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  • 特開-皮膚外用剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165949
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20231110BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20231110BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/49
A61K8/73
A61K8/44
A61K8/891
A61Q17/04
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168369
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2021012595の分割
【原出願日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2020015777
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 有沙
(72)【発明者】
【氏名】高澤 伸雄
(57)【要約】
【課題】塗布時に液だれしにくく、油性感や圧迫感が少ない使用感であり、皮膚に適用した後に皮膚表面上における油溶性紫外線吸収剤の分布が均一となりやすく、優れた紫外線防御効果を有する皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、皮膚外用剤。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)油ゲル化剤 0.5質量%以上20質量%以下
(C)非水系揮発性成分 50質量%以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、皮膚外用剤。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)油ゲル化剤 0.5質量%以上20質量%以下
(C)非水系揮発性成分 50質量%以上
【請求項2】
成分(A)の含有量が、5質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
成分(B)が、糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤、アミノ酸誘導体系油ゲル化剤及びベンジリデンソルビトール系油ゲル化剤から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
成分(B)が、糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
成分(B)の含有量が、0.5質量%以上15質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
更に、(D)不揮発性液状油剤(但し、成分(A)を除く) 0.1質量%以上10質量%以下を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
成分(D)が、不揮発性エステル油である、請求項6に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
成分(C)として、(C-1)揮発性シリコーン油を少なくとも含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線防御効果を得るために、紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤が多く開発されてきた。このような皮膚外用剤として、例えば、紫外線吸収剤と、N-アシルアルキレンイミンを繰り返し単位とする親水性セグメントとオルガノポリシロキサンセグメントとを構成単位とするポリマーと、炭素数1-4のアルコールと、数平均粒子径が1~10μmである粉体と、数平均粒子径が10μm超25μm以下である粉体と、噴射剤とを含有する特定の皮膚化粧料が知られており、紫外線防御効果の持続性に優れるとされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-6029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討を進めたところ、特許文献1に記載の皮膚化粧料は、皮膚に適用した後に皮膚表面上で皮膚のしわやキメに化粧料が落ち込み、紫外線吸収剤の分布が不均一となりやすく、その結果として紫外線防御効果が不充分となる場合があることがわかった。
また、油溶性紫外線吸収剤を用いた皮膚外用剤には、油性感(油っぽさ)や圧迫感が少ないことが求められ、皮膚表面上において液だれが生じにくいことも求められる。
本発明は、塗布時に液だれしにくく、油性感や圧迫感が少ない使用感であり、皮膚に適用した後に皮膚表面上における油溶性紫外線吸収剤の分布が均一となりやすく、優れた紫外線防御効果を有する皮膚外用剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、油溶性紫外線吸収剤とともに、特定量の油ゲル化剤と高含量の非水系揮発性成分とを組み合わせた皮膚外用剤が、塗布時に液だれしにくく、油性感や圧迫感が少ない使用感であり、皮膚に適用した後に皮膚表面上における油溶性紫外線吸収剤の分布が均一となりやすく、優れた紫外線防御効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、皮膚外用剤を提供するものである。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)油ゲル化剤 0.5質量%以上20質量%以下
(C)非水系揮発性成分 50質量%以上
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤は、塗布時に液だれしにくく、油性感や圧迫感が少ない使用感であり、皮膚に適用した後に皮膚表面上における油溶性紫外線吸収剤の分布が均一となりやすく、優れた紫外線防御効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例7及び比較例1の原液の塗膜を、VISIA-CR(Canfield Scientific製)にて撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<成分(A)>
本発明の皮膚外用剤は、(A)油溶性紫外線吸収剤を含有する。
本明細書において、油溶性紫外線吸収剤とは、水への溶解度が0.01質量%未満の紫外線吸収剤を意味する。
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系油溶性紫外線吸収剤、アントラニル酸系油溶性紫外線吸収剤、サリチル酸系油溶性紫外線吸収剤、ケイ皮酸系油溶性紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系油溶性紫外線吸収剤、トリアジン系油溶性紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系油溶性紫外線吸収剤、ヒダントイン系油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中では、安息香酸系油溶性紫外線吸収剤、ケイ皮酸系油溶性紫外線吸収剤及びトリアジン系油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0010】
安息香酸系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられる。
アントラニル酸系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、アントラニル酸メチル等が挙げられる。
サリチル酸系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
ケイ皮酸系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸ジエタノールアミン塩等が挙げられる。
ベンゾイルメタン系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0011】
トリアジン系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
ベンゾフェノン系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2'4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ヒダントイン系油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
その他の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、オクトクリレン、シノキサート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、3-(4-メチルベンジリデン)カンファー、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール等が挙げられる。
【0012】
また、油溶性紫外線吸収剤は、1気圧下25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤と、1気圧下25℃で液体の油溶性紫外線吸収剤に大別することもできる。本発明においては、1気圧下25℃で液体の油溶性紫外線吸収剤を油溶性紫外線吸収剤として少なくとも使用するのが好ましい。この場合、1気圧下25℃で液体の油溶性紫外線吸収剤とともに1気圧下25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤を組み合わせて用いてもよい。
なお、例えば、上記で挙げたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等は、1気圧下25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤である。また、上記で挙げたパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル等は、1気圧下25℃で液体の油溶性紫外線吸収剤である。
