(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016585
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】室内装飾プランの可視提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20230126BHJP
G06T 11/80 20060101ALI20230126BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20230126BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06T11/80 A
G06F3/0484 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121009
(22)【出願日】2021-07-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521322166
【氏名又は名称】株式会社コイケ
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 哲生
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA07
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5E555AA52
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5E555CC03
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5E555DC26
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5E555DC64
5E555DD01
5E555EA12
5E555FA00
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】 いわばクライアントを主体として、その嗜好に充分合わせた実居室内を、簡便かつ再現性を高めて実現できるようにした、室内装飾プランの可視提案システムを開発することを技術課題とした。
【解決手段】 本発明の室内装飾プランの可視提案システムSは、ネットワークNを介したプログラムSWによって、クライアントUの室内装飾に関する施工要望の入力に対応して、好適な装飾仕様を出力提案するシステムであって、このシステムにおけるプログラムSWは、対象室内情報提供ステップs1と、装飾嗜好入力ステップs2と、装飾要素提示選択ステップs3と可視表示提案ステップs4とを含むものであることを特徴として成るものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介したプログラムによって、クライアントの室内装飾に関する施工要望の入力に対応して、好適な装飾仕様を出力提案するシステムであって、
このシステムにおけるプログラムは
対象室内情報提供ステップと、
装飾嗜好入力ステップと、
装飾要素提示選択ステップと
可視表示提案ステップと
を含むものであり、
前記対象室内情報提供ステップは、クライアントが施工要望する対象室内を、写像し、この原対象室内画像を二値データとしてシステム上に入力することができる選択肢を含む対象室内に関する情報が入力されるものであり、
続く装飾嗜好入力ステップは、クライアントの装飾嗜好を示す装飾嗜好情報を決定入力されるものであり、
続く前記装飾要素提示選択ステップは、いくつかの装飾要素ごとに複数のサンプルを提示して、複数提示された装飾要素をクライアントが好みに応じて選択指定するものであり、
続く可視表示提案ステップは、前記装飾要素選択ステップにおいてクライアントにより選択された装飾要素を原対象室内画像内に具現表示した上で、クライアントに可視状態で表示した合成画像によって提案するものであることを特徴とする室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項2】
前記対象室内情報提供ステップにおける原対象室内画像は、装飾要素が施される領域に対して正面視した状態になるようなレイアウトであることを特徴とする請求項1記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項3】
前記対象室内情報提供ステップにおいて原対象室内画像を入力するにあたっては、装飾要素が具現表示される領域の基準を示すガイドマーカと、原対象室内画像の装飾要素が施される位置、範囲、大きさとを一致させるように原対象室内画像の位置と縮尺の変更を調整させて入力を行うことを特徴とする請求項1または2記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項4】
前記装飾嗜好入力ステップは、クライアントが装飾嗜好についての言語表示による入力、又はクライアントが提供した原対象室内画像に基づいた装飾嗜好の入力のいずれか一方、または双方であることを特徴とする請求項1、2または3記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項5】
前記可視表示提案ステップにおいては、色彩要素に関し、純色彩データに対し室内における生活位置を考慮した目視状態を再現した色調となるように、感応補正処理を行ったデータにより画像表示することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項6】
前記装飾仕様は、カーテンを対象とするものであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項7】
前記対象室内情報提供ステップ、前記装飾嗜好入力ステップ、前記装飾要素提示選択ステップ、前記可視表示提案ステップに至る各ステップのすべてまたは一部のステップ内には、コンサルティングステップを含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項8】
