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特開2023-16590休憩施設誘導装置、交通管制システム、交通管制方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016590
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】休憩施設誘導装置、交通管制システム、交通管制方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20230126BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G08G1/09 C
G08G1/01 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121016
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大脇 一泰
(72)【発明者】
【氏名】小林 元
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181DD04
5H181EE12
5H181EE15
5H181EE18
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】通行止め発生時に通行止め発生付近の休憩施設の混雑を緩和し、本線上の渋滞も抑制する。
【解決手段】実施形態の休憩施設誘導装置は、複数の休憩施設が設けられた道路の交通管制を行う交通管制システムに用いられる休憩施設誘導装置であり、道路の交通状況を収集し、必要に応じて通行止めを行う交通管制処理部と、当該道路で通行止めを行っている地点より上流側に位置する休憩施設の混雑状況を取得する混雑状況取得部と、交通管制中央処理装置で通行止めの処理を行った時に、混雑状況が所定の混雑状況未満の混雑状況である休憩施設のうち、より通行止めの発生位置に近い一又は複数の休憩施設を車両を誘導する誘導対象休憩施設として設定する休憩施設設定部と、誘導対象休憩施設の上流側に位置する車両を当該休憩施設に誘導するための誘導情報を提示する誘導情報を作成する誘導情報作成部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の休憩施設が設けられた道路の交通管制を行う交通管制システムに用いられる休憩施設誘導装置において、
前記道路の交通状況を収集し、必要に応じて通行止めを行う交通管制処理部と、
当該道路で前記通行止めを行っている地点より上流側に位置する休憩施設の混雑状況を取得する混雑状況取得部と、
交通管制中央処理装置で通行止めの処理を行った時に、混雑状況が所定の混雑状況未満の混雑状況である前記休憩施設のうち、より前記通行止めの発生位置に近い一又は複数の休憩施設を車両を誘導する誘導対象休憩施設として設定する休憩施設設定部と、
前記誘導対象休憩施設の上流側に位置する車両を当該休憩施設に誘導するための誘導情報を提示する誘導情報を作成する誘導情報作成部と、
を備えた休憩施設誘導装置。
【請求項2】
前記誘導対象休憩施設の候補となる休憩施設の数が予め設定されており、
前記休憩施設設定部は、前記誘導対象休憩施設の候補となる休憩施設の数の範囲内で前記誘導対象休憩施設を設定する、
請求項1に記載の休憩施設誘導装置。
【請求項3】
前記休憩施設設定部は、前記誘導対象休憩施設の候補となる休憩施設は、前記通行止めの発生位置から所定距離範囲内に位置する休憩施設、あるいは、前記通行止めの発生位置から前記道路に沿って上流側に前記休憩施設を順番に数えた場合に所定順番以内の休憩施設とする、
請求項2に記載の休憩施設誘導装置。
【請求項4】
同時並行して前記車両を誘導する誘導前記誘導対象休憩施設の数が予め設定されており、
前記休憩施設設定部は、同時並行して前記車両を誘導する誘導前記誘導対象休憩施設の数の範囲内で、前記誘導対象休憩施設を設定する、
請求項2に記載の休憩施設誘導装置。
【請求項5】
前記誘導情報は、通行止めの深刻度が高いほど、強制力のある表現とする、
請求項1記載の休憩施設誘導装置。
【請求項6】
前記休憩施設設定部は、前記休憩施設の混雑状況として、実際の混雑状況、あるいは、所定時間後に予測される混雑状況のいずれかを用いる、
請求項1記載の休憩施設誘導装置。
【請求項7】
前記所定時間は、前記誘導対象休憩施設の候補となる休憩施設よりも一つ上流側に位置する休憩施設の直近の情報提供装置から前記誘導対象休憩施設の候補となる休憩施設まで車両が移動する所要時間に基づいて設定されている、
請求項6に記載の休憩施設誘導装置。
【請求項8】
複数の休憩施設が設けられた道路の交通管制を行う交通管制システムにおいて、
道路の混雑状況の情報を収集する交通情報収集装置と、
前記交通情報収集装置から交通情報の収集、天候や発生した交通イベントに応じた通行止めの設定、及び通行止めに関する情報提供を行う交通管制中央装置と、
前記休憩施設の混雑状況の情報を収集する休憩施設混雑情報収集部と、
通行止め発生時に前記休憩施設への誘導処理を行う休憩施設誘導装置と、
道路を走行している車両に対して前記休憩施設誘導装置で作成した誘導情報を提供する情報提供装置群とを、備え、
前記休憩施設誘導装置は、
当該道路の上流側で前記通行止めの発生地点より位置する休憩施設の混雑状況を前記休憩施設混雑情報収集部から取得する混雑状況取得部と、
前記交通管制中央装置で通行止めの処理を行った時に、混雑状況が所定の混雑状況未満の混雑状況である前記休憩施設のうち、より前記通行止めの発生位置に近い一又は複数の休憩施設を車両を誘導する誘導対象休憩施設として設定する休憩施設設定部と、
前記誘導対象休憩施設の上流側に位置する車両を当該休憩施設に誘導するための誘導情報を作成する誘導情報作成部と、
を備えた、
交通管制システム。
【請求項9】
道路の混雑状況の情報を収集する交通情報収集装置と、前記交通情報収集装置で収集した交通情報に基づいて、通行止めを含む交通管制及び情報提供を行う交通管制装置と、休憩施設の混雑状況の情報を収集する休憩施設混雑情報収集部と、休憩施設誘導処理を行う休憩施設誘導処理装置と、管制対象の道路を走行している車両に対して情報を提供する情報提供装置群と、を備え交通管制システムで実行される交通管制方法であって、
交通管制中央処理装置からの通知に基づいて、いずれかの道路において、通行止めが発生したことを検出した場合に、当該道路の上流側に位置する休憩施設の混雑状況を取得する過程と、
混雑状況が所定の混雑状況未満の混雑状況である前記休憩施設のうち、より前記通行止めの発生位置に近い一又は複数の休憩施設を車両を誘導する誘導対象休憩施設として設定する過程と、
前記誘導対象休憩施設の上流側に位置する車両を当該休憩施設に誘導するための誘導情報を作成する過程と、
を備えた交通管制方法。
【請求項10】
道路の混雑状況の情報を収集する交通情報収集装置と、前記交通情報収集装置で収集した交通情報に基づいて、通行止めを含む交通管制及び情報提供を行う交通管制装置と、休憩施設の混雑状況の情報を収集する休憩施設混雑情報収集部と、休憩施設誘導処理を行う休憩施設誘導処理装置と、管制対象の道路を走行している車両に対して情報を提供する情報提供装置群と、を備え交通管制システムをコンピュータにより制御するプログラムであって、
前記コンピュータを、
交通管制中央処理装置からの通知に基づいて、いずれかの道路において、通行止めが発生したことを検出した場合に、当該道路の上流側に位置する休憩施設の混雑状況を取得する手段と、
混雑状況が所定の混雑状況未満の混雑状況である前記休憩施設のうち、より前記通行止めの発生位置に近い一又は複数の休憩施設を車両を誘導する誘導対象休憩施設として設定する手段と、