【0013】
なお、油溶性紫外線吸収剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
油溶性紫外線吸収剤の含有量は、紫外線防御効果、塗布均一性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは12.5質量%以上であり、また、塗布均一性、強い油性感・圧迫感のなさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは17.5質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、5質量%以上30質量%以下が好ましく、7.5質量%以上25質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下が更に好ましく、12.5質量%以上17.5質量%以下が特に好ましい。油溶性紫外線吸収剤の含有量を7.5質量%以上とした場合に、塗布均一性及び紫外線防御効果が特に改善し、また、油溶性紫外線吸収剤の含有量を25質量%以下とした場合に、塗布均一性が特に改善する。
なお、本発明の皮膚外用剤がエアゾール型皮膚外用剤の場合、上記油溶性紫外線吸収剤の含有量は、原液を100質量%としたときの割合を意味する。以下、他の成分についても同様である。
【0015】
<成分(B)>
本発明の皮膚外用剤は、(B)油ゲル化剤を含有する。
油ゲル化剤としては、例えば、糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤、アミノ酸誘導体系油ゲル化剤及びベンジリデンソルビトール系油ゲル化剤から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中では、塗布均一性、紫外線防御効果、塗布時の液だれしにくさ、強い油性感・圧迫感のなさ等の観点から、糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤、アミノ酸誘導体系油ゲル化剤が好ましく、糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤がより好ましい。
糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤における脂肪酸の残基としては、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪酸残基が好ましい。また、脂肪酸残基の炭素数は、好ましくは8~24、より好ましくは12~22、特に好ましくは14~20である。
【0016】
糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤としては、例えば、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤;パルミチン酸ショ糖、ステアリン酸ショ糖等のショ糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤;ステアリン酸イヌリン等のイヌリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤;ステアリン酸フラクトオリゴ糖、2-エチルヘキサン酸フラクトオリゴ糖等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤としては、例えば、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10等が挙げられる。
アミノ酸誘導体系油ゲル化剤としては、例えば、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド等が挙げられる。
ベンジリデンソルビトール系油ゲル化剤としては、例えば、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0017】
上記のような油ゲル化剤の中でも、塗布均一性、紫外線防御効果、塗布時の液だれしにくさ、強い油性感・圧迫感のなさ等の観点から、デキストリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤が好ましく、パルミチン酸デキストリンが特に好ましい。
【0018】
油ゲル化剤は、市販品を用いても常法に従って合成して得たものを用いてもよい。ミリスチン酸デキストリンの市販品としては、レオパールMKL2(千葉製粉社製)が挙げられる。パルミチン酸デキストリンの市販品としては、レオパールKL2、レオパールTL2(以上、千葉製粉社製)が挙げられる。(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリンの市販品としては、レオパールTT2(千葉製粉社製)が挙げられる。(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリンの市販品としては、レオパールWX(千葉製粉社製)が挙げられる。ステアリン酸イヌリンの市販品としては、レオパールISL2、レオパールISK2(以上、千葉製粉社製)が挙げられる。ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドの市販品としては、アミノ酸系ゲル化剤 EB-21(味の素株式会社製)が挙げられる。
【0019】
なお、油ゲル化剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
油ゲル化剤の含有量は、本発明の皮膚外用剤中、0.5質量%以上20質量%以下である。油ゲル化剤の含有量を0.5質量%以上とすることにより、塗布時に液だれしにくくなり、また、塗布後に皮膚上に残存する成分の塗布均一性が改善され、優れた紫外線防御効果も得られる。また、油ゲル化剤の含有量を20質量%以下とすることにより、油性感・圧迫感が少なくなる。
油ゲル化剤の含有量は、塗布均一性、紫外線防御効果、塗布時の液だれしにくさ等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは2.5質量%以上であり、また、強い油性感・圧迫感のなさ、製造容易性の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、1質量%以上15質量%以下が好ましく、1.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、2質量%以上7.5質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0021】
また、成分(A)に対する成分(B)の含有質量比〔(B)/(A)〕は、塗布均一性、紫外線防御効果、塗布時の液だれしにくさ等の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、また、塗布均一性、紫外線防御効果、強い油性感・圧迫感のなさ等の観点から、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.3以下である。具体的な範囲としては、0.01以上1.5以下が好ましく、0.05以上1以下がより好ましく、0.1以上0.6以下が更に好ましく、0.15以上0.3以下が特に好ましい。
【0022】
<成分(C)>
本発明の皮膚外用剤は、(C)非水系揮発性成分を含有する。
非水系揮発性成分とは、揮発性成分のうち水以外のものを意味する。また、本明細書において、「揮発性成分」とは、1気圧下25℃で揮発性を示す成分をいい、1気圧下25℃で不揮発性のものを「不揮発性」という。
非水系揮発性成分としては、例えば、(C-1)揮発性シリコーン油、(C-2)低級アルコール及び(C-3)揮発性シリコーン油以外の揮発性液状油剤から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。本発明の皮膚外用剤としては、使用感(強い油性感・圧迫感のなさ)、塗布後に皮膚上に残存する成分の塗布均一性、スプレー剤とした場合の吐出性等の観点から、成分(C)として成分(C-1)を少なくとも含有するもの、成分(C)として成分(C-2)を少なくとも含有するものが好ましく、成分(C-1)及び(C-2)を含有するものがより好ましい。なお、成分(C-1)を含有せしめた場合、使用感(強い油性感・圧迫感のなさ)を向上させることができる。また、成分(C-2)を含有せしめた場合、使用感(強い油性感・圧迫感のなさ)、スプレー剤としたときの吐出性が改善される。特に、成分(C-2)を含有せしめた場合、油ゲル化剤を高含量化したスプレー剤としたときであっても良好な吐出性と速乾性が得られる。
【0023】
(成分(C-1))
揮発性シリコーン油は、1気圧下25℃で液体の揮発性シリコーン油であればよいが、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、エチルトリシロキサン、揮発性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。揮発性ジメチルポリシロキサンの25℃における動粘度は、好ましくは0.5mm2/s以上2mm2/s以下であり、より好ましくは0.65mm2/s以上2mm2/s以下である。
デカメチルシクロペンタシロキサンの市販品としては、TFS405(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF-995(信越化学工業社製)等が挙げられる。メチルトリメチコンの市販品としては、シリコーンTMF-1.5(信越化学工業社製)等が挙げられる。デカメチルテトラシロキサンの市販品としては、KF-96L-1.5CS(信越化学工業社製)等が挙げられる。エチルトリシロキサンの市販品としては、SILSOFTETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。ジメチルポリシロキサンの市販品としては、KF-96L-2CS(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0024】
(成分(C-2))
