50とサーバ10とを区別する必要がない場合は、先物サーバ50とサーバ10とは、それぞれ情報処理装置と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0061】
[各装置のハードウェア(HW)構成]
通信システム1に含まれる各装置のHW構成について説明する。
【0062】
(1)端末のHW構成
図1には、端末20のHW構成の一例を示している。
端末20は、制御部21(CPU:central processing unit(中央処理装置))、記憶部28、通信I/F22(インタフェース)、入出力部23、時計部29A、位置算出用情報検出部29Bを備える。端末20のHWの各構成要素は、限定ではなく例として、バスBを介して相互に接続される。なお、端末20のHW構成として、すべての構成要素を含むことは必須ではない。限定ではなく例として、端末20は、個々の構成要素、または複数の構成要素を取り外すような構成であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0063】
通信I/F22は、ネットワーク30を介して各種データの送受信を行う。通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F22は、ネットワーク30を介して、サーバ10等の各種装置との通信を実行する機能を有する。通信I/F22は、各種データを制御部21からの指示に従って、サーバ10等の各種装置に送信する。また、通信I/F22は、サーバ10等の各種装置から送信された各種データを受信し、制御部21に伝達する。また、通信I/F22を単に通信部と表現する場合もある。また、通信I/F22が物理的に構造化された回路で構成される場合には、通信回路と表現する場合もある。
【0064】
入出力部23は、端末20に対する各種操作を入力する装置や、端末20で処理された処理結果を出力する装置等を含む。入出力部23は、入力部と出力部が一体化していてもよいし、入力部と出力部に分離していてもよいし、そうでなくてもよい。
【0065】
入力部は、ユーザからの入力を受け付けて、入力に係る情報を制御部21に伝達できる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。入力部は、限定ではなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(動画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。
【0066】
出力部は、制御部21で処理された処理結果を出力することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。出力部は、限定ではなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、スピーカ(音声出力)、レンズ(限定ではなく例として3D(three dimensions)出力や、ホログラム出力)、プリンターなどを含む。
【0067】
あくまでも一例であるが、入出力部23は、限定ではなく例として、表示部24、音入力部25、音出力部26、撮像部27を備える。
【0068】
表示部24は、フレームバッファに書き込まれた表示データに従って、表示することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。表示部24は、限定ではなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、モニタ(限定ではなく例として、液晶ディスプレイやOELD(organic electroluminescence display))、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)、プロジェクションマッピング、ホログラム、空気中など(真空であってもよいし、そうでなくてもよい)に画像やテキスト情報等を表示可能な装置を含む。なお、これらの表示部24は、3Dで表示データを表示可能であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0069】
音入力部25は、音データ(音声データを含む。以下同様。)の入力に利用される。音入力部25は、マイクなどを含む。
音出力部26は、音データの出力に利用される。音出力部26は、スピーカなどを含む。
撮像部27は、画像データ(静止画像データ、動画像データを含む。以下同様。)の取得に利用される。撮像部27は、カメラなどを含む。
【0070】
入出力部23がタッチパネルの場合、入出力部23と表示部24とは、略同一の大きさおよび形状で対向して配置されていてもよい。
【0071】
時計部29Aは、端末20の内蔵時計であり、時刻情報(計時情報)を出力する。時計部29Aは、限定ではなく例として、水晶発振器を利用したクロック等を有して構成される。時計部29Aは、限定ではなく例として、計時部や時刻情報検出部と表現することもできる。
【0072】
なお、時計部29Aは、NITZ(Network Identity and Time Zone)規格等を適用したクロックを有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0073】
位置算出用情報検出部29Bは、制御部21が自己の端末20の位置を算出(測定)するために必要な情報(以下、「位置算出用情報」と称する。)を検出(計測)する機能部である。位置算出用情報検出部29Bは、限定ではなく例として、位置算出用センサ部と表現することもできる。
【0074】
位置算出用情報検出部29Bは、限定ではなく例として、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用して端末20の位置を算出するためのセンサやユニットである衛星測位センサ(衛星測位ユニット)や、慣性航法システムを利用して端末20の位置を算出するためのセンサやユニットである慣性計測センサ(慣性計測ユニット(IMU(Inertial Measurement Unit)))、UWB(超広帯域無線:Ultra Wide Band)を利用して端末20の位置を算出するためのセンサやユニットであるUWB測位センサ(UWB測位ユニット)等を含む。
【0075】
衛星測位ユニットは、限定ではなく例として、不図示のアンテナで受信される測位用衛星から発信されている測位用衛星信号を含むRF(Radio Frequency)信号をデジタル信号に変換するRF受信回路や、RF受信回路から出力されるデジタル信号に対して相関演算処理等を行って測位用衛星信号を捕捉し、測位用衛星信号から取り出した衛星軌道データや時刻データ等の情報を、位置算出用情報として出力するベースバンド処理回路等を有する。
【0076】
慣性計測ユニットは、慣性航法演算によって端末20の位置を算出するために必要な情報を検出するセンサである慣性センサを有する。慣性センサには、限定ではなく例として、3軸の加速度センサや3軸のジャイロセンサが含まれ、加速度センサによって検出された加速度と、ジャイロセンサによって検出された角速度とを、位置算出用情報として出力する。
【0077】
UWB測位ユニットは、限定ではなく例として、不図示のアンテナで受信される測位用ビーコンから発信されている測位用超広帯域パルス信号を含む超広帯域RF(Radio Frequency)信号をデジタル信号に変換する超広帯域RF受信回路や、超広帯域RF受信回路から出力されるデジタル信号に基づいて端末20と測位用ビーコンとの相対位置を算出する相対位置算出処理回路等を有する。
なお、限定ではなく例として、UWB測位ユニットは、不図示のアンテナから測位用超広帯域パルス信号を含む超広帯域RF信号を送信することで、端末20を測位用ビーコンとして機能させてもよいし、そうしなくてもよい。
【0078】
制御部21は、限定ではなく例として、位置算出用情報検出部29Bによって検出された位置算出用情報に基づいて、定期的なタイミングや特定のタイミングで、自己の端末20の位置を算出する。端末の位置を「端末位置」と称し、算出された端末位置を「算出端末位置」と称する。制御部21は、算出端末位置を、その算出端末位置を算出した日時と関連付けて、算出端末位置履歴データとして記憶部28に記憶させるようにしてもよいし、そうしなくてもよい。
【0079】
制御部21は、プログラム内に含まれたコードまたは命令によって実現する機能を実行するために物理的に構造化された回路を有し、限定ではなく例として、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置により実現される。そのため、制御部21は、制御回路と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0080】
制御部21は、限定ではなく例として、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)を含む。
【0081】
記憶部28は、端末20が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。記憶部28は、限定ではなく例として、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)など各種の記憶媒体を含む。また、記憶部28は、メモリ(memory)と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0082】
端末20は、プログラムPを記憶部28に記憶し、このプログラムPを実行することで、制御部21が、制御部21に含まれる各部としての処理を実行する。つまり、記憶部28に記憶されるプログラムPは、端末20に、制御部21が実行する各機能を実現させる。また、このプログラムPは、プログラムモジュールと表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0083】
(2)サーバのHW構成
図1には、サーバ10のHW構成の一例を示している。
サーバ10は、限定ではなく例として、制御部11(CPU)、記憶部15、通信I/F14(インタフェース)、入出力部12、時計部19を備える。サーバ10のHWの各構成要素は、限定ではなく例として、バスBを介して相互に接続される。なお、サーバ10のHWは、サーバ10のHWの構成として、全ての構成要素を含むことは必須ではない。限定ではなく例として、サーバ10のHWは、個々の構成要素、または複数の構成要素を取り外すような構成であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0084】
制御部11は、プログラム内に含まれたコードまたは命令によって実現する機能を実行するために物理的に構造化された回路を有し、限定ではなく例として、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置により実現される。
【0085】
制御部11は、代表的には中央処理装置(CPU)、であり、その他にマイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGAであってもよいし、そうでなくてもよい。本開示において、制御部11は、これらに限定されない。
【0086】
記憶部15は、サーバ10が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。記憶部15は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。ただし、本開示において、記憶部15は、これらに限定されない。また、記憶部15は、メモリ(memory)と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0087】
通信I/F14は、ネットワーク30を介して各種データの送受信を行う。通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F14は、ネットワーク30を介して、端末20等の各種装置との通信を実行する機能を有する。通信I/F14は、各種データを制御部11からの指示に従って、端末20等の各種装置に送信する。また、通信I/F14は、端末20等の各種装置から送信された各種データを受信し、制御部11に伝達する。また、通信I/F14を単に通信部と表現する場合もある。また、通信I/F14が物理的に構造化された回路で構成される場合には、通信回路と表現する場合もある。
【0088】
入出力部12は、サーバ10に対する各種操作を入力する装置や、サーバ10で処理された処理結果を出力する装置等を含む。入出力部12は、入力部と出力部が一体化していてもよいし、入力部と出力部に分離していてもよいし、そうでなくてもよい。
【0089】
入力部は、ユーザからの入力を受け付けて、入力に係る情報を制御部11に伝達できる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。入力部は、代表的にはキーボード等に代表されるハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイスで実現される。なお、入力部は、限定ではなく例として、タッチパネルやカメラ(動画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含んでいてもよいし、そうでなくてもよい。
【0090】
出力部は、制御部11で処理された処理結果を出力することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。出力部は、限定ではなく例として、 タッチパネル、タッチディスプレイ、スピーカ(音出力)、レンズ(限定ではなく例として3D(three dimensions)出力や、ホログラム出力)、プリンターなどを含む。
【0091】
あくまでも一例であるが、入出力部12は、限定ではなく例として、表示部13を備える。
【0092】
表示部13は、ディスプレイ等で実現される。ディスプレイは、代表的にはモニタ(限定ではなく例として、液晶ディスプレイやOELD(organic electroluminescence display))で実現される。なお、ディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイ(HDM)などであってもよいし、そうでなくてもよい。なお、これらのディスプレイは、3Dで表示データを表示可能であってもよいし、そうでなくてもよい。本開示において、ディスプレイは、これらに限定されない。
【0093】
時計部19は、サーバ10の内蔵時計であり、時刻情報(計時情報)を出力する。時計部19は、限定ではなく例として、ハードウェアクロックとしてのRTC(Real Time Clock)やシステムクロック等を有して構成される。時計部19は、限定ではなく例として、計時部や時刻情報検出部と表現することもできる。
【0094】
(3)取引所サーバのHW構成
図2には、取引所サーバ40のHW構成の一例を示している。
取引所サーバ40は、限定ではなく例として、制御部41(CPU)、記憶部45、通信I/F44(インタフェース)、入出力部42、時計部49を備える。取引所サーバ40のHWの各構成要素は、限定ではなく例として、バスBを介して相互に接続される。なお、取引所サーバ40のHWは、取引所サーバ40のHWの構成として、全ての構成要素を含むことは必須ではない。限定ではなく例として、取引所サーバ40のHWは、個々の構成要素、または複数の構成要素を取り外すような構成であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0095】
なお、取引所サーバ40のHWの個々の構成要素については、限定ではなく例として、サーバ10と同様に構成可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0096】
(4)先物サーバのHW構成
図3には、先物サーバ50のHW構成の一例を示している。
