(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165933
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】光起電力セル及びその形成方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0236 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
H01L31/04 280
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166792
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2023105909の分割
【原出願日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】202210202117.2
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522171073
【氏名又は名称】晶科能源(海▲寧▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】楊楠楠
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】張彼克
(57)【要約】
【課題】本願実施例は、光起電力の技術分野に関し、特に光起電力セル及びその形成方法、光起電力モジュールに関するものである。
【解決手段】光起電力セルは、基板と、基板の表面に位置し、光起電力セルの製品情報をマーキングするために使われるマーク領域と、基板の表面にあるマーク領域に位置し、少なくとも1つの第1突起構造と少なくとも1つの第2突起構造を含み、第1突起構造の上面が第1突起構造の底面方向へ延びる凹面であり、第2突起構造がピラミッド状構造である第1テクスチャ構造と、マーク領域以外の基板の表面に位置し、少なくとも1つの第3突起構造を含み、且つ第3突起構造がピラミッド状構造である第2テクスチャ構造と、を含む。本願実施例には、少なくとも光起電力セルの光閉じ込め効果を向上させ、光起電力セルの光電変換効率を向上させることに有利である。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に位置するマーク領域と、
前記基板の表面にある前記マーク領域に位置し、少なくとも1つの第1突起構造と少なくとも1つの第2突起構造を含み、前記第1突起構造の上面が前記第1突起構造の底面方向へ延びる凹面であり、前記第2突起構造がピラミッド状構造である第1テクスチャ構造と、を含む、
ことを特徴とする光起電力セル。
【請求項2】
前記マーク領域は、光起電力セルの製品情報をマーキングするために使われ、前記マーク領域内では、識別コードパターンを構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項3】
前記第1突起構造はトップに前記凹面を有するピラミッド状構造である、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項4】
前記基板が前記第1テクスチャ構造に向かう方向において、前記第1突起構造の上面が前記第1突起構造に隣接する前記第2突起構造の上面より低い、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項5】
前記第1突起構造の上面は半球状凹面又は円錐状凹面である、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項6】
前記基板が前記第1テクスチャ構造に向かう方向において、前記第1突起構造の上面から前記第1突起構造の底面までの最小距離と最大距離の比は85%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項7】
前記基板が前記第1テクスチャ構造に向かう方向において、前記第1突起構造の上面から前記第1突起構造の底面までの最小距離の範囲は3μm~5μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項8】
前記第1テクスチャ構造は複数の前記第2突起構造を含み、且つ複数の前記第2突起構造が前記第1突起構造の周りに設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項9】
前記第1テクスチャ構造は離隔して設けられた複数の前記第1突起構造を含み、且つ隣接する前記第1突起構造間に少なくとも1つの前記第2突起構造を持つ、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項10】
少なくとも1つの前記第2突起構造は第1ピラミッド構造であり、前記基板が前記第1テクスチャ構造に向かう方向において、前記第1ピラミッド構造のトップと前記基板の表面との距離は5μm~6μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力セル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の光起電力セルを備えるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れる表面を覆うためのカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願実施例は、光起電力の技術分野に関し、特に光起電力セル及びその形成方法、光起電力モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光起電力セルは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する半導体デバイスであり、クリーンかつ安全で、再生可能なエネルギーを取得するために使用できる。光起電力セルが環境汚染を低減する上で重要であるため、光起電力セルの製造についても広く注目を集めている。
