(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165952
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】α線放射免疫療法薬とともにBCL-2インヒビターを使用してがんを処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20231110BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231110BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231110BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231110BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231110BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20231110BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231110BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231110BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20231110BHJP
C12N 5/09 20100101ALN20231110BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/496
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K51/10 100
A61K39/395 L
A61K39/395 N
C07K16/28 ZNA
C12Q1/02
C12N5/09
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023168404
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2020115411の分割
【原出願日】2018-04-26
(31)【優先権主張番号】62/491,803
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517405552
【氏名又は名称】アクティニウム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドラガン シシック
(57)【要約】
【課題】α線放射免疫療法薬とともにBCL-2インヒビターを使用してがんを処置するための方法の提供。
【解決手段】本発明は、がんに罹患した被験体を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、(i)BCL-2インヒビターを、(ii)上記被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに投与する工程を包含し、ここで上記BCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、互いにともに投与される場合、治療上有効である。本発明はまた、がん細胞の死滅を誘導するための方法を提供し、上記方法は、上記細胞を、(i)BCL-2インヒビターと、(ii)上記がん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに接触させる工程を包含し、ここで上記BCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、上記細胞と同時に接触させる場合、上記細胞の死滅を誘導するために有効である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2017年4月28日に出願された米国仮出願第62/491,803号(この内容は、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本出願全体を通じて、種々の刊行物が引用される。これらの刊行物の開示は、本発明が属する分野の技術水準をより十分に記載するために、本出願に参考として援用される。
【0003】
発明の分野
本発明は、がんに罹患した被験体を、その被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤と関連したBCL-2インヒビターの治療上有効なレジメンを使用して処置することに関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
BCL-2インヒビター
BCL-2インヒビターは、悪性疾患を処置する可能性がある。1つのこのようなBCL-2インヒビターは、ベネトクラクス(慢性リンパ性白血病(「CLL」)を処置することに関して承認されている薬物)である(1)。ベネトクラクスは、BIMのようなアポトーシス促進タンパク質を置き換えて、BCL-2のBH3結合溝に結合し、ミトコンドリア外膜透過化(「MOMP」)、シトクロムcの放出、およびカスパーゼ活性化を開始して、最終的にプログラムされたがん細胞死滅(すなわち、アポトーシス)を生じる(2)。
【0005】
アポトーシスは、壊死および自食作用に加えて、がん細胞における細胞死の機構である(3)。理想的には、アポトーシス促進刺激と抗アポトーシス刺激との間のバランスを変化させることによって、ベネトクラクスは、がん細胞のプログラムされた細胞死を促進し、従って、がん患者の転帰を改善する。
【0006】
しかし、アポトーシスは、複雑な経路である。がん細胞は、種々の機構を展開して、アポトーシスによる死滅を引き起こすことを意図した所定の処置ストラテジーを巧みに回避するおよび/または抑止し得る(4)(その参考文献の
図1に示されるとおり)。例えば、X連鎖XIAPは、BCL-2の遮断を抑止し得る。XIAPは、十分に特徴づけられたアポトーシスタンパク質のインヒビター(IAP)である(5)。実際に、ヒトがんの大部分は、高レベルのIAP(例えば、XIAP)を有する(6)。
【0007】
BCL-2インヒビターの効果を巧みに回避する他の考えられる機構は、
図7に認められ得る。これらは、カスパーゼ8の活性化を遮断して、BAX/BCL-2軸に対するベネトクラクスの下流の活性を妨げることを含む。また、そのアポトーシス経路のうちの一部分を刺激または遮断しないことは、アポトーシス促進刺激がアポトーシス経路を誘発するためになお必要とされるので、アポトーシスを引き起こすために十分ではないこともある(7),(8)。
【0008】
結論として、全てのがん細胞がBCL-2インヒビターに応答するわけではない。1つのベネトクラクス治験では、例えば、完全奏功率(不完全な骨髄回復を伴う完全奏功を含む)は、患者のうちの大部分(79.4%)がベネトクラクスに対していくらかの応答レベルを有したとしても、7.5%であった(2)。さらに、ベネトクラクスは、好中球に対する顕著な骨髄抑制効果を有し、患者のうちの40%は、グレード3および/または4の好中球減少症を経験する(2)。
【0009】
放射線
放射線は、がんを処置するための認識されている方法である。放射線の細胞効果が細胞周期停止、変異、アポトーシス、壊死および自食作用を含むことは公知である(9)。細胞損傷の放射線関連メディエーターとしては、以下が挙げられる:(i)直接的LED(線形エネルギー蓄積(linear energy deposition));(ii)ROS(活性酸素種);および(iii)RNS(活性窒素種)(9)。
【0010】
これらのメディエーターは、以下の機構を介して細胞損傷/殺滅/停止をもたらす:(i)DNA損傷(9)(例えば、2本鎖DNA切断(最も効率的)、1本鎖DNA切断(あまり効率的でなく、修復可能)、DNA塩基損傷(最も効率的でなく、修復可能)、およびDNA架橋);(ii)アポトーシスカスケードに対する直接的効果(例えば、カスパーゼの直接的活性化、およびIAPへの損傷)(10);および(iii)バイスタンダー効果(すなわち、放射線によって直接的に損傷されていない細胞の損傷または殺滅(これは、標的細胞からのギャップジャンクション連絡および/またはサイトカインを介する媒介を通じて、損傷または殺滅が起こる))(11)。
