(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165934
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】決済システム、および特典付与方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0234 20230101AFI20231110BHJP
【FI】
G06Q30/0234
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167508
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2023011256の分割
【原出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシーヌ アミット
(72)【発明者】
【氏名】チン リンサイ
(57)【要約】
【課題】特定の商品の販売促進と共に、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進を図ること。
【解決手段】決済アプリは、端末装置に、商品に付された第1コード画像にエンコードされた情報を、光学読取機能を用いて読取らせ、情報が読み取られたことを示す通知情報を決済管理装置に送信させ、決済管理装置は、記端末装置が読み取った、実店舗において提示された第2コード画像にエンコードされた情報を端末装置から取得し、取得した情報を用いて電子決済を行う決済処理部と、通知情報に応じて、通知情報を送信した端末装置の利用者に特典を付与する特典付与部と、を有する、決済システム。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末装置において動作する決済アプリと、前記決済アプリと協働して前記利用者に実店舗における電子決済サービスを提供する決済管理装置と、を備える決済システムであって、
前記決済アプリは、前記端末装置に、
商品に付された第1コード画像にエンコードされた情報を、光学読取機能を用いて読取らせ、
前記情報が読み取られたことを示す通知情報を前記決済管理装置に送信させ、
前記決済管理装置は、
前記端末装置が読み取った、前記実店舗において提示された第2コード画像にエンコードされた情報を前記端末装置から取得し、取得した情報を用いて電子決済を行う決済処理部と、
前記通知情報に応じて、前記通知情報を送信した前記端末装置の利用者に特典を付与する特典付与部と、を有する、
決済システム。
【請求項2】
利用者の端末装置において動作する決済アプリと、前記決済アプリと協働して前記利用者に実店舗における電子決済サービスを提供する決済管理装置と、を備える決済システムであって、
前記決済アプリは、前記端末装置に、
商品に付された第1コード画像にエンコードされた情報を、光学読取機能を用いて読取らせ、
前記情報が読み取られたことを示す通知情報を前記決済管理装置に送信させ、
前記決済管理装置は、
前記実店舗に置かれた店舗端末装置が読み取った、前記端末装置が提示する第3コード画像にエンコードされた情報を前記店舗端末装置から取得し、取得した情報を用いて電子決済を行う決済処理部と、
前記通知情報に応じて、前記通知情報を送信した前記端末装置の利用者に特典を付与する特典付与部と、を有する、
決済システム。
【請求項3】
前記特典付与部は、前記通知情報を送信した前記端末装置の利用者の前記電子決済サービスにおける決済履歴情報を参照し、前記決済履歴情報に基づいて前記利用者に特典を付与する、
請求項1または2記載の決済システム。
【請求項4】
前記第1コード画像には、前記決済アプリとは異なる汎用ソフトウェアによって読み取られた場合に、当該端末装置を前記決済管理装置にアクセスさせるための情報がエンコードされており、
前記決済管理装置は、前記第1コード画像に基づく利用者の端末装置からのアクセスがあった場合、前記利用者に前記電子決済サービスへの入会を案内する入会案内部を更に有する、
請求項1から3のうちいずれか1項記載の決済システム。
【請求項5】
前記特典付与部は、前記入会案内部の案内に応じて前記電子決済サービスに入会した新規会員の利用者に、前記特典を付与する、
請求項4記載の決済システム。
【請求項6】
前記特典付与部は、前記新規会員の利用者および利用度合いが基準よりも低い利用者に対して、利用度合いが前記基準よりも高い利用者に比して高い特典を付与する、
請求項5記載の決済システム。
【請求項7】
前記決済アプリは、前記端末装置に、
前記第1コード画像にエンコードされた情報が読み取られた後、ゲーム性のある通知コンテンツを表示させ、
前記特典付与部により決定された特典を、前記通知コンテンツにおけるゲームの結果として表示させる、
請求項1から6のうちいずれか1項記載の決済システム。
【請求項8】
商品販売者が、購入された商品の包装を開封することで、或いは前記購入された商品に貼り付けられた貼付物を剥がすことで露出する第1コード画像が付与された商品を販売し、
利用者の端末装置において動作する決済アプリが、前記端末装置に、前記第1コード画像にエンコードされた情報を、光学読取機能を用いて読取らせ、前記情報が読み取られたことを示す通知情報を決済管理装置に送信させ、
前記決済管理装置が、
前記端末装置が読み取った、実店舗において提示された第2コード画像にエンコードされた情報を前記端末装置から取得し、取得した情報を用いて電子決済を行い、
前記読み取った情報を送信した前記端末装置の利用者に特典を付与する、
特典付与方法。
【請求項9】