【0003】
現在の光起電力セルの生産・製造の過程において、光起電力セルの加工情報等を追跡するために、通常、基板の表面に識別コード領域を構成するためのマーク領域を形成する必要があり、マーク領域によって構成された識別コード領域を識別することにより、光起電力セルの加工過程における工程情報及びモニタリングパラメータ情報を取得することができる。しかし、現在、基板の表面に形成されるマーク領域は、入射光に対する基板の表面の反射率に影響を及ぼしかつ基板の表面を損傷してしまい、光起電力セルの光電変換効率を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願実施例には、少なくとも光起電力セルの光電変換効率を向上させることに有利である光起電力セル及びその形成方法、光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願実施例は、光起電力セルを提供し、基板と、前記基板の表面に位置し、光起電力セルの製品情報をマーキングするために使われるマーク領域と、前記基板の表面にある前記マーク領域に位置し、少なくとも1つの第1突起構造と少なくとも1つの第2突起構造を含み、前記第1突起構造の上面が前記第1突起構造の底面方向へ延びる凹面であり、前記第2突起構造がピラミッド状構造である第1テクスチャ構造と、前記マーク領域以外の前記基板の表面に位置し、少なくとも1つの第3突起構造を含み、且つ前記第3突起構造がピラミッド状構造である第2テクスチャ構造と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記第1突起構造はトップに前記凹面を有するピラミッド状構造である。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記第1突起構造の側壁と前記第1突起構造の底面との夾角は30°~60°である。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記基板の前記第1テクスチャ構造を指す方向に沿って、前記第1突起構造の上面が前記第1突起構造に隣接する前記第2突起構造の上面より低い。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記第1突起構造の上面は半球状凹面又は円錐状凹面である。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記基板の前記第1テクスチャ構造を指す方向に沿って、同じ前記第1突起構造の上面から前記第1突起構造の底面までの最小距離と最大距離の比は85%以下である。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記基板の前記第1テクスチャ構造を指す方向に沿って、前記第1突起構造の上面から前記第1突起構造の底面までの最小距離の範囲は3μm~5μmである。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記第1テクスチャ構造は複数の前記第2突起構造を含み、且つ複数の前記第2突起構造が前記第1突起構造の周りに設けられる。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記第1テクスチャ構造は離隔して設けられた複数の前記第1突起構造を含み、且つ隣接する前記第1突起構造間に少なくとも1つの第2突起構造を持つ。
【0014】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの前記第2突起構造は第1ピラミッド構造であり、前記基板の前記第1テクスチャ構造を指す方向に沿って、前記第1ピラミッド構造のトップと前記基板の表面との距離は5μm~6μmである。
【0015】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの前記第2突起構造は第2ピラミッド構造であり、前記第2ピラミッド構造のトップは前記第1ピラミッド構造のトップより低く、且つ前記第2ピラミッド構造は少なくとも1つの前記第1ピラミッド構造に隣接する。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記第2ピラミッド構造は傾斜部を含み、前記傾斜部の側壁は前記基板の表面に対して傾斜し、前記基板の前記第1テクスチャ構造を指す方向に沿って、前記傾斜部の高さは1μm~2μmである。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記第1テクスチャ構造と前記第2テクスチャ構造の接続は少なくとも1つの前記第1突起構造と少なくとも1つの前記第3突起構造の接続であり、前記第3突起構造のピラミッド状構造の底面は前記第2突起構造のピラミッド状構造の底面より低い。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記基板の表面には、複数のグリッド電極を設けられ、前記マーク領域は少なくとも1つの前記グリッド電極と重なり、且つ、前記マーク領域と重なる少なくとも1つの前記グリッド電極の数は1~5本である。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記基板の表面には、複数のグリッド電極を設けられ、前記マーク領域は前記複数のグリッド電極間に位置し、且つ複数のマーク領域は前記複数のグリッド電極と重ならない。