【0011】
併用療法の予測不能性
ベネトクラクスおよび放射線の相乗作用のマウス異種移植片モデル(12)において、ベネトクラクスおよび
90Yベースの放射免疫療法の組み合わせで処置したマウスは、ベネトクラクスまたは放射免疫療法のいずれか単独で処置したマウスと比較して、より良好な生存率を有した。異種移植マウスコホートにおける生存の転帰は、
図8に示される。
【0012】
しかし、重要なことには、これらのマウスの結果は、ヒトには適用可能でないこともある。実際に、放射線をベネトクラクスとともに使用して、ヒトにおいてがんを処置することを実行不能にし得る種々の要因が存在する。
【0013】
1つのこのような要因は、酸素化である。異種移植されたマウスは、Fred Hutchinson Cancer Research Center実験では、小さな腫瘍塊を有した。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)腫瘍異種移植片を、容積50mm3において処置したところ、0.5cm未満の腫瘍直径が示唆された。MD Anderson研究でのDLBCL患者に関しては、患者のうちの約25%は、7cmより大きな腫瘍直径を有した(13)。ラットにおける大きな異種移植された腫瘍では、3.5cm3より大きな腫瘍では、ベースラインの低酸素が、80%より高い一方で、2.5cm3より小さな腫瘍は、約20%のベースラインの低酸素を有することが見出された(14)。低酸素は、ROSの生成を低下させることによって、照射への抵抗性を付与する(15)、(16)、(17)。ヒト疾患において低酸素領域を伴う高い腫瘍負荷は、β線誘導性ROSおよびRNSを顕著に抑止する。
【0014】
別のこのような要因は、実現可能な線量レベルの範囲である。候補治療剤に関するマウス実験では、そのマウスは、代表的には、ヒトに適用され得ない薬物重量/体重の線量を受容する。例えば、上記の90Y/ベネトクラクス併用実験では、マウスを、800μCiおよび1,200μCi/マウスの線量で処置した(それによって、800μCiを、ベネトクラクスと併用した)。マウスにおいて800μCiは、平均的なヒトにおいて3,000mCiに相当する。比較すると、Zevalin(登録商標)(90Y-RIT、イブリツモマブチウキセタン)は、32mCiを超えない線量で患者に投与され得る(18)。
BCL-2インヒビター(例えば、ベネトクラクス)および放射線療法(例えば、90Yベースの治療)で認められる課題を解決するがん治療が未だに必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】L.Harrisonら、The Oncologist(2004)9(補遺5)31~40
【非特許文献2】M.Hockelら、Journal of the National Cancer Institute(2001年2月21日)93巻4号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の要旨
本発明は、がんに罹患した被験体を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、(i)BCL-2インヒビターを、(ii)上記被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに投与する工程を包含し、ここで上記BCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である。
【0017】
本発明はまた、急性骨髄性白血病に罹患したヒト被験体を処置するための方法を提供し、上記方法は、上記被験体に、(i)ベネトクラクスを、(ii)225Ac標識HuM195とともに投与する工程を包含し、ここで上記ベネトクラクスおよび225Ac標識HuM195の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である。
【0018】
本発明はさらに、がん細胞の死滅を誘導するための方法を提供し、上記方法は、上記細胞を、(i)BCL-2インヒビターと、(ii)上記がん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに接触させる工程を包含し、ここで上記BCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、上記細胞と同時に接触させる場合に、上記細胞の死滅を誘導するために有効である。
【0019】
最後に、本発明はまた、急性骨髄性白血病細胞の死滅を誘導するための方法を提供し、上記方法は、上記細胞を、(i)ベネトクラクスと、(ii)225Ac標識HuM195とともに接触させる工程を包含し、ここで上記ベネトクラクスおよび225Ac標識HuM195の量は、上記細胞と同時に接触させる場合に、上記細胞の死滅を誘導するために有効である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この図は、HuM195の発現プラスミドの模式図を示す。HuM195のヒト化VLおよびVHエキソンは、XbaI部位に隣接する。そのVLエキソンを、哺乳動物発現ベクターpVkへと挿入し、そのVHエキソンを、pVg1へと挿入した(Coら, J. Immunol. 148:1149-1154, 1992)。
【0021】
【
図2】この図は、pVkにおいてXbaI部位とBamHI部位との間にクローニングされたHuM195軽鎖遺伝子の完全配列を示す。ヌクレオチド番号は、プラスミドpVk-HuM195におけるその位置を示す。そのVLおよびCKエキソンは、一文字コードで翻訳される;ドットは、翻訳終止コドンを示す。その成熟軽鎖は、二重下線を付したアスパラギン酸(D)で始まる。イントロン配列は、斜体にされている。ポリAシグナルには下線が付されている。
【0022】
【
図3-1】この図は、pVg1においてXbaI部位とBamHI部位との間にクローニングされたHuM195重鎖遺伝子の完全配列を示す。ヌクレオチド番号は、プラスミドpVg1-HuM195におけるその位置を示す。そのVH、CH1、H、CH2およびCH3エキソンは、一文字コードで翻訳される;ドットは、翻訳終止コドンを示す。その成熟重鎖は、二重下線を付したグルタミン(Q)で始まる。イントロン配列は、斜体にされている。ポリAシグナルには下線が付されている。
【0023】
【
図4】この図は、
225Ac-リンツズマブ(
225Ac-HuM195)の構造を示す。
【0024】
【
図5】この図は、
225Ac-HuM195の生成のためのフローチャートを示す。
【0025】
【
図6】この図は、AMLの
225Ac-リンツズマブ(
225Ac-HuM195)処置の投与プロトコルを示す。
【0026】
【
図7】この図は、アポトーシス性細胞死の模式図およびアポトーシスに対するがん細胞抵抗性の機構を示す((4)から改変)。
【0027】
【
図8】この図は、ベネトクラクス単独、標的化β放射免疫療法単独、およびベネトクラクスおよび標的化β放射免疫療法の組み合わせで処置した異種移植されたマウスの生存のダイアグラムを示す。Rec-1を有するマウスでは、ベネトクラクスは、単独では効果がなく(p= .12)、800μCi PRITは、コントロールを超えて生存時間を111%長期化した(p= .0001)一方で、組み合わせは、コントロールを超えて生存を483%長期化し、40%を治癒した(p= .001, 組み合わせ群>PRIT単独)。U2932異種移植片モデルでは、ベネトクラクス単独は、コントロールと比較して生存時間を倍増させ(p< .0001)、そして800μCi PRIT単独は、生存を倍増させ、30%を治癒した。組み合わせ処置は、100%を治癒した(12)。
【0028】
【
図9】この図は、アポトーシス性細胞殺滅のβ線での機構とα線での機構との間の比較を示す。図が示すように、α線は、β線より有意に(約700倍)強力であり;β線より多くのdsDNA切断を引き起こし;組織酸素化および細胞分裂相に依存せず;β線およびγ線、ならびに細胞傷害性化学療法に対する細胞抵抗性を克服し得る。これらの知見はまとめて、(9)~(11)および(22)~(24)によって裏付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な説明