低級アルコールとしては、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の1価アルコールが好ましく、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状の飽和1価アルコールがより好ましい。また、低級アルコールの炭素数は、好ましくは1~4、より好ましくは2~3である。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられ、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、スプレー剤とした場合の吐出性の観点から、エタノール、イソプロパノールが好ましく、エタノールがより好ましい。
【0025】
(成分(C-3))
揮発性シリコーン油以外の揮発性液状油剤としては、揮発性炭化水素油が挙げられる。
揮発性炭化水素油は、引火点35℃以上100℃以下であり、1気圧下25℃で液体の揮発性炭化水素油であればよいが、例えば、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等のパラフィン系揮発性炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、軽質イソパラフィン等のイソパラフィン系揮発性炭化水素油が挙げられる。これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
非水系揮発性成分は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
非水系揮発性成分の含有量は、本発明の皮膚外用剤中、50質量%以上である。非水系揮発性成分の含有量を50質量%以上とすることにより、塗布時に液だれしにくくなる。
非水系揮発性成分の含有量は、塗布均一性、紫外線防御効果、製剤安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは52質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは62質量%以上であり、また、紫外線防御効果等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、52質量%以上90質量%以下が好ましく、55質量%以上85質量%以下がより好ましく、60質量%以上80質量%以下が更に好ましく、62質量%以上75質量%以下が特に好ましい。
【0028】
成分(C)として揮発性シリコーン油を用いる場合、揮発性シリコーン油の含有量は、紫外線防御効果、塗布均一性、使用感(不揮発性油に由来するべたつきや油性感の抑制)等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは4質量%以上であり、また、澄明性、不揮発性油との相溶性、塗布均一性、紫外線防御効果、製剤安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上25質量%以下がより好ましく、2質量%以上20質量%以下が更に好ましく、4質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
【0029】
成分(C)として低級アルコールを用いる場合、低級アルコールの含有量は、強い油性感・圧迫感のなさ、スプレー剤とした場合の吐出性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、紫外線防御効果、製剤安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、40質量%以上95質量%以下が好ましく、45質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
【0030】
また、成分(C)に対する成分(A)の含有質量比〔(A)/(C)〕は、紫外線防御効果、塗布均一性等の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、また、塗布均一性等の観点から、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.5以下である。具体的な範囲としては、0.01以上1.5以下が好ましく、0.05以上1以下がより好ましく、0.1以上0.5以下が更に好ましく、0.15以上0.5以下が特に好ましい。
【0031】
また、成分(C)に対する成分(A)及び(B)の合計の含有質量比〔((A)+(B))/(C)〕は、塗布均一性、強い油性感・圧迫感のなさ、塗布時の液だれしにくさ、紫外線防御効果等の観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.23以上であり、また、上記と同様の観点から、好ましくは3以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.3以下である。具体的な範囲としては、0.02以上3以下が好ましく、0.05以上0.8以下がより好ましく、0.1以上0.6以下が更に好ましく、0.23以上0.3以下が特に好ましい。
【0032】
また、成分(C-1)に対する成分(C-2)の含有質量比〔(C-2)/(C-1)〕は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは3以上、特に好ましくは6以上であり、また、紫外線防御効果、塗布均一性等の観点から、好ましくは600以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは25以下、特に好ましくは9以下である。具体的な範囲としては、0.5以上600以下が好ましく、1以上100以下がより好ましく、3以上25以下が更に好ましく、6以上9以下が特に好ましい。
【0033】
本発明の皮膚外用剤としては、成分(A)~(C)に加えて、更に(D)不揮発性液状油剤(但し、成分(A)を除く)及び(E)被膜形成剤から選ばれる1種又は2種以上を含有するものが好ましく、成分(A)~(D)を含有するものがより好ましく、成分(A)~(E)を含有するものが特に好ましい。なお、成分(A)~(C)に加えて、更に成分(D)を含有せしめた場合、製剤安定性、塗布均一性等が改善する。また、成分(A)~(C)に加えて、更に成分(E)を含有せしめた場合、紫外線防御効果、塗布均一性、耐水性、耐摩擦性等が改善する。
【0034】
<成分(D)>
不揮発性液状油剤は、成分(A)以外の1気圧下25℃で液体の不揮発性油剤であればよいが、不揮発性エステル油の他、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン等の不揮発性炭化水素油;不揮発性ジメチルポリシロキサン、不揮発性メチルフェニルポリシロキサン等の不揮発性シリコーン油等が挙げられる。これらの中でも、相溶性、塗布均一性、紫外線防御効果等の観点から、不揮発性エステル油が好ましい。
不揮発性エステル油としては、不揮発性脂肪酸エステル油、不揮発性芳香族カルボン酸エステル油が挙げられる。不揮発性芳香族カルボン酸エステル油としては、安息香酸アルキル(C12-15)等が挙げられる。
不揮発性脂肪酸エステル油における脂肪酸の残基としては、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪酸残基が好ましい。また、脂肪酸残基の炭素数は、相溶性、塗布均一性、紫外線防御効果等の観点から、好ましくは8~24、より好ましくは12~22、特に好ましくは14~20である。
不揮発性脂肪酸エステル油としては、不揮発性1価アルコール脂肪酸エステル油、不揮発性多価アルコール脂肪酸エステル油が挙げられる。これらの中では、相溶性、塗布均一性、紫外線防御効果等の観点から、不揮発性1価アルコール脂肪酸エステル油が好ましい。なお、不揮発性1価アルコール脂肪酸エステル油は、脂肪酸と1価アルコールとの不揮発性エステル油である。当該エステル油における1価アルコールの残基としては、相溶性、塗布均一性、紫外線防御効果等の観点から、炭素数3~20の直鎖状又は分岐鎖状の1価アルコールの残基が好ましく、炭素数3~14の直鎖状又は分岐鎖状の1価アルコールの残基がより好ましく、炭素数3~8の直鎖状又は分岐鎖状の1価アルコールの残基が特に好ましい。
不揮発性1価アルコール脂肪酸エステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸ステアリル等が挙げられる。
不揮発性多価アルコール脂肪酸エステル油としては、例えば、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル等の脂肪酸トリグリセライド;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸とネオペンチルグリコールとのエステル油等が挙げられる。
【0035】
流動イソパラフィンの市販品としては、パールリーム 6(日油社製)等が挙げられる。不揮発性ジメチルポリシロキサンの市販品としては、KF-96A-10CS(信越化学工業社製)等が挙げられる。パルミチン酸イソプロピルの市販品としては、エキセパール IPP(花王社製)等が挙げられる。安息香酸アルキル(C12-15)の市販品としては、FINSOLV TN(Innospec Active Chemicals社製)等が挙げられる。ジカプリン酸ネオペンチルグリコールの市販品としては、エステモール N-01(日清オイリオグループ社製)等が挙げられる。
【0036】
また、本発明においては、成分(C)として揮発性シリコーン油を用いるとともに、上記の不揮発性エステル油を使用することが、揮発性シリコーン油が油溶性紫外線吸収剤と分離せずに相溶しやすくなることで、優れた使用感と優れた塗布均一性や優れた紫外線防御効果とが両立される観点から好ましい。
【0037】
なお、成分(D)の不揮発性液状油剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
成分(D)の不揮発性液状油剤の含有量は、相溶性、塗布均一性、紫外線防御効果、保存安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、塗布均一性、紫外線防御効果等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、0.1質量%以上35質量%以下が好ましく、0.5質量%以上25質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下が更に好ましく、1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
