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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165956
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】手摺取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168501
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2020054200の分割
【原出願日】2020-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小石 恵
(72)【発明者】
【氏名】清野 真二
(72)【発明者】
【氏名】大塚(片峰) 瞳
(57)【要約】
【課題】手摺の設置作業性を向上できる手摺取付構造を提供すること。
【解決手段】手摺取付構造10は、出入口を区画する建物躯体6に額縁8が設置され、手摺11は、額縁8に取り付けられるブラケット50A,50Bと、ブラケット50A,50Bに支持される握り体60とを備える。建物躯体6および額縁8の間にはブラケット50A,50Bが配置される。額縁8には、ブラケット50A,50Bが配置される溝部87が形成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口を区画する建物躯体に手摺を取り付ける手摺取付構造であって、
前記建物躯体には額縁が設置され、
前記手摺は、前記建物躯体または前記額縁に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットに支持される握り体とを備え、
前記建物躯体および前記額縁の間には前記ブラケットが配置される
ことを特徴とする手摺取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の手摺取付構造において、
前記額縁には、前記ブラケットが配置される溝部が形成され、
前記ブラケットは前記額縁に取り付けられる
ことを特徴とする手摺取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の出入口を区画する開口枠部に手摺を取り付ける手摺取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入口に隣接する壁に設置される手摺が知られている(特許文献1参照)。この手摺は、人が出入口を通るのをサポートするものであるので、人に掴まれて体重がかけられても人を支えられる程度の設置強度が必要である。このため、通常、手摺は壁内に柱等の下地がある箇所に設置される。
【0003】
本発明の目的は、手摺の設置作業性を向上できる手摺取付構造を提供することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-26782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の手摺では、壁内に下地がある設置箇所を探す手間や、新たに下地を形成する手間を要してしまい、手摺の設置作業性を向上するのが困難である。
【0006】
本発明の目的は、手摺の設置作業性を向上できる手摺取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の手摺取付構造は、出入口を区画する建物躯体に手摺を取り付ける手摺取付構造であって、前記建物躯体には額縁が設置され、前記額縁はその長手方向に分断されて形成され、前記手摺は、前記分断された分断部において前記建物躯体に取り付けられるベースと、前記ベースに固定されるブラケットと、前記ブラケットに支持される握り体とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の手摺取付構造は、出入口を区画する建物躯体に手摺を取り付ける手摺取付構造であって、前記建物躯体には額縁が設置され、前記手摺は、前記建物躯体または前記額縁に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットに支持される握り体とを備え、前記建物躯体および前記額縁の間には前記ブラケットが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手摺の設置作業性を向上できる手摺取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る手摺取付構造を構成した建物の出入口を示す外観姿図。
図2】第1実施形態に係る手摺取付構造を示す斜視図。
図3】第1実施形態に係る手摺取付構造を展開して示す斜視図。
図4】第1実施形態に係る手摺取付構造の要部を拡大して示す斜視図。
図5】第1実施形態に係る手摺取付構造を示す横断面図。
図6】第1実施形態に係る手摺取付構造における手摺の変形例を示す斜視図。
図7】本発明の第2実施形態に係る手摺取付構造を示す斜視図。
図8】第2実施形態に係る手摺取付け構造を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る手摺取付構造10が構成された建物の出入口1を示しており、出入口1には引き戸2が設置されている。引き戸2は、左右に連なって出入口1に開閉可能に設置された三枚の戸体4A,4B,4Cを備えており、戸体4Aには引手5が取り付けられている。
