(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165830
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】流れ減衰装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023160181
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020509084の分割
【原出願日】2018-08-10
(31)【優先権主張番号】62/546,809
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522355972
【氏名又は名称】アリッサ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベ・ティ・レ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ヒ・チョ
(72)【発明者】
【氏名】レジーナ・コエリ・ヴェラスコ
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド・ガルサ
(57)【要約】
【課題】塞栓インプラントを提供すること。
【解決手段】動脈瘤または他の血管障害を治療するための塞栓装置が、所望の多孔性を達成しつつ、従来の装置よりコンプライアントとなり得る。具体的には、装置は、所望の多孔性が必要とされる装置の長さに沿う離散した区域(例えば、展開されると動脈瘤のネックを塞ぐ区域)においてのみ、このような多孔性を達成できる。装置の残りの区域は、装置のコンプライアンスを増加させるように構成され得る。例えば、残りの区域は、所望の多孔性を伴う区域より少ない材料から形成され得る。一部の例では、所望の多孔性を伴う区域は、網目状スクリーン区間から形成され、残りの区域はコイル区間から形成される。一部の例では、網目状スクリーン区間は、装置のコンプライアンスをさらに高めるように構成される。例えば、網目状スクリーン区間は、従来の編組構造より大きいコンプライアンスを達成する層構造から形成され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管障害を治療するときに使用するための塞栓装置であって、
第1のコンプライアントな区域と、
前記第1のコンプライアントな区域とは異なり、かつ前記第1のコンプライアントな区域から分離されている第2のコンプライアントな区域と、
少なくとも1つの平面層を備える非編組構造から形成される網目状スクリーン区間と
を備え、
前記網目状スクリーン区間が、前記塞栓装置の長さに沿って前記第1のコンプライアントな区域と前記第2のコンプライアントな区域との間に配置され、
前記第1のコンプライアントな区域は、前記網目状スクリーン区間の第1の端部に接続され、かつ前記第2のコンプライアントな区域は、前記網目状スクリーン区間の第2の端部に接続されている、塞栓装置。
【請求項2】
前記第1のコンプライアントな区域および前記第2のコンプライアントな区域の各々が、螺旋状に巻回されたワイヤを備えるコイルを備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【請求項3】
前記網目状スクリーン区間が2つの層を備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【請求項4】
前記2つの層が異なる厚さを有する、請求項3に記載の塞栓装置。
【請求項5】
前記2つの層の各々の少なくとも一部分は、異なる平行な平面に配置されている、請求項3に記載の塞栓装置。
【請求項6】
前記2つの層の各々の少なくとも一部分が同じ平面に配置される、請求項3に記載の塞栓装置。
【請求項7】
前記2つの層が互いに固定されている、請求項3に記載の塞栓装置。
【請求項8】
前記2つの層が互いに対して自由に移動できる、請求項3に記載の塞栓装置。
【請求項9】
前記2つの層が所定の距離で互いから離間されている、請求項3に記載の塞栓装置。
【請求項10】
前記網目状スクリーン区画は、厚さを貫く穿孔を備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【請求項11】
前記網目状スクリーン区間が、前記網目状スクリーン区間をそれぞれ前記第1のコンプライアントな区域および前記第2のコンプライアントな区域に結合するために適合された第1の延在部分および第2の延在部分をさらに備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【請求項12】
前記塞栓装置の異なる部分が異なる熱機械特性を備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【請求項13】
前記第1および第2のコンプライアントな区域は各々、編組ワイヤを備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【請求項14】
前記第1および第2のコンプライアントな区域は各々、前記網目状スクリーン区画はよりも少ない材料を有する網目を備える、請求項1に記載の塞栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/546,809号の優先権および利益を主張し、その全体を本明細書において参照により組み込む。
【0002】
概して、本発明の様々な実施形態は、動脈瘤(例えば、サイドウォール、分岐、二葉、ワイドネックなど)および他の血管障害の低侵襲治療で使用するための塞栓インプラントに関し、より詳細には、所望の多孔性を達成する特定の離散した区間と、装置のコンプライアンスを増加させる他の区間とを特徴とする塞栓インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
概して、動脈瘤は、血管の壁に空洞を形成する腫れまたは膨らみである。ある種の動脈瘤は、脳の動脈に形成する脳動脈瘤である。脳動脈瘤は、初期の症状を伴わずに突然発症することがあり、酷い痛みを引き起こす可能性がある。概して、脳動脈瘤の症例のうちの15%では、患者は脳動脈瘤の発症時に突然死亡しており、脳動脈瘤の症例のうちの別の15%では、患者は医学治療中に死亡しており、脳動脈瘤の症例のうちの30%では、患者は治療の後も生存するが、激しい後遺症を感じる。このように、脳動脈瘤(または、任意の動脈瘤)は非常に憂慮する発症である。
【0004】
