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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165921
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】薬剤仕分装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166404
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2022176691の分割
【原出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021108099
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022093260
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】津田 紘道
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昂祐
(72)【発明者】
【氏名】尾上 匠
(72)【発明者】
【氏名】熊木 隆朗
(57)【要約】
【課題】分包に要する時間を短縮させることが可能な薬剤仕分装置を実現する。
【解決手段】薬剤仕分装置(1)は、複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する仕分カップ(141)を複数配置可能な第2収容部(14)と、収容部に収容された薬剤を分包する分包機構(6)と、収容部に収容された薬剤を、仕分容器ごとに分包部へ払い出す第1払出機構(4)と、収容部から仕分容器を取り出し、第1払出機構へと受け渡す容器取出機構(124)と、を備え、第1払出機構は、容器取出機構から受け取った仕分容器を傾斜させることで、当該仕分容器に収容された薬剤を分包部へ払い出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、
前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、
前記第2収容部に収容できなかった前記薬剤を一時的に収容する仮収容部と、
前記第1収容部から前記第2収容部または前記仮収容部へ前記薬剤を搬送する搬送部と、
前記第1収容部から前記仮収容部に収容された前記薬剤の種類ごとの数を示す仮収容データを生成する仮収容データ生成部と、
前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する再搬送部と、を備え、
前記再搬送部は、前記仮収容データに基づいて、前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する、薬剤仕分装置。
【請求項2】
前記再搬送部は、前記仮収容データに含まれている薬剤の種類ごとの個数が多い当該種類の薬剤から順に、前記仮収容部から前記第2収容部へ搬送する、請求項1に記載の薬剤仕分装置。
【請求項3】
前記仮収容データ生成部は、前記薬剤が最初に前記第1収容部から前記仮収容部へ収容される場合にのみ、前記仮収容データを生成する、請求項1または2に記載の薬剤仕分装置。
【請求項4】
複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、
前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、
前記第2収容部に収容できなかった前記薬剤を一時的に収容する仮収容部と、を備える薬剤仕分装置の制御方法であって、
前記第1収容部から前記第2収容部または前記仮収容部へ前記薬剤を搬送する搬送ステップと、
前記第1収容部から前記仮収容部に収容された前記薬剤の種類ごとの数を示す仮収容データを生成する仮収容データ生成ステップと、
前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する再搬送ステップと、を含み、
前記再搬送ステップでは、前記仮収容データに基づいて、前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する、薬剤仕分装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を仕分ける薬剤仕分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、返品された複数種類の薬剤は、薬剤師または医師の手により種類毎に仕分けられていた。返品される薬剤は、様々な患者に処方される、または処方された調剤後の薬剤である。そのため、1患者単位の処方箋情報に基づいて、調剤機器等に予め薬種単位でまとめられた薬種群(薬剤カセット)から、一服用時期単位毎に、(1種または複数種の)薬剤(錠剤)を取りまとめる(分包する)調剤業務に比べて、複数の患者に処方された薬剤がまとめて返品される薬剤の種類は非常に多い。そのため、返品された薬剤を自動的に仕分けて、再利用することの有用性は高い。なお、一服用時期用に調剤される薬剤は、一般に2~3種類程度であり、多くても10種類程度である。
【0003】
なお、仕分け業務にかかる時間、手間、または仕分け間違い(薬剤カセットへの戻し間違い)による誤投与のリスクを避けるため、返品された薬剤を、そのまま廃棄する薬局または病院(正確には院内薬剤部)も存在している。
【0004】
特許文献1には、薬剤の自動仕分けを実現する薬剤仕分装置が開示されている。特許文献1の薬剤仕分装置は、第1収容部に収容された複数種類の薬剤を1つずつ撮像し、撮像した画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき第2収容部の仕分カップに種類ごとに仕分ける。さらに、薬剤仕分装置は、種類ごとに仕分けた薬剤を、分包機構へ搬送して分包する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2018/190394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の薬剤仕分装置は、第2収容部から分包機構へ薬剤を搬送するときに、種類ごとに仕分カップに仕分けられた状態の薬剤を1錠ずつ搬送する。このため、分包に時間がかかるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の薬剤仕分装置は、第2収容部の仕分カップの全てに薬剤が格納されている場合に、それら以外の種類の薬剤を待機トレイに仮置きする。薬剤仕分装置は、待機トレイに仮置きした薬剤について、仕分カップに仕分けた薬剤を分包した後の次回の仕分けで、再度1つずつ撮像して種類を判別し、仕分カップに種類ごとに仕分ける。すなわち、薬剤仕分装置は、待機トレイに仮置きした薬剤に対しては、種類の判別を複数回にわたって行う。このため、待機トレイに仮置きされる薬剤が多くなると、種類の判別の回数が増加し、仕分けの効率が低下する。
【0008】
本発明の第1態様は、仕分カップに種類ごとに仕分けられた薬剤の分包に要する時間を短縮させることが可能な薬剤仕分装置を実現することを目的とする。
【0009】
また、本発明の第2~第4態様は、1回の仕分けで仕分カップに仕分けられる薬剤の数を増加させることが可能な薬剤仕分装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第2収容部に収容できなかった前記薬剤を一時的に収容する仮収容部と、前記第1収容部から前記第2収容部または前記仮収容部へ前記薬剤を搬送する搬送部と、前記第1収容部から前記仮収容部に収容された前記薬剤の種類ごとの数を示す仮収容データを生成する仮収容データ生成部と、前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する再搬送部と、を備え、前記再搬送部は、前記仮収容データに基づいて、前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る薬剤仕分装置の構成例を示す図である。
図3】撮像ユニットの全体構成および薬剤載置台の一例を示す斜視図である。
図4】撮像ユニットの旋回について説明するための図である。
図5】第1払出機構の構成を示す図である。
図6】第1払出機構の動作を示す図である。
図7】容器取出機構が仕分カップを把持する位置を、取出制御部が決定する方法について説明するための図である。
図8】仕分カップ141の底面の、実際の中心の位置を特定する方法について説明するための図である。
図9】載置台を揺動させることの効果について説明するための図である。
図10】分包時に異常が発生した場合の、分包紙への印字の例を示す図である。
図11】実施形態2に係る仕分カップの構成を示す図である。
図12】実施形態3に係る薬剤仕分装置の構成を示す図である。
図13】実施形態4に係る薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
図14】比較例の薬剤仕分装置における処理の例について説明するための表である。
図15】薬剤仕分装置における処理の例について説明するための表である。
図16】薬剤仕分装置の実施形態5に係る動作について説明するための図である。
図17】薬剤仕分装置の実施形態6に係る、基準値が設定されている場合の動作について説明するための図である。
図18】実施形態1に係る薬剤仕分装置において、仕分カップに収容された薬剤の、包括的な払い出し方法について設定するための設定画像を示す図である。
図19】実施形態1に係る薬剤仕分装置において、仕分カップに収容された薬剤の、種類ごとの払い出し方法について設定するための設定画像を示す図である。
図20】実施形態8に係る薬剤仕分領域の概略を示す図である。
図21】実施形態8に係る薬剤仕分領域を備える薬剤仕分装置による仕分けの例を示す図である。
図22】仮仕分け用の仕分カップの数を仕分け中に動的に設定しない場合の例について説明するための図である。
図23】仮仕分け用の仕分カップの数を仕分け中に動的に設定する場合の例について説明するための図である。
図24】第1収容部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
(薬剤仕分装置1の概要)
図1は、薬剤仕分装置1の全体構成を示すブロック図である。図2は、薬剤仕分装置1の構成例を示す図である。図2において、符号201は薬剤仕分装置1の斜視図であり、符号202は、薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。まず、薬剤仕分装置1の概要について図1および図2を用いて説明する。図1、並びに、図2の符号201および符号202に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分領域2、タッチパネル3、および分包機構6(分包部)を備える。
【0013】
薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤のそれぞれについて撮像し、撮像の結果得られた画像に基づき薬剤の種類を判別し、種類毎に薬剤を仕分ける。具体的には、薬剤仕分領域2においてこの処理が行われる。薬剤仕分領域2(薬剤仕分装置1の内部構成)については後述する。
【0014】
本実施形態では、複数種類の薬剤は、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤であり、その一例として、錠剤またはカプセルであるものとして説明する。また、複数種類の薬剤が返品された薬剤であるものとして説明する。薬剤の返品としては、薬局または病院における採用薬が当該薬局または病院にて「返品薬」として返品される場合と、当該薬局または病院において、当該採用薬以外に、他の薬局または病院で発行された薬剤も含み得る「持参薬」が返品される場合とが含まれる。換言すれば、返品される薬剤という概念には、上記「返品薬」および「持参薬」の少なくともいずれかが含まれる。薬剤仕分装置1は、薬剤が返品された後、撮像から仕分までの処理を自動的に行うことが可能である。
【0015】
タッチパネル3は、操作部31にて各種ユーザ入力を受け付けるとともに、表示部32にて各種画像(例:薬剤仕分の推移を示す画像)を表示する。
【0016】
分包機構6は仕分けられた薬剤を分包する。薬剤仕分装置1は、分包機構6を備えることで、上記仕分から分包までの処理を自動で行うことができる。分包機構6としては、従来から用いられている錠剤分包機または散薬分包機の分包部を採用することが可能である。この場合、例えば、同一薬種毎に仕分けられた薬剤を、一包または複数包に分包することができる。
【0017】
(薬剤仕分領域2の基本構成)
次に、図1および図2の符号202を用いて、薬剤仕分領域2の基本構成(薬剤仕分装置1の内部構成)について説明する。
【0018】
図1および図2の符号202に示すように、薬剤仕分領域2は、ハードウェアとして主に、第1収容部11、搬送・仕分ユニット12(搬送部)、撮像ユニット13、第2収容部14(収容部)、待機トレイ15(仮収容部)、回収トレイ16、薬剤投入口17、および第1払出機構4を備える。そして、搬送・仕分ユニット12を除く各部材は台座19に設けられている。搬送・仕分ユニット12、撮像ユニット13、および第1払出機構4の主要機能については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0019】
第1収容部11は、ユーザによって返品された複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。本実施例では、第1収容部11は、複数の収容部に分割されている。この場合、例えば、1つの収容部に収容された薬剤の全てが搬送・仕分ユニット12によって搬送されると、当該収容部に隣接する収容部に収容された薬剤が搬送対象となる。また、第1収容部11がZ軸(円柱形状の中心)に対して回動可能に設けられてもよい。この場合、コンピュータ60の制御部60aは、例えば1つの収容部が空になったタイミングで、搬送・仕分ユニット12が薬剤を取得しやすいように第1収容部11を回動させてもよい。
【0020】
第2収容部14には、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分カップ141(仕分容器)を複数配置可能である。制御部60aは、撮像ユニット13で撮像された薬剤の画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき当該薬剤を格納する仕分カップ141を決定する。当該薬剤は、その決定された仕分カップ141に搬送・仕分ユニット12により搬送され、格納される。
【0021】
待機トレイ15は、薬剤が仮置きされる収容部である。例えば、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤が、待機トレイ15に仮置きされる。この場合、仕分カップ141から薬剤が取り除かれた後、待機トレイ15から当該仕分カップ141に搬送されてもよい。
【0022】
また、待機トレイ15に仮置きされた薬剤が仕分カップ141に搬送される過程において、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤は、第1収容部11に仮置きされてもよい。すなわち、第1収容部11は、最初に第1収容部11から仕分カップ141または待機トレイ15への薬剤の搬送が終了した後は、第2の待機トレイとして使用されてもよい。以降、制御部60aは、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤は、待機トレイ15および第1収容部11に交互に仮置きされる。これにより、既に判別された薬剤とまだ判別されていない薬剤とを別の場所に配置することにより、それらが混同する可能性を低減できる。ただし、薬剤仕分装置1は、待機トレイ15および第1収容部11のいずれとも別の、第2の待機トレイをさらに備えていてもよい。この場合には、第1収容部11は第2の待機トレイとしては用いられない。
【0023】
また、本実施形態では、待機トレイ15には、薬剤であると推定された推定薬剤(後述)が仮置きされても構わない。推定薬剤が待機トレイ15に仮置きされた場合、推定薬剤は、制御部60aの判別結果に応じて、第2収容部14の所定領域に搬送されてもよい。
【0024】
回収トレイ16は、制御部60aにより種類が判別できなかった物(例:薬剤以外の異物)を格納する収容部である。薬剤以外の異物としては、例えば、PTP(Press Through Pack)シートの破片が挙げられる。PTPシートの破片は、薬剤の返品時に第1収容部11に混入する可能性がある。また、制御部60aは、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録されている薬剤、またはユーザが廃棄することを所望する薬剤(例:製造日の古い薬剤)についても、回収トレイ16に格納する。
【0025】
薬剤投入口17は、第2収容部14に格納された薬剤を、分包機構6へ払い出すためのものである。薬剤仕分装置1においては、第1払出機構4または搬送・仕分ユニット12が、第2収容部14に格納された薬剤を、薬剤投入口17に投入することで分包機構6へ払い出す。
【0026】
また、図1に示すように、薬剤仕分装置1は、上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部60a(ソフトウェア)として主に、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、操作入力部65、表示制御部66、取出制御部67a、傾斜制御部67b、および分包制御部68を備える。
【0027】