前記コンサルティングステップでのクライアントからの相談対応は、予想される相談に対する予め設定されたウェブ内における自動応談と、専門スタッフとのウェブを介した対人応答相談とのいずれか一方または双方であることを特徴とする請求項7記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【請求項9】
前記室内装飾プランの可視提案システムにおいて、前記対象室内情報提供ステップの中で入力された原対象室内画像、前記可視表示提案ステップの中で装飾要素を原対象室内画像内に具現表示した合成画像の双方については、クライアントが当該システムを終了し、切断すると直ちに当該システムの記憶装置から消去され、また装飾嗜好入力ステップの中で入力された装飾嗜好情報についてはクライアントの個人を特定することが出来ない内容に限って保存されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の室内装飾プランの可視提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカーテン等の室内装飾について、クライアントの要望を自然な形で目視再現できるようにした室内装飾プランの可視提案システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
居住室内のいわゆる模様替えの一つとして、カーテンの交換、新替等が行われている。この際多くの場合、クライアントは小片化されたサンプル生地を、見ながら、気に入ったものを選択して装飾仕様を決定し、その後は施工業者に多くを任せ、その完成を待つような形態が採られている。
しかしながら、色彩についてみると、小片化されたサンプル生地からの好印象が得られていたとしても、カーテン全体として構成されたときには、必ずしも希望する色調でなかったり、周囲の家具、壁、床、等との色合いとの調和を欠いたり、更にはカーテンであることに因み“ひだ”の醸し出す陰影模様が充分に活かされてなかったりというように、所期の期待から外れることも少なくなかった。
【0003】
このようなことからカーテンをはじめとする室内装飾仕様を選択するにあたり、疑似的に確認できるシミュレーションシステムも提供されている。
しかしながらこれらの多くは、設計者、デザイナーの創作を支援するいわばプロ用のツールであり、予め用意された画像あるいは設計された模擬的な室内空間に対し、色彩模様を貼り付けるCGを用いる手法に留まり、クライアントが生活する実空間の様相に必ずしも適合したものが得られないことも多い。
もちろんユーザが提供した実際の装飾対象、リフォーム対象の室内を撮影した写真に所望の装飾素材を嵌め込むような本格的なシミュレーションツールも提供されているが使い勝手の点で未だに改良の余地があった(先行技術文献1、2)。
特にこのような室内写真に予め記録された素材を適宜の位置に嵌め込もうとすると、その位置や、斜め方向からの撮影による歪みなどをユーザがその都度、パソコンを用いて正確に補正する作業を行っていた。
もちろん近年の高性能なスマートフォン、タブレット端末からタッチパネルを介して当て嵌め作業を行うものも提案されているものの、必ずしも容易に利用できるものでもない(先行技術文献3)。
特にカーテンの場合にあっては、カーテン特有のひだが存在しており、このひだについて陰影や色の濃淡でその存在を示している。先行技術文献1、2、3のように取付部の窓が斜視状態で撮影した写真にカーテン素材の画像を合成する場合、予め正面方向から撮影された画像を無理やり、斜めから撮影した画像を変形させて貼付合成するため、カーテンのひだが不自然に斜め方向に最頂点部が向いた画像となり、どことなく不自然な表現に陥ってしまう問題があった。
【0004】
更に一方で、インテリアデザイナーなどの専門家に限らず、一般の顧客に向けたシミュレーションツールも提案されている(先行技術文献4)。しかしながら、このものはインテリアデザイナーのような専門的な修飾用語を用いることなく、一般に用いられている、いわゆる擬態語、擬音語のようなオノマトペを入力して、装飾用要素を提案し、イメージ画像を表示するものがある。
しかしながらこのようなものは、必ずしも微妙なニュアンスの装飾嗜好を適切に表現できるものではなく、表現に用いる言葉の数の多寡やオノマトペによる表現との親和性によってユーザの要望に近づけるか否かが決まってしまい、そのような言葉では十分に表現できない複雑乃至は分類が難しい微妙なカテゴリーのコーディネートを提案することができない。
【0005】
加えて色彩要素について云えば、色彩ごとの電子データは、極めて微視的な解析のものにRGB表現を用いて再現されていると共に、一定の画素数のスクリーン上でこれを表示しており、このことから実際の室内における居住空間内で、肉眼で視た状況を正確に反映できていない。
即ち肉眼で視た状態は、ディスプレイ上の色彩より、いわば適度にあいまい乃至はぼやけたような視覚的に馴染んだ印象となる。これに対してディスプレイ上の表現では、このようないわば視覚的に馴染んだような状態での再現がされておらず、忠実に再現しようとして過剰に模様等の存在感が増したり、模様等の存在自体を認識できなくなったりするなど、その結果として実製品の施工後、クライアントが違和感を持ってしまうことも予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-352259号公報
【特許文献2】特開2003-157290号公報
【特許文献3】特開2019-125262号公報
【特許文献4】特許第6864920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景を考慮してなされたものであって、いわばクライアントを主体として、その嗜好に充分合わせた実居室内を、簡便かつ再現性を高めて実現できるようにした、室内装飾プランの可視提案システムを開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の室内装飾プランの可視提案システムは、ネットワークを介したプログラムによって、クライアントの室内装飾に関する施工要望の入力に対応して、好適な装飾仕様を出力提案するシステムであって、
このシステムにおけるプログラムは
対象室内情報提供ステップと、
装飾嗜好入力ステップと、