商品販売者が、購入された商品の包装を開封することで、或いは前記購入された商品に貼り付けられた貼付物を剥がすことで露出する第1コード画像が付与された商品を販売し、
利用者の端末装置において動作する決済アプリが、前記端末装置に、前記第1コード画像にエンコードされた情報を、光学読取機能を用いて読取らせ、前記情報が読み取られたことを示す通知情報を決済管理装置に送信させ、
前記決済管理装置が、
実店舗に置かれた店舗端末装置が読み取った、前記端末装置が提示する第3コード画像にエンコードされた情報を前記店舗端末装置から取得し、取得した情報を用いて電子決済を行い、
前記読み取った情報を送信した前記端末装置の利用者に特典を付与する、
特典付与方法。
【請求項10】
前記決済管理装置は、前記通知情報を送信した前記端末装置の利用者の前記電子決済における決済履歴情報を参照し、前記決済履歴情報に基づいて前記利用者に特典を付与する、
請求項8または9記載の特典付与方法。
【請求項11】
前記第1コード画像には、前記決済アプリとは異なる汎用ソフトウェアによって読み取られた場合に、当該端末装置を前記決済管理装置にアクセスさせるための情報がエンコードされており、
前記決済管理装置は、前記第1コード画像に基づく利用者の端末装置からのアクセスがあった場合、前記利用者に前記電子決済のサービスへの入会を案内する、
請求項8から10のうちいずれか1項記載の特典付与方法。
【請求項12】
前記決済管理装置は、前記入会の案内に応じて前記電子決済のサービスに入会した新規会員の利用者に、前記特典を付与する、
請求項11記載の特典付与方法。
【請求項13】
前記決済管理装置は、前記新規会員の利用者および利用度合いが基準よりも低い利用者に対して、利用度合いが前記基準よりも高い利用者に比して高い特典を付与する、
請求項12記載の特典付与方法。
【請求項14】
前記決済アプリは、前記端末装置に、前記エンコードされた情報が読み取られた後、ゲーム性のある通知コンテンツを表示させ、前記決済管理装置により決定された特典を、前記通知コンテンツにおけるゲームの結果として表示させる、
請求項8から13のうちいずれか1項記載の特典付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済システム、および特典付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗内に複数設置され、記録媒体に記憶された電子マネーを使用して取引処理を行なう取引装置と、複数の取引装置を管理する管理装置とを含む電子マネーシステムにおいて、管理装置によって、複数の取引装置のうち、取引処理を行なったユーザに対して特典が付与される特典付与対象取引装置が決定され、管理装置または特典付与対象取引装置によって、ユーザが取引処理を行なう取引装置が、決定された特典付与対象取引装置であるか否かが判定され、特典付与対象取引装置であると判定されたことを条件として、当該ユーザに対して特典を付与するための特典付与処理が実行されるシステムの発明が開示されている(特許文献1)。このシステムでは、新規登録時、チャージ時、或いは特定の対象者に特典を付与するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、実店舗で販売される特定の商品のプロモーションを主眼に置いたものでは無い。このため、特定の商品の販売促進と共に、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進を図ることができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、特定の商品の販売促進と共に、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進を図ることができる決済システム、および特典付与方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者の端末装置において動作する決済アプリと、前記決済アプリと協働して前記利用者に実店舗における電子決済サービスを提供する決済管理装置と、を備える決済システムであって、前記決済アプリは、前記端末装置に、商品に付された第1コード画像にエンコードされた情報を、光学読取機能を用いて読取らせ、前記情報が読み取られたことを示す通知情報を前記決済管理装置に送信させ、前記決済管理装置は、前記端末装置が読み取った、前記実店舗において提示された第2コード画像にエンコードされた情報を前記端末装置から取得し、取得した情報を用いて電子決済を行う決済処理部と、前記通知情報に応じて、前記通知情報を送信した前記端末装置の利用者に特典を付与する特典付与部と、を有する、決済システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、特定の商品の販売促進と共に、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示した図である。
【