本発明は、がんに罹患した被験体を処置するための方法を提供する。これらの方法は、その被験体に、2タイプの薬剤を互いにともに投与する工程を包含する。その第1のタイプの薬剤は、BCL-2インヒビター(例えば、ベネトクラクス)である。その第2のタイプは、その被験体におけるがん細胞を標的とする、α線放射同位体標識された薬剤(例えば、225Ac標識HuM195)である。
【0030】
定義
本出願において、ある種の用語が使用され、それら用語は、以下に示される意味を有するものとする。
【0031】
本明細書で使用される場合、「投与する(administer)」とは、薬剤に関して、その薬剤を任意の公知の方法を介して被験体の身体へと送達することを意味する。具体的な投与様式としては、静脈内、経口、舌下、経皮、皮下、腹腔内、髄腔内および腫瘍内投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
さらに、本発明において、使用される種々の抗体および他の抗原標的化薬剤は、1またはこれより多くの慣用的に使用される薬学的に受容可能なキャリアを使用して製剤化され得る。このようなキャリアは、当業者に周知である。例えば、注射可能な薬物送達システムとしては、溶液、懸濁物、ゲル、マイクロスフェアおよびポリマー注射剤が挙げられ、賦形剤(例えば、溶解度変更剤(例えば、エタノール、プロピレングリコールおよびスクロース))およびポリマー(例えば、ポリカプロラクトンおよびPLGAのもの)を含み得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「薬剤(agent)」とは、BCL-2インヒビターに言及しようと、α線放射同位体標識された薬剤に言及しようと、このような目的に有用な任意のタイプの化合物または組成物であり得る。薬剤のタイプとしては、抗体、他のタンパク質ベースの薬物、ペプチド、核酸、炭水化物および低分子薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「α線放射同位体(alpha-emitting isotope)」としては、225Ac、213Biおよび213Poが挙げられるが、これらに限定されない。α線放射同位体を抗体に付着させる(すなわち、抗体をα線放射同位体で「標識する」)ための方法は、周知である。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「抗体(antibody)」としては、(a)2本の重鎖および2本の軽鎖を含み、抗原を認識する免疫グロブリン分子;(b)ポリクローナル免疫グロブリン分子およびモノクローナル免疫グロブリン分子;(c)これらの一価および二価のフラグメント、ならびに(d)これらの二重特異的形態が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリン分子は、一般に公知のクラス(IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMが挙げられるが、これらに限定されない)のうちのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスは、同様に当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、天然に存在するものおよび天然に存在しないものの両方であり得る。さらに、抗体としては、キメラ抗体、完全合成抗体、1本鎖抗体、およびこれらフラグメントが挙げられる。抗体は、ヒトのもの、ヒト化されたもの、または非ヒトのものであり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「抗CD33抗体(anti-CD33 antibody)」とは、CD33の任意の利用可能なエピトープに結合する抗体である。一実施形態において、その抗CD33抗体は、抗体HuM195によって認識されるエピトープに結合する。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「負荷(burden)」とは、がん性細胞に関して使用される場合、量を意味する。よって、がん性細胞「負荷」は、がん性細胞の量を意味する。がん性細胞は、それらの起源組織(すなわち、疾患の原発部位)に関して負荷を有する(例えば、AMLの場合には、「骨髄芽球負荷(bone marrow blast burden)」)。がん性細胞はまた、起源組織以外の1またはこれより多くの組織に関して負荷を有する(例えば、AMLの場合には血液、肝臓および脾臓における芽球負荷)。用語「末梢負荷(peripheral burden)」とは、このような細胞に関連する。がん性細胞(例えば、AMLの場合には芽球)の末梢負荷は、異なる結果を伴う異なる方法で測定され得る。例えば、AMLの場合には、「末梢芽球負荷(peripheral blast burden)」は、骨髄の外側にいる全芽球集団、または血液、脾臓および肝臓を合わせた全芽球集団、または単に、細胞/単位容積において測定される場合の血液の芽球集団として測定され得る。AMLおよび骨髄に起源を有する他のがんに関して本明細書で使用される場合、および別段述べられなければ、用語「末梢がん性細胞負荷(peripheral cancerous cell burden)」(例えば、末梢芽球負荷)は、細胞/単位容積(例えば、細胞/μl)において測定される場合の血液のがん性細胞集団に言及する。この血液ベースの測定値は、例えば、脾臓および肝臓負荷のより扱いづらい測定値の有用な代用である。
【0038】
本明細書では、被験体における末梢がん性細胞負荷は、その被験体が血液悪性疾患関連抗原を標的化する薬剤(例えば、抗体)を最大安全用量で投与されるときに、その薬剤が疾患の原発部位においてその標的抗原のうちの90%超に結合するために十分な量でその部位に達しない場合に「高い」。逆に、被験体における末梢がん性細胞負荷は、その被験体が血液悪性疾患関連抗原を標的化する薬剤(例えば、抗体)を最大安全用量で投与されるときに、その薬剤が疾患の原発部位においてその標的抗原のうちの90%超に結合するために十分な量でその部位に達する場合に「低い」。AMLの場合には、低い末梢芽球負荷の例は、1,000芽球/μl以下、500芽球/μl以下、400芽球/μl以下、300芽球/μl以下、200芽球/μl以下、100芽球/μl以下、および50芽球/μl以下の血液芽球負荷を生じるものである。
【0039】
「血液悪性疾患(hematologic malignancy)」(血液のがんとしても公知)は、血液形成組織(例えば、骨髄)または免疫系の他の細胞に起源を有するがんである。血液悪性疾患としては、白血病(例えば、AML、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性混合系統白血病(acute mixed lineage leukemia)、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病および大顆粒リンパ性白血病)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(真正多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症および慢性骨髄性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、ならびにMGUSおよび類似の障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用される場合、「血液悪性疾患関連抗原(hematologic malignancy-associated antigen)」とは、その特定の悪性疾患と関連するがん細胞の表面に専らまたは主に見出される、例えば、タンパク質および/または炭水化物マーカーであり得る。血液悪性疾患関連抗原の例としては、CD20、CD33、CD38、CD45、CD52、CD123およびCD319が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
抗体「HuM195」(リンツズマブとしても公知)は、これを作製する方法も同様に、公知である。同様に、HuM195を225Acで標識するための方法が公知である。これらの方法は、例えば、Scheinbergら, 米国特許第6,683,162号に例示される。この情報はまた、以下の実施例および図面においても例示される。
【0042】