装飾要素提示選択ステップと
可視表示提案ステップと
を含むものであり、
前記対象室内情報提供ステップは、クライアントが施工要望する対象室内を、写像し、この原対象室内画像を二値データとしてシステム上に入力することができる選択肢を含む対象室内に関する情報が入力されるものであり、
前記装飾嗜好入力ステップは、クライアントの装飾嗜好を示す装飾嗜好情報を決定入力されるものであり、
続く前記装飾要素提示選択ステップは、いくつかの装飾要素ごとに複数のサンプルを提示して、複数提示された装飾要素をクライアントが好みに応じて選択指定するものであり、
続く可視表示提案ステップは、前記装飾要素選択ステップにおいてクライアントにより選択された装飾要素を原対象室内画像内に具現表示した上で、クライアントに可視状態で表示した合成画像によって提案するものであることを特徴として成るものである。
【0009】
請求項2記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1記載の要件に加え、前記対象室内情報提供ステップにおける原対象室内画像は、装飾要素が施される領域に対して正面視した状態になるようなレイアウトであることを特徴として成るものである。
【0010】
請求項3記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記対象室内情報提供ステップにおいて原対象室内画像を入力するにあたっては、装飾要素が具現表示される領域の基準を示すガイドマーカと、原対象室内画像の装飾要素が施される位置、範囲、大きさとを一致させるように原対象室内画像の位置と縮尺の変更を調整させて入力を行うことを特徴として成るものである。
【0011】
請求項4記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記装飾嗜好入力ステップについては、クライアントが装飾嗜好についての言語表示による入力、またはクライアントが提供した画像データもしくは予め記録されている画像データを加工した画像データに基づいた装飾嗜好の入力のいずれか一方、または双方であることを特徴として成るものである。
【0012】
請求項5記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記可視表示提案ステップにおいては、色彩要素に関し、純色彩データに対し室内における生活位置を考慮した目視状態を再現した色調となるように、感応補正処理を行ったデータにより画像表示することを特徴として成るものである。
【0013】
請求項6記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1、2、3、4または5記載の要件に加え、前記装飾仕様は、カーテンを対象とするものであることを特徴として成るものである。
【0014】
請求項7記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1、2、3、4、5または6記載の要件に加え、前記対象室内情報提供ステップから、可視表示提案ステップに至る各ステップのすべてまたは一部のステップ内には、コンサルティングステップを含むことを特徴として成るものである。
【0015】
請求項8記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項7記載の要件に加え、前記コンサルティングステップでのクライアントからの相談対応は、予想される相談に対する予め設定されたウェブ内における自動応談と、専門スタッフとのウェブを介した対人応答相談とのいずれか一方または双方であることを特徴として成るものである。
【0016】
請求項9記載の室内装飾プランの可視提案システムは、前記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の要件に加え、前記室内装飾プランの可視提案システムにおいて、前記対象室内情報提供ステップの中で入力された原対象室内画像、前記可視表示提案ステップの中で装飾要素を原対象室内画像内に具現表示した合成画像の双方については、クライアントが当該システムを終了し、切断すると直ちに当該システムの記憶装置から消去され、また装飾嗜好入力ステップの中で入力された装飾嗜好情報についてはクライアントの個人を特定することができない内容に限って保存されることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、クライアントがネットワークを介して操作するだけで、希望する室内装飾の態様を現実感覚を伴って見とれることができる画面上の装飾表示が得られる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、現実感覚を伴った室内装飾の態様画像を作成するに最適なレイアウトの写真(原対象室内画像)を用いることで、予め用意されている装飾要素の画像データを合成するための領域指定や、傾き補正などの複雑な操作を簡略して再現性の高い合成画像による表示が得られる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、現実感覚を伴った室内装飾の態様画像を作成するに最適なレイアウトの写真(原対象室内画像)をガイドマーカを用いて、予め用意されている装飾要素の画像データを合成するための領域に対して適切に位置させることができるので、複雑な操作を簡略して再現性の高い合成画像による表示が得られる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、複数の方法で装飾嗜好を指定することから、本システムは、クライアントが希望する室内装飾の方向性や、テーマなどの漠然とした意図を汲み取ることができ、クライアントが伝え難いニュアンスの装飾嗜好であっても適切に提案することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、可視表示提案ステップにおいて、表示される画面は、感応補正処理が行われているものであり、画面上の表示が、人の視覚に適合した状態となっており、希望した装飾態様と、施工結果との違和感が生じない。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、装飾仕様は、カーテンを対象とするものであり、カーテンは室内における装飾要素として大きな影響を与えるものであるから、装飾効果を充分に発揮できる提案が得られる。