【0020】
これに応じて、本願実施例は光起電力セルの形成方法をさらに提供し、基板を提供することと、前記基板の表面にマーク領域を形成することと、前記基板の表面の前記マーク領域に第1テクスチャ構造を形成し、前記第1テクスチャ構造は少なくとも1つの第1突起構造と少なくとも1つの第2突起構造を含み、前記第1突起構造の上面が前記第1突起構造の底面方向へ延びる凹面であり、前記第2突起構造がピラミッド状構造であることと、前記マーク領域以外の前記基板の表面に第2テクスチャ構造を形成し、前記第2テクスチャ構造は少なくとも1つの第3突起構造を含み、且つ前記第3突起構造はピラミッド状構造であることと、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記マーク領域を形成する方法は、レーザーを用いて前記基板の表面に前記マーク領域を形成することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記レーザーの波長は1060nmであり、パルス持続時間は10~100nsであり、パルス繰り返し周波数は500~2000kHzであり、レーザーパワー比率は70~75%である。
【0023】
これに応じて、本願実施例は光起電力モジュールをさらに提供し、上記のいずれか1項に記載の光起電力セルを備えるセルストリングと、前記セルストリングの表面を覆う封止層と、前記封止層の前記セルストリングから離れる表面を覆うためのカバープレートと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本願実施例に係る技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0025】
本願実施例に係る技術案では、光起電力セルの基板の表面には、光起電力セルの製品情報をマーキングするためのマーク領域を有し、マーク領域の第1テクスチャ構造は、第1突起構造と第2突起構造を含み、そのうち、第1突起構造は凹んだ上面を有する第1突起構造であり、第2突起構造がピラミッド状構造であり、マーク領域以外の基板の表面には、第2テクスチャ構造を有し、第2テクスチャ構造は、ピラミッド状構造を有する少なくとも1つの第3突起構造を含む。第1突起構造の凹んだ上面により複数回の光反射の実現に有利であるため、第1テクスチャ構造がいずれもピラミッド状構造であることに比べて、凹んだ上面を有する第1突起構造を含む第1テクスチャ構造により、反射率を低減することに有利であり、第1テクスチャ構造により優れた光閉じ込め効果を持たせる。それに対応して、第2テクスチャ構造及び第1テクスチャ構造を含む基板の表面は良好な光閉じ込め効果を有し、入射光に対する基板の表面の反射率を低下させ、光キャリア密度を増加させ、光起電力セルの光電変換効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
一つ又は複数の実施例は、それらに対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、図面において、同じ符号を付した要素は、類似する要素として表され、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺上の制限を構成しない。
【
図1】
図1は、本願の一実施例に係る光起電力セルの基板の上面図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施例に係る光起電力セルの第1テクスチャ構造の断面構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例に係る光起電力セルの第2テクスチャ構造の断面構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本願の別の実施例に係る光起電力セルにおける第1突起構造の断面構造を示す図である。
【
図5】
図5は、本願の別の実施例に係る光起電力セルにおける第1テクスチャ構造の断面構造を示す図である。
【
図6】
図6は、本願実施例に係る光起電力セルと従来の光起電力セルとの反射率の比較図である。
【
図7】
図7は、本願の別の実施例に係る光起電力セルの断面構造を示す図である。
【
図8】
図8は、本願の別の実施例に係る光起電力セルの断面構造を示す図である。
【
図9】
図9は、本願の一実施例に係る光起電力セルの基板の断面構造を示す図である。
【
図10】
図10は、本願の一実施例に係る光起電力セルのマーク領域を有する基板の断面構造を示す図である。
【
図11】
図11は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
背景技術からわかるように、基板表面にマーク領域を形成すると、基板表面の入射光に対する反射率に影響し、光起電力セルの光電変換効率を低減する。
【0028】