動脈瘤および他の同様の血管障害の治療は、動脈瘤または障害によって形成された空洞内への微小コイルの配置をしばしば伴う。そのようにすることで、血液を凝固させ、血液の追加的な流入を防止し、動脈瘤または障害が破裂する危険性(つまり、塞栓)を低下させることができる。効果的とするために、塞栓の微小コイルは、血液の追加的な流入を防止するだけの圧力を加えなければならないが、破裂を引き起こす過剰な大きさの圧力を加えてはならない。
【0005】
ほとんどの塞栓装置についての重要なパラメータは多孔性であり、多孔性は、塞栓装置を通過して動脈瘤の中に入ることができる流体の量の指標である。所望の多孔性を達成するために、ほとんどの従来の塞栓装置は、特定の大きさの小孔101を形成する編組ワイヤまたは網目状の構造から形成される(例えば、
図1に示されている)。これらの構造は所望の多孔性を達成する上で効果的であり得るが、その構造が必要とする材料の量(例えば、数多くの重なり合うワイヤ)は、装置のコンプライアンスに悪い影響を与える可能性がある。コンプライアンス(「柔軟性」と称されることもある)は、装置の柔軟性および順応性の指標である。塞栓装置が硬すぎる場合、曲がりくねった通路を通じて送達することが難しくなり、過剰な圧力を動脈瘤の壁に加え、動脈瘤の破裂させる危険性があり得る。最近の塞栓装置は、所望の多孔性を達成するために、大きなコンプライアンスを断念している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、著しいコンプライアンスを譲歩することなく所望の多孔性を達成する向上した塞栓装置に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な実施形態において、本発明は、従来の装置と同じ程度のコンプライアンスを譲歩することなく所望の多孔性を達成する向上した塞栓装置に関する。具体的には、装置は、例えば、所望の多孔性が必要とされるのは、装置が展開されるときに動脈瘤のネック(ま
たは、開口)を塞ぐ装置の区域など、装置の長さに沿う特定の離散した区域(本明細書では「多孔性区域」と称されることもある)だけであることを活用する。本願では、用語「多
孔性区域」は、所望の多孔性を有する装置の部分を指す。一部の例では、多孔性区域のこの所望の多孔性は、装置の残りの区域の多孔性より大きいが、一部の場合では逆も当てはまる。装置の残りの区域(本明細書では「コンプライアンス区域」と称されることもある)は、所望の多孔性を有する必要はなく、したがって、装置のコンプライアンスを増加させるように構成され得る。例えば、コンプライアンス区域は、多孔性区域より少ない材料から形成され得る。コンプライアンス区域の例には、装置が展開されると、動脈瘤空洞の中間に、または、動脈瘤空洞の内壁に沿って、位置する装置の区域がある。コンプライアンス区域を含むことは、装置全体の総合的なコンプライアンスを増加させ、全長にわたって所望の多孔性を不必要に維持する現在の装置に対して優れたコンプライアンスを有する装置をもたらすことができる。
【0008】
概して、一態様において、本発明の実施形態は、血管障害を治療するときに使用するための塞栓装置を特徴とする。塞栓装置は、第1のコイル区間と、第2のコイル区間と、塞栓装置の長さに沿って第1のコイル区間と第2のコイル区間との間に配置される網目状スクリーン区間とを備え得る。
【0009】
様々な実施形態において、第1のコイル区間および第2のコイル区間の各々は、螺旋状に巻回されたワイヤを備える。一部の例では、第1のコイル区間および第2のコイル区間は、網目状スクリーン区間より大きいコンプライアンスを各々有する。一部の例では、網目状スクリーン区間は、第1のコイル区間および第2のコイル区間の各々より大きい多孔性を有する。網目状スクリーン区間が展開構成にあるとき、網目状スクリーン区間は60%~80%の多孔性であり得る。
【0010】
様々な実施形態において、網目状スクリーン区間は、異なる厚さを有し得る2つの層を備える。一部の場合では、2つの層の各々の少なくとも一部分は異なる平行な平面に配置される。一部の場合では、2つの層の各々の少なくとも一部分は同じ平面に配置される。一部の例では、2つの層は互いに固定される。他の例では、2つの層は互いに対して自由に移動できる。2つの層は所定の距離で互いから離間され得る。さらに、網目状スクリーン区間は、厚さを貫く穿孔を備え得る。特定の例では、網目状スクリーン区間は、網目状スクリーン区間を第1のコイル区間および第2のコイル区間に結合するために、第1のコイル区間および第2のコイル区間によってそれぞれ形成されるルーメンに挿入されるように適合された第1の延在部分および第2の延在部分をさらに備える。一部の場合では、塞栓装置の異なる部分が異なる熱機械特性を備える。
【0011】
概して、別の態様において、本発明の実施形態は、患者の血管障害を治療するための方法を特徴とする。方法は、コイル区間と、コイル区間に結合された網目状スクリーン区間とを備える塞栓装置を、(i)コイル区間が血管障害によって形成される空洞内に配置され
るように、および、(ii)網目状スクリーン区間が血管障害のネックにわたって配置されるように、血管障害内に送達するステップを含み得る。
【0012】
様々な実施形態において、血管障害は動脈瘤である。一部の例では、送達するステップは、装置を送達プッシャの遠位端から解放することを含む。このような例では、方法は、送達プッシャを、血管障害内に配置される遠位端を有するマイクロカテーテルを通じて前進させるステップをさらに含み得る。方法は、第2の塞栓装置を、マイクロカテーテルを再位置決めすることなく血管障害内に送達するステップをさらに含み得る。一部の例では、最初に送達された塞栓装置は追加のコイル区間を備え、網目状スクリーン区間は、塞栓装置の長さに沿ってコイル区間と追加のコイル区間との間に配置される。一部の場合では、コイル区間は、螺旋状に巻回されたワイヤを備える。コイル区間は、網目状スクリーン区間より大きいコンプライアンスを有し得る。網目状スクリーン区間は、コイル区間より大きい多孔性を有し得る。送達されたとき、網目状スクリーン区間は60%~80%の多孔性であり得る。
【0013】
様々な実施形態において、網目状スクリーン区間は、異なる厚さを有し得る2つの層を備える。一部の場合では、2つの層の各々の少なくとも一部分は異なる平行な平面に配置される。一部の場合では、2つの層の各々の少なくとも一部分は同じ平面に配置される。一部の例では、2つの層は互いに固定される。他の例では、2つの層は互いに対して自由に移動できる。2つの層は所定の距離で互いから離間され得る。網目状スクリーン区間は、厚さを貫く穿孔を備え得る。一部の場合では、塞栓装置の異なる部分が異なる熱機械特性を備える。