【0023】
請求項7又は8記載の発明によれば、対象室内情報提供ステップから、可視表示提案ステップに至るステップ内にコンサルティングステップを含むものであり、クライアントが、装飾要素を決定する段階に応じて、種々の相談を行うことができる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、個人的な情報を多く含んだ原対象室内画像や合成画像をクライアントが当該システムを終了し切断すると直ちに当該システムの記憶装置から消去されことから、万が一システムのバグや、第三者からのシステムの乗っ取り等の悪意のある攻撃を受けても、個人的な情報である室内に関する画像が保存されていないのでデータ流出の被害を未然に防ぐことができる。
同様に装飾嗜好入力ステップの中で入力された装飾嗜好情報についてはクライアントの個人を特定することができない内容に限って保存されることから、データ流出が万が一発生したとしても、個人を特定できるデータがなく、被害を最小限に抑えることができる。これらのようなデータ流出対策を十分に行っていることで、クライアントは、本システムを安心して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の室内装飾プランの可視提案システムを示す概念図である。
【
図3-1】(1)は、同システムを示すオープニングの画面状態を示す図であり、(2)は、原対象室内画像を示す図である。
【
図3-2】同システムが可視提案する際に表示する合成画像を示す図である。
【
図4-1】同システムの対象室内情報提供ステップs1の写真画像を用いる場合の操作画面を示す図である。
【
図4-2】同システムの対象室内情報提供ステップs1のCG画像を用いる場合の操作画面を示す図である。
【
図5-1】同システムの装飾嗜好情報入力ステップs2の色の入力について操作画面を示す図である。
【
図5-2】同システムの装飾嗜好情報入力ステップs2のデザインテイストの入力について操作画面を示す図である。
【
図5-3】同システムの装飾嗜好情報入力ステップs2のカーテンの機能の入力について操作画面を示す図である。
【
図5-4】同システムの装飾嗜好情報入力ステップs2のレースの機能の入力について操作画面を示す図である。
【
図6】同システムの装飾要素提案選択ステップs3の提案画面と選択画面を示す図である。
【
図7】同システムの可視表示提案ステップs4で示す合成画像Pを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態は、以下の実施例に述べる形態を一つの好適な実施形態とするものであり、更にこの技術思想において種々の技術的改変または付加が可能である。
本発明の室内装飾プランの可視提案システムSは、ネットワークN上に接続されたサーバMの記録装置STに記録されて実行され、ネットワークNを介して提供されるプログラムSWとして、クライアントUの室内装飾に関する施工要望の入力に対応して、好適な装飾仕様を出力提案するものである。
この室内装飾プランの可視提案システムSにおけるプログラムSWは、対象室内情報提供ステップs1と、装飾嗜好入力ステップs2と、装飾要素提示選択ステップs3と、可視表示提案ステップs4とを含む。
【0027】
そして前記対象室内情報提供ステップs1は、クライアントUが施工要望する対象室内を情報端末Tのデジカメ機能等で写像した画像、または予め記録されたCGによる画像や室内写真などを二値データの原対象室内画像p0としてシステム上の記録装置STに入力し、保存する。もちろんクライアントU側の情報端末T上で実行されるアプリケーションが管理するメモリ内に一時的に保存する簡易的な手段をとっても差し支えない。
次の装飾嗜好入力ステップs2は、クライアントUが画面上に提示された装飾要素についての好み・希望を現した装飾嗜好を判別するための情報(装飾嗜好情報i1)を入力する。
次の装飾要素提示選択ステップs3は、クライアントUから入力された装飾嗜好情報i1を考慮して抽出した装飾要素を提示し、クライアントUがその中から好みに応じて選択指定するものである。
次に続く最終ステップとなる前記可視表示提案ステップs4は、前記装飾要素提示選択ステップs3においてクライアントUにより選択された装飾要素データIeを、原対象室内画像p0内に具現表示した上で、クライアントUに可視状態とした合成画像Pとして表示提案するものである。
【0028】
以下、更に詳しく説明する。
まず本発明の室内装飾プランの可視提案システムSは、いわばクライアントUが積極的にネットワーク、例えばインターネットウェブを介して操作し、そのクライアントUの個別の室内装飾に好適な装飾仕様を合成画像Pとして提案するものである。
まず、対象室内情報提供ステップs1における必須の入力項目としては、クライアントUが施工を要望する自身の対象室内状況を原対象室内画像p0の2値データとしてシステム内に入力する。
システム内への入力にあたっては、
図3-1(1)に示すようにいくつかの選択肢が用意されるが、その代表的な選択肢としては、例えば、
図3-1(2)に示すようにスマートフォン、デジタルカメラにより撮影し、この写像した原対象室内画像p0を二値データとして入力するものである。
これ以外の選択肢としては、例えば新築建物や入居予定の建物のように生活必需品が写り込んでない内装について本システムを利用する場合である。例えば建築設計を行ったハウスメーカなどが予め作成した室内写真データや、CGによる室内画像データなどを原対象室内画像p0として入力するものがある。
【0029】
このシステムへ2値データの入力操作を完了した後は、
図3-2に示すような最終的な可視表示提案ステップs4における装飾要素の画像データの嵌め込み合成して忠実に再現した合成画像Pの作成を行うために補正作業を行う。
具体的な補正作業とは、
図4-1に示すような画面上に固定表示された装飾要素の画像を、嵌め込み位置を予測するガイドマーカ(図中の太い実線部)を目標として、原対象室内画像p0の適宜移動させたり、画像の縮尺を変更したりして、原対象室内画像p0の嵌め込み位置(図中太い破線部)を一致させるようにする。これにより本システムは、所望の装飾要素データIeをどの位置にどの大きさで嵌め込み合成を行うべきかを判断することができる。