【0039】
また、成分(A)及び(D)の合計に対する成分(B)の含有質量比〔(B)/((A)+(D))〕は、塗布均一性、紫外線防御効果等の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、上記と同様の観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.25以下、特に好ましくは0.18以下である。具体的な範囲としては、0.01以上1以下が好ましく、0.05以上0.5以下がより好ましく、0.1以上0.25以下が更に好ましく、0.1以上0.18以下が特に好ましい。
【0040】
<成分(E)>
被膜形成剤としては、シリコーン系被膜形成剤、(メタ)アクリル系被膜形成剤が挙げられるが、紫外線防御効果、耐水性、耐摩擦性等の観点から、シリコーン系被膜形成剤が好ましい。また、被膜形成剤としては、油溶性のものが好ましい。
本明細書において、シリコーン系被膜形成剤とは、シリコーンセグメントを分子内に有する被膜形成剤をいい、シリコーンセグメントの分子内における位置は任意であり、例えば、ポリマーの主鎖でも側鎖でもよい。また、シリコーンセグメントは、鎖状構造でも枝分かれ構造でもよい。枝分かれ構造のシリコーンセグメントとしては、デンドリマー型シロキサンセグメント、シルセスキオキサンセグメント、網目状分子構造のシリコーンセグメントが挙げられる。
【0041】
シリコーン系被膜形成剤としては、例えば、オキサゾリン変性シリコーン等のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン;アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルジメチコン、アミノプロピルジメチコン等のアミノ変性シリコーン;フッ素変性シリコーン;トリメチルシロキシケイ酸;(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー;(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー等のデンドリマー型シロキサン構造を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマー;ポリメチルシルセスキオキサン、ポリプロピルシルセスキオキサン等のポリアルキルシルセスキオキサン;(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等の(メタ)アクリル-シリコーン系グラフトコポリマー等が挙げられる。これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、耐水性、製造容易性等の観点から、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸が好ましく、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、又はポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとトリメチルシロキシケイ酸との組み合わせがより好ましい。
【0042】
(ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン)
上記ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、カチオン性の2価連結基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンであって、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの数平均分子量が500~4000であり、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が10000~200000である、オルガノポリシロキサン(以下、このオルガノポリシロキサンを、オルガノポリシロキサン(OX)ともいう)が好ましい。
【0043】
【化1】
【0044】
〔式(1)中、R41は、水素原子、炭素数1~22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、tは2又は3を示す。〕
【0045】
ここで、オルガノポリシロキサン(OX)について詳細に説明する。
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、カチオン性の2価連結基を介して少なくとも2つ結合しているが、オルガノポリシロキサンセグメントの両末端を除く1以上のケイ素原子にカチオン性の2価連結基を介して結合しているのが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子にカチオン性の2価連結基を介して結合しているのがより好ましい。
【0046】
カチオン性の2価連結基は、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの連結基として機能する。
カチオン性の2価連結基としては、カチオン性基を含むアルキレン基が挙げられ、カチオン性基を1~3個含む炭素数2~20のアルキレン基が好ましく、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基から選ばれる1種又は2種以上のカチオン性基を1~3個含む炭素数2~20のアルキレン基がより好ましい。
このようなカチオン性の2価連結基の中でも、下記式(A1)~(A9)のいずれかで表される基が好ましく、式(A1)~(A4)のいずれかで表される基がより好ましく、式(A1)又は(A2)で表される基が特に好ましい。
なお、式中、An-は、第4級アンモニウム塩の対イオンを示す。例えば、ハロゲン化物イオン(例えば塩化物イオン、ヨウ化物イオン)、硫酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、モノアルキル硝酸イオン(例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン)等が挙げられる。
【0047】
【化2】
【0048】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN-アシルアルキレンイミン単位において、一般式(1)中、R41で示されるアルキル基の炭素数は1~22であるが、好ましくは1~14、より好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。また、上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
41で示されるアラルキル基としては、炭素数7~15のアラルキル基が好ましい。例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられる。
41で示されるアリール基としては、炭素数6~14のアリール基が好ましい。例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
これらの中でも、R41としては、水素原子、炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
式(1)中のtは2又は3を示すが、2が好ましい。
【0049】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)としては、40/60~98/2が好ましく、45/55~82/18がより好ましく、60/40~80/20が更に好ましく、65/35~80/20が更に好ましく、68/32~80/20が更に好ましく、70/30~79/21が特に好ましい。
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、オルガノポリシロキサン(OX)を重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値をいう。
【0050】
オルガノポリシロキサン(OX)において、隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、「MWg」ともいう)は、好ましくは1000~40000、より好ましくは1500~30000、特に好ましくは1750~5000である。
【0051】
本明細書において、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR42SiO単位と、1つのR43と、y+1個の(R422SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R43に結合する-Z11-R44をいう。
【0052】
【化3】
【0053】
〔式(2)中、R42はそれぞれ独立に炭素数1~22のアルキル基又はフェニル基を示し、R43はカチオン性の2価連結基を示し、-Z11-R44はポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R44は重合開始剤の残基又は水素原子を示し、yは正の数を示す。なお、複数のR42、R43、R44は、同じであっても異なっていてもよい。〕
【0054】
MWgは、上記式(2)において破線で囲まれた部分の分子量であるが、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。なお、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンの官能基がポリ(N-アシルアルキレンイミン)で100%置換されると、変性オルガノポリシロキサンの官能基当量(g/mol)と一致する。
【0055】
また、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量は、N-アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度から算出するか、又はゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができるが、本明細書においては、後記の測定条件で行なったGPCにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、MNoxともいう)をいうものとする。MNoxは、好ましくは800~3500、より好ましくは1000~3000である。