上記課題を解決するために、本願の実施例では、基材の表面にあるマーク領域と、マーク領域以外のノンマーク領域とを備え、マーク領域にあるパイル面が第1テクスチャ構造であり、ノンマーク領域にあるパイル面が第2テクスチャ構造であり、第1テクスチャ構造における第1突起構造の上面が凹面であり、第1テクスチャ構造の光閉じ込め効果の向上と光の反射率の低減に役立ち、基板内における光キャリア密度の増加と光起電力セルの光電変換効率の向上に貢献する光起電力セルを提供する。
【0029】
図1は、本願の一実施例に係る光起電力セルの基板の上面図であり、
図2は、本願の一実施例に係る光起電力セルの第1テクスチャ構造の断面構造を示す図であり、
図3は、本願の一実施例に係る光起電力セルの第2テクスチャ構造の断面構造を示す図であり、
図4は、本願の別の実施例に係る光起電力セルにおける第1突起構造の断面構造を示す図であり、
図5は、本願の別の実施例に係る光起電力セルにおける第1テクスチャ構造の断面構造を示す図であり、
図6は、本願実施例に係る光起電力セルと従来の光起電力セルとの反射率の比較図であり、
図7は、本願の別の実施例に係る光起電力セルの断面構造を示す図であり、
図8は、本願の別の実施例に係る光起電力セルの断面構造を示す図である。
【0030】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、以下の各実施例に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0031】
図1~
図8に示すように、本願の実施例では、光起電力セルは、基板10と、基板10の表面に位置し、光起電力セルの製品情報をマーキングするために使われるマーク領域11と、基板10の表面にあるマーク領域11に位置し、少なくとも1つの第1突起構造101と少なくとも1つの第2突起構造102を含み、第1突起構造101の上面が第1突起構造101の底面方向へ延びる凹面であり、第2突起構造102がピラミッド状構造である第1テクスチャ構造100と、マーク領域11以外の基板10の表面に位置し、少なくとも1つの第3突起構造104を含み、且つ第3突起構造104がピラミッド状構造である第2テクスチャ構造103と、を含む。
【0032】
いくつかの実施例では、基板10の表面は光起電力セルの受光面、即ち入射光に接する面であり、マーク領域11は受光面に位置し、且つ第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103は基板10の同じ面に位置する。また、基板10は対向する2つの表面を有し、いくつかの実施例では、光起電力セルが片面電池である場合、基板10の片方の表面は受光面であり、他方の表面はバックライト面であり、対応する第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103は基板10の受光面に位置する。他の実施例では、光起電力セルが両面電池であり、基板10の対向する2つの表面はいずれも受光面とすることができ、それに応じて、マーク領域11は基板10の対向する2つの表面のうち少なくとも片方の表面に位置してもよく、即ち第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103は基板10の片方の表面に位置してもよい。あるいは、マーク領域11は基板10の対向する2つの表面に位置し、即ち第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103はいずれも基板10の対向する2つの表面に位置してもよい。いくつかの実施例では、基板10はシリコン基板10であってもよく、シリコン基板10の材料は単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンを含むことができ、他のいくつかの実施例では、基板10の材料は炭素単体、有機材料及び多価化合物であってもよく、多価化合物にはガリウム砒素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウムなどが含まれる。
【0033】
マーク領域11内では、識別コードパターンを構成し、それから識別コードパターンを光走査し、光起電力セルの加工情報と監視パラメータ情報などを識別することができ、光起電力セルの加工過程を追跡するのに有利である。また、その後基板10上にパッシベーション膜が形成されても、透明なパッシベーション膜層で覆われたマーク領域11はマークコードパターンの読み取りに支障をきたさない。識別コードパターンは、1次元パターンコードであってもよいし、2次元パターンコードまたは3次元パターンコードであってもよい。いくつかの実施例では、前記識別コードは、文字、データ行列、バーコードなどの形態であってもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、マーク領域11は基板10の表面に設けられたグリッド電極間に位置し、且つマーク領域11はグリッド電極と重なったり交差したりしない。他のいくつかの実施例では、マーク領域11は基板10の表面のグリッド電極と部分的に重なってもよい。その中で、マーク領域11と重なるグリッド電極の数は1~5本で、好ましくは2~3本である。このようにマーク領域11及びグリッド電極を設けることによって、グリッド電極が効率的に電流を収集し、基板10の表面の損傷を最小化することができる。
【0035】
図1~