前記誘導対象休憩施設の上流側に位置する車両を当該休憩施設に誘導するための誘導情報を作成する手段と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、休憩施設誘導装置、交通管制システム、交通管制方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路等の交通管制システムにおいては、サービスエリアあるいはパーキングエリア等の休憩施設に関する情報は、休憩施設混雑情報板を用いて満空情報を提供していた。
また、従来のナビゲーションシステムにおいては、経路上の渋滞の増減傾向を予測し、該渋滞の増減傾向を考慮して推奨休憩施設を選択することによって、走行時間が短くなり、車両の搭乗者の疲労を低減する適切な休憩施設を案内することができるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-265708号公報
【特許文献2】特開2007-017812号公報
【特許文献3】特開2012-208030号公報
【特許文献4】特開2006-177735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の交通管制システムは、交通管制システムが主体になって全車両に対して適切な休憩施設に誘導するものとはなっていないため、特に通行止めが発生したような場合には、通行止め近くの本線および休憩施設の混雑を緩和することはできなかった。
また従来の休憩施設を案内するナビゲーションシステムは、全車両に備わっている訳ではないため、通行止め発生時においては、実効性が低かった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、通行止め発生時に通行止め発生付近の休憩施設の混雑を緩和し、本線上の渋滞も抑制することが可能な交通管制装置、交通管制システム、交通管制方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の休憩施設誘導装置は、複数の休憩施設が設けられた道路の交通管制を行う交通管制システムに用いられる休憩施設誘導装置であり、道路の交通状況を収集し、必要に応じて通行止めを行う交通管制処理部と、当該道路で通行止めを行っている地点より上流側に位置する休憩施設の混雑状況を取得する混雑状況取得部と、交通管制中央処理装置で通行止めの処理を行った時に、混雑状況が所定の混雑状況未満の混雑状況である休憩施設のうち、より通行止めの発生位置に近い一又は複数の休憩施設を車両を誘導する誘導対象休憩施設として設定する休憩施設設定部と、誘導対象休憩施設の上流側に位置する車両を当該休憩施設に誘導するための誘導情報を提示する誘導情報を作成する誘導情報作成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、交通管制システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、休憩施設誘導処理装置の概要構成ブロック図の一例を示す図である。
図3図3は、従来の問題点の説明図である。
図4図4は、第1実施形態における交通イベントの説明図である。
図5図5は、交通イベント発生時のメイン処理フローチャートである。
図6図6は、実施形態の動作説明図である。
図7図7は、第1実施形態の処理フローチャートである。
図8図8は、提供される誘導情報の一例の説明図である。
図9図9は、より詳細な情報提供範囲の説明図である。
図10図10は、第2実施形態における交通イベントの説明図である。
図11図11は、第2実施形態の処理フローチャートである。
図12図12は、誘導対象の候補となり得る休憩施設数Nと、一度に誘導対象とする休憩施設数Mと、の関係説明図である。
図13図13は、第3実施形態における指定された時間後の休憩施設混雑予測情報の一例の説明図である。
図14図14は、第3実施形態の休憩施設混雑予測を利用するための装置構成の説明図である。
図15図15は、第3実施形態の処理フローチャートである。
図16図16は、第4実施形態における指定された時間後の休憩施設混雑予測情報の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、交通管制システムの概要構成ブロック図である。
交通管制システム10は、サービスエリア、パーキングエリア等の休憩施設が併設された高速道路において交通管制を行うシステムである。
【0009】
交通管制システム10は、交通管制中央処理装置11と、休憩施設誘導処理装置12と、情報収集システム13と、情報提供装置群14と、を備えている。
上記構成において、交通管制中央処理装置11は、交通管制処理部として機能し、休憩施設誘導処理装置12は、混雑状況取得部、休憩施設設定部及び誘導情報作成部として機能している。
【0010】
情報収集システム13は、管制対象の高速道路の各所に設けられた車両感知器13Xと、気象計13Yと、を備えている。ここで、気象計は、風速、風向、雨量、雪量(積雪量)等の情報を収集する。
【0011】
交通管制中央処理装置11は、情報収集システム13を構成している車両感知器13Xの出力情報に基づく交通量、車両速度、時間占有率等の情報を収集する。更に、情報収集システム13を構成している気象計13Yの出力情報に基づく風速、風向、雨量、雪量(積雪量)等の情報を収集する。また、交通管制中央処理装置11の管制員の入力による事故、工事などの情報に基づいて、交通状況に対応する交通データを作成し、交通状況判定処理、イベント情報作成処理、提供情報作成処理等を行って、情報提供装置群14を介して交通管制及び情報提供を行う。
【0012】
休憩施設誘導処理装置12は、交通管制中央処理装置11からの交通止め情報等の交通管制情報、地図情報等及び情報収集システム13からの休憩施設の混雑状況を表す休憩施設混座得情報に基づいて、高速道路を走行中の車両をいずれかの休憩施設に誘導するための誘導情報を生成して、交通管制中央処理装置11に出力する。
【0013】
この結果、システムが誘導対象の休憩施設が交通管制官に提示されるので、交通管制官はこれに対して必要であれば修正をして確定することにより、情報提示群14を介して誘導のための情報の表示が行われるようになっている(以下の説明においても同様)。これは、交通管制システム10は、交通管制官の判断を支援するための装置であり、最終的な判断は、交通管制官が行うものだからである。
【0014】
情報提供装置群14は、路側に設けられ、各種情報を提示する情報板14X、ラジオを利用して車両に音声で情報を伝えるハイウェィラジオ14Y、FM多重放送やビーコンを使ってリアルタイムに交通渋滞、交通規制などの情報を提供するVICS(登録商標)(Vehicle Information and communication System)14Z等を含む。ここで、情報板14Xは、本線の近傍の路側等に設置されるもので、文字情報板、図形情報板、所要時間表示板、休憩施設混雑情報板を有する。情報提供装置群14は、交通情報、交通管制情報及び休憩施設情報等を提供する。
【0015】
図2は、休憩施設誘導処理装置の概要構成ブロック図の一例を示す図である。
休憩施設誘導処理装置12は、情報入力部21、画面表示部22、情報処理部23、データ通信部24及び情報記憶部25を備えている。
情報入力部21は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力用マイク等の入力インタフェースを備えており、オペレータにより各種情報が入力される入力部である。
画面表示部22は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等として構成されており、各種情報をオペレータに提示する表示部である。
【0016】
情報処理部23は、いわゆるコンピュータとして構成されており、制御部31、地図情報管理部32、交通管制情報管理部33、休憩施設混雑状況管理部34、誘導処理判定部35及び誘導情報作成提供部36を備えている。
【0017】