先物サーバ50は、限定ではなく例として、制御部51(CPU)、記憶部55、通信I/F54(インタフェース)、入出力部52、時計部59を備える。先物サーバ50のHWの各構成要素は、限定ではなく例として、バスBを介して相互に接続される。なお、先物サーバ50のHWは、先物サーバ50のHWの構成として、全ての構成要素を含むことは必須ではない。限定ではなく例として、先物サーバ50のHWは、個々の構成要素、または複数の構成要素を取り外すような構成であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0097】
なお、先物サーバ50のHWの個々の構成要素については、限定ではなく例として、サーバ10と同様に構成可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0098】
(5)その他
サーバ10は、プログラムPを記憶部15に記憶し、このプログラムPを実行することで、制御部11が、制御部11に含まれる各部としての処理を実行する。つまり、記憶部15に記憶されるプログラムPは、サーバ10に、制御部11が実行する各機能を実現させる。このプログラムPは、プログラムモジュールと表現されてもよいし、されなくてもよい。
他の装置についても同様である。
【0099】
本開示の各実施形態においては、端末20および/またはサーバ10のCPUがプログラムPを実行することにより、実現するものとして説明する。
他の装置についても同様である。
【0100】
なお、端末20の制御部21、および/または、サーバ10の制御部11は、制御回路を有するCPUだけでなく、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各処理を実現してもよいし、そうでなくてもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよいし、そうでなくてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。そのため、制御部21は、制御回路と表現されてもよいし、されなくてもよい。
他の装置についても同様である。
【0101】
また、本開示の各実施形態のプログラムP(限定ではなく例として、ソフトウェアプログラム、コンピュータプログラム、またはプログラムモジュール)は、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、されなくてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムPを記憶可能である。また、プログラムPは、本開示の各実施形態の機能の一部を実現するためのものであってもよいし、そうでなくてもよい。さらに、本開示の各実施形態の機能を記憶媒体にすでに記録されているプログラムPとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0102】
記憶媒体は、1つまたは複数の半導体ベースの、または他の集積回路(IC)(限定ではなく例として、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)または特定用途向けIC(ASIC)など)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カード、またはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、またはこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性の組合せでよい。なお、記憶媒体はこれらの例に限られず、プログラムPを記憶可能であれば、どのようなデバイスまたは媒体であってもよい。また、記憶媒体をメモリ(memory)と表現されてもよいし、されなくてもよい。
【0103】
サーバ10および/または端末20は、記憶媒体に記憶されたプログラムPを読み出し、読み出したプログラムPを実行することによって、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現することができる。
他の装置についても同様である。
【0104】
また、本開示のプログラムPは、プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、サーバ10および/または端末20に提供されてもよいし、されなくてもよい。サーバ10および/または端末20は、限定ではなく例として、インターネット等を介してダウンロードしたプログラムPを実行することにより、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現する。
他の装置についても同様である。
【0105】
また、本開示の各実施形態は、プログラムPが電子的な伝送によって具現化されたデータ信号の形態でも実現され得る。
サーバ10および/または端末20における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよいし、そうでなくてもよい。
【0106】
端末20における処理の少なくとも一部、または全部を、サーバ10および/または取引所サーバ40および/または先物サーバ50により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。この場合、端末20の制御部21の各機能部の処理のうち少なくとも一部の処理、または全部の処理を、サーバ10および/または取引所サーバ40および/または先物サーバ50で行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。
【0107】
サーバ10における処理の少なくとも一部、または全部を、端末20および/または取引所サーバ40および/または先物サーバ50により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。この場合、サーバ10の制御部11の各機能部の処理のうち少なくとも一部の処理、または全部の処理を、端末20および/または取引所サーバ40および/または先物サーバ50で行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。
【0108】
また、取引所サーバ40における処理の少なくとも一部、または全部を、サーバ10および/または先物サーバ50により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。
【0109】
また、先物サーバ50における処理の少なくとも一部、または全部を、サーバ10および/または取引所サーバ40により行う構成としてもよいし、そうでなくてもよい。
【0110】
明示的な言及のない限り、本開示の実施形態における判定の構成は必須でなく、判定条件を満たした場合に所定の処理が動作されたり、判定条件を満たさない場合に所定の処理がされたりしてもよいし、そうでなくてもよい。
【0111】
なお、本開示のプログラムは、限定ではなく例として、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのコンパイラ言語、HTML Living Standardなどのマークアップ言語などを用いて実装される。
【0112】
なお、本開示の各実施形態のプログラムは、Dapps(Decentralized Applications:自律分散型アプリケーション)のプログラムとして実装してもよい。
【0113】
[各装置の機能構成]
図4は、本実施例において各装置によって実現される機能の一例を示す図である。
【0114】
サーバ10の制御部11は、限定ではなく例として、暗号資産管理処理部111を機能部として含む。
【0115】
暗号資産管理処理部111は、記憶部15に記憶される暗号資産アプリケーション管理処理プログラムに従って実行される暗号資産アプリケーション管理処理において、暗号資産ブロックチェーンに記憶(格納)されるトランザクションの操作(参照・追加等)を実行する。また、暗号資産管理処理部111は、後述するフローチャートに従い、預入された暗号資産の運用を実行する。
【0116】
サーバ10の記憶部15には、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーション管理処理プログラムと、ユーザ暗号資産管理データベース151と、暗号資産運用管理データ152とが記憶される。
【0117】
ユーザ暗号資産管理データベース151は、暗号資産ブロックチェーンのウォレットアドレス(暗号資産ウォレットアドレス)を暗号資産アプリケーションのユーザ情報(アカウント)と紐づけるための管理用のデータベースであり、そのデータ構成の一例を
図5に示す。
【0118】
ユーザ暗号資産管理データベース151には、アカウントごとの管理データとして、ユーザ暗号資産管理データが記憶される。
【0119】
各々のユーザ暗号資産管理データには、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーションIDと、ユーザ名と、暗号資産ウォレットアドレスと、未使用残高と、その他登録情報とが関連付けて記憶される。
【0120】
暗号資産アプリケーションIDは、暗号資産アプリケーションのアカウントを識別するために用いられる情報、または暗号資産アプリケーションのアカウントそのものである。
この暗号資産アプリケーションIDは、好ましくは暗号資産アプリケーションのアカウントごとに一意な値であり、限定ではなく例として、サーバ10によってアカウントごとに一意な値(固有の値)が設定されて記憶される。
暗号資産アプリケーションIDは、端末20、またはその端末20のユーザに関連付けられた情報であり、端末に関する情報、または端末のユーザに関する情報の一例である。
【0121】
ユーザ名は、暗号資産アプリケーションを利用する端末20のユーザの名称であり、限定ではなく例として、端末20のユーザが本人確認(KYC)を行ったときの氏名が記憶される。
【0122】
暗号資産ウォレットアドレスは、暗号資産ウォレットの所有者に紐づけられる情報(所有者の情報)である。暗号資産ウォレットアドレスは、限定ではなく例として、端末20のユーザに対する本人確認(KYC)が行われると、暗号資産管理処理部111によって生成される。
【0123】
未使用残高は、このアカウントが保有する暗号資産の残高であり、限定ではなく例として、暗号資産ウォレットアドレスにおける未使用残高(UTXO:Unspent Transaction Output)が記憶される。
【0124】
その他登録情報には、限定ではなく例として、端末20を識別するための識別情報、端末20の電話番号(端末電話番号)、メールアドレス(端末メールアドレス)、暗号資産アプリケーションにおける各種の認証に利用されるパスワード(ログインパスワード、認証パスワード等)等の認証情報、端末20から本人確認(KYC)時に送信される本人確認情報(住所・生年月日・顔写真データ等)といった各種の情報を含めるようにすることができる。なお、その他登録情報として、このユーザの暗号資産ウォレット秘密鍵を含めるようにしてもよい。
【0125】
端末20を識別するための識別情報は、限定ではなく例として、端末ID(限定ではなく例として、IMEI(International Mobile Equipment Identity))とすることができる。
また、端末20のユーザを識別するための識別情報は、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーションIDとすることができる。なお、暗号資産アプリケーションIDに代えて「暗号資産ユーザID」あるいはただ単に「ユーザID」としてもよいし、そうしなくてもよい。
【0126】
また、1つの端末20につき1つのアカウントしか登録することのできないアプリケーションであれば、限定ではなく例として、「端末20を識別するための識別情報=端末20のユーザを識別するための識別情報=暗号資産アプリケーションID」とすることができる。
【0127】
また、限定ではなく例として、1つのユーザIDに、複数の端末IDを割り当てることを可能としてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0128】
また、暗号資産アプリケーションID等の各種のIDに代えて、端末電話番号等の情報によってアカウントを管理する手法を適用することも可能である。
この場合、暗号資産アプリケーションID等のIDの情報をユーザ暗号資産管理データベース151に記憶させるのに代えて、端末電話番号等の情報をユーザ暗号資産管理データベース151に記憶させるようにすることができる。
【0129】
なお、ユーザ暗号資産管理データに、ユーザが暗号資産販売業者から暗号資産を購入するための資金残高を管理するための第1法定通貨資金残高を加えて記憶させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0130】
暗号資産運用管理データ152は、ユーザから預入された暗号資産の運用を行うための管理用のデータであり、そのデータ構成の一例を
図6に示す。
【0131】
暗号資産運用管理データ152には、限定ではなく例として、預入現物残高と、余剰資金残高と、暗号資産預入利率と、返還日と、預入暗号資産管理データと、先物ポジション管理データとが関連付けて記憶される。
【0132】
預入現物残高には、1以上のユーザから貸し出しを受けた暗号資産(預入暗号資産)のうち、第1法定通貨へ換金(変換)せずに暗号資産現物で保管している暗号資産の残高が記憶される。
預入現物残高は、暗号資産販売所が保有する暗号資産運用のための暗号資産ウォレットアドレスの未使用残高(暗号資産運用のための暗号資産ウォレットの残高)と言ってもよい。
【0133】
余剰資金残高には、ユーザから貸し出しを受けた暗号資産のうち所定量を第1法定通貨へ換金した結果、第1法定通貨として保管している残高が記憶される。
【0134】
暗号資産預入利率は、ユーザから貸し出しを受ける際に暗号資産販売業者が提示する、返還時に付与される利息の割合である。なお、暗号資産預入利率の提示方法については後述する。
【0135】
返還日は、ユーザから貸し出しを受けた暗号資産を返還する日付である。
【0136】
預入暗号資産管理データは、ユーザから貸し出しを受けた暗号資産(預入暗号資産)を管理するためのデータであり、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーションIDと、ドル換算預入額とが関連付けて記憶される。
【0137】
暗号資産アプリケーションIDは、暗号資産を貸し出したアカウントを識別するための識別情報である。
【0138】
ドル換算預入額は、暗号資産販売業者がユーザから暗号資産の貸し出しを受け付けるとき、暗号資産販売所における交換レートで換算した、暗号資産の第1法定通貨換算での価格である。なお、ドル換算預入額は、第1法定通貨換算預入額と言ってもよい。
【0139】
限定ではなく例として、ユーザから暗号資産の貸し出しを受ける際の交換レートが「1」BTC=「30,000」USDであるとき、ユーザA.Aが「15」BTCを暗号資産販売所に貸し出した場合、ドル換算預入額は、「30,000×15」=「450,000」USDとなる。
【0140】
先物ポジション管理データは、暗号資産の運用で用いられる先物売りヘッジ取引を管理するためのデータであり、限定ではなく例として、預入証拠金額と、必要証拠金額と、先物ポジションデータとが関連付けて記憶される。
【0141】
預入証拠金額は、金融先物取引を行うにあたり証拠金(保証金)として先物取引ブローカーに預入(入金)済みの金額である。なお、証拠金は、先物ポジション(建玉、未決済注文)の維持と新規注文のために利用される。
【0142】
必要証拠金額は、保有する先物ポジションに応じて加算される、先物取引の必要証拠金額である。必要証拠金額に対する評価証拠金額(預入証拠金額と評価損益の合計)の割合が一定水準を下回ると、追加証拠金(追証)の入金が必要となる。
【0143】