【0014】
概して、さらに別の態様において、本発明の実施形態は、塞栓装置を製造する方法を特徴とする。方法は、塞栓装置は、第1のコイル区間および第2のコイル区間を形成するステップと、網目状スクリーン区間を形成するステップと、網目状スクリーン区間を、塞栓装置の長さに沿って第1のコイル区間と第2のコイル区間との間に結合するステップとを含み得る。
【0015】
様々な実施形態において、第1のコイル区間および第2のコイル区間を形成するステップは、少なくとも1つのワイヤを螺旋状に巻回することを含む。一部の例では、網目状スク
リーン区間を形成するステップは、例えば、レーザー技術、機械技術、湿式化学技術、電気化学マスキング技術、マスクレス電気化学技術、エッチング、フライス加工、光化学加工、および/または光電気化学加工といった除去製造技術を用いることを含む。一部の例
では、網目状スクリーン区間を第1のコイル区間と第2のコイル区間との間に結合するステップは、網目状スクリーン区間の第1の延在部分および第2の延在部分を、第1のコイル区間および第2のコイル区間によってそれぞれ形成されるルーメンに挿入することを含む。一部の場合では、第1のコイル区間および第2のコイル区間を形成するステップ、および/または、網目状スクリーン区間を形成するステップは、異なる熱機械特性を持たせるために塞栓装置の異なる部分を形成することを含む。
【0016】
これらの目的および他の目的は、ここで開示されている本発明の実施形態の利点および特徴と共に、以下の記載、添付の図面、および請求項への参照を通じてより明らかとなる。さらに、本明細書に記載されている様々な実施形態の特徴が、相互に排他的ではなく、様々な組み合わせおよび置き換えで存在できることは、理解されるものである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
血管障害を治療するときに使用するための塞栓装置であって、
第1のコイル区間と、
第2のコイル区間と、
網目状スクリーン区間と
を備え、
前記網目状スクリーン区間が、前記塞栓装置の長さに沿って前記第1のコイル区間と前記第2のコイル区間との間に配置される、塞栓装置。
(項目2)
前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間が、螺旋状に巻回されたワイヤを各々備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目3)
前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間が、前記網目状スクリーン区間より大きいコンプライアンスを各々備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目4)
前記網目状スクリーン区間が、前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間の各々より大きい多孔性を備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目5)
前記網目状スクリーン区間が展開構成にあるとき、前記網目状スクリーン区間が60%~80%の多孔性である、項目4に記載の塞栓装置。
(項目6)
前記網目状スクリーン区間が2つの層を備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目7)
前記2つの層が異なる厚さを有する、項目6に記載の塞栓装置。
(項目8)
前記2つの層の各々の少なくとも一部分が異なる平行な平面に配置される、項目6に記載の塞栓装置。
(項目9)
前記2つの層の各々の少なくとも一部分が同じ平面に配置される、項目6に記載の塞栓装置。
(項目10)
前記2つの層が互いに固定される、項目6に記載の塞栓装置。
(項目11)
前記2つの層が互いに対して自由に移動できる、項目6に記載の塞栓装置。
(項目12)
前記2つの層が所定の距離で互いから離間される、項目6に記載の塞栓装置。
(項目13)
前記網目状スクリーン区間が、厚さを貫く穿孔を備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目14)
前記網目状スクリーン区間が、前記網目状スクリーン区間を前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間に結合するために、前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間によってそれぞれ形成されるルーメンに挿入されるように適合された第1の延在部分および第2の延在部分をさらに備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目15)
前記塞栓装置の異なる部分が異なる熱機械特性を備える、項目1に記載の塞栓装置。
(項目16)
患者の血管障害を治療するための方法であって、
コイル区間と、前記コイル区間に結合された網目状スクリーン区間とを備える塞栓装置を、
前記コイル区間が前記血管障害によって形成される空洞内に配置されるように、および、
前記網目状スクリーン区間が前記血管障害のネックにわたって配置されるように、
前記血管障害内に送達するステップを含む、方法。
(項目17)
前記血管障害が動脈瘤を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記送達するステップが、前記塞栓装置を送達プッシャの遠位端から解放することを含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記送達プッシャを、前記血管障害内に配置される遠位端を有するマイクロカテーテルを通じて前進させるステップをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
第2の塞栓装置を、前記マイクロカテーテルを再位置決めすることなく前記血管障害内に送達するステップをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記塞栓装置が追加のコイル区間をさらに備え、さらに、前記網目状スクリーン区間が、前記塞栓装置の長さに沿って前記コイル区間と前記追加のコイル区間との間に配置される、項目16に記載の方法。
(項目22)
前記コイル区間が、螺旋状に巻回されたワイヤを備える、項目16に記載の方法。
(項目23)
前記コイル区間が、前記網目状スクリーン区間より大きいコンプライアンスを備える、項目16に記載の方法。