本明細書で使用される場合、被験体に、BCL-2インヒビターを、その被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤「とともに」投与することは、その標識された薬剤の投与前、投与中または投与後に、そのBCL-2インヒビターを投与することを意味する。この投与としては、以下のシナリオが挙げられるが、これらに限定されない:(i)そのBCL-2インヒビターが第1に投与され(例えば、21日間、28日間、35日間、42日間、49日間、またはより長い期間にわたって1日に1回経口的に、その間に、その処置中のがんは進行せず、かつその間にそのBCL-2インヒビターは、許容不能な毒性を引き起こさない)、そしてその標識された薬剤は第2に投与される(例えば、静脈内に、単回用量または数週間の期間にわたって複数回用量で);(ii)そのBCL-2インヒビターは、その標識された薬剤と同時に投与される(例えば、そのBCL-2インヒビターは、n日間にわたって1日に1回経口投与され、その標識された薬剤は、そのBCL-2インヒビターレジメンの2日目からn-1日目までの1日に、単回用量で静脈内投与される);(iii)そのBCL-2インヒビターは、その標識された薬剤と同時に投与される(例えば、そのBCL-2インヒビターは、1ヶ月間より長い継続期間にわたって経口投与され(例えば、35日間、42日間、49日間、またはより長い期間にわたって1日に1回経口投与され、その間にその処置中のがんは進行せず、かつその間にそのBCL-2インヒビターは、許容不能な毒性を引き起こさない)、そしてその標識された薬剤は、そのBCL-2インヒビターレジメンの最初の1ヶ月以内のある日に、単回用量で静脈内投与される);ならびに(iv)その標識された薬剤は、第1に投与され(例えば、静脈内に、単回用量または数週間の期間にわたって複数回用量で)、そしてそのBCL-2インヒビターは、第2に投与される(例えば、21日間、28日間、35日間、42日間、49日間、またはより長い期間にわたって1日に1回経口投与され、その間にその処置中のがんは進行せず、かつその間にそのBCL-2インヒビターは、許容不能な毒性を引き起こさない)。さらなる変更は、以下の実施例の節において提供される。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「被験体(subject)」とは、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウサギ、ブタ、ラットおよびマウス)が挙げられるが、これらに限定されない。その被験体がヒトである場合、その被験体は、任意の年齢であり得る。例えば、その被験体は、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上、または90歳以上であり得る。あるいは、その被験体は、50歳以下、45歳以下、40歳以下、35歳以下、30歳以下、25歳以下、または20歳以下であり得る。AMLに罹患したヒト被験体に関して、その被験体は、新たに診断され得るか、または再発および/もしくは難治性であり得るか、または寛解中であり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、抗原(例えば、CD33)またはマーカー(例えば、BCL-2)を標的とする薬剤の「亜飽和用量(sub-saturating dose)」とは、存在する標的抗原より少ない標的抗原結合部位(例えば、Fabのもの)を、または適用可能である場合、存在する標的マーカーより少ない標的マーカー結合部位(例えば、ベネトクラクス分子)を、その被験体の身体に導入する用量である。例示によれば、抗CD33抗体に関しては、亜飽和用量は、存在するCD33分子より少ないCD33結合部位を、その被験体の身体に導入する用量である。一実施形態において、血液悪性疾患関連抗原を標的とする薬剤の亜飽和用量は、標的抗原結合部位 対 標的抗原の比が、9:10未満またはこれに等しい用量である。別の実施形態において、標的抗原結合部位 対 標的抗原の比は、1:2未満もしくはこれに等しいか、1:5未満もしくはこれに等しいか、1:10未満もしくはこれに等しいか、1:20未満もしくはこれに等しいか、または1:100未満もしくはこれに等しい。さらなる例示によれば、BCL-2インヒビターに関しては、亜飽和用量は、存在するBCL-2タンパク質より少ないBCL-2結合部位を、その被験体の身体に導入する用量である。一実施形態において、BCL-2インヒビターの亜飽和用量は、インヒビター 対 BCL-2タンパク質の比が、9:10未満もしくはこれに等しい用量である。別の実施形態において、標的抗原結合部位 対
標的抗原の比は、1:2未満もしくはこれに等しいか、1:5未満もしくはこれに等しいか、1:10未満もしくはこれに等しいか、1:20未満もしくはこれに等しいか、または1:100未満もしくはこれに等しい。さらなる実施形態において、BCL-2インヒビター(例えば、ベネトクラクス)の「亜飽和用量」は、ヒトにおいてそのインヒビターの最大承認用量より低い用量である(例えば、400mg/日未満、300mg/日未満、200mg/日未満、100mg/日未満、50mg/日未満、または10mg/日未満)。
【0045】
α線放射同位体で標識された抗体のような薬剤に関しては、被験体に投与される薬剤の大部分は、代表的には、標識されていない抗体からなり、少量が標識された抗体である。従って、一実施形態において、血液悪性疾患関連抗原を標的とする薬剤の亜飽和用量は、全(すなわち、標識されたおよび標識されていない)標的抗原結合部位 対 標的抗原の比は、9:10未満もしくはこれに等しい用量である(そして1:2未満もしくはこれに等しいか、1:5未満もしくはこれに等しいか、1:10未満もしくはこれに等しいか、1:20未満もしくはこれに等しいか、または1:100未満もしくはこれに等しい可能性がある)。別の実施形態において、血液悪性疾患関連抗原を標的とする薬剤の亜飽和用量は、標識された標的抗原結合部位 対 標的抗原の比が9:10未満もしくはこれに等しい(そして1:2未満もしくはこれに等しいか、1:5未満もしくはこれに等しいか、1:10未満もしくはこれに等しいか、1:20未満もしくはこれに等しいか、または1:100未満もしくはこれに等しい可能性がある)用量である。
【0046】
本発明に関して使用される標識された薬剤の亜飽和用量は、例えば、単回投与、および2回またはこれより多くの投与(すなわち、一部)を含む。各用量において投与される量は、例えば、標識された放射能(radiation activity)(例えば、μCi/kg)または抗体重量(例えば、μg/kgもしくはμg/m2)によって測定され得る。AMLを処置するための225Ac-HuM195の場合には、ヒト投与レジメンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)2×<0.5μCi/kg、2×0.5μCi/kg、2×1.0μCi/kg、2×1.5μCi/kg、もしくは2×2.0μCi/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);(ii)<0.5μCi/kg、もしくは0.5μCi/kg~10μCi/kg;(iii)2×<7.5μg/kg、2×7.5μg/kg、2×10μg/kg、もしくは2×12.5μg/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);または(iv)<15μg/kg、もしくは15μg/kg~50μg/kg。
【0047】
本明細書で使用される場合、BCL-2インヒビターの量および被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤の量は、互いにともに投与される場合に、その被験体が処置されるのであれば「治療上有効(therapeutically effective)」である。
【0048】
本明細書で使用される場合、障害に罹患した被験体を「処置すること(treating)」としては、以下が挙げられるが、これらに限定されないものとする:(i)その障害の進行を遅らせるか、停止するか、もしくは逆転させる(reversing)、(ii)その障害の症状の進行を遅らせるか、停止するか、もしくは逆転させる、(iii)その障害の再発の可能性を低減する、および/または(iv)その障害の症状が再発する可能性を低減する。好ましい実施形態において、障害に罹患した被験体を処置するとは、(i)その障害の進行を、理想的にはその障害を排除するという点まで逆転させる、および/または(ii)その障害の症状の進行を、理想的にはその症状を排除するという点まで逆転させる、および/または(iii)再発の可能性を低減するかもしくは排除する(すなわち、地固め(これは、AMLの寛解後療法の共通する目的であり、理想的には、いかなる残留する白血病細胞の破壊をもたらす))。
