(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023165957
(43)【公開日】2023-11-17
(54)【発明の名称】演奏補助具及びエアリード楽器
(51)【国際特許分類】
G10D 9/02 20200101AFI20231110BHJP
G10D 7/026 20200101ALI20231110BHJP
【FI】
G10D9/02 200
G10D7/026
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168524
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2019234498の分割
【原出願日】2019-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】有元 慶太
(72)【発明者】
【氏名】福家 真史
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】三木 晃
(57)【要約】
【課題】演奏者の演奏スキルに関わらず、エアリード楽器の本来の音色に近づけることができるようにする。
【解決手段】エアリード楽器MIの唄口12側に位置する第一面4と、演奏者の唇側に位置する第二面5と、第一面4から第二面5まで貫通して演奏者の呼気を唄口12に向けて流す流路6と、を有し、第一面4は、演奏者の上唇の外面に対応する上唇領域41と、演奏者の下唇の外面に対応する下唇領域42と、を有し、下唇領域42は、第一領域421と第二領域423とを含み、第一領域421に対して突出する第二領域423の一部は、第一領域421がエアリード楽器MIの外面に接触した状態で唄口の内側に配される演奏補助具3を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアリード楽器の唄口側に位置する第一面と、
演奏者の唇側に位置する第二面と、
前記第一面から前記第二面まで貫通して演奏者の呼気を前記唄口に向けて流す流路と、を有し、
前記第一面は、演奏者の上唇の外面に対応する上唇領域と、演奏者の下唇の外面に対応する下唇領域と、を有し、
前記下唇領域は、第一領域と第二領域とを含み、
前記第一領域に対して突出する前記第二領域の一部は、前記第一領域が前記エアリード楽器の外面に接触した状態で前記唄口の内側に配される演奏補助具。
【請求項2】
前記上唇領域及び前記下唇領域は、それぞれ前記上唇及び前記下唇に対応した凸状の湾曲面に形成されている請求項1に記載の演奏補助具。
【請求項3】
前記第二領域は、前記第一領域と前記第一面における前記流路の開口部との間に位置する請求項1又は請求項2に記載の演奏補助具。
【請求項4】
前記第一面は、演奏者の呼気を前記唄口に直接吹き付ける際の演奏者の唇の外面を模した形状に形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項5】
前記流路の断面積が、前記第一面から前記第二面に向けて連続的に大きくなる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項6】
前記第一面における前記流路の開口部の縁の少なくとも一部が曲線である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項7】
前記流路は、演奏者の呼気を前記唄口に直接吹き付ける際の演奏者の唇を模した形状に形成されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項8】
前記第一面における前記流路の開口部は、前記開口部から吹き出した演奏者の呼気が前記唄口のエッジに吹き付けられるように位置する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項9】
前記第二面側に位置する部位が、ホースを取り付ける取付部である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項10】
前記取付部は、筒状に形成され、前記ホースの内側に挿入される被挿入部である請求項9に記載の演奏補助具。
【請求項11】
前記取付部は、前記第二面に開口する前記流路に前記ホースを挿入する挿入部である請求項9に記載の演奏補助具。
【請求項12】
弾性変形可能である請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の演奏補助具。
【請求項13】
唄口を有する頭部管と、
前記唄口の近傍に設けられた請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の演奏補助具と、を備えるエアリード楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏補助具及びエアリード楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
フルート、横笛、尺八等のように演奏者の呼気をフルートの唄口に直接吹き付けるエアリード楽器では、演奏する際に、特定の唇の形(アンブシュア)を作ったり、唄口のエッジに呼気を吹き付けたりする必要がある。このため、初心者などの演奏スキルの乏しい演奏者がこの種のエアリード楽器を演奏することは難しい。
特許文献1,2には、初心者であってもエアリード楽器の演奏を可能とする演奏補助具やこれを含むエアリード楽器が開示されている。特許文献1,2の演奏補助具やエアリード楽器は、演奏者の呼気を唄口に誘導するための流路を有する管状の流路形成部を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/131454号