操作入力部65および表示制御部66は、それぞれタッチパネル3の操作部31および表示部32を制御する。分包制御部68は、分包機構6を制御して、薬剤投入口17から投入された薬剤を分包する。搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、取出制御部67aおよび傾斜制御部67bについては、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0028】
以下の説明では、ソフトウェアの制御に基づくハードウェアの動作について、動作主体がハードウェアであるものとして説明する場合がある。
【0029】
また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80は、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)、および、第1カメラ131が撮像した画像を示す画像データ等を記憶する。なお、記憶部80に記憶された各種データは、記憶部80にて管理されていなくてもよく、例えば外部装置で管理されてもよい。この場合、制御部60aは、上記各種データを、必要に応じて、インターネット等の通信回線を通じて当該外部装置から取得してもよい。また、薬剤データベースは、新たな薬剤データが追加されることにより、更新されてもよい。
【0030】
〔薬剤仕分装置1における処理の概要〕
薬剤仕分装置1では、搬送・仕分ユニット12が、第1収容部11に返品された各薬剤を撮像ユニット13まで搬送する。搬送された各薬剤を順次撮像ユニット13が撮像する。制御部60aは、撮像された画像に基づき各薬剤の種類を判別するとともに、判別した各薬剤の第2収容部14における仕分位置を決定する。搬送・仕分ユニット12は、決定された仕分位置に各薬剤を搬送する。そして、第2収容部14に格納された薬剤についての情報は、仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれたり、記憶部80に記憶されたり、タッチパネル3に表示されたりする。また、薬剤の仕分が完了した後、または仕分の途中において、ユーザがタッチパネル3を操作することで、分包等の処理が行われる。以降、各処理について具体的に説明する。
【0031】
〔撮像ユニット13への薬剤搬送処理〕
まず、第1収容部11から撮像ユニット13への薬剤搬送処理について、図1および図2の符号201を用いて説明する。
【0032】
具体的には、搬送・仕分ユニット12は、第1収容部11に収容された薬剤を、撮像ユニット13が薬剤を受け入れる受入領域Ar1(図3の符号302参照)まで搬送させる。搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による当該搬送処理を制御する。
【0033】
搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121、吸着・シャッター機構122、および搬送機構123を備える。
【0034】
第2カメラ121は、搬送対象とする薬剤を特定するために、第1収容部11を逐次撮像する。撮像制御部63は、第2カメラ121の撮像処理を制御する。第2カメラ121は、搬送・仕分ユニット12の(具体的には、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の)、台座19と対向する側の端部に設けられる。第2カメラ121は、後述の吸着機構の先端部に設けられてもよい。撮像制御部63は、撮像された画像を解析して、当該画像に薬剤が含まれるか否かを判定する。搬送制御部61は、薬剤が含まれると判定された場合には、例えば、上記先端部を第1収容部11に近づけ、そのとき撮像された画像に含まれる薬剤を搬送対象の薬剤として特定する。
【0035】
吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構と、吸着機構が吸着した薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。吸着機構はZ軸方向に移動可能に設けられる。シャッター機構は上記端部の前方に、XY平面と略平行に移動可能に設けられる。
【0036】
吸着機構は、薬剤取得時に、上記端部から延伸して、その先端部において、特定された薬剤を吸着した後、上記端部の位置まで戻る。この状態において、搬送制御部61は、上記端部と対向する位置にシャッター機構を移動させ、薬剤搬送中、シャッター機構の位置を維持する(閉状態とする)。搬送制御部61は、受入領域Ar1に配置された薬剤保持機構133の薬剤載置台133a(図3の符号302参照)と対向する位置まで吸着・シャッター機構122を移動させると、シャッター機構を上記端部と対向しない位置に移動させる(開状態とする)。そして、吸着機構を上記端部から延伸させた後、吸着状態を解除することにより、薬剤載置台133aに薬剤を載置する。
【0037】
搬送機構123は、搬送制御部61の制御を受けて、X軸およびY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。この搬送機構123により、第1収容部11上での搬送対象となる薬剤の探索時の吸着・シャッター機構122の動き、または第1収容部11から薬剤載置台133aまでの薬剤搬送が可能となる。また、後述の薬剤仕分処理においても、薬剤載置台133aから、第2収容部14、待機トレイ15または回収トレイ16への薬剤搬送が可能となる。さらに、第2収容部14から薬剤投入口17への薬剤搬送が可能となる。
【0038】
〔薬剤撮像処理〕
次に、撮像ユニット13による薬剤撮像処理について、図1図2の符号202、図3および図4を用いて説明する。図3の符号301および符号302は、撮像ユニット13の全体構成を示す斜視図であり、図3の符号303は、薬剤載置台133aの一例を示す斜視図である。図4の符号401および符号402は、撮像ユニット13の旋回について説明するための図である。上記薬剤撮像処理は、主として、撮像ユニット13および撮像制御部63により行われる。
【0039】
具体的には、撮像ユニット13は、薬剤載置台133aに載置され、図3の符号302に示す撮像対象となる薬剤を配置する配置領域Ar2(撮像領域)に配置された薬剤を撮像する。撮像制御部63は、撮像ユニット13による当該撮像処理と、第1カメラ131および照明器134の旋回移動と、薬剤保持機構133の移動とを制御する。撮像ユニット13は、図1および図3に示すように、第1カメラ131(撮像部)、回転機構132(回動部)、薬剤保持機構133(薬剤載置台、移動機構)、および照明器134(紫外光照射部、可視光照射部)を備える。
【0040】
第1カメラ131は、後述の判別部64において薬剤の種類を判別するために、第1カメラ131と対向する配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。薬剤保持機構133は、薬剤を保持する機構であり、図3の符号301および符号302に示すように、薬剤載置台(シャーレ)133aと、旋回機構133b(移動機構)と、薬剤載置台133aおよび旋回機構133bを接続する軸部133cとを備える。薬剤載置台133aは、撮像対象となる薬剤を載置するものである。旋回機構133bは、薬剤載置台133aを移動させるものであり、具体的には、薬剤載置台133aをXY平面に対して旋回させるとともに、軸部133cを、軸部133cの周方向に旋回させる。
【0041】
撮像制御部63は、薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤が載置されると、旋回機構133bを駆動し、当該薬剤載置台133aを受入領域Ar1から配置領域Ar2へと移動させる。その後、少なくとも第1カメラ131および照明器134を制御して、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。撮像した画像は記憶部80に画像データとして記憶される。撮像制御部63は、例えば撮像が完了した後に、旋回機構133bを駆動し、撮像された薬剤が載置された薬剤載置台133aを配置領域Ar2から受入領域Ar1へと移動させる。
【0042】
本実施形態では、薬剤載置台133aは軸部133cの先端部(端部)に2つ設けられている。旋回機構133bは、軸部133cを旋回させることにより、一方の薬剤載置台133aを配置領域Ar2に配置したとき、他方の薬剤載置台133aを受入領域Ar1に配置する。配置領域Ar2での薬剤撮像時に、搬送・仕分ユニット12により、受入領域Ar1に存在する薬剤載置台133aに、第1収容部11から薬剤を搬送しておくことで、連続的な薬剤の撮像処理が可能となる。なお、当該薬剤載置台133aは、第2収容部14への薬剤仕分処理後等、薬剤が載置されていない状態であることが前提である。
【0043】
また、本実施形態では、薬剤載置台133aは透明性を有する。そのため、第1カメラ131は、薬剤載置台133aに載置された薬剤を、薬剤載置台133aを通して多方面から撮像できる。
【0044】
また、図3の符号303に示すように、薬剤載置台133aは底部が凹んだ状態の断面略V字形状であってもよい。また、図3の符号302および図4に示すように、薬剤載置台133aが受入領域Ar1および配置領域Ar2に配置されている場合、断面略V字形状の溝方向(軸部133cの延伸方向)は、回転機構132による撮像機構(後述)の旋回軸Ayに対して略平行である。また、薬剤載置台133aの底部は、鋭角なV字形状ではなくてよい。図3の符号303に示すように、底部は、底面部133aaと、底面部133aaの対向する2箇所から傾斜した傾斜面部133abとを備えていてもよい。底部の形状は、薬剤載置台133aの裏側から見ても(撮像しても)、薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)を認識できる程度で、かつ薬剤が固定される程度の形状であればよい。
【0045】
薬剤がカプセルまたは変形錠(例:ラグビーボール形)の場合、薬剤載置台133aの底部が平坦であれば、XY平面上で薬剤の向きがそろわずに、鮮明な薬剤の画像(刻印情報または印字情報)を取得することが困難になる可能性がある。断面略V字形状であれば、最下端部にカプセルまたは変形錠が嵌合され、当該薬剤を固定できる。そのため、鮮明な薬剤の画像が取得しやすくなる。なお、錠剤の場合には、例えば、軸部133cを軸部133cの周方向に旋回させることで、薬剤載置台133aの平面部分(傾斜面部133ab)を第1カメラ131に対向させることで、当該薬剤を確実に動かないようにしてもよい。
【0046】
その他、旋回機構133bは、薬剤載置台133aを振動させる(小さく動かす、ゆする)ことも可能である。この場合、例えば、薬剤載置台133aに載置されたカプセルに振動を与えて転がすことで、カプセルのプリントが付された部分を所定の方向に向かせることができる(例:当該部分を、後述の初期位置に配置された第1カメラ131と対向させることができる)。また、上記振動により、例えば円筒状(底部が円形状)の錠剤が上記平面部分に立った状態で載置されたとしても、錠剤を横に倒す(錠剤の底部が当該平面部分に対向するように配置する)ことができる。
【0047】
照明器134は、撮像制御部63の制御により、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。照明器134は、図3の符号301に示すように、薬剤に可視光を照射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部134cとを備える。
【0048】
第1照射部134aおよび第2照射部134bは、可視光として白色光を薬剤に照射する。第1照射部134aはバー形状の可視光源(バー照明)であり、第2照射部134bはリング形状の可視光源(リング照明)である。第1カメラ131は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから出射され、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光に基づく画像(可視光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した可視光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0049】
紫外光照射部134cは、薬剤に紫外光(例:365nm以上410nm以下のピーク波長を有する光)を照射することで、薬剤に含まれる成分を励起させる。これにより、薬剤から蛍光(例:410nm以上800nm以下のピーク波長を有する光)が取り出される。第1カメラ131は、薬剤から発せられた蛍光を受光することにより、紫外光に基づく画像(紫外光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した紫外光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0050】
回転機構132は、図3および図4に示すように、撮像対象となる薬剤が配置される配置領域Ar2(当該位置に配置された薬剤載置台133a)の周囲を旋回するように第1カメラ131を回動させる。第1カメラ131は、回転機構132が回動させた複数の位置から、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。具体的には、第1カメラ131および照明器134を含む撮像機構を、配置領域Ar2の周囲を旋回するように回動させる。そのため、配置領域Ar2に対する第1カメラ131および照明器134の位置関係を維持したまま、第1カメラ131が複数の方向から薬剤を撮像できる。
【0051】
回転機構132は、図3の符号301に示すように、撮像機構駆動部132aと動力伝達機構132bとを含む。撮像機構駆動部132aは、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させるための動力を発生する。動力伝達機構132bは、撮像機構駆動部132aが発生させた動力を撮像機構へと伝達する。撮像機構駆動部132aは、撮像制御部63の制御により駆動し、配置領域Ar2の周囲における撮像機構の位置を変更する。
【0052】
回転機構132は、撮像機構を、初期位置と、初期位置と対向する位置との間において旋回させる。初期位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の上方の位置である。初期位置と対向する位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の下方の位置である。また、当該位置は、第1カメラ131が配置領域Ar2に存在する薬剤載置台133aの底部と対向する位置であるともいえる。
【0053】
図4に示すように、配置領域Ar2の中心を通りZ軸と平行な軸を軸Ax0とし、配置領域Ar2の中心および撮像機構の中心を通る軸を軸Ax1とする。また、軸Ax0と軸Ax1とのなす角をθとする。本実施形態では、回転機構132は、撮像機構を、θ=0°(初期位置)、45°、135°および180°の位置のいずれかに配置する。なお、図4の符号401は撮像機構がθ=0°の位置にある場合を示し、図4の符号402は撮像機構が初期位置から旋回してθ=45°の位置にある場合を示す。
【0054】
このように、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させることにより、薬剤を配置領域Ar2に固定した状態で、複数の方向から薬剤を撮像できる。また、薬剤載置台133aをゆすっても薬剤(錠剤)が立っている場合であっても、斜め方向(θ=45°または135°)からの撮像で、薬剤に付された刻印等が示す情報を取得できる。
【0055】
なお、撮像機構を固定し薬剤を回動させることで複数の方向から当該薬剤を撮像してもよい。
【0056】
(撮像位置制御)
次に、撮像機構の位置制御の一例について説明する。撮像制御部63は、まず撮像機構を初期位置にセットし、第1カメラ131に、当該初期位置おいて配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させる。このとき、第1カメラ131は、第1照射部134aおよび第2照射部134bからの可視光に基づく可視光画像(2つの可視光画像)を取得するとともに、紫外光照射部134cからの紫外光に基づく紫外光画像を取得する。
【0057】
次に、撮像制御部63は、撮像機構を初期位置とは対向する位置にセットし、第1カメラ131に、当該位置において配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させ、2つの可視光画像および紫外光画像を取得する。判別部64は、これら6つの画像を解析することにより、薬剤の種類を判別する。薬剤の種類を1つに特定できなかった場合、撮像制御部63は、θ=45°および135°の位置において、第1照射部134aおよび第2照射部134bから可視光を出射させ、第1カメラ131に薬剤を撮像させる。判別部64は、このときの可視光画像を解析して薬剤の種類を判別する。
【0058】
上記に限らず、撮像機構の位置制御は種々の方法が挙げられる。例えば、初期位置と対向する位置から撮像した後、初期位置から撮像を行ってもよい。また、θ=45°の位置から撮像したときの可視光画像に基づく薬剤の判別処理を行い、薬剤の種類を1つに特定できなかった場合にのみθ=135°の位置から撮像したときの可視光画像を取得してもよい。また、初期位置および初期位置と対向する位置において紫外光画像のみを取得し、当該紫外光画像に基づく薬剤の判別処理を行った後、当該位置における可視光画像を取得してもよい。また、全ての位置において可視光画像および紫外光画像を取得してもよい。
【0059】
〔画像処理・判別処理〕
次に、撮像ユニット13により撮像された画像に対する画像処理と、画像処理の結果に基づく薬剤の判別処理について、図1を用いて説明する。上記画像処理は、主として撮像制御部63により行われ、上記判別処理は、主として判別部64により行われる。
【0060】
