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特開2023-165924調光制御システム及びコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165924
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】調光制御システム及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20231110BHJP
   H05B 47/14 20200101ALI20231110BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231110BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20231110BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/14
H05B47/165
H05B45/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166550
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2021213370の分割
【原出願日】2021-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 納品日:令和2年12月28日 納品場所:滋賀県立近代美術館(現:滋賀県立美術館)滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1 展示室1、展示室3 納品日:令和3年1月19日 納品場所:茨城県近代美術館 茨城県水戸市千波町東久保666-1 第1所蔵作品展示室 納品日:令和3年6月18日 納品場所:大阪中之島美術館 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 4階展示室(展示室1、展示室2) 5階展示室(展示室3、展示室4、展示室5)
(71)【出願人】
【識別番号】514056621
【氏名又は名称】株式会社YAMAGIWA
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】松岡 寛哲
(57)【要約】
【課題】複数の照明を用いた設備において、照明の設定に要する労力を軽減すること。
【解決手段】複数の照明器具の組合せについて、各照明器具の光量情報の相対関係を表すテンプレートと、前記テンプレートの用途である前記テンプレートが用いられる展示物の種別と、を含むテンプレート情報を記憶するテンプレート情報記憶部と、前記テンプレートと前記展示物の種別を表示する表示部と、ユーザーが設定した前記テンプレートと前記展示物の種別の両方の情報を前記テンプレート情報記憶部に送信する制御部と、を有する設定情報入力装置と、前記設定情報入力装置で設定された前記用途である前記展示物の種別に応じて選択された前記テンプレートが割り当てられた複数の照明器具の組合せに対し、前記テンプレートの情報が示す大小関係を維持して各照明器具の光量情報を設定する照明制御部と、を備える調光制御システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具の組合せについて、各照明器具の光量情報の相対関係を表すテンプレートと、前記テンプレートの用途である前記テンプレートが用いられる展示物の種別と、を含むテンプレート情報を記憶するテンプレート情報記憶部と、
前記テンプレートと前記展示物の種別を表示する表示部と、ユーザーが設定した前記テンプレートと前記展示物の種別の両方の情報を前記テンプレート情報記憶部に送信する制御部と、を有する設定情報入力装置と、
前記設定情報入力装置で設定された前記用途である前記展示物の種別に応じて選択された前記テンプレートが割り当てられた複数の照明器具の組合せに対し、前記テンプレートの情報が示す大小関係を維持して各照明器具の光量情報を設定する照明制御部と、
を備える調光制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の調光制御システムとしてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明の設定情報を入力するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な場所で照明が使用されている。一般的な家庭で使用されている照明では照明の光量や色調が細かく設定されることは希であるが、美術館や博物館などで使用される照明では、照明の照度や色調が細かく設定されることが多い。しかし、照明において照度や色調を設定するための操作は容易ではなく、設定者にとって大きな負担となっていた。