【特許文献2】特開2019-124836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の流路形成部を含むエアリード楽器の音色は、流路形成部を用いずに演奏者の呼気を唄口に直接吹き付ける場合の音色(すなわちエアリード楽器の本来の音色)と比較して大きく異なる、という問題がある。この原因は、特許文献1,2における流路形成部の流路の断面積が流路の入口から出口に至るまで同じであり、流路の形状がアンブシュアを作った演奏者の唇の形状と大きく異なることが考えられる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、演奏者の演奏スキルに関わらず、エアリード楽器の本来の音色に近づけることが可能な演奏補助具及びこれを備えるエアリード楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、エアリード楽器の唄口側に位置する第一面と、演奏者の唇側に位置する第二面と、前記第一面から前記第二面まで貫通して演奏者の呼気を前記唄口に向けて流す流路と、を有し、前記第一面は、演奏者の上唇の外面に対応する上唇領域と、演奏者の下唇の外面に対応する下唇領域と、を有し、前記下唇領域は、第一領域と第二領域とを含み、前記第一領域に対して突出する前記第二領域の一部は、前記第一領域が前記エアリード楽器の外面に接触した状態で前記唄口の内側に配される演奏補助具である。
【0007】
本発明の第二の態様は、唄口を有する頭部管と、前記唄口の近傍に設けられた前記演奏補助具と、を備えるエアリード楽器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、演奏者の演奏スキルに関わらず、エアリード楽器の本来の音色に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る演奏補助具を含むフルートの要部を示す斜視図である。
【
図2】
図1のフルートにおいて、演奏補助具を頭部管から取り外した状態を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1,2の演奏補助具を流路が開口する第二面側から見た図である。
【
図4】
図1,2の演奏補助具を流路が開口する第一面側から見た図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る演奏補助具を含むフルートを示す断面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る演奏補助具を示す断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る演奏補助具を一体に形成した頭部管を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第一実施形態〕
以下、
図1~7を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、本実施形態では、本発明の演奏補助具を適用したエアリード楽器としてフルートMIを例示する。
図1,2においては、フルートMIの頭部管1のみを示し、キイを有する主管や足部管を省略している。
図1,2,7に示すように、フルートMIの頭部管1は、演奏者の下唇を当てるためのリッププレート11を有する。リッププレート11を含む頭部管1の部位には、頭部管1の内側から外側まで貫通する唄口12が形成されている。リッププレート11の外面における唄口12の周縁には、演奏者の呼気を吹き付けるためのエッジ13が形成されている。
【0011】
フルートMIは、頭部管1の唄口12の近傍に設けられて、演奏者の呼気を唄口12に導くための演奏補助具3を備える。
図2~6に示すように、演奏補助具3は、第一面4と、第二面5と、流路6と、を有する。
第一面4は、フルートMIの唄口12側に位置する面である。第一面4は、例えば平坦面など任意の形状に形成されてよい。本実施形態の第一面4は、唇のうち外側に露出する面を模した形状に形成されている。第一面4の具体的な形状については後述する。
【0012】
第二面5は、演奏者の唇側に位置する面である。第二面5は、任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では平坦に形成されている。第二面5は、流路6を介して第一面4と反対の面となる。
流路6は、これら第一面4から第二面5まで貫通する。すなわち、演奏補助具3は、概ね筒状に形成されている。流路6は、演奏者の呼気をフルートMIの唄口12に向けて流す。
【0013】
演奏補助具3の流路6及び第一面4は、演奏者の呼気を唄口12に直接吹き付ける際の演奏者の唇を模した形状に形成されている。はじめに、外側に露出しない唇の内面の複雑な形状を模した流路6について説明する。
【0014】
図2,5,6に示すように、第一面4において流路6の貫通方向に直交する流路6の断面積は、第一面4から第二面5側に離れて位置する流路6の断面積よりも小さい。具体的には、第一面4における流路6の断面積が最も小さく、第二面5における流路6の断面積が最も大きい。また、流路6の断面積は、第一面4から第二面5に向けて連続的に大きくなっている。
【0015】
図4に示すように、第一面4側から見て、第一面4における流路6の開口部61(以下、第一開口部61と呼ぶ。)の縁の少なくとも一部は、曲線である。