先物ポジションデータは、保有する先物ポジションに関するデータであり、限定ではなく例として、取引種別と、満期日と、価格と、取得枚数とが関連付けて記憶される。
【0144】
取引種別は、先物取引における「売り」と「買い」とを区別するためのフラグ情報である。
【0145】
満期日は、約定の時点で取り決めた価格で売買する将来の期日(取引期限となる最終日)である。満期日は、行使権限日や最終決済価格決定日、特別清算日と言ってもよいし、そうしなくてもよい。なお、満期日に代えて、限月を記憶させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0146】
価格は、約定の時点で取り決めた、将来の売買価格である。
【0147】
取得枚数は、先物取引を約定した取引単位の数量である。
【0148】
なお、先物ポジション管理データは、暗号資産取引業者を識別する情報と紐付けて、先物サーバ50の記憶部55において管理するようにしてもよいし、そうしなくてもよい。
【0149】
図4に戻り、端末20の制御部21は、限定ではなく例として、記憶部28に記憶された暗号資産アプリケーション処理プログラムに従って、暗号資産アプリケーション処理を実行するための暗号資産アプリケーション処理部211を機能部として含む。
【0150】
端末20の記憶部28には、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーション処理プログラムと、暗号資産アプリケーションIDとが記憶される。
【0151】
取引所サーバ40の制御部41は、限定ではなく例として、記憶部45に記憶された暗号資産取引処理プログラムに従って、顧客(限定ではなく例として、暗号資産販売業者)間の暗号資産売買を仲介し暗号資産取引を実行するための暗号資産取引処理部411を機能部として含む。
【0152】
先物サーバ50の制御部51は、限定ではなく例として、記憶部55に記憶された先物取引処理ブログラムに従って、顧客(限定ではなく例として、暗号資産販売業者)から先物取引の注文・決済を受け付ける先物取引受注処理部511を機能部として含む。
【0153】
なお、暗号資産販売所において暗号資産取引が可能である場合、サーバ10と取引所サーバ40とを一体のサーバとして構成するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0154】
また、サーバ10と端末20とは、不図示の取引仲介サーバを経由して暗号資産の貸し出しと返還とを行うようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0155】
なお、本実施例における各サーバを、限定ではなく例として、暗号資産管理処理部111と、暗号資産取引処理部411と、先物取引受注処理部511とを機能部として含む暗号資産運用システムとして置き換えるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0156】
[処理の概要]
本実施例において、暗号資産の運用を開始する場合、まず、暗号資産販売業者は、暗号資産預入利率を算出し、暗号資産アプリケーションのユーザに提示する(暗号資産預入利率提示)。そして、ユーザは、提示された暗号資産預入利率を参照し、ユーザが保有する所定量の暗号資産を暗号資産販売業者に貸し出す指示を行う(暗号資産貸出指示)。すると、暗号資産販売所において、ユーザのアカウントが保有する所定量の暗号資産が、暗号資産販売業者に属する暗号資産運用のための暗号資産ウォレットへ移し替えられる(暗号資産預入)。
【0157】
次いで、暗号資産販売所事業者は、預入された所定量の暗号資産のうち一部を暗号資産取引所で売却する(暗号資産一部売却処理)。暗号資産販売所事業者は、暗号資産の売却代金を暗号資産取引業者から取得すると(暗号資産売却代金取得)、暗号資産の売却代金を先物取引の証拠金として先物取引ブローカーに送金する。そして、暗号資産販売所事業者は、預入された所定量の暗号資産のうち、一部売却後の残りの量と同量の先物売りポジションを建てる指示を先物取引ブローカーに送る(暗号資産先物売りヘッジ指示)。
【0158】
図7左側に、暗号資産の運用開始時における資金移動の具体例を示す。
この例では、暗号資産預入時の交換レートを「1」BTC=「30,000」USD、預入期間を「1ヵ月」、暗号資産預入利率を年率「2」%とする。
【0159】
なお、説明を簡略化するため、暗号資産預入時において、暗号資産先物市場はコンタンゴ状態(限定ではなく例として、先物価格の方が、現物価格(スポット価格)よりも価格が高い状態)であるとする。また、暗号資産販売所における交換レートと、暗号資産取引所における交換レートとが等しいこととする。
【0160】
なお、先物取引においては、一般的に満期日が近づくにつれて現物価格と先物価格の価格差は収斂する。この例では、簡略化のため、暗号資産預入時に建てた先物ポジションは、暗号資産返還時に満期日を迎え、その先物価格が現物価格と等しくなると仮定する。また、各種取引で生ずる手数料を「0」とする。
【0161】
まず、端末のユーザは、預入期間と暗号資産預入利率との預入条件に同意し、ユーザが保有する「15」BTC(「450,000」USDに相当)のビットコインを暗号資産販売業者に貸し出す。すなわち、この例では、ドル換算預入額は「450,000」USDとなる。
【0162】
暗号資産販売業者は、預入された「15」BTCのうち、限定ではなく例として、その一部である「5」BTCを暗号資産取引所において売却し、「5」BTC×「30,000」USD/BTC=「150,000」USDを取得する。ここで、預入された暗号資産のうち、売却する割合を「ドル変換率」と呼称する。ドル変換率は、先物取引ブローカーが提示する必要証拠金に基づいて決定される値であり、この例では、ドル変換率は「1/3」である。なお、ドル変換率は、「0」以上「1」以下の任意の値を取る。
【0163】
暗号資産販売業者は、暗号資産取引所において暗号資産を売却することで取得した「150,000」USDをビットコイン先物の証拠金として先物取引ブローカーに送金する。そして、預入された「15」BTCのうち現物として保有する「15-5」=「10」BTCと同量の先物売りポジションを先物取引ブローカーに発注する。暗号資産先物市場はコンタンゴ状態であるため、ビットコイン先物価格はビットコイン現物価格の「30,000」USDよりも高い。例えば、1ヵ月後に満期日を迎えるビットコイン先物価格を「30,100」USDとする。また、「1」BTCの先物取引に必要な証拠金を「10,000」USDとする。
【0164】
暗号資産販売業者は、「10」BTCを「301,000」USDで先物取引ブローカーに売り渡す約定(先物売りポジション)を取得する。この先物売りポジション保持に必要な証拠金は、「10,000×10」=「100,000」USDとなる。暗号資産販売業者は先物取引ブローカーに「150,000」USDをビットコイン先物の証拠金として予め預け入れしているため、このポジションを保持することができる。
【0165】
図7右側に、運用開始時における資金移動後、暗号資産販売所が保有する資産の一覧を示す。
暗号資産販売所において端末のユーザから貸し出しされた「15」BTCのうち、現物として保持しているのは「10」BTCとなる。また、先物売りポジションとして「10」BTCに相当するポジションを保持しているため、現物として保持している「10」BTCは全額売りヘッジされた状態となる。
【0166】
図4に戻り、暗号資産の返還を行う場合、暗号資産販売所事業者は、先物売りポジションを清算(決済)する指示を先物取引ブローカーに送る(暗号資産先物売りヘッジ清算指示)。そして、先物取引ブローカーは、先物売りによって得られた損益と、先物取引の証拠金との合計額(以下、「先物売りヘッジ清算額」と呼称する。)を暗号資産販売所に送金する(先物売りヘッジ清算代金取得)。
【0167】
なお、先物売りポジションの精算において、先物取引ブローカーは、先物売りポジションと、暗号資産販売業者が保有するビットコイン現物とを反対売買するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0168】
次いで、暗号資産販売所事業者は、ドル換算預入額に暗号資産預入利率と預入期間とを適用したドル換算返還額を算出する。そして、暗号資産販売業者は、現物として保有する暗号資産の時価を変動後の交換レートに従って算出し、ドル換算返還額に対する不足分の暗号資産を、先物売りヘッジ清算額を用いて暗号資産取引所を介して買い付ける(暗号資産買付指示)。
【0169】
暗号資産販売所から不足分の暗号資産を取得すると(返還用不足分暗号資産取得)、暗号資産販売業者は、ドル換算返還額に相当する暗号資産をユーザに返還する(暗号資産返還)。そして、暗号資産販売業者は、ユーザに暗号資産を返還したことを報知する(暗号資産返還報知)。
【0170】
図8左側に、暗号資産の交換レートが運用開始時と変動していない場合における、暗号資産の返還時における資金移動の具体例を示す。
ドル換算返還額は、年利2%の利息1ヵ月分「450,000×0.02÷12」=「750」USDを含む「450,000+750」=「450,750」USDとなる。また、この例では、暗号資産返還時の交換レートを「1」BTC=「30,000」USDとする。
【0171】
暗号資産販売業者は、ビットコイン先物価格が「30,100」USDの時点で「10」BTCに相当する先物売りポジションを保持している。そのため、暗号資産の返還時におけるビットコイン先物価格「30,000」USDにおいて先物売りポジションを決済(清算)すると、先物売り損益は「(30,100-30,000)×10」=「1,000」USDに確定する。先物売りポジション保持に必要な証拠金は全て解消されるため、結果として、預入証拠金額は「150,000+1000」=「151,000」USDとなる。暗号資産販売業者は、預入証拠金額「151,000」USDを先物取引ブローカーから引き出し、余剰資金残高に加算する。
【0172】
一方、暗号資産販売業者は、「10」BTCを現物保有している。交換レートは「1」BTC=「30,000」USDであるため、暗号資産販売業者が現物保有している暗号資産は「30,000×10」=「300,000」USD相当である。そのため、暗号資産の返還にあたり、ドル換算返還額「450,750」USDと、保有している暗号資産の時価総額「300,000」USDとの差し引き分である「450,750-300,000」=「150,750」USD相当の暗号資産が不足する。そこで、暗号資産販売業者は、「150,750」USD相当の暗号資産「150,750÷30,000」=「5.025」BTCを、余剰資金残高「151,000」USDのうち「150,750」USDを用いて暗号資産取引所を介して買い付ける。
【0173】
暗号資産取引所において「5.025」BTCを買い付けると、暗号資産販売業者は、保有する「10+5.025」=「15.025」BTCを、ユーザに返還する。
【0174】
図8右側に、返還時における資金移動後、暗号資産販売所が保有する資産の一覧を示す。
暗号資産返還後、先物証拠金から引き上げた余剰資金残高として「151,000-150,750」=「250」USDが残る。この余剰資金残高が暗号資産販売所における運用益となる。
【0175】
図9左側に、暗号資産の交換レートが運用開始から上昇した場合における、暗号資産の返還時における資金移動の具体例を示す。
この例では、暗号資産返還時の交換レートを「1」BTC=「40,000」USDとする。ドル換算返還額は、「450,750」USDである。
【0176】
暗号資産の返還時におけるビットコイン先物価格「40,000」USDにおいて先物売りポジションを決済(清算)すると、先物売り損益は「(30,100-40,000)×10」=「-99,000」USDに確定する。先物売りポジション保持に必要な証拠金は全て解消されるため、結果として、預入証拠金額は「150,000-99,000」=「51,000」USDとなる。暗号資産販売業者は、預入証拠金額「51,000」USDを先物取引ブローカーから引き出し、余剰資金残高に加算する。
【0177】
一方、交換レートは「1」BTC=「40,000」USDであるため、暗号資産販売業者が現物保有している暗号資産は「40,000×10」=「400,000」USD相当である。そのため、暗号資産の返還にあたり、ドル換算返還額「450,750」USDと、保有している暗号資産の時価総額「400,000」USDとの差し引き分である「450,750-400,000」=「50,750」USD相当の暗号資産が不足する。そこで、暗号資産販売業者は、「50,750」USD相当の暗号資産「50,750÷40,000」=「1.26875」BTCを、余剰資金残高「51,000」USDのうち「50,750」USDを用いて暗号資産取引所を介して買い付ける。
【0178】
暗号資産取引所において「1.26875」BTCを買い付けると、暗号資産販売業者は、保有する「10+1.26875」=「11.26875」BTCを、ユーザに返還する。
【0179】
図9右側に、返還時における資金移動後、暗号資産販売所が保有する資産の一覧を示す。
暗号資産返還後、先物証拠金から引き上げた余剰資金残高として「51,000-50,750」=「250」USDが残る。この余剰資金残高が暗号資産販売所における運用益となる。
【0180】
図10左側に、暗号資産の交換レートが運用開始から下落した場合における、暗号資産の返還時における資金移動の具体例を示す。
この例では、暗号資産返還時の交換レートを「1」BTC=「25,000」USDとする。ドル換算返還額は、「450,750」USDである。
【0181】
暗号資産の返還時におけるビットコイン先物価格「25,000」USDにおいて先物売りポジションを決済(清算)すると、先物売り損益は「(30,100-25,000)×10」=「51,000」USDに確定する。先物売りポジション保持に必要な証拠金は全て解消されるため、結果として、預入証拠金額は「150,000+51,000」=「201,000」USDとなる。暗号資産販売業者は、預入証拠金額「201,000」USDを先物取引ブローカーから引き出し、余剰資金残高に加算する。
【0182】
一方、交換レートは「1」BTC=「25,000」USDであるため、暗号資産販売業者が現物保有している暗号資産は「25,000×10」=「250,000」USD相当である。そのため、暗号資産の返還にあたり、ドル換算返還額「450,750」USDと、保有している暗号資産の時価総額「250,000」USDとの差し引き分である「450,750-250,000」=「200,750」USD相当の暗号資産が不足する。そこで、暗号資産販売業者は、「200,750」USD相当の暗号資産「200,750÷25,000」=「8.03」BTCを、余剰資金残高「201,000」USDのうち「200,750」USDを用いて暗号資産取引所を介して買い付ける。
【0183】
暗号資産取引所において「8.03」BTCを買い付けると、暗号資産販売業者は、保有する「10+8.03」=「18.03」BTCを、ユーザに返還する。
【0184】
図10右側に、返還時における資金移動後、暗号資産販売所が保有する資産の一覧を示す。
暗号資産返還後、先物証拠金から引き上げた余剰資金残高として「201,000-200,750」=「250」USDが残る。この余剰資金残高が暗号資産販売所における運用益となる。
【0185】
これらの例で示すように、適切な暗号資産預入利率を提示することで、暗号資産の値動きに関わらず、端末のユーザと暗号資産販売業者とは、安定した運用益を取得することができる。
【0186】
<処理>
図11は、本実施例において各装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
この図では、左側から順に、サーバ10と取引所サーバ40と先物サーバ50とで構成される暗号資産運用システムの制御部が実行する処理、端末20A(ユーザA.Aの端末20)の制御部21が実行する処理の一例を示している。
【0187】