このような負担を軽減するための技術として、例えば特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された技術では、調光レベルと調色レベルとをユーザーが容易に変更できる照明制御装置を提供することを目的として、調光モード及び調色モードという複数の動作モードを設け、1台の照明制御装置で調光と調色とを行うことを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-002510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば美術館や博物館では、その広さ故に非常に多くの照明が設置されている。そのため、たとえ特許文献1に開示された技術を用いたとしても、全ての照明に対して個別に光量及び色調を設定することは非常に大きな負担となっていた。さらに、美術館や博物館では、年間数回程度開催される展覧会毎に展示品が変わる。その度に、各照明の光量や色調等の設定情報を最適なものに設定しなおす必要があり、作業者の大きな負担となっていた。
このような問題は、美術館や博物館に限定された問題では無く、複数の照明を使用する設備に共通する問題である。上記事情に鑑み、本発明は、複数の照明を用いた設備において、照明の設定に要する労力を軽減することが可能となる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、複数の照明器具の組合せに対して光量情報に関する変更の指示を受け、前記複数の照明器具の光量情報に対して定義されている光量情報の相対関係を維持したままで前記指示に応じて各照明器具の変更後の光量情報を決定する、調光制御システムである。
【0006】
本発明の一態様は、複数の照明器具の組合せについて、各照明器具の光量情報の相対関係を表すテンプレートの情報を記憶するテンプレート情報記憶部と、前記テンプレートが割り当てられた複数の照明器具の組合せに対し、前記テンプレートの情報が示す相対関係を維持して各照明器具の光量情報を設定する制御部と、を備える調光制御システムである。
【0007】
本発明の一態様は、コンピューターが、複数の照明器具の組合せに対して光量情報に関する変更の指示を受け、前記複数の照明器具の光量情報に対して定義されている光量情報の相対関係を維持したままで前記指示に応じて各照明器具の変更後の光量情報を設定する、設定支援方法である。
【0008】
本発明の一態様は、コンピューターが、複数の照明器具の組合せについて、各照明器具の光量情報の相対関係を表すテンプレートの情報を記憶するテンプレート情報記憶部から前記テンプレートの情報を読み出すステップと、コンピューターが、前記テンプレートが割り当てられた複数の照明器具の組合せに対し、前記テンプレートの情報が示す相対関係を維持して各照明器具の光量情報を設定する制御ステップと、を有する設定支援方法である。
【0009】
本発明の一態様は、複数の照明器具の組合せについて、各照明器具の光量情報の相対関係を表すテンプレートと、前記テンプレートの用途である前記テンプレートが用いられる展示物の種別と、を含むテンプレート情報を記憶するテンプレート情報記憶部と、前記テンプレートと前記展示物の種別を表示する表示部と、ユーザーが設定した前記テンプレートと前記展示物の種別の両方の情報を前記テンプレート情報記憶部に送信する制御部と、を有する設定情報入力装置と、前記設定情報入力装置で設定された前記用途である前記展示物の種別に応じて選択された前記テンプレートが割り当てられた複数の照明器具の組合せに対し、前記テンプレートの情報が示す大小関係を維持して各照明器具の光量情報を設定する照明制御部と、を備える調光制御システムである。
本発明の一態様は、上記の調光制御システムとしてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、複数の照明を用いた設備において、照明の設定に要する労力を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の調光制御システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
図2】調光制御装置20の機能構成の具体例を示す図である。
図3】照明セットの具体例を示す図である。
図4】設定情報入力装置30の機能構成の具体例を示す図である。
図5】表示部33に表示されるグラフィカルユーザーインターフェースの具体例を示す図である。