【0056】
また、MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(質量%)(以下、Csiともいう)を用いて、下記式(I)により求めることができる。
【0057】
MWg = Csi×MNox/(100-Csi) (I)
【0058】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(以下、MWsiともいう)は、好ましくは15000~160000、より好ましくは20000~150000、特に好ましくは25000~100000である。
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントは、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物の変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、下記の測定条件で行なったGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0059】
(変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量の測定条件)
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0060】
オルガノポリシロキサン(OX)の重量平均分子量(以下、MWtともいう)は、好ましくは10000~500000、より好ましくは12000~200000、更に好ましくは25000~160000、特に好ましくは35000~150000である。MWtは、後記の測定条件で行なったGPCにより測定されるポリスチレン換算の値をいうものとする。
【0061】
(MNox及びMWtの測定条件)
カラム:K‐804L(東ソー社製)2つを直列につないで使用
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル:50μL
【0062】
なお、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントがポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)セグメントの場合、質量比(a/b)算出のための1H-NMR測定は、例えば、下記の条件で行うことができる。
1H-NMR測定条件)
ポリマーサンプル0.5gを測定溶剤(重クロロホルム)2gで溶解させたものについて、1H-NMR(400MHz Varian製)により測定する。そして、各積分値よりシリコーンとポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)の比率を算出する。
PULSE SEQUENCE
・Relax.delay: 30秒 ・Pulse: 45degrees ・積算回数: 8回
確認ピーク 0ppm付近:ポリジメチルシロキサンのメチル基、
3.4ppm付近:エチレンイミンのメチレン部分。
【0063】
オルガノポリシロキサン(OX)は、特開2008-143820号公報、特開2009-24114号公報、特開2015-67603号公報、特開2016-204336号公報等に記載の方法に従って合成して得たものを用いてもよい。例えば、上記のカチオン性の2価連結基を誘導する官能基で変性されたオルガノポリシロキサンと、一般式(1)で表される繰り返し単位に対応する環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造できる。
【0064】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、具体的には、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-オクタノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-ドデカノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-ホルミルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-アセチルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-プロピオニルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-オクタノイルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-ドデカノイルプロピレンイミン)変性シリコーン等が挙げられる。
【0065】
なお、被膜形成剤は、1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
被膜形成剤の含有量は、紫外線防御効果、耐水性、耐摩擦性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.75質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であり、また、スプレー剤(なお、スプレー剤にはミスト製剤が包含される)とした場合の吐出性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下である。具体的な範囲としては、本発明の皮膚外用剤中、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上7.5質量%以下がより好ましく、0.75質量%以上5質量%以下が更に好ましく、1質量%以上4質量%以下が特に好ましい。
【0067】
本発明の皮膚外用剤は、上記各成分の他に、紫外線散乱剤、紫外線散乱剤以外の粉体(有機粉体、無機粉体、有機無機複合粉体)、界面活性剤、水、水溶性紫外線吸収剤、香料、動植物エキス、冷感剤、防腐剤、抗炎症剤、エモリエント剤、pH調整剤、キレート剤、酸化防止剤、着色剤等を含んでいてもよい。なお、これらのうち1種のみを単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0068】
紫外線散乱剤の含有量は、塗布均一性、白浮きのなさ、使用感(きしみ感のなさ)等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、0質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0質量%以上1質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。本発明の皮膚外用剤は、紫外線散乱剤がこのような含有量の場合でも、優れた紫外線防御効果が得られる。
界面活性剤の含有量は、耐水性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、0質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0質量%以上1質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
水の含有量は、耐水性、塗布後に皮膚上に残存する成分の塗布均一性、製剤安定性等の観点から、本発明の皮膚外用剤中、0質量%以上10質量%以下が好ましく、0質量%以上5質量%以下がより好ましく、0質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0069】
本発明の皮膚外用剤の形態は特に限定されず、例えば、透明液剤、乳液、ペースト、クリーム剤、ジェル剤、ローション剤、スプレー剤(エアゾール型、ノンエアゾール型)、フォーム剤(エアゾール型、ノンエアゾール型)等であってよく、また、本発明の皮膚外用剤を含浸液としてシート基剤に含浸させたシート剤であってもよい。なお、皮膚外用剤がエアゾール型の場合、皮膚外用剤の容器は通常、耐圧容器であり、皮膚外用剤が他の形態の場合、容器としては、例えば、ジャー容器、ボトル容器、スクイーズ容器、ポンプディスペンサー容器、ポンプミスト容器、トリガーミスト容器等が挙げられる。なお、本発明の皮膚外用剤は、油ゲル化剤を含有する上記のようなスプレー剤の場合でも吐出性が良好である。
上記の中でも、本発明の皮膚外用剤の形態としては、塗布均一性、紫外線防御効果、使用性等の観点から、スプレー剤が好ましく、エアゾールスプレー型皮膚外用剤;ポンプミストタイプ、トリガーミストタイプ等のノンエアゾールスプレー型皮膚外用剤がより好ましく、エアゾールスプレー型皮膚外用剤が特に好ましい。
【0070】
また、本発明の皮膚外用剤(エアゾール型皮膚外用剤の場合は原液)としては、乳化型皮膚外用剤(水中油型皮膚外用剤、油中水型皮膚外用剤)、多層分離型皮膚外用剤、油性皮膚外用剤が挙げられるが、優れた耐水性と優れた塗布均一性や優れた紫外線防御効果とを両立する観点から、油性皮膚外用剤が好ましい。
なお、本明細書において、油性皮膚外用剤とは、皮膚外用剤中の油溶性紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤以外の成分がそれぞれ互いに相溶した皮膚外用剤をいう。例えば、油溶性紫外線吸収剤と油溶性紫外線吸収剤以外の成分がそれぞれ互いに相溶して透明液状を呈している場合、エタノールのような油以外の成分を含んでいても、油性皮膚外用剤に包含される。
【0071】
また、本発明の皮膚外用剤(エアゾール型皮膚外用剤の場合は原液)は、液状のものが好ましい。また、25℃における粘度は、吐出性等の観点から、好ましくは0mPa・s以上、より好ましくは2.5mPa・s以上であり、また、吐出性等の観点から、好ましくは20,000mPa・s以下、より好ましくは10,000mPa・s以下である。
そして、本発明の皮膚外用剤がエアゾールスプレー型皮膚外用剤の場合、原液の25℃における粘度は、吐出性等の観点から、好ましくは0mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、更に好ましくは10mPa・s以上であり、また、吐出性等の観点から、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは2,500mPa・s以下、更に好ましくは1,500mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s未満である。