図3に示すように、マーク領域11以外の基板10受光面はノンマーク領域12と定義される。第1テクスチャ構造100はマーク領域11のパイル面を構成し、第2テクスチャ構造103はノンマーク領域12のパイル面を構成し、マーク領域11に位置する第1テクスチャ構造100は基板10の表面に光起電力セルの情報を追跡するための識別コードパターンを確保するだけでなく、光起電力セルが受光する入射光の反射率を低減するのにも有利である。これは第1テクスチャ構造100が全部ピラミッド構造であるのに対して、第1テクスチャ構造100における第1突起構造101の上面は複数回の凹面を有しており、この凹面によって、第1テクスチャ構造100は光の反射を何回も行うことができ、第1テクスチャ構造100の光閉じ込め効果を高め、光の反射率を低減するためである。具体的には、光が第1突起構造101の凹面の第1領域に入射した後、一部は第1突起構造101を介して基板10内に伝送され、残りの部分は凹面で反射されて反射光となり、その反射光は光の伝播経路で凹面の第2領域に到着し、一部の反射光は第1突起構造101を介して基板10内に伝送され、残りの反射光が再度反射されて反射光となり、その反射光が光の伝播経路で再び凹面に到着する。このように繰り返して、光の複数回伝送を実現し、光の吸収率を高め、光閉じ込め効果を向上させ、光の反射率を低減する。第2領域と第1領域は同じ凹面の異なる領域であってもよいし、異なる第1突起構造101の凹面の異なる領域であってもよい。第2テクスチャ構造103は滑らかな基板10の表面に対しても、良好な光閉じ込め効果を有すると考えられる。
【0036】
上記の分析から、第2テクスチャ構造103と第1テクスチャ構造100からなり、基板10の受光面に位置するパイル面は、光起電力セルの製品情報をマークする需要を満たすと同時に、基板10の表面全体により優れた光閉じ込め効果を持たせ、光起電力セルの入射光線に対する吸収利用率を高めるのに有利であることがわかる。
【0037】
第1テクスチャ構造100は少なくとも1つの第1突起構造101と少なくとも1つの第2突起構造102が互いに接続されて構成され、第1突起構造101と第2突起構造102は基板10に垂直で、第1テクスチャ構造100を指す方向に沿って連続して配列される。また、第1突起構造101と第2突起構造102の配列は、連続する複数の第1突起構造101と連続する複数の第2突起構造102が接続されてもよいし、第1突起構造101と第2突起構造102は不規則に配列されて、互いに接続されてもよい。
【0038】
いくつかの実施例では、
図2および
図5に示すように、第1突起構造101は少なくとも1つの第2突起構造102に隣接し、基板10の第1テクスチャ構造100を指す方向に沿って、第1突起構造101の上面が第1突起構造101に隣接する第2突起構造102の上面より低い。このようにする利点は、第1突起構造101に隣接する第2突起構造102は第1突起構造101より高いため、入射光が凹面を介して反射されてから形成した反射光は第2突起構造102の側壁に到着しやすく、第2突起構造102の側壁で反射されて反射光となり、この反射光が再び凹面に入射して第1突起構造101を介して基板10内に伝送され、且つ前述の分析から分かるように、一部の反射光は反射されてから、再び凹面に伝送され、さらに光の吸収率を高め、光閉じ込め効果を向上させることと、外部からの入射光は第2突起構造102の側壁に到着してから反射光を形成し、第1突起構造101は第2突起構造102に比べて低いため、この反射光が凹面に伝送されやすくなり、基板10内に伝送され、光の吸収率がさらに高めることである。
【0039】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、第1テクスチャ構造100は複数の第2突起構造102を含んでもよく、且つ複数の第2突起構造102が第1突起構造101の周りに設けられてもよい。この中で、複数の第2突起構造102は1つの第1突起構造101の周りに設けてもよいし、複数の第2突起構造102は複数の第1突起構造101の周りに設けてもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、第1テクスチャ構造100は離隔して設けられた複数の第1突起構造101を含んでもよく、且つ隣接する第1突起構造101間に少なくとも1つの第2突起構造102を持つ。例えば、隣接する第1突起構造101の間に複数の第2突起構造102を持ってもよい。
【0041】
いくつかの実施例では、
図2と
図4に示すように、第1突起構造101はトップに凹面を有するピラミッド状構造である。
【0042】
これに応じて、第1突起構造101は基板10の表面に対して傾斜した側面を有し、受光した入射光を再び基板10に反射させ、基板10の入射光に対する吸収を増加させることができる。他のいくつかの実施例では、第1突起構造101は上面が凹面である円錐状構造であってもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、
図2と
図4に示すように、第1突起構造101の上面は半球状凹面であってもよく、これに応じて、基板10の表面に垂直な断面において、第1突起構造101の上面の断面形状は円弧形である。他のいくつかの実施例では、第1突起構造101の上面は円錐状凹面であってもよく、これに応じて、基板10の表面に垂直な断面において、第1突起構造101の上面の断面形状は三角形である。第1突起構造101の上面は他の形状の凹面であってもよく、入射光が凹面で何回も反射できればよいと考えられる。
【0044】
図2と
図4に示すように、第1突起構造101の側壁と第1突起構造101の底面との夾角はA1であり、A1の角度は30°~60°であってもよい。好ましくは、第1突起構造101の側壁と第1突起構造101の底面との夾角A1は50°~60°の範囲内にあり、例えばA1は54.74°、55°、58°などである。
【0045】
いくつかの実施例では、
図2と