判別部64は、第1カメラ131により撮像された薬剤の画像に基づき、薬剤の種類を判別する。具体的には、判別部64は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから可視光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(可視光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。また、判別部64は、紫外光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(紫外光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。
【0061】
判別部64は、可視光画像および/または紫外光画像のそれぞれにおいて画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出する。換言すれば、判別部64は、薬剤の特徴を抽出する。薬剤の特徴としては、例えば、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色(刻印またはプリントが付された領域の色)が挙げられる。OCR(Optical Character Recognition)等を行った場合には、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名(例:識別コード)または製造元を示す識別情報(薬剤を識別する識別情報)、使用期限等のその他の情報が抽出される。また、紫外光画像の場合には、薬剤の特徴として、画像中の薬剤における代表色が挙げられる。判別部64は、抽出した各薬剤の特徴を、薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。なお、薬剤の特徴抽出は、公知の技術により行われてもよい。
【0062】
判別部64は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別する。換言すれば、判別部64は、抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む。この場合、例えば、上述した大きさ、形状、刻印、プリント、割線、および代表色の少なくとも1つを用いて薬剤データの候補を絞込む。その後、判別部64は、OCR等を行い、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。
【0063】
また、判別部64は、パターンマッチング等を用いて抽出した薬剤の特徴(対象特徴)が薬剤データベースに無い場合であっても、対象特徴の少なくとも一部に基づき薬剤(錠剤またはカプセル)であると推定される場合には、薬剤の種類を推定薬剤として判別する。この場合、推定薬剤も、第2収容部14または待機トレイ15への仕分け対象とすることができる。本実施形態では、推定薬剤は、まず待機トレイ15へ仮置きされても構わない。
【0064】
このように、判別部64(判定部)は、予め登録された複数種類の薬剤に関する薬剤データ(薬剤データベース)の中に、第1カメラ131によって撮像された画像(画像データ)に対応する薬剤データが存在するか否かを判定している。
【0065】
判別部64は、薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、判別部64は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。
【0066】
判別部64は、薬剤の種類を推定薬剤として判別した場合には、薬剤の特徴(推定薬剤として推定された物の特徴)を判別結果として出力する。一方、判別部64は、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録された薬剤であると判別した場合、または第1収容部11に収容された物が薬剤以外の異物であると判別した場合、仕分対象外の薬剤である旨を判別結果として出力する。
【0067】
搬送・仕分ユニット12は、判別部64による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に第2収容部14へ格納するか、または待機トレイ15へ格納する薬剤仕分処理を実行する。仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、撮像および判別処理後に受入領域Ar1に配置された薬剤を、判別結果に基づき、第2収容部14の所定の仕分カップ141または待機トレイ15まで搬送する。
【0068】
(第1払出機構4による薬剤の払い出し)
搬送・仕分ユニット12の容器取出機構124は、第2収容部14から仕分カップ141を取り出し、第1払出機構4へと受け渡すものである。具体的には、容器取出機構124は、仕分カップ141の一部を把持して引き上げることで、第2収容部14から取り出す。容器取出機構124の具体的な構成の例については後述する。なお、容器取出機構124は、搬送・仕分ユニット12とは別の独立した機構であってもよい。
【0069】
第1払出機構4は、仕分カップ141に収容された薬剤を、仕分カップ141ごとに分包機構6へ払い出すものである。このとき、第1払出機構4は、容器取出機構124から受け取った仕分カップ141を傾斜させることで、当該仕分カップ141に収容された薬剤を分包機構6へ払い出す。ただし、薬剤の種類および数量などの条件によっては、仕分カップ141を傾斜させるだけでは全ての薬剤を払い出せない場合もある。この場合には、第1払出機構4は、仕分カップ141を完全に上下反転させる。制御部60aは、例えば図示しない質量計測機構により仕分カップ141(およびその中の薬剤)の質量を計測し、当該質量が仕分カップ141の質量と略等しくなった場合に全ての薬剤が払い出されたと判定する。以下の説明では上下反転については記載を省略する。
【0070】
換言すれば、薬剤仕分装置1においては、第2収容部14から仕分カップ141を取り出す機構と、取り出された仕分カップ141を傾斜させる機構とが別個である。第2収容部14では、仕分カップ141の収容率を高めるために、仕分カップ141同士が近接した状態で配置される。取り出す機構と傾斜させる機構とを別構成とすることにより、近接して配置された複数の仕分カップ141から取出対象の仕分カップ141を適切に取出すために、仕分カップ141の取出しに適した容器取出機構124を用いることができる。さらに、仕分カップ141を確実に保持して所望の角度に傾斜させるために、仕分カップ141を保持し、傾斜させることに適した第1払出機構4を用いることができる。したがって、第2収容部14において仕分カップ141が高集積に配置された状態において、容器取出機構124が取出対象の仕分カップ141を適切に取出した後、第1払出機構4が当該仕分カップ141を傾斜させることにより当該仕分カップ141内の薬剤を払出すことができる。容器取出機構124および第1払出機構4の具体的な構成については後述する。
【0071】
図5は、第1払出機構4の構成を示す図である。図5において、符号501および符号502は、第1払出機構4を互いに異なる角度から見た斜視図である。図5においては、第1払出機構4は搬送・仕分ユニット12と一体に構成されている。すなわち、第1払出機構4は、図5の例では、吸着・シャッター機構122および容器取出機構124と一体に構成され、搬送機構123により、X軸およびY軸方向に搬送される。ただし、第1払出機構4は、搬送・仕分ユニット12とは独立した機構であってもよい。この場合、第1払出機構4は、X軸およびY軸方向に第1払出機構4を搬送する、搬送機構123とは異なる搬送機構により搬送される。またこの場合、容器取出機構124と第1払出機構4とが一体に構成されていてもよい。
【0072】
図5に示すように、第1払出機構4は、載置台41と、傾斜機構42と、を備える。載置台41は、仕分カップ141が載置される台である。傾斜機構42は、載置台41を傾斜させるものである。具体的には、傾斜機構42は、載置台41と一体に回転する回転軸である。傾斜機構42は、タイミングベルト42aを介してモータ42bに連結されている。傾斜機構42は、モータ42bの回転により、載置台41を水平な回動軸の周りに回動させることで載置台41を傾斜させる。
【0073】
また、図5に示すように、搬送・仕分ユニット12において、容器取出機構124は、複数の爪部124a、タイミングベルト124b、およびモータ124cを備える。複数の爪部124aは、互いに相対的な距離を変化させることが可能である。容器取出機構124は、複数の爪部124aの間に仕分カップ141の縁を挟持することで把持する。図5に示す例では、容器取出機構124は、複数の爪部124aとして、2本の内側爪部124eおよび1本の外側爪部124fを有する。容器取出機構124は、内側爪部124eを仕分カップ141の内側に、外側爪部124fを仕分カップ141の外側に当接させ、3点で仕分カップ141を把持する。複数の爪部124aは、タイミングベルト124bに接続されている。タイミングベルト124bは、モータ124cに接続されている。したがって、モータ124cの回転により、複数の爪部124aが上下方向に移動する。
【0074】
図6は、第1払出機構4の動作を示す図である。図6の符号601に示すように、傾斜制御部67bは、傾斜機構42を制御して、仕分カップ141を載置する面が水平になるように載置台41を固定する。取出制御部67aは、容器取出機構124を制御して、第2収容部14から取り出した仕分カップ141を載置台41へ載置する。傾斜制御部67bは、傾斜機構42を制御して、図6の符号602および符号603に示すように、載置台41を傾斜させる。これにより、載置台41、および載置台41に載置された仕分カップ141が傾斜し、仕分カップ141の中に収容されていた薬剤が分包機構6へ払い出される。具体的には、薬剤が薬剤投入口17へ落下する。
【0075】
図6に示すように、第1払出機構4は、保持機構43をさらに備える。保持機構43は、載置台41に載置された仕分カップ141に外力を与えることで、当該仕分カップ141を載置台41に保持するものである。このため、載置台41が傾斜機構42により傾斜した場合に、載置台41から仕分カップ141が落下することが防止される。図6に示す例では、保持機構43は、仕分カップ141の縁に係止し、載置台41に向かう外力を与えることで、仕分カップ141を載置台41に保持する。保持機構43の具体的な構成については後述する。また、保持機構43は、仕分カップ141の側面を2方向から挟持するものであってもよい。このようにして、仕分カップ141を載置台41に載置して傾斜させることで、仕分カップ141の傾斜角度を安定して変更できる。また、仕分カップ141を傾斜させる動作の停止および再開についても緻密に制御できる。
【0076】
さらに、載置台41からの仕分カップ141の落下が防止されることで、傾斜機構42は所望の速度で載置台41および仕分カップ141を傾斜させることができる。このため、仕分カップ141に収容されている薬剤の数に応じて載置台41および仕分カップ141を傾斜させる速度を調整できる。具体的には、傾斜機構42は、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が多い程、載置台41および仕分カップ141を傾斜させる速度を小さくする。したがって、薬剤が払い出される勢いを小さくし、確実に薬剤投入口17へ落下させることができる。
【0077】
保持機構43は、載置台41に仕分カップ141が載置された後に、仕分カップ141を載置台41に保持するものである。このため、保持機構43は、仕分カップ141の載置が完了してから仕分カップ141を保持し、載置台41に載置された状態、さらに傾斜した状態の仕分カップ141の安定性をより確実に向上させることができる。
【0078】
具体的には、保持機構43は、回動軸43a、係止部43b、および被案内部43cを備える。また、第1払出機構4は、載置台41の傾斜角度に応じて保持機構43を案内する案内部材44をさらに備える。回動軸43aは、載置台41に固定された軸である。係止部43bは、仕分カップ141を載置台41に係止する部材である。係止部43bは、回動軸43aの周りで回動する。係止部43bの先端は、仕分カップ141の縁に引っ掛かりやすいよう、回動軸43aの周方向において載置台41に近い側が遠い側よりも回動軸43aに近い形状を有する。換言すれば、係止部43bの先端は、仕分カップ141の縁に当接した状態において仕分カップ141の外側から内側へ向かうにつれて載置台41に接近する形状となっている。また、被案内部43cは、案内部材44に当接する、係止部43bと一体の部材である。
【0079】
回動軸43aから案内部材44までの距離は、載置台41が水平である場合に最も短く、載置台41の傾斜角度が大きくなるにつれて長くなる。また、回動軸43aから案内部材44までの距離は、回動軸43aの周方向における載置台41に近い側と載置台41から遠い側とでは、後者の方が長くなる。
【0080】
このため、載置台41の傾斜角度が変動すると、被案内部43cは、案内部材44に当接した状態を維持するように、回動軸43aの周りで回動する。具体的には、載置台41の傾斜角度が大きくなると、上述したとおり、回動軸43aから案内部材44までの距離は長くなる。このとき、被案内部43cは、回動軸43aの周りで載置台41の側へ回動する。その結果、案内部材44に対して被案内部43cが当接する位置が、載置台41の側へ変位し、案内部材44に当接した状態を維持する。被案内部43cの回動に伴い、係止部43bも回動軸43aの周りで回動して傾斜する。すなわち、傾斜機構42は、載置台41の傾斜動作に連動して保持機構43を傾斜させる。
【0081】
傾斜機構42により載置台41の底部を略水平にした状態において、載置台41に仕分カップ141が載置された時点では、図6の符号601に示すように、保持機構43は仕分カップ141を係止していない。この状態から、傾斜機構42は、載置台41に仕分カップ141が載置された後、載置台41をわずかに(例えば5°)傾斜させる。これにより、図6の符号602に示すように、保持機構43が案内部材44に案内されて、仕分カップ141を係止しかけた状態となる。「係止しかけた」とは、保持機構43が仕分カップ141に接触しているだけで、仕分カップ141の落下を防止するために十分な外力を与えていない状態である。傾斜機構42がさらに載置台41を傾斜させ、載置台41が水平な状態から所定の角度(例えば10°以上)まで傾斜したときに、図6の符号603に示すように、載置台41の傾斜に連動して保持機構43が案内部材44に案内されて、仕分カップ141を係止する。この状態で、保持機構43は、仕分カップ141に、落下を防止するために十分な外力を与え、仕分カップ141を載置台41に保持することができる。すなわち、傾斜機構42が所定の角度を超えて載置台41を傾斜させたとしても、保持機構43により仕分カップ141を載置台41に保持することができる。そのため、仕分カップ141に収容されている薬剤を薬剤投入口17に落下させるときに、仕分カップ141が載置台41から落下することを防止することができる。
【0082】
以上のとおり、第1払出機構4においては、保持機構43が仕分カップ141を載置台41に保持するか否かを切り替えるための、別個の駆動機構は不要である。したがって、薬剤仕分装置1の構成を簡略化できる。ただし、第1払出機構4は、上記駆動機構を備えていてもよい。
【0083】
また、図6の符号601に示すように、容器取出機構124は、載置台41が水平な状態であるときに、第2収容部14に配置された仕分カップ141を取出して載置台41に載置する。その後、図6の符号603に示すように、容器取出機構124は、保持機構43が載置台41に仕分カップ141を保持した後、仕分カップ141の把持を解除する。換言すれば、保持機構43が載置台41に仕分カップ141を保持するまでは、容器取出機構124は仕分カップ141を把持した状態を維持する。したがって、載置台41から仕分カップ141が落下することが、より確実に防止される。
【0084】
なお、第1払出機構4の構成は、上記の例に限定されない。第1払出機構4は、仕分カップ141を把持して傾斜させる、載置台41を有しない機構であってもよい。このような構成の場合でも、容器取出機構124と第1払出機構4とを別個の機構とすることで、容器取出機構124には仕分カップ141を傾斜させる機構が不要となる。一方で、第1払出機構4には仕分カップ141を搬送させる機構が不要となる。すなわち、個々の機構を簡略化できる。
【0085】
(把持位置の決定)
図7は、容器取出機構124が仕分カップ141を把持する位置を取出制御部67aが決定する方法について説明するための図である。容器取出機構124が仕分カップ141を把持する位置を取出制御部67aが決定する方法は、以下のとおりである。
【0086】
まず、取出制御部67aは、仕分カップ141の画像を第2カメラ121により撮像し、当該画像を図7の符号701に示すように4つの領域R11~R14に区分する。領域R11~R14は、矩形である画像を、当該矩形における対向する辺の中点同士を結んだ線で区分したものであり、画像における仕分カップ141の位置には無関係である。
【0087】
第2収容部14においては、仕分カップ141が収容される区画の四隅に、当該仕分カップ141の位置を規定する仕分容器ベースが当接している。取出制御部67aは、図7の符号702に示すように、領域R11~R14のそれぞれにおいて、仕分容器ベースの領域R21~R24を特定する。仕分カップ141よりも仕分容器ベースの方が、画像における輝度が大きい。このため、取出制御部67aは、画像において輝度が所定の閾値以上である領域を、仕分容器ベースの領域R21~R24として特定することができる。
【0088】
第2カメラ121により撮像した画像における領域R21~R24の位置と外周SLの形状との関係は既知である。取出制御部67aは、図7の符号703に示すように、領域R21~R24に基づいて、仕分カップ141の外周SLを特定する。その後、取出制御部67aは、図7の符号704に示すように、外周SLに外接する円CLを特定し、その中心CC1の座標を取得する。さらに、取出制御部67aは、仕分カップ141の高さにより中心CC1の座標を補正して、仕分カップ141の底面の、実際の中心の位置を特定する。