図6】テンプレート生成画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の調光制御システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。調光制御システム100は、複数の照明器具10、調光制御装置20及び設定情報入力装置30を備える。調光制御システム100は、複数の照明器具10の光量や色調を設定し制御するためのシステムである。なお、以下の説明において、照明器具10の光量を示す情報の一つとして照度の値を用いて説明する。ただし、光量を示す情報として他の値が用いられてもよい。例えば、光量を示す情報は、照明の最大出力の割合を示す情報であってもよいし、調光値のステップを示す情報であってもよい。複数の照明器具10、調光制御装置20及び設定情報入力装置30は、ネットワーク90を介して通信可能に接続される。ネットワーク90は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク90は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。照明器具10と調光制御装置20とが通信を行うネットワークと、調光制御装置20と設定情報入力装置30とが通信を行うネットワークとがそれぞれ異なるネットワークを用いて構成されてもよい。
【0013】
照明器具10は、照度と色調とを複数のレベルに変更可能な照明装置である。照明器具10の電源のON及びOFFは、調光制御装置20から送信される制御信号に応じて制御される。照明器具10は、調光制御装置20から送信される制御信号に応じて、照度と色調とを変更する。各照明器具10は、それぞれ所定の位置に固定的に設置されていてもよい。
【0014】
調光制御装置20は、調光制御システム100に備えられている各照明器具10の動作を制御する。例えば、調光制御装置20は、各照明器具10の照度と色調とを制御する。調光制御装置20は、例えば固有の通信プロトコルを用いて各照明器具10を制御してもよいし、特定の既存の通信プロトコルを用いて各照明器具10を制御してもよい。既存の通信プロトコルの具体例として、例えばDALI(登録商標)、DMX512、DALI2等がある。
【0015】
調光制御装置20は、例えばパーソナルコンピューター、専用機器等の情報機器を用いて構成される。図2は、調光制御装置20の機能構成の具体例を示す図である。調光制御装置20は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。以下、調光制御装置20の各機能部について説明する。
【0016】
通信部21は、他の装置との間で通信を行う通信装置である。通信部21は、例えばネットワーク90を介して他の装置(例えば照明器具10、設定情報入力装置30)と通信する。
【0017】
記憶部22は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部22は、例えば地図情報記憶部221、テンプレート情報記憶部222、グループ情報記憶部223及び設定情報記憶部224として機能する。
【0018】
地図情報記憶部221は、照明器具10が設置されている施設(以下「対象施設」という。))の地図に関する情報(以下「地図情報」という。)を記憶する。地図情報は、例えば対象施設において少なくとも照明器具10が設置されている領域の地図と、各照明器具10が設置されている位置を示す情報と、各照明器具10に対して制御情報を送信する際に用いられる宛先となる情報(例えば機器識別情報、アドレス情報など)と、を記憶する。コンピューターは、地図情報記憶部221によって記憶される地図情報を参照することによって、各照明器具10が対象施設のどの位置に設置されているかを、地図上に表示することが可能となる。また、コンピューターは、地図情報記憶部221によって記憶される地図情報を参照することによって、ユーザーによって地図上で指示された各照明器具10に対し、制御信号を送信するための宛先となる情報を取得することが可能となる。
【0019】
テンプレート情報記憶部222は、テンプレート情報を記憶する。テンプレート情報とは、複数の照明器具を含む所定の単位(以下「照明セット」という。)毎に、各照明器具10における照度の情報を有する。テンプレート情報に定義される各照明器具の照度の情報は、例えば各照明器具10の照度の相対的な値(以下「相対照度」という。)であってもよいし、各照明器具10の照度の絶対値であってもよい。テンプレート情報は、さらに色調に関する情報(例えば色温度)を含んでもよい。
【0020】
図3は、照明セットの具体例を示す図である。1つの照明セットには複数の照明器具10が含まれ、各照明器具10の取り付け位置が定められている。例えば、図3の照明セットは、展示空間50を照らすために設けられている4つの照明器具10(10_1~10_4)を含んでいる。照明セットでは、各位置の照明器具10毎に、同じ照明セットに含まれる他の照明器具との間の照度の相対値(比)が相対照度として定められる。例えば、図3に示される照明セットにおいて以下のように相対照度が定められてもよい。