【0049】
血液悪性疾患の処置(例えば、AMLの処置)は、多くの臨床エンドポイントに従って測定され得る。これらとしては、生存期間(例えば、数週間、数カ月間、もしくは数年間の改善された生存期間、例えば、1ヶ月、2ヶ月もしくはこれより長い月数の追加の生存期間)、および応答状態(例えば、完全寛解(CR)、不完全な血小板回復を伴う完全寛解(CRp)、不完全な末梢血回復を伴う完全寛解(CRi)、形態的な白血病がない状態(MLFS)および部分寛解(PR))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
一実施形態において、血液悪性疾患の処置(例えば、AMLの処置)は、寛解という点で測定され得る。ここでは、以下の非限定的な例が挙げられる。(1)形態的な完全寛解(「CR」):ANC≧1,000/mcl、血小板数≧100,000/mcl、<5% 骨髄芽球、アウエル小体なし、髄外疾患の証拠なし(骨髄細胞充実性、ヘモグロビン濃度の要件はなし)。(2)不完全な血球数回復を伴う形態的な完全寛解(「CRi」):CRと同じであるが、ANCが<1,000/mclおよび/または血小板数<100,000/mclであり得る。(3)部分寛解(PR):ANC≧1,000/mcl、血小板数>100,000/mcl、および骨髄吸引芽球のパーセンテージにおいて5~25%へと少なくとも50%減少、もしくは持続性のアウエル小体を伴う骨髄芽球<5%。これらの基準および他は公知であり、例えば、SWOG Oncology Research Professional (ORP) Manual Volume I,
Chapter 11A, Leukemia (2014)に記載される。
【0051】
発明の実施形態
本発明は、アルファ粒子の使用を用いる。これらの粒子は、標的細胞、例えば、白血病細胞においてアポトーシスを誘導する(10)、(19)。α放射体およびβ放射体は、白血病細胞において匹敵する活性において異なる効率でアポトーシスを誘導する(10)。α粒子は、白血病細胞におけるドキソルビシン抵抗性、CD95抵抗性、ならびにβ線およびγ線に対する放射線抵抗性を克服し得る(10)。その粒子は、以下を介してアポトーシスを誘導する:(i)2本鎖DNA切断(20)、(21);(ii)カスパーゼの活性化;(iii)[213Bi]抗CD45が、CD95リガンド/レセプター系とは無関係のミトコンドリア経路を通じて、カスパーゼ2、3、8および9を活性化するという事実(10)、(19);ならびに(iv)XIAPおよびBcl-XLの不活性化(19)。
【0052】
具体的には、本発明は、第1の治療法を提供する。この第1の方法は、がんに罹患した被験体を処置するためのものであり、上記方法は、その被験体に、(i)BCL-2インヒビターを、(ii)その被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに投与する工程を包含し、ここでそのBCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である。
【0053】
本発明はまた、第2の治療法を提供する。この第2の方法は、急性骨髄性白血病に罹患したヒト被験体を処置するためのものであり、上記方法は、その被験体に、(i)ベネトクラクスを、(ii)225Ac標識HuM195とともに投与する工程を包含し、ここでそのベネトクラクスおよび225Ac標識HuM195の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である。
【0054】
好ましくは、その第1のおよび第2の治療法において、その被験体はヒトである。その第1のおよび第2の治療法の一実施形態において、そのがんは、血液悪性疾患であり、好ましくは、急性骨髄性白血病のような白血病である。
【0055】
その第1のおよび第2の治療法の好ましい実施形態において、そのBCL-2インヒビターは、ベネトクラクスである。また、その第1のおよび第2の治療法の好ましい実施形態において、そのα線放射同位体標識された薬剤は、α線放射同位体で標識された抗CD33抗体、理想的には、225Ac標識HuM195である。これらの方法において、そのBCL-2インヒビター、その標識された薬剤、または両方は、好ましくは、(i)亜飽和用量において、および/または(ii)それらそれぞれの標識で現在処方されるものより低い(および/またはより短い継続期間)である用量において、投与される。また、これらの方法において、その被験体の末梢芽球負荷は、好ましくは低く、その方法は、好ましくは、好中球減少症の許容不能なレベルを引き起こさない。
【0056】
本発明は、第3の方法を提供する。この第3の方法は、がん細胞の死滅を誘導するためのものであり、上記方法は、上記細胞を、(i)BCL-2インヒビターと、(ii)そのがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに接触させる工程を包含し、ここでそのBCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、上記細胞と同時に接触させる場合に、細胞の死滅を誘導するために有効である。
【0057】
好ましくは、そのがん細胞は、ヒトがん細胞である。一実施形態において、そのがん細胞は、血液細胞であり、好ましくは、急性骨髄性白血病細胞のような白血病細胞である。
【0058】
好ましい実施形態において、そのBCL-2インヒビターは、ベネトクラクスである。また、好ましい実施形態において、そのα線放射同位体標識された薬剤は、α線放射同位体で標識された抗CD33抗体、理想的には、225Ac標識HuM195である。
【0059】
本発明はまた、第4の方法を提供する。この第4の方法は、急性骨髄性白血病細胞の死滅を誘導するためのものであり、上記方法は、上記細胞を、(i)ベネトクラクスと、(ii)225Ac標識HuM195とともに接触させる工程を包含し、ここでそのベネトクラクスおよび225Ac標識HuM195の量は、上記細胞と同時に接触させる場合に、その細胞の死滅を誘導するために有効である。
【0060】
最後に、本発明は、2つの製造物品を提供する。その第1の物品は、(i)BCL-2インヒビター(例えば、ベネトクラクス)および(ii)そのBCL-2インヒビターをその被験体に、その被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤(例えば、225Ac標識HuM195)とともに投与することによって、その使用者(例えば、その患者またはヘルスケア提供者)に、がん(例えば、急性骨髄性白血病)に罹患した被験体を処置するように指示する表示を含み、ここでそのBCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である。その第2の物品は、(i)がん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤(例えば、225Ac標識HuM195)および(ii)その標識された薬剤をその被験体に、BCL-2インヒビター(例えば、ベネトクラクス)とともに投与することによって、そのユーザーにがん(例えば、急性骨髄性白血病)に罹患した被験体を処置するように指示する表示を含み、ここでそのBCL-2インヒビターおよび標識された薬剤の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である。
【0061】
適用可能である場合には常に、本発明の方法はまた、事前標的化放射免疫療法(pre-targeted radioimmunotherapy)(PRIT)を使用して行われ得る。PRITベースの方法は、(i)マーカー(例えば、ストレプトアビジン)で標識したモノクローナル抗体を投与する工程、(ii)次いで、適切な除去剤(clearing agent)(例えば、ビオチンガラクトース除去剤)を投与する工程、および(iii)そのマーカーに特異的に結合するα線放射同位体標識された薬剤(例えば、225Ac標識したビオチン)を投与する工程を包含する。従って、α線放射同位体標識された薬剤を投与するための非PRITベースの方法に関する本発明の種々の実施形態は、必要な変更を加えて、これらのPRITベースの方法に適用する。