また、本発明の皮膚外用剤がノンエアゾールスプレー型皮膚外用剤の場合、皮膚外用剤の25℃における粘度は、上記と同様に吐出性等の観点から、好ましくは0mPa・s以上、より好ましくは2.5mPa・s以上であり、また、吐出性等の観点から、更に好ましくは10mPa・s以下、特に好ましくは5mPa・s以下である。
【0072】
また、本発明の皮膚外用剤がポンプディスペンサー容器に充填された皮膚外用剤の場合、皮膚外用剤の25℃における粘度は、吐出性等の観点から、更に好ましくは5,000mPa・s以上、特に好ましくは5,500mPa・s以上であり、また、同様の観点から、好ましくは20,000mPa・s以下、より好ましくは15,000mPa・s以下である。
また、本発明の皮膚外用剤がローション剤等の振り出し容器に充填された皮膚外用剤の場合、皮膚外用剤の25℃における粘度は、使用性等の観点から、好ましくは0mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、また、吐出性、使用感等の観点から、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは5,000mPa・s以下である。
【0073】
なお、25℃における上記粘度は、ブルックフィールド式粘度計(B型粘度計)により測定でき、具体的には、実施例に記載の方法で測定すればよい。
【0074】
また、本発明の皮膚外用剤(エアゾール型皮膚外用剤の場合は原液)において、全揮発性成分(水を含まない場合は(C)非水系揮発性成分)を揮発させたときの25℃における粘度は、紫外線防御効果等の観点から、好ましくは10,000mPa・s以上、より好ましくは100,000mPa・s以上、更に好ましくは200,000mPa・s以上、特に好ましくは300,000mPa・s以上である。また、この粘度の上限値は特に限定されず、例えば、20,000,000mPa・sなどであればよい。
【0075】
なお、全揮発性成分を揮発させたときの25℃における上記粘度は、全揮発性成分(水を含まない場合は(C)非水系揮発性成分)を揮発させた後に、ブルックフィールド式粘度計(B型粘度計)を用いて測定すればよい。また、実施例に記載の方法で測定することもできる。
【0076】
ここで、エアゾール型皮膚外用剤の具体的な形態としては、以下のエアゾール型皮膚外用剤(α)が挙げられる。
(α) 下記成分(A)、(B)及び(C)(必要に応じて成分(D)及び/又は成分(E)や他の成分)を含有する原液と、噴射剤とが耐圧容器に充填された、エアゾール型皮膚外用剤。なお、原液は、噴射剤を除いた内容液全組成である。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)油ゲル化剤 原液中0.5質量%以上20質量%以下
(C)非水系揮発性成分 原液中50質量%以上
【0077】
エアゾール型皮膚外用剤(α)は、エアゾールスプレー型、エアゾールフォーム型のいずれでもよいが、好ましくはエアゾールスプレー型皮膚外用剤である。
噴射剤としては、例えば、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。
また、原液と噴射剤との質量比(原液/噴射剤)は、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、特に好ましくは30/70以上であり、また、好ましくは99/1以下、より好ましくは85/15以下、特に好ましくは75/25以下である。具体的な範囲としては、10/90以上99/1以下が好ましく、20/80以上85/15以下がより好ましく、30/70以上75/25以下が特に好ましい。また、25℃の温度で0.12MPa以上0.45MPa以下になるように、噴射剤量を調整するのが好ましい。
【0078】
また、本発明の皮膚外用剤は、日焼け止めとして有用である。本発明の皮膚外用剤は、皮膚(好ましくは頭皮を除く皮膚、より好ましくは顔、身体、手足等)に、剤型の種類に応じた手法で塗布をして、日焼け止めとして使用することができる。
【0079】
本発明の皮膚外用剤は、常法に従って製造できる。エアゾール型皮膚外用剤の場合は、例えば、成分(A)、(B)及び(C)(必要に応じて成分(D)及び/又は成分(E)や他の成分)を混合し溶解又は分散させて原液を調製し、得られた原液を、噴射剤とともに耐圧容器に充填すればよい。
【0080】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の皮膚外用剤等を開示する。
<1> 下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、皮膚外用剤。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)油ゲル化剤 0.5質量%以上20質量%以下
(C)非水系揮発性成分 50質量%以上
【0081】
<2> 成分(A)が、好ましくは安息香酸系油溶性紫外線吸収剤、アントラニル酸系油溶性紫外線吸収剤、サリチル酸系油溶性紫外線吸収剤、ケイ皮酸系油溶性紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系油溶性紫外線吸収剤、トリアジン系油溶性紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系油溶性紫外線吸収剤、及びヒダントイン系油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは安息香酸系油溶性紫外線吸収剤、ケイ皮酸系油溶性紫外線吸収剤及びトリアジン系油溶性紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸ジエタノールアミン塩、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、及び2,4-ビス-[{4-(2-エチルへキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンから選ばれる1種又は2種以上である、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3> 好ましくは成分(A)として1気圧下25℃で液体の油溶性紫外線吸収剤を少なくとも含有する、<1>に記載の皮膚外用剤。
【0082】
<4> 成分(A)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは12.5質量%以上であり、また、皮膚外用剤中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは17.5質量%以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<5> 成分(A)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは5質量%以上30質量%以下、より好ましくは7.5質量%以上25質量%以下、更に好ましくは10質量%以上20質量%以下、特に好ましくは12.5質量%以上17.5質量%以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0083】
<6> 成分(B)が、好ましくは糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤、アミノ酸誘導体系油ゲル化剤及びベンジリデンソルビトール系油ゲル化剤から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、グリセリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤及びアミノ酸誘導体系油ゲル化剤から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤である、<1>~<5>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<7> 糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤が、好ましくはデキストリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤、ショ糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤、イヌリン脂肪酸エステル系油ゲル化剤、及びフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル系油ゲル化剤から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、パルミチン酸ショ糖、ステアリン酸ショ糖、ステアリン酸イヌリン、ステアリン酸フラクトオリゴ糖、及び2-エチルヘキサン酸フラクトオリゴ糖から選ばれる1種又は2種以上であり、特に好ましくはパルミチン酸デキストリンである、<6>に記載の皮膚外用剤。
<8> アミノ酸誘導体系油ゲル化剤が、ジブチルラウロイルグルタミド及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドから選ばれる1種以上である、<6>又は<7>に記載の皮膚外用剤。
【0084】
<9> 成分(B)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは2.5質量%以上であり、また、皮膚外用剤中、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である、<1>~<8>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<10> 成分(B)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上10質量%以下、更に好ましくは2質量%以上7.5質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以上5質量%以下である、<1>~<8>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0085】