本実施例においては、
図4-1に示すようにカーテンを装飾要素としており、その場合の手順について説明する。まず入力を行う画面内の上面のレイヤーに、一例としてカーテンを吊設するためのカーテンレールを模したガイドマーカ(図中の太い実線部)を中央付近に配した画像を固定表示する。そしてその下面レイヤーに配される原対象室内画像p0については、移動操作、拡大縮小操作が可能な状態で配置する。そしてクライアントUは、下面レイヤーに配された原対象室内画像p0のカーテンレールが設置される位置(図中太い破線部)を、最上面のレイヤー中に表示されたガイドマーカであるカーテンレールの形をしたガイドマーカ(図中の太い実線部)と、位置と大きさを一致させるために、位置の移動、縮尺の変更を行う。言い換えれば、本システムが描画するエリアに、原対象室内画像p0の位置、大きさの2つを合わせることで、複雑な操作を不要とした点に特徴がある。
【0030】
このような室内情報提供ステップs1にあっては、第一義的には室内の実画像、即ち原対象室内画像である。
これに対して予め記録されているCG画像を用いる場合には、実画像のような提案を行うための判定要素(ヒント)が不足しているために、詳細な判定要素となる装飾嗜好情報i1の一部となる画像内容補足情報i1′を適宜付加する必要がある。具体的には、
図4-2に示すようにシステムをより正確に稼働させるために、部屋タイプ、家具の状況、窓形状、床カラー、壁カラー、カーテンレールの状況等の補足的な画像内容補足情報i1′を入力する。
【0031】
そしてクライアントU自身で装飾嗜好を積極的に指定するため、システム側で予め用意したデザインコンセプトを示すデザイン用語による選択肢や、更には装飾デザインのコンセプトとなるキーワードやフレーズを入力するなどして、装飾嗜好をシステム側に理解させる。
(色の指定)
まず
図5-1に示すように装飾嗜好の主要な要素である色に関する種々の情報をシステム側に入力する。具体的には、好みの色、色相、彩度、明度などをカラーチャート、RGB値やCMYK値などの種々の値による色彩表現、塗料メーカなどの色指定の番号などを用いて指定する。この他に、実画像内に含まれる物品等の像から抽出した色を指定することも可能である。また装飾要素のサンプルから選択することも可能である。
【0032】
(テイストの指定)
更にこのようなクライアントUの色彩の嗜好の選択と共に、いわゆるテイストの嗜好についても、クライアントUの要望を受け入れることができる。例えば
図5-1に示すように「自然なテイスト」「シンプルな好み」あるいは、「クラッシック調」「北欧調」といったように、かなりあいまいな印象を持っているテイストについて、多数サンプル画像を示してそのテイストのイメージを把握した上で選択させるようにすることもできる。クライアントUが複数のテイストが融合したインテリアデザインを希望する場合には、複数のテイストを適宜選択することができるようにしてもよい。
【0033】
加えて図示は省略するが、判別するための装飾嗜好情報i1に追加する実画像であっても十分に把握できない情報(環境属性情報i2)としては、例えばカーテンを施す窓の設置されている向き、例えば東西南北のどの方向であるか等の情報であり、これらを入力することにより太陽光等の影響があることを考慮した提案を期待できる。
【0034】
また更に窓の外の外部環境についても環境属性情報i2として入力することができる。
例えば、窓外に自然景観が得られているか、隣家と接近しているか、等を参考情報とする。更に接近した隣家における外壁の色彩情報等も環境属性情報i2となり得る。
また更に家族構成等についても環境属性情報i2となり得る。即ち比較的高齢者が多い場合、希望する色彩の中であってもいわば、落ち着いたトーンを選択したりすることがより好ましい場合もあり、このような推定に当って、種々の環境属性情報i2を考慮して適宜の装飾要素の選択・提案が行いえる。また将来、室内を転用する等の見込みがある程度予想されれば、転用後にも違和感のない装飾仕様の選択が可能となる。
【0035】
更にクライアントUから提供された現状の室内実画像について、クライアントU側が更に現状変更の要望がある場合は、その要望を入力する。例えば、内部の家具について変更を行う、あるいはその色彩について変更する等の予定、あるいは現実にしつらえている家具の色彩嗜好に必ずしもあっていない場合、どのような変更等を要望するか等を環境属性情報i2として入力することもできる。
このように対象室内情報提供ステップs1と装飾嗜好入力ステップs2とで得られた装飾嗜好情報i1、画像内容補足情報i1′、環境属性情報i2は、以後の好適な装飾仕様を決定する上で、基本的かつ重要な情報となる。
【0036】
なおクライアントU自らにより、装飾嗜好情報i1、環境属性情報i2などの入力が行われた後、続くネットワークNに接続されたサーバMなどにおいて、得られた装飾嗜好情報i1、環境属性情報i2などの内容に基づいて、既知の色彩心理学等を考慮してクライアントUの嗜好を判断する。その際に断片的な装飾嗜好などの情報から、システム側が統計的な経験則に因んで、クライアントUの嗜好を推定しておくこともできる。
【0037】
続く装飾要素提示選択ステップs3においては、候補となり得る色彩要素を提案する。即ちクライアントUの入力した各種要望にダイレクトに答えるように、具体的には機能、色彩、模様に関して合致すると思われる、予めサーバMの記録装置内に記録されたサンプルを適宜提案する。
この装飾要素の提案は、
図6に示すように基本的にはクライアントU自身が入力した装飾嗜好情報i1、環境属性情報i2に基づいて色彩チャートや、予めサーバMの記録装置内に記録された装飾要素の実画像を示す。
これらに加えてクライアントU側の入力情報から抽出された装飾要素の提案以外にも、例えばインテリアデザインのコンセプトを同じくしたものであるが、クライアントUが所望する色彩を異なるもの、すなわちクライアントUが気づいていない、インテリアデザイナーの経験則による他のコーディネートを提示させることも可能である。