(項目24)
前記網目状スクリーン区間が、前記コイル区間より大きい多孔性を備える、項目16に記載の方法。
(項目25)
送達されたとき、前記網目状スクリーン区間が60%~80%の多孔性である、項目16に記載の方法。
(項目26)
前記網目状スクリーン区間が2つの層を備える、項目16に記載の方法。
(項目27)
前記2つの層が異なる厚さを有する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記2つの層の各々の少なくとも一部分が異なる平行な平面に配置される、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記2つの層の各々の少なくとも一部分が同じ平面に配置される、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記2つの層が互いに固定される、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記2つの層が互いに対して自由に移動できる、項目26に記載の方法。
(項目32)
前記2つの層が所定の距離で互いから離間される、項目26に記載の方法。
(項目33)
前記網目状スクリーン区間が、厚さを貫く穿孔を備える、項目16に記載の方法。
(項目34)
前記塞栓装置の異なる部分が異なる熱機械特性を備える、項目16に記載の方法。
(項目35)
塞栓装置を製造する方法であって、
第1のコイル区間および第2のコイル区間を形成するステップと、
網目状スクリーン区間を形成するステップと、
前記網目状スクリーン区間を、前記塞栓装置の長さに沿って前記第1のコイル区間と前記第2のコイル区間との間に結合するステップと
を含む、方法。
(項目36)
前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間を形成する前記ステップが、少なくとも1つのワイヤを螺旋状に巻回することを含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記網目状スクリーン区間を形成する前記ステップが、除去製造技術を用いることを含む、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記除去製造技術が、レーザー技術、機械技術、湿式化学技術、電気化学マスキング技術、マスクレス電気化学技術、エッチング、フライス加工、光化学加工、および光電気化学加工からなる群から選択される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記網目状スクリーン区間を前記第1のコイル区間と前記第2のコイル区間との間に結合する前記ステップが、前記網目状スクリーン区間の第1の延在部分および第2の延在部分を、前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間によってそれぞれ形成されるルーメンに挿入することを含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記第1のコイル区間および前記第2のコイル区間を形成する前記ステップと、前記網目状スクリーン区間を形成する前記ステップとの少なくとも一方が、異なる熱機械特性を持つように前記塞栓装置の異なる部分を形成することを含む、項目35に記載の方法。
【0017】
図面では、同様の符号は概して、異なる図を通じて同じ部品を参照する。また、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、本発明の原理を示す強調が一般的に行われている。以下の記載において、本発明の様々な実施形態が以下の図面を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】編組ワイヤから形成された例示の従来の塞栓装置の画像である。
【
図2】真っ直ぐにされた構成における本発明の一実施形態による塞栓装置の上方からの概略図である。
【
図3】複数の層から形成された本発明の一実施形態による塞栓装置の一部分の側方からの断面概略図である。
【
図4A】複数の層から形成された本発明の一実施形態による塞栓装置の一部分の異なる概略図である。
【
図4B】複数の層から形成された本発明の一実施形態による塞栓装置の一部分の異なる概略図である。
【
図5A】本発明の様々な実施形態による塞栓装置の一部分の様々な層構成を示す図である。
【
図5B】本発明の様々な実施形態による塞栓装置の一部分の様々な層構成を示す図である。
【
図5C】本発明の様々な実施形態による塞栓装置の一部分の様々な層構成を示す図である。
【
図5D】本発明の様々な実施形態による塞栓装置の一部分の様々な層構成を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による塞栓装置の一部分を付着させるために使用される延在部分の上方からの概略図である。
【
図7】マイクロカテーテル内に挿入されている、本発明の一実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8A】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8B】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8C】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8D】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8E】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8F】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8G】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8H】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8I】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8J】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8K】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8L】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図8M】展開構成にあり、展開の様々な段階における、本発明の様々な実施形態による例示の塞栓装置の画像である。