以下の説明において、引き戸2の左右方向をX軸方向とし、引き戸2の上下方向をY軸方向とし、引き戸2の見込み方向(面外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0012】
建物躯体6のうち出入口1を区画するY軸方向に沿った図2に示す枠部7(柱部(下地))の見込み面には額縁8が設置されている。額縁8は、出入口1の上縁および左右の縦縁に沿ってそれぞれ配置されている。第1実施形態においては、図2および図3に示すように、戸先側の額縁8はその長手方向に分断されて形成された上側額縁81および下側額縁82によって構成されている。上側額縁81および下側額縁82の断面形状は同一である。なお、額縁8は、木製、樹脂製等であってもよく、また他の材料で構成されていてもよい。
【0013】
上側額縁81および下側額縁82の間には、手摺11を設置可能な空間である分断部83が形成されている。手摺11は、分断部83において枠部7にネジ止めされるベース20と、ベース20に固定されるブラケット30A,30Bと、ブラケット30A,30Bに支持される握り体40とを備えている。
ベース20は、上側額縁81および下側額縁82と断面形状が同一に形成され、且つ、これらと同じ材料で構成されており、額縁8の一部を構成する。
ブラケット30Aはベース20のY軸方向における一方の端部21(上端部)に取り付けられており、ブラケット30Bはベース20のY軸方向における他方の端部22(下端部)に取り付けられている。ブラケット30Aは、図4および図5に示すように、Z軸方向に沿った固定部31と、固定部31の端部から突出したアーム部32とを有している。固定部31は、図5に示すように平面視においてベース20と概略同様の形状に形成されている。ブラケット30Bは、ブラケット30Aと同様に構成されているので、ブラケット30Aの各構成と同符号を図面に適宜付し、その詳細な説明を省略する。
握り体40はY軸方向に延びて形成されており、その上下の端部がブラケット30A,30Bのアーム部32の先端に固定されている。
【0014】
ブラケット30Aの固定部31の上面は上側額縁81の下面に当接しており、ブラケット30Bの固定部31の下面は下側額縁82の上面に当接している。上側額縁81、下側額縁82、ベース20およびブラケット30A,30Bの固定部31によって形成される見込み面85は面一となっている。なお、上側額縁81、下側額縁82およびベース20のY軸方向に沿った一方の縁部には,引き戸2の建具枠である縦枠9がネジ止めされる段部86がそれぞれ形成されており、固定部31にも段部86と同形状の段部33が形成されている。
【0015】
なお、ベース20の端部21,22には、例えば図6に示す変形例のように覆縁部23が形成されていてもよい。この場合、ブラケット30A,30Bの固定部31は、そのX軸方向における寸法W2が図5に示す寸法W1よりも小さい寸法とされ、覆縁部23および建物躯体6の間に配置される。覆縁部23は、Z軸方向に延びていると共に前述した見込み面85に沿って配置されている。固定部31は、枠部7および覆縁部23の間に配置され、覆縁部23によって外観上覆われて露出しない配置となっている。なお、端部21の覆縁部23は上側額縁81に当接し、端部22の覆縁部23は下側額縁82に当接する。
【0016】
第1実施形態では、額縁8および手摺11は次のように設置される。まず、建物躯体6の枠部7の見込み面に額縁8を取り付ける。戸先側の額縁8の分断は建物躯体6の取付前、取付後のいずれに行ってもよく、また、上側額縁81と下側額縁82とで構成される額縁8を予め準備しておいてもよい。そして、上側額縁81および下側額縁82の間の分断部83には、ベース20およびブラケット30A,30Bの固定部31を配置し、ベース20を枠部7にネジ止めする。ネジ止め位置は、第1実施形態では少なくともベース20のY軸方向における中央からブラケット30Aに寄った位置と、ブラケット30Bに寄った位置の二か所であり、第1実施形態では中央位置を含めた三ケ所である。このように額縁8および手摺11を設置して手摺取付構造10を構成するので、額縁8を設置する枠部7(下地)のほかに、手摺11を設置する下地を探す手間を要さず、手摺11を設置する下地を新たに形成する手間も要さない。
【0017】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図7および図8において、第2実施形態に係る手摺取付構造10Bでは、前述した手摺11に代えて手摺11Bを備えており、戸先側の額縁8は第1実施形態のように上側額縁81および下側額縁82に分かれておらず、Y軸方向に沿った一つの部材によって構成されている。手摺取付構造10Bの上記以外の構成は手摺取付構造10と同じである。
【0018】
手摺11Bは、固定部51およびアーム部52を有したブラケット50A,50Bと、ブラケット50A,50Bに支持された握り体60とを有している。固定部51はZ軸方向に沿っており、アーム部52は固定部51の端部から突出している。握り体60は、Y軸方向に延びていると共に両端がアーム部52の先端に固定されている。
額縁8には、ブラケット50A,50Bの固定部51がそれぞれ配置される溝部87がZ軸方向に沿って形成されている。
【0019】