【0089】
図8は、仕分カップ141の底面の、実際の中心の位置を特定する方法について説明するための図である。図8の符号801は、薬剤仕分領域2内の実空間における、円CLの中心CC1、仕分カップ141の底面における仕分カップ141の中心CC2、および仕分カップ141の縁の高さにおける仕分カップ141の中心CC3の関係を示す図である。図8における円CLおよび中心CC1は、図7に示した画像上における円CLおよび中心CC1に対応する実空間上のものである。
【0090】
図8の符号802は、画像における中心CC1の座標(x1,y1)と、中心CC2の座標(x2,y2)との関係を示す図である。実空間における中心CC1の、高さ方向(z方向)における位置は、当該方向における仕分カップ141の縁の位置に等しい。このため、画像における中心CC1の位置が、画像の中心、すなわち第2カメラ121の撮像素子の直下から外れている場合、図8の符号802に示すように、画像における中心CC1の座標(x1,y1)は、中心CC2の座標(x2,y2)とは異なる。
【0091】
仕分カップ141の底面に対する第2カメラ121の撮像素子の高さをH1、仕分カップ141の底面に対する仕分カップ141の縁の高さをH2とする。このとき、x1とx2との比、および、y1とy2との比はいずれも、H1とH2との比に等しい。このため、取出制御部67aは、以下の式(1)および(2)により、中心CC2の座標(x2,y2)を導出する。
【0092】
x2=x1×H2/H1(1)
y2=y1×H2/H1(2)
一例としては、H1=140mmであり、H2=52mmである。
【0093】
水平面における中心CC3の位置は、xy平面における中心CC2の位置に等しい。また、高さ方向における中心CC3の位置は、当該方向における仕分カップ141の縁の位置に等しい。さらに、中心CC3の位置に対する、容器取出機構124が把持する仕分カップ141の縁の位置は一定である。このため、取出制御部67aは、容器取出機構124が把持する仕分カップ141の縁の位置を特定できる。
【0094】
(傾斜時の揺動)
傾斜機構42は、仕分カップ141を載置した載置台41を傾斜させる過程において、載置台41に載置された仕分カップ141を揺動させる揺動機構として動作してよい。傾斜機構42は、載置台41を所定の角度まで傾斜させた後、所定の範囲内で反復移動させることで、載置台41に載置された仕分カップ141を揺動させる。具体的には、傾斜機構42は、載置台41が水平な状態から40°~60°、好ましくは50°程度まで傾斜したときに、載置台41の傾斜動作を一時的に停止する。そして、載置台41を傾斜させるモータ42bの回転軸について、正方向への回転と逆方向への回転とを細かく反復することで、載置台41に載置された仕分カップ141を揺動させる。
【0095】
図9は、載置台41を揺動させることの効果について説明するための図である。載置台41を傾斜させる前には、図9において符号901に示すように、仕分カップ141の底面に薬剤M1が並んだ状態となっている。載置台41を傾斜させる途中では、図9において符号902に示すように、一部の薬剤が仕分カップ141の側面側へ移動するが、仕分カップ141の底面に並んだままの状態の薬剤M1も存在する。載置台41を揺動させずにさらに傾斜させた場合、薬剤が仕分カップ141内から薬剤投入口17へ払い出される。しかし、図9において符号903に示すように、仕分カップ141の底面に並んでいた薬剤のうち、仕分カップ141の傾斜の方向とは逆側に位置していたものについては、高い位置から落下することで勢いが大きくなり、薬剤投入口17から外れる可能性がある。
【0096】
一方、載置台41を揺動させると、図9において符号904に示すように、仕分カップ141の底面に並んでいた薬剤M1の列が、当該薬剤M1が排出される方向に崩れる。この状態で載置台41をさらに傾斜させることで、図9において符号905に示すように、傾斜の方向とは逆側に位置していた薬剤M1が払い出される勢いが小さくなる。したがって、載置台41に載置された仕分カップ141を、傾斜した状態で揺動させることで、仕分カップ141から払い出される薬剤が薬剤投入口17から外れる可能性を低減できる。
【0097】
なお、薬剤仕分装置1は、傾斜機構42とは別の、仕分カップ141を揺動させる揺動機構を備えていてもよい。傾斜機構42とは別の揺動機構の例として、仕分カップ141に衝撃を与える機構が挙げられる。このような揺動機構を備える場合にも、仕分カップ141から払い出される薬剤が薬剤投入口17から外れる可能性を低減できる。ただし、薬剤仕分装置1においては、傾斜機構42が揺動機構として動作することで、別の機構を備える場合と比較して装置の構成を簡略化できる。
【0098】
(第2払出機構としての吸着・シャッター機構122)
吸着・シャッター機構122は、第2収容部14に収容された薬剤を個別に払い出す、第2払出機構としても動作する。具体的には、吸着・シャッター機構122による払い出しを行う場合、第2収容部14に配された状態の仕分カップ141から、薬剤を1錠ずつ分包機構6へ搬送して払い出す。
【0099】
第1払出機構4のみで第2収容部14に収容された薬剤を分包機構6へ払い出す場合、1つの仕分カップ141に収容可能な薬剤の数の上限が、分包機構6が1回の分包で分包可能な薬剤の数の上限(以下、分包上限と称する)に制限される。このため、第1収容部11または待機トレイ15から第2収容部14への薬剤の搬送時に、第2収容部14へ収容できない薬剤が増加して薬剤の搬送の効率が低下する可能性がある。
【0100】
薬剤仕分装置1においては、制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数よりも多いか否かを判定する。規定された数は、例えば分包上限である。ただし、規定された数は、分包上限よりも小さい別の値であってもよい。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数よりも多い場合には、搬送制御部61が吸着・シャッター機構122を制御して、仕分カップ141から分包機構6へ薬剤の払い出しを行う。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数以下である場合には、取出制御部67aが容器取出機構124を制御して、仕分カップ141を第2収容部14から取り出して第1払出機構4に受け渡す。その後、傾斜制御部67bが傾斜機構42を制御して仕分カップ141から分包機構6へ薬剤の払い出しを行う。
【0101】
制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が規定された数よりも多いと判定した場合には、吸着・シャッター機構122により払い出す薬剤の数を以下のとおり決定する。すなわち、制御部60aは、仕分カップ141内の薬剤の数と規定された数との差を計算する。当該差が規定された数以上である場合には、吸着・シャッター機構122は、規定された数の薬剤を分包機構6へ払い出す。一方、当該差が規定された数未満である場合には、吸着・シャッター機構122は、当該差の数だけ薬剤を分包機構6へ払い出す。
【0102】
例えば、規定された数としての分包上限が15錠であり、仕分カップ141に収容可能な薬剤の数の上限が50錠である場合について以下に説明する。なお、ここでの15錠および50錠という数字は一例であり、薬剤のサイズに応じて個別に、すなわち当該薬剤を収容する仕分カップ141ごとに変更することも可能である。仕分カップ141に、収容可能な薬剤の数の上限である50錠の薬剤が収容されている場合、1回目の払い出しでは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数と分包上限との差は35である。このため、吸着・シャッター機構122が、仕分カップ141から分包上限である15錠の薬剤を1錠ずつ分包機構6へ搬送して払い出す。分包機構6は、払い出された15錠の薬剤を分包する。これにより、仕分カップ141に収容されている薬剤の数は35錠になる。
【0103】
2回目の払い出しでは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数と分包上限との差は20である。このため、吸着・シャッター機構122が、仕分カップ141から1回目の払い出しと同様に分包上限である15錠の薬剤を1錠ずつ分包機構6へ払い出す。分包機構6は、払い出された15錠の薬剤を分包する。これにより、仕分カップ141に収容されている薬剤の数は20錠になる。
【0104】
3回目の払い出しでは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数と分包上限との差は5である。このため、吸着・シャッター機構122が、仕分カップ141から分包上限である15錠ではなく、仕分カップ141に収容されている薬剤の数と分包上限との差である5錠の薬剤を1錠ずつ分包機構6へ払い出す。これにより、仕分カップ141に収容されている薬剤の数は15錠になる。換言すれば、吸着・シャッター機構122は、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が15錠になった時点で薬剤の払い出しを終了する。
【0105】
4回目の払い出しでは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数が15錠であるため、制御部60aは、当該数が分包上限よりも多くないと判定する。このため、仕分カップ141に残っている15錠の薬剤を、第1払出機構4が分包機構6へ払い出す。
【0106】
このように、薬剤仕分装置1においては、吸着・シャッター機構122が第2払出機構として動作する。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が、分包上限よりも多い場合には、吸着・シャッター機構122が薬剤を1錠ずつ分包機構6へ払い出す。仕分カップ141に収容されている薬剤の数が、分包上限になった場合には、第1払出機構4が薬剤をまとめて分包機構6へ払い出す。したがって、薬剤仕分装置1においては、1つの仕分カップ141に収容可能な薬剤の数の上限が、分包上限に制限されない。
【0107】
また、薬剤仕分装置1においては、仕分カップ141から分包機構6への薬剤の払い出しに吸着・シャッター機構122を使用するか否かをユーザが設定可能であってもよい。このような実施形態については後述する。
【0108】
なお、薬剤仕分装置1は、吸着・シャッター機構122とは別に第2払出機構を備えていてもよい。ただし、吸着・シャッター機構122を第2払出機構として動作させることで、薬剤仕分装置1の構成を簡略化できる。
【0109】
(薬剤の収容先の決定)
上述したとおり、容器取出機構124は、仕分カップ141を把持して第1払出機構4に搬送し、載置台41に載置する。しかし、薬剤仕分装置1の構造によっては、第2収容部14の一部の領域に配された仕分カップ141について、容器取出機構124により取り出すことが困難である場合がある。図2の符号202に示した例では、仕分カップ141がy軸方向に7行並べて配置されている。このうち、最も-y側の行の仕分カップ141については、容器取出機構124により取り出すことが困難である。このような仕分カップ141に収容された薬剤については、第1払出機構4ではなく、吸着・シャッター機構122による払い出しが必要となる場合がある。
【0110】
ところで、薬剤には、第1払出機構4による払い出しに適した種類の薬剤と、第1払出機構4による払い出しに適していない種類の薬剤とが存在する。第1払出機構4による払い出しに適していない種類の薬剤の例として、衝撃により破損しやすい薬剤が挙げられる。このような薬剤は、吸着・シャッター機構122により払い出すことが好ましい。
【0111】
薬剤仕分装置1においては、第1払出機構4により払い出しを行うか否かを薬剤の種類ごとに設定可能である。制御部60aは、第1払出機構4により払い出しを行わない薬剤の収容先を、第1払出機構4による払い出しが困難な仕分カップ141に優先的に決定してよい。上述の例では、制御部60aは、当該薬剤の収容先として、-y側に配された仕分カップ141から順に決定してよい。薬剤の収容先をこのように決定することで、容器取出機構124による取出しが困難な位置に配された仕分カップ141に収容される、第1払出機構4により払い出しを行うことが可能な薬剤の数が最小になる。したがって、薬剤仕分装置1における薬剤の払い出しの効率が向上する可能性がある。
【0112】
(薬剤の弾き出し防止)
上述したとおり、第1収容部11は、円柱形状の中心に対して回動可能である。薬剤仕分装置1は、円柱形状の中心に対する第1収容部11の回転を検出するエンコーダを備えていてよい。
【0113】
上述したとおり、第1収容部11は、複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。したがって、第1収容部11に収容される薬剤の形状は一様ではない。このため、第1収容部11に多数の薬剤が収容されている場合、制御部60aは、搬送・仕分ユニット12により薬剤を取り出すときに、取り出すべき薬剤を適切に認識できない可能性がある。
【0114】
例えば、複数の薬剤が互いに接触している場合に、制御部60aは、当該複数の薬剤を合わせて1錠の薬剤であると誤認識する可能性がある。誤認識された薬剤を制御部60aが搬送・仕分ユニット12により取り出そうとする場合、搬送・仕分ユニット12が備える吸着機構が、誤認識の元となった複数の薬剤のうちいずれかの端部に接触してしまう可能性がある。また、複数の薬剤が重畳している場合において、制御部60aが、上側の薬剤ではなく下側の薬剤を取り出すべき薬剤として認識する可能性がある。この場合、吸着機構が上側の薬剤の端部に接触してしまう可能性がある。このようにして薬剤の端部に搬送・仕分ユニット12が接触すると、当該薬剤が第1収容部11の外部に弾き出される可能性がある。
【0115】
薬剤の端部に搬送・仕分ユニット12が接触すると、搬送・仕分ユニット12から薬剤に対して加わる力の一部は、薬剤から第1収容部11に伝達され、第1収容部11に回転が生じる。制御部60aは、第1収容部11に回転が生じた場合、当該回転をエンコーダにより検出し、吸着機構の下降動作を停止させる。これにより、薬剤が第1収容部11の外部に弾き出される可能性が低減される。
【0116】
また、制御部60aは、吸着機構の下降動作を停止させた場合に、その旨を薬剤仕分装置1のユーザに報知してもよい。その場合、第1収容部11に収容されている薬剤の数または配置をユーザが適宜変更することで、制御部60aが搬送・仕分ユニット12により取り出すべき薬剤を適切に認識できるようになる。
【0117】
(薬剤投入口17における薬剤のカウント)
分包機構6は、薬剤投入口17からの薬剤の受入れを制限するシャッター(不図示)を有する。シャッターは、薬剤投入口17から分包機構6へ向かう薬剤が通過する経路に設けられ、分包制御部68により制御されて開閉する。シャッターは、閉じた状態においては薬剤投入口17の底面として機能する。分包機構6は、シャッターを有することで、薬剤仕分装置1の動作中に、薬剤投入口17に誤って落下した薬剤(分包対象ではない薬剤)が、分包機構6により分包されてしまう可能性を低減できる。
【0118】
分包制御部68は、薬剤投入口17に投入された薬剤を分包機構6により分包する場合、シャッターを開く前に、薬剤投入口17を上方から見た画像を第2カメラ121により撮影する。そして、当該画像に基づいて、薬剤投入口17の底面に滞留している薬剤の数をカウントする。このとき、分包制御部68は、画像における薬剤投入口17の底面の領域を特定し、当該領域における薬剤の数をカウントする。
【0119】
分包制御部68は、薬剤投入口17の底面に滞留している薬剤の数をカウントした後、当該薬剤の数が、第1払出機構4または搬送・仕分ユニット12により払い出された薬剤の数と一致するか否か判定する。一致しないと判定した場合、薬剤の不足または過剰といった異常が発生したと考えられる。この場合には分包に異常が発生することとなるため、分包制御部68は分包に異常が発生した場合の処理を実行する。分包に異常が発生した場合の処理の一例については後述する。
【0120】
上述したとおり、薬剤投入口17には、第1払出機構4により払い出される薬剤が投入される場合がある。このような薬剤を受け入れやすくするため、薬剤投入口17は、上側から下側に向かうに伴って狭くなる、テーパ形状を有する。このため、薬剤投入口17の画像には、薬剤投入口17の側面の画像が含まれる。第1払出機構4により払い出される薬剤の一部は、薬剤投入口17の側面に衝突する。このため、薬剤投入口17の側面には、薬剤の粉または破片が付着する場合がある。
【0121】
分包制御部68が、撮像した画像に基づいて、当該画像における薬剤投入口17の底面の領域を特定する場合、薬剤の粉または破片が付着した薬剤投入口17の側面についても底面の一部と誤認する場合がある。また、当該側面の画像には、底面に存在する薬剤を反射した像が映り込む場合がある。この場合、分包制御部68は、側面に映り込んだ薬剤の像を実際の薬剤であると誤認する。さらにこの場合、分包制御部68は、実際にはシャッター上に滞留している薬剤の数が払い出された薬剤の数と一致している場合に、一致しないと判定して分包に異常が発生した場合の処理を実行する。その結果、異常を解消するために時間のロスが生じる。
【0122】
そこで、分包制御部68は、薬剤の粉または破片が付着していない状態(例えば薬剤仕分装置1の初期状態またはカメラ調整後の初期化時の状態)の薬剤投入口17の画像を撮影し、当該画像に埃などの異物の画像が含まれているか否か判定する。異物の画像が含まれていると判定した場合には、分包制御部68は、エラーを出力し、ユーザに異物の除去を促す。その後、分包制御部68は、薬剤投入口17の画像を再び撮影する。
【0123】