図4における符号611は、曲線となっている流路6の第一開口部61の縁の代表的な部分を示している。
【0016】
図2~4に示すように、流路6の断面形状は、扁平である。具体的には、流路6の貫通方向に直交する幅方向(
図3,4において左右方向)における幅寸法が、貫通方向及び幅方向に直交する高さ方向(
図3,4において上下方向)における高さ寸法よりも大きい。すなわち、流路6の断面形状は、楕円形状や長方形状に近い形状に形成されている。また、流路6の扁平な断面形状は、第一面4から第二面5に至るまで概ね維持されている。
【0017】
次いで、外側に露出する演奏者の唇の外面を模した第一面4の形状について説明する。
図2,4,5に示すように、第一面4には、演奏者の上唇の外面に対応する上唇領域41と、演奏者の下唇の外面に対応する下唇領域42とがある。上唇領域41及び下唇領域42は、それぞれ上唇及び下唇に対応した凸状の湾曲面に形成されている。上唇領域41及び下唇領域42は、前述した流路6の高さ方向(
図4,5において上下方向)に並んでいる。
【0018】
図2,4,5,7に示すように、下唇領域42のうちリッププレート11に接触する第一領域421は、リッププレート11に押し付けられることで変形する下唇の形状に対応するように、下唇領域42の第二領域423に対して窪んで形成されている。また、第一領域421に対して突出する第二領域423の一部は、第一領域421がリッププレート11に接触した状態で唄口12の内側に配される(特に
図7参照)。第二領域423は、第一領域421と流路6の第一開口部61との間に位置する。
このように形成される下唇領域42は、リッププレート11に押し付けられた演奏者の下唇の外面形状を再現している。
【0019】
また、本実施形態の演奏補助具3では、
図7に示すように、流路6の第一開口部61が、第一開口部61から吹き出した演奏者の呼気が唄口12のエッジ13に吹き付けられるように位置する。具体的に、流路6の長手方向が第一開口部61からエッジ13に向かう方向に一致するように、演奏補助具3の第一領域421を、リッププレート11のうち唄口12を挟んでエッジ13と反対側に位置する領域に接触させることで、流路6の第一開口部61が上記の通りに位置する。
また、本実施形態の演奏補助具3は、弾性変形可能である。演奏補助具3は、例えばシリコンのように弾性を有する材料によって形成されてよい。
【0020】
演奏補助具3の具体的な大きさや、第一面4を除く演奏補助具3の外面の形状は、任意であってよい。演奏補助具3は、例えば演奏補助具3を使用する演奏者が自身の口で銜えることが可能な大きさに形成されてよい。
【0021】
本実施形態の演奏補助具3は、流路6の第一開口部61が唄口12のエッジ13に対向するように、第一面4の第一領域421をリッププレート11に接触させ、第一面4の第二領域423の一部を唄口12の内側に入れることで、フルートMIの頭部管1に取り付けられる。
また、演奏補助具3は、頭部管1に対して固定される。演奏補助具3の具体的な固定手法は、接着やネジ止めなど任意であってよい。演奏補助具3は、頭部管1に対して着脱可能に固定されてもよいし、着脱不能に固定されてもよい。
【0022】
演奏者が演奏補助具3を取り付けたフルートMIを演奏する際には、演奏補助具3を演奏者の唇で銜えて、第二面5側から流路6に演奏者の呼気を吹き込めばよい。これにより、演奏者の呼気が、流路6の第一開口部61から唄口12のエッジ13に吹き付けられ、頭部管1から音が出る。
【0023】
本実施形態の演奏補助具3及びこれを備えるフルートMIによれば、第一面4における流路6の断面積が第一面4から第二面5側に離れた位置における流路6の断面積よりも小さい。このため、流路6の形状を、演奏者の呼気をフルートMIの唄口12に直接吹き付ける際の演奏者の唇の形状に近づけることができる。これにより、演奏者の吹鳴スキルに関わらず、フルートMIの本来の音色に近づけることができる。
【0024】
また、演奏者が本実施形態の演奏補助具3を利用してフルートMIを演奏する際には、演奏者の唇を頭部管1(リッププレート11)に接触させる通常の演奏方法と比較して、演奏者の唇の形状が制限されないため、フラッタータンギング等の奏法も容易に実現できる。
【0025】
また、本実施形態の演奏補助具3では、流路6の断面積が、第一面4から第二面5側に向けて連続的に大きくなっている。さらに、流路6の第一開口部61の縁の少なくとも一部が曲線となっている。このようにすることで、流路6の形状をフルートMIの演奏時における演奏者の唇の形状にさらに近づけることができる。これにより、フルートMIの本来の音色にさらに近づけることができる。
そして、本実施形態の演奏補助具3では、演奏者の呼気をフルートMIの唄口12に直接吹き付ける際の演奏者の唇を模した形状(再現した形状)に形成されているため、フルートMI本来の音色とほぼ同等の音を鳴らすことができる。
【0026】
また、本実施形態の演奏補助具3の一例では、弾性変形可能である。このため、演奏者が自身の口(唇・歯など)により演奏補助具3を噛む等して外側から押すことで、流路6の大きさや形状を調整することができる。これにより、フルートMIの音色を変えることが可能となる。したがって、フルートMIの演奏の自由度や表現力を向上できる。
【0027】
また、本実施形態の演奏補助具3では、第二面5における流路6の断面積が最大となっている。このため、演奏者は呼気を流路6に吹き込みやすい、という効果を奏する。
【0028】
〔第二実施形態〕
次に、主に