なお、この処理は、本開示の手法を実現するための処理の一例に過ぎず、この処理に限定されるものではない。この処理に別のステップを追加してもよいし、この処理のステップの一部を入れ替えてもよいし、この処理から一部のステップを省略(削除)してもよい。
これは、以下説明する各フローチャート(処理)について同様である。
【0188】
まず、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産の新規預預入受付日(ユーザが暗号資産を貸し出すことを受け付ける日)か否か判定する(S110)。
【0189】
暗号資産の新規預入受付日である場合(S110:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率算出処理を実行する(S120)。
【0190】
図12は、暗号資産預入利率算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【0191】
まず、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、マーケット情報取得処理を実行する(S210)。
【0192】
マーケット情報取得処理において、限定ではなく例として、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産の運用に必要なマーケット情報を要求するマーケット情報要求情報を通信I/F14によって取引所サーバ40と先物サーバ50とに送信する。
マーケット情報には、限定ではなく例として、暗号資産スポット価格(現物価格)、暗号資産先物価格、USD金利、暗号資産先物必要証拠金額、各種取引手数料等を含む。
【0193】
ここで、USD金利とは、第1法定通貨(この例では、米ドル)の先物金利(フォワード・レート)を指す。USD金利は、第1法定通貨金利と言ってもよい。USD金利は、「金利先物価格=1-金利(年率)」で表される金利先物取引(短期金利の先物取引)の金利である。そのため、USD金利は、将来の米ドル価格が上昇すると予測される場合、マイナス方向に増大する。
【0194】
通信I/F44によってサーバ10からマーケット情報要求情報を受信すると、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、限定ではなく例として、暗号資産スポット価格や取引手数料等を含むマーケット情報を通信I/F44によってサーバ10に送信する。
【0195】
通信I/F54によってサーバ10からマーケット情報要求情報を受信すると、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、限定ではなく例として、暗号資産先物価格やUSD金利、暗号資産先物必要証拠金額、取引手数料等を含むマーケット情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。
【0196】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、通信I/F14によって取引所サーバ40と先物サーバ50とからマーケット情報を受信する。
【0197】
なお、マーケット情報取得処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、金融マーケットに関する情報を提供する不図示のマーケット情報サーバからマーケット情報を受信するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0198】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産インプライド金利算出処理を実行する(S220)。ここで、暗号資産インプライド金利とは、暗号資産先物価格と対応する、現時点における将来の暗号資産金利予測値(理論的に算出される値)である。
なお、暗号資産インプライド金利は、暗号資産インプライド・フォワード・レートと言ってもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0199】
暗号資産インプライド金利は、限定ではなく例として、暗号資産先物価格と、暗号資産スポット価格と、USD金利とに基づいて、以下の数式(1)で算出可能である。
【数1】
【0200】
ここで、残存日数とは、暗号資産先物の満期日と、現在の日付の差分となる日数である。また、暗号資産インプライド金利は金利先物取引における金利と対応する理論的な金利である。そのため、暗号資産インプライド金利が上昇すると将来の暗号資産先物価格は下落し、暗号資産インプライド金利が下降すると将来の暗号資産先物価格は上昇する。暗号資産先物市場がコンタンゴ状態である場合、暗号資産インプライド金利はマイナス値を取る。
【0201】
暗号資産インプライド金利が算出されると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、ドル変換率設定処理を実行する(S230)。
ドル変換率設定処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、マーケット情報に含まれる暗号資産スポット価格と、単位(1ロット)あたりの先物取引の必要証拠金額に基づいて、ドル変換率を設定する。
【0202】
より具体的には、限定ではなく例として、「X」BTC(「X」は任意の自然数)の暗号資産が運用に預入されると仮定する場合、「X-ドル変換率×X」BTCの先物取引必要証拠金に対して許容量を満たす(限定ではなく例として、レバレッジ2倍以下とする)金額を「ドル変換率×X」BTCの暗号資産売却時に取得できるように、ドル変換率を設定する。
【0203】
ドル変換率が設定されると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、期待収益率算出処理を実行する(S240)。ここで、期待収益率とは、ユーザに対して暗号資産預入利率を提示後、ユーザからの暗号資産預入が完了するまでの間に相場変動が発生しないと仮定した、理論上の運用収益率である。
【0204】
期待収益率は、限定ではなく例として、USD金利と、暗号資産インプライド金利と、ドル変換率とに基づいて、以下の数式(2)で算出可能である。
【数2】
【0205】
ここで、預入残高は、限定ではなく例として、ユーザから預入される見込みの暗号資産について、預入される時点における変換レートに基づいて算出された第1法定通貨換算(この例では、USD換算)での預入金額(預入見込金額)である。
【0206】
期待収益率が算出されると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、リスク控除後期待収益率算出処理を実行する(S250)。ここで、リスク控除後期待収益率とは、ユーザに対して暗号資産預入利率を提示後、ユーザからの暗号資産預入が完了するまでの間に暗号資産インプライド金利が大きく変動し、実運用収益がマイナスとなることを防止するために導入する、市場の変動を加味した運用収益率である。
【0207】
リスク控除後期待収益率を算出するために、USD金利と暗号資産インプライド金利との過去の変動率に基づいて算出されるテクニカル指標であるヒストリカルボラティリティ(HV)を導入する。HVは、限定ではなく例として、USD金利と暗号資産インプライド金利との金利差が正規分布で変動すると仮定し、過去の市場変動に基づいて算出される変動率である。USD金利と暗号資産インプライド金利との金利差における過去の変動率が小さければHVは小さくなり、過去の変動率が大きいほどHVも大きくなる。HVは、歴史的変動率と言ってもよい。
【0208】
リスク控除後期待収益率は、限定ではなく例として、USD金利と、暗号資産インプライド金利と、HVと、ドル変換率とに基づいて、以下の数式(3)で算出可能である。
【数3】
【0209】
ここで、調整係数は、ユーザに暗号資産預入利率を提示してから暗号資産の預入を行うまでの期間や、運用のリスク許容度等に応じて調整されるパラメータである。
【0210】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、運用中の各種取引コストを算出する取引コスト率算出処理を実行する(S260)。取引コスト率は、限定ではなく例として、以下の数式(4)・数式(5)で算出可能な各取引コスト率の合計値となる。
【0211】
【0212】
ここで、単位暗号資産スポット取引コストとは、限定ではなく例として、暗号資産取引業者が提示する、単位量(限定ではなく例として、「1」BTC)当たりの暗号資産取引(暗号資産の売買)で発生する手数料率である。また、単位暗号資産先物取引コストとは、限定ではなく例として、先物取引ブローカーが提示する、単位量(限定ではなく例として、「1」BTC)当たりの暗号資産先物取引で発生する手数料率である。
【0213】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、対顧客提示預入利率算出処理を実行する(S270)。対顧客提示預入利率とは、ユーザに暗号資産預入利率として提示される利率である。
【0214】
対顧客提示預入利率は、限定ではなく例として、以下の数式で算出可能である。
【0215】
「対顧客提示預入利率」=「リスク控除後期待収益率」-「取引コスト率」-「暗号資産販売業者収益率」
【0216】
ここで、暗号資産販売業者収益率とは、運用を行う暗号資産販売業者が運用で得られる手数料(運用報酬)率である。暗号資産販売業者収益率は、限定ではなく例として、暗号資産販売業者によって任意の割合が設定される。
【0217】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、算出された対顧客提示預入利率を、暗号資産運用管理データ152の暗号資産預入利率に記憶させる。また、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産インプライド金利の算出に用いた暗号資産先物の満期日に基づく返還日を、暗号資産運用管理データ152に記憶させる。
【0218】
なお、暗号資産預入利率算出処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、不図示のマーケット情報サーバによって算出された対顧客提示預入利率を受信し、暗号資産運用管理データ152の暗号資産預入利率に記憶させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0219】
図11に戻り、暗号資産預入利率が算出されると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率を含む暗号資産預入利率情報を通信I/F14によって端末20Aに送信する(S130)。なお、暗号資産預入利率情報に、暗号資産の預入期間や預入時期を含めるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0220】
通信I/F22によってサーバ10から暗号資産預入利率情報を受信する場合(A110:YES)、端末20Aの制御部21は、受信した暗号資産預入利率情報を表示部24に表示させる(A120)。そして、端末20Aの制御部21は、限定ではなく例として、端末20Aの入出力部23に対する入力(ユーザ操作)に基づいて、ユーザが暗号資産販売業者に貸し付ける暗号資産の量である暗号資産預入量を含む暗号資産預入依頼情報を、通信I/F22によってサーバ10に送信する(A130)。
【0221】
サーバ10から暗号資産預入利率情報を受信しない場合(A110:NO)、端末20Aの制御部21は、A120とA130とのステップをスキップする。
【0222】
通信I/F14によって端末20Aから暗号資産預入依頼情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規暗号資産預入処理を実行する(S140)。
【0223】
図13は、新規暗号資産預入処理の手順例を示すフローチャートである。
【0224】
まず、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、マーケット情報取得処理を実行する(S310)。マーケット情報取得処理は、限定ではなく例として、
図12のS210のステップと同様に実行することができる。
【0225】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規預入暗号資産取得処理を実行する(S320)。
【0226】
新規預入暗号資産取得処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産ブロックチェーンに、暗号資産の貸し出しを行うユーザの暗号資産ウォレットアドレスから暗号資産販売所が保有する暗号資産運用のための暗号資産ウォレットアドレスへユーザが指定する所定量の暗号資産の預入(送金)を行うトランザクションを発行する。
発行されたトランザクションを含むブロックが暗号資産ブロックチェーンに取り込まれる(トランザクションが承認される)と、暗号資産販売所では、暗号資産ブロックチェーンの新規ブロックを読み取り、新規ブロックに含まれるトランザクションを取得する。
【0227】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産の預入を行ったユーザの暗号資産アプリケーションIDと、預入された暗号資産の預入時点における交換レートに基づいて算出されるドル換算預入額とを関連付けて、暗号資産運用管理データ152の預入暗号資産管理データに記憶させる。
【0228】
なお、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産の預入を行ったユーザの暗号資産アプリケーションIDに代えて、暗号資産の預入を行ったユーザの暗号資産ウォレットアドレスを預入暗号資産管理データに記憶させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0229】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、取得したマーケット情報に基づいて、暗号資産先物市場がコンタンゴ状態であるか否かを判定する(S330)。
【0230】
コンタンゴ状態である場合(S330:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規暗号資産預入処理日が先物取引ブローカーの仲介する先物取引所の営業日であるか否かを判定する(S340)。
【0231】
先物取引所の営業日である場合(S340:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規預入暗号資産一部売却処理を実行する(S350)。
【0232】
新規預入暗号資産一部売却処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、預入された暗号資産残高(預入現物残高)にドル変換率を乗算した量を売り取引するための暗号資産売却取引情報を通信I/F14によって取引所サーバ40に送信する。そして、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、受信した暗号資産売却取引情報に基づいて暗号資産を取引し、売却代金を暗号資産販売所の口座に送金する。
売却代金を受け取ると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、売却代金を暗号資産運用管理データ152の余剰資金残高に加算する。また、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、預入現物残高を売却分差し引く。
【0233】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物証拠金補充処理を実行する(S360)。
【0234】