ここで制御部31は、情報処理部23全体の制御を行う制御部である。
地図情報管理部32は、休憩施設の設置位置等の情報を管理している管理部である。
交通管制情報管理部33は、交通管制中央処理装置11から取得した事故、通行止め等のイベント情報を管理している。
休憩施設混雑状況管理部34は、各休憩施設の混雑情報の取得及び管理を行う管理部である。
【0018】
誘導処理判定部35は、休憩施設の誘導判定を行うためのパラメータ(混雑率R及び誘導対象の休憩施設数N等)の設定及び管理を行うとともに、パラメータに基づいて誘導判定を行う誘導判定処理フローチャートに基づいて誘導判定処理を行う判定部である。
誘導情報作成提供部36は、高速道路を走行中の車両に対する誘導情報(例えば、誘導メッセージ、誘導制御指示情報)を格納している提供部である。
【0019】
データ通信部24は、専用線ネットワークを介して交通管制中央処理装置11とのデータ通信のインタフェース動作を行う通信部である。
情報記憶部25は、システムデータベース(DB)41、地図情報データベース(DB)42、休憩施設情報データベース(DB)43、交通管制情報データベース(DB)44、休憩施設混雑情報データベース(DB)45、誘導処理判定データベース(DB)46を備えている。
【0020】
ここで、システムデータベース(DB)41は、休憩施設誘導処理装置12のシステム運用を行うためのプログラム、データなどのシステムデータを格納しているデータベースである。
地図情報データベース(DB)42は、高速道路の路線、車線数、インターチェンジ、各休憩施設の位置等を含む地図情報を格納しているデータベースである。
【0021】
休憩施設情報データベース(DB)43は、各休憩施設の設備(レストラン、トイレ、電位自動車用充電設備、ガソリンスタンド等)、車両種別毎(大型車、小型車等)の収容可能台数等の情報を格納しているデータベースである。
交通管制情報データベース(DB)44は、交通管制中央処理装置11から取得した事故、通行止め、渋滞状態等の交通管制情報を格納しているデータベースである。
【0022】
休憩施設混雑情報データベース(DB)45は、少なくとも各休憩施設の駐車場の混雑状態を随時更新しつつ格納しているデータベースである。ここで休憩施設の混雑状態としては、レストラン、トイレ、電気自動車用充電施設、ガソリンスタンドの混雑状態を格納するようにしてもよい。
【0023】
誘導処理判定データベース(DB)46は、休憩施設誘導処理に必要な処理プログラム、各種パラメータ(休憩施設毎の混雑率R、通行止め発生位置からの誘導対象の休憩施設数N等)を格納しているデータベースである。
【0024】
まず、実施形態の説明に先立ち、従来の問題点について説明する。
図3は、従来の問題点の説明図である。
図3において、高速道路の本線RTに沿って、4箇所の休憩施設(サービスエリア又はパーキングエリア)R1~R4があるものとし、これらの休憩施設R1~R4の下流の位置Aにおいて、事故、災害、大雪、大雨、強風等の理由により通行止めが発生したものとする。
【0025】
従来においては、通行止めを行う場合、当該通行止めについての通知を行うし、自然と車両が通行止め地点近くに集まることとなり、通行止め地点の近くの本線及び休憩施設が混雑する。
例えば、図3に示すように、通行止めの地点に最も近い休憩施設R4の混雑率が110%に達し、通行止めの位置Aから休憩施設R3の手前まで渋滞が発生していた。
これに対し、休憩施設R1の混雑率=20%、休憩施設R2の混雑率=20%、休憩施設R3の混雑率=40%となっており、混雑率は、十分に低いままとなっている。
【0026】
したがって、より手前の休憩施設R1~R3において、通行止めの発生、あるいは、通行止めの発生が予測できた時点で、走行車両に対して、より手前の休憩施設を利用するように予め誘導することが可能であれば、渋滞及び高い混雑率を解消できる可能性があることが容易に理解できる。
【0027】
[1]第1実施形態
本第1実施形態は、一度に誘導する誘導対象の休憩施設を一つとした場合の実施形態である。
図4は、第1実施形態における交通イベントの説明図である。
図4に示すように、発生可能な交通イベントは、重要度(緊急度)に応じて第1イベント(重要度小)~第4イベント(重要度大)に分類される。
【0028】
第1イベントは、例えば、複数の車線のうち一部の車線のみを規制する車線規制である。
第1イベント発生時の処理内容(以下、第1処理という)は、一度に誘導する対象の休憩施設数を1として車両の誘導を行う処理である。但し、誘導対象の休憩施設の混雑率R=70%を上限とし、上限を超えた場合は、誘導対象となる休憩施設の存在範囲=40km以内で、誘導対象となる休憩施設数N=2までに休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0029】
この場合において、一度に誘導する対象の休憩施設数を1とする処理は、交通イベントの発生位置(車線規制の発生位置)から上流側にある一番近い休憩施設から順番に一つずつ休憩施設に誘導するための処理を行うように構成されている。
【0030】
第2イベントは、例えば、事故による全車線が通行止めの場合である。
第2イベント発生時の処理内容(以下、第2処理という)は、一度に誘導する休憩施設数を1として車両の誘導を行う処理である。但し、誘導対象の休憩施設の混雑率R=80%を上限とし、上限を超えた場合は、誘導対象となる休憩施設の存在範囲=50km以内で、誘導対象となる休憩施設数N=3までの休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0031】
第3イベントは、例えば、気象(大雨、強風等)による全車線の通行止めである。
第3イベント発生時の処理内容(以下、第3処理という)としては、一度に誘導する休憩施設数を1として車両の誘導を行う処理である。但し、誘導対象の休憩施設の混雑率R=70%を上限とし、上限を超えた場合は、とし、あるいは誘導対象となる休憩施設の存在範囲=60km以内で誘導対象となる休憩施設数N=4までの休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0032】
第4イベントは、例えば、災害あるいは気象(大雪)による全車線通行止めである。
第4イベント発生時の処理内容(以下、第4処理という)としては、一度に誘導する休憩施設数を1として車両の誘導を行う処理を行う。但し、誘導対象の休憩施設の混雑率R=70%を上限とし、上限を超えた場合は、誘導対象となるあるいは誘導対象となる休憩施設の存在範囲=75km以内で休憩施設数N=5までに誘導対象を拡大して車両の誘導をする。
【0033】
図5は、交通イベント発生時のメイン処理フローチャートである。メイン処理フローは、発生したイベント深刻度の高いイベントから処理を行う。
まず、ステップS11において、休憩施設誘導処理装置12は、第4イベントが発生したか否かを判断する。
ステップS11の判断において、第4イベントが発生した場合には(ステップS11;Yesの場合)、ステップS12に移行し、第4処理を実行して処理を終了する。
【0034】
ステップS11の判断において、第4イベントが発生していない場合には(ステップS11;Noの場合)、ステップS13に移行し、休憩施設誘導処理装置12は、第3イベントが発生したか否かを判断する。
ステップS13の判断において、第3イベントが発生した場合には(ステップS13;Yesの場合)、ステップS14に移行し、第3処理を実行して処理を終了する。
【0035】
ステップS13の判断において、第3イベントが発生していない場合には(ステップS13;Noの場合)、ステップS15に移行し、休憩施設誘導処理装置12は、第2イベントが発生したか否かを判断する。
ステップS15の判断において、第2イベントが発生した場合には(ステップS15;Yesの場合)、ステップS16に移行し、第2処理を実行して処理を終了する。
【0036】