【0062】
本発明は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解されるが、当業者は、詳述された具体例が、その後に続く請求項により十分に記載されるとおりの本発明の例証に過ぎないことを容易に認識する。
【実施例0063】
実施例1 -
225Ac-リンツズマブ(
225Ac-HuM195)の構造
225Ac-リンツズマブは、3つの重要な構成要素を含む;ヒト化モノクローナル抗体HuM195(一般名、リンツズマブ)、α線を放射する放射性同位体
225Ac、および二官能性キレート化合物2-(p-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(p-SCN-Bn-DOTA)。
図4に示されるように、HuM195は、
225Acに結合しかつその抗体上のリジン残基を介してIgGに共有結合的に付着する二官能性キレート化合物p-SCN-Bn-DOTAを使用して放射性標識される。
【0064】
実施例2 - p-SCN-Bn-DOTA
DOTA、2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン四酢酸(大環状化合物アイテムコード(Macrocyclics item code)B205-GMP)は、米国特許第4,923,985号に十分に記載される複数工程の有機合成によって合成される。
【0065】
実施例3 - 225Ac-リンツズマブ(225Ac-HuM195)の調製
225Ac-リンツズマブを調製するための手順は、Michael R. McDevitt, 「Design and synthesis of 225Ac radioimmuno-pharmaceuticals, Applied Radiation and Isotope」, 57 (2002), 841-847によって記載される方法に基づく。その手順は、二官能性キレート化合物p-SCN-Bn-DOTAを、放射性同位体225Acで放射性標識し、続いて、その放射性標識したp-SCN-Bn-DOTAを、抗体(HuM195)に結合させる工程を包含する。この構築物225Ac-p-SCN-Bn-DOTA-HuM195を、10 DGサイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製し、1% ヒト血清アルブミン(HSA)で溶離する。その得られた薬物生成物Ac225-リンツズマブを、次いで、0.2μm滅菌フィルタに通す。
【0066】
実施例4 -
225Ac-リンツズマブ(
225Ac-HuM195)の調製のためのプロセスフロー
その手順(
図5に示される)を、全ての構成要素の正体、および生産までのその構成要素のその後のQCリリースを確認して開始する。
225Acをアッセイして、放射能のレベルを確認し、塩酸で所望の放射能濃度へと再構成する。凍結乾燥したp-SCN-Bn-DOTAのバイアルを、金属非含有水で10mg/mLの濃度へと再構成する。そのアクチニウム反応バイアルに、0.02mlのアスコルビン酸溶液(150mg/mL)および0.05mlの再構成したp-SCN-Bn-DOTAを添加し、そのpHを、5~5.5の間へと2M テトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)で調節する。次いで、その混合物を、55±4℃において30分間加熱する。
【0067】
その225Ac-p-SCN-Bn-DOTAの標識効率を決定するために、その反応混合物のアリコートを取り出し、Sephadex C25カチオン交換樹脂の1mlカラムに適用する。その生成物を、0.9%食塩溶液を用いて2~4ml画分で溶離する。溶離する225Ac放射能の画分は、225Ac-p-SCN-Bn-DOTAであり、そのカラム上に保持される画分は、キレート化されておらず、非反応性の225Acである。代表的には、その標識効率は、95%より高い。
【0068】
その反応混合物に、0.22mlの事前に調製した、DTPA中のHuM195(1mg HuM195)および0.02mlのアスコルビン酸を添加する。そのDTPAを添加して、その抗体の標識と競合し得るあらゆる微量の金属を結合させる。アスコルビン酸を、放射線防護剤として添加する。そのpHを、炭酸緩衝液でpH8.5~9へと調節する。その混合物を、37±3℃において30分間加熱する。
【0069】
その最終生成物を、10DG樹脂を使用するサイズ排除クロマトグラフィーによって精製し、2mlの1% HSAで溶離する。代表的な反応収率は、10%である。
【0070】
実施例5 - ベネトクラクスおよびその通常の投与レジメン
ベネトクラクスは、Genentech(San Francisco, CA)によって商標名VenclextaTMの下で販売される。FDAのVenclextaTM表示によれば、この薬物は、「17p欠失を有し…少なくとも1回の事前の治療を受けたことがある、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者の処置に関して示されたBCL-2インヒビターである」。VenclextaTMは、10mg、50mgおよび100mgの錠剤形態で販売される。治療は、「7日間にわたって1日に1回、20mgで、続いて、400mgという推奨1日用量への1週間にわたる用量上昇投与スケジュール(weekly ramp-up dosing schedule)」で開始されるべきである。その用量上昇投与スケジュールは、以下のとおりである:1週間目、20mg/日;2週間目、50mg/日;3週間目、100mg/日;4週間目、200mg/日;および5週間目以降、400mg/日。この投与レジメンは、処置される障害に拘わらず、ベネトクラクスの「通常の」ヒト投与レジメンと本明細書でいわれる。より短い継続期間(例えば、21日間)を有するかまたはより少ないベネトクラクスの投与(例えば、合計21日間にわたって20mg/日)を包含する任意の投与レジメンは、「低減した」ヒト投与レジメンと本明細書でいわれる。用語「通常の」ヒト投与レジメンおよび「低減した」ヒト投与レジメンはまた、任意の他のBCL-2インヒビターに、その承認されたかまたは別の慣習的な投与レジメンに関して、必要な変更を加えて適用する。
【0071】
「通常の」マウス投与レジメンおよび「低減された」マウス投与レジメンもまた想定され、各々は、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。さらに、「通常の」マウス投与レジメンは、少なくとも21日間の継続期間を有する。
【0072】
実施例6 - 225Ac-HuM195およびその通常の投与レジメン
225Ac-HuM195の場合、その「通常の」ヒト投与レジメンは、(処置される障害に拘わらず)、この用語が本明細書で使用されるとおり、以下のうちのいずれかを含む:(i)2×2.0μCi/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);および(ii)単回投与で送達される場合、4.0μCi/kg。より少ない225Ac-HuM195の投与(例えば、単回投与で送達される場合、2.0μCi/kg)を包含する任意の投与レジメンは、「低減された」ヒト投与レジメン(これはまた、亜飽和用量と見做され得る)と本明細書で言及される。用語「通常の」ヒト投与レジメンおよび「低減された」ヒト投与レジメンはまた、任意の他のα線放射同位体標識された薬剤に、その承認されたかまたは別の慣習的な投与レジメンに関して、必要な変更を加えて適用する。
【0073】
「通常の」マウス投与レジメンおよび「低減された」マウス投与レジメンもまた想定され、各々は、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0074】
実施例7 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオI
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、その通常の投与レジメンに従って(すなわち、少なくとも5週間にわたって)経口投与し、続いて、225Ac-HuM195をその通常の投与レジメン(単回投与または分割投与のいずれか)に従って静脈内投与する。一実施形態において、その第1の(かつ適用可能な場合には唯一の)用量の225Ac-HuM195を、ベネトクラクスの最後の用量と同日に、またはその最後の用量の1日後に投与する。