<11> 成分(A)に対する成分(B)の含有質量比〔(B)/(A)〕が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.3以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<12> 成分(A)に対する成分(B)の含有質量比〔(B)/(A)〕が、好ましくは0.01以上1.5以下、より好ましくは0.05以上1以下、更に好ましくは0.1以上0.6以下、特に好ましくは0.15以上0.3以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0086】
<13> 成分(C)が、好ましくは(C-1)揮発性シリコーン油、(C-2)低級アルコール及び(C-3)揮発性シリコーン油以外の揮発性液状油剤から選ばれる1種又は2種以上である、<1>~<12>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<14> 好ましくは成分(C)として(C-1)揮発性シリコーン油を少なくとも含有し、より好ましくは成分(C)として(C-1)揮発性シリコーン油及び(C-2)低級アルコールを含有する、<1>~<13>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0087】
<15> 成分(C)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは52質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは62質量%以上であり、また、皮膚外用剤中、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<16> 成分(C)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上25質量%以下、更に好ましくは2質量%以上20質量%以下、特に好ましくは4質量%以上15質量%以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0088】
<17> (C-2)低級アルコールの含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、皮膚外用剤中、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である、<1>~<16>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<18> 成分(C)に対する成分(A)の含有質量比〔(A)/(C)〕が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.5以下である、<1>~<17>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<19> 成分(C)に対する成分(A)の含有質量比〔(A)/(C)〕が、好ましくは0.01以上1.5以下、より好ましくは0.05以上1以下、更に好ましくは0.1以上0.5以下、特に好ましくは0.15以上0.5以下である、<1>~<17>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0089】
<20> 成分(C)に対する成分(A)及び(B)の合計の含有質量比〔((A)+(B))/(C)〕が、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.23以上であり、また、好ましくは3以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.3以下である、<1>~<19>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<21> 成分(C)に対する成分(A)及び(B)の合計の含有質量比〔((A)+(B))/(C)〕が、好ましくは0.02以上3以下、より好ましくは0.05以上0.8以下、更に好ましくは0.1以上0.6以下、特に好ましくは0.23以上0.3以下である、<1>~<19>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<22> 成分(C-1)に対する成分(C-2)の含有質量比〔(C-2)/(C-1)〕が、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは3以上、特に好ましくは6以上であり、また、好ましくは600以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは25以下、特に好ましくは9以下である、<13>又は<14>に記載の皮膚外用剤。
【0090】
<23> 好ましくは更に(D)不揮発性液状油剤(但し、成分(A)を除く)及び(E)被膜形成剤から選ばれる1種又は2種以上を含有するものであり、より好ましくは成分(A)~(D)を含有するものであり、更に好ましくは成分(A)~(E)を含有するものである、<1>~<22>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0091】
<24> 成分(D)が、好ましくは不揮発性エステル油、不揮発性炭化水素油及び不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは不揮発性エステル油であり、更に好ましくは不揮発性脂肪酸エステル油及び不揮発性芳香族カルボン酸エステル油から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは不揮発性1価アルコール脂肪酸エステル油、不揮発性多価アルコール脂肪酸エステル油及び不揮発性芳香族カルボン酸エステル油から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは不揮発性1価アルコール脂肪酸エステル油及び不揮発性芳香族カルボン酸エステル油から選ばれる1種以上であり、特に好ましくは2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸ステアリル、及び安息香酸アルキル(C12-15)から選ばれる1種又は2種以上である、<23>に記載の皮膚外用剤。
【0092】
<25> 成分(D)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、皮膚外用剤中、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である、<23>又は<24>に記載の皮膚外用剤。
<26> 成分(D)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0.1質量%以上35質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である、<23>又は<24>に記載の皮膚外用剤。
【0093】
<27> 成分(A)及び(D)の合計に対する成分(B)の含有質量比〔(B)/((A)+(D))〕が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.25以下、特に好ましくは0.18以下である、<23>~<26>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<28> 成分(A)及び(D)の合計に対する成分(B)の含有質量比〔(B)/((A)+(D))〕が、好ましくは0.01以上1以下、より好ましくは0.05以上0.5以下、更に好ましくは0.1以上0.25以下、特に好ましくは0.1以上0.18以下である、<23>~<26>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0094】
<29> 成分(E)が、好ましくはシリコーン系被膜形成剤及び(メタ)アクリル系被膜形成剤から選ばれる1種以上であり、より好ましくはシリコーン系被膜形成剤であり、更に好ましくはポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマー、デンドリマー型シロキサン構造を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマー、ポリアルキルシルセスキオキサン、及び(メタ)アクリル-シリコーン系グラフトコポリマーから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、及びトリメチルシロキシケイ酸から選ばれる1種以上であり、特に好ましくはポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、又はポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとトリメチルシロキシケイ酸との組み合わせである、<23>~<28>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<30> ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンが、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-オクタノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-ドデカノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-ホルミルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-アセチルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-プロピオニルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N-n-オクタノイルプロピレンイミン)変性シリコーン、及びポリ(N-n-ドデカノイルプロピレンイミン)変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上である、<29>に記載の皮膚外用剤。
【0095】