ステップS15の判断において、第2イベントが発生していない場合には(ステップS15;Noの場合)、休憩施設誘導処理装置12は、第1イベントが発生したか否かを判断する(ステップS17)。
ステップS17の判断において、第1イベントが発生した場合には(ステップS17;Yes)、ステップS16に移行し、第1処理を実行して処理を終了する。
【0037】
ステップS17の判断において、第1イベントが発生していない場合には(ステップS15;Noの場合)、休憩施設誘導処理装置12は、処理を終了する。
【0038】
このように、発生した第1イベント~第4イベントに対して、深刻度の高いイベントから対応していく。
【0039】
図6は、実施形態の動作説明図である。
図6においても、高速道路の本線RTに沿って、4箇所の休憩施設R1~R4があるものとする。そして、これらの休憩施設R1~R4の下流の位置Aにおいて、事故、災害、大雪、大雨、強風等の理由により通行止めが発生したものとする。
【0040】
また、この場合において、初期状態である時刻t1において、誘導前の各休憩施設R1~R4の混雑率は、休憩施設R1=20%、休憩施設R2=20%、休憩施設R3=40%、休憩施設R4=40%であるものとする。
【0041】
その後、時刻t2においては、誘導対象休憩施設である休憩施設R4の混雑率が上昇してきて、混雑率cr=72%になっている。この時、図4に示す休憩施設R4の混雑率上限と比較し、混雑率cr=72%>混雑率R=70%と上限値を越したため、一つ上流側に位置する休憩施設R3を新たな誘導対象休憩施設として決定して誘導している状態を示す。この結果、休憩施設R3の混雑率cr=50%に上昇している。
【0042】
更に、時刻t3においては、誘導対象休憩施設である休憩施設R3の混雑率が上昇して、混雑率cr=75%になっている。休憩施設R3では、図4に示す混雑率の上限値と比較すると、混雑率cr=75%>混雑率R=70%と上限値を越しており、更に休憩施設R4の混雑率がcr=80%>混雑率R=70%と上限値を終えている。このため、更に一つ上流側に位置する休憩施設R2を新たな誘導対象休憩施設として決定して誘導している状態を示す。この結果、休憩施設R2の混雑率は、R2=40%に上昇したこと示す。
【0043】
更に、時刻t4においては、誘導対象休憩施設である休憩施設R2の混雑率が混雑率cr=71%になっている。この時、図4に示す混雑率の上限値と比較すると、混雑率cr=71%>混雑率R=70%と上限値を越している。更に、未だ休憩施設R4、R3の混雑率が両方とも混雑率cr=80%となり、混雑率cr=80%>混雑率R=70%と上限値を越している。このため、更に一つ上流側に位置する休憩施設R1を新たな誘導対象休憩施設として決定し誘導している状態を示す。この結果、休憩施設R1=40%に上昇したこと示す。
【0044】
次に第1実施形態の具体的な動作について説明する。
図7は、第1実施形態の処理フローチャートである。
まず、ステップS21において、休憩施設誘導処理装置12は、交通管制中央処理装置11から交通管制情報として、事故、渋滞等の発生を知らせる交通イベント情報を取得する。
【0045】
続いて、ステップS22において、休憩施設誘導処理装置12は、取得した交通イベント情報に基づいて通行止めが発生しているか否かを判断する。
ステップS22の判断において、通行止めが発生していない場合には(ステップS12;Noの場合)、休憩施設への誘導を行わずに(ステップS31)、処理を終了する。
【0046】
ステップS22の判断において、通行止めが発生している場合には(ステップS22;Yesの場合)、ステップS23において、休憩施設誘導処理装置12は、交通管制情報に対応する交通イベントに応じた処理(図4の例では、一度に誘導する休憩施設数を1とした第1処理~第4処理)を選択する。
【0047】
そこで、ステップS24において、一度に誘導する休憩施設数を1とした第1処理~第4処理に必要とされる誘導処理判定用のパラメータを設定する。
例えば、図7の例においては、イベントに応じた誘導処理判定用のパラメータとしては、休憩施設が混雑しているか否かを判断するための混雑率R及び誘導対象となる休憩施設数Nを設定している。
【0048】
この場合において、混雑率R及び休憩施設数Nは、交通量、休憩施設の駐車場数に応じて適宜設定される。
例えば、交通量が多い場合及び駐車場数が少ない場合には、混雑率Rを小さくし、誘導対象となる休憩施設数Nを大きくするように設定する。この場合は、通常より早く混雑に達してしまうため、早めに次の対処をする必要があるからである。
逆に、交通量が少ない場合及び駐車場数が多い場合には、混雑率Rを大きくし、誘導対象となる休憩施設数Nを小さくするように設定する。これらの設定は、過去の休憩施設の混雑状況等に基づいて適宜設定される。
【0049】
続いて、ステップS25において、休憩施設誘導処理装置12は、通行止めイベントの発生位置よりも上流に位置し、かつ、通行止めイベントの発生位置に一番近い休憩施設(誘導対象休憩施設特定パラメータn=1)を誘導対象休憩施設(候補)に決定する。
【0050】
続いて、ステップS26において、休憩施設誘導処理装置12は、当該誘導対象休憩施設の混雑情報を取得する。
ここで、混雑情報は、例えば、現在の混雑率crである。
現在の混雑率crとは、現在当該誘導対象休憩施設を利用している(駐車あるいは入場している)車両数を当該誘導対象休憩施設の駐車場の収容可能台数で除した100分率の値である。
【0051】
続いて、ステップS27において、休憩施設誘導処理装置12は、現在の誘導対象休憩施設が混雑しているか否かを判断する。
すなわち、現在の混雑率cr>混雑率Rであるか否かを判断する。
【0052】
ステップS27の判断において、誘導対象休憩施設特定パラメータnに対応する誘導対象休憩施設が混雑している場合には、すなわち、当該誘導対象休憩施設の現在の混雑率cr>混雑率Rである場合には(ステップS27;Yesの場合)、処理をステップS28に移行する。
ステップS28において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータn=n+1とし、混雑している現在の誘導対象施設よりも一つ上流側に位置する休憩施設を、新たな誘導対象休憩施設として決定する。
【0053】
続いてステップS29において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下であるか、すなわち、n≦Nであるか否かを判断する。
【0054】
ステップS29の判断において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下ではない、すなわち、n>Nである場合には(ステップS29;Noの場合)、ステップS30において、混雑解消に大きく貢献する有効な休憩施設が存在しないので、休憩施設への誘導を行わずに、処理を終了する。
【0055】
ステップS29の判断において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下である、すなわち、n≦Nである場合には(ステップS29;Yesの場合)、処理をステップS26に処理を移行して、前述した処理を繰り返すこととなる。
【0056】
ステップS27の判断において、誘導対象休憩施設特定パラメータnに対応する誘導対象休憩施設が混雑していない場合には、すなわち、当該誘導対象休憩施設の現在の混雑率cr≦混雑率Rである場合には(ステップS27;No)、ステップS31において、休憩施設誘導処理装置12は、当該誘導対象休憩施設に車両を強制的に誘導する誘導情報を作成して、交通管制中央処理装置11に通知する。
【0057】
この結果、交通管制中央処理装置11は、発生した交通イベントに対応する提供レベルに応じた強制レベル(強制力)の異なる誘導情報を作成する。その後、決定した誘導対象の休憩施設を決定した誘導情報の内容を、管制官が確認し決定すると、情報提供装置群14を制御し、文字情報板、図形情報板、所要時間表示板、休憩施設混雑情報板を介して、車両に対して通知を行う。