【
図9】本発明の一実施形態による、延在部分および送達プッシャの例示の付着の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、塞栓装置のための向上された設計と、向上した装置を使用する方法および製造する方法とを対象とする。前述したように、多孔性は、どれだけ多くの流体が動脈瘤へと塞栓装置を通過できるかを決定し、これが動脈瘤の治療において塞栓装置がどれだけ効果的かということに直接影響し得るため、塞栓装置にとって重要なパラメータである。
図1に示されているように、多くの従来の装置では、所望の多孔性は、所望の大きさの小孔101を形成する重なり合うワイヤの編組または網目状の構造で達成されている。この技術は所望の多孔性を生成する上で効果的であり得る一方で、重なり合うワイヤは装置を硬くし、装置のコンプライアンスを低下させる。ほとんどの従来の装置は、その全長にわたって所望の多孔性を達成しており、これは、装置のコンプライアンスを相当に低下させる不必要に過剰な大きな材料密度をもたらしている。
【0020】
発明者は、所望の多孔性が装置の長さに沿う限られた離散した部分においてのみ必要であることを認識し、理解することによって、この問題への解決策を開発した。具体的には、所望の多孔性は、動脈瘤へと流れる血液と相互作用する(そのため、その血液に影響する)装置の部分にのみ達成されればよい。典型的には、これらの部分は、装置が展開されるときに、血管と動脈瘤の空洞との間の開口(動脈瘤の「ネック」と呼ばれることもある)にわたって位置する装置の部分である。発明者は、装置の残りの部分、つまり、動脈瘤へと流れる血液と相互作用しないかまたはその血液に影響しない部分は、所望の多孔性を有する必要がないことを認識した。動脈瘤へと流れる血液と相互作用しないかまたはその血液に影響しない部分の例には、装置が展開されるとき、空洞の中間に、または空洞の内壁に沿って位置する装置の部分がある。発明者は、所望の多孔性を有する必要のない装置の部分は、例えば、多孔性区域より大幅にコンプライアントになるように構成できるなど、多孔性区域とは異なるように構成することができ、これによって装置全体の総合的なコンプライアンスを増加させることができることを認識し、理解した。
【0021】
本発明の向上した塞栓装置100の例示の実施形態の一部分が
図2に示されている。装置100は多孔性区域102とコンプライアンス区域104とを備える。
図2は1つの多孔性区域102と2つのコンプライアンス区域104とを描写しているが、概して、装置100は、様々な用途にとって望ましくできるように、任意の数の多孔性区域102(例えば、1つ、2つ、3つなど)と、任意の数のコンプライアンス区域104(例えば、1つ、2つ、3つなど)とを含むことができる。例えば、一部の実施形態において、装置100は1つの多孔性区域102と1つのコンプライアンス区域104とを備える。別の例として、装置100は3つの多孔性区域102と2つのコンプライアンス区域104とを備え得る。多くの他の例が可能である。
【0022】
様々な実施形態において、多孔性区域102とコンプライアンス区域104とは、装置100の長さに沿って連続する交互の様態で配置される。例として(
図2に示されているように)、装置100は、コンプライアンス区域104と、それに続く多孔性区域102と、それに続く別のコンプライアンス区域104とを備えることができ、任意選択で別の多孔性区域102などが続くといった具合である。他の実施形態において、多孔性区域102とコンプライアンス区域104とは、任意の他の配置を用いて配置され得る。例えば、複数の多孔性区域102が互いに隣接して配置され得る、および/または、複数のコンプライアンス区域104が互いに隣接して配置され得る。一部の場合では、多孔性区域102およびコンプライアンス区域104の配置は、装置100の全長に沿って一定(例えば、繰り返し)である。他の場合では、多孔性区域102およびコンプライアンス区域104の配置は、装置100の長さに沿って異なる。例えば、中心の場所において、区域102、104は連続する交互の様態で配置され、他の場所において、区域は、互いに隣接する複数の多孔性区域102および/または複数のコンプライアンス区域104で配置され得る。
【0023】
様々な実施形態において、装置100の区間同士の間の空間は、動脈瘤へと送達されたときに装置100の形を最適化するように制御される。例えば、一部の場合では、各々の多孔性および/またはコンプライアンス区域の間の空間が一定であり得る。他の場合では、各々の多孔性および/またはコンプライアンス区域の間の空間は装置100の長さに沿って変化し得る。概して、装置100の大きさおよび/または形を制御することができ、装置100が動脈瘤まで送達されると、装置100の形/大きさを最適化するために任意の形態を取ることができる。
【0024】
様々な実施形態において、
図2に示されているように、コンプライアンス区域104はコイル区間であり得る。コイル区間はコンプライアンス区域の例示的種類であるため、コイル区間とコンプライアンス区域との両方が本出願では符号104で参照されている。一部の場合では、コイル区間104は、巻回されたワイヤ(例えば、螺旋状に巻回されたワイヤ)から形成される。コイル構造は、概して編組構造よりはるかにコンプライアントであり、装置100の長さに沿ってこれらの構造を含むことは、装置100全体の総合的なコンプライアンスを増加させることができる。本明細書はしばしばコンプライアンス区域104をコイル構造として記載および描写しているが、コンプライアンス区域104は他の形態を取ることができる。概して、コンプライアンス区域104は、多孔性区域102より大きいコンプライアントである区域104をもたらす任意の形態を取り得る。多くの例のうちの1つとして、コンプライアンス区域104は、編組ワイヤ区間および/または網目状区間から、より少ない材料で形成できる、または、多孔性区域102より大きいコンプライアンスを有するようにその他の方法で構成され得る。
【0025】