薬剤投入口17の画像に埃などの異物の画像が含まれていないと判定した場合には、分包制御部68は、薬剤投入口17の画像から、薬剤投入口17の底面の領域およびその中心座標を特定し、記憶部80に記憶させる。分包する薬剤の数をカウントするときには、分包制御部68は、記憶部80に記憶された底面の領域における薬剤の数をカウントする。したがって、薬剤投入口17の、薬剤の粉または破片が付着した側面を底面の一部と誤認し、当該側面に映り込んだ薬剤の像を実際の薬剤であると誤認する可能性を低減できる。
【0124】
また、カメラの調整に起因して撮影する領域が変動した場合には、画像における薬剤投入口17の底面の領域の位置も変動する。このため、分包制御部68は、薬剤仕分装置1の起動時に、薬剤投入口17の画像を新たに撮影し、底面の領域の中心の座標が記憶部80に記憶させたものと一致するか判定する。底面の領域の中心の座標が記憶部80に記憶させたものと異なる場合には、分包制御部68は、薬剤投入口17の底面の領域およびその中心座標を再び特定して記憶部80に記憶させる。
【0125】
(分包異常時の印字)
分包機構6は、分包紙に対して印字する印字機構を含む。分包制御部68は、印字機構を制御して、薬剤名または薬剤コードといった薬剤に関する情報を分包紙に印字した後、当該分包紙により薬剤を分包して分包品とする。
【0126】
分包制御部68は、分包の開始前に、分包する予定の薬剤に関する情報を予め分包紙に印字している。しかし、分包制御部68は、薬剤投入口17の底面に滞留している薬剤の数が第1払出機構4または搬送・仕分ユニット12により払い出された薬剤の数と一致しないと判定した場合、分包に異常が発生した場合の処理の一例として、以下の処理を実行する。すなわち、分包制御部68は、既に薬剤に関する情報を印字した分包紙を破棄し、新たな分包紙に、分包に異常が発生したことを示す文字列を、薬剤に関する情報を示す文字列の上に重ねて印字する。
【0127】
図10は、分包時に異常が発生した場合の、分包紙への印字の例を示す図である。図10には、「分包異常」の文字列が薬剤に関する情報を示す文字列の上に重ねて印字された分包紙が示されている。分包制御部68は、このように印字した分包紙により薬剤を分包して分包品とする。したがって、ユーザは、分包に異常が発生した分包品を容易に認識できる。
【0128】
分包制御部68は、分包に異常が発生したことを示す文字列を、薬剤に関する情報を示す文字列よりも薄く見えるように印字する。具体的には、分包制御部68は、薬剤に関する情報を示す文字列を、黒一色で印字する。一方、分包制御部68は、分包に異常が発生したことを示す文字列を、黒一色ではなく、一定数の画素ごとに白を混在させて印字する。例えば分包制御部68は、分包に異常が発生したことを示す文字列について、縦横各2画素の、計4画素からなる領域について、1画素は文字列における位置によらず白とし、残りの3画素を文字列における位置に応じて白または黒とする。分包制御部68が分包に異常が発生したことを示す文字列をこのように印字することで、薬剤に関する情報を示す文字列の視認性を維持することができる。
【0129】
なお、上述した例では、分包制御部68は、分包の開始前に、分包する予定の薬剤に関する情報を分包紙に予め印字している。しかし、分包制御部68は、分包する予定の薬剤に関する情報を分包紙に予め印字せず、薬剤投入口17の底面に滞留している薬剤の数について判定した後に、分包する予定の薬剤に関する情報を分包紙に印字してもよい。
【0130】
(小括)
以上のとおり、薬剤仕分装置1は、第1払出機構4により、仕分カップ141を傾斜させることで、当該仕分カップ141に収容された薬剤を分包機構6へ払い出す。したがって、薬剤を1錠ずつ搬送する場合と比較して、仕分カップ141に種類ごとに仕分けられた薬剤の分包に要する時間を短縮させることができる。また、薬剤仕分装置1によれば、薬剤の分包に要する時間が短縮されることで、当該分包に要するエネルギーも低減される。また、薬剤仕分装置1によれば、薬剤の分包に要する時間が短縮されることで、一定の時間内でのより多くの返品薬の仕分けを実現できる。このため、より速く、より多くの返品薬を活用することが可能となり、医療費の削減効果を向上させることができる。これにより、薬剤仕分装置1は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【0131】
〔実施形態2〕
例えば、実施形態1の第2収容部14においては、複数の仕分カップ141は互いに縁が接近した状態で配置されている。このため、仕分カップ141の縁を容器取出機構124により把持するためには、隣接する別の仕分カップ141の縁を把持することがないよう、容器取出機構124の位置を高い精度で制御することが要求される。
【0132】
図11は、実施形態2に係る仕分カップ142の構成を示す図である。図11の符号1101は、仕分カップ142の斜視図である。図11の符号1101に示すように、仕分カップ142の内側には、ピン142aが形成されている。ピン142aは、仕分カップ142の底面に対して略垂直な方向に突出する部位である。
【0133】
また、図11の符号1102は、ピン142aの中心軸を含む平面における、仕分カップ142の断面図である。図11の符号1102に示すように、ピン142aには、先端の近傍に、その下側よりも拡径された部位であるフック142bが設けられている。本実施形態の容器取出機構124は、フック142bに係合する複数の爪部124dを有する。容器取出機構124は、複数の爪部124dをフック142bの下側で閉じさせることで、フック142bを把持して、仕分カップ142を取り出す。したがって、仕分カップ142によれば、当該仕分カップ142を容器取出機構124により取り出すことが容易になる。
【0134】
〔実施形態3〕
図12は、実施形態3に係る薬剤仕分装置1Aの構成を示す図である。図12の符号1201は、薬剤仕分装置1Aの外観の斜視図である。図12に示すように、薬剤仕分装置1Aは、ホッパー7を有する。ホッパー7は、第1収容部11に薬剤を投入するためのものである。薬剤仕分装置1Aのその他の構成は、薬剤仕分装置1と同様である。
【0135】
図12の符号1202は、ホッパー7の構成を示す断面図である。ホッパー7は、筐体71と、篩72、73および74とを有する。篩72、73および74は、ホッパー7の内部において、鉛直方向における上側からこの順で配されている。また、篩72、73および74は、この順でより小さい薬剤のみを通過させる。また、篩72、73および74は、筐体71から略水平方向に引き抜くことが可能である。
【0136】
ホッパー7には、初期状態では篩72、73および74の全てが挿入されている。この状態のホッパー7に薬剤が投入されると、篩72を通過できないサイズの薬剤M21が、篩72の上に滞留する。また、篩72を通過でき、かつ篩73を通過できないサイズの薬剤M22が、篩73の上に滞留する。同様に、篩73を通過でき、かつ篩74を通過できないサイズの薬剤M23が、篩74の上に滞留する。そして、篩74を通過できる薬剤M24のみが、第1収容部11へ収容される。
【0137】
制御部60aは、薬剤M24に対して、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分を行う。薬剤M24の搬送および仕分の終了後、篩74が筐体71から引き抜かれる。篩74はユーザにより引き抜かれてもよい。または、篩74を引き抜くための、制御部60aにより制御可能な機構を薬剤仕分装置1Aが備えていてもよい。これにより、薬剤M23が、第1収容部11へ収容される。制御部60aは、薬剤M23に対して、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分を行う。以下、同様にして篩73および72がこの順で筐体71から引き抜かれる。制御部60aは、第1収容部11へ収容された薬剤M22およびM21に対して、順に搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分を行う。
【0138】
実施形態1では、薬剤が第1収容部11に投入されるタイミングは、当該薬剤のサイズに無関係であった。このため、第1収容部11へ収容される薬剤の種類が、仕分カップ141の数に対して著しく多くなる場合があった。第1収容部11へ収容される薬剤の種類が多いほど、待機トレイ15に搬送される薬剤が増加し、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分に要する時間が長くなってしまう。
【0139】
薬剤仕分装置1Aにおいては、薬剤のサイズに応じて第1収容部11へ収容されるタイミングを異ならせることができるため、第1収容部11に同時に収容される薬剤の種類を少なくすることができる。したがって、待機トレイ15に搬送される薬剤が減少し、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分に要する時間を短くできる可能性がある。
【0140】
また、ホッパー7には、制御部60aが搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分を行っている最中であっても、薬剤を追加で投入することができる。この場合、第1収容部11に同時に収容される薬剤の種類が増加する可能性がある。例えば篩74が引き抜かれた状態のホッパー7に薬剤を追加で投入すると、篩74を通過できない薬剤に、篩74を通過可能な薬剤が混在した状態で第1収容部11に収容されることとなる。ただし、この場合であっても、篩72および73の上に滞留する薬剤は同時には第1収容部11に収容されないため、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分に要する時間を短くできる可能性がある。また、篩72、73および74の全てが引き抜かれた状態のホッパー7に薬剤を追加で投入しても、実施形態1と同様に、薬剤のサイズと無関係なタイミングで薬剤が第1収容部11に投入されるだけである。したがって、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分に要する時間が実施形態1よりも長くなることはない。
【0141】
また、薬剤仕分装置1Aにおいては、ホッパー7から投入された薬剤は、水平方向に移動して第1収容部11に収容される。第1収容部11に収容されるときの薬剤の移動方向に対する第1収容部11の幅を狭くすることで、薬剤を整列した状態とすることができる。したがって、搬送・仕分ユニット12による搬送および仕分の精度を向上させることができる。
【0142】
〔実施形態4〕
図13は、実施形態4に係る薬剤仕分装置1Bの全体構成を示すブロック図である。薬剤仕分装置1Bは、制御部60aの代わりに制御部60bを備える点で薬剤仕分装置1と相違する。制御部60bは、制御部60aの構成に加えて、仮収容データ生成部69を備える。仮収容データ生成部69は、第1収容部11から待機トレイ15に収容された薬剤の種類ごとの数を示す仮収容データを生成する。
【0143】
薬剤仕分装置1Bにおいて、搬送・仕分ユニット12は、待機トレイ15から第2収容部14へ薬剤を搬送する再搬送部としても機能する。搬送・仕分ユニット12は、再搬送部として機能する場合、仮収容データに基づいて待機トレイ15から第2収容部14へ薬剤を搬送する。具体的には、搬送・仕分ユニット12は、仮収容データに含まれている薬剤の種類ごとの個数が多い当該種類の薬剤から順に、待機トレイ15から第2収容部14へ搬送する。
【0144】
再搬送部として機能する場合における、搬送・仕分ユニット12のより具体的な動作について以下に説明する。以下の説明では、薬剤仕分装置1Bにおいて、第1収容部11または待機トレイ15に収容されている全ての薬剤について仕分けを行うことを、1回の仕分けと称する。仮収容データ生成部69は、1回目の仕分けの過程で仮収容データを生成する。制御部60bは、仮収容データに含まれるすべての薬剤について、2回目以降の仕分けでどの仕分カップ141に収容するかを、仮収容データにおいて数が多い種類の薬剤から順に決定する。それぞれの回の仕分けにおいて、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、制御部60bが予め決定した順番に沿って、薬剤を第2収容部14に収容する。換言すれば、仕分制御部62は、各回の仕分けにおいて、その回の仕分けで第2収容部14に収容することが決定されている薬剤以外の薬剤については、仕分カップ141に空きが存在していても、待機トレイ15または第1収容部11へ収容するように搬送・仕分ユニット12を制御する。これにより、それぞれの回の仕分けにおいて第2収容部14へ収容できない薬剤の数を少なくすることができる。したがって、全ての薬剤を第2収容部14へ収容するまでの時間を短縮できる可能性がある。
【0145】
なお、薬剤仕分装置1Bは、待機トレイ15から第2収容部14へ薬剤を収容する再搬送部として機能する、搬送・仕分ユニット12とは別の機構を備えていてもよい。ただし、薬剤仕分装置1Bにおいては、搬送・仕分ユニット12が再搬送部として機能することで、装置の構成を簡略化できる。
【0146】
なお、上述したとおり、搬送制御部61は、2回目の仕分けにおいて待機トレイ15から第2収容部14へ収容できない薬剤を、再び第1収容部11に収容してもよい。この場合、搬送制御部61は、3回目の仕分けにおいて第2収容部14へ収容できない薬剤を、1回目の仕分けと同様に、第1収容部11から待機トレイ15へ収容する。しかし、3回目の仕分けでは、第1収容部11を第2の待機トレイとして使用しているのみである。このため、仮収容データ生成部69は、3回目の仕分けでは仮収容データを生成しない。また、さらに後の回の仕分けにおいても同様である。換言すれば、仮収容データ生成部69は、薬剤が最初に第1収容部11から待機トレイ15へ収容される場合にのみ仮収容データを生成する。
【0147】
図14は、比較例の薬剤仕分装置における処理の例について説明するための表である。以下の説明では、仕分けに要する時間は、搬送する薬剤の数にのみ依存し、1錠あたり30秒(=0.5分)とする。換言すれば、薬剤の搬送先は仕分けに要する時間に影響しないものとする。簡単のため、以下の説明では、1回の仕分けで第2収容部14に収容される薬剤の種類を5種類としている。
【0148】
比較例の薬剤仕分装置において、最初の仕分けで11種類の薬剤MA、MB、・・・、MKが待機トレイ15に収容されたものとする。薬剤MA~MKの総数は105錠である。また、薬剤MA~MKの種類ごとの内訳は、図14の符号1401に示したとおりである。
【0149】
この薬剤仕分装置では、2回目の仕分けの対象となった薬剤の数は、待機トレイ15に収容された全薬剤、すなわち105錠である。そのうち、2回目の仕分けでは、図14の符号1402に示すように、5種類の薬剤MA~MEが第2収容部14に収容された。したがって、2回目の仕分けに要した時間は52.5分(=105×0.5)であった。また、2回目の仕分けで第2収容部14に収容された薬剤の数は15錠(薬剤MA~MEの総数)であった。
【0150】
3回目の仕分けで、図14の符号1403に示すように、5種類の薬剤MF~MJが第2収容部14に収容された。3回目の仕分けの対象となった薬剤の数は、2回目の仕分けの対象となった薬剤のうち、2回目の仕分けで第2収容部14に収容されなかった薬剤の数である。このため、3回目の仕分けの対象となった薬剤の数は90錠であった。したがって、3回目の仕分けに要した時間は45分(=90×0.5)であった。また、3回目の仕分けで第2収容部14に収容された薬剤の数は40錠(薬剤MF~MJの総数)であった。
【0151】
4回目の仕分けで、図14の符号1404に示すように、仮収容部としての第1収容部11に残っていた薬剤MKが第2収容部14に収容された。4回目の仕分けの対象となった薬剤の数は、薬剤MKの数である50錠であった。したがって、4回目の仕分けに要した時間は25分(=50×0.5)であった。
【0152】
比較例の薬剤仕分装置について、図14を参照して説明した例では、2回目~4回目の仕分けに要した時間の合計は122.5分であった。この例では、特に数が多かった薬剤MKが、4回目の仕分けまで第2収容部14に収容されなかった。その結果、待機トレイ15に収容される薬剤の数が多くなり、仕分けに要する時間が長大になった。このように、待機トレイ15に収容された薬剤の種類の数を考慮して仕分しない場合、仕分けに要する時間が長大化する可能性がある。
【0153】
図15は、薬剤仕分装置1Bにおける処理の例について説明するための表である。薬剤仕分装置1Bにおいても、仕分制御部62は、最初の仕分けで11種類の薬剤MA~MKを待機トレイ15に収容したものとする。図15の符号1501は、仮収容データ生成部69が生成した仮収容データの例を示す。仮収容データにおいて、薬剤MA~MKの総数、および種類ごとの内訳は、図14の符号1401に示した、比較例の薬剤仕分装置における内訳と同一である。ただし、仮収容データでは、数が多い薬剤から順に並ぶように薬剤の順番を図14の符号1401から変更している。
【0154】
薬剤仕分装置1Bにおいて、制御部60bは、仮収容データにおいて数が多い種類の薬剤から、順に第2収容部14に収容されるように収容の順番を決定する。そのため、2回目の仕分けで、仕分制御部62は、図15の符号1502に示すように、5種類の薬剤MK~MGを第2収容部14に収容した。2回目の仕分けの対象となった薬剤の数は、待機トレイ15に収容された全薬剤となるため、上述した比較例の薬剤仕分装置における数と同一であった。そのため、2回目の仕分けに要した時間は、上述した比較例の薬剤仕分装置における時間と同一であった。しかし、薬剤仕分装置1Bにおいては、2回目の仕分けで仕分制御部62が第2収容部14に収容した薬剤の数は、84錠(仮収容データが示す薬剤MK~MGの総数)であった。
【0155】