【0075】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0076】
実施例8 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオII
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、その通常の投与レジメンに従って(すなわち、少なくとも5週間にわたって)経口投与し、続いて、225Ac-HuM195の低減した投与レジメンを(単回投与または分割投与のいずれか)静脈内投与する。一実施形態において、その第1の(かつ適用可能な場合には唯一の)用量の225Ac-HuM195を、ベネトクラクスの最後の用量と同日に、またはその最後の用量の1日後に投与する。別の実施形態において、225Ac-HuM195の低減した投与レジメンは、(i)2×0.5μCi/kg、2×1.0μCi/kg、もしくは2×1.5μCi/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);または(ii)1×0.5μCi/kg、1×1.0μCi/kg、1×2.0μCi/kg、もしくは1×3.0μCi/kg(単回投与に関して)である。
【0077】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0078】
実施例9 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオIII
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、低減した投与レジメンに従って経口投与し、続いて、225Ac-HuM195の通常の投与レジメン(単回投与または分割投与のいずれか)を静脈内投与する。一実施形態において、その第1の(かつ適用可能な場合には唯一の)用量の225Ac-HuM195を、ベネトクラクスの最後の用量と同日に、またはその最後の用量の1日後に投与する。別の実施形態において、ベネトクラクスの低減した投与レジメンは、以下のうちの1つである:(i)7日間にわたって1日に1回、20mg;(ii)14日間にわたって1日に1回、20mg;(iii)21日間にわたって1日に1回、20mg;(iv)7日間にわたって1日に1回、50mg;(v)14日間にわたって1日に1回、50mg;(vi)21日間にわたって1日に1回、50mg;(vii)7日間にわたって1日に1回、100mg;(viii)14日間にわたって1日に1回、100mg;(ix)21日間にわたって1日に1回、100mg;(x)7日間にわたって1日に1回、200mg;(xi)14日間にわたって1日に1回、200mg;(xii)21日間にわたって1日に1回、200mg;(xiii)7日間にわたって1日に1回、400mg;および(xiv)1週間目は20mg/日、2週間目は50mg/日、および3週間目は100mg/日。
【0079】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0080】
実施例10 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオIV
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、低減した投与レジメンに従って経口投与し、続いて、225Ac-HuM195の低減した投与レジメン(単回投与または分割投与のいずれか)を静脈内投与する。一実施形態において、その第1の(かつ適用可能な場合には唯一の)用量の225Ac-HuM195を、ベネトクラクスの最後の用量と同日に、またはその最後の用量の1日後に投与する。別の実施形態において、(a)ベネトクラクスの低減した投与レジメンは、以下のうちの1つである:(i)7日間にわたって1日に1回、20mg;(ii)14日間にわたって1日に1回、20mg;(iii)21日間にわたって1日に1回、20mg;(iv)7日間にわたって1日に1回、50mg;(v)14日間にわたって1日に1回、50mg;(vi)21日間にわたって1日に1回、50mg;(vii)7日間にわたって1日に1回、100mg;(viii)14日間にわたって1日に1回、100mg;(ix)21日間にわたって1日に1回、100mg;(x)7日間にわたって1日に1回、200mg;(xi)14日間にわたって1日に1回、200mg;(xii)21日間にわたって1日に1回、200mg;(xiii)7日間にわたって1日に1回、400mg;および(xiv)1週間目は20mg/日、2週間目は50mg/日および3週間目は100mg/日;ならびに(b)225Ac-HuM195の低減した投与レジメンは、以下のうちの1つである:(i)2×0.5μCi/kg、2×1.0μCi/kg、もしくは2×1.5μCi/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);または(ii)1×0.5μCi/kg、1×1.0μCi/kg、1×2.0μCi/kg、もしくは1×3.0μCi/kg(単回投与に関して)。
【0081】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0082】
実施例11 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオV
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、その通常の投与レジメンに従って(すなわち、少なくとも5週間にわたって)経口投与し、225Ac-HuM195を、ベネトクラクス投与レジメンの過程の間に、その通常の単回用量レジメンに従って静脈内投与する。一実施形態において、その単回用量の225Ac-HuM195を、(a)そのベネトクラクス投与レジメンの1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目もしくは21日目に、または(b)そのベネトクラクス投与レジメンの最後の日に、最後の日の前日に、または最後の日の2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前、15日前、16日前、17日前、18日前、19日前、20日前もしくは21日前に、投与する。
【0083】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0084】
実施例12 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオVI
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、その通常の投与レジメンに従って(すなわち、少なくとも5週間にわたって)経口投与し、225Ac-HuM195を、ベネトクラクス投与レジメンの過程の間に、低減した単回用量レジメンに従って静脈内投与する。一実施形態において、その単回用量の225Ac-HuM195を、(a)ベネトクラクス投与レジメンの1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目もしくは21日目に、または(b)そのベネトクラクス投与レジメンの最後の日に、最後の日の前日に、または最後の日の2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前、15日前、16日前、17日前、18日前、19日前、20日前もしくは21日前に、投与する。別の実施形態において、225Ac-HuM195の低減した投与レジメンは、(i)2×0.5μCi/kg、2×1.0μCi/kg、もしくは2×1.5μCi/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);または(ii)1×0.5μCi/kg、1×1.0μCi/kg、1×2.0μCi/kg、もしくは1×3.0μCi/kg(単回投与に関して)である。
【0085】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0086】
実施例13 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオVII
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、低減した投与レジメンに従って経口投与し、225Ac-HuM195を、そのベネトクラクス投与レジメンの過程の間に、その通常の単回用量レジメンに従って静脈内投与する。一実施形態において、単回用量の225Ac-HuM195を、(a)そのベネトクラクス投与レジメンの1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目もしくは21日目に、または(b)そのベネトクラクス投与レジメンの最後の日に、最後の日の前日に、または最後の日の2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前、15日前、16日前、17日前、18日前、19日前、20日前もしくは21日前に、投与する。別の実施形態において、ベネトクラクスの低減した投与レジメンは、以下のうちの1つである:(i)7日間にわたって1日に1回、20mg;(ii)14日間にわたって1日に1回、20mg;(iii)21日間にわたって1日に1回、20mg;(iv)7日間にわたって1日に1回、50mg;(v)14日間にわたって1日に1回、50mg;(vi)21日間にわたって1日に1回、50mg;(vii)7日間にわたって1日に1回、100mg;(viii)14日間にわたって1日に1回、100mg;(ix)21日間にわたって1日に1回、100mg;(x)7日間にわたって1日に1回、200mg;(xi)14日間にわたって1日に1回、200mg;(xii)21日間にわたって1日に1回、200mg;(xiii)7日間にわたって1日に1回、400mg;および(xiv)1週間目に20mg/日、2週間目に50mg/日、および3週間目に100mg/日。
【0087】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0088】
実施例14 - 225Ac-HuM195およびベネトクラクスの投与シナリオVIII
ヒトAML患者を、以下のレジメンに従って処置する。ベネトクラクスを、低減した投与レジメンに従って経口投与し、225Ac-HuM195を、そのベネトクラクス投与レジメンの過程の間に、低減された単回用量レジメンに従って静脈内投与する。一実施形態において、単回用量の225Ac-HuM195を、(a)そのベネトクラクス投与レジメンの1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目もしくは21日目に、または(b)そのベネトクラクス投与レジメンの最後の日に、最後の日の前日に、または最後の日の2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前、15日前、16日前、17日前、18日前、19日前、20日前もしくは21日前に、投与する。別の実施形態において、(a)ベネトクラクスの低減した投与レジメンは、以下のうちの1つである:(i)7日間にわたって1日に1回、20mg;(ii)14日間にわたって1日に1回、20mg;(iii)21日間にわたって1日に1回、20mg;(iv)7日間にわたって1日に1回、50mg;(v)14日間にわたって1日に1回、50mg;(vi)21日間にわたって1日に1回、50mg;(vii)7日間にわたって1日に1回、100mg;(viii)14日間にわたって1日に1回、100mg;(ix)21日間にわたって1日に1回、100mg;(x)7日間にわたって1日に1回、200mg;(xi)14日間にわたって1日に1回、200mg;(xii)21日間にわたって1日に1回、200mg;(xiii)7日間にわたって1日に1回、400mg;および(xiv)1週間目に20mg/日、2週間目に50mg/日、および3週間目に100mg/日;そして(b)225Ac-HuM195の低減した投与レジメンは、以下のうちの1つである:(i)2×0.5μCi/kg、2×1.0μCi/kg、もしくは2×1.5μCi/kg(ここでその一部は、1週間間隔を空けて投与される);または(ii)1×0.5μCi/kg、1×1.0μCi/kg、1×2.0μCi/kg、もしくは1×3.0μCi/kg(単回投与に関して)。
【0089】
また、このシナリオではその処置レジメンに従う実験的マウスモデルの処置が想定され、そこでは、その適切な投与レジメンは、マウスの体重および腫瘍異種移植片サイズと比例している。
【0090】
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本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
がんに罹患した被験体を処置するための方法であって、前記方法は、前記被験体に、(i)BCL-2インヒビターを、(ii)前記被験体におけるがん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに投与する工程を包含し、ここで前記BCL-2インヒビターおよび前記標識された薬剤の量は、互いとともに投与される場合に、治療上有効である、方法。
(項目2)
前記被験体は、ヒトである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記がんは、血液悪性疾患である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記血液悪性疾患は、白血病である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記白血病は、急性骨髄性白血病である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記BCL-2インヒビターは、ベネトクラクスである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記α線放射同位体標識された薬剤は、α線放射同位体で標識された抗CD33抗体である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記α線放射同位体で標識された抗CD33抗体は、225Ac標識HuM195である、項目7に記載の方法。
(項目9)
急性骨髄性白血病に罹患したヒト被験体を処置するための方法であって、前記方法は、前記被験体に、(i)ベネトクラクスを、(ii)225Ac標識HuM195とともに投与する工程を包含し、ここで前記ベネトクラクスおよび前記225Ac標識HuM195の量は、互いにともに投与される場合に、治療上有効である、方法。
(項目10)
がん細胞の死滅を誘導するための方法であって、前記方法は、前記細胞を、(i)BCL-2インヒビターと、(ii)前記がん細胞を標的とするα線放射同位体標識された薬剤とともに接触させる工程を包含し、ここで前記BCL-2インヒビターおよび前記標識された薬剤の量は、前記細胞と同時に接触させる場合に、前記細胞の死滅を誘導するために有効である、方法。
(項目11)
前記がん細胞は、ヒトがん細胞である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記がん細胞は、血液細胞である、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記がん細胞は、白血病細胞である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記白血病細胞は、急性骨髄性白血病細胞である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記BCL-2インヒビターは、ベネトクラクスである、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記α線放射同位体標識された薬剤は、α線放射同位体で標識された抗CD33抗体である、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記α線放射同位体で標識された抗CD33抗体は、225Ac標識HuM195である、項目16に記載の方法。
(項目18)
急性骨髄性白血病細胞の死滅を誘導するための方法であって、前記方法は、前記細胞を、(i)ベネトクラクスと、(ii)225Ac標識HuM195とともに接触させる工程を包含し、ここで前記ベネトクラクスおよび前記225Ac標識HuM195の量は、前記細胞と同時に接触させる場合に、前記細胞の死滅を誘導するために有効である、方法。