様々な実施形態において、コンプライアンス区域104および多孔性区域102は、コンプライアンス以外に、または、コンプライアンスに加えて、特性が異なる可能性がある。概して、コンプライアンス区域104と多孔性区域102とは、任意の特性に関して、および、任意の所望の大きさだけ、互いと異なる可能性がある。一例として、コンプライアンス区域104と多孔性区域102とは互いと異なる熱機械特性を有し得る。熱機械特性が有利な値に設定され得る例の材料はニチノールであるが、これは他の材料(例えば、ほとんどの金属)で行われ得る。コンプライアンス区域104と多孔性区域102との間で異なり得る例の熱機械特性の非排他的な一覧には、(i)事前の熱間および/または冷間熱処理に応じた強度、延性、および/または靱性、(ii)オーステナイト相変態温度、ならびに(iii)超弾性特性および形状記憶特性(例えば、温度および/または事前の熱間および/または事前の冷間熱処理に応じた応力-歪み挙動)がある。熱機械特性の多くの他の例も可能である。
【0026】
複数のコンプライアンス区域104および/または複数の多孔性区域102がある他の例では、同じ種類の他の区域(例えば、異なるコンプライアンス区域104および/または異なる多孔性区域102)が互いと異なる特性(例えば、熱機械特性)を有する可能性がある。さらに他の例では、単一のコンプライアンス区域104および/または多孔性区域102が異なる場所において異なる特性を有し得る。一例として、多孔性区域102は、その中心の近くに第1の値を有し、その周辺の近くに異なる値を有する熱機械特性を有し得る。装置100内の熱機械特性(または、他の特性)を変化させる1つの利点は、所望の展開(または、他の性能)の特徴を達成するために、例えば、装置100の様々な場所における相変態温度および/または膨張力の特徴を調節することによって、装置を調整できることである。様々な実施形態において、装置100の任意の2つの構成要素(または、その場所)が互いと同じ特性を有してもよい。
【0027】
様々な実施形態において、多孔性区域102自体が、塞栓装置100の機能を向上させる新規の特有な設計を有する。一部の場合では、向上した多孔性区域102は、(前述したように)コンプライアンス区域104と共に使用でき、そのため複数の特徴が装置100の機能を高める。他の場合、装置100全体は向上した多孔性区域102から形成でき、多孔性区域102は装置100の機能を独立して高めることができる。具体的には、様々な実施形態において、多孔性区域102は、所望の多孔性を達成しつつ、従来の編組/網目状のワイヤに対して向上した特性および特徴を特色とする新規の特有な構造から形成される。様々な実施形態において、所望の多孔性は、約50%~約90%の多孔性の範囲、約60%~約80%の多孔性の範囲、約60%~約70%の多孔性の範囲、および、約70%~約80%の多孔性の範囲であり得る。
【0028】
例えば、多孔性区域102は、ワイヤの円筒形の表面に反して、少なくとも1つの平坦な表面(例えば、層)から形成される網目状スクリーン区間であり得る。網目状スクリーン区間は多孔性区域の例示的種類であるため、網目状スクリーン区間と多孔性区域との両方が本出願では符号102で参照されている。平坦な表面の層から形成された構造は、所望の多孔性を達成しつつ、重なり合うワイヤから形成された構造よりも柔軟であり、皺への耐性があり、膨張可能であり得る。概して、網目状スクリーン区間102は、任意の所望の様式で配置/積層された任意の数の層から形成され得る。例えば、最も単純な場合では、網目状スクリーン区間102は単一の層から形成される。他の例では、網目状スクリーン区間102は複数の層から形成される。一部の場合では、様々な層は、異なる厚さを有し、異なる平行な平面および/または重なり合う平行な平面に存在する。
【0029】
図3は、例の比較的複雑な層構造の側方からの断面図である。
図3における要素1~7の各々は、網目状スクリーン区間102の異なる層を描写している。層1および層2によって図示されているように、各層は異なる厚さ(y軸に沿った寸法)を有し得る。層3および層4によって図示されているように、異なる層の少なくとも一部分が異なる平行な平面に存在し得る(例えば、層3の下方の部分と層4の上方の部分とが、異なる平行な層にある)。同じく層3および層4によって図示されているように、異なる層の少なくとも一部分が重なり合う平面に存在し得る(例えば、層3と層4との両方の中間部分が重なり合う)。層5および層6によって図示されているように、一部の例では、特定の層はまったく重なり合わない。反対に、層4と層7とによって図示されているように、特定の層は完全に重なり合うことができる(例えば、一方の層および/または両方の層の厚さ全体にわたって同じ平面に存在する)。
【0030】
層5および層6によって図示されているように、層は異なる幅(x軸に沿った寸法)を有し得る。層1および層4によって図示されているように、層は同じ幅を有し得る。層5および層6によって図示されているように、一部の例では、層同士の間に隙間302があり得る。隙間は、y軸方向(
図3に示されている)またはx軸方向のいずれかに存在できる。例えば、x軸方向における隙間は、網目状スクリーン区間102に形成された厚さを貫く穿孔によって形成され得る。例の厚さを貫く穿孔108は
図2に示されている。装置100が動脈瘤内で展開されるとき、流体は、動脈瘤に入るために厚さを貫く穿孔108を通って流れる。したがって、穿孔108は、従来の編組構造に形成された小孔101と同様の機能を果たす。例えば、穿孔108の大きさは網目状スクリーン区間102の多孔性を決定でき、網目状スクリーン区間102はさらに、網目状スクリーン区間102を横断して動脈瘤に入ることができる流体の量に影響を与える。しかしながら、穿孔108は、一定の大きさ(または、例えば層同士が互いに対して移動できる実施形態において、制御された可変性を伴う大きさ)を有するように構成され得るため、概して編組構造の小孔101よりも優れており、これは、より一貫した予測可能な多孔性を達成させることができる。従来の編組構造では、ワイヤ同士がしばしば互いに対して移動し、これが小孔の大きさを変え、予測可能な多孔性を達成することを難しくしている。
【0031】
概して、厚さを貫く穿孔108は、所望の多孔性を達成するように任意の形または大きさで形成され得る。一部の場合では、厚さを貫く穿孔は、網目状スクリーン区域102の表面にわたって一定の形および大きさを有する。他の場合では、厚さを貫く穿孔は、網目状スクリーン区域102の表面にわたって、異なる場所において、異なる形および/または大きさを有する。一部の例では、厚さを貫く穿孔は、例えば柔軟性、膨張性、皺への耐性といった、網目状スクリーン区域102の他の特性に影響を与える。
【0032】
図3における層のすべてによって図示されているように、層の幅は、網目状スクリーン区域102全体の幅より小さい可能性がある。他の例では、層のうちの1つまたは全部が、網目状スクリーン区域102の幅全体にわたって延びる幅を有し得る(