図4】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図6】既存会員である利用者に特典が付与される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】非会員であった利用者に特典が付与される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の決済システム、特典付与方法、および商品の包装物について説明する。決済システムは、例えば、決済管理装置と、決済アプリとを含む。決済管理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。決済管理装置は、決済アプリと協働して電子決済サービスを提供する装置である。以下の説明では、決済管理装置を「決済サーバ」と称して説明する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)である。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、および一以上の店舗端末装置50のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。利用者端末装置10は、「端末装置」の一例である。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイによって表示されてもよい。
【0013】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。決済サーバ100は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を増減させる(換言すると、電子マネーを入出金する)ことで、電子決済を行う。電子決済は、リボ払いやクレジット払い等の方法によって、購買時点のチャージ残高よりも多額の購買を可能にするものが含まれてよい。
【0014】
図2は、電子決済の大まかな流れを例示した図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。パターン1の場合、まず利用者端末装置10において決済アプリ20が起動し、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する。利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗端末装置50に翳す(提示する)。店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、アカウントIDを認識可能な情報(アカウントIDでもよいし、決済サーバにより発行されたワンタイムコードでもよい)を取得する。そして、店舗端末装置50は、アカウントIDを認識可能な情報、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ユーザの電子決済口座から店舗の電子決済口座に決済金額を移動させて決済処理を完了させる。
【0015】
パターン2の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする。店舗コード画像60には、店舗名等の情報が含まれている。利用者は、店舗名等が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する。そして、利用者端末装置10は、アカウントID、決済金額、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて決済処理を行う。なお、上記のいずれかのパターンでのみ電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明する「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。
【0016】
[決済サーバ]
図3は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、ログイン状態管理部120と、決済コンテンツ提供部122と、決済処理部124と、特典付与部126と、記憶部170とを備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0017】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174などの情報が格納される。
【0018】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0019】
ログイン状態管理部120は、各利用者のログイン状態を管理する。ログイン状態管理部120は、利用者が新規に決済アプリ20をインストールし、各種情報を登録した時点で(新規登録した時点で)、その利用者がログインしたものとする。その後、ログイン状態管理部120は、同一の利用者端末装置10からアクセスがあり、ログアウト操作がされていない限り、その利用者のログイン状態を維持する。新規登録において、利用者は少なくとも電話番号とパスワードを入力する。利用者が利用者端末装置10を用いてログアウト操作を行い、その後で再度ログイン操作をした場合、ログイン状態管理部120は、利用者に電話番号とパスワードの入力を要求する。このとき、ログイン状態管理部120は、OSの識別情報のハッシュ値などに基づいて利用者端末装置10が以前のものと同一であるか否かを判別し、同一の利用者端末装置10で無いと判定した場合、SMS認証を行う。
【0020】
決済コンテンツ提供部122は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部122は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。なお、決済コンテンツ情報174に基づくコンテンツには、ログイン状態で提供されるコンテンツと、非ログイン状態で提供されるコンテンツがある。非ログイン状態のコンテンツにおいて、決済サーバ100は、各種案内情報を提供したり、新規登録や電話番号の変更申し込みを受け付けたりする。決済コンテンツ提供部122は、「入会案内部」の一例である。