<31> 成分(E)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.75質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であり、また、皮膚外用剤中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下である、<23>~<30>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<32> 成分(E)の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上7.5質量%以下、更に好ましくは0.75質量%以上5質量%以下、特に好ましくは1質量%以上4質量%以下である、<23>~<30>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0096】
<33> 紫外線散乱剤の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0質量%以上2.5質量%以下、より好ましくは0質量%以上1質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<32>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<34> 界面活性剤の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0質量%以上2.5質量%以下、より好ましくは0質量%以上1質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<33>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<35> 水の含有量が、皮膚外用剤中、好ましくは0質量%以上10質量%以下、より好ましくは0質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0質量%である、<1>~<34>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0097】
<36> 好ましくは透明液剤、乳液、ペースト、クリーム剤、ジェル剤、ローション剤、スプレー剤又はフォーム剤であり、より好ましくはスプレー剤であり、更に好ましくはエアゾールスプレー型皮膚外用剤又はノンエアゾールスプレー型皮膚外用剤であり、特に好ましくはエアゾールスプレー型皮膚外用剤である、<1>~<35>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<37> 皮膚外用剤(エアゾール型皮膚外用剤の場合は原液)が好ましくは液状である、<1>~<36>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
<38> 皮膚外用剤(エアゾール型皮膚外用剤の場合は原液)の25℃における粘度が、好ましくは0mPa・s以上、より好ましくは2.5mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上、特に好ましくは10mPa・s以上であり、また、好ましくは20,000mPa・s以下、より好ましくは10,000mPa・s以下、更に好ましくは2,500mPa・s以下、更に好ましくは1,500mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s未満である、<1>~<37>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【0098】
<39> 下記成分(A)、(B)及び(C)(必要に応じて成分(D)及び/又は成分(E)や他の成分)を含有する原液と、噴射剤とが耐圧容器に充填された、エアゾール型皮膚外用剤。なお、原液は、噴射剤を除いた内容液全組成である。
(A)油溶性紫外線吸収剤
(B)油ゲル化剤 原液中0.5質量%以上20質量%以下
(C)非水系揮発性成分 原液中50質量%以上
<40> 好ましくはエアゾールスプレー型又はエアゾールフォーム型であり、より好ましくはエアゾールスプレー型である、<39>に記載の皮膚外用剤。
【0099】
<41> 好ましくは日焼け止めである、<1>~<40>のいずれかに記載の皮膚外用剤。
【実施例0100】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0101】
〔実施例1~15及び比較例1~4 エアゾールスプレー型油性皮膚外用剤〕
エアゾールスプレー型油性皮膚外用剤を製造し、以下に示す測定及び評価を行った。結果を表1~表3に示す。
(製造方法)
表1~表3に示す処方に従って、パドル翼を備えるホモミキサーを用いて各成分が均一になるように混合することで、エアゾールスプレー型油性皮膚外用剤の原液を調製した。耐圧容器内の圧力:0.22MPa(25℃)、原液:噴射剤=40:60(質量比)となるように、得られた原液と噴射剤(LPG)を、エアゾール用耐圧容器に充填した。
なお、使用感の評価には、以下の仕様1のエアゾール用耐圧容器に充填したものを、液だれしにくさの評価には、以下の仕様2のエアゾール用耐圧容器に充填したものを、それぞれ用いた。
仕様1 日本プリシジョンバルブ製、ステム:04-5241、ハウジング:07-5166、ボタン:20-1213-0146
仕様2 三谷バルブ製、定量バルブ:C16-HCP4B22(51)314HG8101(ALPS2)34(10)、ボタン:P94W 05112D"3"
【0102】
(測定方法及び評価方法)
(1)粘度
各油性皮膚外用剤の耐圧容器充填前の原液を蓋付きガラス瓶に充填し、調製翌日の25℃における粘度を測定した。測定には、東機産業(株)製のB型粘度計(TVB-10)を使用し、ガラス瓶内を事前に撹拌した後に、ローター:No.2、回転数:60rpm、測定時間:1分間の条件で粘度を測定し、以下の基準で評価した。なお、実施例1の油性皮膚外用剤の原液の粘度は、27mPa・sであり、実施例2の油性皮膚外用剤の原液の粘度は、29mPa・sであった。
(粘度の評価基準)
○:500mPa・s未満
×:500mPa・s以上
【0103】
(2)揮発性成分揮発後の粘度
各油性皮膚外用剤の原液の組成から、揮発性成分(実施例1~14及び比較例1~4については成分(C)、実施例15については成分(C)及び水)を除いたもの(すなわち、スプレーを肌に噴霧した後に肌に残る成分に相当)を調製し、これを蓋付きガラス瓶に充填し、調製翌日の25℃における粘度を、揮発性成分揮発後の粘度として測定した。測定には、東機産業(株)製のB型粘度計(TVB-10)を使用し、ローター:T-C、回転数:5rpm、測定時間:1分間の条件で粘度を測定し、以下の基準で評価した。なお、実施例1の油性皮膚外用剤の揮発性成分揮発後の粘度は、400,000mPa・sであり、実施例2の油性皮膚外用剤の揮発性成分揮発後の粘度は、340,000mPa・sであった。
(揮発性成分揮発後の粘度の評価基準)
○:10,000mPa・s以上
×:10,000mPa・s未満
【0104】
(3)SPF
各油性皮膚外用剤の耐圧容器充填前の原液を、HelioPlates HD6(Labsphere社製)に1.3g/cm2量りとり、指サックをした指で30秒間のび広げ、15分間乾燥後、SPFアナライザー(UV-2000S、Labsphere社製)を用いてSPF値を測定し、以下の基準で評価した。なお、実施例1の油性皮膚外用剤のSPF値は95.6であり、実施例2の油性皮膚外用剤のSPF値は94.7であった。
(SPF評価基準)
5:非常に高い(SPF90以上)
4:かなり高い(SPF70以上90未満)
3:やや高い(SPF50以上70未満)
2:許容限度(SPF20以上50未満)
1:低い(SPF20未満)
【0105】
(4)均一性
各油性皮膚外用剤の耐圧容器充填前の原液を、PMMAプレートに0.03g量りとり、指サックをした指で1分間のび広げ、塗布状態をVISIA-CR(Canfield Scientific製)にて観察した。得られた画像(RGB)から、Blue成分を抽出し、塗布前後の画像から平均反射吸光度と標準偏差を算出した。この平均反射吸光度を標準偏差で除算し、ばらつき(CV値)を算出した。均一性は、以下の基準で評価した。また実施例7及び比較例1の撮影画像を図1に示す。
(均一性の評価基準)
AAA:CV値0.06未満
AA:CV値0.06以上0.07未満
A:CV値0.07以上0.1未満
B:CV値0.1以上
【0106】
(5)強い油性感(油っぽさ)・圧迫感のなさ
各油性皮膚外用剤の使用感(強い油性感・圧迫感のなさ)について、15名の専門パネラーに、以下の基準で官能評価してもらった。15名のつけた点数の平均を各油性皮膚外用剤の点数とした(小数点第二位を四捨五入)。なお、適量を前腕内側に噴霧後、手でなじませて評価した。
(使用感の評価基準)
5点:いやな油性感や圧迫感が感じられない
4点:いやな油性感や圧迫感があまり感じられない
3点:いやな油性感や圧迫感が少し感じられる
2点:いやな油性感や圧迫感が感じられ、許容限度である
1点:いやな油性感や圧迫感がとても感じられる
【0107】
(6)液だれしにくさ
各油性皮膚外用剤(同量噴霧を可能にするためワンプッシュバルブ(三谷バルブ製)を使用)を机上に置き、油性皮膚外用剤の噴射口から6cm離して、黒下敷きを机上に垂直に立てた。この黒下敷き表面に向けて油性皮膚外用剤をワンプッシュ噴霧して、黒下敷き表面を10秒間目視で観察し、液だれしにくさを以下の基準で評価した。
(液だれしにくさの評価基準)
3:液だれしない
2:ゆるやかに液だれする
1:勢いよく液だれする
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
表中の記号は、それぞれ以下を示す。
*1:ユビナール MC-80(BASF社製)
*2:ユビナール A plus(BASF社製)
*3:Tinosorb S(BASF社製)
*4:ユビナール T-150(BASF社製)
*5:レオパール KL2(千葉製粉社製)
*6:KF-96L-2cs(信越化学工業社製)
*7:FINSOLV TN(Innospec Active Chemicals社製)
*8:エキセパール IPP(花王社製)
*9:特開2008-143820号公報 合成例1の記載に準じて調製したもの(なお、表中の数値は、皮膚外用剤に対する有効分の含有量を意味する。)
*10:KF-7312 L(信越化学工業社製(なお、表中の数値は、皮膚外用剤に対する有効分の含有量を意味する。))
*11:レオパール ISL2(千葉製粉社製)
*12:アミノ酸系ゲル化剤 EB-21(味の素株式会社製)
*13:KF-96L-1.5cs(信越化学工業社製)
図1