・照明器具10_1:5
・照明器具10_2:20
・照明器具10_3:10
・照明器具10_4:2
【0021】
このように照明セットの相対照度が定められた場合、4つの照明器具10の照度の比は上記の相対照度の関係を保ちながら変更される。例えば、この照明セットに対して照度を上げる操作が行われた場合、上記の相対照度の関係を保ちながら各照明器具10の照度の値を上げるように設定が更新される。例えば、図3の照明セットに用いられる4つの照明器具10の最大照度が同じ値の器具である場合には、
・照明器具10_1:最大照度の10%
・照明器具10_2:最大照度の40%
・照明器具10_3:最大照度の20%
・照明器具10_4:最大照度の 4%
【0022】
のように各照明器具の照度が設定されてもよい。この後、この照明セットに対して照度を下げる操作が行われた場合には、
・照明器具10_1:最大照度の 5%
・照明器具10_2:最大照度の20%
・照明器具10_3:最大照度の10%
・照明器具10_4:最大照度の 2%
【0023】
のように各照明器具の照度が設定されてもよい。なお、ここでは最大照度に対するパーセントの値で各照明器具10の照度を示しているが、他の表現方法で表されてもよい。例えば、最小照度から最大照度まで所定幅で区切られた複数のステップ数として表されてもよいし、照度の絶対値で表されてもよい。
【0024】
図3に示す照明セットは一つの具体例にすぎず、他の態様の照明セットが定義されてもよい。また、一つの対象施設において複数の種類の照明セットが定義されてもよい。テンプレート情報は、照明セット毎の相対照度に加えてさらに、ラベル情報を有してもよい。ラベル情報とは、そのテンプレートが用いられる状況を示す情報である。例えば、そのテンプレートが用いられる展示物の種別を示す情報がラベル情報として与えられてもよい。展示物の種別の具体例として、例えば掛軸、屏風、着物、のような値が与えられてもよい。ラベル情報として、光の重心を示す情報が定義されてもよい。例えば、壁面全体、アイライン(目線)中心のようなラベル情報が定義されてもよい。
【0025】
グループ情報記憶部223は、グループ情報を記憶する。グループ情報とは、1又は複数の照明器具10を含むグループに関する情報である。グループ情報は、例えば1又は複数の照明セット単位で定義されてもよい。グループ情報は、そのグループに含まれる照明器具10に関する情報を含む。グループ情報は、例えばユーザーによって定義されてもよいし、予め定められてもよい。グループ情報は、例えばユーザーによって削除されてもよいし更新されてもよい。
【0026】
設定情報記憶部224は、設定情報を記憶する。設定情報は、照明器具10毎に照度や色調などの設定値を有する。
【0027】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部23は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、記録制御部231、設定支援部232及び照明制御部233として機能する。なお、制御部23の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0028】
記録制御部231は、予め定義される地図情報やテンプレート情報を他の装置(例えば設定情報入力装置30や他の装置)から取得し、記憶部22に記録する。例えば、対象設備に調光制御システム100が導入される際に、記録制御部231は初期設定で登録される地図情報を他の装置から受信して地図情報記憶部221に記録してもよい。
【0029】
設定支援部232は、各照明器具10の照度や色調をユーザーが設定する際の支援を行う。例えば、設定支援部232は、ユーザーによって使用される設定情報入力装置30に対し、設定に要する情報を提供する。例えば、設定支援部232は、テンプレート情報やグループ情報を設定情報入力装置30に提供してもよい。例えば、設定支援部232は、テンプレート情報やグループ情報に基づいて設定された情報(照明セット単位で与えられた設定に関する情報、グループ単位で与えられた設定に関する情報)を設定情報入力装置30から受信し、受信された情報に基づいて、各照明セットや各グループに含まれる個別の照明器具10の設定値を算出し、算出された値を設定情報記憶部224に記録する。なお、各照明セットや各グループに含まれる個別の照明器具10の設定値の計算は、設定情報入力装置30において実行されてもよい。この場合、設定支援部232は、設定情報入力装置30から個別の照明器具10の設定値を受信し、受信された値を設定情報記憶部224に記録する。
【0030】