【0021】
決済処理部124は、利用者端末装置10または店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部124は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0022】
図4は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、アカウントID(省略されてもよい)に対して、新規登録時に最低限必要な電話番号およびパスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、銀行口座、クレジットカード番号、他サービス連携情報、電波認証設定、キャリア決済設定、チャット友達リスト、チャージ履歴情報、決済履歴情報、チャット履歴情報などの情報が対応付けられたものである。電話番号、パスワード、、登録日、チャージ残高、チャージ履歴情報、決済履歴情報以外の情報は任意設定情報である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。なお登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。
【0023】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。他サービス連携情報は、電子決済サービスと連携する(例えば同じ事業グループに属する運営者により運営されている)他のサービスのログインID等である。電波認証設定は、特定の通信キャリアとの通信によって認証を行う場合の設定情報である。キャリア決済設定は、電子決済サービスを利用した支払いの少なくとも一部を通信キャリアへの支払いに振り替えるための設定情報である。チャット友達リストは、電子決済サービスが提供するチャット機能においてチャットの相手先となる他の利用者のリストである。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額等)を、決済ごとに示す情報である。チャット履歴情報は、利用者が行ったチャットの内容の履歴である。
【0024】
[特典付き商品]
以下、本発明に係る特典付き商品の扱いについて説明する。特典付与部126は、加盟店ごとに行う「一律〇〇%還元」といった通常のクーポンを利用者に提供する他、特典付き商品について決済アプリ20、および汎用のコードリーダアプリと協働して以下のサービスを提供する。
【0025】
図5は、特典付き商品の一例を示す図である。図示する商品は、ポテト加工品であって、包装物PKによって包装されている、包装物PKは、外部から視認可能な場所に、商品の販売者とは別事業者である電子決済サービスからの特典付与が可能な旨の情報が表示された領域IMを有する。この特典付与が可能な旨の情報は、包装物PKに貼り付けされたシール等の貼付物によって表示されてもよい。包装物PKを開封すると、包装物PKの内部にコード画像CIが露出する。コード画像CIは、包装物PKの内部に印刷され、或いはシール等の貼付物で表示されるのに代えて、包装物PKの表面に印刷され、包装物PKの表面に貼り付けられたシール等の貼付物を剥がすことで露出するものであってもよいし、包装物PKの表面に貼り付けられたシール等の貼付物の裏面に表示されるものであってもよい。
【0026】
特典付き商品は、このような態様で構成される商品であるため、コード画像CIが読み取られるのは決済が終わった後である。この決済は、電子決済サービスを利用した決済であってもよいし、他のサービスによる決済、或いは現金による決済でも構わない。特典とは、固定額のキャッシュバックの他、決済額に対する所定割合のキャッシュバックなど、任意の方法で決定されるものであってよい。
【0027】
[会員向け対応]
図6は、既存会員である利用者に特典が付与される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、コード画像CIが決済アプリ20(および利用者端末装置10の光学読取機能)によって読み取られると(S1)、決済アプリ20は、情報が読み取られたことを示す通知情報を決済サーバ100に送信する(S2)。この通知情報には、例えば、利用者のアカウントIDを認識可能な情報が含まれる。通知情報を受信すると、決済サーバ100の特典付与部126は、利用者情報172における決済履歴情報を参照し、決済履歴情報に基づいて当該利用者に特典を付与し(S3)、付与した特典の内容を決済アプリ20に通知する(S4)。例えば、特典付与部126は、決定したキャッシュバックの金額に応じて当該利用者のチャージ残高を増加させる。決済アプリ20は、特典が付与されたことに応じた通知コンテンツを利用者端末装置10に表示させる(S5)。特典を付与する処理の詳細と、通知コンテンツについては後述する。
【0028】
[非会員向け対応]