図4に示すように、基板10の第1テクスチャ構造100を指す方向に沿って、同じ第1突起構造101の上面から第1突起構造101の底面までの最小距離H2と最大距離H1の比は85%以下である。例えばH2とH1の比は55%、60%、70%、80%などであってもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、
図2と
図4に示すように、基板10の第1テクスチャ構造100を指す方向に沿って、第1突起構造101の上面から第1突起構造101の底面までの最小距離H2の範囲は2μm~6μmであってもよく、好ましくは、H2の範囲は3μm~5μmであってもよい。例えば、H2は4.5μmで、H2とH1の比は80%で、H1は5.6μmであることを計算によって得ることができる。
【0047】
第2突起構造102は先端を有するピラミッド構造であってもよい。いくつかの実施例では、第1テクスチャ構造100は複数の接続された第2突起構造102を含むことができ、隣接する第2突起構造102の境界点は基板10の表面から離れる。即ち、複数の第2突起構造102は接続されて一体化された基底部と、基底部に位置する複数の傾斜部とに分けられ、且つ傾斜部の側壁は基板10の表面に対して傾斜する。他のいくつかの実施例では、少なくとも1つの第2突起構造102の側壁は基板10の表面に隣接することができる。
【0048】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、少なくとも1つの第2突起構造102は第1ピラミッド構造であり、基板10の第1テクスチャ構造100を指す方向に沿って、第1ピラミッド構造のトップと基板10の表面との距離H3の範囲は4μm~8μmであってもよく、好ましくは、H3は5μm~6μmであってもよい。例えば、H3は5μm、5.5μm、6μmなどであってもよい。
【0049】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの第2突起構造102は第2ピラミッド構造であり、第2ピラミッド構造のトップは第1ピラミッド構造のトップより低く、且つ第2ピラミッド構造は少なくとも1つの第1ピラミッド構造に隣接する。第1ピラミッド構造と第2ピラミッド構造が設けられた第2突起構造102は、高さの揃ったピラミッド構造が設けられた第2突起構造102に比べて、第2突起構造102の入射光受光面積を増やし、入射光の吸収率をさらに高めることができる。
【0050】
図2に示すように、いくつかの実施例では、第2ピラミッド構造は傾斜部を含み、傾斜部の側壁は基板10の表面に対して傾斜し、基板10の第1テクスチャ構造100を指す方向に沿って、傾斜部の高さH4は0.8μm~3μmであってもよく、好ましくは、H4は1μm~2μmであってもよく、例えば、傾斜部の高さH4は1μm、1.5μm、2μmなどであってもよい。
【0051】
図3に示すように、第2テクスチャ構造103は複数の第3突起構造104が基板10に垂直で、第2テクスチャ構造103を指す方向に沿って連続配列されて構成される。また、第3突起構造104はピラミッド状構造であるため、第3突起構造104も傾斜した側面を持ち、基板10の入射光に対する反射率を下げることができる。いくつかの実施例では、基板10の第2テクスチャ構造103を指す方向に沿って、第3突起構造104から基板10の表面までの最大距離は2μm程度であり、ピラミッド状構造の先端の最大角度は54.74°程度であってもよい。他のいくつかの実施例では、第3突起構造104は他のサイズのピラミッド構造または他の形状のテーパ構造であってもよい。
【0052】
また、第2テクスチャ構造103を形成していないノンマーク領域12の基板10の表面は滑らかな表面であってもよく、第1テクスチャ構造100を形成していないマーク領域11の基板10の表面はくぼみのある表面であってもよいため、第3突起構造104と第2突起構造102とは異なる。その区別は、第3突起構造104のピラミッド状構造の底面が第2突起構造102のピラミッド状構造の底面より低いことにある。
【0053】
第2テクスチャ構造103と第1テクスチャ構造100が接続されて、基板10の受光面を構成する。いくつかの実施例では、第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103の接続は第2突起構造102と第3突起構造104の接続であってもよい。この接続方式によって、基板10の表面に連続するパイル面を持たせ、基板10の入射光に対する吸収を増やすことができる一方、第3突起構造104のピラミッド状構造の底面は第2突起構造102のピラミッド状構造の底面より低いため、第3突起構造104と第2突起構造102の接続位置も面積の大きい接触側面を形成することができ、基板10の入射光に対する吸収効果を高めるのに有利である。他のいくつかの実施例では、
図7に示すように、第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103の接続は第1突起構造101と第3突起構造104の接続であってもよく、これによって、基板10の表面に連続したパイル面を持たせ、光起電力セルの光電変換効率を高めることができることが考えられる。
【0054】
いくつかの実施例では、