これら装飾要素の提案は、画面上に複数のサンプルを同時提示しても良いし、順次サンプルごと、スクリーン変更するような、いわゆるスライド表示的な表示であってもよい。いくつかの候補を同時に提示するときには、クライアントUとしてはその比較ができる点で好ましい。またスライド表示の場合は画面上に大きく表示するものであり、提案内容と現実の施工予想との違和感の差が少なくなる点で好ましい。
【0038】
図6に示すようにクライアントUは、このような装飾要素に関する提案に基づき、嗜好に合うサンプルを適宜にクリックする。このクリックに当っては特にサンプルに順位付けすることはなく、一又は複数のサンプルを選択するほか、順位付けしてクライアントUの嗜好に合うデザインを順次意思表示するようにしてもよい。
【0039】
このようにクライアントUの装飾要素(カーテンなど)の選択を得た後、次の可視表示提案ステップs4では、要望に実現した画像を提示する。この画像提示は、予め対象室内情報提供ステップs1の中で装飾要素データIeを嵌め込み位置を指定しているので、例えば予めガイドマーカに合わせて入力しておいた室内における窓の部位にカーテンとして実現したように画像が自動で適切な位置で嵌め込まれる。この結果、
図7に示すようにクライアントUの対象室内に希望のカーテンを施工したかのような感応補正処理を行った合成画像Pによって提案する。
【0040】
この時に提案する装飾要素は、例えばカーテン生地のサンプルと呼ばれる小片に基づいて色彩、柄、模様をタイル状としてRGB表現をはじめとする種々の色彩表現方法を用いた詳細な画像データ、ベクトルデータとしてサーバMの記録装置に記録されている。
このようなタイル状の画像データをそのままのクライアントUが撮像した実画像に縮小するなどリサイズして当て嵌めて表示した場合では、その装飾要素のイメージが、いわば実生活上の肉眼で視る状態との間で大きな差が生じてこともある。このため補正要素として肉眼で視た場合を想定して、色彩補正を行った状態で画像表示する。
例えばカーテンは、縦糸と横糸とを織り込んで模様や色彩の階調を表現しているが、縦糸、横糸の一方のみの色を再現した場合、一方の糸のみを表面に露呈させることはできず、織物を構成するために、一定の頻度で他方の糸が表面に必ず現れてしまう。こういった構造的な要請によるデザイン的に望まない糸の色が表面に現れた時に、この色を人為的な模様の要素と捕らえるか、単なる構造上によるデザイン目線では、単なるノイズ的なものなのかを判断することは、通常の画像処理を用いたのでは容易ではない。
このため本システムでは、カーテンであれば、生地に接近したミクロ的な見え方ではなく、一定の距離を置いて見た自然な印象に近づけるべく感応補正処理を行って、各装飾要素データIeを原対象室内情報p0に嵌込合成することとした。
【0041】
このような一連のステップによる処理が本発明での基本的な手法であるが、各ステップおいてクライアントUが自動回答、あるいはインテリアデザインの専門家による疑似対面的な助言を得るために、それぞれのステップ内にコンサルティングステップsCを設けることができる。
このコンサルティングステップsCは、例えば最終的な可視表示提案ステップにおける画像表示された合成画像Pに接したクライアントUが、これについての色彩の微調整、あるいは工費工期について、自動的にあるいは専門のインテリアデザイナーとのウェブコミュニケーション等により、助言を得ることができるステップである。また後述するが、合成画像Pを保存することで、後日改めて自分の都合の良い時間にコンサルティングステップsCのみを開始することも可能である。この場合は、例えばweb上でコンサルティングの予約を申し込む画面を表示させておくことも差し支えない。
【実施例0042】
以下、その具体的なシステム例としてカーテン装飾プランを決定するフローを図面の記載にしたがって説明する。なおこの例示はクライアントUの使い勝手を良くするよう、入力事項を最小限とするものであり、既に述べた実施の形態より簡略化されている。
I.ガイダンス表示
ガイダンスの表示とは、
図3-1(1)に示すような一例としてWeb上で実行されるシステムの場合、そのシステムへ誘導するWebページとして表示されたものである。このため本システムを検索してアクセスするクライアントUが、容易にたどり着けるように、頻使用ワードとして、「カーテン」「インテリア」「プラン」「窓」等のキーワードや画像を含めておくことが好ましい(
図3-1)。
【0043】
II.対象室内情報のクライアントUが側からの提示(対象室内情報提供ステップs1)
i)原対象室内画像p0の決定
まず、
図3-1(1)内の「(原対象室内画像p0である)背景を選んで下さい」の表示の下、三種の選択肢を表示する。
1つ目手法は、「写真から選ぶ」であり、これは、クライアントUが装飾希望する自らの部屋をデジタルカメラ、スマートフォン等で撮影したものを入力するものである。
他の2種は「CGから選ぶ」「サンプル画像から選ぶ」である。
まずクライアントUが「写真から選ぶ」を選択した場合として説明する。この場合は、クライアントU自ら撮影した対象室内画像をWeb上のシステムにアップロードして入力される。
なお本実施例においては、クライアントU自身が撮影した写真は、装飾要素の画像データを嵌め込む際の表示領域を変形させるなどの予備的な補正作業を要しないように、嵌め込み領域を正面視したように撮影したものとすることが好ましい。
もちろん正面視による撮影が難しい場合には、適宜の画像編集ソフトで補正した修正後の実撮影の画像を用いる。
【0044】
ii)「CGから選ぶ」を選択した場合の対象室内状況の入力
まずこのCG画像データに基づいて本システムを使用する場合は、CG画像データの内容によっては、部屋タイプ、家具、窓形サイズ、床、壁、カーテンレール、の各状況を示す内容が不足していることもある。このためクライアントU自身が、不足している状況を補足する内容を追加的に画像内容補足情報i1′として入力して装飾嗜好情報i1に付け加えることもできる。
図4-2に示すような実施例の操作画面では、部屋タイプでは一例としてリビング、寝室、子供部屋、が選択肢として示される。
また「家具」の選択肢は、一例として前記部屋タイプに予め含められた家具の色をタイプA~Eのように典型的な色彩として示される。
また「窓形状」は、一例として、腰窓、掃き出し(幅小)、掃き出し(幅大)、が選択肢として示される。