仕分制御部62は、3回目の仕分けで、図15の符号1503に示すように、5種類の薬剤MF~MBを第2収容部14に収容した。3回目の仕分けの対象となった薬剤の数は、2回目の仕分けの対象となった薬剤のうち、2回目の仕分け第2収容部14に収容されなかった薬剤の数である。このため、薬剤仕分装置1Bにおいては、3回目の仕分けの対象となった薬剤の数は21錠であった。したがって、薬剤仕分装置1Bにおいては、3回目の仕分けに要した時間は10.5分(=21×0.5)であった。また、3回目の仕分けで仕分制御部62が第2収容部14に収容した薬剤の数は、20錠(薬剤MF~MBの総数)であった。
【0156】
仕分制御部62は、4回目の仕分けで、図15の符号1504に示すように、仮収容部としての第1収容部11に残っていた薬剤MAを第2収容部14に収容した。薬剤仕分装置1Bにおいては、4回目の仕分けの対象となった薬剤の数は、薬剤MAの数である1錠であった。したがって、薬剤仕分装置1Bにおいては、4回目の仕分けに要した時間は0.5分であった。
【0157】
薬剤仕分装置1Bについて、図15を参照して説明した例では、2回目~4回目の仕分けに要した時間の合計は63.5分であった。したがって、比較例の薬剤仕分装置について図14を参照して説明した例と比較して、2回目~4回目の仕分けに要した時間が約48%短縮された。
【0158】
上述した図14および図15を参照しての説明は一例である。比較例の薬剤仕分装置および薬剤仕分装置1Bのいずれにおいても、最初の仕分けで待機トレイ15に収容される薬剤の種類および数によって、2回目以降の仕分けに要する時間は上記の例とは異なる。また、1回の仕分けで第2収容部14に収容可能な薬剤の種類の数によっても、2回目以降の仕分けに要する時間は上記の例とは異なる。
【0159】
さらに、比較例の薬剤仕分装置について図14を参照して説明した例は、あくまでも一例である。比較例の薬剤仕分装置においては、最初の仕分けで同じ種類および数の薬剤が待機トレイ15に収容された場合であっても、2回目以降の仕分けで薬剤が第2収容部14に収容される順番は一定ではない。仮に当該順番が薬剤仕分装置1Bにおける上述した順番と同じになった場合、比較例の薬剤仕分装置においても、2回目~4回目の仕分けに要する時間は薬剤仕分装置1Bにおける当該時間と同じになる。
【0160】
しかしながら、薬剤仕分装置1Bにおいては、待機トレイ15から第2収容部14へ薬剤を収容する場合に、第2収容部14へ収容されない薬剤の数を必ず最小にすることができる。したがって、仕分けに要する時間が短縮されることが期待できる。
【0161】
また、待機トレイ15に収容された薬剤のうち、同一の種類の薬剤の数が、1つの仕分カップ141に収容可能な上限値よりも多いことも考えられる。このような場合において、比較例の薬剤仕分装置では、当該同一の種類の薬剤について、一部のみが第2収容部14へ収容され、残りが待機トレイ15に収容される場合がある。
【0162】
例えば、図14の符号1401において、薬剤MKが60錠であった場合を考える。この場合において、2回目の仕分けで薬剤MA~MDおよびMKが第2収容部14へ収容されることになった場合、2回目の仕分けでは薬剤MKのうち50錠だけが分包される。残りの10錠の薬剤MKは、2回目の仕分けでは待機トレイ15に収容され、3回目以降の仕分けで仕分カップ141へ収容されて分包される。この場合、同一種類の薬剤であるにもかかわらず、分包のタイミングに大きなズレが生じる可能性がある。したがって、全ての薬剤について分包が完了した後、分包品から同一種類の薬剤を探し出すのに手間がかかる可能性がある。
【0163】
これに対し、薬剤仕分装置1Bにおいては、上述したとおり、仮収容データにおいて数が多い種類の薬剤から、順に第2収容部14に収容される。このため、同一の種類の薬剤の数が、1つの仕分カップ141に収容可能な上限値よりも多い場合であっても、当該薬剤の全てが同じ回で第2収容部14に収容されて分包される。したがって、全ての薬剤について分包が完了した後、分包品から同一種類の薬剤を容易に探し出すことができる。
【0164】
例えば、図15において、薬剤MKが60錠であった場合を考える。上述したとおり、制御部60bは、薬剤MKを最初に分包する薬剤として選択する。したがって、この場合には制御部60bは、60錠の薬剤MKのうち、50錠の収容先を1つめの仕分カップ141に決定した後、残った10錠の薬剤MKの収容先を2つめの仕分カップ141に決定する。
【0165】
ただし、仮収容データにおける薬剤の種類および数次第では、搬送・仕分ユニット12は、数が多い種類の薬剤から順に搬送するとは限らない。例えば、薬剤MKよりも数の多い別種の薬剤が待機トレイ15に収容されている場合には、制御部60bは、当該別種の薬剤を収容する仕分カップ141を先に決定する。この場合には、制御部60bが薬剤MKを収容する仕分カップ141を決定する時点で、その回において空いている仕分カップ141が1つしかないことも考えられる。この場合に制御部60bが、薬剤MKのうち50錠の収容先を、その回において空いている1つの仕分カップ141に決定すると、残り10錠の薬剤MKについては次回以降の仕分けで仕分カップ141に収容される。すなわち、同一種類の薬剤MKについて、最初の50錠と残り10錠とで分包のタイミングにズレが生じる。
【0166】
このようなズレを生じさせないために、制御部60bは、60錠の薬剤MKのうちの50錠ではなく、50錠以下である別の薬剤の収容先を、その回の仕分けにおいて空いている1つの仕分カップ141に決定する。薬剤MKの収容先については、次回の仕分けにおける仕分カップ141に決定する。搬送・仕分ユニット12は、制御部60bが決定した順番に沿って薬剤を搬送する。これにより、同一種類の薬剤は全て、確実に同じ回で仕分けられる。したがって、ユーザは分包品から同一種類の薬剤を容易に探し出すことができる。
【0167】
〔実施形態5〕
薬剤仕分装置1の、別の実施形態について以下に説明する。実施形態5では、制御部60aにおける処理が、実施形態1などと相違する。
【0168】
実施形態5において、制御部60aは、第1収容部11または待機トレイ15から第2収容部14への薬剤の搬送時に、それぞれの仕分カップ141に収容された薬剤の数が所定の上限値に達したか否か判定する。薬剤の搬送の途中で、いずれかの仕分カップ141に収容された薬剤の数が所定の上限値に達したと判定した場合、制御部60aは、薬剤の搬送処理、撮像処理および判別処理を中断する。例えば、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による薬剤の搬送を中断する。その後、取出制御部67aは、容器取出機構124を制御して、収容された薬剤の数が上限値に達した仕分カップ141を第2収容部14から取り出して第1払出機構4に受け渡す。傾斜制御部67bは、第1払出機構4を制御して、受け渡された仕分カップ141を傾斜させて薬剤を分包機構6に払い出す。分包制御部68は、分包機構6に払い出された薬剤を分包する。その後、制御部60aは、薬剤の搬送処理、撮像処理および判別処理を再開する。
【0169】
図16は、薬剤仕分装置1の実施形態5に係る動作について説明するための図である。図16においては、それぞれのマス目が第2収容部14における仕分カップ141の配置位置を示す。それぞれのマス目に、その位置の仕分カップ141に収容されている薬剤の現在値N1および上限値N2が、「N1/N2」の形式で示されている。ただし、仕分カップ141に薬剤が収容されていないマス目については空白となっている。
【0170】
以下の説明では、仕分カップ141が収容される位置について、図16にA~Fのアルファベットで示されている列と、1~7の数字で示されている行との組み合わせで表記する。例えばAの列かつ1行目の位置について「位置A1」と称する。
【0171】
図16には、薬剤仕分装置1の動作による仕分カップ141における薬剤の収容状況の変化が、符号1601~符号1604で示されている。前の収容状況から変化したマス目については、便宜上、数字を小括弧()で括っている。簡単のため、符号1602~符号1604では、第2収容部14のうち、1行目および2行目についてのみ示している。
【0172】
ある時点の第2収容部14に、符号1601に示すように薬剤が収容されていたとする。ここで、搬送制御部61が、搬送・仕分ユニット12を制御して、位置C1の仕分カップ141に薬剤を収容すると、符号1602に示すように、当該仕分カップ141に収容された薬剤の数が上限値に達する。制御部60aは、新たに薬剤が収容された、位置C1の仕分カップ141について、上限値に達したか否かを判定し、上限値に達したと判定する。そのため、制御部60aは薬剤の搬送処理などを中断し、当該仕分カップ141に収容された薬剤を上述したとおり分包する。その結果、符号1603に示すように、位置C1の仕分カップ141が空になる。その後、制御部60aは薬剤の搬送処理などを再開する。したがって、符号1604に示すように、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、位置C1の仕分カップ141に新たに薬剤を収容できる。このとき、位置C1の仕分カップ141に新たに収容される薬剤は、分包の前に収容されていた薬剤と同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
【0173】
以上のとおり、実施形態5に係る薬剤仕分装置1では、制御部60aは、いずれかの仕分カップ141に収容されている薬剤の数が上限値に達した場合、当該仕分カップ141に収容されている薬剤を分包する。このため、空いた仕分カップ141にさらに薬剤を収容できる。したがって、1回の仕分けで第2収容部14に収容されない薬剤の数を減少させ、薬剤の分包に要する時間を短縮させることができる。
【0174】
なお、上述した例では、制御部60aは、薬剤の搬送処理等を中断した後、第1払出機構4を制御して薬剤の払い出しを行った。しかし、制御部60aは、搬送・仕分ユニット12を制御して薬剤の払い出しを行ってもよい。
【0175】
〔実施形態6〕
薬剤仕分装置1の、さらに別の実施形態について以下に説明する。実施形態6では、制御部60aにおける処理が、実施形態1などと相違する。
【0176】
実施形態6において、制御部60aは、第1収容部11または待機トレイ15から第2収容部14への薬剤の搬送時に、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容されたか否かを判定する。薬剤の搬送の途中で、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容されたと判定した場合、制御部60aは、薬剤の搬送処理、撮像処理および判別処理を中断する。例えば、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による薬剤の搬送を中断する。その後、取出制御部67aは、少なくとも1つの仕分カップ141を第2収容部14から取り出して第1払出機構4に受け渡す。傾斜制御部67bは、当該仕分カップ141を傾斜させて薬剤を分包機構6に払い出す。分包制御部68は、分包機構6に払い出された薬剤を分包する。その後、制御部60aは、薬剤の搬送処理、撮像処理および判別処理を再開する。
【0177】
少なくとも1つの仕分カップ141は、例えば収容している薬剤の数が多い順に所定の数だけ選択されてよい。これにより、少なくとも1つの仕分カップ141が空いた状態となり、当該仕分カップ141にさらに薬剤を収容できる。したがって、実施形態5と同様、1回の仕分けで第2収容部14に収容されない薬剤の数を減少させ、薬剤の分包に要する時間を短縮させることができる。
【0178】
実施形態6において、仕分カップ141のそれぞれには、当該仕分カップ141に収容された薬剤の分包を可能とする基準値が設定されていてもよい。基準値は、当該基準値の数の薬剤を分包することが非効率的にならない範囲で適宜設定されてよい。基準値は、例えば仕分カップ141に収容可能な薬剤の数の上限値の50%~80%程度に設定されればよい。
【0179】
この場合、制御部60aは、搬送制御部61が搬送・仕分ユニット12を制御していずれかの仕分カップ141に薬剤を収容するごとに、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容されたか否かを判定する。全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容されたと判定した場合、制御部60aは、薬剤の搬送処理、撮像処理および判別処理を中断する。さらに、制御部60aは、それぞれの仕分カップ141が基準値以上の数の薬剤を収容しているか否かを判定する。取出制御部67aは、基準値以上の数の薬剤を収容していると判定された仕分カップ141のそれぞれを、順次取り出して第1払出機構4に受け渡す。傾斜制御部67bは、当該仕分カップ141を傾斜させて薬剤を分包機構6に払い出す。分包制御部68は、分包機構6に払い出された薬剤を分包する。その後、制御部60aは、薬剤の搬送処理、撮像処理および判別処理を再開する。
【0180】
図17は、薬剤仕分装置1の実施形態6に係る、基準値が設定されている場合の動作について説明するための図である。図17におけるマス目および数字については図16における説明と同様である。また、以下の説明では基準値を10としている。また、図17においては、空いている仕分カップ141に薬剤を収容する場合の位置について、A1~F1、A2~F2、・・・、A5~F5、B6~F6、およびB7~F7の順で空いている位置に決定する。
【0181】
符号1701は、ある時点の第2収容部14における、それぞれの仕分カップ141に収容されている薬剤の数を示す。符号1701では、搬送制御部61が搬送・仕分ユニット12を制御して、位置F7の仕分カップ141に薬剤を収容する。その結果、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容される。制御部60aは、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容されたか否かを判定し、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容されたことを判定する。制御部60aは、それぞれの仕分カップ141が10以上の数の薬剤を収容しているか否かを判定し、数字を大括弧[]で括ったマス目に配置されている仕分カップ141が10以上の薬剤を収容していると判定する。
【0182】
制御部60aは、10以上の薬剤を収容していると判定した仕分カップ141に収容されている薬剤を分包する。これらの仕分カップ141に収容された薬剤が分包されることで、符号1702に示すように、当該仕分カップ141が空いた状態となる。その後、制御部60aは、薬剤の搬送処理などを再開する。したがって、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、符号1703に示すように、位置A1の仕分カップ141に新たに薬剤を収容する。位置A1の仕分カップ141は、符号1701の時点では14錠の薬剤を収容していたため、あと1錠しか収容できない状態であった。しかし、収容していた薬剤が分包されたことで、新たに15錠の薬剤を収容できる。
【0183】
以上のとおり、薬剤仕分装置1においては、全ての仕分カップ141に1以上の薬剤が収容された場合に、基準値以上の数の薬剤を収容した仕分カップ141のそれぞれについて、当該仕分カップ141に収容された薬剤を分包してもよい。この場合、例えば1つの仕分カップ141についてのみ薬剤を分包する場合と比較して、第1収容部11または待機トレイ15から第2収容部14への薬剤の搬送が中断される頻度が低減される。したがって、薬剤の分包に要する時間をさらに短縮させることができる。
【0184】
なお、上述した例では、制御部60aは、薬剤の搬送処理等を中断した後、第1払出機構4を制御して薬剤の払い出しを行った。しかし、制御部60aは、搬送・仕分ユニット12を制御して薬剤の払い出しを行ってもよい。
【0185】
〔実施形態7〕
図18は、薬剤仕分装置1において、仕分カップ141に収容された薬剤の、包括的な払い出し方法について設定するための設定画像(設定画面)を示す図である。図19は、薬剤仕分装置1において、仕分カップ141に収容された薬剤の、種類ごとの払い出し方法について設定するための設定画像(設定画面)を示す図である。図18および図19に示した設定画像は、薬剤仕分装置1が備えるタッチパネル3の表示部32に表示される。
【0186】
図18に示す設定画像には、ボタンB1、B21、B22、およびB3が表れている。図19に示す設定画像には、ボタンB41、B42、およびB43が表れている。ユーザは、操作部31によりこれらのボタンを操作することで、第2収容部14から分包機構6への薬剤の払い出し方法について設定を行う。
【0187】
ボタンB1は、第1払出機構4による払い出しを行うか否かを設定するためのボタンである。ユーザがボタンB1を操作する毎に、第1払出機構4による払い出しを行うか否かの設定が交互に切り替わる。ボタンB1において第1払出機構4による払い出しを行う設定である場合には、制御部60aは、他のボタンによる設定に応じて第1払出機構4による払い出しを行う。一方、ボタンB1において第1払出機構4による払い出しを行わない設定である場合には、制御部60aは、第1払出機構4による払い出しを一切行わない。すなわち、制御部60aは、吸着・シャッター機構122による払い出しのみを行う。
【0188】
ボタンB21およびB22は、(i)第1払出機構4による払い出しのみを行うか、(ii)第1払出機構4による払い出しと吸着・シャッター機構122による払い出しとを併用するか、を設定するためのボタンである。換言すれば、ボタンB21およびB22は、仕分カップ141から分包機構6への薬剤の払い出しに吸着・シャッター機構122を使用するか否かをユーザが設定するためのボタンである。
【0189】
ユーザがボタンB21を操作した場合、制御部60aは、第1払出機構4による払い出しのみを行う。すなわち、吸着・シャッター機構122は第2払出機構として動作しない。この場合、制御部60aは、仕分カップ141に収容された薬剤を、吸着・シャッター機構122により払い出す場合と比較して短時間で払い出すことができる。このような払い出しを実現するために、仕分カップ141に収容可能な薬剤の上限は、分包機構6が1回の分包で分包可能な薬剤の数の上限に設定される。