図8に示すように、光起電力セルは、エミッタ13、反射防止層14、パッシベーション層15、第1電極16及び第2電極17をさらに含むことができる。基板10のパイル面を持つ表面は受光面であり、受光面に対向する基板10の表面はバックライト面であってもよいことが考えられる。エミッタ13は基板10の受光面に位置してもよく、エミッタ13のドーピング元素はP型ドーピング元素(例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなど)またはN型ドーピング元素(例えば、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスなど)であってもよい。また、基板10とエミッタ13との間にPN接合が形成される。例えば、エミッタ13はN型ドーピング元素を含む場合、基板10はP型ドーピング元素を含み、エミッタ13はP型ドーピング元素を含む場合、基板10はN型ドーピング元素を含む。反射防止層14はエミッタ13の基板10から離れた表面に位置し、入射光の反射を低減する役割を果たし、即ち、基板10の入射光に対する反射率を減少させる。パッシベーション層15は基板10のバックライト面に位置し、不動態化保護の役割を果たすことができる。第1電極16は基板10の受光面に位置し、反射防止層14を貫通してエミッタ13と電気的に接続される。第2電極17は基板10のバックライト面に位置し、パッシベーション層15を貫通して基板10と電気的に接続される。
【0055】
図6に示すように、従来の光起電力セルでは、第1突起構造101と第2突起構造102の形態はいずれも先端を有する通常ピラミッド構造である。
図6での横軸は入射光の波長を示し、縦軸は光起電力セルのパイル面の反射率を示す。
図6から分かるように、本願の実施例で提供される光起電力セルの反射率は従来の光起電力セルの反射率より低い。したがって、本願の実施例の提案は、入射光の吸収を増やし、マーク領域11の損傷による電池効率低下の問題を改善することができる。
【0056】
上記の実施例で提供された光起電力セルでは、入射光を受ける基板10の表面にマーク領域11があり、マーク領域11は識別コードパターンを構成するのに使われ、識別コードパターンを走査することで、光起電力セルの加工情報を迅速に取得することができ、光起電力セルの製造過程における情報統合と情報追跡の改善に有利である。基板10の表面にあるパイル面は、マーク領域11の第1テクスチャ構造100とノンマーク領域12の第2テクスチャ構造103を含み、第1テクスチャ構造100は第1突起構造101と第2突起構造102とが互いに接続されて構成され、第2テクスチャ構造103は第3突起構造104が互いに接続されて構成される。第1突起構造101、第2突起構造102、第3突起構造104は反射率を下げる作用を持つため、第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103も反射率を下げる効果を持つ。したがって、第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103からなる基板10の表面は優れた光閉じ込め効果を持ち、光起電力セルの光電変換効率の向上に有利である。
【0057】
これに応じて、本願の実施例では、上記実施例で提供する光起電力セルを形成するための光起電力セルの形成方法を提供する。なお、上記実施例と同じ部分または相応する部分については、上記実施例の詳細な説明を参照することができ、以下では繰り返して説明する必要はない。
【0058】
図9は、本願の一実施例に係る光起電力セルの基板の断面構造を示す図であり、
図10は、本願の一実施例に係る光起電力セルのマーク領域を有する基板の断面構造を示す図である。
【0059】
図7~
図10に示すように、光起電力セルの形成方法は、基板10を提供することと、基板10の表面にマーク領域11を形成することと、基板10の表面のマーク領域11に第1テクスチャ構造100を形成し、第1テクスチャ構造100は少なくとも1つの第1突起構造101と少なくとも1つの第2突起構造102を含み、第1突起構造101の上面が第1突起構造101の底面方向へ延びる凹面であり、第2突起構造102がピラミッド状構造であることと、マーク領域11以外の基板10の表面に第2テクスチャ構造103を形成し、第2テクスチャ構造103は少なくとも1つの第3突起構造104を含み、且つ第3突起構造104はピラミッド状構造であることと、を含む。
【0060】
図9に示すように、基板10は対向する2つの表面を持ち、それぞれ基板10の上面と底面であり、基板10の上面は受光面であると定義され、
図10に示すように、基板10の上面にマーク領域11が形成される。いくつかの実施例では、基板10の底面は受光面であり、マーク領域11を形成する基板10の表面は底面であってもよいことが考えられる。
【0061】
図10に示すように、マーク領域11はくぼみであるか、くぼみがつながる線であり、光起電力セル情報を識別するための識別コードパターンを構成することができ、各独立した光起電力セル基板10は独立的でユニークな識別パターンを有し、識別コードパターンを撮影して、識別コードパターンの情報を識別・解析することによって、光起電力セルの加工情報と監視パラメータ情報の追跡に有利である。
【0062】
いくつかの実施例では、マーク領域11を形成する方法は、レーザーを用いて基板10の表面にマーク領域11を形成することを含む。
【0063】
レーザーで形成されたマーク領域11を使用する場合、基板10の表面に形成されたくぼみの形状と深さを制御しやすくなり、後に形成するパイル面の具体的な構造を制御し、パイル面により優れた光閉じ込め効果を持つ第1突起構造101及び第2突起構造102を形成させる。他のいくつかの実施例では、マーク領域11を形成する方法は、プラズマエッチング法、高エネルギー粒子衝撃、化学エッチングであってもよいことが考えられる。
【0064】