設定支援部232は、例えば照明セット単位やグループ単位で照度を変更するためのグラフィカルユーザーインターフェースのデータを設定情報入力装置30に送信してもよい。この場合、設定支援部232は、グラフィカルユーザーインターフェースにおいてユーザーの操作により生じた設定の変更を示す情報(照明セット単位で与えられた設定に関する情報、グループ単位で与えられた設定に関する情報)を設定情報入力装置30から受信してもよい。設定支援部232は、受信された情報に基づいて、各照明セットや各グループに含まれる個別の照明器具10の設定値を算出し、算出された値を設定情報記憶部224に記録する。なお、各照明セットや各グループに含まれる個別の照明器具10の設定値の計算は、設定情報入力装置30において実行されてもよい。この場合、設定支援部232は、設定情報入力装置30から個別の照明器具10の設定値を受信し、受信された値を設定情報記憶部224に記録する。
【0031】
照明制御部233は、設定情報記憶部224に記録されている設定情報に基づいて各照明器具10の照度や色調を制御する。また、設定情報入力装置30や不図示のスイッチ器具から照明器具10の電源のオン又はオフを示す情報が入力された場合には、照明制御部233は、入力された情報に基づいて各照明器具10の電源のオン又はオフを制御する。
【0032】
図4は、設定情報入力装置30の機能構成の具体例を示す図である。設定情報入力装置30は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、専用機器などの情報機器を用いて構成される。設定情報入力装置30は、通信部31、操作部32、表示部33、記憶部34及び制御部35を備える。
【0033】
通信部31は、通信機器である。通信部31は、例えばネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部31は、制御部35の制御に応じて、ネットワーク90を介して他の装置とデータ通信する。通信部31は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0034】
操作部32は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部32は、ユーザーの指示を設定情報入力装置30に入力する際にユーザーによって操作される。操作部32は、入力装置を設定情報入力装置30に接続するためのインターフェースであっても良い。この場合、操作部32は、入力装置においてユーザーの入力に応じ生成された入力信号を設定情報入力装置30に入力する。操作部32は、マイク及び音声認識装置を用いて構成されてもよい。この場合、操作部32はユーザーによって発話された文言を音声認識し、認識結果の文字列情報を設定情報入力装置30に入力する。操作部32は、ユーザーの指示を設定情報入力装置30に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。
【0035】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部33は、照明器具10の照度や色調を設定するためのグラフィカルユーザーインターフェースを表示する。表示されるグラフィカルユーザーインターフェースのデータは、記憶部34に予め記憶されていてもよいし、調光制御装置20からネットワーク90を介して提供されてもよい。表示部33は、画像表示装置を設定情報入力装置30に接続するためのインターフェースであっても良い。この場合、表示部33は、画像データを表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。
【0036】
記憶部34は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部34は制御部35において使用される情報を記憶する。
【0037】
制御部35は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部35は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、通信制御部351及び表示制御部352として機能する。なお、制御部35の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0038】
通信制御部351は、通信部31を介して調光制御装置20との間で行われる通信を制御する。例えば、通信制御部351は、調光制御装置20からデータを受信し表示制御部352に受信されたデータを渡す。例えば、通信制御部351は、表示制御部352から渡されたデータを調光制御装置20に送信する。
【0039】