また「床」については、その色彩が示されるものであって、ホワイト、グレー、ナチュラル、ライトブラウン、ブラウン、ダークブラウンの6種が選択肢として提示される。
また「壁」については、同様に色彩が表示されホワイト、ブルーグリーン、ホワイトイエロー、等6種類ほどが選択肢として提示される。
「カーテンレール」は、機能性レール、装飾レール、カーテンボックスタイプが選択でき、且つそれぞれが、白からダークブラウンに至るいくつかのカラーチャートを選択肢として表示されている。
【0045】
III.装飾嗜好入力ステップ
i)色彩選択
色彩選択にあたっては、特に意思表示しないとする選択肢も用意される。
カラー選択にあたっては、
図5-1に示すようなパレットから、写真から、サンプルからの選択肢が示される。パレットは色彩チャートを示し、そこからクライアントUが好みの色を指定する。
また図示を省略するが、色彩チャートでは、好みを決定しにくいときには「写真から」を選択すると、いくつかの色調を含んだ写真が提示され、その写真中の色をカーソル指定する。「サンプル」は、具体的なカーテン地がいくつか表示され、それを選択する。
【0046】
ii)テイスト選択
テイスト選択にあたっても、意思表示しないとする選択肢も用意される。テイストとは、極めてあいまいであり、定義づけも難しい。従ってテイストごとに例えば、「ナチュラル」「シンプル」「ウォーターサイド」等のタイトルの下、それぞれ実例画像を複数提示する。
図5-2に示すようにこの実施例で挙げられたテイスト、カテゴリーの例を挙げると、ナチュラル、withグリーン、シンプル、ウォーターサイド、北欧、ヴィンテージ、クラッシック、エレガントクラシックモダン、シンプルモダン、無地等の言語による選択肢が挙げられる。
【0047】
iii)機能選択
更に機能についても、クライアントUの要望を選択入力する。この機能に関してもクライアントUは、積極的に選択しないとする選択肢も用意されている。
「機能」としては、
図5-3、
図5-4に示すように例えば装飾要素をカーテン・レースとした実施例においては、例えば「防炎」、「国産」、「欧米」、「形状加工」、「ウォッシャブル」「天然素材を含む」、「抗菌・制菌」、「遮光1級A++」、「遮光1級A+」、「遮光1級(A)~(C)」、「遮光2級」等の選択肢が表示される。
また装飾要素の一例であるカーテンの仕上がりにおいては、生地の使用量に応じて発現する“ひだ”の数によって、その印象も大きく異なるので、標準的、少な目、多めといった風にクライアントUの要望を入力することも望ましい。もちろんこの要望に応じて最終的な可視表示提案ステップs4における装飾要素の嵌め込み画像の生成を行う。
【0048】
iv)ブランド選択
「全てのブランド」の表示をクリックすると、A社、B社・・・と有名ブランドが適宜表示される。
【0049】
v)価格表示
クライアントUによる前記各ステップにおける選択に従って、価格が表示される。依頼者の予算に合わせた提案を行うための情報を入力することが好ましい。
【0050】
vi)コード入力決定
このステップでは、格別な「品番指定」があるが、品番指定無しで「決定」選択するかの表示がされる。詳細は後述するが、既に本システムを用いてシミュレーションを行い、その際に気に入った装飾要素のコード表示Ie′を入力するためのフォームである。これによって少なくとも次のステップで提案された装飾要素の一例として示される。
【0051】
IV.装飾要素提示選択ステップs3
前記装飾嗜好入力ステップs2で入力した情報に基づいて、一又は複数の装飾要素を適宜提案表示する。
図6に示すように、このように提示された装飾要素のうち、クライアントUが興味を示した装飾要素について決定する。
【0052】
V.可視表示提案ステップs4
このステップにおいて、前記「決定」選択がされると、
図7に示すように既に入力済の原対象室内画像p0におけるカーテンの位置に対して、選択された装飾要素データIeが含まれる装飾仕様が適用された合成画像Pを画面に表示する。
このとき、カーテンの閉じた状態、開いた状態、更にはカーテンのひだが多いもの、少ないものなどの状態を適宜再現した合成画像Pを表示することができる。
この時、システム内においてディスプレイ上の色彩表示に関し次のような補正が行われる。即ち居住者は、現実に室内で、常にカーテンの至近位置にいるわけではないことから、カーテンの実色彩とはわずかに異なった色彩として肉眼で認識している。このため、色彩要素に関しては、厳密なRGB表現をはじめとする種々の色彩表現による色彩データに対し、室内における生活位置を考慮した目視状態を再現した色調となるように、感応補正処理を行った合成画像Pにより表示する。
また装飾要素提示選択ステップs3の決定に基づいて可視表示提案ステップs4において表示されたシミュレーション結果を見たのちに、再度この装飾嗜好入力ステップs2に戻り、異なる提案をされた装飾要素を選択し、それらを比較する表示を行うことも可能である。
合成画像Pを比較表示した場合、その図面上で、最終的にクライアントUが望む装飾仕様の決定できるように操作画面を含めた表示とする。
【0053】
〔他の応用例〕
本発明の室内装飾プランは、以上述べたカーテンに通用することを典型的な対象とするが、室内における床、壁、天井、家具調度等にも適用することが可能である。
【0054】
《AIを用いた実施例》
なお上記の実施例においては、クライアントU自らにより、装飾嗜好情報i1や環境属性情報i2の入力が行われた後、続くコンピュータ内のCPU、クラウド等において得られた室内情報の内容から、既に色彩心理学等を基礎とするクライアントUの嗜好を推定するも含めて、所望の装飾要素を抽出している。
しかしながら、インテリアデザイン、空間デザインにおいては、デザインのコンセプトを言語で適切に表現することが必ずしも容易ではなく、複数の修飾語を組み合わせるなどしてより正確に表現乃至は分類を試みている。例えば、「新しい」を示した「ネオ」と、「古風なもの」を示した「クラシック」とを、組み合わせた「ネオ・クラッシク」という表現を用いて分類される派生したデザインコンセプトなども定義されたりして、このような日々変化する専門用語についての知識を有しない者にとっては、言語のみで自らの装飾嗜好を伝えることは不可能に近い。特にいずれのデザインコンセプトの要素を包含するような微妙なニュアンスを含めて伝えることは極めて難しいといえる。