いくつかの実施例では、マーク領域11を形成するレーザーの波長は1060nmであり、パルス持続時間は10~100nsであり、パルス繰り返し周波数は500~2000kHzであり、レーザーパワー比率は70~75%である。
【0065】
レーザー処理後に形成されるくぼみの大きさは、後続のパイル製造過程における第2突起構造102(
図7参照)の大きさと、第1突起構造101(
図7参照)のトップ凹面の角度の大きさを決定する。以上のパラメータを持つレーザーで形成されたマーク領域11によって、パイルを製造した後に第1突起構造101と第2突起構造102を持つ第1テクスチャ構造100を形成し(
図7参照)、レーザーで処理せず形成されたパイル面に比べて、入射光反射率を0.3%低減し、より高効率の光起電力セルを形成することができる。
【0066】
図7に示すように、基板10の表面にマーキングした後、パイル製造を通じてパイル面を形成する。パイル製造の目的は、光起電力セルの基板10はスライス、研磨、面取り、研磨などを含む複数の工程を経て加工され、その表面にはすでに粒子、金属粒子、シリコン粉塵または有機物などの不純物が多く吸着され、次の拡散または他の加工を行う前にパイル製造を行い、各種汚染物を取り除き、基板10の表面の機械的損傷層を除去し、より多くの光子を捕獲する能力を持つパイル面を得ることである。
【0067】
いくつかの実施例では、パイルの製造方法はアルカリ溶液腐食パイル製造であってもよく、アルカリ溶液はNaOH、KOH、TMAHなどの物質を含む溶液を含む。基板10の表面のマーク領域11に程度の異なるくぼみが形成されているため、アルカリ溶液は結晶面に対して異方性腐食を行う場合、くぼみを持つ結晶面を腐食し、ピラミッド状構造を形成し、腐食が進むにつれてピラミッド状構造の表面に小さなテクスチャを形成し、第2突起構造102を形成する。非腐食性の結晶面では、なおくぼみが残り、くぼんだ上面を有する突起構造、すなわち第1突起構造101を形成する。マーク領域11以外の基板10の表面には第3突起構造104を形成する。他のいくつかの実施例では、パイル製造方法は、少なくとも電気化学パイル製造、反応性イオンエッチングパイル製造、レーザーパイル製造、マスクパイル製造のうちの一つであってもよい。
【0068】
図7に示すように、パイルを製造した後、マーク領域11に形成されたパイル面は第1テクスチャ構造100であり、マーク領域11以外の基板10の表面に形成されたパイル面は第2テクスチャ構造103であり、第1テクスチャ構造100は第1突起構造101と第2突起構造102を含み、第2テクスチャ構造103は第3突起構造104を含む。くぼんだ上面を持つ第1突起構造101と、傾斜した側面を持つ第2突起構造102及び第3突起構造104によって、基板10の表面の第1テクスチャ構造100、第2テクスチャ構造103は優れた光閉じ込め効果を持ち、より多くの光子を捕獲することができ、光起電力セルの光電変換効率を向上させた。第1テクスチャ構造100、第2テクスチャ構造103、第1突起構造101、第2突起構造102及び第3突起構造104の具体的な形状について、上記の実施例を参照することができるため、ここでは繰り返して説明する必要はない。
【0069】
図8に示すように、いくつかの実施例では、光起電力セルの加工方法は、基板10上に光起電力セルを形成するエミッタ13、反射防止層14、パッシベーション層15、第1電極16および第2電極17をさらに含むことができる。
【0070】
上記実施例で提供された光起電力セルの形成方法は、レーザー光によって基板10の表面にマーク領域11を形成し、個々の独立した光起電力セルの加工情報を追跡することができる。レーザーでマーク領域11を形成する場合、くぼみのある基板10の表面を形成し、これらのくぼみのある基板10の表面は後続のパイル製造で第1テクスチャ構造100を形成することができる。また、レーザー処理されていない基板10の表面はパイル製造を行った後、第2テクスチャ構造103を形成する。第1テクスチャ構造100には互いに接続された第1突起構造101および第2突起構造102が設けられ、第2テクスチャ構造103には互いに接続された第3突起構造104が設けられる。第1突起構造101、第2突起構造102と第3突起構造104は優れた光閉じ込め効果を持つため、第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103はいずれも反射率を下げる効果を持つ。したがって、第1テクスチャ構造100と第2テクスチャ構造103からなる基板10の表面は、入射光の反射率を低減し、光起電力セルの光電変換効率を高めることができる。
【0071】
これに応じて、本願の実施例では、さらに上記実施例で提供され、マーク領域11を持つ光起電力セルを含む光起電力モジュールを提供する。
図11は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【0072】
図11に示すように、太陽光発電モジュールは、光起電力セルを備え、且つ光起電力セルが全体または複数の分割の形で電気的に接続されて複数のセルストリングを形成するセルストリング120と、セルストリングの表面を覆う封止層と、封止層のセルストリングから離れる表面を覆うためのカバープレートとを含む。
【0073】
上記実施例で提供された太陽光発電モジュールは、光起電力セルのパイル面が優れた光閉じ込め効果を有するため、光起電力セルの光電特性がより良くなり、太陽光発電モジュールの光電変換効率もより高くなる。
【0074】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。