先物証拠金補充処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、S350のステップで取得した暗号資産売却代金を先物サーバ50に送金し、余剰資金残高を暗号資産売却代金分差し引く。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、送金された金額を預入証拠金として受け付けると、預入証拠金額を含む先物証拠金入金情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。通信I/F14によって先物サーバ50から先物証拠金入金情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、受信した先物証拠金入金情報に基づいて、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを更新する。
【0235】
その後、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規先物売りヘッジ取引処理を実行する(S370)。
【0236】
新規先物売りヘッジ取引処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産運用管理データ152の預入現物残高と同量の暗号資産を先物売りするための先物取引発注情報を通信I/F14によって先物サーバ50に送信する。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、受信した先物取引発注情報に基づいて、先物取引を約定し、約定した先物ポジションを含む先物取引情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。通信I/F14によって先物サーバ50から先物取引情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、受信した先物取引情報に基づいて、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを更新する。
【0237】
コンタンゴ状態でない場合(S330:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規預入暗号資産全量売却処理を実行する(S380)。
【0238】
新規預入暗号資産全量売却処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、預入された暗号資産残高全量を売り取引するための暗号資産売却取引情報を通信I/F14によって取引所サーバ40に送信する。そして、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、受信した暗号資産売却取引情報に基づいて暗号資産を取引し、売却代金を暗号資産販売所の口座に送金する。
売却代金を受け取ると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、売却代金を暗号資産運用管理データ152の余剰資金残高に加算する。また、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、預入現物残高を売却分差し引く。
【0239】
先物取引所の営業日でない場合(S340:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、新規預入暗号資産全量売却処理を実行する(S380)。
【0240】
図11に戻り、暗号資産の新規預入受付日でない場合(S110:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S120~S140のステップをスキップする。
【0241】
なお、暗号資産預入利率算出処理と、新規暗号資産預入処理とは、同日に実行することに限定されない。限定ではなく例として、暗号資産預入利率算出処理を、新規暗号資産預入処理の、限定ではなく例として、前日や2日前に実行するようにしてもよい。この場合、暗号資産預入利率情報送信から新規暗号資産預入処理までのタイムラグが増大するため、リスク控除後期待収益率算出処理におけるHVの影響がより顕著となる。
【0242】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産のユーザへの返還日であるか否か判定する(S150)。
【0243】
暗号資産の返還日である場合(S150:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産返還処理を実行する(S160)。
【0244】
図14は、暗号資産返還処理の手順例を示すフローチャートである。
【0245】
まず、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、マーケット情報取得処理を実行する(S410)。マーケット情報取得処理は、限定ではなく例として、
図12のS210のステップと同様に実行することができる。
【0246】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物ポジション清算処理を実行する(S420)。
【0247】
先物ポジション清算処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データに記憶された先物ポジションを決済するための先物取引決済情報を通信I/F14によって先物サーバ50に送信する。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、受信した先物取引決済情報に基づいて、先物取引のポジションを決済する。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、決済された先物ポジションと、決済後の預入証拠金額とを含む先物取引結果情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。通信I/F14によって先物サーバ50から先物取引結果情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、受信した先物取引結果情報に基づいて、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを更新する。
その後、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物ポジション決済後の預入証拠金額を先物サーバ50から引き出し、余剰資金残高に加算する。
【0248】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、返還用暗号資産買付処理を実行する(S430)。
【0249】
返還用暗号資産買付処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、ドル換算返還額と、預入現物残高と、暗号資産返還時における暗号資産スポット取引価格(交換レート)とに基づいて、ユーザに返還する暗号資産の量(以下、「暗号資産返還残高」と呼称する。)を算出する。
【0250】
暗号資産返還残高は、限定ではなく例として、以下の式で算出される。
「暗号資産返還残高」=「返還時現物残高」+「利息分現物残高」
ただし、返還時現物残高は、暗号資産返還時における交換レートで算出されるドル換算預入額相当の暗号資産の量である。また、利息分現物残高は、暗号資産返還時における交換レートで算出される、「ドル換算返還額-ドル換算預入額」で求められるドル換算利息額相当の暗号資産の量である。
【0251】
すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産返還残高と預入現物残高との差額である不足分暗号資産を買い取引するための暗号資産購入取引情報を通信I/F14によって取引所サーバ40に送信する。すると、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、受信した暗号資産購入取引情報に基づいて暗号資産を取引し、購入代金を暗号資産販売所の口座(余剰資金残高)から引き落とす。そして、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、取引された暗号資産を暗号資産販売所が保有する暗号資産運用のための暗号資産ウォレットアドレスへ送金するためのトランザクションを発行する。
発行されたトランザクションを含むブロックが暗号資産ブロックチェーンに取り込まれる(トランザクションが承認される)と、暗号資産販売所では、暗号資産ブロックチェーンの新規ブロックを読み取り、新規ブロックに含まれるトランザクションを取得する。
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産運用管理データ152の預入現物残高と、余剰資金残高とを更新する。
【0252】
その後、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、利息付預入暗号資産返還処理を実行する(S440)。
【0253】
利息付預入暗号資産返還処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産ブロックチェーンに、暗号資産販売所が保有する暗号資産運用のための暗号資産ウォレットアドレスから暗号資産を預入したユーザの暗号資産ウォレットアドレスへ暗号資産返還残高分の暗号資産の送金(返還)を行うトランザクションを発行する。
【0254】
図11に戻り、暗号資産返還処理を実行すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、ユーザの暗号資産ウォレットアドレスへ暗号資産を返還したことを示す暗号資産返還情報を通信I/F14によって端末20Aに送信する(S170)。
なお、暗号資産返還情報に、暗号資産返還残高や、ドル換算返還額、交換レート等を含めるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0255】
暗号資産の返還日でない場合(S150:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S160~S170のステップをスキップする。
【0256】
通信I/F22によってサーバ10から暗号資産返還情報を受信する場合(A140:YES)、端末20Aの制御部21は、受信した暗号資産返還情報を表示部24に表示させる(A150)。
【0257】
サーバ10から暗号資産返還情報を受信しない場合(A140:NO)、端末20Aの制御部21は、A150のステップをスキップする。
【0258】
そして、端末20Aの制御部21は、処理を終了させるか否かを判定する(A160)。処理を終了させる条件としては、限定ではなく例として、端末20Aの入出力部23に対する入力(ユーザ操作)に基づいて、暗号資産アプリケーションのアカウント解約が選択される場合等が挙げられる。
【0259】
処理を終了させないことが選択される場合(A160:NO)、端末20Aの制御部21は、A110のステップに処理を戻す。
【0260】
処理を終了させることが選択される場合(A160:YES)、端末20Aの制御部21は、処理を終了させる。
【0261】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、日次運用処理を実行する(S180)。
【0262】
なお、暗号資産の新規預入受付日または返還日、あるいはその両方に該当する場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、日次運用処理をスキップするようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0263】
また、日次運用処理は、日ごとに実行される処理としてもよいし、所定の間隔(限定ではなく例として、6時間ごとや週ごと等)で実行される処理としてもよい。
【0264】
図15は、日次運用処理の手順例を示すフローチャートである。
【0265】
まず、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、マーケット情報取得処理を実行する(S510)。マーケット情報取得処理は、限定ではなく例として、
図12のS210のステップと同様に実行することができる。
【0266】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、取得したマーケット情報に基づいて、暗号資産先物市場がコンタンゴ状態であるか否かを判定する(S520)。
【0267】
コンタンゴ状態である場合(S520:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを参照し、満期日を迎える暗号資産先物ポジションを保持しているか否かを判定する(S530)。
【0268】
なお、本ステップにおいて、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、保持している暗号資産先物ポジションの満期日が所定日以内に近づいているか否かを判定するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0269】
満期日を迎える暗号資産先物ポジションを保持している場合(S530:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物ポジションロールオーバー処理を実行する(S540)。
【0270】
先物ポジションロールオーバー処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、満期日を迎える先物売りポジションを決済し、同量の満期日が遠い先物売りポジションを発注するための先物取引ロールオーバー情報を通信I/F14によって先物サーバ50に送信する。すると、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、受信した先物取引ロールオーバー情報に基づいて、満期日を迎える先物取引のポジションを決済し、新たな先物売りポジションを約定する。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、約定した先物ポジションを含む先物取引結果情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。通信I/F14によって先物サーバ50から先物取引結果情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、受信した先物取引結果情報に基づいて、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを更新する。
【0271】
満期日を迎える暗号資産先物ポジションを保持していない場合(S530:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S540のステップをスキップする。
【0272】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、必要証拠金額に対する評価証拠金額(預入証拠金額と評価損益の合計)の割合(以下、「証拠金維持率」と呼称する。)が第1所定維持率以上か否かを判定する(S550)。第1所定維持率が高いほど、運用リスクは下がるが、運用利回りも下がる。
【0273】
第1所定維持率は、限定ではなく例として、レバレッジが「Y」倍(Yは任意の自然数)以下となる値に設定することができる。なお、レバレッジは、運用益と運用リスクとのバランスを考慮し、「2~3」倍程度に設定されることが望ましい。
【0274】
証拠金維持率が第1所定維持率を下回る場合(S550:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物ポジション一部清算処理を実行する(S560)。
【0275】