図3には示されていない)。様々な実施形態において、前述した関係は、x軸方向またはy軸方向のいずれかにおいて、隣接する層または隣接しない層のいずれかの間に存在し得る。層同士の間の関係の多くの他の例が可能である。
【0033】
様々な実施形態において、層同士は、任意の公知の技術を用いてx軸に沿って形成される結合部304において結合される。例えば、層同士は、別々に形成され、公知の付着技術(例えば、接着剤、溶接など)を用いて結合され得る。別の例では、層同士は、除去製造技術(例えば、レーザー技術、機械技術、湿式化学技術、電気化学マスキング技術、マスクレス電気化学技術、エッチング、フライス加工、光化学加工、および/または光電気化学加工)を使用して、材料の単一品から形成され得る。x軸に沿って層同士の間に形成される結合部304に加えて、結合部306がy軸に沿って形成されてもよい。一部の場合では、層同士は、例えば、上記のものなどの公知の結合技術を使用して、結合部306において固定される。一部の場合では、層同士は結合部306において互いに対して自由に移動できる。特定の例では、単一の網目状スクリーン区間102は、互いに対して固定される一部の層と、互いに対して自由に移動できる他の層とを有し得る。
【0034】
図4Aおよび
図4Bは、網目状スクリーン区間102の例の構成を示している。
図4Aは、層402、404、および406を示す網目状スクリーン区間102の上方からの図である。
図4Bは、層402および404が異なる厚さを有することと、層402、404、および406の各々の少なくとも一部分が異なる平面に存在することとを示す、網目状スクリーン区間102の斜視図である。
【0035】
図5A~
図5Dは、様々な網目状スクリーン区間の構成のさらなる例を提供している。
図5Aは、
図5B~
図5Dの各々が描写されている視点(つまり、Xから見た図)を指示している。
図5Bは、2つの表面(表面#1および表面#2)の最も左の縁が特定の深さでずれている層構造を描写している。
図5Cは、表面#1および表面#2の最も左の縁が、
図5Bに示されたずれた深さより小さい深さでずれている層構造を描写している。
図5Dは、表面#1および表面#2の最も左の縁がずれておらず、同じ平面において存在する層構造を描写している。
【0036】
概して、網目状スクリーン区間102は、区域同士の間に適切な付着を確保する任意の技術を用いて隣接する区域に付着できる。例えば、
図2に示されているように、一部の実施形態において、網目状スクリーン区間102は、隣接する区域に付着するために使用できる少なくとも1つの網目状スクリーン延在部602を備える。隣接する区域同士がコイル区間104同士であるとき、網目状スクリーン延在部602は、コイル区間104によって形成されたルーメン内まで延在することができる。網目状スクリーン延在部602は、例えば機械的嵌め合い、接着剤、溶接、対応する嵌まり合う輪郭、相互係止するタブ、切込み、および溝の構成など、任意の適切な付着または接合手法を用いてコイル区間104に付着できる。一部の場合では、網目状スクリーン延在部602はコイル区間104に直接的に付着するのではなく、コイル区間104は網目状スクリーン延在部602によって付着される2つの他の構造の間(例えば、2つの網目状スクリーン区間102の間、網目状スクリーン区間102と送達プッシャとの間など)で保持される。一部の場合では、コイル区間104は、2つの構造の間で保持され、網目状スクリーン延在部602に直接的に付着させられる。同様に、網目状スクリーン延在部602は、任意の適切な付着手法を用いて送達プッシャに付着できる。
図9に示された一例として、網目状スクリーン延在部602は、送達プッシャ組立体のワイヤ904と係合するループ902を形成している。一部の場合では、ワイヤは、網目状スクリーン延在部602(および装置100)を送達プッシャから解放するように切断され得る。他の例では、網目状スクリーン延在部602は、対応する嵌まり合う輪郭、相互係止するタブ、切込み、および溝の構成、接着剤、溶接などを用いて送達プッシャに付着する。
【0037】
一部の実施形態において、網目状スクリーン延在部602は、別の区間(例えば、別の網目状スクリーン区間102、送達プッシャへの付着のための構造など)に到達するまで、コイル区間104全体を通じて延在する。一部の例では、網目状スクリーン延在部602は、実質的に装置100の全長にわたって(網目状スクリーン区間102自体を除いて)延在し、装置100の中核部材を形成する。一部の場合では、網目状スクリーン延在部602は、送達プッシャから加えられる挿入力が装置100の全長にわたって伝達されることを確保する。これは、例えばコイル区間104が挿入力を適切に伝達しない場合に必要であり得る。一部の場合では、網目状スクリーン延在部602は、コイル区間104を拘束し、コイル区間104の望ましくない伸長(または、望ましくない大きさの伸長)を防止する。
図2に示されているように、各々の網目状スクリーン区間102は、例えば各々の隣接するコイル区間104ごとに1つの網目状スクリーン延在部602など、複数の網目状スクリーン延在部602を有し得る。
【0038】
図6は、
図2に示された網目状スクリーン延在部602のうちの1つの拡大図である。図示されているように、網目状スクリーン延在部602は、他の区間および/または送達プッシャに付着するために使用できるその末端において、結合特徴部604を備えることができる。一
部の例では、網目状スクリーン延在部602は対称的である。他の例では、網目状スクリーン延在部602は非対称的である。例えば、網目状スクリーン延在部602のいずれかの端における結合特徴部604は異なり得る(例えば、1つの結合特徴部はコイル区間104に付着するように適合され、異なる結合特徴部は送達プッシャに付着するように適合され得る)。
【0039】
動作中、塞栓装置100は、マイクロカテーテルを使用して血管障害内に導入、送達、位置決め、および埋め込みされ得る。マイクロカテーテルは、例えば0.016インチから0.021インチの間の内径を有する、柔軟な小さい直径のカテーテルであり得る。マイクロカテーテルは、患者の大腿動脈または鼠径部の領域に配置される導入シース/案内カテーテルの組み合わせによって導入され得る。一部の例では、マイクロカテーテルは、案内ワイヤ(例えば、曲がりくねった血管内で前進させられるように設計されたより柔軟な遠位ワイヤ区域を伴う長い捩じり可能な近位ワイヤ区域)によって血管障害へと案内される。このような案内ワイヤは、蛍光透視法を用いて視認可能にすることができ、最初に血管障害に接近するために使用でき、それによってマイクロカテーテルを案内ワイヤにわたって障害の中に前進させることができる。