表示制御部352は、記憶部34又は調光制御装置20から取得されるグラフィカルユーザーインターフェースのデータに基づいて表示部33にユーザーインターフェースの画面を表示する。表示制御部352は、表示されたユーザーインターフェースにおいてユーザーによって操作部32を介して操作された結果を示す操作情報を取得し、操作情報に応じて得られる情報を通信制御部351に渡す。この情報は、通信制御部351によって調光制御装置20に送信される。表示制御部352は、ユーザーの操作に応じて入力された各照明セットや各グループに対する入力値に応じて、各照明器具10の個別の設定値を算出してもよい。この場合、算出された値が通信制御部351によって調光制御装置20に送信される。
【0040】
図5は、表示部33に表示されるグラフィカルユーザーインターフェースの具体例を示す図である。画面には、1又は複数のテンプレートボタン41、地図画像42、複数の照明セット画像43、照明セット管理ボタン群45、グループ管理ボタン群46、照度操作領域47、色調操作領域48、保存ボタン49が表示される。
【0041】
テンプレートボタン41は、それぞれテンプレートを示す画像である。例えば、図5の例では、各テンプレートのラベル情報が示す文字列が各テンプレートボタン41内の領域に表示されている。各テンプレートボタン41は、それぞれ異なる表示態様を有している。例えば、テンプレートボタン41内の領域の色が異なってもよい。
【0042】
地図画像42には、対象施設の一部又は全部を示す地図を示す画像が示される。地図画像42の内部の領域には、それぞれの設置位置に応じた照明器具10を示す画像や、照明セットを示す画像が表示される。本実施形態では、照明セット毎に照明セット画像43が表示される。各照明セットにはラベル(識別情報)が与えられており、照明セット画像43内にそのラベルも表示されている。例えば、L1と示される照明セット画像43の位置には、L1というラベルが与えられた照明セットの4つの照明器具10が設置されている。各照明セット画像43の表示態様は、その照明セットに設定されているテンプレートに応じた表示態様である。例えば、テンプレートボタン41の掛軸の表示態様と同じ表示態様で表示されている照明セット画像43の位置にある照明セットには、掛軸のテンプレートが設定されている。
【0043】
ユーザーは、テンプレートボタン41及び照明セット画像43を操作することによって、容易に各照明セットにテンプレートを設定することができる。具体的な操作方法はどのように実装されてもよい。例えば、照明セット画像43の位置に、適用したいテンプレートボタン41をドラッグすることによって、その位置の照明セットに対してテンプレートが設定されてもよい。この場合、表示制御部352は通信制御部351を介して、ドラッグに関する操作情報や、テンプレートと照明セットとの組合せに関する情報を調光制御装置20に送信する。調光制御装置20の設定支援部232は、受信された情報に応じて、指定された照明セットに対し指定されたテンプレートを適用することをテンプレート情報記憶部222に記録する。
【0044】
照明セット管理ボタン群45は、複数の照明セットをグループとして設定する操作を行うためのユーザーインターフェースを含む。例えば、照明セット管理ボタン群45は、地図画像42に表示されている一部又は全ての照明セットを示すボタン(図5ではL1~L8のボタン)と、まとめて選択チェックボックスと、グループ作成ボタンとを含む。ユーザーは新たなグループを設定する場合、そのグループに含ませたい照明セットを示すボタンをそれぞれ操作することによって選択し、その後にグループ作成ボタンを操作することによって、その時点で選択されていた複数の照明セットを含む一つのグループを生成することができる。まとめて選択チェックボックスが選択された場合には、地図画像42において表示されている全ての照明セットを一度に選択することができる。
【0045】
グループ管理ボタン群46は、複数のグループを管理する操作を行うためのユーザーインターフェースを含む。例えば、グループ管理ボタン群46は、地図画像42に表示されている一部又は全てのグループを示すボタン(図5ではG1~G4のボタン)と、グループ削除ボタンとを含む。ユーザーはグループを削除する場合、削除したいグループのボタンを操作することによって選択し、その後にグループ削除ボタンを操作することによって、その時点で選択されていた1又は複数のループを削除することができる。
【0046】
照度操作領域47には、照明器具10の照度を操作するためのユーザーインターフェースが表示される。例えば、ユーザーは、操作バー471や操作バー472や上昇ボタン473や下降ボタン474を操作することによって、操作対象となっている照明器具10の照度を設定することができる。操作バーやボタン(473,474)への操作に応じて定められる照度の値は、照度値表示領域475に表示される。例えば、照度は、照明器具10の最大照度に対する割合(例えば0%~100%)で示されてもよいし、照度の絶対値(階調の値)として示されてもよい。図5の例では、割合と絶対値との両方が示されている。ただし、割合と絶対値とのいずれか一方のみが表示されてもよい。