先物ポジション一部清算処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、証拠金維持率が第1所定維持率以上となるように、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データに記憶された先物ポジションの一部を決済するための先物取引一部決済情報を通信I/F14によって先物サーバ50に送信する。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、受信した先物取引一部決済情報に基づいて、先物取引のポジションのうち一部を決済する。そして、決済された先物ポジションと、決済後の預入証拠金額とを含む先物取引結果情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。通信I/F14によって先物サーバ50から先物取引結果情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、受信した先物取引結果情報に基づいて、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを更新する。
【0276】
すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産一部売却処理を実行する(S570)。
暗号資産一部売却処理は、現物保有する暗号資産のうち、先物ポジション一部清算処理において売りヘッジから外れた量の暗号資産を売却するための処理である。
【0277】
暗号資産一部売却処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物ポジション一部清算処理において決済された先物ポジションと対応する量(限定ではなく例として、「2」BTCの先物売りポジションが決済された場合、「2」BTC)の暗号資産を売却するための暗号資産一部売却取引情報を通信I/F14によって取引所サーバ40に送信する。そして、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、受信した暗号資産一部売却取引情報に基づいて暗号資産を取引し、売却代金を暗号資産販売所の口座に送金する。
売却代金を受け取ると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、売却代金を暗号資産運用管理データ152の余剰資金残高に加算する。また、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、預入現物残高を売却分だけ差し引く。
【0278】
なお、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産一部売却処理において取得した売却代金を先物証拠金として先物サーバ50に送金するようにしてもよい。この場合、先物ポジション一部清算処理において、暗号資産一部売却処理で取得できる売却代金を加味して、決済する先物ポジションの量を、売却代金を加味しない場合よりも少なく設定するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0279】
証拠金維持率が第1所定維持率以上である場合(S550:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S560とS570とのステップをスキップする。
【0280】
次いで、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、余剰資金残高が所定値(限定ではなく例として、「0」)より大きいか否かを判定する(S580)。
【0281】
余剰資金残高が所定値より大きい場合(S580:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、日次運用処理日が先物取引ブローカーの仲介する先物取引所の営業日であるか否かを判定する(S590)。
【0282】
先物取引所の営業日である場合(S590:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産買付量設定処理を実行する(S600)。
【0283】
暗号資産買付量設定処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、ドル変換率と余剰資金残高と暗号資産スポット価格とに基づいて、余剰資金残高を用いて買い付ける暗号資産の量(以下、「追加運用暗号資産量」と呼称する。)を算出する。
【0284】
追加運用暗号資産量は、限定ではなく例として、以下の式で算出することができる。
「追加運用暗号資産量」=「余剰資金残高」×(1-「ドル変換率」)÷「暗号資産スポット価格」
【0285】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産買付処理を実行する(S610)。
【0286】
暗号資産買付処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、追加運用暗号資産量分の暗号資産を購入するための暗号資産追加購入取引情報を通信I/F14によって取引所サーバ40に送信する。すると、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、受信した暗号資産追加購入取引情報に基づいて暗号資産を取引し、購入代金を暗号資産販売所の口座(余剰資金残高)にから引き落とす。そして、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、購入された暗号資産を暗号資産販売所が保有する暗号資産運用のための暗号資産ウォレットアドレスへ送金するためのトランザクションを発行する。
発行されたトランザクションを含むブロックが暗号資産ブロックチェーンに取り込まれる(トランザクションが承認される)と、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産ブロックチェーンの新規ブロックを読み取り、新規ブロックに含まれるトランザクションを取得する。
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産運用管理データ152の預入現物残高と、余剰資金残高とを更新する。
【0287】
その後、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物証拠金補充処理を実行する(S620)。先物証拠金補充処理は、限定ではなく例として、
図13のS360のステップと同様にして実行することができる。
【0288】
先物証拠金補充処理を実行すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物売りヘッジ取引処理を実行する(S630)。
【0289】
先物売りヘッジ取引処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、追加運用暗号資産量分の暗号資産を先物売りするための先物取引発注情報を通信I/F14によって先物サーバ50に送信する。そして、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、受信した先物取引発注情報に基づいて、先物取引を約定し、約定した先物ポジションを含む先物取引結果情報を通信I/F54によってサーバ10に送信する。通信I/F14によって先物サーバ50から先物取引結果情報を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、受信した先物取引結果情報に基づいて、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データを更新する。
【0290】
先物取引所の営業日ではない場合(S590:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S600~S630のステップをスキップする。
【0291】
余剰資金残高が所定値以下の場合(S580:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S590~S630のステップをスキップする。
【0292】
コンタンゴ状態でない場合(S520:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、先物ポジション清算処理を実行する(S640)。
先物ポジション清算処理は、限定ではなく例として、
図14のS420のステップと同様にして実行することができる。
【0293】
そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、預入暗号資産全量売却処理を実行する(S650)。
預入暗号資産全量売却処理は、限定ではなく例として、
図13のS380のステップと同様にして実行することができる。
【0294】
すなわち、暗号資産先物市場がコンタンゴ状態ではない(バックワーデーションである)場合には、暗号資産販売所は、預入された暗号資産を全量、余剰資金残高として現金化(第1法定通貨に変換)して保有する。
【0295】
図11に戻り、日次運用処理を受信すると、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、処理を終了させるか否かを判定する(S190)。処理を終了させる条件としては、限定ではなく例として、サーバ10の入出力部12に対する入力(ユーザ操作)に基づいて、暗号資産アプリケーションにおける暗号資産貸出サービス停止が選択される場合等が挙げられる。
【0296】
処理を終了させないことが選択される場合(S190:NO)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、S110のステップに処理を戻す。
【0297】
処理を終了させることが選択される場合(S190:YES)、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、処理を終了させる。
【0298】
<表示画面>
以下では、限定ではなく例として、端末20が、縦長のディスプレイの表示部24を備えるスマートフォンである場合を例示する。
【0299】
スマートフォンには、限定ではなく例として、入力部として機能するタッチパネルが、そのディスプレイと対向して配置され、これによってタッチスクリーンが構成される。アイコン、ボタン、アイテムまたは入力領域などの要素がディスプレイに表示された場合において、タッチパネルの一部の領域であって、その要素が表示された領域と対向する領域がユーザによって操作された場合、その要素と関連付けられたプログラムまたはそのプログラムのサブルーチンが実行される。
【0300】
以下では、ユーザによる操作を、限定ではなく例として、タップ(タップ操作)として説明する。
タップ(タップ操作)とは、限定ではなく例として、ユーザが、タッチパネルが一体的に構成された表示部24(タッチスクリーン)を指やペン先などで軽く叩くように触れる動作、触れてから離す動作である。
【0301】
なお、以下説明する表示画面の遷移は、本開示の手法を実現するための表示画面の遷移の一例に過ぎない。以下に例示する表示画面の遷移について、一部の表示画面の表示を省略してもよいし、別の表示画面を追加してもよい。
【0302】
図16~
図17は、本実施例において端末20の表示部24に表示される画面の遷移の一例を示す画面図である。
図16左側は、限定ではなく例として、ユーザA.Aの端末20Aの表示部24に表示される暗号資産アプリケーションのホーム画面である。
【0303】
画面最上部には、暗号資産アプリケーションの名称として「暗号資産 App」の文字が表示されている。その下には、暗号資産アプリケーションにおける現在の画面(ページ)のタイトルを示す領域(以下、「タイトル表示領域」と称する。)が設けられている。この例では、ホーム画面であることを示す「ホーム」の文字がタイトル表示領域内に表示されている。
【0304】
タイトル表示領域の下には、暗号資産アプリケーションにおいてユーザA.Aが管理(保有)する暗号資産に関する時価総額である資産総額表示領域TAR1が表示されている。また、資産総額表示領域の下には、暗号資産販売所において売買可能な暗号資産と、交換レートとを表示するための暗号資産価格確認領域PCR1が表示されている。
【0305】
この例では、ユーザA.Aは暗号資産としてビットコイン「15」BTCを保有しているとする。限定ではなく例として、暗号資産価格確認領域PCR1では、ビットコインの交換レート(ビットコイン価格)が「30,000」USD/BTCであり、前日比で交換レートが「+3.24%」と上昇したことが表示されている。また、暗号資産価格確認領域PCR1の下部には、「2020/12/1」から「2021/1/1」までのビットコインの値動きが右肩上がりのグラフで表示されている。
また、資産総額表示領域TAR1には、ユーザA.Aが「450,000」USD相当の暗号資産を保有していることが表示されている。
【0306】
暗号資産価格確認領域PCR1の下には、暗号資産サービスを提供する暗号資産販売事業者からのお知らせ表示領域NT1が表示されている。お知らせ表示領域NT1では、暗号資産販売所がユーザからの暗号資産の貸出を受け付けていることを表すメッセージが表示されている。
【0307】
画面最下部には、暗号資産アプリケーションのアプリケーションメニュー選択領域が表示されている。アプリケーションメニュー選択領域には、限定ではなく例として、ホーム画面に遷移するための「ホーム」の文字で示されるホームボタンと、暗号資産ウォレットに対する入出金を実行するための「ウォレット」の文字で示されるウォレット操作ボタンと、暗号資産の貸出を行うための「貸出」の文字で示される暗号資産貸出ボタンと、アカウント登録情報の確認・変更を行うための「アカウント」の文字で示されるアカウント編集ボタンとが横に並んで表示されている。
【0308】
限定ではなく例として、ユーザによって暗号資産貸出ボタンがタップされると、限定ではなく例として、
図16中央の画面に表示が遷移する。この画面では、暗号資産貸出画面であることを示す「暗号資産貸出」の文字がタイトル表示領域内に表示されている。
【0309】
タイトル表示領域の下には、暗号資産を貸し出す場合の利率や貸出期間を表示するための貸出条件確認表示領域ICR1が表示されている。
貸出条件確認表示領域ICR1には、ビットコインの貸出について、利率が年率「2.0」%であり、貸出期間が「1ヵ月」であることが表示されている。
【0310】
貸出条件確認表示領域ICR1の下には、暗号資産を貸し出す場合、貸し出しを行う数量を指定するための貸出数量指定領域ADR1が表示されている。
貸出数量指定領域ADR1には、ユーザによって指定された貸出数量が「15」BTCであり、現在の換算レートで「450,000」USDに相当することが表示されている。また、その下には、ユーザが保有する暗号資産の量が「15」BTCであることが表示されている。すなわち、ユーザが保有する暗号資産の量が貸出数量の最大値となる。
【0311】
なお、貸出数量指定領域ADR1において、ユーザ操作に基づいて、USD換算額が入力されることで、貸し出す暗号資産の量を指定されるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0312】
限定ではなく例として、貸出数量指定領域ADR1の下に表示されている「申請」の文字で示される暗号資産貸出申請ボタンBT1がユーザによってタップされると、限定ではなく例として、
図16右側の画面に表示が遷移する。
【0313】
この画面では、タイトル表示領域の下には、貸出数量指定領域ADR1で指定された数量の暗号資産の貸し出しを申請したことを示すメッセージが表示されている。その下には、貸し出しを行った「450,000」USD相当の「15」BTCに対して年率「2.0」%で利息が付与され、「450,750」USD相当のビットコインで返還予定日「2021/2/1」に返還されることが表示されている。ただし、返還時の交換レートが不明なため、返還されるビットコインの量は「?」BTCと表示されている。
【0314】