【0190】
ユーザがボタンB22を操作した場合、制御部60aは、第1払出機構4による払い出しと吸着・シャッター機構122による払い出しとを併用する。この場合、実施形態1で説明したとおり、制御部60aは、仕分カップ141に収容されている薬剤の数に応じて、吸着・シャッター機構122と第1払出機構4とを使い分けて仕分カップ141から分包機構6へ薬剤の払い出しを行う。このため、仕分カップ141に収容可能な薬剤の上限を、分包上限よりも多い数に設定できる。
【0191】
ボタンB3は、第1払出機構4による払い出しと、吸着・シャッター機構122による払い出しと、のいずれを基本の設定とするかを設定するためのボタンである。ユーザがボタンB3を操作する毎に、基本の設定が、第1払出機構4による払い出しと、吸着・シャッター機構122による払い出しとに交互に切り替わる。制御部60aは、次に説明する薬剤の種類ごとの払い出し方法の選択においてボタンB41が操作されている場合に、基本の設定を参照する。
【0192】
ボタンB41、B42、およびB43は、薬剤の種類ごとの払い出し方法を選択するためのボタンである。ユーザはボタンB41、B42、およびB43のいずれかを操作することで、操作したボタンに対応する払い出し方法を選択する。
【0193】
ボタンB41は、基本の設定、すなわち上述したボタンB3による設定に従って払い出しを行う設定のボタンである。初期状態ではボタンB41が操作された状態となっている。ボタンB42は、上述したボタンB3による設定に関わらず、第1払出機構4による払い出しを行う設定のボタンである。ボタンB43は、上述したボタンB3による設定に関わらず、第1払出機構4による払い出しを行わない設定のボタンである。
【0194】
ボタンB42が操作されている種類の薬剤については、制御部60aは、基本の設定が吸着・シャッター機構122による払い出しとなっている場合であっても、以下の処理を行う。すなわち、当該薬剤については、制御部60aは、上述したボタンB21またはB22による設定に応じて、(i)第1払出機構4による払い出しのみを行うか、または(ii)第1払出機構4による払い出しと吸着・シャッター機構122による払い出しとを併用する。基本の設定が第1払出機構4による払い出しである場合にボタンB41が操作されている種類の薬剤についても同様である。
【0195】
ボタンB43が操作されている種類の薬剤については、制御部60aは、基本の設定が第1払出機構4による払い出しとなっている場合であっても、以下の処理を行う。すなわち、当該薬剤については、制御部60aは、吸着・シャッター機構122のみによる払い出しを行う。基本の設定が吸着・シャッター機構122による払い出しである場合にボタンB41が操作されている種類の薬剤についても同様である。
【0196】
それぞれのボタンによる設定は、第1収容部11から第2収容部14への薬剤の搬送前に変更可能である。また、それぞれのボタンによる設定は、第2収容部14の仕分カップ141に薬剤が収容された後、分包機構6に薬剤が払い出される前にも変更可能である。ただし、第1収容部11から第2収容部14への薬剤の搬送前に、(i)ボタンB1において第1払出機構4による払い出しを行わない設定になっていた場合、または(ii)ボタンB22が操作されていた場合、分包上限よりも多い数の薬剤が仕分カップ141に収容されている可能性がある。この場合、第2収容部14の仕分カップ141に薬剤が収容された後、分包機構6に薬剤が払い出される前にボタンB21が操作されても、制御部60aはボタンB21の操作を受け付けない。そのため、制御部60aは、ボタンB22が操作されている場合と同じ動作を第1払出機構4および吸着・シャッター機構122に行わせる。このような動作により、分包上限よりも多い数の薬剤が分包機構6に払い出されることが防止される。
【0197】
〔実施形態8〕
図20は、実施形態8に係る薬剤仕分領域2Aの概略を示す図である。図20に示すように、薬剤仕分領域2Aは、待機トレイ15の代わりに待機トレイ15Aを備える点で薬剤仕分領域2と相違する。待機トレイ15Aは、薬剤を収容する領域として、第1待機領域151と第2待機領域152とを備える。第1待機領域151は、1回目の仕分けで種類を判別できた薬剤を収容する領域である。制御部60aは、薬剤の種類を判別できた場合に、当該薬剤を収容可能な仕分カップ141が存在するか判断する。当該薬剤を収容可能な仕分カップ141が存在しない場合に、制御部60aは、当該薬剤を第1待機領域151に収容する。第2待機領域152は、1回目の仕分けで種類を判別できなかった薬剤を収容する領域である。
【0198】
また本実施形態では、第2収容部14に載置された複数の仕分カップ141のうちの一部を、種類を判別できた薬剤を収容する仕分カップ141とし、その他の仕分カップ141を、種類を判別できなかった薬剤を収容する仕分カップ141として設定している。以下の説明では、種類を判別できた薬剤を収容する仕分カップ141を、仕分け用の仕分カップ141と称する。また、種類を判別できなかった薬剤を収容する仕分カップ141を、仮仕分け用の仕分カップ141と称する。
【0199】
1回目の仕分けで、制御部60aは、搬送・仕分ユニット12により第1収容部11から第2収容部14、第1待機領域151、または第2待機領域152へ薬剤を搬送する。2回目以降の仕分けでは、制御部60aは、第1待機領域151に収容されている薬剤と、第2待機領域152に収容されている薬剤とを別個に仕分ける。
【0200】
第1待機領域151に収容されている薬剤は、2回目以降の仕分けにおいても種類を判別できる可能性が高い。したがって、第1待機領域151に収容されている薬剤を仕分ける場合には、制御部60aは、仮仕分け用の仕分カップ141の数を減少させることで、仕分け用の仕分カップ141の数を増加させ、仕分けを効率的に行うことができる。
【0201】
また、第2待機領域152に収容されている薬剤は、2回目以降の仕分けにおいても種類を判別できない可能性が高い。したがって、第2待機領域152に収容されている薬剤を仕分ける場合には、制御部60aは、仮仕分け用の仕分カップ141の数を増加させることで、仕分けを効率的に行うことができる。
【0202】
図21は、薬剤仕分領域2Aを備える薬剤仕分装置1による仕分けの例を示す図である。図21において、薬剤が収容された状態の仕分カップ141には「済」の文字が記載されている。図21において、仮仕分け用の仕分カップ141には網掛けが付されている。
【0203】
図21に示す例では、第2収容部14は40個の仕分カップ141を備えている。簡単のため、図21においては、一部の仕分カップ141にのみ符号を付している。後述する図22および図23においても同様である。初期状態では、10個の仕分カップ141が仮仕分け用の仕分カップ141として設定されている。このため、仕分け用の仕分カップ141の数は30個である。
【0204】
符号2101に示すように、最初に、制御部60aは、第1収容部11に収容されている薬剤を仕分ける。このとき、制御部60aは、種類を判別できた薬剤のうち、30種類目までは仕分け用の仕分カップ141に種類ごとに収容する。また、制御部60aは、種類を判別できなかった薬剤のうち、10種類目までは仮仕分け用の仕分カップ141に収容する。このとき、制御部60aは、種類を判別できなかった薬剤のうち、画像における特徴から同じ種類と推定される薬剤については同じ仕分カップ141に収容する。
【0205】
一方、制御部60aは、種類を判別できた薬剤のうち、31種類目以降については仕分け用の仕分カップ141の空きが無いため、待機トレイ15Aの第1待機領域151に収容する。また、制御部60aは、種類を判別できなかった薬剤のうち、11種類目以降については仮仕分け用の仕分カップ141の空きが無いため、待機トレイ15Aの第2待機領域152に収容する。
【0206】
符号2102に示すように、第1収容部11に収容されていた全ての薬剤を第2収容部14、第1待機領域151または第2待機領域152に収容した後、制御部60aは、第2収容部14に収容された薬剤を仕分カップ141ごとに分包する。
【0207】
第2収容部14に収容された薬剤の分包後、制御部60aは、符号2103に示すように、第1待機領域151に収容された薬剤を第2収容部14または第1収容部11に仕分ける。このとき、制御部60aは、仕分け用の仕分カップ141の数を、動的に設定できる。例えば第1待機領域151に収容された薬剤を改めて仕分ける過程で、種類を判別できなかった薬剤が2種類である場合には、制御部60aは、符号2104に示すように、2個の仕分カップ141を仮仕分け用とする。また、制御部60aは、残り38個の仕分カップ141を仕分け用とする。仮仕分け用の仕分カップ141の動的な設定については、実施形態9において説明する。
【0208】
制御部60aは、符号2104に示したように第2収容部14に収容された薬剤を分包する。その後、制御部60aは、符号2105に示すように、第1収容部11に収容された薬剤を第2収容部14または第1待機領域151に仕分ける。この回の仕分けでは、初期設定として、符号2101と同様、仮仕分け用の仕分カップ141を10個、仕分け用の仕分カップ141を30個としている。制御部60aは、第1収容部11に収容された薬剤について順次種類を判別していき、その結果、当該薬剤の種類数が30種類以下である場合には、初期設定を変更することなく当該薬剤を仕分けていくことになる。本例では、第1収容部11に収容された薬剤の種類数の残りが22種類であり、制御部60aがその全てについて種類を判別できたものとする。この場合、符号2106に示すように、制御部60aは、初期設定を変更することなく22個の仕分け用の仕分カップ141に薬剤を収容する。符号2106に示した状態となった時点で、1回目の仕分けで第1待機領域151に仕分けられた薬剤の仕分けが完了する。
【0209】
制御部60aは、符号2106に示したように第2収容部14に収容された薬剤を分包する。その後、制御部60aは、符号2107に示すように、第2待機領域152に収容されている薬剤を第2収容部14または第1収容部11に仕分ける。例えば第2待機領域152に収容された薬剤を改めて仕分ける過程で、種類を判別できなかった薬剤が23種類である場合には、制御部60aは、符号2108に示すように、23個の仕分カップ141を仮仕分け用の仕分カップ141とする。符号2108に示した時点で、1回目の仕分けで第2待機領域152に仕分けられた薬剤の仕分けが完了する。これにより、最初に第1収容部11に収容された薬剤を全て仕分けるための、一連の仕分けが終了する。
【0210】
以上のとおり、薬剤仕分領域2Aを備える薬剤仕分装置1による仕分けでは、制御部60aは、1回目の仕分けで種類を判別できた薬剤と種類を判別できなかった薬剤とを待機トレイ15Aの互いに異なる領域に収容する。さらに、制御部60aは、2回目以降の仕分けで、1回目の仕分けで種類を判別できた薬剤と種類を判別できなかった薬剤とを別個に仕分ける。制御部60aは、2回目以降の仕分けでは、仮仕分け用の仕分カップ141の数を動的に設定する。
【0211】
このため、1回の仕分けで第2収容部14に仕分けられる薬剤の数が増加し、仕分けの回数が減少する。したがって、最初に第1収容部11に収容された薬剤を全て仕分けるための、一連の仕分け全体に要する時間を短縮できる。
【0212】
〔実施形態9〕
仮仕分け用の仕分カップ141の数の、動的な設定について、以下に説明する。
【0213】
図22は、仮仕分け用の仕分カップ141の数を仕分け中に動的に設定しない場合の例について説明するための図である。図22の符号2201は、仕分け用の仕分カップ141と、仮仕分け用の仕分カップ141との設定の例を示す図である。図22の符号2201において、網掛けを施した領域に配されている仕分カップ141が、仮仕分け用の仕分カップ141である。図22の符号2201に示す例では、第2収容部14は、40個の仕分カップ141を備える。ユーザは、仕分けの開始前に、仮仕分け用の仕分カップ141の数を設定する。図22の符号2201に示す例では、40個の仕分カップ141のうち10個が、仮仕分け用の仕分カップ141として設定されている。
【0214】
図22の符号2202は、符号2201に示した設定の第2収容部14を用いた仕分けの例を示す図である。図22の符号2202には、種類を判別できる20種類の薬剤、および種類を判別できない20種類の薬剤が第1収容部11に収容された例が示されている。この例では、制御部60aは、種類を判別できる薬剤については全ての種類を第2収容部14に収容することができる。しかし、制御部60aは、種類を判別できない薬剤については、10種類の薬剤しか第2収容部14に収容できず、残りの10種類の薬剤は待機トレイ15に収容する。一方で、第2収容部14では、10個の仕分カップ141が薬剤を収容しない状態となる。
【0215】
図22の符号2203は、符号2201に示した設定の第2収容部14を用いた仕分けの、符号2202とは別の例を示す図である。図22の符号2203には、種類を判別できる35種類の薬剤、および種類を判別できない5種類の薬剤が第1収容部11に収容された例が示されている。この例では、制御部60aは、種類を判別できない薬剤については全てを第2収容部14に収容することができる。しかし、制御部60aは、種類を判別できる薬剤については、30種類しか第2収容部14に収容できず、残りの5種類は待機トレイ15に収容する。一方で、第2収容部14では、5個の仕分カップ141が薬剤を収容しない状態となる。
【0216】
このように、仮仕分け用の仕分カップ141の数を仕分け中に動的に設定しない場合には、薬剤を収容しない状態の仕分カップ141があるにもかかわらず、制御部60aが薬剤を第2収容部14へ収容できず、待機トレイ15に収容する場合がある。このため、仕分カップ141の利用効率が低下する。
【0217】
図23は、仮仕分け用の仕分カップ141の数を仕分け中に動的に設定する場合の例について説明するための図である。図23の符号2301は、仮仕分け用の仕分カップ141の数を動的に変更する場合の初期設定について説明するための図である。仮仕分け用の仕分カップ141の数を動的に変更する場合、ユーザは初期設定としては仮仕分けを行うか否かのみを設定する。「仮仕分けを行う」とは、種類を判別できない薬剤を、画像における特徴に基づいて仮仕分け用の仕分カップ141に収容することを指す。仮仕分けを行う場合、ユーザは仮仕分け用の仕分カップ141の具体的な数を設定しない。このため、図23の符号2301では、仮仕分け用の仕分カップ141は示されていない。
【0218】
図23の符号2302,2303は、符号2301に示した設定の第2収容部14を用いた仕分けの例を示す図である。図23の符号2302には、図22の符号2202と同様、種類を判別できる20種類の薬剤、および種類を判別できない20種類の薬剤が第1収容部11に収容された例が示されている。図23の符号2303には、図22の符号2203と同様、種類を判別できる35種類の薬剤、および種類を判別できない5種類の薬剤が第1収容部11に収容された例が示されている。
【0219】
制御部60aは、薬剤の種類を判別できない場合に、いずれかの仕分カップ141を仮仕分け用の仕分カップ141に設定し、当該仕分カップ141に種類を判別できなかった薬剤を収容する。その結果、種類を判別できない薬剤の数に応じて、仮仕分け用の仕分カップ141の数が動的に設定されることとなる。
【0220】
図23の符号2302に示す例では、制御部60aは、種類を判別できない薬剤の数に応じて、20個の仕分カップ141を仮仕分け用に設定する。図23の符号2303に示す例では、制御部60aは、種類を判別できない薬剤の数に応じて、5個の仕分カップ141を仮仕分け用に設定する。このため、図23の符号2302,2303に示したいずれの例においても、図22の符号2202,2203に示した例とは異なり、全ての仕分カップ141を使用して仕分けることができる。
【0221】
以上のとおり、制御部60aが仮仕分け用の仕分カップ141の数を仕分け中に動的に設定することで、仕分カップ141を効率的に利用できる。したがって、仕分けの全体に要する時間を短縮できる。
【0222】
〔実施形態10〕
分包機構6による分包は、ユーザの操作により中断される場合がある。このような場合、分包制御部68は、分包を中断するユーザの操作を受付けた時点で仕分カップ141から分包機構6に払い出されていた薬剤を分包してよい。
【0223】
分包する予定であった薬剤に関する情報は、分包機構6への薬剤の払い出しが開始される前に、予め分包紙に印字されている。分包紙に印字されている情報には、分包される薬剤の総数(仕分カップ141に収容されている薬剤の総数)が含まれる。しかし、分包機構6への薬剤の払い出しの途中で上記ユーザの操作を受付けた場合、分包機構6による分包される薬剤の錠数は、分包紙に印字されている錠数よりも少ない。
【0224】
このため、分包制御部68は、分包される薬剤の情報(例:鑑査日時、仕分カップ141のID、薬剤名、上記薬剤の総数等)を印字するジャーナルに、分包が中断された旨の情報を追加で印字してもよい。この場合、薬剤仕分装置1は、ジャーナルを印字するための印刷出力部(不図示)をさらに備える。
【0225】
分包機構6は、印字機構により、分包紙の帯の一部にコード(例えば2次元コードまたはバーコード)を印字する。コードは、例えば最初に第1収容部11に収容された全ての薬剤を分包するための一連の分包紙の、最初または最後に印刷される。また、コードは、2つの分包品の間に設けた空包に印刷されてもよい。
【0226】
薬剤師等は、薬剤仕分装置1が第1収容部11に収容された薬剤を仕分けた後に、その仕分け内容を目視監査し、問題がなければその旨を操作部31により入力する。薬剤師等が、薬剤仕分装置1による分包後に、分包紙に上記のとおり印字されたコードを薬剤仕分装置1が有するリーダ(不図示)に読ませることで、分包紙により分包された薬剤についてのジャーナルを印刷出力部が出力する。分包が中断された場合には、分包が中断された旨の情報をジャーナルに追加で印字する。