【0058】
次に、上記の処理により、決定した誘導対象の休憩施設を決定した結果を、車両に対して提供するための誘導情報の一例について説明する。
図8は、車両に対して提供される誘導情報の一例の説明図である。
誘導情報は、交通イベント毎に、提供範囲、情報提供情報(固定/傾斜)、提供誘導情報内容例が対応付けられ記憶されている。
【0059】
まず、一車線通行止めなどの部分的な通行止めである第1イベントの発生時には、後に詳述する提供範囲レベル=0の情報提供範囲において、情報提供方法=固定で、第1提供レベルの誘導情報が提供される。
次に、事故の発生による全車線の通行止めである第2イベントの発生時には、提供範囲レベル=0の情報提供範囲において、情報提供方法=固定で、第2提供レベルの誘導情報が提供される。
更に、気象(大雨、強風等)による全車線の通行止めである第3イベントの発生時には、提供範囲レベル=+1の情報提供範囲において、情報提供方法=固定で、第3提供レベルの誘導情報が提供される。
更に、災害あるいは気象(大雪)による全車線通行止めである第4イベントの発生時には、提供範囲レベル=+2の情報提供範囲において、第4提供レベルの誘導情報が提供される。
【0060】
以下、提供範囲、情報提供情報(固定/傾斜)、提供誘導情報内容例について、説明する。
まず、提供範囲レベルの定義は、例えば、以下の通りである。
提供範囲レベル=0の情報提供範囲は、誘導対象の休憩施設のうち最も下流側に位置する休憩施設と、最も上流側に位置する休憩施設よりも一つ上流側の休憩施設との間の区間を提供範囲とするレベルである。
同様に、提供範囲レベル=+1の情報提供範囲は、誘導対象の休憩施設のうち最も下流側に位置する休憩施設と、最も上流側に位置する休憩施設よりも二つ(=1+1)上流側の休憩施設との間を提供範囲とするレベルである。
さらに提供範囲レベル=+2の情報提供範囲は、誘導対象の休憩施設のうち最も下流側に位置する休憩施設と、最も上流側に位置する休憩施設よりも三つ(=1+2)上流側の休憩施設との間の区間を提供範囲とするレベルである。
【0061】
それぞれの提供範囲レベルにおいて、情報提供範囲に配置されている情報提供装置群14を構成している情報板14X(文字情報板、図形情報板、所要時間表示板あるいは休憩施設混雑情報板)において、誘導情報を提供する。
【0062】
次に、情報提供方法である固定/傾斜について説明する。
まず、情報提供方法が固定とは、情報提供装置群14を構成している情報板14X(文字情報板、図形情報板、所要時間表示板あるいは休憩施設混雑情報板)のうち、情報提供範囲に配置されている情報提供装置の全てに対して、同じ強制力の情報が提供される。
これに対して、情報提供方法が傾斜とは、提供する文言を固定しない提供方法であり、例えば、通行止めの位置から遠ざかるに従って、提供する文言の強制力が弱くなるように設定するものである。
【0063】
更に、誘導情報は、情報板等から発する車両に対する具体的な誘導内容である。車両に対する具体的な誘導内容である提供誘導情報は、イベントの深刻度が高いイベントほど、強制力のある表現としている。
【0064】
ここで、第1提供レベルの誘導情報とは、例えば、交通管制中央処理装置11により推奨と分類される誘導情報であり、例えば、「○○で車線規制、渋滞解消まで休憩施設で過ごしませんか?」というような情報が提供される。
ここで、第2提供レベルの誘導情報とは、例えば、交通管制中央処理装置11により強制力=小と分類される誘導情報であり、例えば、「○○で事故発生、休憩施設△△で休憩しましょう。」というような誘導情報が提供される。
【0065】
ここで、第3提供レベルの誘導情報とは、例えば、交通管制中央処理装置11により強制力=中と分類される誘導情報であり、例えば、「大雨のため○○から通行止め。△△より先の休憩施設は満車、休憩施設□□で休憩しましょう。」というような情報が提供される。
ここで、第4提供レベルの誘導情報とは、例えば、交通管制中央処理装置11により強制力=大と分類される誘導情報であり、例えば、「大雪のため○○から通行止め。△△より先の休憩施設は満車、休憩施設□□に入れ!」というような情報が提供される。
【0066】
図9は、詳細な情報提供範囲の説明図である。
図9(A)は、提供範囲レベル=0、一度に誘導対象とする休憩施設数M=1の場合の説明図である。
この場合には、誘導対象の休憩施設は、休憩施設R5となる。このため、休憩施設R5とその一つ上流側の休憩施設R4との間が情報提供範囲とされる。そして、休憩施設R5~休憩施設R6の間では、休憩施設R6に誘導する誘導情報が提供されることとなる。
【0067】
図9(B)は、提供範囲レベル=0、一度に誘導対象とする休憩施設数M=3の場合の説明図である。
この場合には、誘導対象の休憩施設は、休憩施設R6~休憩施設R4の三つであるので、休憩施設R6から休憩施設R4の一つ上流側の休憩施設R3までの間が情報提供範囲とされる。そして、休憩施設R4~休憩施設R5の間では休憩施設R5に誘導する誘導情報が提供され、休憩施設R5~休憩施設R6の間では休憩施設R6に誘導する誘導情報が提供されることとなる。
【0068】
図9(C)は、提供範囲レベル=+1、一度に誘導対象とする休憩施設数M=3の場合の説明図である。
この場合には、誘導対象の休憩施設は、休憩施設R6~休憩施設R4の三つであるので、休憩施設R6から休憩施設R4の二つ(1+1)上流側の休憩施設R2との間が情報提供範囲とされる。そして、休憩施設R3~休憩施設R4の間では休憩施設R4に誘導する誘導情報が提供され、休憩施設R4~休憩施設R5の間では休憩施設R5に誘導する誘導情報が提供され、休憩施設R5~休憩施設R6の間では休憩施設R6に誘導する誘導情報が提供されることとなる。
【0069】
図9(D)は、提供範囲レベル=+2、一度に誘導対象とする休憩施設数M=3の場合の説明図である。
この場合には、誘導対象の休憩施設は、休憩施設R6~休憩施設R4の三つであるので、休憩施設R6から休憩施設R4の三つ(1+2)上流側の休憩施設R1との間が情報提供範囲とされる。
【0070】
そして、休憩施設R1~休憩施設R4の間では、休憩施設R4に誘導する誘導情報が提供され、休憩施設R4~休憩施設R5の間では、休憩施設R5に誘導する誘導情報が提供され、休憩施設R5~休憩施設R6の間では、休憩施設R6に誘導する誘導情報が提供されることとなる。
【0071】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、通行止め発生時に通行止め発生付近の休憩施設の混雑を緩和し、本線上の渋滞も抑制することができる。
【0072】
換言すれば、本第1実施形態によれば、渋滞発生箇所あるいは渋滞が発生する虞がある箇所に至る道路の手前側で交通流を制御(車両の速度抑制)することにより、渋滞発生箇所あるいは渋滞が発生する虞がある箇所への車両流入を抑制して、渋滞を抑制あるいは渋滞を軽減することが可能となる。
【0073】
[2]第2実施形態
本第2実施形態は、交通イベントが発生した時に、複数の誘導施設に同時に誘導する実施形態である。
図10は、第2実施形態における交通イベントの説明図である。
図10に示すように、発生可能な交通イベントしては、重要度(緊急度)に応じて第1イベント(重要度小)~第4イベント(重要度大)が存在するものとする。本実施の形態ででは、交通イベントの重要度に応じて、一度に誘導する休憩施設数を複数とできる処理である。
【0074】
第1イベントは、例えば、複数の車線のうち一部の車線を規制する車線規制である。
第1イベント発生時の処理内容(以下、第1処理という)は、一度に誘導する対象の休憩施設数を1として車両の誘導を行う処理である。但し、誘導対象の休憩施設は混雑率R=70%を上限とし、上限を超えた場合は、誘導対象となる休憩施設の存在範囲=40km以内で、誘導対象となる休憩施設数N=2までの休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0075】