なお、ドル換算返還額「450,750」USDの代わりに、返還予定日に付与される第1法定通貨換算での利息額であるドル換算利息額「750」USDを表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。また、ドル換算返還額と、ドル換算預入額と、ドル換算利息額とを併記して表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0315】
また、暗号資産の貸し出しを実行する前に、最終確認として
図16右側の画面を表示させ、
図16右側において不図示の暗号資産貸出申請ボタンがタップされると、暗号資産の貸し出しが実行されるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0316】
図17左側は、暗号資産の返還日である「2021/2/1」におけるホーム画面の一例である。
この画面では、暗号資産価格確認領域PCR2では、ビットコインの交換レート(ビットコイン価格)が「25,000」USD/BTCであり、前日比で交換レートが「-6.33%」と下落したことが表示されている。また、暗号資産価格確認領域PCR2の下部には、「2021/1/1」から「2021/2/1」までのビットコインの値動きが山なりのグラフで表示されている。
また、資産総額表示領域TAR2には、ユーザA.Aが「450,750」USD相当の暗号資産を保有していることが表示されている。
【0317】
暗号資産価格確認領域PCR2の下には、暗号資産サービスを提供する暗号資産販売事業者からのお知らせ表示領域NT2が表示されている。お知らせ表示領域NT2では、ユーザが暗号資産販売所に貸し出しを行った暗号資産が変換されたことを表すメッセージが表示されている。
【0318】
限定ではなく例として、ユーザによってお知らせ表示領域NT2がタップされると、限定ではなく例として、
図17右側の暗号資産貸出画面に表示が遷移する。
【0319】
この画面では、タイトル表示領域の下には、貸し出しを行った暗号資産がユーザに返還されたことを示すメッセージが表示されている。その下には、貸し出しを行った「450,000」USD相当の「15」BTCに対して年率「2.0」%で利息が付与され、「450,750」USD相当の「18.03」BTCで返還日「2021/2/1」に返還されたことが表示されている。
【0320】
なお、ドル換算返還額「450,750」USDの代わりに、返還日に付与される第1法定通貨換算での利息額であるドル換算利息額「750」USDを表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。また、ドル換算返還額と、ドル換算預入額と、ドル換算利息額とを併記して表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0321】
また、暗号資産返還残高「18.03」BTCの代わりに、返還時現物残高「18」BTCと利息分現物残高「0.03」BTCとに分けて表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。暗号資産返還残高と、返還時現物残高と利息分現物残高とを併記して表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0322】
<第1実施例の効果>
本実施例は、サーバ10(限定ではなく、端末のユーザが所有する暗号資産に関する情報を取得するシステムの一例)により実行されるプログラムであって、暗号資産預入利率算出処理(限定ではなく、暗号資産の貸出に関する利率を算出する制御の一例)を実行することと、暗号資産預入利率情報の送信(限定ではなく、利率に関する情報を端末に表示させるための制御の一例)を実行することと、新規預入暗号資産一部売却処理(限定ではなく、ユーザにより貸出が許可された暗号資産の資産額である預入現物残高(限定ではなく、第1資産額の一例)の一部を売却する制御の一例)と、先物証拠金補充処理(限定ではなく、先物取引に関する証拠金を補充する制御の一例)とを実行することと、新規先物売りヘッジ取引処理(限定ではなく、暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御の一例)を実行することと、先物ポジション清算処理(限定ではなく、権利を行使する制御の一例)を実行することと、返還用暗号資産買付処理(限定ではなく、証拠金と権利を行使することにより得られた金額との合計金額の少なくとも一部を使用して暗号資産を購入する制御の一例)を実行することと、利息付預入暗号資産返還処理(限定ではなく、預入現物残高(限定ではなく、第1資産額の一例)に基づく元本金額に相当する暗号資産の資産額である返還時現物残高(限定ではなく、第2資産額の一例)と、利率に相当する暗号資産の資産額である利息分現物残高(限定ではなく、第3資産額の一例)との合計である暗号資産返還残高(限定ではなく、合計資産額の一例)をユーザに関連付ける制御の一例)を実行することとを含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、ユーザの端末に暗号資産預入利率を表示させ、ユーザが暗号資産の貸出に同意した場合には、元本金額に相当する返還時現物残高と、利率に相当する利息分現物残高との合計である暗号資産返還残高をユーザに返還することにより、ユーザに対して暗号資産の貸出に対する安心感を与えた上で、利益を提供することができる。
【0323】
また、本実施例は、暗号資産預入利率情報(限定ではなく、利率に関する情報の一例)は、ドル換算利息額(限定ではなく、第3資産額に関する情報の一例)を含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、暗号資産返還時の暗号資産のスポット価格が確定していない暗号資産の貸出の段階で、ユーザに対して、提供することができる利益に相当する金額を予め通知することができる。
【0324】
また、本実施例は、暗号資産預入利率情報(限定ではなく、利率に関する情報の一例)は、ドル換算返還額(限定ではなく、合計資産額に関する情報の一例)を含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、暗号資産返還時の暗号資産のスポット価格が確定していない暗号資産の貸出の段階で、ユーザに対して、返還することができる暗号資産に相当する金額を予め通知することができる。
【0325】
また、本実施例は、暗号資産預入利率(限定ではなく、利率の一例)は、暗号資産インプライド金利(限定ではなく、暗号資産のインプライド金利の一例)に基づいて算出されるプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、暗号資産の先物価格とスポット価格との関係に基づく暗号資産インプライド金利を利率の計算に用いることにより、ユーザに提示するのに適切な利率を取得することができる。
【0326】
また、本実施例は、新規先物売りヘッジ取引処理(限定ではなく、権利を購入する制御の一例)は、暗号資産のコンタンゴ状態(限定ではなく、スポット価格(限定ではなく、現物価格の一例)よりも、暗号資産の先物価格が高いことの一例)に基づく、先物ポジション(限定ではなく、暗号資産の先物の売却に関する権利の一例)を購入する制御であり、先物ポジション清算処理または先物ポジションロールオーバー処理(限定ではなく、権利を行使する制御の一例)は、満期日(限定ではなく、暗号資産の先物の期日の一例)までに実行されるプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、コンタンゴ状態であることに基づいて暗号資産の先物売りポジションを購入しておくことで、先物売りポジション購入時点における先物売りポジションの購入価格である第1価格とスポット価格との差よりも、満期日における第1価格とスポット価格との差が小さいという傾向を利用して利益を得ることが可能となる。
【0327】
また、本実施例は、暗号資産預入利率情報(限定ではなく、利率に関する情報の一例)は、返還日(限定ではなく、期日に関する情報の一例)を含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、ユーザに対して、提示した利率が適用されるための時間的条件を予め通知することができる。
【0328】
また、本実施例は、先物ポジション一部清算処理と暗号資産一部売却処理(限定ではなく、証拠金を補充する制御の一例)とは、コンタンゴ状態である場合(限定ではなく、暗号資産の現物価格よりも、暗号資産の先物価格が高い場合の一例)に、預入現物残高(限定ではなく、第1資産額の一例)の一部を売却して証拠金を補充する制御であるプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、ユーザから預入された暗号資産の一部を売却して証拠金を補充し、その証拠金に基づいて先物売りポジションを購入し、コンタンゴ状態を利用して利益を得ることが可能となる。
【0329】
また、本実施例は、バックワーデーション状態である場合(限定ではなく、暗号資産の現物価格よりも、暗号資産の先物価格が高くない場合の一例)には、新規預入暗号資産全量売却処理(限定ではなく、預入現物残高(限定ではなく、第1資産額の一例)の全部を売却して、余剰資金残高(限定ではなく、暗号資産の購入に使用できる資金の一例)とする制御の一例)を実行することを含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、ユーザから預入された暗号資産の現物が先物と比較して高い状態にある場合には、ユーザから預入された暗号資産を全量売却して余剰資金残高としておくことで、その後の暗号資産の購入余力や、先物売りポジションの購入余力を確保できる。
【0330】
また、本実施例は、コンタンゴ状態となった場合(限定ではなく、暗号資産の現物価格よりも、暗号資産の先物価格が高くなった場合の一例)に、暗号資産買付処理(限定ではなく、資金の一部を使用して暗号資産を購入する制御の一例)と、先物売りヘッジ取引処理(限定ではなく、資金の一部を使用して暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御の一例)を実行することを含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、非コンタンゴ状態からコンタンゴ状態になった場合には、余剰資金残高を利用して暗号資産を購入し、余剰資金残高を利用して先物売りポジションを購入することで、状況の変化に対応して利益を得ることが可能となる。
【0331】
また、本実施例は、先物ポジション(限定ではなく、権利の一例)は第1所定維持率(限定ではなく、所定倍数のレバレッジの一例)に基づくプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、証拠金を利用してレバレッジの倍数に基づく利益を得ることが可能となる。
【0332】
また、本実施例は、証拠金維持率が第1所定維持率を下回る場合(限定ではなく、証拠金が基準値より低下した場合の一例)に、暗号資産一部売却処理(限定ではなく、暗号資産の一部を売却して証拠金を補充する制御の一例)を実行することを含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、確保している暗号資産を売却することにより証拠金を補充して、先物売りポジションを維持することができる。
【0333】
<第1変形例(1)>
第1実施例では、第1法定通貨として米ドル(USD)を例示したが、これに限定されない。限定ではなく例として、第1法定通貨として日本円(JPY)やユーロ(EUR)を用いるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0334】
この場合、取引所サーバ40の暗号資産取引処理部411は、限定ではなく例として、暗号資産取引において第1法定通貨建てでの暗号資産購入・売却に関する仲介処理を実行する。
また、この場合、先物サーバ50の先物取引受注処理部511は、限定ではなく例として、先物取引における証拠金として第1法定通貨を受け付け、第1法定通貨建てでの暗号資産先物取引に関する受注・決済処理を実行する。
【0335】
<第1変形例(2)>
第1実施例では、暗号資産としてビットコイン(BTC)を例示したが、これに限定されない。限定ではなく例として、暗号資産として、イーサリアム(登録商標)(ETH)やリンク(登録商標)(LK)を用いるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0336】
なお、リスク控除後期待収益率を適切に算出するためには、妥当なHVを得られることが必要となる。そのため、ユーザから貸し出しを受け付ける暗号資産としては、その暗号資産における第1法定通貨建てでの先物取引が既にある程度の期間にわたり行われている暗号資産であることが望ましい。
【0337】
<第1変形例(3)>
第1実施例では、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率算出処理を実行すると、新規暗号資産預入処理を実行することとしたが、これに限定されない。限定ではなく例として、算出された暗号資産預入利率が所定値(限定ではなく例として、年率「0.1」%)を下回る場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率情報の送信と、新規暗号資産預入処理とを実行しないようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0338】
算出された暗号資産預入利率が所定値を下回る場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率情報に代えて、暗号資産預入を受け付けない旨の暗号資産預入拒否情報を端末20Aに送信するようにしてもよい。そして、端末20Aの制御部21は、受信した預入拒否情報を表示部24に表示させるようにしてもよい。
【0339】
なお、暗号資産の交換レートが所定期間内に所定割合以上変動した場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率算出処理を実行し、端末20に暗号資産預入利率情報を送信することで、端末20のユーザに暗号資産の貸し出しを促すようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0340】
また、第1法定通貨換算での暗号資産の価値が所定期間内に増加していない場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産預入利率算出処理を実行し、端末20に暗号資産預入利率情報を送信することで、端末20のユーザに暗号資産の貸し出しを促すようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0341】
<第1変形例(4)>
第1実施例では、日次運用処理において、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、証拠金維持率が第1所定維持率以上である場合(
図15のS550:YES)、余剰資金があるか否かを判定していたが(
図15のS580)、これに限定されない。限定ではなく例として、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、証拠金維持率が第1所定維持率以上である場合(
図15のS550:YES)、証拠金維持率が第1所定維持率より大きい第2所定維持率以上であるか否かを判定するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0342】
証拠金維持率が第2所定維持率以上である場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、先物サーバ50に預入を行った預入証拠金額のうち、証拠金維持率が第1所定維持率以上であることを満たす任意の金額を預入証拠金から引き出し、余剰資金残高に加算する。