【0047】
色調操作領域48には、照明器具10の色調を操作するためのユーザーインターフェースが表示される。例えば、ユーザーは、操作バー481や上昇ボタンや下降ボタンを操作することによって、操作対象となっている照明器具10の色調を設定することができる。操作バーやボタンへの操作に応じて定められる色調の値は、色調値表示領域482に表示される。例えば、色調は、色温度の値で示されてもよいし、他の値で示されてもよい。
【0048】
保存ボタン49は、操作された時点で操作対象となっている照明器具10に対し、その時点で照度操作領域47及び色調操作領域48が示す照度及び色調の値を設定するためのボタンである。保存ボタン49が操作されることに応じて、表示制御部352は、設定対象を示す情報と設定値を示す情報と、を調光制御装置20に送信する。設定対象を示す情報は、個々の照明器具10を示す情報であってもよいし、照明セットを示す情報であってもよいし、グループを示す情報であってもよい。設定値を示す情報は、個別の照明器具10に対する設定値であってもよいし、照明セットに設定された値であってもよいし、グループに設定された値であってもよい。
【0049】
ユーザーは、1又は複数の照明器具10や、1又は複数の照明セットや、1又は複数のグループを選択することによって、選択された照明器具10や選択された照明セットや選択されたグループに含まれる全ての照明器具10について照度や色調をまとめて操作(変更、設定)することが可能である。例えば、ユーザーは、照度や色調を設定したい照明器具や照明セットやグループを示すボタンを、地図画像42や照明セット管理ボタン群45やグループ管理ボタン群46において選択する。この操作によって、設定対象が選択される。その後に、ユーザーは、照度操作領域47や色調操作画像48に対して操作を行う。この操作によって、選択されていた設定対象の照明セットやグループに含まれる全ての照明器具10に対しまとめて設定が行われる。このとき、選択された照明セットやグループに含まれる全ての照明器具10の照度の相対関係(比率)は固定されたままで、照度の値が変更される。例えば、ダウンライト(照明器具10)を平面的に分布させたものを、その場所その場所で照度を変えて設定し、その後にそれぞれの相対関係(比率)を維持しながら照度の値が変更されてもよい。例えば、間接照明で壁際や梁の有る無し等を考慮して一直線に配置された照明器具10のそれぞれについて微調整することで照度の値を設定し、その後にそれぞれの相対関係(比率)を維持しながら照度の値が変更されてもよい。
【0050】
図6は、テンプレート生成画面の具体例を示す図である。図6に示される例では、左側に一つの照明セットに含まれる各照明器具10を、その設置位置にあわせて画像として表示している。右側には、各照明器具10の照度や色調を設定するための照度操作領域61、一つの照明セットに含まれる全ての照明器具の照度をまとめて設定するためのまとめ照度操作領域62、一つの照明セットに含まれる全ての照明器具の色調をまとめて設定するためのまとめ色調操作領域63、が示されている。このテンプレート生成画面で、テンプレート情報を生成することができる。なお、テンプレート生成画面では、色調を設定するための操作領域(色調操作領域63)が表示されなくてもよい。すなわち、テンプレート生成画面は、照明器具の照度についてのみまとめて設定できるように構成されてもよい。
【0051】
例えば、照度操作領域61_1は、照明器具10_1の照度を設定するための照度操作領域61であり、照度操作領域61_2は、照明器具10_2の照度を設定するための照度操作領域61であり、照度操作領域61_3は、照明器具10_3の照度を設定するための照度操作領域61であり、照度操作領域61_4は、照明器具10_4の照度を設定するための照度操作領域61である。各照度操作領域61において操作バーを操作することによって、各照度操作領域61に応じた照明器具10の照度を設定することが可能となる。これらの照度操作領域61を操作することによって、生成対象となっているテンプレートの照明セットに含まれる各照明器具10の相対照度の関係を設定できる。
【0052】
まとめ照度操作領域62は、その時点で各照度操作領域61によって設定されている相対照度の関係を維持したままで、全体の明るさを変更するための操作領域である。まとめ色調操作領域63は、このテンプレートの照明セットに含まれる各照明器具10の色調を設定するための操作領域である。まとめ色調操作領域63を操作することによって、照明セットに含まれる各照明器具10の色調が同じ値に設定される。
【0053】