この場合において、一度に誘導する対象の休憩施設数を1とする処理は、交通イベントの発生位置(通行止めの発生位置)から上流側にある一番近い休憩施設から順番に一つずつ休憩施設に誘導するための処理を行う処理を行うように構成されている。
【0076】
第2イベント以降は、一度に誘導する休憩施設数を複数とする処理である。
第2イベントは、例えば、事故による全車線の通行止めである。
第2イベント発生時の処理内容(以下、第2処理という)は、一度に誘導する休憩施設数を2として車両の誘導を行う処理を行う処理である。誘導対象の休憩施設は混雑率R=80%を上限とする。もし上限を超えた場合は、誘導対象となる休憩施設数N=2とし、あるいは誘導対象となる休憩施設の存在範囲=50km以内で、誘導対象となる休憩施設数N=3までの休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0077】
第3イベントは、例えば、気象(大雨、強風等)による全車線の通行止めである。
第3イベント発生時の処理内容(以下、第3処理という)としては、一度に誘導する休憩施設数を2として車両の誘導を行う処理である。誘導対象の休憩施設は混雑率R=70%を上限とし、もし上限を超えた場合は、誘導対象となる休憩施設の存在範囲=60km以内で誘導対象となる休憩施設数N=4までの休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0078】
第4イベントは、例えば、災害あるいは気象(大雪)による全車線通行止めである。
第4イベント発生時の処理内容(以下、第4処理という)としては、一度に誘導する休憩施設数を4ととして車両の誘導を行うとする処理である。、誘導対象の休憩施設は混雑率R=70%を上限とし、もし上限を超えた場合は、誘導対象となる休憩施設の存在範囲=75km以内で、誘導対象となる休憩施設数N=5までの休憩施設に誘導対象を拡大して、車両の誘導をする。
【0079】
図11は、第2実施形態の処理フローチャートである。
まず、ステップS41において、休憩施設誘導処理装置12は、交通管制中央処理装置11から交通管制情報として、事故、渋滞等の発生を知らせる交通イベント情報を取得する。
【0080】
続いて、ステップS42において、休憩施設誘導処理装置12は、取得した交通イベント情報に基づいて通行止めが発生しているか否かを判断する。
ステップS42の判断において、通行止めが発生していない場合には(ステップS42;Noの場合)、休憩施設への誘導を行わずに(ステップS52)、処理を終了する。
【0081】
ステップS42の判断において、通行止めが発生している場合には(ステップS42;Yesの場合)、ステップS43において、休憩施設誘導処理装置12は、図10に一例を示したように、交通管制情報に対応する交通イベントに応じた処理を選択する。
この場合において、本第2実施形態では、第1イベントが一度に誘導する休憩施設数が1の場合であり、第2イベント~第4イベントが一度に誘導する休憩施設数が複数(図10の例では、2~4)の場合となっている。
【0082】
次に、ステップS44において、処理に必要とされる誘導処理判定用のパラメータを設定する。
例えば、図11の例においては、イベントに応じた誘導処理判定用のパラメータとしては、一度に誘導する施設数M、休憩施設が混雑しているか否かを判断するための混雑率R及び誘導対象となる休憩施設数Nを設定している。
【0083】
この場合において、一度に誘導する施設数Mは、例えば、図10において発生した交通イベントに対して予め設定された値(図10の例では、1~4)に設定する。
また、混雑率R及び休憩施設数Nは、交通量、休憩施設の駐車場数に応じて適宜設定される。例えば、交通量が多い場合及び駐車場数が少ないには、混雑率Rを小さくし、誘導対象となる休憩施設数Nを大きくするように設定する。また、交通量が少ない場合及び駐車場数が多い場合には、混雑率Rを大きくし、誘導対象となる休憩施設数Nを小さくするように設定する。これらの設定は、過去の休憩施設の混雑状況データに基づいて適宜設定される。
【0084】
続いて、ステップS45において、休憩施設誘導処理装置12は、通行止めイベントの発生位置よりも上流に位置し、かつ、通行止めイベントの発生位置に一番近い休憩施設(誘導施設数パラメータm=1、誘導対象休憩施設特定パラメータn=1)を誘導対象休憩施設(候補)に決定する。
【0085】
続いて、ステップS46おいて、休憩施設誘導処理装置12は、当該誘導対象休憩施設の混雑情報を取得する。
ここで、混雑情報は、例えば、現在の混雑率crである。
現在の混雑率crとは、現在当該誘導対象休憩施設を利用している(駐車あるいは入場している)車両数を当該誘導対象休憩施設の駐車場の収容可能台数で除した100分率の値である。
【0086】
続いて、ステップS47において、休憩施設誘導処理装置12は、現在の誘導対象休憩施設が混雑しているか否かを判断する。すなわち、現在の混雑率cr>混雑率Rであるか否かを判断する。
【0087】
ステップS47の判断において、誘導対象休憩施設特定パラメータnに対応する誘導対象休憩施設が混雑していない場合には、すなわち、当該誘導対象休憩施設の現在の混雑率cr≦混雑率Rである場合には(ステップS47;Noの場合)はステップS54移行する。
ステップS54において、誘導対象休憩施設を誘導休憩施設に決定し、m=m+1とし、ステップ48に移行する。
【0088】
一方、ステップS47の判断において、誘導対象休憩施設特定パラメータnに対応する誘導対象休憩施設が混雑している場合には、すなわち、当該誘導対象休憩施設の現在の混雑率cr>混雑率Rである場合には(ステップS47;Yesの場合)、ステップS48に移行する。
ステップS48において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータn=n+1とし、混雑している現在の誘導対象施設よりも一つ上流側に位置する休憩施設を、新たな誘導対象休憩施設として決定し、処理をステップS49に移行する。
【0089】
続いて、ステップS49において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導休憩施設数パラメータmが、一度に誘導対象とする休憩施設数M以下であるか、すなわち、m≦Mであるか否かを判断する。
ステップS49の判断において、誘導休憩施設数パラメータmが、一度に誘導対象とする休憩施設数M以下である場合には(ステップS49;Yesの場合)、ステップS50に移行する。
ステップS50において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下であるか、すなわち、n≦Nであるか否かを判断する。
【0090】
ステップS50の判断において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下である、すなわち、n≦Nである場合には(ステップS50;Yesの場合)、処理をステップS46に処理を移行して、前述した処理を繰り返すこととなる。
【0091】
ステップS50の判断において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下ではない、すなわち、n>Nである場合には(ステップS50;Noの場合)、誘導休憩施設数パラメータm=1であるか否かを判断する(ステップS51)。
【0092】
ステップS51の判断において誘導休憩施設数パラメータm=1である場合には(ステップS51;Yesの場合)、混雑解消に大きく貢献する有効な休憩施設が存在しないので、ステップS52において、休憩施設への誘導を行わずに、処理を終了する。
【0093】