図7は、非会員であった利用者に特典が付与される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。コード画像CIが利用者端末装置10A(※この時点では電子決済サービスの利用者の端末装置では無いため、非会員の利用者端末装置10Aと称する)の汎用ソフトウェア(コードリーダアプリ)によって読み取られると(S11)、デコードされた情報に基づいて、利用者端末装置10Aを決済サーバ100にアクセスさせ、非ログイン状態のコンテンツを取得させるためのURL(Uniform Resource Locator)が利用者端末装置10Aによって取得される(S12)。利用者端末装置10Aは、自動的に、或いは非会員の利用者の操作に応じてURLの示す所在場所に格納された非ログイン状態のコンテンツを決済コンテンツ提供部122にリクエストする(S13)。決済コンテンツ提供部122は、これに応じて非ログイン状態のコンテンツ、すなわち電子決済サービスへの入会を案内するコンテンツを利用者端末装置10Aに提供する(S14)。これに応じて非会員の利用者が電話番号とパスワードを入力して入会の操作を行うと(S15)、その旨が決済サーバ100に伝えられ、非会員であった利用者が新規会員の利用者となる。新規会員の利用者に対しても、既存の利用者と同様に、特典付与部126は当該利用者に特典を付与し(S16)、付与した特典の内容を決済アプリ20に通知する(S17)。例えば、特典付与部126は、決定したキャッシュバックの金額に応じて当該利用者のチャージ残高を増加させる。この場合、例えば、入会操作に応じてログイン状態となっている決済アプリ20が、自動的に特典に関する通知コンテンツを利用者端末装置10に表示させる(S18)。
【0029】
[特典付与]
特典付与部126は、例えば、新規会員の利用者および利用度合いが基準よりも低い利用者に対して、利用度合いが基準よりも高い利用者に比して高い特典を付与する。新規会員とは、前述したようにコード画像CIを読み取ることで電子決済サービスへの入会を促され、入会した利用者である。「利用度合いが基準よりも低い利用者」とは、例えば過去の所定期間(当日から過去に向けて、1週間、数週間、1ヶ月、数ヶ月といった期間)の決済履歴が存在しない利用者であり、「利用度合いが基準よりも高い利用者」とは、例えば過去の所定期間の決済履歴が存在する利用者である。これによって、新規会員やいわゆる休眠会員に高い特典を付与し、電子決済サービスの会員獲得および利用の促進を図ることができる。なお、「利用度合いが基準よりも低い利用者」とは、過去の所定期間の利用額が基準以下の利用者、「利用度合いが基準よりも高い利用者」はその逆に定義されてもよい。すなわち、利用度合いとは、利用頻度、利用額、その他の要素を任意に組み合わせて定義されるものであってもよい。
【0030】
[通知コンテンツ]
決済アプリ20は、通知コンテンツとして、ゲーム性のあるコンテンツを利用者端末装置10に表示させ、特典付与部126により決定された特典を、通知コンテンツにおけるゲームの結果として表示させてもよい。
図8は、通知コンテンツの一例を示す図である。図示する例は、スクラッチゲームを元にして作成されたコンテンツである。
図8の左図に示すように、通知コンテンツでは画面の一部をこする(或いはタップする)ように促す情報が表示され、利用者がこする(或いはタップする)動作を行うことに応じて、特典の内容が表示される。このようにすることで、利用者にとって親しみやすいコンテンツを提供し、更なる電子決済サービスの利用促進を図ることができる。なお、通知コンテンツの内容は、おみくじ、ダーツ、あみだくじ等、他の態様であってもよい。
【0031】
以上説明した実施形態によれば、特定の商品の販売促進と共に、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進を図ることができる。電子決済サービスにおける一般的な特典は、加盟店(ブランド)ごとに設定され、あるメーカーの特定の商品だけに特典を設定するということはなされていなかった。これに対し、実施形態によれば、商品の販売者が特典の対象とする商品を自由に設定することが可能であるため、特定の商品の販売促進を図ることができる。また、特典付与のキャンペーンが実施されていることを周知する上で、特典付き商品が利用者の目に触れる機会は、利用者端末装置10にプッシュ通知等を行う方法よりも多くなるため、電子決済サービスにとっての広告効果も高くなる。更に、商品の購入時点では非会員であった利用者にも特典を付与する仕組みとなっていることで、会員限定のキャンペーンよりも高い広告効果を発揮することができる。これらのことから、実施形態によれば、特定の商品の販売促進と、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進とを強力に実現することができる。
【0032】
更に、従来の一般的な特典(クーポン)では、加盟店ごとに一律付与が行われるため、特定の商品を購入した利用者の決済履歴を参照してクーポンの比率を変更するといったことはできなかった。また、クーポンを獲得するためには、決済アプリ20内でクーポン獲得のアクションが必要なため、利用頻度の高い利用者であってもクーポンを使用しているとは限らなかった。ましてや、一定期間あるいは全く電子決済サービスを使用していない利用者は尚更である。これに対して、実施形態によれば、決済アプリ20のみを利用した特典付与では働きかけ難い利用者層に対して、特定の商品の販売促進と共に、商品の販売者とは別事業者による電子決済サービスの利用促進を図ることができる。
【0033】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0034】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 店舗端末装置
60 店舗コード画像
100 決済サーバ
120 ログイン状態管理部
122 決済コンテンツ提供部
124 決済処理部
126 特典付与部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報