【0227】
また、分包制御部68は、仕分カップ141に残された薬剤についても、分包機構6に払い出されていた薬剤とは別に分包してよい。分包制御部68は、仕分カップ141に残された薬剤を分包する分包紙には、当該薬剤の錠数を印字する。
【0228】
これにより、ユーザは、上記のように分包紙に分包された2つの分包品と、ジャーナルとを視認することにより、当該2つの分包品に含まれる薬剤が分包途中で分包を中断した薬剤であると判断できる。また、制御部60aは、上記ユーザの操作を受付けたときに分包中であった薬剤について、上記のように分包品およびジャーナルを払出すことにより、再度の仕分けを必要としない。
【0229】
別の動作として、分包制御部68は、分包機構6への薬剤の払い出しの途中で分包が中断された場合に、分包中であった仕分カップ141に収容されていた薬剤を分包しないこととしてもよい。この場合、分包制御部68は、分包が中断された時点で分包機構6に払い出されていた薬剤については、分包紙において、薬剤を本来分包する予定であった包に連なる他の包に収容する。この場合、分包が中断された時点で第2収容部14に残された薬剤については、分包を再開できないようにする。これにより、実際に分包される錠数が分包紙に既に印字された錠数と相違することが防止される。また、第2収容部14に残された薬剤については、第1収容部11に再度投入して仕分けを行うことで分包できる。
【0230】
さらに別の動作として、分包機構6への薬剤の払い出しの途中で分包を中断する操作をユーザが行った場合、その時点で分包中であった仕分カップ141に収容されている薬剤については、全て分包機構6へ払い出した上で分包してもよい。この場合、分包する薬剤の錠数は分包紙に印字されている錠数と一致する。
【0231】
〔実施形態11〕
上述したとおり、第2収容部14に格納された薬剤についての情報は、仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれてよい。仕分カップ141に収容された薬剤は、例えばRFIDタグに書き込まれた情報を参照して、外部の分包機に充填される。または、仕分カップ141に収容された薬剤は、分包機構6に払い出される。仕分カップ141に収容していた薬剤をユーザが外部の分包機に充填、または制御部60aが分包機構6に払い出した後、制御部60aは、次の仕分けに仕分カップ141を用いるために、RFIDタグに書き込まれた情報を消去する必要がある。
【0232】
RFIDタグを初期化する方法としては、例えば仕分カップ141のRFIDタグの情報を外付けのRFIDタグリーダ/ライタに1つずつ読み込ませて、初期化する方法がある。または、制御部60aが仕分カップ141の中に残薬がないことを1つずつ認識してから、第2収容部14に設けられたRFIDタグリーダ/ライタにより初期化する方法がある。これらの方法ではいずれも、仕分カップ141のRFIDタグの初期化を開始してから次の仕分けが可能になるまでに、4~5分程度の時間を要する。
【0233】
制御部60aは、第2収容部14に設けられたRFIDタグリーダ/ライタを制御して、第2収容部14に載置された全ての仕分カップ141のRFIDタグを一括で初期化してもよい。制御部60aは、例えばユーザの操作を受付けることにより、当該処理を実行してもよい。これにより、制御部60aは、仕分カップ141に収容された薬剤が外部の分包機に充填された後、または当該薬剤を分包機構6に払い出した後、仕分カップ141のRFIDタグを1つずつ初期化する必要がないので、次の仕分けを開始するまでの時間を短縮できる。
【0234】
〔実施形態12〕
第2収容部14において、薬剤の種類ごとの仕分カップ141の位置は、薬剤を仕分けた順番により決定される。例えば同じ種類の薬剤が複数の仕分カップ141に収容される場合について考える。この場合、1つめの仕分カップ141を使用し始めてから、2つめの仕分カップ141を使用し始めるまでに仕分けられた別種の薬剤は、1つめの仕分カップ141と2つめの仕分カップ141との間に位置する仕分カップ141に収容される。その結果、同じ種類の薬剤を収容した複数の仕分カップ141が、第2収容部14において互いに離隔した位置に点在する場合がある。
【0235】
薬剤仕分装置1においては、仕分けた薬剤を分包機構6により分包せず、ユーザが仕分カップ141を第2収容部14から取出して、同じ種類の薬剤を袋詰めする、または分包機に返却する場合がある。これらの場合に、同じ種類の薬剤を収容した複数の仕分カップ141が第2収容部14において点在していると、同種の薬剤をユーザが探す必要があり、ユーザの作業効率が低下する。
【0236】
制御部60aは、同じ種類の薬剤を収容した複数の仕分カップ141が互いに近い位置に配されるよう、仕分けの終了後に容器取出機構124により仕分カップ141の並べ替えを行ってもよい。これにより、ユーザの作業効率が向上する。
【0237】
〔実施形態13〕
薬剤仕分装置1の設定を取り決める設計者またはユーザは、薬剤仕分装置1が実行する仕分けにおいて、個々の仕分カップ141に収容する薬剤の数の上限を、実際に仕分カップ141が収容可能な薬剤の上限よりも小さく設定する場合がある。例えば、実際には薬剤を60錠まで収容可能な容積を有する仕分カップ141について、仕分けにおいて収容する薬剤の数の上限を50錠と設定する場合がある。このように上限を設定することで、例えば仕分カップ141内で薬剤が跳ねた場合に当該薬剤が仕分カップ141の外部に出る可能性を低減できる。ただし、仕分カップ141の使用の効率を考慮すると、仕分カップ141に収容する薬剤の上限を、実際に仕分カップ141が収容可能な薬剤の上限に近づけた方がよい場合もある。
【0238】
制御部60aは、過去の一定期間内の仕分けにおいて、1回の仕分けで1種類の薬剤が複数の仕分カップ141に収容された場合に、その種類の薬剤についての余剰錠数の平均値を、ユーザに提示する機能を有していてよい。余剰錠数とは、薬剤の種類ごとの、1回の仕分けで仕分けた総数を、1つの仕分カップ141に収容する数の上限で割った余りである。当該機能を制御部60aが有する場合、ユーザは、余剰錠数を参照して、収容する薬剤の上限の設定が適切であるかを確認できる。過去の一定期間については、薬剤仕分装置1のユーザまたは設計者により適宜設定されてよく、例えば2週間または1ヶ月等と設定してよい。
【0239】
例えば、毎週決まった曜日に、仕分カップ141に収容する上限が50錠に設定されている薬剤を51~60錠仕分けている例を考える。この例では、余剰錠数は1~10錠となる。ユーザは、余剰錠数を確認することで、1~10錠の薬剤を仕分けるために2つめの仕分カップ141を定期的に使用していることを認識し、当該薬剤を仕分カップ141に収容する上限の設定を再検討できる。例えば当該薬剤について、仕分カップ141に収容する上限の設定をユーザが60錠に変更した場合、次回以降の仕分けでは当該薬剤を1つの仕分カップ141で仕分けることができるようになる。その結果、仕分カップ141を効率的に使用できるようになる。
【0240】
また、仕分けの対象となる薬剤の数は、特定の時期(例えば月または季節)にのみ処方される薬剤、または曜日ごとの担当医師などの要因によって変動する場合がある。薬剤の数の変動に応じて、余剰錠数も変動する可能性がある。このため、これらの要因に応じた余剰錠数の変動をAI(Artificial
Intelligence:人工知能)に学習させ、当該AIからユーザに対して仕分カップ141に収容する上限の変更を提案してもよい。
【0241】
〔実施形態14〕
図24は、第1収容部11の変形例である第1収容部11Aの一例を示す図である。図24に示す第1収容部11Aは、薬剤仕分装置1が持参薬を効率良く仕分けることを可能とする内部構造を有している。図24の例では、第1収容部11Aは、容積が略同一である4つの収容部111~114を有する。
【0242】
4つの収容部111~114は、それぞれ更に4分割されている。収容部111は、3つの小収容部111a~111cおよび1つの中収容部111dを有する。収容部112は、3つの小収容部112a~112cおよび1つの中収容部112dを有する。収容部113は、3つの小収容部113a~113cおよび1つの中収容部113dを有する。収容部114は、3つの小収容部114a~114cおよび1つの中収容部114dを有する。
【0243】
第1収容部11Aに持参薬を収容する場合、ユーザは持参薬を第1持参薬および第2持参薬に分類して収容する。第1持参薬とは、所定の服用日(所定の服用時期)における複数の服用時間のそれぞれにおいて、ある患者PAが服用するものとしてある医療機関から患者PAに処方された薬剤であって、その後に当該医療機関とは別の医療機関に持参された持参薬である。第2持参薬とは、ある医療機関から患者PAに処方された薬剤であって、その後に当該医療機関とは別の医療機関に持参された持参薬のうち、第1持参薬以外の残余の持参薬である。
【0244】
収容部111において、小収容部111a~111cのそれぞれは、患者PAの第1持参薬を収容するものとして機能する。中収容部111dは、患者PAの第2持参薬を収容するものとして機能する。例えば、持参薬が各日において3回服用する薬剤として処方されている場合、初日に服用する3回分の薬剤が第1持参薬となり、2日目以降に服用する薬剤が第2持参薬となる。
【0245】
収容部111~114にはそれぞれ、例えば、互いに異なる患者の第1持参薬および第2持参薬が収容されてよい。この場合、第1収容部11Aには、一度に最大4人分まで持参薬を収容できる。
【0246】
本実施形態では、第1収容部11Aに複数の患者の持参薬が収容されている場合、制御部60aは、まずそれぞれの患者の第1持参薬を仕分ける。制御部60aは、患者全員の第1持参薬の仕分けを終了した時点で、第1持参薬についての目視鑑査が可能な状態とする。ユーザは、鑑査結果を出力したい患者の第1持参薬について、目視確認を行う。ユーザによる目視確認の後、制御部60aは、第1持参薬についての鑑査結果を出力する。その後、制御部60aは、それぞれの患者の第2持参薬を仕分ける。
【0247】
このように、制御部60aが、第1収容部に収容された全患者の第1持参薬を、当該全患者の第2持参薬よりも先に仕分けることで、ユーザが、第2持参薬に先んじて第1持参薬の目視鑑査を行うことが可能となる。第1持参薬と第2持参薬との処方内容は同じである場合が多い。そのため、第1収容部11Aに収容された全ての持参薬を仕分けた後にユーザが目視鑑査を行う場合に比べ、ユーザは、各患者に処方された薬剤の種類を早期に認識できる。
【0248】
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤仕分装置1、1A、1B(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部60a、60bに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0249】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0250】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0251】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0252】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AIに実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0253】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0254】
〔まとめ〕
また、本発明は以下のようにも表現される。
【0255】
本発明の態様1に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する仕分容器を複数配置可能な収容部と、前記収容部に収容された前記薬剤を分包する分包部と、前記収容部に収容された前記薬剤を、前記仕分容器ごとに前記分包部へ払い出す第1払出機構と、前記収容部から前記仕分容器を取り出し、前記第1払出機構へと受け渡す容器取出機構と、を備え、前記第1払出機構は、前記容器取出機構から受け取った前記仕分容器を傾斜または上下反転させることで、当該仕分容器に収容された前記薬剤を前記分包部へ払い出す。
【0256】
本発明の態様2に係る薬剤仕分装置は、態様1において、前記第1払出機構は、前記仕分容器が載置される載置台と、前記載置台に前記仕分容器が載置された状態で、前記載置台を傾斜または上下反転させる傾斜機構と、を備え、前記容器取出機構は、前記載置台に前記仕分容器を載置する。
【0257】
本発明の態様3に係る薬剤仕分装置は、態様2において、前記第1払出機構は、前記仕分容器に外力を与えることで当該仕分容器を前記載置台に保持する保持機構をさらに備える。
【0258】
本発明の態様4に係る薬剤仕分装置は、態様3において、前記保持機構は、前記載置台に前記仕分容器を載置した後、前記仕分容器を前記載置台に保持する。
【0259】
本発明の態様5に係る薬剤仕分装置は、態様4において、前記傾斜機構は、前記載置台の傾斜動作に連動して前記保持機構を傾斜させるものであり、前記保持機構は、前記載置台が水平な状態から所定の角度まで傾斜したときに前記仕分容器を係止することで前記仕分容器に外力を与える。
【0260】
本発明の態様6に係る薬剤仕分装置は、態様4または5において、前記容器取出機構は、前記載置台が水平な状態であるときに、前記収容部に配置された前記仕分容器を取出して前記載置台に載置し、前記保持機構が前記載置台に前記仕分容器を保持した後、前記仕分容器の把持を解除する。
【0261】
本発明の態様7に係る薬剤仕分装置は、態様2から5のいずれかにおいて、前記第1払出機構により前記載置台を傾斜させる過程において、前記載置台に載置された前記仕分容器を揺動させる揺動機構を備える。
【0262】
本発明の態様8に係る薬剤仕分装置は、態様7において、前記揺動機構は、前記傾斜機構であり、前記傾斜機構は、前記載置台を所定の範囲内で反復移動させることで、前記載置台に載置された前記仕分容器を揺動させる。
【0263】
本発明の態様9に係る薬剤仕分装置は、態様1から5のいずれかにおいて、複数の前記仕分容器のそれぞれに収容された前記薬剤を個別に前記分包部へ払い出す、前記第1払出機構とは別の第2払出機構をさらに備え、前記仕分容器に収容されている前記薬剤の数が規定された数よりも多い場合には、前記第2払出機構が前記薬剤の払い出しを行い、前記仕分容器に収容されている前記薬剤の数が前記規定された数以下である場合には、前記第1払出機構が前記薬剤の払い出しを行う。
【0264】
本発明の態様10に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第2収容部に収容できなかった前記薬剤を一時的に収容する仮収容部と、前記第1収容部から前記第2収容部または前記仮収容部へ前記薬剤を搬送する搬送部と、前記第1収容部から前記仮収容部に収容された前記薬剤の種類ごとの数を示す仮収容データを生成する仮収容データ生成部と、前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する再搬送部と、を備え、前記再搬送部は、前記仮収容データに基づいて、前記仮収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する。
【0265】
本発明の態様11に係る薬剤仕分装置は、態様10において、前記再搬送部は、前記仮収容データに含まれている薬剤の種類ごとの個数が多い当該種類の薬剤から順に、前記仮収容部から前記第2収容部へ搬送する。
【0266】
本発明の態様12に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する仕分容器を複数配置可能な第2収容部と、前記第1収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する搬送部と、前記第2収容部に収容された前記薬剤を分包する分包部と、を備え、前記仕分容器のそれぞれには、前記薬剤を収容する数についての上限値が設定されており、前記分包部は、前記搬送部による搬送の途中で、いずれかの前記仕分容器に収容された前記薬剤の数が前記上限値に達した場合に、前記搬送部による前記薬剤の搬送を中断して、当該仕分容器に収容された前記薬剤を分包する。
【0267】
本発明の態様13に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記複数種類の薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する仕分容器を複数配置可能な第2収容部と、前記第1収容部から前記第2収容部へ前記薬剤を搬送する搬送部と、前記第2収容部に収容された前記薬剤を分包する分包部と、を備え、前記分包部は、前記搬送部による搬送の途中で、全ての前記仕分容器に1以上の前記薬剤が収容された場合に、前記搬送部による前記薬剤の搬送を中断して、少なくとも1つの前記仕分容器に収容された前記薬剤を分包する。
【0268】
本発明の態様14に係る薬剤仕分装置は、態様13において、前記仕分容器のそれぞれには、当該仕分容器に収容された前記薬剤の分包を可能とする基準値が設定されており、前記分包部は、全ての前記仕分容器に1以上の前記薬剤が収容された場合に、前記基準値以上の数の前記薬剤を収容した前記仕分容器のそれぞれについて、当該仕分容器に収容された前記薬剤を分包する。
【符号の説明】
【0269】
1、1A、1B 薬剤仕分装置
12 搬送・仕分ユニット(搬送部)
122 吸着・シャッター機構(第2払出機構)
124 容器取出機構
14 第2収容部(収容部)
141 仕分カップ
15 待機トレイ(仮収容部)
4 第1払出機構
41 載置台
42 傾斜機構(揺動機構)
43 保持機構
6 分包機構(分包部)
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