ステップS49の判断において、誘導休憩施設数パラメータmが、一度に誘導対象とする休憩施設数Mを超えている場合(ステップS49;Noの場合)、及び、ステップS49の判断において誘導休憩施設数パラメータm=1ではない場合(ステップS51;Noの場合)には、ステップS53に移行する。
ステップS53において、休憩施設誘導処理装置12は、当該誘導対象休憩施設に車両を強制的に誘導する誘導情報を作成して、交通管制中央処理装置11に通知する。
【0094】
これらの結果、交通管制中央処理装置11は、情報提供装置群14を制御し、文字情報板、図形情報板、所要時間表示板、休憩施設混雑情報板を介して、強制的に誘導するように処理を行う。
【0095】
ここで、図面を参照して、誘導対象休憩施設特定パラメータnと誘導休憩施設数パラメータmとの関係について説明する。
【0096】
図12は、誘導対象の候補となり得る休憩施設数Nと、一度に誘導対象とする休憩施設数Mと、の関係説明図である。
図12の例においては、休憩施設数N=5、と一度に誘導対象とする休憩施設数M=3の場合を例とし、誘導対象休憩施設として選定する際の混雑率cr=70%以下であるものとして説明する。
【0097】
図12(A)は、通行止めが発生している位置Aに最も近い休憩施設R6(N=1相当)から上流側に連続して休憩施設R5(N=2相当)及び休憩施設R4(N=3相当)のいずれも混雑率=20%であり、混雑率cr=70%以下であるので、休憩施設R6~R4が誘導対象休憩施設として、同時並行して誘導がなされることとなる。
【0098】
これらに対し、休憩施設R1(及びさらに上流に位置する休憩施設)は、そもそもN=6相当であるので、誘導対象休憩施設とはなり得ないこととなっている。すなわち、通行止め位置から遠いので、混雑緩和に与える影響は小さいとして、対象外とされている。以下、同様である。
【0099】
図12(B)は、通行止めが発生している位置Aに最も近い休憩施設R6(N=1相当)の混雑率=90%であり、誘導対象休憩施設から除外される。
これに対し、より上流側の休憩施設R5~R3(N=2~4相当)のいずれも混雑率=20%であり、混雑率cr=70%以下であるので、休憩施設R5~R3が誘導対象休憩施設として、同時並行して誘導がなされることとなる。
【0100】
図12(C)は、通行止めが発生している位置Aに最も近い休憩施設R6(N=1相当)及び休憩施設R4(N=3相当)の混雑率=90%であり、いずれも誘導対象休憩施設から除外される。
これに対し、休憩施設R5、R3、R2(N=2、4、5相当)のいずれも混雑率=20%であり、混雑率cr=70%以下であるので、休憩施設R5、R3、R2が誘導対象休憩施設として、同時並行して誘導がなされることとなる。
【0101】
図12(D)は、通行止めが発生している位置Aに最も近い休憩施設R6(N=1相当)、休憩施設R4(N=3相当)及び休憩施設R3(N=4相当)の混雑率=90%であり、いずれも誘導対象休憩施設から除外される。
これに対し、休憩施設R5、R2(N=2、5相当)のいずれも混雑率=20%であり、混雑率cr=70%以下であるので、休憩施設R5、R2が誘導対象休憩施設として、同時並行して誘導がなされることとなる。
したがって、一度に誘導対象とする休憩施設数M=3であるにもかかわらず、同時並行して誘導可能な誘導対象休憩施設は、誘導対象の候補となり得る休憩施設数Nの制限から2休憩施設に限定されている。
【0102】
図12(E)は、通行止めが発生している位置Aに最も近い休憩施設R6(N=1相当)から上流側に連続して休憩施設R5(N=2相当)~休憩施設R3(N=4相当)のいずれも混雑率=90%であり、混雑率cr=70%を超えているので、いずれも誘導対象休憩施設から除外される。
この結果、休憩施設R2のみが誘導対象休憩施設として、単独で誘導がなされることとなる。
【0103】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、通行止め発生時に通行止め発生付近の休憩施設の混雑を緩和し、本線上の渋滞も抑制することができるとともに、同時並行して複数の休憩施設に誘導可能となり、より迅速に渋滞を抑制あるいは渋滞を軽減することが可能となる。
【0104】
[3]第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。
本第3実施形態は、休憩施設の混雑状況は、予め定めた一定時間後の休憩施設の混雑状況に基づいて誘導先を決定する実施形態である。
通行止め発生後は時間を追うごとに休憩施設の混雑率が増加していくことが予想される。各車両にとって、誘導する時点(例えば、情報板の設置場所)から休憩施設への到達時間が必要なことから、現在時点での混雑状況よりも、所定時間経過後の休憩施設の混雑状況も考慮して誘導先を決定した方が望ましい場合が多い。
【0105】
図13は、第3実施形態の休憩施設混雑予測情報の一例の説明図である。
「指定された時間後の休憩施設混雑予測情報」としては、一定時間(図13の例では、例えば、15分後)後の休憩施設混雑予測情報を表示する。また、所定時間帯(例えば、1分後~30分後)の混雑予測情報を蓄積して、その平均値、あるいは、最大値を休憩施設混雑予測情報として用いるようにしてもよい。
【0106】
ここで、休憩施設混雑予測を利用するための装置構成について説明する。
図14は、第3実施形態の休憩施設混雑予測を利用するための装置構成の説明図である。
図14において、図2と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
また、休憩施設混雑情報CR及び休憩施設混雑予測情報CRPは、情報収集システム13により算出され、休憩施設誘導処理装置12に入力されるものとする。
【0107】
図14の休憩施設誘導処理装置12が図2の休憩施設誘導処理装置12と異なる点は、休憩施設混雑状況予測管理部47と、休憩施設混雑予測情報データベース48を備えた点である。
休憩施設混雑状況予測管理部47は、情報収集システム13により算出され、入力された休憩施設混雑情報CR及び休憩施設混雑予測情報CRPは、随時、休憩施設混雑予測情報データベース48に更新されて格納する。
【0108】
この結果、休憩施設混雑状況予測管理部47は、休憩施設混雑予測情報データベース48を参照して、誘導体小休憩施設の判断時に休憩施設混雑情報CR及び休憩施設混雑予測情報CRPを提供することとなる。
【0109】
図15は、第3実施形態の処理フローチャートである。
図15において、図7と同様の部分には、同一の符号を付すものとし説明を省略する。
ステップS21からステップS23までは、図7と同様のため、説明を援用するものとする。
【0110】
次に、ステップS24において、処理に必要とされる誘導処理判定用のパラメータを設定する。
例えば、図15の例においては、イベントに応じた誘導処理判定用のパラメータとしては、休憩施設が混雑しているか否かを判断するための混雑率R及び誘導対象となる休憩施設数Nを設定している。
【0111】
続いて、ステップS25において、休憩施設誘導処理装置12は、通行止めイベントの発生位置よりも上流に位置し、かつ、通行止めイベントの発生位置に一番近い休憩施設(誘導対象休憩施設特定パラメータn=1)を誘導対象休憩施設(候補)に決定する。
続いて、ステップS26Aにおいて、休憩施設誘導処理装置12は、当該誘導対象休憩施設の指定された時間後の休憩施設混雑予測情報を取得する。
【0112】
ステップS27Aにおいて、続いて休憩施設誘導処理装置12は、現在の誘導対象休憩施設が混雑しているか否かを判断する。
すなわち、現在の混雑率cr>混雑率Rであるか否かを判断する。
【0113】
ステップS27Aの判断において、誘導対象休憩施設特定パラメータnに対応する誘導対象休憩施設が混雑している場合には、すなわち、当該誘導対象休憩施設の現在の混雑率cr>混雑率Rである場合には(ステップS27A;Yesの場合)、ステップS28に移行する。