このように構成された調光制御システム100では、複数の照明器具10の照度の値の相対関係(比率)を維持したままで、照度の値をまとめて変更することができる。例えば、照明セットに含まれる各照明器具10の照度の値の相対関係を維持したままで、各照度の値を変更することができる。一般的に、最適な照明環境は複数の照明器具の組み合わせで実現されている。上述したようにこの複数の照明器具の組合せにおける関係性(比率)を維持したままで複数の照明器具10の照度をまとめて変更できるため、作業に要する労力を軽減するとともに、適切な照度の設定が可能となる。
【0054】
また、調光制御システム100では、テンプレートを定義することで、複数の照明器具の組合せ(例えば照明セット)毎にテンプレートを適用して容易に各照明器具10の照度や色調を設定することができる。また、テンプレートのラベル情報として、そのテンプレートが用いられる状況を示す情報を定義することもできる。例えば、展示物の種別を示す情報が与えられてもよい。このようにテンプレートが定義されることで、用途に応じたテンプレートを容易に選択して複数の照明器具の照度を設定することが可能となる。一般的に、展示品に合わせた細かな照明演出(見せかた)にしたがって各照明器具の照度を調整する必要がある。さらに、展示品の照度は厳しく管理されており、展示品に対する見せ方と細かな照度調整が必須である。このような環境においても、調光制御システム100のテンプレートを適用することによって、展示品に応じた設定を容易に行うことが可能となる。なお、図6に示されるテンプレートの具体例は一例にすぎず、他の形態のテンプレートが定義されてもよい。例えば、ウォールウォッシャー照明等のテンプレートが定義されてもよい。
【0055】
(変形例)
調光制御装置20は必ずしも1台の装置として構成される必要は無い。例えば、調光制御装置20は、複数台の情報処理装置を用いて構成されてもよい。調光制御装置20を構成する複数台の情報処理装置は、ネットワーク90等の通信路を介して通信可能に接続され、クラスタマシンやクラウドなどのシステムとして構成されてもよい。例えば、記録制御部231及び設定支援部232はネットワーク90等の通信路を介して対象施設から離れた位置に設置されたコンピューターにおいて実現され、照明制御部233は対象施設に設置されたコンピューターにおいて実現されてもよい。この場合、照明制御部233として機能するコンピューターは、例えばパーソナルコンピューター等の情報処理装置であってもよいし、シングルボードコンピューター等の簡易的な情報処理装置を用いて実現されてもよい。
調光制御装置20と設定情報入力装置30とは、一体の情報処理装置として構成されてもよい。
【0056】
複数の照明器具10について照度をまとめて操作(変更、設定)する場合に、それらに含まれる全ての照明器具10の照度の相対関係(比率)を固定するのではなく、各照明器具10の互いの大小関係を固定して照度が変更されてもよい。例えば、大小関係が維持されたままで、変更前や変更後の値に応じて各照明器具10の照度の変更の幅や比率が異なってもよい。具体例を用いて説明する。
・照明器具10_1:最大照度の100%
・照明器具10_2:最大照度の 80%
・照明器具10_3:最大照度の 30%
・照明器具10_4:最大照度の 10%
【0057】
のように各照明器具の照度が設定されているときに、大小関係は維持しつつも、10:8:3:1という比率は変化しても良い。例えば、これら4つの照明器具10の照度を下げた場合に、以下のような値に変更されてもよい。
・照明器具10_1:最大照度の50%
・照明器具10_2:最大照度の45%
・照明器具10_3:最大照度の22%
・照明器具10_4:最大照度の 8%
【0058】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
100…調光制御システム, 10…照明器具, 20…調光制御装置, 21…通信部, 22…記憶部, 221…地図情報記憶部, 222…テンプレート情報記憶部, 223…グループ情報記憶部, 224…設定情報記憶部, 23…制御部, 231…記録制御部, 232…設定支援部, 233…照明制御部, 30…設定情報入力装置, 31…通信部, 32…操作部, 33…表示部, 34…記憶部, 35…制御部, 351…通信制御部, 352…表示制御部, 41…テンプレートボタン, 42…地図画像, 43…照明セット画像, 45…照明セット管理ボタン群, 46…グループ管理ボタン群, 47…照度操作領域, 471…操作バー, 472…操作バー, 473…照度値表示領域, 48…色調操作領域, 481…操作バー, 482…色調値表示領域, 49…保存ボタン, 61…照度操作領域, 62…まとめ照度操作領域, 63…まとめ色調操作領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6