このため対象室内情報提供ステップs1で入力された原対象室内画像p0を、AIを利用して、部屋の置かれた家具、壁紙、カーテン、装飾物、ポスターなどの各要素のデータなどを総合的に考慮して、クライアントUが好んでいる装飾嗜好を推察し、それに基づいた装飾要素の提示を行うことも可能である。
もちろん撮影された写真データのみならず、装飾嗜好入力ステップs2でクライアントUが自ら入力した装飾嗜好情報i 1、装飾嗜好情報i 1の一部として追加した環境属性情報i 2をも含めてAIを用いて装飾嗜好を推定することも可能である。
具体的には、実画像解析により、色調、例えば色彩が暖色系か寒色系か、あるいは更に色彩に関しブラウン系、白色系、濃色系等につき、室内全体に占める面積割合等を分析しクライアントUの嗜好を推定する。
このクライアントUの嗜好をAIにより推定した場合は、例えばマッチしたテイストを一又は複数を表示させたり、推定した嗜好傾向が強いと判断した色を一又は複数表示させるといったことも可能である。
このようなデザインテイストの判定は、AIによる判断ではあるものクライアントUが上手く表現できなかった嗜好に当てはまるテイストの表現や色を発見することができる。
もちろんAIの構築ベースは、インテリアデザイナーや空間デザイナーの経験値、知見の集積であり、現在ではかなりの適切な出力結果が得られている。これによりクライアントUは、今後このような表現を用いて嗜好に合わせた装飾要素の検討をより正確に行うことができる。
【0055】
《入力された画像のキャリブレーション機能について》
インテリアデザインや空間デザインにおいては、その色相、彩度などといった色の指定は、重要な要素となるが、通常撮影された写真においては、その色を正確に把握することは極めて難しい。正確な色を特定するのであれば、いわゆるホワイトバランスといった色補正を予め行ったり、その室内照明の特性を適切に把握したりするなどの準備が必要である。
しかしながら本発明においては、簡易に撮影した写真をシステムに入力して行うものであり、そのような厳格な写真撮影をクライアントU側に強いることは極めて難しい。
そこでクライアントUには、図示は省略するが、予め正確な色情報を有した物品(基準物品)を室内に置いた状態で撮影し、そのものをAIが認知し、そのものの正確な色を基準に写真全体の色を補正する機能を含めてもよい。この基準物品の一例としては、世界的に販売されている清涼飲料水などの容器、著名な化学調味料の容器、PPC用紙など、比較的に身近にある日用品などが考えられる。もちろんこのほかにも、例えばカラープリンタの性能を確認するために用いられる日本規格協会が策定するカラーチャートや、法律で色彩が指定されている表示板(消防法に規定される消火器の存在を示す標識、避難経路を表示する緑色の標識)なども適用することができる。
このような機能を追加することでクラインアントに過度の負担を課すことなく、簡易に撮影した写真データであってもクライアントUの嗜好を正確に判断することができる。
【0056】
《クライアントU側からの入力データの非保存運用》
本発明は、対象室内情報提供ステップs1でクライアントUの部屋等を撮影した原対象室内画像p0をシステム側に提供することで、その処理が開始される。しかしながら、自室の映像を他人の管理するシステムに提供し、保存されている場合には、万が一システム管理する者の不備により、その部屋等を撮影した原対象室内画像p0が外部に流出することも想定される。
通常のこのためシステムへ部屋等を撮影した原対象室内画像p0をアップロードして入力し、その後、可視表示提案ステップs4によりクライアントUが決定した装飾要素を原対象室内画像p0に嵌め込み合成した最終的な画像データを表示させたり、適宜その画像データをクライアントU側の端末等に保存したりした後に本システムの利用を終了させる。このシステムが、クライアントUの利用終了を確認した場合には、アップロードされた原対象室内画像p0のデータ、並びにその際にクライアントUと紐づけされた装飾嗜好情報i1などを直ちに削除する。
基本的には、本システムの利用は、一回限りでその操作が完結しており、再びそのシミュレーションを行いたい場合には、原対象室内画像p0を本システムの記録装置にあらためてアップロードするところから始める必要がある。
(再シミュレーション時の補助:非個人情報の引き継ぎ)
ただし個人的な情報とまでは言えないような装飾嗜好情報i1(例えば、希望のカーテンの色、メーカ、価格など)は、クッキーファイルと呼ばれるWebページ閲覧時に記録されるデータファイルに保存しておき、再度のシミュレーションを行う際にそのクッキーファイルを参照させることは可能である。
(再シミュレーション時の補助:提案された装飾要素のコード表示)
本システムにより提案された装飾要素のそれぞれには、ユニークなコード表示Ie′が付されて管理されている。このため装飾要素提示選択ステップs3で提示された装飾要素のそれぞれには、コード表記が付記されており、この上述したように再度のシミュレーションを行う際に、装飾嗜好情報i1の1つとして、このコード表記を入力することで、以前の提案されたもののうち気に入った装飾要素を、再び提案される装飾要素の一部に確実に含めさせることが可能となる。
【0057】
《対人コンサルティングへの円滑移行:合成画像Pの一部にコード表示》
更には、原対象室内画像内に具現表示された合成画像Pの一部に、その合成画像Pの正確な生成日時を、文字や2次元バーコードでタイムスタンプtを埋め込んでおくことができる。これによりクライアントU自らが、この正確な生成日時をシステムの運営者に伝えることでシステムの運営者は、個人を特定できない状態で保存されている利用者の操作ログとクライアントUと結び付けてアクセスすることができる。その結果、その操作ログと、クライアントUから提供された原対象室内画像p0、合成写真Pを見ながら専属スタッフと、より細かな打ち合わせを行うことが可能となる。
システムの運営者は、あくまでもクライアントUからの問い合わせがあって初めて操作ログと特定の利用者を結びつけることができるので、クライアントU側の個人情報漏洩の不安も解消できる。一方でクライアントUが名乗り出ることで円滑な対人的なコンサルティングを円滑に行える利便性も確保されている。