図15のS580は、YESに分岐する。
【0343】
なお、第2所定維持率は、限定ではなく例として、レバレッジが「Z」倍(Zは「Z<Y」となる任意の自然数)以下となる値に設定することができる。これにより、レバレッジが低下し過ぎる場合、預入証拠金額を減額し、その額を追加の暗号資産現物保有とヘッジとに回すことができる。そのため、運用効率を向上させることができる。
【0344】
本変形例は、証拠金維持率が第2所定維持率以上である場合(限定ではなく、証拠金が基準値より低下していない場合の一例)に、預入証拠金から引き出し、余剰資金残高に加算する制御(限定ではなく、証拠金の一部を、暗号資産の購入に使用できる資金にする制御の一例)と、暗号資産買付処理(限定ではなく、資金の一部を使用して暗号資産を購入する制御の一例)と、先物売りヘッジ取引処理(限定ではなく、資金の一部を使用して暗号資産の先物の売却に関する権利を購入する制御の一例)とを実行することを含むプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、証拠金維持率が第2所定維持率以上である場合には、証拠金を利用して暗号資産を購入し、証拠金を利用して先物売りポジションを購入することで、状況の変化に対応して利益を得ることが可能となる。
【0345】
<第1変形例(5)>
第1実施例では、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産の返還日である場合、利息付預入暗号資産返還処理を実行することとしたが、これに限定されない。限定ではなく例として、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産の返還日までに、端末20Aから暗号資産の返還を求める暗号資産返還要求情報を受信する場合、利息付預入暗号資産返還処理を実行するようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0346】
端末20Aの制御部21は、限定ではなく例として、暗号資産預入依頼情報を送信すると(
図11のA130)、暗号資産返還日において暗号資産の返還(返却)を受けるか、そのまま貸し出しを続けて継続運用するかの選択用表示を表示部24に表示させる。限定ではなく例として、端末20Aの入出力部23に対する入力(ユーザ操作)に基づいて、暗号資産の返還を受けることが選択される場合、端末20Aの制御部21は、暗号資産返還要求情報を通信I/F22によってサーバ10に送信する。
【0347】
暗号資産の返還日までに暗号資産返還要求情報を受信しない場合、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、限定ではなく例として、暗号資産返還処理において、利息付預入暗号資産返還処理を実行しない。サーバ10の暗号資産管理処理部111は、再度暗号資産預入利率算出処理を実行し、継続運用する場合の暗号資産預入利率を算出する。そして、サーバ10の暗号資産管理処理部111は、暗号資産返還残高分の暗号資産を新規預入暗号資産として、再度新規暗号資産預入処理を実行する。
【0348】
これにより、ユーザが暗号資産の返還を求めるまで、継続的に運用を行うことができる。
【0349】
<第1変形例(6)>
第1実施例では、端末20Aの暗号資産アプリケーション処理部211は、暗号資産預入利率情報受信すると暗号資産預入利率情報を表示部24に表示させることとしたが、これに限定されない。限定ではなく例として、端末20Aの暗号資産アプリケーション処理部211は、限定ではなく例として、端末20Aの入出力部23に対する入力(ユーザ操作)に基づいて、暗号資産の売却が指示される場合、暗号資産預入利率情報、あるいは、暗号資産預入利率情報の表示を促す表示を表示部24に表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0350】
図18に、本変形例における表示画面の一例を示す。
図18左側は、限定ではなく例として、ユーザA.Aの端末20Aの表示部24に表示される暗号資産アプリケーションのホーム画面である。
【0351】
限定ではなく例として、暗号資産価格確認領域PCR2がユーザによってタップされると、限定ではなく例として、
図18中央の画面に表示が遷移する。この画面では、暗号資産売買画面であることを示す「暗号資産売買」の文字がタイトル表示領域内に表示されている。
【0352】
タイトル表示領域の下には、売買を行う暗号資産であるビットコインの交換レートと、ユーザの保有量とが表示されている。また、暗号資産売買画面の下部には、ビットコインの購入を行う画面に遷移する「購入」の文字で示される暗号資産購入ボタンBT2と、ビットコインの売却を行う画面に遷移する「売却」の文字で示される暗号資産売却ボタンBT3とが表示されている。
【0353】
限定ではなく例として、暗号資産売却ボタンBT3がユーザによってタップされると、限定ではなく例として、
図18右側の画面に表示が遷移する。
【0354】
この画面では、
図18中央の画面中央に、ユーザに売却を希望する暗号資産の貸し出しを促すための暗号資産貸出提案表示領域LPR1がポップアップ表示されている。
【0355】
暗号資産貸出提案表示領域LPR1には、ユーザに売却を希望する暗号資産の貸し出しを促す「暗号資産を貸出しませんか?」の文字と、貸し出しを行った暗号資産がUSD相当価格で目減りすることがないことを表す「USD価格元本保証!」の文字が表示されている。
なお、暗号資産貸出提案表示領域LPR1に、貸し出しを行う場合の暗号資産預入利率または貸出期間、あるいはその両方を表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0356】
暗号資産貸出提案表示領域LPR1の下側には、暗号資産貸出画面に遷移させるための「条件をみる」の文字で示される貸出条件表示ボタンLCR1が表示されている。
【0357】
限定ではなく例として、貸出条件表示ボタンLCR1がユーザによってタップされると、限定ではなく例として、
図16中央と同様の暗号資産貸出画面に表示が遷移する。
【0358】
なお、暗号資産貸出提案表示領域LPR1は、暗号資産の価格が下がっている(限定ではなく例として、前日比価格がマイナス)場合にのみ表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。また、暗号資産貸出提案表示領域LPR1は、算出された暗号資産預入利率が所定利率(限定ではなく例として、年率「3」%)以上である場合にのみ表示させるようにしてもよいし、そのようにしなくてもよい。
【0359】
本変形例は、暗号資産貸出提案表示領域の表示(限定ではなく、利率に関する情報を表示させるための制御の一例)は、端末において暗号資産を売却するための操作が行われたことに基づいて実行されるプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、暗号資産を売却しようするユーザに対して、法定通貨ベースでの元本が確保された上で貸出による利益が得られることを提示することにより、暗号資産を売却するよりも貸出に応じた方が得であるということをユーザに認識させて、暗号資産の貸出を促すことができる。また、運用者にとっては、より多額の暗号資産を運用することができるようになるため、運用による利益を増大させることが可能となる。
【0360】
<第1変形例(7)>
第1実施例では、コンタンゴ状態を、先物価格の方が現物価格(スポット価格)よりも価格が高い状態としたが、これに限定されない。限定ではなく例として、コンタンゴ状態を、満期日が遠い先物価格の方が、満期日が近い(直近期日の)先物価格よりも価格が高い状態としてもよい。
【0361】
<第2実施例>
第2実施例は、限定ではなく例として、ユーザが、暗号資産販売業者の提示する預入利率に基づいて、暗号資産販売業者に保有する暗号資産を貸し出す(貸し付ける)。暗号資産販売業者は、ユーザから預入された暗号資産を運用し、利息をつけて暗号資産をユーザに返還する実施例である。
【0362】
ユーザから預入された暗号資産は、返還のとき、預入されたときの第2法定通貨換算の価値に利息を付与した第2法定通貨換算の価値を持つ暗号資産としてユーザに返還される。ただし、第2法定通貨は第1法定通貨とは異なる法定通貨である。なお、暗号資産取引所と先物取引所とは、売買代金や証拠金として第1法定通貨を用いる。
【0363】
第2実施例では、限定ではなく例として、暗号資産の一例として、ビットコイン(BTC)を用いて説明する。また、限定ではなく例として、第1法定通貨の一例として、米ドル(USD)を用いて説明する。また、限定ではなく例として、第2法定通貨の一例として、日本円(JPY)を用いて説明する。また、限定ではなく例として、暗号資産先物取引の一例として、第1実施例と同様の米ドル建てビットコイン先物を用いて説明する。
【0364】
第2実施例に記載の内容は、他の各実施例や他の各変形例のいずれにも適用可能である。
また、既出の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して、再度の説明を省略する。
【0365】
暗号資産運用管理データ152の預入暗号資産管理データには、限定ではなく例として、暗号資産アプリケーションIDと、円換算預入額とが関連付けて記憶される。
【0366】
円換算預入額は、暗号資産販売業者がユーザから暗号資産の貸し出しを受け付けるとき、暗号資産販売所における交換レートで換算した、暗号資産の第2法定通貨換算での価格である。なお、円換算預入額は、第2法定通貨換算預入額と言ってもよい。
【0367】
限定ではなく例として、ユーザから暗号資産の貸し出しを受ける際の交換レートが「1」BTC=「3,000,000」JPYであるとき、ユーザA.Aが「15」BTCを暗号資産販売所に貸し出した場合、円換算預入額は、「3,000,000×15」=「45,000,000」JPYとなる。
【0368】
また、暗号資産運用管理データ152の先物ポジション管理データには、先物ポジションデータとして、米ドル建てビットコイン先物のポジションの他、日本円/米ドル先物のポジションが記憶される。
【0369】
本実施例では、新規暗号資産預入処理において、暗号資産運用システムの制御部は、先物証拠金補充処理(
図13のS360のステップ)で補充された先物証拠金を用いて、円換算預入額に対する日本円/米ドルの外国為替先物予約(為替先物予約、為替予約)を行う。
【0370】
暗号資産返還処理において、暗号資産運用システムの制御部は、先物ポジション清算処理(
図14のS420のステップ)後、外国為替先物予約の損益を余剰資金残高に加算する。暗号資産運用システムの制御部は、返還用暗号資産買付処理(
図14のS430のステップ)において、円換算預入額に暗号資産預入利率を適用した円換算返還額を算出する。そして、暗号資産運用システムの制御部は、円換算返還額と、預入現物残高と、暗号資産返還時における円建て暗号資産スポット取引価格(円建て交換レート)とに基づいて、暗号資産返還残高を算出する。
【0371】
暗号資産預入利率算出処理において、対顧客提示預入利率は、限定ではなく例として、以下の数式で算出可能である。
【0372】
「対顧客提示預入利率」=「リスク控除後期待収益率」-「USDヘッジコスト」-「取引コスト率」-「暗号資産販売業者収益率」
【0373】
ここで、USDヘッジコスト率は、外国為替先物予約に伴い発生するコスト率であり、限定ではなく例として、USD金利と、JPY金利とに基づいて、以下の数式(6)で算出可能である。
【数6】
【0374】
JPY金利は、第2法定通貨(この例では、日本円)のインプライド金利(先物金利)を指す。JPY金利は、第2法定通貨金利といってもよい。
【0375】
また、取引コスト率は、限定ではなく例として、暗号資産スポット取引コスト率と、暗号資産先物取引コスト率と、以下の数式(7)で算出可能なJPY先物取引コスト率の合計値となる。
【数7】
【0376】
単位JPY先物スポット取引コストとは、限定ではなく例として、先物取引ブローカーが提示する、単位量(限定ではなく例として、「10,000」JPY)当たりの日本円/米ドル先物取引で発生する手数料率である。
【0377】
<表示画面>
図19~
図20は、本実施例において端末20の表示部24に表示される画面の遷移の一例を示す画面図である。
【0378】
図19~
図20は、限定ではなく例として、「1」USD=「100」JPYとした場合における
図16~
図17と同様の暗号資産アプリケーションの遷移の一例である。なお、説明の簡略化のため、暗号資産預入日と暗号資産返還日とにおいて、為替レートの変動が生じていない場合の例を示す。
【0379】
図19左側において、暗号資産価格確認領域PCR3では、ビットコインの交換レート(ビットコイン価格)が「3,000,000」円(JPY)/BTCであることが表示されている。
また、資産総額表示領域TAR3には、ユーザA.Aが「45,000,000」円相当の暗号資産を保有していることが表示されている。
【0380】
図19中央において、貸出数量指定領域ADR2では、ユーザによって指定された貸出数量が「15」BTCであり、現在の換算レートで「45,000,000」円に相当することが表示されている。また、その下には、ユーザが保有する暗号資産の量が「15」BTCであることが表示されている。
【0381】
図19右側では、貸し出しを行った「45,000,000」円相当の「15」BTCに対して年率「2.0」%で利息が付与され、「45,075,000」円相当のビットコインで返還予定日「2021/2/1」に返還されることが表示されている。ただし、返還時の交換レートが不明なため、返還されるビットコインの量は「?」BTCと表示されている。
【0382】
図20左側において、暗号資産価格確認領域PCR4では、ビットコインの交換レート(ビットコイン価格)が「2,500,000」円/BTCに下落したことが表示されている。
また、資産総額表示領域TAR4には、ユーザA.Aが「45,075,000」円相当の暗号資産を保有していることが表示されている。
【0383】
図20右側では、貸し出しを行った「45,000,000」円相当の「15」BTCに対して年率「2.0」%で利息が付与され、「45,075,000」円相当の「18.03」BTCで返還日「2021/2/1」に返還されたことが表示されている。
【0384】
<第2実施例の効果>
本実施例は、米ドル建てビットコイン先物(限定ではなく、暗号資産の先物の一例)は、米ドル(限定ではなく、第1法定通貨の一例)により購入することが可能であり、暗号資産預入利率情報の送信(限定ではなく、端末に、暗号資産の価格を、米ドル(限定ではなく、第1法定通貨の一例)とは異なる日本円(限定ではなく、第2法定通貨の一例)の単位に基づいて表示させるための制御の一例)を実行することを含み、対顧客提示預入利率(限定ではなく、利率の一例)は、USDヘッジコスト率(限定ではなく、第1法定通貨と第2法定通貨との為替ヘッジコストの一例)に基づき算出されるプログラム構成を示している。
このような構成により得られる実施例の効果の一例として、暗号資産の先物が米ドルでは購入可能であるが、日本円では直接購入することができない場合であっても、米ドルと日本円との為替ヘッジにより、日本円ベースでの元本を確保した上で、暗号資産の貸出による利益を提供することが可能となる。
【0385】
<その他>
本開示の手法を適用可能なシステムは、上記のシステムに限定されない。
端末とサーバとを含むシステムに限らず、サーバを含まないシステムを適用することもできる。これは、限定ではなく例として、以下のようなシステムである。
・サーバの機能を端末に持たせるシステム(分散システム)。これは、限定ではなく例として、前述したブロックチェーンの技術を用いて実現することが可能である。
・端末同士が無線通信を行うシステム。これは、限定ではなく例として、ブルートゥース等の近距離無線通信技術を用いてP2P(ピアツーピア)方式等で通信を行うことで実現可能である。
【符号の説明】
【0386】
1 通信システム
10 サーバ
20 端末
30 ネットワーク
40 取引所サーバ
50 先物サーバ