第2実施形態では、額縁8および手摺11Bは次のように設置される。まず、額縁8の溝部87にブラケット50A,50Bの固定部51をそれぞれ配置して額縁8にネジ止めし、手摺付き額縁を構成する。次に、額縁8を建物躯体6の枠部7の見込み面に沿って配置し、枠部7にネジ止めする。このとき、固定部51は額縁8および枠部7に共締めされる。このように額縁8および手摺11Bを設置して手摺取付構造10Bを構成するので、額縁8を設置する枠部7(下地)のほかに、手摺11Bを設置する下地を探す手間を要さず、手摺11Bを設置する下地を新たに形成する手間も要さない。
【0020】
[変形例]
第1実施形態では、ベース20およびブラケット30A,30Bの固定部31の見込み面が上側額縁81および下側額縁82の見込み面と面一とされて、Y軸方向に連続した見込み面85が構成されているが、これに限らず、例えばベース20や固定部31の見込み面を上側額縁81および下側額縁82の見込み面に対してX軸方向に突出した位置、または入り込んだ位置に配置してもよい。
第2実施形態では、溝部87は額縁8に形成されているが、これに限らず、建物躯体6の枠部7に形成してもよく、また、枠部7および額縁8の双方に形成してもよい。また、ブラケット50A,50Bの固定部51は額縁8に取り付けられているが、枠部7に取り付けられてもよい。
第1,2実施形態では、二つのブラケット30A,30B(50A,50B)を備えているが、握り体40(60)を支持可能な構成であれば一つでもよく、また三つ以上あってもよい。
第1,2実施形態では、戸先側に手摺11,11Bが設置されているが、戸尻側や他の箇所に設置されてもよい。
第1,2実施形態では、出入口1に引き戸2が設置されているが、これに限らず、出入口1を開閉するスライド系、開き系の各種の戸、扉、ドアなどの建具が設置されていてもよい。
【0021】
[本発明のまとめ]
本発明の手摺取付構造は、出入口を区画する建物躯体に手摺を取り付ける手摺取付構造であって、前記建物躯体には額縁が設置され、前記額縁はその長手方向に分断されて形成され、前記手摺は、前記分断された分断部において前記建物躯体に取り付けられるベースと、前記ベースに固定されるブラケットと、前記ブラケットに支持される握り体とを備えることを特徴とする。
本発明の手摺取付構造によれば、分断部で手摺のベースを建物躯体に取り付けるので、建物躯体のうち額縁を設置する設置箇所に手摺も設置できる。つまり、建物躯体のうち出入口を区画する箇所には柱などの下地が元々あり、この下地に対して額縁設置工事を行うことで手摺も設置することができ、額縁の設置箇所のほかに手摺の設置箇所を探す手間や、新たに下地を形成する手間を省くことができ、手摺の設置作業性を向上できる。
また、手摺のベースが分断部に配置されるので、このベースを利用して額縁の一部を構成する外観を容易に構成でき、意匠性を向上できる。
更に、手摺を出入口のすぐ近くに配置できるので、出入口を通る人が手摺を容易に把持できる。
加えて、額縁を切欠き加工して分断部を構成する場合には、分断部の上下位置や上下長さ寸法を適宜設定でき、各種形態の手摺を設置可能である。
【0022】
本発明の手摺取付構造は、出入口を区画する建物躯体に手摺を取り付ける手摺取付構造であって、前記建物躯体には額縁が設置され、前記手摺は、前記建物躯体または前記額縁に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットに支持される握り体とを備え、前記建物躯体および前記額縁の間には前記ブラケットが配置されることを特徴とする。
本発明の手摺取付構造によれば、建物躯体および額縁の間にブラケットが配置されるので、建物躯体のうち出入口を区画する箇所に元々ある柱などの下地に対して額縁設置工事を行うことで手摺も設置することができ、額縁を設置する設置箇所のほかに手摺の設置箇所を探す手間や、新たに下地を形成する手間を省くことができ、手摺の設置作業性を向上できる。
また、手摺が前述したベースを備えていないので、このベースを配置するために額縁をその長手方向に分断する必要がないうえ、ブラケットが前記溝部に配置されて目立たない構成となるので、意匠性を向上できる。
更に、手摺を出入口のすぐ近くに配置できるので、出入口を通る人が手摺を容易に把持できる。
【0023】
本発明の手摺取付構造では、前記ブラケットは、前記ベースのうち前記額縁に向かい合う端部に固定される固定部と、前記固定部から突出するアーム部とを有し、前記ベースの端部には、前記固定部を覆う覆縁部が見込み方向に沿って形成され、前記固定部は前記建物躯体および前記覆縁部の間に配置されていてもよい。
このような構成によれば、ベースの覆縁部によってブラケットの固定部を隠すことができ、前述した分断部があっても、長手方向に連続した額縁外観を構成できる。
【0024】
本発明の手摺取付構造では、前記額縁には、前記ブラケットが配置される溝部が形成され、前記ブラケットは前記額縁に取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、ブラケットを配置するための溝部を現場で建物躯体に形成する手間を省くことができる。また、予めブラケットを額縁に取り付けておくことで手摺付き額縁を構成でき、このため、額縁および手摺の設置作業の手間を軽減できる。
【符号の説明】
【0025】
1…出入口、10,10B…手摺取付構造、11,11B…手摺、2…引き戸、20…ベース、23…覆縁部、30A,30B,50A,50B…ブラケット、31,51…固定部、32,52…アーム部、33,86…段部、40,60…握り体、4A~4C…戸体、5…引手、6…建物躯体、7…枠部、8…額縁、81…上側額縁、82…下側額縁、83…分断部、85…見込み面、87…溝部、9…縦枠、W1,W2…寸法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8