【0040】
一部の例では、マイクロカテーテルの先端が血管障害に接近すると、案内ワイヤはカテーテルルーメンから取り外される。次に、塞栓装置100は、マイクロカテーテルの近位の開放端へと配置され、送達機構によってマイクロカテーテルを通じて前進させられ得る。塞栓装置100は、マイクロカテーテルのルーメン内に配置される一方で、真っ直ぐにされた形態を取り得る。例えば、コイル区間104は、カテーテルルーメン内に合うように真っ直ぐにされ得る。一部の場合では、網目状スクリーン区域102は、マイクロカテーテルのルーメン内に合うように、丸められ得るか、折り畳まれ得るか、またはその他の方法で圧縮され得る(例としてマイクロカテーテルが符号702で特定される
図7を参照されたい)。使用者(例えば、医師)は、障害内での塞栓装置100の所望の位置を得るために、塞栓装置100を数回にわたって前進および/または後退させることができる。一部の場合では、網目状スクリーン区間102は、隣接するコイル区間104によって案内されて押され得る。塞栓装置100が満足に位置決めされると、障害の中に解放され得る。
【0041】
解放されると、塞栓装置100は二次的な形状を形成できる。一部の例では、展開時の血管障害への二次的な形状の形成は、塞栓装置100の少なくとも一部分(例えば、コンプライアンス区域104)を形成するために使用される材料(例えば、ニチノール)の形状記憶の性質によって引き起こされる。概して、二次的な形状は、動脈瘤を治療するために望ましい任意の形状であり得る。例えば、形は、動脈瘤の治療にとって望ましいことがあるように、動脈瘤のネックにわたって配置される多孔性区域102と、動脈瘤空洞の中間において、および/または、動脈瘤空洞の内壁に沿って配置されるコンプライアンス区域104とを含み得る。二次的な形へと形成された塞栓装置100の例の形は、
図8A~
図8Mに示されている。画像8C~8Mでは、画像は、塞栓装置100がマイクロカテーテル702から展開されているところを描写している。画像8H~8Mでは、画像は、ガラスのモデルの動脈瘤嚢802内での展開の様々な段階における塞栓装置100を描写しており、このモデルは、体内の動脈瘤の環境を模している。
【0042】
様々な実施形態において、塞栓装置100は、従来の装置より効果的な様式で送達される。例えば、従来の編組装置を送達するための現在の技術は、通例、マイクロカテーテルを動脈瘤のネックにおいて(つまり、動脈瘤空洞内ではない)直接的に配置させる必要がある脱離帯域を有する。第1の装置が解放されると、第1の装置は動脈瘤のネックを塞ぎ、例えば追加の装置/コイルを配置するためなどの動脈瘤の空洞への再接近を妨げる。これは、追加の装置で補うことができない完璧な大きさの装置を医師が選択することを必要とし、これは困難である可能性があり、多くの場合は使用できない。
【0043】
本発明の様々な実施形態がこの問題に解決策を提供する。具体的には、塞栓装置100は、その全長に沿って所望の多孔性を達成するために必要とされる大きな材料密度を含まないため、マイクロカテーテルは、塞栓装置100を脱離するために動脈瘤空洞内に直接的に配置できる。第1の装置100が展開された後、マイクロカテーテルは動脈瘤空洞内に残ることができ、そのため、追加の装置/コイルが、マイクロカテーテルを除去または再位置決めする必要なく送達できる。これによって、医師は、動脈瘤を「包む」、および/または、塞栓装置100を安定化させる必要があり得る追加の装置/コイルを容易に挿入することができる。この機能性は、塞栓装置100が完璧な大きさとされる必要性を軽減し、それによって塞栓装置100をより頻繁に使用して、塞栓装置100で多くの数の動脈瘤/血管障害を治療することを可能にする。
【0044】
様々な実施形態において、コンプライアンス区域104を塞栓装置100に含める結果、塞栓装置100が従来の編組装置よりも純粋な裸白金コイルに似た挙動をするようになる。概して、塞栓装置100の機械的な挙動および展開は、従来の編組装置よりも純粋な裸白金コイルの機械的な挙動および展開にはるかに近い。これは、多くの医師が、裸白金コイルを送達する感覚を、既知の従来の訓練および経験で精通していると考えるため、有利であり得る。したがって、本出願において記載されている塞栓装置100は、従来の編組装置より、医師が用いるのに容易であり得る。一部の実施形態において、塞栓装置100は、例えば蛍
光透視撮像に曝されるとき、塞栓装置100の視認性を増加させ、送達の間に安全性を向上させることができる放射線不透過区域(例えば、コイル区間104)を備える。従来の編組装置に放射線不透過区域を備えることは、はるかにより困難である。
【0045】
本発明の他の態様は概して、塞栓装置100を製造する方法に関する。概して、方法は、塞栓装置は、第1のコイル区間および第2のコイル区間を形成するステップと、網目状スクリーン区間を形成するステップと、網目状スクリーン区間を、塞栓装置の長さに沿って第1のコイル区間と第2のコイル区間との間に結合するステップとを含み得る。装置の構成要素は、立証されている生態適合性材料と、公知の製造工程および技術とを用いて製造され得る。例えば、前述しているように、コイル区間104はワイヤを螺旋状に巻回することによって形成でき、網目状スクリーン区間102は、標準的な結合技術(例えば、接着剤、溶接など)、除去製造技術、および/またはそれらの組み合わせを用いて形成できる。網目状スクリーン区間102は、前述したように、網目状スクリーン延在部602または他の技術を用いてコイル区間104に付着させられ得る。
【0046】
本発明の特定の実施形態を記載してきたが、本明細書で開示されている概念を組み込んでいる他の実施形態が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用できることは、当業者に明らかである。したがって、記載されている実施形態は、すべての点において、単なる例示であって制限的ではないとして考慮されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1、2、3、4、5、6、7 層
100 塞栓装置
101 小孔
102 多孔性区域、網目状スクリーン区間
104 コンプライアンス区域、コイル区間
108 厚さを貫く穿孔
302 隙間
304、306 結合部
402、404、406 層
602 網目状スクリーン延在部
604 結合特徴部
702 マイクロカテーテル
802 動脈瘤嚢
902 ループ
904 ワイヤ