図8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態においては、第一実施形態と同様の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0029】
図8に示すように、第二実施形態の演奏補助具3Bは、第一実施形態と同様のフルートMI(
図1等参照)に適用される。第二実施形態の演奏補助具3Bは、第一実施形態と同様に、フルートMIの唄口12側に位置する第一面4、演奏者の唇側に位置する第二面5B、及び、第一面4から第二面5Bまで貫通する流路6Bを有する。
第一面4は第一実施形態と同様である。第二面5Bは、第一実施形態と同様に平坦に形成されている。ただし、第二面5Bの大きさ(面積)は、第一実施形態よりも小さい。
【0030】
第一面4における流路6Bの断面積は、第一実施形態と同様に、第一面4から第二面5B側に離れて位置する流路6Bの断面積よりも小さい。ただし、流路6Bの貫通方向において流路6Bの断面積が最大となる位置は、貫通方向における流路6Bの中途部63Bである。すなわち、第一面4及び第二面5Bにおける流路6Bの断面積は、流路6Bの中途部63Bにおける断面積よりも小さい。また、流路6Bの断面積は、演奏補助具3Bの第一面4から流路6Bの中途部63Bまで連続的に大きくなり、流路6Bの中途部63Bから第二面5Bまで連続的に小さくなっている。第二面5Bにおける流路6Bの断面積は、第一面4における流路6Bの断面積よりも大きくてもよいし、小さくてもよい、また、第一面4における流路6Bの断面積と同等でもよい。
【0031】
流路6Bの断面形状は、貫通方向において第一面4から中途部63Bを通って第二面5Bに至るまで扁平な形状に形成されてよい。ただし、後述する取付部7Bを考慮すると、第二面5Bやその近傍における流路6Bの断面形状は、第二面5Bにおける流路6Bの幅寸法と高さ寸法とが互いに等しい形状、あるいはこれらの寸法の差が小さい形状に形成されることがより好ましい。この場合、流路6Bは、中途部63Bから第二面5Bに向けて流路6Bの断面形状が連続的に変化するように形成されるとよい。
【0032】
第二実施形態の演奏補助具3Bでは、貫通方向において第二面5B側に位置する部位が、ホースHを取り付ける取付部7Bとなっている。取付部7Bは、筒状に形成されている。具体的に、取付部7Bは、ホースHの内側に挿入される被挿入部71Bである。このため、被挿入部71Bの外周は、ホースHの内周の形状(例えば円形)に対応する形状に形成されるとよい。
これにより、ホースHの内側の空間を演奏補助具3Bの流路6Bにつなげることができる。また、ホースHの内周面を被挿入部71Bの外周面に密着させることができる。これにより、ホースH内に吹き込まれた演奏者の呼気が、ホースHと演奏補助具3Bとの間から漏れることを抑制又は防止できる。
【0033】
第二実施形態の演奏補助具3Bによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第二実施形態では、演奏補助具3Bのうち第二面5B側に位置する部位に、ホースHを取り付けることができる。このため、演奏者は、ホースHを咥えてフルートMIを演奏することが可能となる。すなわち、演奏者の唇をフルートMIの唄口12に近づけなくても、フルートMIを演奏することができる。したがって、様々な方法でフルートMIを演奏することが可能となる。例えば、可撓性を有するホースHを用いる場合には、演奏者の顔をフルートMIに対して自由に動かすことができるため、個性的な演奏を行うことができる。
【0034】
第二実施形態において、取付部7Bは、例えば第二面5Bに開口する流路6BにホースHを挿入する挿入部であってもよい。この場合、挿入部の内周(すなわち流路6Bの内面)は、ホースHの外周の形状(例えば円形)に対応する形状に形成されるとよい。
【0035】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
本発明において、流路の断面積は、例えば演奏補助具の第一面から第二面に向けて不連続に大きくなってもよい。すなわち、流路のうち断面積が小さい第一面側の部分と、流路のうち断面積が大きい第二面側の部分とが、段差状に接続されてもよい。
【0037】
本発明において、流路の断面形状は、扁平な形状に限らず、例えば円形状、正方形状など任意であってよい。
【0038】
本発明において、演奏補助具は、例えば弾性変形不能に形成されてよい。演奏補助具は、金属や木材などのように弾性変形しない、あるいは、弾性変形しにくい材料によって形成されてよい。
【0039】
本発明の演奏補助具は、フルートの頭部管と別個に形成されることに限らない。例えば
図9,10に示すように、演奏補助具3は頭部管1に一体に形成されてもよい。
図9において、頭部管1の長手方向(
図9において左右方向)の第一端部14は、フルートの胴部管(不図示)に取り付けるための取付部となっている。演奏補助具3が頭部管1に一体に形成される場合には、演奏補助具3のない頭部管に代えて、演奏補助具3付きの頭部管1をフルートの胴部管に取り付けるだけで、演奏者の演奏スキルに関わらずフルートの本来の音色に近づけることが可能なフルートを簡単に構成できる。
【0040】
本発明の演奏補助具は、フルートに限らず、ピッコロやファイフ、尺八などのように唄口を有する頭部管を備える他のエアリード楽器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…頭部管、3,3B…演奏補助具、4…第一面、5,5B…第二面、6,6B…流路、7B…取付部、12…唄口、13…エッジ、61…開口部、71B…被挿入部、H…ホース、MI…フルート(エアリード楽器)