ステップS28において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータn=n+1とし、混雑している現在の誘導対象施設よりも一つ上流側に位置する休憩施設を、新たな誘導対象休憩施設として決定する。
【0114】
続いてステップS29において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下であるか、すなわち、n≦Nであるか否かを判断する。
ステップS30の判断において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下ではない、すなわち、n>Nである場合には(ステップS30;Noの場合)、混雑解消に大きく貢献する有効な休憩施設が存在しないので、休憩施設への誘導を行わずに、処理を終了する。
【0115】
ステップS29の判断において、休憩施設誘導処理装置12は、誘導対象休憩施設特定パラメータnが誘導対象となる休憩施設数N以下である、すなわち、n≦Nである場合には(ステップS29;Yesの場合)、処理をステップS26Aに処理を移行して、前述した処理を繰り返すこととなる。
【0116】
ステップS29の判断において、誘導対象休憩施設特定パラメータnに対応する誘導対象休憩施設が混雑していない場合には、すなわち、当該誘導対象休憩施設の現在の混雑率cr≦混雑率Rである場合には(ステップS29;Noの場合)、ステップS31に移行する。
ステップS31において、休憩施設誘導処理装置12は、当該誘導対象休憩施設に車両を強制的に誘導する誘導情報を作成して、交通管制中央処理装置11に通知する。
【0117】
以上の説明のように、本第3実施形態によれば、第1実施形態あるいは第2実施形態の効果に加えて、誘導した時点での休憩施設の混雑状況も考慮して誘導先を決定することができるので、誘導後の休憩施設が必要以上に混雑することなく、各休憩施設への誘導を効率良く行え、渋滞を抑制あるいは渋滞を軽減することが可能となる。
【0118】
[4]第4実施形態
第4実施形態は、情報提供装置から各休憩施設までの所要時間を考慮して誘導先の休憩施設を決める実施の形態である。
【0119】
なお、本第4実施形態は、各情報提供装置から直近の誘導対象休憩施設までの所要時間ではなく、更に一つ下流側の休憩施設までの所要時間後の混雑率を提供するようにしている。ここで直近の休憩施設でなく更に1つ下流の休憩施設までの所要時間を用いるのは、車両に対して、休憩する休憩施設の選択の余地を与えるためである。このため、誘導対象休憩施設が混雑していた場合に、より上流の休憩施設に誘導することができるようにするための実施形態である。
【0120】
ここで、休憩施設からインターチェンジあるいはジャンクションまでの所要時間は交通管制中央処理装置11において交通状況を把握するために常に算出され続けているので、この値を使用すればよい。
【0121】
また、情報提供装置から休憩施設までの所要時間が交通管制中央処理装置11で計算されていない場合には、当該情報提供装置の設置位置(休憩施設から当該情報提供装置までの距離)と車両の標準的な通過速度から、予め所要時間を設定しておいてもよい。
【0122】
図16は、第4実施形態の具体例の説明図である。
まず、通行止めが発生しておらず、休憩施設R4の予測混雑率が十分に低い(例えば、20%)場合には、情報板14Cには、当該予測混雑率及び誘導対象休憩施設の情報として、所要時間TMCに対応する混雑率を含む誘導対象休憩施設R4の情報を表示する。
【0123】
ここで、通行止めが発生したとする。通行止めは、各情報板14A、14B、14Cに表示される。
更に、情報板14Cでは、情報板14Cから誘導対象休憩施設R4までの所要時間TMCを使用した、休憩施設R4の混雑予測情報に表示を切り替える。
【0124】
この時、情報板14Bでは、情報板14Bから直近の誘導対象休憩施設R3までの所要時間ではなく、最寄りの休憩施設R3の一つ下流側の休憩施設R4までの所要時間TMBを使用して、休憩施設R3、R4の混雑予測情報(図16においては、17分後の予測混雑率)を設定して表示する。
ここで、所要時間として、休憩施設R4までの所要時間TMBを使用するのは、休憩施設R4の混雑率が高くなることが予想できるため、所要時間TMBを用いた表示を行う方が、利用できない可能性が高いとの表示となり、向かわないようにするための注意喚起として効果的であるためである。
【0125】
同様に、情報板14Aに関しては、情報板14Aから直近の休憩施設R3までの所要時間TMBではなく、誘導対象休憩施設R3の一つ下流側の休憩施設R3までの所要時間TMAを使用して、休憩施設(R2、R3)の混雑予測情報(図16においては、13分後の予測混雑率)を設定して、表示を行う。
【0126】
これらの結果、誘導対象休憩施設R4の予測混雑率が低い場合及び高い場合でも、より確実に休憩施設を利用可能として、通行止めの発生に起因する本線の混雑を回避することができる。
【0127】
また、インターネット等に配信する場合は、休憩施設間の所要時間を用いて、休憩施設混雑予測情報を設定するのがより好ましい。
【0128】
以上の説明のように、本第4実施形態によれば、第1実施形態あるいは第2実施形態の効果に加えて、各休憩施設までの所要時間も考慮して誘導先を決定することができるので、誘導後の休憩施設が予想を超えて混雑することがなく、各休憩施設への誘導を効率良く行え、渋滞を抑制あるいは渋滞を軽減することがより容易となる。
【0129】
本実施形態の交通管制装置(休憩施設誘導処理装置)は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0130】
本実施形態の交通管制装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USBメモリ、SSD等の半導体メモリ装置等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0131】
また、本実施形態の交通管制装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の交通管制装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0132】
また、本実施形態の交通管制装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0133】
本実施形態の交通管制装置で実行されるプログラムは、上述した各部(混雑状況取得部、休憩施設設定部、誘導情報作成部…)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、混雑状況取得部、休憩施設設定部、誘導情報作成部…が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
10 交通管制システム
11 交通管制中央処理装置(交通管制処理部)
12 休憩施設誘導処理装置(混雑状況取得部、休憩施設設定部、誘導情報作成部)
13 情報収集システム
14 情報提供装置群
14A~14C 情報板
21 情報入力部
22 画面表示部
23 情報処理部(混雑状況取得部、休憩施設設定部、誘導情報作成部)
24 データ通信部
25 情報記憶部
31 制御部
32 地図情報管理部
33 交通管制情報管理部
34 休憩施設混雑状況管理部
35 誘導処理判定部
36 誘導情報作成提供部
47 休憩施設混雑状況予測管理部
48 休憩施設混雑予測情報データベース
A (通行止の)位置
CR 休憩施設混雑情報
CRP 休憩施設混雑予測情報
EL 有機
M 休憩施設数
N 休憩施設数
R 混雑率
R1~R6 休憩施設
RT 本線
TMA~TMC 所要時間
cr 混雑率
m 誘導休憩施設数パラメータ
n 誘導対象休憩施設特定パラメータ
図1
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図16